説明

分子接合を含むマイクロエレクトロニクス構造体の製造方法

シリコンと異なる第1の材料を表面として有する第1の構造体(1)を作製することと、この第1の構造体の表面に、IBS(イオンビームスパッタリング)によって、第2の材料からなり、自由表面を有する厚さ1ミクロン未満の少なくとも1層の被膜層(3)を形成することと、この自由表面を第2の構造体(4)の1つの面に分子接合することを含み、被膜層が第1および第2の構造体の接合層を構成する、マイクロエレクトロニクス構造体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子接合を含むマイクロエレクトロニクス構造体の製造方法に関し、特に、限定するものではないが、接合界面に沿った薄層の形成を含む製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
知られているように、「マイクロエレクトロニクス構造体」は、マイクロエレクトロニクス手段または技術を用いて作製される、特に、マイクロエレクトロニクス部品および/または光学部品および/またはマイクロメカニカル部品の製造方法に使用可能な素子またはアセンブリであって、そのような構造体は、これらの部品が形成できるように、基板、例えば、半導体材料の基板を備えており、場合によっては1つ以上の他の層または基板と組み合わされることもある。これらの方法は、単一の基板の場合であっても、この構造体名称を説明するものである、それ自体複数の層からなる基板群を介在させることが多い。
【0003】
このマイクロエレクトロニクス分野では、厚さが通常10分の数ミクロンから数ミクロン程度の薄層を形成することが一般的である。
【0004】
したがって、「Smart Cut」(R)法として知られる方法が、薄膜をドナー基板(または出発基板または出発構造体)から分離させ、レシーバ基板(または層)と称される別の基板(または層)に転写させることが可能になる(出発基板と最終レシーバ基板との間に、中間レシーバ基板が介在することもある)。この方法は、特に、米国特許第5374564号明細書(Bruel)および/またはその改良物(特に、米国特許第6020252号明細書(Aspar他)の文献を参照)によって取り上げられている。
【0005】
この目的のため、例えば、以下の工程が実行される:
1.ドナー基板の1つの面に、脆弱層を形成する微小空洞の高密度層を作製するのに十分な濃度でイオンを注入させるように、1種類以上のガス種(一般的には、水素および/または希ガス、例えば、ヘリウム)のイオンまたは原子を照射すること、
2.ドナー基板のこの面を中間または最終レシーバ基板に密着させること、
3.熱処理の適用および/または2つの基板間への剥離応力の付加によって(例えば、微小空洞層の深さで2つの基板間に刃を挿入すること、および/または引張応力および/またはせん断応力および/または曲げ応力の付加、および/または慎重に選択されたパワーと周波数の超音波またはマイクロ波などの電磁波の印加によって)、微小空洞の脆弱層の深さで分離すること、
4.ドナー基板を工程1から工程3を含むサイクルでさらに再利用すること。
【0006】
このようにしてドナー基板から分離された薄層が、中間レシーバ基板上に転写されると、ドナー基板からの分離によって解放された薄層の面を最終レシーバ基板に密着させることを含む次の工程群が存在し得る。
【0007】
基板(または構造体)は、非常に多様であり(表面上でもバルクにおいても)、シリコンである場合が多いが、他の半導体材料、例えば、ゲルマニウム、炭化ケイ素、シリコン−ゲルマニウム合金などの元素周期表のIV族の材料や、III−V族またはII族−VI族の材料(GaN、GaAs、InPなど)であることもある。
【0008】
ドナー基板とレシーバ基板との間の効果的な結合を作製する複数の方法が存在するが、分子接合(材料の付加がなく、したがって接着剤を全く介在しないために直接接合としても知られる)は、非常に高い機械的強度、良好な伝熱性、接合界面の均一な厚さなどを保証することが原則的に可能であるという点で、特に関心が高い結合方法である。
【0009】
ドナー基板が、上面に層または積層体が存在するベース基板であることはかなり標準的な技法である。したがって、シリコンドナー基板は、一般的に、ドナー基板の単純な熱処理によって得られる熱シリカ層で被覆されている。
【0010】
シリコン上に容易に形成されるそのような熱酸化物層の利点の1つは、非常に質の高い分子接合が得られることである。したがって、他の材料に対しても、効果的な分子接合をもたらすそのような酸化物層を形成する試みがなされていることは当然のことである。
【0011】
ところで、Ge、GaN、LiTaO、LiNbOなど、目標とする用途において使用可能な一部の材料は、特に熱の点で不安定な熱酸化物を作るため、その形成を回避することが好ましいと一般的に考えられている。しかしながら、少なくとも薄層を供与する部分に関するドナー基板の材料は、それ自体は、密着対象のレシーバ基板との良好な分子接合には不適合である場合がある。その場合、少なくとも1層の(予想される特定の種類の結合に関する)いわゆる接合層を介在させるよう準備しなければならないこともある。この場合、そのような接合層は、ドナー基板の表面を簡単に熱処理するだけでは得られないので、したがって特別の付着処理が必要とされる。
【0012】
したがって、安定した酸化物がない材料の場合、一般に、結合される基板の少なくとも一方に対して1層以上の薄層(一般に、10分の数ミクロンから数100ミクロンの厚さを有する)を付着するという手段が採られる。これらの薄層は、基板との良好な分子接合を可能にするだけでなく、薄層が付着される方の基板への付着力も良好であるように選択される。
【0013】
ところが、一部の材料(または材料の積層体)は、処理済みか否かにかかわらず(すなわち、部品製造工程、例えば、マイクロエレクトロニクス部品製造工程を経ているか否かにかかわらず)、通常は材料依存で200℃から700℃(両端値を含む)の間の臨界閾値を超える温度に耐えることができない。例えば、ゲルマニウムは、600℃を超えると、温度とともに不安定になる酸化物GeOが形成されるため、600℃より高い温度まで加熱されないようにする必要がある。そのような酸化物の形成が回避されなければならないことは明らかである。この結果として、もしあるとすれば、接合層の付着時に、ドナー基板を構成する材料のうちのいずれかの臨界閾値に達したり超えたりしないように注意することが必要になる。
【0014】
さらに、一部の材料は、イオン注入工程と接合工程との間で限界温度を超えて加熱されることができない。それを行えば、イオン注入層の深さで尚早に局部的分離が起こることで、気泡化や剥離といった現象を引き起こす可能性があるからである。そのような危険性は、例えば、GaNドナー基板の場合には350℃から、LiTaOドナー基板の場合には150℃から発生する恐れがある。
【0015】
ここで、上述の層転写技術によって基板規模で良好な膜転写(場合によっては回路の担持)を実現するためには、ドナー基板とレシーバ基板の両対向面の全体にわたって分子接合が発生する必要があるということであることに留意すべきである。これは、一般に「ウェハ接合」と呼ばれている。通常1J/m程度の高い接合エネルギーを特にシリコン基板を用いて得る方法が知られている。
【0016】
実際、熱酸化シリコン層のシリコン基板表面への分子接合の現象についての我々の広範な知識と、その高水準の接合品質は、この種類の層が、接合層の働きをする別の層の接合性能を評価するための基準となる場合が多いことを結果としてもたらしている。
【0017】
接合層の(一般的には親水性の)分子接合に対する全体的に良好な能力を保証する基準は、下位基板への付着力に加えて:
表面粗さが非常に低く、ウェハ全面にわたって均質であること、
接合層の材料の性質と、もしあれば、接合性能を補強するようその層に加えられる活性化の種類とに依存する、表面上に生成された水素結合が高濃度であること、
接合時点での対向面間の密着を制限する部位を構成する、表面上に付着あるいは表面に吸着された粒子が低濃度であることである。
【0018】
したがって、良好な接合の達成を求める際は、上記のパラメータの少なくとも一部を満足させるよう試みられている。
【0019】
付着後の接合層の粗さが高すぎる場合は、その粗さを、例えば、従来のように化学機械研磨によって低減して高い接合エネルギーに適合させることができる。要求される粗さは、シリコン上の1×1μmの領域を原子間力顕微鏡(AFM)で測定した場合で、通常、0.6nmRMS以下である。しかしながら、この作業は、要求された粗さを達成するために、研磨によって実質的に除去される量に等しい量だけ付着厚を増加させることを前提とする。しかしながら、付着物の厚さを増加させることが不可能な、あるいは、例えば、経済的理由で望ましくない状況も存在する。したがって、付着時にはもう粗さが低い接合層(特に、酸化物層)、さらには、高い接合エネルギーに直ちに適合し、上記の基準で得られるもの、すなわち、熱酸化シリコンに匹敵する接合層を付着できるようにするという要望がある。
【0020】
酸化物接合層を形成するために現時点で当業者にとって知られている解決策は、化学気相成長、例えば、プラズマ化学気相成長(PECVD)、または物理的気相成長(PVD)によって酸化物を付着させることにある。このような付着物は、密度と付着力を高めるため、一般に200℃から800℃の温度範囲で作製される。上述したように、一部の材料は、このような温度での処理に耐えることができない。
【0021】
さらに、このようにして分子接合の適用を目的として付着された酸化物は、いくつかの欠点を有する場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
よく見られる第1の欠点は、PECVDまたはPVD付着後の高い表面粗さに関する。この粗さの値は、一般に、少なくとも非常に薄い層(すなわち、本文脈では、数10ナノメートル程度の厚さを有する層)の場合に、付着層の厚さとともに増加する。この問題を軽減するためには、したがって、「平滑化」と呼ばれる、化学機械研磨やエッチングといった手段を採る必要がある。しかしながら、上述したように、そのような研磨は、付着層の厚さの一部を消滅させる。
【0023】
よく見られる第2の欠点は、CVD系酸化物付着物の、特に熱シリコン酸化物と比較して、相対的に低い密度に関する。しかるに、付着物の密度は、接合直前の表面上で活性化可能な高濃度の結合のおかげによる良好な接合能力と、何よりも、その後のアニーリング時、特に高温(600℃を超える、あるいは、例えば、GaN層のエピタキシャル成長の場合の1000℃を超える温度)での適用の場合に良好な熱安定性を保証する場合が多い。一般的に採用される解決策は、付着後に接合層をアニーリングすることである。しかしながら、この処理は常に可能であるわけではない。プロセスの温度適合性(尚早な分離が回避されなければならない上述の「Smart Cut(R)」法の場合など)や、存在する様々な材料の熱膨張係数(CTE)が違いすぎる場合(例えば、絶対値で20%を超える違い)があるからである。このような場合、アニーリングは、例えば、接合層内に引張または圧縮を引き起こし、結果として、表面粗さを増大させ、何よりも付着力を弱め、したがって分子接合能力を最小化する可能性がある。最終的には、低密度の酸化物付着物は、一般に不安定であり、その後の熱処理時に状態変化(部分結晶化、クリープなど)によって変質する可能性がある。膜転写プロセス時には、この酸化物劣化が、転写膜に多数の欠陥を発生させ、例えば、エピタキシャル適用例の場合には、接合界面を脆弱化させる。
【0024】
よく見られる第3の欠点は、CVD酸化物層に組み込まれた高濃度の水素に関しており、CVD法に固有のものである。水素濃度は、一般に、酸化物が付着される温度が低下するにつれて増加する。付着後のアニーリング時に、この種の層は、一般に、下位基板との接合界面で蓄積して多数の欠陥を発生させる可能性のある水素の一部を放出しながら、(緻密化によって)変質する。場合によっては、界面の欠陥周辺に蓄積したガスの圧力が高まることで、付着力の妨げになり、室温で予め接合されたウェハの分離を引き起こす壊滅的な分離力を発生させる可能性がある。
【0025】
上記の結果、一部の適用例に関して、基板上に最高で200℃程度の温度で良質の酸化物層を付着するとともに、基板に対する良好な付着力、付着後の低い表面粗さ、その後の高温(通常少なくとも1000℃程度)でのアニーリング工程時の良好な熱安定性、および十分な直接接合能力を同時に保証する方法は知られていない。したがって、処理済みか否かにかかわらず、1層以上の層からなる一部の種類の基板に酸化物を付着させることは不可能な場合がある。
【0026】
実際には、この要望は、酸化物層を作製する必要がある場合のみならず、より一般的に、酸化物であるか否かにかかわらず、上述の特性を有する層を基板上に付着する必要がある場合に存在する。
【課題を解決するための手段】
【0027】
この目的のため、本発明は、特定の種類の付着、特に酸化物の付着、すなわち、非常に低い温度(通常100℃未満、またさらには50℃未満)で発生可能なイオンビームスパッタリング(IBS)を利用することを提案する。発明者らは、IBSによって付着されたそのような酸化物層が、その後の基板との分子接合に非常に有益な特性を有すること、そのような層が、付着層が400nmあるいはそれ以上の厚さを有する場合であっても、付着後に非常に低い粗さと、(続いて緻密化アニーリング処理を施す必要なく)良好な熱安定性を与える良好な密度を有すること、さらに、そのような層付着に先行して、付着自体と同じ真空サイクルで、貼り合わせを促進させるレシーバ表面のエッチング工程、または他の層、例えば、1層以上の金属層(特に、Cr、Pt、Al、Ru、Ir)の積層を行い得ることに気づいてきている。
【0028】
イオンビームスパッタリング(IBS)は、イオンが、ソースによって生成され、スパッタされる材料に向かって加速されるPVD技術である。
【0029】
この特殊な技術は、付着層の良好な付着力を保証しながら低温(例えば、室温)で実施されることによって、層作製のための知られているPVD技術(上述を参照)と区別される。蒸着技術も低温で実行可能であるが、そのような付着力を発生させることはできない。
【0030】
このようにして加熱することなくイオンビームによって付着された酸化物は、付着工程の時から、標準的なCVD付着物よりも熱酸化シリコンに近い以下の形態学的および熱化学的特性を有する:
低い表面粗さ(熱酸化物の粗さ以下)、
高密度(CVDスパッタリングで得られる酸化物の密度以上)、
CVD酸化物の場合と熱酸化物の場合との間の固有の低シラノール(Si−OH)結合濃度、
場合によっては予め付着物界面に衝突するアシスト用イオンビームによって行われるインサイチュスカーリング(scouring)の結果による付着力の向上。
【0031】
これらの特性は、IBS系付着物に、マイクロエレクトロニクス構造体または基板の高い分子接合能力をもたらす。
【0032】
さらに、IBS系酸化物(SiO、TiO、Taなど)は、シリコンの熱酸化速度に近い非常に緩やかな速度(通常、約1オングストローム毎秒程度の速度)で付着されるので、付着厚の(1ナノメートル未満の範囲内までの)良好な制御が可能である。
【0033】
例えば、IBSによってシリコン上に作製されたシリコン酸化物と熱酸化物の形の場合の400nm付着物のそれぞれの表面粗さ値は、以下のとおりである:
0.22nmと0.25nmのRMS粗さ、および
2.22nmと2.60nmのPV粗さ。
【0034】
これらの粗さ値は、400nm厚の層上で、原子間力顕微鏡(AFM)の1×1μmの領域を用いて測定された(これらの種類の粗さは当業者には知られており、RMSは二乗平均平方根を表し、PVは高低差(peak−to−valley)を表す)。
【0035】
実際には、IBSでSiO、TiO、Taなどの層を作製することは、この技術が(緩やかな付着速度のおかげで)付着層の化学量(stoichiometry)と厚さの良好な制御を同時に可能にすることに関連する光学的特性(厚さ、特に屈折率)のために、光学または光電子工学分野で既に提案されている。SiOの場合は、特に、論文「Effect of the working gas of the ion−assisted source on the optical and mechanical properties of SiO2 films deposited by dual ion beam sputtering with Si and SiO2 as the starting materials」Jean−Yee WuおよびCheng−Chung Lee著、Applied Optics、第45巻、第15号、2006年5月20日、3510−3515ページを参照。
【0036】
しかしながら、当業者らは、そのような付着物が、例えば、層転写プロセス時の分子接合用の接合層として非常に興味深いものになる格別の品質を有するとはいまだに認識していない。
【0037】
上述したように、これらの層は、厚さが大きい場合(数100ナノメートル、さらには数10ミクロン)でも低い表面粗さと、高い密度(すなわち稠密度)と、高い熱安定性(例えば、CVD系の標準接合層に比べて層内に組み込まれた水素結合が低濃度であり、そのため、アニーリング時の水素ガス放出が低減され、良好な安定性がもたらされる)を同時に有する。
【0038】
したがって、全く同じ付着温度や、より低い温度であっても、IBS付着物は、分子接合層として従来使用されているCVD系酸化物よりもシラノール(Si−OH)型の結合が少ない。さらに、IBS層は(室温に近い)低温で付着可能であるため、それを使用することにより、それほど加熱可能ではない構造体(例えば、予めイオン注入された界面を有し、分離を誘発する可能性のある構造体(「Smart Cut(R)」法の場合など))にも分子接合層が作製可能である。
【0039】
IBS技術は、酸化物の付着のみならず、窒化物、金属種、酸窒化物(特に、SiO)などの付着も可能にする。
【0040】
したがって、本発明は:
表面に第1の材料を有する第1の構造体を作製することと、
この第1の構造体の表面に、イオンビームスパッタリング(IBS)によって、第2の材料からなり、自由表面を有する少なくとも1層の被膜層を形成することと、
この自由表面を第2の構造体の1つの面に分子接合することとを含む、マイクロエレクトロニクス構造体の製造方法を提案する。
【0041】
上述の定義は、以下に示すように、少なくとも1層の下位層が第1の構造体と被膜層との間に設けられており、すなわち、被膜層が(第1の材料からなる)第1の構造体の表面上に直接には形成されておらず、にもかかわらず、後者の表面のすぐ近くに形成されているので、1層以上の下位層を介して間接的ではあるが、第1の構造体の表面上に確かに位置している場合を包含することが指摘されなければならない。
【0042】
上記に説明したように、イオンビームスパッタリングは、低温で行われ、その後に非常に良質な分子接合の実現を可能にする特性を有する接合層を形成させる。
【0043】
したがって、本発明の方法を使用することにより、出発基板上に、ドナー基板(または構造体)とレシーバ基板(または構造体)との分子接合を可能にする少なくとも1層のIBS系の薄層を含む構造体が形成される。
【0044】
被膜層は、好ましくはスパッタリングによる付着が行われる容器内で、第1の構造体の表面をスカーリングした後に形成される。
【0045】
分子接合の前に、有利には別の被膜層が第2の構造体上にさらに形成される。この別の被膜層は、好ましくはイオンビームスパッタリングによって作製される。この別の被膜層は、第1の被膜層と同じ第2の材料で作製されることもできる。それにより、良好な分子接合が保証される。
【0046】
本発明の使用が有利には薄層の形成と組み合わせて行われ、すなわち、第1および第2の構造体の一方または両方に、微小空洞の埋め込み層を形成するようイオンが注入されるとともに、分子接合の後に、微小空洞の埋め込み層の深さでこの構造体の破面が引き起こされる。
【0047】
注目すべきは、付着工程時にイオン注入膜の収縮や分離を発生させる危険性なく、IBS層の形成前または後に、イオン注入工程が実行可能であることである。
【0048】
この第2の材料は、好ましくは酸化物、好ましくはシリコン酸化物である。より一般的には、接合層が、有利にはSiO、TiO、Ta、HfOなどから選択された酸化物の層からなっている。
【0049】
別の興味深い可能性は、この第2の材料が、窒化物、例えば、Si、TiN、WNおよびCrNからなる群から選択された窒化物であることである。
【0050】
さらに別の興味深い可能性は、第2の材料が、酸窒化物、例えば、シリコン酸窒化物であることである。酸窒化物中の酸素と窒素の組成比は、固定されている場合もあれば、層の厚さの範囲内で変化する場合もある(そのためには、イオンビームスパッタリングのパラメータを変えればよい)。
【0051】
さらに別の興味深い可能性は、第2の材料が、金属元素または金属合金、例えば、Cr、Pr、Al、RuおよびIrからなる群から選択された金属元素または金属合金であることである。
【0052】
特に興味深い変形例では、1層を超える層がドナー基板に付着される。すなわち、少なくとも1層の下位層が、有利にはイオンビームスパッタリングによって付着されて、被膜層の下方に存在している。興味深い一例は、この下位層が金属材料または金属合金で作製されるとともに、被膜層が酸化物からなるものである。その結果、埋め込み電極が形成される。
【0053】
接合層が有利には非晶質である。
【0054】
IBS層が上に形成される材料は、好ましくは元素周期表のIV族の材料、例えば、シリコンなどの半導体材料である。同様に、以下の材料のうちの1つ、すなわち、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ガリウム砒素、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムである場合もある。
【0055】
IBS酸化物接合層の厚さは、好ましくは数ナノメートルから数100ナノメートル間である。層の厚さが有利には1ミクロン未満、好ましくは多くても600ナノメートル程度である。
【0056】
実際にこのようにして得られた構造体は、約0.25nmRMS未満の表面粗さを有する。
【0057】
基板またはレシーバ構造体との接合を促進するために、IBS層の表面を、例えば、それ自体知られている方法で、化学機械研磨やUVオゾン処理によって、または反応性プラズマを用いて活性化させると有利である。
【0058】
したがって明らかながら、言い換えると、本発明は、第1の構造体と第2の構造体を分子接合することによってマイクロエレクトロニクス構造体を製造する方法(「マイクロテクノロジー」という表現が使用される場合もある)であって、イオンビームスパッタリングによって、2つの構造体の少なくとも一方の表面に厚さ1ミクロン未満の、好ましくは600nm未満の接合層が形成される方法を提案する。
【0059】
この接合層は、好ましくは下位構造体の構成成分である元素と異なる元素の酸化物、窒化物または酸窒化物である。この下位構造体は、有利には安定した熱酸化物がないシリコン以外の材料、特に、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ガリウム砒素、タンタル酸リチウムまたはニオブ酸リチウムなどからなっている一方、接合層は、好ましくはシリコン酸化物を含む。この接合層は、金属層によって、有利にはイオンビームスパッタリングによって付着された金属層によって、この下位構造体から離される場合もある。
【0060】
この接合層は、有利には電気絶縁体であり、分子接合は、有利には他方の構造体にイオンを注入する前工程によって得られた微小空洞層の深さにおいて、最高400℃程度の温度、好ましくは最高200℃程度で破面を形成する工程をその後に行うことにより、セミコンダクタオンインシュレータ型構造体を形成する。
【0061】
イオンビームスパッタリングを使用することが、Si−W合金に関連して下位のアイレットに対して接線方向に応力を加える層の形成に関する文献である、米国特許出願公開第2007/0017438号明細書に思いがけなくも記述されていることに留意されたい。しかし、そのような応力付加を実現するため、この層は、いかなる波動現象も妨げるように非常に厚くなっている(数ミクロンから数ミリメートルの間)。このことは、さもなくば効果的に分子接合されないような、2つの構造体間の良好な分子接合を可能にする接合層または付着層となるよう意図された薄い被膜(厚さ1ミクロン未満)の形成とは全く異なっている。さらに、上述の文献の教示は、接線方向の応力の元である層を形成することであるので、文献は、本発明が広い接合領域にわたって非常に高品質の分子接合を得ることに取り組んでいる技術的問題とは先験的に相容れないものである。明らかに、界面における接線方向応力の存在は、界面を脆弱化する傾向がある。
【0062】
したがって、本発明の文脈では、IBS層が、通常、埋め込み層となる接合層である一方、上記の文献において提案された非応力状態層は、表面層として解放された後、下位のアイレットの応力度を修正するためにエッチングおよび加熱されるようにのみ意図されている。
【0063】
本発明の目的、特徴および利点は、添付の図面に基づいて非限定の例示として示す以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】脆弱層を形成するイオン注入時のドナー基板の断面図である。
【図2】イオンビームスパッタリングによる層付着後の基板の断面図である。
【図3】分子接合後の基板の図である。
【図4】脆弱層の深さでの分離後の基板の図である。
【図5】新しいサイクルに備えるドナー基板の残部の図である。
【図6】イオンビームスパッタリング成膜装置の理論図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
図1から図5は、本発明を採用した方法の一例を表す。
【0066】
この方法は、以下の工程を含む:
少なくとも表面に(または、その上に薄層が付着されている場合には、表面のすぐ近くに)第1の材料を有する第1の構造体を構成する基板1を作製すること、
基板の1つの面1Aにイオン(または原子)を照射するためにイオン(または原子)を注入して、表面1Aとともに将来の薄層2を画定する微小空洞の埋め込み層1Bを作製すること(図1参照)、
低温でのイオンビームスパッタリングによって、第1の構造体の表面に酸化物層3を付着させること(図2参照)、
分子接合によって、第2の構造体を形成するレシーバ基板4を接合すること(図3参照)、
熱処理の適用および/または剥離応力の付加(例えば、適切なパワーと周波数の超音波またはマイクロ波の印加、あるいは工具の利用)によって、微小空洞の埋め込み層1Bの深さで破面を発生させ、ドナー基板の残部1’から層2を分離すること(図4参照)、
ドナー基板の残部1’を、場合によっては(ハッチング領域の)研磨を行った後に、再利用すること(図5参照)。
【0067】
図4および図5に示す起伏は、研磨の有益性を明示することのみを目的として完全に誇張されたものであることは言うまでもない。
【0068】
このように、この方法は、ドナー基板(または第1の構造体)1からレシーバ基板(または第2の構造体)4へ層(符号2)を転写する場合に、IBSによる数ナノメートルから10分の数ミクロンまでの制御された厚さを有する酸化物3を付着することからなる工程を含む。
【0069】
この付着は、「低温で」、すなわち、100℃未満の温度、通常は約40℃(この温度は、付着のために基板の表面温度に相当する)、または室温でさえ実行される。したがって、したがってこの付着物は、処理済みであろうとなかろうと、前工程の結果やドナー基板の表面の特性を損なう危険性なく、いかなる基板上にも作製可能である。
【0070】
図1から図5に示す例では、IBSによって付着されたこの層3は、接合層となる主要な機能を有する。しかしながら、特に以下のような他の機能をさらに有することもある:
電気絶縁層または熱絶縁層、
犠牲層(例えば、加速度センサや圧力センサなどのマイクロシステムを製造する場合)、
鏡または光学フィルタ層(それぞれ異なる性質および/または厚さの層を積層することによって光学的機能を導入する場合もあり)、
あらゆる機械的応力も補償する層(または積層体)、
埋め込み電極(例えば、基板と酸化物層との間の金属層)、
障壁層(例えば、TiN、WNなどの窒化物層)。
【0071】
このように、IBSによって付着される層を構成する材料は、(接合層を作製する場合は)酸化物であるが、あるいは窒化物、酸窒化物、金属元素、金属合金などの場合もある。
【0072】
IBS酸化物が、付着されるやいなや非常に良質の接合に適合する密度で、すでに非常に緻密であることから、IBS酸化物の緻密化処理を行う必要がないことに留意されたい。
【0073】
あるいは、IBS層の付着は、イオン注入前に行われる。
【0074】
ドナー基板の表面を前処理して、基板表面に付着される層の付着力を向上させるように、付着前にIBS成膜室内の洗浄を行えば有利である。そのような洗浄は、アルゴンイオン、キセノンイオンなどの中性イオンを表面に照射することからなる場合もある(この前処理は、スカーリングと呼ばれる場合もある)。
【0075】
このイオンビームスパッタリングは、その実施時に作用する特性に応じて、多くの具体的な方法で実施可能である。したがって、知られているRIBS(反応性IBS)技術が存在するが、他の代替法も使用可能である。
【0076】
特に、アシストビームをさらに使用するDIBS(デュアルIBS)技術も使用可能である。それにより、層の稠密度を向上させることができるが、必要に応じてさらにガス補給(top−up)(例えば、酸化物付着の場合には酸素補給)を行うことで、付着時の層の化学量を制御することもできる。
【0077】
図6は、例えば、一群の基板上に酸化シリコン被膜を形成する場合に、このDIBS技術を実施するよう適合された装置の理論図である。
【0078】
真空容器10内には、以下のものが配置されている(以下の数値は、例えば、OXFORD社の500型装置に対応する):
単一エネルギー(通常は、500eVから1500eVの間のエネルギー)陽イオンの空間的に確立されたビーム12を生成するイオンソース(スパッタリングソース)11。この場合、アルゴンイオンからなるビームが、付着される材料(この場合、SiO)からなるターゲット13に衝突する。スパッタされた種が、ターゲットに面する半空間に放出され、(この場合、遊星式支持体14Aに保持された)基板14上で集束して、図2の被膜層3を形成する(図6には図示せず)、
より低いエネルギー(通常、50eVから100eV)のイオンをビーム16状に放射するアシスト用ソース15。その目的は、基板上に付着される層の稠密度を向上させるとともに、付着時にこれら薄層の化学量を制御することである(この場合、ソース15からのイオン化中性ガス流の一部または全ての代わりに、形成される層と反応する酸素または他のガスを使用することも可能である)。このアシスト用ソースは、付着自体を始める前に基板をスカーリングするためのイオン束のソースとしても使用可能である)。
【0079】
成膜室の吸排気は、有利には粒子汚染や有機汚染を防止するよう「乾式に」行われる。真空限界は、通常、2.10トルである。
【0080】
0.1から1ミクロンの一般的な厚さを有する層が、アシスト用ソースを使用して、またはアシスト用ソースなしで作製可能である。実際には、このアシスト用ソースは、有利には基板表面をスカーリングするためにのみ、例えば、5分間使用される。上述したように、中性ガスは、アルゴンやキセノンであってもよい。
【0081】
上述のOXFORD社500型装置の運転条件の一例は、以下のように規定される:
成膜ガン(キセノン):電圧1000V、電流100mAおよび流速2.1sccm(標準立方センチメートル毎分)、
アシストガン(キセノン):電圧200V、電流20mAおよび流速6sccm、
流速4sccmの酸素を容器内に直接添加。
【0082】
ここで、IBS技術が、(PECVDやLPCVD技術の場合の100から1000オングストローム毎秒程度の付着速度に比べて、通常、1オングストローム毎秒程度の)非常に低い付着速度に対応し、そのことが高密度に貢献していることを忘れてはならない。
【0083】
薄い被膜の密度を評価する1つの方法は、被膜が化学エッチングされる速度を測定することである(被膜の密度は、この速度に反比例する)。
【0084】
以下に、様々な条件における様々な種類のSiO酸化物のエッチング速度を示す:
熱(1100℃で付着):850オングストローム/分、
IBS(100℃未満で付着):1050オングストローム/分、
LF−PECVD(約300℃で付着):1600オングストローム/分、
LPCVD(HTO−DCS)(約900℃で付着):1550オングストローム/分。
【0085】
前段落において、LFは「低周波数」を表し、HTO−DCSは「高温酸化膜ジクロロシロキサン」を表す。
【0086】
IBSによって得られる被膜のエッチング速度が熱酸化物の場合よりそれほど高くはなく、その結果、密度が熱酸化物の場合よりそれほど低くならないことに留意すべきである。その一方、このIBS被膜のエッチング速度は、CVD系の技術で得られる被膜の場合よりもかなり低く、したがって、その密度が大幅に高くなることが分かる。
【0087】
したがって、IBSによって付着される酸化物は、非常に低温で実施され、それによりいかなる種類の基板、特に処理済みの基板にも適合するという利点とともに、支持基板を構成する材料の酸化物でなくとも、熱酸化物に匹敵する接合品質を獲得することができる。
【0088】
分離後に得られた(レシーバ基板、酸化物層、およびドナー基板の残部から分離された薄層からなる)接合構造体に対して高温熱処理が施されると、酸化物層がそれほど緻密ではない場合(PECVDまたはLPCVD)には、酸化物層のガス放出や変質によって、転写された薄層に局所的な剥離、隆起、さらには剥落が発生する場合が多い。しかしながら、この欠点は、IBS付着物の場合には起こらず、高密度により、高温での優れた作用がもたらされ、したがって、構造体内の最終欠陥の数が低減される。
【0089】
図1から図5の例では、イオン注入は、第1の構造体において行われるか、あるいは第2の構造体において行われる(両方の構造体にイオン注入がある場合もある)。
【0090】
さらに、この例では、被膜層が第1の構造体の表面に形成され、かつ直接的に(したがって、その表面に第1の材料を有する基板の部分の上に直接に)形成される。あるいは、この被膜層は、第2の構造体上に作製される。あるいは、被膜層は、第1の構造体または第2の構造体の表面に対して間接的に、(場合によってはイオンビームスパッタリングによって)構造体の表面に形成された下層(または下位層)上に付着されることもある。2つの構造体のそれぞれに被膜層が存在することもある。
【0091】
本発明の適用例を以下に示す。
【0092】
実施例1
結晶性GaN(70Ga14N)基板に対して、以下の条件でHイオンが注入される:
エネルギー:60keV、
照射線量:3.5×1017cm−2
【0093】
その後、厚さ500nmから1ミクロンの間のSiO層が、イオン注入された基板上にIBSによって付着される。付着自体の工程に先立ち、GaN基板が、スカーリング工程によって、インサイチュで(IBS成膜容器内で)5分間洗浄される。
【0094】
その後、酸化物層を担持したGaN基板が、分子接合によってサファイア基板に接合される。この目的のため、酸化物層の化学機械研磨の後、例えば、接合されるウェハのブラッシングとリンスが行われる。
【0095】
あるいは、酸化物層の表面に対して、例えば、酸素プラズマを用いてプラズマ処理が施される。
【0096】
その後、200℃から400℃の範囲内の熱処理によって、イオン注入層の深さで破面が引き起こされる。このようにして、例えば、発光ダイオード(LED)を製造するために使用可能な安定なGaN/SiO/サファイア構造体が得られる。IBSによって得られた酸化物層は、その密度のために、LEDの活性層を形成するためのその後の高温エピタキシ工程(通常、1000℃から1100℃の間の温度)に完全に適している。
【0097】
実施例2
出発点は、結晶質LiTaOドナー基板である。
【0098】
その後、100nm厚のSiO層が、(スカーリング工程によるインサイチュでの5分間洗浄の後)IBSによってドナー基板上に付着される。
【0099】
その後、LiTaO基板に対して、以下の条件で、水素イオンが酸化物層を介して注入される:
エネルギー:60keV、
照射線量:8×1016cm−2
【0100】
その後、酸化物層を有するLiTaO基板が、分子接合によって、クロム接合層で被覆されたLiTaO基板に接合される。接合は、例えば、いわゆる「カロー酸」(HSO/H)槽を用いた化学洗浄によって達成される。
【0101】
その後、150℃で1時間の熱処理によって、イオン注入層の深さで破面が引き起こされる。このようにして、例えば、強誘電体メモリを製造するために使用可能なLiTaO/SiO/Cr/LiTaO構造体が得られる。
【0102】
実施例3
出発点はゲルマニウム基板である。
【0103】
その後、300nm厚のSiO層が、IBSによってドナー基板上に付着される。付着の前に、基板は、スカーリング工程によってインサイチュで56分間洗浄される。
【0104】
その後、基板に対して、以下の条件で、Hイオンが酸化物層を介して注入される:
エネルギー:80keV、
照射線量:6×1016cm−2
【0105】
その後、酸化物層を有する基板が、分子接合によって、熱酸化物層で被覆されたシリコン基板に接合される。この目的のため、酸化物層の化学機械研磨の後、例えば、ウェハのブラッシングとリンスが行われることが可能である。
【0106】
その後、330℃で1時間の熱処理によって、イオン注入層の深さで破面が引き起こされる。このようにして、例えば、マイクロエレクトロニクス部品を製造するために使用可能な、GeOI(ゲルマニウムオンインシュレータ)としても知られるGe/SiO/SiO/Si構造体が得られる。
【0107】
実施例4
出発点は、LiTaO基板であり、以下の条件でHイオンが注入され、
エネルギー:60keV、
照射線量:8×1016cm−2、かつ
以下の条件でHeイオンが注入される。
エネルギー:100keV、
照射線量:5×1016cm−2
【0108】
その後、IBSによって、100nm厚のクロム(または白金)層が付着され、場合によっては、200nm厚のSiO層も付着される。
【0109】
この基板が、IBSによって予め400nm厚のSiO層が付着されている別のLiTaO基板に対して、分子接合によって接合され、その後、化学機械研磨とブラッシングが行われる。
【0110】
200℃未満の温度で、例えば、機械的応力を付加することによって破面が引き起こされる。このようにして、LiTaO/電極/絶縁体/LiTaO構造体が得られる。
【0111】
場合によっては、自由表面上に被膜が付着され、その後、研磨される。
【0112】
実施例5
出発点は、LiNbOドナー基板である。
【0113】
この基板に、以下の条件でHeイオンが注入される:
エネルギー:250keV、
照射線量:3×1016cm−2
【0114】
その後、600nm厚のSiO層が、IBSによって付着される。
【0115】
SiOで被覆されたこの基板が、IBSによって600nm厚のSiO層で被覆された別のシリコン基板に対して、分子接合によって接合される。
【0116】
イオン注入層の深さで破面が引き起こされ、埋め込み絶縁層を含むSi/SiO/LiNbO構造体が作製される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面にシリコンを除く第1の材料を有する第1の構造体(1)を作製することと、
この第1の構造体の表面に、イオンビームスパッタリング(IBS)によって、第2の材料からなり、自由表面を有する厚さ1ミクロン未満の少なくとも1層の被膜層(3)を形成することと、
この自由表面を第2の構造体(4)の1つの面に分子接合することとを含み、被膜層が第1および第2の構造体の接合層を構成する、マイクロエレクトロニクス構造体の製造方法。
【請求項2】
イオンビームスパッタリング成膜用の容器と同じ容器内で第1の構造体の表面をスカーリングした後に、被膜層が形成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分子接合の前に、別の被膜層が第2の構造体上にさらに形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記別の被膜層が、イオンビームスパッタリングによって作製されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記別の被膜層が、第1の被膜層と同じ第2の材料で作製されることを特徴とする、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
第1および第2の構造体の一方または両方に、微小空洞の埋め込み層を形成するようイオンが注入されるとともに、分子接合の後に、400℃未満の温度で微小空洞の埋め込み層の深さで、この構造体の破面が引き起こされることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
第2の材料が酸化物であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
第2の材料がシリコン酸化物であることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
酸化物が、SiO、TiO、TaおよびHfOからなる群から選択されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
第2の材料が窒化物であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
第2の材料が、Si、TiN、WNおよびCrNからなる群から選択されることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第2の材料が、金属元素または金属合金であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
第2の材料が、Cr、Pt、Al、RuおよびIrからなる群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第2の材料が、シリコン酸窒化物であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
酸素と窒素の組成比が、層の厚さの範囲内で変化されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
被膜層を付着する前に、少なくとも1層の下位層がイオンビームスパッタリングによってさらに付着されることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
下位層が金属材料または金属合金で作製されるとともに、被膜層が酸化物であることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
被膜層が非晶質であることを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
第1の材料が半導体材料であることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
第1の材料が、ゲルマニウム、窒化ガリウム、ガリウム砒素、タンタル酸リチウムおよびニオブ酸リチウムからなる群の材料であることを特徴とする、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−503839(P2011−503839A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528449(P2010−528449)
【出願日】平成20年10月10日(2008.10.10)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001427
【国際公開番号】WO2009/087290
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(510099914)
【Fターム(参考)】