説明

処理液供給装置、処理液供給方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】処理液中に含まれるナノオーダーの微小なパーティクルを、効率よく除去する。
【解決手段】現像液ノズル142に現像液を供給する現像液供給装置190は、現像液貯槽201と、現像液ノズル142との間に設けられた中間貯槽203と、現像液に直流電圧を印加する電極204と、電極204に対して、極性反転自在に直流電圧を印加する電源ユニット205と、中間貯槽203へ洗浄液を供給する洗浄液供給管210と、中間貯槽203から洗浄液を排出する廃液管220と、を有している。電極204は、中間貯槽203に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に現像液や純水などの処理液を供給する処理液供給装置、処理液供給方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィー工程では、ウェハ上にレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布処理、レジスト膜を所定のパターンに露光する露光処理、露光されたレジスト膜を現像する現像処理などの一連の処理が順次行われ、ウェハ上に所定のレジストパターンが形成される。これらの一連の処理は、ウェハを処理する各種処理部やウェハを搬送する搬送機構などを搭載した基板処理システムである塗布現像処理システムで行われている。
【0003】
上述のフォトリソグラフィー工程に用いられる、現像液や純水、シンナーといった処理液をウェハに供給して塗布処理を行う塗布処理装置は、例えば図14に示すような処理液の供給装置300を備えている。処理液供給装置300は、例えば処理液貯槽301に貯留された処理液を、処理液供給管302を介して塗布処理装置の塗布ノズル303に供給する供給ポンプ304、処理液の供給及び停止を制御するバルブ305を備えている。また、処理液供給管302には、処理液を濾過するフィルタ306が設けられており、処理液中に浮遊する微細な異物(パーティクル)の除去が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−305256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年の半導体デバイスの微細化に伴い、ナノオーダーの微小な欠陥の制御が必要になってきている。そのため、従来それほど問題にならなかった数十nm程度の微小なパーティクルを処理液から除去することが求められている。この微小パーティクルが除去されずに処理液がウェハ上に供給されると、ウェハ上に微小パーティクルが残存し、ウェハの欠陥となってしまうためである。
【0006】
しかしながら、従来のフィルタでは、この数十nm程度の微小パーティクルを完全に除去することが困難である。この場合、フィルタのメッシュ数を小さくして対応することが考えられるが、メッシュ数の小さなフィルタの製作には高度な加工技術が必要となり、その結果コストが高くなってしまう。
【0007】
また、フィルタのメッシュ数を小さくすると、当該フィルタの差圧が大きくなり、さらに、目詰まりも生じやすくなるため、頻繁にフィルタのメンテナンスが必要になってしまうという問題がある。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、処理液中に含まれるナノオーダーの微小なパーティクルを、効率よく除去することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、基板に対して処理液を供給する供給ノズルに、処理液供給源から処理液供給管を通じて処理液を供給する処理液供給装置であって、前記処理液供給管における前記処理液供給源と前記供給ノズルとの間に設けられ、前記処理液供給源から供給された処理液を一旦貯留する中間貯槽を有し、
前記中間貯槽は、当該中間貯槽の内部に貯留された処理液に直流電圧を印加する電極と、前記電極に対して、極性反転自在に直流電圧を印加する電源ユニットと、前記中間貯槽へ洗浄液を供給する洗浄液供給管と、前記中間貯槽から洗浄液を排出する廃液管と、を有していることを特徴としている。
【0010】
一般に、処理液中のパーティクルは正か負のいずれかの電荷を帯電している。そして、本発明によれば、中間貯槽内に電極が設けられているので、当該電極に直流電圧を印加することで、従来のフィルタでは除去することが困難であった処理液中の微小パーティクルを電極により捕集することができる。また、洗浄液供給源から中間貯槽に洗浄液を供給するための洗浄液供給管と、中間貯槽から洗浄液を排出する廃液管を有し、電極に電圧を印加する電源ユニットが極性反転自在であるため、中間貯槽に洗浄液を供給する際に電極に印加する直流電圧の極性を反転させて電極に捕集されていたパーティクルを放出し、その後、洗浄液を廃液管から排出することで、電極により捕集されたパーティクルを速やかに中間貯槽の系外に排出することができる。このため、中間貯槽の内部を清浄に保つことができる。したがって、本発明によれば、従来のフィルタでは除去することが困難であった処理液中の微小なパーティクルを除去し、且つ従来のフィルタのように目詰まりによる交換作業が発生しないのでメンテナンスも容易となるため、効率のよいパーティクルの除去が可能となる。
【0011】
前記中間貯槽には、前記中間貯槽内部に貯留された処理液と前記電極とを相対的に移動させる撹拌機構が設けられていてもよい。
【0012】
前記電極は、メッシュ状に形成されていてもよい。
【0013】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、前記中間貯槽の底面に平行なメッシュ板状に形成されて、且つ前記中間貯槽の内側に設けられ、他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、前記撹拌機構は、前記中間貯槽の内部に設けられた方の極を上下方向に昇降させる昇降機構であってもよい。
【0014】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、メッシュ板状に形成され、且つ前記中間貯槽の内側に、鉛直方向に延伸して設けられた回転軸に沿って設けられ、他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、前記撹拌機構は、前記回転軸を回転させる回転機構であってもよい。
【0015】
前記電極は、前記中間貯槽の底面に平行で且つメッシュ板状に形成され、
前記電極の正極と負極は、前記中間貯槽の内側に、当該中間貯槽の高さ方向に沿って交互に複数配置されていてもよい。
【0016】
前記処理液供給管に複数の前記中間貯槽が並列に配置されていてもよい。
【0017】
別な観点による本発明は、基板に対して処理液を供給する供給ノズルに、処理液供給源から処理液供給管を通じて処理液を供給する処理液供給方法であって、前記処理液供給源から供給された処理液を、前記処理液供給管における、前記処理液供給源と前記供給ノズルとの間に設けられた中間貯槽に一旦貯留し、その後、前記中間貯槽に設けられた電極を介して、前記中間貯槽中の処理液に直流電圧を印加して処理液中の異物を電極に捕集し、その後、異物が除去された前記中間貯槽内の処理液を前記供給ノズルに供給し、前記供給ノズルへの処理液の供給を停止した後に、前記電極に印加した直流電圧の極性を反転又は前記電極への電圧の印加を停止し、その後、前記中間貯槽に洗浄液を供給して前記中間貯槽内を洗浄し、その後、前記中間貯槽内の洗浄液を、前記中間貯槽内の外部に排出することを特徴としている。
【0018】
少なくとも前記電極に電圧を印加している間は、前記中間貯槽内部に貯留された処理液と前記電極とを相対的に移動させてもよい。
【0019】
前記電極は、メッシュ状に形成されていてもよい。
【0020】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、前記中間貯槽の底面に平行なメッシュ板状に形成されて、且つ前記中間貯槽の内側に設けられ、他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、前記処理液と前記電極との相対的な移動は、前記中間貯槽の内部に設けられた方の極を上下方向に昇降させることにより行われてもよい。
【0021】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、メッシュ板状に形成され、且つ前記中間貯槽の内側に、鉛直方向に延伸して設けられた回転軸に沿って設けられ、他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、前記処理液と前記電極との相対的な移動は、前記回転軸を回転させることにより行われてもよい。
【0022】
前記電極は、前記中間貯槽の底面に平行で且つメッシュ板状に形成され、前記電極の正極と負極は、前記中間貯槽の内側に、当該中間貯槽の高さ方向に沿って交互に複数配置されていてもよい。
【0023】
前記処理液供給管には、前記電極を備えた複数の前記中間貯槽が並列に設けられ、前記供給ノズルに処理液を供給していた中間貯槽内を洗浄する際には、洗浄を行わない他の中間貯槽から前記供給ノズルに対して異物が除去された処理液の供給を開始することで、連続的に処理液を前記供給ノズルに供給してもよい。
【0024】
別な観点による本発明によれば、前記処理液供給方法を処理液供給装置によって実行させるために、当該処理液供給システムを制御する制御装置のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0025】
また別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、処理液中に含まれるナノオーダーの微小なパーティクルを、効率よく除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本実施の形態にかかる基板処理システムの内部構成の概略を示す平面図である。
【図2】本実施の形態にかかる基板処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図3】本実施の形態にかかる基板処理システムの内部構成の概略を示す側面図である。
【図4】現像処理ユニットの構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図5】現像処理ユニットの構成の概略を示す横断面の説明図である。
【図6】現像液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
【図7】電極に電圧を印加した場合の微小パーティクルの状態を示す説明図である。
【図8】電極に電圧を印加した場合の微小パーティクルの状態を示す説明図である。
【図9】他の実施の形態にかかる現像液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
【図10】他の実施の形態にかかる電極の配置の概略を示す説明図である。
【図11】他の実施の形態にかかる電極の配置の概略を示す説明図である。
【図12】他の実施の形態にかかる電極の配置の概略を示す説明図である。
【図13】他の実施の形態にかかる現像液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
【図14】従来の処理液供給装置の構成の概略を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる処理液供給装置を備えた基板処理システム1の内部構成の概略を示す説明図である。図2及び図3は、基板処理システム1の内部構成の概略を示す側面図である。なお、本実施の形態では、基板処理システム1が、例えば基板のフォトリソグラフィー処理を行う塗布現像処理システムであり、処理液が例えば塗布現像処理に用いられる、現像液、あるいは純水である場合を例にして説明する。
【0029】
基板処理システム1は、図1に示すように例えば外部との間でカセットCが搬入出される搬入出部としてのカセットステーション2と、フォトリソグラフィー処理の中で枚葉式に所定の処理を施す複数の各種処理ユニットを備えた処理部としての処理ステーション3と、処理ステーション3に隣接する露光装置4との間でウェハWの受け渡しを行う搬送部としてのインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。また、基板処理システム1は、当該基板処理システム1の制御を行う制御装置6を有している。
【0030】
カセットステーション2は、例えばカセット搬入出部10とウェハ搬送部11に分かれている。例えばカセット搬入出部10は、基板処理システム1のY方向負方向(図1の左方向)側の端部に設けられている。カセット搬入出部10には、カセット載置台12が設けられている。カセット載置台12上には、複数、例えば4つの載置板13が設けられている。載置板13は、水平方向のX方向(図1の上下方向)に一列に並べて設けられている。これらの載置板13には、基板処理システム1の外部に対してカセットCを搬入出する際に、カセットCを載置することができる。
【0031】
ウェハ搬送部11には、図1に示すようにX方向に延びる搬送路20上を移動自在なウェハ搬送装置21が設けられている。ウェハ搬送装置21は、上下方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、各載置板13上のカセットCと、後述する処理ステーション3の第3のブロックG3の受け渡し装置との間でウェハWを搬送できる。
【0032】
処理ステーション3には、各種ユニットを備えた複数例えば4つのブロックG1、G2、G3、G4が設けられている。例えば処理ステーション3の正面側(図1のX方向負方向側)には、第1のブロックG1が設けられ、処理ステーション3の背面側(図1のX方向正方向側)には、第2のブロックG2が設けられている。また、処理ステーション3のカセットステーション2側(図1のY方向負方向側)には、第3のブロックG3が設けられ、処理ステーション3のインターフェイスステーション5側(図1のY方向正方向側)には、第4のブロックG4が設けられている。
【0033】
例えば第1のブロックG1には、図2に示すように複数の液処理ユニット、例えばウェハWを現像処理する現像処理ユニット30、ウェハWのレジスト膜の下層に反射防止膜(以下「下部反射防止膜」という)を形成する下部反射防止膜形成ユニット31、ウェハWに処理液としてのレジスト液を塗布してレジスト膜を形成するレジスト塗布ユニット32、ウェハWのレジスト膜の上層に反射防止膜(以下「上部反射防止膜」という)を形成する上部反射防止膜形成ユニット33が下から順に4段に重ねられている。また、第1のブロックG1の最下段には、ブロックG1内の各液処理ユニットに各種処理液を供給するためのケミカル室34が設けられている。
【0034】
例えば第1のブロックG1の各ユニット30〜33は、処理時にウェハWを収容するカップFを水平方向に複数有し、複数のウェハWを並行して処理することができる。
【0035】
例えば第2のブロックG2には、図3に示すようにウェハWの熱処理を行う熱処理ユニット40や、ウェハWを疎水化処理する疎水化処理装置としてのアドヒージョンユニット41、ウェハWの外周部を露光する周辺露光ユニット42が上下方向と水平方向に並べて設けられている。熱処理ユニット40は、ウェハWを載置して加熱する熱板と、ウェハWを載置して冷却する冷却板を有し、加熱処理と冷却処理の両方を行うことができる。なお、熱処理ユニット40、アドヒージョンユニット41及び周辺露光ユニット42の数や配置は、任意に選択できる。
【0036】
例えば第3のブロックG3には、複数の受け渡しユニット50、51、52、53、54、55、56が下から順に設けられている。また、第4のブロックG4には、複数の受け渡しユニット60、61、62と、欠陥検査ユニット63が下から順に設けられている。
【0037】
図1に示すように第1のブロックG1〜第4のブロックG4に囲まれた領域には、ウェハ搬送領域Dが形成されている。ウェハ搬送領域Dには、例えばウェハ搬送装置70が配置されている。
【0038】
ウェハ搬送装置70は、例えばY方向、前後方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置70は、ウェハ搬送領域D内を移動し、周囲の第1のブロックG1、第2のブロックG2、第3のブロックG3及び第4のブロックG4内の所定のユニットにウェハWを搬送できる。ウェハ搬送装置70は、例えば図3に示すように上下に複数台配置され、例えば各ブロックG1〜G4の同程度の高さの所定のユニットにウェハWを搬送できる。
【0039】
また、ウェハ搬送領域Dには、第3のブロックG3と第4のブロックG4との間で直線的にウェハWを搬送するシャトル搬送装置80が設けられている。
【0040】
シャトル搬送装置80は、例えば図3のY方向に直線的に移動自在になっている。シャトル搬送装置80は、ウェハWを支持した状態でY方向に移動し、第3のブロックG3の受け渡しユニット52と第4のブロックG4の受け渡しユニット62との間でウェハWを搬送できる。
【0041】
図1に示すように第3のブロックG3のX方向正方向側には、ウェハ搬送装置90が設けられている。ウェハ搬送装置90は、例えば前後方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置90は、ウェハWを支持した状態で上下に移動して、第3のブロックG3内の各受け渡しユニットにウェハWを搬送できる。
【0042】
インターフェイスステーション5には、ウェハ搬送装置100が設けられている。ウェハ搬送装置100は、例えば前後方向、θ方向及び上下方向に移動自在な搬送アームを有している。ウェハ搬送装置100は、例えば搬送アームにウェハWを支持して、第4のブロックG4内の各受け渡しユニット、露光装置4にウェハWを搬送できる。
【0043】
次に、上述の現像処理ユニット30の構成について説明する。
【0044】
図4は、現像処理ユニット30の構成の概略を示す縦断面の説明図であり、図5は、現像処理ユニット30の構成の概略を示す横断面の説明図である。
【0045】
現像処理ユニット30は、図4に示すように内部を閉鎖可能な処理容器120を有している。処理容器120の第1の搬送アーム10の搬入領域に臨む側面には、図5に示すようにウェハWの搬入出口121が形成され、搬入出口121には、開閉シャッタ122が設けられている。
【0046】
処理容器120内の中央部には、図4に示すようにウェハWを保持して回転させるスピンチャック130が設けられている。スピンチャック130は、水平な上面を有し、当該上面には、例えばウェハWを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、ウェハWをスピンチャック130上に吸着保持できる。
【0047】
スピンチャック130は、例えばモータなどを備えたチャック駆動機構131を有し、そのチャック駆動機構131により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動機構131には、シリンダなどの昇降駆動源が設けられており、スピンチャック130は上下動可能である。
【0048】
スピンチャック130の周囲には、ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ132が設けられている。カップ132の下面には、回収した液体を排出する排出管133と、カップ132内の雰囲気を排気する排気管134が接続されている。
【0049】
図5に示すようにカップ132のX方向負方向(図5の下方向)側には、Y方向(図5の左右方向)に沿って延伸するレール140が形成されている。レール140は、例えばカップ132のY方向負方向(図5の左方向)側の外方からY方向正方向(図5の右方向)側の外方まで形成されている。レール140には、アーム141が取り付けられている。
【0050】
アーム141には、図4及び図5に示すように基板に対して現像液を吐出する、供給ノズルとしての現像液ノズル142が支持されている。アーム141は、図5に示すノズル駆動部143により、レール140上を移動自在である。これにより、現像液ノズル142は、カップ132のY方向正方向側の外方に設置された待機部144からカップ132内のウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該ウェハWの表面上をウェハWの径方向に移動できる。また、アーム141は、ノズル駆動部143によって昇降自在であり、現像液ノズル142の高さを調節できる。現像液ノズル142は、図4に示すように処理液供給装置としての現像液供給装置190に接続されている。
【0051】
また、レール140には、他のアーム150が取り付けられている。他のアーム150には、表面処理液としての純水を供給する純水ノズル151が支持されている。他のアーム150は、図5に示す、ノズル駆動部152によってレール140上を移動自在であり、純水ノズル151を、カップ132のY方向負方向側の外方に設けられた待機部153からカップ22内のウェハWの中心部上方まで移動させることができる。また、ノズル駆動部152によって、他のアーム150は昇降自在であり、純水ノズル151の高さを調節できる。純水ノズル151は、図4に示すように処理液供給装置としての純水供給装置200に接続されている。
【0052】
次に、現像処理ユニット30内の現像液ノズル142に対して処理液としての現像液を供給する現像液供給装置190の構成について説明する。図6は、現像液供給装置190の構成の概略を示す説明図である。なお、現像液供給装置190は、例えば図2に示したケミカル室24内に設けられている。
【0053】
現像液供給装置190は、現像液を貯留する、処理液供給源としての現像液貯槽201を有している。現像液貯槽201には、現像液ノズル142に現像液を供給するための現像液供給管202が設けられている。すなわち、現像液供給管202は、現像液貯槽201と現像液ノズル142を接続して設けられている。
【0054】
現像液貯槽201と現像液ノズル142との間には、現像液貯槽201から現像液供給管202を介して供給された現像液を一旦貯留させておく、中間貯槽203が設けられている。中間貯槽203は、例えば上部が開口した有底の円筒形状に形成されている。中間貯槽203は、バッファタンクとしての役割を果たしており、現像液貯槽201から供給される現像液が無くなった場合でも、中間貯槽203内に貯留されている現像液を現像液ノズル142に供給することができる。
【0055】
中間貯槽203の内部には、当該中間貯槽203内の現像液に直流電圧を印加する電極204が設けられている。電極204は、例えば平板状に形成されており、中間貯槽203内に正極と負極が所定の距離離間して配置されている。電極204には、当該電極204に直流電圧を印加する電源ユニット205が接続されている。電源ユニット205は、電極204への電圧の印加の開始、停止及び印加する電圧の極性の反転を行うことができる。
【0056】
中間貯槽203上部の開口には、図6に示すように中間貯槽203内に洗浄液を供給する洗浄液供給管210が設けられている。洗浄液供給管210の中間貯槽203側と反対側の端部には、洗浄液供給管210に洗浄液を供給する洗浄液供給源211が接続されている。なお、本実施の形態における洗浄液は例えば純水であるが、例えば現像液やシンナーなども使用可能であり、処理液の種類に応じて任意に選択が可能である。また、洗浄液供給管210には、中間貯槽203への洗浄液の供給を制御するバルブ212が設けられている。バルブ212は、例えばエアオペレーションバルブが用いられる。
【0057】
中間貯槽203の側面下方または底部、より具体的には、電極204の下方には、洗浄液供給管210から供給された洗浄液を中間貯槽203から排出する廃液管220が設けられている。廃液管220にはバルブ221が設けられており、当該バルブ221を開操作することで、中間貯槽203に供給された洗浄液を、廃液管220を介して排出することができる。バルブ221には、上述のバルブ212と同様に、例えばエアオペレーションバルブが用いられる。廃液管220の中間貯槽203に接続された側と反対側の端部には、廃液部222が設けられており、廃液管220から当該廃液部222に洗浄液が排出される。
【0058】
また、中間貯槽203の内部には、当該中間貯槽203内に貯留される現像液や洗浄液を撹拌する、撹拌機構としての撹拌機223が設けられている。この撹拌機223により、中間貯槽203内に、例えば中間貯槽の中心鉛直軸を中心とする現像液の旋回流を形成し、現像液と電極204とを相対的に移動させることができる。
【0059】
中間貯槽203の下流側の現像液供給管202には、図6に示すように、中間貯槽203の現像液を現像液ノズル142に圧送するポンプ230が設けられている。ポンプ230には、例えばチューブフラム式のポンプが用いられる。ポンプ230の下流側の現像液供給管202には、バルブ231が設けられている。バルブ231は、例えばエアオペレーションバルブが用いられる。
【0060】
上述した電源ユニット205による電極204への直流電圧の印加の制御、ポンプ230の駆動動作、各バルブの開閉動作は、制御装置6により制御されている。制御装置6は、例えばCPUやメモリなどを備えたコンピュータにより構成されており、例えばメモリに記憶されたプログラムを実行することによって、現像液供給装置190による現像液の供給や現像処理ユニット30における現像処理を実現できる。なお、現像液供給装置190による現像液の供給や、現像処理ユニット30における現像処理を実現するための各種プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータ読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御装置6にインストールされたものであってもよい。
【0061】
本実施の形態に係る基板処理システム1は以上のように構成されており、次に、以上のように構成された現像液供給装置190で行われる現像液ノズル142への現像液の供給及び現像処理ユニット30で行われる現像処理プロセスを、基板処理システム1全体で行われるウェハ処理のプロセスと共に説明する。
【0062】
ウェハWの処理においては、先ず、複数枚のウェハWを収容したカセットCがカセットステーション10の所定のカセット載置板13に載置される。その後、基板搬送装置21によりカセットC内の各ウェハWが順次取り出され、処理ステーション11の第3の処理装置群G3の例えば受け渡し装置53に搬送される。
【0063】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって第2のブロックG2の熱処理ユニット40に搬送され、温度調節される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって例えば第1のブロックG1の下部反射防止膜形成ユニット31に搬送され、ウェハW上に下部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、第2のブロックG2の熱処理ユニット40に搬送され、加熱処理が行われる。その後第3のブロックG3の受け渡しユニット53に戻される。
【0064】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置90によって同じ第3のブロックG3の受け渡しユニット54に搬送される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって第2のブロックG2のアドヒージョンユニット41に搬送され、疎水化処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によってレジスト塗布ユニット32に搬送される。
【0065】
レジスト塗布ユニット32においてウェハW上にレジスト膜が形成されると、ウェハWはウェハ搬送装置70によって熱処理ユニット40に搬送されて、プリベーク処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって第3のブロックG3の受け渡しユニット55に搬送される。
【0066】
次にウェハWは、ウェハ搬送装置70によって上部反射防止膜形成ユニット33に搬送され、ウェハW上に上部反射防止膜が形成される。その後ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理ユニット40に搬送されて、加熱され、温度調節される。その後、ウェハWは、周辺露光ユニット42に搬送され、周辺露光処理される。
【0067】
その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって第3のブロックG3の受け渡しユニット56に搬送される。次にウェハWは、ウェハ搬送装置90によって受け渡しユニット52に搬送され、シャトル搬送装置80によって第4のブロックG4の受け渡しユニット62に搬送される。その後、ウェハWは、インターフェイスステーション7のウェハ搬送装置100によって露光装置4に搬送され、露光処理される。
【0068】
次に、ウェハWは、ウェハ搬送装置100によって第4のブロックG4の受け渡しユニット60に搬送される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって熱処理ユニット40に搬送され、露光後ベーク処理される。その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって現像処理ユニット30に搬送され、現像される。なお、現像処理ユニット30における現像処理については後述する。現像終了後、ウェハWは、ウェハ搬送装置90によって熱処理ユニット40に搬送され、ポストベーク処理される。
【0069】
その後、ウェハWは、ウェハ搬送装置70によって第3のブロックG3の受け渡しユニット50に搬送され、その後カセットステーション2のウェハ搬送装置21によって所定のカセット載置板13のカセットCに搬送される。こうして、一連のフォトリソグラフィー工程が終了し、この工程が繰り返し行われる。
【0070】
次に、現像液供給装置190から現像処理ユニット30の現像液ノズル142へ現像液を供給し、現像処理ユニット30で現像液をウェハWに供給する一連の現像処理について説明する。
【0071】
先ず、現像処理に先立って、いわゆるプリウェット処理が行われる。プリウェット処理を行うにあたっては、先ず他のアーム150により待機部153の純水ノズル151がウェハWの上方まで移動される。その後、純水ノズル151から純水が供給され、ウェハWがプリウェット処理される。
【0072】
次に、制御装置6によってバルブ231を開くと共に、現像液貯槽201の内部を加圧する。そうすると、現像液貯槽201から中間貯槽203に現像液が圧送され、中間貯槽203に一旦貯留される。中間貯槽203内に所定量の現像液が貯留されると、次に、制御装置6によって、電源ユニット205を作動させ、電極204に直流電圧を印加する。また、電極204への電圧の印加と共に、撹拌機223を作動させる。これにより、中間貯槽203内の現像液が撹拌され、現像液は偏りなく電極204と接触する。このとき、図7に示すように、従来のフィルタでは除去できなかった、現像液中の微小なパーティクルPは、自身の持つ電荷に応じて電極204に引き寄せられて捕集される。これにより、中間貯槽203中の現像液から微小パーティクルPが除去される。
【0073】
その後、ポンプ230を作動させ、微小パーティクルPが除去された現像液を現像液ノズル142に供給する。次いで、現像処理ユニット30において、スピンチャック130に吸着されたウェハWをチャック駆動機構131によって回転させると共に、現像液ノズル142からウェハWに現像液を供給する。ウェハWに供給された現像液は、ウェハWの回転により生じる遠心力によってウェハWの表面の全体に拡散される。その後、ウェハWの回転が停止されて、現像処理が行われる。なお、電極204により現像液中の微小パーティクルPを除去した後は、撹拌機223を停止してもよい。
【0074】
現像液ノズル142からのウェハWへの現像液の滴下が終了した後、制御装置6によって現像液供給管202のバルブ231が閉じられる。次いで、純水ノズル151からウェハWに純水が供給され、ウェハW上の現像液が洗い流される。なお、純水ノズル151から供給されるのは、現像液と同様に、純水供給装置200により微小パーティクルPが除去された純水である。
【0075】
その後、純水の供給を停止して、純水ノズル151を待機部153へ退避させ、ウェハWを所定の回転数で所定の時間回転させ、スピン乾燥を行う。その後、ウェハWは搬送機構(図示せず)により現像処理装置1から搬送される。そして、現像処理ユニット30に新たにウェハWが搬入され、一連の現像処理が繰り返し行われる。
【0076】
現像処理を繰り返し行うと、電極204の表面には捕集された微小なパーティクルPが堆積する。このため、電極204の洗浄が行われる。電極204の洗浄にあたっては、先ず、撹拌機223を停止させ、次いで洗浄液供給管210のバルブ212を開き、中間貯槽203内に洗浄液を供給する。その後、制御装置6によって電源ユニット205により電極204に印加している直流電圧の極性を反転させる。これにより、例えば図8に示すように、電極204に引き寄せられていた微小パーティクルPを洗浄液中に放出する。次いで、洗浄液中に放出された微小パーティクルが電極204へ再付着しないように、電圧の印加を停止する。
【0077】
その後、制御装置6により廃液管220のバルブ221が開かれ、微小パーティクルPが含まれた洗浄液が廃液管220から排出される。これにより、電極204及び中間貯槽203内が洗浄され、この洗浄を所定の時間継続して行う。洗浄を継続する時間については、予め行う予備試験の結果に基づいて定められる。なお、微小パーティクルPは電荷を有しているので、例えば廃液管220、あるいは廃液部222に導電率計を設けて洗浄液の導電率を測定し、導電率が所定の値以下となった場合に洗浄を停止するようにしてもよい。
【0078】
中間貯槽203内の洗浄が終了すると、制御装置6によりバルブ212、221が閉じられる。その後、再び現像液貯槽201から中間貯槽203に現像液が供給され、一連の現像処理が繰り返し行われる。
【0079】
以上の実施の形態によれば、中間貯槽203に設けられた電極204に直流電圧を印加して従来のフィルタでは除去できない微小なパーティクルPを除去し、その後、電極204に印加する電圧の極性を反転させて微小パーティクルPを電極204から放出した状態で中間貯槽203内に洗浄液を供給するので、電極204により捕集された微小パーティクルPを中間貯槽203の系外に速やかに排出することができる。このため、中間貯槽203の内部を清浄な状態に保つことができる。したがって、本発明によれば、従来のフィルタでは除去することが困難であった、数十nm程度の微小なパーティクルPを現像液中から除去し、且つ従来のフィルタのように現像液供給管202内で目詰まりが生じることもないのでメンテナンスも容易となる。そのため、効率のよい微小パーティクルPの除去が可能となる。
【0080】
また、現像液供給管202に従来のようにフィルタを設ける必要がないため、当該現像液供給管202内の圧力損失を低減することができる。したがって、ポンプ230を小型化すると共に、その動力を低減することができる。
【0081】
また、中間貯槽203内に電極204を設けて微小パーティクルPを除去するようにしたので、現像液等の処理液の吐出動作と、処理液からの微小パーティクルPの除去動作を独立して行うことができ、より効果的に微小パーティクルPを除去できる。
【0082】
また、中間貯槽203内に撹拌機223を設けたので、中間貯槽203内に撹拌流を形成することができる。これにより、微小パーティクルPと電極204を偏りなく接触させることができるので、電極204を大型化することなく、効率よく電極204により微小パーティクルを除去することができる。
【0083】
なお、以上の実施の形態では、現像処理を一定回数繰り返した後に電極204の洗浄を行う場合の例について説明したが、電極204を洗浄する時期は任意に設定が可能であり、例えば、中間貯槽203内の現像液の液面が低下し、中間貯槽203に現像液を補充する際に行うようにしてもよい。また、電極204の洗浄についても上述の形態以外にも様々な手順で行うことが可能であり。例えば、電極204に印加する電圧の極性を反転させた後に廃液管220のバルブ221を開けて中間貯槽203に残留する現像液と共に微小パーティクルPを一旦排出し、その後バルブ221を閉じ、次いで洗浄液供給管210のバルブ212を開けて洗浄し、再度バルブ221を開けて洗浄液を排出するようにしてもよい。
【0084】
また、中間貯槽203や電極204の形状、現像液供給管202や廃液管220の配置設定により、中間貯槽203内で処理液の対流が自然に生じる場合は、撹拌機223は必ずしも設ける必要はない。
【0085】
なお、以上の実施の形態では、洗浄液を洗浄液供給配管210により直接中間貯槽203に供給していたが、例えば図9に示すように、洗浄液供給管210を中間貯槽203の上流側に位置する現像液供給管202に接続し、当該現像液供給管202を介して洗浄液を供給するようにしてもよい。
【0086】
また、廃液管220についても、中間貯槽203の下流側の現像液供給管202に接続して、当該現像液供給管202を介して洗浄液を供給してもよい。かかる場合、ポンプ230を作動させていない状態でも、廃液管220から自重により現像液または洗浄液が排出できるように、現像液供給管202は、図10に示すように、中間貯槽203の側面下方または底部であって、且つ電極204よりも下方に設けられる。
【0087】
なお、以上の実施の形態では、電極204は平板状であったが、電極の形状は、かかる例に限定されるものではなく、中間貯槽203の大きさや形状にあわせて任意に設定が可能である。例えば、現像液と電極204との接触面積を広げて電極204による微小パーティクルPの捕集効率を高めるために、電極204をメッシュ状に形成してもよい。
【0088】
メッシュ状の電極を用いる場合は、例えば図10に示すように、正極又は負極のいずれか一方の極を、中間貯槽203の底面に平行で且つ中間貯槽203の内側面の形状に沿ったメッシュ板状に形成した電極240を用いてもよい。かかる場合、電極240の他方の極は、中間貯槽203の外側面の形状に沿って形成され、当該中間貯槽203の外側に設けられる。電極240を用いる場合は、当該電極240を上下方向に昇降させる昇降機構241が設けられ、この昇降機構が撹拌機構として作用する。なお、図10では、図示の都合上、中間貯槽203の外側に設けられた電極240の一部のみを描図している。
【0089】
また、電極の他の形態として、例えば図11に示すように、中間貯槽203の内側に、鉛直方向に延伸して設けられた回転軸250に沿って設けられたメッシュ板状の電極251を用いてもよい。回転軸250は導電性の材料により形成され、回転機構252により中間貯槽203の周方向に沿って回転自在に構成されている。かかる場合、この回転機構252が撹拌機構として作用する。電極251の他方の極は、図10に示す電極240と同様に、中間貯槽203の外側面の形状に沿って形成され、当該中間貯槽203の外側に設けられる。
【0090】
図10、図11に示すように、電極240、251をメッシュ状に形成し、この電極240、251を中間貯槽203内で移動させることにより、中間貯槽203の液中の異物を偏りなく除去することができる。特に図10に示すように、中間貯槽203の底面と相似形のメッシュ板状の電極240を用いることで、例えば中間貯槽203内の現像液の液面が低下した場合であっても、電極240と現像液との接触面積を常に一定に維持することができるので、中間貯槽203内の現像液の残量に左右されることなく、効率的に微小パーティクルPを除去することができる。なお、図11においては、中間貯槽203の内部に設けられた側の電極251を、中間貯槽203の半径より短く描図しているが、この電極251の中間貯槽203の直径方向の長さについては任意に設定が可能である。
【0091】
また、例えば図12に示すように、中間貯槽203の底面に平行で且つメッシュ板状に形成された電極260の正極と負極を、中間貯槽203の内部に当該中間貯槽203の高さ方向に沿って交互に配置するようにしてもよい。かかる場合、中間貯槽203の下流側の現像液供給管202は、中間貯槽203上部から供給された現像液が、最も遠い場所に位置する電極260を通過した後に当該現像液が排出されるように配置されることが好ましい。具体的には、現像液供給管202は、例えば中間貯槽203の側面下方または底部に設けられる。こうすることで、現像液は中間貯槽203内を電極260の面を垂直に横切るように流れるため、撹拌機構を設けずとも、電極260により効率的に微小パーティクルPを除去することができる。
【0092】
特に、電極260を用いる場合、例えば中間貯槽203の上から下に向かう順に電極260のメッシュ数を小さくすることで、電極260に目詰まりが生じることを抑制できる。かかる場合、洗浄液供給管210は、例えば中間貯槽203の底部に設けられ、廃液管220は、例えば中間貯槽203の最上部に設けられた電極260の上方からオーバーフローして排出するようにしてもよい。こうすることで、メッシュの細かいほうからメッシュの粗いほうに向かう洗浄液の流れを形成することができるので、電極260で捕集した微小パーティクルPを効率的に除去することができる。
【0093】
なお、以上の実施の形態では、1つの現像液ノズル142に対して1つの中間貯槽203が設けられていたが、例えば図13に示すように、現像液供給管202に複数の中間貯槽203を並列に配置してもよい。並列に配置された各中間貯槽203の上流側及び下流側には、バルブ270がそれぞれ設けられ、当該バルブ270を操作することで、現像液ノズル142への現像液の供給をいずれの中間貯槽203から行うかを選択可能できる。かかる場合、1つの中間貯槽203及び電極204を洗浄する場合であっても、他方の中間貯槽203から、異物が除去された現像液を現像液ノズル142に供給できる。このため、中間貯槽203の洗浄の際に現像液の供給が停止することがなく、現像液ノズル142に異物が除去された現像液を連続的に供給することができる。なお、図13では2つの中間貯槽203を並列に設けているが、中間貯槽203の設置数は任意に設定可能である。また、例えば現像液ノズル142が複数設けられている場合は、現像液供給装置190を複数の現像液ノズル142の間で共用してもよい。
【0094】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものであり、例えば、レジスト液塗布前のプリウェットに用いられる、レジスト液の溶剤であるシンナーなどの他の処理液を供給する場合にも適用できる。また、本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、例えば半導体ウェハ等の基板に対して処理液供給する際に有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 基板処理システム
2 カセットステーション
3 処理ステーション
4 露光装置
5 インターフェイスステーション
6 制御装置
10 カセット搬入部
11 ウェハ搬送部
12 カセット載置台
13 載置板
20 搬送路
21 ウェハ搬送装置
30 現像処理ユニット
31 下部反射防止膜形成ユニット
32 レジスト塗布ユニット
33 上部反射防止膜形成ユニット
34 ケミカル室
40 熱処理ユニット
41 アドヒージョンユニット
42 周辺露光ユニット
70 ウェハ搬送装置
80 シャトル搬送装置
90 ウェハ搬送装置
100 ウェハ搬送装置
120 処理容器
130 スピンチャック
132 カップ
140 レール
141 アーム
142 塗布ノズル
190 現像液供給装置
200 純水供給装置
201 現像液貯槽
202 現像液供給管
203 中間貯槽
204 電極
205 電源ユニット
210 洗浄液供給管
211 洗浄液供給源
212 バルブ
220 廃液管
221 バルブ
222 廃液部
223 撹拌機
230 ポンプ
231 バルブ
240 電極
241 昇降機構
250 回転軸
251 電極
252 回転機構
260 電極
W ウェハ
D ウェハ搬送領域
C カセット
P 微小パーティクル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理液を供給する供給ノズルに、処理液供給源から処理液供給管を通じて処理液を供給する処理液供給装置であって、
前記処理液供給管における前記処理液供給源と前記供給ノズルとの間に設けられ、前記処理液供給源から供給された処理液を一旦貯留する中間貯槽を有し、
前記中間貯槽は、当該中間貯槽の内部に貯留された処理液に直流電圧を印加する電極と、
前記電極に対して、極性反転自在に直流電圧を印加する電源ユニットと、
前記中間貯槽へ洗浄液を供給する洗浄液供給管と、
前記中間貯槽から洗浄液を排出する廃液管と、を有することを特徴とする、処理液供給装置。
【請求項2】
前記中間貯槽には、前記中間貯槽内部に貯留された処理液と前記電極とを相対的に移動させる撹拌機構が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記電極は、メッシュ状に形成されていることを特徴とする、請求項1または2のいずれかに記載の処理液供給装置。
【請求項4】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、前記中間貯槽の底面に平行なメッシュ板状に形成されて、且つ前記中間貯槽の内側に設けられ、
他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、
前記撹拌機構は、前記中間貯槽の内部に設けられた方の極を上下方向に昇降させる昇降機構であることを特徴とする、請求項2に記載の処理液供給装置。
【請求項5】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、メッシュ板状に形成され、且つ前記中間貯槽の内側に、鉛直方向に延伸して設けられた回転軸に沿って設けられ、
他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、
前記撹拌機構は、前記回転軸を回転させる回転機構であることを特徴とする請求項2に記載の処理液供給装置。
【請求項6】
前記電極は、前記中間貯槽の底面に平行で且つメッシュ板状に形成され、
前記電極の正極と負極は、前記中間貯槽の内側に、当該中間貯槽の高さ方向に沿って交互に複数配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の処理液供給装置。
【請求項7】
前記処理液供給管に複数の前記中間貯槽が並列に配置されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の処理液供給装置。
【請求項8】
基板に対して処理液を供給する供給ノズルに、処理液供給源から処理液供給管を通じて処理液を供給する処理液供給方法であって、
前記処理液供給源から供給された処理液を、前記処理液供給管における、前記処理液供給源と前記供給ノズルとの間に設けられた中間貯槽に一旦貯留し、
その後、前記中間貯槽に設けられた電極を介して、前記中間貯槽中の処理液に直流電圧を印加して処理液中の異物を電極に捕集し、
その後、異物が除去された前記中間貯槽内の処理液を前記供給ノズルに供給し、
前記供給ノズルへの処理液の供給を停止した後に、前記電極に印加した直流電圧の極性を反転又は前記電極への電圧の印加を停止し、
その後、前記中間貯槽に洗浄液を供給して前記中間貯槽内を洗浄し、
その後、前記中間貯槽内の洗浄液を、前記中間貯槽内の外部に排出することを特徴とする、処理液供給方法。
【請求項9】
少なくとも前記電極に電圧を印加している間は、前記中間貯槽内部に貯留された処理液と前記電極とを相対的に移動させることを特徴とする、請求項8に記載の処理液供給方法。
【請求項10】
前記電極は、メッシュ状に形成されていることを特徴とする、請求項8または9のいずれかに記載の処理液供給方法。
【請求項11】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、前記中間貯槽の底面に平行なメッシュ板状に形成されて、且つ前記中間貯槽の内側に設けられ、
他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、
前記処理液と前記電極との相対的な移動は、前記中間貯槽の内部に設けられた方の極を上下方向に昇降させることにより行われることを特徴とする、請求項9に記載の処理液供給方法。
【請求項12】
前記電極の正極又は負極のいずれか一方の極は、メッシュ板状に形成され、且つ前記中間貯槽の内側に、鉛直方向に延伸して設けられた回転軸に沿って設けられ、
他方の極は、前記中間貯槽の外側に設けられ、
前記処理液と前記電極との相対的な移動は、前記回転軸を回転させることにより行われることを特徴とする、請求項9に記載の処理液供給方法。
【請求項13】
前記電極は、前記中間貯槽の底面に平行で且つメッシュ板状に形成され、
前記電極の正極と負極は、前記中間貯槽の内側に、当該中間貯槽の高さ方向に沿って交互に複数配置されていることを特徴とする、請求項8に記載の処理液供給方法。
【請求項14】
前記処理液供給管には、前記電極を備えた複数の前記中間貯槽が並列に設けられ、
前記供給ノズルに処理液を供給していた中間貯槽内を洗浄する際には、洗浄を行わない他の中間貯槽から前記供給ノズルに対して異物が除去された処理液の供給を開始することで、連続的に処理液を前記供給ノズルに供給することを特徴とする請求項8〜13のいずれかに記載の処理液供給方法。
【請求項15】
請求項8〜14の処理液供給方法を処理液供給装置によって実行させるために、当該処理液供給装置を制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−30709(P2013−30709A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167612(P2011−167612)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】