説明

圧電振動素子、圧電振動子、及び圧電発振器

【課題】1GHz以上の共振周波数を出力可能な極薄の振動板を備えた圧電振動素子でありながら、振動板上に形成する励振電極の形状、配置方向を工夫することによって、インハーモニックスプリアスを可能な限り抑圧して目的とする共振周波数を得ることができる。
【解決手段】振動板4と、環状部5と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部3を形成した圧電基板2と、振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極10a、10bと、リード電極11a、11bと、を備えた圧電振動素子1において、振動板の表裏両面上に夫々位置する2つの励振電極は互いに交差する直線状の細幅帯状電極であり、各励振電極は夫々2つの結晶軸と直交しない斜め方向へ延在し、両励振電極の交差部を励振部15とし、励振電極は全長に渡って同一幅を有し、且つ幅は同一でない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は超薄肉の振動板を厚肉の環状部で一体的に包囲した構造の圧電基板に励振電極等の導電パターンを形成した圧電振動素子、圧電振動素子をパッケージ内に気密封止した圧電振動子、更にはこの圧電振動子を用いた圧電発振器の改良に関し、特に1GHz以上の共振周波数を出力するために振動板肉厚を超薄肉状に構成した場合においても、該振動板上に形成する励振電極膜の形状、配置方向を種々工夫することによってスプリアスを最小限に抑えることを可能とした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
水晶振動子の如く、圧電振動素子をパッケージ内に気密封止した構造の表面実装型の圧電デバイスは、携帯電話機、ページャ等の通信機器や、コンピュータ等の電子機器等において、基準周波数発生源、フィルタ等として利用されているが、これらの各種機器の小型化に対応して圧電デバイスに対しても小型化が求められている。
また、表面実装用の圧電デバイスとしての圧電発振器は、例えばセラミック等から成るパッケージ本体の上面に形成された凹所内に、圧電振動素子と、発振回路を構成する回路部品を収納した状態で凹所開口を金属蓋により封止した構成を備えている。
従来から、上記の如き圧電デバイスに使用される圧電振動素子として、基本波周波数が50MHz以上の高周波化に対応できるように圧電基板の片側表面を一部掘削することにより凹陥部を形成してその底面を数μm程度の超薄肉の振動板とすると共に、この振動板周縁を厚肉の環状部により一体的に包囲した構造の圧電基板と、この振動板の表裏両面に夫々形成した入出力用の電極と接地電極と、から成る圧電振動素子が知られている(特開平9−55635号公報)。
このような圧電振動素子により例えば155MHz程度の高周波を出力するためには、振動板の肉厚を10μm程度に薄くする必要があるが、このように薄肉化した場合、インハーモニックスプリアス(非調和振動)が多く発生する。
【0003】
ところで、現在、実用化可能なレベルの共振周波数は約300MHzであり、数GHz程度のものは実現可能と言われており実験室では1.6GHzレベルまで実現されている。しかし、1GHz以上2GHzまでの共振周波数を得ようとした場合には、振動板の肉厚を0.8〜0.4μm程度に極薄化する必要があり、その場合にはインハーモニックスプリアスが更に多発することが予想される。
即ち、図7(a)及び(b)はATカット水晶基板におけるエネルギー閉込め現象、及び共振周波数スペクトラムを示した図であり、圧電基板100の振動板101の表裏両面に夫々対向配置した励振電極102に対して交番電流を印加することによって振動板101を励振させる場合に、励振電極102間における振動エネルギーの閉込め係数は、次式:(na/H)×√Δ[n:次数(基本波はn=1)、a:電極のサイズ、H:圧電基板厚、√Δ:励振電極を係止したことによる共振周波数の低下量]により求められる。
図中S0は目的とする周波数帯であり、S1、S2は夫々インハーモニックスプリアスとなる周波数帯を示している。
【0004】
そして、図7(b)の横軸に示した閉込め係数が大きくなればなる程、S1モードの規格化周波数が小さくなるに連れて、エネルギーの閉込めがより強くなり、その結果S1モードが強く励振することとなる。この結果、図7(a)に示すようにS1モードのインハーモニックスプリアスが含まれた出力が得られることとなる。
圧電基板厚Hが極薄化した場合に多発することが予想されるインハーモニックスプリアスを低減させるためには、上記式によれば、励振電極102の面積(電極長a)を振動板の肉厚に応じて可能な限り小さくすることが有効な筈であるが、従来、1GHz以上の高周波を出力可能な極薄振動板上に、どのような形状の励振電極を、振動板上にどのような状態で配置すればインハーモニックスプリアスを低減できるか、という課題を解決するための具体策は提案されていない。
【特許文献1】特開平9−55635号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、1GHz以上の共振周波数を出力可能な極薄の振動板を備えた圧電振動素子でありながら、振動板上に形成する励振電極の形状、配置方向を工夫することによって、インハーモニックスプリアスを可能な限り抑圧して目的とする共振周波数を得ることを可能とした圧電振動素子、圧電振動素子、及び圧電発振器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板と、前記圧電基板の振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極と、各励振電極から圧電基板の環状部に引き出されるリード電極と、を備えた圧電振動素子において、少なくとも前記振動板の表裏両面上に夫々位置する2つの励振電極は互いに交差する直線状の細幅帯状電極であり、各励振電極は夫々圧電基板の2つの結晶軸と直交しない斜め方向へ延在して両励振電極の交差部を実質的な励振部とし、前記各励振電極は全長に渡って同一幅を有し、且つ両励振電極の幅は同一でないことを特徴とする。
【0008】
異方性圧電結晶材料から成る圧電基板の平面2軸に対して非平行な方向へ延びる2つの励振電極を振動板の表裏両面上に配置し、且つ両励振電極を振動板上で交差させた場合に、両励振電極の交差部に位置する励振部の形状が、菱形、平行四辺形、或いは不定形としての四辺形となることにより、振動板の超薄肉化による閉込め係数の増大にも拘わらず、非調和振動の励振は僅かとなり、誘導性領域を有するのは主振動のみとすることができる。即ち、各励振電極を延在させる方向が、異方性圧電結晶材料としての圧電基板に励起された波の伝搬方向である2つの軸方向に対して夫々平行な方向でない方がスプリアスが発生しにくく、主振動が効率良く発生することとなる。また、圧電基板の平面2軸方向へ伝搬する厚み振動の振動エネルギーが励振部を除いた励振電極へ漏れることを防止して振動エネルギー分布の不平衡状態を解消し、特に反対称非調和振動の励振を抑圧する上で優れた効果を発揮する。
2つの励振電極が交差する位置に形成される励振部の形状が不定形状としての四辺形になる場合には、励振部の端縁における非調和振動の反射波をランダム化し、定在波の発生を抑制することが可能となる。
【0009】
[適用例2]薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板と、前記圧電基板の振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極と、各励振電極から圧電基板の環状部に引き出されるリード電極と、を備えた圧電振動素子において、少なくとも前記振動板の表裏両面上に夫々位置する2つの励振電極は互いに交差する直線状の細幅帯状電極であり、各励振電極は夫々圧電基板の2つの結晶軸と直交しない斜め方向へ延在して両励振電極の交差部を実質的な励振部とし、前記各励振電極のうちの少なくとも一方の幅は、先端へ向かうほど幅が漸増、或いは漸減するテーパー形状であることを特徴とする。
【0010】
[適用例3]前記圧電基板がATカット水晶から成る圧電基板であって、前記励振電極は夫々圧電基板のx軸、及びz軸と直交しない斜め方向へ延在していることを特徴とする。
【0011】
このような励振電極構造を水晶基板に適用した場合には、その効果はさらに顕著となる。
【0012】
[適用例4]前記各励振電極同士の交差角度は、非直角であることを特徴とする。
【0013】
[適用例5]前記2つの励振電極の交差部に位置する励振部の形状は、菱形形状、或いは非正四辺形状であることを特徴とする。
【0014】
[適用例6]前記圧電振動素子を構成する圧電基板の長手方向一端部を表面実装用のパッケージ内に片持ち状態で接着保持したことを特徴とする。
【0015】
[適用例7]前記圧電振動子と、発振回路と、を少なくとも備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、1GHz以上の共振周波数を出力可能な極薄の振動板を備えた圧電振動素子でありながら、振動板上に形成する励振電極の形状、配置方向を工夫することによって、インハーモニックスプリアスを可能な限り抑圧して目的とする共振周波数を得ることができる。
即ち、本発明は、1GHz以上、望ましくは2GHzに達する周波数を出力するための超薄肉の振動板を備えた圧電振動素子において、異方性圧電結晶材料から成る圧電基板の平面2軸に対して非平行な方向へ延びる2つの励振電極を振動板の表裏両面上に配置し、且つ両励振電極を振動板上で交差させて、両励振電極の交差部に位置する励振部の形状を、菱形、平行四辺形、或いは不定形としての四辺形とすることにより、振動板の超薄肉化による閉込め係数の増大にも拘わらず、非調和振動の励振を僅かとすることができ、特性を向上できる。
更に、2つの励振電極が交差する位置に形成される励振部の形状を不定形状としての四辺形にすることにより、励振部の端縁における非調和振動の反射波をランダム化し、定在波の発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を図面に示した実施の形態により詳細に説明する。
図1(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る圧電振動素子の一例としてのATカット水晶から成る水晶振動素子1の凹陥部側斜視図、及び平坦面側斜視図である。
この水晶振動素子1は、異方性を有した圧電結晶材料としてのATカット水晶から成る水晶基板2と、水晶基板2の両主面に夫々形成した励振電極10a、10b、及び各励振電極10a、10bから夫々延びるリード電極11a、11bと、各リード電極端部の接続パッド12a、12bと、を備えている。
この実施形態に係る水晶基板2は、平面2軸方向x、zのうちの一方の結晶軸方向(励起された波の伝搬方向)、例えばx軸方向に長尺な矩形平板状の基板本体の一方の主面上に凹陥部3をエッチングにより形成することにより、凹陥部3の内底面に超薄肉の振動板4を位置させると共に、振動板4の外周縁を厚肉の環状部5にて一体的に保持した構成を備えている。環状部5のx軸方向に位置する一辺5Aは、x軸方向へ所定長延長形成されて平板状の張り出し部6となっている。張り出し部6の両面上には、各励振電極10a、10bから夫々引き出された各リード電極11a、11bと接続された接続パッド12a、12bが位置している。各電極、パッドは、所定のマスクを用いた蒸着、スパッタリング等により圧電基板上に形成される導体膜である。
この水晶振動子1により例えば2GHzの周波数を出力せんとする場合には、振動板4の肉厚は0.4μm程度となる。
【0018】
本発明の一実施形態に係る水晶振動素子1の特徴的な構成は、各励振電極10a、10bの形状を、リード電極11a、11bと同幅を有した直線状の細幅帯状体とし、更に各励振電極10a、10bを夫々圧電基板の直交する2つの結晶軸x、zと直交しない方向へ延在せしめ、両励振電極10a、10bの交差部を実質的な励振部15としている点にある。
互いに交差するように振動板4の両面側に対向配置された各励振電極10a、10bは、均一幅の直線状電極としてもよいし、幅の異なる直線状電極としてもよい。或いは、先端へ向かうほど幅が漸増、或いは漸減するテーパー状の直線状電極としてもよい。また、各励振電極10a、10bが交差する角度は90度である必要はない。
【0019】
図2は励振電極10a、10bの具体的構成例を示す説明図である。図2(a)は0.1mm幅の励振電極10a、10bを交差させた状態を示す説明図であり、この例では、同じ幅を有した2つの励振電極10a、10bを交差させることにより、交差部に位置する励振部15の形状が菱形、或いは正方形となっている。このように励振電極10a、10bを、各結晶軸x、zと直交しない斜め方向、或いは各結晶軸x、zと平行でない方向に延在させ、且つ交差させることにより、交差部に形成される励振部15は4つの辺の長さが等しい正四辺形となる。
両励振電極10a、10bの交差角度は、90度であってもよいし、90度でなくてもよいが。90度でない方が、インハーモニックスプリアスを減殺する効果が高いことが確認されている。このことは、以下の他の実施形態についても同様に当てはまる。
このような電極構成を備えた水晶振動素子1の共振周波数を測定した結果、超薄肉化した振動板4に励振電極を形成したことによる閉込め係数の増大にも拘わらず、インハーモニックスプリアスの少ない特性が得られることが判明した。
【0020】
次に、図2(b)は他の実施形態に係る励振電極の構成例を示す図であり、この例では、一方の励振電極10aの幅を、他方の励振電極10bの幅よりも狭く設定している。この結果、両励振電極の交差部に位置する励振部15の形状は、隣接し合う辺の長さが異なる非正四辺形となる。互いに交差するように対向配置された各励振電極10a、10bが延びる方向は、上述の如く、2つの結晶軸x、zに対して直交、或いは平行しないように設定する。これにより、励振部15の非正四辺形は、4辺のみならず、その対角線も結晶軸x、zと直交、或いは平行でなくなる。
次に、図2(c)は各励振電極10a、10bの幅が均一ではなく、先端へ向かう程、テーパー状に幅が漸増するように構成した例を示している。この場合、両励振電極の交差部に形成される励振部15の形状は対向し合う辺の長さが異なるだけでなく、対向する辺が平行でない非正四辺形状となる。
なお、各励振電極10a、10bの形状を、先端へ向かうほど幅が漸減するテーパー形状としてもよい。
また、この例では両励振電極10a、10bの形状を共にテーパー状としたが、何れか一方のみをテーパー状とし、他方の励振電極については均一幅、或いは逆テーパー状としてもよい。
【0021】
図2(a)(b)及び(c)の各実施形態のように、各結晶軸x、zと斜め(直交を除く)に交差するように各励振電極10a、10bを配置することにより、振動板4の超薄肉化による閉込め係数の増大にも拘わらず、非調和振動の励振は僅かとなり、誘導性領域を有するのは主振動のみとなった。このことは、各励振電極10a、10bを延在させる方向が、異方性圧電結晶材料としての水晶基板に励起された波の伝搬方向であるx軸方向、z軸方向に対して平行な方向でない方がスプリアスが発生しにくく、主振動が効率良く発生することを意味する。また、水晶基板の平面2軸方向へ伝搬する厚み振動の振動エネルギーが励振部15を除いた励振電極10a、10bへ漏れることを防止して振動エネルギー分布の不平衡状態を解消し、特に反対称非調和振動の励振を抑圧する上で優れた効果を発揮する。
特に、図2(b)及び(c)のように励振部15の形状が不定形状としての四辺形になる場合には、励振部15の端縁における非調和振動の反射波をランダム化し、定在波の発生を抑制することが可能となる。
【0022】
図3(a)及び(b)は、図2(b)のように励振部15の形状が非正四辺形となっている2GHz基本波水晶振動素子1の特性を測定した結果を示すグラフであり、(a)はアドミタンス特性の実測値を示し、(b)はスミスチャートの実測値を示す図である。
図3(a)において横軸は周波数を示し、縦軸はレベルを示す。このグラフから明らかなように本発明の水晶振動素子は矢印Aで示した共振点が高レベルに出力されており、矢印Bで示したインハーモニックスプリアスは減殺されて低いレベルの状態となっている。
また、図3(b)において、水平な直線lはインピーダンスの虚部が0となるレベルを示し、直線lよりも上側がL成分(インダクタンス成分)であり、下側がC成分(キャパシタンス成分)である。この図中の矢印Aで示した位置が図3(a)における共振点Aとほぼ合致しており、主振動(基本波)の特性は直線lよりも上側、即ちL成分側に位置しているのに対し、振動子の特性として使用しないC成分領域内にスプリアスが位置しているため、換言すれば振動子の特性として使用するL成分領域内にスプリアスがないため、振動子として優れた特性を有していることが判る。
【0023】
図4は比較例を示しており、この比較例に係る2GHz基本波水晶振動素子1では、図4(a)に示すように水晶基板2の凹陥部3内に位置する振動板4の表裏両面上に夫々細線状の励振電極10a、10bを、夫々z軸とx軸に対して平行な姿勢、且つ両者が直交するように配置している。図4(b)はこの水晶振動素子1の特性を示す図であり、主振動の共振点Aの近傍の周波数帯に高いレベルのインハーモニックスプリアスBが存在しており、実用に耐えない製品であることが明らかである。
この比較例と本発明の実施形態との比較から明らかなように、細幅帯状(線状)の励振電極10a、10bを2つの平面軸x、zと非平行な姿勢にて交差するように配置した本発明の実施形態によれば、目的とする主振動の共振点よりも低いレベルのインハーモニックスプリアスしか存在し得なくなる。
【0024】
次に、図5は上記各実施形態に係る水晶振動素子(圧電振動素子)1を使用した表面実装型圧電デバイスとしての水晶振動子(圧電振動素子)の断面図であり、この水晶振動子30は、パッケージ31内に水晶振動素子1を気密封止した構成を備えている。パッケージ31は、絶縁材料から成る容器本体32の凹所内に水晶振動素子1を搭載した状態で金属蓋36により凹所を封止している。容器本体32の凹所内底面上に接続パッド33を備え、外底面に外部電極34を備えている。この接続パッド33上に導電性接着剤35を用いて接続パッド12a、12bを固定している。
また、図6は上記各実施形態に係る水晶振動素子(圧電振動素子)1を使用した表面実装型圧電デバイスとしての水晶発振器(圧電発振器)の断面図であり、この水晶発振器40は、パッケージ31内に水晶振動素子1と、発振回路等を構成する回路部品41を収容した構成を備えている。
なお、上記実施形態では、圧電結晶材料として水晶を例示したが、これは一例に過ぎず、本発明はあらゆる圧電結晶材料から成る水晶振動素子に対して適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】(a)及び(b)は本発明の一実施形態に係る圧電振動素子の一例としてのATカット水晶から成る水晶振動素子1の凹陥部側斜視図、及び平坦面側斜視図。
【図2】(a)(b)及び(c)は夫々励振電極の具体的構成例を示す説明図。
【図3】(a)は本発明の一実施形態に係る水晶振動素子のアドミタンス特性の実測値を示し、(b)はスミスチャートの実測値を示す図。
【図4】(a)及び(b)は比較例を示す図、及び特性図。
【図5】本発明の一実施形態に係る圧電振動子の構成を示す断面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る圧電発振器の構成を示す断面図。
【図7】(a)及び(b)は従来例の説明図。
【符号の説明】
【0026】
1 水晶振動素子、 2 水晶基板、3 凹陥部、4 振動板、5 環状部、10a、10b 励振電極、11a、11b リード電極、12a、12b 接続パッド、15 励振部、30 水晶振動子、31 パッケージ、32 容器本体、33 接続パッド、34 外部電極、35 導電性接着剤、36 金属蓋、40 水晶発振器、41 回路部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板と、
前記圧電基板の振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極と、各励振電極から圧電基板の環状部に引き出されるリード電極と、を備えた圧電振動素子において、
少なくとも前記振動板の表裏両面上に夫々位置する2つの励振電極は互いに交差する直線状の細幅帯状電極であり、各励振電極は夫々圧電基板の2つの結晶軸と直交しない斜め方向へ延在して両励振電極の交差部を実質的な励振部とし、
前記各励振電極は全長に渡って同一幅を有し、且つ両励振電極の幅は同一でないことを特徴とする圧電振動素子。
【請求項2】
薄肉の振動板と、該振動板の外周縁を一体的に包囲する厚肉の環状部と、を備えることにより、少なくとも一方の主面側に凹陥部を形成した構成の圧電基板と、
前記圧電基板の振動板の表裏両面に夫々形成した励振電極と、各励振電極から圧電基板の環状部に引き出されるリード電極と、を備えた圧電振動素子において、
少なくとも前記振動板の表裏両面上に夫々位置する2つの励振電極は互いに交差する直線状の細幅帯状電極であり、各励振電極は夫々圧電基板の2つの結晶軸と直交しない斜め方向へ延在して両励振電極の交差部を実質的な励振部とし、
前記各励振電極のうちの少なくとも一方の幅は、先端へ向かうほど幅が漸増、或いは漸減するテーパー形状であることを特徴とする圧電振動素子。
【請求項3】
前記圧電基板がATカット水晶から成る圧電基板であって、前記励振電極は夫々圧電基板のx軸、及びz軸と直交しない斜め方向へ延在していることを特徴とする請求項1、又は2に記載の圧電振動素子。
【請求項4】
前記各励振電極同士の交差角度は、非直角であることを特徴とする請求項1、2、又は3の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項5】
前記2つの励振電極の交差部に位置する励振部の形状は、菱形形状、或いは非正四辺形状であることを特徴とする請求項1、2、3、又は4の何れか一項に記載の圧電振動素子。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の圧電振動素子を構成する圧電基板の長手方向一端部を表面実装用のパッケージ内に片持ち状態で接着保持したことを特徴とする圧電振動子。
【請求項7】
請求項6に記載の圧電振動子と、発振回路と、を少なくとも備えたことを特徴とする表面実装型の圧電発振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−89441(P2009−89441A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−6678(P2009−6678)
【出願日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【分割の表示】特願2002−342482(P2002−342482)の分割
【原出願日】平成14年11月26日(2002.11.26)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】