説明

圧電デバイスとその製造方法

【課題】容器本体のキャビティに実装するICチップを有機樹脂で保護したことにより生じる出力周波数の変動を抑制し、当該ICチップの実装作業で生じる可能性がある当該ICチップの破損を回避する。
【解決手段】ICチップ8の容器本体1への実装面である一方の面に当該容器本体1の下部キャビティ3の底面に設けられた回路配線パターン7の端子パッドに接続するバンプ9を有するICチップ本体8aの面とは反対面に絶縁性の保護シート8bを貼付して固着した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスに係り、特に、封止樹脂に対する外部雰囲気からの湿度の侵入による周波数変動を抑制した表面実装用の圧電デバイスとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶発振器に代表される表面実装用の圧電デバイス(本明細書中では水晶発振器あるいは単に発振器と記載する場合もある)は、携帯型の電子機器等における周波数や時間の信号基準源として広く用いられている。この種の表面実装圧電デバイスの一つにH構造型が知られている。H構造型の表面実装用の圧電デバイスは、当該表面実装用の圧電デバイスの容器本体(パッケージ)の縦方向に切断した断面形状をH字形として、当該H字形の上側凹部を上部キャビティとして圧電振動子を設置し、下側凹部を下部キャビティとして温度制御回路あるいは発振回路等を構成するICチップを実装したものである。なお、容器本体に実装するICチップは表面実装型であり、上記圧電振動子とICチップを実装した圧電デバイス(発振器)も又、表面実装型である。
【0003】
図8は、従来のH構造型の表面実装用の圧電デバイスの構成例の説明図である。この構成例では、容器本体1はセラミック構成層1a、1b、1c、1dの多層構造からなる。この例では、各構成層1a、1b、1c、1dの一面又は両面側には印刷回路が形成されている、所謂、HTCC(high temperature cofired ceramics:高温共焼成セラミックス)である。なお、セラミック構成層の数はこれに限るものではなく、1層のみの場合もある。その場合は多層構造ではない。なお、セラミックスに形成する配線材料によっては、LTCC(Low temperature cofired ceramics:低温共焼成セラミックス)を用いることもできる。
【0004】
H構造型の表面実装用の圧電デバイスの容器本体1を構成する上部キャビティ2には圧電振動子4が設置されている。この圧電振動子4は、多くは水晶振動子であり、その端子部分を導電性接着剤4aで上部キャビティ2の内部表面に形成された配線に接続される。この接続部分で圧電振動子4は容器本体1に片持ち固定されている。そして、この上部キャビティ2は、容器本体1の端縁との間に介在させたメタルリング5を介して当該容器本体1に固着された金属材料からなる蓋体6で密封され、外部雰囲気と遮断されている。メタルリング5と蓋体6は、一般的にはセラミックスと熱膨張率が近いコバールが用いられ、銀ロウ5aにより容器本体1に溶接される。蓋体6はシーム溶接でメタルリング5に固定されている。
【0005】
容器本体1を構成する下部キャビティ3の底面には、圧電振動子4の発振出力に基づいて所要の周波数出力を作成するため回路等を具備するICチップ8が表面実装されている。なお、このICチップ8が温度制御回路としたものもある。ICチップの表面実装では、その実装面(一方の面)に設けられた半田ボール等からなるバンプ9を下部キャビティ3の底面に形成された回路配線パターン7の端子パッド7aにフリップチップボンダー又はチップマウンターを用い、超音波圧着などの手段で固定される。
【0006】
ICチップ8側の回路配線パターンと圧電振動子4側の回路配線パターンとは、容器本体1の構成層1bに設けた図示しないビアホールを介して接続されている。また、下部キャビティ3の端縁には、外部回路と表面実装で接続するための端子10が複数設けられている。この端子10と容器本体1の回路配線パターンも、当該容器本体1の構成層に設けた図示しないスルーホールあるいはビアホール等で接続されている。
【0007】
ICチップ8を実装した下部キャビティ3には、下部キャビティ3のICチップ8との実装面との間も含めて、当該ICチップを外部衝撃による破損から保護するための有機樹脂13が充填されている。この有機樹脂13としては、エポキシ樹脂が一般的に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004―356912号公報
【特許文献2】特開2010―232806号公報
【特許文献3】特開2010―252210号公報
【0009】
構成素子を圧電デバイスのキャビティ内に設置する際に、その何れかを樹脂に埋設したり、あるいは樹脂以外の材料の薄膜で被覆する技術は例えば上記の文献に記載がある。すなわち、特許文献1は、圧電デバイスの容器本体に圧電振動子とICチップそれぞれのキャビティを設け、ICチップをエポキシ樹脂で封止した水晶デバイスを開示する。また、特許文献2は、圧電デバイスの容器本体に圧電振動子とICチップそれぞれのキャビティを設け、圧電振動子をフッ素樹脂で保護した状態で実装した発振器を開示する。そして、特許文献3は、上記と同様に圧電振動子とICチップそれぞれを収容するためのキャビティを設け、ICチップを放熱用導体膜で保護した状態で実装した発振器を開示する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このような構成とした表面実装用の圧電デバイスでは、次に説明するような未解決の問題がある。図9は図8に矢印Bで示した部分の要部断面図である。図9において、ICチップ8は容器本体1の下部キャビティ3にエポキシ樹脂等の有機樹脂13に埋設されて実装されている。図9に両矢印で示したように、ICチップ8と容器本体1との間にある有機樹脂は誘電体であるため、所定の浮遊容量が存在する。設計段階では、この浮遊容量を考慮しているが、当業者によく知られているように、有機樹脂は吸湿性を有しているのが一般的であるため、実装機器の使用環境においては有機樹脂13に外部雰囲気からの吸湿が生じる。そうすると、上記の浮遊容量が変化する。この浮遊容量の変化はICチップに内蔵、あるいは容器本体に有する回路のパラメータに影響を与える。その結果、圧電デバイスの出力周波数が変動することになる。
【0011】
また、図10も図9と同様の図8の要部断面図で、図9で説明した課題とは別の未解決の問題を説明するものである。ICチップ8は容器本体1の下部キャビティ3に表面実装され、その後に有機樹脂13を下部キャビティ3の内部に流し込んで充填し、下部キャビティ3とICチップ8の間の空間を満たしている。しかし、上記容器本体1の下部キャビティ3にICチップ8を実装する作業において、極く稀ではあるが、ICチップ8の一部が容器本体の角に当たってICチップ8が破損することがある。ICチップ8の破損状態の一例を矢印Cで示す。その結果、当該表面実装圧電デバイスは不良品となる確率が高くなる。
【0012】
本発明の目的は、容器本体のキャビティに実装するICチップを有機樹脂の充填で保護したことにより生じる出力周波数の変動を抑制し、当該ICチップの実装作業で生じる可能性がある当該ICチップの破損を回避した表面実装圧電デバイスとその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため、本発明による表面実装用の圧電デバイスは、ICチップの容器本体への実装面である一方の面に当該容器本体の下部キャビティの底面に設けられた回路配線パターンの端子パッドに接続するバンプを有する面とは反対面に絶縁性の保護シートを貼付したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明による上記表面実装用の圧電デバイスの製造方法は、前記ICチップを個別に切り出す以前の半導体ウエハを、その積層回路形成面とは反対側の背面を所定の厚みに研磨した後に、前記ウエハの状態のままで前記背面の全面に有機樹脂からなる絶縁性の保護シートを貼り付け、
その後、個別のICチップに切り出して保護シート付ICチップとし、
前記容器本体の前記下部キャビティ内で、前記ICチップの実装面である一方の面に有するバンプを前記容器本体の前記下部キャビティの底面に設けられた回路配線パターンの端子パッドに接続し、
前記ICチップの前記一方の面と前記容器本体との間を含めて前記容器本体と当該ICチップの間に空間を有して、前記保護シートが前記容器本体の外部に露呈した状態に前記下部キャビティに実装することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
ICチップの実装面と容器本体との間に有機樹脂層が存在しないため、周囲雰囲気からの吸湿に起因する浮遊容量の変化が存在せず、したがって発振周波数の変動が抑制され、安定した出力周波数を得ることができる。
【0016】
また、ICチップの実装面と反対面(背面)に貼付された有機樹脂からなる絶縁性の保護シートは、容器本体へのICチップの実装作業時に、当該ICチップがキャビティの壁面や角部等に接触してもその破損を招くことがない。さらに、キャビティにICチップを設置した後の有機樹脂充填プロセスを省略できるため、全体的なプロセス削減が達成でき、コスト低減に資する。キャビティにICチップを設置した後の有機樹脂充填作業は、個々のICチップごとの充填均一性を確保することが難しい。これに比べてウエハ段階での樹脂シートの貼付は極めて容易であり、厚み自体も均一である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明による表面実装圧電デバイスの実施例1を説明するH構造型の表面実装圧電デバイスの縦断面である。
【図2】図1の矢印Aで示した部分の要部縦断面図である。
【図3】本発明による表面実装圧電デバイスの実施例1の製造方法を説明するICチップのウエハへの樹脂シート材の貼り付け状態の説明図である。
【図4】図3に示したウエハを個々に分割したICチップの状態を説明する模式図である。
【図5】本発明による表面実装圧電デバイスの実施例1の製造方法を説明する斜視図である。
【図6】本発明による表面実装圧電デバイスの実施例1の製造方法を説明する図5に続く斜視図である。
【図7】本発明による表面実装圧電デバイスの実施例2を説明するH構造型の表面実装圧電デバイスの縦断面である。
【図8】従来技術による表面実装圧電デバイスの1例を説明するH構造型の表面実装圧電デバイスの縦断面である。
【図9】図8の矢印Bで示した部分の要部縦断面図である。
【図10】図9と同様の図8の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明による表面実装用の圧電デバイスの実施例1を説明するH構造型の表面実装要の圧電デバイスの縦断面である。また、図2は、図1の矢印Aで示した部分の要部縦断面図である。この実施例では、容器本体1はセラミック構成層1a、1b、1c、1dの多層構造からなる。各構成層1a、1b、1c、1dの一面又は両面側には印刷回路が形成されたHTCCである。容器本体1は上部キャビティ2と下部キャビティ3を有する。
【0020】
H構造型の表面実装用の圧電デバイスの容器本体1を構成する上部キャビティ2には圧電振動子4が設置される。この圧電振動子4は、一般的には水晶振動子であり、その端子部分を導電性接着剤4aで上部キャビティ2の内部表面に形成された配線に接続される。この接続部分で圧電振動子4は容器本体1に片持ち固定されている。このことを強調するため、圧電振動子4を若干斜めに図示してある。そして、この上部キャビティ2は、容器本体1の端縁との間に周回して介在させたメタルリング5を介して当該容器本体1に固着された金属材料からなる蓋体6で密封され、外部雰囲気と遮断されている。メタルリング5と蓋体6は、一般的にはコバールが用いられ、銀ロウ5aにより容器本体1に溶接されている。蓋体6はメタルリング5にシーム溶接されている。しかし、メタルリング5と蓋体6は、これに限らず、セラミックスと同等の熱膨張率を持つ他の金属材料等を用いてもよい。
【0021】
一方、容器本体1を構成する下部キャビティ3には、圧電振動子4の発振出力に基づいて所要の周波数出力を作成するため回路等を具備するICチップ8が表面実装されている。ICチップ8は、チップ本体8aと樹脂シート8bで構成される。樹脂シート8bは、ICチップを容器本体に実装するバンプ形成面とは反対側の面、すなわち外部に向く背面に貼付して固着されている。本実施例では、この樹脂シート8bの材料は熱硬化性のエポキシ樹脂であり、機械的強度の向上、強靭性の確保、温度膨張特性の改善のため、珪素微粒子や珪素フレークなどの無機材料を好適とするフィラーを混入するのが望ましい。なお、この樹脂シートには同様の特性を持つ他の樹脂材料のシートを用いることができることは言うまでも無い。
【0022】
なお、ICチップ8は発振子4の発振周波数を基に、所望の周波数出力を得るための発振回路、PLL回路、逓倍回路、出力回路などで構成されるが、温度制御回路を含む、あるいは温度制御回路のみとすることもできる。容器本体1の下部キャビティ3内に形成された回路パターン7に対するICチップ8の表面実装では、その実装面(一方の面)に設けられたバンプ9を当該下部キャビティ3の底面に形成された回路配線パターン7のパッド7aに超音波圧着などの固着手段で固定される。
【0023】
容器本体の下部キャビティ3側に形成するICチップ8側の回路配線パターン7と上部キャビティ2側に形成する圧電振動子4側の回路配線パターン4bとは、容器本体1の構成層1bに設けた図示しないスルーホールあるいはビアホールを介して接続されている。また、下部キャビティ3の端縁には、外部回路(この圧電デバイスを実装する機器の回路配線パターンの端子パッド)と表面実装で接続するための端子10が複数設けられている。この端子10と容器本体1の回路配線パターン4bあるいは7との間も、当該容器本体1の構成層に設けた図示しないスルーホールあるいはビアホール等で接続されている。しかし、端子10の形式はこれに限るものではない。
【0024】
ICチップ8を実装した下部キャビティ3には、当該下部キャビティ3のICチップ8との実装面との間も含めて、外部雰囲気に露呈されている。すなわち、バンプ9と接続したパッド7aが配置される部分の空間も外部雰囲気(通常、空気)に晒されている。したがって、この部分での吸湿による浮遊容量の変化は殆ど無いので、前記した従来技術による表面実装用の圧電デバイスにおいて発生する周波数変動は抑制される。
【0025】
次に、本発明による表面実装用の圧電デバイスの製造方法について、図3乃至図6を参照して説明する。図3は本発明による表面実装用の圧電デバイスの実施例1の製造方法を説明するICチップの母基板である半導体ウエハ(以下、単にウエハと称する)への樹脂シート材の貼り付け状態の説明図であり、前記した本発明の1実施例に対応する。図4は、図3に示したウエハを個々に分割したICチップの状態を説明する模式図である。このICチップはウエハ11に既知のプロセスで所要の回路が作り込まれている。
【0026】
そして、所要の回路が作り込まれ、表面に保護膜の形成等の所定の処理がなされたウエハ11の裏面(ICチップの背面となる面)に研磨(バックグラインデング)を施して所定の厚みとする。その後、図3(a)に示したように、珪素微粒子等のフィラーを混入したエポキシ樹脂の樹脂シート12を貼り付ける。樹脂シートを貼り付けた状態を図3(b)に示した。
【0027】
図4の(a)に示したように、ウエハ11からダイシングで個々のチップに分離したICチップ8は、同図(b)に示したように、チップ本体8aの背面(バンプ9の形成面とは反対面)に樹脂シート8bが貼付されている。
【0028】
図5は、本発明による表面実装用の圧電デバイスの実施例1の製造方法を説明する斜視図である。図5(A)は圧電デバイスの上側キャビティ部分の構成材を展開して示すもので、容器本体1には上部キャビティ2が形成され、この上部キャビティ2内に設けられた図示しない配線端子に圧電振動子4が導電性接着剤4aで取り付けられ、金属の蓋体6がメタルリング5を介して固着されることを示す。図5(B)には上部キャビティ2内に圧電振動子4が設置された状態を示し、図5(C)に上部キャビティ2を蓋体6で封止した状態を示す。
【0029】
図6は、本発明による表面実装圧電デバイスの実施例1の製造方法を説明する図5に続く斜視図である。図6(D)は、容器本体1の下部キャビティ3とICチップ8の実装作業の状態を展開して示す。ICチップ8はICチップ本体8aとその背面に貼付される樹脂シートを別個に分離して示してある。図6(E)は下部キャビティ3にICチップ8が実装された状態を示す。
【0030】
上記した製造方法によれば、ICチップに有機樹脂からなる絶縁性の保護シートを貼付したことにより、容器本体へのICチップの実装作業時に、当該ICチップがキャビティの壁面や角部等に接触してもその破損を招くことがなく、不良品の発生率が低減される。さらに、キャビティにICチップを設置した後の有機樹脂充填プロセスを省略できるため、全体的なプロセス削減が達成でき、コスト低減に資する。
【実施例2】
【0031】
図7は、本発明による表面実装用の圧電デバイスの実施例2を説明するH構造型の表面実装圧電デバイスの縦断面である。この実施例は、容器本体を上部キャビティ2が形成された上側容器本体15と下部キャビティ3が形成された下側容器本体16とを分離して用意され、両者を接着剤14で固着して一体化した容器本体1としている。本実施例は、容器本体1の構造が実施例1と異なるのみで、この容器本体1を用いた圧電振動子4の設置、ICチップ8の実装は実施例1と同様である。
【0032】
実施例2に係る表面実装用の圧電デバイスの効果も実施例1と同様である。また、実施例2に係る表面実装用の圧電デバイスの製造方法も、前記した実施例1の圧電デバイスの製造方法と同様であるので、繰り返しの説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、上記各実施例で説明した表面実装用の圧電デバイスに限るものではなく、実装したICチップを有機樹脂の充填で保護する構造を有して当該樹脂の吸湿が安定な動作を阻害するような実装デバイス一般に適用できる。
【符号の説明】
【0034】
1・・容器本体(パッケージ)、2・・上部キャビティ、3・・下部キャビティ、4・・圧電振動子、4a・・導電性接着剤、4b・・回路パターン、5・・メタルリング、6・・蓋体、7・・回路パターン、8・・ICチップ、8a・・ICチップ本体、8b・・樹脂シート、9・・バンプ、10・・端子、11・・ウエハ、12・・樹脂シート材、13・・樹脂、14・・接着剤、15・・上側容器本体、16・・下側容器本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、圧電振動子を収容する上部キャビティとICチップを収容する下部キャビティとを有する絶縁性の容器本体と、前記上部キャビティ内に設置された圧電振動子と、前記下部キャビティ内に表面実装されたICチップと、前記上部キャビティを覆って当該キャビティを密閉する蓋体とからなる圧電デバイスにおいて、
前記ICチップは、前記容器本体への実装面である一方の面に前記容器本体の前記下部キャビティの底面に設けられた回路配線パターンに有する端子パッドに接続するバンプを有し、前記一方の面とは反対面である他方の面に貼付された絶縁性の保護シートを具備することを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
請求項1において、
前記容器本体は複数のセラッミックス層からなり、高温共焼成されたセラミックスの多層配線基板であることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項3】
請求項2において、
前記多層配線基板は、前記上部キャビティ側となる単層又は多層配線基板と前記下部キャビティ側となる単層又は多層配線基板とが同時に高温共焼成された一体の基板であることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項4】
請求項2において、
前記多層配線基板は、前記上部キャビティ側となる単層又は多層配線基板と前記下部キャビティ側となる単層又は多層配線基板とを別個に高温共焼成した後に両者をそのキャビティ側面の背面側同士を固着して一体化した基板であることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかにおいて、
前記ICチップを実装した前記容器本体の前記下部キャビティは、外部雰囲気に開放されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかにおいて、
前記蓋体は金属材料の板体であり、前記上部キャビティを形成する前記容器本体の端縁との間に介在させたメタルリングで前記容器本体に固着されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかにおいて、
前記ICチップの前記他方の面に固着される前記保護シートは、エポキシ樹脂を好適とする熱硬化性樹脂で構成されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項8】
請求項7において、
前記熱硬化性樹脂に無機フィラーが均一に分散されていることを特徴とする圧電デバイス。
【請求項9】
少なくとも、圧電振動子を収容する上部キャビティとICチップを収容する下部キャビティとを有する絶縁性の容器本体と、前記上部キャビティ内に設置された圧電振動子と、前記下部キャビティ内に表面実装されたICチップと、前記上部キャビティを覆って当該キャビティを密閉する蓋体とからなる圧電デバイスの製造方法において、
前記ICチップを個別に切り出す以前の半導体ウエハを、その積層回路形成面とは反対側の背面を所定の厚みに研磨し、
前記研磨後に、前記ウエハの状態のままで前記研磨した背面の全面に亘って絶縁性シートを貼り付け、
その後、前記絶縁性シート毎に個別のICチップに切り出して保護シート付ICチップとし、
前記容器本体の前記下部キャビティ内で、前記ICチップの実装面である一方の面に有するバンプを前記容器本体の前記下部キャビティの底面に設けられた回路配線パターンの端子パッドに接続し、
前記ICチップの前記一方の面と前記容器本体との間を含めて前記容器本体と当該ICチップの間に空間を有して、前記保護シートが前記容器本体の外部雰囲気に露呈した状態に前記下部キャビティに実装することを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記ICチップの前記他方の面に固着されている前記保護シートとして、エポキシ樹脂を好適とする熱硬化性樹脂を用いることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記熱硬化性樹脂には無機フィラーが均一に分散されていることを特徴とする圧電デバイスの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−5099(P2013−5099A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132336(P2011−132336)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000232483)日本電波工業株式会社 (1,148)
【Fターム(参考)】