説明

半導体記憶装置の製造方法、及び半導体記憶装置

【課題】信頼性に優れた半導体記憶装置、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】凹凸部を有する半導体基板10の凹部に素子分離領域12を形成する工程と、素子分離領域12の、凹凸部を有する半導体基板10の凸部である能動領域18の長手方向と直行する方向にゲート電極配線溝22を設ける工程と、ゲート電極配線溝22を埋めるようにゲート電極材からなる層36を形成する工程と、ゲート電極材からなる層36をパターニングしてゲート電極14を形成する工程と、素子分離領域12をエッチングすることにより能動領域18を形成する工程と、ゲート電極14の側面であり、凹凸部を有する半導体基板10の凸部と接する面の少なくとも一方に電荷蓄積層16を形成する工程と、電荷蓄積層16の少なくとも一部にサイドウォール34を形成する工程と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法、及び半導体記憶装置に関し、特に、例えば、半導体不揮発性メモリへ利用可能な半導体記憶装置の製造方法、及び半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、半導体不揮発メモリは、記憶情報の保持に電力が不要であることから、携帯電話等の低電力機器のメモリとして利用されている。
【0003】
その一つに、ゲート電極を挟み込むように電荷蓄積層を設けた半導体不揮発メモリが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような半導体不揮発メモリは、電荷蓄積層に電子を蓄積させることにより、メモリとして機能させている。即ち、電荷蓄積層における電子の有無により、メモリ(トランジスタ)の電流量を変化させて、”0”、”1”のデータとして読み取りメモリの機能を有する。
【0004】
一方、近年、半導体不揮発性メモリも含め半導体記憶装置は、用いられる素子の微細化が著しく、3次元構造MIS型半導体記憶装置の一種で、フィン型電界効果トランジスタが提案されており(例えば、特許文献2〜特許文献4参照)、図11のように、酸化膜90、窒化膜92、及び酸化膜94の三層で構成される電荷蓄積層96がゲート電極88の底部に設けられている半導体記憶装置200のような構造も提案されるようになってきている(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特開2006−24680公報
【特許文献2】特開2003−163356公報
【特許文献3】特開2004−214413公報
【特許文献4】米国特許第6413802号公報
【特許文献5】特開2004−172559公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような電荷蓄積層を有する半導体不揮発性メモリの微細化が進むと、ゲート寸法が縮小されゲート電極幅も小さくなる。すると、チャネル長が短くなり短チャネル効果が発生し、ゲートを閉じていてもソース領域とドレイン領域との間でリーク電流が流れてしまう(以下、適宜、「パンチスルー」と称する)。
また、通常、ゲート電極は、ゲート電極材の堆積、ゲート電極のパターニング、の順で形成される。しかし、ゲート寸法が縮小されると、ゲート電極形成の際、ゲート電極間にゲート電極材のエッチング残りが発生し、隣接するゲート電極間でショートを引き起こす可能性があり、さらなる改善が望まれている。
【0006】
本発明は、前記問題点に鑑みなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
即ち、本発明の目的は、信頼性に優れた半導体記憶装置、及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は鋭意検討した結果、下記の半導体装置の製造方法を用いることにより、上記問題を解決できることを見出し、上記目的を達成するに至った。
【0008】
即ち、請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法は、ゲート電極と、電荷蓄積層と、を有する半導体記憶装置の製造方法において、凹凸部を有する半導体基板の凹部に素子分離領域を形成する素子分離領域形成工程と、前記素子分離領域の、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部の長手方向と直行する方向にゲート電極配線溝を設けるゲート電極配線溝形成工程と、前記ゲート電極配線溝を埋めるようにゲート電極材からなる層を形成するゲート電極材層形成工程と、前記ゲート電極材からなる層をパターニングしてゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記素子分離領域をエッチングすることにより能動領域を形成する能動領域形成工程と、前記ゲート電極の側面であり、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部と接する面の少なくとも一方に電荷蓄積層を形成する電荷蓄積層形成工程と、
前記電荷蓄積層の少なくとも一部にサイドウォールを形成するサイドウォール形成工程と、を含むことを特徴とする。
さらに、本発明の半導体記憶装置の製造方法において、電荷蓄積層形成工程は、ゲート電極形成工程後に行うことが好適である。
【0009】
請求項1、及び請求項2に記載の半導体記憶装置の製造方法によると、ゲート電極のゲート電極配線溝に埋め込まれた部分を露出させるために素子分離領域をエッチングすることにより、ゲート電極間にゲート電極材のエッチングの残部が存在せず、ゲート電極間の短絡要因(ショート)を抑制することができる。
また、電荷蓄積層形成工程をゲート電極形成工程後に行うことで、電荷蓄積層がゲート電極の側壁部に形成されることになるので、電荷蓄積層の容積を増加させることができるため、ゲート電極の短絡要因を抑えることができることに加え、蓄積することができる電荷の量が減少することなく、半導体記憶装置の小型化にも対応することができる。
【0010】
請求項3に記載の半導体記憶装置は、凹凸部を有する半導体基板と、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部からなる能動領域の少なくとも両側面を覆うゲート電極と、前記ゲート電極の側面であり、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部と接する面の少なくとも一方を覆う電荷蓄積層と、前記電荷蓄積層の少なくとも一部を覆うように形成されたサイドウォールと、前記能動領域の、ゲート電極で覆われた領域に形成されたチャネル領域と、前記チャネル領域を挟むように、前記能動領域中に形成されたソース領域及びドレイン領域と、前記能動領域中の前記チャネル領域と前記ソース領域との間、又は前記チャネル領域と前記ドレイン領域との間の少なくとも一方に形成されたエクステンション領域と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の半導体装置によると、サイドウォールを形成することにより、ソース領域とドレイン領域との距離を最適化し、パンチスルーを抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、信頼性に優れた半導体記憶装置、及びその製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明の半導体記憶装置の製造方法を実施するための最良の形態について、図面により説明する。なお、重複する説明は省略する場合がある。
【0014】
<半導体記憶装置の製造方法>
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、ゲート電極と、電荷蓄積層と、を有する半導体記憶装置の製造方法において、凹凸部を有する半導体基板の凹部に素子分離領域を形成する素子分離領域形成工程と、前記素子分離領域の、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部の長手方向と直行する方向にゲート電極配線溝を設けるゲート電極配線溝形成工程と、前記ゲート電極配線溝を埋めるようにゲート電極材からなる層を形成するゲート電極材層形成工程と、前記ゲート電極材からなる層をパターニングしてゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、前記素子分離領域をエッチングすることにより能動領域を形成する能動領域形成工程と、前記ゲート電極の側面であり、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部と接する面の少なくとも一方に電荷蓄積層を形成する電荷蓄積層形成工程と、前記電荷蓄積層の少なくとも一部にサイドウォールを形成するサイドウォール形成工程と、を含むことを特徴とする。
以下に、各工程の説明を、図9に示す本発明の半導体装置100のA−A断面側から見た図1〜図7に基づいて説明する。
【0015】
〔凹凸部を有する半導体基板の凹部に素子分離領域を形成する素子分離領域形成工程〕
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、図1に示すように、凹凸部を有する半導体基板の10凹部に素子分離領域12を形成する素子分離領域形成工程を含む。
[凹凸部を有する半導体基板]
本発明における凹凸部を有する半導体基板10は、後述する能動領域18を形成するための凸部を有する。また、凹部には、後述する素子分離領域12が形成される。なお、後述する素子分離領域12を形成する前に、予めゲート絶縁膜(不図示)を凹凸部を有する半導体基板10の凸部表面に形成する。
凹凸部を有する半導体基板10としては、SOI基板(Si基板と表面Si層の間にSiOを挿入した構造の基板)、又はSi基板を用いることができる。
【0016】
[素子分離領域]
本発明における素子分離領域12は、本工程では、公知の方法により凹部を埋め、後述する能動領域18の、少なくとも上面と面一となるような高さまで堆積する。
素子分離領域12としては、絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、STI(SiO)等を用いることができる。
【0017】
〔素子分離領域の、凹凸部を有する半導体基板の凸部の長手方向と直行する方向にゲート電極配線溝を設けるゲート電極配線溝形成工程〕
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、図2に示すように、素子分離領域12の、凹凸部を有する半導体基板10の凸部の長手方向と直行する方向にゲート電極配線溝22を設けるゲート電極配線溝形成工程を含む。
このゲート電極配線溝22は、後述するゲート電極14を埋め込むためのものであり、半導体記憶装置の仕様により自由に設定できる。ゲート電極配線溝22の深さ、及び幅については、図3で詳述する。
ゲート電極配線溝22は、フォトエッチング等の公知の技術により形成される。
【0018】
〔ゲート電極配線溝を埋めるようにゲート電極材からなる層を形成するゲート電極材層形成工程〕
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、図3に示すように、前記ゲート電極配線溝22を埋めるようにゲート電極材からなる層36を形成するゲート電極材層形成工程を含む。なお、(A)図は、凹凸部を有する半導体基板10の凸部の断面から見た断面斜視図であり、(B)図は、ゲート電極配線溝22側から見た断面斜視図である。
前記ゲート電極材からなる層36は、後述するゲート電極14のパターニングを容易にし、尚且つ後述するゲート電極のエッチング残りが発生しないようにするため前述したゲート電極配線溝22に埋め込まれている。
ゲート電極材からなる層36の膜厚38は、ゲート電極配線溝22を隙間なく埋める観点から、ゲート電極配線溝22の幅40の1/2以上が好ましい。ここで、ゲート電極材からなる層36の膜厚38とは、凹凸部を有する半導体装置10の凸部の上面からゲート電極材からなる層36の上面までの高さを表す。
ゲート電極配線溝22の深さ42は、後述するゲート電極14の高さとゲート電極14を形成するために形成されるマスク材(不図示)との合計の高さより小さいことが好ましい。
ゲート電極材からなる層36は、例えば、CDVにより形成することができる。
【0019】
本発明の半導体記憶装置の製造方法では、後述するゲート電極14をパターニングするため、マスク材(不図示)をゲート電極材からなる層36の表面上に形成する。ここで、ゲート電極材からなる層36の膜厚38と前記マスク材の膜厚との合計は、後述するサイドウォール34を形成するため、後述する能動領域18の高さ46の1倍より大きいことが好ましい。また、前記マスク材を堆積せず、ゲート電極14のみの場合においても、ゲート電極材からなる層36の膜厚38は、後述する能動領域18の高さ46の1倍より大きいことが好ましい。
【0020】
本発明における前記ゲート絶縁材としては、公知の材料を用いることができ、例えば、酸化膜、酸窒化膜、希土類を添加した酸化膜が挙げられる。
【0021】
〔ゲート電極材からなる層をパターニングしてゲート電極を形成するゲート電極形成工程〕
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、図4に示すように、前述したゲート電極材からなる層36をパターニングしてゲート電極14を形成するゲート電極形成工程を含む。なお、(A)図は、凹凸部を有する半導体基板10の凸部の断面から見た断面斜視図であり、(B)図は、ゲート電極配線溝22側から見た断面斜視図である。
ゲート電極14は、公知のフォトエッチングにより素子分離領域12の表面までエッチングすることにより形成される。
また、ゲート電極14の幅は、前述したゲート電極配線溝22の幅40と同一である。
【0022】
〔素子分離領域をエッチングすることにより能動領域を形成する能動領域形成工程〕
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、図5に示すように、素子分離領域12をエッチングすることにより能動領域18を形成する能動領域形成工程を含む。なお、(A)図は、凹凸部を有する半導体基板10の凸部の断面から見た断面斜視図であり、(B)図は、ゲート電極配線溝22側から見た断面斜視図である。
素子分離領域12を従来のフォトエッチングによりエッチングすることにより、能動領域18を形成する。エッチングした後の素子分離領域12の表面から能動領域18の表面までの高さ(以下、適宜、「能動領域の高さ」と称する)は、半導体記憶装置の仕様により適宜変更することができるが、前述したゲート電極14の形成時におけるゲート電極材のエッチング残りを除去する観点から、前述したゲート電極配線溝22の深さ42に対して、(能動領域の高さ)/(ゲート電極配線溝の深さ)が1以下であることが好ましい。
【0023】
続いて、前記素子分離領域12のエッチングを行った後、短チャネル効果によるパンチスルーを抑制するため、素子分離領域12中のゲート電極14で覆われていない領域に、公知のインプラ技術により不純物を注入し、図10(A)に示すエクステンション領域50、及び52を形成する。
前記不純物としては、例えば、P、As、B等が挙げられる。
【0024】
〔ゲート電極の側面であり、凹凸部を有する半導体基板の凸部と接する面の少なくとも一方に電荷蓄積層を形成する電荷蓄積層形成工程〕
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、図6で示すように、ゲート電極14の側面であり、凹凸部を有する半導体基板10の凸部と接する面の少なくとも一方に電荷蓄積層16を形成する電荷蓄積層形成工程を含む。
電荷蓄積層16は、ゲート電極14、能動領域18の側面部、能動領域18の上面、及び素子分離領域12の表面上に形成される。
電荷蓄積層16は、公知の技術により、まず、例えばSiOからなるボトム酸化膜30を形成し、ボトム酸化膜30の表面上に例えばSiNからなる窒化シリコン膜28を形成した後、窒化シリコン膜28の表面上に例えばSiOからなるトップ酸化膜26と、を含む積層構造(ONO:Oxide Nitride Oxide)で構成されている。
電荷蓄積層16の膜厚は、電荷の読み取り判断が容易に実現できるようにするため、ボトム酸化膜30の膜厚を0.0065μm以上とし、トップ酸化膜26を0.0065μmとすることが好ましい。
また、ボトム酸化膜30は公知の酸化技術により膜を形成し、窒化シリコン膜28はCDVにより膜を形成し、トップ酸化膜26は酸化、もしくはCDVにより形成することができる。
【0025】
また、電荷蓄積層形成工程は、ゲート電極14の形成後に行うことが好ましい。本発明の半導体記憶装置の製造方法で製造された半導体記憶装置は、ゲート電極14の側面であり、凹凸部を有する半導体基板10の凸部と接する面に電荷蓄積層16を設けているため、ゲート電極14の形成後に電荷蓄積層16を設けた方が製造上好ましいためである。
【0026】
〔電荷蓄積層の少なくとも一部にサイドウォールを形成するサイドウォール形成工程〕
本発明の半導体記憶装置の製造方法は、図7で示すように、電荷蓄積層16の少なくとも一部にサイドウォール34を形成するサイドウォール形成工程を含む。なお、(A)図は、凹凸部を有する半導体基板10の凸部の断面から見た断面斜視図であり、(B)図は、ゲート電極配線溝22側から見た断面斜視図である。
サイドウォール34は、まず、サイドウォール材料である窒化膜を堆積させた後、異方性エッチングにより前記窒化膜をエッチングし、サイドウォール34を形成する。本発明では、前述した能動領域18の上面のゲート電極14と前記マスク材(不図示)との合計の高さ39(以下、適宜、「X」と称する)が、素子分離領域12の表面から能動領域18の上面までの高さ、つまり、前述した能動領域18の高さ46(以下、適宜、「Y」と称する)より高いため、サイドウォール34は電荷蓄積層16の表面にのみ形成される。つまり、サイドウォール34の素子分離領域12の表面からの高さは、X−Yとなる。従って、本発明の半導体記憶装置はサイドウォール34を有しているので、XはYより大きい関係となる。
また、サイドウォール34をエッチングする際、能動領域18の側壁部、上面部、及びゲート電極14の上面部に形成された電荷蓄積層も、エッチングされ、電荷蓄積層16は、ゲート電極14の側壁部にのみ形成される。
サイドウォール34の材質は、例えば、二酸化シリコン、窒化シリコン、多結晶シリコンが挙げられる。
【0027】
このような工程を経て製造された半導体記憶装置は、ゲート電極14間のエッチング残りが発生せず、ゲート電極14間の短絡要因を抑制することができる。
図8には、本発明の製造方法で製造した半導体記憶装置の上面図(A)、及び従来の製造工程で製造した半導体記憶装置の上面図(B)を示す。本発明の製造方法で製造した半導体記憶装置100は、ゲート電極14間にゲート電極材のエッチング残りがなく、ゲート電極間でのショートは発生しないため、信頼性の高い半導体装置を製造することができる。これに対し、従来の製造方法で製造した半導体記憶装置200は、ゲート電極88間に、ゲート電極材のエッチング残り98が発生し、ゲート電極88同士を電気的に接続した状態となるため、動作の不具合の恐れがあり信頼性に劣る。
【0028】
<半導体記憶装置>
本発明の半導体記憶装置の製造方法により製造された本発明の半導体記憶装置を図9に示す。また、図10の(A)は、図9におけるA−A断面図であり、図10の(B)は、図9におけるB−B断面図である。
本発明の半導体記憶装置100は、凹凸部を有する半導体基板10と、前記凹凸部を有する半導体基板10の凸部の少なくとも両側面を覆うゲート電極14と、前記ゲート電極14の少なくとも両側面を覆う電荷蓄積層16と、前記電荷蓄積層16の少なくとも一部を覆うように形成されたサイドウォール34とを有する。さらに、図10の(A)A−A断面図中において、前記凹凸部を有する半導体基板10の凸部中の、ゲート電極14で覆われた領域に形成されたチャネル領域48と、チャネル領域48を挟むように、凹凸部を有する半導体基板10の凸部中に形成されたソース領域54及びドレイン領域56と、前記凹凸部を有する半導体基板10の凸部中のチャネル領域48とソース領域54との間、又はチャネル領域48とドレイン領域56との間の少なくとも一方に形成されたエクステンション領域50、52と、チャネル領域48とゲート電極14の間に形成されたゲート絶縁膜58と、を有することを特徴とする。
以下に、本発明の半導体記憶装置の情報記録方法について記載する。
【0029】
図9に示した半導体装置100では、電荷蓄積層16の窒化シリコン膜28に電荷を蓄積(トラップ)させたり、蓄積させた電荷を電荷蓄積層16の窒化シリコン膜28より引き出したり(又はとラップされた電荷の反対の極を持つ電荷を注入したり)することで、電荷蓄積層16中の電荷の有無、電荷量や極(正負)により、図10(A)に示したエクステンション領域50、及び52が変調されるため、図10(A)に示したソース領域54とドレイン領域56との間に流れるドレイン電流20の変化が起こる。
【0030】
具体的には、図10において、例えば、電荷蓄積層16で電荷を注入し、電荷を蓄積させると、に示したエクステンション領域50、及び52の抵抗が上昇するため電流が減少する一方で、電荷蓄積層16に電荷が蓄積されないとエクステンション領域50、及び52の抵抗値が低いために十分にドレイン電流20が流れる。このドレイン電流20が減少した状態と電流が流れる状態とを読み取り、理論値”0”、又は”1”に対応させることで1ビットの情報を記録し、また、読み出すことができる。この電荷蓄積層16は2つ存在するので、2ビットの情報を記録し、読み出しすることができる。
【0031】
なお、ソース領域54側の電荷蓄積層16への電荷の蓄積は、ソース領域54、及びゲート電極14に正電圧を印加し、ドレイン領域56を接地電圧とすることで行われる。一方、ドレイン領域56側の電荷蓄積層16への電荷の蓄積は、ドレイン領域56、及びゲート電極14に正電圧を印加し、ソース領域54を接地電圧とすることで行われる。
【0032】
このように、記録・読み出しの際、ソース領域54・ドレイン領域56間に流れるドレイン電流20の電流地を読み取ることで行われるが、本実施形態では、チャネル領48、ソース領域54、及びドレイン領域56が形成される能動領域18が突出するように形成されており、微細化により基板面方向に沿った幅が減少しても高さ方向(基板面と直行した方向に沿った長さ)に広がりを持ってドレイン電流20が流れる。即ち、高さ方向にチャネル幅が確保される。
【0033】
さらに、ソース領域54、ドレイン領域56間に流れるドレイン電流20は、能動領域18の高さによって制御することができるが、能動領域18の高さを高く設計し、ドレイン電流20の最大値を十分確保する。例えば、後述する電荷蓄積層16に蓄積される電荷量を制御して、ドレイン電流20を段階的に制御しても、ドレイン電流20の各段階での差を十分に確保することができ、読み取り判定が容易に実現され、尚且つ理論値を3つ以上(例えば、”0”、”1”、又は”2”)に対応させて多ビットの情報を記録し、また、読み出すことができる。
【0034】
具体的には、例えば、第1電荷量で電荷が蓄積させた第1状態と、第1電荷量よりも低い第2電荷量で電荷を蓄積させた第2状態と、電荷を蓄積させない第3状態と、の3つの状態で電荷蓄積層16の電荷量を制御する。この制御により、ソース領域54、及びドレイン領域56間に流れるドレイン電流20の電流値は、電流が減少した第1状態と、第1状態よりも電流が流れる第2状態と、第1状態、及び第2状態より電流が流れる第3状態と、の3状態で変化する。この電流値の変化を読み取ることにより、前記ビット情報を読み出すことができる。
【0035】
なお、本実施形態では、単一素子(半導体不揮発性メモリセル)の形態について説明したが、これに限らず、通常、アレイ化して適応させることができる。本実施形態では、一つの素子(電荷蓄積性メモリセル)に、多ビットの情報を記録し、またそれを読み出すことが可能となるため、不揮発性メモリとして利用される単一素子をアレイ化することで、単位面積あたりの情報記録密度を高めることができる。
また、本実施形態では、図9に示すように電荷蓄積層16を2つ設けた形態を説明したが、一つ設けた形態であってもよい。
【0036】
以上のように、本発明の半導体装置は、ゲート電極間の短絡要因を抑えることができ、信頼性に優れるものである。
【0037】
なお、本実施形態は、限定的に解釈されるものではなく、本発明の要件を満足する範囲内で実現可能であることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法における、凹凸部を有する半導体基板の凹部に素子分離領域を形成する素子分離領域形成工程を表す断面斜視図である。
【図2】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法における、素子分離領域の、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部の長手方向と直行する方向にゲート電極配線溝を設けるゲート電極配線溝形成工程を表す素子分離領域側からみた断面斜視図である。
【図3】(A)は、本発明の実施形態における半導体装置の製造方法における、ゲート電極配線溝を埋めるようにゲート電極材からなる層を形成するゲート電極材層形成工程を表す素子分離領域側からみた断面斜視図であり、(B)は、ゲート電極配線溝側からみた断面斜視図である。
【図4】(A)は、本発明の実施形態における半導体装置の製造方法における、ゲート電極材からなる層をパターニングしてゲート電極を形成するゲート電極形成工程を表す素子分離領域側からみた断面斜視図であり、(B)は、ゲート電極配線溝側からみた断面斜視図である。
【図5】(A)は、本発明の実施形態における半導体装置の製造方法における、素子分離領域をエッチングすることにより能動領域を形成する能動領域形成工程を表す素子分離領域側からみた断面斜視図であり、(B)は、ゲート電極配線溝側からみた断面斜視図である。
【図6】本発明の実施形態における半導体装置の製造方法における、ゲート電極の側壁部の少なくとも一方に電荷蓄積層を形成する電荷蓄積層形成工程を表す素子分離領域側からみた断面斜視図である。
【図7】(A)は、本発明の実施形態における半導体装置の製造方法における、電荷蓄積層の少なくとも一部にサイドウォールを形成するサイドウォール形成工程を表す素子分離領域側からみた断面斜視図であり、(B)は、ゲート電極配線溝側からみた断面斜視図である。
【図8】(A)は、本発明の製造方法で製造した半導体記憶装置の上面から見た図であり、(B)は、従来の製造工程で製造した半導体記憶装置の上面から見た図である。
【図9】本発明の実施形態における半導体装置の斜視図である。
【図10】図9におけるA−A断面図、及びB−B断面図である
【図11】従来例における半導体装置の斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
10、80、 凹凸部を有する半導体基板
12、82 素子分離領域
14、88 ゲート電極
16、96 電荷蓄積層
18、84 能動領域
20、86 ドレイン電流
22 ゲート電極配線溝
26、トップ酸化膜
28、窒化シリコン膜
30、ボトム酸化膜
34 サイドウォール
36 ゲート電極材からなる層
38 ゲート電極材からなる層の膜厚
39 能動領域の上面のゲート電極とマスク材との合計の高さ
40 ゲート電極配線溝の幅
42 ゲート電極配線溝の深さ
46 能動領域の高さ
48 チャネル領域
50、52 エクステンション領域
54 ソース領域
56 ドレイン領域
58 ゲート絶縁膜
90、94 酸化膜
92 窒化膜
100、200 半導体記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極と、電荷蓄積層と、を有する半導体記憶装置の製造方法において、
凹凸部を有する半導体基板の凹部に素子分離領域を形成する素子分離領域形成工程と、
前記素子分離領域の、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部の長手方向と直行する方向にゲート電極配線溝を設けるゲート電極配線溝形成工程と、
前記ゲート電極配線溝を埋めるようにゲート電極材からなる層を形成するゲート電極材層形成工程と、
前記ゲート電極材からなる層をパターニングしてゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
前記素子分離領域をエッチングすることにより能動領域を形成する能動領域形成工程と、
前記ゲート電極の側面であり、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部と接する面の少なくとも一方に電荷蓄積層を形成する電荷蓄積層形成工程と、
前記電荷蓄積層の少なくとも一部にサイドウォールを形成するサイドウォール形成工程と、
を含むことを特徴とする半導体記憶装置の製造方法。
【請求項2】
前記電荷蓄積層形成工程は、前記ゲート電極形成工程後に行うことを特徴とする請求項1に記載の半導体記憶装置の製造方法。
【請求項3】
凹凸部を有する半導体基板と、
前記凹凸部を有する半導体基板の凸部からなる能動領域の少なくとも両側面を覆うゲート電極と、
前記ゲート電極の側面であり、前記凹凸部を有する半導体基板の凸部と接する面の少なくとも一方を覆う電荷蓄積層と、
前記電荷蓄積層の少なくとも一部を覆うように形成されたサイドウォールと、
前記能動領域の、ゲート電極で覆われた領域に形成されたチャネル領域と、
前記チャネル領域を挟むように、前記能動領域中に形成されたソース領域及びドレイン領域と、
前記能動領域中の前記チャネル領域と前記ソース領域との間、又は前記チャネル領域と前記ドレイン領域との間の少なくとも一方に形成されたエクステンション領域と、
を有することを特徴とする半導体記憶装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−205185(P2008−205185A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39530(P2007−39530)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】