説明

卓上型回転式自動調理釜

【課題】中華レストラン・ラーメンチェーン店・ファミレス・スーパーストアの調理室などで使用される誘導加熱形調理用回転釜で炒める・焼く・煮る・蒸すなどの調理作業をこの一機種で完了できる平釜の機械構造並びに誘導加熱化構造に関する。
【解決手段】上部全開放で底部が平坦な調理釜を水平に固定し釜の底を電磁誘導加熱しながら回転させることで均等加熱させる。更に調理物を撹拌し、返す回転櫛を装備することにより炒め調理を有効にしこの櫛を取り外して煮炊きと蒸し調理を有効にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は中華レストラン・ラーメンチェーン店・ファミレス・スーパーストアの調理室などで使用される調理装置で炒める・焼く・煮る・蒸すなどの調理作業を円形の調理釜の底を均等に加熱しながら調理物に満遍なく熱を与えるための機械的方法に関し、均等に誘導加熱ができる釜の形状と機械構成ならびに調理物を撹拌し、反すための回転櫛の動作機構とその設置方法に関する。また調理完了した調理物を簡単に取り出すために釜を容易に傾斜させられる構造に関する。
【背景技術】
【0002】
調理作業には炒める・焼く・煮る・蒸すなどがありこの内、炒め調理は図1に示すように円筒型の回転体(以後円筒釜と称す)を傾斜して設置しその底板部分をガス加熱又は誘導加熱によって加熱しながら回転させて内容調理物を撹拌して調理するものであった。これは円筒の内側壁面部にヘラ状の仕切り板を固定し円筒が回転することによって円筒内壁の調理物をすくい上げて落下させることで撹拌するようになっている。また焼く・煮る・蒸すについては一般的には平坦な調理面に調理物を置いて調理面を均等に加熱することで可能ならしめている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
炒め調理については図1に示す円筒構造の釜を斜めに設置し釜の底に熱を与えながら回転させて中の調理物を撹拌することで反しながら熱を与えてご飯・野菜などを炒めている。
【0004】
しかしながら調理物から蒸気となって発生する余分な水分が斜めになった釜の縁から完全に排出仕切れないため炒め調理で重要なシャキシャキ感と調理物表面のシットリした乾き感が無くべたべた感だけが残った不味い炒め調理物になっていた。
【0005】
更に釜の中の調理物は釜の底に集中してしまうために一度排出した蒸気をまた取り込んでしまい十分な水分除去作用ができなくなりべたべた感に拍車をかけていた。
【0006】
また調理物の撹拌と解しの作用を掌る釜の中に取り付けたヘラ状の仕切り板は固定されたものであり、釜の回転のままに付随して回って調理物をすくいあげるだけの動きであるためご飯状のものは雪達磨式に固まりとなってしまう。
【0007】
その他の焼く・煮る・蒸すなどの調理は図1のような円筒釜では実施不可能であり釜底が平坦で均等加熱が可能な別の調理用加熱機器が必要になる。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、炒め調理を理想的に行うことと同時に焼く・煮る・蒸すなどの調理も行えるように釜の底を平坦にしながら均等加熱を可能ならしめる構造を提供することを目的とする。
【問題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に示すごとく平坦な釜底を持つ上面開放の回転式平釜を水平に設置して請求項3によって釜の中心に当たる部分を開口し、調理物を攪拌し、反すための櫛の回転動作機構を出現させる。
【0010】
釜の下には釜の回転や櫛の自転及び公転をさせる機械構成品を収納したケースを設置して一体化する。ここで請求項2にしめす機構により釜を回して櫛を自転させるか釜を固定して櫛を公転させながら自転させて釜底の加熱を均等にしながら櫛により調理物内に均一に熱を分布させる機能を持たせる。
【0011】
ここで請求項4及び請求項5により誘導加熱の特徴であるコイルの中心付近の加熱不可能部分を不使用として均等加熱可能部分を有効に活用できるようにしながら釜の外径立ち上がり部分に小径コイルを配して釜の外周側面を加熱することで釜全体を均等に加熱し釜の縁への調理物の付着と雑菌の繁殖を防止し最適な調理を実現しながら調理物の取り出しを容易にした。
【0012】
請求項6により調理完了した調理物を取り出す際、釜を傾けて一箇所に調理物を集めて容易に釜から外に移し出し易くするため装置全体を左右二箇所の支点で支えて簡単に傾けられるようにした。
【0013】
また請求項7により釜の支点から下の部分の回転半径を最小にして調理物の取り出し位置が前後に振れないようにし、且つ装置全体の傾倒に力がかからないように重心を支点付近に置いた。
【0014】
請求項8は請求項7に関連して支点から下の部分の回転半径を最小にすることで支点位置を低くでき装置全体の高さを低くできることで装置を小形に製作できるようにした。
【発明の効果】
【0015】
【0016】
ガス又は電気加熱による現行の円筒釜では達成し得なかったフライパンによる返し効果と同等の余分な水分の除去と食材への均等熱の付与が可能になり野菜炒めなどのシャキシャキ感や炒飯などに求められるしっとりした乾燥感がある調理が出来るようになる。
【0017】
炒め調理が主体ではあるがこの釜の特徴である底の平らな部分と均等に加熱できる特性を応用して焼き上がりが同じ鉄板焼き調理や蓋を付属することで煮崩れしない煮炊きや蒸し調理が可能になる。
これ等の調理を実施する際従来方式では釜の回転が必須条件であり回転する釜から空気中への排熱が大きくなりランニングコストが多大であったが本方式では釜を回転することも可能であるが釜を固定して櫛を公転しながら自転させることもできることで調理上では同じ効果を得ながら10%以上の省エネ効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。第1図は従来形状の円筒釜回転方式を説明した図で収納ケース2の中にある電動機によって円筒釜1は回転し同時に収納ケース2内の加熱源3によって調理物は加熱されながら仕切り板5によって撹拌されて炒め調理専門に調理される。調理が完了した時点で円筒釜の回転8は停止され円筒釜の中心に取り付けられた支持点7を中心に傾斜状態から水平状態に倒されて調理物は取り出される。
【0019】
第1図の方式による調理状の問題点である調理物の余分な蒸気を排出し易くするために第2図に示すように釜11の上部を全開放にして誘導加熱コイル16によって加熱しながら釜を回転19する。釜を回転することで釜の底は均等に加熱されるがその際、櫛15によって調理物を撹拌しながら返すことで釜の熱を満遍なく調理物に付与することができる。
【0020】
第3図は第2図の詳細であり釜11が回転19する場合、櫛15は自転22のみ行い、釜11が停止している時は、櫛15を自転22させながら公転21させて調理物を効率よく撹拌しながら返すことができる。この際、櫛15は着脱容易に取り外せる構造にしておき調理物の種類によって例えば炒め調理などの場合は櫛15を取り付けて本発明に示す状態で調理し、煮炊き調理・蒸し調理などは櫛15を取り外して調理する。釜11と櫛15は電動機収納ケース12の中の電動機32・33と歯車27・30・31・36及び各種軸28・29と軸受け37・38によって回転駆動する。なお櫛15の軸は傘歯車27からのオーバーハング部分を振れ止め軸受け25で固定している。
【0021】
第4図は第3図の機械構造構成範囲39の詳細図を示す。本発明の特徴である釜11を回転させる場合の櫛15の動作はコイル16の真上位置に櫛を固定停止させ櫛自転用電動機33で櫛を回転させるのみとし釜回転用電動機(又は櫛公転用電動機)32を移動方向40に従って左側に移動させて図中左側の内歯車本体36を釜回転用内歯車34によって回転させることで釜固定用座35を回転しその上に載置した釜11を回転させる。次に釜11を固定した場合の櫛15の動作は櫛自転用電動機33で櫛を回転させながら釜回転用電動機(又は櫛公転用電動機)32を移動方向40に従って右側に移動させて図中右側の櫛公転用軸29の平歯車31を回転させて櫛の先端を釜11の外周板に沿って周回させて釜の表面全体に櫛を走らせる。
【0022】
第5図は第4図の右側Pから見たる図である。手前から奥行き方向に向かって櫛15が結合されており櫛振れ止め軸受け固定座兼櫛カバー26に軸受け25が装着されていて櫛15を回転駆動することによって櫛自身が振れることのないように固定している。また26は櫛の回転時に人体が触れる危険を防止する目的と調理物が飛び散らないようにする目的のために櫛カバーの機能も兼ねている。
防滴キャップ24には釜11とのシール効果を持たせ機械構造39内への蒸気や油煙の浸入を防止している。
図中の28は櫛自転用軸で29は櫛公転用軸であり個々独立に回転できるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に近似の従来型炒め機で円筒状の釜が回転する方式を示す。
【図2】本発明調理釜で万能型の調理可能釜に発展させた。
【図3】本発明調理釜の詳細図を示す。
【図4】本発明部分の詳細拡大図を示す。
【図5】図4の右から見たる図を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 円筒釜(円筒型の回転釜)
2 コイル又はガスバーナー及び回転用電動機収納ケース
3 加熱電源又はガス配管収納ケース
4 円筒釜固定座
5 撹拌用仕切り板
6 加熱用コイル又はガスバーナー
7 円筒釜傾斜用支持点
8 円筒釜回転方向
9 円筒釜傾斜方向
10 操作パネル
11 釜(平鍋又は平釜)
12 釜・櫛の回転用電動機収納ケース
13 誘導加熱電源収納ケース
14 釜固定座
15 櫛(撹拌・解し用櫛)
16 コイル(16a:釜底加熱用 16b:釜の外周板加熱用)
17 釜傾斜用支持点
18 釜傾斜用レバー
19 釜の回転方向
20 釜傾斜方向
21 櫛の公転(釜の外周板に沿って回転)
22 櫛の自転(櫛自身の回転)
23 釜の安定固定用ストッパー
24 防滴キャップ
25 櫛振れ止め軸受け
26 櫛振れ止め軸受け固定座兼櫛カバー
27 マイタ又はベベルギヤーボックス(傘歯車組)
28 櫛自転用軸
29 櫛公転用軸
30 櫛自転用平歯車
31 櫛公転用平歯車
32 釜回転用電動機(又は櫛公転用電動機)
33 櫛自転用電動機
34 釜回転用内歯車
35 釜固定用座(釜の着脱分離容易)
36 内歯車本体
37 釜回転又は櫛公転用玉軸受け
38 櫛公転用平歯車
39 機械構造構成範囲
40 櫛公転か釜回転の切り替え移動方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開放し、下面を平坦な底面とした円形状の平鍋または平釜(以下単に釜と称す)と釜の下面に非接触で誘導加熱用渦巻き状ワークコイル(以下コイルと称す)を配し、釜の中心を開口し、この開口部を貫通して釜内部にL字型で回転式の撹拌・反し用櫛(以下単に櫛と称す)を挿入してなる自動調理装置と、釜または櫛を回転するための電動装置の収納箱とを一体化し、これら釜全体を二本の支持座で支え手動又は電動で傾斜させられるようにしたことを特徴とする回転式自動調理釜の構造。
【請求項2】
釜の底の周囲全体にコイルを均等配置して櫛を自転しながら公転させるか、回転釜の底の一箇所に半径方向のみ均等加熱できるコイルを配置し釜を回転させながら櫛を自転させるなどそのいずれの方法でも可能な自動調理釜構造にして釜の底を均等加熱し且つ調理物に熱が満遍なく行渡るようにことを特徴とする。
【請求項3】
釜の中心を開口しこの開口部に回転式の櫛を配置して釜の中の調理物を撹拌しながら反して調理物に熱が満遍なく行渡るようにしたことを特徴とする。
【請求項4】
釜の加熱は電磁誘導による方式とし電磁誘導加熱の特徴である釜の中心付近の加熱の弱いところを請求項3により開口して回転式の撹拌・反し用構造体を設置して調理物の浸入を排除し調理加熱機能を無用にしたことを特徴とする。
【請求項5】
回転式の釜の縁に誘導加熱用コイルを設置して釜の縁を加熱することで釜全体を加熱し調理の最適化と調理物の取り出しを容易化し同時に釜の縁に発生する雑菌の繁殖を防止したことを特徴とする。
【請求項6】
調理を完了した調理物を取り出す際に釜全体が簡単に回転できるように釜固定用の支持座を2箇所にしてこれを支点に回転できるようにしたことを特徴とする。
【請求項7】
請求項6に関し釜の回転が容易にできるように2箇所の支持座付近に釜や櫛の回転用電動機など重量物を集中して取り付け釜全体の重心を調理物取り出し側に寄せたことを特徴とする。
【請求項8】
請求項6に述べた調理物の取り出しに関し支持座の支点位置を調理物取り出し側に寄せその際、反取り出し側のケース底には釜を安定設置固定できるように釜固定座を設置することで支点より下の電動機収納ケース底面の回転半径を小さくして装置全体の高さを低く製作できるようにしたことを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2008−110188(P2008−110188A)
【公開日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−320860(P2006−320860)
【出願日】平成18年10月29日(2006.10.29)
【出願人】(506077267)
【出願人】(506078150)
【出願人】(506424678)
【Fターム(参考)】