説明

半導体装置の製造方法

【課題】配線中に残留した不純物金属の濃度が少ない半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板上に絶縁膜を形成し、絶縁膜に凹部を形成し、凹部の形成された絶縁膜の表面に所定の金属元素を含む前駆体膜を形成し、前駆体膜上に配線形成膜を堆積させ、酸化雰囲気下で熱処理を施すことにより、前駆体膜と絶縁膜を反応させ、その境界面に所定の金属元素と絶縁膜の構成元素を含む化合物を主成分とする自己形成バリア膜を形成し、未反応の所定の金属元素を配線形成膜内に拡散移動させて配線形成膜表面で雰囲気中の酸素と反応させ、未反応金属酸化膜として析出させ、未反応金属酸化膜を除去し、未反応金属酸化膜を除去する工程の後、配線形成膜上に、配線形成膜と同一の材料を堆積させて、配線形成膜を積み増した後、凹部外の絶縁膜が露出するまで配線形成膜を平坦化して配線構造を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自己整合的に形成されるバリア膜により被覆された配線構造を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置の製造方法として、Cuを主成分とする配線本体層と層間絶縁膜との間にCuの拡散を防止するためのバリア膜が自己整合的に形成された配線構造を有する半導体装置の製造方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このバリア膜は、Mn等の所定の金属元素と層間絶縁膜の構成元素との化合物を主成分とする。この所定の金属元素は、酸化物を形成し易く且つこの酸化物は層間絶縁膜との濡れ性に富むため、この半導体装置は、配線本体層と層間絶縁膜との間に均質で超薄肉の安定なバリア膜を有する。
【0004】
この半導体装置の製造方法によると、層間絶縁膜に形成した配線溝内に例えばMnとCuの合金膜を形成し、その上に配線の材料であるCu膜を堆積させる。そこで熱処理を施すことにより、バリア膜が形成されると同時に、MnがCu膜内を拡散移動して、Cu膜表面にMn酸化物を主成分とする絶縁膜として析出する。この絶縁膜を除去することにより、MnをCu膜から取り除くことができる。
【0005】
しかし、この半導体装置の製造方法によると、Cu膜を0.8〜1.0μmの厚さで堆積させるため、Cu膜表面にMnの酸化物を主成分とする絶縁膜を析出させる際に、MnがCu膜表面まで移動しきれずにCu膜内に残留してしまうおそれがある。残留したMnは、不純物金属として配線の比抵抗を上昇させる原因となる。
【0006】
また、この半導体装置の製造方法によると、MnとCuの合金膜上にCu膜を堆積させる前に熱処理を行い、バリア膜を形成する方法を用いることもできる。しかし、この方法によると、バリア膜が形成される際にバリア膜の表面に形成されるCu膜が凝集し、その上に堆積させるCu膜が剥がれてしまうおそれがある。
【特許文献1】特開2005−277390号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の一態様は、配線中に残留した不純物金属の濃度が少ない半導体装置の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態によれば、半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部の形成された前記絶縁膜の表面に所定の金属元素を含む前駆体膜を形成する工程と、
前記前駆体膜上に配線形成膜を堆積させる工程と、
熱処理を施すことにより、前記前駆体膜と前記絶縁膜を反応させて、その境界面に前記所定の金属元素と前記絶縁膜の構成元素を含む化合物を主成分とする自己形成バリア膜を形成し、未反応の前記所定の金属元素を前記配線形成膜内に拡散させる工程と、
前記自己形成バリア膜を形成し、未反応の前記所定の金属元素を前記配線形成膜内に拡散させる工程の後、前記凹部外の前記絶縁膜が露出するまで前記配線形成膜を平坦化する工程と、
前記配線形成膜を平坦化する工程の後、酸化雰囲気下で熱処理を施すことにより、前記配線形成膜内に拡散した前記所定の金属元素を前記配線形成膜表面で雰囲気中の酸素と反応させ、前記反応を前記自己形成バリア膜内まで進めることにより、前記配線形成膜の上面、および上面付近の側面に未反応金属酸化膜を析出させ、前記配線形成膜の上面端部を丸めて配線構造を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0009】
以下に記す本発明の各実施の形態において、配線およびビアを自己形成バリア膜で被膜したデュアルダマシン配線構造を有する半導体装置について説明する。
【0010】
配線は、Cuを主成分(全体の50原子%以上)とする材料からなり、自己形成バリア膜は、所定の金属元素αを含むαSi、αC、およびαF(x、yは実数)の内のいずれかを主成分とする材料からなる。ここで、所定の金属元素αは、Mn、Mn、V、Zn、Nb、Zr、Cr、Y、Tc、およびReの内のいずれかである。
【0011】
また、自己形成バリア膜を形成するための前駆体膜として、所定の金属αを含む膜が用いられる。
【0012】
なお、所定の金属元素αがMn、自己形成バリア膜がMnSi、前駆体膜がCuMn合金であることが好ましい。
【0013】
〔第1の実施の形態〕
【0014】
図1A(a)〜(c)、図1B(d)〜(e)、図1C(f)〜(g)、図1D(h)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0015】
まず、図1A(a)に示すように、自己形成バリア膜12で側面および底面を覆われた第1の配線11が形成された第1の層間絶縁膜2、およびキャップ層3の上に、第1のバリア膜4、第2の層間絶縁膜5、第2のバリア膜6、第1の層間絶縁膜2、キャップ層3を順次積層する。
【0016】
ここで、第1の層間絶縁膜2はPAr(ポリアリーレンエーテル)等の誘電率の低い有機絶縁膜を用いることができる。第2のバリア膜6上の第1の層間絶縁膜2は、例えば、50nmの厚さを有する。
【0017】
キャップ層3は、例えば、厚さ50〜80nmのSiO等の無機絶縁膜を用いることができる。
【0018】
第1のバリア膜4は、例えば、厚さ10〜30nmのSiCN、SiC等の無機絶縁膜を用いることができる。なお、第1のバリア膜4は、第1の配線11のCuの拡散を防止し、また、配線形成時のエッチングストッパとして働く。
【0019】
第2の層間絶縁膜5は、例えば、厚さ50nmのSiOC等の無機絶縁膜を用いることができる。
【0020】
第2のバリア膜6は、例えば、厚さ10nmのSiOC等の無機絶縁膜を用いることができる。なお、第2のバリア膜6は、配線形成時のエッチングストッパとして働く。
【0021】
なお、第1のバリア膜4、第2の層間絶縁膜5、第2のバリア膜6、第1の層間絶縁膜2、キャップ層3は、自己形成バリア膜12がαSiである場合はそれぞれSiを含む絶縁膜であればよく、また、自己形成バリア膜12がαC、またはαFである場合はC、またはFを含む絶縁膜であればよい。
【0022】
次に、図1A(b)に示すように、エッチングにより、後述する第2の配線17、およびビア18を形成するための配線溝(凹部)13を形成する。
【0023】
次に、図1A(c)に示すように、第1のバリア膜4、第2の層間絶縁膜5、第2のバリア膜6、第1の層間絶縁膜2、キャップ層3の配線溝13により露出した部分を覆うように前駆体膜14をスパッタリング、CVD(Chemical Vapor Deposition)法等により形成する。
【0024】
ここで、前駆体膜14は、例えば、厚さ20〜90nmのCuMn合金(Mn濃度は4〜10原子%)である。
【0025】
次に、図1B(d)に示すように、前駆体膜14をシード層としためっき、またはCVD法等により、前駆体膜14上に配線形成膜15を堆積させる。
【0026】
ここで、配線形成膜15は、例えば、キャップ層3上の前駆体膜14表面からの厚さが10〜110nmのCuである。
【0027】
次に、図1B(e)に示すように、酸化雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、前駆体膜14が第1のバリア膜4、第2の層間絶縁膜5、第2のバリア膜6、第1の層間絶縁膜2、キャップ層3と反応し、自己形成バリア膜12が自己整合的に形成される。このとき、配線形成膜15のキャップ層3上の前駆体膜14表面からの厚さが10nm以上である場合、熱処理による配線形成膜15の凝集が生じにくい。
【0028】
一方、前駆体膜14中の未反応の所定の金属元素αが配線形成膜15内を拡散移動し、未反応金属酸化膜16として表面に析出する。このとき、配線形成膜15のキャップ層3上の前駆体膜14表面からの厚さが110nmを超える場合、未反応の所定の金属元素αの配線形成膜15の表面までの移動距離が増えるため、析出が進まずに配線形成膜15内に多量に残留してしまうおそれがある。
【0029】
前駆体膜14がCuMn合金、自己形成バリア膜12がMnSiである場合は、前駆体膜14に含まれるMnと、第2の層間絶縁膜5、第2のバリア膜6、キャップ層3等に含まれるSi、Oにより、厚さ2〜10nm程度のMnSiが自己形成バリア膜12として形成される。なお、前駆体膜14中のCuは配線形成膜15内に拡散する。
【0030】
また、未反応金属酸化膜16は、前駆体膜14中の未反応のMnが配線形成膜15内を拡散移動し、表面にMnO(xは実数)として析出したものである。この場合、Cu配線となる配線形成膜15内には、約0.04原子%のMnが含まれ、Mnが全く含まれない場合と比較して、比抵抗が約0.14μΩ/cm上昇する。この比抵抗の上昇値は、実際の使用上ほとんど問題にならない。なお、約0.05原子%以下のMnが含まれる場合、比抵抗の上昇が問題にならない一方、MnがCuの移動を妨げるため、エレクトロマイグレーションやストレスボイドに対する高い信頼性を得ることができる。
【0031】
次に、図1C(f)に示すように、未反応金属酸化膜16を塩酸等の酸を用いて除去し、続く工程でCMP(Chemical Mechanical Polishing)を施すための十分な厚さ、例えば0.8〜1.5μmまで、めっき、CVD法等により配線形成膜15を積み増す。
【0032】
次に、図1C(g)に示すように、キャップ層3をストッパとしてCMPを施すことにより、キャップ層3が露出するまで配線形成膜15を平坦化し、第2の配線17、および第1の配線11と第2の配線17を接続するビア18を形成する。また、キャップ層3上の自己形成バリア膜12はCMPにより除去される。
【0033】
次に、図1D(h)に示すように、第2の配線17、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成する。さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0034】
(第1の実施の形態の効果)
この第1の実施の形態によれば、配線形成膜15をキャップ層3上の前駆体膜14表面からの厚さが10〜110nmとなるように形成した後に、未反応金属酸化膜16を析出させることにより、未反応の所定の金属元素αの配線形成膜15への残留量を低く抑え、第2の配線17の比抵抗をほとんど上昇させず、且つエレクトロマイグレーションやストレスボイドに対する高い信頼性を得ることができる。
【0035】
なお、当然であるが、第1の配線11を第2の配線17と同様の方法で形成することができる。
【0036】
〔第2の実施の形態〕
本発明の第2の実施の形態は、CMPによる配線形成膜15の平坦化を行った後に未反応金属酸化膜16を析出させる点において第1の実施の形態と異なる。なお、他の部分の構成等、第1の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0037】
図2A(a)〜(b)、図2B(c)〜(d)、図2C(e)〜(f)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0038】
まず、第1の実施の形態において図1A(c)で示した、前駆体膜14を形成するまでの工程を行う。
【0039】
次に、図2A(a)に示すように、前駆体膜14をシード層としためっき、またはCVD法等により、前駆体膜14上に配線形成膜15を堆積させる。ここで、配線形成膜15は、続く工程でCMPを施すための十分な厚さ、例えばキャップ層3上の前駆体膜14表面からの厚さが1〜1.5μmとなるように形成する。
【0040】
次に、図2A(b)に示すように、望ましくは還元雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、前駆体膜14が第1のバリア膜4、第2の層間絶縁膜5、第2のバリア膜6、第1の層間絶縁膜2、キャップ層3と反応し、自己形成バリア膜12となる。なお、この時点で、前駆体膜14中の未反応の所定の金属元素αは配線形成膜15内に拡散した状態であり、まだ未反応金属酸化膜16として析出しない。
【0041】
次に、図2B(c)に示すように、CMPにより配線形成膜15を途中の厚さまで後退させる。例えば、キャップ層3上の自己形成バリア膜12表面からの厚さが10〜110nmになるまで削る。
【0042】
次に、図2B(d)に示すように、酸化雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、配線形成膜15の表面に未反応金属酸化膜16を析出させる。
【0043】
次に、図2C(e)に示すように、未反応金属酸化膜16を塩酸等の酸を用いて除去した後、キャップ層3をストッパとしてCMPを施すことにより、キャップ層3が露出するまで配線形成膜15を平坦化し、第2の配線17、および第1の配線11と第2の配線17を接続するビア18を形成する。また、キャップ層3上の自己形成バリア膜12はCMPにより除去される。
【0044】
なお、このとき、酸性のCMPスラリーを用いることにより、CMPにより未反応金属酸化膜16の除去と配線形成膜15の平坦化を連続して行うことができる。
【0045】
次に、図2C(f)に示すように、第2の配線17、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成する。さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0046】
(第2の実施の形態の効果)
この第2の実施の形態によれば、異なる製造方法により、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態は、配線形成膜15にキャップ層3の表面の高さまでCMPを施した後に未反応金属酸化膜16を析出させる点において第2の実施の形態と異なる。
なお、他の部分の構成等、第2の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0048】
図3A(a)〜(b)、図3B(c)〜(d)は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0049】
まず、第2の実施の形態において図2A(b)で示した、自己形成バリア膜12を形成し、未反応の所定の金属元素αを配線形成膜15内に拡散させるまでの工程を行う。
【0050】
次に、図3A(a)に示すように、キャップ層3をストッパとしてCMPを施し、キャップ層3が露出するまで配線形成膜15を平坦化する。また、キャップ層3上の自己形成バリア膜12はCMPにより除去される。
【0051】
次に、図3A(b)に示すように、酸化雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、配線形成膜15の表面に未反応金属酸化膜16を析出させる。このとき、自己形成バリア膜12は所定の金属αと酸素を含むため、自己形成バリア膜12にまで未反応金属酸化膜16の生成反応が進み、未反応金属酸化膜16の外縁部はキャップ層3に沿って下方に延びた形状となる。
【0052】
未反応金属酸化膜16がMnO、自己形成バリア膜12がMnSiである場合、自己形成バリア膜12にMn、Oが含まれるため、MnOの生成反応が自己形成バリア膜12内にまで進む。これにより、上面端部が丸まった形状を有する第2の配線17、および第1の配線11と第2の配線17を接続するビア18が形成される。
【0053】
次に、図3B(c)に示すように、未反応金属酸化膜16を塩酸等の酸を用いて除去する。
【0054】
次に、図3B(d)に示すように、第2の配線17、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成する。さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0055】
なお、未反応金属酸化膜16は絶縁膜であるため、除去しなくてもよい。その場合、未反応金属酸化膜16の上に第1のバリア膜4を形成する。
【0056】
(第3の実施の形態の効果)
この第3の実施の形態によれば、第2の配線17の上面端部を丸まった形状とすることにより、電界集中を抑えることができる。また、第2の配線17上面とキャップ層3上面の高さを変えることにより、リーク電流を軽減することができる。
【0057】
なお、当然であるが、第1の配線11を第2の配線17と同様の方法で形成することができる。
【0058】
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る配線構造のリーク電流特性を表すグラフである。同図中の、下側の曲線が、第3の実施の形態に係る上面端部が丸まった配線の特性を表し、上側の曲線が、従来の上面端部が丸まっていない配線の特性を表す。それぞれ、隣接した2つの配線間に所定の大きさの電界(図4横軸)を発生させたときに発生するリーク電流の大きさ(図4縦軸)を表す。
【0059】
図4より、従来の上面端部が丸まっていない配線では、電界の大きさが約3.8MV/cmを超えた辺りで絶縁破壊が生じ、リーク電流の大きさが跳ね上がることがわかる。一方、第3の実施の形態に係る上面端部が丸まった配線では、従来の配線構造よりも全体的にリーク電流が小さく、また、測定範囲内では絶縁破壊が生じないことがわかる。
【0060】
〔第4の実施の形態〕
本発明の第4の実施の形態は、配線形成膜15上に第1のバリア膜4を形成した後に未反応金属酸化膜16を析出させる点において第3の実施の形態と異なる。なお、他の部分の構成等、第3の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0061】
図5(a)〜(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0062】
まず、第3の実施の形態において図3A(a)で示した、キャップ層3をストッパとして配線形成膜15にCMPを施すまでの工程を行う。
【0063】
次に、図5(a)に示すように、配線形成膜15、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成する。
【0064】
次に、図5(b)に示すように、酸化雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、配線形成膜15の上面に未反応金属酸化膜16を析出させる。このとき、自己形成バリア膜12は未反応金属酸化膜16を構成する金属と酸素を含むため、自己形成バリア膜12にまで未反応金属酸化膜16の生成反応が進み、未反応金属酸化膜16の外縁部はキャップ層3に沿って下方に延びた形状となる。さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0065】
(第4の実施の形態の効果)
この第4の実施の形態によれば、異なる製造方法により、第3の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
〔第5の実施の形態〕
本発明の第5の実施の形態は、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成する点において第1、または第2の実施の形態と異なる。なお、他の部分の構成等、第1、または第2の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0067】
図6は、本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0068】
まず、第1の実施の形態において図1D(h)、または第2の実施の形態において図2C(f)で示した、第2の配線17、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成するまでの工程を行う。ただし、本実施の形態においては、第2の配線17内に、第2の配線17の上面に自己形成バリア膜12を形成することができるだけの所定の金属αが残留しているものとする。
【0069】
次に、図6に示すように、望ましくは還元雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、第2の配線17と、第2の配線17上の第1のバリア膜4との間に反応が生じ、第2の配線17の上面に自己形成バリア膜12が形成される。
【0070】
自己形成バリア膜12がMnSiである場合は、第2の配線17内に残留していたMnと、第1のバリア膜4に含まれるSi、Oにより第2の配線17の上面の自己形成バリア膜12が形成される。
【0071】
さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0072】
(第5の実施の形態の効果)
この第5の実施の形態によれば、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成することにより、第1、または第2の実施の形態よりもさらにリーク電流を低減することができる。
【0073】
なお、当然であるが、第1の配線11を第2の配線17と同様の方法で形成することができる。
【0074】
〔第6の実施の形態〕
本発明の第6の実施の形態は、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成する点において第3の実施の形態と異なる。なお、他の部分の構成等、第3の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0075】
図7は、本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0076】
まず、第3の実施の形態において図3B(d)で示した第2の配線17、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成するまでの工程を行う。ただし、本実施の形態においては、第2の配線17内に、第2の配線17の上面に自己形成バリア膜12を形成することができるだけの所定の金属αが残留しているものとする。
【0077】
次に、図7に示すように、望ましくは還元雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、第2の配線17と、第2の配線17上の第1のバリア膜4との間に反応が生じ、第2の配線17の上面に自己形成バリア膜12が形成される。
【0078】
自己形成バリア膜12がMnSiである場合は、第2の配線17内に残留していたMnと、第1のバリア膜4に含まれるSi、Oにより第2の配線17の上面の自己形成バリア膜12が形成される。
【0079】
さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0080】
(第6の実施の形態の効果)
この第6の実施の形態によれば、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成することにより、第3の実施の形態よりもさらにリーク電流を低減することができる。
【0081】
なお、当然であるが、第1の配線11を第2の配線17と同様の方法で形成することができる。
【0082】
〔第7の実施の形態〕
本発明の第7の実施の形態は、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成する点において第1、または第2の実施の形態と異なる。なお、他の部分の構成等、第1、または第2の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0083】
図8(a)〜(b)は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0084】
まず、第1の実施の形態において図1C(g)、または第2の実施の形態において図2C(e)で示した、キャップ層3をストッパとしてCMPを施すことにより、キャップ層3が露出するまで配線形成膜15を平坦化するまでの工程を行う。ただし、本実施の形態においては、第2の配線17内に、第2の配線17の上面に自己形成バリア膜12を形成することができるだけの所定の金属αが残留しているものとする。
【0085】
次に、図8(a)に示すように、減圧下でアンモニア等を用いたプラズマ処理を施して、第2の配線17上面のCu酸化膜(図示しない)を除去した後、第2の配線17上面を還元性ガスとシランガスに暴露する。これにより、第2の配線17上面の極表面にのみSiが進入する。そこで、酸化雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、第2の配線17上面に自己形成バリア膜12が形成される。
【0086】
自己形成バリア膜12がMnSiである場合は、第2の配線17内に含まれるMn、Siと、雰囲気中に含まれるOにより第2の配線17の上面の自己形成バリア膜12が形成される。
【0087】
次に、図8(b)に示すように、第2の配線17、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成する。さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0088】
(第7の実施の形態の効果)
この第7の実施の形態によれば、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成することにより、第1、または第2の実施の形態よりもさらにリーク電流を低減することができる。
【0089】
なお、当然であるが、第1の配線11を第2の配線17と同様の方法で形成することができる。
【0090】
〔第8の実施の形態〕
本発明の第8の実施の形態は、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成する点において第3の実施の形態と異なる。なお、他の部分の構成等、第3の実施の形態と同様の点については、説明を省略する。
【0091】
図9(a)〜(b)は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【0092】
まず、第3の実施の形態において図3B(c)で示した、未反応金属酸化膜16を除去するまでの工程を行う。ただし、本実施の形態においては、第2の配線17内に、第2の配線17の上面に自己形成バリア膜12を形成することができるだけの所定の金属αが残留しているものとする。
【0093】
次に、図9(a)に示すように、減圧下でアンモニア等を用いたプラズマ処理を施して、第2の配線17上面のCu酸化膜(図示しない)を除去した後、第2の配線17上面を還元性ガスとシランガスに暴露する。これにより、第2の配線17上面の極表面にのみSiが進入する。そこで、酸化雰囲気下で熱処理を例えば200〜400℃で5〜60分間施すことにより、第2の配線17上面に自己形成バリア膜12が形成される。
【0094】
自己形成バリア膜12がMnSiである場合は、第2の配線17内に含まれるMn、Siと、雰囲気中に含まれるOにより第2の配線17の上面の自己形成バリア膜12が形成される。
【0095】
次に、図9(b)に示すように、第2の配線17、およびキャップ層3上に第1のバリア膜4を形成する。さらに、図示しないが、上層に絶縁膜等を形成することにより、半導体装置1を形成する。
【0096】
(第8の実施の形態の効果)
この第8の実施の形態によれば、第2の配線17の上面にも自己形成バリア膜12を形成することにより、第3の実施の形態よりもさらにリーク電流を低減することができる。
【0097】
なお、当然であるが、第1の配線11を第2の配線17と同様の方法で形成することができる。
【0098】
〔他の実施の形態〕
なお、本発明は、上記各実施の形態に限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施が可能である。例えば、本発明は、上記各実施の形態において示したようなデュアルダマシン構造以外の配線構造にも適用することができ、例えば、自己形成バリア膜で被膜した配線/ビアからなる配線構造を個別に形成する際に適用されてもよい。
【0099】
また、発明の主旨を逸脱しない範囲内において上記各実施の形態の構成要素を任意に組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1A】(a)〜(c)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図1B】(d)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図1C】(f)〜(g)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図1D】(h)は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図2A】(a)〜(b)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図2B】(c)〜(d)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図2C】(e)〜(f)は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図3A】(a)〜(b)は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図3B】(c)〜(d)は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る配線構造のリーク電流特性を表すグラフである。
【図5】(a)〜(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図8】(a)〜(b)は、本発明の第7の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【図9】(a)〜(b)は、本発明の第8の実施の形態に係る半導体装置の配線構造の製造工程を示す断面図である。
【符号の説明】
【0101】
1 半導体装置
2 第1の層間絶縁膜
3 キャップ層
4 第1のバリア膜
5 第2の層間絶縁膜
6 第2のバリア膜
11 第1の配線
12 自己形成バリア膜
13 配線溝
14 前駆体膜
15 配線形成膜
16 未反応金属酸化膜
17 第2の配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜に凹部を形成する工程と、
前記凹部の形成された前記絶縁膜の表面に所定の金属元素を含む前駆体膜を形成する工程と、
前記前駆体膜上に配線形成膜を堆積させる工程と、
熱処理を施すことにより、前記前駆体膜と前記絶縁膜を反応させて、その境界面に前記所定の金属元素と前記絶縁膜の構成元素を含む化合物を主成分とする自己形成バリア膜を形成し、未反応の前記所定の金属元素を前記配線形成膜内に拡散させる工程と、
前記自己形成バリア膜を形成し、未反応の前記所定の金属元素を前記配線形成膜内に拡散させる工程の後、前記凹部外の前記絶縁膜が露出するまで前記配線形成膜を平坦化する工程と、
前記配線形成膜を平坦化する工程の後、酸化雰囲気下で熱処理を施すことにより、前記配線形成膜内に拡散した前記所定の金属元素を前記配線形成膜表面で雰囲気中の酸素と反応させ、前記反応を前記自己形成バリア膜内まで進めることにより、前記配線形成膜の上面、および上面付近の側面に未反応金属酸化膜を析出させ、前記配線形成膜の上面端部を丸めて配線構造を形成する工程と、
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記配線構造を形成する工程の後、前記配線形成膜上にバリア膜を形成する工程と、
熱処理を施すことにより、前記バリア膜と前記配線形成膜を反応させて、その境界面に前記所定の金属元素と前記バリア膜の構成元素を含む化合物を主成分とする自己形成バリア膜を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記配線構造を形成する工程の後、前記配線形成膜を少なくともシランガスに暴露する工程と、
酸化雰囲気下で熱処理を施すことにより、前記シランガスに暴露した配線形成膜を雰囲気中の酸素と反応させて、前記配線形成膜の上面に前記所定の金属元素とSiを含む化合物を主成分とする自己形成バリア膜を形成する工程と、
をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−156532(P2012−156532A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−68168(P2012−68168)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2006−340506(P2006−340506)の分割
【原出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000221199)東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 (376)
【Fターム(参考)】