説明

半導体装置の製造方法および半導体装置の製造装置

【課題】半導体製造工程の加熱処理プロセスにおいて、輻射率のウェーハ面内のばらつきに起因するウェーハ面内の到達温度のばらつきを抑え、特性のばらつき、劣化を抑えることが可能な半導体装置の製造方法と半導体装置の製造装置を提供する。
【解決手段】ウェーハの輻射率のパターン依存性を検出し、検出された前記輻射率のパターン依存性に基づき、ウェーハの加熱面を決定し、加熱面が決定されたウェーハと、加熱面が決定された他のウェーハのそれぞれ非加熱面が対向するように、ウェーハと他のウェーハを所定間隔離間するように保持し、ウェーハと他のウェーハのそれぞれ前記加熱面を加熱する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体ウェーハの活性化アニール処理に用いられる半導体装置の製造方法および半導体装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化、高性能化に伴い、トランジスタの電流駆動力改善を図るために、ソース・ドレインの拡散層形成のためのアニール工程において、スパイクRTA(Rapid Thermal Annealing)が用いられている。このスパイクRTAによれば、熱源として例えばハロゲンランプなどによる高エネルギーの光をウェーハに照射して、ウェーハを例えば1000℃程度に到達するように、急速昇降温させることができるため、不純物の深さ方向への拡散を抑え、イオン活性化を図ることが可能である。
【0003】
一方、このようなスパイクRTAにより加熱されるウェーハにおいて、積層膜構造や形状が異なるパターンが形成されるなどにより、ウェーハ面内輻射率に大きくばらつきが生じる場合がある。そして、輻射率が低い領域は、ウェーハをアニールする場合、十分に光エネルギーを吸収することができない。例えば、活性化のために1000℃に到達することが必要である場合でも、900℃程度にしか温度上昇せず、不純物の活性化に必要な温度に到達できない。そのため、不純物が十分に活性化せずウェーハ面内に抵抗差が生じたり、トランジスタ性能が劣化するといった問題が生じている。
【0004】
そこで、輻射率分布を有する被処理物を、均一な分布となるように加熱する手法が開示されている(例えば特許文献1など参照)。しかしながら、面内で加熱温度を制御するための制御系が複雑になり、綿密な温度制御が困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開2007−95889号公報([請求項1]、[0042]など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、半導体製造工程の加熱処理プロセスにおいて、輻射率のウェーハ面内のばらつきに起因するウェーハ面内の到達温度のばらつきを抑え、特性のばらつき、劣化を抑えることが可能な半導体装置の製造方法と半導体装置の製造装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、ウェーハの輻射率のパターン依存性を検出し、検出された前記輻射率のパターン依存性に基づき、前記ウェーハの加熱面を決定し、前記加熱面が決定された前記ウェーハと、加熱面が決定された他のウェーハのそれぞれ非加熱面が対向するように、前記ウェーハと前記他のウェーハを所定間隔離間するように保持し、前記ウェーハと前記他のウェーハのそれぞれ前記加熱面を加熱することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、ウェーハを保持し、搬送する搬送機構と、前記ウェーハの面方向の軸を中心に回転させるウェーハ回転機構と、前記ウェーハを保持するウェーハ保持具と、前記ウェーハと離間して加熱する加熱機構を備えることを特徴とする半導体装置の製造装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施態様によれば、半導体製造工程の加熱処理プロセスにおいて、輻射率のウェーハ面内のばらつきに起因するウェーハ面内の到達温度のばらつきを抑え、特性のばらつき、劣化を抑えることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明の実施形態について、図を参照して説明する。
【0010】
(実施形態1)
図1に本実施形態の半導体装置の製造装置の断面図を示す。図に示すように、ウェーハwを回転、搬送するための搬送ユニット10と、ウェーハw、w’をアニール処理するための加熱ユニット20から構成されている。
【0011】
搬送ユニット10には、ゲート11より搬入されたウェーハwを加熱ユニット20に搬送する搬送機構ととともに、ウェーハ面方向の軸を中心に回転させるための回転機構を備える搬送駆動機構12が設けられている。この搬送駆動機構12には、搬送駆動部12aを介してウェーハwまたはウェーハw’を保持するための真空チャックまたは静電チャックを有するウェーハ保持部13が接続されている。
【0012】
このような搬送ユニット10とゲート14を介して接続され、ウェーハw、w’が搬送され、加熱処理される加熱ユニット20には、一対の加熱機構21、22が設置されている。加熱機構21、22は、輻射光源として例えば複数のハロゲンランプ21a、22aを備え、それぞれ800〜1150℃まで100〜250℃/secの昇温レートでウェーハw、w’を加熱することが可能である。
【0013】
上部の加熱機構21の上部および下部の加熱機構22の下部には、ウェーハ温度を測定するための放射温度計23、24が設置されている。そして、放射温度計23、24は、加熱機構21、22と接続された温度制御機構25と接続されている。温度制御機構25においては、放射温度計23、24により測定されたウェーハw、w’の温度に基づき、リアルタイムでハロゲンランプ21a、22aの出力が調整される。そして、加熱機構21、22に挟まれるように、ウェーハw、w’をアニールするための例えば石英からなるチャンバー26が設置されている。
【0014】
チャンバー26は、不活性ガスなどでパージすることが可能であり、その内部には、2枚のウェーハを所定間隔離間させて保持するウェーハ保持具27が設置されている。ウェーハ保持具27は、図2AおよびそのA−A’断面図である図2Bに示すように、ドーナツ状の外周部27aと、この外周部に接続され、ウェーハw、w’を、それぞれその周辺において、例えば3点で最外周より3mm以下で接触するように保持する載置部27bから構成されている。
【0015】
このような半導体装置の製造装置を用いて、以下のようにしてイオン注入されたウェーハwを加熱処理する。
【0016】
装置にウェーハwを導入する前に、予めウェーハwの加熱面を決定する。そのため、先ず、素子形成面(表面)に例えばゲート電極部形成や、素子分離領域形成などによるパターンが存在する場合、輻射率のパターン依存性が強いかどうかを判断する。例えば、加熱処理前の履歴から、ウェーハ表面のパターン内の所定の膜種の面積が所定の値を上回る場合、あるいは、ウェーハ表面における所定の膜種(構造)の被覆率(総面積)が所定の値を上回る場合に、パターン依存性が強いと判断することができる。そして、輻射率のパターン依存性が強い場合、ウェーハwの加熱面を裏面とし、パターン依存性が低い場合、加熱面を表面とする。
【0017】
以下、輻射率のパターン依存性が強く、加熱面を裏面とする場合について説明する。
【0018】
このようにして、加熱面が裏面に決定されたウェーハwを、表面を上面にしてウェーハ保持部13に載置し、裏面をチャックすることにより保持して、搬送駆動部12aにより搬送ユニット10内に搬入する。そして、搬送駆動部12aによりウェーハ面方向を軸に加熱面である裏面が上側になるようにウェーハwを反転させる。
【0019】
反転したウェーハwは、ウェーハ保持部13により裏面(上側)で保持されたまま、搬送駆動部12aにより、ゲート14を通って、加熱ユニット20内のチャンバー26内に搬送される。そして、ウェーハ保持具27の載置部27bの上段に載置される。
【0020】
次いで、同様に加熱面が裏面に決定されたウェーハw’を、ウェーハwと同様に表面を上面にしてウェーハ保持部13に載置し、裏面をチャックすることにより保持して、搬送駆動部12aにより搬送ユニット10内に搬入する。そして、ウェーハw’を反転させることなく、ウェーハ保持部13により裏面(下側)で保持されたまま、同様に搬送駆動部12aにより、ゲート14を通って、加熱ユニット20内のチャンバー26内に搬送される。そして、ウェーハ保持具27の載置部27bの下段に載置される。
【0021】
ウェーハ保持具27により非加熱面(表面)が対向するように保持されたウェーハw、w’は、ゲート14を閉じた後、チャンバー26内に例えばNなどの所定のガスをパージして加熱処理される。この加熱処理において、加熱機構21、22により、石英からなるチャンバー26を介してウェーハw、w’の表面温度がそれぞれ例えば1000℃まで昇温レート100〜250℃/secで昇温させ、1〜2秒保持された後、降温される。このとき、放射温度計23、24により測定されたウェーハw、w’の裏面の温度に基づき、温度制御機構25においてリアルタイムでハロゲンランプ21a、22aの出力が調整される。
【0022】
ウェーハw、w’の加熱処理が完了した後、ゲート14を開け、先ず下側のウェーハw’が搬送駆動部12aを用いてチャンバー26より搬出され、さらに搬送ユニット10を介して搬出される。次いで、上側のウェーハwが搬送駆動部12aを用いてチャンバー26より搬出され、搬送ユニット10中で表面が上側になるように反転された後、搬出される。
【0023】
このようにしてそれぞれ裏面から加熱されたウェーハwにおいて、四端子法によりウェーハ面内位置によるシート抵抗を測定した結果を図3に示す。なお、ウェーハwには、予めBFイオンを注入エネルギー40keV、注入量5.00×1015/cmの条件でイオン注入し、加熱処理における表面到達温度は1080℃とした。そして、ウェーハw表面の一部に輻射率のパターン依存性が高い領域として、400nm厚の輻射率の高いSiO膜を幅20mm被覆させた領域を形成した。また、比較例として、従来の表面から加熱されたウェーハにおいて、同様にしてシート抵抗を測定した結果を併せて示す。
【0024】
図に示すように、比較例においては、SiOの被覆された領域において、輻射熱により表面温度が上昇し、抵抗値が低くなり、被覆されていない領域とのシート抵抗差が30Ω/□程度となった。これに対し、本実施形態によれば、SiOの被覆された領域において、輻射量が大きくなるため、表面温度が低下し、抵抗値が若干高くなるものの、シート抵抗差は3Ω/□程度と、従来の1/10程度まで低減することができた。
【0025】
このようにして輻射率のパターン依存性を判断し、依存性が高いと判断されたウェーハw、w’において、それぞれ裏面から加熱することにより、表面の輻射率のウェーハ面内のばらつきに依存することなく、均一な加熱処理が可能となる。そして、2枚のウェーハを対向させて保持して加熱することにより、それぞれ対向するウェーハからの輻射熱により、裏面からの加熱であっても、高い熱効率で加熱処理することが可能となる。また、2枚のウェーハを同時に加熱処理することができるため、より処理効率を向上させることが可能となる。
【0026】
本実施形態において、履歴により輻射率のパターン依存性を判断したが、予め判断できる手法であれば特に限定されるものではなく、例えば、予め、参照光を照射して測定された反射率や透過率などから輻射率のパターン依存性を判断することができる。
【0027】
また、予めウェーハ表面の位置に対応するパターンの有無、パターン形状を、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサーなどの固体撮像素子を用いて検出し、予め記憶された輻射率のパターン依存性が強いパターンと比較して、これらの相関率が所定値を上回る場合に、パターン依存性が強いと判断することができる。
【0028】
また、本実施形態において、ウェーハw、w’はウェーハ保持具27により最外周の例えば3か所保持されているが、図4AおよびそのB−B’断面図である図4Bに示すように、ウェーハw、w’の裏面に接触するように裏面伝熱用保持具28を設けてもよい。ウェーハの裏面には、酸化膜などの保護膜が形成されているが、特に条件を厳密に制御して形成されたものではないため、その裏面の膜厚、膜構成に依存して輻射率が変動する。そこで、裏面伝熱用保持具28を設けることにより、輻射率の変動によらず、ウェーハ表面の素子領域への加熱量(到達温度)を一定にすることが可能となる。このとき、裏面伝熱用保持具28は、高速昇温でも十分に温度が一定となる厚さであり、ウェーハw、w’を金属汚染しない材料から構成されることが好ましい。
【0029】
たとえば、シリコン板を、輻射光を吸収しやすいシリコンカーバイドやシリコン窒化膜、シリコン酸化膜で被覆したものを用いることができる。具体的には、0.75mm厚のシリコン板を膜厚150nmのシリコン窒化膜で被覆したものを用いることができる。
【0030】
(実施形態2)
図5に本実施形態の半導体装置の製造装置の断面図を示す。本実施形態は実施形態1と同様にウェーハwを回転、搬送するための搬送ユニット30と、ウェーハwをアニール処理するための加熱ユニット40から構成されているが、搬送ユニット30内に、ウェーハの輻射率のパターン依存性を判断するための測定機能を設けた点が異なっている。
【0031】
搬送ユニット30には、搬入されたウェーハwを加熱ユニット40に搬送する搬送機構ととともに、ウェーハ面方向の軸を中心に回転させるための回転機構を備える搬送駆動機構32が設けられている。この搬送駆動機構32には、搬送駆動部32aを介してウェーハwを保持するための真空チャックまたは静電チャックを有するウェーハ保持部33が接続されている。
【0032】
そして、搬送ユニット30の上方には、ウェーハwに参照光を照射するための参照光源35と、その反射光を検知し、反射率を測定するための反射率測定器36が設けられ、下方にはその透過光を検知し、透過率を測定するための透過率測定器37が設けられている。なお、参照光源35の位置は、上方に限定されるものではなく、下方でも側方でもよい。その場合、同じ方向に反射率測定器36が、対向する方向に透過率測定器37が設けられる。
【0033】
これら反射率測定器36、透過率測定器37および搬送駆動機構32は、輻射率分布検出機構を構成し、これらは加熱面が判断される加熱面判断機構38と接続されている。
【0034】
このような搬送ユニット30とゲート34を介して接続され、ウェーハw、w’が搬送され、加熱処理される加熱ユニット40には、実施形態1と同様に、一対の加熱機構41、42が設置されている。加熱機構41、42は、輻射光源として例えば複数のハロゲンランプ41a、42aを備え、それぞれ800〜1150℃まで100〜250℃/secの昇温レートでウェーハw、w’を加熱することが可能である。
【0035】
上部の加熱機構41の上部および下部の加熱機構42の下部には、実施形態1と同様に、ウェーハ温度を測定するための放射温度計43、44が設置されている。そして、放射温度計43、44は、加熱機構41、42と接続された温度制御機構45と接続されている。温度制御機構45においては、実施形態1と同様に、放射温度計43、44により測定されたウェーハw、w’の温度に基づき、リアルタイムにハロゲンランプ41a、42aの出力が調整される。温度制御機構45は、必要に応じて、反射率、透過率の測定結果に基づいた制御を行うために、さらに反射率測定器36、透過率測定器37と直接あるいは加熱面判断機構38を介して接続される。
【0036】
そして、加熱機構41、42に挟まれるように、ウェーハw、w’をアニールするための例えば石英からなるチャンバー46が設置されている。チャンバー46内には、実施形態1と同様に、2枚のウェーハを所定間隔離間させて保持するウェーハ保持具47が設置されている。
【0037】
このような半導体装置の製造装置を用いて、以下のようにしてイオン注入されたウェーハwを加熱処理する。
【0038】
先ず、ウェーハwを、表面を上面にしてウェーハ保持部33に載置し、裏面をチャックすることにより保持して、搬送駆動部32aにより搬送ユニット30内に搬入する。
【0039】
そして、搬入されたウェーハwにおいて、参照光源35よりウェーハw表面の測定ポイントに参照光を照射し、反射率測定器36において反射率を測定するとともに、透過率測定器37により透過率を測定する。そして、搬送駆動部32aによりウェーハwを適宜移動させ、複数の測定ポイントにおいて反射率および透過率を測定する。測定された反射率、透過率と、搬送駆動機構からの位置情報に基づき、輻射率分布を求め、輻射率のばらつきが所定の値を超えた場合、加熱面判断機構38において、輻射率のパターン依存性が高いと判断される。そして、輻射率のパターン依存性が強い場合、ウェーハwの加熱面を裏面とし、パターン依存性が低い場合、加熱面を表面とする。
【0040】
以下、輻射率のパターン依存性が強く、加熱面を裏面とする場合について説明する。
【0041】
加熱面を裏面としたウェーハwを、搬送駆動部32aによりウェーハ面方向を軸に裏面が上側になるよう反転させる。そして、ウェーハ保持部33により裏面(上側)で保持された状態で、ウェーハw表面と同様にしてウェーハw裏面の複数の測定ポイントにおいて反射率および透過率を測定する。
【0042】
裏面の反射率および透過率が測定されたウェーハwは、ウェーハ保持部33により裏面(上側)で保持されたまま、搬送駆動部32aにより、ゲート34を通って、加熱ユニット40内のチャンバー46内に搬送される。そして、ウェーハ保持具47の上段に載置される。
【0043】
次いで、同様に、加熱面が裏面に決定されたウェーハw’の裏面の複数の測定ポイントにおいて反射率および透過率を測定する。そして、ウェーハw’を再度反転させ、ウェーハ保持部33により裏面(下側)で保持し、同様に搬送駆動部32aにより、ゲート34を通って、加熱ユニット40内のチャンバー46内に搬送される。そして、ウェーハ保持具47の下段に載置される。
【0044】
ウェーハ保持具47により非加熱面(表面)が対向するように保持されたウェーハw、w’は、実施形態1と同様に、ゲート34を閉じた後、チャンバー46内に例えばNなどの所定のガスをパージして加熱処理される。この加熱処理において、加熱機構41、42により、石英からなるチャンバー46を介してウェーハw、w’の表面温度がそれぞれ例えば1000℃まで昇温レート100〜250℃/secで昇温させ、1〜2秒保持された後、降温される。
【0045】
このとき、ウェーハw、w’においてそれぞれ測定された放射温度計43、44により測定されたウェーハw、w’の反射率および透過率から得られる輻射率に基づき、設定温度を調整し、さらに、実施形態1と同様に、裏面の温度に基づき、温度制御機構45においてリアルタイムでハロゲンランプ41a、42aの出力が調整される。
【0046】
ウェーハw、w’の加熱処理が完了した後、ゲート34を開け、先ず下側のウェーハw’が搬送駆動部32aを用いてチャンバー46より搬出され、さらに搬送ユニット30を介して搬出される。次いで、上側のウェーハwが搬送駆動部32aを用いてチャンバー46より搬出され、搬送ユニット30中で表面が上側になるように反転された後、搬出される。
【0047】
このようにしてそれぞれ裏面から加熱されたウェーハw、w’において、実施形態1と同様に、表面の輻射率のウェーハ面内のばらつきに依存することなく、均一な加熱処理が可能となる。そして、2枚のウェーハを対向させて保持して加熱することにより、それぞれ対向するウェーハからの輻射熱により、高い熱効率で加熱処理することが可能となる。また、2枚のウェーハを同時に加熱処理することができるため、より処理効率を向上させることが可能となる。
【0048】
また、ウェーハ裏面においては、上述したように、酸化膜などの保護膜が形成されているが、特に条件を厳密に制御して形成されたものではないため、その膜厚、膜構成に依存する輻射率のばらつきがある。そこで、本実施形態のように、ウェーハ裏面の輻射率により裏面加熱のレシピを適宜変動させることにより、ウェーハ表面の素子領域への加熱量(到達温度)を一定にすることが可能となる。
【0049】
なお、ウェーハ裏面の反射率などの測定は、必ずしも行なわなくてもよく、必要に応じて行えばよい。例えば、上述したように、ウェーハw、w’の裏面に接触するように高速昇温でも十分に温度が一定となる厚さの裏面伝熱用保持具を設けることにより、裏面の膜厚、膜構成によらずウェーハ表面の素子領域への加熱量(到達温度)を一定にすることが可能となる。
【0050】
本実施形態において、参照光については特に規定していないが、例えば可視領域、赤外領域における特定波長の反射率、透過率を測定してもよい。また、参照光に複数の波長のものを用い、その反射率、透過率や、反射率スペクトル、透過率スペクトルを測定してもよい。
【0051】
また、本実施形態において、反射率などから輻射率のパターン依存性を判断し、加熱面を決定したが、輻射率のパターン依存性の判断手法はこれらに限定されるものではない。例えば、CCD、CMOSセンサーなどの固体撮像素子などを用いたパターン検出機構を搬送ユニット内に配置することにより、ウェーハ表面の位置に対応するパターンの有無、パターン形状を検出する。そして、検出されたパターンと予め記憶された輻射率のパターン依存性が強いパターンと比較して、これらの相関率が所定値を上回る場合に、パターン依存性が強いと判断することができる。
【0052】
また、本実施形態において、搬送駆動部32aによりウェーハw、w’を移動させて反射率などを測定したが、図6に示すように、ウェーハw、w’を固定し、参照光源35、反射率測定器36、透過率測定器37側に測定器駆動機構39を設けて移動させることにより測定してもよい。このような駆動機構は、上述した固体撮像素子などを用いたパターン検出機構にも同様に設けることが可能である。
【0053】
なお、これら実施形態において、ウェーハの裏面から加熱する例について説明したが、輻射率のパターン依存性が低いウェーハについては、表面から加熱してもよい。この場合、ウェーハ保持具の下段に載置されるウェーハが、表面が下方向となるように反転される。
【0054】
また、これら実施形態の半導体装置の製造装置を用いて、ウェーハを2枚同時に処理しているが、必ずしも2枚を同時に処理する必要はなく、1枚のウェーハを処理することも可能である。このとき、被処理ウェーハと対向するようにダミーウェハを用いることが好ましい。なお、ウェーハを一枚で処理する場合、加熱手段は本実施形態のように必ずしも対向して設ける必要はない。加熱手段を上方あるいは下方のいずれかに設け、決定された加熱面が加熱手段に対向するように、必要に応じて搬送駆動部によりウェーハを反転させた後、ウェーハ保持具に載置して加熱処理してもよい。
【0055】
また、これら実施形態においては、不純物活性化のためのアニールを行う場合を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、輻射光を用いた熱処理であれば、適用することが可能である。例えば、サリサイド形成工程など、より低温、低昇温レートの条件の工程において、適用することが可能である。
【0056】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。その他要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の一態様による半導体装置の製造装置の断面図。
【図2A】本発明の一態様におけるウェーハ保持具を示す図。
【図2B】図2AのA−A’断面図。
【図3】本発明の一態様におけるウェーハ面内位置によるシート抵抗を測定した結果を示す図。
【図4A】本発明の一態様における裏面伝熱用保持具を示す図。
【図4B】図4AのB−B’断面図。
【図5】本発明の一態様による半導体装置の製造装置の断面図。
【図6】本発明の一態様による半導体装置の製造装置の断面図。
【符号の説明】
【0058】
w、w’…ウェーハ
10、30…搬送ユニット
11、14、31、34…ゲート
12、32…搬送駆動機構
12a、32a…搬送駆動部
13、33…ウェーハ保持部
20、40…加熱ユニット
21、41、22、42…加熱機構
21a、22a、41a、42a…ハロゲンランプ
23、24、43、44…放射温度計
25、45…温度制御機構
26、46…チャンバー
27、47…ウェーハ保持具
27a、47a…外周部
27b、47b…載置部
28…裏面伝熱用保持具
35…参照光源
36…反射率測定器
37…透過率測定器
38…加熱面判断機構
39…測定器駆動機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの輻射率のパターン依存性を検出し、
検出された前記輻射率のパターン依存性に基づき、前記ウェーハの加熱面を決定し、
前記加熱面が決定された前記ウェーハと、加熱面が決定された他のウェーハのそれぞれ非加熱面が対向するように、前記ウェーハと前記他のウェーハを所定間隔離間するように保持し、
前記ウェーハと前記他のウェーハのそれぞれ前記加熱面を加熱することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記加熱面は、前記ウェーハと前記他のウェーハの裏面であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
ウェーハを保持し、搬送する搬送機構と、
前記ウェーハの面方向の軸を中心に回転させるウェーハ回転機構と、
前記ウェーハを保持するウェーハ保持具と、
前記ウェーハと離間して加熱する加熱機構を備えることを特徴とする半導体装置の製造装置。
【請求項4】
前記ウェーハ保持具は、2枚のウェーハを所定間隔離間させて保持することができ、
前記加熱機構は、前記ウェーハ保持具を挟んで対向して設けられることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造装置。
【請求項5】
前記ウェーハの面内の輻射率分布を検出する輻射率分布検出機構と、
検出された輻射率分布に基づき加熱面を決定する加熱面判断機構を備えることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の半導体装置の製造装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−10210(P2010−10210A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−164692(P2008−164692)
【出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】