説明

半導体集積回路装置、インタフェース回路

【課題】EMIを低減する半導体集積回路、インタフェース回路を提供する。
【解決手段】半導体集積回路装置(100)は、抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部(10)と、可変遅延部(20)と、データ取り込み部(26)とを具備する。抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部(10)は、入力されるデータ信号(DT)をダンピングする。可変遅延部(20)は、データ信号(DT)の入力タイミングを示すクロック信号(CLK)に変更可能な遅延を与える。データ取り込み部(26)は、可変抵抗部(10)によってダンピングされた信号から可変遅延部(20)によって遅延された遅延クロック信号によって示されるタイミングでデータを取り込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置、インタフェース回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001−344041号公報には、データラッチ部のデータ入力端子に入力されるデータをラッチするため、発振器が生成したクロック信号が、ダンピング抵抗を介してデータラッチ部のクロック端子に供給されるクロック供給方法が開示されている。この方法では、発振器が生成するクロック信号に対して位相が進んでいる複数の進相クロック信号が生成され、その進相クロック信号から最適クロック信号を選択してダンピング抵抗に出力される。すなわち、EMI(電磁妨害:electro−magnetic interference)対策用としてダンピング抵抗を挿入すると、ダンピング抵抗による遅延が発生する。この技術は、その遅延を出力回路側において調整する方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−344041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、EMIを低減する半導体集積回路、インタフェース回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0006】
本発明の観点では、半導体集積回路装置(100)は、抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部(10)と、可変遅延部(20)と、データ取り込み部(26)とを具備する。抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部(10)は、入力されるデータ信号(DT)をダンピングする。可変遅延部(20)は、データ信号(DT)の入力タイミングを示すクロック信号(CLK)に変更可能な遅延を与える。データ取り込み部(26)は、可変抵抗部(10)によってダンピングされた信号から可変遅延部(20)によって遅延された遅延クロック信号によって示されるタイミングでデータを取り込む。
【0007】
本発明の他の観点では、インタフェース回路は、抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部(10)と、可変遅延部(20)と、データ取り込み部(26)と、測定部(42/44/46/48/52/54/56/58)とを具備する。抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部(10)は、入力されるデータ信号をダンピングする。可変遅延部(20)は、データ信号(DT)の入力タイミングを示すクロック信号(CLK)に変更可能な遅延を与える。データ取り込み部(26)は、可変抵抗部(10)によってダンピングされた信号から可変遅延部(20)によって遅延された遅延クロック信号によって示されるタイミングでデータを取り込む。測定部(42/44/46/48/52/54/56/58)は、データ信号(DT)の入力波形に基づいて波形の鈍り具合と、入力データのエラーの有無とを測定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、実装状態に適したダンピング抵抗を選択することができ、EMIを低減する半導体集積回路、インタフェース回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路装置の構成を示す図である。
【図2】ダンピング抵抗の値、クロック信号の遅延量の設定方法を説明する図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る半導体集積回路装置の構成を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態に係る半導体集積回路装置の構成を示す図である。
【図5】各部の信号波形を説明する図である。
【図6】ダンピング抵抗の値、クロック信号の遅延量を自動的に設定する方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体集積回路装置の外部インタフェース部分の構成を示す図である。半導体集積回路装置は、ダンピング抵抗部10、クロック遅延部20、データ取り込み部であるフリップフロップ26、CPU(Central Processing Unit)30、設定値記憶部32、バッファ回路16、28、34を備える。ダンピング抵抗部10は、可変抵抗切り替え部12と、可変抵抗回路14とを含み、クロック遅延部20は、遅延制御部22と、可変遅延回路24とを含む。
【0012】
ダンピング抵抗部10は、入力データ信号DTをダンピングしてバッファ回路16を介してデータ取り込み部26に供給する。ダンピング量は、CPU30からの指示に基づいて、可変抵抗切り替え部12が可変抵抗回路14の抵抗値を切り替えて設定される。
【0013】
CPU30は、設定値記憶部32に格納されている可変抵抗回路14の抵抗値を示す情報を読み出してダンピング抵抗部10に与え、可変抵抗回路14の抵抗値を制御する。また、CPU30は、設定値記憶部32に格納されている遅延量を示す情報を読み出してクロック遅延部20に与え、クロック信号CLKに与える遅延量を制御する。
【0014】
ダンピング抵抗部10では、CPU30からの指示に基づいて、可変抵抗切り替え部12は、可変抵抗回路14の抵抗値を切り替える。クロック信号CLKSに基づいてインタフェース部に分配されるクロック信号CLKは、バッファ回路28を介して半導体集積回路装置の外部にクロック信号CLKOとして出力される。クロック信号CLKOは、対向する外部装置に送られるとともに、クロック遅延部20に供給される。クロック遅延部20では、CPU30の指示に基づいて、遅延制御部22はクロック信号CLKに与える可変遅延回路24の遅延量を制御する。可変遅延回路24は、入力されるクロック信号CLKを遅延させてデータ取り込み部26に供給する。
【0015】
データ取り込み部(フリップフロップ)26は、遅延が与えられたクロック信号に基づいてダンピングされた入力信号を取り込み、内部回路に信号DTIを出力する。
【0016】
インタフェース部の動作を説明する。このインタフェース部は、クロック信号CLKOを対向する装置(例えばシリアルフラッシュメモリ等)に供給し、クロック信号に同期して対向する装置から出力されるデータ信号DTを受信する。
【0017】
半導体集積回路装置内のクロック信号のうちのインタフェース部で使用されるクロック信号CLKSは、バッファ回路34を介してクロック信号CLKとしてインタフェース部に供給される。クロック信号CLKは、バッファ回路28を介して対向する装置にクロック信号CLKOとして供給されるとともに、クロック遅延部20に供給される。
【0018】
対向する装置から出力されるデータ信号DTは、ダンピング抵抗部10に入力される。設定される所定の抵抗値のダンピング抵抗によってダンピングされた信号は、バッファ回路16によって波形整形され、データ取り込み部(フリップフロップ)26に取り込まれる。ダンピング抵抗の抵抗値を示す情報は、設定値記憶部32に予め格納されている。CPU30は、例えば、電源投入直後や初期設定時等に、設定値記憶部32からダンピング抵抗値を示す情報を取り出して、ダンピング抵抗部10の可変抵抗切り替え部12に設定する。可変抵抗切り替え部12は、指定された抵抗値に可変抵抗回路14を切り替える。
【0019】
ダンピング抵抗が大きくなると、入力信号の波形が鈍り、信号の立ち上がり、立ち下がりが緩くなる。そのため、入力信号を取り込むタイミングが遅れる。データ取り込み部26に供給されるクロック信号は、クロック遅延部20によって所定の量の遅延が与えられた信号である。この所定の遅延量は、ダンピング抵抗によって遅延するタイミングを補償するように設定される。所定の遅延量を示す情報は、予め設定値記憶部32に格納されている。CPU30は、例えば、電源投入直後や初期設定時等に、設定値記憶部32から所定の遅延量を示す情報を取り出して、クロック遅延部20の遅延制御部22に設定する。遅延制御部22は、可変遅延回路24の遅延量を所定の遅延量に設定する。
【0020】
このように、接続される回路の状態に応じてダンピング抵抗を変え、そのダンピング抵抗に応じた遅延量をクロック信号に与えることにより、ノイズ発生が少なく誤動作し難いインタフェース回路にすることができる。すなわち、EMIを低減した半導体集積回路装置として安定して動作させることができる。ここでは、対向する半導体集積回路装置にクロック信号を供給するタイプのインタフェースに適用したが、クロック信号CLKは、データ信号DTのタイミングを示す信号として外部装置から供給されてもよい。
【0021】
ダンピング抵抗の値、クロック信号の遅延量の設定方法について、図2を参照して説明する。
【0022】
図2に、EMI測定を行うシステム構成が示される。本発明の半導体集積回路装置100と、対向する半導体集積回路であるシリアルフラッシュメモリ110とは、組み込み装置200に搭載される。半導体集積回路装置100からクロック信号CLKOがシリアルフラッシュメモリ110に供給され、シリアルフラッシュメモリ110は、クロック信号CLKOに同期するデータ信号DTを、外部のダンピング抵抗を介することなく半導体集積回路装置100に出力する。半導体集積回路装置100とシリアルフラッシュメモリ110とを接続する信号線から高周波成分を含む雑音が空間に放射される。その雑音は高周波プローブ220によって収集され、スペクトラムアナライザ210によって解析される。
【0023】
一般に、汎用LSIであるシリアルフラッシュメモリ110の出力は、接続先が特定できないためドライブ能力が大きい。これがEMIの主要因の1つとなる。EMIを低減するために、ダンピング抵抗が挿入され、信号はダンピングされる。本発明の半導体集積回路装置100は、ダンピング抵抗を内蔵し、EMIが所定の値以下になるように、ダンピング抵抗部10の可変抵抗回路14の抵抗値を切り替える。EMIが所定の値以下になる抵抗値が求まると、その抵抗値を示す情報は、設定値記憶部32に書き込まれる。ツールを用いて直接設定値記憶部32に書き込んでもよいし、CPU30によって書き込んでもよい。
【0024】
ダンピング抵抗値が決まったら、そのダンピング抵抗値におけるクロック信号CLKの遅延量を求める。これは、クロック信号CLKに同期して入力するデータ信号DTをエラーなく取り込むことができる遅延値を求める。予め入力が判明しているデータを取り込んでエラーの有無を調べてもよいし、誤り検出用の符号が付加されたデータを取り込んでエラーの有無を調べてもよい。エラーを起こさない遅延量が求められ、その遅延量を示す情報が設定値記憶部32に書き込まれる。抵抗値と同様に、ツールを用いて直接設定値記憶部32に書き込んでもよいし、CPU30によって書き込んでもよい。
【0025】
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の第2の実施の形態に係る半導体集積回路装置の外部インタフェース部分の構成を示す図である。半導体集積回路装置は、ダンピング抵抗部10、クロック遅延部20、データ取り込み部26、CPU30、設定値記憶部32、バッファ回路16、18、28、34を備える。第2の実施の形態に係るインタフェース回路では、データ信号DTは、対向する半導体集積回路装置との間でデータを入出力する。すなわち、双方向のデータ信号をサポートするインタフェース回路における例が示される。したがって、データ信号DTOは、バッファ回路18を介してデータ信号DTとして対向する半導体集積回路装置に出力される。バッファ回路18の出力は、ダンピング抵抗部10の外側で接続される。すなわち、データ信号DTの信号線が半導体集積回路装置内で分岐して、バッファ回路18の出力、ダンピング抵抗部10の入力に接続される。
【0026】
バッファ回路18は、出力許可信号ENOによって制御され、出力が許可されている間だけデータ信号DTにデータ信号DTOを出力する。出力が許可されていないとき、バッファ回路18は、ハイインピーダンス状態になり、データ信号DTに影響を与えない。対向する半導体集積回路装置から入力するデータ信号DTは、ダンピング抵抗部10によってダンピングされた後、バッファ回路16を介してデータ取り込み部26に供給される。バッファ回路16は、入力許可信号ENIによって制御され、入力が許可されている間だけダンピングされたデータ信号DTをデータ取り込み部26に供給する。これによって出力中のデータ信号DTの変動の影響を受けないことになる。クロック信号CLKOは、対向する半導体集積回路装置から出力されてもよいが、第1の実施の形態と同じように、本半導体集積回路装置から出力されるものとして説明する。他の構成は、第1の実施の形態と同じであるので、詳細な説明は省略する。
【0027】
上述のインタフェース部の動作は、データを出力することを除くと、出力第1の実施の形態に係るインタフェース部の動作とほぼ同じである。ここでは、インタフェース部は、対向する装置に対してコマンドを示すデータをクロック信号CLKOに同期して送信し、その応答を示す情報がデータ信号DTとしてダンピング抵抗部10に入力する動作を説明する。
【0028】
クロック信号CLKに同期する出力データ信号DTOは、バッファ回路18が出力許可信号ENOに基づいて出力許可状態になっているときにデータ信号DTとして出力される。このとき、バッファ回路16は、入力許可信号ENIによって入力側の状態を出力側に反映せず、データ取り込み部26にはデータ信号DTの変化は伝達されない。バッファ回路16の入力インピーダンスは高く、ダンピング抵抗部10の入力側からは開放状態として扱える。すなわち、バッファ回路18の出力は、ダンピング抵抗部10の影響を受けずに対向する装置に送られることになる。出力が終了すると、出力許可信号ENOに基づいてバッファ回路18はその出力ノードをハイインピーダンスにしてデータ信号DTに対する影響をなくする。
【0029】
対向する装置がクロック信号CLKOに同期してデータ信号DTを送信すると、インタフェース部は所定の抵抗値を有するダンピング抵抗部10によってダンピングされた信号を、バッファ回路16によって波形整形してデータ取り込み部26に取り込む。ダンピング抵抗部10により入力されたデータ信号DTの反射は小さくなり、EMIを小さくすることができる。
【0030】
ダンピング抵抗の抵抗値を示す情報は、設定値記憶部32に予め格納されている。CPU30は、例えば、電源投入直後や初期設定時等に、設定値記憶部32からダンピング抵抗値を示す情報を取り出して、ダンピング抵抗部10の可変抵抗切り替え部12に設定する。可変抵抗切り替え部12は、可変抵抗回路14を切り替えて指定された抵抗値に設定する。
【0031】
ダンピング抵抗が大きくなると、入力信号の波形が鈍り、信号の立ち上がり、立ち下がりが緩くなる。そのため、入力信号を取り込むタイミングが遅れる。データ取り込み部26に供給されるクロック信号は、クロック遅延部20によって所定の量の遅延が与えられた信号である。この所定の遅延量は、ダンピング抵抗によって遅延するタイミングを補償するように設定される。所定の遅延量を示す情報は、予め設定値記憶部32に格納されている。CPU30は、例えば、電源投入直後や初期設定時等に、設定値記憶部32から所定の遅延量を示す情報を取り出して、クロック遅延部20の遅延制御部22に設定する。遅延制御部22は、可変遅延回路24の遅延量を所定の遅延量に設定する。ダンピング抵抗の値、クロック信号の遅延量の設定は、第1の実施の形態において説明した方法と同様に行うことができる。
【0032】
このように、外部との入出力を行う信号線の場合、ダンピング抵抗部10を半導体集積回路装置に内蔵することにより、入出力の分岐点より内側の入力回路の手前にダンピング抵抗部10を配置することができる。したがって、配置されたダンピング抵抗部10による出力に対する影響を抑制することができる。
【0033】
(第3の実施の形態)
図4は、本発明の第3の実施の形態に係る半導体集積回路装置の外部インタフェース部分の構成を示す図である。本実施の形態に係る半導体集積回路装置は、第2の実施の形態で説明された回路に、さらに、サンプルホールド回路(S/H)42、アナログデジタル変換回路(ADC)44、波形鈍り判定部46、転送正常判定部48、タイミング制御部52、DLL(Dulay Locked Loop)部54、選択回路(SEL)56、クロック生成回路(フリップフロップ)58を具備する。追加された回路は、適切なダンピング抵抗の抵抗値と、その抵抗値のダンピング抵抗を挿入したときのクロック信号の遅延量を求めるために使用される。
【0034】
入力されたデータ信号DTは、ダンピング抵抗部10においてダンピングされ、バッファ回路16を介してデータ取り込み部26に取り込まれる。そのデータを転送正常判定部48は、正しい入力データであるか、不正な入力データであるかを判定する。判定結果は、CPU30に送られる。
【0035】
DLL部54は、クロック信号CLK(図5(a))に基づいて、位相の異なるサンプリングクロック信号DLL1〜DLL16を生成する(図5(b)〜(e))。ここでは、クロック信号CLKと同位相の信号DLL1、クロック信号CLKから1/16周期位相遅れの信号DLL2、クロック信号CLKから2/16周期位相遅れの信号DLL3、…、クロック信号CLKから15/16周期位相遅れの信号DLL16が生成される。
【0036】
タイミング制御部52は、DLL部54が生成した位相の異なるサンプリングクロック信号DLL1〜DLL16のうちの1つを選択する選択信号SELCを選択回路56に供給し、入力信号のサンプリングの開始を示すサンプリングトリガ信号ST(図5(f))をクロック生成回路(フリップフロップ)58に供給する。選択回路56は、タイミング制御部52が出力する選択信号SELCに基づいて、クロック信号DLL1〜DLL16のうちの1つの信号を選択してクロック生成回路58にクロック信号として出力する。タイミング生成回路58は、タイミング制御部52が出力するタイミングトリガ信号STを選択回路56が出力するクロック信号のタイミングで取り込み、サンプルホールドのタイミングを示すサンプリングクロック信号SCをサンプルホールド回路42に出力する(図5(g)〜(j))。
【0037】
サンプルホールド回路42は、サンプリングクロック信号SCのタイミングで入力信号DTをサンプリングして保持し、アナログデジタル変換回路44に出力する。アナログデジタル変換回路44は、サンプルホールド回路42が保持するアナログ信号をデジタル化し、波形鈍り判定部46に出力する。サンプリングトリガ信号STの立ち上がりに対応して1つのサンプリングデータが得られ、サンプリングタイミングを変えながら16回のサンプリングすることにより、図5(k)(l)に示されるように、クロック信号CLKの1周期中の波形が得られる。
【0038】
波形鈍り判定部46は、入力信号の波形を示す情報に基づいて、波形の鈍り具合を判定し、結果をCPU30に出力する。例えば、図5(k)に示されるように、データ信号DT(A)の波形が、最小データ(0)6サンプル、値が1/6、2/6、3/6、4/6、5/6、6/6のデータ各1サンプル、最大データ(1)5サンプルと測定されたとする。また、図5(l)に示されるように、データ信号DT(B)の波形が、最小データ(1)6サンプル、値が3/6のデータ1サンプル、最大データ(1)9サンプルと測定されたとする。このとき、波形鈍り判定部46は、最小データと最大データのサンプルの間に中間値のサンプルが所定個数あるときに、所定の鈍り具合になったと判定する。
【0039】
CPU30は、波形の鈍り具合の判定結果に基づいて、ダンピング抵抗が効果的に機能しているか、過剰であるか、過小であるかを判断する。CPU30は、ダンピング抵抗の効果が過剰であれば、抵抗値を小さく、効果が不足していれば抵抗値を大きくしてダンピング抵抗が効果的に機能するように設定する。
【0040】
ダンピング抵抗部10の抵抗値とクロック遅延部20の遅延量とを自動的に設定する方法を説明する。
【0041】
自動的に設定する動作は、例えば、本実施の形態の半導体集積回路装置を含むシステムを試験、調整を行う段階でそのシステムに適応したダンピング抵抗値、クロック遅延量を設定するときに行われる。電源投入直後や初期設定時に行ってもよい。図6は、抵抗値と遅延量とを自動的に設定する手順を示すフローチャートである。
【0042】
CPU30は、ダンピング抵抗部30の可変抵抗回路14の抵抗値を最小に設定する(ステップS10)。ダンピング効果が弱い状態を初期状態として測定が開始される。
【0043】
サンプルホールド回路42に供給するサンプリングクロック信号SCの位相を変えながら、入力信号の波形データを採取する(ステップS12)。本実施の形態では、サンプリングクロック信号SCは、選択されるサンプリングクロック信号DLL1〜DLL16のタイミングに基づいているため、図5(k)(l)に示されるように、16個のデータにより波形が示される。
【0044】
1つの可変抵抗値に対して16個の波形データの採取が終わると、可変抵抗回路14の抵抗値を1段階大きくする(ステップS14)。ステップS12に戻り、可変抵抗回路14に設定可能な全ての可変抵抗値に対してこのような測定が行われる(ステップS16−NO)。
【0045】
波形鈍り判定部46は、入力信号の波形を示す情報に基づいて、波形の鈍り具合を判定し、結果をCPU30に出力する。例えば、図5(k)に示されるように、データ信号DT(A)の波形が、最小データ(0)6サンプル、値が1/6、2/6、3/6、4/6、5/6、6/6のデータ各1サンプル、最大データ(1)5サンプルと測定されたとする。また、図5(l)に示されるように、データ信号DT(B)の波形が、最小データ(1)6サンプル、値が3/6のデータ1サンプル、最大データ(1)9サンプルと測定されたとする。このとき、波形鈍り判定部46は、最小データと最大データのサンプルの間に中間値のサンプルが所定個数あるときに、所定の鈍り具合になったと判定する。所定個数を3以上6以下とした場合、上記2つの波形では、図5(k)に示される波形が適当であると判定される。
【0046】
全ての可変抵抗値に対しての測定が終わると(ステップS16−YES)、採取した波形の鈍り具合を示す情報が集まっているため、CPU30は、その中から最適な波形となる可変抵抗値を選択する(ステップS18)。選択された可変抵抗値を示す情報は、設定値記憶部32に格納される。
【0047】
続いて、クロック信号CLKに与える遅延量を決定する手順が開始される。まず、CPU30は、可変遅延回路24の遅延値を最小に設定する(ステップS20)。
【0048】
設定されたダンピング抵抗値、クロック遅延値において、データ取り込み部26は、データ信号DTから受信データを取り込む。転送正常判定部48は、取り込んだ受信データの正常性を確認する(ステップS22)。すなわち、転送正常判定部48は、期待するデータと取り込まれるデータとを比較し、受信エラーの有無を測定する。あるいは、受信データに付加されたエラーチェック用のコードを検証し、受信エラーの有無を測定する。
【0049】
受信エラーの検証が終わると、CPU30は、遅延制御部22に指示して可変遅延回路24の遅延値を1段階大きく設定する(ステップS24)。ステップS22に戻り、可変遅延回路24に設定可能な全ての遅延値に対してこのような測定が行われる(ステップS26−NO)。
【0050】
全ての遅延値に対しての測定が終わると(ステップS26−YES)、CPU30は受信エラーの発生状態に基づいて可変遅延回路24の最適遅延量を決定する(ステップS28)。受信エラーが発生していない遅延値が複数ある場合は、その中心値を選択することが好ましいが、遅延量をできるだけ抑制するためには、受信エラーが発生していない遅延値のうちの最小あるいは最小より数段階大きい遅延値を選択してもよい。決定された遅延値を示す情報は、設定値記憶部32に格納される。
【0051】
このように、可変抵抗回路14の抵抗値、可変遅延回路24の遅延値が決定され、設定値記憶部32に格納されると、電源投入直後や初期設定時等には、この設定値記憶部32に格納されているシステムに最適な抵抗値、遅延値が可変抵抗回路14、可変遅延回路24に設定され、EMIが抑制され、転送エラーが少ないインタフェースを提供することができる。
【0052】
ここでは、可変抵抗回路14の抵抗値、可変遅延回路24の遅延値は、最小に初期設定して徐々に大きくして測定しているが、最適値が予測できる場合には、その最適値付近を測定し、その中から実測の最適値を決定してもよい。また、図4では、サンプルホールド回路(S/H)42の入力は、可変抵抗回路14の入力に接続されているが、可変抵抗回路14の出力に接続してもよい。
【0053】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、矛盾のない限り組み合わせて実施の可能である。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0054】
10 ダンピング抵抗部
12 可変抵抗切り替え部
14 可変抵抗回路
16、18 バッファ回路
20 クロック遅延部
22 遅延制御部
24 可変遅延回路
26 フリップフロップ(データ取り込み部)
28 バッファ回路
30 CPU
32 設定値記憶部
34 バッファ回路
42 サンプルホールド回路
44 アナログデジタル変換回路
46 波形鈍り判定部
48 転送正常判定部
52 タイミング制御部
54 DLL部
56 選択回路
58 フリップフロップ(クロック生成回路)
100 半導体集積回路装置
110 シリアルフラッシュメモリ
200 組み込み装置
210 スペクトラムアナライザ
220 高周波プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力されるデータ信号をダンピングする抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部と、
前記データ信号の入力タイミングを示すクロック信号に変更可能な遅延を与える可変遅延部と、
前記可変抵抗部によってダンピングされた信号から前記可変遅延部によって遅延された遅延クロック信号によって示されるタイミングでデータを取り込むデータ取り込み部と
を具備する半導体集積回路装置。
【請求項2】
前記可変抵抗部は、
切り替え信号に応答して抵抗値が変わる可変抵抗回路と、
指示に基づいて前記切り替え信号を出力する可変抵抗切り替え部と
を備える
請求項1に記載の半導体集積回路装置。
【請求項3】
前記可変遅延部は、
遅延制御信号に応答して遅延量を変える可変遅延回路と、
指示に基づいて前記遅延制御信号を出力する遅延制御部と
を備える
請求項1または請求項2に記載の半導体集積回路装置。
【請求項4】
前記可変抵抗部に設定される抵抗値を示す抵抗値情報と、前記可変遅延部に設定される遅延値を示す遅延値情報とを記憶する設定値記憶部と、
前記設定値記憶部から前記抵抗値情報と前記遅延値情報とを読み出して前記可変抵抗部および前記可変遅延部に設定する制御部と
を更に具備する
請求項1から請求項3のいずれかに記載の半導体集積回路装置。
【請求項5】
前記データ信号が入力される信号線に、データを出力するデータ出力回路を更に具備し、
前記データ出力回路の出力ノードと、前記信号線とが接続される分岐点を内蔵する
請求項1から請求項4のいずれかに記載の半導体集積回路装置。
【請求項6】
前記データ信号の入力波形に基づいて波形の鈍り具合と、入力データのエラーの有無とを測定する測定部を更に具備し、
前記可変抵抗部の抵抗値と、前記可変遅延部の遅延値とを自動的に設定する
請求項1から請求項5のいずれかに記載の半導体集積回路装置。
【請求項7】
前記クロック信号を外部に出力するバッファ回路を更に具備し、
対向する装置から前記クロック信号に同期して出力される前記データ信号を、前記可変抵抗部を介して受信する
請求項1から請求項6のいずれかに記載の半導体集積回路装置。
【請求項8】
入力されるデータ信号をダンピングする抵抗値を切り替え可能な可変抵抗部と、
前記データ信号の入力タイミングを示すクロック信号に変更可能な遅延を与える可変遅延部と、
前記可変抵抗部によってダンピングされた信号から前記可変遅延部によって遅延された遅延クロック信号によって示されるタイミングでデータを取り込むデータ取り込み部と、
前記データ信号の入力波形に基づいて波形の鈍り具合と、入力データのエラーの有無とを測定する測定部と
を具備するインタフェース回路。
【請求項9】
前記可変抵抗部に設定される抵抗値を示す抵抗値情報と、前記可変遅延部に設定される遅延値を示す遅延値情報とを記憶する設定値記憶部と、
前記設定値記憶部から前記抵抗値情報と前記遅延値情報とを読み出して前記可変抵抗部および前記可変遅延部に設定する制御部と
を更に具備する
請求項8に記載のインタフェース回路。
【請求項10】
前記データ信号が入力される信号線に、データを出力するデータ出力回路を更に具備し、
前記データ出力回路の出力ノードと、前記信号線とが接続される分岐点を内蔵する
請求項8または請求項9に記載のインタフェース回路。
【請求項11】
前記クロック信号を外部に出力するバッファ回路を更に具備し、
対向する装置から前記クロック信号に同期して出力される前記データ信号を、前記可変抵抗部を介して受信する
請求項8から請求項10のいずれかに記載のインタフェース回路。
【請求項12】
請求項1から請求項7のいずれかに記載の半導体集積回路装置と、
前記半導体集積回路装置に対向して前記データ信号を出力する装置と
を具備し、
前記装置から出力される信号はダンピング抵抗を介さずに前記半導体集積回路装置に入力される
インタフェースシステム。
【請求項13】
前記装置のデータ信号を出力する回路の駆動能力は、前記半導体集積回路装置が有する信号を出力する回路の駆動能力より大きい
請求項12に記載のインタフェースシステム。
【請求項14】
前記装置から出力される信号を前記半導体集積回路装置によって受信して、前記可変抵抗部の抵抗値と、前記可変遅延部の遅延量とを設定する
請求項12または請求項13に記載のインタフェースシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−188415(P2011−188415A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54196(P2010−54196)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】