半導体基板の超臨界乾燥方法及び装置
【課題】半導体基板の表面に生じるパーティクルを低減する。
【解決手段】本実施形態によれば、半導体基板の超臨界乾燥装置は、半導体基板を収容し、密閉可能なチャンバ210と、チャンバ210の内部を加熱するヒータ212と、チャンバ210に二酸化炭素を供給する供給部と、チャンバ210から二酸化炭素を排出する排出部と、チャンバ210を回転させる回転部270と、を備えている。回転部270は、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下回転させる。
【解決手段】本実施形態によれば、半導体基板の超臨界乾燥装置は、半導体基板を収容し、密閉可能なチャンバ210と、チャンバ210の内部を加熱するヒータ212と、チャンバ210に二酸化炭素を供給する供給部と、チャンバ210から二酸化炭素を排出する排出部と、チャンバ210を回転させる回転部270と、を備えている。回転部270は、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下回転させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体基板の超臨界乾燥方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程などの様々な工程が含まれている。各工程の終了後、次の工程に移る前に、ウェーハ表面に残存した不純物や残渣を除去してウェーハ表面を清浄にするための洗浄処理及び乾燥処理が実施されている。
【0003】
例えば、エッチング工程後のウェーハの洗浄処理では、ウェーハの表面に洗浄処理のための薬液が供給され、その後に純水が供給されてリンス処理が行われる。リンス処理後は、ウェーハ表面に残っている純水を除去してウェーハを乾燥させる乾燥処理が行われる。
【0004】
乾燥処理を行う方法としては、ウェーハ上の純水リンス後の残留水を振りきり乾燥を行うスピン乾燥、ウェーハ上の純水リンス後の純水をイソプロピルアルコール(IPA)に置換してウェーハを乾燥するIPA乾燥などが知られている。しかし、これらの方法では、純水、およびIPAの表面張力によりウェーハ上に形成されたパターンが倒壊するという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、表面張力がゼロとなる超臨界乾燥が提案されている。例えば、表面がIPAで濡れているウェーハを超臨界チャンバへ搬送し、チャンバ内に超臨界状態とした二酸化炭素(超臨界CO2流体)で満たされた状態にすることで、ウェーハ上のIPAが超臨界CO2流体によって徐々に抽出される。そして、継続的に超臨界CO2をチャンバに導入し、IPA抽出した超臨界CO2とともに徐々にチャンバ内のIPA濃度を低減させる。その後超臨界CO2の導入を止め、チャンバ内から超臨界CO2流体を排出させていく。排出動作による圧力低下により、超臨界CO2は臨界圧を下回った時点でガス(気体)へ相転換する。チャンバ内が常圧に回復するまで排出継続し、最終的にウェーハを搬出する。
【0006】
しかし、チャンバ内の圧力を下げて二酸化炭素を超臨界状態からガス(気体)へ相転換する際に、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していたIPAがウェーハ上に凝集再吸着することで生じる乾燥痕等により、ウェーハの表面上にパーティクルが付着するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−72118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、半導体基板の表面に生じるパーティクルを低減することができる半導体基板の超臨界乾燥方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態によれば、半導体基板の超臨界乾燥装置は、半導体基板を収容し、密閉可能なチャンバと、前記チャンバの内部を加熱するヒータと、前記チャンバに二酸化炭素を供給する供給部と、前記チャンバから二酸化炭素を排出する排出部と、前記チャンバを回転させる回転部と、を備えている。前記回転部は、前記チャンバを水平方向に対して90°以上180°以下回転させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成図である。
【図3】配管及びその連結方法の一例を示す図である。
【図4】チャンバの回転を示す図である。
【図5】同第1の実施形態に係る超臨界乾燥方法を説明するフローチャートである。
【図6】二酸化炭素及びIPAの状態図である。
【図7】チャンバの回転を行った場合と行わなかった場合の超臨界乾燥処理後の半導体基板の表面を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成図である。
【図9】同第2の実施形態に係る半導体基板を収容して搬送する容器の概略構成図である。
【図10】半導体基板を容器へ収容する方法を説明する図である。
【図11】同第2の実施形態に係る搬送部の概略構成図である。
【図12】半導体基板をチャンバに収容する方法を説明する図である。
【図13】同第2の実施形態に係る超臨界乾燥方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)まず、超臨界乾燥について説明する。図1は、圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。超臨界乾燥に用いられる超臨界流体の機能物質には、三態と称される気相(気体)、液相(液体)、固相(固体)の3つの存在状態がある。
【0013】
図1に示すように、上記3つの相は、気相と液相との境界を示す蒸気圧曲線(気相平衡線)、気相と固相との境界を示す昇華曲線、固相と液相との境界を示す溶解曲線で区切られる。これら3つの相が重なったところが三重点である。この三重点から蒸気圧曲線が高温、高圧側に延びると、気相と液相が共存する限界である臨界点に達する。この臨界点では、気相と液相の密度が等しくなり、気液共存状態の界面が消失する。
【0014】
そして、臨界点より高温、高圧の状態では、気相、液相の区別がなくなり、物質は超臨界流体となる。超臨界流体とは、臨界温度以上で高密度に圧縮された流体である。超臨界流体は、溶媒分子の拡散力が支配的である点においては気体と類似している。一方、超臨界流体は、分子の凝集力の影響が無視できない点においては液体と類似しているため、種々の物質を溶解する性質を有している。
【0015】
また、超臨界流体は、液体に比べ非常に高い浸潤性を有し、微細な構造にも容易に浸透する特徴がある。
【0016】
また、超臨界流体は、超臨界状態から直接気相に転移するように乾燥させることで、気体と液体の界面が存在しないように、すなわち毛管力(表面張力)が働かないようにして、微細構造を破壊することなく乾燥することができる。超臨界乾燥とは、このような超臨界流体の超臨界状態を利用して基板を乾燥することである。
【0017】
この超臨界乾燥に用いられる超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、メタン、エタン、プロパン、水、アンモニア、エチレン、フルオロメタン等が選択される。
【0018】
特に、二酸化炭素は、臨界温度が31.1℃、臨界圧力が7.37MPaと比較的低温・低圧であるので、容易に処理が可能である。本実施形態における超臨界乾燥処理は、二酸化炭素を用いたものである。
【0019】
図2に本発明の第1の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成を示す。超臨界乾燥システムは、ボンベ201、冷却器202、203、昇圧ポンプ204、ヒータ205、気液分離器206、及びチャンバ210を備えている。
【0020】
ボンベ201は液体状態の二酸化炭素を貯留する。昇圧ポンプ204は、ボンベ201から二酸化炭素を吸い出し、昇圧して排出する。ボンベ201から吸い出された二酸化炭素は、配管231を介して冷却器202に供給され、冷却されてから、配管232を介して昇圧ポンプ204に供給される。
【0021】
昇圧ポンプ204は、二酸化炭素を昇圧して排出する。例えば、昇圧ポンプ204は二酸化炭素を臨界圧力以上に昇圧する。昇圧ポンプ204から排出された二酸化炭素は配管233を介してヒータ205に供給される。ヒータ205は二酸化炭素を臨界温度以上に昇温(加熱)する。
【0022】
配管231〜233にはそれぞれパーティクルを除去するフィルタ221〜223が設けられている。
【0023】
ヒータ205から排出された二酸化炭素は配管241、242を含む供給部を介してチャンバ210に供給される。配管241にはバルブ251が設けられており、配管242にはバルブ252が設けられている。配管241、242は例えばSUSで形成されている。
【0024】
配管241の一端はヒータ205に連結されており、配管242の一端はチャンバ210に連結されている。また、配管241の他端と配管242の他端とは連結部N1において取り外し可能に連結されている。図3(a)に、配管241、242の端部の一例を示し、図3(b)に配管241と配管242の連結の一例を示す。図3(a)、(b)に示すように、配管241のフランジ241aと配管242のフランジ242aとが、ガスケット280を挟み、図示しないボルトで連結される。ガスケット280は例えばアルミニウム等を用いたメタルガスケットである。ボルトを外すことで、配管241と配管242とを取り外す(分離する)ことができる。
【0025】
図2に示すチャンバ210は、SUSで形成され、所定の耐圧性を確保した密閉可能な高圧容器である。チャンバ210は、ステージ211及びヒータ212を有する。ステージ211は被処理基板Wを保持するリング状の平板である。ヒータ212は、チャンバ210内の温度を調整することができる。ヒータ212はチャンバ210の外周部に設けてもよい。
【0026】
図4(a)はチャンバ210の水平方向断面図であり、チャンバ210は回転部270により回転されるように構成されている。図4(b)〜(e)は図4(a)のA方向から見たときのチャンバ210の鉛直方向断面図である。図4(b)〜(e)において、回転部270の図示は省略している。チャンバ210を回転させる際は、あらかじめ、配管241と配管242の連結、及び後述する配管243と配管244の連結を解除しておく。チャンバ210に連結されている配管242及び配管243は、チャンバ210と共に回転する。
【0027】
図4(b)は、回転部270によるチャンバ210の回転が行われていない状態を示しており、チャンバ210内の被処理基板Wは、パターンが形成された面Sが上を向いている。
【0028】
図4(c)は、回転部270がチャンバ210を水平方向に対して90°回転させた状態を示しており、被処理基板Wのパターン面Sは横を向いている。
【0029】
図4(d)は、回転部270がチャンバ210を水平方向に対して180°回転させた状態を示しており、被処理基板Wのパターン面Sは下を向いている。言い換えれば、被処理基板Wのパターンが形成されていない裏面が上を向いている。
【0030】
図4(e)は、回転部270がチャンバ210を水平方向に対して約135°回転させた状態を示しており、被処理基板Wのパターン面Sは斜め下を向いている。言い換えれば、被処理基板Wの裏面が斜め上を向いている。
【0031】
このように、回転部270は、チャンバ210内の被処理基板Wのパターン面Sが横向き、斜め下向き、又は下向きとなるように、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下の所定の角度まで回転させる。チャンバ210は、所定の角度に保持される。ここでの所定の角度とは、水平方向に対して90°以上180°以下の一定の角度又は、角度の範囲のことをいう。すなわち、チャンバ210は、水平方向に対して90°以上180°以下の状態であれば、一定の角度に保持されていなくても、チャンバ210は、所定の角度に保持されているといえる。回転部270の動作は図示しない制御部により制御される。
【0032】
図2に示すように、チャンバ210内の気体や超臨界流体は、配管243、244を含む排出部を介して排出され、気液分離器206へ送られる。配管243、344にはバルブ253、254が設けられている。バルブ253、254の開度によって、チャンバ210内の圧力を調整することができる。配管244のバルブ254より下流側では、超臨界流体は気体となる。
【0033】
配管243の一端はチャンバ210に連結されており、配管244の一端は気液分離器206に連結されている。また、配管243の他端と配管244の他端とは連結部N2において取り外し可能に連結されている。配管243、244の構造及び連結方法は、配管241、242と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
気液分離器206は、気体と液体を分離する。例えば、チャンバ210から、アルコールが溶解した超臨界状態の二酸化炭素が排出された場合、気液分離器206は、液体のアルコールと気体の二酸化炭素とを分離する。分離されたアルコールは再利用することができる。
【0035】
気液分離器206から排出された気体状態の二酸化炭素は、配管261を介して冷却器203に供給される。冷却器203は、二酸化炭素を冷却して液体状態とし、配管262を介して冷却器202へ排出する。冷却器203から排出された二酸化炭素も昇圧ポンプ204に供給される。このような構成にすることで、二酸化炭素を循環使用できる。
【0036】
図5に本実施形態に係る半導体基板の洗浄及び乾燥方法を説明するフローチャートを示す。
【0037】
(ステップS101)処理対象の半導体基板が図示しない洗浄チャンバに搬入される。半導体基板の表面には微細パターンが形成されている。そして、半導体基板の表面に薬液が供給され、洗浄処理が行われる。薬液には、例えば、硫酸、フッ酸、塩酸、過酸化水素等を用いることができる。
【0038】
ここで、洗浄処理とは、レジストを半導体基板から剥離するような処理や、パーティクルや金属不純物を除去する処理や、基板上に形成された膜をエッチング除去する処理等を含むものである。
【0039】
(ステップS102)半導体基板の表面に純水が供給され、半導体基板の表面に残留していた薬液を純水によって洗い流す純水リンス処理が行われる。
【0040】
(ステップS103)半導体基板の表面にアルコールが供給され、半導体基板の表面に残留していた純水をアルコールに置換するアルコールリンス処理が行われる。アルコールは、純水と超臨界二酸化炭素流体の両方に溶解する(置換しやすい)ものが用いられる。本実施形態ではイソプロピルアルコール(IPA)を用いて説明する。
【0041】
(ステップS104)表面がIPAで濡れた状態のまま、自然乾燥しないように、半導体基板が洗浄チャンバから搬出され、図2に示す超臨界乾燥システムのチャンバ210に導入され、ステージ211に固定される。半導体基板の固定後、チャンバ210を密閉する。
【0042】
(ステップS105)ボンベ201内の二酸化炭素ガスを昇圧ポンプ204及びヒータ205により昇圧・昇温し、配管241、242を介して、チャンバ210内に供給する。バルブ253、254は閉じており、バルブ251、252は開いている。
【0043】
チャンバ210内の圧力・温度が二酸化炭素の臨界圧力・臨界温度以上になるとチャンバ210内の二酸化炭素は超臨界流体(超臨界状態)となる。
【0044】
図6は、二酸化炭素とIPAの各々についての、圧力と温度と相状態との関係を示す状態図である。図6では、実線が二酸化炭素に対応し、破線がIPAに対応する。本ステップにおけるチャンバ210内の二酸化炭素の変化は、図6における矢印A1に相当する。
【0045】
(ステップS106)バルブ251、252を閉めて、連結部N1における配管241と配管242との連結を解除する。また、バルブ253、254を閉めたまま、連結部N2における配管243と配管244との連結を解除する。そして、制御部が回転部270を制御し、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下の所定の角度まで回転させ、チャンバ210を所定の角度で保持する。これにより、チャンバ210内の半導体基板の表面は横向き、斜め下向き、又は下向きになる。
【0046】
チャンバ210の回転後、再び、配管241と配管242とを連結し、配管243と配管244とを連結する。そして、バルブ251、252を開き、チャンバ210への二酸化炭素の供給を再開する。
【0047】
(ステップS107)半導体基板を、超臨界CO2流体に所定時間、例えば20分程度、浸漬させる。これにより、半導体基板上のIPAが超臨界CO2流体に溶解し、半導体基板からIPAが除去される。言い換えれば、半導体基板の表面(パターン面)のIPAが超臨界CO2流体に置換される。
【0048】
この時、配管241、242を介してチャンバ210内に超臨界CO2流体を供給しつつ、バルブ253、254をわずかに開き、配管243、244を介してチャンバ210内から、IPAが溶解した超臨界CO2流体が徐々に排出されるようにする。
【0049】
(ステップS108)チャンバ210を所定の角度で保持した状態で、バルブ253、254の開度を大きくして排気し、チャンバ210内の圧力を降圧する(図6の矢印A2参照)。図6の矢印A2が示すように、チャンバ210内の圧力低下により、チャンバ210内の二酸化炭素は超臨界状態から気体状態に変化する。
【0050】
このとき、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していた液体IPAが凝集し、半導体基板に降り注ぐ。しかし、ステップS106において、チャンバ210を回転させ、半導体基板の表面を横向き、斜め下向き、又は下向きにしている。そのため、凝集した液体IPAは主に半導体基板の裏面に降り注ぎ、表面にはほとんど吸着されないので、半導体基板の表面にパーティクルが付着することを防止することができる。
【0051】
(ステップS109)半導体基板を冷却チャンバ(図示せず)へ搬送して冷却する。
【0052】
ステップS106のチャンバ210の回転処理を行わなかった場合と、チャンバ210を180°回転させた場合の実験結果を図7(a)、(b)に示す。この実験に使用した半導体基板のサイズはφ300mmである。
【0053】
図7(a)は、チャンバ210の回転処理を行わなかった場合の超臨界乾燥処理後の半導体基板の表面を示しており、サイズ38nm以上のパーティクルの数は約1万個を超える数となった。
【0054】
一方、図7(b)は、チャンバ210を180°回転させた場合の超臨界乾燥処理後の半導体基板の表面を示しており、サイズ38nm以上のパーティクルの数は1千個程度となった。チャンバ210を回転させ、半導体基板の表面を下向きにすることで、液体IPAが半導体基板の表面に降り注ぐことを抑制し、パーティクル数を大幅に低減できることがわかる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下回転させ、半導体基板の表面を横向き、斜め下向き、又は下向きにすることで、チャンバ210の排気・降圧により、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していたIPAが凝集して半導体基板に降り注いでも、IPAは主に半導体基板の裏面に付着するため、半導体基板の表面(パターン面)に付着するパーティクルを低減することができる。
【0056】
上記実施形態において、配管242、243に可撓性のあるメタルフレキシブルチューブを適用してもよい。その場合、配管242、243をチャンバ210に連結したままチャンバ210を回転させることができる。また、配管241、244と切り離す必要がないため、バルブ252、253を省略することができる。
【0057】
上記実施形態において、チャンバ210内の二酸化炭素が超臨界流体(超臨界状態)に変化した後、ステップS108の排気・降圧前であれば、チャンバ210はいつ回転させてもよい。例えば、半導体基板を超臨界CO2流体に所定時間浸漬させた後にチャンバ210を回転させてもよいし、ステップS107でチャンバ210から二酸化炭素とともに排出されるIPAの濃度が所定値以下になったらチャンバ210を回転させてもよい。
【0058】
(第2の実施形態)図8に本発明の第2の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成を示す。本実施形態は、図2に示す第1の実施形態と比較して、チャンバ210の回転を行わない点が異なる。図8において、図2に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
図8に示すように、ヒータ205から排出された二酸化炭素は配管301及びバルブ302を含む供給部を介してチャンバ310に供給される。バルブ302は、チャンバ310への二酸化炭素の供給量を調整する。
【0060】
チャンバ310は、SUSで形成され、所定の耐圧性を確保した密閉可能な高圧容器である。チャンバ310は、ヒータ212を有しており、チャンバ310内部を加熱することができる。また、チャンバ310は被処理基板Wを保持する保持部(図示せず)を備えている。図8に示すように、チャンバ310は、被処理基板Wのパターン面Sを鉛直方向下向きにして、被処理基板Wを保持する。
【0061】
チャンバ310内の気体や超臨界流体は、配管303及びバルブ304を含む排出部を介して排出され、気液分離器206に供給される。バルブ304の開度によって、チャンバ310内の圧力を調整することができる。配管303のバルブ304より下流側では、超臨界流体は気体となる。
【0062】
図9〜図12を用いて、被処理基板Wをチャンバ310へ搬送する方法を説明する。
【0063】
被処理基板Wの搬送には、図9(a)、(b)に示す容器320が使用される。容器320には、開閉自在の蓋321が設けられている。図9(a)は蓋321が閉まっている状態を示し、図9(b)は蓋321が開いている状態を示している。蓋321は、図示しない制御部により開閉が制御される。容器320は例えばフッ素樹脂単体やフッ素樹脂でコーティングされたSUS等の金属により形成されている。
【0064】
図10(a)に示すように、容器320にアルコール322を貯留しておき、図示しない搬送部が、洗浄処理後の被処理基板Wを、パターン面Sがアルコールで濡れた状態で容器320内へ搬送する。ここで、容器320に貯留されているアルコール322と、パターン面Sを濡らしているアルコールとは同じものである。搬送部は、パターン面Sを鉛直方向上向きにして被処理基板Wを搬送する。
【0065】
被処理基板Wが、アルコール322に浸された状態で、容器320内において保持部(図示せず)により保持されると、図10(b)に示すように、蓋321が閉まる。
【0066】
被処理基板Wを収容した容器320は、図11(a)に示すような搬送部330に回転自在に保持される。容器320の回転動作は、図示しない制御部により制御される。搬送部330が容器320を保持すると、図11(b)に示すように容器320が反転される。これにより、被処理基板Wのパターン面Sは鉛直方向下向きになる。このとき容器320の蓋321は閉まっているので、被処理基板Wは容器320内でアルコール322に浸されたままである。
【0067】
搬送部330は、反転した容器320をチャンバ310へ搬送する。図12(a)に示すように、チャンバ310には、容器320内のアルコール322と同じアルコール313が貯留されており、搬送部330は容器320の少なくとも一部(蓋322部分)をアルコール313に浸ける。
【0068】
その後、図12(b)に示すように、蓋321が開き、被処理基板Wが容器320外部へ搬出される。例えば、蓋321が開くと、チャンバ310に設けられた把持搬送部(図示せず)が容器320内の被処理基板Wを把持して容器320から取り出し、チャンバ310内に保持する。被処理基板Wのパターン面Sは鉛直方向下向きのままである。
【0069】
そして、図12(c)に示すように、搬送部330をチャンバ310内から移動させ、図12(d)に示すように、チャンバ310を閉じる。このようにして、被処理基板Wのパターン面Sを常にアルコールに濡らしたまま、パターン面Sを鉛直方向下向きにしてチャンバ310内に配置することができる。
【0070】
なお、図12では、説明のため、チャンバ310全体にアルコールが貯留されているように示しているが、チャンバ310内にアルコールを貯留する内容器を設け、この内容器のアルコールに被処理基板Wを浸漬するようにしてもよい。
【0071】
図13に本実施形態に係る半導体基板の洗浄及び乾燥方法を説明するフローチャートを示す。ステップS201〜S203は図5のステップS101〜S103と同じであるため、説明を省略する。
【0072】
(ステップS204)表面がIPAで濡れた状態のまま、自然乾燥しないように、半導体基板が洗浄チャンバから搬出され、図10(a)、(b)に示すように容器320に導入される。半導体基板の導入後、容器320の蓋321が閉められる。なお、容器320はIPAを貯留している。
【0073】
(ステップS205)半導体基板を収容した容器320が反転(180°回転)される。これにより、半導体基板の表面が鉛直方向下向きになる。
【0074】
(ステップS206)搬送部330が、容器320をチャンバ310へ搬送する。チャンバ310にはIPAが貯留されている。
【0075】
(ステップS207)容器320がチャンバ310内のIPAに浸されると、容器320の蓋321が開けられる。半導体基板が容器320から取り出され、表面が下を向いたままチャンバ310内に保持される。そして、チャンバ310の蓋が閉められる(図12(a)〜(d)参照)。
【0076】
(ステップS208)ボンベ201内の二酸化炭素ガスを昇圧ポンプ204及びヒータ205により昇圧・昇温し、配管301を介して、チャンバ310内に供給する。バルブ304は閉じており、バルブ302は開いている。
【0077】
チャンバ310内の圧力・温度が二酸化炭素の臨界圧力・臨界温度以上になるとチャンバ310内の二酸化炭素は超臨界流体(超臨界状態)となる。
【0078】
(ステップS209)半導体基板を、超臨界CO2流体に所定時間、例えば20分程度、浸漬させる。これにより、チャンバ310内のIPAが超臨界CO2流体に溶解し、半導体基板の表面(パターン面)からIPAが除去される。言い換えれば、半導体基板のパターン面のIPAが超臨界CO2流体に置換される。
【0079】
この時、配管301を介してチャンバ310内に超臨界CO2流体を供給しつつ、バルブ304をわずかに開き、配管303を介してチャンバ310内から、IPAが溶解した超臨界CO2流体が徐々に排出されるようにする。
【0080】
(ステップS210)バルブ304の開度を大きくして排気し、チャンバ310内の圧力を降圧する。図6の矢印A2が示すように、チャンバ310内の圧力低下により、チャンバ310内の二酸化炭素は超臨界状態から気体状態に変化する。
【0081】
このとき、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していた液体IPAが凝集し、半導体基板に降り注ぐ。しかし、半導体基板は表面を下向きにして保持されている。そのため、凝集した液体IPAは主に半導体基板の裏面に降り注ぎ、表面にはほとんど吸着されないので、半導体基板の表面にパーティクルが付着することを防止できる。
【0082】
(ステップS211)半導体基板を冷却チャンバ(図示せず)へ搬送して冷却する。
【0083】
このように、本実施形態によれば、予め半導体基板の表面を下向きにしてチャンバ310へ搬送することで、チャンバ310の排気・降圧により、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していたIPAが凝集して半導体基板に降り注いでも、IPAは主に半導体基板の裏面に付着するため、半導体基板の表面(パターン面)に生じるパーティクルを低減することができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、高圧容器であるチャンバ310でなく、チャンバ310より小さく軽い容器320を回転させるため、上記第1の実施形態と比較して、回転機構の装置コストを削減することができる。
【0085】
上記第1、第2の実施形態ではアルコールリンス処理にIPAを使用する例について説明したが、エタノール、メタノール、フッ化アルコール等を用いてもよい。
【0086】
また、上記第1、第2の実施形態では、チャンバ210、310とは異なる冷却チャンバへ半導体基板を搬送する例について説明したが、チャンバ210、310に冷却機構を設けて、チャンバ210、310内で半導体基板の冷却を行ってもよい。
【0087】
また、上記第1、第2の上記実施形態では、二酸化炭素を循環使用する超臨界乾燥システムについて説明したが、超臨界乾燥システムの構成はこれに限定されず、二酸化炭素を循環使用しない構成でもよい。
【0088】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
201 ボンベ
202、203 冷却器
204 昇圧ポンプ
205 ヒータ
206 気液分離器
210 チャンバ
270 回転部
310 チャンバ
320 容器
321 蓋
330 搬送部
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体基板の超臨界乾燥方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程には、リソグラフィ工程、エッチング工程、イオン注入工程などの様々な工程が含まれている。各工程の終了後、次の工程に移る前に、ウェーハ表面に残存した不純物や残渣を除去してウェーハ表面を清浄にするための洗浄処理及び乾燥処理が実施されている。
【0003】
例えば、エッチング工程後のウェーハの洗浄処理では、ウェーハの表面に洗浄処理のための薬液が供給され、その後に純水が供給されてリンス処理が行われる。リンス処理後は、ウェーハ表面に残っている純水を除去してウェーハを乾燥させる乾燥処理が行われる。
【0004】
乾燥処理を行う方法としては、ウェーハ上の純水リンス後の残留水を振りきり乾燥を行うスピン乾燥、ウェーハ上の純水リンス後の純水をイソプロピルアルコール(IPA)に置換してウェーハを乾燥するIPA乾燥などが知られている。しかし、これらの方法では、純水、およびIPAの表面張力によりウェーハ上に形成されたパターンが倒壊するという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するため、表面張力がゼロとなる超臨界乾燥が提案されている。例えば、表面がIPAで濡れているウェーハを超臨界チャンバへ搬送し、チャンバ内に超臨界状態とした二酸化炭素(超臨界CO2流体)で満たされた状態にすることで、ウェーハ上のIPAが超臨界CO2流体によって徐々に抽出される。そして、継続的に超臨界CO2をチャンバに導入し、IPA抽出した超臨界CO2とともに徐々にチャンバ内のIPA濃度を低減させる。その後超臨界CO2の導入を止め、チャンバ内から超臨界CO2流体を排出させていく。排出動作による圧力低下により、超臨界CO2は臨界圧を下回った時点でガス(気体)へ相転換する。チャンバ内が常圧に回復するまで排出継続し、最終的にウェーハを搬出する。
【0006】
しかし、チャンバ内の圧力を下げて二酸化炭素を超臨界状態からガス(気体)へ相転換する際に、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していたIPAがウェーハ上に凝集再吸着することで生じる乾燥痕等により、ウェーハの表面上にパーティクルが付着するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−72118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、半導体基板の表面に生じるパーティクルを低減することができる半導体基板の超臨界乾燥方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態によれば、半導体基板の超臨界乾燥装置は、半導体基板を収容し、密閉可能なチャンバと、前記チャンバの内部を加熱するヒータと、前記チャンバに二酸化炭素を供給する供給部と、前記チャンバから二酸化炭素を排出する排出部と、前記チャンバを回転させる回転部と、を備えている。前記回転部は、前記チャンバを水平方向に対して90°以上180°以下回転させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成図である。
【図3】配管及びその連結方法の一例を示す図である。
【図4】チャンバの回転を示す図である。
【図5】同第1の実施形態に係る超臨界乾燥方法を説明するフローチャートである。
【図6】二酸化炭素及びIPAの状態図である。
【図7】チャンバの回転を行った場合と行わなかった場合の超臨界乾燥処理後の半導体基板の表面を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成図である。
【図9】同第2の実施形態に係る半導体基板を収容して搬送する容器の概略構成図である。
【図10】半導体基板を容器へ収容する方法を説明する図である。
【図11】同第2の実施形態に係る搬送部の概略構成図である。
【図12】半導体基板をチャンバに収容する方法を説明する図である。
【図13】同第2の実施形態に係る超臨界乾燥方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1の実施形態)まず、超臨界乾燥について説明する。図1は、圧力と温度と物質の相状態との関係を示す状態図である。超臨界乾燥に用いられる超臨界流体の機能物質には、三態と称される気相(気体)、液相(液体)、固相(固体)の3つの存在状態がある。
【0013】
図1に示すように、上記3つの相は、気相と液相との境界を示す蒸気圧曲線(気相平衡線)、気相と固相との境界を示す昇華曲線、固相と液相との境界を示す溶解曲線で区切られる。これら3つの相が重なったところが三重点である。この三重点から蒸気圧曲線が高温、高圧側に延びると、気相と液相が共存する限界である臨界点に達する。この臨界点では、気相と液相の密度が等しくなり、気液共存状態の界面が消失する。
【0014】
そして、臨界点より高温、高圧の状態では、気相、液相の区別がなくなり、物質は超臨界流体となる。超臨界流体とは、臨界温度以上で高密度に圧縮された流体である。超臨界流体は、溶媒分子の拡散力が支配的である点においては気体と類似している。一方、超臨界流体は、分子の凝集力の影響が無視できない点においては液体と類似しているため、種々の物質を溶解する性質を有している。
【0015】
また、超臨界流体は、液体に比べ非常に高い浸潤性を有し、微細な構造にも容易に浸透する特徴がある。
【0016】
また、超臨界流体は、超臨界状態から直接気相に転移するように乾燥させることで、気体と液体の界面が存在しないように、すなわち毛管力(表面張力)が働かないようにして、微細構造を破壊することなく乾燥することができる。超臨界乾燥とは、このような超臨界流体の超臨界状態を利用して基板を乾燥することである。
【0017】
この超臨界乾燥に用いられる超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、エタノール、メタノール、プロパノール、ブタノール、メタン、エタン、プロパン、水、アンモニア、エチレン、フルオロメタン等が選択される。
【0018】
特に、二酸化炭素は、臨界温度が31.1℃、臨界圧力が7.37MPaと比較的低温・低圧であるので、容易に処理が可能である。本実施形態における超臨界乾燥処理は、二酸化炭素を用いたものである。
【0019】
図2に本発明の第1の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成を示す。超臨界乾燥システムは、ボンベ201、冷却器202、203、昇圧ポンプ204、ヒータ205、気液分離器206、及びチャンバ210を備えている。
【0020】
ボンベ201は液体状態の二酸化炭素を貯留する。昇圧ポンプ204は、ボンベ201から二酸化炭素を吸い出し、昇圧して排出する。ボンベ201から吸い出された二酸化炭素は、配管231を介して冷却器202に供給され、冷却されてから、配管232を介して昇圧ポンプ204に供給される。
【0021】
昇圧ポンプ204は、二酸化炭素を昇圧して排出する。例えば、昇圧ポンプ204は二酸化炭素を臨界圧力以上に昇圧する。昇圧ポンプ204から排出された二酸化炭素は配管233を介してヒータ205に供給される。ヒータ205は二酸化炭素を臨界温度以上に昇温(加熱)する。
【0022】
配管231〜233にはそれぞれパーティクルを除去するフィルタ221〜223が設けられている。
【0023】
ヒータ205から排出された二酸化炭素は配管241、242を含む供給部を介してチャンバ210に供給される。配管241にはバルブ251が設けられており、配管242にはバルブ252が設けられている。配管241、242は例えばSUSで形成されている。
【0024】
配管241の一端はヒータ205に連結されており、配管242の一端はチャンバ210に連結されている。また、配管241の他端と配管242の他端とは連結部N1において取り外し可能に連結されている。図3(a)に、配管241、242の端部の一例を示し、図3(b)に配管241と配管242の連結の一例を示す。図3(a)、(b)に示すように、配管241のフランジ241aと配管242のフランジ242aとが、ガスケット280を挟み、図示しないボルトで連結される。ガスケット280は例えばアルミニウム等を用いたメタルガスケットである。ボルトを外すことで、配管241と配管242とを取り外す(分離する)ことができる。
【0025】
図2に示すチャンバ210は、SUSで形成され、所定の耐圧性を確保した密閉可能な高圧容器である。チャンバ210は、ステージ211及びヒータ212を有する。ステージ211は被処理基板Wを保持するリング状の平板である。ヒータ212は、チャンバ210内の温度を調整することができる。ヒータ212はチャンバ210の外周部に設けてもよい。
【0026】
図4(a)はチャンバ210の水平方向断面図であり、チャンバ210は回転部270により回転されるように構成されている。図4(b)〜(e)は図4(a)のA方向から見たときのチャンバ210の鉛直方向断面図である。図4(b)〜(e)において、回転部270の図示は省略している。チャンバ210を回転させる際は、あらかじめ、配管241と配管242の連結、及び後述する配管243と配管244の連結を解除しておく。チャンバ210に連結されている配管242及び配管243は、チャンバ210と共に回転する。
【0027】
図4(b)は、回転部270によるチャンバ210の回転が行われていない状態を示しており、チャンバ210内の被処理基板Wは、パターンが形成された面Sが上を向いている。
【0028】
図4(c)は、回転部270がチャンバ210を水平方向に対して90°回転させた状態を示しており、被処理基板Wのパターン面Sは横を向いている。
【0029】
図4(d)は、回転部270がチャンバ210を水平方向に対して180°回転させた状態を示しており、被処理基板Wのパターン面Sは下を向いている。言い換えれば、被処理基板Wのパターンが形成されていない裏面が上を向いている。
【0030】
図4(e)は、回転部270がチャンバ210を水平方向に対して約135°回転させた状態を示しており、被処理基板Wのパターン面Sは斜め下を向いている。言い換えれば、被処理基板Wの裏面が斜め上を向いている。
【0031】
このように、回転部270は、チャンバ210内の被処理基板Wのパターン面Sが横向き、斜め下向き、又は下向きとなるように、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下の所定の角度まで回転させる。チャンバ210は、所定の角度に保持される。ここでの所定の角度とは、水平方向に対して90°以上180°以下の一定の角度又は、角度の範囲のことをいう。すなわち、チャンバ210は、水平方向に対して90°以上180°以下の状態であれば、一定の角度に保持されていなくても、チャンバ210は、所定の角度に保持されているといえる。回転部270の動作は図示しない制御部により制御される。
【0032】
図2に示すように、チャンバ210内の気体や超臨界流体は、配管243、244を含む排出部を介して排出され、気液分離器206へ送られる。配管243、344にはバルブ253、254が設けられている。バルブ253、254の開度によって、チャンバ210内の圧力を調整することができる。配管244のバルブ254より下流側では、超臨界流体は気体となる。
【0033】
配管243の一端はチャンバ210に連結されており、配管244の一端は気液分離器206に連結されている。また、配管243の他端と配管244の他端とは連結部N2において取り外し可能に連結されている。配管243、244の構造及び連結方法は、配管241、242と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
気液分離器206は、気体と液体を分離する。例えば、チャンバ210から、アルコールが溶解した超臨界状態の二酸化炭素が排出された場合、気液分離器206は、液体のアルコールと気体の二酸化炭素とを分離する。分離されたアルコールは再利用することができる。
【0035】
気液分離器206から排出された気体状態の二酸化炭素は、配管261を介して冷却器203に供給される。冷却器203は、二酸化炭素を冷却して液体状態とし、配管262を介して冷却器202へ排出する。冷却器203から排出された二酸化炭素も昇圧ポンプ204に供給される。このような構成にすることで、二酸化炭素を循環使用できる。
【0036】
図5に本実施形態に係る半導体基板の洗浄及び乾燥方法を説明するフローチャートを示す。
【0037】
(ステップS101)処理対象の半導体基板が図示しない洗浄チャンバに搬入される。半導体基板の表面には微細パターンが形成されている。そして、半導体基板の表面に薬液が供給され、洗浄処理が行われる。薬液には、例えば、硫酸、フッ酸、塩酸、過酸化水素等を用いることができる。
【0038】
ここで、洗浄処理とは、レジストを半導体基板から剥離するような処理や、パーティクルや金属不純物を除去する処理や、基板上に形成された膜をエッチング除去する処理等を含むものである。
【0039】
(ステップS102)半導体基板の表面に純水が供給され、半導体基板の表面に残留していた薬液を純水によって洗い流す純水リンス処理が行われる。
【0040】
(ステップS103)半導体基板の表面にアルコールが供給され、半導体基板の表面に残留していた純水をアルコールに置換するアルコールリンス処理が行われる。アルコールは、純水と超臨界二酸化炭素流体の両方に溶解する(置換しやすい)ものが用いられる。本実施形態ではイソプロピルアルコール(IPA)を用いて説明する。
【0041】
(ステップS104)表面がIPAで濡れた状態のまま、自然乾燥しないように、半導体基板が洗浄チャンバから搬出され、図2に示す超臨界乾燥システムのチャンバ210に導入され、ステージ211に固定される。半導体基板の固定後、チャンバ210を密閉する。
【0042】
(ステップS105)ボンベ201内の二酸化炭素ガスを昇圧ポンプ204及びヒータ205により昇圧・昇温し、配管241、242を介して、チャンバ210内に供給する。バルブ253、254は閉じており、バルブ251、252は開いている。
【0043】
チャンバ210内の圧力・温度が二酸化炭素の臨界圧力・臨界温度以上になるとチャンバ210内の二酸化炭素は超臨界流体(超臨界状態)となる。
【0044】
図6は、二酸化炭素とIPAの各々についての、圧力と温度と相状態との関係を示す状態図である。図6では、実線が二酸化炭素に対応し、破線がIPAに対応する。本ステップにおけるチャンバ210内の二酸化炭素の変化は、図6における矢印A1に相当する。
【0045】
(ステップS106)バルブ251、252を閉めて、連結部N1における配管241と配管242との連結を解除する。また、バルブ253、254を閉めたまま、連結部N2における配管243と配管244との連結を解除する。そして、制御部が回転部270を制御し、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下の所定の角度まで回転させ、チャンバ210を所定の角度で保持する。これにより、チャンバ210内の半導体基板の表面は横向き、斜め下向き、又は下向きになる。
【0046】
チャンバ210の回転後、再び、配管241と配管242とを連結し、配管243と配管244とを連結する。そして、バルブ251、252を開き、チャンバ210への二酸化炭素の供給を再開する。
【0047】
(ステップS107)半導体基板を、超臨界CO2流体に所定時間、例えば20分程度、浸漬させる。これにより、半導体基板上のIPAが超臨界CO2流体に溶解し、半導体基板からIPAが除去される。言い換えれば、半導体基板の表面(パターン面)のIPAが超臨界CO2流体に置換される。
【0048】
この時、配管241、242を介してチャンバ210内に超臨界CO2流体を供給しつつ、バルブ253、254をわずかに開き、配管243、244を介してチャンバ210内から、IPAが溶解した超臨界CO2流体が徐々に排出されるようにする。
【0049】
(ステップS108)チャンバ210を所定の角度で保持した状態で、バルブ253、254の開度を大きくして排気し、チャンバ210内の圧力を降圧する(図6の矢印A2参照)。図6の矢印A2が示すように、チャンバ210内の圧力低下により、チャンバ210内の二酸化炭素は超臨界状態から気体状態に変化する。
【0050】
このとき、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していた液体IPAが凝集し、半導体基板に降り注ぐ。しかし、ステップS106において、チャンバ210を回転させ、半導体基板の表面を横向き、斜め下向き、又は下向きにしている。そのため、凝集した液体IPAは主に半導体基板の裏面に降り注ぎ、表面にはほとんど吸着されないので、半導体基板の表面にパーティクルが付着することを防止することができる。
【0051】
(ステップS109)半導体基板を冷却チャンバ(図示せず)へ搬送して冷却する。
【0052】
ステップS106のチャンバ210の回転処理を行わなかった場合と、チャンバ210を180°回転させた場合の実験結果を図7(a)、(b)に示す。この実験に使用した半導体基板のサイズはφ300mmである。
【0053】
図7(a)は、チャンバ210の回転処理を行わなかった場合の超臨界乾燥処理後の半導体基板の表面を示しており、サイズ38nm以上のパーティクルの数は約1万個を超える数となった。
【0054】
一方、図7(b)は、チャンバ210を180°回転させた場合の超臨界乾燥処理後の半導体基板の表面を示しており、サイズ38nm以上のパーティクルの数は1千個程度となった。チャンバ210を回転させ、半導体基板の表面を下向きにすることで、液体IPAが半導体基板の表面に降り注ぐことを抑制し、パーティクル数を大幅に低減できることがわかる。
【0055】
このように、本実施形態によれば、チャンバ210を水平方向に対して90°以上180°以下回転させ、半導体基板の表面を横向き、斜め下向き、又は下向きにすることで、チャンバ210の排気・降圧により、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していたIPAが凝集して半導体基板に降り注いでも、IPAは主に半導体基板の裏面に付着するため、半導体基板の表面(パターン面)に付着するパーティクルを低減することができる。
【0056】
上記実施形態において、配管242、243に可撓性のあるメタルフレキシブルチューブを適用してもよい。その場合、配管242、243をチャンバ210に連結したままチャンバ210を回転させることができる。また、配管241、244と切り離す必要がないため、バルブ252、253を省略することができる。
【0057】
上記実施形態において、チャンバ210内の二酸化炭素が超臨界流体(超臨界状態)に変化した後、ステップS108の排気・降圧前であれば、チャンバ210はいつ回転させてもよい。例えば、半導体基板を超臨界CO2流体に所定時間浸漬させた後にチャンバ210を回転させてもよいし、ステップS107でチャンバ210から二酸化炭素とともに排出されるIPAの濃度が所定値以下になったらチャンバ210を回転させてもよい。
【0058】
(第2の実施形態)図8に本発明の第2の実施形態に係る超臨界乾燥システムの概略構成を示す。本実施形態は、図2に示す第1の実施形態と比較して、チャンバ210の回転を行わない点が異なる。図8において、図2に示す第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
図8に示すように、ヒータ205から排出された二酸化炭素は配管301及びバルブ302を含む供給部を介してチャンバ310に供給される。バルブ302は、チャンバ310への二酸化炭素の供給量を調整する。
【0060】
チャンバ310は、SUSで形成され、所定の耐圧性を確保した密閉可能な高圧容器である。チャンバ310は、ヒータ212を有しており、チャンバ310内部を加熱することができる。また、チャンバ310は被処理基板Wを保持する保持部(図示せず)を備えている。図8に示すように、チャンバ310は、被処理基板Wのパターン面Sを鉛直方向下向きにして、被処理基板Wを保持する。
【0061】
チャンバ310内の気体や超臨界流体は、配管303及びバルブ304を含む排出部を介して排出され、気液分離器206に供給される。バルブ304の開度によって、チャンバ310内の圧力を調整することができる。配管303のバルブ304より下流側では、超臨界流体は気体となる。
【0062】
図9〜図12を用いて、被処理基板Wをチャンバ310へ搬送する方法を説明する。
【0063】
被処理基板Wの搬送には、図9(a)、(b)に示す容器320が使用される。容器320には、開閉自在の蓋321が設けられている。図9(a)は蓋321が閉まっている状態を示し、図9(b)は蓋321が開いている状態を示している。蓋321は、図示しない制御部により開閉が制御される。容器320は例えばフッ素樹脂単体やフッ素樹脂でコーティングされたSUS等の金属により形成されている。
【0064】
図10(a)に示すように、容器320にアルコール322を貯留しておき、図示しない搬送部が、洗浄処理後の被処理基板Wを、パターン面Sがアルコールで濡れた状態で容器320内へ搬送する。ここで、容器320に貯留されているアルコール322と、パターン面Sを濡らしているアルコールとは同じものである。搬送部は、パターン面Sを鉛直方向上向きにして被処理基板Wを搬送する。
【0065】
被処理基板Wが、アルコール322に浸された状態で、容器320内において保持部(図示せず)により保持されると、図10(b)に示すように、蓋321が閉まる。
【0066】
被処理基板Wを収容した容器320は、図11(a)に示すような搬送部330に回転自在に保持される。容器320の回転動作は、図示しない制御部により制御される。搬送部330が容器320を保持すると、図11(b)に示すように容器320が反転される。これにより、被処理基板Wのパターン面Sは鉛直方向下向きになる。このとき容器320の蓋321は閉まっているので、被処理基板Wは容器320内でアルコール322に浸されたままである。
【0067】
搬送部330は、反転した容器320をチャンバ310へ搬送する。図12(a)に示すように、チャンバ310には、容器320内のアルコール322と同じアルコール313が貯留されており、搬送部330は容器320の少なくとも一部(蓋322部分)をアルコール313に浸ける。
【0068】
その後、図12(b)に示すように、蓋321が開き、被処理基板Wが容器320外部へ搬出される。例えば、蓋321が開くと、チャンバ310に設けられた把持搬送部(図示せず)が容器320内の被処理基板Wを把持して容器320から取り出し、チャンバ310内に保持する。被処理基板Wのパターン面Sは鉛直方向下向きのままである。
【0069】
そして、図12(c)に示すように、搬送部330をチャンバ310内から移動させ、図12(d)に示すように、チャンバ310を閉じる。このようにして、被処理基板Wのパターン面Sを常にアルコールに濡らしたまま、パターン面Sを鉛直方向下向きにしてチャンバ310内に配置することができる。
【0070】
なお、図12では、説明のため、チャンバ310全体にアルコールが貯留されているように示しているが、チャンバ310内にアルコールを貯留する内容器を設け、この内容器のアルコールに被処理基板Wを浸漬するようにしてもよい。
【0071】
図13に本実施形態に係る半導体基板の洗浄及び乾燥方法を説明するフローチャートを示す。ステップS201〜S203は図5のステップS101〜S103と同じであるため、説明を省略する。
【0072】
(ステップS204)表面がIPAで濡れた状態のまま、自然乾燥しないように、半導体基板が洗浄チャンバから搬出され、図10(a)、(b)に示すように容器320に導入される。半導体基板の導入後、容器320の蓋321が閉められる。なお、容器320はIPAを貯留している。
【0073】
(ステップS205)半導体基板を収容した容器320が反転(180°回転)される。これにより、半導体基板の表面が鉛直方向下向きになる。
【0074】
(ステップS206)搬送部330が、容器320をチャンバ310へ搬送する。チャンバ310にはIPAが貯留されている。
【0075】
(ステップS207)容器320がチャンバ310内のIPAに浸されると、容器320の蓋321が開けられる。半導体基板が容器320から取り出され、表面が下を向いたままチャンバ310内に保持される。そして、チャンバ310の蓋が閉められる(図12(a)〜(d)参照)。
【0076】
(ステップS208)ボンベ201内の二酸化炭素ガスを昇圧ポンプ204及びヒータ205により昇圧・昇温し、配管301を介して、チャンバ310内に供給する。バルブ304は閉じており、バルブ302は開いている。
【0077】
チャンバ310内の圧力・温度が二酸化炭素の臨界圧力・臨界温度以上になるとチャンバ310内の二酸化炭素は超臨界流体(超臨界状態)となる。
【0078】
(ステップS209)半導体基板を、超臨界CO2流体に所定時間、例えば20分程度、浸漬させる。これにより、チャンバ310内のIPAが超臨界CO2流体に溶解し、半導体基板の表面(パターン面)からIPAが除去される。言い換えれば、半導体基板のパターン面のIPAが超臨界CO2流体に置換される。
【0079】
この時、配管301を介してチャンバ310内に超臨界CO2流体を供給しつつ、バルブ304をわずかに開き、配管303を介してチャンバ310内から、IPAが溶解した超臨界CO2流体が徐々に排出されるようにする。
【0080】
(ステップS210)バルブ304の開度を大きくして排気し、チャンバ310内の圧力を降圧する。図6の矢印A2が示すように、チャンバ310内の圧力低下により、チャンバ310内の二酸化炭素は超臨界状態から気体状態に変化する。
【0081】
このとき、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していた液体IPAが凝集し、半導体基板に降り注ぐ。しかし、半導体基板は表面を下向きにして保持されている。そのため、凝集した液体IPAは主に半導体基板の裏面に降り注ぎ、表面にはほとんど吸着されないので、半導体基板の表面にパーティクルが付着することを防止できる。
【0082】
(ステップS211)半導体基板を冷却チャンバ(図示せず)へ搬送して冷却する。
【0083】
このように、本実施形態によれば、予め半導体基板の表面を下向きにしてチャンバ310へ搬送することで、チャンバ310の排気・降圧により、超臨界CO2流体に溶解した状態でチャンバ内に残留していたIPAが凝集して半導体基板に降り注いでも、IPAは主に半導体基板の裏面に付着するため、半導体基板の表面(パターン面)に生じるパーティクルを低減することができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、高圧容器であるチャンバ310でなく、チャンバ310より小さく軽い容器320を回転させるため、上記第1の実施形態と比較して、回転機構の装置コストを削減することができる。
【0085】
上記第1、第2の実施形態ではアルコールリンス処理にIPAを使用する例について説明したが、エタノール、メタノール、フッ化アルコール等を用いてもよい。
【0086】
また、上記第1、第2の実施形態では、チャンバ210、310とは異なる冷却チャンバへ半導体基板を搬送する例について説明したが、チャンバ210、310に冷却機構を設けて、チャンバ210、310内で半導体基板の冷却を行ってもよい。
【0087】
また、上記第1、第2の上記実施形態では、二酸化炭素を循環使用する超臨界乾燥システムについて説明したが、超臨界乾燥システムの構成はこれに限定されず、二酸化炭素を循環使用しない構成でもよい。
【0088】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0089】
201 ボンベ
202、203 冷却器
204 昇圧ポンプ
205 ヒータ
206 気液分離器
210 チャンバ
270 回転部
310 チャンバ
320 容器
321 蓋
330 搬送部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板を収容し、密閉可能なチャンバと、
前記チャンバの内部を加熱するヒータと、
前記チャンバに二酸化炭素を供給する供給部と、
前記チャンバから二酸化炭素を排出する排出部と、
前記チャンバを水平方向に対して90°以上180°以下回転させる回転部と、
を備える超臨界乾燥装置。
【請求項2】
前記供給部は、
一端が前記チャンバに連結された第1配管と、
前記第1配管に設けられた第1バルブと、
一端が前記第1配管の他端に取り外し可能に連結された第2配管と、
前記第2配管に設けられた第2バルブと、
を有し、
前記排出部は、
一端が前記チャンバに連結された第3配管と、
前記第3配管に設けられた第3バルブと、
一端が前記第3配管の他端に取り外し可能に連結された第4配管と、
前記第4配管に設けられた第4バルブと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の超臨界乾燥装置。
【請求項3】
前記供給部及び前記排出部はそれぞれ一端が前記チャンバに連結されたメタルフレキシブル配管を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界乾燥装置。
【請求項4】
密閉可能であり、薬液を貯留するチャンバと、
開閉自在の蓋を有し、前記薬液を貯留する容器と、
表面にパターンが形成された半導体基板を、前記表面が前記薬液で濡れた状態で、前記容器の前記薬液内へ搬送する第1搬送部と、
前記容器を回転自在に保持し、前記チャンバ内へ搬送する第2搬送部と、
前記蓋の開閉及び前記容器の回転を制御する制御部と、
前記チャンバの内部を加熱するヒータと、
前記チャンバに二酸化炭素を供給する供給部と、
前記チャンバから二酸化炭素を排出する排出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1搬送部が前記容器内に前記半導体基板が搬送されると前記蓋を閉め、
前記半導体基板を収容した前記容器が前記チャンバ内へ搬送される前に前記容器を反転させ、
前記第2搬送部が前記容器を前記チャンバ内へ搬送し、前記容器の少なくとも一部が前記チャンバ内の前記薬液に浸かると前記蓋を開け、前記半導体基板を前記容器から搬出させることを特徴とする超臨界乾燥装置。
【請求項5】
半導体基板を、表面がアルコールで濡れた状態でチャンバ内に導入する工程と、
前記チャンバ内において前記半導体基板を超臨界流体に浸漬させ、前記半導体基板上の前記アルコールを前記超臨界流体に置換する工程と、
前記半導体基板が超臨界流体に浸漬した状態で前記チャンバを水平方向に対して90°以上180°以下の所定の角度まで回転させる工程と、
前記チャンバを前記所定の角度に保持した状態で、前記チャンバから前記超臨界流体及び前記アルコールを排出し、前記チャンバ内の圧力を下げる工程と、
を備える半導体基板の超臨界乾燥方法。
【請求項6】
表面にパターンが形成された半導体基板を、前記表面がアルコールで濡れ、かつ前記表面を鉛直方向下向きにして、チャンバ内に導入する工程と、
前記チャンバ内において前記半導体基板を超臨界流体に浸漬させ、前記半導体基板上の前記アルコールを前記超臨界流体に置換する工程と、
前記チャンバから前記超臨界流体及び前記アルコールを排出し、前記チャンバ内の圧力を下げる工程と、
を備える半導体基板の超臨界乾燥方法。
【請求項7】
前記半導体基板を、前記表面を鉛直方向上向きにしてアルコールを貯留した容器内に搬送する工程と、
前記半導体基板を収容した前記容器を反転する工程と、
をさらに備え、
前記半導体基板を前記チャンバ内に導入する工程は、反転した前記容器を前記チャンバ内へ搬送し、前記容器から前記チャンバへ前記半導体基板を移動させることにより行われることを特徴とする請求項6に記載の半導体基板の超臨界乾燥方法。
【請求項1】
半導体基板を収容し、密閉可能なチャンバと、
前記チャンバの内部を加熱するヒータと、
前記チャンバに二酸化炭素を供給する供給部と、
前記チャンバから二酸化炭素を排出する排出部と、
前記チャンバを水平方向に対して90°以上180°以下回転させる回転部と、
を備える超臨界乾燥装置。
【請求項2】
前記供給部は、
一端が前記チャンバに連結された第1配管と、
前記第1配管に設けられた第1バルブと、
一端が前記第1配管の他端に取り外し可能に連結された第2配管と、
前記第2配管に設けられた第2バルブと、
を有し、
前記排出部は、
一端が前記チャンバに連結された第3配管と、
前記第3配管に設けられた第3バルブと、
一端が前記第3配管の他端に取り外し可能に連結された第4配管と、
前記第4配管に設けられた第4バルブと、
を有することを特徴とする請求項1に記載の超臨界乾燥装置。
【請求項3】
前記供給部及び前記排出部はそれぞれ一端が前記チャンバに連結されたメタルフレキシブル配管を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の超臨界乾燥装置。
【請求項4】
密閉可能であり、薬液を貯留するチャンバと、
開閉自在の蓋を有し、前記薬液を貯留する容器と、
表面にパターンが形成された半導体基板を、前記表面が前記薬液で濡れた状態で、前記容器の前記薬液内へ搬送する第1搬送部と、
前記容器を回転自在に保持し、前記チャンバ内へ搬送する第2搬送部と、
前記蓋の開閉及び前記容器の回転を制御する制御部と、
前記チャンバの内部を加熱するヒータと、
前記チャンバに二酸化炭素を供給する供給部と、
前記チャンバから二酸化炭素を排出する排出部と、
を備え、
前記制御部は、
前記第1搬送部が前記容器内に前記半導体基板が搬送されると前記蓋を閉め、
前記半導体基板を収容した前記容器が前記チャンバ内へ搬送される前に前記容器を反転させ、
前記第2搬送部が前記容器を前記チャンバ内へ搬送し、前記容器の少なくとも一部が前記チャンバ内の前記薬液に浸かると前記蓋を開け、前記半導体基板を前記容器から搬出させることを特徴とする超臨界乾燥装置。
【請求項5】
半導体基板を、表面がアルコールで濡れた状態でチャンバ内に導入する工程と、
前記チャンバ内において前記半導体基板を超臨界流体に浸漬させ、前記半導体基板上の前記アルコールを前記超臨界流体に置換する工程と、
前記半導体基板が超臨界流体に浸漬した状態で前記チャンバを水平方向に対して90°以上180°以下の所定の角度まで回転させる工程と、
前記チャンバを前記所定の角度に保持した状態で、前記チャンバから前記超臨界流体及び前記アルコールを排出し、前記チャンバ内の圧力を下げる工程と、
を備える半導体基板の超臨界乾燥方法。
【請求項6】
表面にパターンが形成された半導体基板を、前記表面がアルコールで濡れ、かつ前記表面を鉛直方向下向きにして、チャンバ内に導入する工程と、
前記チャンバ内において前記半導体基板を超臨界流体に浸漬させ、前記半導体基板上の前記アルコールを前記超臨界流体に置換する工程と、
前記チャンバから前記超臨界流体及び前記アルコールを排出し、前記チャンバ内の圧力を下げる工程と、
を備える半導体基板の超臨界乾燥方法。
【請求項7】
前記半導体基板を、前記表面を鉛直方向上向きにしてアルコールを貯留した容器内に搬送する工程と、
前記半導体基板を収容した前記容器を反転する工程と、
をさらに備え、
前記半導体基板を前記チャンバ内に導入する工程は、反転した前記容器を前記チャンバ内へ搬送し、前記容器から前記チャンバへ前記半導体基板を移動させることにより行われることを特徴とする請求項6に記載の半導体基板の超臨界乾燥方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図7】
【公開番号】特開2013−62417(P2013−62417A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200569(P2011−200569)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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