説明

半導体レーザモジュール、半導体レーザ装置

【課題】良好な放熱性を提供可能な構造の半導体レーザモジュールを提供する。
【解決手段】III族窒化物半導体レーザ11はサブマウント7とヒートシンク9との間に設けられる。III族窒化物半導体レーザ11はpアップ形態でサブマウント7上に搭載されるので、レーザ導波路からの熱は、レーザ構造体13を介してサブマウント7に伝わる。レーザ導波路からの熱は、高い温度のレーザ導波路からオーミック電極15及びパッド電極45を介して低い温度のヒートシンク9に伝わり、この熱は、オーミック電極15から離れたヒートシンク端に向けてヒートシンク内を伝搬していき、ヒートシンク9の温度分布はレーザ導波路上の中央部からヒートシンク端に向けて低くなる。III族窒化物半導体レーザ11の両端の近傍では、III族窒化物半導体レーザ11の温度はヒートシンク9の温度より低いので、ヒートシンク9の熱はIII族窒化物半導体レーザ11に伝搬する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体レーザモジュール、半導体レーザ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、半導体レーザ装置が記載されている。半導体レーザ装置では、ステムが、サブマウント上に設けられたレーザダイオードを搭載しています。特許文献2には、サブマウントやヒートシンクに適用可能な銅ダイヤモンド複合体が記載されています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−214441号公報
【特許文献2】特開平09−312363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、ステムにサブマウントを介してレーザダイオードチップを実装する。この実装形態を特許文献1における光モジュールよりも高出力のレーザダイオードに適用するとき、レーザダイオードのジャンクション温度が高くなる。上記の実装形態によって提供可能な冷却能力を超える冷却が必要となる可能性がある。これ故に、放熱性を良くする特別な工夫が必要である。
【0005】
ステムにサブマウントを介してレーザダイオードチップを実装する実装形態では、レーザダイオードの導波路で発生した熱は、半導体領域内の導波路からチップの表面に伝わり、この熱はチップ表面からサブマウントを介してステムに放熱される。サブマウントの材料としては例えばAlNが使用される。発明者の検討によれば、サブマウントの厚みを薄くすると、サブマウントの放熱性が改善される。しかしながら、サブマウントの薄化のための加工には限界があり、発明者らの知見によれば、150μm程度が薄化の限界である。
【0006】
発明者はステムについても検討しており、ステムのヒートシンクには銅材を使用すると共にヒートシンクのサイズを大きくすると、ヒートシンクの放熱性が改善される。ところが、ヒートシンクの寸法は、ステムの寸法、例えばステム径(具体的には3.8mmφ)により制約される。これ故に、ヒートシンクの寸法にも制限される。ステムでは、ヒートシンクを搭載するベースには、比較的熱伝導率の低い鉄が使用され、キャップのシールを溶接により行うためには、ステムのベースが鉄材からなることが良い。
【0007】
窒化物半導体発光素子の発熱は、他の半導体材料からなる半導体発光素子に比べて大きい。上記の実装形態を窒化物半導体発光素子に適用するとき、更なる放熱性の向上が求められている。また、上記の実装形態に限定されない場合でも、窒化物半導体発光素子の放熱性を改善することは、窒化物半導体発光素子の実装形態に多様性を与える。この実装形態において放熱性の向上を検討するに際して、放熱性を高めるには熱が伝わる別の経路を作る必要がある。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みて為されたものであり、良好な放熱性を提供可能な構造を有する半導体レーザモジュールを提供することを目的とし、またこの半導体レーザモジュールのための半導体レーザ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る半導体レーザモジュールは、(a)レーザ構造体、オーミック電極、裏面電極及びパッド電極を含むIII族窒化物半導体レーザと、(b)前記III族窒化物半導体レーザを搭載する搭載面を有するサブマウントと、(c)前記サブマウントを搭載する台座を含むステムと、(d)前記III族窒化物半導体レーザの上に搭載されたヒートシンクとを備える。前記III族窒化物半導体レーザは、前記III族窒化物半導体レーザの前記裏面電極を前記サブマウントの前記搭載面に向けた形態で実装されており、前記III族窒化物半導体レーザは前記サブマウントと前記ヒートシンクとの間に設けられ、前記レーザ構造体は、導電性の基板と、該基板の主面上に設けられたエピタキシャル半導体領域とを含み、前記オーミック電極は、前記エピタキシャル半導体領域に接合を成し、前記裏面電極は、前記基板の裏面に接合を成し、前記パッド電極は前記オーミック電極に接続され、前記III族窒化物半導体レーザは、第1端面及び第2端面と、前記第1端面から前記第2端面への第1方向に延在するレーザ導波路とを含み、前記サブマウント、前記III族窒化物半導体レーザ及び前記ヒートシンクは、前記第1方向に直交する第2方向に沿って順に配列されており、前記ヒートシンクは前記III族窒化物半導体レーザの前記パッド電極に電気的に接続されており、前記サブマウントは、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に規定される幅を有し、前記オーミック電極は前記第3方向に規定される幅を有し、前記ヒートシンクは前記第3方向に規定される幅を有し、前記パッド電極は前記第3方向に規定される幅を有し、前記ヒートシンクの前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きく、前記パッド電極の前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きく、前記サブマウントの前記幅は前記ヒートシンクの前記幅より大きい。
【0010】
本発明に係る半導体レーザ装置は、(a)レーザ構造体、オーミック電極、裏面電極及びパッド電極を含むIII族窒化物半導体レーザと、(b)前記III族窒化物半導体レーザの前記裏面電極を前記サブマウントの前記搭載面に向けた形態で前記III族窒化物半導体レーザを搭載する搭載面を有するサブマウントと、(c)前記III族窒化物半導体レーザの上に搭載されたヒートシンクとを備える。前記III族窒化物半導体レーザは前記サブマウントと前記ヒートシンクとの間に設けられ、前記パッド電極は前記オーミック電極に接続され、前記レーザ構造体は、基板と、該基板の主面の上に設けられたエピタキシャル半導体領域とを含み、前記オーミック電極は、前記エピタキシャル半導体領域に接合を成し、前記裏面電極は、前記基板の裏面に接合を成し、前記III族窒化物半導体レーザは、第1端面及び第2端面と、前記第1端面から前記第2端面への第1方向に延在するレーザ導波路とを含み、前記サブマウント、前記III族窒化物半導体レーザ及び前記ヒートシンクは、前記第1方向に直交する第2方向に沿って配列されており、前記ヒートシンクは前記基板の前記パッド電極に電気的に接続されており、前記サブマウントは、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に規定される幅を有し、前記オーミック電極は前記第3方向に規定される幅を有し、前記パッド電極は前記第3方向に規定される幅を有し、前記サブマウントの前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きく、前記パッド電極の前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きい。
【0011】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、III族窒化物半導体レーザは、第1端面から第2端面への第1方向に延在するレーザ導波路を含む。III族窒化物半導体レーザでは、エピタキシャル半導体領域にはオーミック電極が接合を成し、このオーミック電極にはパッド電極が接続されている。サブマウント、III族窒化物半導体レーザ及びヒートシンクが第2方向に沿って順に配列されているので、III族窒化物半導体レーザはサブマウントとヒートシンクとの間に設けられる。III族窒化物半導体レーザは、III族窒化物半導体レーザの裏面電極をサブマウントの前記搭載面に向けた形態(以下、当該明細書において「エピアップ形態」と呼ぶ)でサブマウント上に搭載され、またヒートシンクがIII族窒化物半導体レーザ上に搭載されるので、レーザ導波路からの熱は、基板及びエピタキシャル半導体領域を含むレーザ構造体を介してサブマウントに伝わる。また、レーザ導波路からの熱は、高い温度のレーザ導波路から、オーミック電極及びパッド電極を介して低い温度のヒートシンクにも伝わる。ヒートシンクに伝わった熱は、ヒートシンクの幅がオーミック電極の幅より大きいので、オーミック電極から離れたヒートシンク端に向けてヒートシンク内を伝搬していき、ヒートシンクの温度はヒートシンク端に向けて低くなる。また、III族窒化物半導体レーザの温度はレーザ導波路から離れるにつれて低くなる。III族窒化物半導体レーザの熱電伝導率はヒートシンクの熱電伝導率より小さいので、III族窒化物半導体レーザの両脇の近傍では、III族窒化物半導体レーザの温度はヒートシンクの温度より低くなる。ヒートシンクの熱はIII族窒化物半導体レーザに伝搬するので、レーザ導波路の両側にあり該レーザ導波路から離れた半導体領域はヒートシンクからの熱をサブマウントに伝えるために役立つ。
【0012】
上記の形態でサブマウント上に搭載されたIII族窒化物半導体レーザ上にヒートシンクを設けるとき、III族窒化物半導体レーザのより多くの領域を放熱のために利用することを可能にする。
【0013】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記III族窒化物半導体レーザの前記基板の前記主面はIII族窒化物からなり、前記基板の前記主面は該III族窒化物のc軸の方向に延在する軸に直交する平面に対して10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜し、前記III族窒化物のc軸は<0001>軸又は<000−1>軸であることができる。
【0014】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、上記の角度範囲の主面上の発光素子における発熱が大きい。
【0015】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記III族窒化物半導体レーザの発振波長は480nm以上540nm以下であることができる。この半導体レーザモジュールによれば、上記の発振波長の範囲の発光ではレーザ導波路のおける発熱が大きい。
【0016】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記III族窒化物半導体レーザの前記基板の前記主面はIII族窒化物からなり、前記エピタキシャル半導体領域は、第1導電型III族窒化物半導体層、活性層、及び第2導電型III族窒化物半導体層を含み、前記エピタキシャル半導体領域は前記活性層と前記第1導電型III族窒化物半導体層との間に設けられた光ガイド層を更に含み、前記光ガイド層と前記活性層との界面は、前記III族窒化物のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面からm軸方向に傾斜していることが好ましい。この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、上記の傾斜方向に傾斜した主面上の発光素子における発熱が大きい。
【0017】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記光ガイド層と活性層との界面は、前記基準軸に直交する面からm軸方向に63度以上80度未満の角度で傾斜していることができる。この半導体レーザモジュールによれば、上記の角度範囲の主面上の発光素子における発熱が大きい。
【0018】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記III族窒化物半導体レーザの発振波長が、510nm以上540nm以下であることが好ましい。この半導体レーザモジュールによれば、上記の発振波長の範囲の発光では発行素子における発熱が大きい。
【0019】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記エピタキシャル半導体領域は、第1導電型III族窒化物半導体層、活性層、及び第2導電型III族窒化物半導体層を含み、前記第1導電型III族窒化物半導体層、前記活性層及び前記第2導電型III族窒化物半導体層は、前記基板の主面の法線軸の方向に沿って配列されており、前記III族窒化物半導体レーザの厚さは100μm以下であることが好ましい。
【0020】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、III族窒化物半導体レーザの厚さが上記の範囲であるので、比較的低い熱伝導性の材料からなるIII族窒化物半導体レーザの厚さが薄い。
【0021】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記III族窒化物半導体レーザは前記第3方向に規定される幅を有し、前記パッド電極の前記幅は前記III族窒化物半導体レーザ及び半導体レーザ装置の前記幅の半分以上であることができる。
【0022】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、パッド電極の幅がIII族窒化物半導体レーザの幅の半分以上であるとき、III族窒化物半導体レーザのより多くの半導体領域を放熱のために利用できる。
【0023】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記III族窒化物半導体レーザは前記第3方向に規定される幅を有し、前記ヒートシンクの前記幅は前記III族窒化物半導体レーザの前記幅以上であることができる。或いは、前記ヒートシンクの前記幅は前記パッド電極の前記幅以上であることができる。
【0024】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、ヒートシンクの幅がIII族窒化物半導体レーザの幅以上であるので、ヒートシンクは、III族窒化物半導体レーザの光導波路からの熱を、III族窒化物半導体レーザのレーザ導波路から離れた領域に伝える熱伝導路を提供する。
【0025】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記ヒートシンクの厚さは前記サブマウントの厚さより小さいことが好ましい。
【0026】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、ヒートシンクの厚さがサブマウントの厚さより小さいので、ヒートシンクは、上記の実装形態でサブマウント上に実装されたIII族窒化物半導体レーザ上において、III族窒化物半導体レーザの光導波路からの熱を、III族窒化物半導体レーザのレーザ導波路から離れた領域に伝える。
【0027】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記ヒートシンクは、AlN、SiC、銅、及び銅ダイヤモンド複合体の少なくともいずれかからなる支持体を含むことができる。この半導体レーザモジュールによれば、ヒートシンクに上記の材料を適用できる。
【0028】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記ヒートシンクは、AlN、SiC、及び銅ダイヤモンド複合体の少なくともいずれかからなる支持体を含み、前記ヒートシンクの前記支持体は第1面と該第1面の反対側の第2面と有し、前記ヒートシンクは前記支持体の前記第1面から前記第2面まで前記支持体の表面を延在する導電層を含むことができる。
【0029】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、III族窒化物半導体レーザのレーザ構造体上のパッド電極は、ヒートシンクの支持体表面の導電層を接続される。
【0030】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置は、前記ヒートシンクを前記III族窒化物半導体レーザに固定する導電性接着剤を更に備えることができる。
【0031】
この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、ヒートシンクの熱膨張係数がIII族窒化物半導体レーザの熱膨張係数に比較的近いとき、導電性接着剤を用いてヒートシンクをIII族窒化物半導体レーザにしっかりと固定することができる。
【0032】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記ヒートシンクは、銅を含む金属支持体を有することができる。この半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置によれば、金属は窒化物半導体の熱伝導性より良好な熱伝導性を提供できる。
【0033】
本発明に係る半導体レーザモジュール及び半導体レーザ装置では、前記ヒートシンクは、前記III族窒化物半導体レーザの前記パッド電極に接触を成し、当該半導体レーザモジュールは、前記ヒートシンクと前記前記III族窒化物半導体レーザとの接触を維持する固定具を更に備えることができる。
【0034】
この半導体レーザモジュールによれば、ヒートシンクの熱膨張係数がIII族窒化物半導体レーザの熱膨張係数にそれほど近くないとき、固定具を用いてヒートシンクをIII族窒化物半導体レーザとの接触を維持することができる。
【0035】
本発明に係る半導体レーザモジュールでは、前記固定具は、前記ヒートシンクと前記III族窒化物半導体レーザとの接触を維持するための弾性力を提供することが好ましい。この半導体レーザモジュールによれば、固定具からの弾性力は、接着剤を用いたじっかりとした固定でなく、上記の接触を維持することを可能にする。
【0036】
本発明に係る半導体レーザモジュールでは、前記固定具は、前記台座と前記ヒートシンクとに接触を成す閉じた形状のベルトを含むことが好ましい。この半導体レーザモジュールによれば、閉じた形状のベルトにより弾性力を提供して、接着剤を用いたじっかりとした固定でなく、上記の接触を維持することができる。
【0037】
本発明に係る半導体レーザモジュールは、前記ステムに支持された第1端子と前記ヒートシンクを接続する第1ボンディングワイヤを更に備えることができる。この半導体レーザモジュールによれば、III族窒化物半導体レーザのパッド電極はヒートシンクを介して第1ボンディングワイヤに接続される。
【0038】
本発明に係る半導体レーザモジュールは、前記ステムに支持された第2端子と前記サブマウントを接続する第2ボンディングワイヤを更に備えることができる。この半導体レーザモジュールによれば、III族窒化物半導体レーザの裏面電極はサブマウントを介して第2ボンディングワイヤに接続される。
【発明の効果】
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、良好な放熱性を提供可能な構造を有する半導体レーザモジュールを提供できる。また、本発明によれば、この半導体レーザモジュールのための半導体レーザ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】図1は、本実施の形態に係る半導体レーザモジュールの構造を概略的に示す図面である。
【図2】図2は、本実施の形態に係る半導体レーザモジュールの一断面における構造を模式的に示す図面である。
【図3】図3は、本実施の形態に係る半導体レーザ装置における電流の流れとレーザ導波路からの熱の流れを示す図面である。
【図4】図4は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの上面を示す図面である。
【図5】図5は、本実施の形態に係るモデルにおける半導体レーザの放熱性及び半導体レーザ装置の放熱性のシミュレーション結果を示す図面である。
【図6】図6は、本実施の形態に係る半導体レーザモジュールの一形態を示す図面である。
【図7】図7は、本実施の形態に係る半導体レーザモジュールの一形態を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
引き続いて、添付図面を参照しながら、半導体レーザモジュール、半導体レーザ装置及びIII族窒化物半導体レーザ素子の本発明に係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。図面に示された構成物の寸法比は実物の寸法比と異なることがある。
【0042】
図1は、本実施の形態に係る半導体レーザモジュールの構造を概略的に示す図面である。図2は、本実施の形態に係る半導体レーザモジュールの一断面における構造をI−I線に沿ってとられた断面を模式的に示す図面である。半導体レーザモジュール1は、半導体レーザ装置3及びパッケージ(例えば図2におけるステム5a及びキャップ5b)5を含む。半導体レーザ装置3は、サブマウント7、ヒートシンク9及びIII族窒化物半導体レーザ素子11を含む。本実施形態では、III族窒化物半導体レーザ素子11は、利得導波路型の構造を有するけれども、本実施の形態に係る半導体レーザモジュール1は、利得導波路型のIII族窒化物半導体レーザ素子に限定されることなく、リッジ構造といった他の構造のIII族窒化物半導体レーザ素子に適用される。
【0043】
半導体レーザモジュール1では、サブマウント7は搭載面7a及び固定面7bを含み、固定面7bは搭載面7aと反対側に位置する。III族窒化物半導体レーザ11は搭載面7a上に搭載される。サブマウント7はパッケージ5上に搭載され、例えばステムの台座上に搭載される。ヒートシンク9はIII族窒化物半導体レーザ11上に搭載される。III族窒化物半導体レーザ11は、レーザ構造体13、オーミック電極15、裏面電極41及びパッド電極45を含む。レーザ構造体13は、導電性の基板17と、該基板17の主面17a上に設けられたエピタキシャル半導体領域19とを含む。オーミック電極15は、エピタキシャル半導体領域19に接合を成す。裏面電極41は、基板17の裏面17bに接合を成す。パッド電極45はオーミック電極15に接触を成す。III族窒化物半導体レーザ11は、第1端面27及び第2端面29と、第1端面27から第2端面29への第1方向(座標系SのX軸方向)に延在するレーザ導波路とを含む。本実施例では、レーザダイオードのレーザ導波路はオーミック電極15に沿って延在する。
【0044】
サブマウント7、III族窒化物半導体レーザ11及びヒートシンク9は、第1方向に直交する第2方向(座標系SのZ軸方向)に沿って順に配列されている。III族窒化物半導体レーザ11はサブマウント7とヒートシンク9との間に設けられている。III族窒化物半導体レーザ11は、III族窒化物半導体レーザ11の裏面電極41をサブマウント7の搭載面7aに向けた形態(以下、当該明細書において「エピアップ形態」と呼ぶ)で実装されている。
【0045】
図2を参照すると、ヒートシンク9はIII族窒化物半導体レーザ11のパッド電極45に電気的に接続されている。サブマウント7は、第1方向(レーザ導波路方向)及び第2方向(基板法線方向)の両方に直交する第3方向に規定される幅W7を有する。オーミック電極15は第3方向に規定される幅W15を有する。パッド電極45は第3方向に規定される幅W45を有する。ヒートシンク9は第3方向に規定される幅W9を有する。ヒートシンク9の幅W9はオーミック電極15の幅W15より大きく、パッド電極45の幅W45はオーミック電極15の幅W15より大きく、サブマウント7の幅W7はヒートシンク9の幅W9より大きい。
【0046】
この半導体レーザモジュール11によれば、III族窒化物半導体レーザ11は、第1端面27から第2端面29への方向に延在するレーザ導波路を含む。III族窒化物半導体レーザでは、エピタキシャル半導体領域19にはオーミック電極15が接合を成し、このオーミック電極15にはパッド電極45が接続される。サブマウント7、III族窒化物半導体レーザ11及びヒートシンク9が第2方向に沿って順に配列されているので、III族窒化物半導体レーザ11はサブマウント7とヒートシンク9との間に設けられる。III族窒化物半導体レーザ11は、III族窒化物半導体レーザ11の裏面電極41をサブマウント7の搭載面7aに向けた形態でサブマウント7上に搭載されるので、レーザ導波路からの熱は、基板17及びエピタキシャル半導体領域19を含むレーザ構造体13を介してサブマウント7に伝わる。また、ヒートシンク9がIII族窒化物半導体レーザ11上に搭載されるので、レーザ導波路からの熱は、高い温度のレーザ導波路から、オーミック電極15及びパッド電極45を介して低い温度のヒートシンク9にも伝わる。ヒートシンク9に伝わった熱は、ヒートシンク9の幅W9がオーミック電極15の幅W15より大きいので、オーミック電極15から離れたヒートシンク端に向けてヒートシンク内を伝搬していき、ヒートシンク9の温度分布はレーザ導波路上の中央部からヒートシンク端に向けて低くなる。また、III族窒化物半導体レーザ11の温度分布はレーザ導波路から離れるにつれて低くなる。III族窒化物半導体レーザ11の熱電伝導率はヒートシンク9の熱電伝導率より小さいので、III族窒化物半導体レーザ11の両端の近傍では、III族窒化物半導体レーザ11の温度はヒートシンク9の温度より低くなるので、ヒートシンク9の熱はIII族窒化物半導体レーザ11に伝搬する。これ故に、III族窒化物半導体レーザ11では、レーザ導波路から離れた半導体領域はヒートシンク9からの熱をサブマウント7に伝えるために役立つ。
【0047】
上記の実装形態でサブマウント7上に搭載されたIII族窒化物半導体レーザ11上にヒートシンク9を設けるとき、III族窒化物半導体レーザ11のより多くの領域を放熱のために利用することを可能にする。
【0048】
再び図1を参照すると、III族窒化物半導体レーザ素子11は、レーザ構造体13及びオーミック電極15を備える。レーザ構造体13は、基板17、半導体領域19、及び絶縁層31を含む。基板17は、六方晶系のIII族窒化物半導体からなり、また半極性主面17a及び裏面17bを有する。基板17の半極性主面17aは基準面に沿って延在し、この基準面は基板11のIII族窒化物半導体の<0001>軸及び<000−1>軸のいずれかの方向に延びる基準軸に直交する面に対して、ゼロより大きな傾斜角を成す。半導体領域19は、基板17の半極性主面17a上に設けられている。オーミック電極15は、レーザ構造体13の半導体領域19上に設けられる。半導体領域19は、第1のクラッド層21と、第2のクラッド層23と、活性層25とを含む。第1のクラッド層21は、第1導電型III族窒化物半導体層を含み、例えばn型AlGaN、n型InAlGaN等からなる。第2のクラッド層23は、第2導電型III族窒化物半導体層を含み、例えばp型AlGaN、p型InAlGaN等からなる。活性層25は、第1のクラッド層21と第2のクラッド層23との間に設けられる。活性層25は窒化ガリウム系半導体層を含み、この窒化ガリウム系半導体層は例えば井戸層25aである。活性層25は窒化ガリウム系半導体からなる障壁層25bを含み、井戸層25a及び障壁層25bは交互に配列されている。井戸層25aは、例えばInGaN等からなり、障壁層25bは例えばGaN、InGaN等からなる。活性層25は、480nm以上540nm以下の波長の範囲内の光を発生するように設けられた量子井戸構造を含むことができる。この発振波長の領域の光を生成する発光素子は、高放熱特性を必要とする。また、半極性面の利用により、波長510nm以上540nm以下の光の発生に好適である。この波長領域(緑色)の光を生成する発光素子は、高放熱特性を必要とする。第1のクラッド層21、第2のクラッド層23及び活性層25は、半極性主面17aの法線軸NXに沿って配列されている。III族窒化物半導体レーザ素子11では、レーザ構造体13は、六方晶系III族窒化物半導体のm軸及び法線軸NXによって規定されるm−n面に交差する第1端面27及び第2端面29を含む。
【0049】
図1を参照すると、直交座標系S及び結晶座標系CRが描かれている。法線軸NXは、直交座標系SのZ軸の方向に向く。半極性主面17aは、直交座標系SのX軸及びY軸により規定される所定の平面に平行に延在する。図1には、代表的なc面Scが描かれている。六方晶系のIII族窒化物半導体のc軸を示す基準軸Cxは、法線軸NXに対してゼロより大きな角度ALPHAで傾斜している。基準軸Cxは、<0001>軸及び<000−1>軸のいずれかの方向を向いている。この角度ALPHA10度以上80度以下の範囲であることができる。また、基板17の半極性主面17aは、ある基準面に沿って延在しており、この基準面は、III族窒化物半導体のc軸の方向に延びる基準軸Cxに直交する面(例えばSc)に対して角度ALPHAで傾斜する。また、半極性主面17aは、直交座標系SのX軸及びY軸により規定される所定の平面に平行に延在する。図1には、代表的なc面Scが描かれている。六方晶系のIII族窒化物半導体のc軸を示す基準軸Cxは、III族窒化物半導体のc軸からm軸へ向かう方向に法線軸NXに対してゼロより大きな角度ALPHAで傾斜していることができる。この角度は、例えば63度以上80度未満の範囲にあることができる。
【0050】
III族窒化物半導体レーザ素子11では、絶縁層31はレーザ構造体13の半導体領域19の表面19aを覆っており、半導体領域19は絶縁層31と基板17との間に位置する。絶縁層31は開口31aを有し、開口31aは半導体領域19の表面19aと上記のm−n面との交差線LINの方向に延在し、例えばストライプ形状を成す。このストライプ窓は利得型のレーザ導波路を規定する。オーミック電極15は、開口31aを介して半導体領域19の、例えばp型コンタクト層33の表面に接触を成しており、上記の交差線LINの方向に延在する。III族窒化物半導体レーザ素子11では、レーザ導波路は、第1のクラッド層21、第2のクラッド層23及び活性層25を含み、また上記の交差線LINの方向に延在する。
【0051】
III族窒化物半導体レーザ素子11では、第1端面27及び第2端面29は、六方晶系III族窒化物半導体のm軸及び法線軸NX(又はc軸)によって規定されるm−n面(又はm−c面)に交差する。III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ共振器は第1及び第2端面27、29を含み、第1端面27及び第2端面29の一方から他方に、上記のレーザ導波路が延在している。レーザ構造体13は第1の面13a及び第2の面13bを含み、第1の面13aは第2の面13bの反対側の面である。第1の端面27は、第1の面13aのエッジ13cから第2の面13bのエッジ13dまで延在し、第2の端面29も同様に上縁から下渕まで延在する。本実施例では、第1及び第2の端面27、29は、c面、m面又はa面といったこれまでのへき開面とは異なることができる。
【0052】
このIII族窒化物半導体レーザ素子11によれば、レーザ共振器を構成する第1及び第2端面27、29がm−n面に交差する。これ故に、m−n面と半極性面17aとの交差線の方向に延在するレーザ導波路を設けることができる。これ故に、III族窒化物半導体レーザ素子11は、低しきい値電流を可能にするレーザ共振器を有することになる。
【0053】
III族窒化物半導体レーザ素子11は、n側光ガイド層35及びp側光ガイド層37を含む。n側光ガイド層35は、第1の部分35a及び第2の部分35bを含み、n側光ガイド層35は例えばGaN、InGaN等からなる。p側光ガイド層37は、第1の部分37a及び第2の部分37bを含み、p側光ガイド層37は例えばGaN、InGaN等からなる。電子ブロック層39は、例えば第1の部分37aと第2の部分37bとの間に設けられる。基板17の裏面17bには裏面電極41が設けられ、裏面電極41は例えば基板17の裏面17bを覆っている。III族窒化物半導体レーザ11では、n側光ガイド層35が、第1導電型III族窒化物半導体層を含むクラッド層21と基板17との間に設けられ、この光ガイド層35と活性層との界面はIII族窒化物のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面からm軸方向に傾斜していることが好ましく、他の半導体界面も同様に傾斜している。この結晶面を使用することで、緑色領域の発光に適した活性層の作製が可能になる。光ガイド層35と活性層との界面は基準軸に直交する面からm軸方向に63度以上80度未満の角度で傾斜していることができる。m軸方向に上記の角度範囲の角度で傾斜した主面上の発光素子における発熱が大きい。
【0054】
第1及び第2の端面27、29の少なくとも一方、又はそれぞれに設けられた誘電体多層膜43を更に備えることができる。端面27、29にも端面コートを適用できる。端面コートにより反射率を調整できる。
【0055】
半導体レーザモジュール1において、ヒートシンク9の幅W9はオーミック電極15の幅W15より大きく、パッド電極45の幅W45はオーミック電極15の幅W15より大きく、サブマウント7の幅W7はヒートシンク9の幅W9より大きい。ヒートシンク9の幅W9は例えば200μm〜400μm程度であり、サブマウント7の幅W7は例えば500μm〜1000μm程度である。III族窒化物半導体レーザ11の厚さは例えば100μm以下であることができ、また50μm以上あることができる。
【0056】
パッド電極45の幅W45はIII族窒化物半導体レーザ11の横幅W11の半分以上であることが好ましく、これはヒートシンク9とパッド電極45との接着を良好にし、放熱性を高めることができる。また、パッド電極45の幅W45がIII族窒化物半導体レーザ11の幅W11の半分以上であるとき、III族窒化物半導体レーザ11においてより多くの半導体領域を放熱のために利用できる。また、III族窒化物半導体レーザ11がトレンチ構造といった構造を有するとき、レーザチップ上面が、ヒートシンク9との接触を可能にする構造を有することができる。
【0057】
ヒートシンク9の幅W7はIII族窒化物半導体レーザ11の幅W11以上であることができる。この半導体レーザモジュールによれば、サブマウント9の幅W9がIII族窒化物半導体レーザ11の幅W11以上であるので、ヒートシンク9は、III族窒化物半導体レーザ11のレーザ導波路からの熱を、III族窒化物半導体レーザ11のレーザ導波路から離れた領域に伝える熱伝導路を提供する。また、ヒートシンク9の幅W7はIII族窒化物半導体レーザ11上のパッド電極45の幅W45以上であることができる。
【0058】
ヒートシンク9の厚さはサブマウント7の厚さより小さいことが好ましい。この半導体レーザモジュール1によれば、ヒートシンク9の熱伝導性がIII族窒化物半導体レーザ11に比べて良いので、III族窒化物半導体レーザ11を支持するための機械的強度を必要とするサブマウント7に比べて薄くできる。
【0059】
オーミック電極15上においてパッド電極45の厚さは0.3μm以上2.0μm以下であり、オーミック電極15は端面27の上縁13cから端面29の上縁13eまで延在する。また、パッド電極45は、レーザ導波路上において、端面27の上縁13cから端面29の上縁13eまで延在することができ、或いは、必要な場合には端面27の上縁13cから離れた位置から端面29の上縁13eから離れた位置まで延在することができる。また、パッド電極45は、III族窒化物半導体レーザ素子11の側面20a、20bから離れていることができる。半導体チップへの分離の際にレーザー等で表面に切れ目を入れるが、パッド電極45が側面20a、20bから離れていなければパッド電極45の上から切れ目を入れることになり、パッド電極45とn型半導体とが接触してリークが生じてしまう。パッド電極45と側面20a、20bが離れていることで、チップへの分離時にリークすることを防ぐことができる。このIII族窒化物半導体レーザ11によれば、オーミック電極15が端面27の上縁13cから端面29の上縁13eまで延在するので、レーザストライプ全体にわたって電流を供給できると共に、レーザ導波路からの熱はオーミック電極15を介してパッド電極45に伝わる。
【0060】
また、パッド電極45が端面27の上縁13c及び端面29の上縁13eの両方から離れている形態では、III族窒化物半導体レーザ11の作製におけるレーザバー作成の際に、厚膜のパッド電極45による影響を受けず、またパッド電極45の剥がれが生じない。
【0061】
オーミック電極15は、Pd、Ni、Pt、及びAuの少なくともいずれかの金属から成ることが好ましい。これらの金属は、半極性面に対して良好な電気接触を提供できる。また、パッド電極45は、Ti、Pt、及びAuの少なくともいずれかの金属から成ることが好ましい。これらの金属は、オーミック電極に対して良好な密着性を提供できる。
【0062】
図2を参照すると、半導体レーザモジュール1は、ステム3bに支持された第1端子とヒートシンク9を接続するボンディングワイヤ5cを更に備えることができ、III族窒化物半導体レーザ11のパッド電極45はヒートシンク9を介してボンディングワイヤ5cに接続される。また、半導体レーザモジュール1は、ステム3bに支持された第2端子とサブマウント7を接続するボンディングワイヤ5dを更に備えることができ、III族窒化物半導体レーザ11の裏面電極41はサブマウント7を介してボンディングワイヤ5dに接続される。
【0063】
図3は、半導体レーザ装置における電流の流れとレーザ導波路からの熱の流れを示す図面である。図3を参照すると、活性層25へ供給される電流Iは、絶縁膜31の開口31a(或いは、リッジ構造では半導体リッジによる狭窄幅)からやや拡がって活性層25に到達する。活性層25は狭窄された電流により発光し、この光はレーザ導波路を伝搬する。また、活性層25の発光領域は発熱する。この熱の一部TE1は、上側半導体領域(例えばp型半導体領域)を介してオーミック電極15へ伝わり、この熱の別の一部TE2は、活性層25の発光領域から半導体領域19及び基板17を介して基板裏面17bに伝わる。
【0064】
パッド電極45がオーミック電極15に接触を成すので、オーミック電極15を介して活性層25からの熱TE3がパッド電極45に伝わる。オーミック電極15からの熱TE3は、オーミック電極15の幅より大きい幅のパッド電極45及びヒートシンク9を伝搬して、オーミック電極15やレーザ導波路から離れたヒートシンク9の端部に伝わる。パッド電極45の幅はオーミック電極15の幅より広いので、オーミック電極15からの熱の一部TE4は、パッド電極45をパッド電極45の端部に向けて伝搬した後に、ヒートシンク9に伝わる。ヒートシンク9の端部はパッド電極45にも熱的に接触を成すので、オーミック電極15からの熱の一部TE5、TE6はヒートシンク9からレーザ構造体13に伝わり、この熱TE7はレーザ構造体13を伝搬して基板裏面17bに向けて伝搬する。
【0065】
ヒートシンク9は、III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ導波路で生成された熱を受け取る。この熱は、レーザ導波路の上部に位置するヒートシンク9(ヒートシンクの中央部)にオーミック電極15及びパッド電極45を介して伝わる。ヒートシンクの中央部の熱は、ヒートシンク9の熱伝導性がパッド電極45の熱伝導性より良好であるので、ヒートシンク9内を伝搬して、ヒートシンクの中央部からヒートシンク9の両ウイング部を通してヒートシンク9の端部に向けて伝わる。一方、III族窒化物半導体レーザ素子11の熱伝導性に起因して、III族窒化物半導体レーザ素子11の側部の温度は、III族窒化物半導体レーザ素子11のレーザ導波路の温度に比べて低い。これ故に、ヒートシンク9の両端部に伝わった熱は、パッド電極45を介してレーザ構造体13に戻り、この熱はIII族窒化物半導体レーザ素子11の側部を伝搬して基板裏面17bの電極41からサブマウント7に伝わる。
【0066】
ヒートシンク9は、AlN、SiC、金属、及び銅ダイヤモンド複合体の少なくともいずれかからなる支持体を含むことができる。この半導体レーザモジュール1によれば、ヒートシンク9に上記の材料を適用できる。また、金属としては例えば銅を用いることができる。ヒートシンク9がCu(熱伝導係数:398W/m・K)からなることができる。比較的大きな熱伝導係数を有するヒートシンク9をIII族窒化物半導体レーザ素子11に適用できる。銅ダイヤモンド複合体は、銅の金属体と前記金属体に含有されるダイヤモンドを含む複数の粒状体とを有し、前記粒状体は、ダイヤモンド粒子と前記ダイヤモンド粒子の表面を覆う反応層とを含み、前記反応層は、4a族元素の炭化物、5a族元素の炭化物および6a族元素の炭化物の少なくとも一の炭化物を含み、前記複数の粒状体は、前記金属体に分散しており、前記複数の粒状体におけるダイヤモンド粒子の平均粒径は、10μm以上60μm未満である。
【0067】
ヒートシンク9の材料がAlN、SiC及び銅ダイヤモンド複合体等の少なくともいずれかからなるとき、これらの材料の熱膨張係数と窒化ガリウム系半導体の熱膨張係数との差が比較的小さい。この形態では、ヒートシンク9をIII族窒化物半導体レーザ素子11に、はんだといった導電性接着剤を用いて融着することができる。はんだ材料としては、例えばAuSn、SnAg、SnAgCuなどを適用できる。ヒートシンク9の熱膨張係数がIII族窒化物半導体レーザ11の熱膨張係数に比較的近いとき、導電性接着剤(図2における参照符号10)を用いてヒートシンクをIII族窒化物半導体レーザにしっかりと固定することができる。
【0068】
ヒートシンク9がAlN(熱膨張率:4.5×10−6/K)からなることができる。窒化ガリウム系半導体の熱膨張率に近い材料からなるヒートシンク9をIII族窒化物半導体レーザ素子11に適用できる。
【0069】
ヒートシンク9が銅ダイヤモンド複合体(熱膨張率:4.0〜6.0×10−6/K)からなることができる。窒化ガリウム系半導体の熱膨張率に近い材料からなるヒートシンク9をIII族窒化物半導体レーザ素子11に適用できる。
【0070】
ヒートシンク9がSiC(熱膨張率:4.1×10−6/K)からなることができる。熱伝導率が比較的高い(200W/mK)ため放熱性が良く、ヒートシンクに適用できる。
【0071】
ヒートシンク9が絶縁性を示す材料からなる支持体を含むとき、例えばAlN及び銅ダイヤモンド複合体の少なくともいずれかからなる支持体を含むとき、図2に示されるように、支持体9cは第1面9aと該第1面9aの反対側の第2面9bと有する。ヒートシンク9は支持体9cの第1面9aから第2面9bまで支持体表面を延在する導電層9dを含むことが好ましい。この半導体レーザモジュール1によれば、III族窒化物半導体レーザ11のレーザ構造体13上のパッド電極45は、ヒートシンク9の支持体表面の導電層9dを接続される。
【0072】
ヒートシンク9は、銅を含む金属支持体を含むことができる。この半導体レーザモジュール1によれば、金属支持体は窒化物半導体の熱伝導性より良好な熱伝導性を提供できる。
【0073】
図4は、本実施の形態に係るIII族窒化物半導体レーザの上面を示す図面である。図4に示されるように、パッド電極45は、オーミック電極15に接触を成すと共にオーミック電極15を保護するセンタ部45aと、オーミック電極15に接触することなく絶縁層31に接触する第1及び第2ウイング部45b、45cとを含む。パッド電極45においてセンタ部45aは第1ウイング部45bと第2ウイング部45cとの間にある。パッド電極45は、オーミック電極15に接触を成すセンタ部45aに隣接してその両側に第1及び第2ウイング部45b、45cを有するので、レーザ導波路からの熱をセンタ部45aに受けて、この熱をセンタ部45aから受け取るための第1及び第2ウイング部45b、45cを介して、センタ部45aから半導体領域19に熱が伝搬する。センタ部45aはオーミック電極15を覆っており、また端面27、29の各々に到達していることができる。パッド電極45は幅W45を有する。センタ部45aの幅W45aはオーミック電極15の幅W15より大きく、オーミック電極15の幅W15は絶縁膜31の開口31aの幅W31以上である。
【0074】
オーミック電極15は半導体領域19に接触を成す。III族窒化物半導体レーザがリッジ構造を含むときは、オーミック電極15はリッジの上面に接触を成し、半導体リッジの側面は、ある角度で半導体リッジの上面に対して傾斜しており、その角度は90度より小さい或いは90度以下であることができる。絶縁層31は、図1及び図2に示されるようにオーミック電極15のための開口を規定するように設けられる。レーザ導波路からの熱は、半導体リッジを介してオーミック電極15に伝わり、さらにパッド電極に45に伝わる。
【0075】
III族窒化物半導体レーザ11では、レーザ構造体13は、第1部分12a、第2部分12b、第3部分12c、第4部分12d及び第5部分12eを備えることができる。第1部分12a、第2部分12b、第3部分12c、第4部分12d及び第5部分12eは第3方向(座標系SのY軸の方向)に順に配列されており、第1部分12a、第2部分12b、第3部分12c、第4部分12d及び第5部分12eの各々は第1方向(座標系SのX軸の方向)に延在する。第3部分12cは、ストライプ開口31aに位置合わせされている。パッド電極45は、第1部分12a及び第5部分12e上に設けられることなく、また第2部分12b、第3部分12c及び第4部分12d上に設けられる。パッド電極45は第1部分12a、第2部分12b、第3部分12c、第4部分12d及び第5部分12e上に設けられることができる。
【0076】
また、III族窒化物半導体レーザ11では、レーザ構造体13は、第6部分12f及び第7部分12gを更に備えることができる。第6部分12f及び第7部分12gは、それぞれ、当該III族窒化物半導体レーザ11の側面51d、51eを含む。第1部分12a〜第5部分12eは第6部分12fと第7部分12gとの間に設けられる。パッド電極45は第6部分12f及び第7部分12g上に設けられていない。これ故に、パッド電極45の側縁45d、45eは、第1方向に延在するIII族窒化物半導体レーザ側面20a、20bから離れるように設けられる。III族窒化物半導体レーザを作製する際に、厚膜のパッド電極45の剥がれを避けることができる。パッド電極45の縁と素子側面20a、20bの上縁との距離DE2は例えば20μm以上であることができる。パッド電極45のウイング部の縁45f、45gと端面27、29の上縁との距離DE1は例えば10μm以上であることができる。
【0077】
ディスプレイ用の半導体レーザとして、赤色半導体レーザ、緑色半導体レーザ、及び青色半導体レーザを用いることができる。モバイルプロジェクター用途の半導体レーザでは、光学ディスク用半導体レーザや通信用半導体レーザとは異なり十分な冷却機構を備えることができず、動作中の半導体レーザの素子温度が高い。また、ディスプレイ用の半導体レーザの発熱が大きい。特に、緑色半導体レーザの動作電圧は、赤色半導体レーザ及び青色半導体レーザに比べて高く、その外部量子効率も低い。これ故に、緑色半導体レーザの発熱量がより大きい。そこで、緑色半導体レーザにも適用可能な高い放熱性を有する素子構造が求められている。
【0078】
発明者の実験によれば、ヒートシンクを研磨により薄くすると、その厚さは100μm厚程度の厚みまで薄くできる。これ故に、熱抵抗のシュミュレーションでは、レーザダイオードチップと同じ横幅(横幅400μm)であり100μm厚の上部ヒートシンクを窒化ガリウム系半導体レーザダイオード上に接触させるモデルを用いる。このモデルでは、窒化ガリウム系半導体レーザダイオードのチップ厚みは80μmであり、下部サブマウントは300μm厚み及び800μmの横幅を有する。シュミュレーションでは、1.0ワットの電力を窒化ガリウム系半導体レーザダイオードに投入すると共に、ステム温度を摂氏25.0度の固定値に設定する。
【0079】
図5は、半導体レーザの放熱性、及び半導体レーザ装置の放熱性に係るシミュレーション結果を示す図面である。図5の(a)部は、本実施の形態に係る上部ヒートシンク(銅製)を有しpアップ実装された半導体レーザ、上記ヒートシンク及びサブマウントの温度分布を示す。図5の(b)部は、本実施の形態に係る上部ヒートシンク(AlN製)を有しpアップ実装された半導体レーザ、上記ヒートシンク及びサブマウントの温度分布を示す。図5の(c)部は、上部ヒートシンクを用いないpアップ実装された半導体レーザ及びサブマウントの温度分布を示す。
【0080】
このとき、図5の(a)部は、上部ヒートシンクに銅製を適用する半導体レーザモジュールの温度分布を示す。銅の熱伝導係数としては398W/m・Kを用いる。レーザダイオードの温度は摂氏40.66度であり、熱抵抗は15.56℃/Wと見積もられる。図5の(b)部は、上部ヒートシンクにAlNを適用する半導体レーザモジュールの温度分布を示す。AlNの熱伝導係数としては230W/m・Kを用いる。レーザダイオードの温度は摂氏42.39度であり、熱抵抗は17.39℃/Wと見積もられる。図5の(c)部は、上部ヒートシンクを用いない半導体レーザモジュールの温度分布を示す。AlNの熱伝導係数としては230W/m・Kを用いる。レーザダイオードの温度は、摂氏54.06度であり、熱抵抗は29.06℃/Wと見積もられる。これらの結果から、上部ヒートシンクの使用は、レーザ導波路の温度を下げる効果を有する。
【0081】
これらの図面では、シミュレーションにより得られた温度分布を破線T25〜T46で示しており、文字“T”に続く複数桁の数字は温度の違いを表しており、大きい数値は高い温度を意味する。図5の(a)部における温度分布(T25〜T35)と図5の(c)部における温度分布(T25〜T46)とを比較すると、大幅な温度分布の改善が示される。また、図5の(b)部における温度分布(T25〜T38.5)と図5の(c)部における温度分布(T25〜T46)とを比較すると、大幅な温度分布の改善が示される。図5の(a)部における温度分布(T25〜T35)と図5の(b)部における温度分布(T25〜T38.5)との比較によれば、上部ヒートシンクは良好な熱伝導係数の材料からなることが好適であることを示す。半導体レーザのpアップ形態における放熱特性が、上部ヒートシンクの適用により改善できることが示される。
【0082】
図6を参照すると、半導体レーザモジュール71aが示される。半導体レーザ装置61aは、ステム73a上の台座(ヒートシンク)75上に搭載される。III族窒化物半導体レーザ11はサブマウント7に導電性接着剤10bを介してしっかりと固定される。ステム73a上にレンズキャップ73bが設けられ、ステム73a及びレンズキャップ73bはパッケージ73を構成する。ステム73aは例えば鉄製であり、レンズキャップ73bの金属部分も鉄製である。台座(ヒートシンク)75は熱伝導性に優れた例えば銅製である。ステム73aはリード端子77a、77b、77cを支持している。リード端子77aは、ボンディングワイヤ79aを介してヒートシンク9に接続され、ヒートシンク9の電極層を介してIII族窒化物半導体レーザ11のアノード電極に接続される。リード端子77bは、サブマウント7の搭載面7a上の電極層7cにボンディングワイヤ79bを介して接続される。リード端子77cは、金属製のステム73に接続される。ヒートシンク9はIII族窒化物半導体レーザ11のアノード電極と導電性接着剤10aを介してしっかりと接着される。
【0083】
図7を参照すると、半導体レーザモジュール71bが示される。半導体レーザ装置61bは、ステム73aの台座(ヒートシンク)75上に搭載される。III族窒化物半導体レーザ11はサブマウント7に導電性接着剤10bを介してしっかりと固定される。必要な場合には、ヒートシンク9とIII族窒化物半導体レーザ11との間にグリス10cを設けることができ、グリス10cとしては、例えば非シリコーン系の導電性グリス、さらには例えばパーフロロポリエーテルを導電性添加剤でグリース化したもの等である。
【0084】
半導体レーザモジュール71bは、ヒートシンク9とIII族窒化物半導体レーザ11との接触を維持する固定具81を更に備えることができる。固定具81は、ヒートシンク9が接着剤を介すること無くIII族窒化物半導体レーザ11のパッド電極(例えばアノード電極)に接触を成すことを可能する。ヒートシンク9の熱膨張係数がIII族窒化物半導体レーザ11の熱膨張係数にそれほど近くないとき、固定具81を用いてヒートシンク9とIII族窒化物半導体レーザ11との接触を維持することが好ましい。固定具81は、ヒートシンク9とIII族窒化物半導体レーザ11との接触を維持するための弾性力を提供できるものであることが好ましい。固定具81からの弾性力は、接着剤を用いたじっかりとした固定でなく、上記の接触を維持することができる。このような弾性力は、例えばゴムやばね等によって提供される。
【0085】
本実施例では、ヒートシンク9、III族窒化物半導体レーザ11、サブマウント7及び台座(ヒートシンク)75の配置は、固定具81の一例であるベルトによって提供される。ベルトは、ヒートシンク9とIII族窒化物半導体レーザ11との接触を維持できる。このベルトは、台座75の背面に沿って延在して台座75に接触を成す共にヒートシンク9の上面に接触を成す閉じた形状を有する。閉じた形状のベルトにより弾性力を提供して、接着剤を用いたじっかりとした固定でなく、上記の配列を維持することができる。ヒートシンク9はIII族窒化物半導体レーザ11のアノード電極と導電性接着剤10aを介することなく、電気的及び熱的に結合される。この実施例においては、ヒートシンク9は例えば銅からなることができ、固定具81はゴムや金属からなることができ、ヒートシンク9とIII族窒化物半導体レーザ11との間には、必要に応じて、グリスを充填することが好ましい。銅等の金属の熱膨張係数は、III族窒化物半導体レーザ11の熱膨張係数にあまり近くない。
【0086】
図6及び図7に示される半導体レーザモジュール71a、71b及び半導体レーザ装置61a、61bにおけるIII族窒化物半導体レーザ11の放熱性に関しては、pダウン形態における放熱特性とpアップ形態における放熱特性との差を低減されている。
【0087】
図7では、固定具81が、ヒートシンク9、III族窒化物半導体レーザ11、サブマウント7及び台座(ヒートシンク)75の配置を固定するために使用されているけれども、本実施の形態では、固定具81がヒートシンク9、III族窒化物半導体レーザ11及びサブマウント7の配置を固定していることができる。
【0088】
本実施形態に係るIII族窒化物半導体レーザ11を作製する方法の一例を簡単に説明する。{20−21}面GaN基板上に、n型InAlGaNクラッド層(In組成:0.03、Al組成0.14)、n型GaN光ガイド層、n型InGaN光ガイド層(In組成0.03)、アンドープInGaN光ガイド層(In組成0.03)、InGaN活性層(In組成0.30)、アンドープInGaN光ガイド層(In組成0.03)、p型GaN光ガイド層、n型InAlGaNクラッド層(In組成:0.03、Al組成0.14)、p型GaNコンタクト層を成長してエピタキシャル基板を作製する。次いで、この準備されたエピタキシャル基板上に、ストライプ開口を有するSiO膜を形成した後に、オーミック電極のためのPd膜を成長する。オーミック電極のためのマスクを形成した後にPd膜のドライエッチングを行い、Pd電極を形成する。この上に、Auからなるパッド電極をリフトオフ法で形成する。次いで、基板研磨の後に、Ti/Auからなる裏面電極を形成する。これらの工程により基板生産物が作製される。この基板生産物にスクライブ及び押厚を行って、レーザバーを作製する。レーザ端面に端面コートを形成する。端面コートとしては、例えばSiO/TiO多層膜、やSiO/ZrO多層膜を用いることができる。多層膜の繰り返し数は例えば2〜5層である。この後に、レーザバーの分離により、個々の半導体レーザを作製する。この半導体レーザをpアップ形態でサブマウントに搭載して、半導体レーザ装置を作製する。この半導体レーザ装置をキャンケースに実装して、光モジュールを作製する。
【0089】
本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0090】
以上説明したように、本実施の形態によれば、良好な放熱性を提供可能な構造を有する半導体レーザモジュールを提供できる。また、本実施の形態によれば、この半導体レーザモジュールのための半導体レーザ装置を提供できる。
【符号の説明】
【0091】
1…半導体レーザモジュール、3…パッケージ、7…サブマウント、9…ヒートシンク、10a、10b…導電性接着剤、11…III族窒化物半導体レーザ素子、13…レーザ構造体、15…オーミック電極、17…基板、17a…基板の半極性主面、17b…基板裏面、19…半導体領域、21…第1のクラッド層、23…第2のクラッド層、25…活性層、25a…井戸層、25b…障壁層、27、29…割断面、31…絶縁層、ALPHA…角度、33…p型コンタクト層、LIX…交差線、35…n側光ガイド層、37…p側光ガイド層、39…電子ブロック層、41…裏面電極、43…誘電体多層膜、45…パッド電極、61a、61b…半導体レーザ装置、71a、71b…半導体レーザモジュール、73a…ステム、73b…レンズキャップ、75…ヒートシンク、77a〜77c…リード端子、79a、79b…ボンディングワイヤ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体レーザモジュールであって、
レーザ構造体、オーミック電極、裏面電極及びパッド電極を含むIII族窒化物半導体レーザと、
前記III族窒化物半導体レーザを搭載する搭載面を有するサブマウントと、
前記サブマウントを搭載する台座を含むステムと、
前記III族窒化物半導体レーザの上に搭載されたヒートシンクと、
を備え、
前記III族窒化物半導体レーザは、前記III族窒化物半導体レーザの前記裏面電極を前記サブマウントの前記搭載面に向けた形態で実装されており、
前記III族窒化物半導体レーザは前記サブマウントと前記ヒートシンクとの間に設けられ、
前記レーザ構造体は、導電性の基板と、該基板の主面の上に設けられたエピタキシャル半導体領域とを含み、
前記オーミック電極は、前記エピタキシャル半導体領域に接合を成し、
前記裏面電極は、前記基板の裏面に接合を成し、
前記パッド電極は前記オーミック電極に接続され、
前記III族窒化物半導体レーザは、第1端面及び第2端面と、前記第1端面から前記第2端面への第1方向に延在するレーザ導波路とを含み、
前記サブマウント、前記III族窒化物半導体レーザ及び前記ヒートシンクは、前記第1方向に直交する第2方向に沿って順に配列されており、
前記ヒートシンクは前記III族窒化物半導体レーザの前記パッド電極に電気的に接続されており、
前記サブマウントは、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に規定される幅を有し、
前記オーミック電極は前記第3方向に規定される幅を有し、
前記ヒートシンクは前記第3方向に規定される幅を有し、
前記パッド電極は前記第3方向に規定される幅を有し、
前記ヒートシンクの前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きく、
前記パッド電極の前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きく、
前記サブマウントの前記幅は前記ヒートシンクの前記幅より大きい、半導体レーザモジュール。
【請求項2】
前記III族窒化物半導体レーザの前記基板の前記主面はIII族窒化物からなり、
前記基板の前記主面は該III族窒化物のc軸の方向に延在する軸に直交する平面に対して10度以上80度以下の範囲の角度で傾斜し、
前記III族窒化物のc軸は<0001>軸又は<000−1>軸である、請求項1に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項3】
前記III族窒化物半導体レーザの発振波長は480nm以上540nm以下である、請求項1又は請求項2に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項4】
前記III族窒化物半導体レーザの前記基板の前記主面はIII族窒化物からなり、
前記エピタキシャル半導体領域は、第1導電型III族窒化物半導体層、活性層、及び第2導電型III族窒化物半導体層を含み、
前記エピタキシャル半導体領域は前記活性層と前記第1導電型III族窒化物半導体層との間に設けられた光ガイド層を更に含み、
前記光ガイド層と前記活性層との界面は、前記III族窒化物のc軸に沿って延びる基準軸に直交する面からm軸方向に傾斜している、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項5】
前記光ガイド層と活性層との界面は、前記基準軸に直交する面からm軸方向に63度以上80度未満の角度で傾斜している、請求項4に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項6】
前記III族窒化物半導体レーザの発振波長が510nm以上540nm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項7】
前記エピタキシャル半導体領域は、第1導電型III族窒化物半導体層、活性層、及び第2導電型III族窒化物半導体層を含み、
前記第1導電型III族窒化物半導体層、前記活性層及び前記第2導電型III族窒化物半導体層は、前記基板の主面の法線軸の方向に沿って配列されており、
前記III族窒化物半導体レーザの厚さは100μm以下である、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項8】
前記III族窒化物半導体レーザは前記第3方向に規定される幅を有し、
前記パッド電極の前記幅は前記III族窒化物半導体レーザの前記幅の半分以上である、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項9】
前記III族窒化物半導体レーザは前記第3方向に規定される幅を有し、
前記ヒートシンクの前記幅は前記III族窒化物半導体レーザの前記幅以上である、請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項10】
前記ヒートシンクの厚さは前記サブマウントの厚さより小さい、請求項1〜請求項9のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項11】
前記ヒートシンクは、AlN、SiC、銅、及び銅ダイヤモンド複合体の少なくともいずれかからなる支持体を含む、請求項1〜請求項10のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項12】
前記ヒートシンクは、AlN、SiC、及び銅ダイヤモンド複合体の少なくともいずれかからなる支持体を含み、
前記ヒートシンクの前記支持体は第1面と該第1面の反対側の第2面と有し、
前記ヒートシンクは前記支持体の前記第1面から前記第2面まで前記支持体の表面を延在する導電層を含む、請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項13】
前記ヒートシンクを前記III族窒化物半導体レーザに固定する導電性接着剤を更に備える、請求項12に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項14】
前記ヒートシンクは、銅を含む金属支持体を含む、請求項1〜請求項13のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項15】
前記ヒートシンクは、前記III族窒化物半導体レーザの前記パッド電極に接触を成し、
当該半導体レーザモジュールは、前記ヒートシンクと前記前記III族窒化物半導体レーザとの接触を維持する固定具を更に備える、請求項1〜請求項14のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項16】
前記固定具は、前記ヒートシンクと前記III族窒化物半導体レーザとの接触を維持するための弾性力を提供する、請求項15に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項17】
前記固定具は、前記台座と前記ヒートシンクとに接触を成す閉じた形状のベルトを含む、請求項15又は請求項16に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項18】
前記ステムに支持された第1端子と前記ヒートシンクを接続するボンディングワイヤを更に備える、請求項1〜請求項17のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項19】
前記ステムに支持された第2端子と前記サブマウントを接続するボンディングワイヤを更に備える、請求項1〜請求項18のいずれか一項に記載された半導体レーザモジュール。
【請求項20】
半導体レーザ装置であって、
レーザ構造体、オーミック電極、裏面電極及びパッド電極を含むIII族窒化物半導体レーザと、
前記III族窒化物半導体レーザを搭載する搭載面を有するサブマウントと、
前記III族窒化物半導体レーザの上に搭載されたヒートシンクと、
を備え、
前記III族窒化物半導体レーザは、前記III族窒化物半導体レーザの前記裏面電極を前記サブマウントの前記搭載面に向けた形態で実装され、
前記III族窒化物半導体レーザは前記サブマウントと前記ヒートシンクとの間に設けられ、
前記パッド電極は前記オーミック電極に接続され、
前記レーザ構造体は、基板と、該基板の主面の上に設けられたエピタキシャル半導体領域とを含み、
前記オーミック電極は、前記エピタキシャル半導体領域に接合を成し、
前記裏面電極は、前記基板の裏面に接合を成し、
前記III族窒化物半導体レーザは、第1端面及び第2端面と、前記第1端面から前記第2端面への第1方向に延在するレーザ導波路とを含み、
前記サブマウント、前記III族窒化物半導体レーザ及び前記ヒートシンクは、前記第1方向に直交する第2方向に沿って配列されており、
前記ヒートシンクは前記基板の前記パッド電極に電気的に接続されており、
前記サブマウントは、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に規定される幅を有し、
前記オーミック電極は前記第3方向に規定される幅を有し、
前記パッド電極は前記第3方向に規定される幅を有し、
前記サブマウントの前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きく、
前記パッド電極の前記幅は前記オーミック電極の前記幅より大きい、半導体レーザ装置。
【請求項21】
前記ヒートシンクは、前記第3方向に規定される幅を有し、
前記ヒートシンクの前記幅は前記サブマウントの前記幅より大きい、請求項20に記載された半導体レーザ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−89733(P2013−89733A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228277(P2011−228277)
【出願日】平成23年10月17日(2011.10.17)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】