冷却装置
【課題】発熱量の異なる発熱素子が複数実装されても、各発熱素子間の温度が均一化され、冷却されにくい発熱素子の発生を防止できる冷却装置を提供することを目的とする。
【解決手段】発熱素子に熱的に接続できる受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続された複数の第1熱伝導部材と、前記複数の第1熱伝導部材に熱的に接続された放熱フィンとを備え、前記受熱ブロックの表面に対して平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記複数の第1熱伝導部材が第2熱伝導部材と熱的に接続され、該第2熱伝導部材を介して前記複数の第1熱伝導部材が相互に熱的に接続されていることを特徴とする冷却装置。
【解決手段】発熱素子に熱的に接続できる受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続された複数の第1熱伝導部材と、前記複数の第1熱伝導部材に熱的に接続された放熱フィンとを備え、前記受熱ブロックの表面に対して平行な方向に冷却風の流れが設定された冷却装置であって、前記複数の第1熱伝導部材が第2熱伝導部材と熱的に接続され、該第2熱伝導部材を介して前記複数の第1熱伝導部材が相互に熱的に接続されていることを特徴とする冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子を強制空冷で冷却する冷却装置に関し、より具体的には、鉄道車両、航空機、船舶等の移動体に搭載された電力変換装置等の電気部品を、強制空冷で冷却する冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却装置として、図14、15に示す電気部品の冷却装置41(以下、従来例1ということがある)がある。この従来例1は、平板状の受熱ブロック42と、受熱ブロック42の表面に複数立設された側面視U字状のヒートパイプ43と、ヒートパイプ43へ受熱ブロック42表面に対して平行な方向に取り付けられた複数(図14では11枚)の放熱フィン47を有する放熱フィン群48とからなる。各放熱フィン47間の放熱フィンピッチは、いずれの部分も均一となるように形成されている(特許文献1)。従来例1では、側面視U字状のヒートパイプ43によって冷却風の圧力が損失してしまうのを抑えるために、側面視U字状のヒートパイプ43の側面が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、ヒートパイプ43が配置されている。
【0003】
しかし、従来の冷却装置では、複数の発熱量の異なる発熱素子を実装すると、発熱量の大きい発熱素子の温度が高くなってしまうという問題がある。例えば、図16に示すように、従来例1の受熱ブロック42に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000Wの発熱素子400−1、200Wの発熱素子400−2、2000Wの発熱素子400−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合、最も風上側に実装された発熱素子と最も風下側に実装された発熱素子との間の温度差については4℃にとどまる。その一方で、2000Wの発熱素子400−3と、この2000Wの発熱素子400−3の隣に実装された200Wの発熱素子400−2との間には、25℃の温度差が生じてしまう。従って、従来例1では、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に配列された発熱素子間で温度差が大きくなってしまうという問題があり、特に、発熱量の大きい2000Wの発熱素子400−3の温度が高くなってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に配列された発熱素子間の温度差を抑えるために、図17、18に示すように、側面視U字状のヒートパイプ43′の側面が冷却風の流れ方向に対して直交方向となるように、受熱ブロック42′にヒートパイプ43′を配置し、放熱フィン47を取り付けた冷却装置41′(以下、従来例2ということがある)も考えられる。
【0005】
図19に示すように、この態様では、2000Wの発熱素子400−3とこの2000Wの発熱素子400−3の隣に実装された200Wの発熱素子400−2との間の温度差は15℃と若干低減される。従来例2では、冷却風の抵抗となるヒートパイプ43′の本数は上記従来例1より減るので冷却風の圧力損失は減少するが、冷却風の流れ方向に対してはヒートパイプ43′による熱輸送がないため、最も風上側に実装された発熱素子と最も風下側に実装された発熱素子との間の温度差は10.5℃に広がってしまう。
【0006】
従って、従来の冷却装置に発熱量の異なる発熱素子が複数実装されていると、発熱素子間の温度が不均一になり、冷却されにくく温度の低下が抑えられてしまう発熱素子が発生してしまうという問題がある。
【0007】
冷却されにくい発熱素子の位置に対応した受熱ブロック42の部位について、冷却装置41の冷却能力を高めるためには、当該部位については放熱フィン47の設置枚数を増加させる必要がある。しかし、当該部位の放熱フィン47の枚数を増やすと冷却装置41の寸法が大きくなり、重量も増してしまうという問題、さらには、設計の自由度が失われ、製造コストもかかってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−119785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、発熱量の異なる発熱素子が複数実装されても、各発熱素子間の温度が均一化され、冷却されにくい発熱素子の発生を防止できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は、発熱素子に熱的に接続できる受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続された複数の第1熱伝導部材と、前記複数の第1熱伝導部材に熱的に接続された放熱フィンとを備え、前記受熱ブロックの表面に対して平行方向に冷却風の流れが設定される冷却装置であって、前記複数の第1熱伝導部材が第2熱伝導部材と熱的に接続され、該第2熱伝導部材を介して前記複数の第1熱伝導部材が相互に熱的に接続されていることを特徴とする冷却装置である。
【0011】
「熱伝導部材」とは、熱伝導性に優れた部材であり、例えば、ヒートパイプや、25℃の熱伝導率が100W/(m・K)以上の金属(例えば、アルミニウム、銅)が挙げられる。この態様では、複数の第1熱伝導部材が、1つの第2熱伝導部材と熱的に接続されているので、ある第1熱伝導部材から他の第1熱伝導部材への熱輸送が、1つの第2熱伝導部材を通じておこなわれる。
【0012】
本発明の態様は、前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された複数のヒートパイプであることを特徴とする冷却装置である。
【0013】
本発明の態様は、前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された、複数の側面視U字状のヒートパイプであって、前記側面視U字の部分の幅方向の寸法が、前記冷却風の風下側に立設されたヒートパイプより前記冷却風の風上側に立設されたヒートパイプの方が大きい配列を有することを特徴とする冷却装置である。この態様では、受熱ブロック表面に、側面視U字状のヒートパイプからなる配列が形成されている。そして、このヒートパイプの配列は、U字形状のうち対向する部位で形成された間隔の寸法について、冷却風の風上側に立設されたヒートパイプの該寸法が、冷却風の風下側に立設されたヒートパイプの該寸法よりも大きくなっている配列部位を有している。
【0014】
本発明の態様は、前記第2熱伝導部材が、直線状ヒートパイプであることを特徴とする冷却装置である。
【0015】
本発明の態様は、前記直線状ヒートパイプが、該直線状ヒートパイプの長手方向と前記側面視U字状のヒートパイプの側面とが直交する方向に設けられていることを特徴とする冷却装置である。
【0016】
本発明の態様は、前記放熱フィンが複数設けられた放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【0017】
この態様では、複数の放熱フィン群が冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に並べられている。また、前記放熱フィン群を構成する各放熱フィンの表面も冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に取り付けられている。これにより、放熱フィン間を冷却風が円滑に流れる構成となっている。同じ放熱フィン群を構成する各放熱フィンの放熱フィンピッチは同じまたはほぼ同じであるが、放熱フィン群ごとについては放熱フィンピッチが相違する構成、つまり、放熱フィン群が異なれば隣接する放熱フィン間の放熱フィンピッチも異なる構成となっている。そして、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチは、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きくなっている。なお、「放熱フィン群」とは、表面が冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に取り付けられている各放熱フィンを、冷却風の流れ方向に対して垂直方向に複数並べた放熱フィンの一群を意味する。
【0018】
本発明の態様は、前記風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチの整数倍であることを特徴とする冷却装置である。隣接する放熱フィン群の放熱フィンピッチを整数倍に設定されることで、放熱フィン群相互間の放熱フィンピッチの位相が揃えられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、ある第1熱伝導部材から別の第1熱伝導部材への熱輸送が、第2熱伝導部材を通じておこなわれるので、発熱素子から受熱ブロックの所定部位に熱的に接続された第1熱伝導部材へ伝達された熱を、受熱ブロックの別の部位に熱的に接続された別の第1熱伝導部材へ熱輸送できる。従って、一つの受熱ブロックに発熱量の異なる発熱素子が複数実装されても、発熱素子間の温度差が低減され、所定の発熱素子、すなわち発熱量の多い発熱素子が、発熱量の少ない発熱素子よりも冷却されにくくなるのを防止できる。このように、各発熱素子間の冷却温度の均一化を図ることができるので、放熱フィンの長さが長い大型の冷却装置であっても風上側から風下側に至るまで確実に冷却能力を発揮できる。
【0020】
冷却されにくい発熱素子の位置に対応した受熱ブロックの部位について、当該部位の放熱フィンの設置枚数を増加させなくてもよいので、冷却装置の小型化と軽量化が可能となり、また、製造コストも抑えることができる。さらには、冷却されにくい発熱素子の位置に対応して放熱フィンの枚数を調整しなくてもよいので、設計の自由度が向上する。
【0021】
本発明の態様によれば、第1熱伝導部材、第2熱伝導部材としてヒートパイプを使用することで、冷却効率がさらに向上する。
【0022】
本発明の態様によれば、側面視U字状のヒートパイプの、側面視U字の部分の幅方向の寸法が、冷却風の風下側のヒートパイプより冷却風の風上側のヒートパイプの方が大きいので、風上側に配置されたヒートパイプによって風下側で冷却風の圧力、風力が低減されるのを抑えることができ、よって、風上側と風下側との発熱素子間の温度をより均一化できる。
【0023】
本発明の態様によれば、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きいので、風上側放熱フィン群によって風下側で冷却風の圧力、風力が低減されるのを抑えることができる。このように、風上側放熱フィン群による冷却風の圧力、風力の低減を抑制できるので、風下側の冷却能力がより向上し、風上側と風下側との発熱素子間の温度差をより低減できる。さらに風下側放熱フィン群の放熱面積が風上側放熱フィン群の放熱面積よりも大きい点からも、風上側と風下側との発熱素子間の温度差をより低減できる。
【0024】
風上側の放熱フィン群の放熱フィンピッチが、風下側の放熱フィン群の放熱フィンピッチの整数倍とすることで、風上側の放熱フィン群による冷却風の圧力、風力の低減を抑制できるので、風下側の放熱フィン群に冷却風を効率よく流すことができ、風上側と風下側との発熱素子間の温度差をより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置のヒートパイプについて、その一部を拡大した説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図8】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図9】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図11】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図12】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図13】(a)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックの一部を拡大した斜視図、(b)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックに第1ヒートパイプを取り付けた態様の一部を拡大した説明図、(c)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックに第2ヒートパイプを取り付けた態様の一部を拡大した説明図、(d)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックに第1ヒートパイプと第2ヒートパイプを取り付けた態様の斜視図、(e)図は放熱フィンを取り付けた態様の斜視図である。
【図14】従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図15】従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図16】従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図17】他の従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図18】他の従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図19】他の従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について図面を用いながら説明する。
図1、2に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、ヒートパイプ式冷却装置であって、平板状の受熱ブロック2と、受熱ブロック2の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ3と、第1ヒートパイプ3に取り付けられた複数の放熱フィン7と、複数の第1ヒートパイプ3と熱的に接続された第2ヒートパイプ5とを備えている。第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1ヒートパイプ3として、いずれも寸法と形状が同じものを使用している。また、第1ヒートパイプ3は、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、直線上に複数(図2では6個または7個)配列されて、1つの第1ヒートパイプ群4が形成されている。さらに、この第1ヒートパイプ群4は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列(図2では19列)設けられている。また、第1ヒートパイプ群4は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態となっている。なお、第1ヒートパイプ3について、上記のような、いずれも同じ寸法と形状を有している態様に限定はされず、障害物の回避等、必要に応じて、所定の第1ヒートパイプ3の寸法、形状を、適宜、変更させてもよい。
【0027】
図2に示すように、第2ヒートパイプ5は直線形状である。第2ヒートパイプ5は、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交するよう取り付けられている。第2ヒートパイプ5は、受熱ブロック2の表面部に複数(図2では14個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群6が形成されている。第2ヒートパイプ5は、第1ヒートパイプ群4を構成する6個または7個の第1ヒートパイプ3のうち、いずれか1つの第1ヒートパイプ3と熱的に接続されている。また、上記の通り、第1ヒートパイプ群4は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態としており、それぞれの第2ヒートパイプ5は、冷却風の流れ方向に対して直交方向に19列設けられた第1ヒートパイプ群4と、一つおきに熱的に接続されている。よって、第2ヒートパイプ5は、冷却風の流れ方向に対して直交方向に直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプ3すべてに対して熱的に接続されている。
【0028】
第2ヒートパイプ5が熱的に接続される第1ヒートパイプ3の部位は、側面視U字形状のうちの底部、側部、頂部等、特に限定されない。第1実施形態例では、第1ヒートパイプ3相互間の熱輸送を円滑にするために、第2ヒートパイプ5は、各第1ヒートパイプ3について、U字形状の底部の中間部(図1、2では、底部の中央部または中央部近傍)に位置するよう配置されている。つまり、第1ヒートパイプ3のU字形状の底部の長手方向に対して、第2ヒートパイプ5の長手方向が直交するように配置されている。従って、第2ヒートパイプ群6を形成する第2ヒートパイプ5は、それぞれ、所定の間隔(図1、2では、第1ヒートパイプ3のU字部分の略半分幅の間隔)で配列されている。ただし、風下側の冷却能力を向上させるために、最も風下側に設けられた第1ヒートパイプ5には、2本の第2ヒートパイプ5を設けている。
【0029】
第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5との熱的接続手段は特に限定されないが、図3に示すように、第1実施形態例では、第2ヒートパイプ5が第1ヒートパイプ3と当接されていることで熱的に接続されている。図3では、第2ヒートパイプ5の表面のうち放熱フィン7側と反対側の表面が、第1ヒートパイプ3のU字形状の底部であって、この底部の放熱フィン7側表面にて当接することで、第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5とが熱的に接続されている。
【0030】
複数枚(図1では11枚)の放熱フィン7は、それぞれ受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられ、さらに、いずれの放熱フィン7もその表面が受熱ブロック2表面に対して平行となるように配置されて、一つの放熱フィン群8を形成している。従って、それぞれの放熱フィン7間には、一定幅の空隙が受熱ブロック2表面に対して平行に伸びている。それぞれの放熱フィン7は、形状・寸法いずれも同一であり、放熱フィン7の縁部は、11枚が揃った状態となっている。
【0031】
上記放熱フィン7及び受熱ブロック2は、いずれも熱伝導性のよい金属材料の平板であり、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで製造されている。第1ヒートパイプ3のコンテナ材料及び第2ヒートパイプ5のコンテナ材料も、放熱フィン7及び受熱ブロック2と同様の金属材料で製造されている。第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5の作動液には、コンテナ材料との適合性に合せた作動液が減圧状態で封入される。例えば、コンテナが銅である場合には、作動液は純水を用いている。
【0032】
第1ヒートパイプ3及び第2ヒートパイプ5が取り付けられていない側に相当する受熱ブロック2の裏面には、被冷却体である発熱素子100を実装させることで、熱的接続が可能となる。
【0033】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、受熱ブロック2の寸法は、幅500mm、長さ1000mm、厚さ25mmであり、側面視U字状である第1ヒートパイプ3の寸法は、パイプ径12.7mm、高さ170mm、側面視U字の部分の幅方向の寸法100mmである。直線状である第2ヒートパイプの寸法は、パイプ径6mm、長さ400mmである。第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5のパイプの断面形状は、いずれも円形である。放熱フィン7の寸法は、幅450mm、長さ900mm、厚さ0.5mmであり、放熱フィン7間の空隙は6mmである。
【0034】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、冷却風が図1、2の矢印方向にて供給される。さらに、冷却風の向きが、受熱ブロック2表面に対して平行または略平行の方向と一致するように、すなわち、冷却風が放熱フィン7の表面に対して平行または略平行方向に流れるように、冷却装置1は設置される。これにより、冷却風は、それぞれの放熱フィン7間の空隙を円滑に通り抜けることができる。
【0035】
次に、第1実施形態例に係る冷却装置1に複数の発熱量の異なる発熱素子を実装した場合について説明する。ここでは、従来例1の場合と同様に、図2、4に示すように、冷却装置1の受熱ブロック2に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000Wの発熱素子100−1、200Wの発熱素子100−2、2000Wの発熱素子100−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合を例にとって説明する。
【0036】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交するよう配置されている第2ヒートパイプ5は、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に19列設けられた第1ヒートパイプ群4に対して、一つおき、すなわち、それぞれの第2ヒートパイプ5は、9または10個の第1ヒートパイプ3と熱的に接続されている。一方、各発熱素子100から放出された熱は、各発熱素子100と熱的に接続された受熱ブロック2に伝達される。受熱ブロック2に伝達された熱は、受熱ブロック2と熱的に接続された側面視U字状の第1ヒートパイプ3の底部、すなわち第1ヒートパイプ3の加熱部へ伝達される。すると、第1ヒートパイプ3の熱輸送系が作動し、第1ヒートパイプ3の加熱部に吸収された熱は、該加熱部から延びている第1ヒートパイプ3の冷却部を介して、冷却風の流れを受けている、第1ヒートパイプ3と熱的に接続された放熱フィン7へと伝達され、放熱フィン7から冷却装置1の外部へと放出される。
【0037】
このとき、複数の発熱素子100のうち、2000Wの発熱素子100−3の発熱量は、200Wの発熱素子100−2、1000Wの発熱素子100−1の発熱量よりも相対的に多く、2000Wの発熱素子100−3の隣に実装された200Wの発熱素子100−2の発熱量は、2000Wの発熱素子100−3、1000Wの発熱素子100−1の発熱量よりも相対的に少ない。従って、受熱ブロック2のうち、相対的に発熱量の多い発熱素子100の位置に対応した部位に伝達される熱量は、相対的に発熱量の少ない発熱素子100の位置に対応した部位に伝達される熱量よりも多くなる。同一の第2ヒートパイプ5に熱的に接続された複数の第1ヒートパイプ3のうち、発熱量が相対的に多い発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3には、発熱量が相対的に少ない発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3よりも多くの熱が受熱ブロック2から伝達される。
【0038】
これにより、第2ヒートパイプ5の熱輸送系が作動して、発熱量が相対的に多い発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3から、発熱量が相対的に少ない発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3へ、受熱ブロック2から伝達された熱が輸送される。この発熱量が相対的に少ない発熱素子100の位置に対応した第1ヒートパイプ3へ輸送された熱は、該第1ヒートパイプ3の熱輸送系を用いて冷却装置1の外部へ放出される。その結果、発熱量の異なる発熱素子100間の温度差が低減されて、各発熱素子100間の温度が均一化され、冷却されにくい発熱素子100の発生を防止できる。従って、第2ヒートパイプ5は、冷却装置1に実装された各発熱素子100間の冷却温度を平準化する効果、すなわち発熱素子100間の均熱効果を有する、均熱用ヒートパイプである。
【0039】
図4に示すように、第1実施形態例に係る冷却装置1に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000W、200W、2000Wの順で発熱素子100−1、100−2、100−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合、最も風上側に実装された発熱素子100と最も風下側に実装された発熱素子100との間の温度差は上記従来例1と同じ値である4℃を維持しつつ、2000Wの発熱素子100−3と2000Wの発熱素子100−3の隣に実装された200Wの発熱素子100−2との間の温度差は10℃となり、上記従来例1(温度差25℃)と比較して大きく低減した。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1では、いずれの第1ヒートパイプ3も、全て同じ寸法と形状を有しており、第1ヒートパイプ群4は、全て同じ寸法と形状を有する第1ヒートパイプ3から構成されていた。図5、6に示すように、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置21では、これに代えて、冷却風の風上側に取り付けられた第1ヒートパイプ23と冷却風の風下側に取り付けられた第1ヒートパイプ23とで、寸法が異なる態様、すなわち、第2実施形態例に係る冷却装置21の第1ヒートパイプ群24では、側面視U字の部分の幅方向の寸法が、冷却風の風上側に設けられた第1ヒートパイプ23よりも冷却風の風下側に設けられた第1ヒートパイプ23の方が小さくなっている第1ヒートパイプ23の配列部位を有している。
【0041】
本発明の第2実施形態例に係る冷却装置21は、冷却装置1と同様に、平板状の受熱ブロック22と、受熱ブロック22の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ23と、第1ヒートパイプ23に取り付けられた複数(図5では11枚)の放熱フィン27と、複数の第1ヒートパイプ23と熱的に接続された第2ヒートパイプ25とを備えている。また、第1ヒートパイプ23は、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、直線上に複数(図6では6個)配列されて1つの第1ヒートパイプ群24が形成されている。さらに、この第1ヒートパイプ群24は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列(図6では19列)設けられている。第1ヒートパイプ群24は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態となっている。
【0042】
図6に示すように、冷却装置21は、冷却装置1と同様に、第2ヒートパイプ25は直線形状である。また、第2ヒートパイプ25は、受熱ブロック22の表面部に、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数(図6では15個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群26が形成されている。
【0043】
一方で、冷却装置21は、複数(図5、6では6個)の第1ヒートパイプ23が冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に配列されている第1ヒートパイプ群24のうち、冷却風の風上側に取り付けられた第1ヒートパイプ23−1(図5、6では、6個のうち、風上側の2個)は、冷却風の風上側と風下側との中間部に取り付けられた第1ヒートパイプ23−2(図5、6では、6個のうち、風上側と風下側の中間部にある2個)よりも側面視U字の部分の幅方向の寸法が大きくなっている。また、冷却風の風上側と風下側の中間部に取り付けられた第1ヒートパイプ23−2は、冷却風の風下側に取り付けられた第1ヒートパイプ23−3(図5、6では、6個のうち、風下側の2個)よりも側面視U字の部分の幅方向の寸法が大きくなっている。
【0044】
第2実施形態例に係る冷却装置21では、風上側にU字部分の幅方向の寸法が大きい第1ヒートパイプ23が配置されているので、風上側に配置された第1ヒートパイプ23によって冷却風の流れが阻害されることが抑制され、風下側における冷却風の圧力、風力の低減を抑えることができる。その結果、風上側の冷却能力を損なうことなく風下側の冷却能力がより向上して、風上側と風下側との発熱素子200間の温度をより均一化できる。
【0045】
図6に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置21に、側面視U字の部分の幅方向の寸法が、それぞれ、150mmの第1ヒートパイプ23−1、125mmの第1ヒートパイプ23−2、100mmの第1ヒートパイプ23−3を取り付け、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000W、200W、2000Wの順で発熱素子200−1、200−2、200−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合を例にして、冷却装置21の冷却能力について説明する。
【0046】
図7に示すように、この場合、最も風上側に実装された発熱素子200と最も風下側に実装された発熱素子200との間の温度差は上記従来例1の温度差及び冷却装置1の温度差よりも低い3℃となり、2000Wの発熱素子200−3と2000Wの発熱素子200−3の隣に実装された200Wの発熱素子200−2との間の温度差は、冷却装置1の温度差と同じ値である10℃を維持した。なお、冷却装置1と同様に、冷却装置21でも、第1ヒートパイプ23のパイプ径は12.7mm、高さは170mmである。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置について、図8、9を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1では、それぞれの放熱フィン7は、受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられている。すなわち、冷却装置1では、放熱フィンピッチはいずれの部位も同じであったが、これに代えて、図8に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置31は、放熱フィンを等間隔に複数設けた放熱フィン群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数配置され、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きくなっている。
【0048】
本発明の第3実施形態例に係る冷却装置31は、冷却装置1と同様に、平板状の受熱ブロック32と、受熱ブロック32の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ33と、第1ヒートパイプ33に取り付けられた複数の放熱フィン37と、複数の第1ヒートパイプ33と熱的に接続された第2ヒートパイプ35とを備えている。また、第1ヒートパイプ33は、いずれも同じ寸法と形状を有しており、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、直線上に複数(図9では6個)配列されて1つの第1ヒートパイプ群34が形成されている。さらに、この第1ヒートパイプ群34は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列(図9では19列)設けられている。第1ヒートパイプ群34は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態となっている。
【0049】
図9に示すように、冷却装置31は、冷却装置1と同様に、第2ヒートパイプ35は直線形状である。また、第2ヒートパイプ35は、受熱ブロック32表面部に、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数(図9では15個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群36が形成されている。
【0050】
一方で、図8に示すように、冷却装置31は、放熱フィン37を等間隔に並べた、すなわち、等しい放熱フィンピッチにて放熱フィン37を複数設けた放熱フィン群38が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数(図8では3個)縦列配置されている。冷却風の最も風上側に配置された放熱フィン群38−1の放熱フィンピッチが、その風下側に隣接して配置された放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチよりも大きくなっている。冷却風の最も風下側に配置された放熱フィン群38−3の放熱フィンピッチが、その風上側に隣接して配置された放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチよりも小さくなっている。すなわち、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群38は、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群38よりも、放熱フィンピッチが大きくなっている。
【0051】
冷却風の最も風上側に配置された第1放熱フィン群38−1には複数枚(図8では6枚)の第1放熱フィン37−1が設けられている。冷却風の風上側と風下側の中間部に配置された第2放熱フィン群38−2には、第1放熱フィン群38−1の第1放熱フィン37−1よりも枚数の多い(図8では11枚)第2放熱フィン37−2が設けられている。冷却風の最も風下側に配置された第3放熱フィン群38−3には、第2放熱フィン群38−2の第2放熱フィン37−2よりも枚数の多い(図8では21枚)第3放熱フィン37−3が設けられている。
【0052】
図8に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置31では、第1放熱フィン群38−1と第2放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチが整数倍の関係、かつ第2放熱フィン群38−2と第3放熱フィン群38−3の放熱フィンピッチが整数倍の関係(図8では、第1放熱フィン群38−1、第2放熱フィン群38−2、第3放熱フィン群38−3のフィンピッチは4:2:1)に配置されている。各放熱フィン群38の具体的な放熱フィンピッチは、冷却装置31の必要とする冷却能力に応じて、適宜選択可能である。ここでは、第1放熱フィン群38−1の放熱フィンピッチは12mm、第2放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチは6mm、第3放熱フィン群38−3の放熱フィンピッチは3mmである。
【0053】
さらに、第1放熱フィン群38−1、第2放熱フィン群38−2及び第3放熱フィン群38−3は、相互に放熱フィンピッチの位相が揃えられている。つまり、それぞれの第1放熱フィン37−1の同一平面上には、所定の第2放熱フィン群38−2の第2放熱フィン37−2及び所定の第3放熱フィン群38−3の第3放熱フィン38−3が配置されている。さらに第1放熱フィン37−1間の空隙を2等分する部位に別の第2放熱フィン37−2と第3放熱フィン38−3が配置されている。そして、第1放熱フィン37−1間の空隙を4等分する部位に、さらに別の第3放熱フィン37−3が配置されている。
【0054】
第3実施形態例に係る冷却装置31では、第1放熱フィン37−1の寸法は、幅450mm、長さ150mm、厚さ0.5mmであり、第1放熱フィン37−1間の空隙は12mm、第2放熱フィン37−2の寸法は、幅450mm、長さ350mm、厚さ0.5mmであり、第2放熱フィン37−2間の空隙は6mm、第3放熱フィン37−3の寸法は、幅450mm、長さ400mm、厚さ0.5mmであり、第3放熱フィン37−3間の空隙は3mmである。
【0055】
このような放熱フィンの配置とすることで、第2放熱フィン37−2、第3放熱フィン37−3が、冷却風の流れの障壁となるのを防止し、冷却風の風量及び風速が第2放熱フィン37−2、第3放熱フィン37−3の圧力を受けて損失してしまうのを抑えることができる。従って、第1放熱フィン群38−1中を通り抜けた冷却風が、第1放熱フィン群38−1の風下側に配置された第2放熱フィン群38−2中及び第2放熱フィン群38−2の風下側に配置された第3放熱フィン群38−3中に、円滑に流れて風下側の冷却能力がより向上する。さらに、風下側の放熱フィン群38ほど放熱フィン37の設置枚数が増えることで放熱フィン37の放熱面積が広がっていくので、この点からも風下側の冷却能力がより向上する構成となっている。この結果、風上側の冷却能力を損なうことなく風下側の冷却能力がより向上して、風上側と風下側との発熱素子300間の温度をより均一化できる。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置について、図10、11を用いながら説明する。上記各実施形態例に係る冷却装置1、21、31では、第1ヒートパイプ3、23、33は、いずれも、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように配列されていたが、これに代えて、図10、11に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置51の第1ヒートパイプ53は、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して直交するように配列されている。これに応じて、上記各実施形態例では、第2ヒートパイプ5、25、35は、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交するよう取り付けられていたが、これに代えて、第4実施形態例に係る冷却装置51の第2ヒートパイプ55は、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して平行方向に取り付けられている。
【0057】
本発明の第4実施形態例に係る冷却装置51は、冷却装置1と同様に、平板状の受熱ブロック52と、受熱ブロック52の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ53と、第1ヒートパイプ53に取り付けられた複数の放熱フィン57と、複数の第1ヒートパイプ53と熱的に接続された第2ヒートパイプ55とを備えている。
【0058】
第4実施形態例に係る冷却装置51では、図11に示すように、第1ヒートパイプ53には、側面視U字の部分の幅方向の寸法が相対的に小さい第1ヒートパイプ53−1と、側面視U字の部分の幅方向の寸法が相対的に大きい第1ヒートパイプ53−2とが使用されている。冷却装置51では、第1ヒートパイプ53−1が、相互に、冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に並べられた領域を有し、同様に、第1ヒートパイプ53−2についても、相互に、冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に並べられた領域を有している。また、冷却装置1と同様、冷却装置51の第2ヒートパイプ55は直線形状である。第2ヒートパイプ55は、受熱ブロック52の表面部に、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数(図11では6個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群56が形成されている。第2ヒートパイプ55は、第1ヒートパイプ53のU字形状の底部に位置するように配置されている。なお、第4実施形態例に係る冷却装置51では、風上側は、風下側と比較して相対的に冷却能力が高いことから、風上側に設けられた所定の第1ヒートパイプには、第2ヒートパイプ55は配置されていない。
【0059】
図10に示すように、冷却装置51は、放熱フィン57を等間隔に並べた、すなわち、等しい放熱フィンピッチにて放熱フィン57を複数設けた放熱フィン群58が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数(図10では2個)縦列配置されている。2個の放熱フィン群58について、放熱フィン57−1を有する風上側の放熱フィン群58−1の放熱フィンピッチは、放熱フィン57−2を有する風下側の放熱フィン群58−2の放熱フィンピッチの2倍となっている。また、放熱フィン群58−1の放熱フィンピッチと、風下側の放熱フィン群58−2の放熱フィンピッチとは、相互に、放熱フィンピッチの位相が揃えられている。
【0060】
第4の実施形態例に係る冷却装置51では、第1ヒートパイプ53の側面視U字状となっている側面部が、冷却風の流れ方向に対して直交するように配列され、第2ヒートパイプ55の長手方向が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に配列されることで、第2ヒートパイプ55が冷却風の流れ方向に対して平行方向の熱輸送を行なう。従って、冷却装置51は、上記各実施形態例に係る冷却装置1、21、31と同様に、発熱素子間の均熱効果、特に、冷却風の風上側の発熱素子と風下側の発熱素子との間の均熱効果を有する。
【0061】
図12に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置51に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1600W、800W、1500Wの順で発熱素子500−1、500−4、500−7がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に3列実装されている場合、すなわち、1600Wの発熱素子が風上側から風下側へ500−1、500−2、500−3と3列、800Wの発熱素子が風上側から風下側へ500−4、500−5、500−6と3列、1500Wの発熱素子が風上側から風下側へ500−7、500−8、500−9と3列、それぞれ実装されている場合を例にとって、冷却装置51の冷却能力を説明する。
【0062】
第4実施形態例に係る冷却装置51としては、受熱ブロック52の寸法は、幅500mm、長さ1000mm、厚さ25mmであり、54本設けた第1ヒートパイプ53−1の寸法は、パイプ径12.7mm、高さ170mm、側面視U字の部分の幅方向の寸法100mm、21本設けた第1ヒートパイプ53−2の寸法は、パイプ径12.7mm、高さ170mm、側面視U字の部分の幅方向の寸法150mmである。直線状である第2ヒートパイプ55の寸法は、パイプ径6mm、長さ400mmである。第1ヒートパイプ53と第2ヒートパイプ55のパイプの断面形状は、いずれも円形である。なお、放熱フィン57−1の枚数は20枚、放熱フィン57−2の枚数は39枚とし、その寸法は、いずれも幅450mm、長さ350mm、厚さ0.5mmとした。放熱フィン57−1間の空隙、すなわち放熱フィンピッチは6mmとし、放熱フィン57−2の放熱フィンピッチは3mmとした。
【0063】
上記第4実施形態例に係る冷却装置51では、最も温度が上昇した発熱素子500は、発熱素子500−6であり54.7℃、最も温度の上昇を抑えることができた発熱素子500は、発熱素子500−7であり47.3℃であった。従って、冷却装置51では、発熱素子500間の最大温度差は7.4℃であった。一方、上記冷却装置51について、第1ヒートパイプを側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向に配列を変更し、第2ヒートパイプをその長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交方向に配列を変更した冷却装置では、最も温度が上昇した発熱素子500は、発熱素子500−6であり59.6℃、最も温度の上昇を抑えることができた発熱素子500は、発熱素子500−8であり52.4℃であった。従って、この冷却装置では、発熱素子500間の最大温度差は7.2℃であった。従って、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して直交するように、第1ヒートパイプ53が配列され、それに応じて、第2ヒートパイプ55が、冷却風の流れ方向に対して長手方向が平行方向に配列されても、上記各実施形態例に係る冷却装置1、21、31と同等程度の均熱効果を発揮する。
【0064】
次に、本発明の冷却装置の製造方法例について、図13を用いて説明する。ここでは、実施形態例1の冷却装置1を例にとって説明する。図13(a)に示すように、受熱ブロック2の表面には、側面視U字状の第1ヒートパイプ3の取り付け位置に対応する箇所に、それぞれ凹部11が形成されている。凹部11は、U字である第1ヒートパイプ3の底部と嵌合可能な寸法・形状となっている。また、直線状の第2ヒートパイプ5の取り付け位置に対応する箇所に、凹部11に対して直交方向にそれぞれ溝部12が形成されている。溝部12は、第2ヒートパイプ5全体が嵌合可能な寸法・形状となっている。溝部12の深さは凹部11の深さよりも、第1ヒートパイプ3のパイプ径の分だけ浅くなっている。
【0065】
まず、受熱ブロック2表面のそれぞれの凹部11に、第1ヒートパイプ3の底部をそれぞれ嵌め込むことで受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に複数の第1ヒートパイプ3を立設、固定する(図13(b))。次に、受熱ブロック2表面のそれぞれの溝部12に、第2ヒートパイプ5を嵌め込むことで受熱ブロック2に複数の第2ヒートパイプ5を配置、固定する。このとき、溝部12の深さは凹部11の深さよりも、第1ヒートパイプ3のパイプ径の分だけ浅くなっているので、第1ヒートパイプ3の底部表面と第2ヒートパイプ5の表面が当接し、第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5が熱的に接続された状態となる(図13(c))。放熱フィン7には、第1ヒートパイプ3のパイプの断面形状に対応した形状の孔部(図示せず)が、第1ヒートパイプ3の寸法とその配置に対応した位置に設けられている。全ての凹部11に第1ヒートパイプ3を、全ての溝部12に第2ヒートパイプ5を、それぞれ設置後(図13(d))、設置された第1ヒートパイプ3を、放熱フィン7の孔部に嵌めて、放熱フィン7を第1ヒートパイプ3に取り付ける。このとき、第1ヒートパイプ3の表面が放熱フィン7の孔部内壁面と当接することで、第1ヒートパイプ3と放熱フィン7とが熱的に接続される(図13(e))。このように、受熱ブロックへ第1ヒートパイプと第2ヒートパイプを設置し、設置された第1ヒートパイプに放熱フィンを取り付けることで本発明の冷却装置を製造する。
【0066】
次に、本発明の冷却装置の使用方法を説明する。ここでは、本発明の上記実施形態例に係る冷却装置1、21、31が、移動体(例えば鉄道車両)に搭載された電気部品(例えば電力変換装置)を冷却する使用方法を例にとって説明する。鉄道車両の床下面には外部と遮断された電力制御用の筐体が固定され、筐体内には電力変換装置等、電力を制御するための各種電気部品が格納されている。これら電気部品は稼動時に発熱し、そのまま発熱を放置すると昇温して正常な作動ができなくなるばかりか、最悪の場合には素子が熱により破壊される可能性がある。そこで、これら電気部品を冷却する必要がある。
【0067】
冷却装置1、21、31の受熱ブロック2、22、32裏面側に前記電気部品(以下、発熱素子という)を当接させて受熱ブロック2、22、32と熱的に接続する。発熱素子が格納された筐体内には、冷却装置1、21、31に冷却風を供給するためのファンが設置されている。このとき、ファンから送風された冷却風の流れ方向が、受熱ブロック2、22、32表面に対して平行方向となるように、ファンと冷却装置1、21、31を設置する。なお、冷却装置31の場合には、さらに、放熱フィンピッチの大きい第1放熱フィン群38−1が冷却風の風上側となるように設置する。
【0068】
次に、本発明のその他の実施態様例について説明する。上記第1実施形態例〜第3実施形態例では、第2ヒートパイプは、冷却風の流れ方向に対して直交方向に直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプすべてに対して熱的に接続されていたが、第2ヒートパイプを熱的に接続する第1ヒートパイプは、冷却装置に実装する複数の発熱素子の発熱状態に応じて、適宜選択可能である。たとえば、上記態様に代えて、前記直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプすべてではなく、このうち、発熱素子間の温度差が大きい受熱ブロックの領域に熱的に接続された一部の第1ヒートパイプ間に特定して、第2ヒートパイプを配置してもよい。また、第4実施形態例では、風上側に設けられた所定の第1ヒートパイプには、第2ヒートパイプは配置されていなかった、すなわち、第2ヒートパイプは熱的に接続されていなかったが、風上側に設けられた第1ヒートパイプを含めた、冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプすべてに対して、第2ヒートパイプが熱的に接続されていてもよい。
【0069】
上記第1実施形態例〜第3実施形態例では、第1ヒートパイプ群は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列設けられ、第1ヒートパイプ群は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態としたが、第1ヒートパイプの配置関係はこれに限定されず、適宜選択可能である。例えば、上記配置関係に代えて、第1ヒートパイプ群は、冷却風の流れ方向に対して直交方向以外の所定の角度ずらした状態にて複数列並べてもよい。この場合、第2ヒートパイプは、第1ヒートパイプのU字形状の底部の長手方向に対して、その長手方向が直交方向以外の所定の角度、すなわち、冷却風の流れ方向に対して直交方向以外の所定の角度を有するよう配置してもよい。
【0070】
上記各実施形態例では、第1熱伝導部材及び第2熱伝導部材として、いずれもヒートパイプを用いたが、これに代えて、熱伝導性に優れた金属、例えば、25℃の熱伝導率が100W/(m・K)以上である、アルミニウム、銅などを用いてもよい。また、上記各実施形態例では、側面視U字状の第1ヒートパイプの底部であって、該底部の放熱フィン側に第2ヒートパイプを配置したが、これに代えて、該底部の放熱フィン側とは反対側に第2ヒートパイプを配置してもよく、該底部の放熱フィン側と該底部の放熱フィン側とは反対側との両方に第2ヒートパイプを配置してもよい。
【0071】
上記各実施形態例では、第1ヒートパイプの形状は、側面視U字状であったが、これ代えて、側面視L字状でもよい。また、上記各実施形態例では、放熱フィンは等間隔に配置されていたが、放熱フィンの間隔に適宜変化を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
発熱量の異なる発熱素子が複数実装されても、各発熱素子間の温度が均一化され、冷却されにくい発熱素子の発生を防止できるので、多種類の発熱素子を冷却する冷却装置、例えば、鉄道車両に搭載された多数の発熱体を強制空冷で冷却する冷却装置などの分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0073】
1、21、31、51 冷却装置
2、22、32、52 受熱ブロック
3、23、33、53 第1ヒートパイプ
5、25、35、55 第2ヒートパイプ
7、27、37、57 放熱フィン
8、28、38、58 放熱フィン群
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱素子を強制空冷で冷却する冷却装置に関し、より具体的には、鉄道車両、航空機、船舶等の移動体に搭載された電力変換装置等の電気部品を、強制空冷で冷却する冷却装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の冷却装置として、図14、15に示す電気部品の冷却装置41(以下、従来例1ということがある)がある。この従来例1は、平板状の受熱ブロック42と、受熱ブロック42の表面に複数立設された側面視U字状のヒートパイプ43と、ヒートパイプ43へ受熱ブロック42表面に対して平行な方向に取り付けられた複数(図14では11枚)の放熱フィン47を有する放熱フィン群48とからなる。各放熱フィン47間の放熱フィンピッチは、いずれの部分も均一となるように形成されている(特許文献1)。従来例1では、側面視U字状のヒートパイプ43によって冷却風の圧力が損失してしまうのを抑えるために、側面視U字状のヒートパイプ43の側面が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、ヒートパイプ43が配置されている。
【0003】
しかし、従来の冷却装置では、複数の発熱量の異なる発熱素子を実装すると、発熱量の大きい発熱素子の温度が高くなってしまうという問題がある。例えば、図16に示すように、従来例1の受熱ブロック42に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000Wの発熱素子400−1、200Wの発熱素子400−2、2000Wの発熱素子400−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合、最も風上側に実装された発熱素子と最も風下側に実装された発熱素子との間の温度差については4℃にとどまる。その一方で、2000Wの発熱素子400−3と、この2000Wの発熱素子400−3の隣に実装された200Wの発熱素子400−2との間には、25℃の温度差が生じてしまう。従って、従来例1では、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に配列された発熱素子間で温度差が大きくなってしまうという問題があり、特に、発熱量の大きい2000Wの発熱素子400−3の温度が高くなってしまうという問題がある。
【0004】
そこで、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に配列された発熱素子間の温度差を抑えるために、図17、18に示すように、側面視U字状のヒートパイプ43′の側面が冷却風の流れ方向に対して直交方向となるように、受熱ブロック42′にヒートパイプ43′を配置し、放熱フィン47を取り付けた冷却装置41′(以下、従来例2ということがある)も考えられる。
【0005】
図19に示すように、この態様では、2000Wの発熱素子400−3とこの2000Wの発熱素子400−3の隣に実装された200Wの発熱素子400−2との間の温度差は15℃と若干低減される。従来例2では、冷却風の抵抗となるヒートパイプ43′の本数は上記従来例1より減るので冷却風の圧力損失は減少するが、冷却風の流れ方向に対してはヒートパイプ43′による熱輸送がないため、最も風上側に実装された発熱素子と最も風下側に実装された発熱素子との間の温度差は10.5℃に広がってしまう。
【0006】
従って、従来の冷却装置に発熱量の異なる発熱素子が複数実装されていると、発熱素子間の温度が不均一になり、冷却されにくく温度の低下が抑えられてしまう発熱素子が発生してしまうという問題がある。
【0007】
冷却されにくい発熱素子の位置に対応した受熱ブロック42の部位について、冷却装置41の冷却能力を高めるためには、当該部位については放熱フィン47の設置枚数を増加させる必要がある。しかし、当該部位の放熱フィン47の枚数を増やすと冷却装置41の寸法が大きくなり、重量も増してしまうという問題、さらには、設計の自由度が失われ、製造コストもかかってしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−119785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記した従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、発熱量の異なる発熱素子が複数実装されても、各発熱素子間の温度が均一化され、冷却されにくい発熱素子の発生を防止できる冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様は、発熱素子に熱的に接続できる受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続された複数の第1熱伝導部材と、前記複数の第1熱伝導部材に熱的に接続された放熱フィンとを備え、前記受熱ブロックの表面に対して平行方向に冷却風の流れが設定される冷却装置であって、前記複数の第1熱伝導部材が第2熱伝導部材と熱的に接続され、該第2熱伝導部材を介して前記複数の第1熱伝導部材が相互に熱的に接続されていることを特徴とする冷却装置である。
【0011】
「熱伝導部材」とは、熱伝導性に優れた部材であり、例えば、ヒートパイプや、25℃の熱伝導率が100W/(m・K)以上の金属(例えば、アルミニウム、銅)が挙げられる。この態様では、複数の第1熱伝導部材が、1つの第2熱伝導部材と熱的に接続されているので、ある第1熱伝導部材から他の第1熱伝導部材への熱輸送が、1つの第2熱伝導部材を通じておこなわれる。
【0012】
本発明の態様は、前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された複数のヒートパイプであることを特徴とする冷却装置である。
【0013】
本発明の態様は、前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された、複数の側面視U字状のヒートパイプであって、前記側面視U字の部分の幅方向の寸法が、前記冷却風の風下側に立設されたヒートパイプより前記冷却風の風上側に立設されたヒートパイプの方が大きい配列を有することを特徴とする冷却装置である。この態様では、受熱ブロック表面に、側面視U字状のヒートパイプからなる配列が形成されている。そして、このヒートパイプの配列は、U字形状のうち対向する部位で形成された間隔の寸法について、冷却風の風上側に立設されたヒートパイプの該寸法が、冷却風の風下側に立設されたヒートパイプの該寸法よりも大きくなっている配列部位を有している。
【0014】
本発明の態様は、前記第2熱伝導部材が、直線状ヒートパイプであることを特徴とする冷却装置である。
【0015】
本発明の態様は、前記直線状ヒートパイプが、該直線状ヒートパイプの長手方向と前記側面視U字状のヒートパイプの側面とが直交する方向に設けられていることを特徴とする冷却装置である。
【0016】
本発明の態様は、前記放熱フィンが複数設けられた放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きいことを特徴とする冷却装置である。
【0017】
この態様では、複数の放熱フィン群が冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に並べられている。また、前記放熱フィン群を構成する各放熱フィンの表面も冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に取り付けられている。これにより、放熱フィン間を冷却風が円滑に流れる構成となっている。同じ放熱フィン群を構成する各放熱フィンの放熱フィンピッチは同じまたはほぼ同じであるが、放熱フィン群ごとについては放熱フィンピッチが相違する構成、つまり、放熱フィン群が異なれば隣接する放熱フィン間の放熱フィンピッチも異なる構成となっている。そして、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチは、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きくなっている。なお、「放熱フィン群」とは、表面が冷却風の流れ方向に対して平行またはほぼ平行に取り付けられている各放熱フィンを、冷却風の流れ方向に対して垂直方向に複数並べた放熱フィンの一群を意味する。
【0018】
本発明の態様は、前記風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチの整数倍であることを特徴とする冷却装置である。隣接する放熱フィン群の放熱フィンピッチを整数倍に設定されることで、放熱フィン群相互間の放熱フィンピッチの位相が揃えられている。
【発明の効果】
【0019】
本発明の態様によれば、ある第1熱伝導部材から別の第1熱伝導部材への熱輸送が、第2熱伝導部材を通じておこなわれるので、発熱素子から受熱ブロックの所定部位に熱的に接続された第1熱伝導部材へ伝達された熱を、受熱ブロックの別の部位に熱的に接続された別の第1熱伝導部材へ熱輸送できる。従って、一つの受熱ブロックに発熱量の異なる発熱素子が複数実装されても、発熱素子間の温度差が低減され、所定の発熱素子、すなわち発熱量の多い発熱素子が、発熱量の少ない発熱素子よりも冷却されにくくなるのを防止できる。このように、各発熱素子間の冷却温度の均一化を図ることができるので、放熱フィンの長さが長い大型の冷却装置であっても風上側から風下側に至るまで確実に冷却能力を発揮できる。
【0020】
冷却されにくい発熱素子の位置に対応した受熱ブロックの部位について、当該部位の放熱フィンの設置枚数を増加させなくてもよいので、冷却装置の小型化と軽量化が可能となり、また、製造コストも抑えることができる。さらには、冷却されにくい発熱素子の位置に対応して放熱フィンの枚数を調整しなくてもよいので、設計の自由度が向上する。
【0021】
本発明の態様によれば、第1熱伝導部材、第2熱伝導部材としてヒートパイプを使用することで、冷却効率がさらに向上する。
【0022】
本発明の態様によれば、側面視U字状のヒートパイプの、側面視U字の部分の幅方向の寸法が、冷却風の風下側のヒートパイプより冷却風の風上側のヒートパイプの方が大きいので、風上側に配置されたヒートパイプによって風下側で冷却風の圧力、風力が低減されるのを抑えることができ、よって、風上側と風下側との発熱素子間の温度をより均一化できる。
【0023】
本発明の態様によれば、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きいので、風上側放熱フィン群によって風下側で冷却風の圧力、風力が低減されるのを抑えることができる。このように、風上側放熱フィン群による冷却風の圧力、風力の低減を抑制できるので、風下側の冷却能力がより向上し、風上側と風下側との発熱素子間の温度差をより低減できる。さらに風下側放熱フィン群の放熱面積が風上側放熱フィン群の放熱面積よりも大きい点からも、風上側と風下側との発熱素子間の温度差をより低減できる。
【0024】
風上側の放熱フィン群の放熱フィンピッチが、風下側の放熱フィン群の放熱フィンピッチの整数倍とすることで、風上側の放熱フィン群による冷却風の圧力、風力の低減を抑制できるので、風下側の放熱フィン群に冷却風を効率よく流すことができ、風上側と風下側との発熱素子間の温度差をより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置のヒートパイプについて、その一部を拡大した説明図である。
【図4】本発明の第1実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図6】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図8】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図9】本発明の第3実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図10】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図11】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図12】本発明の第4実施形態例に係る冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図13】(a)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックの一部を拡大した斜視図、(b)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックに第1ヒートパイプを取り付けた態様の一部を拡大した説明図、(c)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックに第2ヒートパイプを取り付けた態様の一部を拡大した説明図、(d)図は第1実施形態例に係る冷却装置の受熱ブロックに第1ヒートパイプと第2ヒートパイプを取り付けた態様の斜視図、(e)図は放熱フィンを取り付けた態様の斜視図である。
【図14】従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図15】従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図16】従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【図17】他の従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の側面図である。
【図18】他の従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の平面図である。
【図19】他の従来の冷却装置であって、発熱素子を取り付けた状態の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置について図面を用いながら説明する。
図1、2に示すように、本発明の第1実施形態例に係る冷却装置1は、ヒートパイプ式冷却装置であって、平板状の受熱ブロック2と、受熱ブロック2の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ3と、第1ヒートパイプ3に取り付けられた複数の放熱フィン7と、複数の第1ヒートパイプ3と熱的に接続された第2ヒートパイプ5とを備えている。第1実施形態例に係る冷却装置1では、第1ヒートパイプ3として、いずれも寸法と形状が同じものを使用している。また、第1ヒートパイプ3は、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、直線上に複数(図2では6個または7個)配列されて、1つの第1ヒートパイプ群4が形成されている。さらに、この第1ヒートパイプ群4は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列(図2では19列)設けられている。また、第1ヒートパイプ群4は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態となっている。なお、第1ヒートパイプ3について、上記のような、いずれも同じ寸法と形状を有している態様に限定はされず、障害物の回避等、必要に応じて、所定の第1ヒートパイプ3の寸法、形状を、適宜、変更させてもよい。
【0027】
図2に示すように、第2ヒートパイプ5は直線形状である。第2ヒートパイプ5は、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交するよう取り付けられている。第2ヒートパイプ5は、受熱ブロック2の表面部に複数(図2では14個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群6が形成されている。第2ヒートパイプ5は、第1ヒートパイプ群4を構成する6個または7個の第1ヒートパイプ3のうち、いずれか1つの第1ヒートパイプ3と熱的に接続されている。また、上記の通り、第1ヒートパイプ群4は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態としており、それぞれの第2ヒートパイプ5は、冷却風の流れ方向に対して直交方向に19列設けられた第1ヒートパイプ群4と、一つおきに熱的に接続されている。よって、第2ヒートパイプ5は、冷却風の流れ方向に対して直交方向に直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプ3すべてに対して熱的に接続されている。
【0028】
第2ヒートパイプ5が熱的に接続される第1ヒートパイプ3の部位は、側面視U字形状のうちの底部、側部、頂部等、特に限定されない。第1実施形態例では、第1ヒートパイプ3相互間の熱輸送を円滑にするために、第2ヒートパイプ5は、各第1ヒートパイプ3について、U字形状の底部の中間部(図1、2では、底部の中央部または中央部近傍)に位置するよう配置されている。つまり、第1ヒートパイプ3のU字形状の底部の長手方向に対して、第2ヒートパイプ5の長手方向が直交するように配置されている。従って、第2ヒートパイプ群6を形成する第2ヒートパイプ5は、それぞれ、所定の間隔(図1、2では、第1ヒートパイプ3のU字部分の略半分幅の間隔)で配列されている。ただし、風下側の冷却能力を向上させるために、最も風下側に設けられた第1ヒートパイプ5には、2本の第2ヒートパイプ5を設けている。
【0029】
第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5との熱的接続手段は特に限定されないが、図3に示すように、第1実施形態例では、第2ヒートパイプ5が第1ヒートパイプ3と当接されていることで熱的に接続されている。図3では、第2ヒートパイプ5の表面のうち放熱フィン7側と反対側の表面が、第1ヒートパイプ3のU字形状の底部であって、この底部の放熱フィン7側表面にて当接することで、第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5とが熱的に接続されている。
【0030】
複数枚(図1では11枚)の放熱フィン7は、それぞれ受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられ、さらに、いずれの放熱フィン7もその表面が受熱ブロック2表面に対して平行となるように配置されて、一つの放熱フィン群8を形成している。従って、それぞれの放熱フィン7間には、一定幅の空隙が受熱ブロック2表面に対して平行に伸びている。それぞれの放熱フィン7は、形状・寸法いずれも同一であり、放熱フィン7の縁部は、11枚が揃った状態となっている。
【0031】
上記放熱フィン7及び受熱ブロック2は、いずれも熱伝導性のよい金属材料の平板であり、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで製造されている。第1ヒートパイプ3のコンテナ材料及び第2ヒートパイプ5のコンテナ材料も、放熱フィン7及び受熱ブロック2と同様の金属材料で製造されている。第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5の作動液には、コンテナ材料との適合性に合せた作動液が減圧状態で封入される。例えば、コンテナが銅である場合には、作動液は純水を用いている。
【0032】
第1ヒートパイプ3及び第2ヒートパイプ5が取り付けられていない側に相当する受熱ブロック2の裏面には、被冷却体である発熱素子100を実装させることで、熱的接続が可能となる。
【0033】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、受熱ブロック2の寸法は、幅500mm、長さ1000mm、厚さ25mmであり、側面視U字状である第1ヒートパイプ3の寸法は、パイプ径12.7mm、高さ170mm、側面視U字の部分の幅方向の寸法100mmである。直線状である第2ヒートパイプの寸法は、パイプ径6mm、長さ400mmである。第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5のパイプの断面形状は、いずれも円形である。放熱フィン7の寸法は、幅450mm、長さ900mm、厚さ0.5mmであり、放熱フィン7間の空隙は6mmである。
【0034】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、冷却風が図1、2の矢印方向にて供給される。さらに、冷却風の向きが、受熱ブロック2表面に対して平行または略平行の方向と一致するように、すなわち、冷却風が放熱フィン7の表面に対して平行または略平行方向に流れるように、冷却装置1は設置される。これにより、冷却風は、それぞれの放熱フィン7間の空隙を円滑に通り抜けることができる。
【0035】
次に、第1実施形態例に係る冷却装置1に複数の発熱量の異なる発熱素子を実装した場合について説明する。ここでは、従来例1の場合と同様に、図2、4に示すように、冷却装置1の受熱ブロック2に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000Wの発熱素子100−1、200Wの発熱素子100−2、2000Wの発熱素子100−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合を例にとって説明する。
【0036】
第1実施形態例に係る冷却装置1では、長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交するよう配置されている第2ヒートパイプ5は、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に19列設けられた第1ヒートパイプ群4に対して、一つおき、すなわち、それぞれの第2ヒートパイプ5は、9または10個の第1ヒートパイプ3と熱的に接続されている。一方、各発熱素子100から放出された熱は、各発熱素子100と熱的に接続された受熱ブロック2に伝達される。受熱ブロック2に伝達された熱は、受熱ブロック2と熱的に接続された側面視U字状の第1ヒートパイプ3の底部、すなわち第1ヒートパイプ3の加熱部へ伝達される。すると、第1ヒートパイプ3の熱輸送系が作動し、第1ヒートパイプ3の加熱部に吸収された熱は、該加熱部から延びている第1ヒートパイプ3の冷却部を介して、冷却風の流れを受けている、第1ヒートパイプ3と熱的に接続された放熱フィン7へと伝達され、放熱フィン7から冷却装置1の外部へと放出される。
【0037】
このとき、複数の発熱素子100のうち、2000Wの発熱素子100−3の発熱量は、200Wの発熱素子100−2、1000Wの発熱素子100−1の発熱量よりも相対的に多く、2000Wの発熱素子100−3の隣に実装された200Wの発熱素子100−2の発熱量は、2000Wの発熱素子100−3、1000Wの発熱素子100−1の発熱量よりも相対的に少ない。従って、受熱ブロック2のうち、相対的に発熱量の多い発熱素子100の位置に対応した部位に伝達される熱量は、相対的に発熱量の少ない発熱素子100の位置に対応した部位に伝達される熱量よりも多くなる。同一の第2ヒートパイプ5に熱的に接続された複数の第1ヒートパイプ3のうち、発熱量が相対的に多い発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3には、発熱量が相対的に少ない発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3よりも多くの熱が受熱ブロック2から伝達される。
【0038】
これにより、第2ヒートパイプ5の熱輸送系が作動して、発熱量が相対的に多い発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3から、発熱量が相対的に少ない発熱素子100の位置に対応した受熱ブロック2の部位にて熱的に接続された第1ヒートパイプ3へ、受熱ブロック2から伝達された熱が輸送される。この発熱量が相対的に少ない発熱素子100の位置に対応した第1ヒートパイプ3へ輸送された熱は、該第1ヒートパイプ3の熱輸送系を用いて冷却装置1の外部へ放出される。その結果、発熱量の異なる発熱素子100間の温度差が低減されて、各発熱素子100間の温度が均一化され、冷却されにくい発熱素子100の発生を防止できる。従って、第2ヒートパイプ5は、冷却装置1に実装された各発熱素子100間の冷却温度を平準化する効果、すなわち発熱素子100間の均熱効果を有する、均熱用ヒートパイプである。
【0039】
図4に示すように、第1実施形態例に係る冷却装置1に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000W、200W、2000Wの順で発熱素子100−1、100−2、100−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合、最も風上側に実装された発熱素子100と最も風下側に実装された発熱素子100との間の温度差は上記従来例1と同じ値である4℃を維持しつつ、2000Wの発熱素子100−3と2000Wの発熱素子100−3の隣に実装された200Wの発熱素子100−2との間の温度差は10℃となり、上記従来例1(温度差25℃)と比較して大きく低減した。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置について、図面を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1では、いずれの第1ヒートパイプ3も、全て同じ寸法と形状を有しており、第1ヒートパイプ群4は、全て同じ寸法と形状を有する第1ヒートパイプ3から構成されていた。図5、6に示すように、本発明の第2実施形態例に係る冷却装置21では、これに代えて、冷却風の風上側に取り付けられた第1ヒートパイプ23と冷却風の風下側に取り付けられた第1ヒートパイプ23とで、寸法が異なる態様、すなわち、第2実施形態例に係る冷却装置21の第1ヒートパイプ群24では、側面視U字の部分の幅方向の寸法が、冷却風の風上側に設けられた第1ヒートパイプ23よりも冷却風の風下側に設けられた第1ヒートパイプ23の方が小さくなっている第1ヒートパイプ23の配列部位を有している。
【0041】
本発明の第2実施形態例に係る冷却装置21は、冷却装置1と同様に、平板状の受熱ブロック22と、受熱ブロック22の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ23と、第1ヒートパイプ23に取り付けられた複数(図5では11枚)の放熱フィン27と、複数の第1ヒートパイプ23と熱的に接続された第2ヒートパイプ25とを備えている。また、第1ヒートパイプ23は、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、直線上に複数(図6では6個)配列されて1つの第1ヒートパイプ群24が形成されている。さらに、この第1ヒートパイプ群24は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列(図6では19列)設けられている。第1ヒートパイプ群24は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態となっている。
【0042】
図6に示すように、冷却装置21は、冷却装置1と同様に、第2ヒートパイプ25は直線形状である。また、第2ヒートパイプ25は、受熱ブロック22の表面部に、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数(図6では15個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群26が形成されている。
【0043】
一方で、冷却装置21は、複数(図5、6では6個)の第1ヒートパイプ23が冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に配列されている第1ヒートパイプ群24のうち、冷却風の風上側に取り付けられた第1ヒートパイプ23−1(図5、6では、6個のうち、風上側の2個)は、冷却風の風上側と風下側との中間部に取り付けられた第1ヒートパイプ23−2(図5、6では、6個のうち、風上側と風下側の中間部にある2個)よりも側面視U字の部分の幅方向の寸法が大きくなっている。また、冷却風の風上側と風下側の中間部に取り付けられた第1ヒートパイプ23−2は、冷却風の風下側に取り付けられた第1ヒートパイプ23−3(図5、6では、6個のうち、風下側の2個)よりも側面視U字の部分の幅方向の寸法が大きくなっている。
【0044】
第2実施形態例に係る冷却装置21では、風上側にU字部分の幅方向の寸法が大きい第1ヒートパイプ23が配置されているので、風上側に配置された第1ヒートパイプ23によって冷却風の流れが阻害されることが抑制され、風下側における冷却風の圧力、風力の低減を抑えることができる。その結果、風上側の冷却能力を損なうことなく風下側の冷却能力がより向上して、風上側と風下側との発熱素子200間の温度をより均一化できる。
【0045】
図6に示すように、第2実施形態例に係る冷却装置21に、側面視U字の部分の幅方向の寸法が、それぞれ、150mmの第1ヒートパイプ23−1、125mmの第1ヒートパイプ23−2、100mmの第1ヒートパイプ23−3を取り付け、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1000W、200W、2000Wの順で発熱素子200−1、200−2、200−3がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に4列実装されている場合を例にして、冷却装置21の冷却能力について説明する。
【0046】
図7に示すように、この場合、最も風上側に実装された発熱素子200と最も風下側に実装された発熱素子200との間の温度差は上記従来例1の温度差及び冷却装置1の温度差よりも低い3℃となり、2000Wの発熱素子200−3と2000Wの発熱素子200−3の隣に実装された200Wの発熱素子200−2との間の温度差は、冷却装置1の温度差と同じ値である10℃を維持した。なお、冷却装置1と同様に、冷却装置21でも、第1ヒートパイプ23のパイプ径は12.7mm、高さは170mmである。
【0047】
次に、本発明の第3実施形態例に係る冷却装置について、図8、9を用いながら説明する。第1実施形態例の冷却装置1では、それぞれの放熱フィン7は、受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に等間隔に並べられている。すなわち、冷却装置1では、放熱フィンピッチはいずれの部位も同じであったが、これに代えて、図8に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置31は、放熱フィンを等間隔に複数設けた放熱フィン群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数配置され、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きくなっている。
【0048】
本発明の第3実施形態例に係る冷却装置31は、冷却装置1と同様に、平板状の受熱ブロック32と、受熱ブロック32の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ33と、第1ヒートパイプ33に取り付けられた複数の放熱フィン37と、複数の第1ヒートパイプ33と熱的に接続された第2ヒートパイプ35とを備えている。また、第1ヒートパイプ33は、いずれも同じ寸法と形状を有しており、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように、直線上に複数(図9では6個)配列されて1つの第1ヒートパイプ群34が形成されている。さらに、この第1ヒートパイプ群34は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列(図9では19列)設けられている。第1ヒートパイプ群34は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態となっている。
【0049】
図9に示すように、冷却装置31は、冷却装置1と同様に、第2ヒートパイプ35は直線形状である。また、第2ヒートパイプ35は、受熱ブロック32表面部に、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数(図9では15個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群36が形成されている。
【0050】
一方で、図8に示すように、冷却装置31は、放熱フィン37を等間隔に並べた、すなわち、等しい放熱フィンピッチにて放熱フィン37を複数設けた放熱フィン群38が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数(図8では3個)縦列配置されている。冷却風の最も風上側に配置された放熱フィン群38−1の放熱フィンピッチが、その風下側に隣接して配置された放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチよりも大きくなっている。冷却風の最も風下側に配置された放熱フィン群38−3の放熱フィンピッチが、その風上側に隣接して配置された放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチよりも小さくなっている。すなわち、冷却風の風上側に配置された放熱フィン群38は、冷却風の風下側に配置された放熱フィン群38よりも、放熱フィンピッチが大きくなっている。
【0051】
冷却風の最も風上側に配置された第1放熱フィン群38−1には複数枚(図8では6枚)の第1放熱フィン37−1が設けられている。冷却風の風上側と風下側の中間部に配置された第2放熱フィン群38−2には、第1放熱フィン群38−1の第1放熱フィン37−1よりも枚数の多い(図8では11枚)第2放熱フィン37−2が設けられている。冷却風の最も風下側に配置された第3放熱フィン群38−3には、第2放熱フィン群38−2の第2放熱フィン37−2よりも枚数の多い(図8では21枚)第3放熱フィン37−3が設けられている。
【0052】
図8に示すように、第3実施形態例に係る冷却装置31では、第1放熱フィン群38−1と第2放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチが整数倍の関係、かつ第2放熱フィン群38−2と第3放熱フィン群38−3の放熱フィンピッチが整数倍の関係(図8では、第1放熱フィン群38−1、第2放熱フィン群38−2、第3放熱フィン群38−3のフィンピッチは4:2:1)に配置されている。各放熱フィン群38の具体的な放熱フィンピッチは、冷却装置31の必要とする冷却能力に応じて、適宜選択可能である。ここでは、第1放熱フィン群38−1の放熱フィンピッチは12mm、第2放熱フィン群38−2の放熱フィンピッチは6mm、第3放熱フィン群38−3の放熱フィンピッチは3mmである。
【0053】
さらに、第1放熱フィン群38−1、第2放熱フィン群38−2及び第3放熱フィン群38−3は、相互に放熱フィンピッチの位相が揃えられている。つまり、それぞれの第1放熱フィン37−1の同一平面上には、所定の第2放熱フィン群38−2の第2放熱フィン37−2及び所定の第3放熱フィン群38−3の第3放熱フィン38−3が配置されている。さらに第1放熱フィン37−1間の空隙を2等分する部位に別の第2放熱フィン37−2と第3放熱フィン38−3が配置されている。そして、第1放熱フィン37−1間の空隙を4等分する部位に、さらに別の第3放熱フィン37−3が配置されている。
【0054】
第3実施形態例に係る冷却装置31では、第1放熱フィン37−1の寸法は、幅450mm、長さ150mm、厚さ0.5mmであり、第1放熱フィン37−1間の空隙は12mm、第2放熱フィン37−2の寸法は、幅450mm、長さ350mm、厚さ0.5mmであり、第2放熱フィン37−2間の空隙は6mm、第3放熱フィン37−3の寸法は、幅450mm、長さ400mm、厚さ0.5mmであり、第3放熱フィン37−3間の空隙は3mmである。
【0055】
このような放熱フィンの配置とすることで、第2放熱フィン37−2、第3放熱フィン37−3が、冷却風の流れの障壁となるのを防止し、冷却風の風量及び風速が第2放熱フィン37−2、第3放熱フィン37−3の圧力を受けて損失してしまうのを抑えることができる。従って、第1放熱フィン群38−1中を通り抜けた冷却風が、第1放熱フィン群38−1の風下側に配置された第2放熱フィン群38−2中及び第2放熱フィン群38−2の風下側に配置された第3放熱フィン群38−3中に、円滑に流れて風下側の冷却能力がより向上する。さらに、風下側の放熱フィン群38ほど放熱フィン37の設置枚数が増えることで放熱フィン37の放熱面積が広がっていくので、この点からも風下側の冷却能力がより向上する構成となっている。この結果、風上側の冷却能力を損なうことなく風下側の冷却能力がより向上して、風上側と風下側との発熱素子300間の温度をより均一化できる。
【0056】
次に、本発明の第4実施形態例に係る冷却装置について、図10、11を用いながら説明する。上記各実施形態例に係る冷却装置1、21、31では、第1ヒートパイプ3、23、33は、いずれも、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向となるように配列されていたが、これに代えて、図10、11に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置51の第1ヒートパイプ53は、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して直交するように配列されている。これに応じて、上記各実施形態例では、第2ヒートパイプ5、25、35は、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交するよう取り付けられていたが、これに代えて、第4実施形態例に係る冷却装置51の第2ヒートパイプ55は、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して平行方向に取り付けられている。
【0057】
本発明の第4実施形態例に係る冷却装置51は、冷却装置1と同様に、平板状の受熱ブロック52と、受熱ブロック52の表面に鉛直方向に取り付けられた複数の側面視U字形状をした第1ヒートパイプ53と、第1ヒートパイプ53に取り付けられた複数の放熱フィン57と、複数の第1ヒートパイプ53と熱的に接続された第2ヒートパイプ55とを備えている。
【0058】
第4実施形態例に係る冷却装置51では、図11に示すように、第1ヒートパイプ53には、側面視U字の部分の幅方向の寸法が相対的に小さい第1ヒートパイプ53−1と、側面視U字の部分の幅方向の寸法が相対的に大きい第1ヒートパイプ53−2とが使用されている。冷却装置51では、第1ヒートパイプ53−1が、相互に、冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に並べられた領域を有し、同様に、第1ヒートパイプ53−2についても、相互に、冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に並べられた領域を有している。また、冷却装置1と同様、冷却装置51の第2ヒートパイプ55は直線形状である。第2ヒートパイプ55は、受熱ブロック52の表面部に、その長手方向が冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数(図11では6個)配置されて、1つの第2ヒートパイプ群56が形成されている。第2ヒートパイプ55は、第1ヒートパイプ53のU字形状の底部に位置するように配置されている。なお、第4実施形態例に係る冷却装置51では、風上側は、風下側と比較して相対的に冷却能力が高いことから、風上側に設けられた所定の第1ヒートパイプには、第2ヒートパイプ55は配置されていない。
【0059】
図10に示すように、冷却装置51は、放熱フィン57を等間隔に並べた、すなわち、等しい放熱フィンピッチにて放熱フィン57を複数設けた放熱フィン群58が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に複数(図10では2個)縦列配置されている。2個の放熱フィン群58について、放熱フィン57−1を有する風上側の放熱フィン群58−1の放熱フィンピッチは、放熱フィン57−2を有する風下側の放熱フィン群58−2の放熱フィンピッチの2倍となっている。また、放熱フィン群58−1の放熱フィンピッチと、風下側の放熱フィン群58−2の放熱フィンピッチとは、相互に、放熱フィンピッチの位相が揃えられている。
【0060】
第4の実施形態例に係る冷却装置51では、第1ヒートパイプ53の側面視U字状となっている側面部が、冷却風の流れ方向に対して直交するように配列され、第2ヒートパイプ55の長手方向が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に配列されることで、第2ヒートパイプ55が冷却風の流れ方向に対して平行方向の熱輸送を行なう。従って、冷却装置51は、上記各実施形態例に係る冷却装置1、21、31と同様に、発熱素子間の均熱効果、特に、冷却風の風上側の発熱素子と風下側の発熱素子との間の均熱効果を有する。
【0061】
図12に示すように、第4実施形態例に係る冷却装置51に、冷却風の流れ方向に対して直交する方向に1600W、800W、1500Wの順で発熱素子500−1、500−4、500−7がそれぞれ1つずつ配置された発熱素子群が、冷却風の流れ方向に対して平行方向に3列実装されている場合、すなわち、1600Wの発熱素子が風上側から風下側へ500−1、500−2、500−3と3列、800Wの発熱素子が風上側から風下側へ500−4、500−5、500−6と3列、1500Wの発熱素子が風上側から風下側へ500−7、500−8、500−9と3列、それぞれ実装されている場合を例にとって、冷却装置51の冷却能力を説明する。
【0062】
第4実施形態例に係る冷却装置51としては、受熱ブロック52の寸法は、幅500mm、長さ1000mm、厚さ25mmであり、54本設けた第1ヒートパイプ53−1の寸法は、パイプ径12.7mm、高さ170mm、側面視U字の部分の幅方向の寸法100mm、21本設けた第1ヒートパイプ53−2の寸法は、パイプ径12.7mm、高さ170mm、側面視U字の部分の幅方向の寸法150mmである。直線状である第2ヒートパイプ55の寸法は、パイプ径6mm、長さ400mmである。第1ヒートパイプ53と第2ヒートパイプ55のパイプの断面形状は、いずれも円形である。なお、放熱フィン57−1の枚数は20枚、放熱フィン57−2の枚数は39枚とし、その寸法は、いずれも幅450mm、長さ350mm、厚さ0.5mmとした。放熱フィン57−1間の空隙、すなわち放熱フィンピッチは6mmとし、放熱フィン57−2の放熱フィンピッチは3mmとした。
【0063】
上記第4実施形態例に係る冷却装置51では、最も温度が上昇した発熱素子500は、発熱素子500−6であり54.7℃、最も温度の上昇を抑えることができた発熱素子500は、発熱素子500−7であり47.3℃であった。従って、冷却装置51では、発熱素子500間の最大温度差は7.4℃であった。一方、上記冷却装置51について、第1ヒートパイプを側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して平行方向に配列を変更し、第2ヒートパイプをその長手方向が冷却風の流れ方向に対して直交方向に配列を変更した冷却装置では、最も温度が上昇した発熱素子500は、発熱素子500−6であり59.6℃、最も温度の上昇を抑えることができた発熱素子500は、発熱素子500−8であり52.4℃であった。従って、この冷却装置では、発熱素子500間の最大温度差は7.2℃であった。従って、側面視U字状となっている側面部が冷却風の流れ方向に対して直交するように、第1ヒートパイプ53が配列され、それに応じて、第2ヒートパイプ55が、冷却風の流れ方向に対して長手方向が平行方向に配列されても、上記各実施形態例に係る冷却装置1、21、31と同等程度の均熱効果を発揮する。
【0064】
次に、本発明の冷却装置の製造方法例について、図13を用いて説明する。ここでは、実施形態例1の冷却装置1を例にとって説明する。図13(a)に示すように、受熱ブロック2の表面には、側面視U字状の第1ヒートパイプ3の取り付け位置に対応する箇所に、それぞれ凹部11が形成されている。凹部11は、U字である第1ヒートパイプ3の底部と嵌合可能な寸法・形状となっている。また、直線状の第2ヒートパイプ5の取り付け位置に対応する箇所に、凹部11に対して直交方向にそれぞれ溝部12が形成されている。溝部12は、第2ヒートパイプ5全体が嵌合可能な寸法・形状となっている。溝部12の深さは凹部11の深さよりも、第1ヒートパイプ3のパイプ径の分だけ浅くなっている。
【0065】
まず、受熱ブロック2表面のそれぞれの凹部11に、第1ヒートパイプ3の底部をそれぞれ嵌め込むことで受熱ブロック2表面に対して鉛直方向に複数の第1ヒートパイプ3を立設、固定する(図13(b))。次に、受熱ブロック2表面のそれぞれの溝部12に、第2ヒートパイプ5を嵌め込むことで受熱ブロック2に複数の第2ヒートパイプ5を配置、固定する。このとき、溝部12の深さは凹部11の深さよりも、第1ヒートパイプ3のパイプ径の分だけ浅くなっているので、第1ヒートパイプ3の底部表面と第2ヒートパイプ5の表面が当接し、第1ヒートパイプ3と第2ヒートパイプ5が熱的に接続された状態となる(図13(c))。放熱フィン7には、第1ヒートパイプ3のパイプの断面形状に対応した形状の孔部(図示せず)が、第1ヒートパイプ3の寸法とその配置に対応した位置に設けられている。全ての凹部11に第1ヒートパイプ3を、全ての溝部12に第2ヒートパイプ5を、それぞれ設置後(図13(d))、設置された第1ヒートパイプ3を、放熱フィン7の孔部に嵌めて、放熱フィン7を第1ヒートパイプ3に取り付ける。このとき、第1ヒートパイプ3の表面が放熱フィン7の孔部内壁面と当接することで、第1ヒートパイプ3と放熱フィン7とが熱的に接続される(図13(e))。このように、受熱ブロックへ第1ヒートパイプと第2ヒートパイプを設置し、設置された第1ヒートパイプに放熱フィンを取り付けることで本発明の冷却装置を製造する。
【0066】
次に、本発明の冷却装置の使用方法を説明する。ここでは、本発明の上記実施形態例に係る冷却装置1、21、31が、移動体(例えば鉄道車両)に搭載された電気部品(例えば電力変換装置)を冷却する使用方法を例にとって説明する。鉄道車両の床下面には外部と遮断された電力制御用の筐体が固定され、筐体内には電力変換装置等、電力を制御するための各種電気部品が格納されている。これら電気部品は稼動時に発熱し、そのまま発熱を放置すると昇温して正常な作動ができなくなるばかりか、最悪の場合には素子が熱により破壊される可能性がある。そこで、これら電気部品を冷却する必要がある。
【0067】
冷却装置1、21、31の受熱ブロック2、22、32裏面側に前記電気部品(以下、発熱素子という)を当接させて受熱ブロック2、22、32と熱的に接続する。発熱素子が格納された筐体内には、冷却装置1、21、31に冷却風を供給するためのファンが設置されている。このとき、ファンから送風された冷却風の流れ方向が、受熱ブロック2、22、32表面に対して平行方向となるように、ファンと冷却装置1、21、31を設置する。なお、冷却装置31の場合には、さらに、放熱フィンピッチの大きい第1放熱フィン群38−1が冷却風の風上側となるように設置する。
【0068】
次に、本発明のその他の実施態様例について説明する。上記第1実施形態例〜第3実施形態例では、第2ヒートパイプは、冷却風の流れ方向に対して直交方向に直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプすべてに対して熱的に接続されていたが、第2ヒートパイプを熱的に接続する第1ヒートパイプは、冷却装置に実装する複数の発熱素子の発熱状態に応じて、適宜選択可能である。たとえば、上記態様に代えて、前記直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプすべてではなく、このうち、発熱素子間の温度差が大きい受熱ブロックの領域に熱的に接続された一部の第1ヒートパイプ間に特定して、第2ヒートパイプを配置してもよい。また、第4実施形態例では、風上側に設けられた所定の第1ヒートパイプには、第2ヒートパイプは配置されていなかった、すなわち、第2ヒートパイプは熱的に接続されていなかったが、風上側に設けられた第1ヒートパイプを含めた、冷却風の流れ方向に対して平行方向に直線上に並べられたそれぞれの第1ヒートパイプすべてに対して、第2ヒートパイプが熱的に接続されていてもよい。
【0069】
上記第1実施形態例〜第3実施形態例では、第1ヒートパイプ群は冷却風の流れ方向に対して直交方向に複数列設けられ、第1ヒートパイプ群は冷却風の流れ方向に対して平行方向に交互に特定間隔ずらした状態としたが、第1ヒートパイプの配置関係はこれに限定されず、適宜選択可能である。例えば、上記配置関係に代えて、第1ヒートパイプ群は、冷却風の流れ方向に対して直交方向以外の所定の角度ずらした状態にて複数列並べてもよい。この場合、第2ヒートパイプは、第1ヒートパイプのU字形状の底部の長手方向に対して、その長手方向が直交方向以外の所定の角度、すなわち、冷却風の流れ方向に対して直交方向以外の所定の角度を有するよう配置してもよい。
【0070】
上記各実施形態例では、第1熱伝導部材及び第2熱伝導部材として、いずれもヒートパイプを用いたが、これに代えて、熱伝導性に優れた金属、例えば、25℃の熱伝導率が100W/(m・K)以上である、アルミニウム、銅などを用いてもよい。また、上記各実施形態例では、側面視U字状の第1ヒートパイプの底部であって、該底部の放熱フィン側に第2ヒートパイプを配置したが、これに代えて、該底部の放熱フィン側とは反対側に第2ヒートパイプを配置してもよく、該底部の放熱フィン側と該底部の放熱フィン側とは反対側との両方に第2ヒートパイプを配置してもよい。
【0071】
上記各実施形態例では、第1ヒートパイプの形状は、側面視U字状であったが、これ代えて、側面視L字状でもよい。また、上記各実施形態例では、放熱フィンは等間隔に配置されていたが、放熱フィンの間隔に適宜変化を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
発熱量の異なる発熱素子が複数実装されても、各発熱素子間の温度が均一化され、冷却されにくい発熱素子の発生を防止できるので、多種類の発熱素子を冷却する冷却装置、例えば、鉄道車両に搭載された多数の発熱体を強制空冷で冷却する冷却装置などの分野で利用価値が高い。
【符号の説明】
【0073】
1、21、31、51 冷却装置
2、22、32、52 受熱ブロック
3、23、33、53 第1ヒートパイプ
5、25、35、55 第2ヒートパイプ
7、27、37、57 放熱フィン
8、28、38、58 放熱フィン群
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱素子に熱的に接続できる受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続された複数の第1熱伝導部材と、前記複数の第1熱伝導部材に熱的に接続された放熱フィンとを備え、前記受熱ブロックの表面に対して平行な方向に冷却風の流れが設定される冷却装置であって、
前記複数の第1熱伝導部材が第2熱伝導部材と熱的に接続され、該第2熱伝導部材を介して前記複数の第1熱伝導部材が相互に熱的に接続されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された複数のヒートパイプであることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された、複数の側面視U字状のヒートパイプであって、前記側面視U字の部分の幅方向の寸法が、前記冷却風の風下側に立設されたヒートパイプより前記冷却風の風上側に立設されたヒートパイプの方が大きい配列を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記第2熱伝導部材が、直線状ヒートパイプであることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記直線状ヒートパイプが、該直線状ヒートパイプの長手方向と前記側面視U字状のヒートパイプの側面とが直交する方向に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記放熱フィンが複数設けられた放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチの整数倍であることを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【請求項1】
発熱素子に熱的に接続できる受熱ブロックと、前記受熱ブロックに熱的に接続された複数の第1熱伝導部材と、前記複数の第1熱伝導部材に熱的に接続された放熱フィンとを備え、前記受熱ブロックの表面に対して平行な方向に冷却風の流れが設定される冷却装置であって、
前記複数の第1熱伝導部材が第2熱伝導部材と熱的に接続され、該第2熱伝導部材を介して前記複数の第1熱伝導部材が相互に熱的に接続されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された複数のヒートパイプであることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記複数の第1熱伝導部材が、前記受熱ブロックの表面に配列された、複数の側面視U字状のヒートパイプであって、前記側面視U字の部分の幅方向の寸法が、前記冷却風の風下側に立設されたヒートパイプより前記冷却風の風上側に立設されたヒートパイプの方が大きい配列を有することを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記第2熱伝導部材が、直線状ヒートパイプであることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記直線状ヒートパイプが、該直線状ヒートパイプの長手方向と前記側面視U字状のヒートパイプの側面とが直交する方向に設けられていることを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記放熱フィンが複数設けられた放熱フィン群が、前記冷却風の流れ方向に沿って複数縦列配置され、前記複数の放熱フィン群のうち、前記冷却風の風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記冷却風の風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチよりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記風上側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチが、前記風下側に配置された放熱フィン群の放熱フィンピッチの整数倍であることを特徴とする請求項6に記載の冷却装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2013−30736(P2013−30736A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−35333(P2012−35333)
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年2月21日(2012.2.21)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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