圧縮成形封止装置
【課題】低コスト且つ簡潔な構成により、枠状金型のクランプ力の向上を図り樹脂漏れを防止することができる。
【解決手段】圧縮型の樹脂封止装置J1において、第1金型100、第2金型102側の一方または双方に設けられる枠状金型100B、102Bと、第1または第2金型100、102のいずれかを設置し、第1または第2金型100、102を対向する側へ移動させる可動プラテン112と、第1、第2金型100、102側のいずれかに設けられ、可動プラテン112の推力F0に対する反力F2を発生させる反力発生機構P1と、可動プラテン112の推力F0及び反力発生機構P1にて発生した反力F2を利用して枠状金型100B、102Bを対向する第1または第2金型100、102側へ移動させる移動力F2´を付与する移動力付与機構M1と、を備えている。
【解決手段】圧縮型の樹脂封止装置J1において、第1金型100、第2金型102側の一方または双方に設けられる枠状金型100B、102Bと、第1または第2金型100、102のいずれかを設置し、第1または第2金型100、102を対向する側へ移動させる可動プラテン112と、第1、第2金型100、102側のいずれかに設けられ、可動プラテン112の推力F0に対する反力F2を発生させる反力発生機構P1と、可動プラテン112の推力F0及び反力発生機構P1にて発生した反力F2を利用して枠状金型100B、102Bを対向する第1または第2金型100、102側へ移動させる移動力F2´を付与する移動力付与機構M1と、を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1金型と、この第1金型に対向して配置され第1金型に対して当接・離反可能な第2金型と、により、被封止品を樹脂にて封止する圧縮型樹脂封止装置が知られている。この種の圧縮型樹脂封止装置では、第2の金型側に組み込まれた枠状金型によって被封止品をクランプしている。
【0003】
この枠状金型は、第2金型の本体(樹脂を圧縮すべき部分)とは別の動きをする必要があるため、ばね及びカム機構を用いた制御によって第2の金型の本体とは別に駆動されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221544号公報(請求項1、段落[0016]、図2、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、基板の大型化に伴いクランプ力をさらに向上させる必要性が高まっている。しかしながら、従来は基本的にはばねの反発力を利用したものであったため、大きなクランプ力を得るのが困難であった。即ち、この対策として、ばねの本数を更に増加させることは、ばねを設置できる空間が枠状金型の反突き当て面の極めて狭小な空間に限られているため困難であり、ばね単体のばね定数をさらに大きくすることも材料特性や製造コスト等の制限から困難になっている。
【0006】
また、枠状金型をばねとカム機構を用いて駆動する機構は、高い精度が要求されるカムやサーボモータのような高価な部品を用いたり、部品点数が多くなったりして構造が複雑になると共に、製造コストが高くなってしまう傾向があった。
【0007】
本発明は、低コスト且つ簡潔な構成により、枠状金型のクランプ力の向上を図り樹脂漏れを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1金型と、該第1金型に対向して配置され該第1金型に対して当接・離反可能な第2金型と、により、被封止品を樹脂にて封止する圧縮型の樹脂封止装置において、前記第1金型、第2金型側のいずれか一方または双方に設けられ、前記被封止品の端部を保持可能な枠状金型と、前記第2金型を設置し、該第2金型を対向する第1金型側へ移動させる可動プラテンと、前記第1、第2金型側のいずれかに設けられ、前記可動プラテンの推力に対する反力を発生させる反力発生機構と、前記可動プラテンの推力及び該反力発生機構にて発生した該反力を利用して前記枠状金型を対向する該第1または第2金型側へ移動させる移動力を付与する移動力付与機構と、を備えた構成とすることにより、上記課題を解決した。
【0009】
本発明では、枠状金型の駆動源として基本的に可動プラテンの推力を利用する。そして、該可動プラテンと枠状金型との独立した動きを可能とするために、該可動プラテンの推力に対して反力を発生させる反力発生手段を備え、可動プラテンの推力又は該反力が移動力付与機構に入力され、枠状金型をクランプする推力(移動力)として伝達・利用される。即ち、ばねによる推力よりも十分大きい可動プラテンの推力又はその反力を枠状金型のクランプ力(移動力)として利用することができるため、クランプ力を大きく向上させることができる。これにより、基板のクランプ力不足により生じる樹脂漏れを防止することができる。
【0010】
また、可動プラテンの推力を、反力発生機構、移動力付与機構の2つの機構の機能によって枠状金型に移動力を伝達するようにしているため、該推力(移動力)の設定及びこれらの機構の設置の自由度は大きく、結果として被成形品の種類や大きさに応じて枠状金型の推力(移動力)を適正に与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低コスト且つ簡潔な構成により、枠状金型のクランプ力の向上を図り樹脂漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の正断面図
【図2】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図3】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図4】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図5】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図6】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図7】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図8】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図9】本発明の実施形態の一例にかかる圧縮成形封止装置の概念図
【図10】本発明の他の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の正断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J1の構成について説明する。
【0014】
図1に本発明の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J1の概念図を示す。
【0015】
本実施形態にかかる樹脂封止装置J1は、上型(第1金型)100と、上型100に対向して配置され上型100に対して当接・離反可能な下型(第2金型)102と、により、被封止品104を樹脂106にて封止するものである。
【0016】
樹脂封止装置J1は、図示せぬリンク機構の推力により、下型102を上型100に対して進退動可能とする可動プラテン112を備えている。上型100は、上側圧縮金型(上型100の本体)100Aと、この上側圧縮金型100Aの外側に配置された上枠100B(上型100側の枠状金型)から構成されており、下型102は、下側圧縮金型(下型102の本体)102Aと、この下側圧縮金型102Aの外側に配置された下枠102B(下型102側の枠状金型)から構成されている。
【0017】
これらの金型100、102は、後述する作用により密閉された樹脂封止空間(キャビティ)118を形成し、例えばパッケージ基盤等の被封止品104を熱硬化性樹脂等の樹脂106にて封止する。
【0018】
図1及び図9を参照して、この樹脂封止装置J1は、上型100側に設けられ、可動プラテン112の推力F0に対する反力(力)F2を発生させる反力発生機構P1と、可動プラテン112の推力F0及び反力発生機構P1にて発生した反力F2を利用して下枠102Bを対向する上型100側へ移動させる移動力F2´を付与する移動力付与機構M1と、を備えている。
【0019】
前記反力発生機構P1は空気圧シリンダ124を備えている。空気圧シリンダ124のケーシング126の内部にはピストンロッド128が嵌入されており、ピストンロッド128の一端には、ピストン130が固定されている。一方、他端には当て座134が固定されている。この当て座134の下側(図2の下側)は、ストッパ136でその下限位置が拘束されている。また、当て座134とケーシング126との間には、第3ばね132が付設されている。
【0020】
なお、符号138は、圧縮する空気を供給するエアー供給源である。また、符号140は空気の流量を調整する電磁弁であり、符号142、144は空気圧を調整する圧力制御弁である。また、上型100側の両側に配置した空気圧シリンダ124は、吸排気口(図示略)を一箇所にまとめて、各空気圧シリンダ124の供給・排気圧を同じにしている。
【0021】
前記移動力付与機構M1は、レバー(腕部)146を備えている。このレバー146は可動プラテン112上に配置された支持部148における支持点148pを中心として回転自在に両側に延びている。この支持点148pを境にして、レバー146の外側端部146Ot(腕部の一方側)には反力発生機構P1からの反力F2が付与され、内側の端部146In(腕部の他方側)を介して上型100側に移動力F2´が出力される。
【0022】
水平面Hoと内側端部146Inの間の角度をθ1、水平面Hoと外側端部146Otの間の角度をθ2、支持点148pから移動力F2´が入力される位置までの実体長さをLa、支持点148pから反力F2が入力される位置までの実体長さをLbとすると、支持点148pから移動力F2´が出力される位置までの水平距離(腕の長さ)は、L1(=La・cosθ1)であり、支持点148pから反力F2が入力される位置までの水平距離(腕の長さ)はL2(=Lb・cosθ2)である。また、支持点148pを中心として、外側端部146Otと内側端部146Inの間の角度は、αである。図1から明らかなようにαは180度より小さい(α<180°)。
【0023】
レバー146の内側端部146Inは下枠102Bの反突き当て面102Buに突き当てられており、外側端部146Otは空気圧シリンダ124の当て座134に突き当てられている。また、レバー146の両端146In、146Otにはローラ152、154が取付けられており、レバー146を介した下枠102Bから当て座134への円滑な推力伝達及びレバー146の突き当てによる当て座134、下枠102Bの破損を防止している。
【0024】
上枠100Bの反突き当て面100Buには、上枠100Bを下型102側へ付勢する第1ばね(弾性体)120が付設されている(押し付け力:F3)。また、下枠102Bの反突き当て面102Buには、下枠102Bを下型102側へ付勢する第2ばね122が付設されている(引張力:F1)。第2ばね122のばね定数は、第1ばね120のばね定数より大きく、且つ、第2ばね122の引張力F1は、空気圧シリンダ124側から出力される反力F2よりも小さくなるように設定する(F2>F1)。
【0025】
なお、レバー146が作用しない状態では、第2ばね122の引張り力F1と下限ストッパ170が、下型圧縮金型102Aと下枠102Bの突き当て面102At、102Btを同一平面になるようにし、図示せぬ離型フィルムを後述する樹脂封止空間118の全面に渡ってしわなく張れるようにしている。
【0026】
また、符号172Aは、上型圧縮金型100Aと上枠100Bの間に取付けられたOリングである。同様に、符号172Bは上枠100Bの突き当て面100Bt、符号172Cは下型圧縮金型102Aと下枠102Bの間に取付けられたOリングである。
【0027】
なお、前記反力発生機構P1は、下型102側へ向けて発生させる反力F2(力)の大きさを調整するための反力調整機能を備えている。より具体的には、前記空気圧シリンダ124内部の圧力p1を変化させることにより、発生する反力F2を調整することができる。この反力調整機能により、上型100と下型102の距離に伴って前記第1ばね120の押し付け力F3及び第2ばね122の引張力F1等が変化したとしても、当該反力発生機構P1で発生する反力F2の基板クランプ力F4が一定に維持されるための与圧が付与されるようになっている(後述)。
【0028】
次に、樹脂封止装置J1の作用について説明する。
【0029】
図2〜8に実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J1の成形動作のプロセスを示す。なお、力学的関係については、図9を併せて参照されたい。
【0030】
先ず、図2に示すように、半導体チップを搭載したセラミック基板(被封止品)104を上側圧縮金型100Aに吸着させ保持させるとともに、封止用の樹脂106を下側圧縮金型102Aに投入する。
【0031】
次に、図3に示すように、図示せぬリンク機構の推力F0により可動プラテン112を上昇させて、移動力付与機構M1に備えられたレバー146の外側端部146Otに取り付けたローラ152を固定プラテン110側の当て座134に当てる。
【0032】
反力発生機構P1からは、該ローラ152に対し、推力F0の反力が、反力発生機構P1の反力F2として可変出力される。即ち、レバー146の支持点148pを境にして、該レバー146の外側端部146Otには反力発生機構P1からの反力F2が付与され、内側端部146Inを介して上型100A側に移動力(押し上げ力)F2´が出力され、下枠102Bをクランプすることができる。つまり、この反力F2は下枠102Bをクランプするための下枠102Bの移動力F2´として利用される。
【0033】
以下、図9に示す樹脂封止装置J1の概念図を用いてより詳細に説明する。
【0034】
空気圧シリンダ124からは、空気圧シリンダ124内の圧力pとピストン130の断面積Sを掛け合わせた式(1)に示す力F2が出力される。
【0035】
F2=p×S …(1)
【0036】
一方、反力F2による下枠102Bの移動力F2´は、Kをレバー比(ただし,K≧1)とすると、てこの原理及びモーメント力の釣り合いから、式(2)、(3)のようになり、この押し上げ力F2´がレバー146の内側端部146Inから出力される。
【0037】
F2´=F2×K …(2)
K=(Lb/La)×(cosθ2/cosθ1) …(3)
【0038】
よって、基板クランプ力F4は(4)式のようになる。
【0039】
F4=F2×K−(F1+F3) …(4)
【0040】
即ち、てこの原理をレバー146に用いることにより、空気圧シリンダ124が小容量のものであっても空気圧シリンダ124から出力される反力F2を増幅し、上枠100Bと下枠102Bの基板クランプ力F4を大きくすることができる。
【0041】
可動プラテン112が推力F0にて上昇しているときでも、基板クランプ力F4が、下枠102Bがセラミック基板104をクランプする際にセラミック基板104に発生する抗力R1よりも大きいか釣り合っているときには(F4≧R1)、空気圧シリンダ124に連結している当て座134の位置は変化せず、基板クランプ力F4は上述した式(4)となる。
【0042】
しかし、可動プラテン112が更に上昇して基板からの抗力R1が基板クランプ力F4に対して勝るようになると、レバー146から空気圧シリンダ124側に力が伝達され、空気圧シリンダ124が圧縮されて,当て座134の位置が上昇し、空気圧シリンダ124内部の圧力pがΔpだけ上昇する傾向となる。このため、例えば後述する実施形態のように、仮に空気圧シリンダ124が閉じた空間とされている場合には、圧力Δpの上昇に伴って基板クランプ力F4がK×Δp×Sだけ上昇し、当て座134はセラミック基板104からの抗力R1と基板クランプ力F4が釣り合う位置で静止することになる(この制御方法については後に詳述)。
【0043】
しかるに、本実施形態では、空気圧シリンダ124内部の圧力pは、圧力制御弁142、144による圧力制御によって、基板クランプ力F4を一定に維持するように制御される。この制御を具体的に行なうには、例えば、現に発生している基板クランプ力F4をリアルタイムで検出し、常に同一の基板クランプ力F4が得られるように空気圧シリンダ124内の圧力pをフィードバック制御すればよい。なお、基板クランプ力F4は、必ずしも直接検出する必要はなく、いずれかの部分の抗力、押し付け力、引張力、或いはレバー146の角度θ1、θ2等の他のパラメータを検出することによって、演算により間接的に求めるようにしても良い。
【0044】
更には、基板クランプ力F4は、各種諸元(可動プラテン112の推力F0や、各ばね120、122のばね定数、レバー146の腕の長さL1、L2等)が特定されている条件下では、基本的には、可動プラテン112の「位置」に依存した値となるので、当該樹脂封止装置J1における可動プラテン112の位置と基板クランプ力F4との関係を予め求めておくことにより、空気圧シリンダ124の圧力pをフィードフォワード制御するように構成することもできる。この手法を採用する場合には、可動プラテン112の位置を、例えば(もともと得られている)リンク機構の図示せぬモータの回転数情報等から求め、この位置情報に基づいて圧力pをオープン制御するだけでよいので、特に別途のセンサも不要であり、制御系の構成を非常に簡素化できる。
【0045】
いずれにしても、この実施形態による制御によれば、可動プラテン112を、本来の封止制御を行なわせるために、下側圧縮金型102Aの位置に着目して制御したとしても、そのときの可動プラテン112の位置に関わらず、常に下枠102Bによる基板クランプ力F4を一定に保つことができる。
【0046】
なお、この実施形態における可動プラテン112の推力F0の条件式は、以下のようになる。
【0047】
セラミック基板104をクランプした際のレバー支点148pにかかる下向き抗力をR3とすると、該下向き抗力R3はセラミック基板104からの抗力R1と空気圧シリンダ124の反力F2の合力と等しい。
【0048】
R3=F2+R1 …(5)
【0049】
最終的に可動プラテン112が停止すると、セラミック基板104からの抗力R1と基板クランプ力F4が釣り合うから(R1=F4)、上述した式(4)を式(5)に代入して、式(6)が得られる。
【0050】
R3=F2×(1+K)−(F1+F3) …(6)
【0051】
ここで、必要な可動プラテン112のプレス推力F0は、圧縮成形時にセラミック基板104へ負荷される推力(成形に必要な力)Fpとレバー支点にかかる力R3の合力以上の力が必要であるため、式(7)が成立している必要がある。
【0052】
F0≧Fp+R3 …(7)
【0053】
つまり、可動プラテン112の必要なプレス推力F0の条件式は、式(6)、(7)より、式(8)となる。
【0054】
F0≧Fp+F2×(1+K)−(F1+F3) …(8)
【0055】
この実施形態では、移動力付与機構M1は、支持点148pから端部146Ot、146Inまでの長さL1、L2とレバー146の傾き角度θ1、θ2を自由に組み合わせることにより、設計の自由度をより高めることができるため、移動力F2´をより柔軟に制御することができる。結果として、セラミック基板104の種類や大きさに応じて下枠102Bの移動力F2´を適正に与えることができる。この実施形態によれば、一般的な押し付けばねの推力よりも十分大きい可動プラテン112の推力F0を下枠102Bの基板クランプ力F4に利用し、基板クランプ力F4を大きく向上させることができる。これにより、セラミック基板104の基板クランプ力F4の不足により生じる上下枠100B、102Bから外部空間への樹脂漏れを防止することができる。
【0056】
また、反力発生機構P1には上型100と下型102の距離に伴って第1ばね120の押し付け力F3や第2ばね122の引張力F1等が変化したとしても、反力発生機構P1の圧力pが、基板クランプ力F4が一定となるように調整されるため、可動プラテン112の位置、より具体的には下側圧縮金型102Aの位置に関わらず、基板クランプ力F4を常に一定に保持することができる。
【0057】
また、ローラ152、154と当て座134が突き当てられた後、常に密着しているため、水平及び垂直方向の位置ずれやがたつきを防止し、上下枠100B、102Bを安定して支持することができる。
【0058】
空気圧シリンダ124とレバー146により具現された反力発生機構P1と移動力付与機構M1は簡潔な構成であるため、下枠102Bを駆動する構造に採用されているサーボモータやカムを排除することにより、これらの機構P1、M1の省スペース化を図ると共に、部品点数を低減させ、構造の簡略化を図ることができ、製造コストを低減させることができる。
【0059】
また、傾き角度θ1、θ2を設けたことにより、結果としてレバー146の内側端部146Inから外側端部146Otまでの水平方向の長さを抑制することができるため、反力発生機構P1と移動力付与機構M1をコンパクトに収容することもできる。
【0060】
移動力付与機構M1は下枠102Bの外側に配置されたものであり、反力発生機構P1は固定プラテン110の上側で且つ上枠100Bの外側に配置されている。つまり、これらの機構P1、M1は、上型、下型100、102の外部に独立して構成されているため、組みつけやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0061】
本実施形態では、移動力付与機構M1を下型102側に、反力発生機構P1を上型100側に設けることにより、反力発生機構P1を駆動するためのエアー供給源138、電磁弁140等を上型100側(固定プラテン110側)、より具体的には固定プラテン110上部のフリースペース等に設置することができるため、特殊な部材や機構を採用しなくとも、エアー供給源138等は、樹脂106が加熱される際に上型100と下型102間に発生する熱を容易に回避することができる。
【0062】
図4に示すように、このようにして下枠102Bを上型100側へ移動させることにより、下枠102Bが上枠100Bと接触した上側圧縮金型100A、下側圧縮金型102Aが上下方向(図3における上下方向)を、上枠100B、下枠102Bが左右方向(図3における左右方向)を覆うことになるため、密閉された樹脂封止空間(キャビティ)118を形成することができる。この状態で、この樹脂封止空間118内を真空引きする。
【0063】
その後、図5に示すように、下枠102Bを上型100側へさらに移動させることにより、セラミック基板104を上型100と下型102とでクランプする。この作用については既に詳述した。
【0064】
この状態で、図6に示すように、可動プラテン112を更に上昇させ、下型102による型締めが進行し、樹脂106が加熱・圧縮成形され、セラミック基板104上の半導体チップの部分(図示略)が樹脂封止される。可動プラテン112の更なる上昇が行なわれても、基板クランプ力F4が不変であることも既に詳述した。
【0065】
図7に示すように、樹脂106が上側圧縮金型100A、下側圧縮金型102Aから取り出せる程度に硬化した後、可動プラテン112の高さ方向の位置を変えずに空気圧シリンダ124内の圧力pを減圧し、空気圧シリンダ124の下型102側へ押す移動力F2´を低減する。これにより、レバー146の外側端部146Otに付与される反力F2が低減されるため、レバー146の外側端部146Otが上昇するにつれてレバー146の内側端部146Inが押し当てられている下枠102Bが下がり、セラミック基板104のクランプ状態を解くことができ、樹脂封止空間118内が大気開放される。
【0066】
下枠102Bの反突き当て面102Buに下枠102Bを下型102側へ引張力F1で引張る第2ばね122が反突き当て面102Buに付設されていることにより、上述した第1ばね120の押し付け力F3に加えて、この第2ばね122の付勢力F1を付与することになるため、空気圧シリンダ124内部の圧力pの減圧操作だけで基板クランプの解除を自動的に行うことができる。
【0067】
最後に、図8に示すように、セラミック基板104の真空吸着をなくし、可動プラテン112を下型102側へ移動させ、プレスの型開きを行う。
【0068】
以上のことから、本実施形態によれば、低コスト且つ簡潔な構成により、上下枠100B、102Bのクランプ力の向上を図り樹脂漏れを防止することができる。
【0069】
ところで、上記実施形態では、基板クランプ力F4が一定となるように空気圧シリンダ124内の圧力pを積極的に制御するようにしていたが、空気圧シリンダ124内の圧力pを制御せずに、該空気圧シリンダ124を単にダンパーとして機能させることにより、基板クランプ力F4をより一層簡易に制御するように構成することもできる。
【0070】
この制御手法を採用する場合には、具体的には、可動プラテン112が上昇して行っても、空気圧シリンダ124内の圧力pは、特に積極的には制御しない。すると、圧力pは可動プラテン112の上昇の最終段階でより増大する傾向となる。初期設定のシリンダ圧をpとし、それから上昇した分の圧力をΔpとすると、前述したように、基板クランプ力F4pはK×Δp×Sだけ上昇する。この値は、可動プラテン112のそのときの位置に依存して(レバー比Kの値を含めて)変化することとなるが、必ず「正」の値となる。よって、初期設定のシリンダ圧pを最低限必要な基準クランプ力が得られるな圧力に設定しておくことにより、可動プラテン112が本来の圧縮作業を行なうために更に上昇しても必要な(F4以上の)基板クランプ力F4pが常に維持できることになる。
【0071】
この実施形態の場合、空気圧シリンダ124内部の圧力pの制御が必要ないため、制御系を一層簡素化することができる。
【0072】
次に、他の実施形態について説明する。
【0073】
図10に他の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J2の正断面図を示す。
【0074】
本実施形態における樹脂封止装置J2も、上記実施形態と同様に、可動プラテン212の推力に対する反力(力)を発生させる反力発生機構P2と、可動プラテン212の推力及び反力発生機構P2にて発生した反力を利用して下枠202Bを対向する上型200側へ移動させる移動力を付与する移動力付与機構M2と、を備えている。
【0075】
しかしながら、本実施形態における反力発生機構P2は、当て座234と第3ばね232のみから構成されており、上記実施形態(図1参照)の反力発生機構(P1)の一部として示されていた空気圧シリンダ(124)を設けない構成となっている。このため、下枠202Bの移動力は、第3ばね232のばね反力により発生させられる。
【0076】
本実施形態においても、てこの原理をレバー246に用いて、第3ばね232のばね反力を増大させ、下枠202Bをクランプするための下枠202Bの移動力として利用する。
【0077】
より具体的には、可動プラテン212を上昇させて、移動力付与機構M2に備えられたレバー246に取り付けたローラ252を固定プラテン210側の当て座234に当て、レバー246の支持点248pを境にして、反力発生機構P2における第3ばね232からの反力がレバー246の外側端部246Otに付与され、内側端部246Inを介して上型200A側に移動力(押し上げ力)が出力され、下枠202Bをクランプすることができる。
【0078】
本実施形態においては、第3ばね232のばね反力を下枠202Bの移動力として利用するため、第3ばね232のばね定数を、下枠202Bを可動プラテン212側に付勢する第2ばね222のばね定数よりも十分大きいものにする必要がある。
【0079】
他の部品については、上記実施形態と同様の機能を有しているため、同一又は類似する機能を有する部材に上記実施形態における樹脂封止装置J1と下二桁が同一の符号を付すにとどめ、重複説明を省略する。
【0080】
なお、上記実施形態においては、枠状金型が第1、第2金型側にそれぞれ設けられているが、第2金型側のみに設けてもよい。また、移動力付与機構及び反力発生機構についても、上型側のみもしくは上型、下型側の両側に設けてもよい。
【0081】
また、下枠の反突き当て面に付設する弾性体は、下枠を対向する上型側へ付勢するものでもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、上型側に対して、下型側を近接・離反可能なリンク機構による移動機構を備えることにより、可動プラテンの移動時間の短縮を図り、成形サイクルを短縮させるようにしていたが、上型側に対して、下型側を近接・離反可能な駆動源と、駆動源によって回転されるボールねじと、を有する直線移動機構を備えることにより、可動プラテンのより精密な移動を実現することができる。
【0083】
本実施形態において、反力発生機構は空気圧シリンダを備えているが、空気圧シリンダの代わりに油圧シリンダを備えてもよい。
【0084】
腕部の支持点から圧力を付与する位置までの距離及び、支持点から第2の圧力を付与する位置までの距離を本実施形態に限らず変化させることができる。これにより、例えばレバーの支持点から外側の端部までの長さをより長くすることにより、より下枠を押し上げる力を大きくすることができる。反対に、支持点から内側の端部までの長さをより短くすることにより、下枠のクランプ解除時の引下げをより容易に行うことができる。
【0085】
腕部の支持点を中心として、腕部の一方側と他方側の間の角度を180度(水平)に設定してもよい。
【0086】
なお、実施形態に記載されている構成部品・要素のうち、特に記載されていないものであっても、構成部品の寸法、材質、形状、その他相対配置などは特に特定的な断りがない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0087】
J1…樹脂封止装置
M1…移動力付与機構
P1…反力発生機構
100…上型
102…下型
100B、102B…上枠、下枠(枠状金型)
104…被封止品
F0…(可動プラテンの)推力
F2…反力
F2´…移動力
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮成形封止装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、第1金型と、この第1金型に対向して配置され第1金型に対して当接・離反可能な第2金型と、により、被封止品を樹脂にて封止する圧縮型樹脂封止装置が知られている。この種の圧縮型樹脂封止装置では、第2の金型側に組み込まれた枠状金型によって被封止品をクランプしている。
【0003】
この枠状金型は、第2金型の本体(樹脂を圧縮すべき部分)とは別の動きをする必要があるため、ばね及びカム機構を用いた制御によって第2の金型の本体とは別に駆動されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−221544号公報(請求項1、段落[0016]、図2、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、基板の大型化に伴いクランプ力をさらに向上させる必要性が高まっている。しかしながら、従来は基本的にはばねの反発力を利用したものであったため、大きなクランプ力を得るのが困難であった。即ち、この対策として、ばねの本数を更に増加させることは、ばねを設置できる空間が枠状金型の反突き当て面の極めて狭小な空間に限られているため困難であり、ばね単体のばね定数をさらに大きくすることも材料特性や製造コスト等の制限から困難になっている。
【0006】
また、枠状金型をばねとカム機構を用いて駆動する機構は、高い精度が要求されるカムやサーボモータのような高価な部品を用いたり、部品点数が多くなったりして構造が複雑になると共に、製造コストが高くなってしまう傾向があった。
【0007】
本発明は、低コスト且つ簡潔な構成により、枠状金型のクランプ力の向上を図り樹脂漏れを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1金型と、該第1金型に対向して配置され該第1金型に対して当接・離反可能な第2金型と、により、被封止品を樹脂にて封止する圧縮型の樹脂封止装置において、前記第1金型、第2金型側のいずれか一方または双方に設けられ、前記被封止品の端部を保持可能な枠状金型と、前記第2金型を設置し、該第2金型を対向する第1金型側へ移動させる可動プラテンと、前記第1、第2金型側のいずれかに設けられ、前記可動プラテンの推力に対する反力を発生させる反力発生機構と、前記可動プラテンの推力及び該反力発生機構にて発生した該反力を利用して前記枠状金型を対向する該第1または第2金型側へ移動させる移動力を付与する移動力付与機構と、を備えた構成とすることにより、上記課題を解決した。
【0009】
本発明では、枠状金型の駆動源として基本的に可動プラテンの推力を利用する。そして、該可動プラテンと枠状金型との独立した動きを可能とするために、該可動プラテンの推力に対して反力を発生させる反力発生手段を備え、可動プラテンの推力又は該反力が移動力付与機構に入力され、枠状金型をクランプする推力(移動力)として伝達・利用される。即ち、ばねによる推力よりも十分大きい可動プラテンの推力又はその反力を枠状金型のクランプ力(移動力)として利用することができるため、クランプ力を大きく向上させることができる。これにより、基板のクランプ力不足により生じる樹脂漏れを防止することができる。
【0010】
また、可動プラテンの推力を、反力発生機構、移動力付与機構の2つの機構の機能によって枠状金型に移動力を伝達するようにしているため、該推力(移動力)の設定及びこれらの機構の設置の自由度は大きく、結果として被成形品の種類や大きさに応じて枠状金型の推力(移動力)を適正に与えることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、低コスト且つ簡潔な構成により、枠状金型のクランプ力の向上を図り樹脂漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の正断面図
【図2】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図3】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図4】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図5】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図6】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図7】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図8】実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の成形動作のプロセス
【図9】本発明の実施形態の一例にかかる圧縮成形封止装置の概念図
【図10】本発明の他の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置の正断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下で、図面を参照しつつ、本発明の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J1の構成について説明する。
【0014】
図1に本発明の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J1の概念図を示す。
【0015】
本実施形態にかかる樹脂封止装置J1は、上型(第1金型)100と、上型100に対向して配置され上型100に対して当接・離反可能な下型(第2金型)102と、により、被封止品104を樹脂106にて封止するものである。
【0016】
樹脂封止装置J1は、図示せぬリンク機構の推力により、下型102を上型100に対して進退動可能とする可動プラテン112を備えている。上型100は、上側圧縮金型(上型100の本体)100Aと、この上側圧縮金型100Aの外側に配置された上枠100B(上型100側の枠状金型)から構成されており、下型102は、下側圧縮金型(下型102の本体)102Aと、この下側圧縮金型102Aの外側に配置された下枠102B(下型102側の枠状金型)から構成されている。
【0017】
これらの金型100、102は、後述する作用により密閉された樹脂封止空間(キャビティ)118を形成し、例えばパッケージ基盤等の被封止品104を熱硬化性樹脂等の樹脂106にて封止する。
【0018】
図1及び図9を参照して、この樹脂封止装置J1は、上型100側に設けられ、可動プラテン112の推力F0に対する反力(力)F2を発生させる反力発生機構P1と、可動プラテン112の推力F0及び反力発生機構P1にて発生した反力F2を利用して下枠102Bを対向する上型100側へ移動させる移動力F2´を付与する移動力付与機構M1と、を備えている。
【0019】
前記反力発生機構P1は空気圧シリンダ124を備えている。空気圧シリンダ124のケーシング126の内部にはピストンロッド128が嵌入されており、ピストンロッド128の一端には、ピストン130が固定されている。一方、他端には当て座134が固定されている。この当て座134の下側(図2の下側)は、ストッパ136でその下限位置が拘束されている。また、当て座134とケーシング126との間には、第3ばね132が付設されている。
【0020】
なお、符号138は、圧縮する空気を供給するエアー供給源である。また、符号140は空気の流量を調整する電磁弁であり、符号142、144は空気圧を調整する圧力制御弁である。また、上型100側の両側に配置した空気圧シリンダ124は、吸排気口(図示略)を一箇所にまとめて、各空気圧シリンダ124の供給・排気圧を同じにしている。
【0021】
前記移動力付与機構M1は、レバー(腕部)146を備えている。このレバー146は可動プラテン112上に配置された支持部148における支持点148pを中心として回転自在に両側に延びている。この支持点148pを境にして、レバー146の外側端部146Ot(腕部の一方側)には反力発生機構P1からの反力F2が付与され、内側の端部146In(腕部の他方側)を介して上型100側に移動力F2´が出力される。
【0022】
水平面Hoと内側端部146Inの間の角度をθ1、水平面Hoと外側端部146Otの間の角度をθ2、支持点148pから移動力F2´が入力される位置までの実体長さをLa、支持点148pから反力F2が入力される位置までの実体長さをLbとすると、支持点148pから移動力F2´が出力される位置までの水平距離(腕の長さ)は、L1(=La・cosθ1)であり、支持点148pから反力F2が入力される位置までの水平距離(腕の長さ)はL2(=Lb・cosθ2)である。また、支持点148pを中心として、外側端部146Otと内側端部146Inの間の角度は、αである。図1から明らかなようにαは180度より小さい(α<180°)。
【0023】
レバー146の内側端部146Inは下枠102Bの反突き当て面102Buに突き当てられており、外側端部146Otは空気圧シリンダ124の当て座134に突き当てられている。また、レバー146の両端146In、146Otにはローラ152、154が取付けられており、レバー146を介した下枠102Bから当て座134への円滑な推力伝達及びレバー146の突き当てによる当て座134、下枠102Bの破損を防止している。
【0024】
上枠100Bの反突き当て面100Buには、上枠100Bを下型102側へ付勢する第1ばね(弾性体)120が付設されている(押し付け力:F3)。また、下枠102Bの反突き当て面102Buには、下枠102Bを下型102側へ付勢する第2ばね122が付設されている(引張力:F1)。第2ばね122のばね定数は、第1ばね120のばね定数より大きく、且つ、第2ばね122の引張力F1は、空気圧シリンダ124側から出力される反力F2よりも小さくなるように設定する(F2>F1)。
【0025】
なお、レバー146が作用しない状態では、第2ばね122の引張り力F1と下限ストッパ170が、下型圧縮金型102Aと下枠102Bの突き当て面102At、102Btを同一平面になるようにし、図示せぬ離型フィルムを後述する樹脂封止空間118の全面に渡ってしわなく張れるようにしている。
【0026】
また、符号172Aは、上型圧縮金型100Aと上枠100Bの間に取付けられたOリングである。同様に、符号172Bは上枠100Bの突き当て面100Bt、符号172Cは下型圧縮金型102Aと下枠102Bの間に取付けられたOリングである。
【0027】
なお、前記反力発生機構P1は、下型102側へ向けて発生させる反力F2(力)の大きさを調整するための反力調整機能を備えている。より具体的には、前記空気圧シリンダ124内部の圧力p1を変化させることにより、発生する反力F2を調整することができる。この反力調整機能により、上型100と下型102の距離に伴って前記第1ばね120の押し付け力F3及び第2ばね122の引張力F1等が変化したとしても、当該反力発生機構P1で発生する反力F2の基板クランプ力F4が一定に維持されるための与圧が付与されるようになっている(後述)。
【0028】
次に、樹脂封止装置J1の作用について説明する。
【0029】
図2〜8に実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J1の成形動作のプロセスを示す。なお、力学的関係については、図9を併せて参照されたい。
【0030】
先ず、図2に示すように、半導体チップを搭載したセラミック基板(被封止品)104を上側圧縮金型100Aに吸着させ保持させるとともに、封止用の樹脂106を下側圧縮金型102Aに投入する。
【0031】
次に、図3に示すように、図示せぬリンク機構の推力F0により可動プラテン112を上昇させて、移動力付与機構M1に備えられたレバー146の外側端部146Otに取り付けたローラ152を固定プラテン110側の当て座134に当てる。
【0032】
反力発生機構P1からは、該ローラ152に対し、推力F0の反力が、反力発生機構P1の反力F2として可変出力される。即ち、レバー146の支持点148pを境にして、該レバー146の外側端部146Otには反力発生機構P1からの反力F2が付与され、内側端部146Inを介して上型100A側に移動力(押し上げ力)F2´が出力され、下枠102Bをクランプすることができる。つまり、この反力F2は下枠102Bをクランプするための下枠102Bの移動力F2´として利用される。
【0033】
以下、図9に示す樹脂封止装置J1の概念図を用いてより詳細に説明する。
【0034】
空気圧シリンダ124からは、空気圧シリンダ124内の圧力pとピストン130の断面積Sを掛け合わせた式(1)に示す力F2が出力される。
【0035】
F2=p×S …(1)
【0036】
一方、反力F2による下枠102Bの移動力F2´は、Kをレバー比(ただし,K≧1)とすると、てこの原理及びモーメント力の釣り合いから、式(2)、(3)のようになり、この押し上げ力F2´がレバー146の内側端部146Inから出力される。
【0037】
F2´=F2×K …(2)
K=(Lb/La)×(cosθ2/cosθ1) …(3)
【0038】
よって、基板クランプ力F4は(4)式のようになる。
【0039】
F4=F2×K−(F1+F3) …(4)
【0040】
即ち、てこの原理をレバー146に用いることにより、空気圧シリンダ124が小容量のものであっても空気圧シリンダ124から出力される反力F2を増幅し、上枠100Bと下枠102Bの基板クランプ力F4を大きくすることができる。
【0041】
可動プラテン112が推力F0にて上昇しているときでも、基板クランプ力F4が、下枠102Bがセラミック基板104をクランプする際にセラミック基板104に発生する抗力R1よりも大きいか釣り合っているときには(F4≧R1)、空気圧シリンダ124に連結している当て座134の位置は変化せず、基板クランプ力F4は上述した式(4)となる。
【0042】
しかし、可動プラテン112が更に上昇して基板からの抗力R1が基板クランプ力F4に対して勝るようになると、レバー146から空気圧シリンダ124側に力が伝達され、空気圧シリンダ124が圧縮されて,当て座134の位置が上昇し、空気圧シリンダ124内部の圧力pがΔpだけ上昇する傾向となる。このため、例えば後述する実施形態のように、仮に空気圧シリンダ124が閉じた空間とされている場合には、圧力Δpの上昇に伴って基板クランプ力F4がK×Δp×Sだけ上昇し、当て座134はセラミック基板104からの抗力R1と基板クランプ力F4が釣り合う位置で静止することになる(この制御方法については後に詳述)。
【0043】
しかるに、本実施形態では、空気圧シリンダ124内部の圧力pは、圧力制御弁142、144による圧力制御によって、基板クランプ力F4を一定に維持するように制御される。この制御を具体的に行なうには、例えば、現に発生している基板クランプ力F4をリアルタイムで検出し、常に同一の基板クランプ力F4が得られるように空気圧シリンダ124内の圧力pをフィードバック制御すればよい。なお、基板クランプ力F4は、必ずしも直接検出する必要はなく、いずれかの部分の抗力、押し付け力、引張力、或いはレバー146の角度θ1、θ2等の他のパラメータを検出することによって、演算により間接的に求めるようにしても良い。
【0044】
更には、基板クランプ力F4は、各種諸元(可動プラテン112の推力F0や、各ばね120、122のばね定数、レバー146の腕の長さL1、L2等)が特定されている条件下では、基本的には、可動プラテン112の「位置」に依存した値となるので、当該樹脂封止装置J1における可動プラテン112の位置と基板クランプ力F4との関係を予め求めておくことにより、空気圧シリンダ124の圧力pをフィードフォワード制御するように構成することもできる。この手法を採用する場合には、可動プラテン112の位置を、例えば(もともと得られている)リンク機構の図示せぬモータの回転数情報等から求め、この位置情報に基づいて圧力pをオープン制御するだけでよいので、特に別途のセンサも不要であり、制御系の構成を非常に簡素化できる。
【0045】
いずれにしても、この実施形態による制御によれば、可動プラテン112を、本来の封止制御を行なわせるために、下側圧縮金型102Aの位置に着目して制御したとしても、そのときの可動プラテン112の位置に関わらず、常に下枠102Bによる基板クランプ力F4を一定に保つことができる。
【0046】
なお、この実施形態における可動プラテン112の推力F0の条件式は、以下のようになる。
【0047】
セラミック基板104をクランプした際のレバー支点148pにかかる下向き抗力をR3とすると、該下向き抗力R3はセラミック基板104からの抗力R1と空気圧シリンダ124の反力F2の合力と等しい。
【0048】
R3=F2+R1 …(5)
【0049】
最終的に可動プラテン112が停止すると、セラミック基板104からの抗力R1と基板クランプ力F4が釣り合うから(R1=F4)、上述した式(4)を式(5)に代入して、式(6)が得られる。
【0050】
R3=F2×(1+K)−(F1+F3) …(6)
【0051】
ここで、必要な可動プラテン112のプレス推力F0は、圧縮成形時にセラミック基板104へ負荷される推力(成形に必要な力)Fpとレバー支点にかかる力R3の合力以上の力が必要であるため、式(7)が成立している必要がある。
【0052】
F0≧Fp+R3 …(7)
【0053】
つまり、可動プラテン112の必要なプレス推力F0の条件式は、式(6)、(7)より、式(8)となる。
【0054】
F0≧Fp+F2×(1+K)−(F1+F3) …(8)
【0055】
この実施形態では、移動力付与機構M1は、支持点148pから端部146Ot、146Inまでの長さL1、L2とレバー146の傾き角度θ1、θ2を自由に組み合わせることにより、設計の自由度をより高めることができるため、移動力F2´をより柔軟に制御することができる。結果として、セラミック基板104の種類や大きさに応じて下枠102Bの移動力F2´を適正に与えることができる。この実施形態によれば、一般的な押し付けばねの推力よりも十分大きい可動プラテン112の推力F0を下枠102Bの基板クランプ力F4に利用し、基板クランプ力F4を大きく向上させることができる。これにより、セラミック基板104の基板クランプ力F4の不足により生じる上下枠100B、102Bから外部空間への樹脂漏れを防止することができる。
【0056】
また、反力発生機構P1には上型100と下型102の距離に伴って第1ばね120の押し付け力F3や第2ばね122の引張力F1等が変化したとしても、反力発生機構P1の圧力pが、基板クランプ力F4が一定となるように調整されるため、可動プラテン112の位置、より具体的には下側圧縮金型102Aの位置に関わらず、基板クランプ力F4を常に一定に保持することができる。
【0057】
また、ローラ152、154と当て座134が突き当てられた後、常に密着しているため、水平及び垂直方向の位置ずれやがたつきを防止し、上下枠100B、102Bを安定して支持することができる。
【0058】
空気圧シリンダ124とレバー146により具現された反力発生機構P1と移動力付与機構M1は簡潔な構成であるため、下枠102Bを駆動する構造に採用されているサーボモータやカムを排除することにより、これらの機構P1、M1の省スペース化を図ると共に、部品点数を低減させ、構造の簡略化を図ることができ、製造コストを低減させることができる。
【0059】
また、傾き角度θ1、θ2を設けたことにより、結果としてレバー146の内側端部146Inから外側端部146Otまでの水平方向の長さを抑制することができるため、反力発生機構P1と移動力付与機構M1をコンパクトに収容することもできる。
【0060】
移動力付与機構M1は下枠102Bの外側に配置されたものであり、反力発生機構P1は固定プラテン110の上側で且つ上枠100Bの外側に配置されている。つまり、これらの機構P1、M1は、上型、下型100、102の外部に独立して構成されているため、組みつけやメンテナンスを容易に行うことができる。
【0061】
本実施形態では、移動力付与機構M1を下型102側に、反力発生機構P1を上型100側に設けることにより、反力発生機構P1を駆動するためのエアー供給源138、電磁弁140等を上型100側(固定プラテン110側)、より具体的には固定プラテン110上部のフリースペース等に設置することができるため、特殊な部材や機構を採用しなくとも、エアー供給源138等は、樹脂106が加熱される際に上型100と下型102間に発生する熱を容易に回避することができる。
【0062】
図4に示すように、このようにして下枠102Bを上型100側へ移動させることにより、下枠102Bが上枠100Bと接触した上側圧縮金型100A、下側圧縮金型102Aが上下方向(図3における上下方向)を、上枠100B、下枠102Bが左右方向(図3における左右方向)を覆うことになるため、密閉された樹脂封止空間(キャビティ)118を形成することができる。この状態で、この樹脂封止空間118内を真空引きする。
【0063】
その後、図5に示すように、下枠102Bを上型100側へさらに移動させることにより、セラミック基板104を上型100と下型102とでクランプする。この作用については既に詳述した。
【0064】
この状態で、図6に示すように、可動プラテン112を更に上昇させ、下型102による型締めが進行し、樹脂106が加熱・圧縮成形され、セラミック基板104上の半導体チップの部分(図示略)が樹脂封止される。可動プラテン112の更なる上昇が行なわれても、基板クランプ力F4が不変であることも既に詳述した。
【0065】
図7に示すように、樹脂106が上側圧縮金型100A、下側圧縮金型102Aから取り出せる程度に硬化した後、可動プラテン112の高さ方向の位置を変えずに空気圧シリンダ124内の圧力pを減圧し、空気圧シリンダ124の下型102側へ押す移動力F2´を低減する。これにより、レバー146の外側端部146Otに付与される反力F2が低減されるため、レバー146の外側端部146Otが上昇するにつれてレバー146の内側端部146Inが押し当てられている下枠102Bが下がり、セラミック基板104のクランプ状態を解くことができ、樹脂封止空間118内が大気開放される。
【0066】
下枠102Bの反突き当て面102Buに下枠102Bを下型102側へ引張力F1で引張る第2ばね122が反突き当て面102Buに付設されていることにより、上述した第1ばね120の押し付け力F3に加えて、この第2ばね122の付勢力F1を付与することになるため、空気圧シリンダ124内部の圧力pの減圧操作だけで基板クランプの解除を自動的に行うことができる。
【0067】
最後に、図8に示すように、セラミック基板104の真空吸着をなくし、可動プラテン112を下型102側へ移動させ、プレスの型開きを行う。
【0068】
以上のことから、本実施形態によれば、低コスト且つ簡潔な構成により、上下枠100B、102Bのクランプ力の向上を図り樹脂漏れを防止することができる。
【0069】
ところで、上記実施形態では、基板クランプ力F4が一定となるように空気圧シリンダ124内の圧力pを積極的に制御するようにしていたが、空気圧シリンダ124内の圧力pを制御せずに、該空気圧シリンダ124を単にダンパーとして機能させることにより、基板クランプ力F4をより一層簡易に制御するように構成することもできる。
【0070】
この制御手法を採用する場合には、具体的には、可動プラテン112が上昇して行っても、空気圧シリンダ124内の圧力pは、特に積極的には制御しない。すると、圧力pは可動プラテン112の上昇の最終段階でより増大する傾向となる。初期設定のシリンダ圧をpとし、それから上昇した分の圧力をΔpとすると、前述したように、基板クランプ力F4pはK×Δp×Sだけ上昇する。この値は、可動プラテン112のそのときの位置に依存して(レバー比Kの値を含めて)変化することとなるが、必ず「正」の値となる。よって、初期設定のシリンダ圧pを最低限必要な基準クランプ力が得られるな圧力に設定しておくことにより、可動プラテン112が本来の圧縮作業を行なうために更に上昇しても必要な(F4以上の)基板クランプ力F4pが常に維持できることになる。
【0071】
この実施形態の場合、空気圧シリンダ124内部の圧力pの制御が必要ないため、制御系を一層簡素化することができる。
【0072】
次に、他の実施形態について説明する。
【0073】
図10に他の実施形態の一例にかかる樹脂封止装置J2の正断面図を示す。
【0074】
本実施形態における樹脂封止装置J2も、上記実施形態と同様に、可動プラテン212の推力に対する反力(力)を発生させる反力発生機構P2と、可動プラテン212の推力及び反力発生機構P2にて発生した反力を利用して下枠202Bを対向する上型200側へ移動させる移動力を付与する移動力付与機構M2と、を備えている。
【0075】
しかしながら、本実施形態における反力発生機構P2は、当て座234と第3ばね232のみから構成されており、上記実施形態(図1参照)の反力発生機構(P1)の一部として示されていた空気圧シリンダ(124)を設けない構成となっている。このため、下枠202Bの移動力は、第3ばね232のばね反力により発生させられる。
【0076】
本実施形態においても、てこの原理をレバー246に用いて、第3ばね232のばね反力を増大させ、下枠202Bをクランプするための下枠202Bの移動力として利用する。
【0077】
より具体的には、可動プラテン212を上昇させて、移動力付与機構M2に備えられたレバー246に取り付けたローラ252を固定プラテン210側の当て座234に当て、レバー246の支持点248pを境にして、反力発生機構P2における第3ばね232からの反力がレバー246の外側端部246Otに付与され、内側端部246Inを介して上型200A側に移動力(押し上げ力)が出力され、下枠202Bをクランプすることができる。
【0078】
本実施形態においては、第3ばね232のばね反力を下枠202Bの移動力として利用するため、第3ばね232のばね定数を、下枠202Bを可動プラテン212側に付勢する第2ばね222のばね定数よりも十分大きいものにする必要がある。
【0079】
他の部品については、上記実施形態と同様の機能を有しているため、同一又は類似する機能を有する部材に上記実施形態における樹脂封止装置J1と下二桁が同一の符号を付すにとどめ、重複説明を省略する。
【0080】
なお、上記実施形態においては、枠状金型が第1、第2金型側にそれぞれ設けられているが、第2金型側のみに設けてもよい。また、移動力付与機構及び反力発生機構についても、上型側のみもしくは上型、下型側の両側に設けてもよい。
【0081】
また、下枠の反突き当て面に付設する弾性体は、下枠を対向する上型側へ付勢するものでもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、上型側に対して、下型側を近接・離反可能なリンク機構による移動機構を備えることにより、可動プラテンの移動時間の短縮を図り、成形サイクルを短縮させるようにしていたが、上型側に対して、下型側を近接・離反可能な駆動源と、駆動源によって回転されるボールねじと、を有する直線移動機構を備えることにより、可動プラテンのより精密な移動を実現することができる。
【0083】
本実施形態において、反力発生機構は空気圧シリンダを備えているが、空気圧シリンダの代わりに油圧シリンダを備えてもよい。
【0084】
腕部の支持点から圧力を付与する位置までの距離及び、支持点から第2の圧力を付与する位置までの距離を本実施形態に限らず変化させることができる。これにより、例えばレバーの支持点から外側の端部までの長さをより長くすることにより、より下枠を押し上げる力を大きくすることができる。反対に、支持点から内側の端部までの長さをより短くすることにより、下枠のクランプ解除時の引下げをより容易に行うことができる。
【0085】
腕部の支持点を中心として、腕部の一方側と他方側の間の角度を180度(水平)に設定してもよい。
【0086】
なお、実施形態に記載されている構成部品・要素のうち、特に記載されていないものであっても、構成部品の寸法、材質、形状、その他相対配置などは特に特定的な断りがない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0087】
J1…樹脂封止装置
M1…移動力付与機構
P1…反力発生機構
100…上型
102…下型
100B、102B…上枠、下枠(枠状金型)
104…被封止品
F0…(可動プラテンの)推力
F2…反力
F2´…移動力
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金型と、該第1金型に対向して配置され該第1金型に対して当接・離反可能な第2金型と、により、被封止品を樹脂にて封止する圧縮型の樹脂封止装置において、
前記第1金型、第2金型側のいずれか一方または双方に設けられ、前記被封止品の端部を保持可能な枠状金型と、
前記第2金型を設置し、該第2金型を対向する第1金型側へ移動させる可動プラテンと、
前記第1、第2金型側のいずれかに設けられ、前記可動プラテンの推力に対する反力を発生させる反力発生機構と、
前記可動プラテンの推力及び該反力発生機構にて発生した該反力を利用して前記枠状金型を対向する該第1または第2金型側へ移動させる移動力を付与する移動力付与機構と、を備えた
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動力付与機構は、前記可動プラテン上に配置された支持点を中心として両側に延びる腕部を備え、
該支持点を境にして、前記腕部の一方側に前記反力発生機構からの前記反力が付与され、前記腕部の他方側を介して前記第1金型側または第2金型側のいずれかに前記移動力が出力される
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記腕部の前記一方側の前記支持点から前記反力が入力される位置までの腕の長さと、前記腕部の前記他方側の前記支持点から前記移動力が出力される位置までの腕の長さが異なっている
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記支持点を中心として、前記腕部の一方側と他方側のなす角度が180度以外である
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項5】
請求項1〜4において、
前記反力発生機構が、前記反力の大きさを調整するための反力調整機能を備えている
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記枠状金型に、該枠状金型を対向する前記第1金型、または第2金型側へ付勢する弾性体が付設されるとともに、
前記第1金型と、第2金型と、の距離に伴って前記弾性体の付勢力が変化したとしても、前記反力発生機構で発生する前記反力の調整により、前記枠状金型の前記による被封止品の端部の前記保持力が一定に維持される
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記反力発生機構は、油圧シリンダまたは空気圧シリンダを備えており、該油圧または空気圧シリンダ内部の圧力を変化させることにより、前記反力を調整する
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記枠状金型と、前記移動力付与機構と、が、第2金型側に設けられているとともに、前記反力発生機構が、前記第1金型側に設けられている
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、更に、
駆動源と、
該駆動源の駆動力により前記第1金型側に対して、前記第2金型側を近接・離反可能とするボールねじ機構と、を有する移動機構を備える
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかにおいて、更に、
前記駆動源と、
該駆動源の該駆動力により、前記第1金型側に対して、前記第2金型側を近接・離反可能とするリンク機構と、を有する移動機構を備える
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項1】
第1金型と、該第1金型に対向して配置され該第1金型に対して当接・離反可能な第2金型と、により、被封止品を樹脂にて封止する圧縮型の樹脂封止装置において、
前記第1金型、第2金型側のいずれか一方または双方に設けられ、前記被封止品の端部を保持可能な枠状金型と、
前記第2金型を設置し、該第2金型を対向する第1金型側へ移動させる可動プラテンと、
前記第1、第2金型側のいずれかに設けられ、前記可動プラテンの推力に対する反力を発生させる反力発生機構と、
前記可動プラテンの推力及び該反力発生機構にて発生した該反力を利用して前記枠状金型を対向する該第1または第2金型側へ移動させる移動力を付与する移動力付与機構と、を備えた
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記移動力付与機構は、前記可動プラテン上に配置された支持点を中心として両側に延びる腕部を備え、
該支持点を境にして、前記腕部の一方側に前記反力発生機構からの前記反力が付与され、前記腕部の他方側を介して前記第1金型側または第2金型側のいずれかに前記移動力が出力される
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記腕部の前記一方側の前記支持点から前記反力が入力される位置までの腕の長さと、前記腕部の前記他方側の前記支持点から前記移動力が出力される位置までの腕の長さが異なっている
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記支持点を中心として、前記腕部の一方側と他方側のなす角度が180度以外である
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項5】
請求項1〜4において、
前記反力発生機構が、前記反力の大きさを調整するための反力調整機能を備えている
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記枠状金型に、該枠状金型を対向する前記第1金型、または第2金型側へ付勢する弾性体が付設されるとともに、
前記第1金型と、第2金型と、の距離に伴って前記弾性体の付勢力が変化したとしても、前記反力発生機構で発生する前記反力の調整により、前記枠状金型の前記による被封止品の端部の前記保持力が一定に維持される
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項7】
請求項5または6において、
前記反力発生機構は、油圧シリンダまたは空気圧シリンダを備えており、該油圧または空気圧シリンダ内部の圧力を変化させることにより、前記反力を調整する
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかにおいて、
前記枠状金型と、前記移動力付与機構と、が、第2金型側に設けられているとともに、前記反力発生機構が、前記第1金型側に設けられている
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかにおいて、更に、
駆動源と、
該駆動源の駆動力により前記第1金型側に対して、前記第2金型側を近接・離反可能とするボールねじ機構と、を有する移動機構を備える
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかにおいて、更に、
前記駆動源と、
該駆動源の該駆動力により、前記第1金型側に対して、前記第2金型側を近接・離反可能とするリンク機構と、を有する移動機構を備える
ことを特徴とする圧縮成形封止装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−37033(P2011−37033A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−183830(P2009−183830)
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】
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