説明

光路変換素子

【課題】コンパクトで簡易な構造の光路変換素子を提供する。
【解決手段】互いに光路方向の異なる、嵌合ピン位置決め方式の第1及び第2の2つの光部品間に介在して両光部品間の光接続を行うための光路変換素子であり、ブロック状の素子本体16を有する。素子本体16は、第1の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴11aを持ちかつ該第1の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面11bを持つ第1接続部11と、第2の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴12aを持ちかつ該第2の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面12bを持つ第2接続部12とを備え、かつ、前記第1接続部11の接続端面11bから屈曲部14bを経て第2接続部12の接続端面12bに向かう光ファイバ(光導波路)14を備えている。コンパクト化、省スペース化を実現できる。また、製造が簡易であり、相手側光部品との接続作業も簡易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、互いに光路方向の異なる、嵌合ピン位置決め方式の光部品間に介在して光部品間の光接続を行うための光路変換素子に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、光コネクタや光ファイバアレイや光スイッチやその他の光部品に関して、光路方向を変えた光接続を行う場合、光ファイバの先端にミラーやプリズムを対峙させて光路を変換する方法(特許文献1、2等)が一般的である。
また、特許文献3(特開2004−191564光路変換コネクタ)のように、樹脂からなるクラッドに埋め込まれた互いに直交するコアの直交箇所において、コアを削ってミラー面を形成して全反射により光路変換する光路変換コネクタもある。この場合、クラッドとしてハロゲン化ガラスを用い、レーザ光照射による屈折率変化としてコアを形成している。この光路変換コネクタは、相手側光コネクタ方向及び光学部品方向の直角二方向に対してピン嵌合方式にて位置決めする構造であり、コネクタ接続部の構造はいわゆるMTコネクタである。
さらに他の方式として、特許文献4(特開平10−246827光路変換器)のように、向きが互いに直角な入力端面から出力端面に向けて円弧状に湾曲した高分子フレキシブル光導波路を基体に形成した構造のものもある。この場合、高分子フレキシブル光導波路を例えばアクリル樹脂製の、湾曲した凸面及び凹面をそれぞれ持つ2つの基体間に挟み込み、UV接着剤で固定して製造している。基体には直角二方向の相手側嵌合ピン穴にそれぞれ嵌合する嵌合ピンを設けている。
【特許文献1】特開平2−33121号
【特許文献2】特開平9−26525号
【特許文献3】特開2004−191564
【特許文献4】特開平10−246827の図5、図7
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光機器や光部品のコンパクト化は常に求められるが、例えば光コネクタや光ファイバアレイや光スイッチ等で、光路方向を変えた光接続を行う等の場合も同様であり、極力コンパクト化されることが望ましく、しかもそのコンパクト化を簡易に実現できることが望ましい。
ところで、光コネクタ等における接続相手側との位置決め方式として嵌合ピン位置決め方式が広く採用されているが、この嵌合ピン位置決め方式の光部品が用いられる光配線経路において光路変換を行う必要がある場合においても、同じくコンパクト化を簡易に図る方式が望まれる。
【0004】
しかし、特許文献1や特許文献2のように、ミラーやプリズム等の光学部品を用いる方式では、十分なコンパクト化を実現することは困難である。
また、特許文献3のように内蔵ミラーを形成する方式は、コンパクト化を実現できるが、内蔵ミラーを形成するプロセスが繁雑であり、簡易な方式とは言えない。
また、特許文献4のように、高分子フレキシブル光導波路を基体に形成する方式は、コンパクト化を実現できるが、高分子フレキシブル光導波路を形成するというものであり、必ずしも一般的で簡易なものとは言えない。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、嵌合ピン位置決め方式の光部品が用いられる光配線経路において光路変換を行う必要がある場合に、コンパクト化を簡易に図ることができる光路変換素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する請求項1の発明は、互いに光路方向の異なる、嵌合ピン位置決め方式の第1及び第2の2つの光部品間に介在して両光部品間の光接続を行うための光路変換素子であって、
ブロック状の素子本体が、第1の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第1の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第1接続部と、第2の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第2の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第2接続部とを備え、かつ、前記第1接続部の接続端面から屈曲部を経て第2接続部の接続端面に向かう光導波路を備えていることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、いずれも嵌合ピン位置決め方式の、第1及び第3の光部品とこれら2つの光部品に対して光路方向の異なる第2の光部品との間に介在して、第1及び第3の光部品と第2の光部品との間の光接続を行うための光路変換素子であって、
ブロック状の素子本体が、第1の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第1の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第1接続部と、第3の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第3の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第3接続部と、第2の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第2の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第2接続部とを備え、かつ、前記第1接続部の接続端面及び前記第3接続部の接続端面からそれぞれ屈曲部を経て第2接続部の接続端面に向かう光導波路を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項3は、請求項2の光路変換素子において、素子本体が、前記第1接続部と第3接続部とが第2接続部から二股に分かれるようなY形縦断面形状をなしていることを特徴とする。
【0009】
請求項4は、請求項1の光路変換素子において、素子本体は、第1接続部と第2接続部とが別体で製作され接合されたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項5は、請求項2の光路変換素子において、素子本体は、第1接続部と第2接続部と第3接続部とが別体で製作され、第1接続部と第3接続部とを第2接続部に接合して構成されたものであることを特徴とする。
【0011】
請求項6は、請求項1又は4の光路変換素子において、第1接続部と第2接続部との突当り部の外側部分に凹所が形成されており、素子本体内の光導波路の屈曲部が前記凹所において露出していることを特徴とする。
【0012】
請求項7は、請求項1又は4又は6の光路変換素子において、光導波路の第1接続部側の向きと第2接続部側の向きとのなす屈曲角度が90°であることを特徴とする。
【0013】
請求項8は、請求項2又は3の光路変換素子において、素子本体に、第1接続部の接続端面から第3接続部の接続端面に向かう光導波路を形成したことを特徴とする。
【0014】
請求項9の発明は、少なくとも一部の光部品どうしについて互いに光路方向の異なる、嵌合ピン位置決め方式の複数の光部品間に介在して各光部品間の光接続を行うための光路変換素子であって、
ブロック状の素子本体が、前記の各光部品に対応する接続部を備え、前記各接続部は、各光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ各光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持ち、かつ、一つの接続部の接続端面から屈曲部を経て他の接続部の接続端面に向かう光導波路を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の光路変換素子によれば、ミラーやプリズム等の光学部品を用いる方式と比べて十分なコンパクト化を実現することができ、光機器内の省スペース化を実現できる。
そして、素子本体内の屈曲した光導波路として光ファイバを用いる場合は、屈曲部のある光ファイバ穴を持つブロック状の素子本体を樹脂成形し、その光ファイバ穴に曲げに強い光ファイバを挿入し接着固定すればよいので、特許文献3のようにクラッド材の内部にレーザ光照射による屈折率変化としてコアを形成する方法と比較して、製造が極めて簡易である。
また、特許文献4のように高分子フレキシブル光導波路を基体に形成する方式と比較して、一般的でありかつ簡易である。
また、各接続部が嵌合ピン穴を有し接続相手側に対して嵌合ピン位置決め方式による位置決め接続が可能なので、相手側光部品との接続業も簡易である。
また、嵌合ピン位置決め方式のコネクタ接続が可能なので、極めて一般的なMTコネクタによる光配線系統に適用することができ、汎用性が高く、利用価値が高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施した光路変換素子について、図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0017】
図1に本発明の第1実施例の光路変換素子15を斜視図で示す。第2図は図1の光路変換素子15により、嵌合ピン位置決め方式の、光路方向が互いに直角な2つの光部品1、2間の光路変換光接続を行う要領を説明する側面図、図3は図2のA−A断面図である。
この光路変換素子15は、断面L字形のブロック状をなす樹脂製の素子本体16を有する。この素子本体16は、第1の光部品1の嵌合ピン穴1aに対応する向きの嵌合ピン穴11aを持ちかつ該第1の光部品1の接続端面1bに突き合わせ接続される接続端面11bを持つ第1接続部11と、第2の光部品2の嵌合ピン穴2aに対応する向きの嵌合ピン穴12aを持ちかつ該第2の光部品2の接続端面2bに突き合わせ接続される接続端面12bを持つ第2接続部12とを備えている。第1接続部11及び第2接続部12はいずれも概ねやや薄型の直方体状をなしており、素子本体16は、両者11、12が直角につながる形で前記の通り断面L字形のブロック状をなしている。なお、図示例の第1接続部11には、この光路変換素子15を他部材に係止させるための切り欠き11cを形成している。
そして、前記第1接続部11の接続端面11bから第2接続部12の接続端面12bに向かって屈曲して90°光路変換する光導波路14を備えている。この実施例の光導波路14は、第1接続部11側の部分及び第2接続部12側の部分がそれぞれ直線状(直線部を14a、14cで示す)であり、第1接続部11と第2接続部12との突き当たり部の近傍で屈曲部14bとなっている。
実施例の光導波路14は、素子本体16に90°屈曲部を持つ光ファイバ穴(すなわち、前記14a、14b、14cに対応する穴)16aをあけ、この光ファイバ穴16aに光ファイバを挿入し接着固定して構成したものである。
ここで用いられる光ファイバとしては、標準の光ファイバよりも曲げ損失の少ない光ファイバ、例えば、より細径の光ファイバや、コアの周囲に空孔を規則的に配列した光ファイバ、あるいはプラスチック光ファイバ等を用いることができる。
【0018】
この実施例の光路変換素子15は、当該光路変換素子15により光接続しようとする2つの光部品1、2が、JIS C 5981のF12形多心光ファイバコネクタに概ね相当するいわゆるMTコネクタの場合であり、したがって、第1接続部11及び第2接続部12の接続端面11b、12bの近傍は概ねMTコネクタの構造であると言える。
【0019】
上記の光路変換素子15で、図2のように光路方向が互いに直角な前記嵌合ピン位置決め方式の第1、第2の2つの光コネクタ(光部品)1、2間の光路変換光接続を行う場合、第1の光コネクタ1の嵌合ピン穴1aに嵌合させた嵌合ピン5を光路変換素子15の第1接続部11側の嵌合ピン穴11aに嵌合させることで、第1の光コネクタ1と光路変換素子15の第1接続部11との間の相互の位置決めが正確に行われ、そして両接続端面1b、11bを突き合わせることで、第1の光コネクタ1の光ファイバ1cと光路変換素子15の光導波路14の第1接続部11側の端面との光接続が正しく行われる。
また、第2の光コネクタ2の嵌合ピン穴2aに嵌合させた嵌合ピン6を光路変換素子15の第2接続部12側の嵌合ピン穴12aに嵌合させることで、第2の光コネクタ2と光路変換素子15の第2接続部12との間の相互の位置決めが正確に行われ、そして両接続端面2b、12bを突き合わせることで、第2の光コネクタ2の光ファイバ5と光路変換素子15の光導波路14の第2接続部12側の端面との光接続が正しく行われる。
これにより、この光路変換素子15により、光路方向が互いに直角な2つの光コネクタ(光部品)1、2間の光路変換光接続が行われる。
なお、光路変換素子15の第1接続部11と第1の光コネクタ1との間、及び第2接続部12と第2の光コネクタ2との間のコネクタ接続方式は適宜の方式を採用できる。例えば、いわゆるMPO光コネクタ構造を採用することができる。すなわち、例えば第1の光コネクタ1側について説明すると、この第1の光コネクタ1が図示せぬハウジング内に収容された構造のいわゆるMPO光コネクタプラグである場合に、光路変換素子15の第1接続部11の部分を、図示せぬハウジング内に収容されたいわゆるMPO光コネクタプラグと同様な構造にし、それらをMPOアダプタに嵌合させて、第1の光コネクタ1と第1接続部11とのコネクタ接続を行うことができる。第2の光コネクタ2側についても同様である。また、光路方向は互いに直角でなくてもよい。これらのことは本発明の各実施例について共通である。
【0020】
上記の光路変換素子15によれば、ミラーやプリズム等の光学部品を用いる方式と比べて十分なコンパクト化を実現することができ、光機器内の省スペース化を実現できる。
また、屈曲部のある光ファイバ穴16aを持つブロック状の素子本体16を樹脂成形し、その光ファイバ穴16aに光ファイバ(光導波路)14を挿入し接着固定すればよいので、特許文献3のようにクラッド材の内部にレーザ光照射による屈折率変化としてコアを形成する方法と比較して、製造が極めて簡易である。また、素子本体16内の屈曲した光導波路として光ファイバを用いるので、特許文献4のように高分子フレキシブル光導波路を基体に形成する方式と比較して、一般的でありかつ簡易である。
また、両側(第1接続部11と第2接続部12)が嵌合ピン位置決め方式によるコネクタ接続可能な構造となっているので、極めて一般的なMTコネクタによる光配線系統に適用することができ、汎用性が高く、利用価値が高い。
【実施例2】
【0021】
図4、図5に第2実施例の光路変換素子25を示す。この光路変換素子25は、いずれも嵌合ピン位置決め方式の、第1の光部品1及び第3の光部品3とこれら2つの光部品1、3に対して光路方向の異なる第2の光部品2’間に介在して、第1及び第3の光部品1、3と第2の光部品2’間の光接続を行うための光路変換素子である。
この光路変換素子25は、中央部に第2接続部22としての凸部を持つ背の低い逆T字形断面のブロック状をなす樹脂製の素子本体26を有する。
この素子本体26は、第1の光部品1の嵌合ピン穴1aに対応する向きの嵌合ピン穴21aを持ちかつ該第1の光部品1の接続端面1bに突き合わせ接続される接続端面21bを持つ第1接続部21と、第3の光部品3の嵌合ピン穴3aに対応する向きの嵌合ピン穴23aを持ちかつ該第3の光部品3の接続端面3bに突き合わせ接続される接続端面23bを持つ第3接続部23と、第2の光部品2’の嵌合ピン穴2a’に対応する向きの嵌合ピン穴22aを持ちかつ該第2の光部品2’の接続端面2b’に突き合わせ接続される接続端面22bを持つ第2接続部22とを備え、かつ、前記第1接続部21の接続端面21b及び前記第3接続部23の接続端面23bからそれぞれ屈曲部24bを経て第2接続部22の接続端面22bに向かう曲げに強い光ファイバ(光導波路)24を備えている。両光ファイバ24の直線部を24a、24cで示す。光ファイバ24を挿入する光ファイバ穴を26aで示す。
この実施例における第2の光部品2'は、単に横1列の光ファイバを有する単なるMTコネクタでなく、光ファイバ列が2列となっている2次元配列の多心光コネクタである。
【0022】
この実施例の光路変換素子25は、第2の光部品2’が中継器に接続される場合に好適である。
【実施例3】
【0023】
図6〜図8に第3実施例の光路変換素子35を示す。この光路変換素子35は、素子本体36が、第1接続部31と第3接続部33とが第2接続部32から二股に分かれるようなY形縦断面形状をなしている構造である。
この素子本体36は、図示せぬ第1の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴31aを持ちかつ該第1の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面31bを持つ第1接続部31と、図示せぬ第3の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴33aを持ちかつ該第3の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面33bを持つ第3接続部33と、第2の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴32aを持ちかつ該第2の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面32bを持つ第2接続部32とを備え、かつ、前記第1接続部31の接続端面31b及び前記第3接続部33の接続端面33bからそれぞれ屈曲部34bを経て第2接続部32の接続端面32bに向かう曲げに強い光ファイバ(光導波路)34を備えている。両光ファイバ34の直線部を34a、34cで示す。光ファイバ34を挿入する光ファイバ穴を36aで示す。
【実施例4】
【0024】
図9に第4実施例の光路変換素子45を斜視図で示す。この光路変換素子45は、図1の光路変換素子15において素子本体16の第1接続部11と第2接続部12とを二分割して製作し、接合したものである。すなわち、この光路変換素子45の素子本体46は、第1接続部41と第2接続部42とが別体で製作され、両者41、42を例えば接着剤で接合した構造である。41a、42aは嵌合ピン穴、46aは光ファイバ穴、44は光ファイバ穴46aに挿入固定した曲げに強い光ファイバ(光導波路)である。
この場合、第1接続部41の部品は、屈曲部44bのない単なる直線状の光ファイバを持つ構造である。光ファイバ44の直線部を44a、44cで示す。分割したことで、製作が容易になる。
【実施例5】
【0025】
図10に第5実施例の光路変換素子55を斜視図で示す。この光路変換素子55は、図4の光路変換素子25において素子本体26の第1接続部21と第2接続部22と第3接続部23とを三分割して製作し、接合したものである。すなわち、この光路変換素子55の素子本体56は、第1接続部51と第2接続部52と第3接続部53とが別体で製作され、第2接続部52に第1接続部51及び第3接続部53を例えば接着剤で接合した構造である。51a、52a、53a(53aは図に表れない)は嵌合ピン穴、56aは光ファイバ穴、54は光ファイバ穴56aに挿入固定した曲げに強い光ファイバ(光導波路)である。
この場合、第1接続部51及び、第3接続部53の部品は、屈曲部54bのない単なる直線状の光ファイバを持つ構造である。光ファイバ54の直線部を54a、54cで示す。この場合も、分割したことで、製作が容易になる。
【実施例6】
【0026】
図11、図12に第6実施例の光路変換素子65を示す。この光路変換素子65は、図9の光路変換素子45において、第1接続部41と第2接続部42との突当り部の外側部分に凹所を形成し、素子本体46内の光ファイバ(光導波路)44の屈曲部44bを前記凹所において露出させた構造である。すなわち、この光路変換素子65は、第1接続部61と第2接続部62との突当り部の外側部分に凹所67を形成し、素子本体66内の光ファイバ(光導波路)64の屈曲部64bを前記凹所67において露出させた構造である。図示例では、第2接続部62側を切り欠いて凹所67を形成している。第1接続部61の嵌合ピン穴を61a、第2接続部62の嵌合ピン穴を62aで示す。
この凹所67により光ファイバが露出するから、光ファイバを屈曲させて挿入する際の容易性を向上させることができる。
【実施例7】
【0027】
図13に第7実施例の光路変換素子75を示す。この光路変換素子75は、図4、図5の実施例の光路変換素子25において、素子本体26に、第1接続部21の接続端面21bから第3接続部23の接続端面23bに向かう光ファイバ(光導波路)を追加形成した構成である。すなわち、この光路変換素子75は、素子本体26'に、第1接続部21’の接続端面21bから第3接続部23’の接続端面23bに直線状に向かう光ファイバ(光導波路)24’を追加形成した構成である。すなわち、この実施例における第1接続部21’及び第3接続部第23’は、光ファイバ配列が2次元配列である。
この光路変換素子75の第2接続部22は図4、図5のものと同じである。その他、図4、図5と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【0028】
この光路変換素子75の第1接続部21’が接続される第1の光コネクタ(光部品)1’、及び第3接続部23’が接続される第3の光コネクタ(光部品)3’の光ファイバ配列は二次元配列である。すなわち、第1の光コネクタ(光部品)1’は2列に配列された光ファイバ1c、1c’を有し、第3の光コネクタ(光部品)3’も2列に配列された光ファイバ3c、3c’を有する。
この光路変換素子75は、第1の光コネクタ1’から第3の光コネクタ3’に屈曲部なしに直接接続する光配線がある場合に好適である。
【実施例8】
【0029】
図14に第8実施例の光路変換素子85を示す。この光路変換素子85は、図6〜図8の実施例の光路変換素子35において、素子本体36のY字形断面形状をなす3つの接続部31、32、33を120°の等角度に形成し、第1接続部31から第3接続部33に向かう光ファイバ(光導波路)34’を追加した構成である。すなわち、この光路変換素子85は、素子本体36’のY字形断面形状をなす第1接続部31’、第2接続部32、第3接続部33’の3つの接続部を120°の等角度に形成し、第1接続部31’から第3接続部33’に向かう光ファイバ(光導波路)34’を追加形成した構成である。この実施例における第1接続部31’及び第3接続部第33’は、光ファイバ配列が2次元配列であり、これらにコネクタ接続される光コネクタは光ファイバ配列が2次元配列の光コネクタである。
この光路変換素子85の第2接続部32は図6〜図8のものと同じである。その他、図6〜図8と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略する。
【実施例9】
【0030】
上述の実施例は2つの接続部又は3つの接続部を持つ構成であるが、4つ以上の接続部を持つ構成とすることもできる。すなわち、図15に示した第9実施例の光路変換素子95のように、少なくとも一部の光部品どうしについて互いに光路方向の異なる、嵌合ピン位置決め方式の複数の光部品間に介在して各光部品間の光接続を行うための光路変換素子に本発明を適用することができる。
この実施例のこの光路変換素子95は、素子本体96が十字形ブロック状をなし、第1接続部91、第2接続部92、第3接続部93、第4接続部94の4つの接続部を持つ構成である。各接続部91、92、93、94は嵌合ピン穴91a、92a、93a、94aを持ち、第1接続部91の接続端面91bから第2接続部92の接続端面92bに向かう光ファイバ101及び第4接続部94の接続端面94bに向かう光ファイバ102を有し、第3接続部93の接続端面93bから第2接続部92の接続端面92bに向かう光ファイバ103及び第4接続部94の接続端面94bに向かう光ファイバ104を有する。各光ファイバ101、102、103、104の屈曲部をそれぞれ101b、102b、103b、104bで示す。
【実施例10】
【0031】
上述の実施例はいずれも光導波路が光ファイバの場合であるが、光ファイバに限らず、特許文献3の図8の方法と同様な方法、すなわち、素子本体として例えばハロゲン化ガラスを用い、レーザ光照射による屈折率変化としてコアを形成する方法で、クラッドである素子本体の内部に90°屈曲部を持つコアを形成して、光導波路とすることもできる。
また、特許文献2の図1のように、高分子フレキシブル光導波路を例えばアクリル樹脂製の、湾曲した凸面及び凹面をそれぞれ持つ2つの基体間に挟む込み、UV接着剤で固定する方法を採用してもよい。その他適宜方法を採用することができる。
また、実施例では各接続部の相手側光部品が光コネクタであるが、接続相手側の光部品は光コネクタに限らず、嵌合ピン位置決め方式の光ファイバアレイ、ピンスライド方式の光スイッチなど種々の光部品に対応させることができる。
また、光ファイバ孔に挿入する光ファイバは、石英系の場合は、樹脂コーティングされているものでもよいし、裸ファイバであってもよい。あるいは、必要な部分のみを樹脂コーティングさせたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施例の光路変換素子の斜視図である。
【図2】図1の光路変換素子で2つの光部品間の光路変換光接続を行う要領を説明する側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の第2実施例の光路変換素子の斜視図である。
【図5】図4の光路変換素子の側面図である。
【図6】本発明の第3実施例の光路変換素子の斜視図である。
【図7】図6の光路変換素子の側面図である。
【図8】図7の底面図である。
【図9】本発明の第4実施例の光路変換素子の斜視図である。
【図10】本発明の第5実施例の光路変換素子の斜視図である。
【図11】本発明の第6実施例の光路変換素子の斜視図である。。
【図12】図11の光路変換素子のB−B断面図である。
【図13】本発明の第7実施例の光路変換素子で3つの光部品間の光路変換光接続を行う要領を説明する側面図である。
【図14】本発明の第8実施例の光路変換素子の側面図である。
【図15】本発明の第9実施例の光路変換素子の側面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 第1の光部品
2、2’ 第2の光部品
3 第3の光部品
1a、2a、2a’、3a 嵌合ピン穴
1b、2b、2b’、3b 接続端面
1c、2c、2c’、3c 光ファイバ
11、21、21’、31、31’、41、51、61、91 第1接続部
12、22、32、42、52、62、92 第2接続部
23、23’、33、33’、53、93 第3接続部
94 第4接続部
11a、21a、31a、41a、51a、61a、91a (第1接続部の)嵌合ピン穴
11b、21b、31b、41b、51b、61b (第1接続部の)接続端面
11c、21c (第1接続部の)切り欠き
12a、22a、32a、42a、52a、62a、92a (第2接続部の)嵌合ピン穴
12b、22b、32b、42b、52b、62b (第2接続部の)接続端面
23a、33a、53a、93a (第3接続部の)嵌合ピン穴
23b、33b (第3接続部の)接続端面
23c (第3接続部の)切り欠き
94a (第4接続部の)嵌合ピン穴
14、24、24’、34、44、54、64 光ファイバ(光導波路)
14a、14c 直線部
14b、24b、34b、44b、54b、64b 屈曲部
101、102、103、104 光ファイバ(光導波路)
101b、102b、103b、104b 屈曲部
15、25、35、45、55、65、75、85、95 光路変換素子
16、26、26’、36、46、56、66、96 素子本体
16a (素子本体の)光ファイバ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに光路方向の異なる、嵌合ピン位置決め方式の第1及び第2の2つの光部品間に介在して両光部品間の光接続を行うための光路変換素子であって、
ブロック状の素子本体が、第1の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第1の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第1接続部と、第2の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第2の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第2接続部とを備え、かつ、前記第1接続部の接続端面から屈曲部を経て第2接続部の接続端面に向かう光導波路を備えていることを特徴とする光路変換素子。
【請求項2】
いずれも嵌合ピン位置決め方式の、第1及び第3の光部品とこれら2つの光部品に対して光路方向の異なる第2の光部品との間に介在して、第1及び第3の光部品と第2の光部品との間の光接続を行うための光路変換素子であって、
ブロック状の素子本体が、第1の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第1の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第1接続部と、第3の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第3の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第3接続部と、第2の光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ該第2の光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持つ第2接続部とを備え、かつ、前記第1接続部の接続端面及び前記第3接続部の接続端面からそれぞれ屈曲部を経て第2接続部の接続端面に向かう光導波路を備えていることを特徴とする光路変換素子。
【請求項3】
前記素子本体が、前記第1接続部と第3接続部とが第2接続部から二股に分かれるようなY形縦断面形状をなしていることを特徴とする請求項2記載の光路変換素子。
【請求項4】
前記素子本体は、第1接続部と第2接続部とが別体で製作され接合されたものであることを特徴とする請求項1記載の光路変換素子。
【請求項5】
前記素子本体は、第1接続部と第2接続部と第3接続部とが別体で製作され、第1接続部と第3接続部とを第2接続部に接合して構成されたものであることを特徴とする請求項2記載の光路変換素子。
【請求項6】
前記第1接続部と第2接続部との突当り部の外側部分に凹所が形成されており、素子本体内の光導波路の屈曲部が前記凹所において露出していることを特徴とする請求項1又は4記載の光路変換素子。
【請求項7】
前記光導波路の第1接続部側の向きと第2接続部側の向きとのなす屈曲角度が90°であることを特徴とする請求項1又は4又は6記載の光路変換素子。
【請求項8】
請求項2又は3の光路変換素子において、素子本体に、第1接続部の接続端面から第3接続部の接続端面に向かう光導波路を形成したことを特徴とする光路変換素子。
【請求項9】
少なくとも一部の光部品どうしについて互いに光路方向の異なる、嵌合ピン位置決め方式の複数の光部品間に介在して各光部品間の光接続を行うための光路変換素子であって、
ブロック状の素子本体が、前記の各光部品に対応する接続部を備え、前記各接続部は、各光部品の嵌合ピン穴に対応する向きの嵌合ピン穴を持ちかつ各光部品の接続端面に突き合わせ接続される接続端面を持ち、かつ、一つの接続部の接続端面から屈曲部を経て他の接続部の接続端面に向かう光導波路を備えていることを特徴とする光路変換素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−147859(P2007−147859A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340347(P2005−340347)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】