説明

半導体装置とその製造方法、及び製造装置

【課題】 半導体装置において配線等として用いられる種々金属導電層材料の表面の酸化膜を、周辺構造物に損傷を起こすことなく除去する。
【解決手段】金属導電領域12を還元処理室22内に入れ、酸素ポンプ30により、少なくとも酸素分圧を1×10-13気圧以下に抑えた不活性ガスを還元処理室22内に導入する。金属導電領域12を加熱手段25により加熱することで、金属導電領域12の表面に形成されている酸化膜を還元処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属配線等、金属(合金を含む)導電領域を含む半導体装置とその製造方法、及び製造装置に関し、特に製造工程中で酸化される金属導電領域表面の酸化膜を効果的に除去するための改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年LSI(大規模集積回路)の高速化、高集積化に伴い、デバイス・ルールの縮小化が進行しているが、そのような微細化に伴って増加する寄生抵抗や寄生容量を極力低減させ、ひいてはより微細な構造を作成するために、様々な新材料が続々と導入されている。多層配線構造等、幾何構造的な工夫にも多くの提案が認められる。しかし、微細化に伴う最も大きな問題、すなわち配線サイズと配線間隔の微細化に反比例し、配線抵抗や配線間容量が増加して来るという点に対する根本的な改善策は未だ完全であるとは言えず、実際、そのような配線抵抗,配線間容量の増加に伴い、実質的に回路の遅延時定数が大きくなり、デバイスの高速動作が阻害されている。
【0003】
それでも、これまでの対策として、近年では、以前における主体的材料であったAlないしその合金に代え、より低抵抗の銅(Cu)ないしその合金を配線用等の金属導電領域材料として用いたり、半導体装置内の配線周りや各素子周辺の埋め込み層に低誘電率の絶縁膜、例えば古典的なSiO膜(比誘電率およそ4.2)よりも低誘電率のSiOF膜やSiOC膜等の有機含有絶縁膜、あるいはまたSiN膜(比誘電率7)よりも誘電率の低いSiC膜やSiCN膜を用いる等の工夫は認められる。導電材料に就いても、上記のCuに限らず、LSIトランジスタ素子においてはその低抵抗化や仕事関数制御のために、Ni,Co,Ta,Tiといった様な種々の金属の導入も検討されている。
【0004】
さらに、金属配線の形成手法に着目すると、ここにCuを用いる場合には、既に「ダマシン法(Damascene Process)」と呼ばれる手法がある程度確立されている。これは端的に言えば、メッキ法と化学的機械研磨法(CMP法:Chemical Mechanical Polishing)とを組み合せたもので、それまでの乾式製法を基本とする半導体装置の製造方法に湿式製法の概念を持ち込み、半導体装置の一層の小型化に貢献した。また、この発展系としてデュアル・ダマシン法というのもあり、これは多層構造の下層部分の金属配線に対して電気的導通を取るためのビア・ホールをCu材料で充填する工程を上層配線の形成と同時になすものであって、より効率的である。
【0005】
ところが、特にCuを配線材料として用いる場合、また新たな問題が沸き起こってきた。それは、Cuの酸化のされ易さと、表面にのみ留まらず、内部にまでどんどん酸化が進んでしまうという問題である。Cu配線を形成した後にも、それで半導体装置の製造工程が全て終了することは決してなく、以後も引き続き、種々の薄膜形成や構造物を作り込んで行く過程でCu表面は酸化雰囲気に晒されることが多い。そもそも、CMP法において使用される研磨時の薬液によっても、Cu表面は酸化されてしまう。
【0006】
これが例えば、従前のAL配線ないしはAl合金配線であるならば、その表面が酸化されるにしても、形成されるAl2O3等の酸化膜は比較的強固であって厚さも薄く、配線導体の断面積減少の程度は然程、大きくなかった。ところがCu配線の場合には、表面に強固な不動態皮膜を形成しないため、大気放置や酸素に暴露されると、表面から始まる酸化は内部に向けて深く進行し易く、換言すれば実効的に導電体部分として利用できる断面積が大きく減少し、結果、折角Cuを用いたのに配線抵抗が増してしまう,という不具合があった。もちろん、ビア・ホール構造その他、Cu配線の表面部分にさらに他の導体を接触させて導電線路を伸ばす場合にも、表面に酸化膜が形成されていると、当然のことながら接触抵抗が増すか、酷い場合には導通を確保することができなくなってしまう。
【0007】
そこで、従来からも、一応、このようなCu配線の表面に形成されてしまう酸化膜を除去するクリーニング処理方法として、下記特許文献1や特許文献2に認められるように、水素ガスもしくは水素プラズマ処理によるCu表面酸化物の除去手法が提案されたり、あるいはまた、これにアルゴンイオン衝撃を用いたスパッタリング処理(アルゴン・ミリング)を併用し、表面の酸化物を除去していた。
【特許文献1】特開平11-191556号公報
【特許文献2】特開平11-186237号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
もっとも、上記の特許文献1,2の各請求項1中では、単に「Cu表面を還元する」,という記述だけに留まっており、あたかも全ての還元手法を包含しているようではある。しかし、それらの公報全文を通じ、実際に開示されているのは、上記の通り、水素ガス雰囲気中または水素プラズマ中での還元処理のみである。
【0009】
ところが、このような水素を用いた還元処理においては、層間絶縁膜等の周辺構造物が損傷を受けやすく、特に低誘電率の絶縁膜が用いられている場合にそれが損傷を受けて比誘電率が上がってしまうという問題がある。それではわざわざ低誘電率膜を用いた意味がないか、少なくとも効果が薄れてしまう。また、還元処理後、どうしても水素が残存することが種々の問題にもなるが、さらに、水素プラズマを用いる場合には、当該水素プラズマそのものによって直接的に製造工程中の素子にダメージを与えることが多い。
【0010】
これに加えて、アルゴンイオン衝撃をも与えるような場合には、低誘電率膜が大きな損傷を受けるのみならず、露出している下地の配線が内部に掘り込まれ、平坦性が損なわれるし、スパッタ除去したCuがスルー・ホールの内壁に再付着して埋め込み不良を発生させてしまこともあった。いずれにしても、半導体装置製造の将来を見据えると、こうした水素を介在させる還元処理は排斥するに越したことはない。
【0011】
本発明はこのような観点に立ってなされたもので、最も問題の生じ易かったCu及びその合金はもとよりのこと、Al,Co,Ni,Ti,Ta等々、配線や機能領域として用いられる種々金属導電層材料の表面の酸化膜が、低誘電率薄膜等、周辺構造物の損傷なく除去されている半導体装置、及びその製造方法と製造装置を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は上記目的を達成するために、
金属導電領域を含む半導体装置であって;
金属導電領域の表面の少なくとも一部が、酸素分圧を1×10-13気圧以下に抑えた不活性ガス中での加熱による還元処理によって酸化膜の除去された表面となっていること;
を特徴とする半導体装置を提案する。
【0013】
上記の金属導電領域はCuまたはその合金であって良く、合金としては、例えばSi,Al,Au,W,Mg,Be,Zn,Pd,Cd,Au,Hg,Pt,Zr,Ti,Sn,Ni及びFeから成る群から選択された一つ以上の金属を含有するものであって良い。
【0014】
また、上記において、金属導電領域の酸化膜の除去された表面には、絶縁膜もしくは他の金属導電領域が接触している構造を有する半導体装置も提案する。
【0015】
本発明は半導体装置の製造方法としても規定できる。すなわち本発明は、
金属導電領域を含む半導体装置の製造方法であって;
少なくとも酸素分圧を1×10-13気圧以下に抑えた不活性ガス中で金属導電領域を加熱することにより、この金属導電領域の表面に形成されている酸化膜を還元処理すること;
を特徴とする半導体装置の製造方法を提案する。
【0016】
ここにおいても、上記の金属導電領域はCuまたはその合金であって良く、合金としては例えばSi,AL,Au,W,Mg,Be,Zn,Pd,Cd,Au,Hg,Pt,Zr,Ti,Sn,Ni及びFeから成る群から選択された一つ以上の金属を含有するものであって良い。
【0017】
さらに、金属導電領域がCuまたはその合金の場合、上記の加熱温度(結局は還元温度)は、450℃以下とすることも提案する。
【0018】
また、不活性ガスとしては、Ar,N,He,Ne,Xe及びKrの中から選択されたいずれかのガスを用いることを提案する。
【0019】
本発明では、上記に加えて、還元処理の後に、大気暴露することなく真空下または低酸素雰囲気下で、当該金属導電領域表面上にパッシベーション膜を堆積させる工程を含む半導体装置の製造方法も提案する。ここで、当該パッシベーション膜の材料としては、例えば、SiC,SiCN,SiNの中から選択されたいずれか一つとすることができる。
【0020】
さらに本発明では、上記の還元処理の後に、大気暴露することなく真空下または低酸素雰囲気下で当該金属導電領域の表面上に他の導電領域を接触させるように堆積させる工程を含む半導体装置の製造方法も提案する。ここで、当該他の導電領域の材料としては、例えばTaN,Ta,Ti,TiN,Cu,Ni,Mo,Co,Wの中から選択されたいずれか一つまたはその合金、あるいはNi,Mo,Co,Wの中から選択されたいずれか一つまたはその合金にPまたはBを導入した材料等がある。
【0021】
本発明は半導体装置の製造装置としても規定でき、
基板上に形成された金属導電領域を有する試料を収め、不活性ガスの充填された閉空間を形成する還元処理室と;
還元処理室内の不活性ガスの酸素分圧を1×10-13気圧以下にまで低減させ得る酸素ポンプと;
還元処理室内において金属導電領域を加熱し、その表面に形成されている酸化膜を還元処理して除去する加熱手段と;
を有することを特徴とする半導体装置の製造装置を提案する。
【0022】
上記の半導体装置の製造装置において、上記の還元処理室は還元処理専用の部屋であっても良いし、他の膜を成膜する成膜室がこれを兼ねていても良い。
【発明の効果】
【0023】
既掲の特許文献1,2に認められたような、従前の水素ないし水素プラズマを用いた還元手法に比し、水素の手助けを必要としない本発明によると、遥かに優れた結果が得られる。従前の手法では、還元対象の金属導電領域周辺の絶縁膜等に損傷を来たしたり、低誘電率薄膜を用いた筈なのに、損傷を受けてその比誘電率が上がったりしてしまう不具合があったが、本発明ではそのような問題を一切生じない。水素が残存することによる派生的な問題も原理上、発生し得ない。
【0024】
また、従来においてアルゴン・ミリング等による酸化膜除去を併用する場合、金属導電領域はその部分で削られてしまい、段差が出来て、この部分に他の金属導電領域を接触形成させる際、種々機械的、電気的問題を産んだり、既述のようにスパッタ除去した金属材料の再付着で埋め込み不良を発生することがあったが、本発明に依ればそうした問題も原理的に生じる謂れがなく、良好な表面平坦性を保つことができる。
【0025】
さらに、金属導電領域を囲繞する不活性ガス中の酸素分圧を1×10-13以下に留めてあるので、例えばCuの場合、せいぜい、400℃、高くても450℃にも加熱すれば、表面に形成されていた酸化膜は十分に還元除去されるため、周辺の絶縁膜等、周辺構造物に熱的損傷を与えることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の望ましい実施形態に就き詳記するが、それに先立ち、まずは本発明の原理に就いて述べておく。
【0027】
熱力学の法則によれば、ある温度と酸素分圧下においては、金属の酸化反応とその逆反応(還元反応)が平衡することが知られている。従って、ある酸素分圧下において金属導電領域(実際にはそれを含む半導体基板上の構造物等の試料)を加熱し、酸化速度よりも還元速度を増加させれば、水素の手助けを受けることなく、それだけでも金属酸化物を還元処理することが可能な筈である。例えば図1(A)にCuOの平衡酸素濃度の関係を示しているが、試料に与えるべき還元温度と酸素分圧を、酸化領域Roとの平衡境界曲線Bo-rより下の還元領域Rrに設定することで、当該CuOの還元処理を行うことができる。
【0028】
しかし、従来、同じく図1(A) から明らかなように、450℃以下、望ましくは400℃以下と、それ程には高い還元温度にしなくても済む酸素分圧領域、例えば1×10-13気圧以下の酸素分圧環境下で還元処理を行なう等との提案は一切なされることがなかった。これは、そもそも、酸素分圧をそれ程までに低減させ得る装置系が存在せず、それがために、還元温度を相当に高くしなければそうした還元処理は行ない得ないと判断されていたからであり、実際、これが一種の既成概念となっていた。
【0029】
例えばCu導電領域の表面に形成されてしまったCuOを還元処理する場合、既に述べたように、昨今の高性能化を目指す半導体装置では周辺に低誘電率膜等が設けられていることが多いため、少なくとも還元温度を450℃以下には留めないと、物理的、物性的損傷が当該周辺領域に及び、目的とする高性能化が果たせなくなる。ところが、上述の既成概念により、従前においては到底、450℃以下程度の相対的低温環境下で還元を生起させ得るような酸素分圧環境は獲得し得ないと判断され、その結果、既掲の特許文献1,2に認められるような、欠点を伴う水素環境ないし水素プラズマ援用での還元処理とされていたのである。
【0030】
しかるに、こうした従来の技術事情下において、本件発明者中の一部の者が発明者として含まれている下記特許文献3に認められるように、使用目的こそ異なるものの、酸素分圧を最大で1×10-30気圧にもまで低減し得る電気化学的な酸素ポンプが開発されるに至った。これは昨今では、さらに1×10-31気圧にまでの酸素分圧低減機能を持つ装置として提供されるに至っており、単に“酸素ポンプ"というだけでも当業者には周知の構造装置となっている。
【特許文献3】特開2002-326887号公報
【0031】
念のために、簡単にこの酸素ポンプの代表的構造例及び動作原理を図2に即し説明すると、当該酸素ポンプ30には内部中空の円柱状密閉容器31があり、その軸方向一端には不活性ガスの流入経路Fiの出口が開口し、他端には流出経路Foの入口が開口している。一方、半径方向外周面に沿っては酸化物イオン伝導性を有する固体電解質32が配置されており、この固体電解質32の内外両周面に沿って白金等より成る通気性電極、例えばネット状の電極E+,E-が設けてある。
【0032】
固体電解質32の具体的材料例としては、下記に材料例1〜7として列挙するようなものがあり、中でも材料例1が最も一般的ではある。
【0033】
(材料例1)
一般式、(ZrO2)1-x-y(In2O3)x(Y2O3)y(0<x<0.20,0<y<020,0.08<x+y<0.20)で表されるジルコニア系材料。
(材料例2)
BaおよびInを含む複合酸化物であって、Baの一部をLaで固溶置換した材料、特に、原子数比{La/Ba+La)}を0.3以上とした材料ないしInの一部をGaで置換した材料。
(材料例3)
一般式{Ln1-xSrxGa1-(y+z)MgyCozO3、ただし、Ln=La,Ndの1種または2種、x=0.05〜0.3、y=0〜0.29、z=0.01〜0.3、y+z=0.025〜0.3}で示される材料。
(材料例4)
一般式{Ln1-xAxGa(1-y-z)B1yB2zO3-d、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Nd,Smの1種または2種以上、A=Sr,Ca,Baの1種または2種以上、B1=Mg,Al,Inの1種または2種以上、B2=Co,Fe,Ni,Cuの1種または2種以上}で示される材料。
(材料例5)
一般式{Ln2-xMxGe1-yLyO5、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Sm,Nd,Gd,Yd,Y,Sc、M=Li,In,K,Rb,Ca,Sr,Baの1種もしくは2種以上、L=Mg,Al,Ga,In,Mn,Cr,Cu,Znの1種もしくは2種以上}で示される材料。
(材料例6)
一般式{La(1-x)SrxGa(1-y-z)MgyAl2O3、ただし、0<x≦0.2、0<y≦0.2、0<z<0.4}で示される材料。
(材料例7)
一般式{La(1-x)AxGa(1-y-z)B1yB2zO3、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Sm,Ndの1種もしくは2種以上、A=Sr,Ca,Baの1種もしくは2種以上、B1=Mg,Al,Inの1種もしくは2種以上、B2=Co,Fe,Ni,Cuの1種もしくは2種以上、x=0.05〜0.3、y=0〜0.29、z=0.01〜0.3、y+z=0.025〜0.3}で示される材料。
【0034】
しかるに、直流電源Bpにより、固定電解質32を内外から挟む一対の電極E+,E-間に電圧を印加すると(電極E+が正極)、密閉容器31内に存在する酸素分子(O2)が固体電解質32によって電気的に還元されてイオン(O2-)化され、正極E+に引かれながら当該固体電解質32内を通過し、再び酸素分子(O2)として密閉容器31の外部に放出される。この外部放出された酸素分子を空気等の補助気体をキャリアガスとして排気することで、密閉容器31に供給された不活性ガス中の酸素分子を除去し、その酸素分圧を制御することができる。実際、本件発明者等の改良もあり、最近では酸素分圧は1×10-31気圧にまで低減させ得るようになった。
【0035】
そこで、図1に戻ると、同図(B),(C) に示すように、本発明によれば以下に説明するような構成の酸化膜除去機能を有する半導体製造装置を提案できる。まず、図1(B) に示す製造装置では、これ自体は公知既存の構成で良いロードロック室23,移送用ロボット24がそれぞれ真空を破ることなく連携可能に設けられ、ロボット24は、最終的に所要の機能を持つ半導体装置として製造される試料10を望ましくは真空を破ることなく成膜室や本発明に従う還元処理室間で移動させる。
【0036】
図示の場合、複数(図示の場合、二つ)の成膜室21-1,21-2がやはり真空を破ることなく連結する関係で設けられており、これら各成膜質21-1,21-2では最終製品としての半導体装置として構築するに必要な種々の薄膜等が形成される。通常、この種の成膜室21-1,21-2やロードロック室23,ロボット室は1×10-8気圧程度までは通常の真空ポンプによって真空排気可能であり、真空下に保持されることが多い。この実施形態では、これら成膜室21-1,21-2とは真空を破らずに連結されているが、独立した部屋としての還元処理室22が設けられており、ここには排気系Fvが設けられていて内部排気可能とされている他、既に図2に即して説明したような電気化学的な酸素ポンプ30が連携しており、内部に充填された不活性ガス(図示せず)の酸素分圧を少なくとも1×10-13気圧から要すれば1×10-31気圧程度にまで低減し得るようになっている。
【0037】
図示の場合、還元処理室22内の不活性ガスは、流入経路Fiから酸素ポンプ30に流入し、ここで酸素分圧を低減処理された不活性ガスは、流出経路Foから再び還元処理室22に戻される構成となっているが、これと異なり、不活性ガス源は別途な箇所に設けられ、酸素ポンプ30から出力された極低酸素分圧の不活性ガスは還元処理室22に供給され、役目を果たした後は排気系Fvから排気されるようになっていても良い。
【0038】
簡単のため、試料10は本図では例えば一般的にシリコン基板等であって良い基板11上に形成されたCu等の金属導電領域12をのみ示すものとなっているが、表面が酸化されていることのある当該金属導電領域12は、これ自体は公知既存のもので良い加熱手段25により、加熱されるようになっている。図中ではこれも説明のため、加熱手段25は模式的にヒータ記号でのみ示してある。
【0039】
試料10を取り囲む不活性ガスは、使用温度で金属導電領域12の構成金属と化学反応を起こさないものであれば如何なるガスをも使用可能であり、例えばAr,N,He,Ne,Xe,Kr等の中から選択可能である。
【0040】
このように、還元処理室22内において酸素分圧が1×10-13気圧以下に制御された不活性ガスの雰囲気下で、金属導電領域12(実質的には試料10全体)を最大でも450℃以下、望ましくは400℃以下に留めて加熱して、表面酸化層の還元処理を行う。金属導電領域がCuもしくはその合金である場合、不活性ガスの酸素分圧1×10-13気圧において相対的にはそう高くない還元温度400℃でも、還元により十分な表面酸化膜除去が行なえ、周辺に例えば低誘電率薄膜等が既に形成されていても、それに熱的、機械的損傷を与えることが全くなくて済む。
【0041】
なお、この還元処理の際の室内圧力は、減圧下でも、あるいは真空ポンプを遮断しての常圧であっても良く、また使用済みガスは、先にも述べたように、排気系Fvを介し装置外に排気しても、あるいは酸素ポンプ30への流入経路Fiを介して再び当該酸素ポンプ30に戻し、必要に応じて流出経路Foから還元処理室22内に戻すような循環閉ループを形成しても良い。循環させる場合は、不活性ガスがより純化されるので、より短時間で所定の酸素分圧に到達させることが可能となる。
【0042】
図1(C) に示す実施形態は、上述した装置構成において独立の還元処理室22を設けず、一つの成膜室21-2がこれを兼ねている場合を示しており、ここでの還元処理操作及び還元過程に関しては上述の説明をそのままに援用できる。
【0043】
本発明では、超低酸素濃度の不活性ガス雰囲気中にて試料10を加熱することにより、当該試料10上に形成した金属導電領域12の表面酸化物を還元させ、清浄な金属薄膜を形成することができ、しかも、周辺構造物に損傷を来たさないで済む。そのため、特殊な後処理をしなくても、その後、大気に暴露することなく、そのまま超高真空下で、あるいは少なくとも低酸素雰囲気下で搬送ロボット24により試料10を移送し、いずれかの成膜室で金属導電領域表面上に直接に他の導電領域としてCuまたはその合金を堆積させたり、あるいはTaN,Ta,Ti,TiNまたはそれらの合金等のバリア・メタルや、Ni,Mo,Co,Wまたはその合金であるか、Ni,Mo,Co,Wまたはその合金にPないしBを導入したキャップ金属を直ちに堆積させることができる。導電領域ではなく、化学的に安定な被覆をなすために、例えばSiC,SiCN,SiN薄膜等のパッシベーション絶縁膜を直ちに堆積させることもできる。つまり、本発明によれば、表面酸化膜を十分に還元、除去した後、再び表面が酸化されてしまうようなこともなく、直ちに異種膜で当該表面を覆うことが可能になる。従来のようにプラズマや活性なガスを用いることもなく、周辺構造物に損傷を与えないことの効果は極めて大きい。
【0044】
また、表面を清浄にした金属導電領域12の当該表面には、やはり、大気暴露することなく真空下で、または少なくとも低酸素雰囲気下で、他の金属導電領域、例えば層内配線ないしは多層構造の上下層間に渡るビア構造における層間配線として、例えばCu,TaN,Ta等の導電領域を堆積させる工程を採ることができる。
【0045】
ここで、本発明の効果を実証するためにも、具体的な還元処理例を挙げてみる。まず、図1(B),(C) 中に示した試料10としては、シリコン基板11上に100nm厚のシリコン窒化膜を介して100nm厚に金属導電領域12としてのCu薄膜をスパッタにより作成したものを用いた。この試料10を独立した還元処理室22内に搬送しておき、一方で酸素ポンプ30にマス・フロー・コントローラを介してアルゴン・ガスを200sccm導入し、その酸素分圧を1×10-13気圧まで低下させた後に当該ガスを還元処理室22に導入した。還元処理室自体における真空度は1×10-3気圧とした。
【0046】
この条件下でシリコン基板11を400℃にて1分間加熱処理して、Cu薄膜表面の酸化銅の還元を試みた。その結果を調べるため、真空下でX線光電子分光分析装置を備えた真空槽内に試料10を搬送し、光電子スペクトルを取得した所、図3(A) に示す還元処理前の銅スペクトル及び図3(B) に示す酸素スペクトルに対し、図4(A) に示す還元処理後の銅スペクトル及び図4(B) に示す酸素スペクトルが得られ、両者を比較すれば明らかなように、還元処理前に見られたCu薄膜上の酸化物が完全に除去され、清浄な銅が出現することが確認された。また、還元深さを調べた所、Cu薄膜表面から50nm以上の深さ領域まで、還元処理がなされていることも確認できた。これは従来、決して得られなかった、極めて好ましい処理結果である。
【0047】
なお、ここでは還元処理の際に用いた不活性Arガスは真空ポンプにより系外に排出していたが、既述したように、真空ポンプ出口から再び酸素ポンプに使用済みガスを戻して閉ループを形成しても、同様に還元処理が行えることが確認できた。さらに、還元処理の際に処理室の真空ポンプを遮断し、処理室を大気圧のArガスで満たした後に還元処理を行っても、同様に還元処理が行えることを確認した。この場合も、使用済みガスをそのまま系外に放出しても、あるいは再び酸素ポンプに戻して閉ループを形成しても同等の効果が得られた。
【0048】
別な実験として、酸素分圧を1×10-30気圧にまで低下させ、140℃以上に試料10を1分加熱した所、こうした低温であっても、表面の銅酸化物の還元処理が可能であった。ただ、140℃を下回るまでに還元温度を下げると一部銅酸化物が残存した。もっとも、これは熱力学計算結果からも妥当な温度であり、酸素分圧1×10-30気圧下においてはCuOがCuとO2に還元されるのは当該140℃以上であると求められる。
【0049】
さらに、低誘電率絶縁膜の耐熱性や、銅配線の信頼性の観点から鑑みて、多層配線プロセスに許される最大温度と考えて良い約450℃にまで加熱温度を上げた状態で酸素分圧の方を可変した所、1×10-13気圧以下に保てば表面が還元され、それを越えると一部酸化銅が残存した。これもまた、熱力学的に妥当な結果である。
【0050】
一方、金属導電領域12の組成を可変しての実験も行なった。上述した実験では金属導電領域として、Cu100%組成のものを用いたが、Cu中にSi,Al,Ag,W,Mg,B,Be,Zn,P,Pd,Cd,Au,Hg,Pt,Zr,Ti,Sn,Ni,Feをそれぞれ1〜10%添加した銅合金を用意し、酸素分圧1×10-13気圧,還元温度450℃で還元処理した所、いずれの合金試料においても表面の銅酸化物が還元処理された。またCuの代わりに、より比抵抗の小さなAgを用いた場合にも、同様の低酸素分圧下で表面を還元処理することにより、酸化銀を還元処理することができた。
【0051】
以下においては、このように効果的な本発明手法に従い、多層配線を形成した場合の実施形態に就き、製造工程を追って説明する。
【0052】
まず、図5(A) に示すように、シリコン基板11上にあって予めトランジスタ等の素子や素子分離領域(いずれも図示せず)が形成されている層構造51上に、エッチング・ストッパとして比誘電率5のSiCN膜52を堆積した。続いて比誘電率3のSiOC膜を400nm厚に堆積して層間絶縁膜53とした。この層間絶縁膜53上に加工のためのハードマスク54としてSiO膜54を100nm程、堆積した。
【0053】
続いて図5(B) に示すように、公知のフォトリソグラフィとドライエッチング技術により、絶縁膜、配線を形成するための溝55を形成した。
【0054】
その後、Oアッシング技術とウエット剥離技術によりレジストパターンを除去した後に、図5(C) に示すように、高真空下でのスパッタリング法を適用し、Cuの拡散防止膜ともなり、Cuメッキのためのシード層ともなるCu層56を連続的に配線溝55の内壁を覆うように堆積した。
【0055】
この後、図5(D) に示すように、配線溝55を埋め込むように、メッキ法によりCu層57を形成した。
【0056】
次いで、図6(A) に示すように、配線溝55内以外の余剰なCu層部分は、既述したCMP法により除去し、配線57cを一応、形作った。
【0057】
その後、こうした試料を大気中で放置した所、Cu配線57cの最表面にはCuO及びCuOが形成され、酸化されていることが光電子分光法により確認された。そこで、本発明を適用し、1×10-30気圧の超低酸素分圧のArガスが充填された環境下で基板11ごと400℃に加熱する条件で還元処理を3分行った所、表面の銅酸化物が還元されて銅が出現することが光電子分光法により確認された。
【0058】
また、還元温度が上述のように400℃であるならば、Arガスの酸素分圧は1×10-13気圧までであればCuが還元されることが実証された。逆に酸素分圧を1×10-30気圧に保った場合は、基板温度をもっと下げても、少なくとも140℃以上であればCuの還元が行われることが確認された。なお、こうした還元処理は常圧で行ったが、還元反応を減圧下で行っても良い。また、装置から排気したArガスは再び酸素ポンプに戻して循環させたが、既に述べたように、常に排気するようにし、酸素ポンプには戻さないようにしても良い。
【0059】
このようにして、配線57cであるCu表面を還元処理した後、ここで述べている製造例の場合には、図1(B),(C) に示した還元処理室22を真空排気し、ロボット24により真空下で基板11を別の成膜室21-1または21-2に移送してから、図6(B) に示すように、バリア絶縁膜(パッシベーション膜)58として、SiCN膜58をプラズマ励起による化学的気相成長法により、50nm厚に堆積した後、試料を大気中に取り出した。バリア絶縁膜58としては、SiC膜やSiN膜を用いることもできる。
【0060】
なお、上記において基板11の搬送をなすのは真空下ではなくとも低酸素雰囲気下であれば良いし、還元処理されたCu表面を覆うキャップ金属として、Ni,Mo,Co,Wまたはその合金、例えばCoWとかNiMoや、Ni,Mo,Co,Wまたはその合金にPないしBを導入したもの、例えばNiMoPやCoWPを選び、それらを適当なる堆積法で堆積させることも可能である。
【0061】
本発明者はさらに、上述の最終工程において試料を大気中に取り出すのではなく、さらなる積層構造の構築を図る工程も試みた。その一工程例に就き述べると、図6(B) に示した工程において形成されたバリア絶縁膜58をエッチング・ストッパ層58として構成し、その上に図6(C)に示すように、比誘電率3のSiOC層間絶縁膜59を200nm厚に堆積し、さらにその上にSiOハードマスク60を100nmm厚に堆積させた。
【0062】
次に、公知既存の微細加工技術により、当該層間絶縁膜59に深さ200nm、直径100nmのスルー・ホール61を穿ち、その底にエッチング・ストッパ層58の表面を露出させてから、さらにエッチ・バックにより当該エッチング・ストッパ層58をエッチング除去し、図6(D)
に示すように、スルー・ホール61の底に下層のCu配線57cの上部表面を露出させた。
【0063】
こうして露出したCu配線57cの当該表面を清浄化し、形成されることある酸化膜を還元するため、本発明に従い、試料を1×10-30気圧の超低酸素分圧下にて400℃に加熱し、還元処理を3分行った。不活性ガスとしてArガスを用い、還元処理は常圧で行った。また、還元処理装置から排気したArガスは図1(B),(C) に示した酸素ポンプ30に再び戻して循環使用した。
【0064】
還元処理後、図1(B),(C)に示した還元処理室22を再び排気し、ロボット24により真空下で、あるいは既述のように、低酸素雰囲気下で別の成膜室21-1または21-2に基板11を移送し、次いで図7(A) に示すように、既に図5(C) に関する工程で説明したと同様の手順で、スルー・ホール61の内周面と底に20nm厚のTaかTaN,またはTiかTiN、あるいはCuをスパッタリング法により堆積し、その後、図7(B) に示すように、メッキ法で当該スルー・ホール61内をCu層63で充填してから、図7(C) に示すように、余剰なCu層63領域をCMP法で除去し、縦方向配線となるCuプラグ63pを形成した。
【0065】
このような構造を構築する際、従前の方法ではアルゴン・ミリング等により、下地Cu層57cの表面が削られ、その分、スルー・ホール内のCu層63が下地Cu層57cに食いこんでいたが、本出願では、下地Cu層57cを全く削ることなく、高品位のCuプラグ63pを形成することができた。素子平坦性は、特に微細構造において重要な要素となることがある。
【0066】
また、既に述べたように、水素プラズマも用いないので、上部と下部Cu層同士の接合部や、下部Cu層57cとパッシベーション膜58の界面における水素濃度を検出下限値以下に保つことを可能とし、両者の界面における密着力を著しく向上させた。従って、既に製造の終わった半導体装置においても、それが本発明に従ったものであるか否かは、酸化膜が残存せず、清浄な表面となった金属導電領域周辺の残存水素濃度を測ることで判断することができる。
【0067】
本発明に従っての上記のような一連の処理工程を経た後、ビア抵抗を測定した所、図8(A) に示すように、ビア抵抗は未処理時の2.2Ωからおよそ2Ωに低減され、約10%の抵抗低減効果を得た。また、図8(B) に示すように、本発明によると還元処理を行うことによるSiCN層間絶縁膜の比誘電率の上昇は認められず、従前の水素プラズマ処理の場合、同図に併示するように、0.4程度と、かなりな比誘電率劣化(上昇)が認められていることを思うと、本発明の効果は相当に大きい。
【0068】
もちろん、図7(D) に示すように、図7(C) に示されている素子構造上にさらに層間絶縁膜65、ハードマスク66を形成し、既述の手法でスルー・ホール67を開口させ、その中にCu配線68cを形成し、表面をパッシベーション膜69で覆う等して多層構造を得ることができ、さらに、そうした工程を繰り返すことで、要すれば何層にも渡る積層構造を持つ半導体装置を構築することができる。
【0069】
以上の実施形態においては、主としてCu配線に就き述べたが、本発明の適用可能な金属(合金を含む)は配線材料として用いられる多くの金属に適用可能である他、配線だけではなく、例えばトランジスタ作成時に使用する金属においても、本発明に従い1×10-30気圧の酸素分圧下で、Alは1150℃以上、Tiは980℃以上、Co及びおよびNiは400℃以上に加熱することで、同様に表面の酸化物が還元処理されたことを確認した。
【0070】
実際、本発明を適用した半導体装置のトランジスタ能動素子部分では、周辺酸化膜の絶縁破壊を防止できるためもあって、チャージ・アップによる閾値電圧の変動は従前の手法に従った場合に比し、およそ10%、抑えることができた。
【0071】
また、不活性ガス中の酸素分圧を制御、低減する機能装置という意味での酸素ポンプとして、上述の実施形態では図2に示した構造の酸素ポンプ30を用いていたが、もちろん、これに限らず、将来的に開発されるであろう物も含めて、本発明の趣旨に従い、還元処理室に供給する不活性ガスの酸素分圧を少なくとも1×10-13気圧にまで低減し得る酸素ポンプであれば、どのような構造のものも採用可能である。
【0072】
さらに、図5〜7に即しての製造工程例においては、いわゆるダマシン法における基本的な方法、言わばシングル・ダマシン法を採用しているが、もちろん、冒頭に述べたデュアル・ダマシン法での半導体装置製造も考えられ、その際にも本発明は効果的に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の原理と基本的製造装置構成の概略的な説明図である。
【図2】本発明において用い得る酸素ポンプの概略構成図である。
【図3】表面還元処理前の銅層表面における銅及び酸素のスペクトルである。
【図4】本発明に従う還元処理後の銅層表面における銅及び酸素のスペクトルである。
【図5】本発明に従う半導体装置製造工程例の説明図である。
【図6】図5に引き続く、本発明に従う半導体装置製造工程例の説明図である。
【図7】図6に引き続く、本発明に従う半導体装置製造工程例の説明図である。
【図8】本発明に従った場合と従来法に依った場合の銅領域のビア抵抗及び周辺絶縁膜の比誘電率を対比させる説明図である。
【符号の説明】
【0074】
10 試料
11 基板
12 金属導電領域
20 半導体装置製造装置
21-1,21-2 成膜室
22 還元処理室
24 ロボット
30 酸素ポンプ
31 密閉容器
32 固体電解質
51,53,59 層間絶縁膜
57c,68c 銅配線
63p 銅プラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属導電領域を含む半導体装置であって;
該金属導電領域の表面の少なくとも一部が、酸素分圧を1×10-13気圧以下に抑えた不活性ガス中での加熱による還元処理で酸化膜の除去された表面となっていること;
を特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって;
上記金属導電領域はCuであるか、またはSi,Al,Au,W,Mg,Be,Zn,Pd,Cd,Au,Hg,Pt,Zr,Ti,Sn,Ni及びFeから成る群から選択された一つ以上の金属とCuとの合金であること;
を特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置であって;
上記金属導電領域の上記酸化膜の除去された表面には、絶縁膜もしくは他の金属導電領域が接触していること;
を特徴とする半導体装置。
【請求項4】
金属導電領域を含む半導体装置の製造方法であって;
少なくとも酸素分圧を1×10-13気圧以下に抑えた不活性ガス中で該金属導電領域を加熱することにより、該金属導電領域の表面に形成されている酸化膜を還元処理すること;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって;
上記金属導電領域はCuであるか、またはSi,Al,Au,W,Mg,Be,Zn,Pd,Cd,Au,Hg,Pt,Zr,Ti,Sn,Ni及びFeから成る群から選択された一つ以上の金属とCuとの合金であること;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって;
上記金属導電領域はCuまたはその合金であり;
上記加熱温度は、450℃以下とすること;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって;
上記不活性ガスは、Ar,N,He,Ne,Xe及びKrの中から選択されたいずれかのガスであること;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって;
上記還元処理の後に、大気暴露することなく真空下または低酸素雰囲気下で該金属導電領域の表面上にパッシベーション膜を堆積させる工程を含むこと;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置の製造方法であって;
上記パッシベーション膜の材料は、SiC,SiCN,SiNの中から選択されたいずれか一つであること;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項4記載の半導体装置の製造方法であって;
上記還元処理の後に、大気暴露することなく真空下または低酸素雰囲気下で該金属導電領域の表面上に他の導電領域を接触させるように堆積させる工程を含むこと;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置の製造方法であって;
上記他の導電領域の材料は、TaN,Ta,Ti,TiN,Cu,Ni,Mo,Co,Wの中から選択されたいずれか一つまたはその合金であるか、あるいはNi,Mo,Co,Wの中から選択されたいずれか一つまたはその合金にPまたはBを導入した材料であること;
を特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
基板上に形成された金属導電領域を有する試料を収め、不活性ガスの充填された閉空間を形成する還元処理室と;
該還元処理室内の上記不活性ガスの酸素分圧を1×10-13気圧以下にまで低減させ得る酸素ポンプと;
該還元処理室内において上記金属導電領域を加熱し、その表面に形成されている酸化膜を還元処理する加熱手段と;
を有することを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造装置であって;
上記還元処理室は還元処理専用の部屋であること;
を特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項14】
請求項12記載の半導体装置の製造装置であって;
上記還元処理室は他の膜を成膜する成膜室がこれを兼ねていること;
を特徴とする半導体装置の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−216673(P2006−216673A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−26400(P2005−26400)
【出願日】平成17年2月2日(2005.2.2)
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【Fターム(参考)】