圧電振動片、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計
【課題】所定の共振周波数を確保しつつ、小型化を図ること。
【解決手段】長手方向Yに延在するとともに幅方向Xに並んで配置された第1振動腕部4および第2振動腕部5と、これらの両振動腕部4、5の基端側を連結する基部6と、を備え、第1振動腕部4の先端部4cには、幅方向Xの内側に張り出す第1内張出部11、および外側に張り出す第1外張出部12が形成され、第2振動腕部5の先端部5cには、幅方向Xの内側に張り出す第2内張出部13、および外側に張り出す第2外張出部14が形成され、第1振動腕部4において第2内張出部13と幅方向Xに対向する部分には、第1内張出部11の張出端縁11bよりも幅方向Xの外側に窪んだ第1逃げ部15が設けられ、第2振動腕部5において第1内張出部11と幅方向Xに対向する部分には、第2内張出部13の張出端縁13bよりも幅方向Xの外側に窪んだ第2逃げ部16が設けられた圧電振動片2を提供する。
【解決手段】長手方向Yに延在するとともに幅方向Xに並んで配置された第1振動腕部4および第2振動腕部5と、これらの両振動腕部4、5の基端側を連結する基部6と、を備え、第1振動腕部4の先端部4cには、幅方向Xの内側に張り出す第1内張出部11、および外側に張り出す第1外張出部12が形成され、第2振動腕部5の先端部5cには、幅方向Xの内側に張り出す第2内張出部13、および外側に張り出す第2外張出部14が形成され、第1振動腕部4において第2内張出部13と幅方向Xに対向する部分には、第1内張出部11の張出端縁11bよりも幅方向Xの外側に窪んだ第1逃げ部15が設けられ、第2振動腕部5において第1内張出部11と幅方向Xに対向する部分には、第2内張出部13の張出端縁13bよりも幅方向Xの外側に窪んだ第2逃げ部16が設けられた圧電振動片2を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが提供されているが、その1つとして、いわゆる音叉型の圧電振動片を有する圧電振動子が知られている。
音叉型の圧電振動片は、長手方向に延在するとともに幅方向に並んで配置された第1振動腕部および第2振動腕部と、これらの両振動腕部の基端側を連結する基部と、を備えており、両振動腕部が、基端側を起点として先端部が接近、離間する方向に、所定の共振周波数で振動(揺動)する構成となっている。
【0003】
ところで近年、携帯電話や携帯情報端末機器の小型化に伴い、圧電振動片の小型化が望まれている。そのためには、両振動腕部を短くすることが考えられるが、この場合、圧電振動片の共振周波数が、所定の共振周波数よりも高まるという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、下記特許文献1に示される圧電振動片を採用することが考えられる。この圧電振動片における各振動腕部は、基端側から一定幅で延在し先端側で前記一定幅よりも広い幅となる段差部を備えている。この段差部は、各振動腕部において幅方向の両側に張り出しており、段差部より先端側に位置する先端部は、段差部より基端側に位置する部分より広幅となっている。これにより、先端部の質量が増加するので、圧電振動片の共振周波数を重り効果により低めることが可能になり、所定の共振周波数を確保し易くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の圧電振動片では、先端部が広幅になっているので、両振動腕部の先端部同士の間隔が狭くなりすぎ、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触してしまうおそれがある。
この問題を解決するためには、両振動腕部間の間隔を幅方向に大きくし、両振動腕部の先端部同士を幅方向に離間させることが考えられるが、この場合、圧電振動片が幅方向に大型化してしまい、圧電振動片の小型化という当初の目的を達成することが困難となる。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、所定の共振周波数を確保しつつ、小型化を図ることができる圧電振動片を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る圧電振動片は、長手方向に延在するとともに幅方向に並んで配置された第1振動腕部および第2振動腕部と、これらの両振動腕部の基端側を連結する基部と、を備える音叉型の圧電振動片であって、前記第1振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第1内張出部、および外側に張り出す第1外張出部が形成され、前記第2振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第2内張出部、および外側に張り出す第2外張出部が形成され、前記第1振動腕部において前記第2内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第1内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第1逃げ部が設けられ、前記第2振動腕部において前記第1内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第2内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第2逃げ部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、第1内張出部、第1外張出部、第2内張出部および第2外張出部を備えているので、両振動腕部の先端部の質量を増加させ、この圧電振動片の共振周波数を重り効果により低めることができる。したがって、両振動腕部の長さを短くしても、所定の共振周波数を確保し易くすることができる。
また、第1振動腕部において第2内張出部と前記幅方向に対向する部分に前記第1逃げ部が設けられ、第2振動腕部において第1内張出部と前記幅方向に対向する部分に前記第2逃げ部が設けられているので、第1内張出部および第2内張出部を形成することにより、両振動腕部の先端部間の前記幅方向に沿った間隔が狭くなりすぎるのを抑え、この間隔を確保し易くすることができる。これにより、両振動腕部を前記幅方向に互いに接近させた状態で、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触するのを抑えることができる。
そしてこのように、両振動腕部を前記幅方向に互いに接近させた状態で、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触するのを抑えることができるので、両振動腕部の長さを短くしつつ、この圧電振動片の前記幅方向に沿った大きさを小さくすることが可能になり、小型化を図ることができる。
【0009】
また、前記第1逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第2内張出部の突出量と同等であり、前記第2逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第1内張出部の突出量と同等であっても良い。
【0010】
この場合、第1逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第2内張出部の突出量と同等であり、第2逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第1内張出部の突出量と同等であるので、第1内張出部および第2内張出部を形成することにより、両振動腕部の先端部間の前記幅方向に沿った間隔が狭くなりすぎることを確実に抑え、この間隔をより確保し易くすることができる。
またこのように、第1逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第2内張出部の突出量と同等であり、第2逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第1内張出部の突出量と同等であり、第1逃げ部および第2逃げ部が、前記幅方向に大きく窪み過ぎていない。したがって、両振動腕部の先端部の質量を確実に増加させることができる。
【0011】
また、前記第1外張出部および前記第2外張出部が、前記第1内張出部および前記第2内張出部に応じて形成されることで、各振動腕部における重心が、各振動腕部の中心軸線上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向の位置が互いに一致し、かつ前記両振動腕部の質量が同等となっていても良い。
【0012】
この場合、第1外張出部および第2外張出部が、第1内張出部および第2内張出部に応じて形成されることで、各振動腕部における重心が、各振動腕部の中心軸線上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向の位置が互いに一致し、かつ両振動腕部の質量が同等となっているので、これらの両外張出部により、両振動腕部の固有振動数を同等とさせることが可能になり、この圧電振動片の振動特性を良好に確保し易くすることができる。
【0013】
また、前記第1内張出部および前記第2内張出部は、前記幅方向に互いに対向し、これらの両内張出部はそれぞれ、張出量が前記長手方向の位置により異なる構成とされ、前記第1逃げ部および前記第2逃げ部は、前記両内張出部において前記幅方向の内側を向く張出面同士が互いに倣う形状に形成されることで、各張出面をそれぞれの壁面として設けられていても良い。
【0014】
この場合、両内張出部の張出面同士が、互いに倣う形状に形成されることで、第1逃げ部および第2逃げ部が、各張出面をそれぞれの壁面として設けられているので、第1内張出部および第2内張出部の前記長手方向の位置を互いに異ならせなくても良く、振動腕部の先端部に前記長手方向に連続して多数の内張出部を形成することができる。
【0015】
また、前記第1内張出部および前記第2内張出部のいずれか一方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、いずれか他方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっていても良い。
【0016】
この場合、前記いずれか一方の張出量が、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、前記いずれか他方の張出量が、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているので、前記いずれか一方の前記長手方向の両端側が面取り形状とされ、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触するのを一層抑えることができる。
【0017】
また、前記先端部において、前記幅方向および前記長手方向の両方向に直交する方向を向く主面には、重り膜が形成されていても良い。
【0018】
この場合、先端部の主面に重り膜が形成されているので、両先端部に内張出部、外張出部が備えられていることと相俟って、両振動腕部の先端部の質量を効果的に増加させることができる。
【0019】
また、本発明の圧電振動子は、前記圧電振動片を備えていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、前記圧電振動片を備えているので、両振動腕部の振動時に各振動腕部の先端部同士が接触することを抑え高品質化し、かつ小型化を図ることができる
【0021】
また、本発明の発振器は、前記圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明の電子機器は、前記圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明の電波時計は、前記圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る発振器、電子機器および電波時計によれば、前記圧電振動子を備えているので、高品質で小型な発振器、電子機器および電波時計を製造することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る圧電振動片によれば、所定の共振周波数を確保しつつ、小型化を図ることができる。
また、本発明に係る圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計によれば、高品質化および小型化を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る圧電振動子の一実施形態の上面図である。
【図2】図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片における振動腕部の先端部の拡大上面図である。
【図3】図1に示すA−A断面矢視図である。
【図4】図1に示すB−B断面矢視図である。
【図5】本発明に係る圧電振動片の第1変形例の上面図である。
【図6】本発明に係る圧電振動片の第2変形例の上面図である。
【図7】図6に示す圧電振動片における振動腕部の先端部の拡大上面図である。
【図8】本発明に係る圧電振動片の第3変形例の上面図である。
【図9】本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図10】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図11】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【図12】本発明に係る圧電振動子の一変形例を示す正面図である。
【図13】図12に示す圧電振動子の側面図である。
【図14】本発明に係る圧電振動片の一変形例の上面図である。
【図15】本発明に係る圧電振動片の一変形例の上面図である。
【図16】本発明に係る圧電振動片の一変形例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(圧電振動子)
以下、図面を参照し、本発明に係る圧電振動子の一実施形態を説明する。
図1に示すように、圧電振動子1は、いわゆる表面実装型であり、音叉型の圧電振動片2と、この圧電振動片2を収容するキャビティCを有するパッケージ3と、を備えている。
【0026】
圧電振動片2は、長手方向Yに延在するとともに幅方向Xに並んで配置された第1振動腕部4および第2振動腕部5と、これらの両振動腕部4、5の基端側を連結する基部6と、基部6および両振動腕部4、5の基端部18を間に挟むように前記幅方向Xに間隔をあけて配置され基端側が基部6に連結された一対のサイド基部7と、を備えている。この圧電振動片2は、例えば水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料で一体に形成されており、所定の電圧が印加されたときに両振動腕部4、5が振動する。
なお以下では、前記長手方向Yに沿って振動腕部4、5の先端側を一方側、振動腕部4、5の基端側を他方側という。
【0027】
基部6は、前記幅方向Xおよび前記長手方向Yの両方向に直交する法線方向Zから見た上面視において、前記幅方向Xに長い矩形状になっており、前記一方側を向く一の端面に両振動腕部4、5が連結されている。
各サイド基部7は、前記長手方向Yに延在しており、各サイド基部7の基端側は、連結部8を介して基部6に連結されている。連結部8は、前記幅方向Xに延在するとともに、基部6における前記一の端面と反対側の端面に連結されており、これにより、各サイド基部7と、基部6および振動腕部4、5と、の間には、前記幅方向Xに隙間があいている。
【0028】
各振動腕部4、5における前記幅方向Xに沿った縦断面視形状は矩形状となっている。また、各振動腕部4、5において前記法線方向Zを向く両主面4a、5aには、前記長手方向Yに延在する溝部9が各別に形成されている。この溝部9は、各振動腕部4、5の基端から前記長手方向Yの中心に至るように形成されている。
【0029】
また、第1振動腕部4(図1に示す左側の振動腕部)の先端部4cには、前記幅方向Xの内側に張り出す第1内張出部11、および前記幅方向Xの外側に張り出す第1外張出部12が形成されている。また、第2振動腕部5(図1に示す右側の振動腕部)の先端部5cには、前記幅方向Xの内側に張り出す第2内張出部13、および前記幅方向Xの外側に張り出す第2外張出部14が形成されている。
【0030】
図2に示すように、第1内張出部11および第2内張出部13は、前記上面視において前記長手方向Yに長い同形同大の矩形状に形成されている。これにより、第1内張出部11における重心が、第1振動腕部4において前記幅方向Xの内側を向く内側面4bから前記幅方向Xに離間する第1離間距離は、第2内張出部13における重心が、第2振動腕部5において前記幅方向Xの内側を向く内側面5bから前記幅方向Xに離間する第2離間距離と同等となっている。
【0031】
そして、第1振動腕部4において第2内張出部13と前記幅方向Xに対向する部分には、第1内張出部11の張出端縁11bよりも前記幅方向Xの外側に窪んだ第1逃げ部15が設けられている。また、第2振動腕部5において第1内張出部11と前記幅方向Xに対向する部分には、第2内張出部13の張出端縁13bよりも前記幅方向Xの外側に窪んだ第2逃げ部16が設けられている。
【0032】
本実施形態では、両内張出部11、13の前記長手方向Yの位置は互いに異なっており、両内張出部11、13が、前記長手方向Yの全長にわたって互いに非対向となっていることで、第1逃げ部15および第2逃げ部16が設けられている。第1内張出部11および第1逃げ部15は、前記長手方向Yに並んで配置され、第2内張出部13および第2逃げ部16は、前記長手方向Yに並んで配置されている。
【0033】
第1逃げ部15の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であり、第1逃げ部15の壁面15aは、第2内張出部13において前記幅方向Xの内側を向く張出面13dに倣う形状に形成されている。また第2逃げ部16の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であり、第2逃げ部16の壁面16aは、第1内張出部11において前記幅方向Xの内側を向く張出面11dに倣う形状に形成されている。これらにより、両振動腕部4、5の先端部4c、5c同士の前記幅方向Xに沿った間隔D2は、前記長手方向Yの全長にわたって一定となっている。
【0034】
また、第1外張出部12および第2外張出部14は、第1内張出部11および第2内張出部13に応じて形成されており、これにより、各振動腕部4、5における重心が、各振動腕部4、5の中心軸線O1、O2上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向Yの位置が互いに一致し、かつ両振動腕部4、5の質量が同等となっている。
【0035】
本実施形態では、第1外張出部12は、第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、該第2内張出部13と同形同大に形成されている。このように、第1外張出部12が、第2内張出部13と同形同大に形成されているので、第1外張出部12における重心が、第1振動腕部4において前記幅方向Xの外側を向く外側面から前記幅方向Xに離間する距離は、前記第2離間距離となる。ここで、この第2離間距離は、第1内張出部11における重心が、第1振動腕部4の内側面4bから前記幅方向Xに離間する前記第1離間距離と同等とされているので、第1振動腕部4における重心が、該第1振動腕部4の中心軸線O1上に位置することとなる。
【0036】
また第2外張出部14は、第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、該第1内張出部11と同形同大に形成されている。第2外張出部14が、第1内張出部11と同形同大に形成されているので、第2外張出部14における重心が、第2振動腕部5において前記幅方向Xの外側を向く外側面から前記幅方向Xに離間する距離は、前記第1離間距離となる。ここで、この第1離間距離は、前記第2離間距離と同等とされているので、第2振動腕部5における重心が、該第2振動腕部5の中心軸線O2上に位置することとなる。
【0037】
さらに第1外張出部12が、第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、第2内張出部13と同形同大に形成され、かつ第2外張出部14が、第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、該第1内張出部11と同形同大に形成されているので、第1振動腕部4と第2振動腕部5とが同形同大になる。これにより、両振動腕部4、5の質量を同等にし、かつ両振動腕部4、5における各重心の前記長手方向Yの位置が、互いに一致することとなる。
【0038】
また両振動腕部4、5の先端部4c、5cの両主面4a、5aには、周波数調整用の重り金属膜(重り膜)17が形成されている。この重り金属膜17は、両主面4a、5aに形成された後、例えばレーザ光などにより照射されて主面4a、5aから部分的に除去される。これにより、両振動腕部4、5の共振周波数が調整される。
【0039】
さらに、この圧電振動片2の外表面には、両振動腕部4、5を接近または離間する方向に所定の共振周波数で振動させる図示しない電極膜が形成されている。この電極膜は、重り金属膜17と電気的に非接続とされており、該電極膜のマウント部分は、サイド基部7の先端部に配設されている。
【0040】
図3および図4に示すように、パッケージ3は、キャビティ用の凹部21が形成されたベース基板22と、凹部21を閉塞してキャビティCを形成するリッド基板23と、が互いに接合されてなる。
ベース基板22は、例えばセラミックなどの絶縁材料で形成され、この凹部21の底面において前記幅方向Xの両外側に位置する部分には、凹部21の側面に連結された一対の台座部24が突設されている。
【0041】
また図3に示すように、ベース基板22には、キャビティC内と外部とを導通する貫通電極25が形成されており、図示の例では、この貫通電極25は、台座部24を前記法線方向Zに貫通している。この貫通電極25は、ベース基板22の底面で図示しない外部電極に接続されている。そして、この貫通電極25には、圧電振動片2の前記マウント部分がキャビティC内から導電性接着剤26を介してマウントされている。
リッド基板23は、例えば金属材料などで形成され、リッド基板23の外周縁部は、ベース基板22の外周縁部に接合されている。なお、ベース基板22とリッド基板23とは、例えば図示しない接合膜を介して接合されていても良い。
【0042】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、前記外部電極に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片2の前記電極膜に電圧を印加することができるので、両振動腕部4、5を接近および離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、両振動腕部4、5の振動を利用して、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として圧電振動子1を利用することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動片2によれば、第1内張出部11、第1外張出部12、第2内張出部13および第2外張出部14を備えているので、両振動腕部4、5の先端部4c、5cの質量を増加させ、この圧電振動片2の共振周波数を重り効果により低めることができる。したがって、両振動腕部4、5の長さを短くしても、所定の共振周波数を確保し易くすることができる。
【0044】
また、第1振動腕部4において第2内張出部13と前記幅方向Xに対向する部分に前記第1逃げ部15が設けられ、第2振動腕部5において第1内張出部11と前記幅方向Xに対向する部分に前記第2逃げ部16が設けられているので、第1内張出部11および第2内張出部13を形成したことにより、両振動腕部4、5の先端部4c、5c間の前記幅方向Xに沿った間隔D2が狭くなりすぎるのを抑え、この間隔D2を確保し易くすることができる。これにより、両振動腕部4、5を前記幅方向Xに互いに接近させた状態で、両振動腕部4、5の振動時に先端部4c、5c同士が接触するのを抑えることができる。
【0045】
そしてこのように、両振動腕部4、5を前記幅方向Xに互いに接近させた状態で、両振動腕部4、5の振動時に先端部4c、5c同士が接触するのを抑えることができるので、両振動腕部4、5の長さを短くしつつ、この圧電振動片2の前記幅方向Xに沿った大きさを小さくすることが可能になり、小型化を図ることができる。
【0046】
また本実施形態のように、圧電振動片2が一対のサイド基部7を備えている場合には、両振動腕部4、5を、前記幅方向Xに互いに接近させ、両振動腕部4、5の基端部18同士の間の間隔D1を狭めることで、振動腕部4、5の振動がサイド基部7に漏れ伝わる振動漏れを抑えることができる。
なお図示の例では、両振動腕部4、5において、基端部18同士の前記幅方向Xに沿った間隔D1は、例えば約100μm程度とされ、先端部4c、5c同士の前記幅方向Xに沿った間隔D2は、例えば約80〜90μm程度となっている。
【0047】
また、第1逃げ部15の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であり、第2逃げ部16の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であるので、第1内張出部11および第2内張出部13を形成することにより、両振動腕部4、5の先端部4c、5c間の前記幅方向Xに沿った間隔D2が狭くなりすぎることを確実に抑え、この間隔D2をより確保し易くすることができる。
【0048】
またこのように、第1逃げ部15の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であり、第2逃げ部16の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であり、第1逃げ部15および第2逃げ部16が、前記幅方向Xに大きく窪み過ぎていない。したがって、両振動腕部4、5の先端部4c、5cの質量を確実に増加させることができる。
【0049】
また、先端部4c、5cの主面4a、5aに重り金属膜17が形成されているので、両先端部4c、5cに内張出部11、13、外張出部12、14が備えられていることと相俟って、両振動腕部4、5の先端部4c、5cの質量を効果的に増加させることができる。
【0050】
また、第1外張出部12および第2外張出部14が、第1内張出部11および第2内張出部13に応じて形成されることで、各振動腕部4、5における重心が、各振動腕部4、5の中心軸線O1、O2上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向Yの位置が互いに一致し、かつ両振動腕部4、5の質量が同等となっているので、これらの両外張出部12、14により、両振動腕部4、5の固有振動数を同等とさせることが可能になり、この圧電振動片2の振動特性を良好に確保し易くすることができる。
【0051】
そして本実施形態に係る圧電振動子1によれば、前記圧電振動片2を備えているので、両振動腕部4、5の振動時に各振動腕部4、5の先端部4c、5c同士が接触することを抑え高品質化し、かつ小型化を図ることができる
【0052】
(変形例)
次に、本発明に係る圧電振動片の第1変形例および第2変形例について説明する。
なお、これらの変形例においては、前記実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0053】
はじめに図5を参照し、第1変形例の圧電振動片2Aについて説明する。
この圧電振動片2Aは、前記第1内張出部11および前記第2内張出部13が、前記長手方向Yに複数形成されており、両内張出部11、13は同数、図示の例では2つずつ形成されている。
【0054】
第1内張出部11と第2内張出部13とは、前記長手方向Yに互い違いになるように配置されており、前記長手方向Yに隣り合う第1内張出部11同士の間隔は、第2内張出部13の前記長手方向Yに沿った大きさと同等であるとともに、前記長手方向Yに隣り合う第2内張出部13同士の間隔は、第1内張出部11の前記長手方向Yに沿った大きさと同等となっている。これにより、前記第1逃げ部15が、第1振動腕部4において第2内張出部13と前記幅方向Xに対向する部分に設けられ、前記第2逃げ部16が、第2振動腕部5において第1内張出部11と前記幅方向Xに対向する部分に設けられている。
【0055】
なお第1逃げ部15のうち、前記長手方向Yに隣り合う第1内張出部11同士の間に位置するものは、これらの第1内張出部11同士の間に窪む凹状となっている。また、第2逃げ部16のうち、前記長手方向Yに隣り合う第2内張出部13同士の間に位置するものは、これらの第2内張出部13同士の間に窪む凹状となっている。
また図示の例では、第1内張出部11および第2内張出部13それぞれにおいて、前記長手方向Yを向く端面の角部には、面取り部11c、13cが形成されている。なお、この面取り部11c、13cはなくても良い。
【0056】
また、前記第1外張出部12および前記第2外張出部14は、第1内張出部11および第2内張出部13それぞれと同数、図示の例では2つずつ形成されている。第1外張出部12は、前述のように第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第1内張出部11と第1外張出部12とは、前記長手方向Yに互い違いになっている。また第2外張出部14は、前述のように第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第2内張出部13と第2外張出部14とは、前記長手方向Yに互い違いになるように配置されている。
【0057】
次に図6および図7を参照し、第2変形例の圧電振動片2Bについて説明する。
図6に示すように、この圧電振動片2Bは、前記第1内張出部11および前記第2内張出部13が、前記長手方向Yに複数形成されており、両内張出部11、13は同数、図示の例では4つずつ形成されている。図7に示すように、これらの両内張出部11、13は、前記幅方向Xに互いに対向し、両内張出部11、13はそれぞれ、張出量が前記長手方向Yの位置により異なる構成となっており、両内張出部11、13の張出面11d、13d同士は、互いに倣う形状に形成されている。
【0058】
第2内張出部13の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなっている。図示の例では、第2内張出部13の両端における張出量は0とされ、前記上面視において、第2内張出部13の張出面13dの前記上面視形状は、前記長手方向Yに対して傾斜するとともに中央で屈曲した直線状となっている。
【0059】
また、第1内張出部11の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっている。図示の例では、第1内張出部11の中央における張出量は0とされ、前記上面視において、第1内張出部11の張出面11dの前記上面視形状は、前記長手方向Yに対して傾斜するとともに中央で屈曲した直線状となっている。
【0060】
また、第1内張出部11の前記長手方向Yの端縁の張出量と、第2内張出部13の前記長手方向Yの中央の張出量と、は、互いに同等となっている。
そして、両内張出部11、13は、前記長手方向Yに隣接するもの同士が間隔をあけずに連続して配置されており、前記長手方向Yに隣接する内張出部11、13同士は、前記長手方向Yの端縁が互いに連結されている。
【0061】
また、前記第1逃げ部15および前記第2逃げ部16は、前述のように両内張出部11、13の張出面11d、13d同士が、互いに倣う形状に形成されることで、各張出面11d、13dをそれぞれの壁面15a、16aとして設けられている。
【0062】
また図6に示すように、前記第1外張出部12および前記第2外張出部14は、第1内張出部11および第2内張出部13それぞれと同数、図示の例では4つずつ形成されている。第1外張出部12は、前述のように第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第1内張出部11と第1外張出部12とは、前記長手方向Yの位置が同等となっている。また第2外張出部14は、前述のように第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第2内張出部13と第2外張出部14とは、前記長手方向Yの位置が同等となっている。
【0063】
以上説明したように、本変形例に係る圧電振動片2Bによれば、両内張出部11、13の張出面11d、13d同士が、互いに倣う形状に形成されることで、第1逃げ部15および第2逃げ部16が、各張出面11d、13dをそれぞれの壁面15a、16aとして設けられているので、第1内張出部11および第2内張出部13の前記長手方向Yの位置を互いに異ならせなくても良く、振動腕部4、5の先端部4c、5cに前記長手方向Yに連続して多数の内張出部11、13を形成することができる。
【0064】
また第2内張出部13の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、第1内張出部11の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているので、第2内張出部13の前記長手方向Yの両端側が面取り形状とされ、両振動腕部4、5の振動時に先端部4c、5c同士が接触するのを一層抑えることができる。
【0065】
なお本変形例では、第2内張出部13の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなっており、第1内張出部11の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているものとしたが、これに限られるものではない。また、前記第1内張出部11および前記第2内張出部13が、前記長手方向Yに4つずつ形成されているものとしたが、これに限られるものではない。
例えば、図8に示す圧電振動片2Cのように、第1内張出部11の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなっており、第2内張出部13の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっていても良い。また、両内張出部11、13が、それぞれ2つずつ形成されていても良く、3つずつや、5つ以上ずつ形成されていても良い。
【0066】
また本変形例では、第2内張出部13の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、第1内張出部11の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているものとしたが、これに限られない。例えば、第2内張出部の張出量が、前記一方側の端縁から前記他方側の端縁に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、第1内張出部の張出量が、前記他方側の端縁から前記一方側の端縁に向かうに従い漸次、小さくなっていても良い。
【0067】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図9を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器110は、図9に示すように、圧電振動子1を、集積回路111に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器110は、コンデンサ等の電子素子部品112が実装された基板113を備えている。基板113には、発振器用の集積回路111が実装されており、この集積回路111の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片が実装されている。これら電子素子部品112、集積回路111及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0068】
このように構成された発振器110において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片が振動する。この振動は、圧電振動片が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路111に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路111によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路111の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0069】
本実施形態の発振器110によれば、前記圧電振動子1を備えているので、高品質で小型な発振器110を製造することができる。
【0070】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図10を参照して説明する。なお電子機器として、前述した圧電振動子1を有する携帯情報機器120を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器120は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0071】
次に、本実施形態の携帯情報機器120の構成について説明する。この携帯情報機器120は、図10に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部121とを備えている。電源部121は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部121には、各種制御を行う制御部122と、時刻等のカウントを行う計時部123と、外部との通信を行う通信部124と、各種情報を表示する表示部125と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部126とが並列に接続されている。そして、電源部121によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0072】
制御部122は、各機能部を制御して音声データの送信や受信、現在時刻の計測、表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部122は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0073】
計時部123は、発振回路やレジスタ回路、カウンタ回路、インターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部122と信号の送受信が行われ、表示部125に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0074】
通信部124は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部127、音声処理部128、切替部129、増幅部130、音声入出力部131、電話番号入力部132、着信音発生部133及び呼制御メモリ部134を備えている。
無線部127は、音声データ等の各種データを、アンテナ135を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部128は、無線部127又は増幅部130から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部130は、音声処理部128又は音声入出力部131から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部131は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0075】
また、着信音発生部133は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部129は、着信時に限って、音声処理部128に接続されている増幅部130を着信音発生部133に切り替えることによって、着信音発生部133において生成された着信音が増幅部130を介して音声入出力部131に出力される。
なお、呼制御メモリ部134は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部132は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0076】
電圧検出部126は、電源部121によって制御部122等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部122に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部124を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部126から電圧降下の通知を受けた制御部122は、無線部127、音声処理部128、切替部129及び着信音発生部133の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部127の動作停止は、必須となる。更に、表示部125に、通信部124が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0077】
すなわち、電圧検出部126と制御部122とによって、通信部124の動作を禁止し、その旨を表示部125に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部125の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部124の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部136を備えることで、通信部124の機能をより確実に停止することができる。
【0078】
本実施形態の携帯情報機器120によれば、前記圧電振動子1を備えているので、高品質で小型な携帯情報機器120を製造することができる。
【0079】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図11を参照して説明する。
本実施形態の電波時計140は、図11に示すように、フィルタ部141に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、前述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0080】
以下、電波時計140の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ142は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ143によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部141によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、前記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部148、149をそれぞれ備えている。
【0081】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路144により検波復調される。
続いて、波形整形回路145を介してタイムコードが取り出され、CPU146でカウントされる。CPU146では、現在の年や積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC148に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部148、149は、前述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0082】
なお、前述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計140を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0083】
本実施形態の電波時計140によれば、前記圧電振動子1を備えているので、高品質で小型な電波時計140を製造することができる。
【0084】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば前記実施形態では、圧電振動子1は表面実装型であるものとしたが、図12および図13に示すようなシリンダタイプ等、他のタイプであっても良い。
【0085】
この圧電振動子30は、圧電振動片31と、圧電振動片31がマウントされたプラグ32と、プラグ32とともに圧電振動片31を気密封止するケース33と、を備えている。
圧電振動片31は、前記実施形態の圧電振動片2と比べて、サイド基部7が備えられておらず、前記電極膜のマウント部分は基部6に形成されている。
【0086】
ケース33は、有頂筒状に形成されており、圧電振動片31を内部に収納した状態でプラグ32の後述するステム34の外周に対して圧入されて、嵌合固定されている。
プラグ32は、ケース33を密閉する筒状のステム34と、このステム34を貫通するように平行配置された2本のリード端子35と、ステム34内に充填されてステム34とリード端子35とを固定させる絶縁性の図示しない充填材と、を備えている。
【0087】
2本のリード端子35において、ステム34を間に挟んだ一端側は、圧電振動片31に機械的に接合されるとともに電気的に接続されてマウントされたインナーリード36とされ、他端側は、外部に電気的に接続されるアウターリード37とされている。
そして、インナーリード36と、圧電振動片31の前記電極膜のマウント部分と、は、例えば仕上げ膜(高融点ハンダめっき)等を溶解させて形成された図示しない接合部を介してマウントされている。
【0088】
なお、このようにサイド基部7が備えられていない圧電振動片31であっても、図14から図16に示す圧電振動片31A、31B、31Cのように、各内張出部11、13および各外張出部12、14を、図5から図8に示す圧電振動片2A、2B、2Cと同様の構成にすることが可能である。
【0089】
また前記実施形態では、圧電振動片31には重り金属膜17が形成されているものとしたが、重り金属膜17はなくても良い。
【0090】
また前記実施形態では、第1逃げ部15の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であるものとしたが、これに限られるものではなく、第1逃げ部15の窪み量が、前記長手方向Yの一部または全部において第2内張出部13の突出量と同等でなく、小さかったり大きかったりしても良い。
さらに前記実施形態では、第2逃げ部16の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であるものとしたが、これに限られるものではなく、第2逃げ部16の窪み量が、前記長手方向Yの一部または全部において第1内張出部11の突出量と同等でなく、小さかったり大きかったりしても良い。
【0091】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、30 圧電振動子
2、2A、2B、2C、31、31A、31B、31C 圧電振動片
4 第1振動腕部
4a、5a 主面
4c、5c 先端部
5 第2振動腕部
6 基部
11 第1内張出部
11b、13b 張出端縁
11d、13d 張出面
12 第1外張出部
13 第2内張出部
14 第2外張出部
15 第1逃げ部
15a、16a 壁面
16 第2逃げ部
17 重り金属膜(重り膜)
X 幅方向
Y 長手方向
Z 法線方向(幅方向および長手方向の両方向に直交する方向)
O1 中心軸線
O2 中心軸線
110 発振器
120 携帯情報機器(電子機器)
140 電波時計
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電振動片、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが提供されているが、その1つとして、いわゆる音叉型の圧電振動片を有する圧電振動子が知られている。
音叉型の圧電振動片は、長手方向に延在するとともに幅方向に並んで配置された第1振動腕部および第2振動腕部と、これらの両振動腕部の基端側を連結する基部と、を備えており、両振動腕部が、基端側を起点として先端部が接近、離間する方向に、所定の共振周波数で振動(揺動)する構成となっている。
【0003】
ところで近年、携帯電話や携帯情報端末機器の小型化に伴い、圧電振動片の小型化が望まれている。そのためには、両振動腕部を短くすることが考えられるが、この場合、圧電振動片の共振周波数が、所定の共振周波数よりも高まるという問題がある。
そこでこの問題を解決するために、下記特許文献1に示される圧電振動片を採用することが考えられる。この圧電振動片における各振動腕部は、基端側から一定幅で延在し先端側で前記一定幅よりも広い幅となる段差部を備えている。この段差部は、各振動腕部において幅方向の両側に張り出しており、段差部より先端側に位置する先端部は、段差部より基端側に位置する部分より広幅となっている。これにより、先端部の質量が増加するので、圧電振動片の共振周波数を重り効果により低めることが可能になり、所定の共振周波数を確保し易くすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−13910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の圧電振動片では、先端部が広幅になっているので、両振動腕部の先端部同士の間隔が狭くなりすぎ、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触してしまうおそれがある。
この問題を解決するためには、両振動腕部間の間隔を幅方向に大きくし、両振動腕部の先端部同士を幅方向に離間させることが考えられるが、この場合、圧電振動片が幅方向に大型化してしまい、圧電振動片の小型化という当初の目的を達成することが困難となる。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、所定の共振周波数を確保しつつ、小型化を図ることができる圧電振動片を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る圧電振動片は、長手方向に延在するとともに幅方向に並んで配置された第1振動腕部および第2振動腕部と、これらの両振動腕部の基端側を連結する基部と、を備える音叉型の圧電振動片であって、前記第1振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第1内張出部、および外側に張り出す第1外張出部が形成され、前記第2振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第2内張出部、および外側に張り出す第2外張出部が形成され、前記第1振動腕部において前記第2内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第1内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第1逃げ部が設けられ、前記第2振動腕部において前記第1内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第2内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第2逃げ部が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、第1内張出部、第1外張出部、第2内張出部および第2外張出部を備えているので、両振動腕部の先端部の質量を増加させ、この圧電振動片の共振周波数を重り効果により低めることができる。したがって、両振動腕部の長さを短くしても、所定の共振周波数を確保し易くすることができる。
また、第1振動腕部において第2内張出部と前記幅方向に対向する部分に前記第1逃げ部が設けられ、第2振動腕部において第1内張出部と前記幅方向に対向する部分に前記第2逃げ部が設けられているので、第1内張出部および第2内張出部を形成することにより、両振動腕部の先端部間の前記幅方向に沿った間隔が狭くなりすぎるのを抑え、この間隔を確保し易くすることができる。これにより、両振動腕部を前記幅方向に互いに接近させた状態で、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触するのを抑えることができる。
そしてこのように、両振動腕部を前記幅方向に互いに接近させた状態で、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触するのを抑えることができるので、両振動腕部の長さを短くしつつ、この圧電振動片の前記幅方向に沿った大きさを小さくすることが可能になり、小型化を図ることができる。
【0009】
また、前記第1逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第2内張出部の突出量と同等であり、前記第2逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第1内張出部の突出量と同等であっても良い。
【0010】
この場合、第1逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第2内張出部の突出量と同等であり、第2逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第1内張出部の突出量と同等であるので、第1内張出部および第2内張出部を形成することにより、両振動腕部の先端部間の前記幅方向に沿った間隔が狭くなりすぎることを確実に抑え、この間隔をより確保し易くすることができる。
またこのように、第1逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第2内張出部の突出量と同等であり、第2逃げ部の窪み量が、前記長手方向の全長にわたって第1内張出部の突出量と同等であり、第1逃げ部および第2逃げ部が、前記幅方向に大きく窪み過ぎていない。したがって、両振動腕部の先端部の質量を確実に増加させることができる。
【0011】
また、前記第1外張出部および前記第2外張出部が、前記第1内張出部および前記第2内張出部に応じて形成されることで、各振動腕部における重心が、各振動腕部の中心軸線上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向の位置が互いに一致し、かつ前記両振動腕部の質量が同等となっていても良い。
【0012】
この場合、第1外張出部および第2外張出部が、第1内張出部および第2内張出部に応じて形成されることで、各振動腕部における重心が、各振動腕部の中心軸線上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向の位置が互いに一致し、かつ両振動腕部の質量が同等となっているので、これらの両外張出部により、両振動腕部の固有振動数を同等とさせることが可能になり、この圧電振動片の振動特性を良好に確保し易くすることができる。
【0013】
また、前記第1内張出部および前記第2内張出部は、前記幅方向に互いに対向し、これらの両内張出部はそれぞれ、張出量が前記長手方向の位置により異なる構成とされ、前記第1逃げ部および前記第2逃げ部は、前記両内張出部において前記幅方向の内側を向く張出面同士が互いに倣う形状に形成されることで、各張出面をそれぞれの壁面として設けられていても良い。
【0014】
この場合、両内張出部の張出面同士が、互いに倣う形状に形成されることで、第1逃げ部および第2逃げ部が、各張出面をそれぞれの壁面として設けられているので、第1内張出部および第2内張出部の前記長手方向の位置を互いに異ならせなくても良く、振動腕部の先端部に前記長手方向に連続して多数の内張出部を形成することができる。
【0015】
また、前記第1内張出部および前記第2内張出部のいずれか一方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、いずれか他方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっていても良い。
【0016】
この場合、前記いずれか一方の張出量が、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、前記いずれか他方の張出量が、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているので、前記いずれか一方の前記長手方向の両端側が面取り形状とされ、両振動腕部の振動時に先端部同士が接触するのを一層抑えることができる。
【0017】
また、前記先端部において、前記幅方向および前記長手方向の両方向に直交する方向を向く主面には、重り膜が形成されていても良い。
【0018】
この場合、先端部の主面に重り膜が形成されているので、両先端部に内張出部、外張出部が備えられていることと相俟って、両振動腕部の先端部の質量を効果的に増加させることができる。
【0019】
また、本発明の圧電振動子は、前記圧電振動片を備えていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、前記圧電振動片を備えているので、両振動腕部の振動時に各振動腕部の先端部同士が接触することを抑え高品質化し、かつ小型化を図ることができる
【0021】
また、本発明の発振器は、前記圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明の電子機器は、前記圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
また、本発明の電波時計は、前記圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
本発明に係る発振器、電子機器および電波時計によれば、前記圧電振動子を備えているので、高品質で小型な発振器、電子機器および電波時計を製造することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る圧電振動片によれば、所定の共振周波数を確保しつつ、小型化を図ることができる。
また、本発明に係る圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計によれば、高品質化および小型化を図ることができる
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る圧電振動子の一実施形態の上面図である。
【図2】図1に示す圧電振動子を構成する圧電振動片における振動腕部の先端部の拡大上面図である。
【図3】図1に示すA−A断面矢視図である。
【図4】図1に示すB−B断面矢視図である。
【図5】本発明に係る圧電振動片の第1変形例の上面図である。
【図6】本発明に係る圧電振動片の第2変形例の上面図である。
【図7】図6に示す圧電振動片における振動腕部の先端部の拡大上面図である。
【図8】本発明に係る圧電振動片の第3変形例の上面図である。
【図9】本発明に係る発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図10】本発明に係る電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図11】本発明に係る電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【図12】本発明に係る圧電振動子の一変形例を示す正面図である。
【図13】図12に示す圧電振動子の側面図である。
【図14】本発明に係る圧電振動片の一変形例の上面図である。
【図15】本発明に係る圧電振動片の一変形例の上面図である。
【図16】本発明に係る圧電振動片の一変形例の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(圧電振動子)
以下、図面を参照し、本発明に係る圧電振動子の一実施形態を説明する。
図1に示すように、圧電振動子1は、いわゆる表面実装型であり、音叉型の圧電振動片2と、この圧電振動片2を収容するキャビティCを有するパッケージ3と、を備えている。
【0026】
圧電振動片2は、長手方向Yに延在するとともに幅方向Xに並んで配置された第1振動腕部4および第2振動腕部5と、これらの両振動腕部4、5の基端側を連結する基部6と、基部6および両振動腕部4、5の基端部18を間に挟むように前記幅方向Xに間隔をあけて配置され基端側が基部6に連結された一対のサイド基部7と、を備えている。この圧電振動片2は、例えば水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料で一体に形成されており、所定の電圧が印加されたときに両振動腕部4、5が振動する。
なお以下では、前記長手方向Yに沿って振動腕部4、5の先端側を一方側、振動腕部4、5の基端側を他方側という。
【0027】
基部6は、前記幅方向Xおよび前記長手方向Yの両方向に直交する法線方向Zから見た上面視において、前記幅方向Xに長い矩形状になっており、前記一方側を向く一の端面に両振動腕部4、5が連結されている。
各サイド基部7は、前記長手方向Yに延在しており、各サイド基部7の基端側は、連結部8を介して基部6に連結されている。連結部8は、前記幅方向Xに延在するとともに、基部6における前記一の端面と反対側の端面に連結されており、これにより、各サイド基部7と、基部6および振動腕部4、5と、の間には、前記幅方向Xに隙間があいている。
【0028】
各振動腕部4、5における前記幅方向Xに沿った縦断面視形状は矩形状となっている。また、各振動腕部4、5において前記法線方向Zを向く両主面4a、5aには、前記長手方向Yに延在する溝部9が各別に形成されている。この溝部9は、各振動腕部4、5の基端から前記長手方向Yの中心に至るように形成されている。
【0029】
また、第1振動腕部4(図1に示す左側の振動腕部)の先端部4cには、前記幅方向Xの内側に張り出す第1内張出部11、および前記幅方向Xの外側に張り出す第1外張出部12が形成されている。また、第2振動腕部5(図1に示す右側の振動腕部)の先端部5cには、前記幅方向Xの内側に張り出す第2内張出部13、および前記幅方向Xの外側に張り出す第2外張出部14が形成されている。
【0030】
図2に示すように、第1内張出部11および第2内張出部13は、前記上面視において前記長手方向Yに長い同形同大の矩形状に形成されている。これにより、第1内張出部11における重心が、第1振動腕部4において前記幅方向Xの内側を向く内側面4bから前記幅方向Xに離間する第1離間距離は、第2内張出部13における重心が、第2振動腕部5において前記幅方向Xの内側を向く内側面5bから前記幅方向Xに離間する第2離間距離と同等となっている。
【0031】
そして、第1振動腕部4において第2内張出部13と前記幅方向Xに対向する部分には、第1内張出部11の張出端縁11bよりも前記幅方向Xの外側に窪んだ第1逃げ部15が設けられている。また、第2振動腕部5において第1内張出部11と前記幅方向Xに対向する部分には、第2内張出部13の張出端縁13bよりも前記幅方向Xの外側に窪んだ第2逃げ部16が設けられている。
【0032】
本実施形態では、両内張出部11、13の前記長手方向Yの位置は互いに異なっており、両内張出部11、13が、前記長手方向Yの全長にわたって互いに非対向となっていることで、第1逃げ部15および第2逃げ部16が設けられている。第1内張出部11および第1逃げ部15は、前記長手方向Yに並んで配置され、第2内張出部13および第2逃げ部16は、前記長手方向Yに並んで配置されている。
【0033】
第1逃げ部15の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であり、第1逃げ部15の壁面15aは、第2内張出部13において前記幅方向Xの内側を向く張出面13dに倣う形状に形成されている。また第2逃げ部16の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であり、第2逃げ部16の壁面16aは、第1内張出部11において前記幅方向Xの内側を向く張出面11dに倣う形状に形成されている。これらにより、両振動腕部4、5の先端部4c、5c同士の前記幅方向Xに沿った間隔D2は、前記長手方向Yの全長にわたって一定となっている。
【0034】
また、第1外張出部12および第2外張出部14は、第1内張出部11および第2内張出部13に応じて形成されており、これにより、各振動腕部4、5における重心が、各振動腕部4、5の中心軸線O1、O2上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向Yの位置が互いに一致し、かつ両振動腕部4、5の質量が同等となっている。
【0035】
本実施形態では、第1外張出部12は、第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、該第2内張出部13と同形同大に形成されている。このように、第1外張出部12が、第2内張出部13と同形同大に形成されているので、第1外張出部12における重心が、第1振動腕部4において前記幅方向Xの外側を向く外側面から前記幅方向Xに離間する距離は、前記第2離間距離となる。ここで、この第2離間距離は、第1内張出部11における重心が、第1振動腕部4の内側面4bから前記幅方向Xに離間する前記第1離間距離と同等とされているので、第1振動腕部4における重心が、該第1振動腕部4の中心軸線O1上に位置することとなる。
【0036】
また第2外張出部14は、第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、該第1内張出部11と同形同大に形成されている。第2外張出部14が、第1内張出部11と同形同大に形成されているので、第2外張出部14における重心が、第2振動腕部5において前記幅方向Xの外側を向く外側面から前記幅方向Xに離間する距離は、前記第1離間距離となる。ここで、この第1離間距離は、前記第2離間距離と同等とされているので、第2振動腕部5における重心が、該第2振動腕部5の中心軸線O2上に位置することとなる。
【0037】
さらに第1外張出部12が、第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、第2内張出部13と同形同大に形成され、かつ第2外張出部14が、第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であるとともに、該第1内張出部11と同形同大に形成されているので、第1振動腕部4と第2振動腕部5とが同形同大になる。これにより、両振動腕部4、5の質量を同等にし、かつ両振動腕部4、5における各重心の前記長手方向Yの位置が、互いに一致することとなる。
【0038】
また両振動腕部4、5の先端部4c、5cの両主面4a、5aには、周波数調整用の重り金属膜(重り膜)17が形成されている。この重り金属膜17は、両主面4a、5aに形成された後、例えばレーザ光などにより照射されて主面4a、5aから部分的に除去される。これにより、両振動腕部4、5の共振周波数が調整される。
【0039】
さらに、この圧電振動片2の外表面には、両振動腕部4、5を接近または離間する方向に所定の共振周波数で振動させる図示しない電極膜が形成されている。この電極膜は、重り金属膜17と電気的に非接続とされており、該電極膜のマウント部分は、サイド基部7の先端部に配設されている。
【0040】
図3および図4に示すように、パッケージ3は、キャビティ用の凹部21が形成されたベース基板22と、凹部21を閉塞してキャビティCを形成するリッド基板23と、が互いに接合されてなる。
ベース基板22は、例えばセラミックなどの絶縁材料で形成され、この凹部21の底面において前記幅方向Xの両外側に位置する部分には、凹部21の側面に連結された一対の台座部24が突設されている。
【0041】
また図3に示すように、ベース基板22には、キャビティC内と外部とを導通する貫通電極25が形成されており、図示の例では、この貫通電極25は、台座部24を前記法線方向Zに貫通している。この貫通電極25は、ベース基板22の底面で図示しない外部電極に接続されている。そして、この貫通電極25には、圧電振動片2の前記マウント部分がキャビティC内から導電性接着剤26を介してマウントされている。
リッド基板23は、例えば金属材料などで形成され、リッド基板23の外周縁部は、ベース基板22の外周縁部に接合されている。なお、ベース基板22とリッド基板23とは、例えば図示しない接合膜を介して接合されていても良い。
【0042】
このように構成された圧電振動子1を作動させる場合には、前記外部電極に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片2の前記電極膜に電圧を印加することができるので、両振動腕部4、5を接近および離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、両振動腕部4、5の振動を利用して、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として圧電振動子1を利用することができる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る圧電振動片2によれば、第1内張出部11、第1外張出部12、第2内張出部13および第2外張出部14を備えているので、両振動腕部4、5の先端部4c、5cの質量を増加させ、この圧電振動片2の共振周波数を重り効果により低めることができる。したがって、両振動腕部4、5の長さを短くしても、所定の共振周波数を確保し易くすることができる。
【0044】
また、第1振動腕部4において第2内張出部13と前記幅方向Xに対向する部分に前記第1逃げ部15が設けられ、第2振動腕部5において第1内張出部11と前記幅方向Xに対向する部分に前記第2逃げ部16が設けられているので、第1内張出部11および第2内張出部13を形成したことにより、両振動腕部4、5の先端部4c、5c間の前記幅方向Xに沿った間隔D2が狭くなりすぎるのを抑え、この間隔D2を確保し易くすることができる。これにより、両振動腕部4、5を前記幅方向Xに互いに接近させた状態で、両振動腕部4、5の振動時に先端部4c、5c同士が接触するのを抑えることができる。
【0045】
そしてこのように、両振動腕部4、5を前記幅方向Xに互いに接近させた状態で、両振動腕部4、5の振動時に先端部4c、5c同士が接触するのを抑えることができるので、両振動腕部4、5の長さを短くしつつ、この圧電振動片2の前記幅方向Xに沿った大きさを小さくすることが可能になり、小型化を図ることができる。
【0046】
また本実施形態のように、圧電振動片2が一対のサイド基部7を備えている場合には、両振動腕部4、5を、前記幅方向Xに互いに接近させ、両振動腕部4、5の基端部18同士の間の間隔D1を狭めることで、振動腕部4、5の振動がサイド基部7に漏れ伝わる振動漏れを抑えることができる。
なお図示の例では、両振動腕部4、5において、基端部18同士の前記幅方向Xに沿った間隔D1は、例えば約100μm程度とされ、先端部4c、5c同士の前記幅方向Xに沿った間隔D2は、例えば約80〜90μm程度となっている。
【0047】
また、第1逃げ部15の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であり、第2逃げ部16の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であるので、第1内張出部11および第2内張出部13を形成することにより、両振動腕部4、5の先端部4c、5c間の前記幅方向Xに沿った間隔D2が狭くなりすぎることを確実に抑え、この間隔D2をより確保し易くすることができる。
【0048】
またこのように、第1逃げ部15の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であり、第2逃げ部16の窪み量が、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であり、第1逃げ部15および第2逃げ部16が、前記幅方向Xに大きく窪み過ぎていない。したがって、両振動腕部4、5の先端部4c、5cの質量を確実に増加させることができる。
【0049】
また、先端部4c、5cの主面4a、5aに重り金属膜17が形成されているので、両先端部4c、5cに内張出部11、13、外張出部12、14が備えられていることと相俟って、両振動腕部4、5の先端部4c、5cの質量を効果的に増加させることができる。
【0050】
また、第1外張出部12および第2外張出部14が、第1内張出部11および第2内張出部13に応じて形成されることで、各振動腕部4、5における重心が、各振動腕部4、5の中心軸線O1、O2上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向Yの位置が互いに一致し、かつ両振動腕部4、5の質量が同等となっているので、これらの両外張出部12、14により、両振動腕部4、5の固有振動数を同等とさせることが可能になり、この圧電振動片2の振動特性を良好に確保し易くすることができる。
【0051】
そして本実施形態に係る圧電振動子1によれば、前記圧電振動片2を備えているので、両振動腕部4、5の振動時に各振動腕部4、5の先端部4c、5c同士が接触することを抑え高品質化し、かつ小型化を図ることができる
【0052】
(変形例)
次に、本発明に係る圧電振動片の第1変形例および第2変形例について説明する。
なお、これらの変形例においては、前記実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0053】
はじめに図5を参照し、第1変形例の圧電振動片2Aについて説明する。
この圧電振動片2Aは、前記第1内張出部11および前記第2内張出部13が、前記長手方向Yに複数形成されており、両内張出部11、13は同数、図示の例では2つずつ形成されている。
【0054】
第1内張出部11と第2内張出部13とは、前記長手方向Yに互い違いになるように配置されており、前記長手方向Yに隣り合う第1内張出部11同士の間隔は、第2内張出部13の前記長手方向Yに沿った大きさと同等であるとともに、前記長手方向Yに隣り合う第2内張出部13同士の間隔は、第1内張出部11の前記長手方向Yに沿った大きさと同等となっている。これにより、前記第1逃げ部15が、第1振動腕部4において第2内張出部13と前記幅方向Xに対向する部分に設けられ、前記第2逃げ部16が、第2振動腕部5において第1内張出部11と前記幅方向Xに対向する部分に設けられている。
【0055】
なお第1逃げ部15のうち、前記長手方向Yに隣り合う第1内張出部11同士の間に位置するものは、これらの第1内張出部11同士の間に窪む凹状となっている。また、第2逃げ部16のうち、前記長手方向Yに隣り合う第2内張出部13同士の間に位置するものは、これらの第2内張出部13同士の間に窪む凹状となっている。
また図示の例では、第1内張出部11および第2内張出部13それぞれにおいて、前記長手方向Yを向く端面の角部には、面取り部11c、13cが形成されている。なお、この面取り部11c、13cはなくても良い。
【0056】
また、前記第1外張出部12および前記第2外張出部14は、第1内張出部11および第2内張出部13それぞれと同数、図示の例では2つずつ形成されている。第1外張出部12は、前述のように第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第1内張出部11と第1外張出部12とは、前記長手方向Yに互い違いになっている。また第2外張出部14は、前述のように第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第2内張出部13と第2外張出部14とは、前記長手方向Yに互い違いになるように配置されている。
【0057】
次に図6および図7を参照し、第2変形例の圧電振動片2Bについて説明する。
図6に示すように、この圧電振動片2Bは、前記第1内張出部11および前記第2内張出部13が、前記長手方向Yに複数形成されており、両内張出部11、13は同数、図示の例では4つずつ形成されている。図7に示すように、これらの両内張出部11、13は、前記幅方向Xに互いに対向し、両内張出部11、13はそれぞれ、張出量が前記長手方向Yの位置により異なる構成となっており、両内張出部11、13の張出面11d、13d同士は、互いに倣う形状に形成されている。
【0058】
第2内張出部13の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなっている。図示の例では、第2内張出部13の両端における張出量は0とされ、前記上面視において、第2内張出部13の張出面13dの前記上面視形状は、前記長手方向Yに対して傾斜するとともに中央で屈曲した直線状となっている。
【0059】
また、第1内張出部11の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっている。図示の例では、第1内張出部11の中央における張出量は0とされ、前記上面視において、第1内張出部11の張出面11dの前記上面視形状は、前記長手方向Yに対して傾斜するとともに中央で屈曲した直線状となっている。
【0060】
また、第1内張出部11の前記長手方向Yの端縁の張出量と、第2内張出部13の前記長手方向Yの中央の張出量と、は、互いに同等となっている。
そして、両内張出部11、13は、前記長手方向Yに隣接するもの同士が間隔をあけずに連続して配置されており、前記長手方向Yに隣接する内張出部11、13同士は、前記長手方向Yの端縁が互いに連結されている。
【0061】
また、前記第1逃げ部15および前記第2逃げ部16は、前述のように両内張出部11、13の張出面11d、13d同士が、互いに倣う形状に形成されることで、各張出面11d、13dをそれぞれの壁面15a、16aとして設けられている。
【0062】
また図6に示すように、前記第1外張出部12および前記第2外張出部14は、第1内張出部11および第2内張出部13それぞれと同数、図示の例では4つずつ形成されている。第1外張出部12は、前述のように第2内張出部13と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第1内張出部11と第1外張出部12とは、前記長手方向Yの位置が同等となっている。また第2外張出部14は、前述のように第1内張出部11と前記長手方向Yの位置が同等であり、これにより、第2内張出部13と第2外張出部14とは、前記長手方向Yの位置が同等となっている。
【0063】
以上説明したように、本変形例に係る圧電振動片2Bによれば、両内張出部11、13の張出面11d、13d同士が、互いに倣う形状に形成されることで、第1逃げ部15および第2逃げ部16が、各張出面11d、13dをそれぞれの壁面15a、16aとして設けられているので、第1内張出部11および第2内張出部13の前記長手方向Yの位置を互いに異ならせなくても良く、振動腕部4、5の先端部4c、5cに前記長手方向Yに連続して多数の内張出部11、13を形成することができる。
【0064】
また第2内張出部13の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、第1内張出部11の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているので、第2内張出部13の前記長手方向Yの両端側が面取り形状とされ、両振動腕部4、5の振動時に先端部4c、5c同士が接触するのを一層抑えることができる。
【0065】
なお本変形例では、第2内張出部13の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなっており、第1内張出部11の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているものとしたが、これに限られるものではない。また、前記第1内張出部11および前記第2内張出部13が、前記長手方向Yに4つずつ形成されているものとしたが、これに限られるものではない。
例えば、図8に示す圧電振動片2Cのように、第1内張出部11の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなっており、第2内張出部13の張出量が、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっていても良い。また、両内張出部11、13が、それぞれ2つずつ形成されていても良く、3つずつや、5つ以上ずつ形成されていても良い。
【0066】
また本変形例では、第2内張出部13の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、第1内張出部11の張出量は、前記長手方向Yの両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっているものとしたが、これに限られない。例えば、第2内張出部の張出量が、前記一方側の端縁から前記他方側の端縁に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、第1内張出部の張出量が、前記他方側の端縁から前記一方側の端縁に向かうに従い漸次、小さくなっていても良い。
【0067】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図9を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器110は、図9に示すように、圧電振動子1を、集積回路111に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器110は、コンデンサ等の電子素子部品112が実装された基板113を備えている。基板113には、発振器用の集積回路111が実装されており、この集積回路111の近傍に、圧電振動子1の圧電振動片が実装されている。これら電子素子部品112、集積回路111及び圧電振動子1は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0068】
このように構成された発振器110において、圧電振動子1に電圧を印加すると、圧電振動子1内の圧電振動片が振動する。この振動は、圧電振動片が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路111に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路111によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子1が発振子として機能する。
また、集積回路111の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0069】
本実施形態の発振器110によれば、前記圧電振動子1を備えているので、高品質で小型な発振器110を製造することができる。
【0070】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図10を参照して説明する。なお電子機器として、前述した圧電振動子1を有する携帯情報機器120を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器120は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0071】
次に、本実施形態の携帯情報機器120の構成について説明する。この携帯情報機器120は、図10に示すように、圧電振動子1と、電力を供給するための電源部121とを備えている。電源部121は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部121には、各種制御を行う制御部122と、時刻等のカウントを行う計時部123と、外部との通信を行う通信部124と、各種情報を表示する表示部125と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部126とが並列に接続されている。そして、電源部121によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0072】
制御部122は、各機能部を制御して音声データの送信や受信、現在時刻の計測、表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部122は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0073】
計時部123は、発振回路やレジスタ回路、カウンタ回路、インターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子1とを備えている。圧電振動子1に電圧を印加すると圧電振動片が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部122と信号の送受信が行われ、表示部125に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0074】
通信部124は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部127、音声処理部128、切替部129、増幅部130、音声入出力部131、電話番号入力部132、着信音発生部133及び呼制御メモリ部134を備えている。
無線部127は、音声データ等の各種データを、アンテナ135を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部128は、無線部127又は増幅部130から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部130は、音声処理部128又は音声入出力部131から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部131は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0075】
また、着信音発生部133は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部129は、着信時に限って、音声処理部128に接続されている増幅部130を着信音発生部133に切り替えることによって、着信音発生部133において生成された着信音が増幅部130を介して音声入出力部131に出力される。
なお、呼制御メモリ部134は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部132は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0076】
電圧検出部126は、電源部121によって制御部122等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部122に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部124を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部126から電圧降下の通知を受けた制御部122は、無線部127、音声処理部128、切替部129及び着信音発生部133の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部127の動作停止は、必須となる。更に、表示部125に、通信部124が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0077】
すなわち、電圧検出部126と制御部122とによって、通信部124の動作を禁止し、その旨を表示部125に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部125の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部124の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部136を備えることで、通信部124の機能をより確実に停止することができる。
【0078】
本実施形態の携帯情報機器120によれば、前記圧電振動子1を備えているので、高品質で小型な携帯情報機器120を製造することができる。
【0079】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図11を参照して説明する。
本実施形態の電波時計140は、図11に示すように、フィルタ部141に電気的に接続された圧電振動子1を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、前述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0080】
以下、電波時計140の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ142は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ143によって増幅され、複数の圧電振動子1を有するフィルタ部141によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子1は、前記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部148、149をそれぞれ備えている。
【0081】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路144により検波復調される。
続いて、波形整形回路145を介してタイムコードが取り出され、CPU146でカウントされる。CPU146では、現在の年や積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC148に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部148、149は、前述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0082】
なお、前述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計140を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子1を必要とする。
【0083】
本実施形態の電波時計140によれば、前記圧電振動子1を備えているので、高品質で小型な電波時計140を製造することができる。
【0084】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば前記実施形態では、圧電振動子1は表面実装型であるものとしたが、図12および図13に示すようなシリンダタイプ等、他のタイプであっても良い。
【0085】
この圧電振動子30は、圧電振動片31と、圧電振動片31がマウントされたプラグ32と、プラグ32とともに圧電振動片31を気密封止するケース33と、を備えている。
圧電振動片31は、前記実施形態の圧電振動片2と比べて、サイド基部7が備えられておらず、前記電極膜のマウント部分は基部6に形成されている。
【0086】
ケース33は、有頂筒状に形成されており、圧電振動片31を内部に収納した状態でプラグ32の後述するステム34の外周に対して圧入されて、嵌合固定されている。
プラグ32は、ケース33を密閉する筒状のステム34と、このステム34を貫通するように平行配置された2本のリード端子35と、ステム34内に充填されてステム34とリード端子35とを固定させる絶縁性の図示しない充填材と、を備えている。
【0087】
2本のリード端子35において、ステム34を間に挟んだ一端側は、圧電振動片31に機械的に接合されるとともに電気的に接続されてマウントされたインナーリード36とされ、他端側は、外部に電気的に接続されるアウターリード37とされている。
そして、インナーリード36と、圧電振動片31の前記電極膜のマウント部分と、は、例えば仕上げ膜(高融点ハンダめっき)等を溶解させて形成された図示しない接合部を介してマウントされている。
【0088】
なお、このようにサイド基部7が備えられていない圧電振動片31であっても、図14から図16に示す圧電振動片31A、31B、31Cのように、各内張出部11、13および各外張出部12、14を、図5から図8に示す圧電振動片2A、2B、2Cと同様の構成にすることが可能である。
【0089】
また前記実施形態では、圧電振動片31には重り金属膜17が形成されているものとしたが、重り金属膜17はなくても良い。
【0090】
また前記実施形態では、第1逃げ部15の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第2内張出部13の突出量と同等であるものとしたが、これに限られるものではなく、第1逃げ部15の窪み量が、前記長手方向Yの一部または全部において第2内張出部13の突出量と同等でなく、小さかったり大きかったりしても良い。
さらに前記実施形態では、第2逃げ部16の窪み量は、前記長手方向Yの全長にわたって第1内張出部11の突出量と同等であるものとしたが、これに限られるものではなく、第2逃げ部16の窪み量が、前記長手方向Yの一部または全部において第1内張出部11の突出量と同等でなく、小さかったり大きかったりしても良い。
【0091】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1、30 圧電振動子
2、2A、2B、2C、31、31A、31B、31C 圧電振動片
4 第1振動腕部
4a、5a 主面
4c、5c 先端部
5 第2振動腕部
6 基部
11 第1内張出部
11b、13b 張出端縁
11d、13d 張出面
12 第1外張出部
13 第2内張出部
14 第2外張出部
15 第1逃げ部
15a、16a 壁面
16 第2逃げ部
17 重り金属膜(重り膜)
X 幅方向
Y 長手方向
Z 法線方向(幅方向および長手方向の両方向に直交する方向)
O1 中心軸線
O2 中心軸線
110 発振器
120 携帯情報機器(電子機器)
140 電波時計
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に延在するとともに幅方向に並んで配置された第1振動腕部および第2振動腕部と、
これらの両振動腕部の基端側を連結する基部と、を備える音叉型の圧電振動片であって、
前記第1振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第1内張出部、および外側に張り出す第1外張出部が形成され、
前記第2振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第2内張出部、および外側に張り出す第2外張出部が形成され、
前記第1振動腕部において前記第2内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第1内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第1逃げ部が設けられ、
前記第2振動腕部において前記第1内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第2内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第2逃げ部が設けられていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
請求項1記載の圧電振動片であって、
前記第1逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第2内張出部の突出量と同等であり、
前記第2逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第1内張出部の突出量と同等であることを特徴とする圧電振動片。
【請求項3】
請求項1または2記載の圧電振動片であって、
前記第1外張出部および前記第2外張出部が、前記第1内張出部および前記第2内張出部に応じて形成されることで、各振動腕部における重心が、各振動腕部の中心軸線上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向の位置が互いに一致し、かつ前記両振動腕部の質量が同等となっていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電振動片であって、
前記第1内張出部および前記第2内張出部は、前記幅方向に互いに対向し、
これらの両内張出部はそれぞれ、張出量が前記長手方向の位置により異なる構成とされ、
前記第1逃げ部および前記第2逃げ部は、前記両内張出部において前記幅方向の内側を向く張出面同士が互いに倣う形状に形成されることで、各張出面をそれぞれの壁面として設けられていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項5】
請求項4記載の圧電振動片であって、
前記第1内張出部および前記第2内張出部のいずれか一方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、いずれか他方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の圧電振動片であって、
前記先端部において、前記幅方向および前記長手方向の両方向に直交する方向を向く主面には、重り膜が形成されていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の圧電振動片を備えていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項8】
請求項7に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項9】
請求項7に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項7に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【請求項1】
長手方向に延在するとともに幅方向に並んで配置された第1振動腕部および第2振動腕部と、
これらの両振動腕部の基端側を連結する基部と、を備える音叉型の圧電振動片であって、
前記第1振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第1内張出部、および外側に張り出す第1外張出部が形成され、
前記第2振動腕部の先端部には、前記幅方向の内側に張り出す第2内張出部、および外側に張り出す第2外張出部が形成され、
前記第1振動腕部において前記第2内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第1内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第1逃げ部が設けられ、
前記第2振動腕部において前記第1内張出部と前記幅方向に対向する部分には、前記第2内張出部の張出端縁よりも前記幅方向の外側に窪んだ第2逃げ部が設けられていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
請求項1記載の圧電振動片であって、
前記第1逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第2内張出部の突出量と同等であり、
前記第2逃げ部の窪み量は、前記長手方向の全長にわたって前記第1内張出部の突出量と同等であることを特徴とする圧電振動片。
【請求項3】
請求項1または2記載の圧電振動片であって、
前記第1外張出部および前記第2外張出部が、前記第1内張出部および前記第2内張出部に応じて形成されることで、各振動腕部における重心が、各振動腕部の中心軸線上にそれぞれ位置するとともに、これらの重心同士の前記長手方向の位置が互いに一致し、かつ前記両振動腕部の質量が同等となっていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電振動片であって、
前記第1内張出部および前記第2内張出部は、前記幅方向に互いに対向し、
これらの両内張出部はそれぞれ、張出量が前記長手方向の位置により異なる構成とされ、
前記第1逃げ部および前記第2逃げ部は、前記両内張出部において前記幅方向の内側を向く張出面同士が互いに倣う形状に形成されることで、各張出面をそれぞれの壁面として設けられていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項5】
請求項4記載の圧電振動片であって、
前記第1内張出部および前記第2内張出部のいずれか一方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、大きくなるとともに、いずれか他方の張出量は、前記長手方向の両端から中央に向かうに従い漸次、小さくなっていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の圧電振動片であって、
前記先端部において、前記幅方向および前記長手方向の両方向に直交する方向を向く主面には、重り膜が形成されていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の圧電振動片を備えていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項8】
請求項7に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項9】
請求項7に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項7に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−74968(P2012−74968A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−219008(P2010−219008)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】
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