説明

固定用構造および嵌合構造

【課題】チップの縁領域は、膨張係数が異なることによって、温度サイクル中に、TC応力とも称される特定の負荷を受けることが多い。これらの縁領域は特にTC応力を受け易いため、同領域内において様々な不良が生じる可能性がある。これによって、実際のデバイスにおける信頼性のリスクが増大する可能性がある。
【解決手段】半導体デバイスの金属構造210のための固定用構造200は、オーバーハング形状の側壁230を少なくとも1つ含んだ固定用凹部構造220を含んでいる。上記金属構造210は、少なくとも部分的に上記固定用凹部構造220内に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば(縦型)トランジスタを備えた半導体デバイスの分野などにおいて用いることのできる、固定用構造、および嵌合構造または把持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
縦型パワートランジスタ、あるいはDMOS(二重拡散金属酸化膜半導体)パワートランジスタなどの新世代の半導体デバイスを開発するに当たっては、部品に最高の品質および信頼性を持たせることは重要な目標である。したがって、最新世代のトランジスタは、出荷される前に、最も厳しい信頼性試験を受けなければならない。これに関して、重要な試験の1つに温度サイクル(TC)がある。この試験では、(大部分が半導体材料、絶縁体、および金属からなる)チップまたはダイと、(大部分がプラスチックからなる)筐体との相互作用が試験される。この試験では、モールドあるいはパッケージングプロセス後における完成品の動作、具体的には、ダイの半導体材料と、パッケージングプロセスにおいて用いられるモールド樹脂との頻繁に異なる膨張係数の動作に対して試験される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】DE 101 96 677 T5
【特許文献2】DE 199 21 015 A1
【特許文献3】JP 57 152 130 A
【特許文献4】DE 10 2005 043 914 A1
【特許文献5】US 5 475 268 A
【特許文献6】JP 05 243 318 A
【特許文献7】US 2005 0146 036 A1
【特許文献8】US 5 075 763 A
【特許文献9】DE 33 31 624 A1
【特許文献10】US 2005 0127 516 A1
【特許文献11】US 6,818,947 B2
【特許文献12】DE 10 2005 008 354 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チップの縁領域は、膨張係数が異なることによって、温度サイクル中に、TC応力とも称される特定の負荷を受けることが多い。これらの縁領域は特にTC応力を受け易いため、同領域内において様々な不良が生じる可能性がある。これによって、実際のデバイスにおける信頼性のリスクが増大する可能性がある。
【0005】
このようなリスクは、可能な場合は、特にチップ縁領域内において回避される。大多数のデバイスにおいては、(例えば当該デバイスの機能構造を接触させるための)金属構造が構成される領域は、チップの縁領域内である。(縦型)トランジスタが用いられる場合は、例えば、いわゆるゲートランナー(gate runner)構造の領域内における信頼性に関して問題が生じる。ゲートランナー構造は、チップ縁の領域内に伸び、縦型トランジスタのゲート電極を接触させる機能を有している場合が多い。ゲートランナー構造の実施例においては、最悪の場合、ゲートランナー金属線がチップ表面から完全に分離してリフトオフしてしまうことがある。この現象は、「リフトされた金属線」とも称される。
【0006】
また、関連する金属構造、すなわち、例えばゲートランナー金属線がチップ表面に付着した状態のままである一方、TC負荷が前後に激しくシフトされるために、各TC試験の終了時には、場所によっては当初の位置から著しくシフトされる場合もある。この現象は、「シフトされた金属線」とも称される。
【0007】
また、このようにシフトされた金属構造あるいは金属線は、断面形状において明らかに異なっている場合が多い。例えば、試験の開始時では、ほぼ対称な台形であったものが、試験の終了時には、非常に剪断された台形となって観察される場合が多い。
【0008】
このような信頼性のリスクが生じる可能性は非常に高く、例えば、当該デバイス内において生成される熱のみによって生じる場合がある。最終的なデバイスのアプリケーションによっては、個々のデバイスの機能領域同士が、もはや(完全に)接続された状態でなくなると、デバイスの全体的な故障につながる可能性がある。例えば(縦型)トランジスタの場合、ゲートランナー構造が分離またはシフトすると、実際のトランジスタ構造を有するデバイスのセルフィールドの領域内に位置する一部のセルが制御不可能となり、当該縦型トランジスタの電気的特性が動作中に変化してしまう。
【0009】
したがって、金属構造がリフトオフまたはシフトされたために縦型トランジスタの実際のセルフィールドの一部が故障すると、別の動作中において、当該セルフィールドの残りのセルへの負荷が過剰となり、最終的には縦型トランジスタあるいは関連するデバイスが、動作中に破損する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
半導体デバイスの金属構造のための固定用構造の一実施形態は、半導体デバイスの金属構造のための固定用構造を含んでいる。当該固定用構造は、オーバーハング形状の側壁を少なくとも1つ含んだ固定用凹部構造を含んでおり、上記金属構造は、少なくとも部分的には、上記固定用凹部構造内に配置されている。
【0011】
基板上のデバイスのための嵌合構造の一実施形態は、基板上のデバイスのための嵌合構造を含んでいる。当該嵌合構造は、トポロジーエッジを少なくとも1つ含んだ、上記基板上の構造化されたデバイス層と、上記構造化されたデバイス層の上記トポロジーエッジ上の少なくとも一部に配置されている、上記構造化されたデバイス層上の金属構造とを含んでいる。トポロジーエッジは、上部に上記金属構造が伸びており、平面内への投影において隣接した線を少なくとも1つ形成している。上記線は、上記投影の上記平面内の、非凸状である少なくとも1つの領域の範囲を決定している。上記領域全体を包含する最小の円の直径は、50μm以下である。
【0012】
基板上のデバイスのための嵌合構造の一実施形態は、基板上のデバイスのための固定用構造を含んでいる。当該固定用構造は、少なくとも1つのトポロジー構造と、上記基板の反対側の主表面とを含んだ、上記基板上の構造化されたデバイス層と、上記トポロジー構造上の少なくとも一部に配置されている、上記構造化されたデバイス層上の金属構造とを含んでおり、上記構造化されたデバイス層は、電気的絶縁層を1つのみまたは複数含んでおり、上記トポロジー構造は、上記構造化されたデバイス層内に、上記構造化されたデバイス層の厚さよりも深さの小さい凹部を含んでおり、あるいは、上記構造化されたデバイス層は、ドーピングされていない半導体層または単一ドーピングされた半導体層のみを含んでおり、上記トポロジー構造は、上記構造化されたデバイス層内に、上記構造化されたデバイス層の上記厚さよりも深さの小さい凹部を含んでおり、あるいは、上記トポロジー構造は、上記構造化されたデバイス層の上記主表面を超えて突出する構造を含んでいる。
【0013】
基板上のデバイスのための固定用構造の一実施形態は、主表面を含むデバイスと、上記デバイスの上記主表面から上記デバイス内に伸びている凹部と、その全長にわたって、断面領域の少なくとも20%の割合が、上記デバイスの上記主表面の下の上記凹部内に配置されている導体層構造とを含んでおり、上記導体層構造は、金属層を少なくとも1つ含んでいる、固定用構造を含んでいる。
【0014】
固定用構造の一実施形態は、基板上のデバイスのための嵌合構造を含んでいる。当該嵌合構造は、デバイスのための嵌合構造であって、少なくとも1つのトポロジーエッジと、絶縁層と、多数のコンタクトホールとを含んだ、上記基板上の構造化されたデバイス層と、上記構造化されたデバイス層の上記トポロジーエッジの少なくとも一部に配置されている、上記構造化されたデバイス層上の金属構造とを含んでおり、上記トポロジーエッジの上記部分は、平面内へ投影している少なくとも1つの隣接した線を形成しており、直線は、上記隣接した線に沿って規定可能な19μm〜42μmの長さを有しており、これによって上記線は、上記直線上の第1の点および第3の点に対して、上記直線の第1の側に配置されており、また、上記直線上の第2の点および第4の点に対して、上記直線の、上記第1の側と反対側に配置されており、上記第2の点は、上記第1の点と上記第3の点との間に配置されており、上記第3の点は、上記第2の点と上記第4の点との間に配置されている。
【0015】
固定用構造の一実施形態は、主表面を含んだ基板であって、当該主表面まで単結晶領域またはエピタキシャル領域が伸びている基板と、上記基板の上記主表面上の上記単結晶またはエピタキシャル領域内の凹部と、上記基板の上記主表面に金属層を有する導体層構造とを含んでおり、上記導体層構造は、上記凹部の底部まで上記凹部内に伸びている、固定用構造を含んでいる。
【0016】
固定用構造の一実施形態は、導体層構造のための嵌合構造の製造方法を含んでいる。当該方法は、基板材料の表面に、第1のトレンチおよび第2のトレンチを、当該第1のトレンチと第2のトレンチとの間に上記基板材料からなるメサ領域が残存するように、平行に且つ互いに距離を置いて配置されるように形成する工程と、上記メサ領域の表面において、上記基板材料の物質変換を行う工程と、上記第1のトレンチと上記第2のトレンチとが結合して、上記メサ領域内におけるトレンチ底部に突出部を含んでいる共通トレンチとなるように、上記メサ領域の上記表面において、変換された上記基板材料を物質を特定的に除去する工程と、上記導体層構造が少なくとも部分的に上記共通トレンチ内に配置されるように、また上記導体層構造が上記突出部に面する領域に窪みを形成するように、上記導体層構造を堆積する工程とを含んでいる。
【0017】
以下では、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照しながらより詳しく説明する。添付図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1A】「トポロジーエッジ」および「トポロジー形成エッジ」という用語を説明する図である。
【図1B】「トポロジーエッジ」および「トポロジー形成エッジ」という用語を説明する図である。
【図2】固定用構造の一実施形態の断面図である。
【図3】固定用構造の別の実施形態の断面図である。
【図4】固定用構造の別の実施形態の断面図である。
【図5A】嵌合構造の一実施形態の平面図である。
【図5B】嵌合構造の一実施形態の断面図である。
【図6】チップの平面図である。
【図7A】コンタクトホールの実施例を用いた嵌合構造の一実施形態の平面図である。
【図7B】コンタクトホールの実施例を用いた嵌合構造の一実施形態の断面図である。
【図8A】嵌合構造の一実施形態の平面図である。
【図8B】嵌合構造の一実施形態の断面図である。
【図9】嵌合構造の一実施形態の平面図である。
【図10】嵌合構造の一実施形態の平面図である。
【図11A】嵌合構造の図10に示されている実施形態の断面図である。
【図11B】嵌合構造の図10に示されている実施形態の断面図である。
【図12】固定用構造の一実施形態の断面図である。
【図13】固定用構造の別の実施形態の断面図である。
【図14】固定用構造の一実施形態の断面図である。
【図15】固定用構造の別の実施形態の断面図である。
【図16A】金属層を有する導体層構造の断面図である。
【図16B】金属層を有する導体層構造の断面図である。
【図17】固定用構造の一実施形態の断面図である。
【図18】本発明の一実施形態に係る導体層構造のための嵌合構造あるいは固定用構造を製造する方法のフローチャートである。
【図19A】様々な製造段階における、本発明の一実施形態に係る固定用構造を有するデバイスの断面図である。
【図19B】様々な製造段階における、本発明の一実施形態に係る固定用構造を有するデバイスの断面図である。
【図19C】様々な製造段階における、本発明の一実施形態に係る固定用構造を有するデバイスの断面図である。
【図19D】様々な製造段階における、本発明の一実施形態に係る固定用構造を有するデバイスの断面図である。
【図19E】様々な製造段階における、本発明の一実施形態に係る固定用構造を有するデバイスの断面図である。
【図20A】様々な製造段階における、本発明の一実施形態に係るデバイスの断面図である。
【図20B】様々な製造段階における、本発明の一実施形態に係るデバイスの断面図である。
【図21A】本発明の一実施形態に係るデバイスの断面図である。
【図21B】本発明の一実施形態に係るデバイスの断面図である。
【図22A】様々な製造段階における、本発明の一実施形態の断面図である。
【図22B】様々な製造段階における、本発明の一実施形態の断面図である。
【図22C】様々な製造段階における、本発明の一実施形態の断面図である。
【図22D】本発明の一実施形態に係る、図22Aに示されているデバイスの配置の概略平面図である。
【図23A】本発明の一実施形態に係る固定用構造を有するデバイスの断面図である。
【図23B】本発明の一実施形態に係る、図23Aに示されているデバイスの平面図である。
【図24】本発明の一実施形態に係る別のデバイスの平面図である。
【図25】本発明の一実施形態に係る固定用構造の平面図である。
【図26A】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26B】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26C】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26D】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26E】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26F】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26G】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26H】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26I】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26J】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【図26K】本発明の一実施形態に係る、図25に示されているデバイスの、2つの異なる区域を製造する各段階における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1〜図26は、本発明に係る嵌合構造および固定用構造の実施形態、並びに、これら各実施形態を図解する図である。固定用構造および嵌合構造の実施形態について、図2〜図26に関連して以下にさらに詳しく説明する。しかしその前に、まず、「トポロジーエッジ」および「トポロジー形成エッジ」という用語、並びに本出願において用いられている表現について、図1Aおよび図1Bに関連してより詳しく説明する。
【0020】
図1Aは、層構造100の断面を示しており、図1Bは、デバイスの各上面を示している。ここで、図1Aは、図1Aの矢印110によって示される切断線A−A’に沿って上記デバイスを切断した状態を示す断面図である。図1Bは、各デバイスすなわち各層構造100の平面図を示している。矢印110は、図1Aに示されている断面図の方向を示している。
【0021】
図1Aに示されている層構造100は、基板120上に配置されており、また、基板120上に直接堆積または直接配置された第1の層130を有している。第1の層130上にコンフォーマルに堆積された第2の層140は、第1の層130上に配置されている。第2の層140上には、第3の層150が配置されている。第3の層150は、その下に位置する層130および140とは異なり、平坦化された表面を有している。
【0022】
第1の層130は、図1Aに示されている断面図の中心領域において中断されるように、当該領域内に凹部160を含んでいる。この結果、2つのトポロジー形成エッジ170−1および170−2が形成される。また、これら2つのトポロジー形成エッジ170−1および170−2は、図1Bにおいて、基板120上に層構造100が空間的に配置されている領域にも示されている。
【0023】
上述したように、図1Aおよび図1Bに示されている構造では、第2の層140は、第1の層130上にコンフォーマルに堆積されている。このため、基本的に第2の層140の厚さは、技術的事実の背景において、トポロジー形成エッジ170を直接囲んでいる領域を除いては、層構造100の表面積に対して一定である。これは、第1の層130内の凹部160によって、第2の層140内の凹部180が形成され、2つのトポロジー形成エッジ170−1および170−2によって、第2の層140内の2つのトポロジーエッジ190−1および190−2が形成されていることを意味する。
【0024】
第3の層150は、図1Aおよび図1Bに示されている層構造100の場合、第2の層140の後に配置される。したがって、第1の層130内の2つのトポロジー形成エッジ170−1および170−2によって生じるトポロジーエッジ190−1および190−2は、第2の層内のトポロジー形成層に相当する。トポロジーエッジ190−1および190−2は、既に説明した凹部180を形成している。次に、第3の層150の材料が、凹部180内に入り込む。第3の層の材料は、例えば、薄膜技術において一般的に用いられている堆積方法および製造方法によって充填してよい。したがって、第3の層150は、例えば金属層であってよいので、トポロジーエッジ190−1および190−2は、そのトポロジーに影響を与えるエッジを成している。これらのトポロジーエッジ190−1および190−2は、その下に位置する第1の層130内のトポロジー形成エッジ170−1および170−2によって生じる。
【0025】
これに関連して、当然ながら、第1の層130の2つのトポロジー形成エッジ170−1および170−2はまた、第2の層140のためのトポロジーエッジを成していることに留意されたい。上記説明における「トポロジー形成エッジ」および「トポロジーエッジ」は、第3の層150を指しており、一般的には、特定の層に関連していると理解されたい。図1Bは、凹部160の範囲を決定している2つのトポロジー形成エッジ170−1および170−2に対する、トポロジーエッジ190−1および190−2の位置を示している。図1Bにおける表示は、互いに相対的な縮尺とはなっていない。
【0026】
したがって、図1Aおよび図1Bは、例えばコンフォーマルに堆積が行われる場合において、トポロジー形成エッジ190は、(図1Aの第2の層140に示されるような)関連する領域内において構造化されていない層内においても生じ得ることを特に示している。第2の層140のトポロジーエッジ190は、第2の層をコンフォーマルに堆積した結果として生じたものであり、また、その下に位置する第1の層130内に存在しているトポロジー形成エッジ170によって生じたものである。
【0027】
逆に、図1Aに示されている第3の層150のように、各層の表面が平坦化されている場合、その下に位置するトポロジー形成エッジは、当該トポロジー形成エッジの上に位置する層に対して、トポロジー形成エッジあるいはトポロジーエッジとしては機能しない。つまりこれは、例えば図1Aに示されている層構造100の場合、その表面が平坦になるように第3の層150上に堆積される層に対しては、2つのトポロジーエッジ190−1および190−2は、トポロジー形成エッジとしてはもはや機能しないことを意味している。これは、2つのトポロジーエッジ190−1および190−2の構造は、コンフォーマルな堆積、あるいはその他のトポロジーを維持する堆積によって存在し得る場合もあるが、第3の層150が平坦化されることによって、平坦化あるいは水平化されるからである。
【0028】
例えば、図1Aおよび図1Bに示されている層構造100を製造するために用いることのできる構造化としては、特に、半導体および薄膜技術の標準的な方法が有用である。したがって、層130、140、および150は、例えば熱蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング処理、あるいはその他の物理的および/または化学的堆積方法を用いて形成することができる。また、各構造は、必要に応じてスピンコートによって形成することも可能である。用いられる材料および/または採用される処理技術に応じて、各層は、コンフォーマルすなわちトポロジーを維持する方法によって形成することもでき、あるいはコンフォーマルではない、すなわちトポロジーを維持しない方法によって形成することもできる。また当然ながら、既存の構造を部分的に水平化する混成的な形式を用いることもできる。これは例えば、想定する厚さを得るために堆積される材料の量によって影響を受ける場合がある。
【0029】
構造化は、例えばフォトリソグラフィによる構造化、湿式化学エッチング法、物理的エッチング法、あるいは反応性エッチング法など、一般的な薄膜あるいは半導体方法を用いて行うことができる。例えば、適切に構造化および現像されたサンプルは、酸、塩基、あるいはその他任意の反応性化学品に浸漬される。同様に、物理的エッチング処理(例えばイオンビームエッチング:IBE)あるいは化学的にサポートされた物理的エッチング処理(例えば反応性イオンエッチング:RIE)を用いてもよい。また、適切なエッチバック工程、研磨処理、あるいは粗研磨処理を用いて、層の平坦化を行ってもよい。一例としては、化学的機械研磨(CMP)が挙げられる。
【0030】
前述のように、第3の層150は、例えば金属層であってよい。このような金属層を形成するためには、一般的に、金、銀、アルミニウム、銅、タングステン、クロム、チタン、プラチナ、あるいはパラジウムが用いられる。他の2つの層130および140は、例えば、酸化物または窒化物からなる絶縁層、あるいは(ドープされた)半導体層、例えばポリシリコンからなる層であってよい。
【0031】
以下に、本発明の第1の実施形態についてより詳細に説明する。しかしその前に、本出願においては、同一または同様の機能的特徴および/または構造的特徴を有する物、構造、および部品は、同一の参照符号によって示されていることに留意されたい。この場合、別段の記載がない限りは、同様または同一の機能的特性および特徴を有する物、構造、および部品に関して説明している箇所は、置き換え可能である。さらに、本出願を読み進めるに当たり、2つ以上の図において実施形態または構造が同一または類似している物、構造、および部品に対しては、略式の参照符号が用いられている。例えば、上述の層構造100における2つのトポロジー形成部品170−1および170−2を示すために、略式の参照符号170が既に用いられている。同様に、2つのトポロジーエッジ190−1および190−2を示すために、略式の参照符号190も既に用いられている。略式の参照符号を用いることによって、本発明の実施形態についてよりコンパクトに、滑らかに、そして明確に説明することができる。
【0032】
図2は、固定用構造200の第1の実施形態を示している。固定用構造200は、オーバーハング形状の側壁を少なくとも1つ有する固定用凹部構造220内に係合あるいは陥没した金属構造210を有している。固定用凹部構造220は、例えばシリコンなどの基板材料内、あるいはその他任意の半導体基板内に形成することができるが、層内に形成することもでき、あるいはこれら両方を組み合わせたものの内部に形成することもできる。内部に固定用凹部構造220が形成される層、構造、あるいは基板に用いられる材料に応じて、以下に例示する様々な製造方法を用いることができる。各層に用いられる材料としては、半導体層、すなわち、エピタキシャルシリコン層または多形シリコン層(ポリSiまたはポリシリコン)、絶縁層(酸化物層、窒化物層)、あるいは、例えば有機層などの他の層(ポリイミド層、ポリアミド層、PMMA層等)が挙げられる。
【0033】
図2に示されている固定用構造200は、オーバーハング形状の側壁230に加えて、側壁240を有している。側壁240は、基本的には垂直に伸びており、また側壁230の反対側に位置している。当然ながら、側壁240は、固定用構造200の別の実施形態においては、必要に応じて、オーバーハング形状の側壁230’に置き換えることができる。しかし、固定用凹部構造220が、オーバーハング形状の側壁230を1つ有しているのか、あるいは複数有しているのかに関わらず、これらの側壁230は金属構造210を固定する。金属構造210は、関連するデバイスに影響を及ぼさないように、殆どまたは全くリフトオフおよび/またはシフトしないように、固定用凹部構造220内に配置されている。
【0034】
言い換えると、オーバーハング形状の側壁230を少なくとも1つ有する金属構造が、少なくとも部分的に固定用凹部構造内に配置されることによって、真の意味において、金属構造210全体が、内部に固定用凹部構造220が形成される周囲構造によって固定される。したがって、金属構造210内におけるシフトの原因となり得る負荷あるいは応力が誘発される傾向を、制御しながら抑制することができる。この結果、例えばTCサイクル(TC=温度サイクル)中に生じる、品質を損なわせる傾向を、制御しながら低減することができる。
【0035】
したがって、固定用構造200の一実施形態を実施することによって、コストの掛かる手段を追加的に講じることなく、デバイス動作の安全性を大幅に向上させることができる。したがって、固定用構造200の実施形態によって、デバイスの信頼性に関係する動作の安全性を低コストで向上できる形態が、一般的に実施し易い方法で可能となる。
【0036】
言い換えると、固定用構造200の実施形態を導入することによって、金属ゾーン210すなわち金属構造210のTC動作を、非常にコスト中立的な方法で大幅に改善することができる。このような固定用構造200の実施形態は、例えば、プロセスフローにおいて既に何らかの形でトレンチを用いている技術に採用することができる。例えば、トレンチをそれぞれ備えたセルフィールドを有する縦型トランジスタが取り扱われる場合、非常に幅の広い1つまたは複数のトレンチが、セルフィールドトレンチが形成される処理工程と同一の処理工程中に、例えば後に固定される金属構造210の下に形成される。したがって、これらのトレンチあるいは凹部は、固定用トレンチまたは固定用凹部構造220とも称される。
【0037】
上記目的のために成すべきことは、基本的には、金属構造210の下における完成デバイスのレイアウトを適合させるだけであるため、コスト効率が非常に高い方法で適切な対策を実施することができる。より具体的には、固定用凹部構造220として機能し、それぞれの技術に適合する幅を有するトレンチを、各金属構造210の下のレイアウトに形成することができる。例えば縦型ハイパワートランジスタが扱われる場合、固定用凹部構造の深さは別として、想定する電圧レベルに応じて、各固定用トレンチまたは固定用凹部構造220の幅を決定することも可能である。固定用凹部構造の深さは、セルフィールドにおいて想定されるトレンチの深さによって、最も簡素な方法で決定することができる。
【0038】
言い換えると、最も簡素な場合に例えるならば、縦型トランジスタあるいはそのデバイスの実際のセルフィールド内におけるトレンチの深さによってもたらされるターゲットの深さとは別に、固定用凹部構造220の正確な形状は、各デバイスのレイアウトに配置された際における固定用凹部構造220の幅(トレンチ幅)を用いてさらに変更することができる。これに関連して頻繁に用いられる、金属構造210としてのパワーメタライゼーションの層厚は約5μmであり、したがって固定用構造200のトレンチの想定される深さは、約3μm〜7μmである。当然ながら、固定用凹部構造220は、別々の処理工程において形成あるいは製造することもできる。
【0039】
既に説明したように、プロセス工学技術に関する詳細事項は、固定用構造200の一実施形態を製造する方法を実施あるいは集積化するプロセスに大いに依存している。オーバーハング形状の側壁230あるいは固定用凹部構造220を形成するための、さらなる態様について説明するが、その前に、固定用構造200の2つのさらなる実施形態について、図3および図4を参照しながら説明する。図3および図4では、電界効果トランジスタのゲート電極を接触させる金属構造として、いわゆるゲートランナーが用いられている。
【0040】
図3は、縦型電界効果トランジスタの場合における、固定用構造200の実施形態の断面図を示している。当該縦型電界効果トランジスタは、複数のトレンチを含んでおり、図3の左手区域には、その第1のトレンチ250が示されている。ここで、縦型電界効果トランジスタである当該デバイスは、単結晶シリコン基板を基礎として製造される。単結晶シリコン基板には、後にエピタキシャルシリコンゾーン260が設けられ、エピタキシャルシリコンゾーン260内にはトレンチ250が構造化および形成される。エピタキシャルシリコンゾーンは、ここでは、実際のデバイスおよび固定用構造200の実施形態に対する支持層構造を構成している。トレンチ250は、絶縁層270と並んでおり、内部にはポリシリコン(ポリSi)からなる下部電極280が堆積される。上部電極290もまたポリシリコンから形成されていてもよく、薄い絶縁層300によって下部電極280から電気的に絶縁されており、またトレンチ250内の下部電極280の上に配置されている。
【0041】
これに関連して、第1のトレンチ250の左手領域内にある上部電極290の高さに位置する絶縁層270は、その下に位置する第1のトレンチ250の底領域におけるよりも薄くなるように形成される。絶縁層270はこのようにテーパ形状をしているため、トレンチ間における上記領域内に形成される導電チャネルの固有の特性は、縦型トランジスタのゲート電極である上部電極290を介して、比較的低い制御電圧あるいはゲート電圧からの影響を受ける場合がある。上部電極290は、ゲート電極としても機能するため、図3では「G」とも示されている。
【0042】
対照的に、図3に示されているように縦型トランジスタを設けることによって、下部電極280にソース電位が印加される。このため、下部電極280は、図3において「S」で示されている。下部電極280は、トレンチ間における上記領域内の静電界に影響を及ぼすため、フィールドプレートとも称される。
【0043】
図3に示されている固定用構造200の実施形態は、各デバイスのセルフィールドの縁を構成している第1のトレンチ250に加えて、固定用トレンチ310すなわちトレンチ310を含んでいる。固定用トレンチ310もまた、単結晶シリコン基板上のエピタキシャルゾーン260内に配置されている。また、固定用トレンチ310は、第1のトレンチ250と同様に、絶縁層270と並んで配置されている。絶縁層270は、その上に位置する層をエピタキシャルゾーン260から電気的に絶縁している。さらに絶縁層270は、固定用トレンチ310と第1のトレンチ250との間の領域内、および、固定用トレンチ310の第1のトレンチ250とは反対側にある面上に伸びており、また、その上に位置する層をエピタキシャルゾーン260から電気的に絶縁している点について、説明を完全にするために述べておく。
【0044】
固定用トレンチ310内には、絶縁層270上にフィード構造(feed structure)320が配置されている。フィード構造320は、固定用トレンチ310の底部からその側壁へ伸び、固定用トレンチ310外の領域まで伸びている。フィード構造320は、一般的にはポリシリコンからなり、また、図3に示されている断面の外側に伸びる構造を介して、上記トレンチ内(および第1のトレンチ250内)の上部電極290に接触している。これを示すために、フィード構造320は、図3において「G」とも示されており、また「ポリ−G」あるいは「ポリゲート」と称されることも多い。言い換えると、大抵はポリシリコンから形成されていると共に図3に示されている断面の外側に位置するデバイス内を伸びる構造を介して、ポリゲート320は、第1のトレンチ250を含むトレンチ内の上部電極290に接触している。
【0045】
ポリ−G320は、固定用トレンチ310内およびその側壁において、図3では「INT OX」とも示されている中間酸化物330によって被覆されている。図3に示されている断面では、中間酸化物330はまた、ポリ−G320が伸びていない領域内にも伸びている。このように、中間酸化物330は、特に、第1のトレンチ250内に位置してゲート電極として機能する上部電極290も被覆している。
【0046】
中間酸化物330は、固定用トレンチ310の底部領域においてコンタクトホール340を含んでいる。ポリ−G320は、コンタクトホール340を介して、本実施形態に係る固定用構造200の金属構造210と、直接的かつ導電的に接触している。前述のように、金属構造210は、いわゆるゲートランナー構造の一部である。ゲートランナー構造は、チップの外側領域に沿って伸び、フィード構造すなわちポリ−G320を接触させるように機能する。ゲートランナーの正確な位置については、図6に関連して後にさらに詳しく説明する。
【0047】
本実施形態に係る固定用構造200の金属構造210は、固定用トレンチ310内に配置されている。固定用凹部構造220は、この場合、中間酸化物層330の凹部によって形成されている。したがって図3に示されている実施形態では、中間酸化物330によって形成される、固定用凹部構造220の側壁230は、図3の破線350で示されているように、オーバーハング形状をしている。さらに、この結果、図3に示されているトポロジーでは、金属構造210の表面がわずかに下垂している。これによって、固定用構造200の本実施形態によるアンカリング効果をさらに補助している。
【0048】
図3に示されている固定用構造200の実施形態では、高い体積分率を有する金属線210が、矢印360で示されるシリコン表面(Si表面)の下に形成されており、エピタキシャルゾーン260の始点を成している。言い換えると、固定される断面の形状の態様として、図3に示されている実施形態では、導線210の金属体積の大部分が、トレンチ構造すなわち固定用トレンチ310内に配置され、これによって意図するように固定がなされる。したがって金属線210は、リフトオフ(リフトされた金属線)されることがない。また、これによって、トレンチ310上の領域内の上縁部分に位置する金属構造210が下垂した形状となるため、横方向に作用するシフト力は部分的なシフト効果しか持たない。さらにこれによって、部分的に、金属線210がトレンチ310内のさらに深部へと圧迫される。金属構造210のアンカ形状を形成するに当たって特徴的なことは、固定用凹部構造のオーバーハング形状の側壁230が得られるように、固定用トレンチの側壁に中間酸化物330が形成される点である。
【0049】
金属線すなわち金属構造は、シリコン表面上あるいは(第1の酸化物とも称される)絶縁層270上に配置されている場合、負荷あるいはTC応力によって生じる応力を受ける広い横領域を有することになる。この場合、金属構造がシフトまたはリフトオフされる(シフト/リフトされた金属線)危険性が非常に高い。しかしこの危険性は、固定用構造200の一実施形態を用いることによって大幅に低減することができる。したがって、各固定用構造200の実施形態における、TC負荷に対する抵抗は、基本的にシリコン表面上に配置された金属線よりも大幅に高い。
【0050】
固定用構造200の別の実施形態について、図4に関連して説明する。しかしその前に、矢印360で示されている表面すなわちシリコン表面は、シリコンと第1の酸化物270との界面とも称される場合が多い点について留意されたい。また、絶縁層270は、想定されるデバイスの領域の機能に応じて、第1の酸化物および/またはゲート酸化物とも称される。第1のトレンチ250内および図3には示されていない別のトレンチ内の下部電極280は、トレンチ内のポリシリコンまたはポリ−S、あるいはソースフィールドプレートとも称される。上述したように、デバイス表面に近接して配置されている、トレンチ250内のポリシリコン290は、ゲート電極を形成している。
【0051】
本発明の一実施形態に係る、半導体デバイスの金属構造210のための固定用構造200は、オーバーハング形状の側壁230を少なくとも1つ有する固定用凹部構造220を含んでいる。金属構造210は、少なくとも部分的に固定用凹部構造220内に配置されている。このような固定用構造200内では、金属構造210は、その実質的な体積分率が固定用凹部構造220内へと配置されて、基板表面まで固定用凹部構造220を充填するように、固定用構造220内に少なくとも部分的に配置することができる。
【0052】
別の固定用構造200では、固定用凹部構造220は、絶縁層330の一部として支持層構造320上に配置することもできる。金属構造210は、固定用凹部構造220のオーバーハング形状の側壁の下において、少なくとも部分的には、支持層構造320上の領域内に伸びていてよい。このような固定用構造200とすることで、金属構造210の体積分率の少なくとも20%を、固定用凹部構造220内に配置することができる。
【0053】
固定用構造200の実施形態では、金属構造210は、少なくとも部分的に露出される主表面を含んでいてよい。固定用凹部構造220は、ここでは、固定用トレンチ構造であってよい。固定用凹部構造220と一体になって、当該固定用トレンチ構造は、支持層構造260の主表面に対してトレンチを含んでいてよい。当該トレンチは、支持層構造260内に配置されており、当該トレンチの主表面360に面している側壁の少なくとも一部は、酸化物層330によって被覆されていてよい。この被覆は、トレンチの深度が大きくなるにつれて酸化物層330が厚くなるように行われる。これによって、トレンチの側壁に配置された酸化物層330が、固定用トレンチ構造220のオーバーハング形状の側壁230を形成する。1つの固定用構造200と共に、上記トレンチ内において、酸化物層330と当該トレンチとの間に、導電性のコンタクト構造層320がさらに配置されていてもよい。酸化物層330は、トレンチの底領域に面する側に凹部340を含んでおり、これによって金属構造210は、コンタクト構造320と直接接触している。上記デバイスは、支持層構造260内において別のトレンチ250を含んでいてよい。固定用トレンチ構造220の最大幅は、別のトレンチ250の幅の少なくとも3倍である。
【0054】
図4は、固定用構造200の別の実施形態を示している。本実施形態は、実際の固定用構造およびトランジスタ構造において、図3に示されている全体構造とわずかに異なっているのみである。このため、個々の構造、部品、および物体に関する説明は、図3での説明を参照されたい。より具体的には、図4に示されている固定用構造200の実施形態と、図3に示されている実施形態との違いは、基本的には、固定用トレンチ310の幅および金属構造210の層厚のみである。例えば、ゲートランナー構造の金属構造210すなわち金属線210は、矢印360で示されているデバイスのシリコン表面からわずかに突出している。この結果、図4に示されている固定用構造200の実施形態では、金属線210は、その体積分率の大部分がシリコン表面下に位置するように配置されている。本実施形態では、金属線210は、そのほぼ全体がシリコン表面下に位置しているため、図3に示されている金属構造210のように表面が下垂した独特のアンカ形状を有していない点においても、図3に示されている金属構造210とは異なっている。
【0055】
本実施形態による固定用構造200においても、中間酸化物230からなるオーバーハング形状の側壁230によって、TC負荷あるいはその他の動作依存負荷あるいは試験依存に関連して生じる力は、金属線210上において横方向に作用することはない。さらに、金属線210をリフトオフしようとする力は、金属線210が、図3に示されている実施形態よりも低い位置において、横方向のオーバーハング形状の側壁230と組み合わせて配置されていることによって、その主要位置から移動することはない。したがって、図4の断面図に示されている断面形状は、金属構造210の錨形断面をもたらしている固定用凹部構造220のオーバーハング形状の側壁の形状と、矢印360で示されている表面すなわちシリコン表面よりもほぼ完全に下に位置している金属構造210の配置とを、組み合わせて示している。
【0056】
対応する固定用構造の実施形態(例えば、図3および図4に示されている固定用構造200の実施形態)を製造するプロセスを共通化できる可能性に関連して前述したように、固定用トレンチ310は、とりわけ第1のトレンチ250を含むセルフィールドの実際のトレンチと同一の処理工程において形成することができる。この場合、固定用トレンチ310の目標深度は、別のトレンチ(特に、トレンチ250)とほぼ対応している。しかし、上述したように、また図3および図4の2つの実施形態に明確に示されているように、固定用トレンチ310の幅は、実際のセルトレンチおよび固定用トレンチ310の異なる態様に関して、異なるように設計することができる。図3の実施形態に示されている固定用トレンチ310は、例えば、セルフィールドトレンチ(例えばトレンチ250)よりも遥かに幅が広いが、図4の固定用トレンチ310よりも明らかに狭い。
【0057】
プロセスの共通化によって、固定用トレンチ310を有するセルフィールドのトレンチが形成された。これらのトレンチの深度は、用いられる電圧レベルに応じて、一般的には3μm〜7μmである。別のプロセスフローでは、セルフィールドトレンチに酸化物およびポリシリコン電極が充填され、これら酸化物およびポリシリコン電極が、例えば下部電極280および上部電極290となるようにしてもよい。
【0058】
図3および図4に示されている固定用構造の実施形態からの変形例として、固定用トレンチ310にも全てのフィールドプレート280および290が充填されるのか、あるいは、関連するそれぞれのポリシリコンのみがフィード構造320として導入されるのか、という問題は、関連するポリ構造のレイアウトによって、コスト中立的な方法でそれぞれ解決することができる。図3および図4において想定されている、ゲートランナー構造である実施形態では、上述したように、固定用トレンチ310の領域内に比較的厚い第1の酸化物を形成して、絶縁層270すなわち第1の酸化物270を介して配置するゲート/ドレイン電圧を生成し、より広範囲に配置し、結果としてゲート/ドレイン絶縁耐力を改善させることが望ましい。複数の縦型トランジスタと同様に、デバイスの後部にドレイン電位が印加される。当該ドレイン電位は、高電圧デバイスの場合においては、ゲート電圧やソース電圧とは大幅に異なっていてもよい。選択される電圧レベルに応じて、ゲート電圧とソース電圧との間の電圧は、10Vまたは10V未満であってもよく、デバイス後部のドレイン端子とゲート電位およびソース電位用の端子との間の電圧は、数10V〜数100Vであってもよい。
【0059】
さらに、図3および図4において想定されているゲートランナー構造の場合では、固定用トレンチ310内において、比較的厚い第1の酸化物を用いるだけではなく、ゲートポリシリコンまたはポリゲート320を形成することにより、ゲート/ドレイン絶縁耐性を確保することが望ましい。また他方では、セルフィールドのトレンチ(セルフィールドトレンチ)内におけるゲートポリシリコン290と金属ゲートランナー210とを接触させることが望ましい。
【0060】
図3および図4に示されている実施形態では、後に中間酸化物330となる中間酸化物を形成する処理工程において、オーバーハング形状の側壁230を少なくとも1つ有する特徴的な固定用構造すなわち固定用凹部構造220が形成される。この製造工程によって、固定用トレンチ側壁において、小型〜中型サイズの張り出しを有する側壁230を備えた、中間酸化物330が形成される。これは例えば、TEOS堆積(二酸化ケイ素SiOを堆積するためのテトラエチルオルトシリケート)によって行われる。この代わりに、あるいはこれに加えて、BPSG(ホロケイ酸ガラス)をリフローして、材料に応じた特定の閾値温度(一般的には700℃〜1200℃)を超えて加熱する処理工程によって行うこともできる。基本的には、両方の材料の積層を組み合わせることにより、対応する中間酸化物を形成することも可能である。
【0061】
上記の代わりに、あるいは上記に加えて、中間酸化物330への傾斜欠陥注入によって張り出しを形成することもできる。これによって、後のエッチング工程におけるエッチング速度を、用いるエッチャント(例えばフッ化水素酸(HF:HFエッチング))、および場合によっては別のプロセスに関連するパラメータに応じて、上昇または低下させることができる。この代わりに、あるいはこれに加えて、エッチングされたシリコン構造の側壁への(欠陥)注入、および後の(熱)酸化工程によって、張り出しを形成することもできる。プロセスの特定の構成によっては、例えば熱酸化の酸化速度を、対応する(欠陥)注入量に応じて変化させ、これに対応するオーバーハング形状の側壁または側方部(flank)を形成することができる。
【0062】
次に、標準的なコンタクトホール形成によって、固定用トレンチ結合の部分的範囲内において、ゲートポリシリコン320を接触させるために、中間酸化物330をコンタクトホール340として開いてもよい。次に行われる(複数回の)メタライゼーションによって、固定用トレンチ310が完全に密封される。これによって、トレンチの底部領域内においてトレンチの上方領域よりも広い金属アンカが、金属構造210として形成される。上記密封に関連して、後のメタライゼーション工程において、基本的にポケット(すなわち空洞または気泡)が形成される場合がある。しかしこれらの空洞は、多くの場合、メタライゼーションの最上部を完全に密封する際において特に大きな影響を及ぼすことはないため、無視してよい。
【0063】
当然ながら、上記方法は、ゲートポリ320を介してゲート電極290のためにフィード構造320を接触させるために用いるだけではなく、基本的には他のフィード構造(例えばソースポリ)を接触させるために用いることもできる。
【0064】
次に行われる金属構造化は、全プロセスの特定の態様に応じて、金属構造210の金属側方部が固定用トレンチ310の上方および外側に配置された図3の状態となるように設計することができる。図4の固定用構造200の実施形態に示されているように、メタライゼーションまたはメタライゼーションの構造化は、固定用トレンチ310内の固定用トレンチ側壁領域内に金属側方部が配置されるように行うこともできる。したがって、図4に示されている形態では、金属線210が固定用トレンチ内に完全に「降下」されているため、横方向のTC応力を受けない状態となっている。
【0065】
このように、本発明の実施形態は、非常にコスト中立的な方法で実施可能ないわゆる固定用構造を導入することによって、金属ゾーンのTC性能を顕著に改善することができる。金属ゾーンのための固定用構造の実施形態は、基本的には、全てのデバイスに一様に適用することができる。これは当然ながら、これらデバイスの製造プロセスにおいて、対応するトレンチまたはトレンチ構造あるいはその他の凹部が既に一体化されている場合は、特にコスト中立的な方法で実施することができる。したがって、対応する固定用構造の実施形態は、トレンチトランジスタの場合は特に、非常に有利な方法で実施することができる。
【0066】
一般的に、固定用トレンチ310のレイアウト、あるいは(特定の態様に応じて)固定用凹部構造220の形状、すなわち少なくとも部分的に金属線210を収容する幅広のトレンチの形状は、任意であってよい。これは例えば、部分的にのみ金属線210下に形成されていてよく、あるいは完全に金属線全体に沿って配置されていてもよい。また、長手方向への力に対してさらに抵抗力を持たせるために、縁において嵌合構造を含んでいてもよい。これについては、本明細書において、後にさらに詳しく説明する。
【0067】
金属線210が固定されている場合、あるいは金属線210が内部に配置されている場合、固定用凹部構造220の幅、あるいは固定用トレンチ310(トレンチ構造)の幅は、任意に選択することができ、また、各技術あるいは後の各プロセスフローに最適な方法で適合させることができる。一般的には、これに関連して追加的な(多額の)コストが発生することはない。これは、関連するデバイスに対して何らかの形で用いることのできる既存のプロセス技術によって上記構造を形成することができるからである。例えばトレンチトランジスタの場合では、対応する構造は、既存のトレンチフォト技術およびトレンチエッチング技術によって製造することができる。この場合、金属構造210のアンカリングは、各技術の残りのプロセスフローによって行われる。
【0068】
また、本発明に係る固定用構造200の実施形態を用いることによって、金属線の下(例えばゲートランナー構造の下)に各金属構造210を形成できるだけではなく、基本的には、任意の種類のメタライゼーション、すなわち、例えばボンディング用またはその他の用途に用いられる金属パッド(ボンドパッド)を固定することも可能である。したがって、基本的には、対応する固定用凹部構造220を対応する金属構造210として、各メタライゼーション(例えば金属パッドまたはボンドパッド)の下部に設け、これによって、例えばTCに誘起される負荷に対する金属構造210の抵抗を大幅に改善することができる。
【0069】
このように、各固定用構造の実施形態では、例えば、固定される金属構造210の金属体積の20%以上が、シリコン表面の下または第1の酸化物270の下まで配置される。したがってさらに、固定用トレンチ310内の中間酸化物320は、例えば張り出しを形成することができる。固定用トレンチ310すなわち固定用凹部構造220は、特定の態様によっては、例えば図3および図4の第1のトレンチ250のような各セルフィールドトレンチの3倍であってもよい。前述したように、固定用トレンチ310は、多くの製造プロセスにおいて、対応するセルフィールドトレンチの処理工程と同一の処理工程において製造可能であるため有利である。
【0070】
したがって、図3および図4に概略的に示されている断面は、顕微鏡画像あるいは場合によってはSEM断面(SEM=走査型電子顕微鏡)によって、例えば筐体を開いた後に得られ、また場合によっては対応する金属のリフトオフ後に得られる。
【0071】
図2〜図4に部分的に示されているように、金属層210は、矢印360によって示されている主表面の上と下との両方に伸びていてよい。凹部220の幅は、少なくとも、矢印360で示されている表面よりも下に位置している部分の金属層210内においては、特定の態様に応じて完全または部分的に充填することができる。「横方向」という表現は、凹部220が伸びている方向に対して垂直であり、上記表面に対して平行な方向を指している。金属層210は、凹部220の高さ全体または深さ全体を充填する必要はない。各凹部220の高さの特定の割合、すなわち約20%以上、30%以上、50%以上、あるいは75%以上が、金属層210によって充填されていれば十分である。
【0072】
特定の態様によっては、各金属層210は、凹部220の断面領域を最小限に充填していてよい。例えば、金属層220は、凹部220が伸びる方向に対して垂直である凹部220の断面領域の20%以上、30%以上、50%以上、あるいは75%以上を充填していてよい。しかしながら、金属層ごとに、各トレンチあるいは各凹部に完全に並べたり、あるいは上述した任意の割合に並べることもできる。
【0073】
図3および図4に示されているように、凹部220は、例えばトレンチ310あるいは固定用トレンチ310に基づいて形成することができる。各デバイスは、凹部220あるいは関連する固定用トレンチ310に加えて、別のトレンチ構造を含んでいる場合が多い。この一例としては、図3および図4に示されている第1のトレンチ250が挙げられる。本発明の実施形態では、凹部220は、各凹部220が伸びている方向に対して垂直な幅を有している場合が多い。この幅は、他方のトレンチ構造の幅の少なくとも二倍、三倍、五倍、あるいはこれ以上である。上記別のトレンチ構造は、例えば第1のトレンチ250などのセルフィールドトレンチであってよい。
【0074】
なお、上記説明は、上記凹部220およびその内部に配置された金属構造210のみならず、本発明の多数の別の実施形態にも適用可能であることに留意されたい。別の実施形態については、本明細書の別の部分において説明する。また、固定用凹部、固定用凹部構造、あるいはその他任意の凹部は、基板、基板材料、層あるいはその他のデバイス構造内のトレンチ構造または凹部構造に基づいている場合が多いことについても留意しておくと有用である。しかしこれらは、凹部の形状が、追加的な層(例えば絶縁層、半導体層、金属構造、およびコンタクトホール)によって変わることがあることを考慮する場合がある点において、その下に位置するトレンチ構造とは異なっている。本発明においては、凹部は多くの場合、その下に位置するトレンチとは異なり、内部に各層が配置される自由空間であると考えられる。したがって、「トレンチ」という呼称は、多くの場合、エッチング処理あるいはその他任意の構造化手段によって膜または基板内に形成された構造を指す。一方、「凹部」という呼称は、本願においては、多くの場合、エッジおよび構造によって構成される領域を指している。
【0075】
図5は、基板上のデバイスのための嵌合構造の実施形態を示している。図5Aは、嵌合構造400の各実施形態の平面図であり、図5Bは、図5Aに示されている実施形態の概略断面図である。図5Bの断面図に示されている基板410には、構造化されたデバイス層420が形成されている。構造化されたデバイス層420は、例えば絶縁層、半導体層、あるいはその他任意の層である。図5Aおよび図5Bに示されている実施形態では、構造化されたデバイス層420は、基板410の主表面から突出したL字型層であり、このため、構造化されたデバイス層420を少なくとも部分的に被覆する層のためのトポロジーエッジ430を形成している。図5Aおよび図5Bに示されている実施形態では、構造化されたデバイス層420は、特に金属構造440によって被覆されている。このため、構造化されたデバイス層430上の金属構造440は、少なくとも構造化されたデバイス層420のトポロジーエッジ430を横断する部分に伸びている。
【0076】
図1に関連して既に説明したように、図5Bは、図5Aおよび図5Bにおいて矢印450によって示されている方向に沿った、デバイスの断面を示している。したがって図5Bは、図5Aに概略的に示されている方向A−A’に沿って切断した状態を示している。
【0077】
図5Aおよび図5Bに示されている実施形態の構造によって、構造化されたデバイス層420のトポロジーエッジ430は、金属層440とも称される金属構造440に対して、図1に関連して説明した通りに構成されるトポロジーエッジに相当する。上部に金属構造440が伸びているトポロジーエッジ430が、例えば基板の主表面に対して平行に配置可能な平面内に投影している場合、その平面におけるトポロジーエッジ430は、隣接した線を少なくとも1つ形成するであろう。この隣接した線は、図5Aにおける表示の方法により、線430と対応する。この点に関して、本願における線は、直線とは限らないことについて留意しておくと有用である。当該線は、角、エッジ、湾曲、あるいはその他の直線以外の形状を含んでいる。
【0078】
図5Aは、基板の主表面に対して平行な平面内に対応する投影を正確に示している。これは、隣接した線430として、構造化されたデバイス層420のトポロジーエッジ430を示している。線430は、凸状ではない(明確に表現するならば非凸状の)、または凹状のゾーン460の範囲を決定するように隣接している。これに関連して、凸状ゾーンまたは領域とは、数学的にも、多数の点であると理解されるべきである。当該領域またはゾーンの任意の2つの点に対し、これら2つの点を結ぶ直接的な直線上における任意の点は、当該ゾーンまたは領域に属していなければならない。言い換えると、ゾーン460が非凸状ゾーンまたは領域である場合、そのL字型構造ゆえに、例えば図5Aにおいて「X」で示されている2つの点470−1および470−2に対して、これらを結ぶ直線480は、L字型構造が「屈曲」している領域内のゾーン460の外側に伸びる。この結果、凸状ではない領域、ゾーン、および量(quantities)は、非凸状ゾーン、領域、および量と称される。また、非凸状ゾーン、量、および領域は、凹状ゾーン、量、および領域とも称される。
【0079】
また、図5Aに示されている実施形態では、直径が50μm以下、20μm以下、あるいは10μm以下である最小の円490の内部に、ゾーン460、すなわち、構造化されたデバイス層420全体が完全に包含されるようにすることができる。したがって、構造化されたデバイス層420の最大直径は、50μm、20μm、あるいは10μmである。
【0080】
図5Aおよび図5Bに示されている嵌合構造の実施形態では、一般的に、隣接した線430によって範囲が規定されているゾーン460は、約200nm(0.2μm)〜約2000nm(2μm)の構造幅を有している。構造幅という呼称は、一般的には、各点内の構造が伸びる方向に対して垂直に伸びる基板410の平面方向に関連している。数学的には、構造幅は、例えば構造の縁に対して垂直な方向における、当該縁の一点における幅を指している。構造幅は、多くの場合、図5Bに示されているような断面を用いることによって、特に容易に決定することができる。
【0081】
図5Aおよび図5Bに示されている、基板上のデバイスのための嵌合構造400の実施形態によって、その金属構造440が構造化されたデバイス層のトポロジーエッジ430と嵌合する。このため、例えばTC応力によって生じ上記金属構造に横方向に作用する力によって、基板の主表面上の金属構造が、(容易に)横方向に動かされることはない。言い換えると、金属構造440(すなわち金属線440あるいは金属ゾーン440)の構造化されたデバイス層420のトポロジーエッジ(すなわちエッジ430)によって、構造化されたデバイス層420およびそのトポロジーエッジ430を介して対応する金属構造440から基板410へと横方向に作用する力を、伝達させることができる。したがって、例えば図5Aおよび図5Bに示されている嵌合構造の実施形態によって、例えばTC試験の領域において金属線が受ける大きな温度差に対する、金属構造440の耐性を改善することができる。
【0082】
これは、別の実施形態に関連して以下により詳しく説明するように、例えば構造化されたデバイス層420を導入するなど、簡素なレイアウト対策によって達成することができる。しかし、独立した構造化されたデバイス層420を制御された方法で導入する必要はなく、適切な設計手段によって、既存のデバイス層をさらに開発または処理して構造化されたデバイス層420とすることができる。
【0083】
図5Aおよび図5Bに示されている、本発明に係る嵌合構造の実施形態では、トポロジーエッジ430は、基板410の主表面から突出した構造化されたデバイス層420によって形成されていた。これに対し、以下では、嵌合構造400の実施形態について、図6、図7A、および図7Bに関連して説明する。嵌合構造400では、トポロジー形成エッジ430がデバイス層内の凹部によって形成されていることによって当該デバイス層が構造化されたデバイス層420を構成する。
【0084】
図6は、本実施形態に係るチップ500のレイアウト図、あるいは対応するチップのレイアウトを概略的に示している。より具体的には、チップ500は、図6には示されていないセルフィールド内において多数の縦型ハイパワートランジスタ構造を含んでいるチップである。これらの縦型ハイパワートランジスタ構造同士は、チップ500の設計上の理由によって並列接続されているため、縦型ハイパワートランジスタとして機能する。より具体的には、図6は、対応するチップ500の平面図を示している。チップ500の後部に配置されている電極、すなわちチップ500の後部に配置されている端子は、図6には示されていない。上記端子は、一般的には、効果的に形成された縦型ハイパワートランジスタのドレイン端子である。
【0085】
図6は、具体的には2つの金属ゾーン510および520を示している。これらの金属ゾーン510および520は、ソースメタライゼーションフィールド510、およびゲートメタライゼーションフィールド520である。したがって、これら2つのメタライゼーションフィールド510および520は、チップ500の縦型ハイパワートランジスタ構造のための対応する端子を構成している。これら2つのメタライゼーションゾーン510および520は、各金属間の距離によって空間的に分かれている。
【0086】
ソースメタライゼーションゾーン510は、そのサイズおよび下に位置するトポロジーのみのために、ボンドパッドあるいはコンタクトパッドとして用いることができる。ゲートメタライゼーションゾーン520は、ボンドパッドあるいはコンタクトパッドとして、いわゆるゲートパッド530をさらに含んでいる。縦型ハイパワートランジスタ構造のゲート電極は、ゲートパッド530を介して、対応するボンドワイヤを用いて接続される。ゲートメタライゼーションゾーン520は、そのU字型構造ゆえに、ゲートランナー構造またはゲートランナーとも称される。このようなゲートランナー520は、一般的に、10μm〜約500μmの範囲の構造幅を有している。この構造幅は、例えば、ゲートパッド530領域の上限値に達していてもよい。
【0087】
ゲートランナーの領域内では、チップ500の表面下に位置するポリシリコンからなるフィード構造は、対応するコンタクトホール位置にある対応するコンタクトホールを介して、ゲートパッド530と導通するように接触している。したがってゲートランナー520は、対応するコンタクトホール位置を介して、チップ500が接続される外部回路へのゲートコンタクトを構成している。
【0088】
さらに、図6は、チップの角領域の枠540を示している。角領域は、通常はTC試験中に最大の負荷が掛かる部分である。以下に説明する図7Aおよび図7Bは、詳細を明確に説明するために、枠540で示されている領域の拡大図を示している。
【0089】
図7Aは、枠540領域内のチップ500の平面図を示している。当該領域では通常、上述したように、TC試験中に最大の負荷が生じる。したがって図7Aは、ソースメタライゼーションゾーン510の詳細、およびゲートメタライゼーションゾーン520(ゲートランナー)の詳細を示す。図7Aにおいてもまた、両金属ゾーン同士は、それらの間に存在する空間的距離によって互いに分かれている。このため、関連する構造間における電気的短絡を防止することができる。
【0090】
さらに、図7Aは、嵌合構造400の様々な実施形態のための、構造化されたデバイス層420あるいは構造化されたデバイス層420から得られるトポロジーエッジ430の本発明に係る様々な実施形態を示している。より具体的には、図7Aは、異なる実施形態に係る嵌合構造の8つの異なるトポロジーエッジ430−1・・・430−8を示している。これらのトポロジーエッジは、本実施形態では、ゲートランナー520領域内に位置する縦型トランジスタ構造のコンタクトホール平面に形成されている。図示されている実施形態では、これら嵌合構造は、その上に位置する金属構造のあらゆる方向におけるシフトに対応することができることを理解することが重要である。上記金属構造は、本実施形態では、基本的に、ゲートメタライゼーションゾーン520の一部である。
【0091】
図7Aの方向550に沿った区域(区域A−A’)について、図7Bに関連して説明する。しかしその前に、基本的には、これに対応するトポロジーエッジ430の形状は任意であってよいことに留意されたい。このような形状としては、特に、角を有する構造すなわち多角形構造430−1、430−3、430−6、430−7、および430−8が含まれる。また、多角形であるトポロジーエッジ430−5に示されているように、十字型のトポロジーエッジも同様に用いることができる。さらに、円形、蛇行形、螺旋形、あるいはトポロジーエッジ430−2で示されている波形も可能である。当然ながら、例えば2つの多角形構造と半円構造とが「重ね合わせ」られたトポロジーエッジ430−4に示されているように、上述した形状を組み合わせることも可能である。
【0092】
前述したように、ここで扱っているのは、ゲートランナー520のゲートコンタクトのためのコンタクトホール位置に形成された嵌合構造400の実施形態である。図7Bは、この実施形態についてさらに図解するために、図7Aにおいて方向550によって示されているチップ500の方向A−A’に沿った区域を概略的に示している。図7Bでは、分かりやすくするために、基板410表面下に位置する多用な構造、および場合によっては第1の酸化物層(例えば図3および図4の絶縁層270を参照)は示されていない。当然ながら、実際の態様では、デバイスを機能させるために必要な対応する構造は存在している。したがって図7Bは、単に、チップ500の実際の態様のための、方向A−A’に沿った断面を簡素に示している。
【0093】
これら全ての場合におけるデバイスは非常に関連があるため、図7Bに示されているチップ500の断面の正確な構成は、図3および図4に示されている断面と同様である。基板410領域内にある別の層および構造については既に説明されており、またこれらは、分かりやすくするために図7Bには示されていない。チップ500は、これら別の層および構造に加えて、フィード構造320を含んでいる。フィード構造320は、例えばポリシリコンからなっていてもよく、またチップ500のセルフィールド内に位置する縦型トランジスタ構造の実際のゲート電極を接触させるために用いることができる。フィード構造320は、本実施形態においてもまた、上部に中間酸化物330が堆積されている。中間酸化物330内には、図7Aにも示されているコンタクトホール340が挿入されている。したがって、中間酸化物330の層厚は典型的には、例えば100nm〜1000nmであってもよく、中間酸化物330は、トポロジーエッジ430−7を構成している。トポロジーエッジ430−7は、既に図7Aに示されており、また図7Aおよび図7Bに示されている実施形態では、構造化されたデバイス層420として機能する。中間酸化物330の上部には、金属構造440を構成するゲートメタライゼーションゾーン520すなわちゲートランナー520が堆積されている。
【0094】
したがって、図7Aおよび図7Bに示されている実施形態では、図7Aにも示されているコンタクトホール340−1〜340−8は、その側壁を介して、その上に位置する金属構造440あるいはゲートランナー520のためのトポロジーエッジ430を形成している。トポロジーエッジ430(あるいは図7Bに示されているトポロジーエッジ430−7)を用いて、構造化されたデバイス層420は、構造化されたデバイス層420の上に位置する金属構造440が横方向に生じるあらゆる力を逸らすことを可能にする。この力は、基板410表面上の金属構造440を、構造化されたデバイス層420を介して基板410内にシフトさせようとするものである。したがって、特に構造化されたデバイス層420のトポロジーエッジ430によって、その上に位置する金属構造440が、横方向の力に対して良好な嵌合を行うことができる。これによって、図7Bに示されている実施形態では、金属構造440のシフトあるいはゲートランナー420のシフトを生じさせることなく、チップ500の信頼性を著しく損なう横方向の力を低減することができる。
【0095】
本発明に係る嵌合構造400の一実施形態を用いることによって、特に、金属線および/または金属ゾーンのTC動作における信頼性を大幅に改善することができる。これは、非常に簡素な配置対策を講じることによって、完全にコスト中立的な方法で達成することができる。これは、基本的には、完成したデバイスを機能させるために必要な構造は、構造化されたデバイス層420を介して基板410上でなされる金属構造440の嵌合を可能にする、既定の形状によって置き換え可能であるからである。
【0096】
2つのタイプの嵌合、あるいは嵌合構造の実施形態について、一方では図5〜図7において図解し、他方では図8〜図11に関連して図解する。第1のタイプの嵌合構造は、基本的には、構造化されたデバイス層420を設けて構成される。構造化されたデバイス層420によって、その上部に配置された金属構造440が、基板平面上でのあらゆる方向における金属シフトのあらゆる傾向に対応できるようになる。図6および図7に示されている第1のタイプの実施形態は、コンタクトホール平面(中間酸化物330)を用いて、基板410表面に対して平行なあらゆる方向に生じ得る金属シフトに対応できる構造を形成する一形態を示している。コンタクトホール平面における嵌合の形成は、基本的には、図6および図7に示されている実施形態では、「内側に向けられる」。これは、ゲートランナー520の内部すなわち金属導線の内部、金属表面の内部、金属ゾーンの内部および金属構造の内部が嵌合されることを意味する。
【0097】
本発明の一実施形態に係る、基板410上のデバイスのための嵌合構造400は、基板410上において構造化されたデバイス層420を含んでいる。構造化されたデバイス層420は、少なくとも1つのトポロジーエッジ430と、構造化されたデバイス層420上の金属構造440とを有している。金属構造440は、構造化されたデバイス層420のトポロジーエッジ430の少なくとも一部に伸びている。トポロジーエッジ430は、その上部に金属構造440が伸びており、平面の投影において、隣接した線430を少なくとも1つ形成している。本実施形態では、線430は、投影の平面における少なくとも1つの領域460の範囲を規定している。領域460は非凸状であり、また領域460を完全に包含する最小の円490の直径は50μm以下である。
【0098】
嵌合構造400では、構造化されたデバイス層420と基板410との間に、導電性のコンタクト構造320を配置することができる。上記構造化されたデバイス層は、絶縁層330を含んでおり、構造化されたデバイス層420は、絶縁層330内にコンタクトホール340を少なくとも1つ含んでいる。これによって、金属構造440がコンタクト構造320と直接接触し、またデバイス層420内の凹部340がトポロジーエッジ430を形成している。このような嵌合構造400では、領域460あるいは当該領域のサブ領域は、円形、湾曲形、十字形、多角形、蛇行形、あるいは波形であってよい。同様に、嵌合構造400では、金属構造440は、少なくとも部分的に露出された主表面を含んでいてよい。
【0099】
嵌合構造400では、領域460の範囲を規定している線430は、第1の直線部分および第2の直線部分を含んでいてよい。第1の直線部分の方向および第2の直線部分の方向は、互いに70°〜110°の角度を成している。同様に、本発明の一実施形態に係る.嵌合構造400では、領域460の構造幅は、一般的に200nm〜2000nmであってよい。このような嵌合構造400では、デバイスは、基板410と構造化されたデバイス層420との間に別の積層320’および680を含んでいてよい。上記別の積層は、トポロジー形成エッジ430を含んでいる。このため金属構造440は、少なくとも部分的には、上記別の積層のトポロジー形成エッジに基づくトポロジーエッジ430上に伸びている。
【0100】
嵌合構造400では、上記別の積層は、別のコンタクト構造320’および別のコンタクト構造320’上の絶縁層構造680を含んでいてよい。コンタクト構造320は、少なくとも部分的には上記別の積層上に配置されている。コンタクト構造320上に配置された構造化されたデバイス層420は、絶縁層330を含んでいてよい。
【0101】
図8Aおよび図8Bは、基板410上のデバイスのための嵌合構造600の一実施形態を示している。図8Aは、対応するデバイスの平面図を示しており、図8Bは、図8Aにも示されている方向610に沿って切断した状態を示す概略断面A−A’を示している。
【0102】
図8Aは、構造化されたデバイス層420を再度示したものである。構造化されたデバイス層420は、基板410上に配置され、トポロジーエッジ630を少なくとも1つ有している。図8Aに示されている実施形態におけるトポロジーエッジ630は、鋸歯形に形成されている。構造化されたデバイス層620上には、金属構造640が形成されている。構造化されたデバイス層620は、少なくとも部分的にはトポロジーエッジ630上に伸びている。図8Aおよび図8Bに示されている嵌合構造600の実施形態では、金属構造640は、図8Aに示されている領域全体に伸びている。このため金属構造640は、分かりやすくするために、図8Aには示されていない。
【0103】
図5Aおよび図5Bに示されている嵌合構造400の実施形態に関連して既に説明したように、図8Aは、トポロジーエッジ630の投影を同時に示している。トポロジーエッジ630の投影は、基板410の主表面に対して平行に伸びる平面内に投影している。図8Aの、隣接を示す点によって示されているように、トポロジーエッジ630は、図8Aに示されている部分から明らかに投影している。図8Aに示されている平面すなわち投影平面では、トポロジーエッジ630は隣接した線を形成している。これに関連して、直線と線との違いに関する上記説明を再度参照されたい。
【0104】
ここでは、図8Aにおいて直線650の例によって示されているように、長さが19μm〜42μmの直線を上記隣接した線に沿って形成することが可能である。これによって、直線650上の第1の点660−1および直線650上の第3の点660−3に対して、上記直線は直線650の第1の側に位置し、また直線(650)上の第2の点660−2および第4の点660−4に対して、上記直線は第1の側の反対側に位置している。第2の点660−2は、第1の点660−1と第3の点660−3との間に配置されており、第3の点660−3は、第2の点660−2と第4の点660−4との間に配置されている。別の実施形態では、特定の態様の状況に応じて、長さが19μm〜21μm(長さ20μm+/−5%)、23μm〜27μm(長さ25μm+/−8%)、28μm〜32μm、33μm〜37μm、38μm〜42μm(長さ40μm+/−5%)、あるいは20μm〜40μm(長さ30μm+/−33%)の直線を、上記隣接した線に沿って構成し、上記各点が上述のように構成されるようにすることも可能であり、および/または、このように構成することが望ましい。
【0105】
言い換えると、直線650は、図8Aではトポロジーエッジ630と一致している隣接した線630と交差してもよく、これにより、上記隣接した線630は、第2の点660−1および第3の点660−3における直線650の一方の側において伸びるように構成することができ、また、第2の点660−2および第4の点660−4における直線650の他方の側とにおいて伸びるように構成することができる。4つの点660−1〜660−4は、直線650に沿って昇順に分布している。より具体的には、直線650に対して垂直な直線が、4つの点660−1・・・660−4において、直線650のそれぞれ一方の側あるいは他方の側において、直線650と交差している。
【0106】
これに関連して、各直線650は、図示されているように、例えば直線650−1および650−2(図8Aにも示されている)によって構成可能であるが、明瞭には構成可能ではなく、また点660−1〜660−4は選択可能であるため、上記の説明はこれらの点にも適用されることについて留意されたい。直線650−1および直線650−2は、直線650と次のように異なっている。すなわち、直線650−1は、直線650を平行にシフトさせたものであり、対照的に直線650−2は、直線650をわずかに傾斜させた又は捩らせたものである点において直線650とは異なっている。これとは関係なく、4つの点660に対する隣接した線630に関してなされた上記説明は、例えば図8Aに示されている直線650から他の2つの直線650−1および650−2に転用することができる。他の2つの直線650−1および650−2に属する点が図8Aに示されていないのは、図を分かりやすくするためである。
【0107】
線630は、一方では、隣接(すなわち数学的に安定)しており、他方では、直線650を参照しながら説明した特徴を備えた部分を含んでいる。これによって必然的に、隣接した線630の下にあるトポロジーエッジ630は、構造化されたデバイス層620に関して、複数のトポロジーエッジ630を含んでいる。これにより、構造化されたデバイス層620上に伸びる金属構造640が、基板410の平面において、構造化されたデバイス層620に、互いに垂直な2つの空間方向に力を加える。したがって、金属構造640は、基板410表面に対する金属構造640のシフトを軽減する構造化されたデバイス層620を用いて、横方向に作用する力に対応することができる。これに関連して、トポロジーエッジ630は、基板410の表面に対して、互いに垂直な2つの空間方向に作用する力成分を軽減することができるが、必ずしも互いに90°の角度を成していなくてもよいことに留意することが重要である。むしろ、トポロジーエッジ630は、基板410の平面に伸びているが基本的には互いに平行には伸びていない部分、あるいは、より数学的には、同一線形順序に伸びていない部分を有していれば、既に十分である。直線650の特徴に関連して、隣接した線630について既に説明したように、この場合、金属構造640上に作用する力は、構造化されたデバイス層620を介して基板410に分散される。
【0108】
図9は、図8Aと同様に、基板上のトポロジーエッジ630を示している。トポロジーエッジ630は、構造化されたデバイス層620によって形成されている。しかし、図9に示されているトポロジーエッジ630は、遥かに複雑な経路を有している点と、基本的には互いに垂直な部分の隣接を有していない点とにおいて、図8Aに示されているトポロジーエッジ630とは異なっている。したがって、図9に示されているトポロジーエッジ630は、互いに非常に多様な角度を成す長方形部分と丸みを帯びた部分との両方を示している。図9はさらに、図8Aに示されているものよりも明らかに長いフラグメントを有するトポロジーエッジ630を示している。
【0109】
前述したように、トポロジーエッジ630は、隣接した線630に対応している。線630は、例えば、これに対応する基板表面に平行に伸びる平面上に配置あるいは投影された場合に、トポロジーエッジに基づいて形成される。図9に示されているトポロジーエッジ(すなわち隣接した線630)の投影後における長さは、直線650に関連して上述した19μm〜42μmよりも遥かに大きく、あるいは別の実施形態に関連して説明する直線よりも遥かに大きい。このため、複数の各直線650−1、650−2、および650−3を含む多角形によって、隣接した線630を接近させることができる。各直線650の長さは、19μm〜42μmの範囲、あるいは上述した別の範囲の長さであってよい。直線650は各多角形を構成しているため、隣接し合う2つの直線650終点および始点はそれぞれ、例えば図9に示されているように、直線650−1の矢印で示されている終点、および直線650−2の垂直ストロークで示されている始点と一致する。これは当然ながら、閉じていない多角形の場合、第1の直線650および最後の直線650は該当しない。
【0110】
例えば図9の直線650−1には、上述した経路を有する隣接した線630に対して、4つの点660−1〜660−4が描かれている。したがって、隣接した線630は、第1の点660−1および第3の点660−3に対して、直線650−1の一方の側に伸びており、また第2の点660−2および第4の点660−4に対して、直線650の上記第1の側と反対側に伸びている。ここでもまた、直線650−1上において、第2の点660−2は、第1の点660−1と第3の点660−3との間に位置しており、第3の点660−3は、第2の点660−2と第4の点660−4との間に位置している。
【0111】
上述したように、各直線650の長さは19μm〜42μmの範囲である。しかし上述したように、各直線650の長さは、任意の別の長さであってもよい。任意の別の長さとはすなわち、例えば、直線650の長さ20μm+/−5%と対応する19μm〜21μmの範囲であってよい。
【0112】
直線650を有する上記のような多角形の経路は、例えば、直線650の長さに対して、各直線650からの隣接した線630の距離の二乗が最小となるように決定してもよい。この方法の代わりに、あるいはこの方法に加えて、直線650の正確な経路は、直線650の2つの側のいずれの側に隣接した線630が伸びるのかに応じて、距離の表示を考慮する一方で、距離の合計が消去すなわちゼロに設定されるように決定してもよい。当然ながら、他の最小化方法または最適化方法を用いて、多角形の経路あるいは直線650の経路を決定することも可能である。
【0113】
例えば、投影平面内のゾーンの範囲を決定する(すなわち完全に囲む)隣接した線630が扱われる場合、個々の直線650の経路の基準として、上述した所定の個々の直線断片650の長さを考慮しながら、多角形を用いて、隣接した線630によって囲まれたゾーンの表面積を概算することができる。特定の最適化を行うために選択された一端子あるいは標的は、得られる多角形の表面積が、隣接した線630に囲まれた上記ゾーンの表面積の90%〜110%あるいは95%〜105%となるように形成することができる。
【0114】
基本的には、上述の実施形態では、直線650の長さは逸脱しても許容される。個々の直線650の長さは、例えば9μm〜11μmとなるように、すなわち直線650の長さ10μmの+/−10%と対応するように構成することができる。また、図9に示されている嵌合構造600の実施形態では特に、通常は各直線650の全てが、点660−1〜660−4のそれぞれの特徴と対応している必要はないことについて留意することが重要である。基本的には、各多角形の個々の直線650は、隣接した線630の経路に関する上述の特徴を満たしていれば十分である。図9に示されている実施形態では、完全に図示されている3つの直線650−1、650−2、および650−3は、図示されている4つの点660に関する各特徴をそれぞれ満たしている。各点の参照符号660−1〜660−4は、図を簡素にするために、直線650−1に関してのみ付されている。しかし、図9に示されている2つの直線650−2および650−3の点(「X」)も、上述の条件に満たしていることを示している。
【0115】
図10および図11は、各嵌合構造600−1および600−2の2つの実施形態を示している。これらの実施形態について、縦型ハイパワートランジスタである半導体デバイスに関連して説明する。図10は、図6および図7Aに既に示したチップ500の平面図を示している。チップ500は、ソースメタライゼーションゾーン510、およびゲートメタライゼーションゾーン520すなわちゲートランナー520を含んでいる。図10に示されているチップ500内では、ゲートランナー520は、(図10には示されていない)基板410表面に沿ったシフトから、嵌合構造600の2つの異なる実施形態によって保護されている。図6に関連して既に説明したように、本実施形態においてもまた、ゲートランナーの典型的な構造幅は、10μm〜500μmである。
【0116】
図10の上部領域、より具体的にはゲートランナー520の上部領域には、嵌合構造600の第1の実施形態が示されている。ゲートランナー520の下には、フィード構造320が伸びている。フィード構造320は、例えばポリシリコンからなっていてもよい。フィード構造320はまた、図10には示されていない中間酸化物330内に位置するコンタクトホール340によって、ゲートランナー520とフィード構造320とを導通するように接触させることができる。フィード構造320は、ポリゲートあるいはポリ−Gとも称される。フィード構造320は、例えば図8Aに既に示したように鋸歯形を有している。なお、フィード構造320は、直線上に配置されたコンタクトホール340の両側において、上記のように形成されていることに留意されたい。
【0117】
ポリゲート320は、図10に示されている嵌合構造600の実施形態では金属構造640を構成しているゲートランナー520のために、構造化されたデバイス層620を構成している。このため、フィード構造320の外形はトポロジーエッジ630を形成している。これについてさらに詳しく説明するために、図11Aは、図10に示されている方向610に沿った断面A−A’を示している。図11の断面A−A’には、分かりやすくするために、基板410領域内の構造および層、並びに、場合によっては配置されている可能性のある第1の酸化物は示されていない。
【0118】
図11Aは、基板410上に配置されたフィード構造320(ポリゲート)を示している。本実施形態では、フィード構造320は、構造化されたデバイス層620として機能し、例えばポリシリコンから形成されていてよい。図3および図4を参照して既に説明したように、フィード構造320の上部には、中間酸化物330として、絶縁層が堆積されている。当該絶縁層上には、ゲートランナーあるいはゲートメタライゼーションゾーン520が堆積されている。ゲートランナー520は、本実施形態に係る嵌合構造600の金属構造640を構成している。中間酸化物330は、凹部としてコンタクトホール340を含んでいる。コンタクトホール340によって、ゲートランナー520とポリゲート320とが導通するように接触することができる。
【0119】
前述のように、図11Aの断面に示されている嵌合構造600−1の実施形態では、ポリゲート320は、ほぼ構造化されたデバイス層620を構成している。これによって、中間酸化物330のトポロジーエッジ630、およびポリゲート320のトポロジー形成エッジは、トポロジーあるいはポリゲートの構造によって構成されている。金属構造640(ゲートランナー520)には、この時点において、図10の上部領域に示されているトポロジーエッジ630の構造が形成されている。このため、基板の平面あるいは平行面の金属構造640に作用する力を、トポロジーエッジ630を介して当該金属上のあらゆる空間方向に解放し、これによって嵌合を達成することができる。より具体的には、ポリゲート320は、中間酸化物330(INT OX)からなるトポロジーエッジ630のためのトポロジー形成エッジを形成している。
【0120】
図11Aの断面図においてさらに詳しく示すが、外形すなわちポリゲート320の構造は、トポロジー形成エッジを構成している。トポロジー形成エッジは、ポリゲート320上の中間酸化物330によってトポロジーエッジ630となる。トポロジー形成エッジは、中間酸化物の典型的な層厚と比較した場合における典型的な横寸法に関して、中間酸化物によって形成されるトポロジーエッジ630とほぼレベルとなる。
【0121】
ポリゲート320に関連して構造化されたデバイス620として図10に示されているトポロジーエッジ630については、図8Aに照らして既に説明した。したがって、基板410表面に平行な平面における投影となる直線650および隣接した線630について、この図に関連して説明することは省略する。これに関連しては、図8Aに関連する各説明箇所を参照されたい。このような場合は、一般的に、隣接した線によって(少なくとも部分的に)範囲が決定される領域またはゾーンの構造幅が、10μm〜500μmの範囲となる。
【0122】
図10の左手のサブ領域には、ゲートランナー520領域内に配置された嵌合構造600−2の第2の実施形態が示されている。当該領域内では、本発明の別の実施形態に係る嵌合構造600−2が、ゲートランナー520(ゲートメタライゼーションゾーン520)に加えて、フィード構造320(ポリゲート)、中間酸化物内のコンタクトホール340(図10には示さず)、および別のフィード構造320’を含んでいる。別のフィード構造320’もまた、ポリシリコンから形成されている場合が多く、またその機能特性ゆえにポリソースまたはポリ−Sとも称される。
【0123】
以下に、本実施形態に係る嵌合構造600−2の正確な動作モードについて説明する。しかしその前に、まず当該領域内におけるデバイス構造について、図11Bに示されている断面B−B’を参照しながらより詳しく説明する。図11Bに示されている当該区域は、図10に示されている方向670であり、ゲートランナー520の金属ゾーンを横断して、金属ゾーン510と520との間にある距離へと伸びている。図11Bは、基板410の断面B−B’を示している。本実施形態においても、図を分かりやすくするために、例えば第1の酸化物(図3および図4の絶縁層270を参照)など、基板表面下に位置する構造、ドーピング特性、あるいは同様の対象物および構造は示されていない。まず、基板410上にフィード構造320’が形成および構造化される。フィード構造320’は、特に縦型ハイパワートランジスタフィールドにおいては、ポリソースまたはポリ−Sと称される場合も多い。これは、各デバイスの動作時に、電極にソース電位が印加され、そしてフィード構造320’を介して接触される場合が多いからである。これらの電極の例としては、図3および図4に示されている下部電極280がある。
【0124】
フィード構造320’は、別の導電構造から電気的に絶縁されるために、少なくとも図11Bに示されている断面B−B’において、絶縁層680によって被覆される。絶縁層680上には、フィード構造320(ポリゲート)が形成される。フィード構造320は、コンタクトホール340の領域を除いて中間酸化物330によって被覆される。コンタクトホール340は、薄膜技術および半導体技術における公知の方法によって、中間酸化物層内に構造化される。中間酸化物330は、図11Bに示されている断面領域内においてポリゲート320を被覆しているだけではなく、絶縁層680を、その下に位置するポリソース320’がポリゲート320領域に伸びている領域内において被覆している。さらに中間酸化物330は、図11Bに示されている断面全体に伸びており、このため、その上に位置する構造を、下に位置する基板410から(追加的に)絶縁している。図11Bは、一般的には金属からなるゲートランナー520をさらに示している。ゲートランナー520は、その下に位置するポリゲート構造320の全領域およびポリソース構造320’の全領域を被覆している。
【0125】
中間酸化物330は、図11Aおよび図11Aに示されている嵌合構造600−1の実施形態に関連して既に説明したが、本実施形態においてもまた、実際の構造化されたデバイス層620を構成している。中間酸化物330あるいは構造化されたデバイス層620は、その上に位置するゲートランナー520のために、2つの別々のトポロジーエッジ630、630’を形成している。ゲートランナー520は、図11Bに示されている実施形態では、金属構造640を構成している。
【0126】
本実施形態では、トポロジーエッジ630は、基本的にはフィード構造320(ポリゲート)の形状によって形成されており、その縁構造はトポロジー形成エッジとして機能する。対照的に、トポロジーエッジ630’は、最終的には、トポロジー形成エッジを有するフィード構造320’(ポリソース)の形状および構造によって形成される。これに関連して、ポリソース構造320’のトポロジー形成エッジは、中間酸化物330を囲んでいる絶縁層680のトポロジー形成エッジによって、中間酸化物330に切り替えまたは移動されることについて留意されたい。
【0127】
したがって、図11Bの断面に示されている嵌合構造600−2の実施形態では、トポロジーエッジ630および630’は、基板410表面に平行な平面における投影において、基本的に2つの隣接した線を形成している。これら2つの隣接した線に対しては、図8Aおよび図9に関連して説明した構成可能な直線の特徴が適用される。図10では、2つのフィード構造320および320’の外部構造は、トポロジーエッジ630および630’を有する酸化物層あるいは絶縁層330、680が通常は薄いことによって、ほぼ識別することができる。これは図10にも示されている。図10には、例えば(近接された)トポロジーエッジ630のための直線650、および近接されたトポロジーエッジ630’のための直線650’が、この近似に基づいて図示および印付けられている。
【0128】
上記領域におけるトポロジーエッジ630および630’の構造は、図8Aに示されているものと非常に類似している。このため、2つの直線650および650’の各特徴および特性について詳しく説明しないが、図8Aの各説明箇所を参照する。さらに、図8Aおよび図9およびそれに関する各説明箇所を参照されたい。長さに関する前述の説明は、2つの直線650および650’にも該当する。
【0129】
前述した嵌合構造の2つの実施形態とは異なり、図10、図11A、および図11Bに示されている嵌合構造600−1および600−2の2つの実施形態は、ゲートランナー520上のゲートコンタクトのためのコンタクトホールレイアウト(コンタクトホール)には基づいておらず、ゲートポリシリコンレイアウトおよびソースポリシリコンレイアウト320、320’の態様に基づいている。したがって本実施形態では、異なる原理に基づく別の嵌合構造600−1および600−2が示されている。ゲートランナー520である金属領域は、1つのトポロジー段を少なくとも超えて横方向に伸びるように、幅広く配置されている。これは、第1の実施形態600−1では、上部ゲートランナー領域に示されている。ゲートポリシリコン320は、トポロジーエッジ630である追加的なトポロジー段を形成している。トポロジーエッジ630の側方における境界には、嵌合構造が設けられる。当該嵌合構造は、直線650に関連する投影によって構成することができる。
【0130】
一例として、第2の実施形態600−2の領域内(すなわち左手ゲートランナー520)に、二重のトポロジー段が示されている。図11Bに示されている断面では、基板410に基づいた連続層が示されている。より具体的には、ここでの連続層は、ソースポリ320、ゲートポリ320’、中間酸化物330(INT OX)、メタライゼーション520(ゲートランナー)の順で構成されているが、追加的な絶縁層(絶縁層680)は考慮されていない。トポロジーエッジ630および630’である上記嵌合構造は、ほぼ、ソースポリ320’のエッジとゲートポリ320のエッジとの組み合わせによって構成されている。
【0131】
要約すると、嵌合構造600とも称される嵌合構造600−1および600−2の第2の実施形態は、既存のトポロジー段を用いて形成される。このためには、実際的な見地から、まず、フィード構造320および320’によって構成されたトポロジー段全体における各金属構造(例えばゲートランナー520)の金属配置が、十分に嵌合可能な金属体積が設けられる程度に示される。後に、このトポロジー段エッジ(トポロジーエッジ630および630’)は、直線としては配置または示されない。しかし、例えば特に図8〜図11に鋸歯として示されているように、任意の嵌合形状を形成することができる。図11Bの断面および実施形態600−2に示されているように、対応する金属線付近に複数のトポロジー段がある場合は、両方または複数のトポロジー段の嵌合を組み合わせることも可能である。当然ながら、特に、図10および図11Bに示されている嵌合構造600−2の第2の実施形態は、2つのトポロジー段すなわちトポロジーエッジ630および630’に限定されるものではなく、基本的には任意数のトポロジーエッジすなわちトポロジー段に拡張することができる。
【0132】
上記嵌合構造は、原理的に、それぞれの場合に生じる応力または負荷、および負荷の各運動方向に対して、(数値)シミュレーションを用いて最適に適合させることもできる。多くの場合、チップの角では、チップ500の長手側よりも、応力あるいは負荷の強度ならびに負荷方向が完全に異なっている。これによって、各位置(X座標、Y座標)、隣接する金属領域、隣接するトポロジー段、および各デバイスの設計およびその製造に応じた他のパラメータに応じて、チップ500の各位置に対して最適な嵌合構造形状が得られる。理想とする目標設計では、様々な嵌合形状、および(例えば図7および図10に示されている)様々な実施形態の組み合わせによって、基板表面に作用する横方向の力を、各金属構造に対して可能な限り効率的に緩和することができる。
【0133】
つまり、嵌合構造400の実施形態(図7を参照)に係る嵌合と、嵌合構造600の実施形態(図10を参照)に係る嵌合とを、任意あるいは完全に組み合わせることができることについて留意しておくと有用である。基本的には、各トポロジー形成エッジあるいはトポロジーエッジを用いて、これらを後に金属によって完全に被覆し、各構造を適用することによって嵌合を形成する形態も可能である。このような嵌合構造400および600の実施形態は、例えば、典型的な目的のためのみに最前面に置かれた縦型ハイパワートランジスタだけではなく、任意のトランジスタの領域内のゲートランナー構造に適用し、これらの金属構造をシフト(シフトされた金属線)から保護することができる。一般的に上記構造は、筐体を開口した後、および場合によっては金属リフトオフを用いた後に、顕微鏡画像を用いて決定および最適化することができる。
【0134】
また、嵌合構造および固定用構造の実施形態を任意に互いに組み合わせることも可能であることに留意されたい。一例としては、図10および図11に示されている嵌合構造の実施形態は、例えば図2に示されている固定用構造の実施形態と組み合わせることができる。したがって、特定の態様に応じて、2つまたは複数の側面を有するアンカリングを用いることができる。
【0135】
図5〜図11に関連して説明した本発明の実施形態では、多くの場合、各構造形成エッジ、コンタクトホール、あるいはその他の開口部は電気的にアクティブである。すなわちこれらは、導電性材料(例えば金属または半導体材料)に沿って並んでいるため、電気信号、電気、および電流の輸送に適している。特にコンタクトホール(例えば図11Bに示されているコンタクトホール340)の場合、電気信号(電圧または電流)を、金属構造から半導体構造へ、あるいは半導体構造から別の半導体構造へ、あるいは金属構造から別の金属構造へ、輸送することができる。別々に関与するこれら2つの導電構造は、絶縁層または絶縁バリアによって分離されている。
【0136】
本発明の一実施形態に係る、基板410上のデバイスのための嵌合構造600は、基板410において構造化されたデバイス層620を含んでいる。デバイス層620は、トポロジーエッジ630を少なくとも1つ含んでいる。構造化されたデバイス層620は、絶縁層および多数のコンタクトホールを含んでおり、また上部には金属構造640を含んでいる。金属構造640は、構造化されたデバイス層620のトポロジーエッジ630の少なくとも一部に伸びている。トポロジーエッジ630の一部は、平面の投影において、隣接した線630を少なくとも1つ形成している。直線650の長さは、隣接した線630に沿って、19μm〜42μmになるように構成することができる。これによって線630は、直線650の第1の点660−1および第3の点660−3に関しては、直線650の第1の側に配置され、また、直線650の第2の点660−2および第4の点660−4に関しては、直線650の上記第1の側と反対側に配置される。第2の点660−2は、第1の点660−1と第3の点660−3との間に配置されている。第3の点660−3は、第2の点660−2と第4の点660−4との間に配置されている。
【0137】
一部の嵌合構造600では、直線650の長さは19μm〜21μmである。本発明の一実施形態に係る嵌合構造600では、隣接した線630は、互いに隣接し合う少なくとも1つの第1の直線部分と1つの第2の直線部分とを含んでいる。第1の直線部分の方向および第2の直線部分の方向は、互いに70°〜110°の角度を形成している。同様に、このような嵌合構造600における隣接した線630は、円形、湾曲形、十字型、多角形、蛇行形、あるいは波形であってよい。同様に、嵌合構造600における隣接した線630は、典型的な構造幅10μm〜500μmを有する領域の範囲を画定していてよい。嵌合構造600の一部の実施形態では、隣接した線630は、複数の直線を含んでおり、当該隣接した線によって囲まれた領域が多角形に近似される。これによって、隣接した線によって囲まれた領域と多角形領域との差が、隣接した線によって囲まれた領域の最大20%となる。上記の差は、別の実施形態では、最大10%、5%、2%、あるいは1%となる。
【0138】
嵌合構造600の実施形態では、構造化されたデバイス層620と基板410との間に、導電性のコンタクト構造320を配置してもよい。構造化されたデバイス層620は、絶縁層330を含んでいる。構造化されたデバイス層620は、絶縁層330内に凹部340を少なくとも1つ含んでいる。これによって金属構造640は、コンタクト構造320と直接接触している。上記デバイスは、基板410と構造化されたデバイス層420との間に、別の積層680および320’を含んでいてよい。当該別の積層は、トポロジー形成エッジを含んでいる。これによって金属構造640は、少なくとも部分的には、別の積層のトポロジー形成エッジに基づくトポロジーエッジ630’上に伸びている。
【0139】
上記別の積層は、別のコンタクト構造320’と、別のコンタクト構造320’上の絶縁層構造680とを含んでいてもよい。コンタクト構造320は、少なくとも部分的には、上記別の積層上に配置されている。構造化されたデバイス層420は、絶縁層330を含んでおり、またコンタクト構造320上に配置されている。このような嵌合構造600では、金属構造640は、少なくとも部分的に露出された主表面を含んでいてよい。
【0140】
図12は、基板410上のデバイスのための固定用構造700−1の別の実施形態を示している。図12に示されている各デバイスの断面においてもまた、分かりやすくするために、ドーピング特性、追加的な絶縁層(例えば第1の絶縁層)、あるいは、基板410領域内に存在し得るその他の詳細など、あらゆる構造上の詳細は示されていない。
【0141】
基板410は、主表面710を含んでいる。主表面710は、構造化されたデバイス層720を有している。構造化されたデバイス層720は、構造化されたデバイス層720上に形成された少なくとも1つのトポロジー構造と、基板410とは反対側に位置する主表面740とを含んでいる。図12に示されている固定用構造700−1の実施形態では、トポロジー構造730は、構造化されたデバイス層720内の凹部である。トポロジー構造730の深さは、構造化されたデバイス層720の厚さよりも小さいので、構造化されたデバイス層720の有限厚を含む領域が、トポロジー構造730としての凹部の下に伸びている。
【0142】
構造化されたデバイス層720は、固定用構造700−1の各実施形態の特定の態様に応じて、1つまたは複数の電気的絶縁層、あるいは、単一ドーピングされた半導体層または特定のドーピングが施されていない半導体層を含んでいてよい。
【0143】
さらに、図12に示されている固定用構造700−1の実施形態では、構造化されたデバイス層720上に金属構造750が形成または配置されている。より具体的には、金属構造750は、構造化されたデバイス層720の基板410とは反対側にある主表面上に配置されている。
【0144】
金属構造750は、構造化されたデバイス層720内にトポロジー構造730が形成されているために、横方向の力を、構造化されたデバイス層720を介して、基板410の表面に沿って基板410に開放することができる。したがって金属構造750は、これに対応する(例えば熱的に誘起される)応力を、基板410に開放することができ、金属構造750が基板表面上または基板表面に平行してシフトすることはない。
【0145】
図13は、図12に示されている実施形態700−1と非常に類似した、固定用構造700−2の別の実施形態を示している。図13に示されている実施形態700−2においてもまた、まず基板410(図12に概略的に示されている)の主表面710上に、構造化されたデバイス層720が形成される。構造化されたデバイス層720は、基板410とは反対側にある主表面740上にトポロジー構造730を含んでいる。構造化されたデバイス層720上には、金属構造750が形成される。金属構造750は、構造化されたデバイス層720のトポロジー構造730の少なくとも一部に伸びている。
【0146】
図12に示されている固定用構造700−1の実施形態では、トポロジー構造730は、凹部である構造化されたデバイス層720の主表面740の下に伸びている。この実施形態とは異なり、図13に示されている実施形態700−2に係るトポロジー構造730は、構造化されたデバイス層720の主表面740を超えて投影した構造である。図13に示されている実施形態においてもまた、トポロジー構造730によって、金属構造750が、金属構造750に横方向に作用する力を、構造化されたデバイス層720を介して基板410に開放することができる。したがって、図13に示されている実施形態に係る固定用構造700−2によって、(例えば温度サイクル時に生ずる)横方向に作用する力を基板410に解放し、これによって金属構造750のシフトを防止または軽減することができる。
【0147】
図12および図13は、固定用構造700の実施形態の断面図を示している。これらのトポロジー構造730の断面は、基本的には任意の形状であってよい。形状の例としては、円筒形の凹部、構造化されたデバイス層720の主表面を超えて投影した円筒、対応する立方形の立方体、多角形、あるいは様々な形状をしたトポロジー構造730が挙げられる。対応するトポロジー構造はまた、基本的には、例えば直線に沿って伸び、連続した折れ線に沿った配列を有する縦長構造として形成されていてよく、あるいは螺旋形、蛇行形、波形、あるいは適切に湾曲するその他任意の形であってよい。当然ながら、L字型、U字型、V字型、あるいは十字型の構造も実施可能である。
【0148】
固定用構造700は、その対応する実施形態の態様の特定の構成によっては、例えば個別にではなく、複数の対応するトポロジー構造として形成すると有利である。このように形成された場合、単一のトポロジー構造730よりも、トポロジー構造730全体によって横方向の力によりよく対応することができ、これによって金属構造750のシフトからよりよく保護することができる。したがって、固定用構造700を、例えば二次元的かつ規則的に配置することができる。
【0149】
トポロジー構造730が二次元的かつ規則的に配置される領域では特に、トポロジー構造730を比較的小さく形成することが望ましい。この場合、例えば、トポロジー構造730が、基板の主表面710に平行な平面内へ投影している場合に、最小の円である領域の範囲を決定するように、トポロジー構造730を形成することが望ましい。当該最小の円の直径は、100μm、50μm、あるいは20μm以下である当該領域を完全に含んでいる。これに対応する設計については、図5Aに照らして既に説明した。このため、この時点では、具体的な説明およびさらなる画像は省略する。したがって、この時点では、図5A(場合によっては図5B)に関連する各説明箇所を明確に参照されたい。
【0150】
同様に、この場合、トポロジー構造730を各投影平面内へ投影させた後に非凸状領域の範囲を決定するように、トポロジー構造730を形成することが望ましい。嵌合構造400の実施形態に照らして既に説明したように、このような方法によって、横方向へのシフトあるいは横方向の力に対する抵抗を改善することができる。
【0151】
図12に示されている実施形態に係る固定用構造700−1では、構造化されたデバイス層720は、例えば、全く異なる目的を果たすために各半導体デバイスまたはデバイス内に形成された単一の絶縁層または複数の絶縁層であってもよい。形成されるこのような絶縁層の例としては、電気絶縁、化学的不動態化、あるいは機械的保護を行うために形成される層が挙げられる。同様に、膜層などの機能層もまた、基本的にはこれに関連して用いることができる。これらは例えば、圧力センサあるいはその他のマイクロメカニカルデバイスと共に用いられる。構造化されたデバイス層720の上記フィールドにおいて用いられる典型的な材料の組み合わせまたは材料は、酸化物層、窒化物層、あるいは他の(有機)絶縁層、例えばBPSG、PMMA、あるいはその他のポリマーである。
【0152】
しかし、図12に示されている実施形態700−1の構造化されたデバイス層720が、単一ドーピングが施されている半導体層あるいは特定のドーピングが施されていない半導体層である場合、単一ドーピングが施されている可能性があるのは、例えばポリシリコンである。これらの具体例としては、ポリシリコン層およびポリシリコン構造が挙げられる。これらは、例えば縦型ハイパワートランジスタに関連して用いることができる。例えば、図3、図4、図7、図10に示されているフィード構造320に、これに対応するトポロジー構造730を設け、たとえコンタクトホールが比較的大きい(寸法が数十μmまたは数百μm)場合であっても、トポロジー構造730上に堆積される金属構造の横方向への運動から追加的に保護を行うことができる。この場合、例えばトポロジー構造730を、コンタクトホール340の領域に限定すると有用である。
【0153】
上記材料および材料の組み合わせは、図13に示されている、トポロジー構造730が構造化されたデバイス層720の主表面740を超えて突出している固定用構造700−2の実施形態においても、基本的には用いることができる。しかしこれらの実施形態では、例えば2つ以上のドーピングが施されている、あるいは、金属性の絶縁および/または半導体層の組み合わせを含む、より複雑な構造化されたデバイス層720を用いることもできる。これらの実施形態においても、複数の、場合によっては2次元的かつ規則的に配置されたトポロジー構造730を用いることができる。この場合においても、特定の態様に応じて、比較的小さいトポロジー構造730を用いることが望ましい。当該トポロジー構造730に関しては、基板410の主表面710に平行な平面内への投影において有効である最小の円の直径に関して既に説明した。
【0154】
これとは無関係に、本実施形態に係る固定用構造700−2ではまた、コンタクトホール340内に形成される場合、当該固定用構造700−2をコンタクトホール340の領域に限定することによって、厚くて場合によっては邪魔になるトポロジーエッジまたはトポロジー形成エッジをデバイス内に不必要に形成しないようにすることが望ましい。さらに、図12および図13に示されている固定用構造700の全実施形態は、既に説明した固定用構造および嵌合構造の実施形態と組み合わせて実施できることに留意されたい。
【0155】
本発明の実施形態では、既に説明した規則的な配置に加えて、各嵌合構造を不規則的に、凹部および上昇部(elevation)として、一次元的あるいは二次元的に、不規則に配置することも可能である。特定の態様に応じて、各トポロジー構造は、その上に位置する金属構造との嵌合を可能にするために、総数が10以上、20以上、50以上、あるいは100以上となるようにすることもできる。さらに、特定の態様に応じて、各トポロジー構造部分は、その下に位置する各構造化されたデバイス層の表面積に基づいて、例えば20%〜40%あるいは20%〜30%の割合となるようにすることもできる。
【0156】
本発明の一実施形態に係る、基板410上のデバイスのための固定用構造700は、基板410上に構造化されたデバイス層720を含んでいる。構造化されたデバイス層720は、少なくとも1つのトポロジー構造730と、基板410とは反対側に位置する主表面740と、構造化されたデバイス層720上に形成され少なくとも部分的にはトポロジー構造730上に伸びる金属構造750とを含んでいる。構造化されたデバイス層720は、わずか1つまたは複数の電気的絶縁層を含んでいる。トポロジー構造730は、構造化されたデバイス層720内において、構造化されたデバイス層720の厚さよりも浅い凹部を含んでいる。別の形態における固定用構造700では、構造化されたデバイス層720は、ドーピングが施されていない半導体層あるいは単一ドーピングが施された半導体層のみを含んでいてもよく、またトポロジー構造730は、構造化されたデバイス層720内において、構造化されたデバイス層720の厚さよりも浅い凹部を含んでいてもよい。さらに別の形態では、トポロジー構造730は、構造化されたデバイス層720の主表面740を超えて突出した構造を含んでいてもよい。
【0157】
上記のような固定用構造700では、構造化されたデバイス層720は、複数のトポロジー構造730を含んでいてもよい。同様に、上記のような固定用構造700では、基板410上に、複数のトポロジー構造730が二次元的かつ規則的あるいは不規則的に配置されていてもよい。
【0158】
本発明の一実施形態に係る固定用構造700では、金属構造750が上部に伸びている部分のトポロジー構造730は、平面内に突出している領域の範囲を規定している。当該領域を完全に包含している最小の円の直径は、50μm以下である。このような固定用構造では、金属構造750が上部に伸びている部分のトポロジー構造730は、平面内の突出部における非凸状領域の範囲を規定している。固定用構造700では、構造化されたデバイス層720はポリシリコン層を含んでいてもよく、トポロジー構造730は、上記ポリシリコン層内に、当該ポリシリコン層の厚さよりも浅い凹部を含んでいてもよい。これの代わりに、あるいはこれに加えて、トポロジー構造730は、基板410の反対側に位置するポリシリコン層の主表面740を含んでいてもよい。このような固定用構造700では、金属構造750は、少なくとも部分的に露出された主表面を含んでいてもよい。
【0159】
図14は、主表面830を含むデバイス820内の導体層構造810のための固定用構造800の別の実施形態を示している。デバイス820は、基本的には任意のデバイス(すなわち半導体デバイス)であってよく、あるいはその他任意の薄膜デバイスであってよい。図14に示されているデバイス820を分かりやすくするために、機能的実現、層構造、あるいはその他の機能的特徴については図示しない。このためデバイス820は、例えば比較的簡素な半導体デバイス構造、すなわち、例えばダイオード構造またはトランジスタ構造であってもよい。また当然ながら、上記デバイスは、比較的複雑な集積回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、論理回路、薄膜技術によって製造されたセンサ、あるいは比較的複雑な集積回路、例えば任意の種類のプロセッサであってもよい。
【0160】
デバイス820はさらに、例えば最終製造処理工程において形成される主表面を含んでいる。完成したデバイス820は、例えば、少なくともその一部または一部領域が、酸化物層または窒化物層などの保護層によって被覆されていてよい。
【0161】
デバイス820は、デバイス820の主表面830からデバイス820内に伸びる凹部840をさらに含んでいる。図14に示されているデバイス820では、上記凹部は、本質的には垂直な側壁を有している。このため、例えば凹部840の底領域を丸める工程において生じる製造公差のバラつきは別として、図14にも示されているように本質的に一定の幅Wが得られる。
【0162】
図14に示されている固定用構造800の実施形態は、導体層構造810をさらに含んでいる。導体層構造810は完全に、少なくともその特定または所定の長さ分は、デバイス820の主表面830の下に位置する凹部840内に収まっている。凹部840は通常、その特定の長さ部分は、図14に示されている断面に対して垂直な方向に沿って伸びている、すなわち(一定の)長さに伸びている。したがって凹部840は、通常は、例えばデバイス820の上面(図14には示さず)では、直線、連続した折れ線、あるいは曲線に沿って伸びる(すなわち、例えば螺旋、輪状線、蛇行線に沿って伸びる)トレンチ構造である。導体層構造810の全長に関しては、一般的に、導体層構造810の全長の90%以上は、デバイス820の主表面830の下に位置する凹部内に完全に収まっている。各デバイス820の特定の態様に応じて、導体層構造810の全長の95%以上、あるいは導体層構造810の全長が完全に、デバイス820の主表面830の下に位置する凹部840内に収まっていてもよい。
【0163】
したがって導体層構造810の幅は、通常は凹部840の幅W以下である。導体層構造810の幅および凹部840の幅は、想定する固定用構造800のアプリケーションの実施形態に応じて、フィード線が狭い場合は、通常は5μm未満であってよい。しかし、凹部840の幅および導体層構造810の幅は、特定の態様に応じて、通常は50μm以下、100μm以下、あるいはコンタクト構造またはボンドパッドの場合は100μm〜500μmの範囲であってもよい。基本的には、対応する凹部840の幅よりも明らかに狭い、すなわち明らかに広くない導体層構造810を用いる形態もまた、非常に適切である。
【0164】
凹部840内に完全に収まっている導体層構造810の長さに関して既に説明したように、導体層構造810は完全に(すなわちその全長の100%の割合が)、凹部840内部に収まっていてよい。この場合、例えば、導体層構造810内に含まれている関連するコンタクトパッドあるいはボンドパッドもまた、デバイス820の主表面830の下に完全に配置されるように凹部840内に配置される。したがって上記導体層構造は、(例えばこのようなコンタクトパッドの)各接触またはボンディングを可能にするために、当該導体層構造の主表面850において露出されている。導体層構造810の主表面850は、凹部840の底部とは反対側に位置している。これは具体的には、コンタクトワイヤまたはボンドワイヤによって接触される導体層構造810の主表面850が、少なくとも導体層構造810の長さの一部においては、非常にコンタクトしやすいことを意味している。
【0165】
これに関連して、「表面が露出」という表現は、当然ながら、(例えばパッケージングプロセスにおけるモールド前に)表面が露出されることを意味している。言い換えると、例えばモールド材料および/または別のほぼ有機性の不活性化層または保護層から形成される導体層構造810の覆いは、導体層構造が露出されるのか否かという点においては考慮されない。これに関連して、「導体層構造810が露出」という表現は、導体層構造810に対して、電気的接続が行われること、すなわち、例えばボンディング、プレスコンタクト、あるいはバネコンタクトによって、導体層構造810の主表面850に対して直接、電気的接続が行われることを意味している。
【0166】
しかし導体層構造810は、特定の態様に応じて、凹部840から突出するように設計し、凹部840の外側が、例えばデバイス820の主表面830に接触するようにしてもよい。この場合、凹部840内に完全には収まっていない(すなわちデバイス820の主表面830の下に収まっていない)導体層構造810の長さの、導体層構造810および凹部の長さに対する割合は、通常は、10%未満または5%未満となる。これに関連して、多くの場合、各領域の表面積間にリンクが構築される。これによって、例えば、通常は、凹部の表面積に対して、導体層構造810の表面積の最大10%または最大5%が、主表面830の下に完全には収まっていない。
【0167】
しかし、ここで考慮されるのは、凹部840が幾何学的に配置されている領域内に伸びている、導体層構造810の長さ領域または表面積のみである。したがって、この導体層構造810は、(例えば導体層構造810内の湾曲によって)凹部840から突出し、またデバイス820の主表面830上においてより広い幅と隣接するように設計することも十分に可能である。この場合、凹部840の幾何学的領域内に収まっていない導体層構造810の長さの割合は、導体層構造810の全長に対して(常に)考慮されない。
【0168】
デバイス820上には、2つ以上の(例えば互いに交わる、交差する、あるいは導通する)凹部を一体的に形成することができる場合が多いことについても、説明を完全にするために述べておく。したがって、デバイス820上には、特定の態様に応じて、互いに電気的に接続することのできる2つ以上の導体層構造810を形成してもよい。
【0169】
さらに、導体層構造810は通常は、電気信号を輸送または供給する、あるいは(供給)電圧および/または(供給)電流を供給、開始、あるいは接触させるための導体層構造である。したがって導体層構造810は、具体的には、光波、電磁波、あるいは音波用の導波管ではない。この結果、導体層構造810は、少なくとも1つの副層、例えば銅、金、銀、タングステン、プラチナ、パラジウム、あるいはアルミニウムを含んでいる。本発明に係る固定用構造800の多くの実施形態では、導体層構造810は、正確に1つの金属層をさらに含んでいる。すなわち、少なくともこれらの実施形態においては、上記と同一である。
【0170】
しかし、図16に示されている導体層構造に関連して以下に説明するように、固定用構造800の実施形態において用いられる導体層構造810は、別の層を1つまたは複数含んでいてもよい。したがって特定の態様によっては、金属層に加えて、必要に応じてドープまたは高濃度にドープされた半導体層を一体的に形成すると有利である。このような半導体層は、例えばポリシリコンからなっていてよい。
【0171】
図15は、本発明に係る固定用構造800の別の実施形態を示している。本実施形態は、図14に示されている固定用構造800の実施形態とは、2つの細部においてのみ異なっている。このため、図15に示されている固定用構造800の実施形態の説明に関しては、図14および図14に示されている実施形態に関連する説明箇所を参照されたい。
【0172】
図15に示されている実施形態800と、図14に示されている実施形態との相違点は、一方では凹部840の形状であり、他方では凹部840の内面である。例えば、凹部840は、図14に示されている凹部840とは異なり、任意の絶縁層860を有している。各凹部は、この絶縁層860によって、その側壁領域および底部領域に下地が施されている。絶縁層860の厚さは、一般的には導体層構造810の厚さよりも遥かに薄く、また通常は、明らかに200nm未満または100nm未満である。
【0173】
図15に明確に示されている絶縁層860は、本質的には、上記凹部もまた、追加的な構造的特徴を含むことができることを示している。これによって凹部840は、必ずしもデバイス820と同一の基板内あるいは基板材料(多くの場合はシリコン)によって形成されている必要はなく、凹部自身が任意の特徴または機能層を含んでいてよい。しかしこれらは、図14に示されている実施形態におけるデバイス820の一部であると見なされる場合もある。例えば、凹部840内の構造をデバイス820の別の構造から電気的に絶縁するために、図15に明確に示されている絶縁層860は、デバイス820の一部であると見なされる場合もある。言い換えると、図15に示されている実施形態では、絶縁層860または凹部840に面する絶縁層860の側面が、凹部840のトポロジーまたは形状を構成している。
【0174】
図15に示されている固定用構造800の実施形態と、図14に示されている固定用構造800の実施形態との第2の相違点は、凹部840の側壁が本質的には垂直に伸びておらず、デバイス820の主表面830の垂線に対して、0°とは明確に異なる角度を成している点である。上記凹部の側壁と、デバイス820の主表面830の垂線とが成す典型的な角度は、5°〜75°の範囲内である。本願では、本質的には垂直に伸びる側壁、側方部、およびその他のエッジは、垂線に対する角度が一般的に5°以下であるものを指している。このため固定用構造800の実施形態では、デバイス820の主表面830に対する凹部840の側壁の角度は、通常は+75°〜−75°である。
【0175】
トレンチ側壁の突出面のように、凹部840の深さに基づく一般的な三角法の関係によって即座に生じる「チップ表面積の損失」は、別の構造的特徴、特に平坦に伸びる凹部840の側壁に対しては、特に許容されるべきものである。このため、固定用構造800の多くの実施形態では、通常は30°以下という比較的小さい(絶対)角度が想定および実施される傾向がある。
【0176】
図15に示されている断面では、凹部840の側壁が傾斜しているため、凹部の幅は異なっている。凹部840内において側壁が傾斜しているため、当該凹部の最小幅Wは、凹部840の下部領域に存在している。幅は、表面または表面領域において最大幅W1に達するまで、デバイスの主表面830からの距離が小さくなるに応じて連続的に増大する。このため、最小幅Wは通常、デバイス820の主表面830の領域に存在する場合が多い最大幅W1以下である。対照的に、凹部840の最小幅Wは、通常は凹部840の底部領域にある。
【0177】
したがって導体層構造810の幅は、通常は、凹部840の最小幅Wによって適合される。より具体的には、導体層構造810の幅は、一般的に凹部840の最小幅W以下である。
【0178】
デバイス820の主表面830の下に位置する凹部840内へ導体層構造810がアンカリングすなわち配置されるため、導体層構造840は、トポロジーエッジのように、凹部840の側壁によって、横方向に作用する力から極めて良好に保護される。したがって、通常はTC試験に関連して生じ、デバイスの種類によってはそのデバイスの通常動作中に必然的に生じる力は、凹部840の側壁を介して、デバイス820またはその基板に解放される。このように、固定用構造800の一実施形態は、既に説明した固定用構造および嵌合構造の他の実施形態と同様に、本発明に係る固定用構造および/または嵌合構造の実施形態を有していないデバイスよりも、それぞれの負荷に対して遥かに高い耐性を実現している。
【0179】
既に説明した、単一の金属層のみを有する導体層構造810に加えて、図16Aおよび図16Bは、別の層を少なくとも1つ有する導体層構造810を示している。例えば、図16Aは、金属層870の下に別の層880が配置された導体層構造810を示している。金属層870は、上述したように、例えば金、銅、銀、プラチナ、パラジウム、またはアルミニウムからなっていてもよい。別の層880もまた、例えば金属または合金からなっていてもよく、あるいは、必要に応じてドープまたは高濃度にドープされた半導体材料(例えばポリシリコン)からなっていてもよい。なお、図16Aに示されている金属層870および別の層880の層の順序は、これに限定されないことに留意されたい。例えば、金属層870は、別の層880の下に配置されていてもよい。特定の態様に応じて、金属層870下の別の層880として、例えば、対応するデバイスのトランジスタ構造のトレンチ内または他のトレンチ構造内の電極接触させるために用いることのできる、例えば高濃度にドープされたポリシリコン層を用いると有利である。これによって、例えば、特にハイパワーアプリケーションまたは大電流アプリケーションに対して重大なパラメータを下げることができる可能性を高めることができる。これは、金属層870と別の層880との接触面が比較的長いためである。金属層870と別の層880との比較的長い接触面は、導体層構造内の2つの層を並列配置することによって得られる。導体層構造810の一態様によって、例えば、デバイス820内の電気抵抗が低減することができる。これによって、デバイス820の寿命およびアプリケーションの態様に対して好ましい結果がもたらされる場合がある。
【0180】
さらに、金属層870および別の層880を2つ以上連続して形成することも可能である。図16Bに示されている3つの金属層870−1、870−2、870−3、および3つの別の層880−1、880−2、880−3の場合のように、1つの金属層870とその下の1つの別の層880とが交互に配置されるように構成することができる。このような配置に加えて、1つまたは複数の金属層870と、1つまたは複数の別の層880との、任意の別の組み合わせまたは順列も可能である。例えば、スタック810とも称される導体層構造810内に、例えばドーピング濃度の異なる、複数の異なる金属層870および/または複数の異なる別の層を配置することも可能である。
【0181】
これら異なる層の数および相互分布は、所望の通りに変化させることができる。例えば、図16Aおよび図16Bに示されている導体層構造810の実施形態は、単なる例示にすぎない。3つ以上あるいは7つ以上の個々の層870および880を用いることも可能である。しかし層の数は、上記のそれぞれの数よりも少なくてもよい。
【0182】
図16Aおよび図16Bには、異なる層同士の相互配置に関して、限定的とは見なされない2つの例が示されている。これに関して重要なことは、単に、導体層構造810すなわちスタック810は、例えば単一の金属または合金から形成することのできる金属層を含んでいることのみである。
【0183】
また、スタック810の上記異なる層の相対的な厚さは、互いに異なるように設計することができる。例えば、金属層の厚さとポリシリコン層の厚さとの比率は、約1:2(金属層:ポリシリコン=1/3:2/3)であってよい。
【0184】
本発明の別の実施形態では、各導体層構造810は、その長さの一部のみが各凹部840内に配置されるようにすることができる。各導体層構造810は、例えば各デバイス820の主表面830を超えて突出し、各デバイス820内に完全には配置されないようにすることができる。これに関して、導体層構造は基本的に、凹部が伸びている方向に対して垂直で、かつ各デバイスの主表面に対して垂直な方向に伸びていてよいことについて留意されたい。しかし、導体層構造810の伸びは、上述した長さに対して、当該導体層構造の断面領域の最大50%に制限される。これに関連して、上述した長さは、各導体層構造の全長すなわち各凹部の全長である必要はなく、それぞれの全長の一部であることに留意されたい。
【0185】
図17は、固定用構造900の一実施形態を示している。固定用構造900は、図17において矢印930でも示されている主表面920を有する基板910を含んでいる。図17は、主表面920に加えて、基板910の主表面920とは反対側にある後部面940を示している。基板910は、本質的には、例えばシリコンを含んだ単結晶基板である。この場合は、例えば、基板910は、シリコンウェハから得られ、単結晶領域またはエピタキシャル領域950が基板910の主表面920に伸びていてもよい。この領域950が、通常は単結晶領域上に堆積されたエピタキシャル領域である場合、基板910の単結晶領域とエピタキシャル領域950との間には、界面960が存在する。界面960上には、基板910の製造中に、各エピタキシャル領域950が堆積される。
【0186】
上述したように、上記基板がシリコン基板910である場合、および領域950がエピタキシャル領域950である場合、エピタキシャル領域950は、シリコンである場合、化学気相成長法(CVD)によって製造されている場合が多い。基板910の下に位置するウェハは、シリコン単結晶から得られ、当該シリコン単結晶は、チョクラルスキー法によって得られる場合が多い。
【0187】
領域950は、単結晶領域(例えば単結晶に基づくウェハ)であるのか、あるいはエピタキシャル領域であるのかに関わらず、基板910の主表面920まで伸びている。さらに、嵌合構造900の上記実施形態は、基板910の主表面920における単結晶またはエピタキシャル領域950内に、凹部970を含んでいる。さらに、図17に示されている固定用構造の実施形態は、基板の主表面920において導体層構造810を含んでいる。導体層構造810は、凹部970内を、当該凹部の底部980まで伸びている。
【0188】
導体層構造810は、図14および図15に示されている固定用構造800の実施形態および図16に関連して説明したように、側方層構造である。言い換えると、導体層構造810は通常、例えば金、銀、銅、プラチナ、パラジウム、またはアルミニウムからなる金属層を少なくとも1つ含んでいる。しかし、導体層構造810は、例えば金属からなる別の層をさらに含んでいてよく、あるいは必要に応じてドープまたは高濃度にドープされた半導体材料(例えばポリシリコン)を含んでいてもよい。
【0189】
基板の主表面920上において金属層を少なくとも1つ含んでいる導体層構造810は、図17にも示されているように、少なくとも凹部970の底部980まで伸びている。導体層構造810は、図17の左手に示されているように、凹部970の外側において、別の領域に伸びていてもよい。あるいは、導体層構造810は、図17の右手に示されているように、基板の主表面920あるいは基板の主表面920に隣接する領域950の主表面920とわずかに重なり合っていてもよい。導体層構造810は、固定用構造900の一実施形態の特定の態様に応じて、少なくとも凹部970の底部980領域において、単結晶あるいはエピタキシャル領域950と導通するように接触しており、これによって領域950が、凹部970の底部980に伸びる導体層構造810を介して電気的に接触されていてもよい。
【0190】
多くの場合、凹部970は、別の構造および構造的要素から絶縁されるように配置されている。本発明の一部の実施形態では、凹部970は、トレンチによって構成されている。当該トレンチは、チップ外領域に配置されており、また導体層構造810によって覆われている部分は別として、層構造の別の導電層または絶縁層には覆われていない。言い換えると、凹部970は、多くの場合、酸化物あるいはその他任意の絶縁層によって導電性の基板から分離されていない凹部である。凹部970には、図17に示されているように、導体層構造が部分的に充填されていてよく、あるいは導体層構造が完全に充填されていてもよい。
【0191】
固定用構造900の実施形態は、ここでもまた、基板910の単結晶またはエピタキシャル領域950内に凹部970が配置されていることによって、通常は基板920の主表面から導体層構造810をリフトオフする導体層構造810の負荷、あるいは導体層構造810を基板910の主表面920に沿ってシフトさせる導体層構造810の負荷に対する耐性を高め、大幅に改善することができる。したがって、固定用構造900の実施形態によって、例えば温度サイクル中または完成デバイスの通常動作中に生じ得る負荷に対する耐性を大幅に改善することもできる。
【0192】
本発明の一実施形態による固定用構造900は、主表面920、基板の主表面920まで伸びる単結晶領域950またはエピタキシャル領域950を有する基板910を含んでいる。固定用構造900は、基板910の主表面920における単結晶またはエピタキシャル領域950内の凹部970、および基板の主表面920上の金属層を含む導体層構造810をさらに含んでいる。導体層構造810は、凹部970内を、当該凹部の底部980まで伸びている。
【0193】
導体層構造810は、少なくとも凹部970の底部980において、単結晶またはエピタキシャル領域950と直接接触していてよい。これによって、単結晶またはエピタキシャル領域950と導体層構造810とが、導通するように接触される。固定用構造900では、導体層構造810は、別の金属層または半導体層を含んでいてよい。同様に、導体層構造810は、ポリシリコン、ドープされたポリシリコン、あるいは高濃度にドープされたポリシリコンを含んでいてよい。固定用構造900では、導体層構造810は、少なくとも部分的に露出された主表面を含んでいてもよい。
【0194】
上述の本発明の実施形態は、TCリスクを回避または最小限に抑えるための手段を含んでいる。上述した嵌合構造および固定用構造の実施形態は、例えばポリ層内(例えばポリシリコン層)および/またはコンタクトホール構造内に形成することができる。上述した実施形態は、例えば、金属導管または金属ゾーン全体が非常に広くて深いトレンチ内に配置され、金属線全体または金属ゾーン全体が下方に配置されているため、引張応力および圧縮応力が基板表面(例えばシリコン表面)またはその上方において作用する。このためTC負荷を最低限に抑えるための非常に有効な方法を成す実施形態を示している。この実施形態では、特に、これらの引張応力および圧縮応力が金属線の平面自体に作用することはなくなる。
【0195】
これまで説明した本発明の実施形態では、導体層構造、金属構造、および金属線(例えばゲートランナー)は、嵌合のために、完全に、全体的に、あるいは少なくとも部分的に、半導体材料(例えばシリコン(Si))内に配置される。この配置は、金属線、導体層構造、または金属層構造が内部に配置または固定される、非常に広くて深い凹部およびトレンチを形成することによって成される。したがって、これまで説明した実施形態では、金属線はトレンチ内に部分的に設けられている。
【0196】
しかし、幅の広い各トレンチ構造を設けるために用いられる技術によっては、トレンチエッチングにおいて、いわゆるブラックシリコンのリスクが生じる場合があり、これを過小評価するべきではない。ブラックシリコンは、実際のトレンチまたは凹部領域内に直立状態で残留するシリコンピンを意味するものと理解される。これは、例えば、後に直立状態で残留するシリコン針状晶/ピンが生じる領域内において、マイクロマスキングを行った結果として生じる場合がある。
【0197】
このようなシリコンピンが一旦生じると、一般的には、高い技術的コストを掛けることによってしか除去することができない。シリコンピンには漏れ電流が流れる可能性があり、あるいはシリコンピンによって、配置された金属線、金属構造、または導体層構造から、それを取り巻く半導体環境へと短絡が生じる可能性がある。
【0198】
本発明の実施形態に係る、嵌合構造および固定用構造の上述の実施形態では、上述の広いトレンチ内において、各基板の主表面に対する横方向のシフトに対して、トレンチの底領域およびトレンチの側壁に嵌合は形成されない。図18〜図22に関連して以下に説明する本発明の実施形態は、製造プロセスの最後またはプロセスフローの最後において連続的な広いトレンチ構造内に結合される小さくて狭い多数のトレンチによって、非常に広いトレンチ構造内に、金属構造、導体層構造、金属線(すなわち、例えば縦型トレンチトランジスタの場合ではゲートランナー)をアンカリングまたは配置することに基づいている。単一の非常に広いトレンチを避け、この単一の広いトレンチを、より狭くて小さいトレンチに置き換えることによって、上述のブラックシリコンが形成される危険性を大幅に低減できる。このように、製造プロセスの信頼性、ひいては歩留まりおよびプロセスの安全性を高めることができる。
【0199】
同時に、底部、トレンチ底部、あるいは対応する領域内に別の嵌合面が形成される。これについては以下に説明する。さらに、設計プロセス中にトレンチの縁(リムトレンチ)の遮断を制御することによって、あるいはリムトレンチの幅を変化させることによって、形成される共通トレンチの幅を様々に変えることができる。これによっても、別の嵌合またはアンカリングが成される。同様に、設計中において、トレンチの深さまたは少なくとも1つの小さいトレンチの凹部の深さを、少なくとも1つの他のトレンチとは違う深さにすることによって、結合された、または形成されている広いトレンチ構造の側面との追加的な嵌合を行うことができる。
【0200】
図18は、本発明の一実施形態に係る導体層構造のための嵌合構造を製造する方法のフローチャートを示している。導体層構造は、少なくとも1つの金属層または金属合金層を含んでいる。これは、説明されている本発明の様々な実施形態において実施することができる。導体層構造は、1つまたは複数の別の導電層、すなわち金属層、合金層、必要に応じてドープまたは高濃度にドープされた半導体層をさらに含んでいてもよい。
【0201】
ステップS100の方法が開始されると、まずステップS110において、複数の(小さい)凹部またはトレンチが形成される。第1のトレンチおよび第2のトレンチは、基板材料の表面に配置される。これら第1のトレンチおよび第2のトレンチは、互いに距離を置いて並列に配置される。これによって、2つのトレンチ間に基板材料のメサ領域が残る。これらのトレンチは、従来の技術、すなわち、例えばイオンビームエッチング(IBE)、反応性イオンビームエッチング(RIE)、あるいは(例えば、シリコンの異方性化学エッチングに基づく)化学エッチング法によって形成することができる。これらの様々なエッチング処理は、等方性または異方性が様々に異なっている。例えば、IBEプロセスは高度に異方性である場合が多いが、化学ウェットエッチングでは、材料がより等方性に除去される傾向がある。
【0202】
これをさらに示すために、図19A〜図19Eは、本発明の一実施形態に係る様々な製造段階における固定用構造800を含むデバイス820の断面を概略的に示している。図19Aは、主表面または表面830、第1のトレンチ1000−1、および第2のトレンチ1000−2を含むデバイス820を示している。第1のトレンチ1000−1および第2のトレンチ1000−2は、2つのトレンチ1000−1と1000−2との間にメサ領域1020が残留するように、基板材料1010内に導入されている。
【0203】
図18に示されているフローチャートのステップS120では、メサ領域1020の表面1030において、基板材料1010の化学的および/または物理的変換が行われる。基板材料1010の化学変換は、例えば酸化によって生じさせることができる。これによって、メサ領域の表面1030領域内に酸化物層1040が生成される。
【0204】
図19Bは、図19Aに示したステップS120において物質変換を行った後に得られるデバイス820の状態を示している。物質変換(ステップS120)を行う際の酸化によって、メサ領域の表面1030に、メサ領域1020内の酸化物層1040が形成される。しかし、図19Bに示されている状態では、2つのトレンチ1000−1および1000−2の外側の領域内、側壁領域内、およびトレンチの底領域内にも酸化物層が形成されている。
【0205】
物質変換(ステップS120)を行うにあたっては、当然ながら、酸化に加えて、他の化学的または物理的処理を行って基板材料1010の各変換を行うことができる。例えば、対応する窒化物層を形成するための、これに対応する硝酸化、あるいはさらに複雑な化学変換を行うことができる。
【0206】
ステップS120において物質変換が行われた後、ステップS130(図18を参照)において、メサ領域1020内の表面1030において、変換された基板材料1010が除去される。これによって、第1のトレンチ1000−1および第2のトレンチ1000−2が、共通トレンチ1050内に結合される。物質の特定的な除去が行われた後の状態は、図19Cに概略的に示されている。
【0207】
したがって、並列に伸びる2つのトレンチ1000−1と1000−2との間の距離、および酸化物層1040の層厚または各層の層厚によって、元のメサ領域1020において突出部1060が得られる。突出部1060は、酸化以外の物質変換の場合に、S120での物質変換中にメサ領域1020の表面1030において形成される。したがって突出部1060は、主表面830に対して、最深地点を有する共通トレンチ1050の底部1070に対して、高低差1080を有している。高低差1080は、少なくとも200nm、または、主表面830に対する共通トレンチ1050の深さ1090の少なくとも5%である。別の実施形態では、高低差1080および深さ1090は、例えば、異なるように形成される凹部の各表面に対して形成することができる。具体的には、例えば図19Cに示されている共通トレンチ1050では、固定用構造800の凹部840の形状は、1つのみである。
【0208】
したがって高低差1080は、ステップS120において物質変換を行う際、およびステップS130において変換された基板材料を物質を特定的に除去する際に、プロセスに典型的なパラメータを考慮しながら、幅広い範囲で調整することができる。例えば、物質変換を行う際の具体的な条件、およびメサ領域1020の幅(すなわち2つのトレンチ1000−1と1000−2との距離)の選択を変えることによって、突出部1060の形状、および共通トレンチ1050の底部1070に対する突出部1060の高低差1080を、一般的な様々なプロセスにおいて所望の通りに制御することができる。さらに、突出部1060の形状および高低差1080は、別のパラメータを制御することによって調整することもできる。これについては、本明細書の別の箇所において、少なくとも部分的に説明する。
【0209】
ステップS120において酸化を行い(基板材料1010の変換を行う)、そして物質の特定的な除去(ステップS130)を行う場合、形成された酸化物層1040が再度除去されるため、このような酸化は犠牲酸化とも称される。例えば基板材料1010がシリコンである場合、すなわち基板がシリコンウェハである場合、形成された二酸化ケイ素(SiO)の材料特異的な除去は、例えば、緩衝液としてNHFを用いた緩衝化フッ化水素酸(HF)によって、湿式化学的に行われる。このようなエッチング工程では、窒化物層(Si)もまた、物質を特定的に除去される場合がある。
【0210】
任意のステップS140(図18を参照)では、共通トレンチ1050の側壁および/または底部1070および/または突出部1060領域に、絶縁層1100が堆積される。この工程では、(別の製造段階において形成される)導体層構造が、その下に位置する基板材料1010から電気的に絶縁される。
【0211】
このような堆積は、例えば絶縁層として酸化物層1100が想定される場合は、化学誘導による酸化(例えばTEOS=テトラエチルオルトシリケート)による熱酸化によって行うか、あるいは各酸化物材料を直接堆積することによって行うことができる。したがって、窒化物層の場合においても、これらは、各材料の硝酸化または堆積によって行うことができる。
【0212】
導体層構造810が堆積されるステップS150(図18を参照)では、図19Eに示されている状態が最終的に得られる。図19Eに示されているデバイス820のための固定用構造の実施形態では、導体層構造810は、単一の金属層または金属合金層である。金属層810は、共通トレンチ1050内において、絶縁層1100上に堆積される。これによって、共通トレンチ1050の突出部1060が、構造を形成する物体として、絶縁層1100内に転用される。したがって、共通トレンチ1050の底領域1070内に位置する絶縁層1100は、構造を形成するエッジを成し、これによって最終的に、窪み1110が導体層構造すなわち金属層810に向かい合う。このような構造は、絶縁層1100を典型的にコンフォーマルに堆積することによって、トレンチの底領域内に形成される。この結果、導体層構造810が、突出部1060の存在によって、共通トレンチ1050内において窪み1110を形成する。
【0213】
導体層構造810の堆積に関しては、図19Eにも示されているように、導体層構造810は、トレンチによって形成された凹部840内に完全に配置されるか、あるいは共通トレンチ1050内に完全に配置される。さらに導体層構造は、底部1070からの距離に対して、共通トレンチ1050の深さ1090の少なくとも20%を充填する。この場合、導体層構造810または金属層810は、共通トレンチ1050の深さ1090の50%以上、または75%以上を充填している。
【0214】
しかし、導体層構造810によってトレンチが完全に充填され、導体層構造810がデバイス820の主表面830上に伸びるようにしてもよい。本発明のこのような実施形態は、例えば図20Aおよび図20Bにより詳しく示されている。
【0215】
図20Aは、本発明の一実施形態に係る固定用構造を含むデバイス820の別の断面を示している。より具体的には、図20Aは、第1のトレンチ1000−1および第2のトレンチ1000−2を含むデバイス820を示している。第1のトレンチ1000−1および第2のトレンチ1000−2は、互いに平行な距離を置いて伸びており、また第1のトレンチ1000−1と第2のトレンチ1000−2との間にメサ領域1020を形成している。したがって図20Aに示されている図は、図19Aに示されている図にほぼ対応している。
【0216】
図19Aに示されているデバイス820とは異なり、第1のトレンチ1000−1の深さ1090−1は、第2のトレンチ1000−2の深さ1090−2よりも小さい。これによって、図18に示されている別の処理工程では、別の工程において堆積される導体層構造810の追加的な側方アンカリングまたは嵌合が生じる。
【0217】
物質変換を行う処理ステップS120において、メサ領域1020の表面1030の基板材料1010が化学的またはそれ以外の方法で変換された場合、図20Aに示されている(酸化物)層1040が形成され、そして変換された基板材料を物質を特定的に除去する工程において除去される。この結果、共通トレンチ1050が形成される。したがって、2つのトレンチ1000−1および1000−2の異なる深さ1090−1および1090−2によって、図19に示されている実施形態よりも高低差1080が大きくなる。高低差1080が大きくなることによって、堆積される導体層構造810を追加的にアンカリングまたは嵌合することができる。
【0218】
図20Bは、本発明の一実施形態に係る固定用構造800の一実施形態を示している。本実施形態は、図19Eに示されている実施形態とほぼ対応している。本実施形態においてもまた、絶縁層1100上に、例えば単一の金属層すなわち金属構造である導体層構造810が堆積されている。絶縁層1100は、底部、側壁、および突出部1060の下地を形成している。これは、変換された基板材料1010を物質を特定的に除去することによって形成される。
【0219】
任意の絶縁層1100がコンフォーマルに堆積されるため、これに対応する突出部1060が、その内部において、構造を形成するエッジとして形成される。これによって、導体層構造810の窪み1110が、突出部1060と向かい合う。
【0220】
底部の固定用または底部の嵌合構造は、高低差1080(図20Bにも示されている)を有しているため、導体層構造810に作用する横方向の力の衝撃に対して、導体層構造810のアンカリングまたは嵌合を行うことができる。既に説明したように、本実施形態における導体層構造810は、デバイス820の主表面830を超えて突出している。これによって、共通トレンチ1050全体が導体層構造810によって充填される、すなわち、共通トレンチ1050の断面領域の幅全体が充填される。したがって上記導体層構造は、共通トレンチ1050内にある1つのトレンチ1000領域内に配置されているだけではない。上記導体層構造は、少なくとも、形成された突出部1060上に配置されている。
【0221】
図21Aは、本発明の一実施形態に係る固定用構造800を含むデバイス820の別の断面を示している。図21Aは、図20Aおよび図19Aと同様である。このため、一般的な特徴の説明に関しては、これら2つの実施形態を参照されたい。しかし、これら2つのトレンチ1000−1および1000−2は、これまで説明した実施形態とは異なり、デバイス820の主表面830に対して、明らかに90°とは異なる角度を成す側壁1120を有している。より具体的には、第1のトレンチ1000−1の側壁1120の延長部分1130は、主表面830に対して20°〜75°の範囲の角度1140を成している。一部の実施形態では、角度1140の範囲は、通常は下限値が20°〜30°であり上限値が45°〜60°である。
【0222】
言い換えると、第1のトレンチ1000−1は、傾斜した側壁1120を有している。側壁1120が主表面830に対して対応する角度を成しているだけではなく、メサ領域1020の表面1030もまた、主表面830に対して相対角度を成している。このため第1のトレンチ1000−1は、本質的にはV字型のトレンチである。これは、例えばTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)を用いてシリコンを異方性エッチングすることによっても得られる。しかし、他の製造プロセスを用いて、対応するV字型トレンチ1000を製造することもできる。このような製造プロセスは、特に、前述したIBEおよびRIE法を含んでいる。対応する角度は、角度1140と必ずしも合致していなくてよいが、エッチング処理中に、照射されるイオンビームとデバイス820の主表面830との間に維持されるような角度とする必要がある。
【0223】
2つのトレンチ1000−1および1000−2は同一の製造工程において準備される場合が多いため、第1のトレンチ1000−1だけではなく、第2のトレンチ1000−2もまた、対応する傾斜した側壁1120を有している。当然ながら、2つのトレンチ1000−1および1000−2は、基本的には、異なる製造工程において、または他の方法によって製造され、これらがデバイス820の主表面830に対して異なる角度1140を形成するようにしてもよい。
【0224】
メサ1020の表面1030は、対応するトレンチ1000の側壁1120と同様に、主表面830に対して、明らかに90°とは異なる角度を成している。この結果、メサ領域の幅は、基板材料1010の深さが大きくなるにつれて、すなわち主表面830からの距離が大きくなるにつれて広くなる。主表面830からの深さが増すについてメサ領域1020の幅が広くなることによって、ステップS120において形成される層1040は、図21Aに示されているような形状となる。基板材料1010の変換の実施に関して、当該変換が表面1030から開始されて、各工程において典型的な距離にある材料まで続けて行われるという事実は、非常に重要である。
【0225】
メサ領域1020の表面1030において、変換された基板材料1040が物質を特定的に除去された後、絶縁層1100が任意に堆積されて、導体層構造810が堆積される。この結果、図21Bに示されているデバイス820の断面が得られる。メサ領域1020の表面1030が傾斜しているため、それぞれの角度を変えることによって、突出部1060(より具体的には、突出部1060の高低差1080、場合によってはその幅および形状)を、物質変換(ステップS120)および物質の特定的な除去(ステップS130)を行う間に、変えることができる。他の点では、プロセスパラメータは一定に維持される。
【0226】
したがって、共通トレンチ1050の底部1070において、幾何学的構成に対する1つまたは複数の突出部を特定することができる。これは、下部に位置するトレンチ1000−1と1000−2との距離の変更、表面1030の角度および側壁1120の適合、並びに、場合によっては各トレンチ1000の深さ1090の変更によって行われる。上記幾何学的構成は、特に、既に構成された高低差1080、および共通トレンチ1050の底部1070における突出部1060の幅を含んでいる。
【0227】
説明を完全にするために、この点に関して、図21Bに示されている導体層構造810もまた、共通トレンチ1050全体を充填しており、表面すなわちデバイス820の主表面830を超えて突出している点に留意されたい。
【0228】
上記した実施形態において、導体層構造810と基板材料1010との間に絶縁層1100が基本的に挿入されている場合、これは、絶縁層1100を堆積する任意の処理ステップS140において生成された任意の層である。例えば、電気的な層構造810とその下に位置する基板材料1010とが電気的に直接接触していることが想定される場合、ステップS140および関連する絶縁層1100は省略することができる。また、絶縁層1100の形状は、当然ながら、図19〜図21に示されている形状とは異なっていてもよい。また、導体層構造810と基板材料1010との間に、1つまたは複数の追加的な絶縁、半導体、半金属、または導電性の層、および導体層構造を配置させてもよい。これについては、本明細書の別の箇所において例を挙げる。
【0229】
したがって、図19〜図21に示されている固定用構造800の実施形態は、複数または多数の小さくて狭いトレンチ1000によって、共通トレンチ1050の非常に広いトレンチ構造内に導体層構造810が配置されており、このように導体層構造810が固定されている点において共通している。導体層構造810は、例えば、金属線(例えばゲートランナー)を1つだけ含んでいてもよい。プロセスフローとも称される製造プロセスの最後において、小さくて狭い多数のトレンチ1000が、共通トレンチ1050である1つの連続した広いトレンチ構造に結合される。
【0230】
図22A〜図22Cは、本発明の一実施形態に係る別の固定用構造800を含むデバイスの断面を示しており、図22Dは、図22Aに関連する配置の平面図を示している。図22A〜図22Dは、異なる製造段階における状態を示しており、図22A〜図22Dに示されている固定用構造800の実施形態は、トレンチトランジスタの分野から得られた一実施形態である。
【0231】
図22Aは、主表面830を有するデバイス820を示している。デバイス820内では、比較的狭い複数のトレンチ1000が、主表面830から始まる基板材料1010内に形成されている。複数のトレンチ1000は、共通トレンチ1050である広いトレンチ構造を形成する働きをする。共通トレンチ1050は、導体層構造すなわち金属線のための、突出部である複数の底部嵌合構造を有する。図22Aは、トレンチ1000に加えて、例えばトレンチトランジスタ820のセルフィールドに属する、別のトレンチ1150をさらに示している。製造プロセスの別の過程では、別のトレンチ1150には、1つまたは複数の電極が設けられる。これら電極のうちの1つは、例えば、ゲート電位またはソース電位に接続することができる。
【0232】
図22Aに示されているトレンチ1000は、このようなデバイス820の場合、トレンチトランジスタが何らかの形で存在しているトレンチ製造プロセスを利用することによって製造することができる。複数の小さいトレンチ1000(これらのうち5つは図22に示されている)は、互いにわずかに距離を置いて配置することができる。これによって、個々のトレンチ1000間にメサ領域1020がそれぞれ形成される。各トレンチ構造を有するトレンチトランジスタあるいはその他のデバイス820の場合、既存のプロセスフローを用いて、複数のまたは多数の狭いトレンチ1000から広いトレンチ構造を形成することができる。
【0233】
個々のトレンチ1000間の距離は、後の犠牲酸化によってトレンチ1000間の薄いメサゾーン1020が少なくとも部分的に除去されるように、製造プロセスの個々の処理工程のプロセスパラメータに応じて選択される。トレンチ1000および別のトレンチ1150を形成するための製造技術に応じて、トレンチエッチング法を用いてもよい。これによって、トレンチ1000の側壁1120とデバイス820の主表面830との角度が変化する。図21Aおよび図21Bに示されている実施形態に関連して既に説明したように、トレンチ1000は、そのテーパがより大きくなるように形成して、下方にいくほどメサ構造1020の幅が広くなるように形成することもできる。
【0234】
図22Bは、メサ領域1020の酸化(図18のステップS120)、及び、これによって得られる酸化物層をエッチングする形で物質の特定的な除去(図18のステップS130)を行った後における、デバイス820の断面を示している。したがって、(例えば熱的に行われる)酸化処理の少なくとも1つは、図22Aに示されているデバイス820と、図22Bに示されているデバイス820との間において行われる。上記酸化処理によって、トレンチ1000間のメサゾーン1020が少なくとも部分的に酸化される。その後、酸化物エッチングが行われ、これによって、変換された基板材料を含む酸化物ゾーン(すなわち後に酸化されるメサゾーン)が除去される。このように、狭い複数のトレンチ1000が共通トレンチ1050に結合される。共通トレンチ1050の底領域においては、メサゾーン1020が形成されていた領域に突出部1060が形成される。言い換えると、図22Aおよび図22Bに示されている固定用構造800の実施形態では、それぞれ、2つのトレンチ1000のメサ領域1020内に1つの突出部1060が形成される。
【0235】
図22Cに示されているデバイス820の断面は、少なくとも1つの電気的絶縁層1100を設けるために、まずステップS140(図18を参照)において酸化物の堆積または別の酸化が行われた点において、図22Bに示されている断面と異なっている。絶縁層1100は、ここでは、導体層構造810の例としてその後導入される金属線と、シリコンベースである場合が多い半導体環境110とを電気的に絶縁している。
【0236】
その後、例えば標準的な製造プロセスに基づいて、デバイス820を完成させることができる。これは例えば、共通トレンチ1050の広いトレンチ構造内に金属線810を堆積および構成することによって行うことができる。金属線810は、デバイス820の特定の態様に応じて、デバイス820のパワーフィード金属線として、同一の処理工程において堆積および構成される。金属線810は、デバイス820がパワーMOSFET(MOSFET=金属酸化物電界効果トランジスタ)である場合、例えば、いわゆるパワー金属堆積および構造化において製造される金属構造であってよい。これらの工程は、概略的にメタライゼーションとも称される。デバイス820がパワーMOSFETである場合、絶縁層1100はフィールド酸化物(FOX)とも称される。絶縁層1100は、丸め酸化中に形成することができる。
【0237】
最後に、図22Dは、図22Aに示されているデバイス820の配置の平面図を示している。別のトレンチ1050に加えて、平行に伸びる5つのトレンチ1000が示されている。これら5つのトレンチ1000は、上述の製造プロセスにおいて共通トレンチ1050を形成するために用いられる。隣接し合う2つのトレンチ1000間には、それぞれ、上記から明らかであるように、メサ領域1020が配置される。
【0238】
しかし、図22Dの平面図では、複数のトレンチ1000は、複数のトレンチ1000のうちの2つのリムトレンチ1000−1および1000−Nに対して特殊性を有している。例えば、第1のトレンチ1000−1のトレンチ幅は、様々である。具体的には、第1のトレンチ1000−1は、別の部分1170とは異なる幅を有する部分1160を含んでいる。このようなリムトレンチ1000−1の幅の変動によって、物質変換および変換された基板材料の物質の特定的な除去(ステップS120およびS130)により、共通トレンチ1050の各側壁の幅も変動する。共通トレンチ1050は、このように、トレンチ部分1160の領域においてトレンチ幅が変動する。このような括れが規則的または不規則的である場合、共通トレンチ1050の縁は波形となる。このように、導体層構造810、すなわち、例えば図22Cに示されている金属構造は、共通トレンチ1050の伸びる方向に沿った力に対して嵌合させることができる。
【0239】
図22Dは、このような広い共通トレンチ1050内において導体層構造810の対応する嵌合を得る別の形態をさらに示している。例えば、他のリムトレンチ1000−Nは、中断1180を含んでいる。中断1180によってもまた、物質変換および物質の特定的な除去(ステップS120およびS130)後に、共通トレンチ1050の幅が様々に異なる。言い換えると、複数のトレンチ1000の他のリムトレンチであるトレンチ1000−Nは、少なくとも、中断1180とは距離を置いて位置する第1の部分1190および第2の部分1200を有している。リムトレンチ1000−Nの第1の部分1190および第2の部分1200は、ここでは、共通の直線上において、中断1180付近の領域に伸びている。
【0240】
したがって、共通トレンチ1050としての広いトレンチ構造は、規則的なトレンチ幅およびトレンチ距離を有する複数の小さいトレンチ1000から形成されていてもよい。トレンチ距離は、ここでは、各メサ領域1020の幅にほぼ対応している。しかし、非常に不規則的なトレンチ幅およびトレンチ距離もまた可能である。既に図21に示したように、トレンチ面の角度、および(図20に示したように)トレンチの深さは異なっていてもよい。これら全ては、後の共通トレンチ1050の広いトレンチ構造内に位置する各メサ領域1020(この領域内には、トレンチ構造および導体層構造が後に埋め込まれる)が、物質変換中に、少なくとも部分的に被覆されるという点において共通している。これは例えば、基板材料(すなわち、例えばシリコン)を、部分的に酸化して酸化ケイ素または二酸化ケイ素とすることによって行うことができる。これは、具体的には、主表面830すなわちシリコン表面に向かう領域において行われなければならない。上述の実施形態では、特に個々のトレンチ間のメサ領域1020は、物質変換される。この物質変換は、物質の特定的な除去において、突出部1060が共通トレンチ1050の深さ1090よりも小さい高低差1080を有する程度に、変換された基板材料が除去されるように行われる。言い換えると、共通トレンチは、主表面まで伸びないメサによっては中断されない。
【0241】
本発明の一実施形態に係る固定用構造800を形成する方法を用いることによって、突出部1060である底部嵌合構造を形成することができる。特定のプロセスによっては、導体層構造をコンフォーマルに堆積する場合、例えば堆積された導体層構造810の最上面に、各底部嵌合構造を形成することができる。これは、共通トレンチ1050の突出部1060によって、導体層構造の表面も突出し、粗い(金属)表面となるからである。このような応用は、例えばボンドパッド、または追加的なアンカリングまたは嵌合を達成するための他の比較的大きいパッド表面領域の分野において有用である。
【0242】
例えば、各トレンチ1000を接触または結合するために、複数のトレンチを酸化して1つのトレンチとすることによって、金属ゾーンまたは他の導体層構造のための固定用構造が、特に小さいトレンチによって得られる。次に、各導体層構造、各金属ゾーン、または各金属線が、このような広いトレンチ内に配置される。
【0243】
形成される共通トレンチ1050は、先に説明した実施形態によって示されているように、中間メサ領域1020を含む少なくとも2つのトレンチ1000を基に形成される。しかし、本発明の多くの実施形態では、広いトレンチ1050は、3つ以上のトレンチ1000に基づいている。したがって、広いトレンチ1050の幅は、通常は、少なくとも、例えばトレンチトランジスタのセルフィールドにおいて形成される別のトレンチ1150のトレンチ幅の2倍よりも大きい。本発明の別の実施形態では、共通トレンチ1050が3つ以上のトレンチ1000に基づいており、共通トレンチ1050の幅は、別のトレンチ1150の幅の少なくとも3倍、5倍、またはそれ以上である場合が多い。
【0244】
特にトランジスタの分野では、上述の信頼性のリスクに加えて、設計の最適化に関して、さらなる目標が顕在化している。この目標は、各デバイスの性能に関するものである。しかるべき目標として、例えば切り替えトランジスタ、すなわち導電性である場合、および各切り替え動作において、可能な限り損失を低減するという目標が含まれている。このためには、オン抵抗Ron・A(Ronは特定のオン抵抗、Aは各トランジスタの表面積)およびフィギュアオブメリット(FOM)Ron・Qgate(各電界効果トランジスタのゲート電荷)を可能な限り最低限に抑える必要がある。ゲート電荷Qgateは、とりわけ、ドレイン端子に対する各トランジスタのゲート端子の容量値の割合によって影響を受ける。
【0245】
したがって、図23〜図26に関連して説明する本発明の実施形態によって、例えば、実際のトランジスタセルのゲート電極を電気的に接触させるためのゲートランナーが収容される場合が多いチップ縁領域において生じる、TC負荷に関するリスクを回避または最小限化することができる。同時に、本発明の実施形態によって、適切な遮断構造が設けられるように、上述のフィギュアオブメリットを最適化または改善することができる場合がある。このような構造を製造することのできる一方法についてもまた、図25〜図26に関連して説明する。
【0246】
これに関連する本発明の実施形態は、動作を改善するための少なくとも1つの遮断構造を用いて、各導体層構造、金属構造、または金属線をより下部に配置することによって、金属ゾーンのTC動作を改善することに基づいている。例えばこれによって、上述の本発明の実施形態に加えて、トランジスタの容量値の割合、すなわち各トランジスタのゲート/ドレイン容量を低減するか、または最小限にすることができる。
【0247】
セルフィールドトレンチエッチング処理とは独立して、深くて広いトレンチを形成することのできる上記方法について、図25〜図26に関連してさらに詳しく説明する。電界効果トランジスタの場合、これは、例えば20V〜60Vの低い電圧レベルにとっては有利である。これは、このような場合、セルフィールドトレンチおよび固定用トレンチが互いに独立して最適化されるからである。例えば、アプリケーションに応じて、特に容量の小さい部品に対してセルフィールドトレンチを設計し、その結果これらを形状的に小さくかつ平坦に設計することが望ましい。対照的に、アプリケーションに応じて、各固定用トレンチが特に広く深くなるように設計して、例えばゲートランナー金属構造を配置できるようにすることが望ましい。さらに、例えばポリシリコン構造であってもよい上述の遮断構造をも、酸化物または場合によっては必要な他の絶縁層に沿って、深い各トレンチ内に配置する場合、この目的のためには、一部のアプリケーションでは、トレンチの深さは少なくとも5μm〜10μmであることが望ましい。対照的に、例えばいわゆる25V電圧レベルの電界効果トランジスタが扱われる場合、例えばセルフィールドトレンチのためのトレンチの深さは、わずか1μm〜2μmであってよい。関連する方法について、図25〜図26に関連させてさらに詳しく説明する。
【0248】
このように、本発明の一実施形態に係る、導体層構造810のための嵌合構造800を形成する方法は、基板材料1010の表面830に、第1のトレンチ1000−1および第2のトレンチ1000−2を形成する工程を含んでいる。これら第1のトレンチおよび第2のトレンチは、互いに平行な距離を置いて配置される。このため、それらのトレンチの間に基板材料1010のメサ領域1020が残る。上記方法は、メサ領域1020の表面において基板材料の物質変換を行う工程と、メサ領域1020の表面1030において、変換された基板材料を物質を特定的に除去する工程とをさらに含んでいる。これによって、第1のトレンチ1000−1および第2のトレンチ1000−2が、メサ領域1020内におけるトレンチ底部1070に突出部1060を含む共通トレンチ1050に結合される。上記方法は、導体層構造810を堆積する工程をさらに含んでいる。これによって、導体層構造810は、少なくとも部分的には共通トレンチ1050内に配置され、突出部1060に面する領域に窪み1110が形成される。
【0249】
別の実施形態では、上述の方法は、複数のトレンチを形成する工程を含んでいてよい。外部トレンチは、当該トレンチの第2の部分とは異なる幅を有する第1の部分を有している。これによって、第1の領域内における共通トレンチの幅は、第2の領域とは異なっている。別の実施形態では、上記第1および第2のトレンチは、上記方法において、主表面に対して異なる深さ(すなわち第1および第2の深さ)を有するように形成することができる。共通トレンチは、突出部の高低差が、共通トレンチの深さの90%を超えないように(すなわち当該深さの90%未満となるように)形成することができる。この割合は、別の実施形態では、75%未満または50%未満に制限してもよい。
【0250】
図23Aは、本発明の一実施形態に係る固定用構造800を含むデバイス820の断面を、断面方向A−B−Cに沿って示している。断面方向A−B−Cは、デバイス820の上面を示す図23Bにも示されている。デバイス820は、複数のトレンチ1150−1、1150−2、...を有するセルフィールド1300を含む縦型トレンチ電界効果トランジスタである。各トレンチは、下部電極1310および上部電極1320を含んでいる。
【0251】
これら2つの電極は、その名称が示しているように、各トレンチ内において、互いに垂直に補完するように配置されており、また絶縁層1330によって互いに電気的に分離されている。さらに、トレンチ1150は、絶縁層1100によって下地が施されている。これは特に、2つの電極1310および1320が、各トレンチ1150の下の基板材料1010に、意図せずして電気的に接触することを防止するためである。トレンチ1150内では、絶縁層の厚さは、図23Aに示されているように、様々であってよい。当該絶縁層は、フィールド酸化物(FOX)とも称される場合が多い。
【0252】
上部電極1320は、その上に位置する層および構造から、絶縁層1340によって電気的に絶縁されている。したがって、セルフィールド1300内の別のトレンチ1150内に位置するこれら2つの電極1310および1320は、そのそれぞれの環境から、側方は絶縁層1100によって電気的に絶縁されており、また垂直方向においては絶縁層1330および1340によって電気的に絶縁されている。
【0253】
上部電極1320は、縦型トランジスタの実際のゲート電極を構成しており、またデバイス820のゲート端子に接続されている。下部電極1310もまたトレンチ1150内に配置されている。しかし下部電極1310は、動作中に電界効果トランジスタのチャネルを制御する機能を果たすことはなく、むしろフィールドに影響を与えるために用いられる。したがって下部電極1310は、デバイス820のソース電位のための端子に結合される。上部電極1320および下部電極1310のための各端子は、図23Aに示されている断面A−B−C外に形成される。
【0254】
トレンチ1150の下部電極1310、およびトレンチ1150間に配置されているソース端子(図23Aには示していない)は、それぞれ、ソースメタライゼーション1350に間接または直接接続されている。ソースメタライゼーション1350もまた、各コンタクトワイヤのための外部回路のためのボンドパッド(すなわちデバイス820の端子パッド)として機能する。各コンタクトワイヤは、例えばボンディングプロセスによって、端子パッド1350に接続することができる。図23Bの平面図によって示されているように、ソースメタライゼーション1350は、デバイス820の中心に位置する広い領域上に配置されている。図23Bは、デバイス820のチップの隅部の断面を示していることに留意されたい。
【0255】
次に、デバイス820の別の構造について、図23Aおよび図23Bと共に説明する。一方では、図23Bの概略平面図を用いて、デバイス820の層状構造について図23Aに関連して示し、他方では、各構造の側方における構成およびその相互作用について示す。既に簡単に説明したが、図23Bは、上部にデバイス820が形成されたチップの隅部の断面を示している。さらに図23Bは、概略図であって、個々の構造的特徴を明確に示すためのものではない。これらは、例えば、トレンチ1150の内部構造を含んでいる。図23Bはまた、周期的または別の方法で配置された全ての要素を示しているわけではなく、また複数回参照される。図23Bは、セルフィールド1300の3つの第1のトレンチ1150−1、1150−2、1150−3のみを示している。トレンチ1150のさらなる連続は、第3のトレンチ1150−3の隣の点線で示されている。
【0256】
2つの電極1310および1320は、各端子構造によって、デバイス820の各端子に間接または直接結合されている。図23Aおよび図23Bは、トレンチ1150の下部電極1310のために、デバイス820ではポリシリコン(ポリ−Si)からなる各端子構造1360を示している。端子構造1360は、デバイス820の動作中にソース電位が印加される下部電極1310を接触させる機能を有しているため、「ポリ−S」とも称される。
【0257】
端子構造1360は、図23Aに示されている断面に沿って、点Aと点Bとの間の領域内において、凹部840の内部から、その側壁に沿って伸びており、またデバイス820の主表面830上の絶縁層1100上に伸びている。図23Bは、端子構造1360(ポリ−S)が、凹部840から、ソースメタライゼーション1350領域の下のセルフィールド1300内に伸びていることを示している。ここでは、端子構造1360は、その下に位置する基板材料から、絶縁層1100によって電気的に絶縁されている。この絶縁層1100は、酸化物層の場合は、フィールド酸化物(FOX)とも称される。
【0258】
端子構造1360は、その上に位置する構造から、別の絶縁層1370によって電気的に絶縁されている。別の絶縁層1370は、開口部および他のコンタクトホールを除いて、端子構造1360を完全に被覆している。この別の絶縁層1370はまた、酸化物として形成される場合が多いため、ポリ酸化物の略称である「Polox」と表示される。これは、端子構造1360のポリ−Sの表示からの借用である。
【0259】
別の絶縁層1370は、端子構造1360(ポリ−S)と、関連するソースメタライゼーション1350とを電気的に接触させるために、コンタクトホール1380を含んでいる。コンタクトホール1380には、必要に応じて、ドープされた、高濃度にドープされた、またはドープされていない半導体材料(例えばポリシリコン)、あるいは追加的な金属構造を充填することができる。
【0260】
図23Bにも示されているように、デバイス820は、その外側領域に導体層構造810を含んでいる。導体層構造810は、図23Aおよび図23Bに示されている特定の実施形態では、ゲート電位のためにデバイス820の端子に接続された金属線である。したがって金属線810もまた、いわゆるゲートランナーと称される。上記ゲートランナーは、デバイス820の機能性を確保するために、いわゆるパワーメタライゼーションに関連して形成される場合が多い。パワーメタライゼーションでは、各金属構造が、他の導電性構造よりも明らかに広く且つ厚く形成される。したがってゲートランナー810は、まさに、上述のTC負荷を受けやすい金属構造である。このため、(導体層構造810の一実施形態では)ゲートランナー810は、少なくとも部分的には、各トレンチに基づいて形成された凹部840内に配置されている。凹部840は、ここでは、図23Bの平面図にも示されているように、適切に幅広くなるように設計されたトレンチに基づいて形成されている。
【0261】
ゲートランナー810は、別の端子構造1390から、絶縁層1400によって分離されている。別の端子構造1390は、コンタクトホールおよび他の開口部の領域は別として、ゲートランナー810の下に配置されている。別の端子構造1390は、ここでは、特に、セルフィールド1300内のトレンチ1150の上部電極1320を間接または直接接触させるための機能を果たす。別の端子構造1390はまた、端子構造1360と同様にポリシリコンから形成されている場合が多ため、「ポリ−G」と称される。これは、別の端子構造1390がゲート電位を有しているためである。絶縁層1400(酸化物として形成される場合も多い)は、特に、ゲートランナー810と別の端子構造1390とを電気的に接続させるために、コンタクトホール1410を含んでいる。コンタクトホール1410は、本実施形態では、ゲートランナー810の材料によって充填されている。したがって、ゲートランナー810と別の端子構造1390との接続は、まさにこのコンタクトホール1410によって行われる。絶縁層1400は、酸化物層として形成されている場合、中間酸化物(INT OX)と称される場合も多い。
【0262】
これに関連して、図を簡素にするために、図23Bは、別の端子構造(ポリ−G)1390、絶縁層1400、あるいはコンタクトホール1410のいずれも図示していないことに留意されたい。図23Aにも示されているように、絶縁層1400はまた、重複している領域において、ソースメタライゼーション1350と端子構造1360との間に伸びている。コンタクトホール1380は、ソースメタライゼーション1350と別の端子構造1360とを電気的に接触させるために、絶縁層1400内に各開口部を有している。
【0263】
したがって、図23Aおよび図23Bに示されている固定用構造800の実施形態は、凹部840(固定用トレンチ)内に、導体層構造810としてゲートランナーを含んでいるだけではなく、ポリ−S1360、ポリ−G1390、中間ポリ酸化物1370をさらに含んでいる。ゲートランナー810は、コンタクトホール1410によって別の端子構造1390と電気的に直接接触している。しかし、その下に位置するポリ−S1360は、ゲートランナー810とポリ−G1390との両方から電気的に絶縁されており、またソースメタライゼーション1350に電気的に接続されている。ポリ−S構造1360は、ポリ−G構造1390とは異なり、その全体がゲートランナー810(導体層構造810)の下に伸びており、また場合によって、凹部840の側壁に沿って伸びている。ポリ−S構造1360は、ゲートランナー810およびその下に位置するポリ−G1390を、各基板の主表面830とは反対側にある後部面に位置するデバイス820のドレイン端子から、電気的に遮断している。
【0264】
言い換えると、図23Aおよび図23Bに示されている固定用構造800の実施形態は、金属線すなわち金属ゾーン810を形成する形態を提供する。金属ゾーン810は、より深くに配置され、各デバイス820の切り替え特性を改善させる遮断層を有している。これに対応する方法について、図25および図26A〜図26Kを参照しながらより詳しく説明する。
【0265】
図23Aおよび図23Bは、ゲートランナー領域内においてより深くに配置された遮断構造の断面、および可能な配置を示している。図23Aおよび図23Bでは、端子は、深いゲートランナートレンチ840から引き出された平面状のポリ−S層1360によって形成されている。これらの図に示されているポリ−S1360は、ポリ−G1390およびゲートランナー金属810を、デバイス820の後部面に配置されたドレイン端子から遮断する機能を果たす。ポリ−S1360は、深く広いトレンチ840の側壁およびトレンチ840の底部において、完全に下地を施しており、またコンタクトをとるためにトレンチの一方から引き出されている。
【0266】
しかしポリ−S1360は、直接遮断するために、深いトレンチ840内のみに伸長および接続されていてもよい。このような場合、例えば、セルフィールド1300のトレンチ1150を介して、ポリ−S1360を直接接触させる形態も可能である。セルフィールド1300のトレンチ1150の一部は、図24に概略的に示されているように、深いトレンチ840内へ伸びている。
【0267】
図24は、本発明の一実施形態に係る固定用構造800またはゲートランナー810を有する縦型電界効果トランジスタである別のデバイス820の平面図を示している。図24に示されている実施形態は、図23Aおよび図23Bに示されている実施形態とは、層構造においてわずかに異なっている。図24に示されている実施形態はまた、図23Bの配置においてわずかに異なっているのみである。このため、これら2つの実施形態間の相違点は、以下のように強調されている。ここでもまたポリ−Sと称される端子構造1360は、トレンチ840内のみに伸びている。ポリ−S、すなわちその端子の電気的接触は、共通トレンチ840内へ伸びるセルフィールドトレンチ1150によって行われる。
【0268】
このように、図24に示されている3つのセルフィールドトレンチ1150は、トレンチ840まで伸びている。このため、トレンチ1150内に配置された下部電極1310は、トレンチ840内において、平面に形成されたポリ−S1360と直接接触している。図24に示されているデバイスでは、図23Aおよび図23Bに示されているデバイス820とは異なり、電位は、セルフィールド1300の実際のトレンチ1150領域において、各コンタクトホール1420を用いて、ソースメタライゼーション1350からポリ−S1360へと電気的に供給される。したがってポリ−S1360の端子は、個々の「ソースフィンガ」を用いたフィンガ型端子との関連において、コンタクトホール1420を介して、セルフィールド1300内のソース金属1350に形成される。
【0269】
次に、より深くに配置され、遮断部およびアンカリングを含むゲートランナーの製造方法について、図25および図26A〜図26Kに関連して説明する。しかし、図26A〜図26Kに関連して得られる構造の異なる中間工程を用いて、実際のプロセスフローについて説明する前に、まず、本発明の一実施形態に係る固定用構造800の平面図について、図25に関連して説明する。
【0270】
図25に示されている平面図は、ある程度は、図24に示されている平面図と類似している。ここでもまた、ゲートランナーすなわち導体層構造810は、例えばトレンチ840内に配置されている。ポリ−S構造1360は、ここでもまた、ゲートランナー810の下において、ゲートランナー810を遮断するための別の導体層構造として示されている。以下に説明する複数の別の構造および層は、図25には示されていない。フィードトレンチ1430は、トレンチ840内へと垂直に伸びている。フィードトレンチ1430は、セルフィールド1300のトレンチ1150内へと伸びている。フィードトレンチ1430の内部は、ポリシリコン構造1440が配置されている。ポリシリコン構造1440は、凹部840(固定用トレンチ)内において、ポリ−S構造1360と電気的に接触している。固定用トレンチ840すなわち凹部840の内部は、低領域と称される場合もある。ポリシリコン構造1440は、さらに、セルフィールド1300のトレンチ1150の下部電極1310へと伸びている。
【0271】
別の過程においても再度形成されるポリ−Gゾーン1390、およびセルフィールド300のトレンチ1150の関連する上部電極1320に関しては、その品質において、基本的には、端子に関して各ポリ−S構造1360に該当することが、これらにも該当する点に留意されたい。ここでもまた、各ポリ−G構造を平面的に引き伸ばすことに関連してセルフィールドトレンチ1150を接続することもまた、ポリ−S1360を示す図23Aおよび図23Bに示されているように、可能である。また、図24および図25に示されているように、セルフィールドトレンチ1150を、これらの内部へ直接伸びるトレンチによって接続することも可能である。
【0272】
当該製造方法のプロセスフローについて、図26A〜図26Jに関連させて、図25の矢印Aによって示されている断面に沿って説明する。プロセスフロー中に得られる、図25の断面領域Bに沿った断面については、図26Kに関連して説明する。
【0273】
図26Aは、ゲートランナー領域の断面を示している。このゲートランナー領域は、後の時点において、2つの任意の処理工程後に得られる。まず、基板材料1450の主表面830において、1つまたは複数のトレンチ1460が、基板材料1450内にエッチングされる。トレンチ1460は、トレンチエッチング中に、ゲートランナー810のため後でより深くに形成されるトレンチ840のゾーン内にエッチングしてもよい。したがって、これらトレンチ1460は全て、より深い構造を形成することができるように機能する。したがって、これらトレンチ1460は、ダミートレンチと称される場合もある。トレンチ1460は、ここでは、例えばセルフィールド1300のトレンチ1150の製造方法において、同時に形成することができる。これらトレンチ1460は、異方性エッチング処理、例えばイオンビーム、あるいは反応性イオンビームエッチングによって形成される場合が多い。この後、あるいは場合によってはこの前に、レジスト1470が塗布、露光、および堆積される。これによって、トレンチ1460領域内に開口部1480が形成される。このように形成されるトレンチ1460は、当然ながら、図18〜図22に関連して説明したように、底部嵌合構造のためのトレンチ1000として用いることができる。
【0274】
図26Bは、レジスト平面、またはその内部に配置されたレジスト1470が露光された後の状態を示している。この状態では、レジスト1470内の各領域は開口しており、また基板材料1450は、図26Aのトレンチ1460領域内において、本質的には等方性である傾向が高いエッチング処理によって除去されている。これによって、基板材料1450内において、対応するトレンチすなわちトレンチ840に基づいて、凹部840が形成される。
【0275】
図26Cは、基板材料1450と、レジスト平面からレジストを除去した後に得られる凹部840とを示している。基板材料1450を酸化することによって、図26Dに示されているように、主表面830上、凹部840の側壁および底領域に、フィールド酸化物である絶縁層1100が形成される。このように図26Dは、フィールド酸化物1100が酸化された後のデバイスを示している。
【0276】
その後、絶縁層1100上にポリシリコンが堆積される。当該ポリシリコンは、図26Eに示されているように、トレンチ840内において、端子構造1360すなわちポリ−S1360を形成している。図26Fは、トレンチ840内にポリ−S1360を形成するポリシリコン層の余分な材料が、化学的機械研磨(CMP)によって除去された後の状態にあるデバイスを示している。このように、ポリシリコン1360は、CMP処理工程後は、トレンチ840のゾーン内にのみ残留する。当然ながら、異なる形状を考慮および実施してもよい。
【0277】
図26Gは、後のポリ−S1360と後に形成されるポリ−G1390との間に別の絶縁層1370を設けるために別の酸化を行った後に形成される中間生成物を示している。別の絶縁層1370は、2つのポリ1360と1390との間に配置されており、また酸化によってそれより前に堆積されたポリ−S構造1360のポリシリコンから得られるものであるため、ポリ酸化物または「Polox」とも称される。図26Hは、別のCMP処理工程後における、デバイスの中間工程を示している。上記別のCMP処理工程では、ポリ−G1390の余分なポリシリコン材料、および場合によっては余分な酸化物が、主表面830から少なくとも部分的に除去される。
【0278】
次に、別の絶縁層1400が堆積される。別の絶縁層1400は、酸化物である場合は、中間酸化物層(INT OX)とも称される。次に、コンタクトホールエッチング工程において、ポリ−G1390を接触させるためのコンタクトホール1410が、トレンチ840の内部に形成される。次に、パワーメタライゼーションの堆積およびゲートランナー810の必要な構造に関連して、トレンチ840内において、それより前に形成された層構造上に、ゲートランナーである導体層構造810が形成される。これについては、図26Jに示されている。
【0279】
パワーメタライゼーションの堆積は、導体層構造810の例としてのゲートランナー810に加えて、図23A、図23B、および図24に示されているソースメタライゼーション1350を含んでいてよい。このパワーメタライゼーションの堆積は、例えばスパッタリング法を用いて行うこともできる。ここでは、各金属は、コンタクトホール1410に下地を施している。このため各金属は、ゲートランナー810と、その下に位置するポリ−G構造1390との電気的接触を構築している。
【0280】
図25に示されている各デバイスの概観に照らして既に説明したように、図26A〜図26Jに示されている工程は、Aで印されている位置を示している。対照的に、図26Kは、上記にしたがって形成されたデバイスの、図25においてBで印されている方向に沿った断面を示している。
【0281】
図26Kは、ソースポリ1360が接触している端子トレンチ1430の領域の断面を示している。本質的には、図26Kに示されている図は、各ポリシリコン構造1440に沿ったフィードトレンチ1430がトレンチ840内へと伸びている点において、図26Jに示されている図とは異なっている。図25に関連して既に示したように、このフィードトレンチ1430は、図26Kに示されている断面に垂直に伸びるトレンチ1150または別のフィードトレンチへと伸びている。したがって後者は、トレンチ1150の各電極1310へと伸びている。したがって図26Kは、ソース電位を有する各構造にポリ−S1360を接続する直交端子トレンチの断面を示している。
【0282】
上述の本発明の実施形態において、上記別の端子構造は、別の導体層構造1360として、1つだけの半導体層(ポリシリコン)を含んでいるいずれの場合であっても、基本的には、金属層、合金層、半導体層、またはこれら層の任意の組み合わせのみを含む導体層構造によって置き換え可能である。同様に、電圧または電流を伝導させる各導体層構造の基本的な容量が、少なくとも完全には抑制されていない限りは、各導体層構造1360内に絶縁材料を挿入することが望ましい場合もある。
【0283】
上述した本発明の実施形態において、導体層構造810が単一の金属線として示されている場合、より具体的にはゲートランナーとして示されている場合であっても、基本的には、これに関連して、金属層を少なくとも1つ含む任意の導体層構造810を用いることができる。これに関連して、合金を含む層は、本明細書の目的のために、金属層であると考えられる点について留意されたい。
【0284】
既に説明した実施形態に示されている導体層構造810は、少なくとも凹部840の深さ部分を超えて、各凹部の幅全体が充填されるように、各トレンチすなわち凹部840を少なくとも部分的に充填していてよい。同様に、導体層構造は、デバイスの主表面830を超えて突出していてもよい。
【0285】
一般的には、より深くに配置される上記構造は、基本的には独立型の構造であってよい。したがって、より深くに配置されて固定される上記各構造は、もっぱら金属またはポリシリコン構造であってよい。より深くに配置される上記構造、すなわち導体層構造810は、例えば深いトレンチ840内に配置された、単なるポリ−S構造またはポリ−G構造であってもよい。しかし既に説明したように、これらは任意に組み合わせて形成することもできる。これらを製造するために必要な各プロセスは、基本的には任意に組み合わせることができ、また所望の通りに用いることができる。例えば、やや高い電圧レベルで配置工程を行うために比較的平坦なトレンチが用いられる場合、図26Aに関連して説明したセルフィールドトレンチエッチングを固定用構造のために用いることができる。中程度から低程度の電圧レベルで1つまたは複数のポリシリコン層および/または金属線を配置させるために比較的深いトレンチが必要である場合は、ここに説明したプロセスを用いることができる。ここで説明した方法は、変形例においては、原理的に、例えば深さが1.5μm未満の非常に平坦なセルフィールドトレンチ、すなわちプレーナ型トランジスタが形成される場合は、第1のセルフィールドトレンチエッチングを完全に省略できるように構成することもできる。これにより、実施可能な多数の別の態様のうち、わずか2つの実施可能な実施例が記載された。このような場合、深い固定用トレンチは、ここで説明した方法のみによって形成することができる。
【0286】
したがって、本発明の実施形態に関連してトレンチおよび凹部を製造するためには、これらのトレンチおよび凹部を、例えばセルフィールドトレンチエッチングのみによって、すなわち本質的には異方性である傾向の高いエッチング処理によって、あるいはレジストエッチングのみによって、すなわち例えば湿式化学によって行われる等方性エッチングによって、あるいはこれらの異なるエッチング手法を任意に組み合わせることによって製造することができる。これらのエッチング方法を用いることによって、各エッチング処理に対して、ほぼあらゆる種類のオーバーラップまたはアンダーカット(アンダーラップと称される場合もある)を含むレイアウトを得ることができる。
【0287】
上述の方法は、特定の態様に応じて、ほぼコスト中立的な方法で実施することができる。これは、デバイスを製造する多くのプロセスにおいて、各レジストプロセスが既に、関連するプロセスフローの一部となっているからである。さらに、縦型電界効果トランジスタの場合、ゲートランナー構造をより深くに配置することによって、チップ‐縁設計全体を合理化することができる。これによって、特に、比較的小さいチップ表面積において、顕著にコスト削減することができる。
【0288】
当然ながら、上述の実施形態、および固定用並びに嵌合構造の製造方法は、様々な応用分野において互いに組み合わせることができる。例えば、図23〜図26に示されている実施形態において、図18〜図22に関連して説明した突出部がトレンチ840の底領域の各々に形成されるように、トレンチ840を形成することができる。また、各コンタクトホール(例えばコンタクトホール1410)は、図5〜図7に示されているように形成することができる。同様に、他のそれぞれのエッジ(例えば縦長のコンタクトホールのエッジ)は、図8〜図11に示されているように形成することができる。また、図12および図13に示されている固定用および嵌合構造は、絶縁層または導電性構造(例えば導体層構造)において用いることができる。当然ながら各トレンチは、特定の態様に応じて、図2〜図4に関連して説明したように、オーバーハング形状の側壁を含むように形成することができる。
【0289】
本発明の一実施形態に係る固定用構造800は、主表面830を含むデバイス820と、デバイス820の主表面830からデバイス820内に伸びる凹部840と、導体層構造810とを含んでいる。導体層構造810は、その全長にわたって、その断面領域の少なくとも20%の割合が、デバイス820の主表面830の下に位置する凹部840内に配置されている。ここでは、導体層構造810は、金属層870を少なくとも1つ有している。
【0290】
このような固定用構造800では、導体層構造810は、その全長にわたって、全体が完全にデバイス820の主表面830の下の凹部840内に収まっていてもよい。同様に、凹部840は、デバイス820内のトレンチであってよい。あるいは、導体層構造810は、少なくとも導体層構造810の一部に対して露出した、凹部840の底部の反対側にある主表面850を含んでいてよい。
【0291】
固定用構造800である本発明の別の実施形態では、導体層構造810の一部は、凹部840の全長に関して、凹部840内に完全には収まっていなくてもよい。しかしこの部分は、凹部840に対して、導体層構造810の全長の最大5%である。固定用構造800では、凹部840は底部を含んでいてよい。固定用構造800は、導体層構造810と凹部840の底部との間に配置された別の導体層構造をさらに含んでいる。このような場合、別の導体層構造1360は、電位に接続されるように、端子構造に結合されている。
【0292】
このような場合、固定用構造800では、絶縁層1370は、導体層構造810と別の導体層構造1360との間に配置されていてよい。これによって導体層構造810は、上記別の導体層構造から電気的に絶縁される。
【0293】
本発明の一実施形態に係る固定用構造800では、凹部840は、トレンチ底部1070を含むトレンチ840であってよい。トレンチ底部1070は、突出部1060を含んでいる。導体層構造810は、突出部に面する領域において窪み1110を含む金属構造である。ここでは、凹部840のトレンチ底部1070と突出部との高さの差は、最大で、少なくとも200nm、あるいは凹部すなわちトレンチ840の深さの少なくとも5%であってもよい。これらの場合、凹部840は、複数の突出部1060をさらに含んでいてもよい。ここでは、導体層構造810は、凹部の深さの少なくとも30%で、凹部の幅を充填していてもよい。また、このような固定用構造800では、凹部840は、凹部840の別の部分と異なる幅を有する部分を、少なくとも1つ含んでいてもよい。さらに、本発明の一実施形態に係る固定用構造800では、凹部840の最小幅は、導体層構造810の幅以上であってもよい。同様に、固定用構造800では、導体層構造810は、凹部840の底部の上に配置されていてもよい。
【0294】
本願において説明した、異なる固定用構造および嵌合構造の実施形態に加えて、これらは、当然ながら、互いに様々に組み合わせることができる。例えば、図5〜図11において説明した嵌合構造の実施形態は、互いに任意に組み合わせて用いることもでき、また、例えば図2〜図4および図12〜図17に説明されている固定用構造の実施形態と組み合わせて用いることもできる。同様に、固定用構造の様々な実施形態は、互いに組み合わせることができる。特定の応用分野に応じて、例えば、図1〜図4に示されている固定用構造の実施形態を、図17に関連して説明した固定用構造の実施形態と共に用いることができる。同様に、図14〜図16に関連して説明した固定用構造の実施形態と、図17に示されている固定用構造の一実施形態とを組み合わせることも可能である。さらに、固定用構造の対応する実施形態の凹部は、当然ながら、嵌合構造の実施形態においてさらに説明したトポロジーエッジを含んでいてよい。このように、本説明に関連して図示した固定用および嵌合構造は、任意に組み合わせて用いることができ、上述した組み合わせの異なる態様は、そのわずか一部を示しているに過ぎない。
【0295】
これらの組み合わせにより、金属表面、金属ゾーン、金属線、あるいはデバイス表面または基板に沿ったその他の金属面がその横方向の力によってシフトされやすい、応力またはその他の負荷に対する負荷耐性を大幅に改善することができる。同様に、異なる固定用構造および/または嵌合構造の対応する組み合わせ、あるいは個々の態様によって、垂直方向の力、すなわち各デバイス表面および基板に垂直に作用する力に対する抵抗を上げることができる。これによって、リフトされた金属線、金属表面、金属ゾーン、およびその他の導体層構造の負荷耐性および抵抗を著しく改善することができる。
【0296】
さらに、この点において、固定用構造および/または嵌合構造の全実施形態、およびこれらの組み合わせ、すなわち、特に全デバイスにおいて、チップ、基板、金属層、金属ゾーン、金属構造、導体層構造は、一般的には露出しているため、ボンドワイヤあるいはその他のコンタクトワイヤを用いて、基板またはデバイスの反対側にある面から接触させることができることに留意されたい。各金属ゾーンまたは導体層構造は、例えば熱ボンディングまたは超音波ボンディングによって形成されるボンドワイヤに加えて、プレスコンタクトまたはバネコンタクトによっても、電気的に接触させることができる。必要に応じて、各金属構造および/または導体層構造の少なくとも一部は、PMMA、BPSG、または異なる有機化合物などの(有機)保護層によって被覆されていてもよい。しかし特に、各金属ゾーンまたは導体層構造は、例えばCMOSデバイス(CMOS=相補型金属酸化膜半導体)の場合と同様に、一般的には、ほぼ、あるいは全く、酸化物層および/または窒化物層によって被覆されていない。
【0297】
既に説明したように、以下の説明を簡単にするために、略式の参照符号が用いられている。
【符号の説明】
【0298】
100 層構造
110 矢印
120 基板
130 第1の層
140 第2の層
150 第3の層
160 凹部
170 トポロジー形成エッジ
180 凹部
190 トポロジーエッジ
200 固定用構造
210 金属構造
220 固定用凹部または固定用凹部構造
230 オーバーハング形状の側壁
240 側壁
250 第1のトレンチ
260 エピタキシャルゾーン
270 絶縁層
280 下部電極
290 上部電極
300 絶縁層
310 固定用トレンチ
320 フィード構造
330 中間酸化物
340 コンタクトホール
350 線
360 矢印
400 嵌合構造
410 基板
420 構造化されたデバイス層
430 トポロジーエッジまたは線
440 金属構造
450 矢印
460 ゾーン
470 点
480 直線の接続線
490 円
500 チップ
510 ソースメタライゼーションゾーン
520 ゲートメタライゼーションゾーン
530 ゲートパッド
540 印
550 方向
600 嵌合構造
610 方向
620 構造化されたデバイス層
630 トポロジーエッジまたは隣接した線
640 金属構造
650 直線
660 点
670 方向
680 絶縁層
700 固定用構造
710 基板の主表面
720 構造化されたデバイス層
730 トポロジー構造
740 主表面
750 金属構造
800 固定用構造
810 導体層構造
820 デバイス
830 デバイスの主表面
840 凹部
850 導体層構造の主表面
860 絶縁層
870 金属層
880 別の層
900 固定用構造
910 基板
920 基板の主表面
930 矢印
940 後部面
950 領域
960 界面
970 凹部
980 底部
1000 トレンチ
1010 基板材料
1020 メサ領域
1030 メサ領域の表面
1040 酸化物層
1050 共通トレンチ
1060 突出部
1070 底部
1080 高低差
1090 深さ
1100 絶縁層
1110 窪み
1120 側壁
1130 延長部分
1140 角度
1150 別のトレンチ/セルフィールドトレンチ
1160 部分
1170 別の部分
1180 中断
1190 第1の部分
1200 第2の部分
1300 セルフィールド
1310 下部電極
1320 上部電極
1330 絶縁層
1340 絶縁層
1350 ソースメタライゼーション
1360 端子構造
1370 別の絶縁層
1380 コンタクトホール
1390 別の端子構造
1400 絶縁層
1410 コンタクトホール
1420 コンタクトホール
1430 フィードトレンチ
1440 ポリシリコン構造
1450 基板材料
1460 トレンチ
1470 レジスト
1480 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体デバイスの金属構造(210)のための固定用構造(200)であって、
オーバーハング形状の側壁(230)を少なくとも1つ含み、上記半導体デバイスの半導体基板内に形成された固定用凹部構造(220)を含んでおり、
上記金属構造(210)は、少なくとも部分的には、上記固定用凹部構造(220)内に配置され、
上記金属構造(210)は、上記金属構造(210)の少なくとも20%が上記固定用凹部構造(220)内に配置され、上記金属構造(210)が上記固定用凹部構造(220)を上記基板表面まで充填するように、少なくとも部分的には、上記固定用凹部構造(220)内に配置されており、上記基板表面は、上記半導体デバイスの半導体基板と上記半導体デバイスのゲート酸化物、すなわち第1の酸化物との界面である、
固定用構造(200)。
【請求項2】
上記固定用凹部構造(220)は、絶縁層(330)の一部として、支持層構造(320)上に配置されており、
上記金属構造(210)は、少なくとも部分的には、上記固定用凹部構造(220)の上記オーバーハング形状の側壁の下の上記支持層構造(320)上の領域内に配置されている、請求項1に記載の固定用構造(200)。
【請求項3】
上記金属構造(210)は、少なくとも部分的に露出された主表面を含んでいる、請求項1〜請求項2のいずれか一項に記載の固定用構造(200)。
【請求項4】
上記半導体デバイスは、トレンチ(250)をそれぞれ備えたセルフィールドを含むトランジスタを有し、上記トレンチ(250)は、当該半導体デバイス内に構造化されている、請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の固定用構造(200)。
【請求項5】
上記固定用凹部構造(220)および上記トレンチは、さらに絶縁層(270)と並んでおり、
上記支持層構造(320)はポリシリコンからなり、上記固定用凹部構造(220)の底部上に伸びており、上記トレンチ(250)内のゲート電極(290)に接触しており、
上記絶縁層(330)は、上記支持層構造(320)を被覆し、固定用トレンチ(310)の底部領域においてコンタクトホール(340)を含んでおり、上記支持層構造(320)は、当該コンタクトホール(340)を介して、上記金属構造(210)と直接的かつ導電的に接触している、請求項4に記載の固定用構造(200)。
【請求項6】
半導体デバイスの金属構造(210)のための固定用構造(200)を形成する方法であって、
オーバーハング形状の側壁(230)を少なくとも1つ含み、上記半導体デバイスの半導体基板内に形成された固定用凹部構造(220)を含んでおり、
上記金属構造(210)は、少なくとも部分的には、上記固定用凹部構造(220)内に配置され、
上記金属構造(210)は、上記金属構造(210)の少なくとも20%が上記固定用凹部構造(220)内に配置され、上記金属構造(210)が上記固定用凹部構造(220)を上記基板表面まで充填するように、少なくとも部分的には、上記固定用凹部構造(220)内に配置されており、上記基板表面は、上記半導体デバイスの半導体基板と上記半導体デバイスのゲート酸化物との界面であり、
上記半導体デバイスは、トレンチ(250)をそれぞれ備えたセルフィールドを含むトランジスタを有し、上記トレンチ(250)は、当該半導体デバイス内に構造化されており、上記固定用凹部構造(220)は、1つの処理工程で上記トレンチに沿って形成されることを特徴とする、
固定用構造(200)を形成する方法。
【請求項7】
上記固定用凹部構造(220)は、ポリシリコンのフィールドプレート(280、290)によって充填される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
基板(410)上のデバイスのための嵌合構造(400)であって、
トポロジーエッジ(430)を少なくとも1つ含んだ、上記基板(410)上の構造化されたデバイス層(420)と、
上記構造化されたデバイス層(420)の上記トポロジーエッジ(430)上の少なくとも一部に配置されている、上記構造化されたデバイス層(420)上の金属構造(440)とを含み、
トポロジーエッジ(430)は、上部に上記金属構造(440)が伸びており、平面内への投影において隣接した線(430)を少なくとも1つ形成しており、
上記線(430)は、上記投影の上記平面内の少なくとも1つの領域(460)の範囲を決定しており、
上記領域(460)は、非凸状であり、
上記領域(460)全体を包含する最小の円(490)の直径は、50μm以下である、嵌合構造(400)。
【請求項9】
上記構造化されたデバイス層(420)と上記基板(410)との間には、導電性のコンタクト構造(320)が配置されており、
上記構造化されたデバイス層は、絶縁層(330)を含んでおり、
上記構造化されたデバイス層(420)が、上記絶縁層(330)内に、コンタクトホール(340)を少なくとも1つ含んでいることにより、上記金属構造(440)は、上記コンタクト構造(320)と直接接触しており、
上記デバイス層(420)内の上記凹部(340)は、上記トポロジーエッジ(430)を形成している、請求項8に記載の嵌合構造(400)。
【請求項10】
上記領域(460)または上記領域のサブ領域は、円形、湾曲形、十字形、多角形、蛇行形、または波形である、請求項8または請求項9のいずれか一項に記載の嵌合構造(400)。
【請求項11】
上記金属構造(440)は、少なくとも部分的に露出された主表面を含んでいる、請求項8〜請求項10のいずれか一項に記載の嵌合構造(400)。
【請求項12】
基板(410)上のデバイスのための固定用構造(700)であって、
少なくとも1つのトポロジー構造(730)と、上記基板(410)の反対側の主表面(740)とを含んだ、上記基板(410)上の構造化されたデバイス層(720)と、
上記トポロジー構造(730)上の少なくとも一部に配置されている、上記構造化されたデバイス層(720)上の金属構造(750)とを含んでおり、
上記構造化されたデバイス層(720)は、電気的絶縁層を1つのみまたは複数含んでおり、上記トポロジー構造(730)は、上記構造化されたデバイス層(720)内に、上記構造化されたデバイス層(720)の厚さよりも深さの小さい凹部を含んでおり、あるいは、
上記構造化されたデバイス層(720)は、ドーピングされていない半導体層または単一ドーピングされた半導体層のみを含んでおり、上記トポロジー構造(730)は、上記構造化されたデバイス層(720)内に、上記構造化されたデバイス層(720)の上記厚さよりも深さの小さい凹部を含んでおり、あるいは、
上記トポロジー構造(730)は、上記構造化されたデバイス層(720)の上記主表面(740)を超えて突出する構造を含んでいる、
固定用構造(700)。
【請求項13】
上記構造化されたデバイス層(720)は、複数のトポロジー構造(730)を含んでいる、請求項12に記載の固定用構造(700)。
【請求項14】
上記複数のトポロジー構造(730)は、上記基板(410)上に、二次元的に規則的または不規則的に配置されている、請求項13に記載の固定用構造(700)。
【請求項15】
主表面(830)を含むデバイス(820)と、
上記デバイス(820)の上記主表面(830)から上記デバイス(820)内に伸びている凹部(840)と、
その全長にわたって、断面領域の少なくとも20%の割合が、上記デバイス(820)の上記主表面(830)の下の上記凹部(840)内に配置されている導体層構造(810)とを含んでおり、
上記導体層構造(810)は、金属層(870)を少なくとも1つ含んでいる、
固定用構造(800)。
【請求項16】
上記導体層構造(810)は、その全長にわたって、上記デバイス(820)の上記主表面(830)の下の上記凹部(840)内に全体が配置されている、請求項15に記載の固定用構造(800)。
【請求項17】
上記凹部(840)は、上記デバイス(820)内のトレンチである、請求項13または請求項16に記載の固定用構造。
【請求項18】
上記導体層構造(810)は、主表面(850)を含んでおり、
上記主表面(850)は、上記凹部(840)の底部の反対側にあり、また上記導体層構造(810)の少なくとも一部に対して露出している、請求項15〜請求項17のいずれか一項に記載の固定用構造(800)。
【請求項19】
上記導体層構造(810)の一部は、上記凹部(840)の全長に関して、上記凹部(840)内において完全には収まっておらず、上記凹部(840)に対する上記導体層構造(810)の全長の最大5%である、請求項15〜請求項18のいずれか一項に記載の固定用構造(800)。
【請求項20】
上記凹部(840)は、底部を含んでおり、
上記固定用構造(800)は、上記導体層構造(810)と上記凹部(840)の上記底部との間に配置された、別の導体層構造をさらに含んでおり、
上記別の導体層構造は、電位に接続されるように、端子構造に結合されている、請求項15〜請求項19のいずれか一項に記載の固定用構造(800)。
【請求項21】
上記導体層構造(810)が上記別の導体層構造から電気的に絶縁されるように、上記導体層構造(810)と上記別の導体層構造との間に絶縁層が配置されている、請求項20に記載の固定用構造(800)。
【請求項22】
上記凹部(840)は、トレンチ底部(1070)を有するトレンチであって、
上記トレンチ底部は、突出部(1060)を有しており、
上記導体層構造(810)は、上記突出部に面した領域において窪み(1070)を含む金属構造を有している、請求項15〜請求項21のいずれか一項に記載の固定用構造(800)。
【請求項23】
上記凹部(840)のトレンチ底部(1070)と上記突出部(1060)との最大の高低差(1080)は、少なくとも200nm、または上記凹部(840)の深さ(1090)の少なくとも5%である、請求項22に記載の固定用構造(800)。
【請求項24】
上記凹部(840)は、複数の突出部(1060)を含んでいる、請求項22または請求項23のいずれか一項に記載の固定用構造(800)。
【請求項25】
上記導体層構造(810)は、上記凹部(840)の幅を、上記凹部(840)の深さ(1090)の少なくとも30%まで充填している、請求項15〜請求項24のいずれか一項に記載の固定用構造(800)。
【請求項26】
上記凹部(840)は、上記凹部(840)の別の部分(1170)と幅が異なる部分(1160)を少なくとも1つ含んでいる、請求項15〜請求項25のいずれか一項に記載の固定用構造(800)。
【請求項27】
基板(410)上のデバイスのための嵌合構造(600)であって、
少なくとも1つのトポロジーエッジ(630)と、絶縁層と、多数のコンタクトホールとを含んだ、上記基板(410)上の構造化されたデバイス層(620)と、
上記構造化されたデバイス層(620)の上記トポロジーエッジ(630)の少なくとも一部に配置されている、上記構造化されたデバイス層(620)上の金属構造(640)とを含んでおり、
上記トポロジーエッジ(630)の上記部分は、平面内へ投影している少なくとも1つの隣接した線(630)を形成しており、
直線(650)は、上記隣接した線(630)に沿って規定可能な19μm〜42μmの長さを有しており、これによって上記線(630)は、上記直線(650)上の第1の点(660−1)および第3の点(660−3)に対して、上記直線(650)の第1の側に配置されており、また、上記直線(650)上の第2の点(660−2)および第4の点(660−4)に対して、上記直線(650)の、上記第1の側の反対側に配置されており、
上記第2の点(660−2)は、上記第1の点(660−1)と上記第3の点(660−3)との間に配置されており、上記第3の点(660−3)は、上記第2の点(660−2)と上記第4の点(660−4)との間に配置されている、
嵌合構造(600)。
【請求項28】
主表面(920)を含んでおり、当該主表面(920)まで単結晶領域(950)またはエピタキシャル領域(950)が伸びている基板(910)と、
上記基板(910)の上記主表面(920)上の上記単結晶またはエピタキシャル領域(950)内の凹部(970)と、
上記基板の上記主表面(920)に金属層を有する導体層構造(810)とを含んでおり、
上記導体層構造(810)は、上記凹部の底部(980)まで上記凹部(970)内に伸びている、
固定用構造(900)。
【請求項29】
導体層構造(810)のための嵌合構造(800)を形成する方法であって、
基板材料(1010)の表面(830)に、第1のトレンチ(1000−1)および第2のトレンチ(1000−2)を、当該第1のトレンチ(1000−1)と第2のトレンチ(1000−2)との間に上記基板材料(1010)からなるメサ領域(1020)が残存するように、平行に且つ互いに距離を置いて配置されるように形成する工程と、
上記メサ領域(1020)の表面において、上記基板材料(1010)の物質変換を行う工程と、
上記第1のトレンチ(1000−1)と上記第2のトレンチ(1000−2)とが結合して、上記メサ領域(1020)内におけるトレンチ底部(1070)に突出部(1060)を含んでいる共通トレンチ(1050)となるように、上記メサ領域(1020)の上記表面において、変換された上記基板材料の物質を特定的に除去する工程と、
上記導体層構造(810)が少なくとも部分的に上記共通トレンチ(1050)内に配置されるように、また上記導体層構造(810)が上記突出部(1060)に面する領域に窪み(1110)を形成するように、上記導体層構造(810)を堆積する工程とを含んでいる、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16A】
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【図16B】
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【図17】
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【図18】
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【図19A】
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【図19B】
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【図19C】
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【図19D】
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【図19E】
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【図20A】
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【図20B】
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【図21A】
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【図21B】
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【図22A】
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【図22B】
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【図22C】
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【図22D】
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【図23A】
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【図23B】
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【図24】
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【図25】
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【図26A】
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【図26B】
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【図26C】
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【図26D】
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【図26E】
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【図26F】
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【図26G】
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【図26H】
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【図26I】
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【図26J】
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【図26K】
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【公開番号】特開2012−119711(P2012−119711A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−15456(P2012−15456)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【分割の表示】特願2008−116553(P2008−116553)の分割
【原出願日】平成20年4月28日(2008.4.28)
【出願人】(501209070)インフィネオン テクノロジーズ アーゲー (331)
【氏名又は名称原語表記】INFINEON TECHNOLOGIES AG
【Fターム(参考)】