説明

半導体装置の製造方法

【課題】STI領域とゲートトレンチとの間に形成されるシリコンの薄膜部分をチャネル領域として用いる半導体装置の製造方法において、薄膜部分の膜厚及び幅の均一性を向上させる。
【解決手段】ゲートトレンチの延在方向と水平な断面A−A'において、STI領域104の上端部を半導体基板13の上に乗り上げさせ且つその乗り上げた部分の端部を半導体基板13に対して垂直となるように形成し、全面にシリコン窒化膜105及びシリコン酸化膜106を積層する。シリコン酸化膜106上にシリコン窒化膜107を形成し、シリコン窒化膜107をマスク形状にパターニングするドライエッチングの際、STI領域104の上端部はシリコン酸化膜106及びシリコン窒化膜105により保護される。STI領域104の上端部がマスクとなり、ゲートトレンチとSTI領域104との間にゲートトレンチ側に基板と略垂直な面を持つチャネル領域が形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置の製造方法に関し、特に、トレンチゲート型トランジスタを有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、DRAM(Dynamic Random Access Memory)セルの微細化に伴い、メモリセルトランジスタのゲート長も短くせざるを得なくなってきている。しかしながら、ゲート長が短くなればなるほどトランジスタの短チャネル効果が顕著になり、サブスレッショルド電流が増大するという問題がある。また、これを抑制すべく基板濃度を増大させた場合には接合リークが増大するため、DRAMにおいてはリフレッシュ特性の悪化が深刻な問題となる。
【0003】
この問題を回避するため、半導体基板に形成した溝にゲート電極を埋め込む、いわゆるトレンチゲート型トランジスタ(リセスチャネルトランジスタともいう)が注目されている。トレンチゲート型トランジスタによれば、実効チャネル長(ゲート長)を物理的に十分確保することができ、最小加工寸法が90nm以下の微細なDRAMも実現可能である。
【0004】
また、溝内に立体的なSOI(Silicon On Insulator)構造を形成し、そのシリコン層をチャネル領域として用いる方法も提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−274277号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のトレンチゲート型トランジスタでは、短チャネル効果を抑制することはできるものの、接合リーク電流の抑制や電源電圧の低電圧化等のためには、さらなる改良が必要である。
【0006】
そこで、本発明者は、トレンチゲート型トランジスタを有する半導体装置を改良すべく、種々の検討を重ねた。図18は、本発明者が提案した半導体装置の構造を説明するための図であり、(a)は略平面図、(b)は(a)に示すX−X'線に沿った略断面図である。
【0007】
図18(a)に示すように、STI(Shallow Trench Isolation)領域200に囲まれた活性領域201を横切るようにゲートトレンチ202を一方向に形成し、図18(b)に示すように、ゲートトレンチ202の側面にゲート絶縁膜203を形成し、ゲートトレンチ202の底部にゲート絶縁膜203よりも厚い絶縁膜204を形成し、ゲートトレンチ202内にゲート電極205を形成する。これにより、STI領域200の側面とゲートトレンチ202の側面との間に位置する部分206c(半導体基板206の一部)をチャネル領域として機能させる。このように、チャネル領域206cを非常に薄く形成することが可能であるため、SOI(Silicon On Insulator)構造のように、完全空乏化が可能となる。
【0008】
しかしながら、上記構成の半導体装置を製造するための従来の方法においては、チャネル領域206cの膜厚の均一性及びチャネル幅(SOI構造となる部分の深さ)の制御性が悪くなってしまうという問題が生じる。この問題について、図19〜図21を用いて以下に説明する。
【0009】
図19〜図21は、図18に示す半導体装置の製造工程のうち、ゲートトレンチの形成を概略的に示す工程図であり、図の左から順に、図18(a)におけるX−X'断面、Y−Y'断面及びZ−Z'断面に対応している。
【0010】
図19に示すように、半導体基板206表面にパッド酸化膜207が形成され、STI領域200となるシリコン酸化膜200が形成された半導体基板上の全面にゲートトレンチ形成の際にマスクとなるシリコン窒化膜208を形成する。
【0011】
次に、図20に示すように、レジスト膜(図示せず)をマスクとしてシリコン窒化膜208をドライエッチングし、シリコン窒化膜208にゲートトレンチの幅の開口を形成する。なお、このとき、図20のX−X'断面に示すように、STI領域であるシリコン酸化膜200の上端部には、テーパー状部分200sが残る。
【0012】
続いて、図21のZ−Z'断面に示すように、シリコン窒化膜208をマスクとしてドライエッチングを行うことにより、半導体基板206にゲートトレンチ209を形成する。
【0013】
このゲートトレンチ209形成のためのドライエッチングは、シリコン窒化膜208だけでなく、シリコン酸化膜200に対しても高選択比を持つ。このため、上述のシリコン酸化膜200のテーパー状部分200sの存在により、そのテーパー状部分200sがマスクとして機能し、図21のX−X'断面に示すように、ゲートトレンチ209にもテーパー形状が反映されてしまう。このようにして、図18(b)に示すチャネル領域206cが形成される。
【0014】
シリコン酸化膜200の上端部がテーパー状となるのは、シリコン窒化膜208をパターニングする際に露出するシリコン酸化膜200の角の部分が削れてしまったためと考えられる。このテーパー状部分200sのドライエッチング時における削られ方は各所によって異なるため、各トランジスタによってチャネル領域206cの膜厚及びチャネル幅(SOI構造となる部分の深さ)が不均一となってしまう。その結果、トランジスタの特性がばらついてしまうこととなる。
【0015】
したがって、本発明の目的は、STI領域とゲートトレンチとの間に形成されるシリコンの薄膜部分をチャネル領域として用いる半導体装置の製造方法において、薄膜部分の膜厚及び幅の均一性を向上させることの可能な半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による半導体装置の製造方法は、半導体基板にSTI(Shallow Trench Isolation)領域及び前記STI領域に囲まれた活性領域を形成する工程であって、前記活性領域を横切る方向において、前記STI領域を形成する第1の絶縁膜の上端部が前記活性領域の上端部上に乗り上げるように且つ前記半導体基板に対し略垂直な肩状部分を持つように形成する第1の工程と、前記肩状部分を含む全面に第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をこの順で形成する第2の工程と、前記第3の絶縁膜上にゲートトレンチ形成時にハードマスクとなる第4の絶縁膜を形成する第3の工程と、前記第3の絶縁膜をストッパとしてドライエッチングを行い前記第4の絶縁膜に前記ゲートトレンチの幅に対応する開口を形成する第4の工程と、前記開口下に露出した前記第3の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜を順次除去する第5の工程と、前記活性領域と略平行な方向においては、前記第4の絶縁膜をマスクとして、前記半導体基板にゲートトレンチを形成し、前記ゲートトレンチの延在する方向においては、前記STI領域の前記肩状部分をマスクとして前記ゲートトレンチを形成するとともに、前記ゲートトレンチと前記STI領域との間に半導体基板の一部を薄膜状に残存させる第6の工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
このように、本発明では、STI領域を形成する第1の絶縁膜の上端部が半導体基板に略垂直な肩状部分を持つようにし、この肩状部分を第2及び第3の絶縁膜で覆っておくことにより、第4の絶縁膜に開口を形成する際のドライエッチングにおいて、第1の絶縁膜の肩状部分が保護される。従って、第1の絶縁膜の肩状部分が削られることがなく、肩状部分をマスクとして半導体基板をエッチングしゲートトレンチを形成するとき、前記ゲートトレンチと前記STI領域との間に薄膜状に残存させる半導体基板の一部が、ゲートトレンチ側にテーパーを有する形状となるのを防止できる。これにより、トランジスタのチャネル領域となる薄膜部分の膜厚及び幅の均一性を向上させることができる。よって、トランジスタの特性のばらつきを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0019】
なお、以下に示す実施形態は、本発明をDRAMのメモリセルトランジスタに適用した例である。
【0020】
まず、本発明の好ましい実施の形態により形成されるDRAMのメモリセルトランジスタの構成につき詳細に説明する。
【0021】
図1(a)は、本実施形態のメモリセル領域におけるSTI領域(素子分離領域)10と、STI領域10によって分離された複数の活性領域11を示す平面図である。図1(a)に示すとおり、メモリセル領域においては、複数の活性領域が略均等に並べられるのが一般的であり、本例も同様である。
【0022】
図1(b)は、図1(a)に示された複数の活性領域11のうちの一つとその周辺のSTI領域10を示す平面図である。活性領域11を横切るように一方向にゲートトレンチ12が形成されている。
【0023】
図2は、本実施形態によるメモリセルトランジスタの構造を説明するための模式図であり、図1(b)の活性領域11に対応している。
【0024】
図2に示すように、ゲートトレンチ12の延在するX方向において、活性領域11の側面(すなわちSTI領域10の側面)11sとゲートトレンチ12の側面12sとの間には、半導体基板(シリコン基板)13の一部13cが介在している。そして、ゲートトレンチ12の延在方向Xに対して両側に位置する部分がソース領域14及びドレイン領域15(第1及び第2の拡散層領域とも呼ぶ)となる。なお、本例はDRAMであるため、読み込み動作か読み出し動作かによってソース及びドレイン領域が逆になることになるが、ここでは、中央の領域をソース領域14、両側の領域をドレイン領域15とし、また本メモリセルトランジスタはNチャネルトランジスタであるものとする。
【0025】
図2では、図の簡略化のため図示を省略しているが、図2のA−A'における略断面図である図3(a)及び図2のD−D'における略断面図である図3(b)に示すように、ゲートトレンチ12の側面には、ゲート絶縁膜16が設けられている。また、ゲートトレンチ12の底部には、ゲート絶縁膜16よりも厚い絶縁膜17が設けられている。さらにゲートトレンチ12内にはトレンチゲート電極18が埋め込まれている。
【0026】
このような構造により、活性領域11(STI領域(図1の10参照))の側面11sとゲートトレンチ12の側面12sとの間に位置し、STI領域10の側面と略平行に薄く介在する平面状に設けられた部分(半導体基板13の一部分)13cをチャネル領域として機能させることができる。すなわち、図2のゲート電極18とソース領域14との電位差が閾値電圧を超えたとき、矢印19で示すように、ゲートトレンチ12のSTI領域10と隣接する側面部分に電流がY方向に流れる構造となる。チャネル領域の一方の表面は、STI領域10に接しており、チャネル領域の他方の表面はゲート絶縁膜16に接している。つまり、STI領域10とゲート絶縁膜16との間には、半導体基板13の一部分であるチャネル領域しか存在しない。
【0027】
この側面11sと側面12sとの間に位置する部分13c、すなわちチャネル領域は、非常に薄く形成することが可能であるため、SOI(Silicon On Insulator)構造のように、完全空乏化することができる。このチャネル領域13cの厚さは、完全空乏化のため、5nm以上、25nm以下であることが好ましい。
【0028】
また、ゲートトレンチ12の底部には、ゲート絶縁膜16よりも厚い絶縁膜17を設けていることにより、ゲートトレンチ12の底部に反転層、すなわち、チャネルが形成されにくい構造となる。厚い絶縁膜17は、ゲートトレンチ12の下の半導体基板にチャネルが形成されない程度の厚さに設定されている。したがって、このメモリセルトランジスタのチャネル領域は、活性領域11の側面11s(STI領域10の側面)とゲートトレンチ12の側面12sとの間に位置する部分13cのみとすることができる。これにより、半導体基板の不純物濃度が低い状態でも短チャネル効果を抑制することができ、その結果、接合リークが抑制され、リフレッシュ特性を向上させることが可能となる。
【0029】
次に、図4乃至図15を用いて、本発明の好ましい実施の形態による半導体装置の製造方法につき、詳細に説明する。図4乃至図15は、本実施形態による半導体装置の製造工程を概略的に示す工程図であり、図の左から順に、図1(b)におけるA−A'断面、B−B'断面及びC−C'断面に対応している。
【0030】
まず、図4に示すように、半導体基板13上に厚さ約9nmのパッド酸化膜101及び厚さ約120nmのシリコン窒化膜102を形成し、周知のフォトリソグラフィー技術を用いて、図1に示す活性領域11に対応する形状にこれらパッド酸化膜101及びシリコン窒化膜102をドライエッチングによりパターニングする。なお、このときオーバーエッチングが行われるため、A−A'断面及びB−B'断面に示すように半導体基板13の表面も少しエッチングされる。
【0031】
次に、図5に示すように、シリコン窒化膜102をマスクとして、半導体基板13に深さ約250nmのSTI用のトレンチ10tを形成する。なお、このときシリコン窒化膜102も上面が50nm程度削られる。
【0032】
続いて、図6に示すように、HDP−CVD(High Density Plasma ? Chemical Vapor Deposition)法により、トレンチ10t内を含む全面に厚さ約400nmのシリコン酸化膜104を形成する。その後、シリコン窒化膜102をストッパとして、シリコン酸化膜104をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨除去する。
【0033】
CMP終了後、図7に示すように、シリコン酸化膜104の上部をウェットエッチングにより除去し、続いて、シリコン窒化膜102を160℃の熱リン酸によるウェットエッチングにより除去する。これにより、図1におけるSTI領域10(すなわちシリコン酸化膜104)及びこれにより囲まれてそれぞれ分離された活性領域11が完成する。このとき、図7のA−A'断面に示すように、シリコン酸化膜104の上端部が半導体基板13の活性領域の上端部上に乗り上げるように、且つ半導体基板13に対して略垂直な肩状部分104sを持つように、上記シリコン酸化膜104のウェットエッチングを制御する。肩状部分104sの段差は、約30nmとするのが好ましい。
【0034】
次に、図8に示すように、厚さ約5nmのシリコン窒化膜105及び厚さ約5nmのシリコン酸化膜106をこの順で全面に形成する。なお、シリコン窒化膜105の膜厚は5〜10nmの範囲で変更可能である。また、シリコン酸化膜106の膜厚は5〜30nmの範囲で変更可能である。
【0035】
次に、図9に示すように、ゲートトレンチ12形成時にハードマスクとなる厚さ約120nmのシリコン窒化膜107を全面に形成する。
【0036】
続いて、図10に示すように、フォトレジスト(図示せず)を用いて、シリコン窒化膜107を、ゲートトレンチ12を形成する領域上に開口が形成されるように、ドライエッチングによりパターニングする。これにより、シリコン窒化膜107は、活性化領域上にゲートトレンチの幅に対応する開口を備えたマスク層となる。このとき、シリコン窒化膜107の下にはシリコン酸化膜106が形成されているため、シリコン窒化膜107のドライエッチングは、シリコン酸化膜106が開口底部に露出した時点で終了することができる。すなわち、シリコン酸化膜106は、シリコン窒化膜107に開口を形成する際にエッチングストッパ(保護膜)として機能する。シリコン窒化膜107のドライエッチングには、CF4、CHF3、を含む混合ガスによる異方性ドライエッチング法を用い、シリコン酸化膜に対するエッチング速度比が8より大きい条件で行なうことができる。
【0037】
次に、図11に示すように、シリコン窒化膜(ハードマスク)107の開口下に露出しているシリコン酸化膜106をウェットエッチングにより除去する。このとき、シリコン窒化膜105は、シリコン酸化膜106のウェットエッチングにおけるエッチングストッパとして機能する。続いて、140℃の熱リン酸により厚さ5nmのシリコン窒化膜105を除去する。このとき、シリコン窒化膜107は充分な膜厚を有しているので残存させることができる。
【0038】
次に、図12に示すように、シリコン窒化膜107をマスクとして用いて、まず、パッド酸化膜101をドライエッチングにより除去する。このときのエッチングガスとしては、例えば、CF,CHF及びArの混合ガスを用いることができる。続いて、シリコン窒化膜107及びSTI領域を構成する絶縁膜であるシリコン酸化膜104に対して高い選択比を持つドライエッチングに切り換え、シリコン窒化膜107をマスクに半導体基板13をエッチングし、深さ約140nmのゲートトレンチ12を形成する。このゲートトレンチ12形成のためのエッチングには、例えば、Cl2、HBr、O2の混合ガスによる異方性ドライエッチングを用い、半導体基板のシリコン酸化膜に対するエッチング速度比が20より大きい条件で行なうことができる。
【0039】
このゲートトレンチ12形成のためのドライエッチングは、シリコン窒化膜105だけでなく、シリコン酸化膜104に対しても高選択比を持つため、上述のシリコン酸化膜104の肩状部分104sの存在により、図12のA−A'断面に示すように、その肩状部分104sがマスクとして機能し、ゲートトレンチ12の両側に半導体基板13の一部13cがエッチングされずに薄く残存する。この薄く残った半導体基板13の一部13cの厚さは約15〜35nmとなる。シリコン酸化膜104の肩状部分104sは、上述のとおり、半導体基板13に対して略垂直となっていることにより、A−A'断面におけるゲートトレンチ12の側面12sは半導体基板に対して略垂直に形成することができる。
【0040】
次に、図13に示すように、まず、ゲートトレンチ12内面に熱酸化により厚さ約10nmの犠牲酸化膜108を形成する。その後、HDP−CVD法により、全面に厚さ約50nmのシリコン酸化膜109を形成する。このとき、HDP−CVD法の特性上、シリコン酸化膜109は、平面上、すなわちゲートトレンチ12の底部、シリコン酸化膜104の上面及びシリコン窒化膜107の上面上には厚く形成され、ゲートトレンチ12の側面上には薄く形成される。
【0041】
次に、図14に示すように、シリコン窒化膜107上のシリコン酸化膜109をCMPにより除去する。
【0042】
次に、まず、フッ酸等を用いて短時間のウェットエッチングを行い、シリコン窒化膜107の開口側面にある薄いシリコン酸化膜109を除去した後、図15に示すように、熱リン酸によるウェットエッチングにより、シリコン窒化膜107を除去する。
【0043】
次に、図16に示すように、ゲートトレンチ12の側面上及びパッド酸化膜101をウェットエッチングにより除去する。このとき、ゲートトレンチ12底部のシリコン酸化膜109の上部もエッチングされて薄くなるが、その膜厚(犠牲酸化膜108の厚さも含む)が、後にゲートトレンチ12の側面に形成するゲート絶縁膜よりも厚くなるようにウェットエッチングのエッチングの時間等の条件を設定する。これにより、ゲートトレンチ12底部に厚さ約20〜30nmの厚い絶縁膜17(犠牲酸化膜108を含む)が形成される。なお、ゲートトレンチ12に厚い絶縁膜17を形成するために、シリコン酸化膜104の上面にシリコン酸化膜109が残るが、この膜は、本半導体装置において何ら悪影響を及ぼすものではないため、特に除去する必要はなく、そのまま残しておいて構わない。
【0044】
その後、図17に示すように、熱酸化により、ゲートトレンチ12の側面及び周辺回路部の半導体基板13上を含む全面に、厚さ約8nmのゲート絶縁膜16を形成する。続いて、ゲートトレンチ12内を含む全面に厚さ約100nmのドープドポリシリコン(DOPOS)膜110を形成し、さらにその上に金属層として厚さ約5nmの窒化タングステン(WN)膜上に厚さ約70nmのタングステン(W)膜を積層したW/WN膜111及び厚さ約140nmのシリコン窒化膜112をこの順で形成する。次に、これらDOPOS膜110、W/WN膜111及びシリコン窒化膜112の積層膜をゲート電極形状にパターニングする。これにより、ゲートトレンチ12内にDOPOS膜110の一部が埋め込まれた第1部分とそれと連続して半導体基板13表面から突出した第2部分を有するメモリセルトランジスタのトレンチゲート電極18が完成する。
【0045】
続いて、図17に示すように、メモリセルトランジスタのトレンチゲート電極18をマスクにイオン注入を行い、ゲートトレンチ12の延在方向に対して両側に位置する部分に、深さ約80nmのソース領域14及びドレイン領域15を形成する。
【0046】
次に、トレンチゲート電極18の側面に厚さ約25nmのサイドウォール絶縁膜113を形成し、その後、コンタクトプラグ115を形成する。
【0047】
その後は図示を省略するが、通常の方法により、メモリセルキャパシタや配線等を形成し、DRAMが完成する。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、図17のA−A'断面に示すように、STI領域であるシリコン酸化膜104の側面11sとゲートトレンチ12の側面12sとの間に位置するチャネル領域13cのゲートトレンチ12と隣接する側を半導体基板13に対し略垂直にすることができる。すなわち、図9、10に示すように、シリコン窒化膜107をドライエッチングしてハードマスクを形成する際、A−A'断面における半導体基板13及びシリコン酸化膜(STI領域)104の表面がシリコン窒化膜105及びシリコン酸化膜106で覆われているため、STI領域104の上端部の角が削れてしまうことを防止することができる。これにより、チャネル領域13cがゲートトレンチ12側にテーパーを有する形状となるのを防止できる。従って、各トランジスタによってチャネル領域13cの厚さや深さ(幅)にばらつきが生じることを抑制できる。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0050】
例えば、上記実施形態は、DRAMのメモリセルトランジスタに本発明を適用した例を示したが、本発明は、特にメモリに限らず、ロジック系のデバイスに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法を説明するための平面図である。
【図2】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法におけるメモリセルトランジスタの構造を説明するための模式図である。
【図3】図3(a)は図2のA−A'断面図、図3(b)は図2のD−D'断面図である。
【図4】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(パッド酸化膜101及びシリコン窒化膜102のパターニング)を示す断面図である。
【図5】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(STI用トレンチ10tの形成)を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン酸化膜104の形成)を示す断面図である。
【図7】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン酸化膜104のエッチング及びシリコン窒化膜102の除去)を示す断面図である。
【図8】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン窒化膜105及びシリコン酸化膜106の形成)を示す断面図である。
【図9】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン窒化膜107の形成)を示す断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン窒化膜107のパターニング)を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン窒化膜105及びシリコン酸化膜106の除去)を示す断面図である。
【図12】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(ゲートトレンチ12の形成)を示す断面図である。
【図13】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(犠牲酸化膜108及びシリコン酸化膜109の形成)を示す断面図である。
【図14】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン酸化膜109の選択除去)を示す断面図である。
【図15】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン窒化膜107、シリコン酸化膜106及びシリコン窒化膜105の除去)を示す断面図である。
【図16】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(パッド酸化膜101及び犠牲酸化膜108の除去)を示す断面図である。
【図17】本発明の実施形態による半導体装置の製造方法の一工程(ゲート電極18の形成、サイドウォール絶縁膜113の形成、ソース・ドレイン領域14・15の形成及びコンタクトプラグ115の形成)を示す断面図である。
【図18】従来技術による半導体装置の製造方法を説明するための平面図及び断面図である。
【図19】従来技術による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン窒化膜208の形成)を示す断面図である。
【図20】従来技術による半導体装置の製造方法の一工程(シリコン窒化膜208のパターニング)を示す断面図である。
【図21】従来技術による半導体装置の製造方法の一工程(ゲートトレンチ209の形成)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 STI領域
10t STI用トレンチ
11 活性領域
11s 活性領域の側面
12 ゲートトレンチ
12s ゲートトレンチの側面
13c チャネル領域
14 ソース領域
15 ドレイン領域
16 ゲート絶縁膜
17 厚い絶縁膜
18 ゲート電極
101 パッド酸化膜
102 シリコン窒化膜
104 シリコン酸化膜
104s シリコン酸化膜の肩状部分
105 シリコン窒化膜
106 シリコン酸化膜
108 犠牲酸化膜
109 シリコン酸化膜
110 DOPOS膜
111 W/WN膜
112 シリコン窒化膜
113 サイドウォール絶縁膜
115 コンタクトプラグ
200 STI領域
201 活性領域
200s STI領域の肩状部分
202 ゲートトレンチ
203 ゲート絶縁膜
204 厚い絶縁膜
205 ゲート電極
206 半導体基板
206c チャネル領域
207 パッド酸化膜
208 シリコン窒化膜
209 ゲートトレンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板にSTI(Shallow Trench Isolation)領域及び前記STI領域に囲まれた活性領域を形成する工程であって、前記活性領域を横切る方向において、前記STI領域を形成する第1の絶縁膜の上端部が前記活性領域の上端部上に乗り上げるように且つ前記半導体基板に対し略垂直な肩状部分を持つように形成する第1の工程と、
前記肩状部分を含む全面に第2の絶縁膜及び第3の絶縁膜をこの順で形成する第2の工程と、
前記第3の絶縁膜上にゲートトレンチ形成時にハードマスクとなる第4の絶縁膜を形成する第3の工程と、
前記第3の絶縁膜をストッパとしてドライエッチングを行い前記第4の絶縁膜に前記ゲートトレンチの幅に対応する開口を形成する第4の工程と、
前記開口下に露出した前記第3の絶縁膜及び前記第2の絶縁膜を順次除去する第5の工程と、
前記活性領域と略平行な方向においては、前記第4の絶縁膜をマスクとして、前記半導体基板にゲートトレンチを形成し、前記ゲートトレンチの延在する方向においては、前記STI領域の前記肩状部分をマスクとして前記ゲートトレンチを形成するとともに、前記ゲートトレンチと前記STI領域との間に半導体基板の一部を薄膜状に残存させる第6の工程とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記半導体基板の前記一部は、前記ゲートトレンチ側に前記半導体基板に対して略垂直な面を備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1及び第3の絶縁膜がシリコン酸化膜であり、前記第2及び第4の絶縁膜がシリコン窒化膜であることを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記第6の工程は、前記第4の絶縁膜及び前記第1の絶縁膜の両方に対して高い選択比を有するエッチングを用いることを含むことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第6の工程に続いて、前記ゲートトレンチの底部に厚い絶縁膜を形成する第7の工程と、前記ゲートトレンチの側面にゲート絶縁膜を形成する第8の工程とを更に備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第7の工程は、HDP(High Density Plasma)−CVDにより少なくとも前記ゲートトレンチの前記側面及び前記底部に絶縁膜を堆積するステップと、ウェットエッチングにより前記ゲートトレンチの前記側面上に形成された絶縁膜を除去するステップとを含むことを特徴とする請求項5に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ゲートトレンチ底部の前記厚い絶縁膜の下はチャネル領域とならないことを特徴とする請求項5又は6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板にSTI領域及び前記STI領域に囲まれた活性領域を形成する第1の工程と、
前記活性領域と前記STI領域との境界における前記STI領域の肩状部分を保護する保護膜を形成する第2の工程と、
前記活性領域を横切るように一方向にゲートトレンチを形成すると同時に、前記STI領域の側面と前記ゲートトレンチの側面との間に前記半導体基板の一部を残存させる第3の工程と、
前記ゲートトレンチの側面にゲート絶縁膜を形成する第4の工程と、
少なくとも一部が前記ゲートトレンチ内に埋め込まれたゲート電極を形成する第5の工程と、
前記半導体基板の前記一部がチャネル領域として機能するように、前記活性領域内に存在する前記半導体基板のうち、前記ゲートトレンチの延在方向に対して両側に位置する部分にソース領域及びドレイン領域を形成する第6の工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第2の工程を行った後、前記第3の工程を行う前に、前記ゲートトレンチが形成される部分における前記保護膜を除去することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記保護膜は、材料の異なる複数の絶縁膜によって構成されていることを特徴とする請求項8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記保護膜に含まれる少なくとも一つの絶縁膜は、前記第3の工程において用いるマスクとは異なる材料によって構成されていることを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−21828(P2008−21828A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−192456(P2006−192456)
【出願日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】