半導体装置の製造方法及び半導体装置
【課題】 エアーギャップ構造を利用したデュアルダマシン構造を有する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 基体上にSi犠牲膜420を堆積し、このSi犠牲膜に下層配線用の溝を形成した後、この配線溝に導電性材料を埋め込み下層配線260とする。この下層配線と前記Si犠牲膜上に多孔質low−k膜280とSi犠牲膜424を順次堆積した後、これらの膜を貫通する開口部と、Si犠牲膜424には上層配線用の溝とを形成し、前記開口部と配線溝に導電性材料を堆積させ上層配線262とする。この後Si犠牲膜420、424をエッチングで除去し、エアーギャップ311,313を形成する。
【解決手段】 基体上にSi犠牲膜420を堆積し、このSi犠牲膜に下層配線用の溝を形成した後、この配線溝に導電性材料を埋め込み下層配線260とする。この下層配線と前記Si犠牲膜上に多孔質low−k膜280とSi犠牲膜424を順次堆積した後、これらの膜を貫通する開口部と、Si犠牲膜424には上層配線用の溝とを形成し、前記開口部と配線溝に導電性材料を堆積させ上層配線262とする。この後Si犠牲膜420、424をエッチングで除去し、エアーギャップ311,313を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法或いは半導体装置に係り、例えば、積層配線の形成方法においてダマシン法を用いて形成される配線間の絶縁構造に特徴を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速性能化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗のCu或いはCu合金(以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。Cu膜はスパッタ法などで薄いシード層を形成した後に電解めっき法により数100nm程度の厚さの積層膜を形成することが一般的である。さらに、多層Cu配線を形成する場合は、特に、デュアルダマシン構造と呼ばれる配線形成方法を用いることもできる。かかる方法では、下層配線上に絶縁膜を堆積し、所定のヴィアホール(孔)及び上層配線用のトレンチ(配線溝)を形成した後に、ヴィアホールとトレンチに配線材料となるCuを同時に埋め込み、さらに、上層の不要なCuをCMPにより除去し平坦化することにより埋め込み配線を形成する。
【0003】
ここで、最近は層間絶縁膜として比誘電率の低い低誘電率材料膜(low−k膜)を用いることが検討されている。すなわち、比誘電率kが、約4.2のシリコン酸化膜(SiO2)膜から比誘電率kが例えば3.5以下のlow−k膜を用いることにより、配線間の寄生容量を低減することが試みられている。例えば、FSG膜が配線間の絶縁材料として用いられているが、膜質の安定性の観点からその低誘電率化には限界があり、比誘電率kの低減化は従来の約4.2から3.3程度までであった。また、比誘電率kが2.5以下のlow−k膜材料の開発も進められており、これらは材料中に空孔が入ったポーラス材料となっているものが多い。これら多孔質の低誘電率材料膜(p−lowk膜)は塗布法或いは化学気相成長(CVD)法により成膜され、膜密度がシリコーンの熱酸化膜と比較して低い。なお、比誘電率kが2.0以下の材料では、加工性や機械的強度特性等の点から適用が困難となっている。
【0004】
そこで、層間絶縁膜の低誘電率化について、上述したp−lowk膜よりもさらに誘電率の低減を図るため、配線間を空洞(Air Gap:エアーギャップ)にする技術の開発が試みられている。例えば、炭素(カーボン)層を形成し、かかる炭素層に配線溝を形成し、配線溝にCuを堆積させ、全面をシリコン酸化膜でふたをして下層配線を形成した後に炭素層を灰化して空洞にする。そして、空洞を形成した後に、さらに多層配線を形成していくとする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
その他、Air Gapを形成する技術として、ヴィアプラグから離れた絶縁膜の一部にAir Gapを形成する技術(例えば、特許文献2参照)や、配線層一層に対し、かかる配線層の絶縁膜領域の一部にシリコン窒化膜で囲まれたAir Gapを形成する技術(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
【0006】
しかしながら、従来下層配線間に空洞を形成した後さらなる多層配線化を試みた場合、下層配線上に形成した絶縁膜に下層配線に対するヴィアホールを開口した場合に、ヴィアホールの位置が下層配線からずれてしまうと、既に下層配線間に形成されたエアーギャップまでヴィアホールが突き抜け、貫通するという問題が発生する。これでは、異常形状となり、寄生容量低減以前に配線形成が不可能となってしまう。すなわち、上述したような下層配線に空洞を形成した後に、さらに多層配線を形成する手法では、下層配線との合わせズレ(Miss alignment)を許容できず、有効的にAir Gap構造を利用できない。特に、デュアルダマシン法のように、下層配線上に形成された絶縁膜にヴィアホールとトレンチを精度よく微細加工する場合は、ヴィアホールを加工するだけの場合より加工深さが深くなりさらに難しくなる。
【0007】
また、配線層一層について考察した場合においても、配線層の絶縁膜領域の一部にシリコン窒化膜で囲まれたAir Gapを形成する技術では、Air Gapが形成される領域が、配線層の絶縁膜領域の一部であり、さらに、Air Gapを形成しても誘電率の高いシリコン窒化膜で囲んでしまうため、寄生容量低減を十分に図ることが困難となる。
【特許文献1】特開平9−237831号公報
【特許文献2】特開2004−153280号公報
【特許文献3】特開2003−60032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような従来の問題点を克服し、有効的にAir Gap構造を利用した半導体装置の製造方法或いは半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、
基体上に第1の薄膜を形成する第1の薄膜形成工程と、
前記第1の薄膜に第1の開口部を形成する第1の開口部形成工程と、
前記第1の開口部に導電性材料を堆積させる第1の導電性材料堆積工程と、
前記導電性材料が前記第1の開口部に堆積した前記第1の薄膜上に多孔質材料からなる第2の薄膜を形成する第2の薄膜形成工程と、
前記第2の薄膜に前記第2の薄膜を貫通する第2の開口部を形成する第2の開口部形成工程と、
前記第2の開口部に導電性材料を堆積させる第2の導電性材料堆積工程と、
前記第2の導電性材料堆積工程の後に前記第2の薄膜における孔を介して前記第1の薄膜を除去する薄膜除去工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様の半導体装置の製造方法は、
基体上に複数の配線が犠牲膜内に埋め込まれてなる第1の配線層を形成し、
前記第1の配線層上に前記配線に接続するヴィアプラグを有する第2の配線層を形成し、
前記第2の配線層を形成した後に前記第1の配線層の配線間の前記犠牲膜を除去して空洞を形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様の半導体装置は、
隣接する配線間に空洞が形成された複数の配線と、
前記複数の配線の各配線の側面に配置され、少なくとも1部分で前記空洞側に突き出たつば部を有する補強膜と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のような上層配線形成時の合わせズレによるエアーギャップ(空洞)への突き抜けを防止することができる。言い換えれば、上層配線の導電性材料が下層配線間に形成された空洞にまで入り込むことを防止しながら多層配線を形成することが可能となる。そして、前記空洞を維持することができるので、誘電率の低減を図ることができ、有効的にAir Gap構造を利用した半導体装置を製造することができる。また、空洞側に突き出たつば部を有する補強膜を配線の側面に配置することにより誘電率の上昇を抑えながら配線の機械的強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
下層配線層にエアーギャップを形成することで寄生容量の低減を行うデュアルダマシン構造の場合、特に、上層の寄生容量を低減するために、上層においてlow−k膜材料を用いて下層配線上の絶縁膜を形成し、この絶縁膜にヴィアホール加工を行うことが望まれるが、かかるlow−k膜材料への微細で高精度な加工は困難である。従来技術では、エアーギャップ化についても単層配線ごとにエアーギャップ化を行うため、上述したような下層配線との合わせズレ(Miss alignment)を許容できないなどの問題があり、有効的にAir Gap構造を利用できなかった。以下、実施の形態1では、下層配線パターンの形成にシリコーン(Si)を用いてパターン形成を行い、パターン形成後に、酸化処理(Si→SiO2化)を行うことで側壁を改質(酸化)する。そして、下層配線上の絶縁膜には、ポーラス(空孔)材料を適用することによってデュアルダマシン構造形成(金属配線)後に、その空孔を通して、下層Si層を除去する半導体装置の製造方法について説明する。従来の問題点となっていた合わせズレ部分については、接続孔(ヴィアホール)加工時点ではSiおよびSiの改質層が存在するため、突き抜けることはない。そして、配線構造を形成後にAir Gapを形成するため、デュアルダマシン構造でもAir Gap構造が適用可能となる。
【0014】
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
図1において、本実施の形態では、SiO2膜を形成するSiO2膜形成工程(S102)と、下層配線層形成工程として、下層配線用の開口部の設けられるシリコーン(Si)犠牲膜の薄膜を形成するSi犠牲膜形成工程(S104)、カーボン(C)膜を形成するC膜形成工程(S106)、SOG(Spin on Glass)膜を形成するSOG膜形成工程(S108)、開口部を形成する開口部形成工程(S110)、改質膜を形成する熱処理工程(S112)、導電性材料を堆積させる導電性材料堆積工程として、バリアメタル(BM)膜形成工程(S114)、シード膜形成工程(S116)、めっき工程及びアニール工程(S118)と、平坦化工程(S120)、コバルトタングステン(CoW)膜を形成するCoW膜形成工程(S122)と、ヴィアプラグ・上層配線層形成工程として、ヴィアプラグを絶縁する絶縁膜となる多孔質の絶縁性材料からなるp−lowk膜の薄膜を形成するp−lowk膜形成工程(S124)、上層配線用の開口部の設けられるSi犠牲膜の薄膜を形成するSi犠牲膜形成工程(S126)、カーボン(C)膜を形成するC膜形成工程(S128)、SOG膜を形成するSOG膜形成工程(S130)、開口部を形成する開口部形成工程(S132)、改質膜を形成する熱処理工程(S134)、導電性材料を堆積させる導電性材料堆積工程として、バリアメタル膜形成工程(S136)、シード膜形成工程(S138)、めっき工程及びアニール工程(S140)と、平坦化工程(S142)、コバルトタングステン(CoW)膜を形成するCoW膜形成工程(S144)と、さらに上層の絶縁膜となる多孔質の絶縁性材料からなるp−lowk膜を形成するp−lowk膜形成工程(S146)と、Si犠牲膜を除去する薄膜除去工程或いは空洞形成工程としてのエッチング工程(S148)と、充填工程(S150)という一連の工程を実施する。
【0015】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図2では、図1のSiO2膜形成工程(S102)からSOG膜形成工程(S108)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0016】
図2(a)において、SiO2膜形成工程として、基体200上にCVD法によって、例えば、膜厚500nmの下地SiO2膜を堆積し、SiO2膜210を形成する。ここでは、CVD法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。基体200として、例えば、直径300ミリのシリコーンウェハを用いる。ここでは、デバイス部分の図示を省略している。そして、SiO2膜210中に、金属配線またはコンタクトプラグ等、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有する層が形成されているものとしても構わない。或いは、その他の層が形成されていても構わない。
【0017】
図2(b)において、Si犠牲膜形成工程として、下地SiO2膜上に、スパッタ法により、例えば、膜厚250nmのSi犠牲膜となるSi膜420を形成する。ここでは、スパッタ法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。Si膜420は、後述するように最終的には除去され、Si膜420が形成されていた領域はエアーギャップ(空洞)となる。例えば、スパッタ法によるSi膜420の成膜を行なう場合、装置として、並行平板型MERIE装置を用い、プロセス条件として、アルゴン(Ar)を0.84Pa・m3/s(500sccm)、チャンバ内圧力を1.33Pa(10mTorr)、基板温度を20℃、プラズマ放電電力を2000Wとして、SiターゲットにArイオンをぶつけてSiを叩き出し堆積させる。例えば、堆積速度100nm/minにて形成する。Si膜420の膜厚は250〜300nmが望ましい。犠牲膜として、Si膜を用いることで、後工程においてSi膜を除去する際、O2を用いないで除去することができるため、後述するSi−C結合をもつp−lowk膜にダメージを与えないようにすることができる。
【0018】
図2(c)において、C膜形成工程として、Si膜420上に、塗布法によりC膜430を形成する。C膜430は、後述するようにSi膜420にパターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0019】
図2(d)において、SOG膜形成工程として、C膜430上に、SOG法によりSOG膜440を例えば45nmに形成する。SOG膜440は、後述するように、C膜430と共にSi膜420にパターン開口を形成する際のマスクとなる。SOG膜440の材料としては、シリコーン骨格を有するものが望ましい。例えば、ジメチルシロキサン、ハイドロジェンシルセスキオキサン等が望ましい。また、SOG膜440の膜厚は、後述するレジスト膜との関係上45nm以下が望ましい。
【0020】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図3では、図1の開口部形成工程(S110)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0021】
図3(a)において、リソグラフィ工程として、SOG膜440上にレジスト膜450を形成した後、下層配線パターンを露光転写する。ここでは、露光転写され、現像された後に形成されたレジストパターンを示している。
【0022】
図3(b)において、SOG膜およびC膜エッチング工程として、レジスト膜450をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSOG膜440とその下のC膜430とをエッチングする。C膜430をエッチングする際、レジスト膜450も同時にエッチング除去する。
【0023】
図3(c)において、Si膜エッチング工程として、下層配線パターンが形成されたC膜430をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSi膜420をエッチングする。例えば、装置は、誘電結合型RIE装置を用い、エッチングガスとして、ホウ化水素(HBr)を0.25Pa・m3/s(150sccm)、塩素(Cl2)を0.05Pa・m3/s(30sccm)、酸素(O2)を0.017Pa・m3/s(10sccm)供給する。チャンバ内圧力を0.53Pa(4mTorr)、基板温度を50℃、プラズマ放電電力を500W、基板バイアス電力量を70Wとして、シリコーンのエッチング速度200nm/min、酸化膜のエッチング速度10nm/minにてエッチングする。Si膜420をエッチングする際に、C膜430上のシリコーン骨格を有するSOG膜440も一緒にエッチングすることができる。ここで、Si膜420をエッチングすることにより、Si膜420に下層配線溝となる開口部(第1の開口部)150を形成することができる。C膜430上のSOG膜440のエッチングは、別に行なってももちろん構わない。
【0024】
以上のように、ここでは、C膜430及びSOG膜440を用いて、Si膜420に開口部150を形成する多層マスクプロセスの一例としてのSMAP(Stack Mask Process)法を用いる。レジストを直接マスクとして、被加工膜となるSi膜420を加工する場合、微細化に伴い焦点深度が浅くなり、加工に必要なレジストの厚さを厚くする必要が生じることがあるが、SMAP法を用いることにより、レジスト膜450の膜厚を薄くすることができる。ただし、SMAP法を用いることがより望ましいが、レジストを直接マスクとして、被加工膜となるSi膜420を加工する手法を排除するものではない。また、SOG膜440を成膜しないで、パターン転写する方法として、露光および現像するレジスト膜450そのものに、シリコーンまたはシリコーンを含有する材料を適用しても好適である。
【0025】
図4は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図4では、図1の熱処理工程(S112)からめっき工程及びアニール工程(S118)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0026】
図4(a)において、改質層形成工程の一例である熱処理工程として、マスクとして用いたC膜430を剥離すると同時に配線パターンが形成されたSi膜420表面に酸化膜となるSiO2膜422を形成する。熱処理工程としては、アッシングを行なえばよい。例えば、装置として、並行平板型RIE装置を用い、プロセス条件として、酸素(O2)を0.84Pa・m3/s(500sccm)、チャンバ内圧力を1.33Pa(10mTorr)、基板温度を20℃、プラズマ放電電力を2000Wとして、アッシング速度を500nm/minとする。
Si膜420表面およびSi膜420に形成された開口部の内壁面を改質してSiO2膜422の薄膜部を形成することにより、後述するように、改質膜であるSiO2膜422が配線の側面に位置することになる。配線の側面に改質膜が形成されることにより、配線の補強膜として、電気的特性(EM:エレクトロマイグレーション耐性/SM:ストレスマイグレーション耐性)と機械的強度を向上させることができる。ここで、SiO2膜422の膜厚は、配線の間隔の10%以下が望ましい。例えば、配線のピッチを100nm(配線の間隔を50nm)とすると、その内の10%以下、すなわち5nm以下が望ましい。機械的強度、電気的信頼性の観点からは厚い酸化膜のほうが望ましい。しかし、比誘電率kが1付近のAir Gapの適用による低誘電率化のためには、比誘電率kが4付近の酸化膜が存在することは、デバイス特性上不利となる。そこで、配線の間隔の10%以下とすることで、デバイス特性の劣化を許容することができる。
【0027】
図4(b)において、バリアメタル膜形成工程として、前記開口部形成工程により形成された開口部150及びSiO2膜422表面にバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜240を形成する。物理気相成長法(physical vapor deposition:PVD)法の1つであるスパッタ法を用いるスパッタリング装置内で、例えば、タンタル(Ta)膜を膜厚10nm堆積してバリアメタル膜240を形成する。Ta膜により配線材料となるCuの密着性向上を図ることができる。また、例えば、窒化タンタル(TaN)を膜厚5nm、タンタル(Ta)膜を膜厚5nm堆積し、バリアメタル膜240を形成するように構成しても好適である。TaN膜とTa膜とを積層することで、TaN膜によりCuの拡散防止を図り、Ta膜によりCuの密着性向上を図ることができる。ここで、バリアメタル材料の堆積方法としては、例えば、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD法、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD法)やCVD法などを用いることもできる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。
【0028】
図4(c)において、シード膜形成工程として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜250としてバリアメタル膜240が形成された開口部150内壁及び基体200表面に堆積(形成)させる。例えば、シード膜250を膜厚75nm堆積させる。
【0029】
図4(d)において、めっき工程として、シード膜250をカソード極として、電解めっき等の電気化学成長によりCu膜260を開口部150及び基体200表面に堆積させる。例えば、膜厚500nmのCu膜260を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を250℃の温度で30分間行なう。埋め込み漏れを防止するためにも、膜厚は、開口部の深さの2倍以上とすることが望ましい。
【0030】
図5は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図5では、図1の平坦化工程(S120)からC膜形成工程(S128)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0031】
図5(a)において、平坦化工程として、CMP法によってSi膜420の表面に堆積された導電部としての配線層となるCu膜260、シード膜250、バリアメタル膜240、及び改質膜となるSiO2膜422を研磨除去することにより、図5(a)に表したような埋め込み構造を形成する。
【0032】
図5(b)において、CoW膜形成工程として、Cu膜260上に選択的にCoW膜460を形成する。例えば、露出したCu膜260表面をCu酸化工程として酸化させた後、Cu膜260表面の酸化層をコバルト(Co)と置換することによって、CoW膜460を選択成長させる。ここでは、例えば、Cu配線側に3nm、上層側に7nmで、合計10nm程度のCoW膜460を形成する。Cu膜260表面をCuの酸化工程を追加して掘り下げないで、CMP後の自然酸化膜を置換膜として使用することも好適である。CoW膜460を露出したCu膜260表面上に選択成長させることで、Cuの拡散を防止することができる。ここで、Cuの拡散防止膜としては、低誘電率化の観点からはCoW膜が望ましいが、シリコン窒化膜(SiN)、シリコンカーバイド(SiC)等を用いても構わない。ただし、シリコン窒化膜やシリコンカーバイド等の絶縁性材料をCuの拡散防止膜に用いた場合、Cu膜260に対するヴィアホールを開口した際に、ヴィアホール底面の拡散防止膜を除去する必要が生じる。
【0033】
図5(c)において、p−lowk膜形成工程として、Si膜420表面上及びCoW膜460でキャップされたCu膜260上に、多孔質の絶縁性材料を用いたp−lowk膜280を形成する。p−lowk膜280を形成することで、比誘電率kが3.5よりも低い層間絶縁膜を得ることができる。p−lowk膜280は、上層配線と下層配線とを接続するヴィアプラグを絶縁する絶縁膜となる。よって、その膜厚は、ヴィアプラグとして求められる膜厚とすればよい。また、p−lowk膜280の材料としては、ここでは、例えば、多孔質の炭素含有シリコーン(SiOC)を用いる。また、その形成方法としては、例えば、Si−CH3結合を有する原料ガスを用いて、減圧CVD装置を用いたCVD法により成膜する。例えば、Si−R(Rは有機基)、CO2等の酸素源を用いて成膜すればよい。酸素(O)を成分に持つSi−R原料を用いても良い。成膜温度は、0〜400℃が望ましい。成膜圧力は、13.3Pa(0.1Torr)〜1.33×103Pa(10Torr)が望ましい。原料ガスや形成条件などを適宜調節することにより、所定の物性値を有する多孔質の絶縁膜が得られる。
【0034】
また、p−lowk膜280の材料としては、CVD法を用いて形成したシリコーン骨格を有するメチルシロキサンであるSiOCに限らず、例えば、SOD(spin on dielectic coating)法を用いた多孔質のメチルシロキサン(MSQ)やハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)や有機ポリマー(メチルシロキサン、ジメチルシロキサン)等を用いても好適である。例えば、MSQの形成方法としては、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD法を用いて、スピナーの回転数は900min−1(900rpm)で成膜する。そして、このウェハをホットプレート上で窒素雰囲気中250℃の温度でベークを行い、最終的にホットプレート上で窒素雰囲気中450℃の温度で10分間のキュアを行なう。MSQの材料や形成条件などを適宜調節することにより、所定の物性値を有する多孔質の絶縁膜が得られる。
【0035】
ここで、後述するように、Si膜420をエッチングガスによりガス化した後、p−lowk膜280のポーラス(孔)を通じて除去するため、ポア径として、3.12Å以上に形成することが望ましい。より好ましくは4Å以上に形成することが望ましい。また、ポーラスが外部に通じたオープンポアになるように形成する。
【0036】
図5(d)において、薄膜形成工程の一例であるSi犠牲膜形成工程として、p−lowk膜280上に、スパッタ法により、例えば、膜厚250nmのSi犠牲膜となるSi膜424を形成する。ここでは、スパッタ法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。Si膜424も、Si膜420と同様、後述するように最終的には除去され、Si膜424が形成されていた領域は上層配線層におけるエアーギャップ(空洞)となる。製法は、Si膜420と同様で構わないため説明を省略する。
【0037】
そして、C膜形成工程として、Si膜424上に、塗布法によりC膜432を形成する。C膜432は、後述するようにSi膜424にヴィアパターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0038】
図6は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図6では、図1のSOG膜形成工程(S130)から開口部形成工程(S132)の途中までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0039】
図6(a)において、SOG膜形成工程として、C膜432上に、SOG法によりSOG膜442を形成する。SOG膜442は、後述するように、C膜432と共にSi膜424にヴィアパターン開口を形成する際のマスクとなる。SOG膜442の材料としては、SOG膜440と同様、シリコーン骨格を有するものが望ましい。
【0040】
図6(b)において、リソグラフィ工程として、SOG膜442上にレジスト膜452を形成した後、ヴィアパターンを露光転写する。ここでは、露光転写され、現像された後に形成された開口部152が形成されたレジストパターンを示している。
【0041】
図6(c)において、SOG膜およびC膜エッチング工程として、レジスト膜452をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSOG膜442とその下のC膜432とをエッチングする。C膜432をエッチングする際、レジスト膜452も同時にエッチング除去する。
【0042】
図7は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図7では、図1の開口部形成工程(S132)の途中までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0043】
図7(a)において、Si膜エッチング工程として、ヴィアパターンが形成されたC膜432をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSi膜424をエッチングする。Si膜424をエッチングする際に、C膜432上のSOG膜442も一緒にエッチングすることができる。ここで、Si膜424をエッチングすることにより、Si膜424にヴィアホール(孔)となる開口部152を形成することができる。そして、Si膜424の下に露出したp−lowk膜280をエッチングした後、C膜432を剥離(除去)する。従来の問題点となっていた合わせズレ部分については、接続孔(ヴィアホール)加工時点ではSi膜420が存在するため、突き抜けて貫通することを防止することができる。
【0044】
ここでも下層配線用溝を形成する場合と同様、C膜432及びSOG膜442を用いて、Si膜424及びp−lowk膜280に開口部(第2の開口部)152を形成する多層マスクプロセスの一例としてのSMAP法を用いると好適である。その他、下層配線用溝を形成する場合と同様で構わないため説明を省略する。
【0045】
図7(b)において、C膜形成工程として、Si膜424上に、塗布法によりC膜434を形成する。C膜434は、後述するようにSi膜424に上層配線パターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0046】
そして、SOG膜形成工程として、C膜434上に、SOG法によりSOG膜444を形成する。SOG膜444は、後述するように、C膜434と共にSi膜424に上層配線パターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0047】
そして、リソグラフィ工程として、SOG膜444上にレジスト膜454を形成した後、上層配線パターンを露光転写する。ここでは、露光転写され、現像された後に形成された開口部154が形成されたレジストパターンを示している。
【0048】
図8は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図8では、図1の開口部形成工程(S132)から熱処理工程(S134)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0049】
図8(a)において、SOG膜およびC膜エッチング工程として、レジスト膜454をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSOG膜444とその下のC膜434とをエッチングする。C膜434をエッチングする際、レジスト膜454も同時にエッチング除去する。ここでは、ヴィアホール底にC膜434が残るようにエッチングする。ヴィアホール底にC膜434を残すことにより、次の工程となるSi膜エッチング工程の際、露出した下層配線層のSi膜420までエッチングされてしまうことを防止することができる。また、上層配線層のSi膜424の下面より深くC膜434をエッチングすることで、次工程となるSi膜エッチング工程の際、Si膜424の加工への影響を排除することができる。その結果、Si膜424の加工形状を向上させることができる。
【0050】
図8(b)において、Si膜エッチング工程として、上層配線パターンが形成されたC膜434をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSi膜424をエッチングする。Si膜424をエッチングする際に、C膜434上のSOG膜444も一緒にエッチングすることができる。ここで、Si膜424をエッチングすることにより、Si膜424に上層配線用溝となる開口部154を形成することができる。
【0051】
図8(c)において、改質層形成工程の一例である熱処理工程として、マスクとして用いたC膜434を剥離すると同時に配線パターンが形成されたSi膜424表面、開口部154の壁面に酸化膜となるSiO2膜426の薄膜部を形成する。そして、同時に露出したSi膜420表面にも酸化膜となるSiO2膜423の薄膜部を形成する。熱処理工程としては、SiO2膜422を形成する場合と同様、アッシングを行なえばよい。
Si膜424表面及び開口部154の壁面を改質してSiO2膜426を形成することにより、後述するように、改質膜であるSiO2膜426が配線の側面に位置することになる。配線の側面に改質膜が形成されることにより、配線の補強膜として、電気的特性(EM:エレクトロマイグレーション耐性/SM:ストレスマイグレーション耐性)と機械的強度を向上させることができる。ここでは、SiO2膜422と同様、SiO2膜426の膜厚は、配線の間隔の10%以下が望ましい。例えば、配線のピッチを100nm(配線の間隔を50nm)とすると、その内の10%以下、すなわち5nm以下が望ましい。
【0052】
さらに、開口部形成により露出した、最終的にヴィアプラグの下部に位置することになるSi膜420表面にも、バリアメタル240の側面に形成されたSiO2膜422上部から一体に続く、最終的にエアーギャップ側に突き出た形状のつば部となるSiO2膜423を形成することで、バリアメタル240の側面に形成されたSiO2膜422をさらに強固なものとすることができる。よって、配線の補強膜として、より機械的強度を向上させることができる。また、最終的に配線間のエアーギャップとなる領域の上部全体にSiO2膜423を形成するのではなく、本実施の形態のように、その一部分をつば状に形成することで、配線の補強をしながらも必要以上の誘電率の上昇を防ぐことができる。
【0053】
図9は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図9では、図1のバリアメタル膜形成工程(S136)から平坦化工程(S142)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0054】
図9(a)において、バリアメタル膜形成工程として、前記開口部形成工程により形成された開口部152、開口部154及びSiO2膜426表面にバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜242を形成する。バリアメタル膜240を形成する場合と同様、スパッタ法を用いて、例えば、タンタル(Ta)膜を膜厚10nm堆積してバリアメタル膜242を形成する。その他、バリアメタル膜240を形成する場合と同様で構わないため省略する。
【0055】
そして、シード膜形成工程として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜252としてバリアメタル膜242が形成された開口部152内壁、開口部154内壁及び基体200表面に堆積(形成)させる。
【0056】
図9(b)において、めっき工程として、シード膜252をカソード極として、電解めっき等の電気化学成長によりCu膜262を開口部152、開口部154及び基体200表面に堆積させる。例えば、膜厚500nmのCu膜262を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を250℃の温度で30分間行なう。
【0057】
図9(c)において、平坦化工程として、CMP法によってSi膜424の表面に堆積された導電部としての配線層となるCu膜262、シード膜252、バリアメタル膜242、及びSiO2膜426を研磨除去することにより、図9(c)に表したような埋め込み構造を形成する。
【0058】
図10は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図10では、図1のCoW膜形成工程(S144)からエッチング工程(S148)までを示している。
【0059】
図10(a)において、CoW膜形成工程として、Cu膜262上に選択的にCoW膜462を形成する。CoW膜460と同様、露出したCu膜262表面を酸化させた後、Cu膜262表面の酸化層をコバルト(Co)と置換することによって、CoW膜462を選択成長させる。ここでは、CoW膜460と同様、例えば、Cu配線側に3nm、上層側に7nmで、合計10nm程度のCoW膜462を形成する。CoW膜462を露出したCu膜262表面上に選択成長させることで、Cuの拡散を防止することができることは上述した通りである。その他、CoW膜460を形成する場合と同様で構わないため説明を省略する。
【0060】
図10(b)において、p−lowk膜形成工程として、Si膜424表面上及びCoW膜462でキャップされたCu膜262上に、多孔質の絶縁性材料を用いたp−lowk膜282を形成する。p−lowk膜282を形成することで、例えば、比誘電率kが3.5よりも低い層間絶縁膜を得ることができる。p−lowk膜282は、上層配線のさらに上層のヴィアプラグを絶縁する絶縁膜となる。その他は、p−lowk膜280を形成する場合と同様で構わないため説明を省略する。
【0061】
図10(c)において、空洞形成工程の一例となるエッチング工程として、Si膜420とSi膜424とをエッチングして除去し、エアーギャップ311とエアーギャップ313とを形成する。Si膜420とSi膜424との除去は、ケミカルドライエッチング(CDE)法により、p−lowk膜282とp−lowk膜280のポア(ポーラス)を通して行うことが可能であり、多層配線形成後に空洞、すなわちAir Gapを形成することができる。一例として、エッチングガスとしてフッ素を含有する気体であるフッ化キセノン(XeF2)を使用する。
【0062】
図11は、エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
チャンバ300の内部にて、温度が60℃に制御された基板ホルダ310の上に基体100となる半導体基板を設置する。そして、バルブV2が閉じた状態で、バルブV1を開けて真空ポンプ330によりチャンバ300内が1.33×10−5Pa(1×10−7Torr)の圧力になるように真空引きする。一方、バルブV2が閉じた状態で、バルブV3を開けて容器に入った常温の固体のXeF2を昇華させたガスをバッファチャンバ302の容積分充満させる。そして、バルブV1とバルブV3とが閉じた状態で、バルブV2を開けてバッファチャンバ302内からXeF2ガスを差圧によりチャンバ300内に導入させる。そして、XeF2ガスをエッチングガスとしてSi膜420とSi膜424との除去を行なう。
【0063】
図12は、エッチング装置のバルブ開閉フローを示す図である。
真空ポンプ330によりチャンバ300内が1.33×10−5Pa(1×10−7Torr)の圧力になるように真空引きする間、バルブV2が閉じた状態で、バルブV1を開ける。一方、容器に入った固体のXeF2を昇華させたガスをバッファチャンバ302の容積分充満させる間、バルブV2が閉じた状態で、バルブV3を開ける。そして、バルブV1とバルブV3とを閉じて、バルブV2を開け、バッファチャンバ302内からXeF2ガスを差圧によりチャンバ300内に導入させる。チャンバ300内の圧力とバッファチャンバ302内の圧力とが同等になった状態で1サイクルを終了する。かかるサイクルを基板の大きさ、言い換えれば、エッチングされるSi膜420とSi膜424との体積に応じて複数回繰り返す。例えば、1Lのバッファチャンバ302と20Lのチャンバ300を用いて、直径300ミリのシリコーンウェハ上の2層を空洞にする場合、上述したフローを16サイクル行なう。
【0064】
図13は、エッチング作用を説明するための図である。
図13(a)では、エッチングガスとしてのXeF2が、多孔質材料のp−lowk膜の表面に吸着した様子を示している。XeF2が表面に吸着するとXe分子とF2分子とに分かれる。そして、図13(b)に示すように、F2分子中のFが、エッチングガスとして多孔質材料のp−lowk膜のポア(ポーラス)を透過して下部にある薄膜のSi犠牲膜に向かう。そして、図13(c)に示すように、エッチングガスは、Si犠牲膜表面に到達し、表面から周囲に広がってSi犠牲膜をエッチングする。エッチングされてガス化した分子(SiFx:例えば、SiF4)が、またp−lowk膜のポア(ポーラス)を透過して外部に除去される。ガス化した分子(SiFx)が外部に除去されることにより、その空間にエアーギャップを形成することができる。そして、改質膜であるSiO2膜を残して、図13(d)に示すように、Si犠牲膜全体をエッチングすることによりその空間にエアーギャップを形成することができる。
【0065】
図14は、ガス化した分子のサイズを示す概念図である。
エッチングガスによりSi犠牲膜全体をエッチングした際に生じたガス化した分子は、p−lowk膜のポア(ポーラス)を透過して外部に除去されることから、ガス化した分子サイズより大きいポア径のp−lowk膜を成膜する。例えば、XeF2とSiが反応することによりSiF4が形成されることを想定すると、図14(a)に示すように、Si−Fの分子サイズが1.56Åとなり、SiF4の分子サイズは、収縮によりSi−Fの分子サイズの2倍の3.12Åよりは小さくなる。よって、図14(b)に示すように、p−lowk膜のポア径としては、3.12Å以上のポア径であればよい。また、p−lowk膜のポア(ポーラス)を行き来するため、外部に開口したオープンポアのp−lowk膜を形成することになる。したがって、p−lowk膜のポア径として、4Å以上が望ましい。
【0066】
図15は、p−lowk膜のポア径とポア数との関係を示す概念図である。
p−lowk膜を形成する場合、ポア径を一律に形成することは難しい。そこで、目標となるポア径(ここでは、4Å)のポア数が最大となるような分布にポアを形成することが望ましい。もちろん、機械的強度が許せば、目標サイズをもっと高めに設定しても構わない。ポア径は、例えば、ポア(空孔)を生成するための材料を添加することで制御するか、或いは分子量(分子の大きさ)により制御すればよい。
具体的には、ポア生成用の材料を添加する手法では、例えば、m−DEOS(methyl−di−ethoxy−silane)とATRP(alpha−terpinene)と酸素との混合ガスを用いて、CVD法によりp−lowk膜を成膜する。m−DEOSと酸素によりシリコーン骨格を形成することができる。また、ATRPによってポロジェン(porogen)を生成する。この段階ではまだポアが生成していないが、その後処理として、EB(電子ビーム)或いはUV(紫外線)キュアによってp−lowk膜内部のATRPが消失することでポアを生成させることができる。よって、ポロジェンの種類によりポア径を制御すればよい。また、プロセスガスの混合比率、EB/UV処理により空孔率を制御することができる。
或いは、分子量により制御する手法では、分子量(分子の半径)が異なる2種類以上の材料を混合し、塗布法により塗布した後、焼成することによりp−lowk膜を成膜する。よって、塗布材料を選択することによりポア径を制御すればよい。
【0067】
ここで、結合エネルギーが3.39eVの(Si−Si)骨格を主成分とするSi犠牲膜となるSi膜や結合エネルギーが5.73eVの(Si−F)骨格を主成分とするガス化した分子(SiFx)に対し、p−lowk膜は、結合エネルギーが8.29eVの(Si−O)骨格を主成分とするため、エッチングされずに残すことができる。よって、p−lowk膜のポア(ポーラス)を利用してSi犠牲膜となるSi膜を選択的に除去することができる。
【0068】
さらに、エッチングガスとしては、放電を伴わないものとして、F2、放電による乖離を必要とするものとして、CF4、SF6、Cl2、HClなどを用いても好適である。また、放電による乖離を必要とする場合は、ダウンフロー処理が望ましい。
【0069】
図16は、エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
真空ポンプ530により13.3Pa(100mTorr)〜26.6Pa(200mTorr)のチャンバ内圧力になるように真空引きされたチャンバ500の内部にて、基板ホルダ510の上に基体100となる半導体基板を設置する。そして、基体100からは見かけ上見えない位置にある放電管502で生成されたプラズマによりエッチングガスである例えばCF4を乖離させ、方向性を持たない活性種のフッ素ラジカル(F*)を生成する。かかるF*を用いてSi犠牲膜をエッチングする。上述したような基体100からは見かけ上見えない位置にある放電管502で乖離されたエッチングガスを用いたエッチング処理であるダウンフロー処理を適用することにより、F*を用いてSi犠牲膜をエッチングすることができ、方向性を持ったイオンによるp−lowk膜への衝突を抑制することができる。特に、13.3Pa(100mTorr)〜26.6Pa(200mTorr)のチャンバ内圧力になるようにすることにより、存在するイオンを中和できる程度の平均自由行程とすることができる。イオンによるp−lowk膜への衝突を抑制することができるので、運動エネルギーをもったイオンによるp−lowk膜のエッチングを抑制することができる。
【0070】
図17は、放電による乖離を必要とするエッチングガスの活性種を示す図である。
本実施の形態に好適なエッチングガスのうち、放電による乖離を必要とするエッチングガスとして、CF4、SF6、Cl2、HClなどを挙げたが、図17に示すように、CF4とSF6は、F*を、Cl2とHClは、塩素ラジカル(Cl*)を用いてSi犠牲膜をエッチングする。
【0071】
図18は、従来との比較を示す図である。
図18(a)において、従来技術として、下層配線に空洞を形成した後に、さらに多層配線を形成する手法では、上層用の絶縁膜にヴィアホールを形成する際合わせズレが生じると、既に下層配線層に形成されたエアーギャップまでヴィアホールが突き抜け、貫通してしまう。それに対し、図18(b)に示すように、本実施の形態による手法では、上層用の絶縁膜にヴィアホールを形成する際、下層配線層にSi犠牲膜が存在するため、ヴィアホールが突き抜けることを防止することができる。そして、上層配線を形成した後に、空洞を形成するため、多層配線層のエアーギャップ構造を形成することができる。
【0072】
上記方法により、デュアルダマシン配線を形成した後でもp−lowk膜282とp−lowk膜280を通して、下層配線層のSi膜420と上層配線層のSi膜424との除去を同時に行なうことができる。以上のように、配線構造を形成後にAir Gapを形成するため、パターン形成において微細加工が困難なデュアルダマシン構造でもAir Gap構造が適用可能となる。言い換えれば、デュアルダマシンパターン加工において、下層配線との合わせズレを許容することができる。
【0073】
そして、充填工程(S150)として、空洞となったエアーギャップ311とエアーギャップ313とに、例えば、アルゴン(Ar)を主として満たすように充填する。Arの他に、窒素(N2)、酸素(O2)、或いは大気を用いても好適である。Ar、N2、O2、或いは大気を主として満たすようにすることで、エアーギャップ311とエアーギャップ313とにおいて比誘電率kを1.0程度にすることができる。Arを充填した場合には、空洞内のAr濃度は少なくとも空気(大気)中の濃度よりも高くなるようにするとよい。また、空洞を、製造時に空気に接触させることにより、又はパッケ−ジに穴を設けておくことにより、空洞内に空気(特に、乾燥空気)を満たすようにしてもよい。よって、空洞を形成するエッチング工程の後にかかる気体の雰囲気に晒してかかる気体を充填すると好適である。或いは、空洞を形成するエッチング工程において、ArとN2とO2と大気との少なくとも1つの雰囲気に晒して充填するようにしても好適である。
【0074】
以上のような構成の半導体装置によれば、配線間には、主として不活性ガス、又は空気が満たされている。このガス又は空気の比誘電率kは、1.0程度である。これにより、配線間をシリコーン酸化層などの絶縁層で満たす場合に比べて、極端に誘電率を低下させることができる。従って、素子の集積度の向上とLSIの性能の向上を同時に達成することができる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態1では、配線の補強膜として、Si犠牲膜の改質層であるSiO2膜422、SiO2膜423、そしてSiO2膜426を用いたが、さらに、SiCを用いても好適である。
図19は、実施の形態2における半導体装置の製造工程の一部を表す工程断面図である。
図19(a)において、SiC膜形成工程として、図4(a)において説明したSi犠牲膜の改質層であるSiO2膜422表面上、及び開口部内壁に、CVD法によりSiC膜470を形成する。ここでは、CVD法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。上述したように、補強膜の膜厚は、配線の間隔の10%以下が望ましい。よって、SiO2膜422とSiC膜470との合計膜厚が、配線の間隔の10%以下が望ましい。例えば、配線のピッチを100nm(配線の間隔を50nm)とすると、その内の10%以下、すなわち合計膜厚は5nm以下が望ましい。
【0076】
図19(b)において、エッチバック工程として、SiO2膜422表面上、及び開口部底面のSiC膜470をエッチバックによりエッチングする。エッチバックによりエッチングすることにより、配線側面にSiC膜470を残すことができる。配線側面のSiC膜470により、さらに、配線の補強を強固なものとすることができる。
【0077】
同様の手法により、図8(c)において説明した工程の後、上層配線側にもSiC膜472を形成し、図19(c)に示すような下層配線、ヴィアプラグ、上層配線の側面をSiC膜により補強した半導体装置を形成することができる。
【0078】
以上のように、上記各実施の形態によれば、ヴィアホールとなる開口部に導電性材料を堆積させる前記導電性材料堆積工程の後に前記Si犠牲膜を除去することにより、エアーギャップ(空洞)を形成する。そのため、前記ヴィアホールを形成する際には、前記Si犠牲膜が存在することにより、従来のようなエアーギャップ(空洞)への突き抜けを防止することができる。言い換えれば、前記ヴィアプラグ・上層配線形成工程の後に下層配線層に空洞を形成することにより、ヴィアプラグ材料が下層配線層に形成された空洞まで入り込むことを防止することができる。よって、配線形成を可能とすることができる。そして、前記空洞を維持することができるので、誘電率の低減を図ることができ、有効的にAir Gap構造を利用した半導体装置を製造することができる。
【0079】
以上の説明において、Si犠牲膜の表面に改質膜となる酸化膜を形成しているが、開口部形成時の貫通を防止する点においては、かかる改質膜を形成していなくても構わない。
【0080】
また、下層配線と上層配線との2つの配線層(第1、第2の配線層)について同時にエアーギャップを形成しているが、2つの層に限るものではなく、さらに、多層化した後に同時にエアーギャップを形成しても構わない。特に、Si犠牲膜を用いてエアーギャップを形成する配線層をすべて形成した後に、同時にSi犠牲膜をエッチングしてエアーギャップを形成することで、合わせズレによる突き抜けを防止することができる。
【0081】
また、バリアメタルとして、Ta、TaNに限らず、TaCN(炭化窒化タンタル)、WN(窒化タングステン)、WCN(炭化窒化タングステン)、TiN(窒化チタン)等の高融点金属の窒化膜或いは炭化窒化膜であっても構わない。或いはチタン(Ti)、WSiN等であっても構わない。
【0082】
ここで、上記各実施の形態における配線層の材料として、Cu以外に、Cu−Sn合金、Cu−Ti合金、Cu−Al合金等の、半導体産業で用いられるCuを主成分とする材料を用いても同様の効果が得られる。
【0083】
なお、多層配線構造などを形成する場合には、各図において基体200は、下層の配線層と絶縁膜とが形成されたものでもよい。
【0084】
上記実施の形態においては、多孔質絶縁膜の材料としては、多孔質誘電体薄膜材料としてのMSQに限らず、他の多孔質無機絶縁膜材料、多孔質有機絶縁膜材料を用いても同様の効果を得ることができる。
特に、多孔質の低誘電率材料に上記各実施の形態を適用した場合には、上述の如く顕著な効果が得られる。上記実施の形態において多孔質絶縁膜の材料として用いることができるものとしては、例えば、各種のシルセスキオキサン化合物、ポリイミド、炭化フッ素(fluorocarbon)、パリレン(parylene)、ベンゾシクロブテンをはじめとする各種の絶縁性材料を挙げることができる。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0086】
例えば、実施の形態で層間絶縁膜が形成された基体200は、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有するものとすることができる。また、ヴィアホールは、必ずしも下層配線に対して形成されるものでなくてもよく、下層配線と接続されることのないダミーのヴィアプラグが下層配線層の空洞上に配置された配線構造を形成してもよい。
【0087】
さらに、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0088】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0089】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図5】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図6】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図7】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図8】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図9】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図10】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図11】エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
【図12】エッチング装置のバルブ開閉フローを示す図である。
【図13】エッチング作用を説明するための図である。
【図14】ガス化した分子のサイズを示す概念図である。
【図15】p−lowk膜のポア径とポア数との関係を示す概念図である。
【図16】エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
【図17】放電による乖離を必要とするエッチングガスの活性種を示す図である。
【図18】従来との比較を示す図である。
【図19】実施の形態2における半導体装置の製造工程の一部を表す工程断面図である。
【符号の説明】
【0091】
100,200 基体
150,152,154 開口部
210,422,423,426 SiO2膜
280,282 p−lowk膜
240,242 バリアメタル膜
250,252 シード膜
260,262 Cu膜
311,313 エアーギャップ
420,424 Si膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法或いは半導体装置に係り、例えば、積層配線の形成方法においてダマシン法を用いて形成される配線間の絶縁構造に特徴を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路(LSI)の高集積化、及び高性能化に伴って新たな微細加工技術が開発されている。特に、最近はLSIの高速性能化を達成するために、配線材料を従来のアルミ(Al)合金から低抵抗のCu或いはCu合金(以下、まとめてCuと称する。)に代える動きが進んでいる。Cuは、Al合金配線の形成において頻繁に用いられたドライエッチング法による微細加工が困難であるので、溝加工が施された絶縁膜上にCu膜を堆積し、溝内に埋め込まれた部分以外のCu膜をCMPにより除去して埋め込み配線を形成する、いわゆるダマシン(damascene)法が主に採用されている。Cu膜はスパッタ法などで薄いシード層を形成した後に電解めっき法により数100nm程度の厚さの積層膜を形成することが一般的である。さらに、多層Cu配線を形成する場合は、特に、デュアルダマシン構造と呼ばれる配線形成方法を用いることもできる。かかる方法では、下層配線上に絶縁膜を堆積し、所定のヴィアホール(孔)及び上層配線用のトレンチ(配線溝)を形成した後に、ヴィアホールとトレンチに配線材料となるCuを同時に埋め込み、さらに、上層の不要なCuをCMPにより除去し平坦化することにより埋め込み配線を形成する。
【0003】
ここで、最近は層間絶縁膜として比誘電率の低い低誘電率材料膜(low−k膜)を用いることが検討されている。すなわち、比誘電率kが、約4.2のシリコン酸化膜(SiO2)膜から比誘電率kが例えば3.5以下のlow−k膜を用いることにより、配線間の寄生容量を低減することが試みられている。例えば、FSG膜が配線間の絶縁材料として用いられているが、膜質の安定性の観点からその低誘電率化には限界があり、比誘電率kの低減化は従来の約4.2から3.3程度までであった。また、比誘電率kが2.5以下のlow−k膜材料の開発も進められており、これらは材料中に空孔が入ったポーラス材料となっているものが多い。これら多孔質の低誘電率材料膜(p−lowk膜)は塗布法或いは化学気相成長(CVD)法により成膜され、膜密度がシリコーンの熱酸化膜と比較して低い。なお、比誘電率kが2.0以下の材料では、加工性や機械的強度特性等の点から適用が困難となっている。
【0004】
そこで、層間絶縁膜の低誘電率化について、上述したp−lowk膜よりもさらに誘電率の低減を図るため、配線間を空洞(Air Gap:エアーギャップ)にする技術の開発が試みられている。例えば、炭素(カーボン)層を形成し、かかる炭素層に配線溝を形成し、配線溝にCuを堆積させ、全面をシリコン酸化膜でふたをして下層配線を形成した後に炭素層を灰化して空洞にする。そして、空洞を形成した後に、さらに多層配線を形成していくとする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
その他、Air Gapを形成する技術として、ヴィアプラグから離れた絶縁膜の一部にAir Gapを形成する技術(例えば、特許文献2参照)や、配線層一層に対し、かかる配線層の絶縁膜領域の一部にシリコン窒化膜で囲まれたAir Gapを形成する技術(例えば、特許文献3参照)が開示されている。
【0006】
しかしながら、従来下層配線間に空洞を形成した後さらなる多層配線化を試みた場合、下層配線上に形成した絶縁膜に下層配線に対するヴィアホールを開口した場合に、ヴィアホールの位置が下層配線からずれてしまうと、既に下層配線間に形成されたエアーギャップまでヴィアホールが突き抜け、貫通するという問題が発生する。これでは、異常形状となり、寄生容量低減以前に配線形成が不可能となってしまう。すなわち、上述したような下層配線に空洞を形成した後に、さらに多層配線を形成する手法では、下層配線との合わせズレ(Miss alignment)を許容できず、有効的にAir Gap構造を利用できない。特に、デュアルダマシン法のように、下層配線上に形成された絶縁膜にヴィアホールとトレンチを精度よく微細加工する場合は、ヴィアホールを加工するだけの場合より加工深さが深くなりさらに難しくなる。
【0007】
また、配線層一層について考察した場合においても、配線層の絶縁膜領域の一部にシリコン窒化膜で囲まれたAir Gapを形成する技術では、Air Gapが形成される領域が、配線層の絶縁膜領域の一部であり、さらに、Air Gapを形成しても誘電率の高いシリコン窒化膜で囲んでしまうため、寄生容量低減を十分に図ることが困難となる。
【特許文献1】特開平9−237831号公報
【特許文献2】特開2004−153280号公報
【特許文献3】特開2003−60032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述したような従来の問題点を克服し、有効的にAir Gap構造を利用した半導体装置の製造方法或いは半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様の半導体装置の製造方法は、
基体上に第1の薄膜を形成する第1の薄膜形成工程と、
前記第1の薄膜に第1の開口部を形成する第1の開口部形成工程と、
前記第1の開口部に導電性材料を堆積させる第1の導電性材料堆積工程と、
前記導電性材料が前記第1の開口部に堆積した前記第1の薄膜上に多孔質材料からなる第2の薄膜を形成する第2の薄膜形成工程と、
前記第2の薄膜に前記第2の薄膜を貫通する第2の開口部を形成する第2の開口部形成工程と、
前記第2の開口部に導電性材料を堆積させる第2の導電性材料堆積工程と、
前記第2の導電性材料堆積工程の後に前記第2の薄膜における孔を介して前記第1の薄膜を除去する薄膜除去工程と、
を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の態様の半導体装置の製造方法は、
基体上に複数の配線が犠牲膜内に埋め込まれてなる第1の配線層を形成し、
前記第1の配線層上に前記配線に接続するヴィアプラグを有する第2の配線層を形成し、
前記第2の配線層を形成した後に前記第1の配線層の配線間の前記犠牲膜を除去して空洞を形成することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の一態様の半導体装置は、
隣接する配線間に空洞が形成された複数の配線と、
前記複数の配線の各配線の側面に配置され、少なくとも1部分で前記空洞側に突き出たつば部を有する補強膜と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、従来のような上層配線形成時の合わせズレによるエアーギャップ(空洞)への突き抜けを防止することができる。言い換えれば、上層配線の導電性材料が下層配線間に形成された空洞にまで入り込むことを防止しながら多層配線を形成することが可能となる。そして、前記空洞を維持することができるので、誘電率の低減を図ることができ、有効的にAir Gap構造を利用した半導体装置を製造することができる。また、空洞側に突き出たつば部を有する補強膜を配線の側面に配置することにより誘電率の上昇を抑えながら配線の機械的強度を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
実施の形態1.
下層配線層にエアーギャップを形成することで寄生容量の低減を行うデュアルダマシン構造の場合、特に、上層の寄生容量を低減するために、上層においてlow−k膜材料を用いて下層配線上の絶縁膜を形成し、この絶縁膜にヴィアホール加工を行うことが望まれるが、かかるlow−k膜材料への微細で高精度な加工は困難である。従来技術では、エアーギャップ化についても単層配線ごとにエアーギャップ化を行うため、上述したような下層配線との合わせズレ(Miss alignment)を許容できないなどの問題があり、有効的にAir Gap構造を利用できなかった。以下、実施の形態1では、下層配線パターンの形成にシリコーン(Si)を用いてパターン形成を行い、パターン形成後に、酸化処理(Si→SiO2化)を行うことで側壁を改質(酸化)する。そして、下層配線上の絶縁膜には、ポーラス(空孔)材料を適用することによってデュアルダマシン構造形成(金属配線)後に、その空孔を通して、下層Si層を除去する半導体装置の製造方法について説明する。従来の問題点となっていた合わせズレ部分については、接続孔(ヴィアホール)加工時点ではSiおよびSiの改質層が存在するため、突き抜けることはない。そして、配線構造を形成後にAir Gapを形成するため、デュアルダマシン構造でもAir Gap構造が適用可能となる。
【0014】
図1は、実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
図1において、本実施の形態では、SiO2膜を形成するSiO2膜形成工程(S102)と、下層配線層形成工程として、下層配線用の開口部の設けられるシリコーン(Si)犠牲膜の薄膜を形成するSi犠牲膜形成工程(S104)、カーボン(C)膜を形成するC膜形成工程(S106)、SOG(Spin on Glass)膜を形成するSOG膜形成工程(S108)、開口部を形成する開口部形成工程(S110)、改質膜を形成する熱処理工程(S112)、導電性材料を堆積させる導電性材料堆積工程として、バリアメタル(BM)膜形成工程(S114)、シード膜形成工程(S116)、めっき工程及びアニール工程(S118)と、平坦化工程(S120)、コバルトタングステン(CoW)膜を形成するCoW膜形成工程(S122)と、ヴィアプラグ・上層配線層形成工程として、ヴィアプラグを絶縁する絶縁膜となる多孔質の絶縁性材料からなるp−lowk膜の薄膜を形成するp−lowk膜形成工程(S124)、上層配線用の開口部の設けられるSi犠牲膜の薄膜を形成するSi犠牲膜形成工程(S126)、カーボン(C)膜を形成するC膜形成工程(S128)、SOG膜を形成するSOG膜形成工程(S130)、開口部を形成する開口部形成工程(S132)、改質膜を形成する熱処理工程(S134)、導電性材料を堆積させる導電性材料堆積工程として、バリアメタル膜形成工程(S136)、シード膜形成工程(S138)、めっき工程及びアニール工程(S140)と、平坦化工程(S142)、コバルトタングステン(CoW)膜を形成するCoW膜形成工程(S144)と、さらに上層の絶縁膜となる多孔質の絶縁性材料からなるp−lowk膜を形成するp−lowk膜形成工程(S146)と、Si犠牲膜を除去する薄膜除去工程或いは空洞形成工程としてのエッチング工程(S148)と、充填工程(S150)という一連の工程を実施する。
【0015】
図2は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図2では、図1のSiO2膜形成工程(S102)からSOG膜形成工程(S108)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0016】
図2(a)において、SiO2膜形成工程として、基体200上にCVD法によって、例えば、膜厚500nmの下地SiO2膜を堆積し、SiO2膜210を形成する。ここでは、CVD法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。基体200として、例えば、直径300ミリのシリコーンウェハを用いる。ここでは、デバイス部分の図示を省略している。そして、SiO2膜210中に、金属配線またはコンタクトプラグ等、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有する層が形成されているものとしても構わない。或いは、その他の層が形成されていても構わない。
【0017】
図2(b)において、Si犠牲膜形成工程として、下地SiO2膜上に、スパッタ法により、例えば、膜厚250nmのSi犠牲膜となるSi膜420を形成する。ここでは、スパッタ法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。Si膜420は、後述するように最終的には除去され、Si膜420が形成されていた領域はエアーギャップ(空洞)となる。例えば、スパッタ法によるSi膜420の成膜を行なう場合、装置として、並行平板型MERIE装置を用い、プロセス条件として、アルゴン(Ar)を0.84Pa・m3/s(500sccm)、チャンバ内圧力を1.33Pa(10mTorr)、基板温度を20℃、プラズマ放電電力を2000Wとして、SiターゲットにArイオンをぶつけてSiを叩き出し堆積させる。例えば、堆積速度100nm/minにて形成する。Si膜420の膜厚は250〜300nmが望ましい。犠牲膜として、Si膜を用いることで、後工程においてSi膜を除去する際、O2を用いないで除去することができるため、後述するSi−C結合をもつp−lowk膜にダメージを与えないようにすることができる。
【0018】
図2(c)において、C膜形成工程として、Si膜420上に、塗布法によりC膜430を形成する。C膜430は、後述するようにSi膜420にパターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0019】
図2(d)において、SOG膜形成工程として、C膜430上に、SOG法によりSOG膜440を例えば45nmに形成する。SOG膜440は、後述するように、C膜430と共にSi膜420にパターン開口を形成する際のマスクとなる。SOG膜440の材料としては、シリコーン骨格を有するものが望ましい。例えば、ジメチルシロキサン、ハイドロジェンシルセスキオキサン等が望ましい。また、SOG膜440の膜厚は、後述するレジスト膜との関係上45nm以下が望ましい。
【0020】
図3は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図3では、図1の開口部形成工程(S110)を示している。それ以降の工程は後述する。
【0021】
図3(a)において、リソグラフィ工程として、SOG膜440上にレジスト膜450を形成した後、下層配線パターンを露光転写する。ここでは、露光転写され、現像された後に形成されたレジストパターンを示している。
【0022】
図3(b)において、SOG膜およびC膜エッチング工程として、レジスト膜450をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSOG膜440とその下のC膜430とをエッチングする。C膜430をエッチングする際、レジスト膜450も同時にエッチング除去する。
【0023】
図3(c)において、Si膜エッチング工程として、下層配線パターンが形成されたC膜430をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSi膜420をエッチングする。例えば、装置は、誘電結合型RIE装置を用い、エッチングガスとして、ホウ化水素(HBr)を0.25Pa・m3/s(150sccm)、塩素(Cl2)を0.05Pa・m3/s(30sccm)、酸素(O2)を0.017Pa・m3/s(10sccm)供給する。チャンバ内圧力を0.53Pa(4mTorr)、基板温度を50℃、プラズマ放電電力を500W、基板バイアス電力量を70Wとして、シリコーンのエッチング速度200nm/min、酸化膜のエッチング速度10nm/minにてエッチングする。Si膜420をエッチングする際に、C膜430上のシリコーン骨格を有するSOG膜440も一緒にエッチングすることができる。ここで、Si膜420をエッチングすることにより、Si膜420に下層配線溝となる開口部(第1の開口部)150を形成することができる。C膜430上のSOG膜440のエッチングは、別に行なってももちろん構わない。
【0024】
以上のように、ここでは、C膜430及びSOG膜440を用いて、Si膜420に開口部150を形成する多層マスクプロセスの一例としてのSMAP(Stack Mask Process)法を用いる。レジストを直接マスクとして、被加工膜となるSi膜420を加工する場合、微細化に伴い焦点深度が浅くなり、加工に必要なレジストの厚さを厚くする必要が生じることがあるが、SMAP法を用いることにより、レジスト膜450の膜厚を薄くすることができる。ただし、SMAP法を用いることがより望ましいが、レジストを直接マスクとして、被加工膜となるSi膜420を加工する手法を排除するものではない。また、SOG膜440を成膜しないで、パターン転写する方法として、露光および現像するレジスト膜450そのものに、シリコーンまたはシリコーンを含有する材料を適用しても好適である。
【0025】
図4は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図4では、図1の熱処理工程(S112)からめっき工程及びアニール工程(S118)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0026】
図4(a)において、改質層形成工程の一例である熱処理工程として、マスクとして用いたC膜430を剥離すると同時に配線パターンが形成されたSi膜420表面に酸化膜となるSiO2膜422を形成する。熱処理工程としては、アッシングを行なえばよい。例えば、装置として、並行平板型RIE装置を用い、プロセス条件として、酸素(O2)を0.84Pa・m3/s(500sccm)、チャンバ内圧力を1.33Pa(10mTorr)、基板温度を20℃、プラズマ放電電力を2000Wとして、アッシング速度を500nm/minとする。
Si膜420表面およびSi膜420に形成された開口部の内壁面を改質してSiO2膜422の薄膜部を形成することにより、後述するように、改質膜であるSiO2膜422が配線の側面に位置することになる。配線の側面に改質膜が形成されることにより、配線の補強膜として、電気的特性(EM:エレクトロマイグレーション耐性/SM:ストレスマイグレーション耐性)と機械的強度を向上させることができる。ここで、SiO2膜422の膜厚は、配線の間隔の10%以下が望ましい。例えば、配線のピッチを100nm(配線の間隔を50nm)とすると、その内の10%以下、すなわち5nm以下が望ましい。機械的強度、電気的信頼性の観点からは厚い酸化膜のほうが望ましい。しかし、比誘電率kが1付近のAir Gapの適用による低誘電率化のためには、比誘電率kが4付近の酸化膜が存在することは、デバイス特性上不利となる。そこで、配線の間隔の10%以下とすることで、デバイス特性の劣化を許容することができる。
【0027】
図4(b)において、バリアメタル膜形成工程として、前記開口部形成工程により形成された開口部150及びSiO2膜422表面にバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜240を形成する。物理気相成長法(physical vapor deposition:PVD)法の1つであるスパッタ法を用いるスパッタリング装置内で、例えば、タンタル(Ta)膜を膜厚10nm堆積してバリアメタル膜240を形成する。Ta膜により配線材料となるCuの密着性向上を図ることができる。また、例えば、窒化タンタル(TaN)を膜厚5nm、タンタル(Ta)膜を膜厚5nm堆積し、バリアメタル膜240を形成するように構成しても好適である。TaN膜とTa膜とを積層することで、TaN膜によりCuの拡散防止を図り、Ta膜によりCuの密着性向上を図ることができる。ここで、バリアメタル材料の堆積方法としては、例えば、原子層気相成長(atomic layer deposition:ALD法、あるいは、atomic layer chemical vapor deposition:ALCVD法)やCVD法などを用いることもできる。PVD法を用いる場合より被覆率を良くすることができる。
【0028】
図4(c)において、シード膜形成工程として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜250としてバリアメタル膜240が形成された開口部150内壁及び基体200表面に堆積(形成)させる。例えば、シード膜250を膜厚75nm堆積させる。
【0029】
図4(d)において、めっき工程として、シード膜250をカソード極として、電解めっき等の電気化学成長によりCu膜260を開口部150及び基体200表面に堆積させる。例えば、膜厚500nmのCu膜260を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を250℃の温度で30分間行なう。埋め込み漏れを防止するためにも、膜厚は、開口部の深さの2倍以上とすることが望ましい。
【0030】
図5は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図5では、図1の平坦化工程(S120)からC膜形成工程(S128)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0031】
図5(a)において、平坦化工程として、CMP法によってSi膜420の表面に堆積された導電部としての配線層となるCu膜260、シード膜250、バリアメタル膜240、及び改質膜となるSiO2膜422を研磨除去することにより、図5(a)に表したような埋め込み構造を形成する。
【0032】
図5(b)において、CoW膜形成工程として、Cu膜260上に選択的にCoW膜460を形成する。例えば、露出したCu膜260表面をCu酸化工程として酸化させた後、Cu膜260表面の酸化層をコバルト(Co)と置換することによって、CoW膜460を選択成長させる。ここでは、例えば、Cu配線側に3nm、上層側に7nmで、合計10nm程度のCoW膜460を形成する。Cu膜260表面をCuの酸化工程を追加して掘り下げないで、CMP後の自然酸化膜を置換膜として使用することも好適である。CoW膜460を露出したCu膜260表面上に選択成長させることで、Cuの拡散を防止することができる。ここで、Cuの拡散防止膜としては、低誘電率化の観点からはCoW膜が望ましいが、シリコン窒化膜(SiN)、シリコンカーバイド(SiC)等を用いても構わない。ただし、シリコン窒化膜やシリコンカーバイド等の絶縁性材料をCuの拡散防止膜に用いた場合、Cu膜260に対するヴィアホールを開口した際に、ヴィアホール底面の拡散防止膜を除去する必要が生じる。
【0033】
図5(c)において、p−lowk膜形成工程として、Si膜420表面上及びCoW膜460でキャップされたCu膜260上に、多孔質の絶縁性材料を用いたp−lowk膜280を形成する。p−lowk膜280を形成することで、比誘電率kが3.5よりも低い層間絶縁膜を得ることができる。p−lowk膜280は、上層配線と下層配線とを接続するヴィアプラグを絶縁する絶縁膜となる。よって、その膜厚は、ヴィアプラグとして求められる膜厚とすればよい。また、p−lowk膜280の材料としては、ここでは、例えば、多孔質の炭素含有シリコーン(SiOC)を用いる。また、その形成方法としては、例えば、Si−CH3結合を有する原料ガスを用いて、減圧CVD装置を用いたCVD法により成膜する。例えば、Si−R(Rは有機基)、CO2等の酸素源を用いて成膜すればよい。酸素(O)を成分に持つSi−R原料を用いても良い。成膜温度は、0〜400℃が望ましい。成膜圧力は、13.3Pa(0.1Torr)〜1.33×103Pa(10Torr)が望ましい。原料ガスや形成条件などを適宜調節することにより、所定の物性値を有する多孔質の絶縁膜が得られる。
【0034】
また、p−lowk膜280の材料としては、CVD法を用いて形成したシリコーン骨格を有するメチルシロキサンであるSiOCに限らず、例えば、SOD(spin on dielectic coating)法を用いた多孔質のメチルシロキサン(MSQ)やハイドロジェンシルセスキオキサン(HSQ)や有機ポリマー(メチルシロキサン、ジメチルシロキサン)等を用いても好適である。例えば、MSQの形成方法としては、溶液をスピンコートし熱処理して薄膜を形成するSOD法を用いて、スピナーの回転数は900min−1(900rpm)で成膜する。そして、このウェハをホットプレート上で窒素雰囲気中250℃の温度でベークを行い、最終的にホットプレート上で窒素雰囲気中450℃の温度で10分間のキュアを行なう。MSQの材料や形成条件などを適宜調節することにより、所定の物性値を有する多孔質の絶縁膜が得られる。
【0035】
ここで、後述するように、Si膜420をエッチングガスによりガス化した後、p−lowk膜280のポーラス(孔)を通じて除去するため、ポア径として、3.12Å以上に形成することが望ましい。より好ましくは4Å以上に形成することが望ましい。また、ポーラスが外部に通じたオープンポアになるように形成する。
【0036】
図5(d)において、薄膜形成工程の一例であるSi犠牲膜形成工程として、p−lowk膜280上に、スパッタ法により、例えば、膜厚250nmのSi犠牲膜となるSi膜424を形成する。ここでは、スパッタ法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。Si膜424も、Si膜420と同様、後述するように最終的には除去され、Si膜424が形成されていた領域は上層配線層におけるエアーギャップ(空洞)となる。製法は、Si膜420と同様で構わないため説明を省略する。
【0037】
そして、C膜形成工程として、Si膜424上に、塗布法によりC膜432を形成する。C膜432は、後述するようにSi膜424にヴィアパターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0038】
図6は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図6では、図1のSOG膜形成工程(S130)から開口部形成工程(S132)の途中までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0039】
図6(a)において、SOG膜形成工程として、C膜432上に、SOG法によりSOG膜442を形成する。SOG膜442は、後述するように、C膜432と共にSi膜424にヴィアパターン開口を形成する際のマスクとなる。SOG膜442の材料としては、SOG膜440と同様、シリコーン骨格を有するものが望ましい。
【0040】
図6(b)において、リソグラフィ工程として、SOG膜442上にレジスト膜452を形成した後、ヴィアパターンを露光転写する。ここでは、露光転写され、現像された後に形成された開口部152が形成されたレジストパターンを示している。
【0041】
図6(c)において、SOG膜およびC膜エッチング工程として、レジスト膜452をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSOG膜442とその下のC膜432とをエッチングする。C膜432をエッチングする際、レジスト膜452も同時にエッチング除去する。
【0042】
図7は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図7では、図1の開口部形成工程(S132)の途中までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0043】
図7(a)において、Si膜エッチング工程として、ヴィアパターンが形成されたC膜432をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSi膜424をエッチングする。Si膜424をエッチングする際に、C膜432上のSOG膜442も一緒にエッチングすることができる。ここで、Si膜424をエッチングすることにより、Si膜424にヴィアホール(孔)となる開口部152を形成することができる。そして、Si膜424の下に露出したp−lowk膜280をエッチングした後、C膜432を剥離(除去)する。従来の問題点となっていた合わせズレ部分については、接続孔(ヴィアホール)加工時点ではSi膜420が存在するため、突き抜けて貫通することを防止することができる。
【0044】
ここでも下層配線用溝を形成する場合と同様、C膜432及びSOG膜442を用いて、Si膜424及びp−lowk膜280に開口部(第2の開口部)152を形成する多層マスクプロセスの一例としてのSMAP法を用いると好適である。その他、下層配線用溝を形成する場合と同様で構わないため説明を省略する。
【0045】
図7(b)において、C膜形成工程として、Si膜424上に、塗布法によりC膜434を形成する。C膜434は、後述するようにSi膜424に上層配線パターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0046】
そして、SOG膜形成工程として、C膜434上に、SOG法によりSOG膜444を形成する。SOG膜444は、後述するように、C膜434と共にSi膜424に上層配線パターン開口を形成する際のマスクとなる。
【0047】
そして、リソグラフィ工程として、SOG膜444上にレジスト膜454を形成した後、上層配線パターンを露光転写する。ここでは、露光転写され、現像された後に形成された開口部154が形成されたレジストパターンを示している。
【0048】
図8は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図8では、図1の開口部形成工程(S132)から熱処理工程(S134)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0049】
図8(a)において、SOG膜およびC膜エッチング工程として、レジスト膜454をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSOG膜444とその下のC膜434とをエッチングする。C膜434をエッチングする際、レジスト膜454も同時にエッチング除去する。ここでは、ヴィアホール底にC膜434が残るようにエッチングする。ヴィアホール底にC膜434を残すことにより、次の工程となるSi膜エッチング工程の際、露出した下層配線層のSi膜420までエッチングされてしまうことを防止することができる。また、上層配線層のSi膜424の下面より深くC膜434をエッチングすることで、次工程となるSi膜エッチング工程の際、Si膜424の加工への影響を排除することができる。その結果、Si膜424の加工形状を向上させることができる。
【0050】
図8(b)において、Si膜エッチング工程として、上層配線パターンが形成されたC膜434をマスクとして、異方性エッチング法により露出したSi膜424をエッチングする。Si膜424をエッチングする際に、C膜434上のSOG膜444も一緒にエッチングすることができる。ここで、Si膜424をエッチングすることにより、Si膜424に上層配線用溝となる開口部154を形成することができる。
【0051】
図8(c)において、改質層形成工程の一例である熱処理工程として、マスクとして用いたC膜434を剥離すると同時に配線パターンが形成されたSi膜424表面、開口部154の壁面に酸化膜となるSiO2膜426の薄膜部を形成する。そして、同時に露出したSi膜420表面にも酸化膜となるSiO2膜423の薄膜部を形成する。熱処理工程としては、SiO2膜422を形成する場合と同様、アッシングを行なえばよい。
Si膜424表面及び開口部154の壁面を改質してSiO2膜426を形成することにより、後述するように、改質膜であるSiO2膜426が配線の側面に位置することになる。配線の側面に改質膜が形成されることにより、配線の補強膜として、電気的特性(EM:エレクトロマイグレーション耐性/SM:ストレスマイグレーション耐性)と機械的強度を向上させることができる。ここでは、SiO2膜422と同様、SiO2膜426の膜厚は、配線の間隔の10%以下が望ましい。例えば、配線のピッチを100nm(配線の間隔を50nm)とすると、その内の10%以下、すなわち5nm以下が望ましい。
【0052】
さらに、開口部形成により露出した、最終的にヴィアプラグの下部に位置することになるSi膜420表面にも、バリアメタル240の側面に形成されたSiO2膜422上部から一体に続く、最終的にエアーギャップ側に突き出た形状のつば部となるSiO2膜423を形成することで、バリアメタル240の側面に形成されたSiO2膜422をさらに強固なものとすることができる。よって、配線の補強膜として、より機械的強度を向上させることができる。また、最終的に配線間のエアーギャップとなる領域の上部全体にSiO2膜423を形成するのではなく、本実施の形態のように、その一部分をつば状に形成することで、配線の補強をしながらも必要以上の誘電率の上昇を防ぐことができる。
【0053】
図9は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図9では、図1のバリアメタル膜形成工程(S136)から平坦化工程(S142)までを示している。それ以降の工程は後述する。
【0054】
図9(a)において、バリアメタル膜形成工程として、前記開口部形成工程により形成された開口部152、開口部154及びSiO2膜426表面にバリアメタル材料を用いたバリアメタル膜242を形成する。バリアメタル膜240を形成する場合と同様、スパッタ法を用いて、例えば、タンタル(Ta)膜を膜厚10nm堆積してバリアメタル膜242を形成する。その他、バリアメタル膜240を形成する場合と同様で構わないため省略する。
【0055】
そして、シード膜形成工程として、スパッタ等の物理気相成長(PVD)法により、次の工程である電解めっき工程のカソード極となるCu薄膜をシード膜252としてバリアメタル膜242が形成された開口部152内壁、開口部154内壁及び基体200表面に堆積(形成)させる。
【0056】
図9(b)において、めっき工程として、シード膜252をカソード極として、電解めっき等の電気化学成長によりCu膜262を開口部152、開口部154及び基体200表面に堆積させる。例えば、膜厚500nmのCu膜262を堆積させ、堆積させた後にアニール処理を250℃の温度で30分間行なう。
【0057】
図9(c)において、平坦化工程として、CMP法によってSi膜424の表面に堆積された導電部としての配線層となるCu膜262、シード膜252、バリアメタル膜242、及びSiO2膜426を研磨除去することにより、図9(c)に表したような埋め込み構造を形成する。
【0058】
図10は、図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
図10では、図1のCoW膜形成工程(S144)からエッチング工程(S148)までを示している。
【0059】
図10(a)において、CoW膜形成工程として、Cu膜262上に選択的にCoW膜462を形成する。CoW膜460と同様、露出したCu膜262表面を酸化させた後、Cu膜262表面の酸化層をコバルト(Co)と置換することによって、CoW膜462を選択成長させる。ここでは、CoW膜460と同様、例えば、Cu配線側に3nm、上層側に7nmで、合計10nm程度のCoW膜462を形成する。CoW膜462を露出したCu膜262表面上に選択成長させることで、Cuの拡散を防止することができることは上述した通りである。その他、CoW膜460を形成する場合と同様で構わないため説明を省略する。
【0060】
図10(b)において、p−lowk膜形成工程として、Si膜424表面上及びCoW膜462でキャップされたCu膜262上に、多孔質の絶縁性材料を用いたp−lowk膜282を形成する。p−lowk膜282を形成することで、例えば、比誘電率kが3.5よりも低い層間絶縁膜を得ることができる。p−lowk膜282は、上層配線のさらに上層のヴィアプラグを絶縁する絶縁膜となる。その他は、p−lowk膜280を形成する場合と同様で構わないため説明を省略する。
【0061】
図10(c)において、空洞形成工程の一例となるエッチング工程として、Si膜420とSi膜424とをエッチングして除去し、エアーギャップ311とエアーギャップ313とを形成する。Si膜420とSi膜424との除去は、ケミカルドライエッチング(CDE)法により、p−lowk膜282とp−lowk膜280のポア(ポーラス)を通して行うことが可能であり、多層配線形成後に空洞、すなわちAir Gapを形成することができる。一例として、エッチングガスとしてフッ素を含有する気体であるフッ化キセノン(XeF2)を使用する。
【0062】
図11は、エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
チャンバ300の内部にて、温度が60℃に制御された基板ホルダ310の上に基体100となる半導体基板を設置する。そして、バルブV2が閉じた状態で、バルブV1を開けて真空ポンプ330によりチャンバ300内が1.33×10−5Pa(1×10−7Torr)の圧力になるように真空引きする。一方、バルブV2が閉じた状態で、バルブV3を開けて容器に入った常温の固体のXeF2を昇華させたガスをバッファチャンバ302の容積分充満させる。そして、バルブV1とバルブV3とが閉じた状態で、バルブV2を開けてバッファチャンバ302内からXeF2ガスを差圧によりチャンバ300内に導入させる。そして、XeF2ガスをエッチングガスとしてSi膜420とSi膜424との除去を行なう。
【0063】
図12は、エッチング装置のバルブ開閉フローを示す図である。
真空ポンプ330によりチャンバ300内が1.33×10−5Pa(1×10−7Torr)の圧力になるように真空引きする間、バルブV2が閉じた状態で、バルブV1を開ける。一方、容器に入った固体のXeF2を昇華させたガスをバッファチャンバ302の容積分充満させる間、バルブV2が閉じた状態で、バルブV3を開ける。そして、バルブV1とバルブV3とを閉じて、バルブV2を開け、バッファチャンバ302内からXeF2ガスを差圧によりチャンバ300内に導入させる。チャンバ300内の圧力とバッファチャンバ302内の圧力とが同等になった状態で1サイクルを終了する。かかるサイクルを基板の大きさ、言い換えれば、エッチングされるSi膜420とSi膜424との体積に応じて複数回繰り返す。例えば、1Lのバッファチャンバ302と20Lのチャンバ300を用いて、直径300ミリのシリコーンウェハ上の2層を空洞にする場合、上述したフローを16サイクル行なう。
【0064】
図13は、エッチング作用を説明するための図である。
図13(a)では、エッチングガスとしてのXeF2が、多孔質材料のp−lowk膜の表面に吸着した様子を示している。XeF2が表面に吸着するとXe分子とF2分子とに分かれる。そして、図13(b)に示すように、F2分子中のFが、エッチングガスとして多孔質材料のp−lowk膜のポア(ポーラス)を透過して下部にある薄膜のSi犠牲膜に向かう。そして、図13(c)に示すように、エッチングガスは、Si犠牲膜表面に到達し、表面から周囲に広がってSi犠牲膜をエッチングする。エッチングされてガス化した分子(SiFx:例えば、SiF4)が、またp−lowk膜のポア(ポーラス)を透過して外部に除去される。ガス化した分子(SiFx)が外部に除去されることにより、その空間にエアーギャップを形成することができる。そして、改質膜であるSiO2膜を残して、図13(d)に示すように、Si犠牲膜全体をエッチングすることによりその空間にエアーギャップを形成することができる。
【0065】
図14は、ガス化した分子のサイズを示す概念図である。
エッチングガスによりSi犠牲膜全体をエッチングした際に生じたガス化した分子は、p−lowk膜のポア(ポーラス)を透過して外部に除去されることから、ガス化した分子サイズより大きいポア径のp−lowk膜を成膜する。例えば、XeF2とSiが反応することによりSiF4が形成されることを想定すると、図14(a)に示すように、Si−Fの分子サイズが1.56Åとなり、SiF4の分子サイズは、収縮によりSi−Fの分子サイズの2倍の3.12Åよりは小さくなる。よって、図14(b)に示すように、p−lowk膜のポア径としては、3.12Å以上のポア径であればよい。また、p−lowk膜のポア(ポーラス)を行き来するため、外部に開口したオープンポアのp−lowk膜を形成することになる。したがって、p−lowk膜のポア径として、4Å以上が望ましい。
【0066】
図15は、p−lowk膜のポア径とポア数との関係を示す概念図である。
p−lowk膜を形成する場合、ポア径を一律に形成することは難しい。そこで、目標となるポア径(ここでは、4Å)のポア数が最大となるような分布にポアを形成することが望ましい。もちろん、機械的強度が許せば、目標サイズをもっと高めに設定しても構わない。ポア径は、例えば、ポア(空孔)を生成するための材料を添加することで制御するか、或いは分子量(分子の大きさ)により制御すればよい。
具体的には、ポア生成用の材料を添加する手法では、例えば、m−DEOS(methyl−di−ethoxy−silane)とATRP(alpha−terpinene)と酸素との混合ガスを用いて、CVD法によりp−lowk膜を成膜する。m−DEOSと酸素によりシリコーン骨格を形成することができる。また、ATRPによってポロジェン(porogen)を生成する。この段階ではまだポアが生成していないが、その後処理として、EB(電子ビーム)或いはUV(紫外線)キュアによってp−lowk膜内部のATRPが消失することでポアを生成させることができる。よって、ポロジェンの種類によりポア径を制御すればよい。また、プロセスガスの混合比率、EB/UV処理により空孔率を制御することができる。
或いは、分子量により制御する手法では、分子量(分子の半径)が異なる2種類以上の材料を混合し、塗布法により塗布した後、焼成することによりp−lowk膜を成膜する。よって、塗布材料を選択することによりポア径を制御すればよい。
【0067】
ここで、結合エネルギーが3.39eVの(Si−Si)骨格を主成分とするSi犠牲膜となるSi膜や結合エネルギーが5.73eVの(Si−F)骨格を主成分とするガス化した分子(SiFx)に対し、p−lowk膜は、結合エネルギーが8.29eVの(Si−O)骨格を主成分とするため、エッチングされずに残すことができる。よって、p−lowk膜のポア(ポーラス)を利用してSi犠牲膜となるSi膜を選択的に除去することができる。
【0068】
さらに、エッチングガスとしては、放電を伴わないものとして、F2、放電による乖離を必要とするものとして、CF4、SF6、Cl2、HClなどを用いても好適である。また、放電による乖離を必要とする場合は、ダウンフロー処理が望ましい。
【0069】
図16は、エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
真空ポンプ530により13.3Pa(100mTorr)〜26.6Pa(200mTorr)のチャンバ内圧力になるように真空引きされたチャンバ500の内部にて、基板ホルダ510の上に基体100となる半導体基板を設置する。そして、基体100からは見かけ上見えない位置にある放電管502で生成されたプラズマによりエッチングガスである例えばCF4を乖離させ、方向性を持たない活性種のフッ素ラジカル(F*)を生成する。かかるF*を用いてSi犠牲膜をエッチングする。上述したような基体100からは見かけ上見えない位置にある放電管502で乖離されたエッチングガスを用いたエッチング処理であるダウンフロー処理を適用することにより、F*を用いてSi犠牲膜をエッチングすることができ、方向性を持ったイオンによるp−lowk膜への衝突を抑制することができる。特に、13.3Pa(100mTorr)〜26.6Pa(200mTorr)のチャンバ内圧力になるようにすることにより、存在するイオンを中和できる程度の平均自由行程とすることができる。イオンによるp−lowk膜への衝突を抑制することができるので、運動エネルギーをもったイオンによるp−lowk膜のエッチングを抑制することができる。
【0070】
図17は、放電による乖離を必要とするエッチングガスの活性種を示す図である。
本実施の形態に好適なエッチングガスのうち、放電による乖離を必要とするエッチングガスとして、CF4、SF6、Cl2、HClなどを挙げたが、図17に示すように、CF4とSF6は、F*を、Cl2とHClは、塩素ラジカル(Cl*)を用いてSi犠牲膜をエッチングする。
【0071】
図18は、従来との比較を示す図である。
図18(a)において、従来技術として、下層配線に空洞を形成した後に、さらに多層配線を形成する手法では、上層用の絶縁膜にヴィアホールを形成する際合わせズレが生じると、既に下層配線層に形成されたエアーギャップまでヴィアホールが突き抜け、貫通してしまう。それに対し、図18(b)に示すように、本実施の形態による手法では、上層用の絶縁膜にヴィアホールを形成する際、下層配線層にSi犠牲膜が存在するため、ヴィアホールが突き抜けることを防止することができる。そして、上層配線を形成した後に、空洞を形成するため、多層配線層のエアーギャップ構造を形成することができる。
【0072】
上記方法により、デュアルダマシン配線を形成した後でもp−lowk膜282とp−lowk膜280を通して、下層配線層のSi膜420と上層配線層のSi膜424との除去を同時に行なうことができる。以上のように、配線構造を形成後にAir Gapを形成するため、パターン形成において微細加工が困難なデュアルダマシン構造でもAir Gap構造が適用可能となる。言い換えれば、デュアルダマシンパターン加工において、下層配線との合わせズレを許容することができる。
【0073】
そして、充填工程(S150)として、空洞となったエアーギャップ311とエアーギャップ313とに、例えば、アルゴン(Ar)を主として満たすように充填する。Arの他に、窒素(N2)、酸素(O2)、或いは大気を用いても好適である。Ar、N2、O2、或いは大気を主として満たすようにすることで、エアーギャップ311とエアーギャップ313とにおいて比誘電率kを1.0程度にすることができる。Arを充填した場合には、空洞内のAr濃度は少なくとも空気(大気)中の濃度よりも高くなるようにするとよい。また、空洞を、製造時に空気に接触させることにより、又はパッケ−ジに穴を設けておくことにより、空洞内に空気(特に、乾燥空気)を満たすようにしてもよい。よって、空洞を形成するエッチング工程の後にかかる気体の雰囲気に晒してかかる気体を充填すると好適である。或いは、空洞を形成するエッチング工程において、ArとN2とO2と大気との少なくとも1つの雰囲気に晒して充填するようにしても好適である。
【0074】
以上のような構成の半導体装置によれば、配線間には、主として不活性ガス、又は空気が満たされている。このガス又は空気の比誘電率kは、1.0程度である。これにより、配線間をシリコーン酸化層などの絶縁層で満たす場合に比べて、極端に誘電率を低下させることができる。従って、素子の集積度の向上とLSIの性能の向上を同時に達成することができる。
【0075】
実施の形態2.
実施の形態1では、配線の補強膜として、Si犠牲膜の改質層であるSiO2膜422、SiO2膜423、そしてSiO2膜426を用いたが、さらに、SiCを用いても好適である。
図19は、実施の形態2における半導体装置の製造工程の一部を表す工程断面図である。
図19(a)において、SiC膜形成工程として、図4(a)において説明したSi犠牲膜の改質層であるSiO2膜422表面上、及び開口部内壁に、CVD法によりSiC膜470を形成する。ここでは、CVD法によって成膜しているが、その他の方法を用いても構わない。上述したように、補強膜の膜厚は、配線の間隔の10%以下が望ましい。よって、SiO2膜422とSiC膜470との合計膜厚が、配線の間隔の10%以下が望ましい。例えば、配線のピッチを100nm(配線の間隔を50nm)とすると、その内の10%以下、すなわち合計膜厚は5nm以下が望ましい。
【0076】
図19(b)において、エッチバック工程として、SiO2膜422表面上、及び開口部底面のSiC膜470をエッチバックによりエッチングする。エッチバックによりエッチングすることにより、配線側面にSiC膜470を残すことができる。配線側面のSiC膜470により、さらに、配線の補強を強固なものとすることができる。
【0077】
同様の手法により、図8(c)において説明した工程の後、上層配線側にもSiC膜472を形成し、図19(c)に示すような下層配線、ヴィアプラグ、上層配線の側面をSiC膜により補強した半導体装置を形成することができる。
【0078】
以上のように、上記各実施の形態によれば、ヴィアホールとなる開口部に導電性材料を堆積させる前記導電性材料堆積工程の後に前記Si犠牲膜を除去することにより、エアーギャップ(空洞)を形成する。そのため、前記ヴィアホールを形成する際には、前記Si犠牲膜が存在することにより、従来のようなエアーギャップ(空洞)への突き抜けを防止することができる。言い換えれば、前記ヴィアプラグ・上層配線形成工程の後に下層配線層に空洞を形成することにより、ヴィアプラグ材料が下層配線層に形成された空洞まで入り込むことを防止することができる。よって、配線形成を可能とすることができる。そして、前記空洞を維持することができるので、誘電率の低減を図ることができ、有効的にAir Gap構造を利用した半導体装置を製造することができる。
【0079】
以上の説明において、Si犠牲膜の表面に改質膜となる酸化膜を形成しているが、開口部形成時の貫通を防止する点においては、かかる改質膜を形成していなくても構わない。
【0080】
また、下層配線と上層配線との2つの配線層(第1、第2の配線層)について同時にエアーギャップを形成しているが、2つの層に限るものではなく、さらに、多層化した後に同時にエアーギャップを形成しても構わない。特に、Si犠牲膜を用いてエアーギャップを形成する配線層をすべて形成した後に、同時にSi犠牲膜をエッチングしてエアーギャップを形成することで、合わせズレによる突き抜けを防止することができる。
【0081】
また、バリアメタルとして、Ta、TaNに限らず、TaCN(炭化窒化タンタル)、WN(窒化タングステン)、WCN(炭化窒化タングステン)、TiN(窒化チタン)等の高融点金属の窒化膜或いは炭化窒化膜であっても構わない。或いはチタン(Ti)、WSiN等であっても構わない。
【0082】
ここで、上記各実施の形態における配線層の材料として、Cu以外に、Cu−Sn合金、Cu−Ti合金、Cu−Al合金等の、半導体産業で用いられるCuを主成分とする材料を用いても同様の効果が得られる。
【0083】
なお、多層配線構造などを形成する場合には、各図において基体200は、下層の配線層と絶縁膜とが形成されたものでもよい。
【0084】
上記実施の形態においては、多孔質絶縁膜の材料としては、多孔質誘電体薄膜材料としてのMSQに限らず、他の多孔質無機絶縁膜材料、多孔質有機絶縁膜材料を用いても同様の効果を得ることができる。
特に、多孔質の低誘電率材料に上記各実施の形態を適用した場合には、上述の如く顕著な効果が得られる。上記実施の形態において多孔質絶縁膜の材料として用いることができるものとしては、例えば、各種のシルセスキオキサン化合物、ポリイミド、炭化フッ素(fluorocarbon)、パリレン(parylene)、ベンゾシクロブテンをはじめとする各種の絶縁性材料を挙げることができる。
【0085】
以上、具体例を参照しつつ実施の形態について説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。
【0086】
例えば、実施の形態で層間絶縁膜が形成された基体200は、図示しない各種の半導体素子あるいは構造を有するものとすることができる。また、ヴィアホールは、必ずしも下層配線に対して形成されるものでなくてもよく、下層配線と接続されることのないダミーのヴィアプラグが下層配線層の空洞上に配置された配線構造を形成してもよい。
【0087】
さらに、層間絶縁膜の膜厚や、開口部のサイズ、形状、数などについても、半導体集積回路や各種の半導体素子において必要とされるものを適宜選択して用いることができる。
【0088】
その他、本発明の要素を具備し、当業者が適宜設計変更しうる全ての半導体装置の製造方法は、本発明の範囲に包含される。
【0089】
また、説明の簡便化のために、半導体産業で通常用いられる手法、例えば、フォトリソグラフィプロセス、処理前後のクリーニング等は省略しているが、それらの手法が含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】実施の形態1における半導体装置の製造方法の要部を表すフローチャートである。
【図2】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図3】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図4】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図5】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図6】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図7】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図8】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図9】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図10】図1のフローチャートに対応して実施される工程を表す工程断面図である。
【図11】エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
【図12】エッチング装置のバルブ開閉フローを示す図である。
【図13】エッチング作用を説明するための図である。
【図14】ガス化した分子のサイズを示す概念図である。
【図15】p−lowk膜のポア径とポア数との関係を示す概念図である。
【図16】エッチング装置の構成を説明するための概念図である。
【図17】放電による乖離を必要とするエッチングガスの活性種を示す図である。
【図18】従来との比較を示す図である。
【図19】実施の形態2における半導体装置の製造工程の一部を表す工程断面図である。
【符号の説明】
【0091】
100,200 基体
150,152,154 開口部
210,422,423,426 SiO2膜
280,282 p−lowk膜
240,242 バリアメタル膜
250,252 シード膜
260,262 Cu膜
311,313 エアーギャップ
420,424 Si膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基体上に第1の薄膜を形成する第1の薄膜形成工程と、
前記第1の薄膜に第1の開口部を形成する第1の開口部形成工程と、
前記第1の開口部に導電性材料を堆積させる第1の導電性材料堆積工程と、
前記導電性材料が前記第1の開口部に堆積した前記第1の薄膜上に多孔質材料からなる第2の薄膜を形成する第2の薄膜形成工程と、
前記第2の薄膜に前記第2の薄膜を貫通する第2の開口部を形成する第2の開口部形成工程と、
前記第2の開口部に導電性材料を堆積させる第2の導電性材料堆積工程と、
前記第2の導電性材料堆積工程の後に前記第2の薄膜における孔を介して前記第1の薄膜を除去する薄膜除去工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の開口部を、前記第1の開口部に堆積した前記導電性材料に接続するように形成することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の薄膜の材料としてシリコーンを用い、前記シリコーンをドライエッチングすることによって前記第1の薄膜を除去することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基体上に複数の配線が犠牲膜内に埋め込まれてなる第1の配線層を形成し、
前記第1の配線層上に前記配線に接続するヴィアプラグを有する第2の配線層を形成し、
前記第2の配線層を形成した後に前記第1の配線層の配線間の前記犠牲膜を除去して空洞を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
隣接する配線間に空洞が形成された複数の配線と、
前記複数の配線の各配線の側面に配置され、少なくとも1部分で前記空洞側に突き出たつば部を有する補強膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【請求項1】
基体上に第1の薄膜を形成する第1の薄膜形成工程と、
前記第1の薄膜に第1の開口部を形成する第1の開口部形成工程と、
前記第1の開口部に導電性材料を堆積させる第1の導電性材料堆積工程と、
前記導電性材料が前記第1の開口部に堆積した前記第1の薄膜上に多孔質材料からなる第2の薄膜を形成する第2の薄膜形成工程と、
前記第2の薄膜に前記第2の薄膜を貫通する第2の開口部を形成する第2の開口部形成工程と、
前記第2の開口部に導電性材料を堆積させる第2の導電性材料堆積工程と、
前記第2の導電性材料堆積工程の後に前記第2の薄膜における孔を介して前記第1の薄膜を除去する薄膜除去工程と、
を備えたことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2の開口部を、前記第1の開口部に堆積した前記導電性材料に接続するように形成することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1の薄膜の材料としてシリコーンを用い、前記シリコーンをドライエッチングすることによって前記第1の薄膜を除去することを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
基体上に複数の配線が犠牲膜内に埋め込まれてなる第1の配線層を形成し、
前記第1の配線層上に前記配線に接続するヴィアプラグを有する第2の配線層を形成し、
前記第2の配線層を形成した後に前記第1の配線層の配線間の前記犠牲膜を除去して空洞を形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
隣接する配線間に空洞が形成された複数の配線と、
前記複数の配線の各配線の側面に配置され、少なくとも1部分で前記空洞側に突き出たつば部を有する補強膜と、
を備えたことを特徴とする半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
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【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2006−269537(P2006−269537A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−82325(P2005−82325)
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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