制御された圧力有する車輪及び圧力リザーバ
制御された圧力を有する車輪は:第1の圧力まで流体で満たされるようにしたタンク(4)と連結されたリム(2)と;前記リム(2)に装着され、基準温度において動作圧力まで膨らまされた内部容積(3’)を有するタイヤ(3)であって、前記動作圧力は前記第1の圧力よりも低い、タイヤ(3)と;前記タンク(4)、前記タイヤ(3)の内部容積(3’)及び外部環境との間の連通を確立するようにした、少なくとも1つのバルブアセンブリ(5)とを備える;前記バルブアセンブリ(5)は、互いに動作可能に連結されたコマンドバルブ(8)、排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)を備える;ここで:前記コマンドバルブ(8)は、前記タンク(4)とタイヤ(3)の前記容積(3’)との間の連通を制御し;前記排気バルブ(9)は、外部環境、前記内部容積(3’)、前記コマンドバルブ(8)及び補正バルブ(10)に接続され;前記補正バルブ(10)は、前記排気バルブ(9)及び前記コマンドバルブ(8)に接続される;ここで前記コマンドバルブ(8)は、前記コマンドバルブ(8)がタイヤの内部圧力の変化に反応する内部チャンバ(27)の圧力変化を通じて前記排気バルブ(9)及び前記補正バルブ(10)によって作動されるように、前記排気バルブ(9)及び前記補正バルブ(10)と連結された内部チャンバ(27)を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力が制御される車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
2輪又は4輪車用の車輪は、一般に所定動作圧力まで膨らまされる空気圧タイヤが装着されたリムを備える。
【0003】
前記タイヤは一般に、少なくとも1つのカーカスプライ及びカーカスプライに連結された少なくとも1つの輪状強化構造を有するカーカス構造、カーカス構造の半径方向外部位置の、エラストマー材料のトレッドバンド、カーカス構造とトレッドバンドとの間に挟まれたベルト構造、及びカーカス構造上の軸方向対向位置に配置された一対のサイドウォールを含む。
【0004】
チューブレスタイヤにおいて、タイヤ気密性は、一般に「ライナ」と呼ばれる前記カーカス構造の半径方向内部層によって確保される。使用時、例えば、前記ライナ(一般に完全な気密性ではない)を通過する自然の空気洩れのため、タイヤ内の圧力が低下するので、自動車の運転者は前記圧力の定期的な回復を実行しなければならない。
【0005】
長期間にわたりタイヤ圧を実質的に一定にするために、タイヤの動作圧力よりも高圧力の加圧ガス用のタンクを内蔵するリムの使用を検討する解決法が示唆された。適当に操作される1つ又はそれ以上のバルブによって、圧力は適時回復される。
【0006】
米国特許第6,601,625B2号明細書は、リムに一体化された圧縮空気タンクを備えた車輪を開示する。より詳しくは、外部源から圧縮空気を格納する高圧タンク、外部の供給源から高圧タンクに圧縮空気を流す第1の機械的バルブ、高圧タンクからタイヤの内部チューブに空気を通過させる第2の機械的バルブ、タイヤの内部チューブから空気を解放する第3のバルブ、及び高圧タンクから空気を解放する第4のバルブが開示される。前記特許に記載の車輪は、自動車運転者がタイヤを所望圧力に達するまで手動で膨らませる必要性が低減されるように、機械的にタイヤ圧を所定値の範囲内に保つ。タイヤ内の圧力が所定しきい値より低下すると、高圧タンク内に格納された空気がタイヤ内に解放されて、所望最小圧力に膨らまされたタイヤを維持するが、タイヤ内の圧力が所定しきい値を超えると、空気はタイヤから周囲環境に解放される。
【0007】
米国特許第4,067,376号明細書は、バーストの影響を最小限に抑えるために自動車の走行中にタイヤによって失われた空気を自動的に再注入するシステムを開示する。車輪は、高圧の大量の圧縮空気を格納するように適合された一体化環状ブラダで形成される。圧力安全バルブは、前記ブラダとタイヤとの間に配置され、タイヤ内の圧力が所定限度より低下する度に、ブラダからタイヤに空気を解放するように適合される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、周知の装置はタイヤの動作圧力の正確な調整ができず、その調整は二輪車と四輪車との両方の高性能に適しているタイヤにとって特に重要であることに気付いた。事実、自動車の接地性やハンドリングに対し、とりわけ高速度における混合走行路(mixed paths of travel)に関して、優れた状態のタイヤが要求され、それらの状態は、動作圧力についての真剣な管理なしでは得られない。最後に、正しく、一定の動作圧力を維持することは、トレッドバンドの不均一又は早期の磨耗の問題の回避をも可能にする。
【0009】
その結果、本出願人は、タイヤ内への圧縮空気の手動再充填が要求されることなく、例えば1年又はそれ以上の、長期間にわたってタイヤの内部圧力を効果的に制御するために、タイヤの動作圧力を回復させるステップを自動的に及び適時に、所望精度で実行させる必要があることに気付いた。
【0010】
さらに、パンクの場合に、可能な限り自動車の制御を確実にするに足る残留圧力を維持することができるシステムが利用可能でなければならない。本出願人によれば、この特徴は、タイヤと共にその圧力を使い切るタンクを提供することによって達成される。
【0011】
本出願人はしかしながら、機械的分野で精密且つ確実な解決法を見つけるために、上述のようにタイヤの動作圧力の回復を実行するために追加のセンサや電子装置で「車輪」システムを複雑化させない必要性を感じた。
【0012】
この目的に対し本出願人は、車輪のリムと連動した加圧流体のタンクと前記リムに装着されたタイヤとの間に少なくとも1つのバルブアセンブリが挿入されることにより上述の課題が克服でき、前記アセンブリの少なくとも1つのバルブがタンクとタイヤとの間の連通を可能にし、前記バルブが、タイヤ圧力の低下に応じて前記アセンブリの少なくとももう1つのバルブによって作動されるので、タイヤの動作圧力が所望の精度及び適時に回復されるようにできることを実証した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において、本発明は、リムに装着されたタイヤの内部圧力を制御する方法に関し、前記方法は:
−基準温度において動作圧力までタイヤの内部容積を膨らませるステップと;
−基準温度においてタイヤの動作圧力よりも高い第1の圧力まで圧縮された流体をリムと連動されたタンクに流入させるステップと;
−前記タイヤの内部圧力が前記動作圧力よりも低いと、前記タイヤの内部容積と前記タンクとの間の連通を確立しるステップと;
−タイヤの前記内部圧力が前記動作圧力と実質的に等しくなると、前記内部容積と前記タンクとの間の連通を停止させるステップと、
を含み、タイヤの内部容積とタンクとの間の連通を確立する前記ステップは、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ、排気バルブ及び補正バルブを含む少なくとも1つのバルブアセンブリによって実行され、排気バルブにタイヤの減圧を伝達するステップと;コマンドバルブを動作させ、動作圧力に実質的に等しい前記内部圧力をバルブにもたらすように、排気バルブを介してコマンドバルブ内の圧力を減少させるステップとを含み;
さらに前記連通を停止する前記ステップは:動作圧力に実質的に等しいタイヤの内部圧力を、排気バルブ及び補正バルブに伝達するステップと;前記連通を停止させるコマンドバルブを動作できるように、補正バルブを介してコマンドバルブ内の圧力を増加させるステップとを含む。
【0014】
タイヤ内の圧力変化が、重大な温度変化(例えば数十度程度)に起因する場合、周知の装置では、前記圧力変化が適当に補正されなくなることは、さらに指摘されるべきである。より詳しくは、外部温度の激しい低下の場合、各タイヤの内部圧力は、前記圧力が、周知のように、気体の法則に従い絶対温度に比例するので、減少する。本出願人は、タンクからタイヤまでの加圧流体(例えば、圧縮空気)の通路を介してのこのような低温度での圧力回復が、走行中、又は、とにかくタイヤ内の流体温度が再び上昇する場合に、過大圧力を伴うことに気付いた。この過大圧力は、正しい動作圧力を回復させるために、前に充填された空気の放出を生じさせ、それによってタンクの自立性(independence)を低減する。
【0015】
本方法の好ましい実施形態によれば、前記タイヤの内部容積を前記タンクと連通させる前記ステップは、しきい値温度よりも高い温度で行われる。
【0016】
他の好ましい実施形態において、前記コマンドバルブの動作は、弾性要素によって制御される。該弾性要素は、−50℃から+50℃までの範囲の温度低下に起因する内部タイヤ圧力の低下をうけて前記バルブの閉鎖部材が閉位置に維持されるように、前記温度範囲で変化する弾性定数Kを有する。
【0017】
異なる好ましい実施形態によれば、コマンドバルブと外部環境との間の前記接続は、外部環境との連通がもたらされる内部チャンバを有する前記排気バルブの第1の閉鎖部材を開くステップによって得られる。
【0018】
他の好ましい実施形態によれば、前記排気バルブの前記第1の閉鎖部材を開けることは、弾性要素によって制御される。該弾性要素は、−50℃から+50℃までの温度範囲の温度低下に起因するタイヤの内部容積の圧力低下をうけて前記第1の閉鎖部材及びチャンバが外部環境から隔離された状態に維持されるように、前記範囲内で変化する弾性定数Kを有する。
【0019】
本発明に従いこのようにして、加圧流体のタンクの動作期間が有利に増加されることが認識されよう。タンクから前記タイヤまでの流体(例えば、空気)の流入は、タイヤ圧力が外部温度の低下に起因して減少すると実質的に禁止されるので、温度上昇に起因するタイヤ内の過剰圧力及び/又はその場合の流体の流出が回避される。
【0020】
他の態様において、本発明は、制御された圧力を有する車輪に関し:
−第1の圧力まで流体で満たされるように適合されたタンクと連動されたリム;
−前記リムに装着され、基準温度において、前記第1の圧力よりも低い動作圧力まで膨らんだ内部容積を有するタイヤ;
−前記タンク、前記タイヤの内部容積、及び外部環境の間での連通を確立するように適合された少なくとも1つのバルブアセンブリを備え;
ここで前記バルブアセンブリは、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ、排気バルブ、及び補正バルブを備え、
ここで:
−前記コマンドバルブは、前記タンクとタイヤの前記内部容積との間の連通を制御し;
−前記排気バルブは、外部環境、前記内部容積、前記コマンドバルブ、及び補正バルブに接続され;
−前記補正バルブは、前記排気バルブ及び前記コマンドバルブに接続され;
ここで前記コマンドバルブは、前記コマンドバルブがタイヤの内部圧力の変化に応答する前記内部チャンバの圧力変化を通じて前記排気バルブ及び前記補正バルブによって作動されるように、前記排気バルブ及び前記補正バルブに接続された内部チャンバを備える。
【0021】
好ましい実施形態において、利用できる空間を最適化するために、前記タンクは前記リムに一体化される。
【0022】
他の実施形態において、最適な方法で有効容積を分割するために、前記タンクは、前記タンクの前記容積とタイヤの前記内部容積との間の比が約0.1と約0.4との間に含まれるような容積を取る。
【0023】
異なる実施形態において、前記比は約0.12と0.25との間に含まれる。
【0024】
異なる実施形態において、前記車輪は、前記タンクに動作可能に連動された膨張バルブを備える。
【0025】
本発明の他の特徴や利点は、本発明により圧力が制御され、補正される車輪の幾つかの好ましいが、限定されない実施形態の詳細な説明からより明白となる。
【0026】
この説明は、非限定的な例で示された、添付の図を参照して、以後詳述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1に示されるように、本発明による2輪車、又は4輪車用の車輪1は、内部容積3’を有するタイヤ3が装着されるリム2を備える。リム2と連動され、好ましくは前記リムに一体化されるのは、加圧流体を収容するのに適しているタンク4であり、前記流体は空気であるか又は、例えば窒素のような実質的に不活性のガスである。
【0028】
好ましい実施形態によれば、タイヤ3の動作圧力と完全に充填された前記タンク4内に存在する第1の圧力との間の比は、約0.1と約0.6との間、好ましくは約0.2と約0.4との間で変動する。
【0029】
他の好ましい実施形態によれば、前記タンク4の容積とタイヤの前記内部容積3’との間の比は、約0.1と約0.4との間、好ましくは約0.12と約0.25との間に含まれる。
【0030】
リム2は、半径方向外部位置に形成されたシート5’内の機械式のバルブアセンブリ5を収容することが好ましく、そのバルブアセンブリは、タンク4、タイヤ3の内部容積3’、及び外部環境との間の連通が得られるようにする。
【0031】
好ましくは、前記連通は、リム2の内側において、前記バルブアセンブリ5を前記タンク4に接続するダクト6を提供することによって得られる。さらに、バルブアセンブリ5がいったんそのシート5’に位置決めされると、車輪1に対するその軸方向内部端及び外部端がそれぞれタイヤの内部容積3’及び周囲環境と連通状態になる。
【0032】
膨張バルブ30は前記タンク4と動作可能に連動される。好ましい実施形態において(図示せず)、前記膨張バルブは、前記バルブアセンブリ5と一体である。
【0033】
図2に示されるように、第1の好ましい実施形態において、前記バルブアセンブリ5は、複数のダクトによって互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ8、排気バルブ9及び補正バルブ10のような、バルブアセンブリを構成する複数の要素が内部に形成される、好ましくは金属の円筒体7から成る。
【0034】
より詳しくは、コマンドバルブ8は、タンク4と内部容積3’の間の前記流体の流れを制御し;排気バルブ9は、外部環境及びコマンドバルブ8と連通状態にあり、内部容積3’を補正バルブ10に接続し;最後に、補正バルブ10は前記排気バルブ9及びコマンドバルブ8とも連通状態にある。
【0035】
ほとんど全ての動作条件において、内部容積3’及びタンク4は、互いに異なる圧力であって、外部環境に存在する環境圧力と異なる圧力を有することが認識されよう。ここ及び以下で示されるPT、PS及びPAは、タイヤ3、タンク4及び外部環境にそれぞれ存在する圧力であり、PTEは動作圧力、すなわち、タイヤ3の内部で維持されることが望まれる圧力を特定する。
【0036】
コマンドバルブ8は、ダクト12及び13を経由してタンク4(ダクト6経由)とタイヤ3の内部容積3’との間、及びダクト12、13、14を経由してタンク4(ダクト6経由)と排気バルブ9との間の通路を制御するニードル閉鎖部材11を備えている。
【0037】
コマンドバルブ8は、内部チャンバ27をさらに備えている;前記コマンドバルブ8の介入を調整できるように、閉鎖部材11と動作可能に連動された板状要素15が、前記チャンバの内側に向いている。これは、タンク4内にあるより高圧の流体が、タイヤ3の内部容積3’に完全には流入しないことが必要であり、ただし、所定の介入しきい値(intervention threshold)の動作圧力に回復するまで前記タイヤに流入しなければならないことが必要だからである。例えば、板状要素15の面積S15(ここで、及び以下では「面積」という用語によって有用な面積、すなわち、前記流体と接触できる表面を意図する)が、ダクト12に面する閉鎖部材11の部分の面積S11の約5倍となるように、前記面積S15に適当な大きさを与えることによって、いったん圧力PTEの回復が得られると、タイヤ3の内部容積3’に向かう流体の自然流動が回避される。事実、以下でより詳しく指摘されるように、圧力PTEは「先験的に(a priori)」知られており、最大許容圧力PSを固定した後、圧力PSが、上記例に従って、圧力PTEよりも略5倍超にならないようにすることが可能となる。最後に、前記板状要素15に作用する、弾性要素(好ましくは、ばね16)のプレロードは、前記コマンドバルブ8の(以下に示されるように第1の膨張時における)介入しきい値を決定し、閉鎖部材11に圧力が掛けられないとき、閉鎖部材11は閉位置に戻る。例えば、前記プレロードの値は、前記値を面積S11によって割ったもの(said value divided by area S11)が約0.08バールと0.12バールとの間に含まれ、好ましくは約0.1バールに等しくなるように固定される。この場合、0.1バールという前記値は第1の膨張時の前記介入しきい値の値となる。
【0038】
排気バルブ9は、第1のバルブ8と同様であり、正確にはそれは排気バルブ9の内部のチャンバ18と外部環境との間の前記流体の流れを制御するニードル閉鎖部材17を備える。前記閉鎖部材17の反対位置に、それと動作可能に連動される、他の閉鎖部材19があり、該閉鎖部材19は、タイヤ3の前記内部容積3’と前記補正バルブ10との間の接続を可能にし、ダクト14と、排気バルブ9を補正バルブ10に接続するもう1本のダクト20との間で、前記流体を流動させる。
【0039】
閉鎖部材19は、ダクト14、20及びチャンバ18の間に物理的に配置され、ダクト14側で面積S191を、チャンバ18側で面積S192をそれぞれ有する。弾性要素(好ましくは、ばね21)は、面積S191によって割った場合に、約0.4バールと約0.6バールとの間に含まれ、好ましくは約0.5バール(その値は、以下に示されるように、第1の充填ステップ時のバルブアセンブリ5の動作を調整する)に等しい力によって、閉鎖部材19の面積192に作用する。したがって、次のように書くことができる:
F21=0.5×S191
ここでF21は、ばね21によって発生された力である。
【0040】
排気バルブ9は、閉鎖部材19がダクト14、20と接触していないとき、ダクト14、20内に存在する圧力を受ける全面積は、S192よりも僅かに大きい、S191’となるように製造されるが、反対位置において閉鎖部材17はその閉位置に至る。
【0041】
最後に注目すべきは、ばね21によって加えられた力F21が、次の関係式を満たすことである:
(PT−0.1)×S191’=PT×S192+F21
【0042】
この等式は、ダクト14及び20内の圧力が少なくとも0.1バールだけPTEよりも低い(さらにチャンバ18内にPTEに等しい圧力が未だある)とき、閉鎖部材19の上昇行程を可能にする力の平衡を表す。この関係は、再度次のように記される:
F21=PT×(S191’−S192)−0.1×S191’
【0043】
注目すべきは、この力の平衡がゆえに、以下でより明らかにされるように、圧力低下に応じて前記タイヤ3を再充填するための介入しきい値を与えることである。
【0044】
補正バルブ10は、ダクト22及び23のそれぞれによって、コマンドバルブ8の内部チャンバ27に向かう流体、及び排気バルブ9のチャンバ18に向かう流体流を制御する。補正バルブ10内に提供されるのは、弾性要素、好ましくはばね25、と動作可能に連動された閉鎖部材24である。該弾性要素は、圧力PTEに実質的に等しい圧力が加えられるようなプレロードを有するように適合された状態で、標準に合わせられる(gauged)。
【0045】
第1の好ましい実施形態では、ダクト23に提供されるのは、例えば、ばねによって熱的に作動される熱補正バルブ26である。該ばねは、温度の関数である弾性定数を有する(例えば、以下で詳細に示されるように、形状記憶材料(SMA)から製造される)ので、例えば、約−30℃と約0℃との間に含まれる、所与の所定温度又は「しきい値温度」Tp未満で、ダクト23を通過する通路を遮断する
【0046】
ばね16、21、25のプレロードに関し、以下のことが指摘される。
【0047】
板状要素15及び閉鎖部材11に作用する力の間の力差としてのばね16のプレロードの選択は、タイヤ圧力PTから独立している。
【0048】
ばね21によって加えられた力は次の関係式:
P21=PT×(S191’−S192)−0.1×S191’
を満たす、但し、S191’はあまりS192と大差ないので、それは
S191’≒S192を意味し、ゆえに重大な誤りもなく前記力も圧力PTに依存しないと述べることも可能である。
【0049】
ばね25は、圧力PTEを実際に調整するものであり、そのために、ねじによるプレロード調整システムが有利に提供されるので、バルブを多目的に、すなわち、いかなる動作圧力のタイヤにも使用できるようにすることができる。
【0050】
タンク4及びタイヤ3の膨張が実行されるとき、初めにバルブアセンブリ5の各部分は、タイヤ3及びタンク4と比べて同圧力、すなわち、外部環境の圧力PAを有する。
【0051】
これらの条件下で、閉鎖部材11はその閉位置にあり、閉鎖部材19はダクト14とダクト20との間の通路を閉じ、閉鎖部材17は開状態にあり、外部環境をチャンバ18と連通状態にさせ、さらに閉鎖部材24は、ダクト20からダクト22及び23への通過を禁止する閉状態にある。最後に、熱補正バルブ26は、膨張が、Tpよりも高い、例えば、約0℃と約30℃との間に含まれる基準温度で起こるので、開状態にある。
【0052】
例えば前記膨張バルブ30(図1)を介して、加圧流体をタンク4に流入させることによって、圧力は、ダクト12内でも上昇し始める(図3)。圧力差、すなわちダクト12の内部における環境圧力に対する相対的圧力が0.1バールの値を上回る(図4)と直ちに、閉鎖部材11が、ダクト13及び14、ゆえにタイヤ3内への流体の通過を可能にする開状態に進むが、バルブアセンブリ5の全ての他の要素はPAに保つ。
【0053】
内部容積3’及びダクト12、13、14内の圧力差が0.5バールの値を上回ると、閉鎖部材17がその閉状態に至り、チャンバ18を外部環境から隔離させ、しかも閉鎖部材19はダクト14とダクト20との間の通過を可能にし(図5)、閉鎖部材24は、それが圧力PTEにプレロードされるまで、閉位置を維持する。
【0054】
定格又は動作条件下のタイヤ圧PTEに相当する差圧が実質的に上回っていると、すなわちタイヤ3が所望圧力にあると、閉鎖部材24は開状態に進み、流体は同じようにダクト22及び23内を流動し始める(図6)。より詳しくは、ダクト22は圧力をバルブ8の内部チャンバ27に伝達し、そこで、板状要素15(S15に等しい面積)と閉鎖部材11(面積S11)との間の面積比に関する前述のことに起因して、前記閉鎖部材11がその閉状態に至る;したがって、タイヤ3の膨張(約1.7バールと約5.5バールとの間に含まれる圧力までの)は停止し、タンク4の膨張は、約8.5バールと約10バールとの間に略含まれる初期又は第1の圧力まで進む。PSとPTEとの間の比に関する前の記述が、順守される、すなわち、PS/PTEが比S15/S11の値(ここで示された例では5に実質的に相当する)を上回らないことは理解されよう。
【0055】
同時に、ダクト23はチャンバ18をタイヤ3と同圧力にする。全てが圧力PTEにある、これらの条件下では、閉鎖部材19がその上方行程を実行しない、すなわち、力F21が面積S191’、S192の差に起因する効果を上回るに足らないので、それはその閉位置(図7)に達しない。
【0056】
本発明による車輪1が装備される自動車の運転中、一般に、例えばタイヤのカーカス構造の半径方向内部層の不完全な気密性のため、又はタイヤビードと、ビードが支えるリムフランジとの間の不完全な接着性のため、僅かな空気漏れが起こる。これらの圧力損失は一般に約0.1バール/月のものである。
【0057】
タイヤ3の内部容積3’が0.1バール超の圧力を失うと(図8)、閉鎖部材24がその閉位置に直ちに達し、ダクト20をダクト22及び23から隔離させる。ばね21の力F21は、ダクト20及び14を閉じる閉鎖部材19の上方行程を起こさせるに足る状態となり、同時に閉鎖部材17は、チャンバ18と外部環境との間の通路を開くので、チャンバ18は圧力PAにされる(図9)。
【0058】
この時点で、充填時と同じ動作サイクルが、実質的に進められる(図10);その間、ダクト23は、ダクト22と同じように環境的圧力にあるが、閉状態にある閉鎖部材24は、ダクト20をタイヤ3と同圧力に保つ。ダクト22に接続されたコマンドバルブ8の内部チャンバ27が同じように圧力PAになるので、閉鎖部材11が開き、ダクト12からダクト13及び14に、ゆえにタイヤ3に加圧流体を流入させることができる。この時点で、面積S191’への内部容積3’の圧力がばね21単体の力よりも大きいので、閉鎖部材19は再び開き、閉鎖部材17は閉じる。
【0059】
動作圧力PTEがいったんタイヤ3内で回復されると、閉鎖部材24が再び開いて、コマンドバルブ8内の圧力を再び上昇させる、前記バルブはしたがって閉鎖部材11をその閉位置に駆動させるので、タイヤ3は膨張の最終状態に到達できる(図7)。
【0060】
注目すべきは、コマンドバルブ8の内部は閉鎖部材11を開口させる環境的圧力にあり、ゆえに、タンク4の圧力が動作圧力PTEに達するまで前記タンク圧力を利用することが可能であることである。さらに、タンク4が圧力PTEに達し、タイヤ3がさらに空気が抜けた状態になると、閉鎖部材24はもはやその(PTEまでプレロードされる)開条件に届かないが、閉鎖部材19は閉じて、閉鎖部材17は開く。その結果、閉鎖部材11は上記理由で再び開き、タイヤ3はタンク4の全ての残留差圧を利用できるので、タイヤ収縮がより緩慢に起こるようにすることができる。
【0061】
換言すれば、これは、PTE未満でタイヤ3の内部容積3’及びタンク4が互いに連通状態のままであり、それら両者の収縮は同時に起こるので、同タイヤの自立性がより長くなることを意味する。
【0062】
最後に言及された利点は、本発明による車輪を使用する自動車の安全性に関し特に重要である。事実、パンクの場合、上記理由で、タンク4は、タイヤの内部容積3’との接触状態を保ち、それによって、自動車方向制御を失わせ得る内部圧力の急激な低下を防ぐ。
【0063】
時間(x軸)/圧力(y軸)線図で、図13に示されているのは、本発明による車輪及び従来形の車輪(タンクやバルブアセンブリを欠いており、タイヤに挿入された標準膨張/回復バルブのみを有する)に対し実施されたパンク試験の結果であり、両者の車輪は、0.06m3に等しいそれぞれのタイヤ内部容積及び2.5バールの初期圧力を有する。毎秒約0.029バールの初期圧力損失を引き起こすパンクをシミュレートすることによって、本発明による車輪(0.09m3の容積及び約9バールの初期圧力を有するタンクを備えた)において、約2分後に、約1.5バールの残留圧力が見られるのに対し、従来型車輪内では、約0.65バールだけの圧力が見られることが分かる。約165秒後には、本発明の車輪内の残留圧力は尚も約1.45バール程度のものであるが、従来型車輪内の前記圧力はゼロまで降下していた。
【0064】
このような段階的圧力降下が、運転者が自動車の制御を常に維持しながら安全に停止することを可能にすることは、容易に理解される。
【0065】
動作は、タイヤ温度が転がりのため増加するときでも確実にされる。それは、内部容積3’に収容された流体の温度がタンク4に収容された流体の温度よりも常に高いか又は等しいので、板状要素15に作用する力が、異なる対象面(S15、S11)に起因して(due to the different concerned surfaces(S15, S11))、閉鎖部材11に作用する力よりも常に大きくなるからである。
【0066】
逆に、内部容積3’の圧力が、洩れによるのではなく内部温度の低下のため(Tp未満)減少すると、ダクト23を閉じるバルブ26の介入がある。この場合、閉鎖部材19はダクト14及び20を閉じ、閉鎖部材17は開位置に達するが、外部環境では、バルブ26の下流のチャンバ18及びダクト23内にある流体のみが放出され、一方、ダクト22、ゆえにバルブ8の内部は前の圧力を維持するので、閉鎖部材11は開かず、それによって望ましくない膨張を回避できる。
【0067】
図11に示される、車輪1の第2の好ましい実施形態において、バルブ26は省かれる一方、ばね16は、形状記憶タイプの材料SMAから製造され、温度の低下で増加する弾性定数Kを意図している。
【0068】
この場合、温度が低下すると、タイヤ3内の圧力低下があり、ゆえに閉鎖部材17が開く。しかしながら、ダクト23の放出と同時に、ばね16の荷重増加がある。それは前記ばねの弾性定数の値が増加したからである。この現象をうけて、閉鎖部材11の開口は起こらないので、タンク4からタイヤ3の内部容積3’への流体の望ましくない通過が回避される。
【0069】
尚も図11で示される、異なる実施形態において、バルブ26は常に省かれ、ばね21は、温度の低下と共に減少する弾性定数Kを有する形状記憶材料SMAから製造される。
【0070】
温度が低下し、内部容積3’内の圧力が低下すると、ばね21の荷重の同時損失がある。それは前記ばねの弾性定数の値が減少したからである。閉鎖部材17は閉じられたままであり、ダクト23は放出されないので、いかなる開口命令もバルブ8の閉鎖部材11に届かない。
【0071】
より詳しくは、例えば図12に示されるのは、いかに前記弾性定数Kが温度に依存するかである;図12において、温度(x軸)/弾性定数Kの値(y軸)のグラフの前記依存性は、例えば−50℃と+50℃との間の所定温度範囲において、通常のばね鋼材料(すなわち、弾性定数はこの場合、実質的に温度から独立している)から製造されたばねに対し、x軸と実質的に平行な直線(鎖線)で表現され;逆に、上述の材料から製造されたばねに対し、前記範囲内の前記依存性は、増加又は減少関数で表現されることが分かる。
【0072】
好ましくは、本発明にしたがい、前記ばねの弾性定数Kは、約−50℃と約+50℃との間で大きく変化し、前記範囲は、好ましくは約−30℃と約+50℃との間、より好ましくは約−30℃と約+20℃との間に含まれる。
【0073】
特に、最後に言及の温度範囲(−30℃/+20℃)では、この定数Kの値は、ニッケル/チタン鋼(線径1.2mm、2本の有効コイル)から製造されたばね(図11の実施形態のばね21又は例えばバルブ26に採用されたばね)の場合、前記範囲の上端(+20℃)で見られる値に対し約26%だけ、より特定的には約5,500N/m(+20℃において)から約4,060N/m(−30℃において)まで、変化する。
【0074】
採用された材料は、いずれにしても、前記変化が、少なくとも−50℃と+50℃との間に含まれるか又はそれよりも狭い所定温度範囲において、約10%と約40%との間、好ましくは約20%と約30%との間に含まれるように、選択される。
【0075】
より厳密には、図11に示されたばね16及び21、及びバルブ26に任意に採用されたばねは、前記範囲の上端で測定された弾性定数の値(例えば+50℃(K+50℃))に対する少なくとも10%の差で、好ましくは40%以下の差で、前記範囲の上端で測定された弾性定数の値(例えば+50℃(K+50℃))と異なる、前記範囲の下端で測定された弾性定数の値(例えば−50℃(K−50℃))を有する。すなわち:
【数1】
及び
【数2】
これらの変数は20%と30%との間に含まれることが好ましい。つまり:
【数3】
及び
【数4】
【0076】
同関係は、例えば、−30℃/+50℃や−30℃/+20℃(従って、K−30℃及びK+20℃となるであろう)など、前に記載のもののように、より狭い温度範囲に対しても有効である。
【0077】
ニッケル/チタン鋼の、前に示された例では、ゆえに次のようになる:
【数5】
【0078】
前記好ましい解決法によれば、弾性定数の温度へのこの依存性は、前記所定温度範囲内の増加関数によって表される(図12)。
【0079】
同図12において、ばね用の伝統的な鋼、例えばUNI標準準拠の鋼クラスCから製造されたばねが、同温度範囲(−30℃/+20℃)で弾性定数Kの実質的に一定の値を有していることを、最終的に見ることができる。前記値は、+20℃において約14,000N/m、−30℃において約14,200N/mに実質的に等しい。そこから、(直径1.2mm、3.5個の有用コイルに対し)約1.43%に等しい変量ΔKを想定することができる。
【0080】
最後に、前記弾性定数がその範囲内で変化する、本発明にしたがって提供された範囲は、車輪1の通常動作の室温を実質的に含むことは理解されよう。これは、圧力低下が室温の変動に起因するだけである場合に閉鎖部材11がタンク4とタイヤ3の内部容積3’との間の連通を許可しないので、車輪1がそのような温度で動作しているとき、その車輪1は温度補償付き圧力制御を有することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明による車輪の部分断面側面図である。
【図2】図1に示された車輪の構成要素の垂直断面図である。
【図3】図2に示された構成要素の動作ステップを示す。
【図4】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図5】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図6】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図7】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図8】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図9】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図10】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図11】図1に示された車輪の構成要素の2つの代替実施形態の断面垂直図である。
【図12】温度変動に対する、本発明による前記車輪構成要素の弾性定数の変化を示すグラフである。
【図13】本発明による車輪や周知のタイプの車輪における、パンクの場合の時系列圧力変動を示すグラフである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力が制御される車輪に関する。
【背景技術】
【0002】
2輪又は4輪車用の車輪は、一般に所定動作圧力まで膨らまされる空気圧タイヤが装着されたリムを備える。
【0003】
前記タイヤは一般に、少なくとも1つのカーカスプライ及びカーカスプライに連結された少なくとも1つの輪状強化構造を有するカーカス構造、カーカス構造の半径方向外部位置の、エラストマー材料のトレッドバンド、カーカス構造とトレッドバンドとの間に挟まれたベルト構造、及びカーカス構造上の軸方向対向位置に配置された一対のサイドウォールを含む。
【0004】
チューブレスタイヤにおいて、タイヤ気密性は、一般に「ライナ」と呼ばれる前記カーカス構造の半径方向内部層によって確保される。使用時、例えば、前記ライナ(一般に完全な気密性ではない)を通過する自然の空気洩れのため、タイヤ内の圧力が低下するので、自動車の運転者は前記圧力の定期的な回復を実行しなければならない。
【0005】
長期間にわたりタイヤ圧を実質的に一定にするために、タイヤの動作圧力よりも高圧力の加圧ガス用のタンクを内蔵するリムの使用を検討する解決法が示唆された。適当に操作される1つ又はそれ以上のバルブによって、圧力は適時回復される。
【0006】
米国特許第6,601,625B2号明細書は、リムに一体化された圧縮空気タンクを備えた車輪を開示する。より詳しくは、外部源から圧縮空気を格納する高圧タンク、外部の供給源から高圧タンクに圧縮空気を流す第1の機械的バルブ、高圧タンクからタイヤの内部チューブに空気を通過させる第2の機械的バルブ、タイヤの内部チューブから空気を解放する第3のバルブ、及び高圧タンクから空気を解放する第4のバルブが開示される。前記特許に記載の車輪は、自動車運転者がタイヤを所望圧力に達するまで手動で膨らませる必要性が低減されるように、機械的にタイヤ圧を所定値の範囲内に保つ。タイヤ内の圧力が所定しきい値より低下すると、高圧タンク内に格納された空気がタイヤ内に解放されて、所望最小圧力に膨らまされたタイヤを維持するが、タイヤ内の圧力が所定しきい値を超えると、空気はタイヤから周囲環境に解放される。
【0007】
米国特許第4,067,376号明細書は、バーストの影響を最小限に抑えるために自動車の走行中にタイヤによって失われた空気を自動的に再注入するシステムを開示する。車輪は、高圧の大量の圧縮空気を格納するように適合された一体化環状ブラダで形成される。圧力安全バルブは、前記ブラダとタイヤとの間に配置され、タイヤ内の圧力が所定限度より低下する度に、ブラダからタイヤに空気を解放するように適合される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人は、周知の装置はタイヤの動作圧力の正確な調整ができず、その調整は二輪車と四輪車との両方の高性能に適しているタイヤにとって特に重要であることに気付いた。事実、自動車の接地性やハンドリングに対し、とりわけ高速度における混合走行路(mixed paths of travel)に関して、優れた状態のタイヤが要求され、それらの状態は、動作圧力についての真剣な管理なしでは得られない。最後に、正しく、一定の動作圧力を維持することは、トレッドバンドの不均一又は早期の磨耗の問題の回避をも可能にする。
【0009】
その結果、本出願人は、タイヤ内への圧縮空気の手動再充填が要求されることなく、例えば1年又はそれ以上の、長期間にわたってタイヤの内部圧力を効果的に制御するために、タイヤの動作圧力を回復させるステップを自動的に及び適時に、所望精度で実行させる必要があることに気付いた。
【0010】
さらに、パンクの場合に、可能な限り自動車の制御を確実にするに足る残留圧力を維持することができるシステムが利用可能でなければならない。本出願人によれば、この特徴は、タイヤと共にその圧力を使い切るタンクを提供することによって達成される。
【0011】
本出願人はしかしながら、機械的分野で精密且つ確実な解決法を見つけるために、上述のようにタイヤの動作圧力の回復を実行するために追加のセンサや電子装置で「車輪」システムを複雑化させない必要性を感じた。
【0012】
この目的に対し本出願人は、車輪のリムと連動した加圧流体のタンクと前記リムに装着されたタイヤとの間に少なくとも1つのバルブアセンブリが挿入されることにより上述の課題が克服でき、前記アセンブリの少なくとも1つのバルブがタンクとタイヤとの間の連通を可能にし、前記バルブが、タイヤ圧力の低下に応じて前記アセンブリの少なくとももう1つのバルブによって作動されるので、タイヤの動作圧力が所望の精度及び適時に回復されるようにできることを実証した。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様において、本発明は、リムに装着されたタイヤの内部圧力を制御する方法に関し、前記方法は:
−基準温度において動作圧力までタイヤの内部容積を膨らませるステップと;
−基準温度においてタイヤの動作圧力よりも高い第1の圧力まで圧縮された流体をリムと連動されたタンクに流入させるステップと;
−前記タイヤの内部圧力が前記動作圧力よりも低いと、前記タイヤの内部容積と前記タンクとの間の連通を確立しるステップと;
−タイヤの前記内部圧力が前記動作圧力と実質的に等しくなると、前記内部容積と前記タンクとの間の連通を停止させるステップと、
を含み、タイヤの内部容積とタンクとの間の連通を確立する前記ステップは、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ、排気バルブ及び補正バルブを含む少なくとも1つのバルブアセンブリによって実行され、排気バルブにタイヤの減圧を伝達するステップと;コマンドバルブを動作させ、動作圧力に実質的に等しい前記内部圧力をバルブにもたらすように、排気バルブを介してコマンドバルブ内の圧力を減少させるステップとを含み;
さらに前記連通を停止する前記ステップは:動作圧力に実質的に等しいタイヤの内部圧力を、排気バルブ及び補正バルブに伝達するステップと;前記連通を停止させるコマンドバルブを動作できるように、補正バルブを介してコマンドバルブ内の圧力を増加させるステップとを含む。
【0014】
タイヤ内の圧力変化が、重大な温度変化(例えば数十度程度)に起因する場合、周知の装置では、前記圧力変化が適当に補正されなくなることは、さらに指摘されるべきである。より詳しくは、外部温度の激しい低下の場合、各タイヤの内部圧力は、前記圧力が、周知のように、気体の法則に従い絶対温度に比例するので、減少する。本出願人は、タンクからタイヤまでの加圧流体(例えば、圧縮空気)の通路を介してのこのような低温度での圧力回復が、走行中、又は、とにかくタイヤ内の流体温度が再び上昇する場合に、過大圧力を伴うことに気付いた。この過大圧力は、正しい動作圧力を回復させるために、前に充填された空気の放出を生じさせ、それによってタンクの自立性(independence)を低減する。
【0015】
本方法の好ましい実施形態によれば、前記タイヤの内部容積を前記タンクと連通させる前記ステップは、しきい値温度よりも高い温度で行われる。
【0016】
他の好ましい実施形態において、前記コマンドバルブの動作は、弾性要素によって制御される。該弾性要素は、−50℃から+50℃までの範囲の温度低下に起因する内部タイヤ圧力の低下をうけて前記バルブの閉鎖部材が閉位置に維持されるように、前記温度範囲で変化する弾性定数Kを有する。
【0017】
異なる好ましい実施形態によれば、コマンドバルブと外部環境との間の前記接続は、外部環境との連通がもたらされる内部チャンバを有する前記排気バルブの第1の閉鎖部材を開くステップによって得られる。
【0018】
他の好ましい実施形態によれば、前記排気バルブの前記第1の閉鎖部材を開けることは、弾性要素によって制御される。該弾性要素は、−50℃から+50℃までの温度範囲の温度低下に起因するタイヤの内部容積の圧力低下をうけて前記第1の閉鎖部材及びチャンバが外部環境から隔離された状態に維持されるように、前記範囲内で変化する弾性定数Kを有する。
【0019】
本発明に従いこのようにして、加圧流体のタンクの動作期間が有利に増加されることが認識されよう。タンクから前記タイヤまでの流体(例えば、空気)の流入は、タイヤ圧力が外部温度の低下に起因して減少すると実質的に禁止されるので、温度上昇に起因するタイヤ内の過剰圧力及び/又はその場合の流体の流出が回避される。
【0020】
他の態様において、本発明は、制御された圧力を有する車輪に関し:
−第1の圧力まで流体で満たされるように適合されたタンクと連動されたリム;
−前記リムに装着され、基準温度において、前記第1の圧力よりも低い動作圧力まで膨らんだ内部容積を有するタイヤ;
−前記タンク、前記タイヤの内部容積、及び外部環境の間での連通を確立するように適合された少なくとも1つのバルブアセンブリを備え;
ここで前記バルブアセンブリは、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ、排気バルブ、及び補正バルブを備え、
ここで:
−前記コマンドバルブは、前記タンクとタイヤの前記内部容積との間の連通を制御し;
−前記排気バルブは、外部環境、前記内部容積、前記コマンドバルブ、及び補正バルブに接続され;
−前記補正バルブは、前記排気バルブ及び前記コマンドバルブに接続され;
ここで前記コマンドバルブは、前記コマンドバルブがタイヤの内部圧力の変化に応答する前記内部チャンバの圧力変化を通じて前記排気バルブ及び前記補正バルブによって作動されるように、前記排気バルブ及び前記補正バルブに接続された内部チャンバを備える。
【0021】
好ましい実施形態において、利用できる空間を最適化するために、前記タンクは前記リムに一体化される。
【0022】
他の実施形態において、最適な方法で有効容積を分割するために、前記タンクは、前記タンクの前記容積とタイヤの前記内部容積との間の比が約0.1と約0.4との間に含まれるような容積を取る。
【0023】
異なる実施形態において、前記比は約0.12と0.25との間に含まれる。
【0024】
異なる実施形態において、前記車輪は、前記タンクに動作可能に連動された膨張バルブを備える。
【0025】
本発明の他の特徴や利点は、本発明により圧力が制御され、補正される車輪の幾つかの好ましいが、限定されない実施形態の詳細な説明からより明白となる。
【0026】
この説明は、非限定的な例で示された、添付の図を参照して、以後詳述される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
図1に示されるように、本発明による2輪車、又は4輪車用の車輪1は、内部容積3’を有するタイヤ3が装着されるリム2を備える。リム2と連動され、好ましくは前記リムに一体化されるのは、加圧流体を収容するのに適しているタンク4であり、前記流体は空気であるか又は、例えば窒素のような実質的に不活性のガスである。
【0028】
好ましい実施形態によれば、タイヤ3の動作圧力と完全に充填された前記タンク4内に存在する第1の圧力との間の比は、約0.1と約0.6との間、好ましくは約0.2と約0.4との間で変動する。
【0029】
他の好ましい実施形態によれば、前記タンク4の容積とタイヤの前記内部容積3’との間の比は、約0.1と約0.4との間、好ましくは約0.12と約0.25との間に含まれる。
【0030】
リム2は、半径方向外部位置に形成されたシート5’内の機械式のバルブアセンブリ5を収容することが好ましく、そのバルブアセンブリは、タンク4、タイヤ3の内部容積3’、及び外部環境との間の連通が得られるようにする。
【0031】
好ましくは、前記連通は、リム2の内側において、前記バルブアセンブリ5を前記タンク4に接続するダクト6を提供することによって得られる。さらに、バルブアセンブリ5がいったんそのシート5’に位置決めされると、車輪1に対するその軸方向内部端及び外部端がそれぞれタイヤの内部容積3’及び周囲環境と連通状態になる。
【0032】
膨張バルブ30は前記タンク4と動作可能に連動される。好ましい実施形態において(図示せず)、前記膨張バルブは、前記バルブアセンブリ5と一体である。
【0033】
図2に示されるように、第1の好ましい実施形態において、前記バルブアセンブリ5は、複数のダクトによって互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ8、排気バルブ9及び補正バルブ10のような、バルブアセンブリを構成する複数の要素が内部に形成される、好ましくは金属の円筒体7から成る。
【0034】
より詳しくは、コマンドバルブ8は、タンク4と内部容積3’の間の前記流体の流れを制御し;排気バルブ9は、外部環境及びコマンドバルブ8と連通状態にあり、内部容積3’を補正バルブ10に接続し;最後に、補正バルブ10は前記排気バルブ9及びコマンドバルブ8とも連通状態にある。
【0035】
ほとんど全ての動作条件において、内部容積3’及びタンク4は、互いに異なる圧力であって、外部環境に存在する環境圧力と異なる圧力を有することが認識されよう。ここ及び以下で示されるPT、PS及びPAは、タイヤ3、タンク4及び外部環境にそれぞれ存在する圧力であり、PTEは動作圧力、すなわち、タイヤ3の内部で維持されることが望まれる圧力を特定する。
【0036】
コマンドバルブ8は、ダクト12及び13を経由してタンク4(ダクト6経由)とタイヤ3の内部容積3’との間、及びダクト12、13、14を経由してタンク4(ダクト6経由)と排気バルブ9との間の通路を制御するニードル閉鎖部材11を備えている。
【0037】
コマンドバルブ8は、内部チャンバ27をさらに備えている;前記コマンドバルブ8の介入を調整できるように、閉鎖部材11と動作可能に連動された板状要素15が、前記チャンバの内側に向いている。これは、タンク4内にあるより高圧の流体が、タイヤ3の内部容積3’に完全には流入しないことが必要であり、ただし、所定の介入しきい値(intervention threshold)の動作圧力に回復するまで前記タイヤに流入しなければならないことが必要だからである。例えば、板状要素15の面積S15(ここで、及び以下では「面積」という用語によって有用な面積、すなわち、前記流体と接触できる表面を意図する)が、ダクト12に面する閉鎖部材11の部分の面積S11の約5倍となるように、前記面積S15に適当な大きさを与えることによって、いったん圧力PTEの回復が得られると、タイヤ3の内部容積3’に向かう流体の自然流動が回避される。事実、以下でより詳しく指摘されるように、圧力PTEは「先験的に(a priori)」知られており、最大許容圧力PSを固定した後、圧力PSが、上記例に従って、圧力PTEよりも略5倍超にならないようにすることが可能となる。最後に、前記板状要素15に作用する、弾性要素(好ましくは、ばね16)のプレロードは、前記コマンドバルブ8の(以下に示されるように第1の膨張時における)介入しきい値を決定し、閉鎖部材11に圧力が掛けられないとき、閉鎖部材11は閉位置に戻る。例えば、前記プレロードの値は、前記値を面積S11によって割ったもの(said value divided by area S11)が約0.08バールと0.12バールとの間に含まれ、好ましくは約0.1バールに等しくなるように固定される。この場合、0.1バールという前記値は第1の膨張時の前記介入しきい値の値となる。
【0038】
排気バルブ9は、第1のバルブ8と同様であり、正確にはそれは排気バルブ9の内部のチャンバ18と外部環境との間の前記流体の流れを制御するニードル閉鎖部材17を備える。前記閉鎖部材17の反対位置に、それと動作可能に連動される、他の閉鎖部材19があり、該閉鎖部材19は、タイヤ3の前記内部容積3’と前記補正バルブ10との間の接続を可能にし、ダクト14と、排気バルブ9を補正バルブ10に接続するもう1本のダクト20との間で、前記流体を流動させる。
【0039】
閉鎖部材19は、ダクト14、20及びチャンバ18の間に物理的に配置され、ダクト14側で面積S191を、チャンバ18側で面積S192をそれぞれ有する。弾性要素(好ましくは、ばね21)は、面積S191によって割った場合に、約0.4バールと約0.6バールとの間に含まれ、好ましくは約0.5バール(その値は、以下に示されるように、第1の充填ステップ時のバルブアセンブリ5の動作を調整する)に等しい力によって、閉鎖部材19の面積192に作用する。したがって、次のように書くことができる:
F21=0.5×S191
ここでF21は、ばね21によって発生された力である。
【0040】
排気バルブ9は、閉鎖部材19がダクト14、20と接触していないとき、ダクト14、20内に存在する圧力を受ける全面積は、S192よりも僅かに大きい、S191’となるように製造されるが、反対位置において閉鎖部材17はその閉位置に至る。
【0041】
最後に注目すべきは、ばね21によって加えられた力F21が、次の関係式を満たすことである:
(PT−0.1)×S191’=PT×S192+F21
【0042】
この等式は、ダクト14及び20内の圧力が少なくとも0.1バールだけPTEよりも低い(さらにチャンバ18内にPTEに等しい圧力が未だある)とき、閉鎖部材19の上昇行程を可能にする力の平衡を表す。この関係は、再度次のように記される:
F21=PT×(S191’−S192)−0.1×S191’
【0043】
注目すべきは、この力の平衡がゆえに、以下でより明らかにされるように、圧力低下に応じて前記タイヤ3を再充填するための介入しきい値を与えることである。
【0044】
補正バルブ10は、ダクト22及び23のそれぞれによって、コマンドバルブ8の内部チャンバ27に向かう流体、及び排気バルブ9のチャンバ18に向かう流体流を制御する。補正バルブ10内に提供されるのは、弾性要素、好ましくはばね25、と動作可能に連動された閉鎖部材24である。該弾性要素は、圧力PTEに実質的に等しい圧力が加えられるようなプレロードを有するように適合された状態で、標準に合わせられる(gauged)。
【0045】
第1の好ましい実施形態では、ダクト23に提供されるのは、例えば、ばねによって熱的に作動される熱補正バルブ26である。該ばねは、温度の関数である弾性定数を有する(例えば、以下で詳細に示されるように、形状記憶材料(SMA)から製造される)ので、例えば、約−30℃と約0℃との間に含まれる、所与の所定温度又は「しきい値温度」Tp未満で、ダクト23を通過する通路を遮断する
【0046】
ばね16、21、25のプレロードに関し、以下のことが指摘される。
【0047】
板状要素15及び閉鎖部材11に作用する力の間の力差としてのばね16のプレロードの選択は、タイヤ圧力PTから独立している。
【0048】
ばね21によって加えられた力は次の関係式:
P21=PT×(S191’−S192)−0.1×S191’
を満たす、但し、S191’はあまりS192と大差ないので、それは
S191’≒S192を意味し、ゆえに重大な誤りもなく前記力も圧力PTに依存しないと述べることも可能である。
【0049】
ばね25は、圧力PTEを実際に調整するものであり、そのために、ねじによるプレロード調整システムが有利に提供されるので、バルブを多目的に、すなわち、いかなる動作圧力のタイヤにも使用できるようにすることができる。
【0050】
タンク4及びタイヤ3の膨張が実行されるとき、初めにバルブアセンブリ5の各部分は、タイヤ3及びタンク4と比べて同圧力、すなわち、外部環境の圧力PAを有する。
【0051】
これらの条件下で、閉鎖部材11はその閉位置にあり、閉鎖部材19はダクト14とダクト20との間の通路を閉じ、閉鎖部材17は開状態にあり、外部環境をチャンバ18と連通状態にさせ、さらに閉鎖部材24は、ダクト20からダクト22及び23への通過を禁止する閉状態にある。最後に、熱補正バルブ26は、膨張が、Tpよりも高い、例えば、約0℃と約30℃との間に含まれる基準温度で起こるので、開状態にある。
【0052】
例えば前記膨張バルブ30(図1)を介して、加圧流体をタンク4に流入させることによって、圧力は、ダクト12内でも上昇し始める(図3)。圧力差、すなわちダクト12の内部における環境圧力に対する相対的圧力が0.1バールの値を上回る(図4)と直ちに、閉鎖部材11が、ダクト13及び14、ゆえにタイヤ3内への流体の通過を可能にする開状態に進むが、バルブアセンブリ5の全ての他の要素はPAに保つ。
【0053】
内部容積3’及びダクト12、13、14内の圧力差が0.5バールの値を上回ると、閉鎖部材17がその閉状態に至り、チャンバ18を外部環境から隔離させ、しかも閉鎖部材19はダクト14とダクト20との間の通過を可能にし(図5)、閉鎖部材24は、それが圧力PTEにプレロードされるまで、閉位置を維持する。
【0054】
定格又は動作条件下のタイヤ圧PTEに相当する差圧が実質的に上回っていると、すなわちタイヤ3が所望圧力にあると、閉鎖部材24は開状態に進み、流体は同じようにダクト22及び23内を流動し始める(図6)。より詳しくは、ダクト22は圧力をバルブ8の内部チャンバ27に伝達し、そこで、板状要素15(S15に等しい面積)と閉鎖部材11(面積S11)との間の面積比に関する前述のことに起因して、前記閉鎖部材11がその閉状態に至る;したがって、タイヤ3の膨張(約1.7バールと約5.5バールとの間に含まれる圧力までの)は停止し、タンク4の膨張は、約8.5バールと約10バールとの間に略含まれる初期又は第1の圧力まで進む。PSとPTEとの間の比に関する前の記述が、順守される、すなわち、PS/PTEが比S15/S11の値(ここで示された例では5に実質的に相当する)を上回らないことは理解されよう。
【0055】
同時に、ダクト23はチャンバ18をタイヤ3と同圧力にする。全てが圧力PTEにある、これらの条件下では、閉鎖部材19がその上方行程を実行しない、すなわち、力F21が面積S191’、S192の差に起因する効果を上回るに足らないので、それはその閉位置(図7)に達しない。
【0056】
本発明による車輪1が装備される自動車の運転中、一般に、例えばタイヤのカーカス構造の半径方向内部層の不完全な気密性のため、又はタイヤビードと、ビードが支えるリムフランジとの間の不完全な接着性のため、僅かな空気漏れが起こる。これらの圧力損失は一般に約0.1バール/月のものである。
【0057】
タイヤ3の内部容積3’が0.1バール超の圧力を失うと(図8)、閉鎖部材24がその閉位置に直ちに達し、ダクト20をダクト22及び23から隔離させる。ばね21の力F21は、ダクト20及び14を閉じる閉鎖部材19の上方行程を起こさせるに足る状態となり、同時に閉鎖部材17は、チャンバ18と外部環境との間の通路を開くので、チャンバ18は圧力PAにされる(図9)。
【0058】
この時点で、充填時と同じ動作サイクルが、実質的に進められる(図10);その間、ダクト23は、ダクト22と同じように環境的圧力にあるが、閉状態にある閉鎖部材24は、ダクト20をタイヤ3と同圧力に保つ。ダクト22に接続されたコマンドバルブ8の内部チャンバ27が同じように圧力PAになるので、閉鎖部材11が開き、ダクト12からダクト13及び14に、ゆえにタイヤ3に加圧流体を流入させることができる。この時点で、面積S191’への内部容積3’の圧力がばね21単体の力よりも大きいので、閉鎖部材19は再び開き、閉鎖部材17は閉じる。
【0059】
動作圧力PTEがいったんタイヤ3内で回復されると、閉鎖部材24が再び開いて、コマンドバルブ8内の圧力を再び上昇させる、前記バルブはしたがって閉鎖部材11をその閉位置に駆動させるので、タイヤ3は膨張の最終状態に到達できる(図7)。
【0060】
注目すべきは、コマンドバルブ8の内部は閉鎖部材11を開口させる環境的圧力にあり、ゆえに、タンク4の圧力が動作圧力PTEに達するまで前記タンク圧力を利用することが可能であることである。さらに、タンク4が圧力PTEに達し、タイヤ3がさらに空気が抜けた状態になると、閉鎖部材24はもはやその(PTEまでプレロードされる)開条件に届かないが、閉鎖部材19は閉じて、閉鎖部材17は開く。その結果、閉鎖部材11は上記理由で再び開き、タイヤ3はタンク4の全ての残留差圧を利用できるので、タイヤ収縮がより緩慢に起こるようにすることができる。
【0061】
換言すれば、これは、PTE未満でタイヤ3の内部容積3’及びタンク4が互いに連通状態のままであり、それら両者の収縮は同時に起こるので、同タイヤの自立性がより長くなることを意味する。
【0062】
最後に言及された利点は、本発明による車輪を使用する自動車の安全性に関し特に重要である。事実、パンクの場合、上記理由で、タンク4は、タイヤの内部容積3’との接触状態を保ち、それによって、自動車方向制御を失わせ得る内部圧力の急激な低下を防ぐ。
【0063】
時間(x軸)/圧力(y軸)線図で、図13に示されているのは、本発明による車輪及び従来形の車輪(タンクやバルブアセンブリを欠いており、タイヤに挿入された標準膨張/回復バルブのみを有する)に対し実施されたパンク試験の結果であり、両者の車輪は、0.06m3に等しいそれぞれのタイヤ内部容積及び2.5バールの初期圧力を有する。毎秒約0.029バールの初期圧力損失を引き起こすパンクをシミュレートすることによって、本発明による車輪(0.09m3の容積及び約9バールの初期圧力を有するタンクを備えた)において、約2分後に、約1.5バールの残留圧力が見られるのに対し、従来型車輪内では、約0.65バールだけの圧力が見られることが分かる。約165秒後には、本発明の車輪内の残留圧力は尚も約1.45バール程度のものであるが、従来型車輪内の前記圧力はゼロまで降下していた。
【0064】
このような段階的圧力降下が、運転者が自動車の制御を常に維持しながら安全に停止することを可能にすることは、容易に理解される。
【0065】
動作は、タイヤ温度が転がりのため増加するときでも確実にされる。それは、内部容積3’に収容された流体の温度がタンク4に収容された流体の温度よりも常に高いか又は等しいので、板状要素15に作用する力が、異なる対象面(S15、S11)に起因して(due to the different concerned surfaces(S15, S11))、閉鎖部材11に作用する力よりも常に大きくなるからである。
【0066】
逆に、内部容積3’の圧力が、洩れによるのではなく内部温度の低下のため(Tp未満)減少すると、ダクト23を閉じるバルブ26の介入がある。この場合、閉鎖部材19はダクト14及び20を閉じ、閉鎖部材17は開位置に達するが、外部環境では、バルブ26の下流のチャンバ18及びダクト23内にある流体のみが放出され、一方、ダクト22、ゆえにバルブ8の内部は前の圧力を維持するので、閉鎖部材11は開かず、それによって望ましくない膨張を回避できる。
【0067】
図11に示される、車輪1の第2の好ましい実施形態において、バルブ26は省かれる一方、ばね16は、形状記憶タイプの材料SMAから製造され、温度の低下で増加する弾性定数Kを意図している。
【0068】
この場合、温度が低下すると、タイヤ3内の圧力低下があり、ゆえに閉鎖部材17が開く。しかしながら、ダクト23の放出と同時に、ばね16の荷重増加がある。それは前記ばねの弾性定数の値が増加したからである。この現象をうけて、閉鎖部材11の開口は起こらないので、タンク4からタイヤ3の内部容積3’への流体の望ましくない通過が回避される。
【0069】
尚も図11で示される、異なる実施形態において、バルブ26は常に省かれ、ばね21は、温度の低下と共に減少する弾性定数Kを有する形状記憶材料SMAから製造される。
【0070】
温度が低下し、内部容積3’内の圧力が低下すると、ばね21の荷重の同時損失がある。それは前記ばねの弾性定数の値が減少したからである。閉鎖部材17は閉じられたままであり、ダクト23は放出されないので、いかなる開口命令もバルブ8の閉鎖部材11に届かない。
【0071】
より詳しくは、例えば図12に示されるのは、いかに前記弾性定数Kが温度に依存するかである;図12において、温度(x軸)/弾性定数Kの値(y軸)のグラフの前記依存性は、例えば−50℃と+50℃との間の所定温度範囲において、通常のばね鋼材料(すなわち、弾性定数はこの場合、実質的に温度から独立している)から製造されたばねに対し、x軸と実質的に平行な直線(鎖線)で表現され;逆に、上述の材料から製造されたばねに対し、前記範囲内の前記依存性は、増加又は減少関数で表現されることが分かる。
【0072】
好ましくは、本発明にしたがい、前記ばねの弾性定数Kは、約−50℃と約+50℃との間で大きく変化し、前記範囲は、好ましくは約−30℃と約+50℃との間、より好ましくは約−30℃と約+20℃との間に含まれる。
【0073】
特に、最後に言及の温度範囲(−30℃/+20℃)では、この定数Kの値は、ニッケル/チタン鋼(線径1.2mm、2本の有効コイル)から製造されたばね(図11の実施形態のばね21又は例えばバルブ26に採用されたばね)の場合、前記範囲の上端(+20℃)で見られる値に対し約26%だけ、より特定的には約5,500N/m(+20℃において)から約4,060N/m(−30℃において)まで、変化する。
【0074】
採用された材料は、いずれにしても、前記変化が、少なくとも−50℃と+50℃との間に含まれるか又はそれよりも狭い所定温度範囲において、約10%と約40%との間、好ましくは約20%と約30%との間に含まれるように、選択される。
【0075】
より厳密には、図11に示されたばね16及び21、及びバルブ26に任意に採用されたばねは、前記範囲の上端で測定された弾性定数の値(例えば+50℃(K+50℃))に対する少なくとも10%の差で、好ましくは40%以下の差で、前記範囲の上端で測定された弾性定数の値(例えば+50℃(K+50℃))と異なる、前記範囲の下端で測定された弾性定数の値(例えば−50℃(K−50℃))を有する。すなわち:
【数1】
及び
【数2】
これらの変数は20%と30%との間に含まれることが好ましい。つまり:
【数3】
及び
【数4】
【0076】
同関係は、例えば、−30℃/+50℃や−30℃/+20℃(従って、K−30℃及びK+20℃となるであろう)など、前に記載のもののように、より狭い温度範囲に対しても有効である。
【0077】
ニッケル/チタン鋼の、前に示された例では、ゆえに次のようになる:
【数5】
【0078】
前記好ましい解決法によれば、弾性定数の温度へのこの依存性は、前記所定温度範囲内の増加関数によって表される(図12)。
【0079】
同図12において、ばね用の伝統的な鋼、例えばUNI標準準拠の鋼クラスCから製造されたばねが、同温度範囲(−30℃/+20℃)で弾性定数Kの実質的に一定の値を有していることを、最終的に見ることができる。前記値は、+20℃において約14,000N/m、−30℃において約14,200N/mに実質的に等しい。そこから、(直径1.2mm、3.5個の有用コイルに対し)約1.43%に等しい変量ΔKを想定することができる。
【0080】
最後に、前記弾性定数がその範囲内で変化する、本発明にしたがって提供された範囲は、車輪1の通常動作の室温を実質的に含むことは理解されよう。これは、圧力低下が室温の変動に起因するだけである場合に閉鎖部材11がタンク4とタイヤ3の内部容積3’との間の連通を許可しないので、車輪1がそのような温度で動作しているとき、その車輪1は温度補償付き圧力制御を有することを意味する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明による車輪の部分断面側面図である。
【図2】図1に示された車輪の構成要素の垂直断面図である。
【図3】図2に示された構成要素の動作ステップを示す。
【図4】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図5】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図6】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図7】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図8】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図9】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図10】図2に示された構成要素の他の動作ステップを示す。
【図11】図1に示された車輪の構成要素の2つの代替実施形態の断面垂直図である。
【図12】温度変動に対する、本発明による前記車輪構成要素の弾性定数の変化を示すグラフである。
【図13】本発明による車輪や周知のタイプの車輪における、パンクの場合の時系列圧力変動を示すグラフである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム(2)に装着されたタイヤ(3)の内部圧力を制御する方法であって:
−基準温度において動作圧力までタイヤ(3)の内部容積(3’)を膨らませ;
−基準温度においてタイヤの動作圧力よりも高い第1の圧力まで圧縮された流体をリム(2)と連動されたタンク(4)に流入させ;
−前記タイヤ(3)の内部圧力が前記動作圧力よりも低いとき、前記タイヤ(3)の内部容積(3’)と前記タンク(4)との間の連通を確立し;
−タイヤ(3)の前記内部圧力が前記動作圧力と実質的に等しくなると、前記内部容積(3’)と前記タンク(4)との間の連通を停止させるステップ
を含む方法であって、タイヤ(3)の内部容積(3’)とタンク(4)との間の連通を確立する前記ステップが、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ(8)、排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)を備える少なくとも1つのバルブアセンブリ(5)によって実行され、
−タイヤ(3)の圧力低下を排気バルブ(9)に伝達し;
−コマンドバルブ(8)を動作させ、動作圧力に実質的に等しい前記内部圧力をバルブにもたらすように、排気バルブ(9)を介してコマンドバルブ(8)内の圧力低下を発生させるステップ
をさらに含み、前記連通を停止させる前記ステップが:
−動作圧力に実質的に等しい、タイヤ(3)の内部圧力を排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)に伝達し;
−コマンドバルブ(8)を動作させ、前記連通を停止できるように、補正バルブ(10)を介してコマンドバルブ(8)内の圧力増加を発生させるステップ
を含む方法。
【請求項2】
タイヤ(3)の前記動作圧力と前記タンク(4)の前記第1の圧力との間の比が約0.1と約0.6との間に含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンク(4)内の前記第1の圧力が約8.5バールと約10バールとの間に含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コマンドバルブ(8)内の前記圧力低下が前記コマンドバルブ(8)の内部チャンバ(27)を外部環境に接続することによって発生される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コマンドバルブ(8)と外部環境との間の前記接続が、外部環境との連通がもたらされる、内部チャンバ(18)を有する前記排気バルブ(9)の第1の閉鎖部材(17)を開くステップを通じて行われる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の閉鎖部材(17)を開く前記ステップは、タイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力に実質的に等しい圧力が前記排気バルブ(9)の外部から加えられる、第1の閉鎖部材(17)と動作可能に連動された第2の閉鎖部材(19)を閉じるステップによって行われる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コマンドバルブ(8)内の前記圧力の増加が、前記コマンドバルブ(8)の内部をタイヤ(3)の内部容積(3’)と接続することによって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接続が、少なくとも1本のダクト(20)によって互いに接続された前記排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)によって行われ、前記排気バルブ(9)が少なくとも1本のダクト(13、14)によって内部容積(3’)に接続され、前記補正バルブ(10)が少なくとも1本のダクト(22)によって前記コマンドバルブ(8)の内部チャンバ(27)に接続される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接続が:
−前記ダクト(13、14、20)を介して前記内部容積(3’)の補正バルブ(10)との連通をもたらすために、排気バルブ(9)の第2の閉鎖部材(19)を開き;
−前記少なくとも1本のダクト(22)を介して補正バルブ(10)の、コマンドバルブ(8)の内部チャンバ(27)との連通をもたらすために、補正バルブ(10)の閉鎖部材(24)を開くステップ
によって行われる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記タイヤ(3)の内部容積(3’)の、前記タンク(4)との連通をもたらす前記ステップが、しきい値温度(Tp)よりも高い温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コマンドバルブ(8)の動作は、弾性要素によって制御され、該弾性要素は、前記コマンドバルブ(8)の閉鎖部材(11)が−50℃から+50℃までの温度範囲内での温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて閉位置に維持されるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記排気バルブ(9)の前記第1の閉鎖部材(17)の開度は、弾性要素によって制御され、該弾性要素は、−50℃から+50℃までの温度範囲内の温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記第1の閉鎖部材(17)が閉状態に維持され、前記チャンバ(18)が外部環境に対して隔離された状態に維持されるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する少なくとも10%の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項11あるいは12に記載の方法。
【請求項14】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する40%以下の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項11あるいは12に記載の方法。
【請求項15】
制御された圧力を有する車輪であって:
−第1の圧力まで流体で満たされるように適合されたタンク(4)と連動されたリム(2)と;
−前記リム(2)に装着され、基準温度において前記第1の圧力よりも低い動作圧力まで膨らまされた内部容積(3’)を有するタイヤ(3)と;
−前記タンク(4)、前記タイヤ(3)の内部容積(3’)及び外部環境との間の連通を確立するように適合された少なくとも1つのバルブアセンブリ(5)と
を備え;
前記バルブアセンブリ(5)が、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ(8)、排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)を含み;
さらに:
−前記コマンドバルブ(8)が前記タンク(4)とタイヤ(3)の前記内部容積(3’)との間の連通を制御し;
−前記排気バルブ(9)が、外部環境、前記内部容積(3’)、前記コマンドバルブ(8)、及び前記補正バルブ(10)に接続され;
−前記補正バルブ(10)が前記排気バルブ(9)及び前記コマンドバルブ(8)と接続され;
前記コマンドバルブ(8)は、該コマンドバルブ(8)が、タイヤの内部圧力の変化に応答する前記内部チャンバ(27)の圧力変化を通じて前記排気バルブ(9)及び前記補正バルブ(10)によって作動されるように、前記排気バルブ(9)及び前記補正バルブ(10)に接続された内部チャンバ(27)を備える車輪。
【請求項16】
前記タンク(4)が前記リム(2)に一体化される請求項15に記載の車輪。
【請求項17】
前記タンク(4)は、該タンク(4)の容積とタイヤ(3)の前記内部容積(3’)との間の比が約0.1と約0.4との間に含まれるような容積を有する請求項15に記載の車輪。
【請求項18】
前記比が約0.12と約0.25との間に含まれる請求項17に記載の車輪。
【請求項19】
前記車輪(1)が、前記タンク(4)と動作可能に連動された膨張バルブ(30)を備える請求項15に記載の車輪。
【請求項20】
前記膨張バルブ(30)が前記バルブアセンブリ(5)と一体である請求項19に記載の車輪。
【請求項21】
前記コマンドバルブ(8)が:
−互いに及び内部チャンバ(27)と動作可能に連動された閉鎖部材(11)及び円板状要素(15)を備え;
−前記円板状要素(15)が弾性要素(16)と連動され;
−前記閉鎖部材(11)が前記タンク(4)とタイヤ(3)の前記内部容積(3’)との間の前記連通を制御し;
−前記内部チャンバ(27)が前記排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)と少なくとも1本のダクト(22、23)を介して接続される
請求項15に記載の車輪。
【請求項22】
前記排気バルブ(9)が:
−第1の閉鎖部材(17)及び第2の閉鎖部材(19)の一方が開状態で、それらのうちの他方が閉状態となるように、第2の閉鎖部材(19)と動作可能に連動された第1の閉鎖部材(17)と;
−前記第1の閉鎖部材(17)及び第2の閉鎖部材(19)と動作可能に連動されたチャンバ(18)と
を備え;
−前記第2の閉鎖部材(19)が弾性要素(21)と連動され;
−前記第1の閉鎖部材(17)が外部環境に向かう前記第2のバルブ(9)の開度を制御し;
−前記第2の閉鎖部材(19)が少なくとも2本のダクト(14、20)の間の通路を制御して、前記補正バルブ(10)を前記タイヤ(3)の内部容積(3’)と接続する請求項15に記載の車輪。
【請求項23】
前記補正バルブ(10)が、タイヤ(3)の前記内部容積(3’)の、前記コマンドバルブ(8)の前記内部チャンバ(27)との連通、及び前記排気バルブ(9)のチャンバ(18)との連通をもたらすために、弾性要素(25)と動作可能に連動された閉鎖部材(24)を備える請求項15に記載の車輪。
【請求項24】
前記バルブアセンブリ(5)が、所定温度Tp未満で前記コマンドバルブ(8)の前記チャンバ(27)と前記排気バルブ(9)のチャンバ(18)との間の接続を遮断できるように、熱的に作動される熱補正バルブ(26)を備える、請求項15に記載の車輪。
【請求項25】
前記熱補正バルブ(26)は、弾性要素を内部に備え、該弾性要素は、−50℃から+50℃までの温度範囲内での温度低下に起因するタイヤの内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記熱補正バルブ(26)を閉状態に維持できるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する、請求項24に記載の車輪。
【請求項26】
前記弾性要素(16)は、−50℃から+50℃までの温度範囲内で温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記閉鎖部材(11)を閉位置に維持できるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する請求項21に記載の車輪。
【請求項27】
前記弾性要素(21)は、−50℃から+50℃までの温度範囲内で温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記第1の閉鎖部材(17)を閉状態に及び前記チャンバ(18)を外部環境に対し隔離された状態に維持できるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する請求項22に記載の車輪。
【請求項28】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する少なくとも10%の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項25、26、27のいずれか一項に記載の車輪。
【請求項29】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する40%以下の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項25、26、27のいずれか一項に記載の車輪。
【請求項1】
リム(2)に装着されたタイヤ(3)の内部圧力を制御する方法であって:
−基準温度において動作圧力までタイヤ(3)の内部容積(3’)を膨らませ;
−基準温度においてタイヤの動作圧力よりも高い第1の圧力まで圧縮された流体をリム(2)と連動されたタンク(4)に流入させ;
−前記タイヤ(3)の内部圧力が前記動作圧力よりも低いとき、前記タイヤ(3)の内部容積(3’)と前記タンク(4)との間の連通を確立し;
−タイヤ(3)の前記内部圧力が前記動作圧力と実質的に等しくなると、前記内部容積(3’)と前記タンク(4)との間の連通を停止させるステップ
を含む方法であって、タイヤ(3)の内部容積(3’)とタンク(4)との間の連通を確立する前記ステップが、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ(8)、排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)を備える少なくとも1つのバルブアセンブリ(5)によって実行され、
−タイヤ(3)の圧力低下を排気バルブ(9)に伝達し;
−コマンドバルブ(8)を動作させ、動作圧力に実質的に等しい前記内部圧力をバルブにもたらすように、排気バルブ(9)を介してコマンドバルブ(8)内の圧力低下を発生させるステップ
をさらに含み、前記連通を停止させる前記ステップが:
−動作圧力に実質的に等しい、タイヤ(3)の内部圧力を排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)に伝達し;
−コマンドバルブ(8)を動作させ、前記連通を停止できるように、補正バルブ(10)を介してコマンドバルブ(8)内の圧力増加を発生させるステップ
を含む方法。
【請求項2】
タイヤ(3)の前記動作圧力と前記タンク(4)の前記第1の圧力との間の比が約0.1と約0.6との間に含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンク(4)内の前記第1の圧力が約8.5バールと約10バールとの間に含まれる請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コマンドバルブ(8)内の前記圧力低下が前記コマンドバルブ(8)の内部チャンバ(27)を外部環境に接続することによって発生される請求項1に記載の方法。
【請求項5】
コマンドバルブ(8)と外部環境との間の前記接続が、外部環境との連通がもたらされる、内部チャンバ(18)を有する前記排気バルブ(9)の第1の閉鎖部材(17)を開くステップを通じて行われる請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の閉鎖部材(17)を開く前記ステップは、タイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力に実質的に等しい圧力が前記排気バルブ(9)の外部から加えられる、第1の閉鎖部材(17)と動作可能に連動された第2の閉鎖部材(19)を閉じるステップによって行われる請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記コマンドバルブ(8)内の前記圧力の増加が、前記コマンドバルブ(8)の内部をタイヤ(3)の内部容積(3’)と接続することによって行われる請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接続が、少なくとも1本のダクト(20)によって互いに接続された前記排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)によって行われ、前記排気バルブ(9)が少なくとも1本のダクト(13、14)によって内部容積(3’)に接続され、前記補正バルブ(10)が少なくとも1本のダクト(22)によって前記コマンドバルブ(8)の内部チャンバ(27)に接続される請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記接続が:
−前記ダクト(13、14、20)を介して前記内部容積(3’)の補正バルブ(10)との連通をもたらすために、排気バルブ(9)の第2の閉鎖部材(19)を開き;
−前記少なくとも1本のダクト(22)を介して補正バルブ(10)の、コマンドバルブ(8)の内部チャンバ(27)との連通をもたらすために、補正バルブ(10)の閉鎖部材(24)を開くステップ
によって行われる請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記タイヤ(3)の内部容積(3’)の、前記タンク(4)との連通をもたらす前記ステップが、しきい値温度(Tp)よりも高い温度で行われる請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記コマンドバルブ(8)の動作は、弾性要素によって制御され、該弾性要素は、前記コマンドバルブ(8)の閉鎖部材(11)が−50℃から+50℃までの温度範囲内での温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて閉位置に維持されるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記排気バルブ(9)の前記第1の閉鎖部材(17)の開度は、弾性要素によって制御され、該弾性要素は、−50℃から+50℃までの温度範囲内の温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記第1の閉鎖部材(17)が閉状態に維持され、前記チャンバ(18)が外部環境に対して隔離された状態に維持されるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する少なくとも10%の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項11あるいは12に記載の方法。
【請求項14】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する40%以下の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項11あるいは12に記載の方法。
【請求項15】
制御された圧力を有する車輪であって:
−第1の圧力まで流体で満たされるように適合されたタンク(4)と連動されたリム(2)と;
−前記リム(2)に装着され、基準温度において前記第1の圧力よりも低い動作圧力まで膨らまされた内部容積(3’)を有するタイヤ(3)と;
−前記タンク(4)、前記タイヤ(3)の内部容積(3’)及び外部環境との間の連通を確立するように適合された少なくとも1つのバルブアセンブリ(5)と
を備え;
前記バルブアセンブリ(5)が、互いに動作可能に連動されたコマンドバルブ(8)、排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)を含み;
さらに:
−前記コマンドバルブ(8)が前記タンク(4)とタイヤ(3)の前記内部容積(3’)との間の連通を制御し;
−前記排気バルブ(9)が、外部環境、前記内部容積(3’)、前記コマンドバルブ(8)、及び前記補正バルブ(10)に接続され;
−前記補正バルブ(10)が前記排気バルブ(9)及び前記コマンドバルブ(8)と接続され;
前記コマンドバルブ(8)は、該コマンドバルブ(8)が、タイヤの内部圧力の変化に応答する前記内部チャンバ(27)の圧力変化を通じて前記排気バルブ(9)及び前記補正バルブ(10)によって作動されるように、前記排気バルブ(9)及び前記補正バルブ(10)に接続された内部チャンバ(27)を備える車輪。
【請求項16】
前記タンク(4)が前記リム(2)に一体化される請求項15に記載の車輪。
【請求項17】
前記タンク(4)は、該タンク(4)の容積とタイヤ(3)の前記内部容積(3’)との間の比が約0.1と約0.4との間に含まれるような容積を有する請求項15に記載の車輪。
【請求項18】
前記比が約0.12と約0.25との間に含まれる請求項17に記載の車輪。
【請求項19】
前記車輪(1)が、前記タンク(4)と動作可能に連動された膨張バルブ(30)を備える請求項15に記載の車輪。
【請求項20】
前記膨張バルブ(30)が前記バルブアセンブリ(5)と一体である請求項19に記載の車輪。
【請求項21】
前記コマンドバルブ(8)が:
−互いに及び内部チャンバ(27)と動作可能に連動された閉鎖部材(11)及び円板状要素(15)を備え;
−前記円板状要素(15)が弾性要素(16)と連動され;
−前記閉鎖部材(11)が前記タンク(4)とタイヤ(3)の前記内部容積(3’)との間の前記連通を制御し;
−前記内部チャンバ(27)が前記排気バルブ(9)及び補正バルブ(10)と少なくとも1本のダクト(22、23)を介して接続される
請求項15に記載の車輪。
【請求項22】
前記排気バルブ(9)が:
−第1の閉鎖部材(17)及び第2の閉鎖部材(19)の一方が開状態で、それらのうちの他方が閉状態となるように、第2の閉鎖部材(19)と動作可能に連動された第1の閉鎖部材(17)と;
−前記第1の閉鎖部材(17)及び第2の閉鎖部材(19)と動作可能に連動されたチャンバ(18)と
を備え;
−前記第2の閉鎖部材(19)が弾性要素(21)と連動され;
−前記第1の閉鎖部材(17)が外部環境に向かう前記第2のバルブ(9)の開度を制御し;
−前記第2の閉鎖部材(19)が少なくとも2本のダクト(14、20)の間の通路を制御して、前記補正バルブ(10)を前記タイヤ(3)の内部容積(3’)と接続する請求項15に記載の車輪。
【請求項23】
前記補正バルブ(10)が、タイヤ(3)の前記内部容積(3’)の、前記コマンドバルブ(8)の前記内部チャンバ(27)との連通、及び前記排気バルブ(9)のチャンバ(18)との連通をもたらすために、弾性要素(25)と動作可能に連動された閉鎖部材(24)を備える請求項15に記載の車輪。
【請求項24】
前記バルブアセンブリ(5)が、所定温度Tp未満で前記コマンドバルブ(8)の前記チャンバ(27)と前記排気バルブ(9)のチャンバ(18)との間の接続を遮断できるように、熱的に作動される熱補正バルブ(26)を備える、請求項15に記載の車輪。
【請求項25】
前記熱補正バルブ(26)は、弾性要素を内部に備え、該弾性要素は、−50℃から+50℃までの温度範囲内での温度低下に起因するタイヤの内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記熱補正バルブ(26)を閉状態に維持できるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する、請求項24に記載の車輪。
【請求項26】
前記弾性要素(16)は、−50℃から+50℃までの温度範囲内で温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記閉鎖部材(11)を閉位置に維持できるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する請求項21に記載の車輪。
【請求項27】
前記弾性要素(21)は、−50℃から+50℃までの温度範囲内で温度低下に起因するタイヤ(3)の内部容積(3’)の圧力低下をうけて前記第1の閉鎖部材(17)を閉状態に及び前記チャンバ(18)を外部環境に対し隔離された状態に維持できるように、前記範囲内で変化する弾性定数(K)を有する請求項22に記載の車輪。
【請求項28】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する少なくとも10%の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項25、26、27のいずれか一項に記載の車輪。
【請求項29】
前記弾性要素が、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)に対する40%以下の差で、+50℃で測定された弾性定数の値(K+50℃)と異なる、−50℃で測定された弾性定数の値(K−50℃)を有する請求項25、26、27のいずれか一項に記載の車輪。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2007−533548(P2007−533548A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−508988(P2007−508988)
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001236
【国際公開番号】WO2005/102743
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(598164186)ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (123)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月23日(2004.4.23)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001236
【国際公開番号】WO2005/102743
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(598164186)ピレリ・タイヤ・ソチエタ・ペル・アツィオーニ (123)
【Fターム(参考)】
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