説明

動画像生成装置、動画像生成方法及び動画像生成システム

【課題】基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成することにより、基板支持具の異常動作に関する原因判定材料を提供可能な動画像生成装置、動画像生成方法及び動画像生成システムを提供する。
【解決手段】動作データ生成部21bは、受け付けた基板支持具に関する動作の履歴情報2Dに基づいて、基板支持具の検出動作データ4Dを生成する。抽出部21aは、基板処理装置に係るCADデータ1Dから基板支持具の形状データ5Dと設計動作データ6Dとを抽出する。動画像生成装置は、抽出した基板支持具の形状データ5D及び設計動作データ6D並びに生成した基板支持具の検出動作データ4Dに基づいて、基板支持具の設計動作と検出動作とをシミュレートした動画像を生成する動画像生成部21eを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に係る動画像生成装置、動画像生成方法及び動画像生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置に機械的異常が発生した場合、作業従事者は基板処理装置の狭い内部空間に潜り込み、目視により機械系部品の動作確認をする。しかし、目視による動作確認ができない状況があること、作業従事者の経験、スキル等には差があること等から、基板処理装置の機械的異常動作に関する原因解明時間及び解明内容の品質にはバラツキがある。また、基板処理装置に機械的異常が発生した場合、作業従事者は必ず現場に出向かなければならないため、基板処理装置に機械的動作の不具合が発生してから問題解決までに長時間を要している。
【0003】
そこで、基板処理装置に係る3次元CAD(computer aided design)データと、基板処理装置に対する制御コマンド及び当該装置の状態を記録したログファイルとから、基板処理装置における故障時の動作を再生する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−133193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、基板処理装置の故障時における動作を再生するだけでは、基板処理装置の機械的異常動作に関する原因を特定することは困難である。特に、故障時における動作と正常時における動作との差異が微妙な部品ほど、故障時における部品の動作を単に再生するだけでは、基板処理装置の機械的異常動作に関する原因を特定することは難しい。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものである。その目的は、基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具の異常動作に関する原因判定材料を提供可能な動画像生成装置、動画像生成方法及び動画像生成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る動画像生成装置は、基板処理装置を構成する構成要素について検出された動作に係る検出動作データを生成し、前記基板処理装置に係るCADデータから抽出した前記構成要素の形状データ及び生成した該構成要素の検出動作データに基づいて、該構成要素の動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成装置において、前記基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具について検出された動作の履歴情報を受け付ける受付手段と、該受付手段が受け付けた前記基板支持具に関する動作の履歴情報に基づいて、該基板支持具の検出動作データを生成する生成手段と、前記CADデータから前記基板支持具の形状データ及び設計動作データを抽出する抽出手段と、該抽出手段が抽出した前記基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに前記生成手段が生成した該基板支持具の検出動作データに基づいて、該基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
本願に係る動画像生成装置では、基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具について検出された動作の履歴情報を受け付ける。動画像生成装置は、受け付けた基板支持具に関する動作の履歴情報に基づいて、基板支持具の検出動作データを生成する。動画像生成装置は、基板処理装置に係るCADデータから基板支持具の形状データと設計動作データとを抽出する。動画像生成装置は、抽出した基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに生成した基板支持具の検出動作データに基づいて、基板支持具の設計動作と検出動作とをシミュレートした動画像を生成する動画像生成手段を備えている。
【0009】
本願に係る動画像生成装置は、前記抽出手段が抽出した設計動作データ及び前記生成手段が生成した検出動作データに基づいて、前記基板支持具の設計動作及び検出動作の差分を算出する算出手段を備え、前記動画像生成手段は、前記算出手段が算出した差分が所定の閾値より大きい場合、前記基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成するようにしてあることを特徴とする。
【0010】
本願に係る動画像生成装置では、CADデータから抽出した設計動作データと、履歴情報から生成した検出動作データとに基づいて、基板支持具の設計動作と検出動作との差分を算出する。動画像生成装置は、算出した差分が所定の閾値より大きい場合、動画像生成手段により、基板支持具の設計動作と検出動作とをシミュレートした動画像を生成する。
【0011】
本願に係る動画像生成装置は、前記抽出手段が抽出した設計動作データ及び前記生成手段が生成した検出動作データは、夫々前記基板支持具の動作を識別する識別情報を含み、
前記算出手段は、前記識別情報により特定される同一動作に関して、前記基板支持具の設計動作及び検出動作の差分を算出するようにしてあることを特徴とする。
【0012】
本願に係る動画像生成装置では、CADデータから抽出した設計動作データと、履歴情報から生成した検出動作データとには、夫々基板支持具の動作を識別する識別情報が含まれている。動画像生成装置は、識別情報により特定される同一動作に関して、基板支持具の設計動作と検出動作との差分を算出する。
【0013】
本願に係る動画像生成装置は、前記動画像生成手段は、前記識別情報により特定される同一動作に関して、前記基板支持具の設計動作に対応する動画像及び検出動作に対応する動画像を重畳又は並列配置した動画像を生成するようにしてあることを特徴とする。
【0014】
本願に係る動画像生成装置では、動画像生成手段により、基板支持具の動作を特定する識別情報により、基板支持具の設計動作に対応する動画像と、基板支持具の検出動作に対応する動画像とを重畳又は並列配置した動画像を生成する。
【0015】
本願に係る動画像生成装置は、前記動画像生成手段は前記検出動作に対応する動画像が示す基板支持具部分を色彩又は輝度の変更により強調表示した動画像を生成するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
本願に係る動画像生成装置では、動画像生成手段により、検出動作に対応する動画像が示す基板支持具部分を強調表示した動画像を生成する。基板支持具部分を強調表示する手法は、例えば基板支持具部分に対する色彩又は輝度の変更である。
【0017】
本願に係る動画像生成装置は、前記受付手段が受け付けた複数の動作の履歴情報各々に基づいて、前記生成手段が夫々生成した前記基板支持具の検出動作データ各々を記録する記録手段を備え、前記動画像生成手段は、前記抽出手段が抽出した前記基板支持具の形状データ及び前記記録手段が記録した該基板支持具の検出動作データ各々に基づいて、該検出動作データ各々に対応する複数の動画像を、重畳若しくは配列表示した動画像又は時系列順に再生可能な動画像を生成するようにしてあることを特徴とする。
【0018】
本願に係る動画像生成装置では、基板支持具について検出された動作の履歴情報を複数受け付ける。動画像生成装置は、受け付けた複数の履歴情報各々に基づいて、基板支持具の検出動作データ各々を生成する。動画像生成装置は、生成した基板支持具の検出動作データ各々を記録手段に記録する。動画像生成装置は、CADデータから抽出した基板支持具の形状データと記録手段が記録した基板支持具の検出動作データ各々とに基づいて、検出動作データ各々に対応する複数の動画像を、重畳若しくは配列表示した動画像又は時系列順に再生可能な動画像を生成する。
【0019】
本願に係る動画像生成装置は、前記動画像生成手段が生成した動画像を表示する表示部を備えることを特徴とする。
【0020】
本願に係る動画像生成装置では、動画像生成手段が生成した動画像を表示部に表示する。
【0021】
本願に係る動画像生成方法は、基板処理装置を構成する構成要素について検出された動作に係る検出動作データを生成し、前記基板処理装置に係るCADデータから抽出された前記構成要素の形状データ及び生成した該構成要素の検出動作データに基づいて、該構成要素の動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成方法において、前記基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具について検出された動作の履歴情報に基づいて、該基板支持具の検出動作データを生成し、前記CADデータから抽出された該基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに生成した前記基板支持具の検出動作データに基づいて、該基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成することを特徴とする。
【0022】
本願に係る動画像生成方法では、基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具について検出された動作の履歴情報に基づいて、基板支持具の検出動作データを生成する。基板処理装置に係るCADデータから抽出された搬送機構が有する基板支持具の形状データ及び設計動作データと、生成した基板支持具の検出動作データとに基づいて、基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成する。
【0023】
本願に係る動画像生成システムは、基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具の動作を検出する検出手段、該検出手段が検出した動作の履歴情報を記録する記録手段、及び該記録手段から取得した前記履歴情報に基づいて、前記基板支持具の検出動作データを生成する生成手段と、前記基板処理装置に係るCADデータから前記基板支持具の形状データ及び設計動作データを抽出する抽出手段と、該抽出手段が抽出した前記基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに前記生成手段が生成した該基板支持具の検出動作データに基づいて、該基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成手段とを有する動画像生成装置を備えることを特徴とする。
【0024】
本願に係る動画像生成システムでは、検出手段、記録手段及び動画像生成装置を備えている。検出手段は、基板の搬送機構が有する基板支持具の動作を検出する。記録手段は、検出した基板支持具に関する動作の履歴情報を記録する。動画像生成装置は、記録手段から取得した基板支持具に関する動作の履歴情報に基づいて、基板支持具の検出動作データを生成する。動画像生成装置は、基板処理装置に係るCADデータから基板支持具の形状データ及び設計動作データを抽出する。動画像生成装置は、抽出した基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに生成した基板支持具の検出動作データに基づいて、基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成する。
【0025】
本願に係る動画像生成システムは、前記検出手段及び記録手段は前記基板処理装置に含まれることを特徴とする。
【0026】
本願に係る動画像生成システムでは、検出手段と記録手段とが含まれた基板処理装置及び動画像生成装置を備えている。
【発明の効果】
【0027】
基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成することにより、基板支持具の異常動作に関する原因判定材料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】動画像生成システムに含まれる動画像生成装置と基板処理装置との接続構成の一例を示す説明図である。
【図2】動画像生成装置のハードウェア群の一例を示すブロック図である。
【図3】端末装置のハードウェア群の一例を示すブロック図である。
【図4】熱処理装置の一例を示す概略側断面図である。
【図5】熱処理装置の一例を示す概略平断面図である。
【図6】基板保持具の一例を示す概略斜視図である。
【図7】基板保持具及び基板搬送機構の一例を示す概略側面図である。
【図8】基板搬送機構の一例を示す説明図である。
【図9】ログファイルの一例の説明図である。
【図10】動画像生成装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【図11】対応テーブルのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。
【図12】動画像生成装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について、その図面を参照して説明する。
なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0030】
実施の形態1
図1は、動画像生成システム1に含まれる動画像生成装置2と基板処理装置3との接続構成の一例を示す説明図である。基板処理装置3は、端末装置4を含む。端末装置4は、ユーザと基板処理装置3との間のインタフェースをなすコンピュータであり、基板処理装置3の各構成部を制御する。端末装置4は、ユーザが入力した命令を受け付け、基板処理装置3に当該命令を送信する。端末装置4は、基板処理装置3の状態を表示する。端末装置4は、基板処理装置3に対する制御の履歴並びに基板処理装置3の動作及び状態の履歴をログファイル(履歴情報)として記録する。ログファイルの内容は、例えば基板処理装置3に対する制御コマンド、基板処理装置3の状態、基板処理装置3が実行した動作結果を含む。
【0031】
なお、端末装置4と基板処理装置3との間に、基板処理装置3の制御のみを実行するコントローラを設置してもよい。かかる場合、端末装置4は当該コントローラと情報の送受信を行うことにより、間接的に基板処理装置3を制御する。
また、端末装置4は、基板処理装置3に含まれなくてもよい。かかる場合、端末装置4は、基板処理装置3の外部に設置され、基板処理装置3と有線又は無線により接続される。
【0032】
動画像生成装置2は、端末装置4とネットワークNにより接続されている。ネットワークNは、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、電話回線等である。動画像生成装置2は、ネットワークを介して、端末装置4が記録したログファイルを受け付ける。動画像生成装置2は、受け付けたログファイル及び基板処理装置3に係る3次元CADデータに基づいて、基板処理装置3に含まれる基板の搬送機構に関する設計動作と検出動作とをシミュレートした動画像を生成し、これらの動作が対比可能な形態で表示する。
【0033】
図2は、動画像生成装置2のハードウェア群の一例を示すブロック図である。動画像生成装置2は、CPU(CentralProcessing Unit)21、RAM(Random Access Memory)22、ハードディスク23、ディスクドライブ24、通信部(受付手段)25、タイマ26、表示部27及び操作部28を含む。動画像生成装置2の各構成部は、バス2bを介して接続されている。
【0034】
CPU(生成手段、抽出手段、動画像生成手段、算出手段)21は、動画像生成装置2の各構成部を制御する。CPU21は、ハードディスク23に記録されたプログラム1Pを読み込み、当該プログラム1Pを実行する。
RAM22は、CPU21による処理の過程で必要な作業変数、データ等を一時的に記録する。なお、RAM22は主記憶装置の一例であり、RAM22の代わりにフラッシュメモリ、メモリカード等が用いられてもよい。
【0035】
ハードディスク23は、CPU21が実行するプログラム1Pを記録している。ハードディスク23は、動画像生成装置2内部に取り付けられるものであっても、動画像生成装置2外部に置かれるものであってもよい。なお、ハードディスク23は補助記憶装置の一例であり、大容量の情報の記録が可能なフラッシュメモリ、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc、登録商標)等の光ディスク1aにより代替されてもよい。
【0036】
ディスクドライブ24は、外部の記録媒体である光ディスク1aから情報を読み込み、光ディスク1aに情報を記録する。
通信部25は、モデム又はLANカード等であり、ネットワークNに接続されている。
【0037】
タイマ26は、計時を信号としてCPU21に送信する。
表示部27は、例えば液晶ディスプレイ、有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の画面を有し、CPU21からの指示に従って、プログラム1Pに係る様々な画面を表示する。
【0038】
操作部28は、ユーザが各種の入力を行うキーボード、マウス、タッチパネル等の入力デバイスを含む。操作部28は、ユーザによる操作に基づいて入力信号を生成する。生成された入力信号は、バス2bを介してCPU21に送信される。
【0039】
ハードディスク23には、基板処理装置3の設計データである3次元CADデータ(CADデータ)1Dが記録されている。3次元CADデータ1Dは、基板処理装置3を構成する各部品の形状データ及び設計動作データを含む。ハードディスク23には、基板処理装置3に対する命令及び設計動作を部品毎に対応付けた対応テーブル1Tが記録されている。
ハードディスク23には、3次元アニメーションビューワ2Pがインストールされている。3次元アニメーションビューワ2Pは、入力された部品の形状データ及び動作データに基づいて、部品の動作をシミュレートし、その結果を動画像として出力する。
なお、ハードディスク23には、3次元CADソフトがインストールされていてもよい。
【0040】
図3は、端末装置4のハードウェア群の一例を示すブロック図である。端末装置4は、CPU(検出手段)41、RAM42、ハードディスク(記録手段)43、ディスクドライブ44、通信部45、タイマ46、表示部47及び操作部48を含む。端末装置4の各構成部は、バス4bを介して接続されている。端末装置4の各構成部の機能は、動画像再生装置2の各構成部の機能とほぼ同じである。
【0041】
端末装置4のハードディスク43は、CPU41が実行するプログラム3Pを記録している。プログラム3Pは、基板処理装置3を制御するプログラムである。プログラム3Pは、基板処理装置3に対する命令並びにその結果である動作及び状態を履歴として記録する処理を含む。CPU41は、当該処理による履歴をログファイル(履歴情報)2Dとしてハードディスク43に記録する。また、ハードディスク43には、基板処理装置3が実行する各種処理のレシピ3Dが記録されている。
【0042】
基板処理装置3は、例えば半導体基板又は有機素子基板を熱処理する熱処理装置である。以下では、基板処理装置3の一例として、半導体基板について、CVD(Chemical Vapor Deposition)による成膜処理、アニール処理、酸化処理、拡散処理等の熱処理を行う熱処理装置について説明する。
【0043】
図4は、熱処理装置5の一例を示す概略側断面図である。図5は、熱処理装置5の一例を示す概略平断面図である。熱処理装置5の正面は、図4の右側及び図5の右側である。熱処理装置5の背面は、図4の左側及び図5の左側である。熱処理装置5の上方及び下方は、夫々図4の上方及び下方である。熱処理装置5の側方は、図5の上方及び下方である。以下、熱処理装置5の側方について、正面から熱処理装置5を見た右側の側方を右側方、正面から熱処理装置5を見た左側の側方を左側方と呼ぶ。
【0044】
熱処理装置5の筐体6内は、側方向に延設された隔壁61で仕切られた搬入搬出領域S1及び作業領域(ローディングエリア)S2を含む。搬入搬出領域S1は正面側に位置し、作業領域S2は背面側に位置する。搬入搬出領域S1は、基板W(例えば、シリコンウエハ)を収納した収納容器であるキャリアCを搬入、搬出するための領域である。キャリアCは、例えば直径300mmの基板W25枚程度を上下方向に所定間隔で収納し、基板Wの取り出し口(図示せず)を塞ぐ蓋体C1及び搬送される場合に保持されるフランジ部C2を有する。蓋体C1は着脱可能である。搬入搬出領域S1は、大気雰囲気で満たされている。
【0045】
作業領域S2は、基板WをキャリアCから熱処理炉に搬送し、搬送した基板Wを熱処理するための領域である。作業領域S2は、不活性ガス雰囲気(例えば窒素ガス雰囲気)又は清浄乾燥気体雰囲気(パーティクル及び有機成分が少なく、露点−60℃以下の空気雰囲気)で満たされている。
【0046】
搬入搬出領域S1は、正面側に位置する第一領域62及び背面側に位置する第二領域63を含む。第一領域62及び第二領域63には、夫々キャリアCを各2個ずつ載置可能な第一載置台64及び第二載置台65が設けられている。また、第二領域63には、キャリア保管部66及びキャリア搬送機構67が設けられている。
キャリア保管部66は、第二領域63の上部に配置されており、キャリアCを載置し、かつ保管する棚を有する。
【0047】
キャリア搬送機構67は、キャリアCを第一載置台64、第二載置台65及びキャリア保管部66の間で搬送する構成部である。キャリア搬送機構67は、昇降部67a、水平移動部67b、アーム67c及び保持部67dを含む。昇降部67aは、昇降自在であり、側方向に伸びるガイドレールを備えている。水平移動部67bは、昇降部67aが備えるガイドレールに滑合しており、当該ガイドレールにガイドされて側方向に移動する。アーム67cは、互いに端で水平方向に回転自在に軸着された2本のアームからなる。アーム67cの基部は略水平方向に回転自在に水平移動部67bと軸着されている。アーム67cの先端には、キャリアC上面のフランジ部C2を保持する保持部67dが設けられている。保持部67dがキャリアCを保持し、アーム67cが略水平方向に回転し、かつ水平移動部67bが側方向に移動することにより、キャリアCは略水平方向に搬送される。
【0048】
隔壁61の下部には、第二載置台65に載置されたキャリアCが隔壁61に当接した場合、キャリアC内と作業領域S2とを連通する開口部60が形成されている。また、作業領域S2側の隔壁61には、扉68及び蓋開閉機構69が設けられている。扉68は、開口部60を開閉する。蓋開閉機構69は、扉68が閉じた状態で、キャリアCの蓋体C1を開閉する。蓋開閉機構69がキャリアCの蓋体C1を開けた場合、蓋開閉機構69とキャリアCの蓋体C1とは、図示しない機構により例えば上方又は下方に退避される。
【0049】
開口部60の側方端側には不活性ガス供給管(図示せず)が、開口部60の下端側には排気路(図示せず)が夫々設けられている。キャリアCの蓋体C1が開かれた場合、キャリアC内の空気は不活性ガス供給管及び排気路により不活性ガス(例えば、窒素ガス)と置換される。
【0050】
作業領域S2には、熱処理炉7、基板保持具(ウエハボート)8及び基板搬送機構9が設けられている。基板搬送機構9は、第二載置台65上のキャリアC内に載置された基板Wを基板保持具8に搬送する。
【0051】
熱処理炉7は、図示しない縦型の処理容器、キャップ71、昇降機構72及び図示しないヒータを含む。処理容器は、例えば石英製の反応管であり、下部に開口された炉口を有する。キャップ71は、昇降機構72により支持されている。キャップ71は、昇降機構72により昇降することにより、処理容器の炉口を開閉する。ヒータは処理容器の外側周囲を覆うように設けられており、処理容器内の温度を所定の温度に加熱制御する。
【0052】
基板保持具8はキャップ71の上に配置されることにより、昇降可能に構成されている。基板Wが載置された基板保持具8は、炉口から上方の熱処理炉7内に搬入される。熱処理炉7は、搬入された基板Wに対して熱処理を施す。熱処理が施された基板Wを載置する基板保持具8は、炉口から下方に搬出される。基板搬送機構9は、基板保持具8に載置された熱処理済みの基板Wを第二載置台65上のキャリアCに搬送する。
【0053】
次に、基板保持具8及び基板搬送機構9について詳述する。
図6は、基板保持具8の一例を示す概略斜視図である。図7は、基板保持具8及び基板搬送機構9の一例を示す概略側面図である。基板保持具8は、例えば直径300mmの基板Wを75枚程度略水平状態で多段に保持することができる。
【0054】
基板保持具8は、支柱81、天板82、底板83及びリング部材84を含む。支柱81、天板82及び底板83は、例えば石英製又はセラミック製である。支柱81は、略同一の長さのものが複数本あり、全てが上下方向と略同一方向に配列している。複数の支柱81の上端及び下端の高さは略同一である。天板82及び底板83は、共に円盤状の部材であり、支柱81の夫々上端及び下端に接合されている。天板82及び底板83の面内方向は、水平方向と略同一である。
複数の支柱81には、保持爪81aが上下方向に所定間隔(例えば、10mmピッチ)で設けられている。基板Wは、その周縁部が略同一の高さに位置する複数の保持爪81aに載置されることにより、基板保持具8に保持される。
【0055】
リング部材84は、上下方向に設けられた隣接する保持爪81aの間の支柱81に設けられている。リング部材84の厚さは2〜3mm程度に、外径L1は基板Wの外径よりも若干大きい大きさに、内径L2は基板Wの外径よりも若干小さい大きさに形成されている。上下方向に隣接するリング部材84の配列間隔は、例えば10mmである。リング部材84の材質は、例えばSi、SiC、C(ガラス状炭素)、SiO2 、Al2 3 等である。リング部材84は、基板W上に形成される薄膜の面内均一性を向上させるために設けられた部材である。
【0056】
図8は、基板搬送機構9の一例を示す説明図である。図8Aは、基板搬送機構9の一例を示す概略斜視図である。図8Bは、基板搬送機構9の一例を示す概略平面図である。図8Cは、基板搬送機構9の一例を示す概略側面図である。基板搬送機構9は、フォーク(基板支持具)91、搬送基台92、回転機構93、昇降機構94及び水平移動機構95(図5・7参照)を含む。フォーク91は、例えば5つの保持アームを含んで構成される。保持アームの形状は平面視略U字形である。搬送基台92は、正面−背面方向を長手方向とする直方体状をなす。搬送基台92の上面及び底面は、略水平である。フォーク91は、搬送基台92の上面に設置されている。
【0057】
回転機構93は、モータ93a、エンコーダ93b及びカウンタ(検出手段)93cを含む。モータ93aは略上下方向の回転軸を有し、搬送基台92の底面は当該回転軸に軸着されている。そのため、搬送基台92はモータ93aの回転により略水平方向に回転可能である。モータ93aは、端末装置4からの命令に基づいて、回転開始、回転停止、回転速度設定等を行う。エンコーダ93bは、モータ93aの回転に伴うパルス列をカウンタ93cに出力する。カウンタ93cは、エンコーダ93bから受け付けたパルス列を微小時間である制御周期毎にカウントし、カウントした数をパルス数として、端末装置4に出力する。
【0058】
昇降機構94は、ガイドレール94a、モータ94b、エンコーダ94c及びカウンタ(検出手段)94dを含む。ガイドレール94aは略上下方向に延びており、搬送基台92はガイドレール94aに滑合している(図7参照)。ガイドレール94aの内部には、図示しない昇降軸が設けられている。モータ94bは、端末装置4からの命令に基づいて、回転開始、回転停止、回転速度設定等を行う。エンコーダ94cは、モータ94bの回転に伴うパルス列をカウンタ94dに出力する。カウンタ94dは、エンコーダ94cから受け付けたパルス列を微小時間である制御周期毎にカウントし、カウントした数をパルス数として、端末装置4に出力する。
昇降機構94は、モータ94bがガイドレール94aの内部に設けられた昇降軸を回転させることにより、搬送基台92をガイドレール94aに沿って昇降させる。
【0059】
水平移動機構95は、図5に示すガイドレール、図示しないモータ、エンコーダ及びカウンタを含む。ガイドレールは略側方向に伸びており、搬送基台92はガイドレールに滑合している。ガイドレールの下部には、図示しないプーリ及び当該プーリに巻き掛けられたベルトが設けられている。モータは、端末装置4からの命令に基づいて、回転開始、回転停止、回転速度設定等を行う。エンコーダ及びカウンタの機能は、夫々エンコーダ93b、94c及びカウンタ93c、94dの機能と同じである。
水平移動機構95は、モータがガイドレールの下部に設けられたプーリを回転させることにより、ベルトを介して搬送基台92をガイドレールに沿って側方向に水平移動させる。
【0060】
基板搬送機構9のフォーク91は、図8B及び図8Cに示すように、夫々基板Wを保持し得る第一フォーク91a、第二フォーク91b、第三フォーク91c、第四フォーク91d及び第五フォーク91eを含む。これら5つのフォーク91a〜91eは、上下方向に略等間隔で配置され、5段階構成の保持アーム群をなす。
【0061】
5つのフォーク91a〜91eは、夫々腕部96a、96b及び段部97a、97b、97c、97dを含む。腕部96a、96bは、所定の距離を隔てて進退方向に延出した2本の板状腕である。ここで、進退方向とは各フォーク91a〜91eがキャリアC又は基板保持具8に対して基板Wを搬入、搬出する場合の略水平面内における移動方向を意味する。キャリアC又は基板保持具8に近づくフォーク91の移動を前進、キャリアC又は基板保持具8から遠ざかるフォーク91の移動を後退と呼ぶ。
【0062】
腕部96a、96b及び基部を含めた保持アームである各フォーク91a〜91eの形状は平面視略U字形をなす。段部97a、97b、97c、97dは、基板Wの周縁部を載置する階段状の構成部であり、各フォーク91a〜91eについて、夫々4つずつ設けられている。2つの段部97a、97bは、夫々腕部96a、96bの外側先端部に設けられている。残りの2つの段部97c、97dは、夫々腕部96a、96b又はフォーク91の外側基端部に設けられている。4つの段部97a、97b、97c、97dを仮に線分で結んだ場合、その形状は平面視、進退方向を長手方向とする略矩形状である。
【0063】
フォーク91は、保持部材98及び進退機構99を含む。保持部材98は、5つのフォーク91a〜91eを進退機構99に対して固定する部材である。保持部材98は、進退機構99に接合されている。各フォーク91a〜91eの基端部中央から後退方向側に、平面視における腕部96a、96bの幅よりも狭い幅の延出部が夫々設けられている。当該延出部は略水平な板状をなす。保持部材98は、当該延出部各々を上下から挟み込み、ネジ98a、98b、98c、98dで各フォーク91a〜91eを進退機構99に固定するように構成されている。
【0064】
進退機構99は、各フォーク91a〜91eを進退方向に移動させる構成部である。進退機構99は、第一進退機構99a及び第二進退機構99bを含む。まず、第一進退機構99a及び第二進退機構99bに共通する構成及び機能について説明する。
図7及び図8には、進退機構99の一部である移動体が描かれている。保持部材98は当該移動体に接合されている。移動体以外の進退機構99は、図示しないモータ、プーリ、ベルト、ガイドロッド及び摺動体を含み、これらは搬送基台92内部に設けられている。モータはプーリを回転させ、プーリは巻き掛けられたベルトを駆動する。ガイドロッドは搬送基台92の長手方向に対して略平行に設置されており、ガイドロッドには摺動体が摺動可能に支持されている。移動体及び摺動体は、ベルトを挟むように、当該ベルトに取り付けられている。そのため、各フォーク91a〜91eは、図示しない搬送基台92内部のモータにより、前進又は後退をすることができる。
【0065】
進退機構99のモータは、端末装置4からの命令に基づいて、回転開始、回転停止、回転速度設定等を行う。進退機構99は、回転機構93、昇降機構94及び水平移動機構95と同様のエンコーダ及びカウンタを含む。進退機構99のカウンタは、カウントしたモータの回転に伴うパルス列の数をパルス数として、端末装置4に出力する。
【0066】
第一進退機構99aは、第三フォーク91cを前進又は後退させる機構である。一方、第二進退機構99bは、第三フォーク91c以外のフォーク91、すなわち第一フォーク91a、第二フォーク91b、第四フォーク91d、第五フォーク91eを同時に進退又は後退させる機構である。基板搬送機構9では、第一進退機構99aの単独動により1枚の基板Wを搬送する枚葉搬送と、第一及び第二進退機構99a、99bの協働により5枚の基板Wを同時に搬送する一括搬送との両方を行うことができるように構成されている。
【0067】
端末装置4は、回転機構93、昇降機構94、水平移動機構95及び第一進退機構99a及び第二進退機構99bが有するカウンタ93c、94d等から受け付けたカウント数に基づいて、搬送基台92及びフォーク91の水平面内の方向、高さ、側方向及び正面−背面方向の位置を検出する。
なお、フォーク91の先端には図示しない光センサ等のセンサが設置されており、基板Wの搬送時に生じた異常を検出する。当該異常は、例えばフォーク91と基板Wの成膜面又はリング部材84との接触、フォーク91と支柱81、天板82又は底板83との接触を含む。当該異常は、例えばフォーク91と隔壁61、キャリアC又は熱処理炉7との接触を含む。センサは、当該異常を検出した場合、異常を特定可能なエラー信号を端末装置4に送信する。
【0068】
次に、動画像生成システム1の動作について説明する。
ユーザは、端末装置4の操作部48を操作し、熱処理装置5を稼働させる。基板搬送機構9のフォーク91は、キャリアCから基板保持具8に5枚の基板Wを同時に搬送する。基板搬送機構9が所定枚数の基板Wを基板保持具8に載置し終えた場合、熱処理装置5は昇降機構72により基板保持具8を上昇させて熱処理炉7に搬入し、かつキャップ71で処理容器の炉口を密閉する。熱処理装置5は、熱処理炉7の温度をレシピ3Dに従って上昇させ、基板Wに熱処理を施す。熱処理が終了した場合、熱処理装置5は昇降機構72により基板保持具8を下方へ搬出する。基板処理機構9のフォーク9は、基板保持具8からキャリアCに基板Wを5枚ずつ同時に搬送する。
【0069】
端末装置4のCPU41は、ハードディスク43に上述の熱処理の経過及び結果をログファイル2Dとして記録する。
図9は、ログファイル2Dの一例の説明図である。ログファイル2Dには、熱処理のプロセス履歴を時系列で記録したもの、エラー履歴を時系列で記録したもの等がある。図9のログファイル2Dは、熱処理装置5における基板Wの搬送履歴を時系列に記録している。
【0070】
ログファイル2Dは、年月日、時間、コマンドID、部品ID、搬送状態、検出速度、検出位置及び検出方向を含む。年月日及び時間は、タイマ46の計時に基づくタイムスタンプである。コマンドIDは、基板Wの搬送処理の内容を特定することができる制御命令の識別記号である。例えば、基板保持具8に載置された基板Wをフォーク91が搬出する場合、コマンドIDは各フォーク91a〜91eを保持爪81aの下に前進させるID、各フォーク91a〜91eを上昇させて基板Wを持ち上げるIDを含む。また、コマンドIDは、基板Wを支持した各フォーク91a〜91eを後退させるIDを含む。このような部品の各動作は、コマンドIDと対応付けられている。
【0071】
部品IDは、基板搬送機構9を構成する各部品を特定することができる部品の識別記号である。搬送状態は、命令された基板Wの搬送動作の状態であり、例えば開始、搬送中及び終了を含む。検出速度は、基板搬送機構9のカウンタ93c、94d等から受け付けたカウント数に基づいて検出された部品の移動速度である。検出位置は、基板搬送機構9のカウンタ93c、94d等から受け付けたカウント数に基づいて検出された部品の高さ、側方向及び正面−背面方向の位置である。検出方向は、基板搬送機構9のカウンタ93c、94d等から受け付けたカウント数に基づいて検出された、所定の方向に対する部品の水平面内における方向である。ここでの所定の方向は、正面から背面に向かう方向であってもよいし、左側方から右側方に向かう方向であってもよいし、その他の方向であってもよい。
【0072】
図10は、動画像生成装置2の機能構成例を示す機能ブロック図である。図10の各機能部は、CPU21がハードディスク23に記録されたプログラム1Pに基づいて動作することにより実行される。なお、動作データ生成部(生成手段)21bは、CPU21が通信部25と協働して実現する機能である。
【0073】
動画像生成装置2のハードディスク23には、3次元CADソフトにより制作された熱処理装置5の設計データすなわち3次元CADデータ1Dが記録されている。当該3次元CADソフトは、設計した部品オブジェクトを並進移動、回転、拡縮及び変形するアニメーションを作成し、再生することができる。このアニメーションには、部品の設計動作が含まれている。
3次元CADデータ1Dは、アセンブリを構成する部品の各時刻における位置、姿勢、形状等である。各部品は、部品の識別記号である部品IDにより管理される。3次元CADデータ1Dは、データベースにより管理された各種のファイルである。
【0074】
具体的には、3次元CADデータ1Dは、基板搬送機構9を構成する部品の形状データ5D及び設計動作データ6Dを含む。
3次元CADデータ1Dに含まれる形状の表現形式は、例えばワイヤフレーム、ポリゴン、サーフェイス、ソリッド等である。形状の表現形式がソリッドである場合、形状データ5Dは部品IDに関連付けられた幾何情報及び位相情報を含む。位相情報は、点、線、面の隣接関係を表す。ここでの形状は基板搬送機構9を構成する部品の形状の他に、当該部品が組み合わさったアセンブリの形状も含まれる。部品の形状データ5Dは、部品の位置、姿勢、形状を特定するが、部品の材質、色彩、部品間の拘束関係等の属性も含む。
【0075】
部品の設計動作データ6Dは、時間的要素が加わった、部品の回転及び並進移動に関するデータを含む。設計動作データ6Dは、部品ID及び設計動作IDに関連付けられた部品毎の各動作を示すベクトルである。設計動作IDは、設計時における部品毎の設計動作を識別する識別記号である。設計動作データ6Dは、使用された3次元CADソフトにおける操作及び設定値(例えば、コマンドの文字列、部品オブジェクトに対するドラッグ操作の方向及び移動量、移動速度等)であってもよい。
なお、設計動作データ6Dは、物体表面の色、テクスチャ、影等の時間的変化、光源の位置及び明るさの時間的変化、視点の位置及び向きの時間的変化を含んでもよい。
【0076】
抽出部(抽出手段)21aは、3次元CADデータ1Dから形状データ5D及び設計動作データ6Dを抽出し、抽出した形状データ5D及び設計動作データ6Dをハードディスク23に記録する。
【0077】
動作データ生成部21bは、端末装置4からネットワークNを経由してログファイル2Dを取得する。動作データ生成部21bは、取得したログファイル2Dを解析する。動作データ生成部21bは、解析結果に基づいて、検出動作データ4Dを生成し、ハードディスク23に記録する。検出動作データ4Dは、基板搬送機構9を構成する部品の回転及び並進移動に関する検出データを含む。動作データ生成部21bは、検出動作データ4Dのデータ形式を設計動作データ6Dのデータ形式にフォーマットして生成する。例えば、動作データ生成部21bは、検出位置、検出方向、検出速度等に基づいて、部品の各動作をベクトルに変換し、変換したベクトルを各部品ID及び設計動作ID毎に並べ替えて検出動作データ4Dを生成する。
【0078】
上述の処理のために、動作データ生成部21bは、対応テーブル1Tを利用する。対応テーブル1Tは、部品ID、コマンドID及び設計動作IDとの対応関係を示すテーブルである。
図11は、対応テーブル1Tのレコードレイアウトの一例を示す説明図である。対応テーブル1Tは、部品ID、コマンドID及び設計動作IDの各列を含む。部品ID及びコマンドIDは、夫々ログファイル2Dに含まれる部品ID及びコマンドIDと同じである。設計動作IDは、設計動作データ6Dに含まれる設計動作IDと同じである。動作データ生成部21bは、対応テーブル1Tを参照し、ログファイル2Dに含まれるコマンドIDを設計動作IDに置換する。
【0079】
なお、対応テーブル1Tは、端末装置4のハードディスク43に記録されていてもよい。かかる場合、動作データ生成部21bは、通信部25を介して対応テーブル1Tを端末装置4から取得する。
あるいは、設計動作IDは基板Wの搬送処理の開始から終了まで動作順序に関する連番とし、動作データ生成部21bは、ログファイル2Dの先頭からEOFまでのシーケンスに従って、コマンドIDと設計動作IDとの対応関係を生成してもよい。
【0080】
差分算出部(算出手段)21cは、ハードディスク23に記録された検出動作データ4D及び設計動作データ6DをRAM22に読み込み、基板搬送機構9を構成する各部品の前進、後退、昇降、側方向の移動若しくは回転に係る動作の大きさ、速さ又は方向の差分を算出する。その際、差分算出部21cは、部品ID及び設計動作ID毎に部品の動作を対比する。
【0081】
比較部(動画像生成手段)21dは、差分算出部21cが算出した差分を所定の閾値と比較する。比較部21dは、差分算出部21cが算出した差分が所定の閾値より大きい場合、動画像生成部(動画像生成手段)21eに処理を開始するように指示する。
比較部21dは、差分算出部21cが算出した差分を数段階の閾値と比較してもよい。比較部21dは、閾値によって区分される複数の領域のうち、差分がどの領域に属するか判定し、その判定結果を動画像生成部21eに出力してもよい。
【0082】
動画像生成部21eは、比較部21dにより差分が所定の閾値より大きいと判定された場合、形状データ5D、検出動作データ4D及び設計動作データ6Dをハードディスク23からRAM22に読み出す。動画像生成部21eは、形状データ5Dが示す部品を検出動作データ4Dにより動かすアニメーション画像と、形状データ5Dが示す部品を設計動作データ6Dにより動かすアニメーション画像とを生成する。動画像生成部21eは、生成した2つのアニメーション画像を比較認識しやすい動画像を生成する。
【0083】
ここで、上記比較認識しやすい動画像は、例えば2つのアニメーション画像を縦又は横に並列配置し、2つのアニメーション画像が同期して動く動画像である。比較認識しやすい動画像は、例えば2つのアニメーション画像を重畳した動画像である。比較認識しやすい動画像は、検出動作データ4Dに基づく部品部分の色彩、輝度、濃淡、形状又は大きさを変更し、当該部品部分を強調表示した動画像である。この強調表示した動画像は、検出動作データ4Dに基づく部品部分に対して、搬送動作の大きさよりも小さな大きさの揺らぎ動作を加えた動画像であってもよい。
【0084】
なお、動画像生成部21eは、比較部21dによる判定結果と無関係に、検出動作データ4D及び設計動作データ6Dに対応するアニメーション画像を生成してもよい。また、動画像生成部21eは、比較部21dから差分が複数の閾値によって区分される領域のどの領域に属するかという判定結果を受け付けた場合、領域の違いによって上述の強調表示の程度又は形態を変更した動画像を生成してもよい。
【0085】
動画像生成部21eは、アニメーション画像の生成に際し、レンダリング、キーフレーム法、キネマティクス、モーションブラー等の3次元CGアニメーション技術を利用してもよい。なお、動画像生成部21eの処理機能は、既存のCGアプリケーション(3次元アニメーションビューワ2P)で代替されてもよい。
【0086】
動画像表示部21fは、動画像生成部21eが生成した動画像を表示部27に表示する。
【0087】
動画像生成システム1によれば、基板処理装置2を構成する基板搬送機構9が有するフォーク91の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成することにより、フォーク91の異常動作に関する原因判定材料を提供することができる。
フォーク91は、販売品である基板Wに直接接触する重要な部品であり、その動作はたいへん精密に設計されている。従って、フォーク91の動作の正確性は担保されている必要がある。しかしながら、ティーチングの不備、ギアへのグリスの塗り忘れ、ベルトの緩み、ネジの緩み等からフォーク91に機械的な不具合が発生した場合、単にフォーク91の動作をシミュレートした動画像を見ても、正常時の動作に比較してどのような違いがあるのか認識しづらい。そのため、基板搬送機構9における機械的不具合の原因を特定することは困難である。しかしながら、フォーク91について、設計時の動作と実際の稼働時の動作とをシミュレートした動画像を対比可能な形態で表示することにより、機械的不具合の原因を特定することがより容易になる。これにより、基板処理装置3の調整、修理等に費やされる時間は短縮され、基板処理装置3の歩留り及び生産性を向上させることができる。
【0088】
基板搬送装置3又は熱処理装置5には、機械的異常が発生した場合、その発生を通知するアラーム機能を備えている。フォーク91に係るアラームの原因には、フォーク91の側の調整不備又は劣化と、基板保持具8の側の劣化とがある。基板保持具8の劣化とは、たび重なる熱処理に伴う形状変化である。動画像生成システム1によれば、動像画におけるフォーク91の動作が正常と判定されるにもかかわらず、アラームが発生している場合、アラームの原因としてフォーク91の機械的不具合を消去することができる。その結果、基板保持具8の調査に作業を移行する判断が可能となり、アラームの原因探求作業時間の短縮を図ることができる。
【0089】
実施の形態2
実施の形態2は、動作データ生成部21bにより検出動作データ4Dを逐次ハードディスク23に記録、蓄積する形態に関する。
図12は、動画像生成装置2の機能構成例を示す機能ブロック図である。図12の機能ブロック図は、差分算出部21c及び比較部21dを欠く点において、図10の機能ブロック図と異なる。
【0090】
抽出部21aは、予め3次元CADデータ1Dから形状データ5D及び設計動作データ6Dを抽出し、ハードディスク23に記録しておく。動作データ生成部21bは、納品された熱処理装置5が稼働を始めた時から、記録されたログファイル2Dに基づいて生成した検出動作データ4Dをハードディスク23に記録及び蓄積する。動作データ生成部21bは、異なる時期に取得した異なるログデータ2Dに基づいて、検出動作データ4Dの生成、記録及び蓄積を繰り返す。
【0091】
アラームが発生した場合、動画像生成部21eは、動作データ生成部21bが生成、記録及び蓄積した複数の検出動作データ4D並びに抽出部21aが抽出した形状データ5Dをハードディスク23からRAM22に読み出す。動画像生成部21eは、形状データ5Dが示す部品を複数の検出動作データ4Dにより夫々動かす複数のアニメーション画像を生成する。動画像生成部21eは、生成した複数のアニメーション画像を比較認識しやすい動画像を生成する。
【0092】
上記比較認識しやすい動画像は、例えば生成した複数のアニメーション画像が4つである場合、左右上下の縦横に4分割した画面に各アニメーション画像を表示する動画像である。
比較認識しやすい動画像は、例えば複数のアニメーション画像を時系列の順に、連続して又は不連続に再生可能な動画像である。
比較認識しやすい動画像は、例えば複数のアニメーション画像各々が設計動作データ6Dにより部品を動かすアニメーション画像と重畳された動画像である。
なお、複数のアニメーション画像各々の一部に、元となるログファイル2Dのデータの年月日及び時間を示す文字列が含まれてもよい。
【0093】
動画像表示部21fは、動画像生成部21eが生成した動画像を表示部27に表示する。
【0094】
実施の形態2に係る動画像生成システム1によれば、フォーク91の動作に関する時間的変遷を比較観察することができる。これにより、フォーク91の異常動作に関する原因を探ることがより容易になる。
【0095】
動画像生成装置2は、異なる複数の熱処理装置5に含まれる各端末装置4から、ログファイル2Dを取得してもよい。動画像生成装置2は、異なる熱処理装置5の基板搬送機構9が有するフォーク91の設計動作及び検出動作を対比可能な動画像を生成してもよい。あるいは、動画像生成装置2は、異なる熱処理装置5の基板搬送機構9が有する各フォーク91について、動作の時間的変遷を比較観察することができる動画像を生成してもよい。これにより、例えば同一の工場に同時に設置された複数の熱処理装置5がある場合、熱処理装置5間におけるフォーク91の動作を比較することにより、機械的不具合が発生した熱処理装置5の原因特定材料を増大させることができる。
【0096】
なお、CPU21は、プログラム1Pを、ディスクドライブ24を介して光ディスク1a、磁気テープ、磁気ディスク、光磁気ディスク等から読み込んでもよい。また、プログラム1Pを記録したフラッシュメモリ等の半導体メモリ1c、磁気テープ、磁気ディスク、光磁気ディスク等が動画像生成装置2内に実装されてもよい。さらに、CPU21は、プログラム1Pを、通信部25を介して図示しない外部の情報処理装置又は記録装置からダウンロードすることも可能である。
また、動画像生成装置2は、端末装置4からネットワークNを介してログファイル2Dを取得するのではなく、ログファイル2Dを記録したフラッシュメモリ等の半導体メモリ1c、磁気テープ、磁気ディスク、光磁気ディスク等を介して、ログファイル2Dを取得してもよい。
端末装置4は、ログファイル2Dをハードディスク43に記録するのではなく、ログファイル2Dを記録保存する前のログデータを、ネットワークNを介して動画像生成装置2に送信してもよい。動画像生成装置2は、当該ログデータを端末装置4から受信し、ログファイル2Dとしてハードディスク23に記録してもよい。
【0097】
実施の形態2は以上の如きであり、その他は実施の形態1と同様であるので、対応する部分には同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。
【符号の説明】
【0098】
1 動画像生成システム
2 動画像生成装置
21 CPU(生成手段、抽出手段、動画像生成手段、算出手段)
21a 抽出部(抽出手段)
21b 動作データ生成部(生成手段)
21c 差分算出部(算出手段)
21d 比較部(動画像生成手段)
21e 動画像生成部(動画像生成手段)
26 通信部(受付手段)
3 基板処理装置
4 端末装置
41 CPU(検出手段)
43 ハードディスク(記録手段)
8 基板保持具(ウエハボート)
9 基板搬送機構
91 フォーク(基板支持具)
93c カウンタ(検出手段)
94d カウンタ(検出手段)
W 基板
1D 3次元CADデータ(CADデータ)
2D ログファイル(履歴情報)
4D 検出動作データ
5D 形状データ
6D 設計動作データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置を構成する構成要素について検出された動作に係る検出動作データを生成し、前記基板処理装置に係るCADデータから抽出した前記構成要素の形状データ及び生成した該構成要素の検出動作データに基づいて、該構成要素の動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成装置において、
前記基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具について検出された動作の履歴情報を受け付ける受付手段と、
該受付手段が受け付けた前記基板支持具に関する動作の履歴情報に基づいて、該基板支持具の検出動作データを生成する生成手段と、
前記CADデータから前記基板支持具の形状データ及び設計動作データを抽出する抽出手段と、
該抽出手段が抽出した前記基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに前記生成手段が生成した該基板支持具の検出動作データに基づいて、該基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成手段と
を備えることを特徴とする動画像生成装置。
【請求項2】
前記抽出手段が抽出した設計動作データ及び前記生成手段が生成した検出動作データに基づいて、前記基板支持具の設計動作及び検出動作の差分を算出する算出手段を備え、
前記動画像生成手段は、前記算出手段が算出した差分が所定の閾値より大きい場合、前記基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成するようにしてある
ことを特徴とする請求項1に記載の動画像生成装置。
【請求項3】
前記抽出手段が抽出した設計動作データ及び前記生成手段が生成した検出動作データは、夫々前記基板支持具の動作を識別する識別情報を含み、
前記算出手段は、前記識別情報により特定される同一動作に関して、前記基板支持具の設計動作及び検出動作の差分を算出するようにしてある
ことを特徴とする請求項2に記載の動画像生成装置。
【請求項4】
前記動画像生成手段は、前記識別情報により特定される同一動作に関して、前記基板支持具の設計動作に対応する動画像及び検出動作に対応する動画像を重畳又は並列配置した動画像を生成するようにしてある
ことを特徴とする請求項3に記載の動画像生成装置。
【請求項5】
前記動画像生成手段は前記検出動作に対応する動画像が示す基板支持具部分を色彩又は輝度の変更により強調表示した動画像を生成するようにしてある
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の動画像生成装置。
【請求項6】
前記受付手段が受け付けた複数の動作の履歴情報各々に基づいて、前記生成手段が夫々生成した前記基板支持具の検出動作データ各々を記録する記録手段を備え、
前記動画像生成手段は、前記抽出手段が抽出した前記基板支持具の形状データ及び前記記録手段が記録した該基板支持具の検出動作データ各々に基づいて、該検出動作データ各々に対応する複数の動画像を、重畳若しくは配列表示した動画像又は時系列順に再生可能な動画像を生成するようにしてある
ことを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の動画像生成装置。
【請求項7】
前記動画像生成手段が生成した動画像を表示する表示部を備える
ことを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の動画像生成装置。
【請求項8】
基板処理装置を構成する構成要素について検出された動作に係る検出動作データを生成し、前記基板処理装置に係るCADデータから抽出された前記構成要素の形状データ及び生成した該構成要素の検出動作データに基づいて、該構成要素の動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成方法において、
前記基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具について検出された動作の履歴情報に基づいて、該基板支持具の検出動作データを生成し、
前記CADデータから抽出された該基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに生成した前記基板支持具の検出動作データに基づいて、該基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成する
ことを特徴とする動画像生成方法。
【請求項9】
基板処理装置を構成する搬送機構が有する基板支持具の動作を検出する検出手段、
該検出手段が検出した動作の履歴情報を記録する記録手段、及び
該記録手段から取得した前記履歴情報に基づいて、前記基板支持具の検出動作データを生成する生成手段と、
前記基板処理装置に係るCADデータから前記基板支持具の形状データ及び設計動作データを抽出する抽出手段と、
該抽出手段が抽出した前記基板支持具の形状データ及び設計動作データ並びに前記生成手段が生成した該基板支持具の検出動作データに基づいて、該基板支持具の設計動作及び検出動作をシミュレートした動画像を生成する動画像生成手段と
を有する動画像生成装置
を備える
ことを特徴とする動画像生成システム。
【請求項10】
前記検出手段及び記録手段は前記基板処理装置に含まれる
ことを特徴とする請求項9に記載の動画像生成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−51282(P2013−51282A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187645(P2011−187645)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】