印刷機およびこれを用いた部品実装システム
【課題】部品と基板との間に介在するハンダの状態を適正に維持し、部品実装後の基板の品質を向上させる。
【解決手段】実装機3〜5で部品の実装処理が施される前の基板Pの表面に対しハンダの印刷処理を行うスクリーン印刷機2には、あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で各動作部の制御を行う制御手段が設けられ、この制御手段は、部品実装後の基板Pに対して行われる部品tと基板Pとの間のハンダsの状態の適否判断の結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されている。
【解決手段】実装機3〜5で部品の実装処理が施される前の基板Pの表面に対しハンダの印刷処理を行うスクリーン印刷機2には、あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で各動作部の制御を行う制御手段が設けられ、この制御手段は、部品実装後の基板Pに対して行われる部品tと基板Pとの間のハンダsの状態の適否判断の結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被実装用の基板の表面にペースト状のハンダを印刷する印刷機、およびこれを用いた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、基板の表面にペースト状のハンダを印刷する印刷機において、この印刷機の下流側に、基板に対して部品の実装処理を行う実装機と、この基板に実装された部品のXY平面(水平面)上での重心位置を測定する検査機とを設け、この検査機で得られた実装位置の位置ずれデータを上記実装機にフィードバックしてその制御パラメータを上記位置ずれを考慮した値に修正することにより、部品の実装精度を一定に維持することが行われている。
【特許文献1】特許第03685035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような印刷機を含んだ実装システムにより一連の処理が施された基板では、部品と基板との間に介在するハンダの状態が適正でないと、接合不良や短絡等の不具合が起きるおそれがある。しかしながら、上記特許文献1に開示された技術は、XY平面上での部品の実装位置を一定の精度に維持するには有効であるが、上記のようなハンダの状態に起因した不良の発生を防止するには有効でなかった。
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、部品と基板との間に介在するハンダの状態を適正に維持し、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、部品の実装処理が施される前の基板の表面にハンダを印刷する印刷機であって、あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で各動作部の制御を行う制御手段を備え、この制御手段は、部品実装後の基板に対して行われる部品と基板との間のハンダの状態の適否判断の結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0006】
本発明の印刷機では、部品実装後の基板に対して行われるハンダの状態の適否判断の結果に応じて、制御手段が印刷条件の補正を実行するように構成されているため、上記ハンダの状態に影響する印刷機の印刷条件を、部品実装後のハンダの状態の適否判断に基づいたフィードバック制御により適正に調整できるという利点がある。この結果、上記ハンダの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることができる。
【0007】
具体的に、上記制御手段は、部品実装後の基板を検査する検査機からハンダの形状に関する所定の検査情報を取得すると、この検査情報に基づき部品と基板との間のハンダの状態の適否を判断するとともに、その判断結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることが好ましい(請求項2)。
【0008】
このようにすれば、検査機から取得されたハンダの形状に関する所定の検査情報に基づいてハンダの状態を適正に判断できるとともに、その判断結果に応じたフィードバック制御により上記印刷条件を適正に調整できるという利点がある。
【0009】
上記所定の検査情報は、平面視で部品の外形からはみ出た部分のハンダの面積、および部品と基板との間のハンダの高さのうち少なくとも一つであることが好ましい(請求項3)。
【0010】
このようにすれば、上記検査情報として取得されたハンダの面積や高さに基づいてハンダの状態を適正に判断することができ、その結果を上記印刷条件に反映して部品実装後のハンダの状態を適正に維持することができる。
【0011】
この場合、上記制御手段は、上記所定の検査情報をあらかじめ定められた範囲の適正値と比較することにより、上記ハンダの状態の適否を判断することが好ましい(請求項4)。
【0012】
このようにすれば、上記検査機から取得されたハンダの面積や高さ等の検査情報を、あらかじめ定められた適正値と比較するだけの簡単な構成で、上記ハンダの状態を適正に判断することができる。
【0013】
本発明の印刷機としては、例えば、基板の上にマスクシートを重装してその上にペースト状のハンダを供給し、上記マスクシート上でスライド駆動されるスキージによって上記ハンダを拡張することにより、上記マスクシートに形成された所定パターンの印刷開口部を介して上記基板上にハンダを印刷するスクリーン印刷機が好適である。この場合、上記所定の印刷条件は、上記スキージをマスクシート上に押し付ける際の押し付け圧力もしくは押し付け角度、上記スキージをマスクシート上でスライド移動させる際の速度、上記スキージのマスクシート上での往復移動回数、および上記マスクシートの印刷開口部を清掃するクリーニング作業の実行頻度のうち少なくとも一つであることが好ましい(請求項5)。
【0014】
このような各種印刷条件を補正することにより、ハンダの印刷量等を適宜調整し、これに応じて部品実装後のハンダの状態を適正に維持することができる。
【0015】
上記制御手段は、上記所定の検査情報を集計して得られた統計データを記憶しており、上記ハンダの状態が適正でない場合に、その原因を上記統計データに基づいて判断することが好ましい(請求項6)。
【0016】
このように、上記所定の検査情報を集計することにより得られた統計データに基づいて上記ハンダの不良原因を判断するようにした場合には、その原因に応じた適正な印刷条件の補正を行えるという利点がある。
【0017】
また、本発明は、基板に対して部品の実装処理を含んだ各種処理を行う部品実装システムであって、あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で基板に対してハンダの印刷処理を行う印刷機と、このハンダ印刷後の基板に対して部品の実装処理を行う実装機と、この部品実装後の基板を検査処理して上記部品と基板との間のハンダの形状に関する所定の検査情報を取得する検査機と、上記所定の検査情報に基づいてハンダの状態の適否を判断するとともに、そのハンダの状態が適正でない場合に、上記印刷機に対してハンダの印刷条件を補正するように指令する制御手段とを備えたことを特徴とするものである(請求項7)。
【0018】
本発明の部品実装システムによれば、部品と基板との間に介在するハンダの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、部品と基板との間に介在するハンダの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明にかかる印刷機が適用された部品実装システム10を概略的に示す図である。本図に示すように、この部品実装システム10は、ローダ1、スクリーン印刷機2,第1〜第3の実装機3〜5、検査機6、リフロー炉7、およびアンローダ8がライン状に並んで構成されており、その上流側のローダ1から繰り出されて下流側に搬送されるプリント基板P(図2および図5参照)に対し、各装置2〜7においてハンダの印刷、部品の実装、およびハンダの硬化等の各処理が順次施され、これら各処理が施されたプリント基板Pが最終的に下流側のアンローダ8に搬出されるようになっている。
【0021】
上記部品実装システム10を構成する各装置1〜8は、それぞれが独自の個別制御装置1A〜8Aを有する自立型の装置であり、各装置1〜8の動作が上記制御装置1A〜8Aにより個別に制御されるようになっている。また、部品実装システム10には、システム全体の動作を統括的に制御するためのパーソナルコンピュータ等からなる集中制御装置9が設けられている。そして、この集中制御装置9と各装置1〜8とが通信手段を介して接続されることにより、これら集中制御装置9と各装置1〜8との間で必要な情報が送受信されるようになっている。
【0022】
図2は、上記部品実装システム10に適用されるスクリーン印刷機2の概略構造を示す図である。本図に示すように、スクリーン印刷機2の基台11上には印刷ステージ13が設けられている。この印刷ステージ13の左右両側部には、プリント基板P(以下、単に基板Pと略す)を印刷ステージ13上に搬入および搬出するためのコンベア12が、部品実装システム10における実装ラインの方向(図2において紙面と直交する方向)に延びるように配設されている。なお、以下の説明では、このコンベア12による基板Pの搬送方向(すなわち各装置1〜8の並び方向に同じ)をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることにする。
【0023】
上記印刷ステージ13は、基板Pを保持して後述するマスクシート35に対して下側から位置決めするもので、その構成要素として、昇降テーブル28や、上記コンベア12等を有している。この印刷ステージ13は、4軸ユニット20に支持されており、同ユニット20の作動によりX軸、Y軸、Z軸、およびR軸(Z軸回りの回転方向)の各方向に移動するようになっている。
【0024】
上記昇降テーブル28上には、基板Pを保持するためのクランプ機構14や、上記コンベア12上の基板Pを下から持ち上げるように支持する載置テーブル30等が設けられている。
【0025】
一方、上記印刷ステージ13の上方には、マスク保持ユニット16、スキージユニット17等が配置されている。
【0026】
上記マスク保持ユニット16は、印刷用のマスクシート35を着脱可能に保持するものである。このマスク保持ユニット16は、図外のマスククランプによってマスクシート35を印刷ステージ13の上方において水平に張り渡した状態で保持するように構成されている。
【0027】
上記スキージユニット17は、マスクシート35上に供給されるペースト状のハンダ(微細な球形のハンダが集まってなるソルダーパウダーや、粘性を有するフラックス等が混合されたいわゆるクリームハンダ)をマスクシート35上でローリング(混練)させながら拡張するものである。このスキージユニット17は、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能に支持されており、図外のサーボモータ等からなる駆動機構により各方向に駆動されるようになっている。
【0028】
図3は、上記スキージユニット17の具体的構成を示す図である。本図に示すように、スキージユニット17は、上側フレーム41および下側フレーム42等からなる支持フレーム43と、上記下側フレーム42の下端部に枢支されたスキージ支持部材44と、このスキージ支持部材44に着脱自在に取り付けられたスキージ33とを有している。このようなスキージユニット17は、印刷時において、Y軸方向に往復移動しながら上記スキージ33をマスクシート35の表面に沿って摺動させることにより、上記マスクシート35上に供給されたハンダを拡張するように構成されている。そして、この拡張動作に応じてハンダが図略の印刷開口部(マスクシート35に形成された所定パターンの開口部)に充填され、この印刷開口部を介して上記ハンダが基板P上に転写(印刷)されるようになっている。
【0029】
上記スキージ支持部材44のX軸方向の両端部には、印刷時においてハンダがスキージ33の側方(X軸方向外側)に流動する(漏れる)のを防止するための横漏れ防止板47が設けられている。この横漏れ防止板47は、上記スキージ支持部材44に対して支軸49を中心に揺動(回転)自在に取り付けられているとともに、ねじりコイルバネ等からなる付勢手段を介して弾性的に支持されることにより、通常時において所定の角度位置で保持されるように構成されている。
【0030】
上記支持フレーム43の下側フレーム42には、サーボモータ45およびギアボックス46がそれぞれ取り付けられている。そして、上記サーボモータ45が作動すると、その回転駆動力がギアボックス46を介して上記スキージ支持部材44に伝達され、これに応じて図3の矢印に示すように、スキージ支持部材44が上記下側フレーム42に対して支軸48を中心に揺動(回転)するようになっている。
【0031】
上記スキージ33は、X軸方向に長尺な板状の部材であり、上記スキージ支持部材44がサーボモータ45の作動に応じて回転駆動されることにより、マスクシート35に対して所定のアタック角度(傾斜角度)を有する姿勢で保持され、その状態でマスクシート35上に押し付けられるようになっている。そして、スキージ33は、上記スキージユニット17のY方向(図中では左右方向)の移動に伴いマスクシート35の表面に沿って摺動し、これに応じてマスクシート35上に供給されたハンダを拡張するように構成されている。
【0032】
具体的に、上記スキージ33は、スキージユニット17の進行方向に対し前傾した姿勢でマスクシート35に押し付けられ、その状態でマスクシート35の表面に沿って摺動するように構成されている。例えば、上記スキージユニット17が右方向に移動する場合、スキージ33は、図4(a)に示すように、進行方向である右側に前傾した姿勢、つまり図示のようなアタック角度αをもった姿勢でマスクシート35に押し付けられる。一方、上記スキージユニット17が左方向に移動する場合、スキージ33は、図4(b)に示すように、進行方向である左側に前傾した姿勢、つまり図示のようなアタック角度βをもった姿勢でマスクシート35に押し付けられることになる。
【0033】
また、上記のようにスキージ33が進行方向に応じた所定のアタック角度でマスクシート35に押し付けられるのに伴い、上記横漏れ防止板47は、マスクシート35との当接に応じて所定角度だけ回転し、その当接面47aや47bをマスクシート35の表面に圧接させる(図4参照)。そして、その状態で上記スキージ33とともにマスクシート35上を摺動することにより、上記スキージ33側方からのハンダの漏れを防止するように構成されている。
【0034】
再び図2に戻って、上記マスク保持ユニット16の下方には、マスクシート35を定期的に清掃するためのクリーナ40が設けられている。このクリーナ40は、拭き取り用のテープやこれを保持するローラ等を有しており、図外の駆動機構により駆動されてマスクシート35の下面に沿って移動するように構成されている。また、上記テープを保持するローラには、図外の吸引源につながった多数の孔部が設けられている。そして、クリーナ40の移動に伴う上記テープによる拭き取りと、上記ローラに設けられた孔部を通じて供給される負圧(吸引力)とにより、マスクシート35に付着した余分なハンダ(残留ハンダ)やゴミ等が吸い出されながら除去されるようになっている。
【0035】
以上のように構成されたスクリーン印刷機2では、その個別制御装置2A(図1)による制御に基づいて例えば以下のようにしてハンダの印刷作業が進められる。
【0036】
まず、印刷ステージ13に基板Pが搬入されるとともに、4軸ユニット20の昇降動作に応じてこの基板Pが、ペースト状のハンダが供給されたマスクシート35に対して下側から重装される。次いで、このマスクシート35上に供給されたハンダがスキージユニット17の作動に応じて拡張されることにより、上記マスクシート35に形成された印刷開口部(図示省略)を介してハンダが基板P上に転写(印刷)される。これにより、図7に示すように、基板P上に印刷された所定パターンのハンダsが形成される。そして、4軸ユニット20の昇降動作に応じて基板Pがマスクシート35から引き離され、この印刷処理された基板Pがコンベア12により下流側へ(図1における第1の実装機3側へ)搬出されることになる。
【0037】
また、このスクリーン印刷機2では、定期的にクリーナ40が作動してマスクシート35に対するクリーニング作業が実行される。これにより、マスクシート35に付着した余分なハンダやゴミ等が除去され、上記マスクシート35に形成された印刷開口部の目詰まり等が防止されるようになっている。
【0038】
図5および図6は、上記部品実装システム10に適用される第1〜第3の実装機3〜5の概略構造を示す図である。これらの図に示すように、実装機3〜5の基台51上には、X軸方向に延びるコンベア52が配置され、基板Pがこのコンベア52により上流側から搬送されて所定の実装作業位置(図5の位置)で停止され、図外の位置決め機構により位置決めされるようになっている。
【0039】
上記コンベア52を挟んだ基台51の前後両側には、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を供給可能な多数列のテープフィーダ54aからなる部品供給装置54が配置されている。
【0040】
また、上記基台51の上方には、部品装着用のヘッドユニット56が装備されている。このヘッドユニット56は、X軸方向およびY軸方向に移動可能に支持されており、上記部品供給装置54,54の上方と上記実装作業位置に位置決めされた基板Pの上方とにわたって移動できるようになっている。
【0041】
具体的に、基台51上には、Y軸方向に沿って延びる固定レール57と、Y軸サーボモータ59により回転駆動されるボールねじ軸58とが配設されている。そして、上記固定レール57上にヘッドユニット56の支持部材61が配置され、この支持部材61に設けられたナット部分62に上記ボールねじ軸58が螺合挿入されている。また、上記支持部材61には、X軸方向に延びるガイド部材63と、X軸サーボモータ65により回転駆動されるボールねじ軸64とが配設されている。そして、上記ガイド部材63にヘッドユニット56が移動可能に保持され、このヘッドユニット56に設けられたナット部分(図示省略)に上記ボールねじ軸64が螺合挿入されている。つまり、Y軸サーボモータ59の作動に応じて上記支持部材61がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ65の作動に応じてヘッドユニット56が支持部材61に対してX軸方向に移動するようになっている。
【0042】
上記ヘッドユニット56には部品装着用の複数の吸着ヘッド66,66・・が搭載されており、図示の例では6本の吸着ヘッド66がX軸方向に等間隔で一列に並んだ状態で搭載されている。各吸着ヘッド66は、ヘッドユニット56のフレームに対してZ軸方向の移動およびR軸(ノズル中心軸)回りの回転が可能とされ、図外の昇降駆動機構および回転駆動機構によりそれぞれ各方向に駆動されるようになっている。
【0043】
上記各吸着ヘッド66は、その下端部にノズル66aを有しており、図外の負圧供給手段からこのノズル66aの先端に負圧が供給されることにより部品を吸着保持するように構成されている。なお、図中において符号67は、基板P上の各種マークを撮像してこの基板Pの位置を認識するためのカメラである。
【0044】
以上のように構成された第1〜第3の実装機3〜5では、それぞれの個別制御装置3A〜5A(図1)による制御に基づいて例えば以下のようにして部品の実装作業が進められる。
【0045】
まず、コンベア52により基板Pが上記実装作業位置(図5)に搬入されて位置決めされる。次いで、ヘッドユニット56による部品の取り出し(吸着)が行われる。具体的には、ヘッドユニット56が部品供給装置54の上方に配置された状態で各吸着ヘッド66が昇降移動することにより、その下端のノズル66aに部品が吸着されて取り出される。そして、全ての吸着ヘッド66による部品の吸着が完了すると、ヘッドユニット56が基板P上の各部品の実装箇所(実装ポイント)の上方に順次移動しつつ各吸着ヘッド66が昇降移動することにより、その下端のノズル66aに吸着された部品が基板P上に実装される。具体的には、図8に示すように、まず吸着ヘッド66が基板P上面の直近まで下降することにより、その下端のノズル66aに吸着された部品tが、基板P上に印刷された上記ハンダsの上に載せられる。このとき、下方に押し付けられる部品tによりハンダsがある程度押しつぶされることにより、部品tがハンダsと密着し、このハンダsを介して部品tが基板P上に止着される。そして、ノズル66aの先端に正圧が供給されることにより、このノズル66aによる部品tの吸着状態が解除され、その後吸着ヘッド66が上昇して部品tの実装が完了する。
【0046】
このようにしてヘッドユニット56が部品供給装置54と基板Pの間を往復移動しながら所定数の部品を基板P上に実装し終えると、上記実装作業位置に位置決めされていた基板Pは、コンベア52によって下流側の装置へと搬出される。すなわち、基板Pは、第1の実装機3、第2の実装機4、第3の実装機5の順に搬送されて各装置で順次実装処理された後、下流側の検査機6へと搬出される。
【0047】
上記検査機6は、部品実装後の基板Pに対してその実装状態が適正か否かを判断するための装置として設けられている。そのうちの一つの検査項目として、検査機6では、部品tと基板Pとの間に介在するハンダs(図9参照)の形状がチェックされる。具体的に、この検査機6では、ハンダsの形状に関する所定の検査情報が取得され、その検査情報が集中制御装置9(図1)に送信される。そして、この送信された所定の検査情報に基づいてハンダsの状態の適否を判断する処理が、上記集中制御装置9において行われるようになっている(詳細は後述する)。上記所定の検査情報は、ハンダsの状態を判断する際の基準となり得るものであればその種類を問わないが、当実施形態では、図9(c)に示されるハンダsの面積A、つまり、平面視で部品tの外形からはみ出た部分のハンダsの面積Aが上記検査情報として取得されるようになっている。このハンダsの面積Aは、カメラ等により撮像された各実装ポイントの画像に基づいて調べられる。また、検査機6では、この他、基板P上の部品の有無、部品の実装ズレ、実装部品の損傷等が上記画像に基づき適宜調べられるようになっている。
【0048】
上記リフロー炉7は、基板搬送用のコンベアや、熱風を発生させるための熱風機等を有しており、部品実装後の基板Pに熱処理を施してハンダsを硬化させることにより、部品tを基板P上に固定するように構成されている。そして、このリフロー炉7によるハンダsの硬化処理が施された基板Pが、コンベアによって下流側のアンローダ8に搬出されると、部品実装システム10による一連の処理が終了する。
【0049】
以上のような部品実装システム10において、上記検査機6により取得されたハンダsの面積A(図9(c))の情報は、上記集中制御装置9(図1)に通信手段を介して送信され、この集中制御装置9において、上記面積Aの値に基づいたハンダsの状態の適否判断が行われるようになっている。具体的に、集中制御装置9では、実装ポイントごとにあらかじめ設定されたハンダsの面積Aの適正範囲と、実際の面積Aとの比較に基づいて、部品実装後のハンダsの状態の適否が判断される。例えば、ハンダsの面積Aの値が上記適正範囲よりも大きい場合には、ハンダsが部品tの外形から必要以上に大きくはみ出しているということであり、印刷時におけるハンダsの印刷量が多過ぎたか、または部品実装時におけるハンダsのつぶれ代が大き過ぎた(そのためにハンダsの面積が大きく広がった)と判断することができる。このような状態では、部品tの外形から大きくはみ出した当該ハンダsが隣接する他のハンダとつながって短絡が起きるおそれがある。逆に、ハンダsの面積Aの値が上記適正範囲よりも小さい場合には、印刷時におけるハンダsの印刷量が少な過ぎたか、または部品実装時におけるハンダsのつぶれ代が小さ過ぎたということであり、部品tがハンダsを介して基板Pに充分に接合されていないおそれがあると判断される。
【0050】
ここで、上記ハンダsの面積Aの適正範囲は、各実装ポイントの状況に応じた適宜の範囲に決定されることが好ましく、例えば、上記適正範囲の上限値については、対象となるハンダsと隣接するハンダsとの離間距離が短いほど小さい値に設定されるのが好ましい。すなわち、上記ハンダsどうしの離間距離が短い場合には、対象となるハンダsの面積Aがある程度大きくなるだけで容易に短絡が起きてしまうため、上記適正範囲の上限値を小さい値に設定する必要がある一方、上記ハンダsどうしの離間距離が大きい場合には、このような心配が相対的に少ないため、上記適正範囲の上限値を大きい値に設定することができる。そして、このようにハンダsどうしの離間距離に応じて上記適正範囲の上限値を設定することで、ハンダsがどの程度密集して印刷されているか(つまり短絡が起き易いか)に応じた適正な基準で上記ハンダsの状態の適否を判断することが可能になる。
【0051】
上記のような判断の結果ハンダsの状態が不適切とされた場合、上記集中制御装置9は、上記ハンダsを適正状態に復帰させてこのハンダsを介した部品tと基板Pとの接合状態を適正に維持すべく、上記スクリーン印刷機2に対してその印刷条件を補正する制御信号を出力する。この制御信号は、スクリーン印刷機2の個別制御装置2Aにより受信され、この個別制御装置2Aにおいて、上記印刷条件を補正する制御が実行されるようになっている。すなわち、上記検査機6から取得された検査情報としてのハンダsの面積Aの値に基づき部品tと基板Pとの間のハンダsの状態の適否を判断するとともに、その判断結果に応じてスクリーン印刷機2の印刷条件を補正する制御手段が、上記集中制御装置9と、スクリーン印刷機2の個別制御装置2Aとによって構成されている。
【0052】
上記補正の対象となるスクリーン印刷機2の印刷条件は、ハンダsの状態に影響するものであればその種類を問わないが、例えば以下のようなものを上記印刷条件として例示することができる。
【0053】
(1)スキージの押し付け圧力
ここでは、上記印刷条件として、スキージ33をマスクシート35上に押し付ける際の押し付け圧力(印刷圧力)を補正する。すなわち、スキージ33の押し付け圧力を大きくすればハンダsの印刷量を増大させることができ、スキージ33の押し付け圧力を小さくすればハンダsの印刷量を減少させることができる。そして、上記部品実装後のハンダsの面積Aを適正範囲内に収める方向にこのハンダsの印刷量を増減操作し、これに応じてハンダsを適正状態に復帰させることにより、上記部品tと基板Pとの接合状態を適正に維持することができる。なお、上記押し付け圧力を大きくしたり小さくしたりする際の補正量は、ハンダsの面積Aが上記適正範囲からどの程度外れているかに応じて適宜決定される。
【0054】
(2)スキージの押し付け角度
ここでは、上記印刷条件として、スキージ33をマスクシート35上に押し付ける際の押し付け角度、つまり、上述したスキージ33のアタック角度(マスクシート35に対するスキージ33の傾斜角度)を補正する。これにより、上記(1)と同様に、ハンダsの印刷量を増減操作して部品実装後のハンダsの状態を適正に維持することができる。
【0055】
(3)スキージの移動速度
ここでは、上記印刷条件として、スキージ33をマスクシート35上でスライド移動させる際の速度(印刷速度)を補正する。すなわち、スキージ33の移動速度を遅くすればハンダsの印刷量を増大させることができ、スキージ33の移動速度を速くすればハンダsの印刷量を減少させることができる。
【0056】
(4)スキージの往復移動回数
ここでは、上記印刷条件として、上記スキージ33の往復移動回数(印刷回数)を補正する。すなわち、スキージ33の往復移動回数を多くすればハンダsの印刷量を増大させることができ、スキージ33の往復移動回数を少なくすればハンダsの印刷量を減少させることができる。
【0057】
(5)クリーニング作業の実行頻度
ここでは、上記印刷条件として、マスクシート35をクリーナ40により清掃するクリーニング作業の実行頻度を補正する。例えば、クリーニング作業の実行頻度を高くすれば、残留ハンダやゴミ等によってマスクシート35の印刷開口部が目詰まりするのを抑制することができ、この目詰まりに起因したハンダsの印刷量不足(ハンダのかすれ)を防止することができる。これにより、ハンダsの印刷量が適正に維持されるため、短絡や接合不良等の不具合の発生が有効に回避される。
【0058】
(6)その他
スクリーン印刷機2の機種によっては、装置内の温度や湿度を一定に保つための空調ユニットが備わっているものがある。このようなスクリーン印刷機2では、上記空調ユニットの温湿設定を変化させることで、マスクシート35上に供給されるハンダ(クリームハンダ)の粘度を増減させることができるため、このハンダの粘度の増減に応じて、上記ハンダsの印刷量を操作することができる。また、ハンダをスキージ33で拡張する前の準備工程としてハンダを均一に混ぜ合わせる混練作業を行う機種においては、この混練作業の時間を増減設定することにより、ハンダの練り具合の均一さを調整するようにしてもよい。例えば、この練り具合が不十分であるためにハンダsの印刷量がばらついていると推定される場合には、上記混練作業の時間を長く設定することで上記のような印刷量のばらつきを抑制することができる。
【0059】
また、上記集中制御装置9には、上記検査情報としてのハンダsの面積Aの値を実装ポイントごとに集計して得られた統計データを記憶するための記憶手段が内蔵されている。そして、集中制御装置9は、ある基板Pについて上記面積Aの値が適正範囲から外れていることが判明すると、上記統計データからそれまでの面積Aの値の変化の傾向を確認し、その結果に基づいて、上記面積Aが適正範囲から外れたこと(ハンダsの状態が適正でなくなったこと)の原因を判断する。そしてさらに、この判断された原因に応じて、実際に上記印刷条件の補正を実行するか否かを決定するように構成されている。
【0060】
例えば、前回の生産までは上記ハンダsの面積Aの値が同じような値で安定していたにもかかわらず、突然この面積Aの値が大きくずれて上記適正範囲から外れるような場合がある。このような場合は、突発的なエラーである可能性が高く、次回から正常状態に復帰する可能性が高いと予想できるため、集中制御装置9は、上記スクリーン印刷機2に対して印刷条件の補正を指令することは行わず、印刷条件を現状のまま維持する。そして、次回以降の何度かの印刷処理で同様の値が出たときに限り、上記印刷条件の補正を行うようにする。これにより、突発的なエラーのために印刷条件が突然大きく変動したりることに起因してスクリーン印刷機2の制御動作が不安的になるのを有効に回避することができる。一方、上記ハンダsの面積Aの値が徐々に変化しながら適正範囲を外れた場合には、上記のような突発的なエラーではなく、スクリーン印刷機2や実装機3〜5の運転状態の変化(例えば周囲温度の変化や動作部の潤滑状態の変化)等に起因したエラーであると予想できるため、集中制御装置9は、スクリーン印刷機2に対してその印刷条件の補正を指令し、これによって上記部品実装後の面積Aの値を適正範囲内に復帰させる。なお、上述した項目(1)〜(6)の各印刷条件のうち、いずれの印刷条件を補正するかについては、エラーが発生したときの状況やスクリーン印刷機2の機種等に応じて適宜設定すればよい。また、上記補正対象となる印刷条件は、上記(1)〜(6)のうちから1つだけ選択してもよいし、複数の印刷条件を選択してそれらを同時に補正するようにしてもよい。
【0061】
次に、上記集中制御装置9およびスクリーン印刷機2の個別制御装置2Aからなる制御手段による制御動作を図10に示されるフローチャートに基づき説明する。この制御動作がスタートすると、集中制御装置9は、検査情報としてのハンダsの面積A(図9(c))の値を検査機6から取得する制御を実行する(ステップS1)。そして、集中制御装置9は、この取得されたハンダsの面積Aの値が、あらかじめ設定された適正範囲内にあるか否かを判定する(ステップS3)。
【0062】
このステップS3でNOと判定されてハンダsの面積Aの値があらかじめ定められた適正範囲を外れていることが確認された場合には、次のステップS7に移行し、内蔵する記憶手段に記憶された上記面積Aに関する統計データに基づいて、スクリーン印刷機2の印刷条件の補正の要否を判定する。すなわち、先にも述べた通り、上記面積Aのデータの変化の傾向から不良原因を推定し、その結果突発的なエラーであることが推定された場合には補正を「不要」とし、そうでない場合には補正を「要」とするといった処理をここで行う。
【0063】
上記ステップS7でYESと判定されて印刷条件の補正が「要」であることが確認された場合、上記集中制御装置9および個別制御装置2Aは、上記スクリーン印刷機2の印刷条件を補正する制御を実行する(ステップS9)。具体的には、集中制御装置9からスクリーン印刷機2に対し、その印刷条件の補正を指令する制御信号が出力され、この制御信号を受信したスクリーン印刷機2の個別制御装置2Aが、上記指令の内容に応じて実際に印刷条件を補正する制御を実行する。例えば、上述した項目(1)〜(6)の各印刷条件のうち、スキージ33の押し付け圧力が補正対象として選択されたとすると、上記ハンダsの面積Aが適正範囲よりも小さい場合に上記押し付け圧力を大きくする補正が行われ、上記ハンダsの面積Aが適正範囲よりも大きい場合に上記押し付け圧力を小さくする補正が行われることになる。そして、その後リターンして、次の基板Pに対する検査処理に移行する。
【0064】
一方、上記ステップS3でYESと判定されて上記ハンダsの面積Aの値が適正範囲内にあることが確認された場合、または、上記ステップS7でNOと判定されて印刷条件の補正が「不要」であることが確認された場合には、上記吸着ヘッド66の昇降動作に関する制御量を現状のまま維持し(ステップS5)、その後リターンする。
【0065】
以上説明したように、上記実施形態では、スクリーン印刷機2および実装機3〜5でハンダの印刷処理および部品の実装処理を受けた基板に対し検査機6が検査を行い、この検査機6で得られた検査情報としてのハンダsの面積Aの値に基づいて、部品tと基板Pとの間のハンダsの状態の適否を集中制御装置9が判断し、さらにその判断結果に応じて、上記スクリーン印刷機2の個別制御装置2Aがその印刷条件を補正する制御を実行するように構成されているため、上記ハンダsの状態に影響するスクリーン印刷機2の印刷条件を、部品実装後のハンダsの状態の適否判断に基づいたフィードバック制御により適正に調整できるという利点がある。この結果、上記ハンダsの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板Pの品質を効果的に向上させることができる。
【0066】
特に、上記実施形態では、ハンダsの状態を検査する検査機6がスクリーン印刷機2および実装機3〜5の下流側に設けられているため、実装機3〜5の運転状態をも考慮したスクリーン印刷機2の印刷条件の補正を行えるという利点がある。例えば、実装機3〜5において吸着ヘッド66の昇降ストロークが経時的に変化する等により、この吸着ヘッド66(その先端に吸着された部品t)によるハンダsのつぶれ代が変化し、これに応じてハンダsを介した部品tと基板Pとの接合状態が変化することがあるが、このような場合においても、上記のような変化を吸収する方向に印刷条件を補正してハンダsの印刷量等を操作すれば、上記のような実装機3〜5の運転状態の変化にかかわらず上記接合状態を適正に維持することができる。
【0067】
また、上記実施形態のように、部品tの外形からはみ出た部分のハンダsの面積Aの値を検査情報として取得するようにした場合には、この面積Aの値に基づいてハンダsの状態を適正に判断することができ、その結果を上記印刷条件に反映して部品実装後のハンダsの状態を適正に維持できるという利点がある。
【0068】
また、上記実施形態のように、上記検査情報としてのハンダsの面積Aの値をあらかじめ定められた面積Aの適正範囲と比較することにより、上記ハンダsの状態の適否を判断するようにした場合には、実際のハンダsの面積Aを上記適正範囲と比較するだけの簡単な構成で、部品実装後のハンダsの状態を適正に判断できるという利点がある。
【0069】
また、上記実施形態のように、集中制御装置9が、上記検査情報としてのハンダsの面積Aの値を集計することにより得られた統計データを記憶しており、この統計データに基づいて上記ハンダsの不良原因を判断するように構成されている場合には、その原因に応じた適正な印刷条件の補正を行えるという利点がある。
【0070】
すなわち、上記実施形態では、上記ハンダsの面積Aの統計データから、そのデータの変化の傾向を確認し、上記面積Aが適正範囲から外れた場合に、その不良原因が突発的なエラーによるものかどうか等を上記データの変化の傾向に基づき推定するようにしたため、突発的なエラーによる場合には上記印刷条件の補正を実行しない等によりスクリーン印刷機2の安定した運転状態を維持しつつ、必要なときには上記印刷条件の補正を適宜行うことで、部品実装後のハンダsの状態を適正に維持できるという利点がある。
【0071】
なお、上記実施形態では、検査機6で基板Pを検査処理することにより、平面視で部品tの外形からはみ出た部分のハンダsの面積A(図9(c))の値を検査情報として取得し、この面積Aの値に基づいて、上記ハンダsの状態の適否を集中制御装置9において判断するようにしたが、ハンダsの状態の適否判断の基準となり得る検査情報は、上記ハンダsの面積Aの値に限らない。例えば、図11に示すような、部品tと基板Pとの間のハンダsの高さhに基づいてハンダsの状態を判断するようにしてもよい。このハンダsの高さhは、例えば基板Pの上面と部品tの上面との高さの差をレーザ光等を用いた距離測定により算出し、その値から部品tの高さ方向の幅を差し引くことによって求めることができる。あるいは、部品実装時の吸着ヘッド66の昇降ストロークから、その最下ポイントでの部品tの高さを算出し、その値を基に上記ハンダsの高さhを求めるようにしてもよい。さらにまた、上記ハンダsの状態は、レーザ光等を用いた3次元測定によって得られたハンダsの3次元形状に基づいて判断することも可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、ハンダsの状態の適否を判断しかつスクリーン印刷機2に対しその印刷条件の補正を指令する機能を集中制御装置9に持たせ、この集中制御装置9からの指令に基づいて実際に上記吸着ヘッド66の制御量の補正を行う機能をスクリーン印刷機2の個別制御装置2Aに持たせたが、これらの機能を上記集中制御装置9または個別制御装置2Aのいずれかにまとめて持たせるようにしてもよい。また例えば、実装機3〜5等の他の機器においてその制御装置の容量に余裕がある場合には、ハンダsの適否判断や印刷条件の補正指令等の処理を上記他の機器の制御装置に行わせるようにしてもよい。さらには、上記集中制御装置9および個別制御装置2Aからなる制御手段の機能を検査機6に持たせ、この検査機6において、検査情報の取得、ハンダsの状態の判断、およびスクリーン印刷機2へのフィードバック制御という一連の処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態にかかる部品実装システムを概略的に示す図である。
【図2】上記部品実装システムに適用される印刷機の概略構造を示す側面図である。
【図3】上記印刷機におけるスキージユニットの具体的構成を示す図である。
【図4】スキージがマスクシート上に押し付けられた状態を説明するための図である。
【図5】上記部品実装システムに適用される実装機の概略構造を示す平面図である。
【図6】上記実装機の概略構造を示す正面図である。
【図7】基板上にハンダが印刷された状態を示す図である。
【図8】基板上に部品が実装される状況を説明するための図である。
【図9】基板と部品との間に介在するハンダを詳細に示す図である。
【図10】制御手段による制御動作の内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の別の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
2 スクリーン印刷機(印刷機)
2A 個別制御装置(制御手段)
3〜5 実装機
6 検査機
9 集中制御装置(制御手段)
10 部品実装システム
33 スキージ
35 マスクシート
s ハンダ
t 部品
A (ハンダの)面積
P 基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、被実装用の基板の表面にペースト状のハンダを印刷する印刷機、およびこれを用いた部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、基板の表面にペースト状のハンダを印刷する印刷機において、この印刷機の下流側に、基板に対して部品の実装処理を行う実装機と、この基板に実装された部品のXY平面(水平面)上での重心位置を測定する検査機とを設け、この検査機で得られた実装位置の位置ずれデータを上記実装機にフィードバックしてその制御パラメータを上記位置ずれを考慮した値に修正することにより、部品の実装精度を一定に維持することが行われている。
【特許文献1】特許第03685035号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような印刷機を含んだ実装システムにより一連の処理が施された基板では、部品と基板との間に介在するハンダの状態が適正でないと、接合不良や短絡等の不具合が起きるおそれがある。しかしながら、上記特許文献1に開示された技術は、XY平面上での部品の実装位置を一定の精度に維持するには有効であるが、上記のようなハンダの状態に起因した不良の発生を防止するには有効でなかった。
【0004】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、部品と基板との間に介在するハンダの状態を適正に維持し、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためのものとして、本発明は、部品の実装処理が施される前の基板の表面にハンダを印刷する印刷機であって、あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で各動作部の制御を行う制御手段を備え、この制御手段は、部品実装後の基板に対して行われる部品と基板との間のハンダの状態の適否判断の結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることを特徴とするものである(請求項1)。
【0006】
本発明の印刷機では、部品実装後の基板に対して行われるハンダの状態の適否判断の結果に応じて、制御手段が印刷条件の補正を実行するように構成されているため、上記ハンダの状態に影響する印刷機の印刷条件を、部品実装後のハンダの状態の適否判断に基づいたフィードバック制御により適正に調整できるという利点がある。この結果、上記ハンダの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることができる。
【0007】
具体的に、上記制御手段は、部品実装後の基板を検査する検査機からハンダの形状に関する所定の検査情報を取得すると、この検査情報に基づき部品と基板との間のハンダの状態の適否を判断するとともに、その判断結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることが好ましい(請求項2)。
【0008】
このようにすれば、検査機から取得されたハンダの形状に関する所定の検査情報に基づいてハンダの状態を適正に判断できるとともに、その判断結果に応じたフィードバック制御により上記印刷条件を適正に調整できるという利点がある。
【0009】
上記所定の検査情報は、平面視で部品の外形からはみ出た部分のハンダの面積、および部品と基板との間のハンダの高さのうち少なくとも一つであることが好ましい(請求項3)。
【0010】
このようにすれば、上記検査情報として取得されたハンダの面積や高さに基づいてハンダの状態を適正に判断することができ、その結果を上記印刷条件に反映して部品実装後のハンダの状態を適正に維持することができる。
【0011】
この場合、上記制御手段は、上記所定の検査情報をあらかじめ定められた範囲の適正値と比較することにより、上記ハンダの状態の適否を判断することが好ましい(請求項4)。
【0012】
このようにすれば、上記検査機から取得されたハンダの面積や高さ等の検査情報を、あらかじめ定められた適正値と比較するだけの簡単な構成で、上記ハンダの状態を適正に判断することができる。
【0013】
本発明の印刷機としては、例えば、基板の上にマスクシートを重装してその上にペースト状のハンダを供給し、上記マスクシート上でスライド駆動されるスキージによって上記ハンダを拡張することにより、上記マスクシートに形成された所定パターンの印刷開口部を介して上記基板上にハンダを印刷するスクリーン印刷機が好適である。この場合、上記所定の印刷条件は、上記スキージをマスクシート上に押し付ける際の押し付け圧力もしくは押し付け角度、上記スキージをマスクシート上でスライド移動させる際の速度、上記スキージのマスクシート上での往復移動回数、および上記マスクシートの印刷開口部を清掃するクリーニング作業の実行頻度のうち少なくとも一つであることが好ましい(請求項5)。
【0014】
このような各種印刷条件を補正することにより、ハンダの印刷量等を適宜調整し、これに応じて部品実装後のハンダの状態を適正に維持することができる。
【0015】
上記制御手段は、上記所定の検査情報を集計して得られた統計データを記憶しており、上記ハンダの状態が適正でない場合に、その原因を上記統計データに基づいて判断することが好ましい(請求項6)。
【0016】
このように、上記所定の検査情報を集計することにより得られた統計データに基づいて上記ハンダの不良原因を判断するようにした場合には、その原因に応じた適正な印刷条件の補正を行えるという利点がある。
【0017】
また、本発明は、基板に対して部品の実装処理を含んだ各種処理を行う部品実装システムであって、あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で基板に対してハンダの印刷処理を行う印刷機と、このハンダ印刷後の基板に対して部品の実装処理を行う実装機と、この部品実装後の基板を検査処理して上記部品と基板との間のハンダの形状に関する所定の検査情報を取得する検査機と、上記所定の検査情報に基づいてハンダの状態の適否を判断するとともに、そのハンダの状態が適正でない場合に、上記印刷機に対してハンダの印刷条件を補正するように指令する制御手段とを備えたことを特徴とするものである(請求項7)。
【0018】
本発明の部品実装システムによれば、部品と基板との間に介在するハンダの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、部品と基板との間に介在するハンダの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板の品質を効果的に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明にかかる印刷機が適用された部品実装システム10を概略的に示す図である。本図に示すように、この部品実装システム10は、ローダ1、スクリーン印刷機2,第1〜第3の実装機3〜5、検査機6、リフロー炉7、およびアンローダ8がライン状に並んで構成されており、その上流側のローダ1から繰り出されて下流側に搬送されるプリント基板P(図2および図5参照)に対し、各装置2〜7においてハンダの印刷、部品の実装、およびハンダの硬化等の各処理が順次施され、これら各処理が施されたプリント基板Pが最終的に下流側のアンローダ8に搬出されるようになっている。
【0021】
上記部品実装システム10を構成する各装置1〜8は、それぞれが独自の個別制御装置1A〜8Aを有する自立型の装置であり、各装置1〜8の動作が上記制御装置1A〜8Aにより個別に制御されるようになっている。また、部品実装システム10には、システム全体の動作を統括的に制御するためのパーソナルコンピュータ等からなる集中制御装置9が設けられている。そして、この集中制御装置9と各装置1〜8とが通信手段を介して接続されることにより、これら集中制御装置9と各装置1〜8との間で必要な情報が送受信されるようになっている。
【0022】
図2は、上記部品実装システム10に適用されるスクリーン印刷機2の概略構造を示す図である。本図に示すように、スクリーン印刷機2の基台11上には印刷ステージ13が設けられている。この印刷ステージ13の左右両側部には、プリント基板P(以下、単に基板Pと略す)を印刷ステージ13上に搬入および搬出するためのコンベア12が、部品実装システム10における実装ラインの方向(図2において紙面と直交する方向)に延びるように配設されている。なお、以下の説明では、このコンベア12による基板Pの搬送方向(すなわち各装置1〜8の並び方向に同じ)をX軸方向、これと水平面上で直交する方向をY軸方向、X軸およびY軸方向の双方に直交する方向をZ軸方向として説明を進めることにする。
【0023】
上記印刷ステージ13は、基板Pを保持して後述するマスクシート35に対して下側から位置決めするもので、その構成要素として、昇降テーブル28や、上記コンベア12等を有している。この印刷ステージ13は、4軸ユニット20に支持されており、同ユニット20の作動によりX軸、Y軸、Z軸、およびR軸(Z軸回りの回転方向)の各方向に移動するようになっている。
【0024】
上記昇降テーブル28上には、基板Pを保持するためのクランプ機構14や、上記コンベア12上の基板Pを下から持ち上げるように支持する載置テーブル30等が設けられている。
【0025】
一方、上記印刷ステージ13の上方には、マスク保持ユニット16、スキージユニット17等が配置されている。
【0026】
上記マスク保持ユニット16は、印刷用のマスクシート35を着脱可能に保持するものである。このマスク保持ユニット16は、図外のマスククランプによってマスクシート35を印刷ステージ13の上方において水平に張り渡した状態で保持するように構成されている。
【0027】
上記スキージユニット17は、マスクシート35上に供給されるペースト状のハンダ(微細な球形のハンダが集まってなるソルダーパウダーや、粘性を有するフラックス等が混合されたいわゆるクリームハンダ)をマスクシート35上でローリング(混練)させながら拡張するものである。このスキージユニット17は、Y軸方向およびZ軸方向に移動可能に支持されており、図外のサーボモータ等からなる駆動機構により各方向に駆動されるようになっている。
【0028】
図3は、上記スキージユニット17の具体的構成を示す図である。本図に示すように、スキージユニット17は、上側フレーム41および下側フレーム42等からなる支持フレーム43と、上記下側フレーム42の下端部に枢支されたスキージ支持部材44と、このスキージ支持部材44に着脱自在に取り付けられたスキージ33とを有している。このようなスキージユニット17は、印刷時において、Y軸方向に往復移動しながら上記スキージ33をマスクシート35の表面に沿って摺動させることにより、上記マスクシート35上に供給されたハンダを拡張するように構成されている。そして、この拡張動作に応じてハンダが図略の印刷開口部(マスクシート35に形成された所定パターンの開口部)に充填され、この印刷開口部を介して上記ハンダが基板P上に転写(印刷)されるようになっている。
【0029】
上記スキージ支持部材44のX軸方向の両端部には、印刷時においてハンダがスキージ33の側方(X軸方向外側)に流動する(漏れる)のを防止するための横漏れ防止板47が設けられている。この横漏れ防止板47は、上記スキージ支持部材44に対して支軸49を中心に揺動(回転)自在に取り付けられているとともに、ねじりコイルバネ等からなる付勢手段を介して弾性的に支持されることにより、通常時において所定の角度位置で保持されるように構成されている。
【0030】
上記支持フレーム43の下側フレーム42には、サーボモータ45およびギアボックス46がそれぞれ取り付けられている。そして、上記サーボモータ45が作動すると、その回転駆動力がギアボックス46を介して上記スキージ支持部材44に伝達され、これに応じて図3の矢印に示すように、スキージ支持部材44が上記下側フレーム42に対して支軸48を中心に揺動(回転)するようになっている。
【0031】
上記スキージ33は、X軸方向に長尺な板状の部材であり、上記スキージ支持部材44がサーボモータ45の作動に応じて回転駆動されることにより、マスクシート35に対して所定のアタック角度(傾斜角度)を有する姿勢で保持され、その状態でマスクシート35上に押し付けられるようになっている。そして、スキージ33は、上記スキージユニット17のY方向(図中では左右方向)の移動に伴いマスクシート35の表面に沿って摺動し、これに応じてマスクシート35上に供給されたハンダを拡張するように構成されている。
【0032】
具体的に、上記スキージ33は、スキージユニット17の進行方向に対し前傾した姿勢でマスクシート35に押し付けられ、その状態でマスクシート35の表面に沿って摺動するように構成されている。例えば、上記スキージユニット17が右方向に移動する場合、スキージ33は、図4(a)に示すように、進行方向である右側に前傾した姿勢、つまり図示のようなアタック角度αをもった姿勢でマスクシート35に押し付けられる。一方、上記スキージユニット17が左方向に移動する場合、スキージ33は、図4(b)に示すように、進行方向である左側に前傾した姿勢、つまり図示のようなアタック角度βをもった姿勢でマスクシート35に押し付けられることになる。
【0033】
また、上記のようにスキージ33が進行方向に応じた所定のアタック角度でマスクシート35に押し付けられるのに伴い、上記横漏れ防止板47は、マスクシート35との当接に応じて所定角度だけ回転し、その当接面47aや47bをマスクシート35の表面に圧接させる(図4参照)。そして、その状態で上記スキージ33とともにマスクシート35上を摺動することにより、上記スキージ33側方からのハンダの漏れを防止するように構成されている。
【0034】
再び図2に戻って、上記マスク保持ユニット16の下方には、マスクシート35を定期的に清掃するためのクリーナ40が設けられている。このクリーナ40は、拭き取り用のテープやこれを保持するローラ等を有しており、図外の駆動機構により駆動されてマスクシート35の下面に沿って移動するように構成されている。また、上記テープを保持するローラには、図外の吸引源につながった多数の孔部が設けられている。そして、クリーナ40の移動に伴う上記テープによる拭き取りと、上記ローラに設けられた孔部を通じて供給される負圧(吸引力)とにより、マスクシート35に付着した余分なハンダ(残留ハンダ)やゴミ等が吸い出されながら除去されるようになっている。
【0035】
以上のように構成されたスクリーン印刷機2では、その個別制御装置2A(図1)による制御に基づいて例えば以下のようにしてハンダの印刷作業が進められる。
【0036】
まず、印刷ステージ13に基板Pが搬入されるとともに、4軸ユニット20の昇降動作に応じてこの基板Pが、ペースト状のハンダが供給されたマスクシート35に対して下側から重装される。次いで、このマスクシート35上に供給されたハンダがスキージユニット17の作動に応じて拡張されることにより、上記マスクシート35に形成された印刷開口部(図示省略)を介してハンダが基板P上に転写(印刷)される。これにより、図7に示すように、基板P上に印刷された所定パターンのハンダsが形成される。そして、4軸ユニット20の昇降動作に応じて基板Pがマスクシート35から引き離され、この印刷処理された基板Pがコンベア12により下流側へ(図1における第1の実装機3側へ)搬出されることになる。
【0037】
また、このスクリーン印刷機2では、定期的にクリーナ40が作動してマスクシート35に対するクリーニング作業が実行される。これにより、マスクシート35に付着した余分なハンダやゴミ等が除去され、上記マスクシート35に形成された印刷開口部の目詰まり等が防止されるようになっている。
【0038】
図5および図6は、上記部品実装システム10に適用される第1〜第3の実装機3〜5の概略構造を示す図である。これらの図に示すように、実装機3〜5の基台51上には、X軸方向に延びるコンベア52が配置され、基板Pがこのコンベア52により上流側から搬送されて所定の実装作業位置(図5の位置)で停止され、図外の位置決め機構により位置決めされるようになっている。
【0039】
上記コンベア52を挟んだ基台51の前後両側には、IC、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品を供給可能な多数列のテープフィーダ54aからなる部品供給装置54が配置されている。
【0040】
また、上記基台51の上方には、部品装着用のヘッドユニット56が装備されている。このヘッドユニット56は、X軸方向およびY軸方向に移動可能に支持されており、上記部品供給装置54,54の上方と上記実装作業位置に位置決めされた基板Pの上方とにわたって移動できるようになっている。
【0041】
具体的に、基台51上には、Y軸方向に沿って延びる固定レール57と、Y軸サーボモータ59により回転駆動されるボールねじ軸58とが配設されている。そして、上記固定レール57上にヘッドユニット56の支持部材61が配置され、この支持部材61に設けられたナット部分62に上記ボールねじ軸58が螺合挿入されている。また、上記支持部材61には、X軸方向に延びるガイド部材63と、X軸サーボモータ65により回転駆動されるボールねじ軸64とが配設されている。そして、上記ガイド部材63にヘッドユニット56が移動可能に保持され、このヘッドユニット56に設けられたナット部分(図示省略)に上記ボールねじ軸64が螺合挿入されている。つまり、Y軸サーボモータ59の作動に応じて上記支持部材61がY軸方向に移動するとともに、X軸サーボモータ65の作動に応じてヘッドユニット56が支持部材61に対してX軸方向に移動するようになっている。
【0042】
上記ヘッドユニット56には部品装着用の複数の吸着ヘッド66,66・・が搭載されており、図示の例では6本の吸着ヘッド66がX軸方向に等間隔で一列に並んだ状態で搭載されている。各吸着ヘッド66は、ヘッドユニット56のフレームに対してZ軸方向の移動およびR軸(ノズル中心軸)回りの回転が可能とされ、図外の昇降駆動機構および回転駆動機構によりそれぞれ各方向に駆動されるようになっている。
【0043】
上記各吸着ヘッド66は、その下端部にノズル66aを有しており、図外の負圧供給手段からこのノズル66aの先端に負圧が供給されることにより部品を吸着保持するように構成されている。なお、図中において符号67は、基板P上の各種マークを撮像してこの基板Pの位置を認識するためのカメラである。
【0044】
以上のように構成された第1〜第3の実装機3〜5では、それぞれの個別制御装置3A〜5A(図1)による制御に基づいて例えば以下のようにして部品の実装作業が進められる。
【0045】
まず、コンベア52により基板Pが上記実装作業位置(図5)に搬入されて位置決めされる。次いで、ヘッドユニット56による部品の取り出し(吸着)が行われる。具体的には、ヘッドユニット56が部品供給装置54の上方に配置された状態で各吸着ヘッド66が昇降移動することにより、その下端のノズル66aに部品が吸着されて取り出される。そして、全ての吸着ヘッド66による部品の吸着が完了すると、ヘッドユニット56が基板P上の各部品の実装箇所(実装ポイント)の上方に順次移動しつつ各吸着ヘッド66が昇降移動することにより、その下端のノズル66aに吸着された部品が基板P上に実装される。具体的には、図8に示すように、まず吸着ヘッド66が基板P上面の直近まで下降することにより、その下端のノズル66aに吸着された部品tが、基板P上に印刷された上記ハンダsの上に載せられる。このとき、下方に押し付けられる部品tによりハンダsがある程度押しつぶされることにより、部品tがハンダsと密着し、このハンダsを介して部品tが基板P上に止着される。そして、ノズル66aの先端に正圧が供給されることにより、このノズル66aによる部品tの吸着状態が解除され、その後吸着ヘッド66が上昇して部品tの実装が完了する。
【0046】
このようにしてヘッドユニット56が部品供給装置54と基板Pの間を往復移動しながら所定数の部品を基板P上に実装し終えると、上記実装作業位置に位置決めされていた基板Pは、コンベア52によって下流側の装置へと搬出される。すなわち、基板Pは、第1の実装機3、第2の実装機4、第3の実装機5の順に搬送されて各装置で順次実装処理された後、下流側の検査機6へと搬出される。
【0047】
上記検査機6は、部品実装後の基板Pに対してその実装状態が適正か否かを判断するための装置として設けられている。そのうちの一つの検査項目として、検査機6では、部品tと基板Pとの間に介在するハンダs(図9参照)の形状がチェックされる。具体的に、この検査機6では、ハンダsの形状に関する所定の検査情報が取得され、その検査情報が集中制御装置9(図1)に送信される。そして、この送信された所定の検査情報に基づいてハンダsの状態の適否を判断する処理が、上記集中制御装置9において行われるようになっている(詳細は後述する)。上記所定の検査情報は、ハンダsの状態を判断する際の基準となり得るものであればその種類を問わないが、当実施形態では、図9(c)に示されるハンダsの面積A、つまり、平面視で部品tの外形からはみ出た部分のハンダsの面積Aが上記検査情報として取得されるようになっている。このハンダsの面積Aは、カメラ等により撮像された各実装ポイントの画像に基づいて調べられる。また、検査機6では、この他、基板P上の部品の有無、部品の実装ズレ、実装部品の損傷等が上記画像に基づき適宜調べられるようになっている。
【0048】
上記リフロー炉7は、基板搬送用のコンベアや、熱風を発生させるための熱風機等を有しており、部品実装後の基板Pに熱処理を施してハンダsを硬化させることにより、部品tを基板P上に固定するように構成されている。そして、このリフロー炉7によるハンダsの硬化処理が施された基板Pが、コンベアによって下流側のアンローダ8に搬出されると、部品実装システム10による一連の処理が終了する。
【0049】
以上のような部品実装システム10において、上記検査機6により取得されたハンダsの面積A(図9(c))の情報は、上記集中制御装置9(図1)に通信手段を介して送信され、この集中制御装置9において、上記面積Aの値に基づいたハンダsの状態の適否判断が行われるようになっている。具体的に、集中制御装置9では、実装ポイントごとにあらかじめ設定されたハンダsの面積Aの適正範囲と、実際の面積Aとの比較に基づいて、部品実装後のハンダsの状態の適否が判断される。例えば、ハンダsの面積Aの値が上記適正範囲よりも大きい場合には、ハンダsが部品tの外形から必要以上に大きくはみ出しているということであり、印刷時におけるハンダsの印刷量が多過ぎたか、または部品実装時におけるハンダsのつぶれ代が大き過ぎた(そのためにハンダsの面積が大きく広がった)と判断することができる。このような状態では、部品tの外形から大きくはみ出した当該ハンダsが隣接する他のハンダとつながって短絡が起きるおそれがある。逆に、ハンダsの面積Aの値が上記適正範囲よりも小さい場合には、印刷時におけるハンダsの印刷量が少な過ぎたか、または部品実装時におけるハンダsのつぶれ代が小さ過ぎたということであり、部品tがハンダsを介して基板Pに充分に接合されていないおそれがあると判断される。
【0050】
ここで、上記ハンダsの面積Aの適正範囲は、各実装ポイントの状況に応じた適宜の範囲に決定されることが好ましく、例えば、上記適正範囲の上限値については、対象となるハンダsと隣接するハンダsとの離間距離が短いほど小さい値に設定されるのが好ましい。すなわち、上記ハンダsどうしの離間距離が短い場合には、対象となるハンダsの面積Aがある程度大きくなるだけで容易に短絡が起きてしまうため、上記適正範囲の上限値を小さい値に設定する必要がある一方、上記ハンダsどうしの離間距離が大きい場合には、このような心配が相対的に少ないため、上記適正範囲の上限値を大きい値に設定することができる。そして、このようにハンダsどうしの離間距離に応じて上記適正範囲の上限値を設定することで、ハンダsがどの程度密集して印刷されているか(つまり短絡が起き易いか)に応じた適正な基準で上記ハンダsの状態の適否を判断することが可能になる。
【0051】
上記のような判断の結果ハンダsの状態が不適切とされた場合、上記集中制御装置9は、上記ハンダsを適正状態に復帰させてこのハンダsを介した部品tと基板Pとの接合状態を適正に維持すべく、上記スクリーン印刷機2に対してその印刷条件を補正する制御信号を出力する。この制御信号は、スクリーン印刷機2の個別制御装置2Aにより受信され、この個別制御装置2Aにおいて、上記印刷条件を補正する制御が実行されるようになっている。すなわち、上記検査機6から取得された検査情報としてのハンダsの面積Aの値に基づき部品tと基板Pとの間のハンダsの状態の適否を判断するとともに、その判断結果に応じてスクリーン印刷機2の印刷条件を補正する制御手段が、上記集中制御装置9と、スクリーン印刷機2の個別制御装置2Aとによって構成されている。
【0052】
上記補正の対象となるスクリーン印刷機2の印刷条件は、ハンダsの状態に影響するものであればその種類を問わないが、例えば以下のようなものを上記印刷条件として例示することができる。
【0053】
(1)スキージの押し付け圧力
ここでは、上記印刷条件として、スキージ33をマスクシート35上に押し付ける際の押し付け圧力(印刷圧力)を補正する。すなわち、スキージ33の押し付け圧力を大きくすればハンダsの印刷量を増大させることができ、スキージ33の押し付け圧力を小さくすればハンダsの印刷量を減少させることができる。そして、上記部品実装後のハンダsの面積Aを適正範囲内に収める方向にこのハンダsの印刷量を増減操作し、これに応じてハンダsを適正状態に復帰させることにより、上記部品tと基板Pとの接合状態を適正に維持することができる。なお、上記押し付け圧力を大きくしたり小さくしたりする際の補正量は、ハンダsの面積Aが上記適正範囲からどの程度外れているかに応じて適宜決定される。
【0054】
(2)スキージの押し付け角度
ここでは、上記印刷条件として、スキージ33をマスクシート35上に押し付ける際の押し付け角度、つまり、上述したスキージ33のアタック角度(マスクシート35に対するスキージ33の傾斜角度)を補正する。これにより、上記(1)と同様に、ハンダsの印刷量を増減操作して部品実装後のハンダsの状態を適正に維持することができる。
【0055】
(3)スキージの移動速度
ここでは、上記印刷条件として、スキージ33をマスクシート35上でスライド移動させる際の速度(印刷速度)を補正する。すなわち、スキージ33の移動速度を遅くすればハンダsの印刷量を増大させることができ、スキージ33の移動速度を速くすればハンダsの印刷量を減少させることができる。
【0056】
(4)スキージの往復移動回数
ここでは、上記印刷条件として、上記スキージ33の往復移動回数(印刷回数)を補正する。すなわち、スキージ33の往復移動回数を多くすればハンダsの印刷量を増大させることができ、スキージ33の往復移動回数を少なくすればハンダsの印刷量を減少させることができる。
【0057】
(5)クリーニング作業の実行頻度
ここでは、上記印刷条件として、マスクシート35をクリーナ40により清掃するクリーニング作業の実行頻度を補正する。例えば、クリーニング作業の実行頻度を高くすれば、残留ハンダやゴミ等によってマスクシート35の印刷開口部が目詰まりするのを抑制することができ、この目詰まりに起因したハンダsの印刷量不足(ハンダのかすれ)を防止することができる。これにより、ハンダsの印刷量が適正に維持されるため、短絡や接合不良等の不具合の発生が有効に回避される。
【0058】
(6)その他
スクリーン印刷機2の機種によっては、装置内の温度や湿度を一定に保つための空調ユニットが備わっているものがある。このようなスクリーン印刷機2では、上記空調ユニットの温湿設定を変化させることで、マスクシート35上に供給されるハンダ(クリームハンダ)の粘度を増減させることができるため、このハンダの粘度の増減に応じて、上記ハンダsの印刷量を操作することができる。また、ハンダをスキージ33で拡張する前の準備工程としてハンダを均一に混ぜ合わせる混練作業を行う機種においては、この混練作業の時間を増減設定することにより、ハンダの練り具合の均一さを調整するようにしてもよい。例えば、この練り具合が不十分であるためにハンダsの印刷量がばらついていると推定される場合には、上記混練作業の時間を長く設定することで上記のような印刷量のばらつきを抑制することができる。
【0059】
また、上記集中制御装置9には、上記検査情報としてのハンダsの面積Aの値を実装ポイントごとに集計して得られた統計データを記憶するための記憶手段が内蔵されている。そして、集中制御装置9は、ある基板Pについて上記面積Aの値が適正範囲から外れていることが判明すると、上記統計データからそれまでの面積Aの値の変化の傾向を確認し、その結果に基づいて、上記面積Aが適正範囲から外れたこと(ハンダsの状態が適正でなくなったこと)の原因を判断する。そしてさらに、この判断された原因に応じて、実際に上記印刷条件の補正を実行するか否かを決定するように構成されている。
【0060】
例えば、前回の生産までは上記ハンダsの面積Aの値が同じような値で安定していたにもかかわらず、突然この面積Aの値が大きくずれて上記適正範囲から外れるような場合がある。このような場合は、突発的なエラーである可能性が高く、次回から正常状態に復帰する可能性が高いと予想できるため、集中制御装置9は、上記スクリーン印刷機2に対して印刷条件の補正を指令することは行わず、印刷条件を現状のまま維持する。そして、次回以降の何度かの印刷処理で同様の値が出たときに限り、上記印刷条件の補正を行うようにする。これにより、突発的なエラーのために印刷条件が突然大きく変動したりることに起因してスクリーン印刷機2の制御動作が不安的になるのを有効に回避することができる。一方、上記ハンダsの面積Aの値が徐々に変化しながら適正範囲を外れた場合には、上記のような突発的なエラーではなく、スクリーン印刷機2や実装機3〜5の運転状態の変化(例えば周囲温度の変化や動作部の潤滑状態の変化)等に起因したエラーであると予想できるため、集中制御装置9は、スクリーン印刷機2に対してその印刷条件の補正を指令し、これによって上記部品実装後の面積Aの値を適正範囲内に復帰させる。なお、上述した項目(1)〜(6)の各印刷条件のうち、いずれの印刷条件を補正するかについては、エラーが発生したときの状況やスクリーン印刷機2の機種等に応じて適宜設定すればよい。また、上記補正対象となる印刷条件は、上記(1)〜(6)のうちから1つだけ選択してもよいし、複数の印刷条件を選択してそれらを同時に補正するようにしてもよい。
【0061】
次に、上記集中制御装置9およびスクリーン印刷機2の個別制御装置2Aからなる制御手段による制御動作を図10に示されるフローチャートに基づき説明する。この制御動作がスタートすると、集中制御装置9は、検査情報としてのハンダsの面積A(図9(c))の値を検査機6から取得する制御を実行する(ステップS1)。そして、集中制御装置9は、この取得されたハンダsの面積Aの値が、あらかじめ設定された適正範囲内にあるか否かを判定する(ステップS3)。
【0062】
このステップS3でNOと判定されてハンダsの面積Aの値があらかじめ定められた適正範囲を外れていることが確認された場合には、次のステップS7に移行し、内蔵する記憶手段に記憶された上記面積Aに関する統計データに基づいて、スクリーン印刷機2の印刷条件の補正の要否を判定する。すなわち、先にも述べた通り、上記面積Aのデータの変化の傾向から不良原因を推定し、その結果突発的なエラーであることが推定された場合には補正を「不要」とし、そうでない場合には補正を「要」とするといった処理をここで行う。
【0063】
上記ステップS7でYESと判定されて印刷条件の補正が「要」であることが確認された場合、上記集中制御装置9および個別制御装置2Aは、上記スクリーン印刷機2の印刷条件を補正する制御を実行する(ステップS9)。具体的には、集中制御装置9からスクリーン印刷機2に対し、その印刷条件の補正を指令する制御信号が出力され、この制御信号を受信したスクリーン印刷機2の個別制御装置2Aが、上記指令の内容に応じて実際に印刷条件を補正する制御を実行する。例えば、上述した項目(1)〜(6)の各印刷条件のうち、スキージ33の押し付け圧力が補正対象として選択されたとすると、上記ハンダsの面積Aが適正範囲よりも小さい場合に上記押し付け圧力を大きくする補正が行われ、上記ハンダsの面積Aが適正範囲よりも大きい場合に上記押し付け圧力を小さくする補正が行われることになる。そして、その後リターンして、次の基板Pに対する検査処理に移行する。
【0064】
一方、上記ステップS3でYESと判定されて上記ハンダsの面積Aの値が適正範囲内にあることが確認された場合、または、上記ステップS7でNOと判定されて印刷条件の補正が「不要」であることが確認された場合には、上記吸着ヘッド66の昇降動作に関する制御量を現状のまま維持し(ステップS5)、その後リターンする。
【0065】
以上説明したように、上記実施形態では、スクリーン印刷機2および実装機3〜5でハンダの印刷処理および部品の実装処理を受けた基板に対し検査機6が検査を行い、この検査機6で得られた検査情報としてのハンダsの面積Aの値に基づいて、部品tと基板Pとの間のハンダsの状態の適否を集中制御装置9が判断し、さらにその判断結果に応じて、上記スクリーン印刷機2の個別制御装置2Aがその印刷条件を補正する制御を実行するように構成されているため、上記ハンダsの状態に影響するスクリーン印刷機2の印刷条件を、部品実装後のハンダsの状態の適否判断に基づいたフィードバック制御により適正に調整できるという利点がある。この結果、上記ハンダsの状態を適正に維持することができ、部品実装後の基板Pの品質を効果的に向上させることができる。
【0066】
特に、上記実施形態では、ハンダsの状態を検査する検査機6がスクリーン印刷機2および実装機3〜5の下流側に設けられているため、実装機3〜5の運転状態をも考慮したスクリーン印刷機2の印刷条件の補正を行えるという利点がある。例えば、実装機3〜5において吸着ヘッド66の昇降ストロークが経時的に変化する等により、この吸着ヘッド66(その先端に吸着された部品t)によるハンダsのつぶれ代が変化し、これに応じてハンダsを介した部品tと基板Pとの接合状態が変化することがあるが、このような場合においても、上記のような変化を吸収する方向に印刷条件を補正してハンダsの印刷量等を操作すれば、上記のような実装機3〜5の運転状態の変化にかかわらず上記接合状態を適正に維持することができる。
【0067】
また、上記実施形態のように、部品tの外形からはみ出た部分のハンダsの面積Aの値を検査情報として取得するようにした場合には、この面積Aの値に基づいてハンダsの状態を適正に判断することができ、その結果を上記印刷条件に反映して部品実装後のハンダsの状態を適正に維持できるという利点がある。
【0068】
また、上記実施形態のように、上記検査情報としてのハンダsの面積Aの値をあらかじめ定められた面積Aの適正範囲と比較することにより、上記ハンダsの状態の適否を判断するようにした場合には、実際のハンダsの面積Aを上記適正範囲と比較するだけの簡単な構成で、部品実装後のハンダsの状態を適正に判断できるという利点がある。
【0069】
また、上記実施形態のように、集中制御装置9が、上記検査情報としてのハンダsの面積Aの値を集計することにより得られた統計データを記憶しており、この統計データに基づいて上記ハンダsの不良原因を判断するように構成されている場合には、その原因に応じた適正な印刷条件の補正を行えるという利点がある。
【0070】
すなわち、上記実施形態では、上記ハンダsの面積Aの統計データから、そのデータの変化の傾向を確認し、上記面積Aが適正範囲から外れた場合に、その不良原因が突発的なエラーによるものかどうか等を上記データの変化の傾向に基づき推定するようにしたため、突発的なエラーによる場合には上記印刷条件の補正を実行しない等によりスクリーン印刷機2の安定した運転状態を維持しつつ、必要なときには上記印刷条件の補正を適宜行うことで、部品実装後のハンダsの状態を適正に維持できるという利点がある。
【0071】
なお、上記実施形態では、検査機6で基板Pを検査処理することにより、平面視で部品tの外形からはみ出た部分のハンダsの面積A(図9(c))の値を検査情報として取得し、この面積Aの値に基づいて、上記ハンダsの状態の適否を集中制御装置9において判断するようにしたが、ハンダsの状態の適否判断の基準となり得る検査情報は、上記ハンダsの面積Aの値に限らない。例えば、図11に示すような、部品tと基板Pとの間のハンダsの高さhに基づいてハンダsの状態を判断するようにしてもよい。このハンダsの高さhは、例えば基板Pの上面と部品tの上面との高さの差をレーザ光等を用いた距離測定により算出し、その値から部品tの高さ方向の幅を差し引くことによって求めることができる。あるいは、部品実装時の吸着ヘッド66の昇降ストロークから、その最下ポイントでの部品tの高さを算出し、その値を基に上記ハンダsの高さhを求めるようにしてもよい。さらにまた、上記ハンダsの状態は、レーザ光等を用いた3次元測定によって得られたハンダsの3次元形状に基づいて判断することも可能である。
【0072】
また、上記実施形態では、ハンダsの状態の適否を判断しかつスクリーン印刷機2に対しその印刷条件の補正を指令する機能を集中制御装置9に持たせ、この集中制御装置9からの指令に基づいて実際に上記吸着ヘッド66の制御量の補正を行う機能をスクリーン印刷機2の個別制御装置2Aに持たせたが、これらの機能を上記集中制御装置9または個別制御装置2Aのいずれかにまとめて持たせるようにしてもよい。また例えば、実装機3〜5等の他の機器においてその制御装置の容量に余裕がある場合には、ハンダsの適否判断や印刷条件の補正指令等の処理を上記他の機器の制御装置に行わせるようにしてもよい。さらには、上記集中制御装置9および個別制御装置2Aからなる制御手段の機能を検査機6に持たせ、この検査機6において、検査情報の取得、ハンダsの状態の判断、およびスクリーン印刷機2へのフィードバック制御という一連の処理を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の一実施形態にかかる部品実装システムを概略的に示す図である。
【図2】上記部品実装システムに適用される印刷機の概略構造を示す側面図である。
【図3】上記印刷機におけるスキージユニットの具体的構成を示す図である。
【図4】スキージがマスクシート上に押し付けられた状態を説明するための図である。
【図5】上記部品実装システムに適用される実装機の概略構造を示す平面図である。
【図6】上記実装機の概略構造を示す正面図である。
【図7】基板上にハンダが印刷された状態を示す図である。
【図8】基板上に部品が実装される状況を説明するための図である。
【図9】基板と部品との間に介在するハンダを詳細に示す図である。
【図10】制御手段による制御動作の内容を示すフローチャートである。
【図11】本発明の別の実施形態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0074】
2 スクリーン印刷機(印刷機)
2A 個別制御装置(制御手段)
3〜5 実装機
6 検査機
9 集中制御装置(制御手段)
10 部品実装システム
33 スキージ
35 マスクシート
s ハンダ
t 部品
A (ハンダの)面積
P 基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品の実装処理が施される前の基板の表面にハンダを印刷する印刷機であって、
あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で各動作部の制御を行う制御手段を備え、
この制御手段は、部品実装後の基板に対して行われる部品と基板との間のハンダの状態の適否判断の結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることを特徴とする印刷機。
【請求項2】
請求項1記載の印刷機において、
上記制御手段は、部品実装後の基板を検査する検査機からハンダの形状に関する所定の検査情報を取得すると、この検査情報に基づき部品と基板との間のハンダの状態の適否を判断するとともに、その判断結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることを特徴とする印刷機。
【請求項3】
請求項2記載の印刷機において、
上記所定の検査情報は、平面視で部品の外形からはみ出た部分のハンダの面積、および部品と基板との間のハンダの高さのうち少なくとも一つであることを特徴とする印刷機。
【請求項4】
請求項3記載の印刷機において、
上記制御手段は、上記所定の検査情報をあらかじめ定められた範囲の適正値と比較することにより、上記ハンダの状態の適否を判断することを特徴とする印刷機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷機において、
上記印刷機は、基板の上にマスクシートを重装してその上にペースト状のハンダを供給し、上記マスクシート上でスライド駆動されるスキージによって上記ハンダを拡張することにより、上記マスクシートに形成された所定パターンの印刷開口部を介して上記基板上にハンダを印刷するスクリーン印刷機であり、
上記所定の印刷条件は、上記スキージをマスクシート上に押し付ける際の押し付け圧力もしくは押し付け角度、上記スキージをマスクシート上でスライド移動させる際の速度、上記スキージのマスクシート上での往復移動回数、および上記マスクシートの印刷開口部を清掃するクリーニング作業の実行頻度のうち少なくとも一つであることを特徴とする印刷機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷機において、
上記制御手段は、上記所定の検査情報を集計して得られた統計データを記憶しており、上記ハンダの状態が適正でない場合に、その原因を上記統計データに基づいて判断することを特徴とする印刷機。
【請求項7】
基板に対して部品の実装処理を含んだ各種処理を行う部品実装システムであって、
あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で基板に対してハンダの印刷処理を行う印刷機と、
このハンダ印刷後の基板に対して部品の実装処理を行う実装機と、
この部品実装後の基板を検査処理して上記部品と基板との間のハンダの形状に関する所定の検査情報を取得する検査機と、
上記所定の検査情報に基づいてハンダの状態の適否を判断するとともに、そのハンダの状態が適正でない場合に、上記印刷機に対してハンダの印刷条件を補正するように指令する制御手段とを備えたことを特徴とする部品実装システム。
【請求項1】
部品の実装処理が施される前の基板の表面にハンダを印刷する印刷機であって、
あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で各動作部の制御を行う制御手段を備え、
この制御手段は、部品実装後の基板に対して行われる部品と基板との間のハンダの状態の適否判断の結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることを特徴とする印刷機。
【請求項2】
請求項1記載の印刷機において、
上記制御手段は、部品実装後の基板を検査する検査機からハンダの形状に関する所定の検査情報を取得すると、この検査情報に基づき部品と基板との間のハンダの状態の適否を判断するとともに、その判断結果に応じて上記所定の印刷条件を補正するように構成されていることを特徴とする印刷機。
【請求項3】
請求項2記載の印刷機において、
上記所定の検査情報は、平面視で部品の外形からはみ出た部分のハンダの面積、および部品と基板との間のハンダの高さのうち少なくとも一つであることを特徴とする印刷機。
【請求項4】
請求項3記載の印刷機において、
上記制御手段は、上記所定の検査情報をあらかじめ定められた範囲の適正値と比較することにより、上記ハンダの状態の適否を判断することを特徴とする印刷機。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の印刷機において、
上記印刷機は、基板の上にマスクシートを重装してその上にペースト状のハンダを供給し、上記マスクシート上でスライド駆動されるスキージによって上記ハンダを拡張することにより、上記マスクシートに形成された所定パターンの印刷開口部を介して上記基板上にハンダを印刷するスクリーン印刷機であり、
上記所定の印刷条件は、上記スキージをマスクシート上に押し付ける際の押し付け圧力もしくは押し付け角度、上記スキージをマスクシート上でスライド移動させる際の速度、上記スキージのマスクシート上での往復移動回数、および上記マスクシートの印刷開口部を清掃するクリーニング作業の実行頻度のうち少なくとも一つであることを特徴とする印刷機。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の印刷機において、
上記制御手段は、上記所定の検査情報を集計して得られた統計データを記憶しており、上記ハンダの状態が適正でない場合に、その原因を上記統計データに基づいて判断することを特徴とする印刷機。
【請求項7】
基板に対して部品の実装処理を含んだ各種処理を行う部品実装システムであって、
あらかじめ設定された所定の印刷条件の下で基板に対してハンダの印刷処理を行う印刷機と、
このハンダ印刷後の基板に対して部品の実装処理を行う実装機と、
この部品実装後の基板を検査処理して上記部品と基板との間のハンダの形状に関する所定の検査情報を取得する検査機と、
上記所定の検査情報に基づいてハンダの状態の適否を判断するとともに、そのハンダの状態が適正でない場合に、上記印刷機に対してハンダの印刷条件を補正するように指令する制御手段とを備えたことを特徴とする部品実装システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−117975(P2008−117975A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300705(P2006−300705)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【出願人】(000010076)ヤマハ発動機株式会社 (3,045)
【Fターム(参考)】
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