説明

圧電振動片、圧電振動片の製造方法、圧電振動子、発振器、電子機器および電波時計

【課題】従来技術と比較して電極形成工程の工数の削減および製造装置の簡略化ができ、低コストな圧電振動片、圧電振動片の製造方法、圧電振動子、この圧電振動子を用いた発振器、電子機器および電波時計を提供する。
【解決手段】一対の振動腕部10,11に形成された励振電極13,14と、外部に電気的に接続されるマウント電極16,17と、励振電極13,14とマウント電極16,17とを接続する引き出し電極19,20と、を備えた圧電振動片4であって、振動腕部10,11には貫通孔8,9が形成されており、励振電極13,14は、貫通孔8,9の内側面8a,8c,9a,9cおよび内側面8a,8c,9a,9cと対向した外側面10a,10b,11a,11bに形成され、マウント電極16,17および引き出し電極19,20は、基部12の一方側の主面Fに形成されていることを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、圧電振動片、圧電振動片の製造方法、圧電振動子、この圧電振動子を用いた発振器、電子機器および電波時計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話や携帯情報端末機器には、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として、水晶等を利用した圧電振動子が用いられている。この種の圧電振動子は、様々なものが提供されているが、その1つとして、基部から一対の振動腕部が延設されたいわゆる音叉型の圧電振動片をパッケージに封入した圧電振動子が知られている。
【0003】
ところで、近年、搭載される機器の小型化に伴って、圧電振動片のさらなる小型化が望まれている。圧電振動片のCI値(Crystal Impedance)を低く抑えつつ、圧電振動片の小型化を図る方法としては、振動腕部の両主面に溝部を形成する方法が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図22は、従来技術の説明図であり、特許文献1の振動腕部203の長手方向に垂直な方向に沿った断面図である。
図22に示すように、振動腕部203は断面略H字形状となっており、振動腕部203の外表面には、第1の励振電極210と第2の励振電極211とが形成されている。一対の励振電極210,211は、振動腕部203の幅方向に沿って電界を発生できるように、溝部205,206の内側面205a,206aおよび振動腕部203の外側面203aに形成されている。
また、一対の励振電極210,211は、引き出し電極(不図示)を介して基部(不図示)の主面上に形成されたマウント電極(不図示)に電気的に接続されている。そして、マウント電極がパッケージの内部電極に実装されることにより、圧電振動子が形成されている。
【0005】
励振電極、引き出し電極およびマウント電極の各電極を形成する電極形成工程は以下のとおりである。
まず、圧電振動片の外形に形成された圧電板に、後の各電極となる電極用金属膜をスパッタリングにより成膜する(金属膜成膜工程)。
次に、電極用金属膜に重ねてフォトレジスト等の感光性材料を塗布して感光性材料膜を成膜する(感光性材料膜成膜工程)。
続いて、フォトリソグラフィ技術により感光性材料膜を露光し(露光工程)、現像液に浸漬して現像することで(現像工程)、感光性材料膜のパターンを形成する。
最後に、感光性材料膜のパターンをマスクとして電極用金属膜のエッチングを行う(金属膜エッチング工程)。これにより、感光性材料膜で保護された領域以外の電極用金属膜が選択的に除去され、圧電振動片の各電極が形成される。
【0006】
ここで、図22に示すように、一方側の溝部205は振動腕部203の一方側の主面に形成され、他方側の溝部206は振動腕部203の他方側の主面に形成されている。したがって、溝部205,206の内側面205a,206aに第1の励振電極210を形成するために、圧電板の一方側の主面および他方側の主面に対して電極形成工程の各工程を行っている。
具体的には、金属膜成膜工程では、圧電板の一方側の主面に対して電極用金属膜を成膜した後、圧電板を反転させて他方側の主面に対して電極用金属膜を成膜することにより、圧電板の両主面に電極用金属膜を成膜している。感光性材料膜成膜工程では、金属膜成膜工程と同様に、圧電板の一方側の主面に対して感光性材料膜を成膜した後、圧電板を反転させて他方側の主面に対して感光性材料膜を成膜することにより、圧電板の両主面に感光性材料膜を成膜している。また、露光工程では、圧電板の両主面に対して紫外線を照射している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−76806号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の電極形成工程では、以下のような課題を有している。
金属膜成膜工程および感光性材料膜成膜工程では、一方側の主面および他方側の主面に対して別々に電極用金属膜および感光性材料膜を成膜するため、工数が多くかかる傾向にある。また、露光工程では、両面露光装置が必要になるとともに、感光性材料膜のパターンを形成するための一対のフォトマスクを準備して圧電板の両主面上の所定位置に配置する必要がある。したがって、露光工程は、多くのコストがかかるだけでなく工程が煩雑で工数が多くかかる傾向にある。このため、従来技術の電極形成工程は、製造コストが高コストであるという課題を有している。
【0009】
そこで本発明は、従来技術と比較して電極形成工程の工数の削減および製造装置の簡略化ができ、低コストな圧電振動片、圧電振動片の製造方法、圧電振動子、この圧電振動子を用いた発振器、電子機器および電波時計の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明の圧電振動片は、並んで配置された一対の振動腕部と、前記一対の振動腕部が接続された基部と、を有する圧電板と、前記振動腕部に形成され前記振動腕部を振動させる励振電極と、前記基部に形成され外部に電気的に接続されるマウント電極と、前記励振電極と前記マウント電極とを接続する引き出し電極と、を備えた圧電振動片であって、前記振動腕部には、前記圧電板の厚さ方向における一方側と他方側とを貫通し、前記振動腕部の長手方向に沿って延びる貫通孔が形成されており、前記励振電極は、前記貫通孔の内側面のうち前記長手方向に沿った内側面および前記内側面と対向した前記振動腕部の外側面に形成され、前記マウント電極および前記引き出し電極は、前記基部の前記一方側のみの主面に形成されていることを特徴としている。
【0011】
本発明によれば、振動腕部に貫通孔を形成することで、振動腕部の一方側の主面と他方側の主面とを接続する内側面が形成される。したがって、圧電板の一方側から金属材料および感光性材料を塗布することにより、振動腕部の長手方向に沿った内側面に電極用金属膜および感光性材料膜を成膜でき、励振電極を形成できる。
また、マウント電極および引き出し電極は、基部の一方側のみの主面に形成されており、他方側の主面には形成されていない。したがって、圧電板の一方側から金属材料および感光性材料を塗布することにより、基部の一方側の主面に電極用金属膜および感光性材料膜を成膜でき、マウント電極および引き出し電極を形成できる。
また、圧電板の他方側の主面には感光性材料膜を成膜しないので、圧電板の一方側のみから感光性材料膜を露光すればよい。これにより、高価な両面露光装置を導入したり、一対のフォトマスクを準備して圧電板の両主面上に配置したりする必要がない。
このように、圧電板の一方側のみから電極用金属膜の成膜、感光性材料膜の成膜および露光を行って各電極を形成できる。したがって、本発明は、圧電板の一方側および他方側の両側から電極用金属膜の成膜、感光性材料膜の成膜および露光を行って各電極を形成する従来技術と比較して、工数の削減および製造装置の簡略化ができ、低コストな圧電振動片を形成できる。
【0012】
また、前記励振電極は、前記振動腕部の前記厚さ方向の全体にわたって形成されていることを特徴としている。
【0013】
本発明によれば、振動腕部の厚さ方向の全体にわたって貫通孔の内側面および振動腕部の外側面と直交する方向に電界を形成できる。したがって、効率よく振動腕部を振動させることができるので、損失の少ない圧電振動片を形成できる。
【0014】
また、前記貫通孔は、前記各振動腕部にそれぞれ複数形成されていることを特徴としている。
【0015】
本発明によれば、各振動腕部に複数形成される貫通孔の個数や各貫通孔の大きさ、各貫通孔の形成位置等を調整して振動腕部の剛性を任意に設定できる。したがって、振動腕部の剛性に依存するドライブレベル特性を、所望の特性に設定できる。
【0016】
また、本発明の圧電振動片の製造方法は、圧電ウエハから前記圧電板の外形および前記貫通孔を形成する外形形成工程と、フォトリソグラフィ技術により電極用金属膜をパターニングし、前記圧電板に前記各電極を形成する電極形成工程と、を備え、前記電極形成工程は、前記圧電板の表面に前記電極用金属膜を成膜する金属膜成膜工程と、前記電極用金属膜に重ねて感光性材料膜を成膜する感光性材料膜成膜工程と、前記各電極に対応したパターンが形成されたフォトマスクを用いて前記感光性材料膜を露光する露光工程と、を有し、前記金属膜成膜工程、前記感光性材料膜成膜工程および前記露光工程は、前記圧電板の前記一方側からのみ行われることを特徴としている。
【0017】
本発明によれば、金属膜成膜工程、感光性材料膜成膜工程および露光工程は、圧電板の一方側からのみ行われるので、圧電板の一方側および他方側の両側から金属膜成膜工程、感光性材料膜成膜工程および露光工程を行う従来技術と比較して、工数の削減および製造装置の簡略化ができる。したがって、低コストな圧電振動片を形成できる。
ところで、従来技術では、圧電板の一方側および他方側から2回金属膜成膜工程を行っているため、振動腕部の外側面に形成される電極用金属膜の膜厚が必要以上に厚くなるおそれがあった。しかし、本発明によれば、圧電板の一方側から1回のみ金属膜成膜工程を行っているので、振動腕部の外側面に形成される電極用金属膜が必要以上に厚くなるのを防止できる。特に、一対の振動腕部の外側面と基部の外側面とで形成される狭小な又部において、電極用金属膜が必要以上に厚くなるのを防止できるので、エッチング時に又部に電極用金属膜が残存するのを抑制できる。これにより、又部における励振電極のショート等の製造不良の発生を防止できる。
【0018】
また、前記外形形成工程は、前記圧電ウエハの両主面上にマスク用金属膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術により前記マスク用金属膜から前記圧電板のマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程と、前記マスクパターンを介して、前記圧電ウエハの前記一方側および前記他方側の両側から前記圧電ウエハをエッチングするウエハエッチング工程と、を備えたことを特徴としている。
【0019】
本発明によれば、圧電ウエハの一方側および他方側の両側からウエハエッチング工程を行うので、圧電板の厚さ方向に沿って、外形を均一に形成できる。したがって、一対の振動腕部を精度よく形成できるので、安定した周波数特性を有する圧電振動片を形成できる。
また、本発明によれば、一度のウエハエッチング工程で圧電振動片の外形および貫通孔を同時に形成できる。したがって、圧電振動片の外形をエッチングした後、ハーフエッチングして溝部205,206(図22参照)を形成する従来技術と比較して、ウエハエッチング工程を簡略化できる。
【0020】
また、本発明の圧電振動子は、上述した圧電振動片がベース基板とリッド基板とにより形成されるキャビティ内に収納されていることを特徴としている。
本発明によれば、電極形成工程の工数の削減および製造装置の簡略化ができる低コストな圧電振動片を備えているので、低コストな圧電振動子を提供できる。
【0021】
また、本発明の発振器は、上述した圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明の電子機器は、上述した圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明の電波時計は、上述した圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
本発明の発振器、電子機器および電波時計によれば、低コストな発振器、電子機器および電波時計を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、振動腕部に貫通孔を形成することで、振動腕部の一方側の主面と他方側の主面とを接続する内側面が形成される。したがって、圧電板の一方側から金属材料および感光性材料を塗布することにより、振動腕部の長手方向に沿った内側面に電極用金属膜および感光性材料膜を成膜でき、励振電極を形成できる。
また、マウント電極および引き出し電極は、基部の一方側のみの主面に形成されており、他方側の主面には形成されていない。したがって、圧電板の一方側から金属材料および感光性材料を塗布することにより、基部の一方側の主面に電極用金属膜および感光性材料膜を成膜でき、マウント電極および引き出し電極を形成できる。
また、圧電板の他方側の主面には感光性材料膜を成膜しないので、圧電板の一方側のみから感光性材料膜を露光すればよい。これにより、高価な両面露光装置を導入したり、一対のフォトマスクを準備して圧電板の両主面上に配置したりする必要がない。
このように、圧電板の一方側のみから電極用金属膜の成膜、感光性材料膜の成膜および露光を行って各電極を形成できる。したがって、本発明は、圧電板の一方側および他方側の両側から電極用金属膜の成膜、感光性材料膜の成膜および露光を行って各電極を形成する従来技術と比較して、工数の削減および製造装置の簡略化ができ、低コストな圧電振動片を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】圧電振動片の一方側から見た平面図である。
【図2】圧電振動片の他方側から見た平面図である。
【図3】図1のA−A線に沿った断面図である。
【図4】振動腕部と基部との接続部近傍の斜視図である。
【図5】実施形態の変形例における圧電振動片の一方側から見た平面図である。
【図6】圧電振動片の製造工程のフローチャートである。
【図7】外形形成工程のフローチャートである。
【図8】マスクパターン形成工程の説明図である。
【図9】マスクパターン形成工程の説明図である。
【図10】マスクパターンの説明図である。
【図11】図10のB−B線に沿った断面図である。
【図12】電極形成工程のフローチャートである。
【図13】金属膜成膜工程およびフォトレジスト膜成膜工程の説明図である。
【図14】露光工程の説明図である。
【図15】圧電振動子の外観斜視図である。
【図16】圧電振動子の内部構成図であって、リッド基板を取り外した状態の平面図である。
【図17】図16のC−C線に沿った断面図である。
【図18】圧電振動子の分解斜視図である。
【図19】発振器の一実施形態を示す構成図である。
【図20】電子機器の一実施形態を示す構成図である。
【図21】電波時計の一実施形態を示す構成図である。
【図22】従来技術の圧電振動片の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(圧電振動片)
以下に、本発明の実施形態に係る圧電振動片を、図面を参照して説明する。
図1は、圧電振動片4の一方側から見た平面図である。
図2は、圧電振動片4の他方側から見た平面図である。
図3は、図1のA−A線に沿った断面図である。なお、図2および図3においては、形成される各電極の膜厚を誇張して表現している。
【0026】
以下の圧電振動片4の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明している。具体的には、振動腕部10,11が並んでいる方向をX方向とし、X方向における中心軸をOとし、圧電振動片4の中心軸O側を−X側とし、外側を+X側としている。また、振動腕部10,11の長手方向をY方向とし、基端側を−Y側とし、先端側を+Y側としている。また、圧電振動片4の厚さ方向をZ方向とし、一方側を+Z側とし、他方側を−Z側としている。また、圧電振動片4の+Z側面をFとし、−Z側面をSとしている。
【0027】
図1に示すように、本実施形態の圧電振動片4は、水晶やタンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム等の圧電材料から形成された音叉型の振動片であり、所定の電圧が印加されたときに振動するものである。
圧電振動片4は、並んで配置された一対の振動腕部10,11(第1の振動腕部10および第2の振動腕部11)と、一対の振動腕部10,11が接続された基部12と、を備えている。
【0028】
一対の振動腕部10,11は、X方向に一定幅を有し、X方向に略平行に並んで配置され、中心軸Oに沿ってY方向に延在している。一対の振動腕部10,11には、振動腕部10,11の+Z側面Fと−Z側面Sとを貫通する貫通孔8,9がそれぞれ形成されている。
図1に示すように、貫通孔8,9は、Z方向平面視略矩形状に形成されており、X方向に一定幅を有し、Y方向に沿って延在している。貫通孔8,9の−Y側端は、振動腕部10,11と基部12との接続部近傍に配置されている。貫通孔8、9の+Y側端は、振動腕部10,11のY方向における略中央に配置されている。
【0029】
基部12と振動腕部10,11との接続部において、基部12の+Y側面、振動腕部10の−X側面10bおよび振動腕部11の−X側面11bにより囲まれた領域には、又部25が形成される。又部25は、Z方向平面視略U字形状に形成されている。
【0030】
(励振電極)
図1に示すように、一対の励振電極13,14は、振動腕部10,11の外表面にそれぞれ電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。
図2に示すように、貫通孔8,9のY方向に沿った内側面8a,9a、X方向に沿った第2内側面8b,9b、および図3に示すように振動腕部10,11の+Z側面F上には、一対の励振電極13,14が形成されている。励振電極13,14は、例えば、クロム等の単層の導電性膜により形成される。励振電極13,14は、電圧が印加されときに振動腕部10,11を互いに接近又は離間する方向に所定の共振周波数で振動させる電極である。
【0031】
具体的には、第1の励振電極13は、主に第1の振動腕部10の貫通孔8の内側面8a〜8dと、第2の振動腕部11の+X側面11aと、第2の振動腕部11の−X側面11bと、に形成されている(図1から図3参照)。また、第2の励振電極14は、主に第2の振動腕部11の貫通孔9の内側面9a〜9dと、第1の振動腕部10の+X側面10aと、第1の振動腕部10の−X側面10bと、に形成されている(図1から図3参照)。なお、図2に示すように、励振電極13,14は−Z側面Sには形成されていない。
【0032】
なお、本実施形態では、第1の励振電極13は貫通孔8の内側面8a〜8dに形成され、第2の励振電極14は貫通孔9の内側面9a〜9dに形成されているが、励振電極13は少なくともY方向に沿った内側面8a,8cに形成され、励振電極14は少なくともY方向に沿った内側面9a,9cに形成されていればよい。
【0033】
このように励振電極13,14を形成することで、図3に示すように、貫通孔8の内側面8a,8cに形成された励振電極13と、第1の振動腕部10の+X側面10aおよび−X側面10bに形成された励振電極14とを対向させることができる。また、貫通孔9の内側面9a,9cに形成された励振電極14と、第2の振動腕部11の+X側面11aおよび−X側面11bに形成された励振電極13とを対向させることができる。そして、励振電極13,14に電圧を印加することにより、振動腕部10,11のX方向に沿って電界を形成し、振動腕部10,11を振動させることができる。
【0034】
図4は、振動腕部10,11と基部12との接続部近傍の斜視図である。
図4に示すように、第1の振動腕部10の−X側面10bに形成された第2の励振電極14と、第2の振動腕部11の−X側面11b上に形成された第1の励振電極13とは、又部25を挟んで対向した状態となっている。又部25の表面には電極が形成されておらず、第1の励振電極13および第2の励振電極14は、又部25においても電気的に切り離された状態でパターニングされて形成されている。
【0035】
(マウント電極)
図1に示すように、基部12の+Z側面Fにおける−Y側には、中心軸Oを挟んで一対のマウント電極16,17が形成されている。
マウント電極16,17は、クロムと金との積層膜であり、水晶と密着性の良いクロム膜を下地層として成膜した後に、表面に金の薄膜を仕上げ層として成膜することにより形成される。ただし、この場合に限られず、例えば、クロムとニクロムを下地層として成膜した後に、表面にさらに金の薄膜を仕上げ層として成膜しても構わない。なお、図2に示すように、マウント電極16,17は−Z側面Sには形成されていない。
【0036】
(引き出し電極)
また、図1に示すように、基部12の+Z側面Fには、励振電極13,14と、マウント電極16,17とをそれぞれ電気的に接続する引き出し電極19,20が形成されている。
引き出し電極19は、マウント電極16と、第1の振動腕部10に形成された第1の励振電極13とを接続しており、中心軸Oを跨るように形成されている。
また、引き出し電極20は、マウント電極17と、第1の振動腕部10に形成された第2の励振電極14とを接続しており、+X側においてY方向に沿うように形成されている。
【0037】
引き出し電極19,20は、マウント電極16,17の下地層と同じ材料のクロムにより、単層膜で形成されている。これにより、マウント電極16,17の下地層を成膜するのと同時に、引き出し電極19,20を成膜することができる。ただし、この場合に限られず、例えば、ニッケルやアルミニウム、チタン等により引き出し電極19,20を成膜しても構わない。なお、図2に示すように、引き出し電極19,20は−Z側面Sには形成されていない。
【0038】
また、図1に示すように、振動腕部10,11の先端部には、所定の周波数の範囲内で振動するように調整(周波数調整)を行うための粗調膜21aおよび微調膜21bからなる重り金属膜21が形成されている。この重り金属膜21を利用して周波数調整を行うことで、一対の振動腕部10,11の周波数をデバイスの公称周波数の範囲内に収めることができるようになっている。なお、図2に示すように、重り金属膜21は−Z側面Sには形成されていない。
【0039】
(実施形態の変形例、各振動腕部に複数の貫通孔を有する圧電振動片)
次に、本実施形態の変形例について説明する。
図5は、本実施形態の変形例における圧電振動片4の説明図である。
上述の実施形態では、第1の振動腕部10に1個の貫通孔8が形成され、第2の振動腕部11に1個の貫通孔9が形成されていた。これに対して、本実施形態の変形例では、第1の振動腕部10に2個の貫通孔8A,8Bが形成され、第2の振動腕部11に2個の貫通孔9A,9Bが形成されている点で異なっている。なお、実施形態と同様の構成部分については説明を省略する。また、第1の振動腕部10に形成された貫通孔8A,8Bおよび第2の振動腕部11に形成された貫通孔9A,9Bは、同一形状である。したがって、以下では第1の振動腕部10に形成された貫通孔8A,8Bについて説明をし、第2の振動腕部11に形成された貫通孔9A,9Bについては詳細な説明を省略している。
【0040】
図5に示すように、振動腕部10には、振動腕部10,11の+Z側面Fと−Z側面Sとを貫通する貫通孔8Aおよび貫通孔8Bが形成されている。
貫通孔8Aおよび貫通孔8Bは、Z方向平面視略矩形状の同一形状に形成されており、X方向に一定幅を有し、Y方向に沿って延在している。
貫通孔8Aおよび貫通孔8Bは、Y方向に沿って縦列に並んで形成されている。振動腕部10の−Y側には貫通孔8Aが形成されており、貫通孔8Aの−Y側端は、振動腕部10と基部12との接続部近傍に配置されている。また、貫通孔8A+Y側には貫通孔8Bが形成されており、貫通孔8Bの+Y側端は、振動腕部10のY方向における略中央に配置されている。
【0041】
ここで、振動腕部10,11の剛性に依存する特性として、ドライブレベル特性が知られている。ドライブレベル特性とは、駆動電圧の変動に対する圧電振動片4の振動周波数の変動特性をいう。具体的には、圧電振動片4に印加する電圧をV1からV2に上昇させると、周波数はf0からf1に上昇する。そして、圧電振動片4に印加する電圧をV2から再度V1に戻したとき、周波数はf1からf0周波数に戻らずにf0よりも低い値f2となる。この振動周波数の変動値Δf(f0とf2との差)の特性のことをドライブレベル特性という。なお、Δfの振れ幅が小さいほど、ドライブレベル特性は良好であり、圧電振動片4は高性能であるといえる。
【0042】
本変形例によれば、貫通孔8Aと貫通孔8Bとの間には、X方向に沿った壁部6(6a)が形成されるので、貫通孔8Aおよび貫通孔8Bの合計した開口面積と同一の開口面積を有する貫通孔8を1個形成したときよりも振動腕部10,11の剛性を確保できる。これにより、所望のドライブレベル特性を有する圧電振動片4を形成できる。
【0043】
(圧電振動片の製造方法)
次に、上述した圧電振動片4の製造方法について、フローチャートを参照しながら以下に説明する。
図6は、圧電振動片4の製造工程のフローチャートである。
図6に示すように本実施形態の圧電振動片4の製造工程は、水晶ウエハ(請求項の「圧電ウエハ」に相当。)を準備(S100)した後、水晶ウエハに後の圧電振動片4となる振動片外形部(請求項の「圧電板」に相当。)を複数形成する外形形成工程S110と、各電極を水晶ウエハに形成する電極形成工程S120と、共振周波数を調整する周波数調整工程S130と、1枚の水晶ウエハから複数の圧電振動片4を切り離す小片化工程S140とを備えている。以下に各工程の詳細を説明する。
【0044】
まず、ポリッシングが終了し、所定の厚みに高精度に仕上げられた水晶ウエハを準備する(S100)。次いで、水晶ウエハに圧電振動片4(図1参照)の外形形状を有する振動片外形部4aおよび貫通孔8,9(図11参照)を形成する外形形成工程S110を行う。
【0045】
(外形形成工程S110)
図7は、外形形成工程S110のフローチャートである。
図7に示すように、外形形成工程S110は、水晶ウエハの表面に成膜したマスク用金属膜から圧電振動片4の外形形状を有するマスクパターンを形成するマスクパターン形成工程S112と、水晶ウエハをエッチングするウエハエッチング工程S114と、を備えている。
【0046】
(マスクパターン形成工程S112)
図8は、マスクパターン形成工程S112の説明図である。
図8に示すように、マスクパターン形成工程S112では、まず、水晶ウエハWの+Z側面Fおよび−Z側面Sの両面にマスク用金属膜74をそれぞれ成膜する(S112A)。マスク用金属膜74は、例えばクロムからなる下地膜74aと、金からなる仕上膜74bとの積層膜であり、それぞれスパッタリング法や蒸着法等により成膜される。
【0047】
次に、マスク用金属膜74に重ねてフォトレジスト膜75を形成する(S112B)。具体的には、マスク用金属膜74上に、スピンコート法等によりフォトレジスト材を塗布し、その後、フォトレジスト材をプリベークして有機溶剤を蒸発させることで、フォトレジスト膜75が形成される。
【0048】
図9は、マスクパターン形成工程S112の説明図である。
次に、図9に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いてフォトレジスト膜75にレジストパターンを形成する(S112C)。なお、フォトレジスト材には、露光された部分が軟化して除去されるポジ型レジストと、露光された部分が硬化して残存するネガ型レジストとがあるが、本実施形態ではポジ型レジストを例にして説明する。
【0049】
マスクパターン形成工程S112では、露光用マスク80を配置し、水晶ウエハWの+Z側および−Z側から紫外線Kを照射してフォトレジスト膜75を露光する。露光用マスク80は、圧電振動片4の外形に相当する領域に形成されている。露光が終了したら、露光用マスク80を取り除く。
【0050】
次に、水晶ウエハWを現像液に浸漬し、フォトレジスト膜75を現像する。これにより、紫外線Kが露光された領域のフォトレジスト膜75のみが選択的に除去され、圧電振動片4の外形形状にフォトレジスト膜75が残存した状態のレジストパターンが複数形成される。
【0051】
図10は、マスクパターンの説明図である。
続いて、このフォトレジスト膜75のレジストパターンをマスクとして、マスク用金属膜74に対してエッチング加工を行い、マスクされていないマスク用金属膜74を選択的に除去する(S112D)。そして、エッチング加工後にフォトレジスト膜75を除去する。これにより、図10に示すように、圧電振動片4の外形形状に対応したマスクパターンを形成できる。以上で、マスクパターン形成工程S112が終了する。
【0052】
(ウエハエッチング工程S114)
図11は、図10のB−B線に沿った断面図である。
最後に、図11に示すように、マスクパターンを介して水晶ウエハWをエッチングするウエハエッチング工程S114を行う。本実施形態のウエハエッチング工程S114では、例えばフッ素系のエッチング液に浸漬してエッチング加工する、いわゆるウエットエッチングを行っている。これにより、貫通孔8,9を有し、後の圧電振動片4となる複数の振動片外形部4aが形成される。なお、複数の振動片外形部4aは、後に行う小片化工程S140まで、図示しない連結部を介して水晶ウエハWに連結された状態となっている。
ここで、水晶ウエハWの+Z側および−Z側の両側からエッチング加工が行われるので、後に形成される圧電振動片4は、Z方向に沿って外形が均一に形成される。したがって、一対の振動腕部10,11を精度よく形成できるので、安定した周波数特性を有する圧電振動片4を形成できる。
以上で、外形形成工程S110が終了する。
【0053】
(電極形成工程S120)
図12は、電極形成工程S120のフローチャートである。
次に、振動片外形部4aが形成された水晶ウエハWの表面に、励振電極13,14、引き出し電極19,20およびマウント電極16,17電極(いずれも図1参照)の各電極を形成する電極形成工程S120を行う。
図12に示すように、電極形成工程S120は、水晶ウエハWの表面に電極用金属膜を成膜する金属膜成膜工程S121と、電極用金属膜に重ねてフォトレジスト膜(感光性材料膜)を成膜するフォトレジスト膜成膜工程S123(感光性材料膜成膜工程)と、フォトレジスト膜を露光する露光工程S125と、フォトレジスト膜を選択的に除去してマスクパターンを形成する現像工程S127と、マスクパターンを介して電極用金属膜のエッチングを行い、各電極を形成する金属膜エッチング工程S129と、を有している。
【0054】
(金属膜成膜工程S121)
図13は、金属膜成膜工程S121およびフォトレジスト膜成膜工程S123の説明図である。
図13に示すように、電極形成工程S120では、のちの励振電極13,14(図1参照)となる電極用金属膜84を、水晶ウエハWに成膜する金属膜成膜工程S121を行う。本実施形態では、水晶ウエハWの+Z側からのみスパッタ法や真空蒸着法等により金属材料を塗布して、のちの各電極となる電極用金属膜84を成膜している。
電極用金属膜84は、下地膜84aとして、水晶と密着性の良いクロムの膜が成膜される。さらに、下地膜84aの上から仕上膜84bとして金の薄膜が成膜される。
ここで、図13に示すように、水晶ウエハWには、貫通孔8,9が形成されている。したがって、金属膜成膜工程S121では、水晶ウエハWの+Z側のみからクロムおよび金を塗布することで、貫通孔8,9の内側面8a〜8d,9a〜9d(図1参照)の全体に電極用金属膜84を成膜できる。
【0055】
ところで、従来技術では、図22に示すように、振動腕部203に貫通孔が形成されておらず、振動腕部203の両主面に溝部205,206が形成されている。したがって、従来技術では、金属膜成膜工程S121において、水晶ウエハに形成された溝部205,206の内側面205a,206aに電極用金属膜を成膜するために、水晶ウエハの+Z側および−Z側から2回金属膜成膜工程S121を行う必要がある。これにより、振動腕部203の外側面203aに形成される電極用金属膜84の膜厚が必要以上に厚くなるおそれがあった。
しかし、本実施形態によれば、図13に示すように、水晶ウエハWの+Z側から1回のみ金属膜成膜工程S121を行っているので、振動片外形部4aの外側面に形成される電極用金属膜84が必要以上に厚くなるのを防止できる。特に、振動片外形部4aの外側面のうち、後の又部25(図4参照)となる部分において、電極用金属膜84の膜厚が必要以上に厚くなるのを防止できる。したがって、後の金属膜エッチング工程S129において、後の又部25(図4参照)となる部分に電極用金属膜84が残存するのを抑制できる。これにより、又部25における励振電極13,14(図4参照)のショート等の製造不良の発生を防止できる。
【0056】
(フォトレジスト膜成膜工程S123)
続いて、電極用金属膜84に重ねてフォトレジスト膜85を成膜するフォトレジスト膜成膜工程S123を行う。なお、前述のとおりフォトレジスト材には、露光された部分が軟化して除去されるポジ型レジストと、露光された部分が硬化して残存するネガ型レジストとがあるが、本実施形態ではポジ型レジストを成膜している。フォトレジスト膜85は、電極用金属膜84に重ねて水晶ウエハWの+Z側からスプレーコート法により成膜される。
【0057】
ここで、前述のとおり水晶ウエハWには、貫通孔8,9が形成されている。したがって、フォトレジスト膜成膜工程S123では、金属膜成膜工程S121と同様に、水晶ウエハWの+Z側のみからフォトレジスト材を塗布することで、貫通孔8,9の内側面8a〜8d,9a〜9d(図1参照)の全体に電極用金属膜84に重ねてフォトレジスト膜85を成膜できる。
【0058】
(露光工程S125)
図14は、露光工程S125の説明図である。
図14に示すように、露光工程S125では、開口部90aを有するフォトマスク90をフォトレジスト膜85に向けた状態でセットする。
【0059】
露光工程S125では、開口部90aを介してフォトレジスト膜85に紫外線Kを照射する。フォトマスク90の開口部90aは、フォトレジスト膜85を除去したい領域であって、後述の金属膜エッチング工程S129で電極用金属膜84を除去したい領域に対応して形成されている。換言すれば、フォトマスク90の開口部90aは、励振電極13,14、引き出し電極19,20およびマウント電極16,17電極(いずれも図1参照)の各電極を形成しない領域に対応して形成される。露光が終了したら、フォトマスク90を取り除く。
【0060】
ここで、フォトレジスト膜成膜工程S123は、水晶ウエハWの+Z側のみからフォトレジスト膜を成膜している。このため、フォトレジスト膜85は、主に水晶ウエハWの+Z側面Fに成膜され、−Z側面Sには成膜されない。したがって、水晶ウエハWの+Z側のみからフォトレジスト膜85を露光すればよいので、従来技術のように、高価な両面露光装置を導入したり、一対のフォトマスクを準備して水晶ウエハWの+Z側面Fおよび−Z側面S上の所定位置に配置したりする必要がない。
【0061】
(現像工程S127)
続いて、フォトレジスト膜85が成膜された水晶ウエハWを現像液に浸漬してフォトレジスト膜85を選択的に除去し、レジストパターンを形成する現像工程S127を行う。
現像工程S127では、フォトマスク90の開口部90aを介して紫外線Kが露光された領域、すなわち、励振電極13,14、引き出し電極19,20およびマウント電極16,17電極(いずれも図1参照)の各電極を形成しない領域に対応したフォトレジスト膜85が除去される。
【0062】
(金属膜エッチング工程S129)
次に、レジストパターンをマスクとして電極用金属膜84のエッチングを行い、各電極を形成する金属膜エッチング工程S129を行う。本工程では、レジストパターンによりマスクされている電極用金属膜84を残し、レジストパターンによりマスクされていない電極用金属膜84を選択的に除去する。金属膜エッチング工程S129により、圧電振動片4の励振電極13,14、引き出し電極19,20およびマウント電極16,17が形成される(図1参照)。
なお、図1に示す励振電極13,14および引き出し電極19,20は、金の仕上膜84bを剥離することにより、クロムの下地膜84aの単層膜により形成される。また、マウント電極16,17は、クロムの下地膜84aおよび金の仕上膜84bを残すことにより、クロムの下地膜84aおよび金の仕上膜84bの積層膜で形成される。
金属膜エッチング工程S129が終了した時点で、電極形成工程S120が終了する。
【0063】
(周波数調整工程S130)
次に、一対の振動腕部10,11の先端に周波数調整用の粗調膜21a及び微調膜21bからなる重り金属膜21(例えば、銀や金等)を形成する(図1参照)。そして、水晶ウエハWに形成された全ての振動腕部10,11に対して、共振周波数を粗く調整する周波数調整工程S130を行う。重り金属膜21の粗調膜21aおよび21bにレーザ光を照射して一部を蒸発させ、重量を変化させることで行う。なお、共振周波数をより高精度に調整する微調に関しては、圧電振動子30(図15参照)の状態で行う。以上で、周波数調整工程S130が終了する。
【0064】
(小片化工程S140)
最後に水晶ウエハWから振動片外形部4a(図14参照)を切断して、複数の圧電振動片4を小片化する小片化工程S140を行う。これにより、1枚の水晶ウエハWから、音叉型の圧電振動片4を一度に複数製造することができる。この時点で、圧電振動片4の製造工程が終了し、圧電振動片4を複数得ることができる。
【0065】
(効果)
本実施形態によれば、振動腕部10,11に貫通孔8,9を形成することで、振動腕部10,11の+Z側面Fと−Z側面Sとを接続する内側面8a〜8d,9a〜9dが形成される。したがって、水晶ウエハの+Z側から金属材料およびフォトレジスト材を塗布することにより、振動腕部10,11のY方向に沿った内側面8a,8c,9a,9cに電極用金属膜84およびフォトレジスト膜85を成膜でき、励振電極13,14を形成できる。
また、マウント電極16,17および引き出し電極19,20は、基部12の+Z側面Fのみに形成されており、−Z側面Sには形成されていない。したがって、水晶ウエハWの+Z側から金属材料およびフォトレジスト材を塗布することにより、基部12の+Z側面Fに電極用金属膜84およびフォトレジスト膜85を成膜でき、マウント電極16,17および引き出し電極19,20を形成できる。
また、水晶ウエハWの−Z側面Sには、電極形成工程S120においてフォトレジスト膜85を成膜していないので、水晶ウエハWの+Z側のみからフォトレジスト膜85を露光すればよい。これにより、従来技術のように、高価な両面露光装置を導入したり、一対のフォトマスクを準備して水晶ウエハWの+Z側面Fおよび−Z側面Sの両面上に配置したりする必要がない。
このように、電極形成工程S120において、水晶ウエハWの+Z側のみから電極用金属膜84の成膜、フォトレジスト膜85の成膜および露光を行って各電極を形成できる。したがって、本実施形態は、水晶ウエハWの+Z側および−Z側の両側から電極用金属膜84の成膜、フォトレジスト膜85の成膜および露光を行って各電極を形成する従来技術と比較して、工数の削減および製造装置の簡略化ができ、低コストな圧電振動片4を形成できる。
【0066】
また、本実施形態によれば、励振電極13,14は、貫通孔8,9の内側面8a,8c,9a,9c、振動腕部10,11の+X側面10a,11aおよび振動腕部10,11の−X側面10b,11bにおいてZ方向の全体にわたって形成されている。これにより、振動腕部10,11のZ方向の全体にわたって、振動腕部10,11のX方向に沿う方向に電界を形成できる。したがって、効率よく振動腕部10,11を振動させることができるので、損失の少ない圧電振動片4を形成できる。
【0067】
本実施形態によれば、水晶ウエハWの+Z側および−Z側の両側からウエハエッチング工程S114を行うので、振動片外形部4aの厚さ方向に沿って、外形を均一に形成できる。したがって、一対の振動腕部10,11を精度よく形成できるので、安定した周波数特性を有する圧電振動片4を形成できる。
また、本実施形態によれば、一度のウエハエッチング工程S114で圧電振動片4の振動片外形部4aおよび貫通孔8,9を同時に形成できる。したがって、圧電振動片4の振動片外形部4aをエッチングした後、ハーフエッチングして溝部205,206(図22参照)を形成する従来技術と比較して、ウエハエッチング工程S114を簡略化できる。
【0068】
本実施形態によれば、電極形成工程S120において、金属膜成膜工程S121、フォトレジスト膜成膜工程S123および露光工程S125は、水晶ウエハWの+Z側からのみ行われるので、水晶ウエハWの+Z側および−Z側の両側から金属膜成膜工程S121、フォトレジスト膜成膜工程S123および露光工程S125を行う従来技術と比較して、工数の削減および製造装置の簡略化ができる。したがって、低コストな圧電振動片4を形成できる。
【0069】
(圧電振動子)
次に、本実施形態の圧電振動片4を用いた圧電振動子について説明する。
図15は、圧電振動子30の外観斜視図である。
図16は、圧電振動子30の内部構成図であって、リッド基板32を取り外した状態の平面図である。
図17は、図16のC−C線に沿った断面図である。
図18は、図15に示す圧電振動子30の分解斜視図である。
なお、ベース基板31のリッド基板32との接合面を第1面Uとし、ベース基板31の外側の面を第2面Lとして説明する。
【0070】
図15に示すように、本実施形態の圧電振動子30は、ベース基板31およびリッド基板32が接合膜37を介して陽極接合されたパッケージと、図17に示すように、パッケージのキャビティCに収納された圧電振動片4と、を備えた表面実装型の圧電振動子30である。
【0071】
ベース基板31およびリッド基板32は、ガラス材料、例えばソーダ石灰ガラスからなる陽極接合可能な基板であり、略板状に形成されている。リッド基板32におけるベース基板31との接合面側には、圧電振動片4を収容するキャビティ用凹部32aが形成されている。
リッド基板32には、ベース基板31との接合面側の全体に、陽極接合用の接合膜37が形成されている。本実施形態の接合膜37はシリコン膜で形成されており、この接合膜37とベース基板31とが陽極接合されてキャビティCが真空封止されている。
【0072】
図17に示すように、圧電振動子30は、ベース基板31を厚さ方向に貫通し、キャビティCの内側と圧電振動子30の外側とを導通する貫通電極35,36を備えている。貫通電極35,36は、ベース基板31を貫通する電極孔33,34内に配置されている。電極孔33,34は、圧電振動子30を形成したときにキャビティC内に収まるように形成される。
【0073】
貫通電極35,36は、例えば電極孔33,34に金属ピン(不図示)を挿入したのち、電極孔33,34と金属ピンとの間にガラスフリットを充填して焼成することで形成される。このように、金属ピンとガラスフリットとで電極孔33,34を完全に塞ぐことができるので、キャビティC内の気密を維持しつつ、後述する引き回し電極38,39と外部電極40,41とを導通させる役割を担っている。
【0074】
図18に示すように、ベース基板31の第1面U側には、一対の引き回し電極38,39がパターニングされている。一対の引き回し電極38,39のうち、一方の引き回し電極38は、一方の貫通電極35の真上に位置するように形成されている。また、他方の引き回し電極39は、一方の引き回し電極38に隣接した位置から、振動腕部10,11に沿って先端側に引き回しされた後、他方の貫通電極36の真上に位置するように形成されている。
【0075】
そして、これら一対の引き回し電極38,39上にそれぞれ金等からなるバンプBが形成されており、バンプBを利用して圧電振動片4の一対のマウント電極16,17(図9参照)が実装されている。具体的には、マウント電極16,17をバンプBに当接させ、接合界面を加熱しつつ圧電振動片4に超音波振動を印加して超音波接合する、いわゆるフリップチップボンディングにより実装される。
ここで、図1に示すように、マウント電極16,17は、圧電振動片4の基部12における+Z側面Fのみに形成されており、図2に示すように、圧電振動片4の基部12における−Z側面Sには形成されていない。したがって、マウント電極16,17が形成された圧電振動片4の+Z側面Fとベース基板31の第1面Uとを対向させて、圧電振動片4の実装を行っている(図17参照)。
これにより、図16に示すように、圧電振動片4の一方のマウント電極16(図1参照)が、一方の引き回し電極38を介して一方の貫通電極35に導通し、他方のマウント電極17が、他方の引き回し電極39を介して他方の貫通電極36に導通する。
【0076】
ベース基板31の第2面Lには、一対の外部電極40,41が形成されている。一対の外部電極40,41は、ベース基板31の長手方向(図17における左右方向)の両端部に形成され、一対の貫通電極35,36に対してそれぞれ電気的に接続されている。
【0077】
このように構成された圧電振動子30を作動させる場合には、ベース基板31に形成された外部電極40,41に対して、所定の駆動電圧を印加する。これにより、圧電振動片4の第1の励振電極13および第2の励振電極14(図1参照)に電圧を印加することができるので、一対の振動腕部10,11を接近および離間させる方向に所定の周波数で振動させることができる。そして、この一対の振動腕部10,11の振動を利用して、時刻源や制御信号のタイミング源、リファレンス信号源等として圧電振動子30を利用することができる。
【0078】
(効果)
本実施形態によれば、電極形成工程S120の工数の削減および製造装置の簡略化ができる低コストな圧電振動片4を備えているので、低コストな圧電振動子30を提供できる。
【0079】
(発振器)
次に、本発明に係る発振器の一実施形態について、図19を参照しながら説明する。
本実施形態の発振器110は、図19に示すように、圧電振動子30を、集積回路111に電気的に接続された発振子として構成したものである。この発振器110は、コンデンサ等の電子素子部品112が実装された基板113を備えている。基板113には、発振器用の集積回路111が実装されており、この集積回路111の近傍に、圧電振動子30の圧電振動片が実装されている。これら電子素子部品112、集積回路111及び圧電振動子30は、図示しない配線パターンによってそれぞれ電気的に接続されている。なお、各構成部品は、図示しない樹脂によりモールドされている。
【0080】
このように構成された発振器110において、圧電振動子30に電圧を印加すると、圧電振動子30内の圧電振動片が振動する。この振動は、圧電振動片が有する圧電特性により電気信号に変換されて、集積回路111に電気信号として入力される。入力された電気信号は、集積回路111によって各種処理がなされ、周波数信号として出力される。これにより、圧電振動子30が発振子として機能する。
また、集積回路111の構成を、例えば、RTC(リアルタイムクロック)モジュール等を要求に応じて選択的に設定することで、時計用単機能発振器等の他、当該機器や外部機器の動作日や時刻を制御したり、時刻やカレンダー等を提供したりする機能を付加することができる。
【0081】
本実施形態の発振器110によれば、低コストな圧電振動子30を備えているので、低コストな発振器110を製造することができる。
【0082】
(電子機器)
次に、本発明に係る電子機器の一実施形態について、図20を参照して説明する。なお電子機器として、前述した圧電振動子30を有する携帯情報機器120を例にして説明する。
始めに本実施形態の携帯情報機器120は、例えば、携帯電話に代表されるものであり、従来技術における腕時計を発展、改良したものである。外観は腕時計に類似し、文字盤に相当する部分に液晶ディスプレイを配し、この画面上に現在の時刻等を表示させることができるものである。また、通信機として利用する場合には、手首から外し、バンドの内側部分に内蔵されたスピーカ及びマイクロフォンによって、従来技術の携帯電話と同様の通信を行うことが可能である。しかしながら、従来の携帯電話と比較して、格段に小型化及び軽量化されている。
【0083】
次に、本実施形態の携帯情報機器120の構成について説明する。この携帯情報機器120は、図20に示すように、圧電振動子30と、電力を供給するための電源部121とを備えている。電源部121は、例えば、リチウム二次電池からなっている。この電源部121には、各種制御を行う制御部122と、時刻等のカウントを行う計時部123と、外部との通信を行う通信部124と、各種情報を表示する表示部125と、それぞれの機能部の電圧を検出する電圧検出部126とが並列に接続されている。そして、電源部121によって、各機能部に電力が供給されるようになっている。
【0084】
制御部122は、各機能部を制御して音声データの送信や受信、現在時刻の計測、表示等、システム全体の動作制御を行う。また、制御部122は、予めプログラムが書き込まれたROMと、該ROMに書き込まれたプログラムを読み出して実行するCPUと、該CPUのワークエリアとして使用されるRAM等とを備えている。
【0085】
計時部123は、発振回路やレジスタ回路、カウンタ回路、インターフェース回路等を内蔵する集積回路と、圧電振動子30とを備えている。圧電振動子30に電圧を印加すると圧電振動片が振動し、該振動が水晶の有する圧電特性により電気信号に変換されて、発振回路に電気信号として入力される。発振回路の出力は二値化され、レジスタ回路とカウンタ回路とにより計数される。そして、インターフェース回路を介して、制御部122と信号の送受信が行われ、表示部125に、現在時刻や現在日付或いはカレンダー情報等が表示される。
【0086】
通信部124は、従来の携帯電話と同様の機能を有し、無線部127、音声処理部128、切替部129、増幅部130、音声入出力部131、電話番号入力部132、着信音発生部133及び呼制御メモリ部134を備えている。
無線部127は、音声データ等の各種データを、アンテナ135を介して基地局と送受信のやりとりを行う。音声処理部128は、無線部127又は増幅部130から入力された音声信号を符号化及び複号化する。増幅部130は、音声処理部128又は音声入出力部131から入力された信号を、所定のレベルまで増幅する。音声入出力部131は、スピーカやマイクロフォン等からなり、着信音や受話音声を拡声したり、音声を集音したりする。
【0087】
また、着信音発生部133は、基地局からの呼び出しに応じて着信音を生成する。切替部129は、着信時に限って、音声処理部128に接続されている増幅部130を着信音発生部133に切り替えることによって、着信音発生部133において生成された着信音が増幅部130を介して音声入出力部131に出力される。
なお、呼制御メモリ部134は、通信の発着呼制御に係るプログラムを格納する。また、電話番号入力部132は、例えば、0から9の番号キー及びその他のキーを備えており、これら番号キー等を押下することにより、通話先の電話番号等が入力される。
【0088】
電圧検出部126は、電源部121によって制御部122等の各機能部に対して加えられている電圧が、所定の値を下回った場合に、その電圧降下を検出して制御部122に通知する。このときの所定の電圧値は、通信部124を安定して動作させるために必要な最低限の電圧として予め設定されている値であり、例えば、3V程度となる。電圧検出部126から電圧降下の通知を受けた制御部122は、無線部127、音声処理部128、切替部129及び着信音発生部133の動作を禁止する。特に、消費電力の大きな無線部127の動作停止は、必須となる。更に、表示部125に、通信部124が電池残量の不足により使用不能になった旨が表示される。
【0089】
すなわち、電圧検出部126と制御部122とによって、通信部124の動作を禁止し、その旨を表示部125に表示することができる。この表示は、文字メッセージであっても良いが、より直感的な表示として、表示部125の表示面の上部に表示された電話アイコンに、×(バツ)印を付けるようにしても良い。
なお、通信部124の機能に係る部分の電源を、選択的に遮断することができる電源遮断部136を備えることで、通信部124の機能をより確実に停止することができる。
【0090】
本実施形態の携帯情報機器120によれば、低コストな圧電振動子30を備えているので、低コストな携帯情報機器120を製造することができる。
【0091】
(電波時計)
次に、本発明に係る電波時計の一実施形態について、図21を参照して説明する。
本実施形態の電波時計140は、図21に示すように、フィルタ部141に電気的に接続された圧電振動子30を備えたものであり、時計情報を含む標準の電波を受信して、正確な時刻に自動修正して表示する機能を備えた時計である。
日本国内には、福島県(40kHz)と佐賀県(60kHz)とに、標準の電波を送信する送信所(送信局)があり、それぞれ標準電波を送信している。40kHz若しくは60kHzのような長波は、地表を伝播する性質と、電離層と地表とを反射しながら伝播する性質とを併せもつため、伝播範囲が広く、前述した2つの送信所で日本国内を全て網羅している。
【0092】
以下、電波時計140の機能的構成について詳細に説明する。
アンテナ142は、40kHz若しくは60kHzの長波の標準電波を受信する。長波の標準電波は、タイムコードと呼ばれる時刻情報を、40kHz若しくは60kHzの搬送波にAM変調をかけたものである。受信された長波の標準電波は、アンプ143によって増幅され、複数の圧電振動子30を有するフィルタ部141によって濾波、同調される。
本実施形態における圧電振動子30は、前記搬送周波数と同一の40kHz及び60kHzの共振周波数を有する水晶振動子部148、149をそれぞれ備えている。
【0093】
更に、濾波された所定周波数の信号は、検波、整流回路144により検波復調される。
続いて、波形整形回路145を介してタイムコードが取り出され、CPU146でカウントされる。CPU146では、現在の年や積算日、曜日、時刻等の情報を読み取る。読み取られた情報は、RTC148に反映され、正確な時刻情報が表示される。
搬送波は、40kHz若しくは60kHzであるから、水晶振動子部148、149は、前述した音叉型の構造を持つ振動子が好適である。
【0094】
なお、前述の説明は、日本国内の例で示したが、長波の標準電波の周波数は、海外では異なっている。例えば、ドイツでは77.5KHzの標準電波が用いられている。従って、海外でも対応可能な電波時計140を携帯機器に組み込む場合には、さらに日本の場合とは異なる周波数の圧電振動子30を必要とする。
【0095】
本実施形態の電波時計140によれば、低コストな圧電振動子30を備えているので、低コストな電波時計140を製造することができる。
【0096】
なお、この発明の技術範囲は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0097】
本実施形態および本実施形態の変形例では、振動腕部10,11に形成された貫通孔8,9は、X方向に一定幅を有するZ方向平面視略矩形状に形成されていたが、貫通孔8,9の形状はこれに限られることはない。例えば、貫通孔8,9は、+Y側(振動腕部の先端側)から−Y側(振動腕部の基端側)に向かってX方向の幅が漸次狭くなる、Z方向平面視略台形状に形成されていてもよい。このように貫通孔8,9の形状を変更することで、振動腕部10,11の−Y側の剛性を任意に設定できる。したがって、振動腕部10,11の剛性に依存するドライブレベル特性を所望の特性に設定できる。
【0098】
本実施形態では、振動腕部10,11にそれぞれ1個ずつ貫通孔8,9が形成されていた。また、本実施形態の変形例では、振動腕部10,11にそれぞれ2個ずつ貫通孔8A,8Bおよび貫通孔9A,9Bが形成されていた。しかし、貫通孔8,9の個数は、実施形態および実施形態の変形例に限られることはない。
また、本実施形態の変形例では、貫通孔8,9は、Y方向に沿って直列に2個形成されていたが、例えば、X方向に沿って並列に複数形成されていてもよい。
貫通孔8,9の個数や形成位置、配列等を変更することで、振動腕部10,11の剛性を任意に設定できる。したがって、振動腕部10,11の剛性に依存するドライブレベル特性を所望の特性に設定できる。
【0099】
本実施形態および本実施形態の変形例では、表面実装型の圧電振動子30に搭載される圧電振動片4に、本発明の圧電振動片4の製造方法を採用して説明しているが、これに限らず、例えばシリンダーパッケージタイプの圧電振動子に搭載される圧電振動片に、本発明の圧電振動片の製造方法を採用しても構わない。
【符号の説明】
【0100】
4・・・圧電振動片 4a・・・振動片外形部(圧電板) 8,9・・・貫通孔 8a,8c,9a,9c・・・長手方向に沿った内側面 10,11・・・振動腕部 10a,10b,11a,11b・・・振動腕部の外側面 12・・・基部 13,14・・・励振電極 16,17・・・マウント電極 19,20・・・引き出し電極 30・・・圧電振動子 74・・・マスク用金属膜 84・・・電極用金属膜 110・・・発振器 120・・・携帯情報機器(電子機器) 140・・・電波時計 S110・・・外形形成工程 S112・・・マスクパターン形成工程 S114・・・ウエハエッチング工程 S120・・・電極形成工程 S121・・・金属膜成膜工程 S123・・・フォトレジスト膜成膜工程(感光性材料膜成膜工程) S125・・・露光工程 +Z側・・・一方側 −Z側・・・他方側

【特許請求の範囲】
【請求項1】
並んで配置された一対の振動腕部と、前記一対の振動腕部が接続された基部と、を有する圧電板と、
前記振動腕部に形成され前記振動腕部を振動させる励振電極と、
前記基部に形成され外部に電気的に接続されるマウント電極と、
前記励振電極と前記マウント電極とを接続する引き出し電極と、
を備えた圧電振動片であって、
前記振動腕部には、前記圧電板の厚さ方向における一方側と他方側とを貫通し、前記振動腕部の長手方向に沿って延びる貫通孔が形成されており、
前記励振電極は、前記貫通孔の内側面のうち前記長手方向に沿った内側面および前記内側面と対向した前記振動腕部の外側面に形成され、前記マウント電極および前記引き出し電極は、前記基部の前記一方側のみの主面に形成されていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項2】
請求項1に記載の圧電振動片であって、
前記励振電極は、前記振動腕部の前記厚さ方向の全体にわたって形成されていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項3】
請求項1または2に記載の圧電振動片であって、
前記貫通孔は、前記各振動腕部にそれぞれ複数形成されていることを特徴とする圧電振動片。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の圧電振動片の製造方法であって、
圧電ウエハから前記圧電板の外形および前記貫通孔を形成する外形形成工程と、
フォトリソグラフィ技術により電極用金属膜をパターニングし、前記圧電板に前記各電極を形成する電極形成工程と、
を備え、
前記電極形成工程は、
前記圧電板の表面に前記電極用金属膜を成膜する金属膜成膜工程と、
前記電極用金属膜に重ねて感光性材料膜を成膜する感光性材料膜成膜工程と、
前記各電極に対応したパターンが形成されたフォトマスクを用いて前記感光性材料膜 を露光する露光工程と、
を有し、
前記金属膜成膜工程、前記感光性材料膜成膜工程および前記露光工程は、前記圧電板の前記一方側からのみ行われることを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の圧電振動片の製造方法であって、
前記外形形成工程は、
前記圧電ウエハの両主面上にマスク用金属膜を成膜し、フォトリソグラフィ技術によ り前記マスク用金属膜から前記圧電板のマスクパターンを形成するマスクパターン形成 工程と、
前記マスクパターンを介して、前記圧電ウエハの前記一方側および前記他方側の両側 から前記圧電ウエハをエッチングするウエハエッチング工程と、
を備えたことを特徴とする圧電振動片の製造方法。
【請求項6】
請求項1に記載の圧電振動片が、ベース基板とリッド基板とにより形成されるキャビティ内に収納されていることを特徴とする圧電振動子。
【請求項7】
請求項6に記載の圧電振動子が、発振子として集積回路に電気的に接続されていることを特徴とする発振器。
【請求項8】
請求項6に記載の圧電振動子が、計時部に電気的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項6に記載の圧電振動子が、フィルタ部に電気的に接続されていることを特徴とする電波時計。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2013−21601(P2013−21601A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154852(P2011−154852)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】