半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法
【課題】被選択酸化層の酸化量を面内で均一に保ち、酸化量を適正に制御できる半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法を提供する。
【解決手段】AlとAsを含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、メサの半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ半導体層の中央部を残して酸化することにより半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、半導体層の酸化処理中に酸化処理を中断する工程と、酸化処理が中断されている間に、半導体素子が収容されている容器に設けた観察窓を介して容器内のメサと容器外の観察手段を接近させて対向させる工程と、観察手段で観察された電流狭窄部の大きさ又は電流狭窄部に囲まれた電流注入部の大きさから酸化進行度を求める工程と、酸化進行度から追加酸化量を求める工程と、追加酸化量だけ半導体層を追加酸化する工程を備えたものである。
【解決手段】AlとAsを含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、メサの半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ半導体層の中央部を残して酸化することにより半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、半導体層の酸化処理中に酸化処理を中断する工程と、酸化処理が中断されている間に、半導体素子が収容されている容器に設けた観察窓を介して容器内のメサと容器外の観察手段を接近させて対向させる工程と、観察手段で観察された電流狭窄部の大きさ又は電流狭窄部に囲まれた電流注入部の大きさから酸化進行度を求める工程と、酸化進行度から追加酸化量を求める工程と、追加酸化量だけ半導体層を追加酸化する工程を備えたものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体酸化装置及び酸化処理工程を有する半導体素子の製造方法に関する。また、本発明は、アルミニウム(Al)と砒素(As)を含む半導体層をその外周縁部から中央部に向かって酸化する半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法であって、特に電流狭窄部と電流注入部の大きさが適正に調整された酸化狭窄型面発光レーザの製造に適した半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電流流入効率を高めるために電流狭窄構造を備えている半導体レーザがある。そのような半導体レーザの一例として、面発光レーザ(VCSEL: Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が挙げられる。この面発光レーザは、基板に垂直方向に光を出射するもので、いわゆる端面発光型の半導体レーザに比べて低価格・低消費電力・小型・二次元デバイスに好適でかつ高性能であるということから近年特に注目されている。
【0003】
面発光レーザの電流狭窄構造としては、AlAs選択酸化狭窄構造が良く用いられている(特許文献1参照)。この面発光レーザの電流狭窄構造は、円形台状又は矩形(四角形)台状のメサ構造を含む半導体基板又は半導体試料を高温水蒸気雰囲気中に配置し、該メサ構造に含まれるp−AlAs被選択酸化層を該メサ構造の側面に露出した外周縁から中心部に向かって且つ中央部を残した状態で酸化することによりAlxOy電流狭窄部(酸化領域)を形成したものである。このようにしてAlxOy電流狭窄部が形成された面発光レーザでは、AlxOy電流狭窄部の屈折率が1.6程度であり、それは他の半導体層の屈折率に比べて低いことから、共振構造内に横方向の屈折率差が生じ、光をメサの中央に閉じ込める。そのため、半導体素子の電流狭窄効率が良く且つ閾値電流が低いという優れた特性が得られる。
【0004】
また、面発光レーザで単一基本横モード発振を得るためには、狭窄部の大きさ(例えば、狭窄径)を小さくして高次モードに対する回折損失を大きくする必要がある。具体的には、狭窄部の一辺の大きさ又は直径を発振波長の3〜4倍程度まで狭くする必要がある。例えば、発振波長が0.85μm、1.3μmの場合、狭窄部の一辺の大きさ又は直径はそれぞれ約3.5μm以下、約5.0μm以下にする必要がある。
【0005】
このような要求に応える半導体酸化装置が非特許文献1に開示されており、その概略構造が図19に示してある。図示する半導体酸化装置の構造とその取り扱いを簡単に説明すると、この半導体酸化装置1010は密閉容器(酸化炉)1012を有し、容器内部(炉内)1014にヒータ内蔵の加熱ステージ1016が設けてある。加熱ステージ1016の上には基板ホルダ1018が設けてあり、この基板ホルダ1018の上に半導体試料1020又は半導体基板が設置される。容器1012はまた、水蒸気を含む酸化雰囲気を内部空間1014に供給する導入管1022と、酸化処理終了後に内部空間1014の酸化雰囲気を排気する排気管1024を備えている。このような構成を備えた半導体酸化装置1010によれば、半導体試料1020を、比較的再現性良く且つ均一に酸化できる。しかし、半導体試料の酸化量は、半導体成膜装置における結晶成長後の試料の膜厚や組成等のロット間のばらつきの影響を受ける。特に、AlとAsを含む半導体層の酸化速度は、膜厚、AlAsの組成、酸化温度等に極めて敏感であるし(非特許文献2)、酸化処理直前の半導体試料の非酸化層側面に形成されている自然酸化膜の厚みによっても影響を受ける。その結果、電流狭窄部の大きさが発振特性(光出力など)がばらつきを招き、歩留まりが低下するという問題を生じる。特に、シングルモード素子はマルチモード素子に比べて電流狭窄部の面積の絶対値が小さいので、酸化量のばらつきが素子特性のばらつきに与える影響が極めて大きく、また電流狭窄部の面積が大きくなった場合は本来シングルモードとなるべき素子がマルチモード素子の挙動を示すという問題がある。
【0006】
この問題を解消するために、酸化工程中に酸化量を観察する方法が提案されている(非特許文献3、特許文献2)。これらの文献で提案されている方法は、図20に示すように、酸化処理中の半導体試料1020を観察窓1026を介して顕微鏡1028で観察し、この顕微鏡1028で観察された酸化領域と非酸化領域のコントラストから酸化距離又は非酸化領域の面積等(酸化進行度)を見積もってその後の酸化量を制御するものである。ところが、面発光レーザではメサ径が通常約10〜50μmであり、狭窄径を厳密に制御するために顕微鏡1028の拡大倍率を約1000倍に設定しなければならない。また、顕微鏡1028の焦点をメサに合わせるために、半導体試料1020と観察窓1026の距離L1、観察窓1026と顕微鏡1028の距離L2を出来るだけ小さくしなければならない。しかし、酸化中に観察窓1026と半導体試料1020の間隔を狭くすると、半導体試料1020上の水蒸気濃度分布と半導体試料1020の温度分布に場所的なばらつきが発生し、酸化量の面内分布が発生して歩留まりの低下を招来する。他方、顕微鏡1028と観察窓1026の間隔を狭くすると、ヒータから放射される熱によって観察窓1026の屈折率が変化したり、顕微鏡1028に組み込まれている光学部品(例えば、レンズ)が熱変形して焦点のずれを生じ、測定精度が不正確になるという問題が生じる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,493,577号公報
【特許文献2】特開2003−179309号公報
【非特許文献1】光アライアンス、2004.4, pp.42-46
【非特許文献2】IEEE, J.Select. Topics Quantum Electron., vol. 3, pp.916-926, 1997
【非特許文献3】IEEE, Photon. Techno 1. Lett., vol. 10, pp.197-199,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、半導体試料に含まれる被選択酸化層の酸化量を面内で均一に保ち、酸化量を適正に制御できる半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る半導体酸化装置の第1の形態は、密閉可能な容器と、半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、上記基台に支持された半導体試料に対向可能に上記容器の壁に設けられた観察窓と、上記容器の外部に上記観察窓を介して上記基台上の半導体試料と対向可能に設けられた観察手段と、上記基台と観察手段との距離を調整する調整手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
この第1の形態の半導体酸化装置は、上記基台が加熱器を備えた加熱テーブルと上記加熱テーブル上に配置されて上記半導体試料を支持する試料テーブルを備えており、上記調整手段が上記加熱テーブルと上記試料テーブルを一体的に移動させる基台移動機構を備えている形態と、上記調整手段が上記試料テーブルを移動させる基台移動機構を備えている形態が考えられる。
【0011】
本発明に係る半導体酸化装置の第2の形態は、密閉可能な容器と、半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、上記基台に支持された半導体試料の上方に位置する容器壁に設けられた観察窓と、上記容器の外側にあって上記観察窓を介して上記基台に対向する観察手段と、上記基台又は観察手段若しくはそれらの両方を上下方向に移動させる昇降機構を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る半導体酸化装置の第3の形態は、密閉可能な容器と、半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、上記容器の壁に設けられた観察窓と、上記基台上に支持された上記半導体試料が上記観察窓に接近した観察位置と上記観察窓から離間する退避した退避位置との間で上記基台を移動させる移動機構と、上記容器の外側にあって上記観察位置にある上記半導体試料と上記観察窓を介して対向する観察手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
以上の第1〜第3の形態の半導体酸化装置は、上記供給部からの水蒸気の供給を停止して上記半導体試料の酸化を中断する手段と、上記観察手段で得られた像をもとに上記半導体試料特定部位の酸化進行度を求め、上記酸化進行度に基づいて追加酸化量を求める手段と、上記追加酸化量だけ上記半導体試料特定部位を追加酸化する手段を備えていることが好ましい。
【0014】
また、以上のすべての形態の半導体酸化装置では、観察手段がマイクロスコープであること、また観察手段が自動焦点機能を備えていることが好ましい。
【0015】
さらに、以上のすべての形態の半導体酸化装置は、上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する真空装置、または上記酸化の中断中に上記容器内部で上記基台に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス供給部、若しくはそれらの両方を備えていることが好ましい。
【0016】
さらにまた、以上のすべての形態の半導体酸化装置において、酸化される対象の半導体試料は酸化狭窄型面発光レーザ用のウェハであることが好ましい。
【0017】
次に、本発明に係る半導体素子の製造方法の第1の形態は、アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、上記酸化処理の中断中に上記半導体層の酸化進行度を観察する工程を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る半導体素子の製造方法の第2の形態は、アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、上記酸化処理が中断されている間に、上記半導体素子が収容されている容器に設けた観察窓を介して上記容器内のメサと上記容器外の観察手段を接近させて対向させる工程と、上記観察手段で観察された上記電流狭窄部の大きさ又は上記電流狭窄部に囲まれた電流注入部の大きさから酸化進行度を求める工程と、上記酸化進行度から追加酸化量を求める工程と、上記追加酸化量だけ上記半導体層を追加酸化する工程を備えたことを特徴とする。
【0019】
第2の形態の半導体素子の製造方法では、上記メサと上記観察手段を接近させて対向させる工程は、上記メサを上記観察窓に接近させる工程を含むことが好ましい。
【0020】
以上の第1と第2の半導体素子の製造方法はまた、上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する工程、または上記酸化の中断中に上記容器内部に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける工程、若しくはそれらの両方を含むことが好ましい。
【0021】
さらに、以上のすべての形態の半導体素子の製造方法において、酸化される対象の半導体試料は酸化狭窄型面発光レーザ用のウェハであることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る第1〜第3の形態の半導体酸化装置によれば、基台上の半導体試料と観察手段との距離を調整する調整手段又は昇降機構若しくは移動機構を備えているので、半導体試料と観察手段との距離を酸化処理時と観察時に最適な値に設定でき。したがって、酸化時には半導体試料の温度分布と水蒸気濃度分布を均一に調整でき、観察時は半導体試料の酸化進行度を正確に観察し評価できる。
【0023】
また、供給部からの水蒸気の供給を停止して半導体試料の酸化を中断する手段と、観察手段で得られた像をもとに半導体試料特定部位の酸化進行度を求め、その酸化進行度に基づいて追加酸化量を求める手段と、追加酸化量だけ半導体試料特定部位を追加酸化する手段を備えた半導体酸化装置によれば、半導体試料特定部位の最終酸化量を目的の値に調整できる。
【0024】
さらに、酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する真空装置、または上記酸化の中断中に上記容器内部で上記基台に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス供給部を備えた半導体酸化装置によれば、酸化中断時に酸化の進行を確実に且つ短時間のうちに止めて酸化進行度を評価することができる。
【0025】
次に、第1の形態の半導体素子の製造方法によれば、酸化を中断した状態で半導体試料の酸化進行度を観察するため、中断した時点における酸化進行度を正確に評価できる。また、第2の形態の半導体素子の製造方法によれば、中断時の観察から得た酸化進行度に基づいて追加酸化量を求め、その追加酸化量だけ半導体層を追加酸化するため、最終酸化量を目的の値に確実に調整できる。また、酸化進行度の観察は半導体素子と観察手段を接近させて行われるため、観察結果に基づいて評価される酸化進行度及び追加酸化量は極めて正確である。その結果、製造された半導体素子は均一な特性を有する。
【0026】
また、観察時にメサを観察窓に接近させる方法によれば、酸化進行度を正確に観察して評価できる。さらに、酸化の中断中に容器内部の雰囲気ガスを真空排気する工程、または酸化の中断中に容器内部で基台に支持されている半導体試料に不活性ガスを吹き付ける工程を有する方法によれば、酸化中断時に酸化の進行を確実に且つ短時間のうちに止めて酸化進行度を評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0028】
《実施の形態1》本発明に係る半導体酸化装置及び半導体素子製造装置の実施の形態1を図1に示す。図示する半導体酸化装置(以下、「酸化装置」という。)10は、ステンレス等の金属からなる耐圧密閉容器(酸化炉)12を有する。容器12は内側に所定の大きさの内部空間14を備えており、底部に半導体試料を支持する基台16を備えている。
【0029】
本実施の形態において、基台16は、加熱テーブル18と、加熱テーブル18の上に配置され、酸化される半導体試料(半導体ウェハからなる基板)20を支持する試料テーブル(基板ホルダ)22を備えている。加熱テーブル18は、酸化される半導体試料20を加熱するための電熱ヒータ24を備えており、回転昇降機構(移動機構、基台移動機構)26を介して回転自在且つ昇降自在としてある。試料テーブル22は、酸化される半導体試料20を固定するための機構(図示せず)を備えている。なお、加熱テーブル18と試料テーブルは一体になっている場合もある。
【0030】
回転昇降機構26は、容器12の底壁28を貫通して上下方向に伸びる駆動軸30と、容器12の外部で駆動軸30に駆動連結されたモータ32と、モータ32を駆動軸30と共に上下方向に昇降する昇降機構34を備えている。本実施形態において、昇降機構34は床等の固定部36に固定されており、モータ38とラックアンドピニオン(図示せず)を用いて構成されているが、空圧又は油圧のシリンダを用いて構成することもできる。したがって、加熱テーブル18と試料テーブル22は、該試料テーブル22に固定された半導体試料20と共に、モータ32の駆動に基づいて駆動軸30を中心として所定の方向に回転し、昇降機構34の駆動に基づいて実線で示す酸化位置(退避位置、下降位置)と点線で示す観察位置(観察位置、上昇位置)との間を上下に移動することができる。
【0031】
容器12の天井壁40は、観察位置に置かれた半導体試料20に対向する基台上方位置に、透光性の耐熱材料からなる観察窓42が設けてある。容器12の外部であって観察窓42の上方には、マイクロスコープ(顕微鏡)付のカメラ(以下、「マイクロスコープ44」という。)で構成された観察手段が設けてある。マイクロスコープ44は、その視軸を上下方向に向け、マイクロスコープ44を水平面上で直交する2方向(X、Y方向)とこれらと直交する垂直方向(Z方向)に移動させる3つのモータ46,48,50を備えたカメラ移動機構52を介して固定台54に取り付けることが好ましい。マイクロスコープ44は、焦点をミクロンオーダの精度をもって自動調整できるように、自動焦点機能(オートフォーカス機能)を有するものを使用することが好ましい。また、酸化時に観察窓42を通じて外部に放出される熱を最小限にするために、また、観察窓42から放出される熱によってマイクロスコープ44が損傷(レンズ等を含む光学部品の熱変形等)するのを防止するために、観察窓42の外側又は内側で観察窓42を開閉する遮熱板56と該遮熱板56を開閉動作するモータ58又はシリンダを含む遮熱機構60を設けてもよい。遮熱板56は、遮熱効果を高めるために、断熱効率に優れた材料で構成してもよいし、内部空間14に対向する面を反射性の材料又は処理で仕上げてもよい。
【0032】
容器内部空間14の雰囲気を調整するために、容器12には3つの配管62,64,66が容器12の壁を貫通して設けられている。これらのうち、第1の配管62は酸化雰囲気ガスを内部空間14に供給するもので、容器外で2つに分岐し、一方の分岐管68が電磁弁70を介して水蒸気供給源(水蒸気供給部)72に接続され、他方の分岐管74が電磁弁76を介して窒素供給源(窒素供給部)78に接続されており、これら水蒸気供給源72から供給される水蒸気と窒素供給源78から供給される窒素の混合流体からなる酸化ガスが内部空間14に供給できるようにしてある。図示するように、第1の配管62の末端(吹き出し口)は、酸化位置にある半導体試料20の上方空間に向けられており、酸化処理中半導体試料20に十分な酸化ガスが供給できるようにすることが好ましい。第2の配管64は、後述するように、酸化処理の中断時、内部空間14の雰囲気を窒素に置換すると共に半導体試料20を冷却する低温窒素ガスを供給するもので、電磁弁80を介して低温窒素ガス供給源(低温窒素ガス供給部)82に接続されている。半導体試料20を冷却する目的から、第2の配管64の末端(吹き出し口)は、酸化位置にある半導体試料20又はその上部空間に向けられており、供給された低温窒素ガスが半導体試料20に吹き付けられるようにすることが好ましい。第3の配管66は、酸化処理の中断時、内部空間14に残留する酸化ガスを排出するためのもので、電磁弁84を介して真空源86に接続されている。容器12には更に第4の配管88が容器12の壁を貫通して設けるとともに、この配管88にフロー用電磁弁90が設けてあり、酸化処理中に電磁弁90を開放状態に保つことで、容器内部空間14に水蒸気の循環(フロー)状態を保ちながら、供給された量に見合う量の水蒸気ガスを配管88から外部に押し出すことができるようにしてある。
【0033】
図2は酸化装置10の制御系100を示す。図示するように、制御系100は、制御装置102を有する。制御装置102は中央処理装置104を有し、該中央処理装置104がマイクロスコープ44で撮影された画像のデータを処理する画像処理部106と、マイクロスコープ44で撮影された画像を表示する表示部(モニタ)108と、回転昇降機構26のモータ32,38、カメラ移動機構52においてマイクロスコープ44をX,Y,Z方向に移動させるモータ46,48,50、及び遮熱機構60のモータ58を制御するモータ制御部110と、電磁弁70,76,80,84,90を制御する電磁弁制御部112と、ヒータ24をPID制御するヒータ制御部114に接続されている。制御装置102はまた、以下に説明する酸化処理(中断処理を含む)を実行するために必要なプログラムや情報等を記憶した記憶部116と、後に説明する演算処理を実行する演算部118を備えている。
【0034】
酸化装置10を用いて面発光レーザの酸化層を形成する場合、酸化前の半導体試料20は、例えば図3(A)に示す断面構造を有する。この断面構造は、図の下から順番に、n側電極120、n側GaAs基板122、下部半導体分布ブラッグ反射鏡124を有し、下部半導体分布ブラッグ反射鏡124の上に一定の密度で(XY方向に所定の間隔をあけて)メサ126が支持されている。メサ126は、図の下から順番に、活性層128、AlとAsを含む被選択酸化層130、上部半導体分布ブラッグ層132、コンタクト層134を備えている。また、メサ126は、これを図の上方から見たとき、円形、楕円形、四角形(正方形又は長方形)、四角形以外の多角形を有する。
【0035】
酸化装置10を用いて上述の断面構造を有する半導体試料20の被選択酸化層130を酸化するプロセスを図4に示す。図示する酸化プロセスは、概略、被選択酸化層130を一次酸化する一次酸化処理#10と、酸化の進行を一時的に停止させて酸化量(酸化進行度)を評価する評価処理#20と、酸化量の評価結果に基づいて最終目標の酸化量まで被選択酸化層130を酸化する二次酸化処理#30からなる。
【0036】
一次酸化処理#10では、上述した構成を有する未酸化の半導体試料20を試料テーブル22に載せて固定する〔#11:準備工程〕。このとき、試料テーブル22を含む基台16は酸化位置(下降位置)に固定されている。必要であれば、制御装置102は電磁弁制御部112を介して排気用電磁弁84を開き、内部空間14の残留雰囲気を排気する。このとき、その他の電磁弁70,76,80は閉じておく。また、必要であれば、制御装置102はカメラ移動機構52のモータ46,48,50を駆動し、マイクロスコープ44を観察窓42から離れた位置、または観察窓42の対向領域から退避させておく。上述のように、観察窓42を開閉する遮熱板56を有する場合、遮熱板駆動用モータ58を駆動し、遮熱板56を閉鎖位置に移動し、観察窓42を閉鎖する。
【0037】
次に、制御装置102は、排気用電磁弁84と低温窒素ガス供給用電磁弁80を閉じ、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を開き、水蒸気と窒素の混合ガスを内部空間14に供給する〔#12:電磁弁制御工程〕。制御装置102はまた、混合ガスが供給されている間、フロー用電磁弁90を開放することにより、容器12の内部空間14に水蒸気ガスの循環状態を形成しつつ、配管88を通じて水蒸気ガスが押し出される状態を形成する。フロー用電磁弁90を開放することに代えて、電磁弁84を開放して容器12の内部空間14から水蒸気ガスを排気しながら、容器内部14を一定圧力(減圧状態又は大気圧状態)に維持しつつ、容器内部14に水蒸気ガスの循環状態を形成してもよい。続いて、制御装置102はヒータ制御部#を介してヒータ24をオンする〔#13:ヒータ制御工程〕。これにより、容器12の内部空間14には水蒸気と窒素からなる酸化ガスが充填されると共に、半導体試料20が酸化に必要な温度状態に調整され、半導体試料20における被選択酸化層130の酸化が始まる〔#14:一次酸化工程〕。被選択酸化層130の酸化は、メサ126の外周側面に現れている被選択酸化層130の周端から径方向内側に向かって進行する。例えば、メサ126が円形の平面形状を有する場合、図5に示すように、酸化領域140は周端から中心に向かって徐々に進行し、環状酸化領域140の内側にメサ平面形状と相似形状の円形未酸化領域142が残る。
【0038】
制御装置102は一次酸化処理の終了を判断する〔#15:一次酸化終了判断工程〕。具体的に説明すると、図6に示すように、中央に所定の大きさの未酸化領域142を残した状態(最終酸化状態)で全酸化処理を完了する場合、一次酸化によって酸化された一次酸化領域140Aが最終酸化状態(最終酸化位置144)に達する前に、すなわち僅かな又は多少の二次酸化領域(追加酸化領域)140Bを残して、酸化を中断する。酸化を中断するタイミング(一次酸化時間)は、酸化完了までに要する時間から経験的に求めることができる。例えば、制御装置102は、経験的に求められた全所要酸化時間tから所定の時間Δtを引いた時間を一次酸化時間t1(=t−Δt)として記憶部116に記憶しており、酸化開始からの経過時間が一次酸化時間t1に達した時点で一次酸化を終了と判断する。制御装置102は、一次酸化の終了を判断すると、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を閉じる〔#16:電磁弁制御工程〕。電磁弁76,70を閉じる前又はこれらを閉じた後、ヒータ24を停止する〔#17:ヒータ制御工程〕。次に、制御装置102は、急冷用の低温窒素ガス供給用電磁弁80を開き、容器内部空間14を窒素で置換するとともに容器内を冷却する〔#18:電磁弁制御工程〕。上述のように、低温窒素ガス供給用の配管64の吹き出し口が半導体試料20に向けられているため、配管64から供給された低温窒素ガスが半導体試料20に直接的に吹き付けられ、そのために酸化の進行が完全に又はほぼ完全に停止する。低温窒素ガスを供給することに代えて、排気用電磁弁84を開いて容器内部空間14から水蒸気を排気してもよい。この場合も同様に、酸化の進行が停止する。また、酸化中断中、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を閉じて水蒸気と窒素の供給を停止した状態では、低温窒素ガス供給用電磁弁80を開放すると共にフロー用電磁弁90を開放することにより容器内部空間14に窒素ガスの循環状態を維持してもよいし、これに代えて、低温窒素ガス供給用電磁弁80を開放すると共に排気用電磁弁84を開放して真空源86で容器内部空間14を一定圧力に維持しながら窒素を排気してもよい。
【0039】
続いて、評価処理#20では、酸化装置10が遮熱板56を含む遮熱機構54を有する場合、制御装置102はモータ58を駆動して遮熱板56を観察窓42の上から退避させて観察窓42を開放する。酸化装置10がカメラ移動機構52を有し、酸化処理中はマイクロスコープ44を観察窓42から又は容器12から離れた場所に退避させておく場合、カメラ移動機構52を駆動し、マイクロスコープ44を観察窓42に対向する場所に移動させる〔#21:準備工程〕。次に、制御装置102は、昇降用モータ38を駆動して基台16を観察位置に上昇し、観察窓42を挟んで半導体試料20をマイクロスコープ44に対向させる〔#22:試料上昇工程〕。続いて、マイクロスコープ44を起動してメサ126の拡大画像を取得する〔#22:撮影工程〕。なお、マイクロスコープ44は自動焦点機構を有するため、マイクロスコープ44はメサ126に自動的に焦点合わせされる。したがって、図6に示すように、取得された拡大画像において、一次酸化された酸化領域140と未酸化領域142の境界は明瞭に認識できる。マイクロスコープ44で撮影された画像のデータは画像処理部106に送信され、そこで必要な画像処理が施される。画像処理後の画像データは、必要に応じて記憶部116に記憶される。また、画像処理後の画像データを用いて、メサ126の拡大画像が表示部108に表示される。さらに、画像処理後の画像データは演算部118に送信され、そこで二次酸化の酸化量(酸化時間t2)が計算される〔図23:評価工程〕。
【0040】
図6を参照して演算部118における計算の一例を簡単に説明すると、演算部118はまず一次酸化の酸化進行度(酸化量)を計算する。酸化進行度は、例えば、円形メサの中心を通る線上において、円形メサの外周端から環状酸化領域140の内周端までの距離dで表す。また、演算部118は、酸化進行度(=距離d1)と最終目標とする未酸化領域142の大きさ(円形メサの外周端から最終酸化位置144間での距離)から、二次酸化で酸化すべき量(=Δd2)を計算する。次に、演算部118は、酸化量(距離d1)を一次酸化に要した時間t1で割り、時間当たりの酸化量(酸化進行係数:α=d1/t1)を求める。最後に、演算部118は、二次酸化に必要な時間(二次酸化時間)〔t2=d2/α〕を求める。
【0041】
続いて、二次酸化処理#30では、二次酸化に必要な事前準備を行う〔31:準備工程〕。例えば、制御装置102はカメラ移動機構52のモータ46,48,50を駆動し、マイクロスコープ44を観察窓42から離れた位置に退避させるか、または観察窓42の対向領域から退避させる。また、遮熱板駆動用モータ58を駆動し、遮熱板56を閉鎖位置に移動し、観察窓42を閉鎖する。次に、制御装置102は低温窒素供給用電磁弁80を閉じる〔#32:弁制御工程〕。低温窒素ガスの供給に代えて排気用制御弁#が開かれている場合、この排気用制御弁84を閉じる。また、昇降機構34のモータ38を駆動し、基台16を酸化位置に下降させる〔#33:試料移動工程〕。次に、制御装置102は、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を開き、水蒸気と窒素の混合ガスを内部空間14に供給する〔#34:弁制御工程〕。また、一次酸化処理の終了時点でヒータ24が停止されている場合、ヒータ24を再び駆動する〔#35:ヒータ制御工程〕。これにより、被選択酸化層130の酸化が再開され、酸化領域140が内方に拡大すると共に、未酸化領域142が小さくなる。二次酸化処理の時間は計時されており、その時間が上述の二次酸化時間t2に達すると、制御装置102は二次酸化処理を終了する〔#36:二次酸化終了判断工程〕。最後に、制御装置102は、二次酸化の終了を判断すると、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を閉じ〔#36:弁制御工程〕、ヒータ24を停止し〔#37:ヒータ停止工程〕、二次酸化処理を終了する。なお、酸化処理を終了する際、低温窒素ガス供給用電磁弁80を開放して半導体試料20に低温窒素ガスを吹き付けることが好ましい。
【0042】
二次酸化処理終了後のメサ126には、図3(B)及び図6に示すように、所定の大きさの未酸化領域142とその周囲を囲む酸化領域140が形成され、これらがそれぞれ電流注入部150、電流狭窄部152となる。このようにして電流注入部150と電流狭窄部152が形成された半導体試料20は、その後必要な薄膜形成処理が施され、図7に示す断面の面発光レーザ160が形成される。この面発光レーザ160において、154はSiO2等からなる絶縁膜、156はポリイミド等からなる絶縁膜、158はp側電極である。
【0043】
このように、本発明に係る酸化装置10によれば、半導体試料20の被選択酸化層130は一次酸化処理によってある程度まで酸化された後、酸化の進行を一時的に停止した状態で一次酸化量(酸化進行度)を求め、一次酸化処理の結果をフィードバックして残る二次酸化処理の酸化量(酸化時間)が決定される。したがって、最終的に形成される電流注入部の大きさは完全に又はほぼ完全に目標の大きさになる。なお、二次酸化終了時点における酸化量を目標酸化量に一致させるために、全酸化量(=d1+d2)に対する一次酸化量(d1)の割合(%)〔=d1/(d1+d2)〕は出来るだけ大きい値であることが望ましく、例えば、80〜90%、好ましくは、85〜95%、更に好ましくは90〜95%とする。
【0044】
なお、以上の説明では、円形メサを想定して酸化量をメサ径(d1,d2)で求めたが、酸化量を面積で評価することもできる。この場合、最終目標となる未酸化領域の面積に対する酸化終了時点の未酸化面積の割合をもって酸化進行係数α〔=(酸化前の選択酸化層の面積−一次酸化終了時における未酸化領域の面積)/酸化時間〕を求め、その酸化進行度に基づいて二次酸化の酸化量(酸化時間)を求める。
【0045】
《実施の形態2》実施の形態1の説明では、酸化中に基台16及び半導体試料20は回転せずに一定の場所に固定したが、酸化中に基台16の回転機構(回転昇降機構26)を駆動して半導体試料20を回転してもよい。この場合、各メサ126の空間位置が時間的に変化するため、結果的に全てのメサ126の被選択酸化層130を等しく酸化でき、製品の歩留まりが良くなる。
【0046】
《実施の形態3》実施の形態1では、一次酸化処理の評価結果に基づいて二次酸化処理を行い、最終的な未酸化領域(電流注入部)の大きさは確認しないものとしたが、二次酸化終了後に非酸化領域の大きさを計測し、その結果に基づき、必要であれば更に追加の三次酸化処理を行っても良い。この場合、二次酸化処理後に未酸化領域を計測し、その計測結果に基づいて上述と同様の方法で三次酸化量及びそれに必要な三次酸化時間が計算され、その計算結果に基づいて三次酸化処理を行う。
【0047】
一次酸化量と二次酸化量は同一のメサについて評価することが好ましい。酸化中に基台16及び半導体試料20を回転しない場合、マイクロスコープ44の焦点を予め決められた平面座標(XY座標)に合わせれば、一次酸化量と二次酸化量を同一のメサについて計測することができる。
【0048】
酸化中に基台16と半導体試料20を回転する場合、一次酸化処理の終了時点でカメラの焦点位置にあった評価対象メサが、二次酸化処理の終了した時点ではカメラの焦点位置に停止せずに別の場所に移動していることが考えられる。この問題を解消するためには、例えば、図8のフローチャートに示すように、一次酸化処理と二次酸化処理の終了後、基台16を原点位置に復帰させる処理(#19,#37:原点復帰処理工程)を実行する。
【0049】
原点復帰処理を実行するためには、基台16を回転するモータ32には、原点位置(Z相)を備えたエンコーダ付のサーボモータを用いることが好ましい。具体的に、サーボモータのZ相を利用した原点復帰工程の処理について説明する。いま、図9に示すように、駆動軸30の中心(X−Y座標系の原点)からX,Y方向にそれぞれ所定距離(x0,y0)だけ移動した位置(r、θ)にカメラの焦点が存在し、このカメラ焦点位置に評価対象メサ126が位置しており、一次酸化処理又は二次酸化処理の開始時点でサーボモータはZ相の出力から所定パルス数出力した状態で停止しているものとする。以下の説明を簡単にするために、この所定パルス数をゼロと仮定する。この条件で、一次又は二次酸化処理の終了時点で評価対象メサがカメラの焦点位置から角度θ’だけ移動した座標(r,θ+θ’)に停止したものとする。この場合、制御装置102はサーボモータのZ相が出力された時点から回転停止までのパルス数Nθ’を記憶する。このパルス数Nθ’は移動角度θ’に相当する。したがって、原点復帰工程では、制御装置102はサーボモータから出力されるパルス数Nθ’から移動角度θ’を計算し、サーボモータの回転軸を酸化処理前の角度位置に復帰させるために必要な角度(360°−θ’)とこの角度に対応するパルス数N(360°−θ’)を計算し、その計算されたパルス数N(360°−θ’)のパルスが出力されるまで回転軸を回転し、評価対象メサ126をカメラの視野134内に移動する。これにより、同一のメサについて一次及び二次酸化処理後の酸化量を評価できる。
【0050】
サーボモータのZ相を利用する方法に代わる更に簡便な方法は、駆動軸30又はこれに駆動連結された他の回転部材(例えば、歯車)に被検出部(例えば、突起、切り欠き、読み取りマーク、磁石)を取り付ける一方、その近傍に検出器を設け、評価処理前の原点復帰処理工程で検出器が被検出部を検出するまで駆動軸30を回転復帰させることである。なお、検出器には、光式、機械式、電磁式又はそれらを組み合わせた任意の形式の検出器を用いることができる。
【0051】
また、原点復帰工程では、評価対象メサを確実にカメラの視野内に移動させるために、酸化時よりも遅い速度で基台及び駆動軸を回転させることが好ましい。したがって、基台16を回転するモータ32は、回転速度を高速と低速に切り換えることができるモータを用いることが好ましい。
【0052】
《実施の形態4》実施の形態1では、加熱テーブル18と試料テーブル22を一体的に組み合わせて基台16を構成したが、加熱テーブル18は容器12に固定し、試料テーブル22だけが加熱テーブル18に対して酸化位置(下降位置)と観察位置(上昇位置)との間を移動できるようにしてもよい。この場合、図10に示すように、加熱テーブル18の内側に駆動軸30を貫通し、この貫通した駆動軸30に試料テーブル22を支持する。このような構成を採用した酸化装置によれば、酸化中断時及び酸化終了後に半導体試料20をヒータ24から離すことができるので、半導体試料20の冷却速度が速くなり、酸化の中断及び終了を確実に行うことができる。また、試料基板内で酸化量を均一に且つ目的の値に保つことができる。
【0053】
《他の実施形態》上述の実施形態1,2では、酸化中断時に半導体試料及びこれを支持するテーブルをその上方に配置した観察窓に向けて上昇したが、容器の側部に観察用の部屋(観察室)を設け、観察時に半導体試料とこれを支持する試料テーブルを観察室に横移動し、この観察室の天井部に設けた観察室を介して該観察室の上方に配置した観察手段で酸化量を観察して評価してもよい。この場合、横方向から装入される試料テーブルに対向する観察室天井部の高さは、装入された半導体試料と接近するように、低くしておくことが好ましい。また、以上の説明では、水蒸気や窒素等の供給及び排気を制御する弁として電磁弁を用いたが、弁の種類はこれに限るものではない。
【0054】
《実施例1》
実施例1に係る面発光レーザの詳細な断面構造を図11に示す。図示する面発光レーザ200は、波長1.3μmのレーザを発振するもので、3インチの大きさの面方位〈100〉のn−GaAs基板202上に、媒質内における発振波長の1/4倍の厚みを有し、n−AlxGa1−xAs(x=0.9)とn−GaAsを交互に35.5周期積層した周期構造からなるn−半導体分布ブラッグ反射鏡(「下部半導体分布ブラッグ反射鏡」;以下、単に「下部反射鏡」という。)204を形成した。下部反射鏡204の上には、アンドープGaAsスペーサ層206、3層のGaInNAs井戸層208と4層のGaAsバリア層210からなる多重量子井戸活性層212、アンドープ上部GaAsスペーサ層214を形成した。
【0055】
スペーサ層214の上には、p−半導体分布ブラッグ反射鏡(「上部半導体分布ブラッグ反射鏡」;以下、単に「上部反射鏡」という。)216を形成した。上部反射鏡216は、Cドープのp−AlxGa1−xAs(x=0.9)とp−GaAsをそれぞれの媒質内における発振波長の1/4倍の厚みを有し、交互に積層した周期構造(例えば、25周期)として構成した。上部反射鏡216と活性層212の間には、AlAsからなる被選択酸化層218を、例えば30nmの厚みをもって形成した。上部反射鏡216の最上部のGaAsコンタクト層220は、電極とのコンタクトをとるためのコンタクト層を兼ねている。活性層212内の井戸層208のIn組成xは33%、窒素組成は1.0%とした。井戸層208の厚みは7nmとし、GaAs基板202に対して約2.1%の圧縮歪(高歪)を有している。
【0056】
薄膜成長方法にはMOCVDを用いた。キャリアガスはH2を用いた。GaInNAs活性層の原料には、TMG(トリメチルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)、AsH3(アルシン)を用いた。窒素の原料には、DMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。DMHyは低温で分解するので、600℃以下の低温成長に適しており、特に低温成長の必要な歪みの大きい量子井戸層を成長する場合に好ましい原料である。GaInNAs面発光型半導体レーザ素子の活性層のような歪みが大きい場合、非平衡となる低温成長が好ましい。本実施例では、GaInNAs層は540℃で成長した。
【0057】
メサ222は、ウェットエッチング又はRIE、RIBE、ICP法などのドライエッチングにより、少なくともp−AlAs被選択酸化層の側面を露出させた状態で形成した。メサ222は、これを上方から見て正方形の形に形成した。その後、上述した酸化装置を用い、側面の表れたAlAsを水蒸気で側面から酸化してAlxOy電流狭窄部を形成した。このとき、試料テーブル(基板ホルダー)にウェハ(試料)を載せ、基台を酸化位置に配置し、所定の水蒸気を供給した。このとき、ウェハは観察窓から離れていたので、均一に酸化された。ウェハを400℃程度の所定の酸化温度に昇温し、一次酸化を開始した。所望の酸化量になると予想される時間の前に酸化を中断した。その後、ウェハの載った加熱テーブルを観察窓に近い観察位置に上昇し、マイクロスコープにより酸化距離、酸化面積、非酸化領域の縦と横の長さ、非酸化領域の面積を観察した。そして、これらの情報をもとに一次酸化の酸化速度と、二次酸化(追加酸化)に必要な酸化距離を計算し、追加酸化時間を形成した。ウェハを再度酸化位置に戻し、追加酸化を行った。二次酸化の酸化時間が経過すると、水蒸気の供給を停止すると共に低温窒素をウェハに吹き付け、ヒータを止めて酸化を終了した。
【0058】
以上の酸化処理により、酸化進行度の基板内面均一性が良好に保たれた状態で酸化狭窄部(電流注入部)の面積が精度良く制御できた。酸化の中断又は酸化の終了は、水蒸気供給の停止に行うことができるが、より確実に行うためには、試料基板の温度を下げることが好ましい。また、上述した実施例では酸化処理を2階に分けて行ったが、3回又はそれ以上の回数に分けて行っても構わない。
【0059】
酸化処理の終了後、SiO2などの絶縁膜224でメサ222を保護した後、ポリイミド226でエッチング部を埋め込んで平坦化した後、pコンタクト層220と光出射部のある上部反射鏡の上に存在するポリイミドとSiO2を除去し、pコンタクト層220上の光出射部以外にp側電極228を形成した。また、基板202の裏面にn側電極230を形成した。
【0060】
作成した面発光型半導体レーザ素子の発振波長は約1.3μmであった。また、AlとAsを主成分とする被選択酸化層の選択酸化により電流狭窄部を形成したので、閾値電流が低かった。このように、被選択酸化層を選択酸化したAl酸化膜からなる電流狭窄層を用いた電流狭窄構造によると、電流狭窄層を活性層に近づけて形成することで、電流の広がりが抑制され、大気に触れない微小領域に効率良くキャリアを閉じこめることができる。また、酸化されることによりAl酸化膜が形成される結果、屈折率が小さくなり、凸レンズの効果でキャリアの閉じ込められた微小領域に効率良く光を閉じ込めることができ、閾値電流も低下する。また、容易に電流狭窄構造を形成できることから、製造コストを低下できる。しかも、観察窓から離れた位置で酸化が進行することから、酸化を一旦停止して酸化速度を評価し、その評価結果に追加酸化を行ったため、酸化狭窄径は各メサについて目的の大きさで均一に形成され、歩留まりも向上した。
【0061】
酸化領域の観察は、タングステンランプ等の光源から出射された光の反射光をマイクロスコープを介してCCDカメラ又はビジコンカメラで受光し、テレビモニタにメサ拡大画像を表示した。表示された画像上で酸化領域と非酸化領域及びその境界はそれらの反射率の違いから明瞭に写し出された。
【0062】
酸化領域と非酸化領域の反射率の波長依存性を図12に示す。この図に示すように、波長1.3μm近傍の領域(高反射帯域)では酸化領域と非酸化領域の反射率に殆ど相違はないが、その領域を挟む両側の波長領域で両者の反射率は明らかに異なる傾向を示す。観察する波長としては、高反射帯域より短波長側ではDBRの材料による光吸収が生じるために好ましくないが、高反射帯域より長波長側では吸収の問題はなく、酸化領域の反射率が高い。したがって、高反射帯域よりも長波長側の波長に感度を有するカメラを用いることが好ましい。現在市販されている各撮像装置についてみると、波長の短い面発光レーザは近赤外に感度のあるCCDカメラを用いることができる。本実施例のように、1.3μmの面発光レーザでは、より長波長側に感度のある赤外ビジコンカメラが好ましい。また、赤外レーザ光をスキャンしてカメラで受光するいわゆる共焦点レーザ顕微鏡は解像度を極めて高くすることができることから好ましく、レーザの波長を適切に選択することで利用可能である。
【0063】
《実施例2》
他の断面構造を有する面発光レーザを図13に示す。図示する面発光レーザは、面方位〈110〉方向に傾斜角2°をもって傾斜したn−(100)GaAs基板302上に、n−Al0.9Ga0.1Asとn−Al0.3Ga0.7Asを媒質内における発振波長の1/4倍の厚みで交互に、例えば、35.5周期積層した周期構造からなるn−半導体分布ブラッグ反射鏡(第1反射鏡:n側DBR)304を形成した(図13では詳細は省略)。n−Al0.9Ga0.1Asとn−Al0.3Ga0.7Asの間には、Al組成を一方の値から他方の値に徐々に変化させた、厚み20nmの組成傾斜層(図示せず)を挿入し、傾斜層を含めて媒質内における発振波長の1/4倍の厚みとした。このような構成を採用することにより、DBRに電流を流す場合、両者のバンド不連続を滑らかにすることができ、高抵抗化を抑制できる。第1反射層304の上には更に、Al0.5Ga0.5As下部スペーサ(クラッド)層306,波長が780nmとなる3層のAlGaAs井戸層と4層のAl0.3Ga0.7As障壁層からなる量子井戸活性層308、Al0.5Ga0.5As上部スペーサ(クラッド)層310を形成した。更にその上に、p−AlxGa1−xAs(x=0.9)とp−AlxGa1−xAs(x=0.3)を交互に、例えば25周期積層した周期構造のn−半導体分布ブラッグ反射鏡(第2反射鏡:p側DBR)312を形成した(図13では詳細は省略)。第2反射層312にも、第1反射鏡304と同様に組成傾斜層を挿入した。最上部には、電極との接触をとるp−GaAsコンタクト層314を形成した。第1反射鏡と第2反射鏡の間は、発振波長の1波長分の長さ(いわゆるラムダキャビティ)とした。
【0064】
結晶成長は、MOCVDにより行った。原料には、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルインジウム)、AsH3(アルシン)を用い、n型のドーパントとしてH2Se(セレン化水素)を用い、p型のドーパントとしてCBr4を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。MOCVD法は、原料ガス供給量を制御することで、組成傾斜層のような構造を容易に形成できるので、DBRを含む面発光レーザの結晶成長法として、MBE法に比べて適している。また、MBE法のような高真空を必要とせず、原料ガスの供給流量や供給時間を制御すればよいので、量産性に優れている。
【0065】
p側DBR中で活性層に近い低屈折率の一部をAlAs被選択酸化層316とした。そして、所定の大きさのメサ318を、p−AlAs被選択酸化層316の側面を露出させた状態で形成し、上述と同様に、側面の露出したAlAs被選択酸化層316をその周囲から酸化してAlxOy電流狭窄部320とこれに囲まれた電流注入部322を形成した。次に、ポリイミド324でエッチング部を埋め込んで平坦化し、pコンタクト層314と光出射部326のある上部反射鏡上のポリイミド層を除去し、pコンタクト層314上の光出射部326以外にp側電極328を形成し、基板302の裏側にn側電極330を形成した。このような構成により、波長780nmの面発光レーザが得られた。
【0066】
なお、本実施例では、被選択酸化層としてAlAs層を用いたが、Ga等の他の元素を含むこともあり得る。また、DBRを構成するAlGaAs層よりもAl組成を大きくし、酸化速度を被選択酸化層よりも速くしてもよい。また、活性層の材料を変えることができ、AlとAsを含む半導体層を選択的に酸化して電流狭窄構造とする形式の面発光レーザにも本発明は適用可能である。さらに、端面型半導体レーザなど、面発光レーザに限らず、AlとAsを含む半導体層を選択的に酸化して電流狭窄構造とする形式の半導体素子の製造にも本発明は適用可能である。
【0067】
《適用例1》
図14は、面発光レーザを一列に配置した面発光レーザアレイチップ400を示す。図示する面発光レーザアレイチップ400を構成する面発光レーザ402を上述の製造方法により製造されたものであり、電流狭窄部に囲まれた電流注入部の内径は5μmであり、横モードがシングルモードで動作するものである。なお、本適用例において、面発光レーザ402はp型GaAs半導体基板上に形成されており、上面にn側個別電極404、裏面にp側共通電極(図示せず)が配置されている。なお、図面上、面発光レーザ402は一次元(一列)配置されているが、二次元(複数列)配置してもよい。このように、上述した面発光レーザを用いた面発光レーザアレイチップでは、各レーザが面発光型であるために容易に配列でき、しかも通常の半導体プロセスで一体的に形成できるので、素子が極めて精度良く配置される。したがって、製品の歩留まりが飛躍的に向上し、製造時間を大幅に短縮できるので、低コストの面発光レーザアレイが提供できる。
【0068】
《適用例2》
図15は、面発光レーザを用いて構成された光送信モジュール500を示す。図示するように、光通信モジュール500は、適用例1で説明した面発光レーザアレイチップ502と多数の光導波路504で構成されており、各光導波路504の端面(光入力部)を面発光レーザに対向し、この面発光レーザから出射される光が光導波路504に入力されるようにしてある。光導波路504としては、例えば光ファイバが利用できる。また、光ファイバとしては、例えばシリカファイバを用いることができる。図示する実施の形態では、面発光レーザは波長1.3μmの光を出射するシングルモード素子を用い、光導波路である光ファイバにはシングルモードファイバを用いている。
【0069】
このように構成された光通信モジュール500によれば、発光手段として面発光レーザを用いているので、高速の並列伝送が可能となり、大量のデータを同時に伝送できる。また、各面発光レーザはその酸化狭窄部及び電流注入部の大きさが均一に形成されているので、光通信モジュール500における駆動回路の駆動電流設定が容易になるとともに、高信頼性の光通信モジュール500及び光通信システムを安価に提供できる。
【0070】
図示する適用例では面発光レーザと光ファイバを一対一に対応させているが、発振波長の異なる複数の面発光レーザを一次元又は二次元に配置し、波長多重送信することにより、伝送速度を更に増大することが可能である。また、面発光レーザの活性層をGaAs量子井戸層としてその発振波長850nmとし、マルチモードファイバと組み合わせることができる。
【0071】
《適用例3》
図16は、面発光レーザを用いて構成された光通信(送受信)モジュール600を示す。図示するように、光通信モジュール600は、実施例2の製造方法によって製造された面発光レーザ602と、受信用フォトダイオード604と、アクリル系プラスチックファイバ606を組み合わせて構成されている。なお、面発光レーザ602はマルチモード素子であり、その発振波長は780nmである。
【0072】
このように構成された光通信モジュール600によれば、上述の製造方法によって面発光レーザ602を安価に製造できることに加えてプラスチックファイバ606が安価であることから、安価な光通信システムを構成することができる。また、プラスチックファイバ606はそのファイバ径が大きいことから他のファイバとのカップリングが容易であるので、通信システムの構成が容易になる。従って、一般家庭やオフィスなどの室内用の通信システムや狭い機器内の通信システムに好適に利用できる。
【0073】
なお、アクリル系プラスチックファイバを用いた光伝送では、その吸収損失性を考慮して、発振波長が650nmの面発光レーザの使用が検討されているが、高温特性が悪いことから実用には至っていない。したがって、現在では発光ダイオードが発光源に利用されているが、これは高速変調が困難であり、1Gbpsを超える高速伝送を実現するためには、新たな半導体レーザの開発が不可欠であった。このような状況において、本発明の製造方法によって製造される発振波長780nmの面発光レーザは、発振波長が650nmの面発光レーザに比べて活性層利得が大きく、高出力であり、かつ高温特性に優れているため、発熱が少なく且つ冷却無しで使える低コストのシステムを実現できる。
【0074】
また、上記光通信モジュールを含む光通信システムは、光ファイバを用いたLAN等におけるコンピュータ等の機器間の伝送のみならず、機器内のボード間、ボード内のLSI間、LSI内の素子間等のデータ伝送用光インターコネクションとして、特に短距離通信に用いることができる。
【0075】
ところで、近年、LSI等の処理能力が一段と向上しているが、これらを接続する部分の伝送速度がボトルネックとなっている。しかし、上述の光通信モジュールを用いることにより、システム内の信号接続を従来の電気接続から光インターコネクションに変更する場合、例えば、コンピュータシステムのボード間、ボード内のLSI間、LSI内の素子間を接続すれば、超高速のコンピュータシステムを実現できる。
【0076】
また、複数のコンピュータシステム等を上記光送信モジュールや光通信(送受信)モジュールを用いて接続すれば、超高速ネットワークシステムを構築できる。特に、面発光レーザは、端面発光型レーザに比べて桁違いに消費電力が少なく且つ二次元配置が容易に行えることから、並列伝送型の光通信システムに適している。
【0077】
《適用例4》
図17は、面発光レーザを用いて構成された画像形成装置700の概略構成を示す。画像形成装置700は、例えば、電子写真法による複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの機能を複合的に搭載した複合機であり、静電潜像坦持体である感光体702と、一様に帯電された感光体702の外周面に光を露光する露光系704を備えている。露光系704は、作成する画像に対応した光を出力する光源706と、光源706から出力された光を反射しながら感光体702に走査するポリゴンミラー708と、ポリゴンミラー708で反射された光を感光体702に結像するレンズ系710を備えており、光源706に面発光レーザアレイ712が用いられている。
【0078】
図18(A)に示すように、面発光レーザアレイ706は、発振波長780nmの面発光レーザ712を二次元配置して構成されている。具体的に説明すると、本実施の形態では、16個の半導体レーザ712が、図面の横方向(主走査方向:感光体の軸方向)に所定の間隔(40μm)をあけて4列、また各縦方向列(副走査方向:感光体の回転方向)に4個づつ配置されている。また、一つの縦方向列とこれに隣接する縦方向列の間では、図面上右側に位置する縦方向列の半導体レーザが副走査方向に10μmづつ移動させてあり、これにより、図18(B)に示すように、感光体の副走査方向に実質的に10μmの間隔をあけた16個のスポット714が形成されるようにしてある。
【0079】
このような構成を備えた画像形成装置700によれば、二次元配置された複数の面発光レーザ712から出力される複数のレーザビームを感光体702に同時に照射できる。したがって、一つのレーザ発振光源を用いた画像形成装置に比べて、非常に高速で画像を形成できる。また、面発光レーザは二次元集積に適していることから、従来の端面発光型レーザアレイに比べて、ビーム数を容易に増やすことができる。上記の例によれば、副走査方向に約10μmの間隔で各ドットを形成でき、これは2400dpiに相当する。さらに、主走査方向の書き込み間隔は、面発光レーザの発光タイミングを調整することで容易に制御できる。さらにまた、実施形態の面発光レーザアレイによれば16ドットを同時に書き込み可能であることから、印字速度を極めて高速化することができる。当然、縦方向及び横方向に配置する面発光レーザの数を増やせば、更に高速印字が可能である。そして、面発光レーザの間隔を調整することで、副走査方向の間隔を調整でき、2400dpiよりも更に高密度で高精細の印字が可能になる。特に、上述の製造方法によって製造された面発光レーザはその酸化狭窄径が均一であることから、目的径のスポットを形成できる。
【0080】
《他の適用例》
適用例4では面発光レーザを画像書き込み用の光源に用いたが、面発光レーザはCD等の記録媒体に対する記録用及び再生用の光源として利用することもできる。特に、上述の製造方法によれば面発光レーザは、端面発光型半導体レーザよりも低価格で製造できるとともに、端面発光型半導体レーザに比べて消費電力が少ないという利点を有することから、消費電力が問題となる携帯型の光ピックアップ装置に特に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る半導体酸化装置の構成を示す縦断面図。
【図2】図1に示す半導体酸化装置の制御系の構成を示す機能ブロック図。
【図3】図1に示す半導体酸化装置で酸化処理される試料(基板)〔酸化前〕の部分断面図〔図3(A)〕、半導体酸化装置で酸化処理された試料〔酸化後〕の部分断面図〔図3(B〕。
【図4】図1の半導体酸化装置を用いた半導体素子製造方法を示すフローチャート。
【図5】被酸化部位の酸化プロセスを説明する図。
【図6】図5と共に被酸化部位の酸化プロセスを説明する図。
【図7】酸化後の試料を用いて構成された半導体レーザの構成を示す断面図。
【図8】図1の半導体酸化装置を用いた半導体素子製造方法の他の形態を示すフローチャート。
【図9】原点復帰処理を説明する図。
【図10】他の形態の半導体酸化装置の構成を示す縦断面図。
【図11】実施例1に係る面発光レーザの構造を示す断面図。
【図12】実施例1で説明する酸化狭窄型面発光レーザの酸化領域と非酸化領域の反射率の波長依存性を示す図。
【図13】実施例2に係る面発光レーザの構造を示す断面図。
【図14】面発光レーザを用いて構成された面発光レーザアレイチップの平面図。
【図15】面発光レーザを用いて構成された光送信モジュールを示す図。
【図16】面発光レーザを用いて構成された光通信モジュールを示す図。
【図17】面発光レーザを用いて構成された画像形成装置の概略構成を示す図。
【図18】図17の画像形成装置における露光用光源の拡大平面図。
【図19】従来の酸化装置の概略構成を示す縦断面図。
【図20】従来の他の酸化装置の概略構成を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0082】
10:半導体酸化装置、12:容器、14:内部空間、16:基台、18:加熱テーブル、20:半導体試料、22:試料テーブル(基板ホルダ)、24:ヒータ、26:回転昇降機構、28:底壁、30:駆動軸、32:モータ、34:昇降機構、36:固定部、38:モータ、40:天井壁、42:観察窓、44:カメラ、46,48,50:モータ、52:カメラ移動機構、54:固定台、56:遮熱板、58:モータ、60:遮熱機構、62:第1の配管、64:第2の配管、66:第3の配管、68:分岐管、70:電磁弁、72:水蒸気供給源、74:分岐管、76:電磁弁、78:窒素供給源、80:電磁弁、82:低温窒素ガス供給源、84:電磁弁、86:真空源、88:第4の配管、90:電磁弁、100:制御系、102:制御装置、104:中央処理装置、106:画像処理部、108:表示部(モニタ)、110:モータ制御部、112:電磁弁制御部、114:ヒータ制御部、116:記憶部、118:演算部、126:メサ、130:被選択酸化層、140:酸化領域、142:未酸化領域、150:電流狭窄部、152:電流注入部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体酸化装置及び酸化処理工程を有する半導体素子の製造方法に関する。また、本発明は、アルミニウム(Al)と砒素(As)を含む半導体層をその外周縁部から中央部に向かって酸化する半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法であって、特に電流狭窄部と電流注入部の大きさが適正に調整された酸化狭窄型面発光レーザの製造に適した半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電流流入効率を高めるために電流狭窄構造を備えている半導体レーザがある。そのような半導体レーザの一例として、面発光レーザ(VCSEL: Vertical Cavity Surface Emitting Laser)が挙げられる。この面発光レーザは、基板に垂直方向に光を出射するもので、いわゆる端面発光型の半導体レーザに比べて低価格・低消費電力・小型・二次元デバイスに好適でかつ高性能であるということから近年特に注目されている。
【0003】
面発光レーザの電流狭窄構造としては、AlAs選択酸化狭窄構造が良く用いられている(特許文献1参照)。この面発光レーザの電流狭窄構造は、円形台状又は矩形(四角形)台状のメサ構造を含む半導体基板又は半導体試料を高温水蒸気雰囲気中に配置し、該メサ構造に含まれるp−AlAs被選択酸化層を該メサ構造の側面に露出した外周縁から中心部に向かって且つ中央部を残した状態で酸化することによりAlxOy電流狭窄部(酸化領域)を形成したものである。このようにしてAlxOy電流狭窄部が形成された面発光レーザでは、AlxOy電流狭窄部の屈折率が1.6程度であり、それは他の半導体層の屈折率に比べて低いことから、共振構造内に横方向の屈折率差が生じ、光をメサの中央に閉じ込める。そのため、半導体素子の電流狭窄効率が良く且つ閾値電流が低いという優れた特性が得られる。
【0004】
また、面発光レーザで単一基本横モード発振を得るためには、狭窄部の大きさ(例えば、狭窄径)を小さくして高次モードに対する回折損失を大きくする必要がある。具体的には、狭窄部の一辺の大きさ又は直径を発振波長の3〜4倍程度まで狭くする必要がある。例えば、発振波長が0.85μm、1.3μmの場合、狭窄部の一辺の大きさ又は直径はそれぞれ約3.5μm以下、約5.0μm以下にする必要がある。
【0005】
このような要求に応える半導体酸化装置が非特許文献1に開示されており、その概略構造が図19に示してある。図示する半導体酸化装置の構造とその取り扱いを簡単に説明すると、この半導体酸化装置1010は密閉容器(酸化炉)1012を有し、容器内部(炉内)1014にヒータ内蔵の加熱ステージ1016が設けてある。加熱ステージ1016の上には基板ホルダ1018が設けてあり、この基板ホルダ1018の上に半導体試料1020又は半導体基板が設置される。容器1012はまた、水蒸気を含む酸化雰囲気を内部空間1014に供給する導入管1022と、酸化処理終了後に内部空間1014の酸化雰囲気を排気する排気管1024を備えている。このような構成を備えた半導体酸化装置1010によれば、半導体試料1020を、比較的再現性良く且つ均一に酸化できる。しかし、半導体試料の酸化量は、半導体成膜装置における結晶成長後の試料の膜厚や組成等のロット間のばらつきの影響を受ける。特に、AlとAsを含む半導体層の酸化速度は、膜厚、AlAsの組成、酸化温度等に極めて敏感であるし(非特許文献2)、酸化処理直前の半導体試料の非酸化層側面に形成されている自然酸化膜の厚みによっても影響を受ける。その結果、電流狭窄部の大きさが発振特性(光出力など)がばらつきを招き、歩留まりが低下するという問題を生じる。特に、シングルモード素子はマルチモード素子に比べて電流狭窄部の面積の絶対値が小さいので、酸化量のばらつきが素子特性のばらつきに与える影響が極めて大きく、また電流狭窄部の面積が大きくなった場合は本来シングルモードとなるべき素子がマルチモード素子の挙動を示すという問題がある。
【0006】
この問題を解消するために、酸化工程中に酸化量を観察する方法が提案されている(非特許文献3、特許文献2)。これらの文献で提案されている方法は、図20に示すように、酸化処理中の半導体試料1020を観察窓1026を介して顕微鏡1028で観察し、この顕微鏡1028で観察された酸化領域と非酸化領域のコントラストから酸化距離又は非酸化領域の面積等(酸化進行度)を見積もってその後の酸化量を制御するものである。ところが、面発光レーザではメサ径が通常約10〜50μmであり、狭窄径を厳密に制御するために顕微鏡1028の拡大倍率を約1000倍に設定しなければならない。また、顕微鏡1028の焦点をメサに合わせるために、半導体試料1020と観察窓1026の距離L1、観察窓1026と顕微鏡1028の距離L2を出来るだけ小さくしなければならない。しかし、酸化中に観察窓1026と半導体試料1020の間隔を狭くすると、半導体試料1020上の水蒸気濃度分布と半導体試料1020の温度分布に場所的なばらつきが発生し、酸化量の面内分布が発生して歩留まりの低下を招来する。他方、顕微鏡1028と観察窓1026の間隔を狭くすると、ヒータから放射される熱によって観察窓1026の屈折率が変化したり、顕微鏡1028に組み込まれている光学部品(例えば、レンズ)が熱変形して焦点のずれを生じ、測定精度が不正確になるという問題が生じる。
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,493,577号公報
【特許文献2】特開2003−179309号公報
【非特許文献1】光アライアンス、2004.4, pp.42-46
【非特許文献2】IEEE, J.Select. Topics Quantum Electron., vol. 3, pp.916-926, 1997
【非特許文献3】IEEE, Photon. Techno 1. Lett., vol. 10, pp.197-199,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明は、半導体試料に含まれる被選択酸化層の酸化量を面内で均一に保ち、酸化量を適正に制御できる半導体酸化装置及び半導体素子の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的を達成するために、本発明に係る半導体酸化装置の第1の形態は、密閉可能な容器と、半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、上記基台に支持された半導体試料に対向可能に上記容器の壁に設けられた観察窓と、上記容器の外部に上記観察窓を介して上記基台上の半導体試料と対向可能に設けられた観察手段と、上記基台と観察手段との距離を調整する調整手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
この第1の形態の半導体酸化装置は、上記基台が加熱器を備えた加熱テーブルと上記加熱テーブル上に配置されて上記半導体試料を支持する試料テーブルを備えており、上記調整手段が上記加熱テーブルと上記試料テーブルを一体的に移動させる基台移動機構を備えている形態と、上記調整手段が上記試料テーブルを移動させる基台移動機構を備えている形態が考えられる。
【0011】
本発明に係る半導体酸化装置の第2の形態は、密閉可能な容器と、半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、上記基台に支持された半導体試料の上方に位置する容器壁に設けられた観察窓と、上記容器の外側にあって上記観察窓を介して上記基台に対向する観察手段と、上記基台又は観察手段若しくはそれらの両方を上下方向に移動させる昇降機構を備えていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る半導体酸化装置の第3の形態は、密閉可能な容器と、半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、上記容器の壁に設けられた観察窓と、上記基台上に支持された上記半導体試料が上記観察窓に接近した観察位置と上記観察窓から離間する退避した退避位置との間で上記基台を移動させる移動機構と、上記容器の外側にあって上記観察位置にある上記半導体試料と上記観察窓を介して対向する観察手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
以上の第1〜第3の形態の半導体酸化装置は、上記供給部からの水蒸気の供給を停止して上記半導体試料の酸化を中断する手段と、上記観察手段で得られた像をもとに上記半導体試料特定部位の酸化進行度を求め、上記酸化進行度に基づいて追加酸化量を求める手段と、上記追加酸化量だけ上記半導体試料特定部位を追加酸化する手段を備えていることが好ましい。
【0014】
また、以上のすべての形態の半導体酸化装置では、観察手段がマイクロスコープであること、また観察手段が自動焦点機能を備えていることが好ましい。
【0015】
さらに、以上のすべての形態の半導体酸化装置は、上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する真空装置、または上記酸化の中断中に上記容器内部で上記基台に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス供給部、若しくはそれらの両方を備えていることが好ましい。
【0016】
さらにまた、以上のすべての形態の半導体酸化装置において、酸化される対象の半導体試料は酸化狭窄型面発光レーザ用のウェハであることが好ましい。
【0017】
次に、本発明に係る半導体素子の製造方法の第1の形態は、アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、上記酸化処理の中断中に上記半導体層の酸化進行度を観察する工程を備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る半導体素子の製造方法の第2の形態は、アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、上記酸化処理が中断されている間に、上記半導体素子が収容されている容器に設けた観察窓を介して上記容器内のメサと上記容器外の観察手段を接近させて対向させる工程と、上記観察手段で観察された上記電流狭窄部の大きさ又は上記電流狭窄部に囲まれた電流注入部の大きさから酸化進行度を求める工程と、上記酸化進行度から追加酸化量を求める工程と、上記追加酸化量だけ上記半導体層を追加酸化する工程を備えたことを特徴とする。
【0019】
第2の形態の半導体素子の製造方法では、上記メサと上記観察手段を接近させて対向させる工程は、上記メサを上記観察窓に接近させる工程を含むことが好ましい。
【0020】
以上の第1と第2の半導体素子の製造方法はまた、上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する工程、または上記酸化の中断中に上記容器内部に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける工程、若しくはそれらの両方を含むことが好ましい。
【0021】
さらに、以上のすべての形態の半導体素子の製造方法において、酸化される対象の半導体試料は酸化狭窄型面発光レーザ用のウェハであることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係る第1〜第3の形態の半導体酸化装置によれば、基台上の半導体試料と観察手段との距離を調整する調整手段又は昇降機構若しくは移動機構を備えているので、半導体試料と観察手段との距離を酸化処理時と観察時に最適な値に設定でき。したがって、酸化時には半導体試料の温度分布と水蒸気濃度分布を均一に調整でき、観察時は半導体試料の酸化進行度を正確に観察し評価できる。
【0023】
また、供給部からの水蒸気の供給を停止して半導体試料の酸化を中断する手段と、観察手段で得られた像をもとに半導体試料特定部位の酸化進行度を求め、その酸化進行度に基づいて追加酸化量を求める手段と、追加酸化量だけ半導体試料特定部位を追加酸化する手段を備えた半導体酸化装置によれば、半導体試料特定部位の最終酸化量を目的の値に調整できる。
【0024】
さらに、酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する真空装置、または上記酸化の中断中に上記容器内部で上記基台に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス供給部を備えた半導体酸化装置によれば、酸化中断時に酸化の進行を確実に且つ短時間のうちに止めて酸化進行度を評価することができる。
【0025】
次に、第1の形態の半導体素子の製造方法によれば、酸化を中断した状態で半導体試料の酸化進行度を観察するため、中断した時点における酸化進行度を正確に評価できる。また、第2の形態の半導体素子の製造方法によれば、中断時の観察から得た酸化進行度に基づいて追加酸化量を求め、その追加酸化量だけ半導体層を追加酸化するため、最終酸化量を目的の値に確実に調整できる。また、酸化進行度の観察は半導体素子と観察手段を接近させて行われるため、観察結果に基づいて評価される酸化進行度及び追加酸化量は極めて正確である。その結果、製造された半導体素子は均一な特性を有する。
【0026】
また、観察時にメサを観察窓に接近させる方法によれば、酸化進行度を正確に観察して評価できる。さらに、酸化の中断中に容器内部の雰囲気ガスを真空排気する工程、または酸化の中断中に容器内部で基台に支持されている半導体試料に不活性ガスを吹き付ける工程を有する方法によれば、酸化中断時に酸化の進行を確実に且つ短時間のうちに止めて酸化進行度を評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施の形態を説明する。
【0028】
《実施の形態1》本発明に係る半導体酸化装置及び半導体素子製造装置の実施の形態1を図1に示す。図示する半導体酸化装置(以下、「酸化装置」という。)10は、ステンレス等の金属からなる耐圧密閉容器(酸化炉)12を有する。容器12は内側に所定の大きさの内部空間14を備えており、底部に半導体試料を支持する基台16を備えている。
【0029】
本実施の形態において、基台16は、加熱テーブル18と、加熱テーブル18の上に配置され、酸化される半導体試料(半導体ウェハからなる基板)20を支持する試料テーブル(基板ホルダ)22を備えている。加熱テーブル18は、酸化される半導体試料20を加熱するための電熱ヒータ24を備えており、回転昇降機構(移動機構、基台移動機構)26を介して回転自在且つ昇降自在としてある。試料テーブル22は、酸化される半導体試料20を固定するための機構(図示せず)を備えている。なお、加熱テーブル18と試料テーブルは一体になっている場合もある。
【0030】
回転昇降機構26は、容器12の底壁28を貫通して上下方向に伸びる駆動軸30と、容器12の外部で駆動軸30に駆動連結されたモータ32と、モータ32を駆動軸30と共に上下方向に昇降する昇降機構34を備えている。本実施形態において、昇降機構34は床等の固定部36に固定されており、モータ38とラックアンドピニオン(図示せず)を用いて構成されているが、空圧又は油圧のシリンダを用いて構成することもできる。したがって、加熱テーブル18と試料テーブル22は、該試料テーブル22に固定された半導体試料20と共に、モータ32の駆動に基づいて駆動軸30を中心として所定の方向に回転し、昇降機構34の駆動に基づいて実線で示す酸化位置(退避位置、下降位置)と点線で示す観察位置(観察位置、上昇位置)との間を上下に移動することができる。
【0031】
容器12の天井壁40は、観察位置に置かれた半導体試料20に対向する基台上方位置に、透光性の耐熱材料からなる観察窓42が設けてある。容器12の外部であって観察窓42の上方には、マイクロスコープ(顕微鏡)付のカメラ(以下、「マイクロスコープ44」という。)で構成された観察手段が設けてある。マイクロスコープ44は、その視軸を上下方向に向け、マイクロスコープ44を水平面上で直交する2方向(X、Y方向)とこれらと直交する垂直方向(Z方向)に移動させる3つのモータ46,48,50を備えたカメラ移動機構52を介して固定台54に取り付けることが好ましい。マイクロスコープ44は、焦点をミクロンオーダの精度をもって自動調整できるように、自動焦点機能(オートフォーカス機能)を有するものを使用することが好ましい。また、酸化時に観察窓42を通じて外部に放出される熱を最小限にするために、また、観察窓42から放出される熱によってマイクロスコープ44が損傷(レンズ等を含む光学部品の熱変形等)するのを防止するために、観察窓42の外側又は内側で観察窓42を開閉する遮熱板56と該遮熱板56を開閉動作するモータ58又はシリンダを含む遮熱機構60を設けてもよい。遮熱板56は、遮熱効果を高めるために、断熱効率に優れた材料で構成してもよいし、内部空間14に対向する面を反射性の材料又は処理で仕上げてもよい。
【0032】
容器内部空間14の雰囲気を調整するために、容器12には3つの配管62,64,66が容器12の壁を貫通して設けられている。これらのうち、第1の配管62は酸化雰囲気ガスを内部空間14に供給するもので、容器外で2つに分岐し、一方の分岐管68が電磁弁70を介して水蒸気供給源(水蒸気供給部)72に接続され、他方の分岐管74が電磁弁76を介して窒素供給源(窒素供給部)78に接続されており、これら水蒸気供給源72から供給される水蒸気と窒素供給源78から供給される窒素の混合流体からなる酸化ガスが内部空間14に供給できるようにしてある。図示するように、第1の配管62の末端(吹き出し口)は、酸化位置にある半導体試料20の上方空間に向けられており、酸化処理中半導体試料20に十分な酸化ガスが供給できるようにすることが好ましい。第2の配管64は、後述するように、酸化処理の中断時、内部空間14の雰囲気を窒素に置換すると共に半導体試料20を冷却する低温窒素ガスを供給するもので、電磁弁80を介して低温窒素ガス供給源(低温窒素ガス供給部)82に接続されている。半導体試料20を冷却する目的から、第2の配管64の末端(吹き出し口)は、酸化位置にある半導体試料20又はその上部空間に向けられており、供給された低温窒素ガスが半導体試料20に吹き付けられるようにすることが好ましい。第3の配管66は、酸化処理の中断時、内部空間14に残留する酸化ガスを排出するためのもので、電磁弁84を介して真空源86に接続されている。容器12には更に第4の配管88が容器12の壁を貫通して設けるとともに、この配管88にフロー用電磁弁90が設けてあり、酸化処理中に電磁弁90を開放状態に保つことで、容器内部空間14に水蒸気の循環(フロー)状態を保ちながら、供給された量に見合う量の水蒸気ガスを配管88から外部に押し出すことができるようにしてある。
【0033】
図2は酸化装置10の制御系100を示す。図示するように、制御系100は、制御装置102を有する。制御装置102は中央処理装置104を有し、該中央処理装置104がマイクロスコープ44で撮影された画像のデータを処理する画像処理部106と、マイクロスコープ44で撮影された画像を表示する表示部(モニタ)108と、回転昇降機構26のモータ32,38、カメラ移動機構52においてマイクロスコープ44をX,Y,Z方向に移動させるモータ46,48,50、及び遮熱機構60のモータ58を制御するモータ制御部110と、電磁弁70,76,80,84,90を制御する電磁弁制御部112と、ヒータ24をPID制御するヒータ制御部114に接続されている。制御装置102はまた、以下に説明する酸化処理(中断処理を含む)を実行するために必要なプログラムや情報等を記憶した記憶部116と、後に説明する演算処理を実行する演算部118を備えている。
【0034】
酸化装置10を用いて面発光レーザの酸化層を形成する場合、酸化前の半導体試料20は、例えば図3(A)に示す断面構造を有する。この断面構造は、図の下から順番に、n側電極120、n側GaAs基板122、下部半導体分布ブラッグ反射鏡124を有し、下部半導体分布ブラッグ反射鏡124の上に一定の密度で(XY方向に所定の間隔をあけて)メサ126が支持されている。メサ126は、図の下から順番に、活性層128、AlとAsを含む被選択酸化層130、上部半導体分布ブラッグ層132、コンタクト層134を備えている。また、メサ126は、これを図の上方から見たとき、円形、楕円形、四角形(正方形又は長方形)、四角形以外の多角形を有する。
【0035】
酸化装置10を用いて上述の断面構造を有する半導体試料20の被選択酸化層130を酸化するプロセスを図4に示す。図示する酸化プロセスは、概略、被選択酸化層130を一次酸化する一次酸化処理#10と、酸化の進行を一時的に停止させて酸化量(酸化進行度)を評価する評価処理#20と、酸化量の評価結果に基づいて最終目標の酸化量まで被選択酸化層130を酸化する二次酸化処理#30からなる。
【0036】
一次酸化処理#10では、上述した構成を有する未酸化の半導体試料20を試料テーブル22に載せて固定する〔#11:準備工程〕。このとき、試料テーブル22を含む基台16は酸化位置(下降位置)に固定されている。必要であれば、制御装置102は電磁弁制御部112を介して排気用電磁弁84を開き、内部空間14の残留雰囲気を排気する。このとき、その他の電磁弁70,76,80は閉じておく。また、必要であれば、制御装置102はカメラ移動機構52のモータ46,48,50を駆動し、マイクロスコープ44を観察窓42から離れた位置、または観察窓42の対向領域から退避させておく。上述のように、観察窓42を開閉する遮熱板56を有する場合、遮熱板駆動用モータ58を駆動し、遮熱板56を閉鎖位置に移動し、観察窓42を閉鎖する。
【0037】
次に、制御装置102は、排気用電磁弁84と低温窒素ガス供給用電磁弁80を閉じ、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を開き、水蒸気と窒素の混合ガスを内部空間14に供給する〔#12:電磁弁制御工程〕。制御装置102はまた、混合ガスが供給されている間、フロー用電磁弁90を開放することにより、容器12の内部空間14に水蒸気ガスの循環状態を形成しつつ、配管88を通じて水蒸気ガスが押し出される状態を形成する。フロー用電磁弁90を開放することに代えて、電磁弁84を開放して容器12の内部空間14から水蒸気ガスを排気しながら、容器内部14を一定圧力(減圧状態又は大気圧状態)に維持しつつ、容器内部14に水蒸気ガスの循環状態を形成してもよい。続いて、制御装置102はヒータ制御部#を介してヒータ24をオンする〔#13:ヒータ制御工程〕。これにより、容器12の内部空間14には水蒸気と窒素からなる酸化ガスが充填されると共に、半導体試料20が酸化に必要な温度状態に調整され、半導体試料20における被選択酸化層130の酸化が始まる〔#14:一次酸化工程〕。被選択酸化層130の酸化は、メサ126の外周側面に現れている被選択酸化層130の周端から径方向内側に向かって進行する。例えば、メサ126が円形の平面形状を有する場合、図5に示すように、酸化領域140は周端から中心に向かって徐々に進行し、環状酸化領域140の内側にメサ平面形状と相似形状の円形未酸化領域142が残る。
【0038】
制御装置102は一次酸化処理の終了を判断する〔#15:一次酸化終了判断工程〕。具体的に説明すると、図6に示すように、中央に所定の大きさの未酸化領域142を残した状態(最終酸化状態)で全酸化処理を完了する場合、一次酸化によって酸化された一次酸化領域140Aが最終酸化状態(最終酸化位置144)に達する前に、すなわち僅かな又は多少の二次酸化領域(追加酸化領域)140Bを残して、酸化を中断する。酸化を中断するタイミング(一次酸化時間)は、酸化完了までに要する時間から経験的に求めることができる。例えば、制御装置102は、経験的に求められた全所要酸化時間tから所定の時間Δtを引いた時間を一次酸化時間t1(=t−Δt)として記憶部116に記憶しており、酸化開始からの経過時間が一次酸化時間t1に達した時点で一次酸化を終了と判断する。制御装置102は、一次酸化の終了を判断すると、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を閉じる〔#16:電磁弁制御工程〕。電磁弁76,70を閉じる前又はこれらを閉じた後、ヒータ24を停止する〔#17:ヒータ制御工程〕。次に、制御装置102は、急冷用の低温窒素ガス供給用電磁弁80を開き、容器内部空間14を窒素で置換するとともに容器内を冷却する〔#18:電磁弁制御工程〕。上述のように、低温窒素ガス供給用の配管64の吹き出し口が半導体試料20に向けられているため、配管64から供給された低温窒素ガスが半導体試料20に直接的に吹き付けられ、そのために酸化の進行が完全に又はほぼ完全に停止する。低温窒素ガスを供給することに代えて、排気用電磁弁84を開いて容器内部空間14から水蒸気を排気してもよい。この場合も同様に、酸化の進行が停止する。また、酸化中断中、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を閉じて水蒸気と窒素の供給を停止した状態では、低温窒素ガス供給用電磁弁80を開放すると共にフロー用電磁弁90を開放することにより容器内部空間14に窒素ガスの循環状態を維持してもよいし、これに代えて、低温窒素ガス供給用電磁弁80を開放すると共に排気用電磁弁84を開放して真空源86で容器内部空間14を一定圧力に維持しながら窒素を排気してもよい。
【0039】
続いて、評価処理#20では、酸化装置10が遮熱板56を含む遮熱機構54を有する場合、制御装置102はモータ58を駆動して遮熱板56を観察窓42の上から退避させて観察窓42を開放する。酸化装置10がカメラ移動機構52を有し、酸化処理中はマイクロスコープ44を観察窓42から又は容器12から離れた場所に退避させておく場合、カメラ移動機構52を駆動し、マイクロスコープ44を観察窓42に対向する場所に移動させる〔#21:準備工程〕。次に、制御装置102は、昇降用モータ38を駆動して基台16を観察位置に上昇し、観察窓42を挟んで半導体試料20をマイクロスコープ44に対向させる〔#22:試料上昇工程〕。続いて、マイクロスコープ44を起動してメサ126の拡大画像を取得する〔#22:撮影工程〕。なお、マイクロスコープ44は自動焦点機構を有するため、マイクロスコープ44はメサ126に自動的に焦点合わせされる。したがって、図6に示すように、取得された拡大画像において、一次酸化された酸化領域140と未酸化領域142の境界は明瞭に認識できる。マイクロスコープ44で撮影された画像のデータは画像処理部106に送信され、そこで必要な画像処理が施される。画像処理後の画像データは、必要に応じて記憶部116に記憶される。また、画像処理後の画像データを用いて、メサ126の拡大画像が表示部108に表示される。さらに、画像処理後の画像データは演算部118に送信され、そこで二次酸化の酸化量(酸化時間t2)が計算される〔図23:評価工程〕。
【0040】
図6を参照して演算部118における計算の一例を簡単に説明すると、演算部118はまず一次酸化の酸化進行度(酸化量)を計算する。酸化進行度は、例えば、円形メサの中心を通る線上において、円形メサの外周端から環状酸化領域140の内周端までの距離dで表す。また、演算部118は、酸化進行度(=距離d1)と最終目標とする未酸化領域142の大きさ(円形メサの外周端から最終酸化位置144間での距離)から、二次酸化で酸化すべき量(=Δd2)を計算する。次に、演算部118は、酸化量(距離d1)を一次酸化に要した時間t1で割り、時間当たりの酸化量(酸化進行係数:α=d1/t1)を求める。最後に、演算部118は、二次酸化に必要な時間(二次酸化時間)〔t2=d2/α〕を求める。
【0041】
続いて、二次酸化処理#30では、二次酸化に必要な事前準備を行う〔31:準備工程〕。例えば、制御装置102はカメラ移動機構52のモータ46,48,50を駆動し、マイクロスコープ44を観察窓42から離れた位置に退避させるか、または観察窓42の対向領域から退避させる。また、遮熱板駆動用モータ58を駆動し、遮熱板56を閉鎖位置に移動し、観察窓42を閉鎖する。次に、制御装置102は低温窒素供給用電磁弁80を閉じる〔#32:弁制御工程〕。低温窒素ガスの供給に代えて排気用制御弁#が開かれている場合、この排気用制御弁84を閉じる。また、昇降機構34のモータ38を駆動し、基台16を酸化位置に下降させる〔#33:試料移動工程〕。次に、制御装置102は、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を開き、水蒸気と窒素の混合ガスを内部空間14に供給する〔#34:弁制御工程〕。また、一次酸化処理の終了時点でヒータ24が停止されている場合、ヒータ24を再び駆動する〔#35:ヒータ制御工程〕。これにより、被選択酸化層130の酸化が再開され、酸化領域140が内方に拡大すると共に、未酸化領域142が小さくなる。二次酸化処理の時間は計時されており、その時間が上述の二次酸化時間t2に達すると、制御装置102は二次酸化処理を終了する〔#36:二次酸化終了判断工程〕。最後に、制御装置102は、二次酸化の終了を判断すると、水蒸気供給用電磁弁70と窒素供給用電磁弁76を閉じ〔#36:弁制御工程〕、ヒータ24を停止し〔#37:ヒータ停止工程〕、二次酸化処理を終了する。なお、酸化処理を終了する際、低温窒素ガス供給用電磁弁80を開放して半導体試料20に低温窒素ガスを吹き付けることが好ましい。
【0042】
二次酸化処理終了後のメサ126には、図3(B)及び図6に示すように、所定の大きさの未酸化領域142とその周囲を囲む酸化領域140が形成され、これらがそれぞれ電流注入部150、電流狭窄部152となる。このようにして電流注入部150と電流狭窄部152が形成された半導体試料20は、その後必要な薄膜形成処理が施され、図7に示す断面の面発光レーザ160が形成される。この面発光レーザ160において、154はSiO2等からなる絶縁膜、156はポリイミド等からなる絶縁膜、158はp側電極である。
【0043】
このように、本発明に係る酸化装置10によれば、半導体試料20の被選択酸化層130は一次酸化処理によってある程度まで酸化された後、酸化の進行を一時的に停止した状態で一次酸化量(酸化進行度)を求め、一次酸化処理の結果をフィードバックして残る二次酸化処理の酸化量(酸化時間)が決定される。したがって、最終的に形成される電流注入部の大きさは完全に又はほぼ完全に目標の大きさになる。なお、二次酸化終了時点における酸化量を目標酸化量に一致させるために、全酸化量(=d1+d2)に対する一次酸化量(d1)の割合(%)〔=d1/(d1+d2)〕は出来るだけ大きい値であることが望ましく、例えば、80〜90%、好ましくは、85〜95%、更に好ましくは90〜95%とする。
【0044】
なお、以上の説明では、円形メサを想定して酸化量をメサ径(d1,d2)で求めたが、酸化量を面積で評価することもできる。この場合、最終目標となる未酸化領域の面積に対する酸化終了時点の未酸化面積の割合をもって酸化進行係数α〔=(酸化前の選択酸化層の面積−一次酸化終了時における未酸化領域の面積)/酸化時間〕を求め、その酸化進行度に基づいて二次酸化の酸化量(酸化時間)を求める。
【0045】
《実施の形態2》実施の形態1の説明では、酸化中に基台16及び半導体試料20は回転せずに一定の場所に固定したが、酸化中に基台16の回転機構(回転昇降機構26)を駆動して半導体試料20を回転してもよい。この場合、各メサ126の空間位置が時間的に変化するため、結果的に全てのメサ126の被選択酸化層130を等しく酸化でき、製品の歩留まりが良くなる。
【0046】
《実施の形態3》実施の形態1では、一次酸化処理の評価結果に基づいて二次酸化処理を行い、最終的な未酸化領域(電流注入部)の大きさは確認しないものとしたが、二次酸化終了後に非酸化領域の大きさを計測し、その結果に基づき、必要であれば更に追加の三次酸化処理を行っても良い。この場合、二次酸化処理後に未酸化領域を計測し、その計測結果に基づいて上述と同様の方法で三次酸化量及びそれに必要な三次酸化時間が計算され、その計算結果に基づいて三次酸化処理を行う。
【0047】
一次酸化量と二次酸化量は同一のメサについて評価することが好ましい。酸化中に基台16及び半導体試料20を回転しない場合、マイクロスコープ44の焦点を予め決められた平面座標(XY座標)に合わせれば、一次酸化量と二次酸化量を同一のメサについて計測することができる。
【0048】
酸化中に基台16と半導体試料20を回転する場合、一次酸化処理の終了時点でカメラの焦点位置にあった評価対象メサが、二次酸化処理の終了した時点ではカメラの焦点位置に停止せずに別の場所に移動していることが考えられる。この問題を解消するためには、例えば、図8のフローチャートに示すように、一次酸化処理と二次酸化処理の終了後、基台16を原点位置に復帰させる処理(#19,#37:原点復帰処理工程)を実行する。
【0049】
原点復帰処理を実行するためには、基台16を回転するモータ32には、原点位置(Z相)を備えたエンコーダ付のサーボモータを用いることが好ましい。具体的に、サーボモータのZ相を利用した原点復帰工程の処理について説明する。いま、図9に示すように、駆動軸30の中心(X−Y座標系の原点)からX,Y方向にそれぞれ所定距離(x0,y0)だけ移動した位置(r、θ)にカメラの焦点が存在し、このカメラ焦点位置に評価対象メサ126が位置しており、一次酸化処理又は二次酸化処理の開始時点でサーボモータはZ相の出力から所定パルス数出力した状態で停止しているものとする。以下の説明を簡単にするために、この所定パルス数をゼロと仮定する。この条件で、一次又は二次酸化処理の終了時点で評価対象メサがカメラの焦点位置から角度θ’だけ移動した座標(r,θ+θ’)に停止したものとする。この場合、制御装置102はサーボモータのZ相が出力された時点から回転停止までのパルス数Nθ’を記憶する。このパルス数Nθ’は移動角度θ’に相当する。したがって、原点復帰工程では、制御装置102はサーボモータから出力されるパルス数Nθ’から移動角度θ’を計算し、サーボモータの回転軸を酸化処理前の角度位置に復帰させるために必要な角度(360°−θ’)とこの角度に対応するパルス数N(360°−θ’)を計算し、その計算されたパルス数N(360°−θ’)のパルスが出力されるまで回転軸を回転し、評価対象メサ126をカメラの視野134内に移動する。これにより、同一のメサについて一次及び二次酸化処理後の酸化量を評価できる。
【0050】
サーボモータのZ相を利用する方法に代わる更に簡便な方法は、駆動軸30又はこれに駆動連結された他の回転部材(例えば、歯車)に被検出部(例えば、突起、切り欠き、読み取りマーク、磁石)を取り付ける一方、その近傍に検出器を設け、評価処理前の原点復帰処理工程で検出器が被検出部を検出するまで駆動軸30を回転復帰させることである。なお、検出器には、光式、機械式、電磁式又はそれらを組み合わせた任意の形式の検出器を用いることができる。
【0051】
また、原点復帰工程では、評価対象メサを確実にカメラの視野内に移動させるために、酸化時よりも遅い速度で基台及び駆動軸を回転させることが好ましい。したがって、基台16を回転するモータ32は、回転速度を高速と低速に切り換えることができるモータを用いることが好ましい。
【0052】
《実施の形態4》実施の形態1では、加熱テーブル18と試料テーブル22を一体的に組み合わせて基台16を構成したが、加熱テーブル18は容器12に固定し、試料テーブル22だけが加熱テーブル18に対して酸化位置(下降位置)と観察位置(上昇位置)との間を移動できるようにしてもよい。この場合、図10に示すように、加熱テーブル18の内側に駆動軸30を貫通し、この貫通した駆動軸30に試料テーブル22を支持する。このような構成を採用した酸化装置によれば、酸化中断時及び酸化終了後に半導体試料20をヒータ24から離すことができるので、半導体試料20の冷却速度が速くなり、酸化の中断及び終了を確実に行うことができる。また、試料基板内で酸化量を均一に且つ目的の値に保つことができる。
【0053】
《他の実施形態》上述の実施形態1,2では、酸化中断時に半導体試料及びこれを支持するテーブルをその上方に配置した観察窓に向けて上昇したが、容器の側部に観察用の部屋(観察室)を設け、観察時に半導体試料とこれを支持する試料テーブルを観察室に横移動し、この観察室の天井部に設けた観察室を介して該観察室の上方に配置した観察手段で酸化量を観察して評価してもよい。この場合、横方向から装入される試料テーブルに対向する観察室天井部の高さは、装入された半導体試料と接近するように、低くしておくことが好ましい。また、以上の説明では、水蒸気や窒素等の供給及び排気を制御する弁として電磁弁を用いたが、弁の種類はこれに限るものではない。
【0054】
《実施例1》
実施例1に係る面発光レーザの詳細な断面構造を図11に示す。図示する面発光レーザ200は、波長1.3μmのレーザを発振するもので、3インチの大きさの面方位〈100〉のn−GaAs基板202上に、媒質内における発振波長の1/4倍の厚みを有し、n−AlxGa1−xAs(x=0.9)とn−GaAsを交互に35.5周期積層した周期構造からなるn−半導体分布ブラッグ反射鏡(「下部半導体分布ブラッグ反射鏡」;以下、単に「下部反射鏡」という。)204を形成した。下部反射鏡204の上には、アンドープGaAsスペーサ層206、3層のGaInNAs井戸層208と4層のGaAsバリア層210からなる多重量子井戸活性層212、アンドープ上部GaAsスペーサ層214を形成した。
【0055】
スペーサ層214の上には、p−半導体分布ブラッグ反射鏡(「上部半導体分布ブラッグ反射鏡」;以下、単に「上部反射鏡」という。)216を形成した。上部反射鏡216は、Cドープのp−AlxGa1−xAs(x=0.9)とp−GaAsをそれぞれの媒質内における発振波長の1/4倍の厚みを有し、交互に積層した周期構造(例えば、25周期)として構成した。上部反射鏡216と活性層212の間には、AlAsからなる被選択酸化層218を、例えば30nmの厚みをもって形成した。上部反射鏡216の最上部のGaAsコンタクト層220は、電極とのコンタクトをとるためのコンタクト層を兼ねている。活性層212内の井戸層208のIn組成xは33%、窒素組成は1.0%とした。井戸層208の厚みは7nmとし、GaAs基板202に対して約2.1%の圧縮歪(高歪)を有している。
【0056】
薄膜成長方法にはMOCVDを用いた。キャリアガスはH2を用いた。GaInNAs活性層の原料には、TMG(トリメチルガリウム)、TMI(トリメチルインジウム)、AsH3(アルシン)を用いた。窒素の原料には、DMHy(ジメチルヒドラジン)を用いた。DMHyは低温で分解するので、600℃以下の低温成長に適しており、特に低温成長の必要な歪みの大きい量子井戸層を成長する場合に好ましい原料である。GaInNAs面発光型半導体レーザ素子の活性層のような歪みが大きい場合、非平衡となる低温成長が好ましい。本実施例では、GaInNAs層は540℃で成長した。
【0057】
メサ222は、ウェットエッチング又はRIE、RIBE、ICP法などのドライエッチングにより、少なくともp−AlAs被選択酸化層の側面を露出させた状態で形成した。メサ222は、これを上方から見て正方形の形に形成した。その後、上述した酸化装置を用い、側面の表れたAlAsを水蒸気で側面から酸化してAlxOy電流狭窄部を形成した。このとき、試料テーブル(基板ホルダー)にウェハ(試料)を載せ、基台を酸化位置に配置し、所定の水蒸気を供給した。このとき、ウェハは観察窓から離れていたので、均一に酸化された。ウェハを400℃程度の所定の酸化温度に昇温し、一次酸化を開始した。所望の酸化量になると予想される時間の前に酸化を中断した。その後、ウェハの載った加熱テーブルを観察窓に近い観察位置に上昇し、マイクロスコープにより酸化距離、酸化面積、非酸化領域の縦と横の長さ、非酸化領域の面積を観察した。そして、これらの情報をもとに一次酸化の酸化速度と、二次酸化(追加酸化)に必要な酸化距離を計算し、追加酸化時間を形成した。ウェハを再度酸化位置に戻し、追加酸化を行った。二次酸化の酸化時間が経過すると、水蒸気の供給を停止すると共に低温窒素をウェハに吹き付け、ヒータを止めて酸化を終了した。
【0058】
以上の酸化処理により、酸化進行度の基板内面均一性が良好に保たれた状態で酸化狭窄部(電流注入部)の面積が精度良く制御できた。酸化の中断又は酸化の終了は、水蒸気供給の停止に行うことができるが、より確実に行うためには、試料基板の温度を下げることが好ましい。また、上述した実施例では酸化処理を2階に分けて行ったが、3回又はそれ以上の回数に分けて行っても構わない。
【0059】
酸化処理の終了後、SiO2などの絶縁膜224でメサ222を保護した後、ポリイミド226でエッチング部を埋め込んで平坦化した後、pコンタクト層220と光出射部のある上部反射鏡の上に存在するポリイミドとSiO2を除去し、pコンタクト層220上の光出射部以外にp側電極228を形成した。また、基板202の裏面にn側電極230を形成した。
【0060】
作成した面発光型半導体レーザ素子の発振波長は約1.3μmであった。また、AlとAsを主成分とする被選択酸化層の選択酸化により電流狭窄部を形成したので、閾値電流が低かった。このように、被選択酸化層を選択酸化したAl酸化膜からなる電流狭窄層を用いた電流狭窄構造によると、電流狭窄層を活性層に近づけて形成することで、電流の広がりが抑制され、大気に触れない微小領域に効率良くキャリアを閉じこめることができる。また、酸化されることによりAl酸化膜が形成される結果、屈折率が小さくなり、凸レンズの効果でキャリアの閉じ込められた微小領域に効率良く光を閉じ込めることができ、閾値電流も低下する。また、容易に電流狭窄構造を形成できることから、製造コストを低下できる。しかも、観察窓から離れた位置で酸化が進行することから、酸化を一旦停止して酸化速度を評価し、その評価結果に追加酸化を行ったため、酸化狭窄径は各メサについて目的の大きさで均一に形成され、歩留まりも向上した。
【0061】
酸化領域の観察は、タングステンランプ等の光源から出射された光の反射光をマイクロスコープを介してCCDカメラ又はビジコンカメラで受光し、テレビモニタにメサ拡大画像を表示した。表示された画像上で酸化領域と非酸化領域及びその境界はそれらの反射率の違いから明瞭に写し出された。
【0062】
酸化領域と非酸化領域の反射率の波長依存性を図12に示す。この図に示すように、波長1.3μm近傍の領域(高反射帯域)では酸化領域と非酸化領域の反射率に殆ど相違はないが、その領域を挟む両側の波長領域で両者の反射率は明らかに異なる傾向を示す。観察する波長としては、高反射帯域より短波長側ではDBRの材料による光吸収が生じるために好ましくないが、高反射帯域より長波長側では吸収の問題はなく、酸化領域の反射率が高い。したがって、高反射帯域よりも長波長側の波長に感度を有するカメラを用いることが好ましい。現在市販されている各撮像装置についてみると、波長の短い面発光レーザは近赤外に感度のあるCCDカメラを用いることができる。本実施例のように、1.3μmの面発光レーザでは、より長波長側に感度のある赤外ビジコンカメラが好ましい。また、赤外レーザ光をスキャンしてカメラで受光するいわゆる共焦点レーザ顕微鏡は解像度を極めて高くすることができることから好ましく、レーザの波長を適切に選択することで利用可能である。
【0063】
《実施例2》
他の断面構造を有する面発光レーザを図13に示す。図示する面発光レーザは、面方位〈110〉方向に傾斜角2°をもって傾斜したn−(100)GaAs基板302上に、n−Al0.9Ga0.1Asとn−Al0.3Ga0.7Asを媒質内における発振波長の1/4倍の厚みで交互に、例えば、35.5周期積層した周期構造からなるn−半導体分布ブラッグ反射鏡(第1反射鏡:n側DBR)304を形成した(図13では詳細は省略)。n−Al0.9Ga0.1Asとn−Al0.3Ga0.7Asの間には、Al組成を一方の値から他方の値に徐々に変化させた、厚み20nmの組成傾斜層(図示せず)を挿入し、傾斜層を含めて媒質内における発振波長の1/4倍の厚みとした。このような構成を採用することにより、DBRに電流を流す場合、両者のバンド不連続を滑らかにすることができ、高抵抗化を抑制できる。第1反射層304の上には更に、Al0.5Ga0.5As下部スペーサ(クラッド)層306,波長が780nmとなる3層のAlGaAs井戸層と4層のAl0.3Ga0.7As障壁層からなる量子井戸活性層308、Al0.5Ga0.5As上部スペーサ(クラッド)層310を形成した。更にその上に、p−AlxGa1−xAs(x=0.9)とp−AlxGa1−xAs(x=0.3)を交互に、例えば25周期積層した周期構造のn−半導体分布ブラッグ反射鏡(第2反射鏡:p側DBR)312を形成した(図13では詳細は省略)。第2反射層312にも、第1反射鏡304と同様に組成傾斜層を挿入した。最上部には、電極との接触をとるp−GaAsコンタクト層314を形成した。第1反射鏡と第2反射鏡の間は、発振波長の1波長分の長さ(いわゆるラムダキャビティ)とした。
【0064】
結晶成長は、MOCVDにより行った。原料には、TMG(トリメチルガリウム)、TMA(トリメチルアルミニウム)、TMI(トリメチルインジウム)、AsH3(アルシン)を用い、n型のドーパントとしてH2Se(セレン化水素)を用い、p型のドーパントとしてCBr4を用いた。キャリアガスにはH2を用いた。MOCVD法は、原料ガス供給量を制御することで、組成傾斜層のような構造を容易に形成できるので、DBRを含む面発光レーザの結晶成長法として、MBE法に比べて適している。また、MBE法のような高真空を必要とせず、原料ガスの供給流量や供給時間を制御すればよいので、量産性に優れている。
【0065】
p側DBR中で活性層に近い低屈折率の一部をAlAs被選択酸化層316とした。そして、所定の大きさのメサ318を、p−AlAs被選択酸化層316の側面を露出させた状態で形成し、上述と同様に、側面の露出したAlAs被選択酸化層316をその周囲から酸化してAlxOy電流狭窄部320とこれに囲まれた電流注入部322を形成した。次に、ポリイミド324でエッチング部を埋め込んで平坦化し、pコンタクト層314と光出射部326のある上部反射鏡上のポリイミド層を除去し、pコンタクト層314上の光出射部326以外にp側電極328を形成し、基板302の裏側にn側電極330を形成した。このような構成により、波長780nmの面発光レーザが得られた。
【0066】
なお、本実施例では、被選択酸化層としてAlAs層を用いたが、Ga等の他の元素を含むこともあり得る。また、DBRを構成するAlGaAs層よりもAl組成を大きくし、酸化速度を被選択酸化層よりも速くしてもよい。また、活性層の材料を変えることができ、AlとAsを含む半導体層を選択的に酸化して電流狭窄構造とする形式の面発光レーザにも本発明は適用可能である。さらに、端面型半導体レーザなど、面発光レーザに限らず、AlとAsを含む半導体層を選択的に酸化して電流狭窄構造とする形式の半導体素子の製造にも本発明は適用可能である。
【0067】
《適用例1》
図14は、面発光レーザを一列に配置した面発光レーザアレイチップ400を示す。図示する面発光レーザアレイチップ400を構成する面発光レーザ402を上述の製造方法により製造されたものであり、電流狭窄部に囲まれた電流注入部の内径は5μmであり、横モードがシングルモードで動作するものである。なお、本適用例において、面発光レーザ402はp型GaAs半導体基板上に形成されており、上面にn側個別電極404、裏面にp側共通電極(図示せず)が配置されている。なお、図面上、面発光レーザ402は一次元(一列)配置されているが、二次元(複数列)配置してもよい。このように、上述した面発光レーザを用いた面発光レーザアレイチップでは、各レーザが面発光型であるために容易に配列でき、しかも通常の半導体プロセスで一体的に形成できるので、素子が極めて精度良く配置される。したがって、製品の歩留まりが飛躍的に向上し、製造時間を大幅に短縮できるので、低コストの面発光レーザアレイが提供できる。
【0068】
《適用例2》
図15は、面発光レーザを用いて構成された光送信モジュール500を示す。図示するように、光通信モジュール500は、適用例1で説明した面発光レーザアレイチップ502と多数の光導波路504で構成されており、各光導波路504の端面(光入力部)を面発光レーザに対向し、この面発光レーザから出射される光が光導波路504に入力されるようにしてある。光導波路504としては、例えば光ファイバが利用できる。また、光ファイバとしては、例えばシリカファイバを用いることができる。図示する実施の形態では、面発光レーザは波長1.3μmの光を出射するシングルモード素子を用い、光導波路である光ファイバにはシングルモードファイバを用いている。
【0069】
このように構成された光通信モジュール500によれば、発光手段として面発光レーザを用いているので、高速の並列伝送が可能となり、大量のデータを同時に伝送できる。また、各面発光レーザはその酸化狭窄部及び電流注入部の大きさが均一に形成されているので、光通信モジュール500における駆動回路の駆動電流設定が容易になるとともに、高信頼性の光通信モジュール500及び光通信システムを安価に提供できる。
【0070】
図示する適用例では面発光レーザと光ファイバを一対一に対応させているが、発振波長の異なる複数の面発光レーザを一次元又は二次元に配置し、波長多重送信することにより、伝送速度を更に増大することが可能である。また、面発光レーザの活性層をGaAs量子井戸層としてその発振波長850nmとし、マルチモードファイバと組み合わせることができる。
【0071】
《適用例3》
図16は、面発光レーザを用いて構成された光通信(送受信)モジュール600を示す。図示するように、光通信モジュール600は、実施例2の製造方法によって製造された面発光レーザ602と、受信用フォトダイオード604と、アクリル系プラスチックファイバ606を組み合わせて構成されている。なお、面発光レーザ602はマルチモード素子であり、その発振波長は780nmである。
【0072】
このように構成された光通信モジュール600によれば、上述の製造方法によって面発光レーザ602を安価に製造できることに加えてプラスチックファイバ606が安価であることから、安価な光通信システムを構成することができる。また、プラスチックファイバ606はそのファイバ径が大きいことから他のファイバとのカップリングが容易であるので、通信システムの構成が容易になる。従って、一般家庭やオフィスなどの室内用の通信システムや狭い機器内の通信システムに好適に利用できる。
【0073】
なお、アクリル系プラスチックファイバを用いた光伝送では、その吸収損失性を考慮して、発振波長が650nmの面発光レーザの使用が検討されているが、高温特性が悪いことから実用には至っていない。したがって、現在では発光ダイオードが発光源に利用されているが、これは高速変調が困難であり、1Gbpsを超える高速伝送を実現するためには、新たな半導体レーザの開発が不可欠であった。このような状況において、本発明の製造方法によって製造される発振波長780nmの面発光レーザは、発振波長が650nmの面発光レーザに比べて活性層利得が大きく、高出力であり、かつ高温特性に優れているため、発熱が少なく且つ冷却無しで使える低コストのシステムを実現できる。
【0074】
また、上記光通信モジュールを含む光通信システムは、光ファイバを用いたLAN等におけるコンピュータ等の機器間の伝送のみならず、機器内のボード間、ボード内のLSI間、LSI内の素子間等のデータ伝送用光インターコネクションとして、特に短距離通信に用いることができる。
【0075】
ところで、近年、LSI等の処理能力が一段と向上しているが、これらを接続する部分の伝送速度がボトルネックとなっている。しかし、上述の光通信モジュールを用いることにより、システム内の信号接続を従来の電気接続から光インターコネクションに変更する場合、例えば、コンピュータシステムのボード間、ボード内のLSI間、LSI内の素子間を接続すれば、超高速のコンピュータシステムを実現できる。
【0076】
また、複数のコンピュータシステム等を上記光送信モジュールや光通信(送受信)モジュールを用いて接続すれば、超高速ネットワークシステムを構築できる。特に、面発光レーザは、端面発光型レーザに比べて桁違いに消費電力が少なく且つ二次元配置が容易に行えることから、並列伝送型の光通信システムに適している。
【0077】
《適用例4》
図17は、面発光レーザを用いて構成された画像形成装置700の概略構成を示す。画像形成装置700は、例えば、電子写真法による複写機、プリンタ、ファクシミリ、またはそれらの機能を複合的に搭載した複合機であり、静電潜像坦持体である感光体702と、一様に帯電された感光体702の外周面に光を露光する露光系704を備えている。露光系704は、作成する画像に対応した光を出力する光源706と、光源706から出力された光を反射しながら感光体702に走査するポリゴンミラー708と、ポリゴンミラー708で反射された光を感光体702に結像するレンズ系710を備えており、光源706に面発光レーザアレイ712が用いられている。
【0078】
図18(A)に示すように、面発光レーザアレイ706は、発振波長780nmの面発光レーザ712を二次元配置して構成されている。具体的に説明すると、本実施の形態では、16個の半導体レーザ712が、図面の横方向(主走査方向:感光体の軸方向)に所定の間隔(40μm)をあけて4列、また各縦方向列(副走査方向:感光体の回転方向)に4個づつ配置されている。また、一つの縦方向列とこれに隣接する縦方向列の間では、図面上右側に位置する縦方向列の半導体レーザが副走査方向に10μmづつ移動させてあり、これにより、図18(B)に示すように、感光体の副走査方向に実質的に10μmの間隔をあけた16個のスポット714が形成されるようにしてある。
【0079】
このような構成を備えた画像形成装置700によれば、二次元配置された複数の面発光レーザ712から出力される複数のレーザビームを感光体702に同時に照射できる。したがって、一つのレーザ発振光源を用いた画像形成装置に比べて、非常に高速で画像を形成できる。また、面発光レーザは二次元集積に適していることから、従来の端面発光型レーザアレイに比べて、ビーム数を容易に増やすことができる。上記の例によれば、副走査方向に約10μmの間隔で各ドットを形成でき、これは2400dpiに相当する。さらに、主走査方向の書き込み間隔は、面発光レーザの発光タイミングを調整することで容易に制御できる。さらにまた、実施形態の面発光レーザアレイによれば16ドットを同時に書き込み可能であることから、印字速度を極めて高速化することができる。当然、縦方向及び横方向に配置する面発光レーザの数を増やせば、更に高速印字が可能である。そして、面発光レーザの間隔を調整することで、副走査方向の間隔を調整でき、2400dpiよりも更に高密度で高精細の印字が可能になる。特に、上述の製造方法によって製造された面発光レーザはその酸化狭窄径が均一であることから、目的径のスポットを形成できる。
【0080】
《他の適用例》
適用例4では面発光レーザを画像書き込み用の光源に用いたが、面発光レーザはCD等の記録媒体に対する記録用及び再生用の光源として利用することもできる。特に、上述の製造方法によれば面発光レーザは、端面発光型半導体レーザよりも低価格で製造できるとともに、端面発光型半導体レーザに比べて消費電力が少ないという利点を有することから、消費電力が問題となる携帯型の光ピックアップ装置に特に好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】本発明に係る半導体酸化装置の構成を示す縦断面図。
【図2】図1に示す半導体酸化装置の制御系の構成を示す機能ブロック図。
【図3】図1に示す半導体酸化装置で酸化処理される試料(基板)〔酸化前〕の部分断面図〔図3(A)〕、半導体酸化装置で酸化処理された試料〔酸化後〕の部分断面図〔図3(B〕。
【図4】図1の半導体酸化装置を用いた半導体素子製造方法を示すフローチャート。
【図5】被酸化部位の酸化プロセスを説明する図。
【図6】図5と共に被酸化部位の酸化プロセスを説明する図。
【図7】酸化後の試料を用いて構成された半導体レーザの構成を示す断面図。
【図8】図1の半導体酸化装置を用いた半導体素子製造方法の他の形態を示すフローチャート。
【図9】原点復帰処理を説明する図。
【図10】他の形態の半導体酸化装置の構成を示す縦断面図。
【図11】実施例1に係る面発光レーザの構造を示す断面図。
【図12】実施例1で説明する酸化狭窄型面発光レーザの酸化領域と非酸化領域の反射率の波長依存性を示す図。
【図13】実施例2に係る面発光レーザの構造を示す断面図。
【図14】面発光レーザを用いて構成された面発光レーザアレイチップの平面図。
【図15】面発光レーザを用いて構成された光送信モジュールを示す図。
【図16】面発光レーザを用いて構成された光通信モジュールを示す図。
【図17】面発光レーザを用いて構成された画像形成装置の概略構成を示す図。
【図18】図17の画像形成装置における露光用光源の拡大平面図。
【図19】従来の酸化装置の概略構成を示す縦断面図。
【図20】従来の他の酸化装置の概略構成を示す縦断面図。
【符号の説明】
【0082】
10:半導体酸化装置、12:容器、14:内部空間、16:基台、18:加熱テーブル、20:半導体試料、22:試料テーブル(基板ホルダ)、24:ヒータ、26:回転昇降機構、28:底壁、30:駆動軸、32:モータ、34:昇降機構、36:固定部、38:モータ、40:天井壁、42:観察窓、44:カメラ、46,48,50:モータ、52:カメラ移動機構、54:固定台、56:遮熱板、58:モータ、60:遮熱機構、62:第1の配管、64:第2の配管、66:第3の配管、68:分岐管、70:電磁弁、72:水蒸気供給源、74:分岐管、76:電磁弁、78:窒素供給源、80:電磁弁、82:低温窒素ガス供給源、84:電磁弁、86:真空源、88:第4の配管、90:電磁弁、100:制御系、102:制御装置、104:中央処理装置、106:画像処理部、108:表示部(モニタ)、110:モータ制御部、112:電磁弁制御部、114:ヒータ制御部、116:記憶部、118:演算部、126:メサ、130:被選択酸化層、140:酸化領域、142:未酸化領域、150:電流狭窄部、152:電流注入部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉可能な容器と、
半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、
上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、
上記基台に支持された半導体試料に対向可能に上記容器の壁に設けられた観察窓と、
上記容器の外部に上記観察窓を介して上記基台上の半導体試料と対向可能に設けられた観察手段と、
上記基台と観察手段との距離を調整する調整手段を備えたことを特徴とする半導体酸化装置。
【請求項2】
上記基台が加熱器を備えた加熱テーブルと上記加熱テーブル上に配置されて上記半導体試料を支持する試料テーブルを備えており、上記調整手段が上記加熱テーブルと上記試料テーブルを一体的に移動させる基台移動機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体酸化装置。
【請求項3】
上記基台が加熱器を備えた加熱テーブルと上記加熱テーブル上に配置されて上記半導体試料を支持する試料テーブルを備えており、上記調整手段が上記試料テーブルを移動させる基台移動機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体酸化装置。
【請求項4】
密閉可能な容器と、
半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、
上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、
上記基台に支持された半導体試料の上方に位置する容器壁に設けられた観察窓と、
上記容器の外側にあって上記観察窓を介して上記基台に対向する観察手段と、
上記基台又は観察手段若しくはそれらの両方を上下方向に移動させる昇降機構を備えていることを特徴とする半導体酸化装置。
【請求項5】
密閉可能な容器と、
半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、
上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、
上記容器の壁に設けられた観察窓と、
上記基台上に支持された上記半導体試料が上記観察窓に接近した観察位置と上記観察窓から離間する退避した退避位置との間で上記基台を移動させる移動機構と、
上記容器の外側にあって上記観察位置にある上記半導体試料と上記観察窓を介して対向する観察手段を備えたことを特徴とする半導体酸化装置。
【請求項6】
上記供給部からの水蒸気の供給を停止して上記半導体試料の酸化を中断する手段と、
上記観察手段で得られた像をもとに上記半導体試料特定部位の酸化進行度を求め、上記酸化進行度に基づいて追加酸化量を求める手段と、
上記追加酸化量だけ上記半導体試料特定部位を追加酸化する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項7】
上記観察手段がマイクロスコープであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
上記観察手段が自動焦点機能を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する真空装置を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項10】
上記酸化の中断中に上記容器内部で上記基台に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス供給部を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項11】
上記半導体試料が酸化狭窄型面発光レーザ用のウェハであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項12】
アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、
上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、
上記酸化処理の中断中に上記半導体層の酸化進行度を観察する工程を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項13】
アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、
上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、
上記酸化処理が中断されている間に、上記半導体素子が収容されている容器に設けた観察窓を介して上記容器内のメサと上記容器外の観察手段を接近させて対向させる工程と、
上記観察手段で観察された上記電流狭窄部の大きさ又は上記電流狭窄部に囲まれた電流注入部の大きさから酸化進行度を求める工程と、
上記酸化進行度から追加酸化量を求める工程と、
上記追加酸化量だけ上記半導体層を追加酸化する工程を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項14】
上記メサと上記観察手段を接近させて対向させる工程は、上記メサを上記観察窓に接近させる工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項15】
上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する工程を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
【請求項16】
上記酸化の中断中に上記容器内部に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける工程を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
【請求項17】
上記半導体素子が酸化狭窄型の面発光レーザであることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
【請求項1】
密閉可能な容器と、
半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、
上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、
上記基台に支持された半導体試料に対向可能に上記容器の壁に設けられた観察窓と、
上記容器の外部に上記観察窓を介して上記基台上の半導体試料と対向可能に設けられた観察手段と、
上記基台と観察手段との距離を調整する調整手段を備えたことを特徴とする半導体酸化装置。
【請求項2】
上記基台が加熱器を備えた加熱テーブルと上記加熱テーブル上に配置されて上記半導体試料を支持する試料テーブルを備えており、上記調整手段が上記加熱テーブルと上記試料テーブルを一体的に移動させる基台移動機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体酸化装置。
【請求項3】
上記基台が加熱器を備えた加熱テーブルと上記加熱テーブル上に配置されて上記半導体試料を支持する試料テーブルを備えており、上記調整手段が上記試料テーブルを移動させる基台移動機構を備えていることを特徴とする請求項1に記載の半導体酸化装置。
【請求項4】
密閉可能な容器と、
半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、
上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、
上記基台に支持された半導体試料の上方に位置する容器壁に設けられた観察窓と、
上記容器の外側にあって上記観察窓を介して上記基台に対向する観察手段と、
上記基台又は観察手段若しくはそれらの両方を上下方向に移動させる昇降機構を備えていることを特徴とする半導体酸化装置。
【請求項5】
密閉可能な容器と、
半導体試料を支持するために上記容器の内部に設けられた基台と、
上記半導体試料の特定部位を酸化するために上記容器の内部に水蒸気を供給する供給部と、
上記容器の壁に設けられた観察窓と、
上記基台上に支持された上記半導体試料が上記観察窓に接近した観察位置と上記観察窓から離間する退避した退避位置との間で上記基台を移動させる移動機構と、
上記容器の外側にあって上記観察位置にある上記半導体試料と上記観察窓を介して対向する観察手段を備えたことを特徴とする半導体酸化装置。
【請求項6】
上記供給部からの水蒸気の供給を停止して上記半導体試料の酸化を中断する手段と、
上記観察手段で得られた像をもとに上記半導体試料特定部位の酸化進行度を求め、上記酸化進行度に基づいて追加酸化量を求める手段と、
上記追加酸化量だけ上記半導体試料特定部位を追加酸化する手段を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項7】
上記観察手段がマイクロスコープであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
上記観察手段が自動焦点機能を備えていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項9】
上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する真空装置を備えたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項10】
上記酸化の中断中に上記容器内部で上記基台に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける不活性ガス供給部を備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項11】
上記半導体試料が酸化狭窄型面発光レーザ用のウェハであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の半導体酸化装置。
【請求項12】
アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、
上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、
上記酸化処理の中断中に上記半導体層の酸化進行度を観察する工程を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項13】
アルミニウムと砒素を含む半導体層を備えたメサを含む半導体試料を水蒸気の雰囲気内に配置し、上記半導体層を上記メサの外周側面に現れる上記半導体層の周端から半径方向内側に向かって且つ上記半導体層の中央部を残して酸化することにより上記半導体層に電流狭窄部とこれに囲まれた電流注入部を形成する半導体素子の製造方法において、
上記半導体層の酸化処理中に少なくとも一回は上記酸化処理を中断する工程と、
上記酸化処理が中断されている間に、上記半導体素子が収容されている容器に設けた観察窓を介して上記容器内のメサと上記容器外の観察手段を接近させて対向させる工程と、
上記観察手段で観察された上記電流狭窄部の大きさ又は上記電流狭窄部に囲まれた電流注入部の大きさから酸化進行度を求める工程と、
上記酸化進行度から追加酸化量を求める工程と、
上記追加酸化量だけ上記半導体層を追加酸化する工程を備えたことを特徴とする半導体素子の製造方法。
【請求項14】
上記メサと上記観察手段を接近させて対向させる工程は、上記メサを上記観察窓に接近させる工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の半導体素子の製造方法。
【請求項15】
上記酸化の中断中に上記容器内部の雰囲気ガスを真空排気する工程を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
【請求項16】
上記酸化の中断中に上記容器内部に支持されている上記半導体試料に不活性ガスを吹き付ける工程を含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
【請求項17】
上記半導体素子が酸化狭窄型の面発光レーザであることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の半導体素子の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−228811(P2006−228811A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37805(P2005−37805)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(302018178)株式会社エピクエスト (6)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【出願人】(302018178)株式会社エピクエスト (6)
【Fターム(参考)】
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