半導体装置及びその製造方法
【課題】信頼性の高い半導体装置を効率良く製造できるようにする。
【解決手段】半導体装置31は、回路基板1の所定位置に形成された電極パッド10を有し、電極パッド10には、半導体装置21のハンダバンプ26が接合されている。ハンダバンプ26は、半導体装置21の電極25上に形成され、そのハンダ材料には鉛フリーハンダが用いられている。回路基板1の電極パッド10は、複数の凸部10Aと溝10Bが形成されており、ハンダバンプ26は、その一部が電極パッド10の溝10Bを埋めるように入り込んでいる。
【解決手段】半導体装置31は、回路基板1の所定位置に形成された電極パッド10を有し、電極パッド10には、半導体装置21のハンダバンプ26が接合されている。ハンダバンプ26は、半導体装置21の電極25上に形成され、そのハンダ材料には鉛フリーハンダが用いられている。回路基板1の電極パッド10は、複数の凸部10Aと溝10Bが形成されており、ハンダバンプ26は、その一部が電極パッド10の溝10Bを埋めるように入り込んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電子機器などの小型化、高密度化、及び高性能化が図られている。これに伴って、携帯電子機器などに搭載される半導体装置は、小型化が要求されると共に、実装の高密度化が図られている。このため、パッケージ型半導体装置に実装される半導体素子には、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip size Package)といった、エリアアレイタイプが用いられ、半導体素子の実装面積を小型化している。
【0003】
このようなパッケージ型半導体装置において、電極パッドはハンダバンプを介してプリント基板等の回路基板に電気的に接続させることで実装されている。従来の半導体装置の実装方法としては、半導体装置の下面にハンダバンプを一定のピッチで形成し、ハンダバンプを回路基板に形成した電極パッドと位置合わせした後に、リフロー工程で接合している。
【0004】
ハンダバンプを用いて半導体装置を回路基板に電気的に接続すると、半導体装置と回路基板を導電性のリードワイヤを介して電気的に接続する場合に比べて高速電気特性に優れる。また、ハンダバンプは、半導体パッケージの下面の全体にわたって多数形成できるので、多ピン構造の半導体素子の実装に好適であり、半導体装置の小型化が容易である。
【0005】
ハンダバンプを用いた実装方法では、ハンダバンプの外径が小さくなるほど、ハンダバンプのピッチを微細にできる。近年では、ハンダバンプの外形が600μm〜750μmφで、ピッチを1mm〜1.5mm程度にすることが知られている。
【0006】
ここで、従来の半導体装置の実装方法で使用されるハンダ材料には、伸びが大きく、ハンダ接合部の疲労寿命特性に優れているSn−Pb共晶ハンダをベースとしたものが用いられていた。このため、電極パッドが形成された回路基板の反りの有無や、回路基板の熱膨張特性を考慮することなく、回路基板に半導体装置を実装していた。
【0007】
ところが、近年では、鉛が環境に与える影響を配慮し、鉛を含まないハンダ、いわゆる、鉛フリーハンダが使用されている。鉛フリーハンダには、Snを主成分としたハンダ材料、例えば、SnにAgやCuを添加した材料が使用されている。
【0008】
鉛フリーハンダを用いた従来の実装構造としては、例えば、回路基板の表面に、AgとPtを含む層を形成し、その表面にNiめっき被膜、Snめっき被膜を順番に形成して導電性のパッドを形成する構造が知られている。さらに、導電性のパッドの表面に、鉛を含まないハンダペーストを印刷する。この後、リフロー工程でハンダペーストを溶融させて、半球状のハンダバンプを形成する。
【0009】
また、従来のセラミックス素子の両端を覆う外部電極として、Cu層、バリアメタル層、Snめっき層からなる三層構造を形成することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−224887号公報
【特許文献2】特開2002−75779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、鉛フリーハンダであるSn−Ag−Cu合金の融点は、217℃であり、従来のSn−Pb共晶ハンダの融点である183℃と比較して40℃程度高い。回路基板と半導体装置とは、熱膨張率が異なるので、ハンダバンプと電極パッドのリフロー工程で回路基板と半導体装置の変形量に大きな差が生じる。このような変形量の差は、ハンダ接合部に応力を発生させる原因になる。特に、半導体装置の外周部では、半導体装置と回路基板の変形量の差が大きくなり易い。例えば、一辺が30mmを超えるような大型のプラスチックパッケージ型半導体装置においては、ハンダ接合部が破断してオープン不良が発生する可能性が高くなる。
【0012】
また、鉛フリーハンダの機械的性質、例えば弾性率(ヤング率)や引張強さは、従来のSn−Pb共晶ハンダと比較して大きくなるが、伸び特性(柔軟性)は低下する。ハンダの伸び特性が低いと、ハンダ接合部の疲労寿命特性が低下する。その結果、半導体装置の外周部において、ハンダ結合部が破断してオープン不良が発生する可能性が高くなる。
【0013】
さらに、ハンダバンプと電極パッドの接合部分の界面には、CuSn合金からなる化合物層が生じるが、化合物層は硬くて脆く、落下衝撃のような動的歪みに対して弱かった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、鉛フリーハンダを用いた場合の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の一観点によれば、基板と、前記基板の上に形成され、表面に凸部を有する電極パッドと、半導体素子と、前記半導体素子の電極に電気的に接続されると共に、前記電極パッドの前記凸部の間の溝を埋めつつ、前記電極パッドに接合されたハンダと、を含む半導体装置が提供される。
【0015】
また、本発明の別の観点によれば、基板の上に導電層を形成する工程と、前記導電層の表面の一部に導電材料からなる凸部を成長させ、凹凸を有する電極パッドを形成する工程と、前記電極パッドに半導体素子に設けられたハンダを載置する工程と、前記ハンダに熱を加え、溶融した前記ハンダのハンダ材料の一部を前記電極パッドの前記凸部によって形成される溝に埋め込む工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
半導体装置に電極パッドの凸部がハンダに入り込むことで、ハンダと電極パッドの接触面積が増えると共に、ハンダが電極パッドに食い込み、ハンダ接合部の強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図1B】図1Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図1D】図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図1E】図1Eは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図2A】図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その1)である。
【図2B】図2Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その2)である。
【図2C】図2Cは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その3)である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す側面である。
【図4A】図4Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の構造を示す断面面である。
【図4B】図4Bは、図4のI−I線に沿った断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その1)である。
【図5B】図5Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その2)である。
【図5C】図5Cは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その3)である。
【図6A】図6Aは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図6B】図6Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の構造を示す断面面である。
【図8】図8は、本発明の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図である。
【図9】図9は、本発明の他の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
【0019】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
まず、回路基板上に電極パッドを形成する工程を説明する。
最初に、図1Aの側面図に示すように、回路基板1の上面にCuからなる導電性膜2を電解めっきにより形成する。回路基板1としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂を用いる。続いて、導電性膜2の上にレジスト膜を塗布し、硬化させた後に露光及び現像してレジストパターン4を形成する。そしてレジストパターン4をマスクにして導電性膜2をパターニングする。これにより、図1Bに示すように、回路基板1の上の所定位置に、例えば、直径0.6mmの円形の導電層3が形成される。
【0020】
続いて、電解めっき用の電極となる銅シード層(不図示)を、例えば0.5μm程度の厚さで、導電層3の表面と回路基板1上に形成する。なお、銅シード層は最終的にはエッチングにより除去される。
【0021】
次に、図1Cに示す構造を得るまでの工程について説明する。
まず、導電層3の上及び回路基板1の上にレジスト膜を塗布し、硬化させた後に露光及び現像してレジストパターン5を形成する。図2Aの平面図に示すように、レジストパタ
ーン5は、導電層3の上に複数の開口部5Aを有する。開口部5Aは、中央の円形部と、円形部を中心にして同心円状に配置された3つの円環とからなる。なお、円環の数は、3つに限定されない。そして、レジストパターン5の開口部5Aから露出する導電層3の上にCuからなるめっき層7を電解めっき法により例えば10μm以上の膜厚に形成する。
【0022】
図1D及び図2Bに示すように、電極パッド10の上、及び回路基板1の上のレジストパターン5を例えばアッシング又は溶剤により除去する。これにより、導電層3の表面にめっき層7からなる凸部10Aが所定の間隔で複数形成された電極パッド10が得られる。
ここで、図2Bに示すように、電極パッド10の表面に形成される凸部10Aは、径の異なる複数の円環からなる。また、凸部10Aの間は、導電層3が露出する溝10Bになる。図1Dに示すように、凸部10Aの間に形成される同心円状の溝10Bは、その深さH1が例えば約10μm以上で、幅D1は例えば10μm以上である。
また、図2Cに示すように、電極パッド10は、回路基板1上に、所定の間隔、例えば200μm〜600μmの間隔で複数形成される。なお、電極パッド10の数及び配列は、図2Cに限定されない。なお、図2Cでは、図2Bの電極パッド10が縮小して描かれている。
【0023】
次に、図1Eに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
最初に、電極パッド10以外の領域の回路基板1の上面をレジストパターン(不図示)で覆う。次いで、電極パッド10の上に、第1の金属層12を形成する。第1の金属層12は、例えば、電解めっき法により形成される。第1の金属層12は、元素周期律表においてVIII族に属する遷移金属元素であるNiから形成される。そのめっき条件は、例えば、めっき槽内のめっき液の温度を90℃にし、通電時間を2分間にする。これにより、電極パッド10の上に第1の金属層12が、1μm〜2μmの膜厚で、電極パッド10の凹凸形状に倣って形成される。なお、第1の金属層12は、無電解めっき法により形成しても良い。
【0024】
さらに、第1の金属層12の上に、第2の金属層13を形成する。第2の金属層13は、第1のSn層13Aと、第2のSn層13Bとを順番に積層させることで形成される。
第1のSn層13Aは、第1の金属層12の上に無電解めっき法により、例えば、1〜2μmの膜厚に形成する。第1のSn層13Aは、第1の金属層12が積層された電極パッド10の凹凸形状に倣って形成される。
続いて、第1のSn層13Aの上に第2のSn層13Bを電解めっき法によって、10μm以上の膜厚に形成する。第2のSn層13Bは、第1のSn層13A及び第1の金属層12が積層された電極パッド10の凹凸形状に倣って形成される。なお、第2のSn層13Bは、無電界めっき法又は置換型無電界めっき法により形成しても良い。
【0025】
これにより、電極パッド10の上に、第1の金属層12、第1のSn層13A、及び第2のSn層13Bからなる3層構造の積層膜15が形成される。積層膜15は、電極パッド10の表面形状に倣った凹凸形状を有する。つまり、最上層の第2のSn層13Bの表面には、溝10Bの形成位置に合わせて、同心円状の溝15Aが3つ形成される。なお、電極パッド10の溝10Bの幅D1の大きさと、積層膜15の膜厚の大きさによっては、第2のSn層13Bの表面に溝15Aが形成されないこともある。
【0026】
この後、電極パッド10以外の領域を覆っていたレジストパターン(不図示)を除去する。さらに、回路基板1上の銅シード層(不図示)を硫酸、過酸化水素数を含有する溶液によりエッチングして除去する。
【0027】
次に、図3に示すように、半導体素子を含む半導体装置21を回路基板1に実装する。
ここで、半導体装置21には、エリアアレイ型と呼ばれるBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)などの半導体パッケージが用いられている。この半導体装置21は、例えば、ガラスエポキシ基板などのインターポーザと呼ばれる基板22を有する。基板22の一方の面には、半導体回路が形成された半導体チップ20(半導体素子)が取り付けられると共に、プラスチック製のケース23が装着されることで半導体チップ20が保護されている。なお、半導体装置21は、樹脂で半導体チップ20を封止しても良い。また、ケース23や樹脂を設けずに、ベアの基板22のみでも良い。
【0028】
基板22の他方の面22Bには、電極25が複数形成されている。電極25は、半導体チップ20の図示を省略する電極と電気的に接続されている。各電極25上には、ハンダバンプ26が1つずつ形成されている。ハンダバンプ26を形成する際には、例えば、電極25の上にスクリーン印刷によりハンダペーストを塗布する。ハンダペーストは、ハンダ材料をフラックスと混合してペースト状にしたもので、電極25上にメタルマスクを配置し、メタルマスクの開口部にスキージを用いて充填することで塗布される。この後、電極25上のハンダペーストをリフローすると、フラックスが蒸発して略球形状のハンダバンプ26が形成される。また、電極25にフラックスを介してハンダボールを接着し、リフロー工程でハンダボールを電極25に溶着することでハンダバンプ26を形成しても良い。
【0029】
ハンダバンプ26に用いられるハンダ材料は、いわゆる鉛フリーハンダが用いられている。鉛フリーハンダのハンダ材料の組成は、例えば、Snが最も含有量が多く、これにBi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上が添加されたものが用いられる。例えば、SnAgCu系のハンダ材料であれば、Sn−3.0Ag−0.5Cu(3.0質量%Ag−0.5質量%Cuを含有するSnハンダ)や、Sn−4.0Ag−0.5Cu(4.0質量%Ag−0.5質量%Cuを含有するSnハンダ)があげられる。なお、鉛フリーハンダのハンダ材料の他の例としては、SnAgCu系、SnZnBi系、SnCu系、SnAgInBi系、SnSb系があげられる。また、ハンダ材料は、Snの代わりに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuを含むものでも良い。
【0030】
このようにして製造した半導体装置21は、ハンダバンプ26を下向きに、かつハンダバンプ26と回路基板1の電極パッド10とを位置合わせしつつ、回路基板1の上に載置される。
続いて、半導体装置21を搭載した回路基板1を、コンベア炉に入れて加熱する。加熱条件は、例えば、最高温度を250℃とし、ハンダバンプ26の融点である約217℃以上の温度が約2分維持されるようにする。これにより、ハンダバンプ26が溶融して、ハンダバンプ26と回路基板1の電極パッド10とが接合される。これにより、半導体装置21の電極25と、回路基板1の電極パッド10とが電気的に接続される。なお、このようにして製造された半導体装置31には、他の電子部品などを実装することも可能である。
【0031】
ここで、図4Aの断面図に示すように、ハンダバンプ26を電極パッド10に接合することで形成されるハンダ接合部32は、電極パッド10の表面の凹凸にハンダバンプ26が食い込んでおり、電極パッド10とハンダバンプ26の境界に金属間化合物層33が形成されている。金属間化合物層33は、電極パッド10の表面形状に倣った凹凸形状を有する。この実施の形態における金属間化合物層33は、図1Dに示す積層膜15のNi、Snとハンダバンプ26に含まれるCuとを含み、例えば、(Cu,Ni)6Sn5になる。なお、第1の金属層12のNiは、電極パッド10のCuとハンダバンプ26のSnの間の拡散及び反応を低減させるので、金属間化合物層33の成長が抑制され、その膜厚は薄い。
【0032】
また、第2のSn層14が10μm以上の膜厚に形成されているので、接合後のハンダバンプ26の組成は、Sn濃度が高くなり、Ag濃度が相対的に低くなる。これにより、例えば、接合前のハンダバンプ26の組成が、Sn−3.0Ag−0.5Cnであった場合には、Ag濃度が0.3から2〜2.3に下がる。ハンダバンプ26中のAg濃度が下がることで、ハンダ材料のヤング率が低くなって、伸び特性が向上する。
【0033】
以上、説明したように、この半導体装置31では、ハンダバンプ26に接合される電極パッド10の表面に同心円からなる環状の凸部10Aと、これによって形成される曲線状の溝10Bを設けた。このように、電極パッド10の表面に段差を設けることで、ハンダバンプ26と電極パッド10の接合部分が、電極パッド10の凹凸に沿った3次元的な立体形状になり、ハンダバンプ26と電極パッド10の接触面積が増える。さらに、ハンダバンプ26に電極パッド10が楔のように入り込むことによるアンカー効果によって、ハンダ接合部32の接合強度が向上する。また、半導体装置31のハンダ接合部32の接合面が3次元的な立体形状であることから、従来のようにハンダバンプ26と電極パッド10の接合面が平面である場合に比べてせん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。
【0034】
さらに、この半導体装置31では、金属間化合物層33が電極パッド10の表面形状に倣った凹凸形状を有する。このため、図4AのI−I線に沿った断面図である図4Bに示すように、回路基板1に平行な、せん断面方向において、ハンダバンプ26に比べて硬くて脆い金属間化合物層33部分と、ハンダバンプ26の部分とが交互に配置される。これにり、ハンダ接合部32がせん断応方向の応力に対して強くなる。
【0035】
また、電極パッド10の表面にNiを用いた第1の金属層12を形成してCuとSnの拡散及び反応を抑制させたので、ハンダ接合部32の金属間化合物層33の膜厚を抑制できる。硬くて脆い金属化合物層33の膜厚を抑えることで、ハンダ接合部32の強度や疲労寿命特性を改善できる。
【0036】
さらに、積層膜15中の第2のSn膜14の膜厚を10μm以上にしたので、接合後のハンダバンプ26のSn濃度を高く、Ag濃度を低くすることができる。これにより、ハンダバンプ26のヤング率が低くなり、ハンダ接合部32の耐衝撃性が向上する。また、ヤング率が低くなることにより、ハンダ接合部32の疲労寿命特性を向上できる。
【0037】
ここで、従来のハンダ接合部が平面で、第1の金属層12を有しない半導体装置と、本実施の形態の半導体装置31の信頼性試験を行った。信頼性試験は、温度サイクル試験と、自由落下衝撃試験とを実施した。
【0038】
まず、温度サイクル試験では、半導体装置を−55℃の低温下に30分間放置した後、125℃の高温下に30分間晒す。これを1サイクルとして、合計で500サイクルの温度サイクル試験を行った後、ハンダ接合部の不良を調べた。従来の半導体装置では、5つのサンプルのうち、3つのサンプルにハンダ接合部のオープン不良が発生した。これに対し、半導体装置31では、5つのサンプルの全てにおいてハンダ接合部32のオープン不良は発生しなかった。
【0039】
また、自由落下衝撃試験では、半導体装置を高さ10cmから自由落下させて衝撃を与えるテストを200回実施した後、ハンダ接合部の不良を調べた。従来の半導体装置では、5つのサンプルのうち、4つのサンプルにハンダ接合部のオープン不良が発生した。これに対し、半導体装置31では、5つのサンプルの全てにおいてハンダ接合部32のオープン不良は発生しなかった。
【0040】
これらのことから、この半導体装置31では、従来に比べて、熱及び衝撃に対する耐性が向上したことがわかった。
【0041】
ここで、積層膜15の第1の金属層12は、Niの代わりに、他のVIII族に属する遷移金属元素、例えばCoやFeであっても良い。CoやFeを用いた場合でも、Niと同様に、電極パッド10のCuとハンダバンプ26のSnの間の拡散及び反応を低減させ、金属間化合物層33の成長を抑制することができる。また、第1の金属層12は、Fe−Ni、Ni−Co等の合金層であっても良い。
【0042】
(第2の実施の形態)
まず、図1A及び図1Bと同様に、回路基板1上に導電性膜2をパターニングして導電層3を形成する。次に、導電性膜2の上及び回路基板1の上にレジスト膜を塗布し、硬化させた後に露光及び現像してレジストパターンを形成する。図5Aに示すように、レジストパターン41は、四角形の開口部41Aが等間隔に複数配列されている。そして、レジストパターン41の開口部41Aから露出する導電層3にCuからなるめっき層42を電解めっき法により10μm以上の膜厚に形成する。この後、レジストパターン41を例えばアッシング又は溶剤により除去する。これにより、図5B及び図6Aに示すように、表面に凹凸が形成された電極パッド50が形成される。
なお、電解めっき用の電極として、銅シード層を形成し、最後に除去するが、第1の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
【0043】
ここで、電極パッド50の表面には、めっき層42からなる凸部50Aが複数形成されており、これら凸部50Aによって格子状の溝50Bが形成される。溝50Bには、導電性膜2が露出している。電極パッド50の溝50Bの深さH2は、例えば10μm以上で、幅D2は例えば10μm以上である。なお、凸部50Aの大きさや配列数は、図5B及び図6Aに示す例に限定されない。また、図5Cに示すように、電極パッド50は、回路基板1上に、所定の間隔で複数形成される。
【0044】
次に、図6Bに示すように、電極パッド50の上に、第1の金属層12、第1のSn層13A、第2のSn層13Bを順番に、電解めっき又は無電解めっきを用いて堆積させ、積層膜15を形成する。第1の金属層12には、Ni又は、他のVIII族に属する遷移金属元素、CoやFe、又はこれらの合金が用いられる。第2のSn層13Bは、少なくとも10μm以上の膜厚に形成する。積層膜15は、電極パッド50の表面の形状に倣って凹凸形状を有する。つまり、最上層の第2のSn層13Bの表面には、溝50Bの形成位置に合わせて、格子状の溝15Bが形成される。なお、電極パッド50の溝50Bの幅D2と、第2のSn層13Bの膜厚の大きさによっては、第2のSn層13Bの表面に溝15Bが形成されないこともある。
【0045】
続いて、図7に示すように、半導体素子を含む半導体装置21を回路基板1に実装する。この際、半導体装置21は、ハンダバンプ26を下向きに、かつハンダバンプ26と回路基板1の電極パッド50とを位置合わせしつつ、回路基板1の上に載置される。ハンダバンプ26には、鉛フリーハンダ、例えば、Sn−3.0Ag−0.5Cuや、Sn−4.0Ag−0.5Cuなどが用いられる。
【0046】
この後、半導体装置21を搭載した回路基板1を、コンベア炉に入れて加熱する。ハンダバンプ26が溶融して、電極パッド50に接合される。これにより、半導体装置21の電極25と、回路基板1の電極パッド10とが電気的に接続される。なお、このようにして製造された半導体装置61には、他の電子部品などを実装することも可能である。
【0047】
ハンダ接合部62は、電極パッド10の凹凸にハンダバンプ26が食い込むことで形成
されており、電極パッド10とハンダバンプ26の境界には金属間化合物層63が形成されている。金属間化合物層63は、電極パッド50の表面形状に倣った凹凸形状を有する。第1の金属層12を形成するVIII族に属する遷移金属元素が、電極パッド50のCuとハンダバンプ26のSnの間の拡散及び反応を低減させるので、金属間化合物層63の成長が抑制され、その膜厚は薄い。
【0048】
以上、説明したように、この実施の形態では、ハンダバンプ26に接合される電極パッド50の表面に複数の凸部50Aを設け、交差する複数の直線で格子状の溝50Bを形成した。このように、電極パッド50の表面に段差を設けることで、ハンダバンプ26と電極パッド50の接触面積が増えると共に、ハンダバンプ26に電極パッド50を楔のように入り込ませることが可能になる。これにより、ハンダ接合部62のせん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0049】
なお、この半導体装置61について、第1の実施の形態と同様の温度サイクル試験と、自由落下衝撃試験とを実施したところ、5つのサンプルの全てにおいてハンダ接合部32のオープン不良は発生しなかった。このことから、この半導体装置31では、従来に比べて、熱及び衝撃に対する耐性が向上したことがわかった。
【0050】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図8に示す電極パッド70は、導電層3の上に、めっき層71からなる凸部70Aが平行なラインとして複数形成されている。凸部70Aの間には、複数の溝70Bが並列に形成されており、ここから導電層3が露出している。つまり、電極パッド70の溝70Bは、直線状で、かつ交差せずに一方向に向けて形成されている。このような電極パッド70では、ライン状に配列された凹凸形状によって、ハンダバンプ26と電極パッド70の接触面積が増えると共に、ハンダバンプ26に電極パッド70が楔のように入り込む。これにより、ハンダ接合部のせん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。
【0051】
また、図9に示す電極パッド80は、導電層3の上に、めっき層81によって、長さ方向にジグザクに折れ曲がった凸部80Aが複数形成されている。凸部80Aの間には、複数の溝80Bに、かつ長さ方向に折れ曲がりつつ形成されており、ここから導電層3が露出している。これにより、電極パッド80には、折れ曲がったラインによって形成される凹凸形状による段差が設けられている。このため、ハンダバンプ26と電極パッド80の接触面積が増えると共に、ハンダバンプ26に電極パッド80が楔のように入り込み、せん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。凸部80A及び溝80Bは、図9に示す形状の他、例えば、鋸刃形や波形であっても良い。
【0052】
なお、本発明は、前記の各実施の形態の他にも様々な変形が可能である。
例えば、めっき層7、24を凸状に形成する代わりに、導電層3に溝を形成しても良い。
それぞれの凸部10A,50A,70A,80Aの断面形状は、正方向や長方形であっても良いし、台形でも良い。凸部10A,50A,70A,80Aを台形にしたときの上辺の長さ(幅)は、下辺の長さ(幅)より小さくても良いし、大きくても良い。
図5Aに示すマスクパターン41の開口部41Aの形状は、四角に限定されず、円形や楕円形でも良い。
また、半導体装置21の電極パッド22を、電極パッド10,50,70,80の形状及び構成にしても良い。この場合には、半導体装置21を本発明の実施の形態に係る半導体装置の概念としても良い。
【0053】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例お
よび条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる。
【0054】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 基板と、前記基板の上に形成され、表面に凸部を有する電極パッドと、半導体素子と、前記半導体素子の電極に電気的に接続されると共に、前記電極パッドの前記凸部の間の溝を埋めつつ、前記電極パッドに接合されたハンダと、を含む半導体装置。
(付記2) 前記電極パッドは、前記溝が同心円状に形成されている付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記電極パッドは、前記溝が格子状に形成されている付記1に記載の半導体装置。
(付記4) 前記溝の深さは10μm以上である付記2又は付記3に記載の半導体装置。(付記5) 前記ハンダは、Snに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上を添加したハンダ材料からなる付記1乃至付記3の半導体装置。
(付記6) 基板の上に導電層を形成する工程と、前記導電層の表面の一部に導電材料からなる凸部を成長させ、凹凸を有する電極パッドを形成する工程と、前記電極パッドに半導体素子に設けられたハンダを載置する工程と、前記ハンダに熱を加え、溶融した前記ハンダのハンダ材料の一部を前記電極パッドの前記凸部によって形成される溝に埋め込む工程と、を含む半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記ハンダは、Snに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上を添加したハンダ材料で形成される付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記電極パッドの凹凸を有する表面に、VIII族の遷移金属からなる第1の金属層と、Snからなる第2の金属層とを積層させる工程を含む付記6又は付記7に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9) 第2の金属層は、Snを10μm以上の膜厚に形成する付記5乃至付記8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記電極パッドを形成する工程は、前記導電層の表面に前記凸部を同心円状の形成する付記6乃至付記9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記電極パッドを形成する工程は、前記導電層の表面に前記凸部を形成し、前記凸部の間の溝を格子状に形成する付記6乃至付記9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0055】
1 回路基板
10,50,70,80 電極パッド
10A,50A,70A,80A 凸部
10B,50B,70B,80B 溝
12 第1の金属膜
13 第2の金属膜
20 半導体チップ(半導体素子)
21 半導体装置
25 電極
26 ハンダバンプ
31,61 半導体装置
32,62 ハンダ接合部
33,63 合金層
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電子機器などの小型化、高密度化、及び高性能化が図られている。これに伴って、携帯電子機器などに搭載される半導体装置は、小型化が要求されると共に、実装の高密度化が図られている。このため、パッケージ型半導体装置に実装される半導体素子には、BGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip size Package)といった、エリアアレイタイプが用いられ、半導体素子の実装面積を小型化している。
【0003】
このようなパッケージ型半導体装置において、電極パッドはハンダバンプを介してプリント基板等の回路基板に電気的に接続させることで実装されている。従来の半導体装置の実装方法としては、半導体装置の下面にハンダバンプを一定のピッチで形成し、ハンダバンプを回路基板に形成した電極パッドと位置合わせした後に、リフロー工程で接合している。
【0004】
ハンダバンプを用いて半導体装置を回路基板に電気的に接続すると、半導体装置と回路基板を導電性のリードワイヤを介して電気的に接続する場合に比べて高速電気特性に優れる。また、ハンダバンプは、半導体パッケージの下面の全体にわたって多数形成できるので、多ピン構造の半導体素子の実装に好適であり、半導体装置の小型化が容易である。
【0005】
ハンダバンプを用いた実装方法では、ハンダバンプの外径が小さくなるほど、ハンダバンプのピッチを微細にできる。近年では、ハンダバンプの外形が600μm〜750μmφで、ピッチを1mm〜1.5mm程度にすることが知られている。
【0006】
ここで、従来の半導体装置の実装方法で使用されるハンダ材料には、伸びが大きく、ハンダ接合部の疲労寿命特性に優れているSn−Pb共晶ハンダをベースとしたものが用いられていた。このため、電極パッドが形成された回路基板の反りの有無や、回路基板の熱膨張特性を考慮することなく、回路基板に半導体装置を実装していた。
【0007】
ところが、近年では、鉛が環境に与える影響を配慮し、鉛を含まないハンダ、いわゆる、鉛フリーハンダが使用されている。鉛フリーハンダには、Snを主成分としたハンダ材料、例えば、SnにAgやCuを添加した材料が使用されている。
【0008】
鉛フリーハンダを用いた従来の実装構造としては、例えば、回路基板の表面に、AgとPtを含む層を形成し、その表面にNiめっき被膜、Snめっき被膜を順番に形成して導電性のパッドを形成する構造が知られている。さらに、導電性のパッドの表面に、鉛を含まないハンダペーストを印刷する。この後、リフロー工程でハンダペーストを溶融させて、半球状のハンダバンプを形成する。
【0009】
また、従来のセラミックス素子の両端を覆う外部電極として、Cu層、バリアメタル層、Snめっき層からなる三層構造を形成することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−224887号公報
【特許文献2】特開2002−75779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、鉛フリーハンダであるSn−Ag−Cu合金の融点は、217℃であり、従来のSn−Pb共晶ハンダの融点である183℃と比較して40℃程度高い。回路基板と半導体装置とは、熱膨張率が異なるので、ハンダバンプと電極パッドのリフロー工程で回路基板と半導体装置の変形量に大きな差が生じる。このような変形量の差は、ハンダ接合部に応力を発生させる原因になる。特に、半導体装置の外周部では、半導体装置と回路基板の変形量の差が大きくなり易い。例えば、一辺が30mmを超えるような大型のプラスチックパッケージ型半導体装置においては、ハンダ接合部が破断してオープン不良が発生する可能性が高くなる。
【0012】
また、鉛フリーハンダの機械的性質、例えば弾性率(ヤング率)や引張強さは、従来のSn−Pb共晶ハンダと比較して大きくなるが、伸び特性(柔軟性)は低下する。ハンダの伸び特性が低いと、ハンダ接合部の疲労寿命特性が低下する。その結果、半導体装置の外周部において、ハンダ結合部が破断してオープン不良が発生する可能性が高くなる。
【0013】
さらに、ハンダバンプと電極パッドの接合部分の界面には、CuSn合金からなる化合物層が生じるが、化合物層は硬くて脆く、落下衝撃のような動的歪みに対して弱かった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、鉛フリーハンダを用いた場合の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願の一観点によれば、基板と、前記基板の上に形成され、表面に凸部を有する電極パッドと、半導体素子と、前記半導体素子の電極に電気的に接続されると共に、前記電極パッドの前記凸部の間の溝を埋めつつ、前記電極パッドに接合されたハンダと、を含む半導体装置が提供される。
【0015】
また、本発明の別の観点によれば、基板の上に導電層を形成する工程と、前記導電層の表面の一部に導電材料からなる凸部を成長させ、凹凸を有する電極パッドを形成する工程と、前記電極パッドに半導体素子に設けられたハンダを載置する工程と、前記ハンダに熱を加え、溶融した前記ハンダのハンダ材料の一部を前記電極パッドの前記凸部によって形成される溝に埋め込む工程と、を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0016】
半導体装置に電極パッドの凸部がハンダに入り込むことで、ハンダと電極パッドの接触面積が増えると共に、ハンダが電極パッドに食い込み、ハンダ接合部の強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図1B】図1Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図1C】図1Cは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。
【図1D】図1Dは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。
【図1E】図1Eは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。
【図2A】図2Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その1)である。
【図2B】図2Bは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その2)である。
【図2C】図2Cは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その3)である。
【図3】図3は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す側面である。
【図4A】図4Aは、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の構造を示す断面面である。
【図4B】図4Bは、図4のI−I線に沿った断面図である。
【図5A】図5Aは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その1)である。
【図5B】図5Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その2)である。
【図5C】図5Cは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す平面図(その3)である。
【図6A】図6Aは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。
【図6B】図6Bは、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。
【図7】図7は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置のハンダ接合部の構造を示す断面面である。
【図8】図8は、本発明の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図である。
【図9】図9は、本発明の他の変形例に係る半導体装置の電極パッドの平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解すべきである。
【0019】
以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
(第1の実施の形態)
まず、回路基板上に電極パッドを形成する工程を説明する。
最初に、図1Aの側面図に示すように、回路基板1の上面にCuからなる導電性膜2を電解めっきにより形成する。回路基板1としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂を用いる。続いて、導電性膜2の上にレジスト膜を塗布し、硬化させた後に露光及び現像してレジストパターン4を形成する。そしてレジストパターン4をマスクにして導電性膜2をパターニングする。これにより、図1Bに示すように、回路基板1の上の所定位置に、例えば、直径0.6mmの円形の導電層3が形成される。
【0020】
続いて、電解めっき用の電極となる銅シード層(不図示)を、例えば0.5μm程度の厚さで、導電層3の表面と回路基板1上に形成する。なお、銅シード層は最終的にはエッチングにより除去される。
【0021】
次に、図1Cに示す構造を得るまでの工程について説明する。
まず、導電層3の上及び回路基板1の上にレジスト膜を塗布し、硬化させた後に露光及び現像してレジストパターン5を形成する。図2Aの平面図に示すように、レジストパタ
ーン5は、導電層3の上に複数の開口部5Aを有する。開口部5Aは、中央の円形部と、円形部を中心にして同心円状に配置された3つの円環とからなる。なお、円環の数は、3つに限定されない。そして、レジストパターン5の開口部5Aから露出する導電層3の上にCuからなるめっき層7を電解めっき法により例えば10μm以上の膜厚に形成する。
【0022】
図1D及び図2Bに示すように、電極パッド10の上、及び回路基板1の上のレジストパターン5を例えばアッシング又は溶剤により除去する。これにより、導電層3の表面にめっき層7からなる凸部10Aが所定の間隔で複数形成された電極パッド10が得られる。
ここで、図2Bに示すように、電極パッド10の表面に形成される凸部10Aは、径の異なる複数の円環からなる。また、凸部10Aの間は、導電層3が露出する溝10Bになる。図1Dに示すように、凸部10Aの間に形成される同心円状の溝10Bは、その深さH1が例えば約10μm以上で、幅D1は例えば10μm以上である。
また、図2Cに示すように、電極パッド10は、回路基板1上に、所定の間隔、例えば200μm〜600μmの間隔で複数形成される。なお、電極パッド10の数及び配列は、図2Cに限定されない。なお、図2Cでは、図2Bの電極パッド10が縮小して描かれている。
【0023】
次に、図1Eに示す断面構造を得るまでの工程について説明する。
最初に、電極パッド10以外の領域の回路基板1の上面をレジストパターン(不図示)で覆う。次いで、電極パッド10の上に、第1の金属層12を形成する。第1の金属層12は、例えば、電解めっき法により形成される。第1の金属層12は、元素周期律表においてVIII族に属する遷移金属元素であるNiから形成される。そのめっき条件は、例えば、めっき槽内のめっき液の温度を90℃にし、通電時間を2分間にする。これにより、電極パッド10の上に第1の金属層12が、1μm〜2μmの膜厚で、電極パッド10の凹凸形状に倣って形成される。なお、第1の金属層12は、無電解めっき法により形成しても良い。
【0024】
さらに、第1の金属層12の上に、第2の金属層13を形成する。第2の金属層13は、第1のSn層13Aと、第2のSn層13Bとを順番に積層させることで形成される。
第1のSn層13Aは、第1の金属層12の上に無電解めっき法により、例えば、1〜2μmの膜厚に形成する。第1のSn層13Aは、第1の金属層12が積層された電極パッド10の凹凸形状に倣って形成される。
続いて、第1のSn層13Aの上に第2のSn層13Bを電解めっき法によって、10μm以上の膜厚に形成する。第2のSn層13Bは、第1のSn層13A及び第1の金属層12が積層された電極パッド10の凹凸形状に倣って形成される。なお、第2のSn層13Bは、無電界めっき法又は置換型無電界めっき法により形成しても良い。
【0025】
これにより、電極パッド10の上に、第1の金属層12、第1のSn層13A、及び第2のSn層13Bからなる3層構造の積層膜15が形成される。積層膜15は、電極パッド10の表面形状に倣った凹凸形状を有する。つまり、最上層の第2のSn層13Bの表面には、溝10Bの形成位置に合わせて、同心円状の溝15Aが3つ形成される。なお、電極パッド10の溝10Bの幅D1の大きさと、積層膜15の膜厚の大きさによっては、第2のSn層13Bの表面に溝15Aが形成されないこともある。
【0026】
この後、電極パッド10以外の領域を覆っていたレジストパターン(不図示)を除去する。さらに、回路基板1上の銅シード層(不図示)を硫酸、過酸化水素数を含有する溶液によりエッチングして除去する。
【0027】
次に、図3に示すように、半導体素子を含む半導体装置21を回路基板1に実装する。
ここで、半導体装置21には、エリアアレイ型と呼ばれるBGA(Ball Grid Array)やCSP(Chip Size Package)などの半導体パッケージが用いられている。この半導体装置21は、例えば、ガラスエポキシ基板などのインターポーザと呼ばれる基板22を有する。基板22の一方の面には、半導体回路が形成された半導体チップ20(半導体素子)が取り付けられると共に、プラスチック製のケース23が装着されることで半導体チップ20が保護されている。なお、半導体装置21は、樹脂で半導体チップ20を封止しても良い。また、ケース23や樹脂を設けずに、ベアの基板22のみでも良い。
【0028】
基板22の他方の面22Bには、電極25が複数形成されている。電極25は、半導体チップ20の図示を省略する電極と電気的に接続されている。各電極25上には、ハンダバンプ26が1つずつ形成されている。ハンダバンプ26を形成する際には、例えば、電極25の上にスクリーン印刷によりハンダペーストを塗布する。ハンダペーストは、ハンダ材料をフラックスと混合してペースト状にしたもので、電極25上にメタルマスクを配置し、メタルマスクの開口部にスキージを用いて充填することで塗布される。この後、電極25上のハンダペーストをリフローすると、フラックスが蒸発して略球形状のハンダバンプ26が形成される。また、電極25にフラックスを介してハンダボールを接着し、リフロー工程でハンダボールを電極25に溶着することでハンダバンプ26を形成しても良い。
【0029】
ハンダバンプ26に用いられるハンダ材料は、いわゆる鉛フリーハンダが用いられている。鉛フリーハンダのハンダ材料の組成は、例えば、Snが最も含有量が多く、これにBi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上が添加されたものが用いられる。例えば、SnAgCu系のハンダ材料であれば、Sn−3.0Ag−0.5Cu(3.0質量%Ag−0.5質量%Cuを含有するSnハンダ)や、Sn−4.0Ag−0.5Cu(4.0質量%Ag−0.5質量%Cuを含有するSnハンダ)があげられる。なお、鉛フリーハンダのハンダ材料の他の例としては、SnAgCu系、SnZnBi系、SnCu系、SnAgInBi系、SnSb系があげられる。また、ハンダ材料は、Snの代わりに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuを含むものでも良い。
【0030】
このようにして製造した半導体装置21は、ハンダバンプ26を下向きに、かつハンダバンプ26と回路基板1の電極パッド10とを位置合わせしつつ、回路基板1の上に載置される。
続いて、半導体装置21を搭載した回路基板1を、コンベア炉に入れて加熱する。加熱条件は、例えば、最高温度を250℃とし、ハンダバンプ26の融点である約217℃以上の温度が約2分維持されるようにする。これにより、ハンダバンプ26が溶融して、ハンダバンプ26と回路基板1の電極パッド10とが接合される。これにより、半導体装置21の電極25と、回路基板1の電極パッド10とが電気的に接続される。なお、このようにして製造された半導体装置31には、他の電子部品などを実装することも可能である。
【0031】
ここで、図4Aの断面図に示すように、ハンダバンプ26を電極パッド10に接合することで形成されるハンダ接合部32は、電極パッド10の表面の凹凸にハンダバンプ26が食い込んでおり、電極パッド10とハンダバンプ26の境界に金属間化合物層33が形成されている。金属間化合物層33は、電極パッド10の表面形状に倣った凹凸形状を有する。この実施の形態における金属間化合物層33は、図1Dに示す積層膜15のNi、Snとハンダバンプ26に含まれるCuとを含み、例えば、(Cu,Ni)6Sn5になる。なお、第1の金属層12のNiは、電極パッド10のCuとハンダバンプ26のSnの間の拡散及び反応を低減させるので、金属間化合物層33の成長が抑制され、その膜厚は薄い。
【0032】
また、第2のSn層14が10μm以上の膜厚に形成されているので、接合後のハンダバンプ26の組成は、Sn濃度が高くなり、Ag濃度が相対的に低くなる。これにより、例えば、接合前のハンダバンプ26の組成が、Sn−3.0Ag−0.5Cnであった場合には、Ag濃度が0.3から2〜2.3に下がる。ハンダバンプ26中のAg濃度が下がることで、ハンダ材料のヤング率が低くなって、伸び特性が向上する。
【0033】
以上、説明したように、この半導体装置31では、ハンダバンプ26に接合される電極パッド10の表面に同心円からなる環状の凸部10Aと、これによって形成される曲線状の溝10Bを設けた。このように、電極パッド10の表面に段差を設けることで、ハンダバンプ26と電極パッド10の接合部分が、電極パッド10の凹凸に沿った3次元的な立体形状になり、ハンダバンプ26と電極パッド10の接触面積が増える。さらに、ハンダバンプ26に電極パッド10が楔のように入り込むことによるアンカー効果によって、ハンダ接合部32の接合強度が向上する。また、半導体装置31のハンダ接合部32の接合面が3次元的な立体形状であることから、従来のようにハンダバンプ26と電極パッド10の接合面が平面である場合に比べてせん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。
【0034】
さらに、この半導体装置31では、金属間化合物層33が電極パッド10の表面形状に倣った凹凸形状を有する。このため、図4AのI−I線に沿った断面図である図4Bに示すように、回路基板1に平行な、せん断面方向において、ハンダバンプ26に比べて硬くて脆い金属間化合物層33部分と、ハンダバンプ26の部分とが交互に配置される。これにり、ハンダ接合部32がせん断応方向の応力に対して強くなる。
【0035】
また、電極パッド10の表面にNiを用いた第1の金属層12を形成してCuとSnの拡散及び反応を抑制させたので、ハンダ接合部32の金属間化合物層33の膜厚を抑制できる。硬くて脆い金属化合物層33の膜厚を抑えることで、ハンダ接合部32の強度や疲労寿命特性を改善できる。
【0036】
さらに、積層膜15中の第2のSn膜14の膜厚を10μm以上にしたので、接合後のハンダバンプ26のSn濃度を高く、Ag濃度を低くすることができる。これにより、ハンダバンプ26のヤング率が低くなり、ハンダ接合部32の耐衝撃性が向上する。また、ヤング率が低くなることにより、ハンダ接合部32の疲労寿命特性を向上できる。
【0037】
ここで、従来のハンダ接合部が平面で、第1の金属層12を有しない半導体装置と、本実施の形態の半導体装置31の信頼性試験を行った。信頼性試験は、温度サイクル試験と、自由落下衝撃試験とを実施した。
【0038】
まず、温度サイクル試験では、半導体装置を−55℃の低温下に30分間放置した後、125℃の高温下に30分間晒す。これを1サイクルとして、合計で500サイクルの温度サイクル試験を行った後、ハンダ接合部の不良を調べた。従来の半導体装置では、5つのサンプルのうち、3つのサンプルにハンダ接合部のオープン不良が発生した。これに対し、半導体装置31では、5つのサンプルの全てにおいてハンダ接合部32のオープン不良は発生しなかった。
【0039】
また、自由落下衝撃試験では、半導体装置を高さ10cmから自由落下させて衝撃を与えるテストを200回実施した後、ハンダ接合部の不良を調べた。従来の半導体装置では、5つのサンプルのうち、4つのサンプルにハンダ接合部のオープン不良が発生した。これに対し、半導体装置31では、5つのサンプルの全てにおいてハンダ接合部32のオープン不良は発生しなかった。
【0040】
これらのことから、この半導体装置31では、従来に比べて、熱及び衝撃に対する耐性が向上したことがわかった。
【0041】
ここで、積層膜15の第1の金属層12は、Niの代わりに、他のVIII族に属する遷移金属元素、例えばCoやFeであっても良い。CoやFeを用いた場合でも、Niと同様に、電極パッド10のCuとハンダバンプ26のSnの間の拡散及び反応を低減させ、金属間化合物層33の成長を抑制することができる。また、第1の金属層12は、Fe−Ni、Ni−Co等の合金層であっても良い。
【0042】
(第2の実施の形態)
まず、図1A及び図1Bと同様に、回路基板1上に導電性膜2をパターニングして導電層3を形成する。次に、導電性膜2の上及び回路基板1の上にレジスト膜を塗布し、硬化させた後に露光及び現像してレジストパターンを形成する。図5Aに示すように、レジストパターン41は、四角形の開口部41Aが等間隔に複数配列されている。そして、レジストパターン41の開口部41Aから露出する導電層3にCuからなるめっき層42を電解めっき法により10μm以上の膜厚に形成する。この後、レジストパターン41を例えばアッシング又は溶剤により除去する。これにより、図5B及び図6Aに示すように、表面に凹凸が形成された電極パッド50が形成される。
なお、電解めっき用の電極として、銅シード層を形成し、最後に除去するが、第1の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
【0043】
ここで、電極パッド50の表面には、めっき層42からなる凸部50Aが複数形成されており、これら凸部50Aによって格子状の溝50Bが形成される。溝50Bには、導電性膜2が露出している。電極パッド50の溝50Bの深さH2は、例えば10μm以上で、幅D2は例えば10μm以上である。なお、凸部50Aの大きさや配列数は、図5B及び図6Aに示す例に限定されない。また、図5Cに示すように、電極パッド50は、回路基板1上に、所定の間隔で複数形成される。
【0044】
次に、図6Bに示すように、電極パッド50の上に、第1の金属層12、第1のSn層13A、第2のSn層13Bを順番に、電解めっき又は無電解めっきを用いて堆積させ、積層膜15を形成する。第1の金属層12には、Ni又は、他のVIII族に属する遷移金属元素、CoやFe、又はこれらの合金が用いられる。第2のSn層13Bは、少なくとも10μm以上の膜厚に形成する。積層膜15は、電極パッド50の表面の形状に倣って凹凸形状を有する。つまり、最上層の第2のSn層13Bの表面には、溝50Bの形成位置に合わせて、格子状の溝15Bが形成される。なお、電極パッド50の溝50Bの幅D2と、第2のSn層13Bの膜厚の大きさによっては、第2のSn層13Bの表面に溝15Bが形成されないこともある。
【0045】
続いて、図7に示すように、半導体素子を含む半導体装置21を回路基板1に実装する。この際、半導体装置21は、ハンダバンプ26を下向きに、かつハンダバンプ26と回路基板1の電極パッド50とを位置合わせしつつ、回路基板1の上に載置される。ハンダバンプ26には、鉛フリーハンダ、例えば、Sn−3.0Ag−0.5Cuや、Sn−4.0Ag−0.5Cuなどが用いられる。
【0046】
この後、半導体装置21を搭載した回路基板1を、コンベア炉に入れて加熱する。ハンダバンプ26が溶融して、電極パッド50に接合される。これにより、半導体装置21の電極25と、回路基板1の電極パッド10とが電気的に接続される。なお、このようにして製造された半導体装置61には、他の電子部品などを実装することも可能である。
【0047】
ハンダ接合部62は、電極パッド10の凹凸にハンダバンプ26が食い込むことで形成
されており、電極パッド10とハンダバンプ26の境界には金属間化合物層63が形成されている。金属間化合物層63は、電極パッド50の表面形状に倣った凹凸形状を有する。第1の金属層12を形成するVIII族に属する遷移金属元素が、電極パッド50のCuとハンダバンプ26のSnの間の拡散及び反応を低減させるので、金属間化合物層63の成長が抑制され、その膜厚は薄い。
【0048】
以上、説明したように、この実施の形態では、ハンダバンプ26に接合される電極パッド50の表面に複数の凸部50Aを設け、交差する複数の直線で格子状の溝50Bを形成した。このように、電極パッド50の表面に段差を設けることで、ハンダバンプ26と電極パッド50の接触面積が増えると共に、ハンダバンプ26に電極パッド50を楔のように入り込ませることが可能になる。これにより、ハンダ接合部62のせん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。その他の効果は、第1の実施の形態と同様である。
【0049】
なお、この半導体装置61について、第1の実施の形態と同様の温度サイクル試験と、自由落下衝撃試験とを実施したところ、5つのサンプルの全てにおいてハンダ接合部32のオープン不良は発生しなかった。このことから、この半導体装置31では、従来に比べて、熱及び衝撃に対する耐性が向上したことがわかった。
【0050】
次に、本実施の形態の変形例について説明する。
図8に示す電極パッド70は、導電層3の上に、めっき層71からなる凸部70Aが平行なラインとして複数形成されている。凸部70Aの間には、複数の溝70Bが並列に形成されており、ここから導電層3が露出している。つまり、電極パッド70の溝70Bは、直線状で、かつ交差せずに一方向に向けて形成されている。このような電極パッド70では、ライン状に配列された凹凸形状によって、ハンダバンプ26と電極パッド70の接触面積が増えると共に、ハンダバンプ26に電極パッド70が楔のように入り込む。これにより、ハンダ接合部のせん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。
【0051】
また、図9に示す電極パッド80は、導電層3の上に、めっき層81によって、長さ方向にジグザクに折れ曲がった凸部80Aが複数形成されている。凸部80Aの間には、複数の溝80Bに、かつ長さ方向に折れ曲がりつつ形成されており、ここから導電層3が露出している。これにより、電極パッド80には、折れ曲がったラインによって形成される凹凸形状による段差が設けられている。このため、ハンダバンプ26と電極パッド80の接触面積が増えると共に、ハンダバンプ26に電極パッド80が楔のように入り込み、せん断方向の応力、すなわち衝撃に対する強度が高まる。凸部80A及び溝80Bは、図9に示す形状の他、例えば、鋸刃形や波形であっても良い。
【0052】
なお、本発明は、前記の各実施の形態の他にも様々な変形が可能である。
例えば、めっき層7、24を凸状に形成する代わりに、導電層3に溝を形成しても良い。
それぞれの凸部10A,50A,70A,80Aの断面形状は、正方向や長方形であっても良いし、台形でも良い。凸部10A,50A,70A,80Aを台形にしたときの上辺の長さ(幅)は、下辺の長さ(幅)より小さくても良いし、大きくても良い。
図5Aに示すマスクパターン41の開口部41Aの形状は、四角に限定されず、円形や楕円形でも良い。
また、半導体装置21の電極パッド22を、電極パッド10,50,70,80の形状及び構成にしても良い。この場合には、半導体装置21を本発明の実施の形態に係る半導体装置の概念としても良い。
【0053】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例お
よび条件に限定することなく解釈するものであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる。
【0054】
以下に、前記の実施の形態の特徴を付記する。
(付記1) 基板と、前記基板の上に形成され、表面に凸部を有する電極パッドと、半導体素子と、前記半導体素子の電極に電気的に接続されると共に、前記電極パッドの前記凸部の間の溝を埋めつつ、前記電極パッドに接合されたハンダと、を含む半導体装置。
(付記2) 前記電極パッドは、前記溝が同心円状に形成されている付記1に記載の半導体装置。
(付記3) 前記電極パッドは、前記溝が格子状に形成されている付記1に記載の半導体装置。
(付記4) 前記溝の深さは10μm以上である付記2又は付記3に記載の半導体装置。(付記5) 前記ハンダは、Snに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上を添加したハンダ材料からなる付記1乃至付記3の半導体装置。
(付記6) 基板の上に導電層を形成する工程と、前記導電層の表面の一部に導電材料からなる凸部を成長させ、凹凸を有する電極パッドを形成する工程と、前記電極パッドに半導体素子に設けられたハンダを載置する工程と、前記ハンダに熱を加え、溶融した前記ハンダのハンダ材料の一部を前記電極パッドの前記凸部によって形成される溝に埋め込む工程と、を含む半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記ハンダは、Snに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上を添加したハンダ材料で形成される付記6に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記電極パッドの凹凸を有する表面に、VIII族の遷移金属からなる第1の金属層と、Snからなる第2の金属層とを積層させる工程を含む付記6又は付記7に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9) 第2の金属層は、Snを10μm以上の膜厚に形成する付記5乃至付記8のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記電極パッドを形成する工程は、前記導電層の表面に前記凸部を同心円状の形成する付記6乃至付記9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記電極パッドを形成する工程は、前記導電層の表面に前記凸部を形成し、前記凸部の間の溝を格子状に形成する付記6乃至付記9のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0055】
1 回路基板
10,50,70,80 電極パッド
10A,50A,70A,80A 凸部
10B,50B,70B,80B 溝
12 第1の金属膜
13 第2の金属膜
20 半導体チップ(半導体素子)
21 半導体装置
25 電極
26 ハンダバンプ
31,61 半導体装置
32,62 ハンダ接合部
33,63 合金層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に形成され、表面に凸部を有する電極パッドと、
半導体素子と、
前記半導体素子の電極に電気的に接続されると共に、前記電極パッドの前記凸部の間の溝を埋めつつ、前記電極パッドに接合されたハンダと、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記電極パッドは、前記溝が同心円状に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電極パッドは、前記溝が格子状に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
基板の上に導電層を形成する工程と、
前記導電層の表面の一部に導電材料からなる凸部を成長させ、凹凸を有する電極パッドを形成する工程と、
前記電極パッドに半導体素子に設けられたハンダを載置する工程と、
前記ハンダに熱を加え、溶融した前記ハンダのハンダ材料の一部を前記電極パッドの前記凸部によって形成される溝に埋め込む工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ハンダは、Snに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上を添加したハンダ材料で形成される請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
基板と、
前記基板の上に形成され、表面に凸部を有する電極パッドと、
半導体素子と、
前記半導体素子の電極に電気的に接続されると共に、前記電極パッドの前記凸部の間の溝を埋めつつ、前記電極パッドに接合されたハンダと、
を含む半導体装置。
【請求項2】
前記電極パッドは、前記溝が同心円状に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記電極パッドは、前記溝が格子状に形成されている請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
基板の上に導電層を形成する工程と、
前記導電層の表面の一部に導電材料からなる凸部を成長させ、凹凸を有する電極パッドを形成する工程と、
前記電極パッドに半導体素子に設けられたハンダを載置する工程と、
前記ハンダに熱を加え、溶融した前記ハンダのハンダ材料の一部を前記電極パッドの前記凸部によって形成される溝に埋め込む工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記ハンダは、Snに、Bi、In、Zn、Ag、Sb、Cuのいずれか一種類以上を添加したハンダ材料で形成される請求項4に記載の半導体装置の製造方法。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2011−198796(P2011−198796A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−60644(P2010−60644)
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月17日(2010.3.17)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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