説明

内燃機関の排気制御装置

【課題】本発明は、排気浄化性能を向上させつつ、排気浄化触媒のコストを抑制することのできる内燃機関の排気制御装置を提供する。
【解決手段】吸入空気量に基づき、A/F変調制御を施す制御対象を決定する(S10-S18)。制御対象が前段三元触媒であれば、前段三元触媒温度に基づき、空燃比の波形パターンの変調振幅を決定する(S20)。そして、前段三元触媒の下流の酸素濃度を用いたA/F変調制御を行う(S22)。また、制御対象が後段三元触媒であれば、後段三元触媒温度に基づき、空燃比の波形パターンの変調振幅を決定する(S24)。そして、後段三元触媒の下流の酸素濃度を用いたA/F変調制御を行う(S26)。A/F変調制御条件が終了すれば、本ルーチンをリターンする(S28)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の排気制御装置に係り、特に、排気の浄化効率を高めるための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の内燃機関からの排気中には、一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)や窒素酸化物(NOx)等の化学物質が含まれている。このようなことから、内燃機関の排気通路には、三元触媒やNOx吸蔵触媒等の排気浄化触媒が配設されている。そして、排気浄化触媒で排気中のこれら化学物質を酸化或いは還元し、排気を浄化して大気中に放出するようにしている。
【0003】
三元触媒は、空燃比が理論空燃比(ストイキ)の近傍で化学物質を高い効率で浄化できることや、排気浄化触媒が高温であるときに排気浄化触媒が活性化し化学物質を高い浄化効率で浄化できることが知られている。
このことから、特許文献1のように内燃機関の空燃比を理論空燃比を挟みリッチ側とリーン側とに変調させ、三元触媒に流入する酸素濃度を三元触媒の酸素ストレージ容量の範囲で可及的に大きくして、三元触媒の昇温を促進させる技術が開発されている。また、特許文献2のように内燃機関始動後のフィードバック制御開始前に空燃比を強制的に変調させると共に、このときの空燃比の変調の振幅及び周期をフィードバック制御時に比べて排気の酸素(O)濃度及びCO濃度が共に高くなるように設定し、三元触媒上に十分な量のCOやOを供給して三元触媒の昇温を促進させる技術や、特許文献3のように、内燃機関始動後に空燃比の強制変調を実行すると共に、空燃比の中心空燃比を触媒温度の上昇に伴ってリーン空燃比側からリッチ空燃比側にシフトし、三元触媒上に適切な量のCOやOを供給して三元触媒の昇温を促進させる技術も開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−255972号公報
【特許文献2】特開2008−111351号公報
【特許文献3】特開2008−111352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように上記特許文献1、2或いは3の技術では、三元触媒の昇温を促進して、三元触媒での化学物質の浄化効率を高めるようにしている。
しかしながら、排気流量の増大等により、排気中の化学物質の更なる低減を行うには、三元触媒の容量の増大が必要となる。三元触媒には白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の高価な貴金属が使用されており、三元触媒の容量の増加は、コストの増大につながり好ましいことではない。
【0006】
本発明は、この様な問題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、排気浄化性能を向上させつつ、排気浄化触媒のコストを抑制することのできる内燃機関の排気制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、請求項1の内燃機関の排気制御装置では、内燃機関の排気通路に設けられた前段排気浄化触媒と、前記前段排気浄化触媒の下流に設けられた後段排気浄化触媒と、前記前段排気浄化触媒の温度を検出する第1の温度検出手段と、後段排気浄化触媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、前記内燃機関に吸入される吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、前記第1の温度検出手段、第2の温度検出手段及び前記吸入空気量検出手段に基づき、前記内燃機関の排気の空燃比をリーン空燃比とリッチ空燃比との間で強制的に変調させる空燃比変調制御手段と、を備え、前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が所定空気量以下である場合に、前記前段排気浄化触媒温度に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との変調振幅を設定し、前記吸入空気量が前記所定空気量よりも多い場合に、前記後段排気浄化触媒温度に基づき、前記変調振幅を設定することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2の内燃機関の排気制御装置では、請求項1において、前記空燃比変調制御手段は、予め触媒温度と前記変調振幅とのマップを有し、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度と前記マップとに基づき、前記変調振幅を設定することを特徴とする。
また、請求項3の内燃機関の排気浄化装置では、請求項1或いは2において、前記空燃比変調制御手段は、予め触媒温度を触媒活性前温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高い触媒暖機後温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高く前記触媒暖機後温度領域よりも低い触媒活性促進温度領域とに分割された領域設定手段を有し、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度と前記領域設定手段とに基づき、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性前温度領域内である場合に前記変調振幅を小さく設定し、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒暖機後温度領域内である場合に前記変調振幅を前記触媒活性前温度領域の変調振幅よりも大きく設定し、更に前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性促進温度領域である場合に前記変調振幅を前記触媒暖機後温度領域の変調振幅よりも大きく設定することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4の内燃機関の排気制御装置では、請求項1乃至3のいずれか1項において、前記前段排気浄化触媒と前記後段排気浄化触媒との間に設けられ、排気の酸素濃度を検出する第1の酸素濃度検出手段と、前記後段排気浄化触媒の下流に設けられ、排気の酸素濃度を検出する第2の酸素濃度検出手段と、を備え、前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の酸素濃度検出手段の検出結果に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との空燃比の平均値を設定し、前記吸入空気量が前記所定空気量よりも多いときには、前記第2の酸素濃度検出手段の検出結果に基づき、前記空燃比の平均値を設定することを特徴とする。
【0010】
また、請求項5の内燃機関の排気制御装置では、請求項1乃至4のいずれか1項において、前記空燃比変調制御手段は、前記リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リーン空燃比である期間をリッチ空燃比である期間よりも長くすることを特徴とする。
また、請求項6の内燃機関の排気制御装置では、請求項1乃至5のいずれか1項において、前記空燃比変調制御手段は、前記リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リッチ空燃比での当量比と量論比との差の絶対値であるリッチ化度合いがリーン空燃比での当量比と前記量論比との差の絶対値であるリーン化度合いより大きいことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7の内燃機関の排気制御装置では、請求項1乃至6のいずれか1項において、前記前段排気浄化触媒の状態を検出する第1の触媒状態検出手段と、前記後段排気浄化触媒の状態を検出する第2の触媒状態検出手段と、を備え、前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の触媒状態検出手段の検出結果に基づいて、前記前段排気浄化触媒の状態がリーン雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記前段排気浄化触媒の状態がリッチ雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させるとともに、前記吸入空気量が前記所定空気量より多いときには、前記第2の触媒状態検出手段の検出結果に基づいて、前記後段排気浄化触媒の状態がリーン雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記後段排気浄化触媒の状態がリッチ雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8の内燃機関の排気制御装置では、請求項1乃至6のいずれか1項において、前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の酸素濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記前段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーンである場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記空燃比がリッチである場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させるとともに、前記吸入空気量が前記所定空気量より多いときには、前記第2の酸素濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記後段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーンである場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記空燃比がリッチである場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、吸入空気量が所定空気量以下である場合に、前段排気浄化触媒温度に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との変調振幅を設定し、吸入空気量が所定空気量よりも多い場合に、後段排気浄化触媒温度に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との変調振幅を設定している。
このように、吸入空気量によって、前段排気浄化触媒温度と後段排気浄化触媒温度とを使い分け、リーン空燃比とリッチ空燃比との変調の振幅を設定しているので、例えば、吸入空気量が少なく、故に排気流量が少なくなり、前段排気浄化触媒のみで排気中の化学成分を浄化可能な場合には、前段排気浄化触媒温度によって変調の振幅を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。また、吸入空気量が多く、故に排気流量が多くなり、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とで排気中の化学成分を浄化する必要がある場合には、後段排気浄化触媒温度によって変調の振幅を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。
【0014】
従って、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とを効率的に使用し排気中の化学物質を浄化することができ、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑え排気浄化触媒のコストを抑制することができる。
また、請求項2の発明によれば、触媒温度と変調振幅とのマップを有し、前段排気浄化触媒温度或いは後段排気浄化触媒温度とマップとに基づき、変調振幅を設定するようにしている。
【0015】
このように、マップに基づき変調振幅を設定しており、触媒が活性前の温度であれば、CO及びHCの触媒のスリップを抑制し、触媒の昇温を促進する必要がある温度であれば、触媒の昇温を促進することができる。また、触媒の暖機が完了後の温度であれば、触媒の温度を適切な温度に維持しつつ、燃料噴射量を低減することができる。
従って、触媒活性前には触媒をスリップしてCO及びHCが排出されることを抑制し、触媒の昇温が必要な場合には、触媒の昇温を促進し、更に触媒の昇温が完了すると触媒の温度を維持することができるので、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とを効率的に使用し排気中の化学物質を浄化することができ、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑え、排気浄化触媒のコストを抑制することができる。また、触媒の暖機完了後の温度領域では、不要な燃料噴射を抑制しているので燃費を向上することができる。また、吸入空気量が所定空気量以下である場合と、吸入空気量が前記所定空気量よりも多い場合との夫々において、触媒温度に基づいて変調振幅を容易に設定することができる。
【0016】
また、請求項3の発明によれば、前段排気浄化触媒温度或いは後段排気浄化触媒温度が触媒活性前温度領域であれば変調振幅を小さく設定し、前段排気浄化触媒温度或いは後段排気浄化触媒温度が触媒暖機後温度領域であれば変調振幅を触媒活性前温度領域の変調振幅よりも大きく設定し、更に前段排気浄化触媒温度或いは後段排気浄化触媒温度が触媒活性促進温度領域であれば変調振幅を触媒暖機後温度領域の変調振幅よりも大きく設定するようにしており、触媒の温度領域毎に変調振幅を設定するようにしているので制御を簡便にすることができる。
【0017】
また、請求項4の発明によれば、吸入空気量により、前段排気浄化触媒の下流の第1の酸素濃度検出手段或いは第2の酸素濃度検出手段のいずれかの検出結果に基づいて、空燃比の平均値を設定するようにしている。
このように、吸入空気量により、前段排気浄化触媒下流の酸素濃度と後段排気浄化触媒下流の酸素濃度とを使い分け、リーン空燃比とリッチ空燃比との空燃比の平均値を設定しているので、例えば、吸入空気量が少なく、そして排気流量が少なく前段排気浄化触媒のみで排気中の化学成分を浄化可能な場合には、前段排気浄化触媒下流の酸素濃度によって空燃比の平均値を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。また、吸入空気量が多く、そして排気流量が多く、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とで排気中の化学成分を浄化する必要がある場合には、後段排気浄化触媒下流の酸素濃度によって空燃比の平均値を変えることで、触媒の昇温の促進や触媒で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。
【0018】
従って、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とを更に効率的に使用し排気中の化学物質を浄化することができ、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑えて、コストを抑制することができる。
また、請求項5の発明によれば、リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リーン空燃比である期間をリッチ空燃比である期間よりも長くするようにしているので、触媒でのHC及びNOxの浄化効率を高くすることができる。よって、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑えてコストを抑制することができる。
【0019】
また、請求項6の発明によれば、リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リッチ化度合いをリーン化度合いより大きくするので、触媒に排気中のCO及びHCをより多く吸着させて、リーン空燃比時にNOx浄化効率を高くすることができる。これにより、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑えてコストを抑制することができる。
【0020】
また、請求項7の発明によれば、前段排気浄化触媒或いは後段排気浄化触媒の状態がリーン雰囲気直後には平均値をリッチ側にシフトし、前段排気浄化触媒の状態がリッチ雰囲気直後には平均値をリーン側にシフトし、シフト後に空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰するようにしており、例えば、アクセルOFF等で燃料カットがされると空燃比が過剰なリーン状態となり前段排気浄化触媒でOが過剰となりリーン雰囲気後にはNOxの浄化効率が低下する。また、登坂路等での急激なアクセルONでの内燃機関の高負荷運転時には、空燃比が過剰なリッチ状態となりCO或いはHCで前段排気浄化触媒の表面が覆われHCの浄化効率が低下する。
【0021】
従って、空燃比の平均値をリーン雰囲気直後にはリッチ側に、リッチ雰囲気直後にはリーン側にシフトすることで、NOx或いはHCの浄化効率を高くすることができるので、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑えて、コストを抑制することができる。
また、請求項8の発明によれば、前段排気浄化触媒或いは後段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーン直後には空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、空燃比がリッチ直後には空燃比の平均値をリーン側にシフトし、シフト後に空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰するようにしており、請求項3と同様に、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑えて、コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る内燃機関の排気制御装置が適用されたエンジンの概略構成図である。
【図2】ECUが実行するA/F変調制御のフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係る空燃比の波形パターンを時系列で示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る触媒温度における変調振幅を示すマップである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1は、内燃機関の排気制御装置が適用された吸気ポート燃料噴射エンジン(以下、エンジン1という)(内燃機関)の概略構成図である。
図1に示すように、エンジン1は、吸気マニホールド21に配設された燃料噴射弁22から吸気バルブ14に向け吸気ポート12内へ燃料を噴射する4サイクル直列4気筒型ガソリンエンジンである。図1にはエンジン1の1つの気筒についての縦断面が示されている。なお、他の気筒についても同様の構成をしているものとして図示及び説明を省略する。
【0024】
図1に示すように、エンジン1は、シリンダブロック2にシリンダヘッド3が載置されて構成されている。
シリンダブロック2には、エンジン1を冷却する冷却水の温度を検出する水温センサ4が設けられている。また、シリンダブロック2に形成されているシリンダ5内には上下摺動可能にピストン6が設けられている。当該ピストン6はコンロッド7を介してクランクシャフト8に連結されている。また、シリンダブロック2には、当該エンジン1の回転速度及びクランクシャフト8の位相を検出するクランク角センサ9が設けられている。また、シリンダヘッド3とシリンダ5とピストン6で燃焼室10が形成されている。
【0025】
シリンダヘッド3には、燃焼室10に臨むようにして点火プラグ11が設けられている。また、シリンダヘッド3には、燃焼室10からシリンダヘッド3の一側面に向かって吸気ポート12が形成されており、燃焼室10からシリンダヘッド3の他側面に向かって排気ポート13が形成されている。そして、シリンダヘッド3には、燃焼室10と吸気ポート12との連通及び遮断を行う吸気バルブ14と、燃焼室10と排気ポート13との連通及び遮断を行う排気バルブ15がそれぞれ設けられている。また、シリンダヘッド3上部には吸気バルブ14及び排気バルブ15を駆動するカム16、17を有したカムシャフト18、19がそれぞれ設けられている。そして、シリンダヘッド3の上部には、カムシャフト18の位相を検出するカム角センサ20が設けられている。また、シリンダヘッド3の一側面には吸気ポート12と連通するように吸気マニホールド21が接続されている。
【0026】
吸気マニホールド21には、吸気ポート12内に向けて燃料を噴射する燃料噴射弁22が設けられている。また、吸気マニホールド21の吸気上流端には、吸気管23、吸入した空気を一時的に貯留するサージタンク24、吸入空気流量を調節する電子制御スロットルバルブ25が設けられている。そして、サージタンク24には、図示しない吸気圧センサが配設されている。また、電子制御スロットルバルブ25には、スロットルバルブの開き度合を検出するスロットルポジションセンサ26が備えられている。
【0027】
電子制御スロットルバルブ25の上流側の吸気管23には、吸入空気流量を検出するエアフローセンサ(吸入空気量検出手段)27が設けられているとともに、吸気管23の吸気上流端には吸入した空気中のゴミ等を除去するエアクリーナ28が設けられている。
一方、シリンダヘッド3の吸気マニホールド21が接続された側面とは反対側の側面には、排気ポート13と連通するように排気マニホールド29が接続されている。排気マニホールド29の排気下流端には、排気管(排気通路)30が連通するように接続されている。また、排気管30の排気下流には、排気中のCO、HC及びNOxを浄化する機能を有する前段三元触媒(前段排気浄化触媒)31が備えられている。そして、前段三元触媒31には、前段三元触媒31の温度を検出するフロント温度センサ(第1の温度検出手段)32が配設されている。また、排気管30の前段三元触媒31の下流には、前段三元触媒31を通過した排気中の酸素濃度を検出するフロントOセンサ(第1の酸素濃度検出手段)33が配設されている。更に、フロントOセンサ33の排気下流の排気管30には、排気中のCO、HC及びNOxを浄化する機能を有する後段三元触媒(後段排気浄化触媒)34が備えられている。そして、後段三元触媒34には、後段三元触媒34の温度を検出するリヤ温度センサ(第2の温度検出手段)35が配設されている。また、排気管30の後段三元触媒34の下流には、後段三元触媒34を通過した排気中の酸素濃度を検出するリヤOセンサ(第2の酸素濃度検出手段)36が配設されている。
【0028】
前段三元触媒31及び後段三元触媒34は、セラミックやステンレス等でハニカム状に排気が通過する通路が形成される担体と、当該担体に触媒層が内層と表層との2層で構成され担持されている。内層には、パラジウム(Pd)や三元機能を高めるセリア(CeO)等が添加されている。また、表層には、ロジウム(Rh)等が添加されている。
そして、エンジン1の運転制御をはじめとして総合的な制御を行うための制御装置であり、入出力装置、記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)等を含んで構成される電子コントロールユニット(空燃比変調制御手段)(ECU)40を備えている。
【0029】
水温センサ4、クランク角センサ9、カム角センサ20、吸気圧センサ、スロットルポジションセンサ26、エアフローセンサ27、フロント温度センサ32、フロントOセンサ33、リヤ温度センサ35、リヤOセンサ36及び車両の車速を検出する図示しない車速センサ等の各種センサ類は、車両に搭載されているECU40の入力側に電気的に接続されており、これらセンサ類からの検出情報がECU40に入力される。
【0030】
一方、ECU40の出力側には、上記点火プラグ11、燃料噴射弁22、電子制御スロットルバルブ25等の各種装置が電気的に接続されており、これら各種装置には各種センサ類からの検出情報に基づき演算された点火時期、燃料噴射量、燃料噴射時期、スロットル開度等がそれぞれ出力される。
次にECU40での空燃比制御について説明する。
【0031】
図2は、ECU40が実行するA/F変調制御(空燃比変調制御)のフローチャートである。また、図3は、空燃比の波形パターンを時系列で示す図であり、図中一点鎖線は、空燃比変調平均値AFaveを、破線は理論空燃比AFstをそれぞれ示している。また、図4は、触媒温度における変調振幅を示すマップであり、(a)は触媒活性前領域を、(b)は触媒活性促進領域を、(c)は触媒暖機後領域をそれぞれ示している。
【0032】
図2に示すように、ステップS10では、水温センサ4の検出信号よりエンジン1の冷却水温度を検出する。そして、ステップS12に進む。
ステップS12では、フロントOセンサ33及びリヤOセンサ36の出力信号に基づき、当該Oセンサ33,36の活性条件を検出する。そして、ステップS14に進む。
【0033】
ステップS14では、フロント温度センサ32とリヤ温度センサ35との検出信号より、前段三元触媒31と後段三元触媒34との温度である前段三元触媒温度と後段三元触媒温度とを検出する。そして、ステップ16に進む。
ステップS16では、エアフローセンサ27の検出信号より、吸入空気量を検出する。そして、ステップS18に進む。
【0034】
ステップS18では、前段三元触媒31が制御対象か、否かを判別する。詳しくは、ステップS16で検出した吸入空気量が所定空気量以下であるか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)で吸入空気量が所定空気量以下であれば、前段三元触媒31制御対象とし、ステップS20に進み、判別結果が否(No)で吸入空気量が所定空気量より多ければ、後段三元触媒34を対象とし、ステップS24に進む。
【0035】
ステップS20では、前段三元触媒31のA/F変調制御の制御パラメータを決定する。詳しくは、図3に示すように、A/F変調制御の1サイクルにおいてリーン空燃比AFleanよりもリッチ空燃比AFrichの期間が短くなるように設定する。また、リッチ空燃比AFrichでの空気過剰率λrich、即ちリッチ空燃比AFrichの当量比から量論比(=1)を減算し絶対値として算出されるリッチ度合が、リーン空燃比AFleanでの空気過剰率λlean、即ちリーン空燃比AFleanの当量比から理論空燃比AFstでの空気過剰率λst、即ち量論比(=1)を減算し絶対値として算出されるリーン度合いよりも大きくなるように設定する。更にステップS14で検出された前段三元触媒温度と図4に示す予め設定されたマップに基づき、空燃比の波形パターンの変調振幅を決定する。そして、ステップS22に進む。
【0036】
ステップS22では、前段三元触媒31の下流のフロントOセンサ33を用いたA/F変調制御を行う。詳しくは、フロントOセンサ33の検出結果、即ち前段三元触媒31の下流の酸素濃度に基づき、図3に示す変調平均空燃比AFaveをリーン側或いはリッチ側にシフトする。例えば、アクセルOFF等で燃料カットがされ、前段三元触媒31の下流の空燃比がリーン状態となれば、変調平均空燃比AFaveをリッチ側にシフトし、前段三元触媒31の下流の空燃比がリッチ状態となれば、変調平均空燃比AFaveをリーン側にシフトし、シフト後に変調平均空燃比AFaveをシフト前の変調平均空燃比AFaveに復帰させる。そして、ステップS28に進む。
【0037】
ステップS24では、後段三元触媒34のA/F変調制御の制御パラメータを決定する。詳しくは、ステップS20と同様に、A/F変調制御の1サイクルにおいてリーン空燃比AFleanよりもリッチ空燃比AFrichの期間が短くなるように設定する。また、リッチ度合がリーン度合いよりも大きくなるよう設定する。更にステップS14で検出された後段三元触媒温度と図4に示す予め設定されたマップに基づき、空燃比の波形パターンの変調振幅を決定する。そして、ステップS26に進む。
【0038】
ステップS26では、後段三元触媒34の下流のリヤOセンサ36を用いたA/F変調制御を行う。詳しくは、リヤOセンサ36の検出結果、即ち後段三元触媒34の下流の酸素濃度に基づき、図3に示す変調平均空燃比AFaveをリーン側或いはリッチ側にシフトする。例えば、アクセルOFF等で燃料カットがされ、後段三元触媒34の下流の空燃比がリーン状態となれば、変調平均空燃比AFaveをリッチ側にシフトし、後段三元触媒34の下流の空燃比がリッチ状態となれば、変調平均空燃比AFaveをリーン側にシフトし、シフト後に変調平均空燃比AFaveをシフト前の変調平均空燃比AFaveに復帰させる。そして、ステップS28に進む。
【0039】
ステップS28では、A/F変調制御条件が終了したか、否かを判別する。判別結果が真(Yes)でA/F変調制御条件が終了していれば、本ルーチンをリターンし、判別結果が否(No)でA/F変調制御条件が終了していなければ、ステップS10へ戻る。
このように本発明の内燃機関の排気制御装置では、A/F変調制御は、吸入空気量が所定空気量以下である場合には前段三元触媒31を制御対象とし前段三元触媒温度に基づいてA/F変調制御の変調振幅を設定し、吸入空気量が所定空気量より多い場合には後段三元触媒34を制御対象とし後段三元触媒温度に基づいてA/F変調制御の変調振幅を設定している。
【0040】
従って、吸入空気量によって、制御対象を前段三元触媒31と後段三元触媒34とを切り換え、前段三元触媒温度或いは後段三元触媒温度に基づいて変調振幅を設定しているので、例えば、吸入空気量が少なく、そして排気流量が少なく前段三元触媒31のみで排気中の化学成分を浄化可能な場合には、前段三元触媒31の温度によって変調振幅を制御することで、前段三元触媒31の昇温の促進や前段三元触媒31で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。また、吸入空気量が多く、そして排気流量が多く、前段三元触媒31と後段三元触媒34とで排気中の化学成分を浄化する必要がある場合には、後段三元触媒34の温度によって変調振幅を制御することで、後段三元触媒34の昇温の促進や後段三元触媒34で浄化されずに排出されるCO及びHCを抑制することができる。
【0041】
このことより、前段三元触媒31と後段三元触媒34とを効率的に使用し排気中の化学物質を浄化することができ、前段三元触媒31と後段三元触媒34とに用いる貴金属の使用量を抑えて、これらの三元触媒31、34のコストを抑制することができる。
また、変調振幅をマップと前段三元触媒温度或いは後段三元触媒温度とに基づいて決定しているので、触媒活性前には触媒をスリップしてCO及びHCが排出されることを抑制し、触媒の昇温が必要な場合には、触媒の昇温を促進し、更に触媒の昇温が完了すると触媒の温度を維持することができるので、前段排気浄化触媒と後段排気浄化触媒とを効率的に使用し排気中の化学物質を浄化することができる。また、触媒の暖機完了後の温度領域では、不要な燃料噴射を抑制しているので燃費を向上することができる。
【0042】
また、A/F変調制御の1サイクルにおいてリーン空燃比AFleanである期間をリッチ空燃比AFrichである期間よりも長くなるように空燃比の波形パターンを決定するようにしているのでNOxの浄化効率を高くすることができる。
また、A/F変調制御の1サイクルにおいてリッチ度合がリーン度合いよりも大きくなるように、A/F変調制御の空燃比の波形パターンを決定するようにしているので、内層のパラジウムに排気中のCO及びHCをより多く吸着させることができ、リーン空燃比時にNOx浄化効率を高くすることができる。
【0043】
また、吸入空気量によって、前段三元触媒31の下流のフロントOセンサ33の検出結果或いは後段三元触媒34の下流のリヤOセンサ36の検出結果に基づき、酸素濃度がリーン空燃比であれば変調平均空燃比AFaveをリッチ側にシフトし、リッチ空燃比であれば、変調平均空燃比AFaveをリーン側にシフトし、シフト後に変調平均空燃比AFaveをシフト前の変調平均空燃比AFaveに復帰するようにしており、例えば、アクセルOFF等で燃料カットがされると空燃比が過剰なリーン状態となり前段三元触媒31でOが過剰となりリーン空燃比後にはNOxの浄化効率が低下する。また、登坂路等での急激なアクセルONでのエンジン1の高負荷運転時には、空燃比が過剰なリッチ状態となりCO或いはHCで前段三元触媒31の表面が覆われHCの浄化効率が低下する。
【0044】
従って、変調平均空燃比AFaveをリーン空燃比直後にはリッチ側に、リッチ空燃比直後にはリーン側にシフトすることで、NOx或いはHCの浄化効率を高くすることができるので、排気浄化触媒に用いる貴金属の使用量を抑え、コストを抑制することができる。
以上で本発明の実施形態の説明を終えるが、本発明の実施形態は上記実施形態に限定されるものではない。
【0045】
上記実施形態では、Oセンサ33により前段三元触媒31の下流の酸素濃度を検出して、排気の空燃比によって、変調平均空燃比AFaveを変化させるようにしているが、これに限定されるものではなく、触媒状態検出手段(例えば、リニアA/Fセンサ)によって前段三元触媒31の状態を検出して、検出結果に基づいて変調平均空燃比AFaveを変化させるようにしても良い。
【0046】
また、上記実施形態では、変調波形を矩形波としているが、これに限定されるものではなく、三角波形であっても、鋸波形であっても良く、同様の効果を得ることができる。
また、マップと前段三元触媒温度或いは後段三元触媒温度とに基づいて変調振幅を決定するようにしているが、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示すように、触媒温度により触媒の状態を示す領域を設定(ここでは、触媒活性前領域、触媒活性促進領域、触媒暖機後領域)し、領域に応じて、触媒活性前領域内であれば変調振幅を小さく設定し、触媒暖機後領域内であれば変調振幅を触媒活性前領域の変調振幅よりも大きく設定し、更に触媒活性促進領域である場合に変調振幅を触媒暖機後領域の変調振幅よりも大きく、それぞれの領域で一律的に変調振幅を決定しても良い。
【符号の説明】
【0047】
1 エンジン(内燃機関)
27 エアフローセンサ(吸入空気量検出手段)
30 排気管(排気通路)
31 前段三元触媒(前段排気浄化触媒)
32 フロント温度センサ(第1の温度検出手段)
33 フロントOセンサ(第1の酸素濃度検出手段)
34 後段三元触媒(後段排気浄化触媒)
35 リヤ温度センサ(第2の温度検出手段)
36 リヤOセンサ(第2の酸素濃度検出手段)
40 ECU(空燃比変調制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気通路に設けられた前段排気浄化触媒と、
前記前段排気浄化触媒の下流に設けられた後段排気浄化触媒と、
前記前段排気浄化触媒の温度を検出する第1の温度検出手段と、
後段排気浄化触媒の温度を検出する第2の温度検出手段と、
前記内燃機関に吸入される吸入空気量を検出する吸入空気量検出手段と、
前記第1の温度検出手段、第2の温度検出手段及び前記吸入空気量検出手段に基づき、前記内燃機関の排気の空燃比をリーン空燃比とリッチ空燃比との間で強制的に変調させる空燃比変調制御手段と、を備え、
前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が所定空気量以下である場合に、前記前段排気浄化触媒温度に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との変調振幅を設定し、前記吸入空気量が前記所定空気量よりも多い場合に、前記後段排気浄化触媒温度に基づき、前記変調振幅を設定することを特徴とする内燃機関の排気制御装置。
【請求項2】
前記空燃比変調制御手段は、予め触媒温度と前記変調振幅とのマップを有し、
前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度と前記マップとに基づき、前記変調振幅を設定することを特徴とする、請求項1に記載の内燃機関の排気制御装置。
【請求項3】
前記空燃比変調制御手段は、予め触媒温度を触媒活性前温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高い触媒暖機後温度領域と、前記触媒活性前温度領域よりも高く前記触媒暖機後温度領域よりも低い触媒活性促進温度領域とに分割された領域設定手段を有し、
前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度と前記領域設定手段とに基づき、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性前温度領域内である場合に前記変調振幅を小さく設定し、前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒暖機後温度領域内である場合に前記変調振幅を前記触媒活性前温度領域の変調振幅よりも大きく設定し、更に前記前段排気浄化触媒温度或いは前記後段排気浄化触媒温度が前記領域設定手段の前記触媒活性促進温度領域である場合に前記変調振幅を前記触媒暖機後温度領域の変調振幅よりも大きく設定することを特徴とする、請求項1或いは2に記載の内燃機関の排気制御装置。
【請求項4】
前記前段排気浄化触媒と前記後段排気浄化触媒との間に設けられ、排気の酸素濃度を検出する第1の酸素濃度検出手段と、
前記後段排気浄化触媒の下流に設けられ、排気の酸素濃度を検出する第2の酸素濃度検出手段と、を備え、
前記空燃比変調制御手段は、
前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の酸素濃度検出手段の検出結果に基づき、リーン空燃比とリッチ空燃比との空燃比の平均値を設定し、
前記吸入空気量が前記所定空気量よりも多いときには、前記第2の酸素濃度検出手段の検出結果に基づき、前記空燃比の平均値を設定することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。
【請求項5】
前記空燃比変調制御手段は、前記リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リーン空燃比である期間をリッチ空燃比である期間よりも長くすることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。
【請求項6】
前記空燃比変調制御手段は、前記リーン空燃比とリッチ空燃比との間での変調の1サイクルにおいて、リッチ空燃比での当量比と量論比との差の絶対値であるリッチ化度合いがリーン空燃比での当量比と前記量論比との差の絶対値であるリーン化度合いより大きいことを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。
【請求項7】
前記前段排気浄化触媒の状態を検出する第1の触媒状態検出手段と、
前記後段排気浄化触媒の状態を検出する第2の触媒状態検出手段と、を備え、
前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の触媒状態検出手段の検出結果に基づいて、前記前段排気浄化触媒の状態がリーン雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記前段排気浄化触媒の状態がリッチ雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させるとともに、
前記吸入空気量が前記所定空気量より多いときには、前記第2の触媒状態検出手段の検出結果に基づいて、前記後段排気浄化触媒の状態がリーン雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記後段排気浄化触媒の状態がリッチ雰囲気である場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。
【請求項8】
前記空燃比変調制御手段は、前記吸入空気量が前記所定空気量以下であるときには、前記第1の酸素濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記前段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーンである場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記空燃比がリッチである場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させるとともに、
前記吸入空気量が前記所定空気量より多いときには、前記第2の酸素濃度検出手段の検出結果に基づいて、前記後段排気浄化触媒の下流の空燃比がリーンである場合に前記空燃比の平均値をリッチ側にシフトし、前記空燃比がリッチである場合に前記空燃比の平均値をリーン側にシフトして、当該シフト後に前記空燃比の平均値をシフト前の空燃比の平均値に復帰させることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の内燃機関の排気制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−241528(P2012−241528A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109169(P2011−109169)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】