説明

半導体集積回路および電子回路

【課題】簡易な工程で保護ダイオードが有する寄生容量を内部回路から分離し、半導体集積回路の高速化を実現することが可能な半導体集積回路および電子回路を提供することを目的とする。
【解決手段】信号端子120と内部回路132とを接続する信号ライン134と、信号ライン134から分岐して接続されるヒューズ素子F1と、ヒューズ素子F1を介して信号ライン134と接続し、正電源VDDまたは負電源VSSが直接接続される通電端子136と、ヒューズ素子F1の通電端子136側に接続され、信号ライン134と正電源VDDまたは負電源VSSとの間をそれぞれ逆方向に接続する保護ダイオードD1、D2と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電破壊から回路素子を保護可能な半導体集積回路および電子回路に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の内部では、同一の基板上に複数の能動素子や受動素子などの回路素子が形成されている。近年、回路素子が微細化されることで、半導体集積回路は高速化および低消費電力化を実現している。一方、回路素子は微細化されることで、過電流および過電圧に対して非常に脆弱な構造となっている。
【0003】
半導体集積回路への静電気放電(ESD:Electrostatic Discharge)は、回路素子に過電流および過電圧を発生させる大きな要因である。静電気によって起こる回路素子の破壊は、静電破壊(ESD破壊)と呼ばれている。静電破壊は、半導体集積回路が外部と接触する際に発生しやすい現象である。現在では、回路素子の静電破壊を防ぐために、半導体集積回路の製造工程においてだけでなく、半導体集積回路の内部においても、様々な対策が行われている。
【0004】
一般に、半導体集積回路の内部では、回路素子の静電破壊からの保護(ESD保護)を行うための保護素子として、保護ダイオードが使用されている。例えば保護ダイオードを、回路素子等で構成される内部回路より手前の信号ラインと正電源(電圧VDD)の間、および信号ラインと負電源(電圧VSS)の間に接続する。保護ダイオードの順電圧を、正電源側をVFD、負電源側をVFSとすると、信号ラインに静電気等の過大な外部入力が生じても、上記の保護ダイオードによって、信号ラインを通過する外部入力はVSS−VFSからVDD+VFDの電圧範囲内に制限される。この電圧範囲を、内部回路の耐電圧以下に設定することで内部回路の静電破壊を防ぐことができる。
【0005】
しかし、保護ダイオードは寄生容量が比較的大きく、半導体集積回路の高速動作を妨げてしまうことが懸念されている。また、半導体集積回路が実装されて接続される電子回路等は、通常は他の保護素子を備えている。そのため、電子回路等への実装後において、半導体集積回路が備える保護ダイオードは不要な要素となってしまう。そこで、最近では、半導体集積回路の備える保護ダイオードを任意な時点で切り離す技術が提案されている。
【0006】
例えば特許文献1には、入力保護ダイオード(保護ダイオード)と信号入力端子とをヒューズ素子で接続し、外部からの操作(プローブを接触させて電圧を印加する操作)によってヒューズ素子を切断することで、保護ダイオードを信号入力端子から切り離すことが可能な半導体集積回路が開示されている。特許文献1によれば、半導体集積回路の回路基板への実装後に、ヒューズ素子および保護ダイオードが接続されている信号入力端子と電源線との間に、保護ダイオードの順電圧を印加することでヒューズ素子を切断できるとされている。
【0007】
また、特許文献2には、内部回路に接続された外部端子のうち、電源端子にESD保護回路(保護ダイオード等)を接続し、信号端子にヒューズ素子を接続し、ESD保護回路とヒューズ素子とを放電線にて接続する半導体集積回路が開示されている。特許文献2によれば、ヒューズ素子が切断されることで、信号端子が扱う高周波信号を、変化させることなく正確に処理することが可能であるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−244338号公報
【特許文献2】特開2005−136088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1では、例えば、入力信号端子の経路上に複数の保護ダイオードが存在していた場合、切り離す対象とする保護ダイオードと接続するヒューズ素子を適切に切断できなくなるおそれがある。切り離す対象の保護ダイオードよりも低い順電圧をもつ他の保護ダイオードが同一経路上に存在していた場合、ヒューズ素子を切断するために印加した電流は他の保護ダイオードへ向かって流れてしまうからである。このような場合、切り離す対象の保護ダイオードと他の保護ダイオードとの間の経路を、ヒューズ素子を切断するための電流を印加する前に遮断するなど、新たな工程や設定が必要となってしまう。
【0010】
また、特許文献2では、ESD保護回路を内部回路の外部に備える構成となっている。一般的に、半導体集積回路の静電破壊は、その製造工程におけるウェハーテストなどの各種性能試験や梱包を行う工程で発生しやすい現象である。そのため、特許文献2の構成では、内部回路が単体で扱われる工程においては静電破壊からの保護を適切に行うことができなくなるおそれがある。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑み、簡易な工程で保護ダイオードが有する寄生容量を内部回路から分離し、半導体集積回路の高速化を実現することが可能な半導体集積回路および電子回路を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明にかかる半導体集積回路の代表的な構成は、信号端子と内部回路とを接続する信号ラインと、信号ラインから分岐して接続されるヒューズ素子と、ヒューズ素子を介して信号ラインと接続し、正電源または負電源が直接接続される通電端子と、ヒューズ素子の通電端子側に接続され、信号ラインと正電源または負電源との間をそれぞれ逆方向に接続する保護ダイオードと、を備えることを特徴とする。
【0013】
上記構成によれば、ヒューズ素子を切断するための経路が形成されるため、通電素子に直接印加する正電源および負電源の入力値を制御するだけで、保護ダイオードを信号ラインから適切に切り離すことができる。これにより、簡易な工程で保護ダイオードが有する寄生容量を内部回路から分離し、半導体集積回路の高速化を実現することが可能となる。
【0014】
上記の半導体集積回路は、信号ラインの許容電流値をIsig、通電端子に供給する正電源または負電源によって生じる電流値をIin、ヒューズ素子が溶断する電流値をIfuse、当該半導体集積回路への静電気放電によって発生し得る電流値をIesdとすると、Isig>Iin>Ifuse>Iesdの関係を満たすとよい。
【0015】
上記構成であれば、保護ダイオードによって内部回路の静電破壊を防ぎつつ、保護ダイオードを任意な時点で確実に内部回路から切り離すことが可能となる。
【0016】
本発明にかかる電子回路の代表的な構成は、上記の半導体集積回路を備え、通電端子と正電源または負電源とを接続するスイッチ部を、半導体集積回路を保護して外部と接続するパッケージ基板上、または半導体集積回路が実装されるシステムボード上に設けることを特徴とする。
【0017】
上記構成によれば、スイッチ部によって、通電端子に正電源または負電源を任意な時点で接続させることができる。例えば、スイッチ部を未接続状態にさせておくことで、信号ラインも正電源または負電源とは未接続となるため、保護ダイオードによるESD保護を有効にしながら、信号ラインを利用して半導体集積回路の各種性能試験を実施することが可能となる。また、性能試験の終了後にはスイッチ部を接続させることで、保護ダイオードを切り離すための経路を形成することができる。
【0018】
上記のスイッチ部は回路パターン上の近接したランドであって、リフローによるハンダブリッジによって接続可能であるとよい。これによれば、スイッチ部の接続を、他の回路素子のプリント基板上へのハンダ接合と同時に行うことができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、簡易な工程で保護ダイオードが有する寄生容量を内部回路から分離し、半導体集積回路の高速化を実現することが可能な半導体集積回路および電子回路を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる電子回路および半導体集積回路の構成を説明する図である。
【図2】図1のスイッチ部を説明する図である。
【図3】図2のスイッチ部と置換可能な他のスイッチ部の構成例を説明する図である。
【図4】図1に示す第1実施形態の変形例を示す図である。
【図5】図1の半導体集積回路のヒューズ素子の切断後を例示する図である。
【図6】本発明の第2実施形態にかかる電子回路および半導体集積回路の構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態にかかる電子回路100および半導体集積回路102の構成を説明する図である。図1に示すように、電子回路100は、システムボード104上に実装された半導体集積回路102、および他の半導体集積回路106、108を含んで構成されている。
【0023】
半導体集積回路102は、パッケージ基板110に実装されている。パッケージ基板110は、外部の電気回路と接続するための外部端子112、114、116、118を有している。パッケージ基板110は、半導体集積回路102を保護するとともに、半導体集積回路102を外部の電気回路に接続させている。
【0024】
半導体集積回路102は、信号端子120、122を有している。信号端子120は外部端子112を介して半導体集積回路106と接続し、信号端子122は外部端子114を介して半導体集積回路108と接続している。また、半導体集積回路102が有する電源端子124は外部端子118を介して電源126と接続していて、電源端子128は外部端子116を介して基準電位点130に接続している。
【0025】
信号端子120、122にはそれぞれヒューズ素子F1、F2が接続している。ヒューズ素子F1、F2は、信号端子120、122から内部回路132に接続する信号ライン134を分岐させ、信号端子120、122をそれぞれ通電端子136、138に接続させている。ヒューズ素子F1、F2は、定格以上の電流が流れると、その電流によって発生したジュール熱によって溶けて切断(溶断)し、接続している電気回路を遮断する。
【0026】
通電端子136、138は、それぞれヒューズ素子F1、F2を介して信号ライン134と接続している。通電端子136、138には、それぞれ保護回路140、142および正電源VDDからの電源ライン144が接続されている。以下では、通電端子136および保護回路140を例に挙げて説明を行う。
【0027】
保護回路140は、2つの保護ダイオードD1、D2からなり、内部回路132をESD破壊から保護している。2つの保護ダイオードD1、D2は、信号ラインと正電源VDDまたは負電源VSSとの間をそれぞれ逆方向に接続する。例えば、保護ダイオードD1は、信号ライン側にアノード、正電源VDD側にカソードを向けて配置されていて、信号ラインに印加した正のESDの電荷を正電源VDDに放電している。また、保護ダイオードD2は、信号ライン側にカソード、負電源VSS側にアノードを向けて配置されていて、信号ラインに印加した負のESDの電荷を負電源VSSに放電している。
【0028】
なお、保護回路140は、信号ライン上において、ヒューズ素子F1よりも通電端子136側に接続されていればよい。この位置であれば、ヒューズ素子F1の切断に伴って、保護回路140を信号ライン134から切り離すことが可能となる。
【0029】
通電端子136には、電源ライン144によって、電源126からの正電源VDDが直接接続されている。これにより、本実施形態の半導体集積回路102では、通電端子136からシステムボード104上の端子146にかけて、保護回路140を信号ライン134から切り離すための経路が形成されている。なお、通電端子136、138には、正電源VDDに限らず、負電源VSSを直接接続することで保護回路140を信号ライン134から切り離すための経路を形成してもよい。
【0030】
電源ライン144は、パッケージ基板110上に設けられていて、その経路上にはスイッチ部SW1(通電端子138側にはスイッチ部SW2)が設けられている。以下では、スイッチ部を代表してスイッチ部SW1を例に挙げて説明を行う。
【0031】
図2は、図1のスイッチ部SW1を説明する図である。スイッチ部SW1を設けることで、通電端子136と正電源VDDとを未接続状態にさせ、かつ任意な時点で通電端子136と正電源VDDとを接続状態にさせることができる。
【0032】
図2(a)に示すように、スイッチ部SW1は、回路パターン上の近接したランド148、150によって構成されている。図2(b)は、図2(a)のスイッチ部の側面図である。ランド148、150の周囲にはレジストが塗布されているため、通常はランド148、150以外の場所はハンダがはじかれてしまう。しかし、ランド148、150同士を極めて近接させて配置することにより、図2(b)に示すように、ランド148、150は、リフローによるハンダブリッジ152によって接続可能である。したがって、ランド148、150の接続は、他の回路素子のプリント基板上へのハンダ接合と同時に行うことができる。例えば、プリント基板上にハンダペーストを供給した後、リフロー炉によって加熱することで、プリント基板上におけるランド148、150の接続と、他の回路素子の実装とを一括して行うことが可能である。
【0033】
図3は、図2のスイッチ部SW1と置換可能な他のスイッチ部SW3の構成例を説明する図である。図3に示すように、スイッチ部SW3は、ビアホール(接続孔)として設けることも可能である。例えば図3(a)には、ビアホール154を有する配線156を例示している。また、図3(b)では、ビアホール158を有する配線160を例示している。図3(c)は、図3(a)の配線156と図3(b)の配線160とによるスイッチ部SW3の、ビアホールの位置で重ねた状態における側面図である。この構成によるスイッチ部SW3であっても、ビアホール154、158を介して配線156と配線160とをハンダブリッジ162によって接続することが可能である。
【0034】
図4は、図1に示す第1実施形態の変形例を示す図である。図4では、スイッチ部SW1、SW2をシステムボード208上に設けた電子回路200および半導体集積回路202を例示している。図4に示すように、通電端子136、138はそれぞれパッケージ基板210上の外部端子204、206を介し、システムボード208上に設けられた正電源VDDを接続する電源ライン244と接続している。電源ライン244の経路上にはスイッチ部SW1、SW2が設けられている。このように、電源ライン244およびスイッチ部SW1、SW2を、パッケージ基板210上ではなくシステムボード208上に設けることも可能である。この構成のスイッチ部SW1、SW2によっても、通電端子136、138と正電源VDDとを任意の時点で接続することができる。
【0035】
上記説明したスイッチ部SW1、SW2、SW3は、未接続状態にさせておくことで、通電端子136、138も正電源VDDまたは負電源VSSと未接続となる。この未接続状態とは、信号ライン134が短絡していない状態である。そのため、保護回路140、142によるESD保護を有効にしながら、信号ライン134を利用して半導体集積回路102の各種性能試験を実施することが可能となる。例えば、ESD保護を有効にしながら、半導体集積回路102を構成するウェハー単体での試験や、半導体集積回路102の組立て後の試験を行うことができる。そして、性能試験の終了後(基板実装後)にはスイッチ部SW1、SW2、SW3を接続させることで、保護回路140、142を切り離すための経路を形成することができる。
【0036】
なお、スイッチ部SW1、SW2、SW3は必ずしも必要であるとは限らない。例えば、前述した各性能試験を行う必要がない場合には、スイッチ部SW1、SW2、SW3を設けることなく通電端子136、138と正電源VDDとを接続させておくことも可能である。具体例としては、パッケージ基板110のシステムボード104に対する接続ピンの一つを通電端子136に割り当て、パッケージ基板110をシステムボード104に実装することによって接続されるように構成してもよい。
【0037】
(ヒューズ素子の切断)
図1に示すように、他の半導体集積回路106、108は、従来のESD保護素子として保護回路164、166を有している。そのため、各半導体集積回路のシステムボード104への実装後において、半導体集積回路102が備える保護回路140、142は、電子回路100にとって不必要かつ冗長な要素となっている。しかし、前述のように、ヒューズ素子F1、F2を切断することで、保護回路140、142を信号ライン134から切り離すことができる。
【0038】
ヒューズ素子F1、F2は、電源126から通電端子136、138に正電源VDDを印加し、端子146にプローブ170(図5参照)を接触させて基準電位(VSS=0V)にすることで、ヒューズ素子F1、F2に電流を流れさせて切断することができる。
【0039】
このとき、通電端子136、138に印加する正電源VDDの電流値をIinとして、信号ライン134の許容電流値(内部回路132の耐電流値)をIsig、ヒューズ素子F1、F2が溶断する電流値をIfuse、半導体集積回路102への静電気放電によって発生し得る電流値をIesdとすると、各電流値は、Isig>Iin>Ifuse>Iesdの関係を満たすとよい。
【0040】
上記構成であれば、保護回路140、142によって内部回路132の静電破壊を防ぎつつ、保護回路140、142を任意な時点で確実に内部回路132から切り離すことが可能となる。
【0041】
図5は、図1の半導体集積回路102のヒューズ素子F1、F2の切断後を例示する図である。図5に示すように、ヒューズ素子F1、F2の切断後の半導体集積回路102は、保護ダイオードの有する寄生容量が内部回路132から分離されているため、高速化を実現することが可能となっている。
【0042】
上記説明したように、本実施形態の電気回路100および半導体集積回路102によれば、ヒューズ素子F1、F2を切断するための経路が形成されるため、通電素子136、138に直接印加する正電源VDDおよび負電源VSSの入力値を制御するだけで、保護回路(保護ダイオード)を信号ライン134から切り離すことができる。
【0043】
なお、ヒューズ素子F1、F2を切断するに当たっては、電圧印加に限らず、電流印加やパルス印加によっても切断可能である。
【0044】
また、ヒューズ素子F1、F2の位置を変更することで、保護回路140、142だけでなく他の回路素子を内部回路132から切り離すこともできる。これにより、内部回路132の抵抗、容量、インダクタの調節など、ヒューズ素子の切断を利用したインピーダンス整合を行うことも可能である。
【0045】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態にかかる電子回路300および半導体集積回路302の構成を説明する図である。電子回路300は、システムボード304上に実装された半導体集積回路302、および他の半導体集積回路306、108を含んで構成されている。図6に示すように、本実施形態にかかる半導体集積回路302は、オープンコレクタ出力方式の半導体集積回路として例示している。また、信号端子120の接続先である他の半導体集積回路として、オープンドレイン出力方式の半導体集積回路306を例示している。
【0046】
半導体集積回路302は、信号端子122側の信号ライン134上にオープンコレクタ回路304を有している。オープンコレクタ回路304にはバイポーラトランジスタ(PNP型)が含まれていて、エミッタ端子を正電源VDDに接続させ、ベース端子に出力信号を与え、コレクタ端子から増幅させた電流を信号ライン134に出力している。
【0047】
オープンコレクタ回路304はスイッチとしても機能していて、ベース端子に出力信号が与えられるとONの状態となり、エミッタ端子とコレクタ端子との間もONとなってコレクタ端子から電流が出力される。このとき、信号ライン134からヒューズ素子F2を含んで、パッケージ基板310上の電源ライン344へ結ばれる経路は、オープンコレクタ回路304と基準電位点130とが短絡した状態となる。したがって、半導体集積回路302は、オープンコレクタ回路304の動作と共にヒューズ素子F2に大きな電流を流し、ヒューズ素子F2を切断させることが可能となる。
【0048】
半導体集積回路306は、オープンドレイン回路308を含んでいる。オープンドレイン回路308には電界効果トランジスタ(Nチャンネル)が用いられていて、ソース端子を負電源VSSに接続させ、ゲート端子に出力信号を与え、ドレイン端子から増幅させた電流を出力している。
【0049】
オープンドレイン回路308はスイッチとしても機能していて、ゲート端子に出力信号が与えられるとONの状態となり、ソース端子とドレイン端子との間もONとなってドレイン端子から電流が出力される。このとき、半導体集積回路306から半導体集積回路302のヒューズ素子F1を含んで電源ライン144へ結ばれる経路は、オープンドレイン回路308と電源126とが短絡した状態となる。したがって、半導体集積回路302は、半導体集積回路306の動作と共にヒューズ素子F1に大きな電流を流し、ヒューズ素子F1を切断させることが可能となる。
【0050】
上記説明したように、電子回路300では、半導体集積回路302、306の動作と共に、換言すれば電子回路300への電源投入と共にヒューズ素子F1、F2を切断することができる。そのため、プローブを端子に接触させて電圧を印加する操作が不要となり、より簡易な工程で保護回路140、142を信号ライン134から切り離すことが可能となる。
【0051】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、静電破壊から回路素子を保護可能な半導体集積回路および電子回路に利用することができる。
【符号の説明】
【0053】
F1、F2 …ヒューズ素子
SW1、SW2、SW3 …スイッチ部
D1、D2 保護ダイオード
100、200、300 …電子回路
102、106、108、202、302、306 …半導体集積回路
104、208、304 …システムボード
110、210、310 …パッケージ基板
112、114、116、118、204、206 …外部端子
120、122 …信号端子
124、128 …電源端子
126 …電源
130 …基準電位点
132 …内部回路
134 …信号ライン
136、138 …通電端子
140、142、164、166 …保護回路
144、244、344 …電源ライン
146 …端子
148、150 …ランド
152、162 …ハンダブリッジ
154、158 …ビアホール
156、160 …配線
170 …プローブ
304 …オープンコレクタ回路
308 …オープンドレイン回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
信号端子と内部回路とを接続する信号ラインと、
前記信号ラインから分岐して接続されるヒューズ素子と、
前記ヒューズ素子を介して前記信号ラインと接続し、正電源または負電源が直接接続される通電端子と、
前記ヒューズ素子の前記通電端子側に接続され、該信号ラインと正電源または負電源との間をそれぞれ逆方向に接続する保護ダイオードと、
を備えることを特徴とする半導体集積回路。
【請求項2】
前記信号ラインの許容電流値をIsig、前記通電端子に供給する正電源または負電源によって生じる電流値をIin、前記ヒューズ素子が溶断する電流値をIfuse、当該半導体集積回路への静電気放電によって発生し得る電流値をIesdとすると、
Isig>Iin>Ifuse>Iesd
の関係を満たすことを特徴とする請求項1に記載の半導体集積回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体集積回路を備え、
前記通電端子と正電源または負電源とを接続するスイッチ部を、前記半導体集積回路を保護して外部と接続するパッケージ基板上、または該半導体集積回路が実装されるシステムボード上に設けることを特徴とする電子回路。
【請求項4】
前記スイッチ部は回路パターン上の近接したランドであって、リフローによるハンダブリッジによって接続可能であることを特徴とする請求項3に記載の電子回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−181653(P2011−181653A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43947(P2010−43947)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】