説明

地図データ作成システム及び地図データ作成方法

【課題】
地形図から得られない情報を容易に取得した上で、地形図から得られない情報を地図データに反映させることを可能とする地図データ作成システム及び地図データ作成方法を提供する。
【解決手段】
地図データ作成システムは、歩行者又は車両が通行する道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する。地図データ作成システムは、歩行者が携帯する携帯情報端末200から、歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信する第1受信部110と、車両に設けられた車載情報端末300から、車両の位置を示す車両位置情報を受信する第2受信部130と、歩行者位置情報及び車両位置情報に基づいて、道路の配置を補足する情報である補足情報を特定する特定部150と、補足情報に基づいて、地図データを作成する作成部160とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歩行者又は車両が通行する道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する地図データ作成システム及び地図データ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目的地までの経路などを案内するナビゲーションシステムが知られている。ナビゲーションシステムとしては、車両に搭載されたカーナビゲーションシステム、歩行者が携帯する情報端末に搭載された歩行者ナビゲーションシステムなどが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
ここで、ナビゲーションシステムで用いられる地図データは、国土地理院などが発行する地形図に基づいて作成されることが一般的である。地形図から得られない情報については、調査員が行う現地調査によって取得される。地形図から得られない情報は、例えば、地下道などの人工物に係る情報、交通規制などのように時間変化を伴う情報である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−332391
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、地形図から得られない情報を取得するためには、調査員が現地調査を行う必要がある。従って、調査員の人件費などのコストが増大する。また、交通規制などのように時間変化を伴う情報については、交通状態を常に監視する必要があるため、このような情報を取得することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、地形図から得られない情報を容易に取得した上で、地形図から得られない情報を地図データに反映させることを可能とする地図データ作成システム及び地図データ作成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の特徴に係る地図データ作成システムは、歩行者又は車両が通行する道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する。地図データ作成システムは、前記歩行者が携帯する携帯情報端末(携帯情報端末200)から、前記歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信する第1受信部(第1受信部110)と、前記車両に設けられた車載情報端末(車載情報端末300)から、前記車両の位置を示す車両位置情報を受信する第2受信部(第2受信部130)と、前記歩行者位置情報及び前記車両位置情報に基づいて、前記道路の配置を補足する情報である補足情報を特定する特定部(特定部150)と、前記補足情報に基づいて、前記地図データを作成する作成部(作成部160)とを備える。
【0008】
かかる特徴によれば、特定部は、歩行者位置情報及び車両位置情報に基づいて、補足情報を特定する。作成部は、補足情報に基づいて、地図データを作成する。従って、地形図から得られない情報を容易に取得した上で、地形図から得られない情報を地図データに反映させることができる。
【0009】
第1の特徴において、地図データ作成システムは、前記歩行者位置情報の受信履歴に基づいて、前記歩行者の移動履歴を取得する第1取得部(第1取得部120)と、前記車両位置情報の受信履歴に基づいて、前記車両の移動履歴を取得する第2取得部(第2取得部140)とをさらに備える。前記特定部は、前記歩行者の移動履歴及び前記車両の移動履歴に基づいて、前記補足情報を特定する。
【0010】
第1の特徴において、前記特定部は、前記歩行者の移動速度及び前記車両の移動速度に基づいて、前記補足情報を特定する。
【0011】
第1の特徴において、前記補足情報は、前記歩行者の通行のみが許可された道路である。
【0012】
第1の特徴において、前記補足情報は、前記車両の通行が一時的に規制された道路である。
【0013】
第1の特徴において、前記補足情報は、前記歩行者が道路を横断する歩道である。
【0014】
第2の特徴に係る地図データ作成方法は、歩行者又は車両が通行する道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する。地図データ作成方法は、前記歩行者が携帯する携帯情報端末から、前記歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信するステップと、前記車両に設けられた車載情報端末から、前記車両の位置を示す車両位置情報を受信するステップと、前記歩行者位置情報及び前記車両位置情報に基づいて、前記道路の配置を補足する情報である補足情報を特定するステップと、前記補足情報に基づいて、前記地図データを作成するステップとを備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地形図から得られない情報を容易に取得した上で、地形図から得られない情報を地図データに反映させることを可能とする地図データ作成システム及び地図データ作成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る地図データ作成システムを示す図である。
【図2】第1実施形態に係る補足情報の特定方法を例示する図である。
【図3】第1実施形態に係る補足情報の特定方法を例示する図である。
【図4】第1実施形態に係る補足情報の特定方法を例示する図である。
【図5】第1実施形態に係る補足情報の特定方法を例示する図である。
【図6】第2実施形態に係るナビゲーションシステムを示す図である。
【図7】第2実施形態に係る経路案内を例示する図である。
【図8】第2実施形態に係る経路案内を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態に係る地図データ作成システムについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0018】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[第1実施形態]
(地図データ作成システムの構成)
以下において、第1実施形態に係る地図データ作成システムについて、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る地図データ作成システムを示す図である。
【0020】
地図データ作成システムは、歩行者又は車両が通行する道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する。地図データは、例えば、国土地理院などが発行する地形図に基づいて作成される。
【0021】
第1実施形態では、地図データによって構成される地図は、道路の配置だけではなくて、道路の配置を補足する情報である補足情報を含む。補足情報は、後述するように、例えば、(1)歩行者の通行のみが許可された道路、(2)車両の通行が一時的に規制された道路、(3)歩行者が道路を横断する歩道橋、(4)歩行者が道路を横断する横断歩道などである。
【0022】
図1に示すように、地図データ作成システムは、情報センタ100と、携帯情報端末200と、車載情報端末300とを有する。
【0023】
情報センタ100は、第1受信部110と、第1取得部120と、第2受信部130と、第2取得部140と、特定部150と、作成部160とを有する。
【0024】
第1受信部110は、携帯情報端末200から情報を受信する。例えば、第1受信部110は、歩行者の位置を示す歩行者位置情報を携帯情報端末200から受信する。
【0025】
第1取得部120は、歩行者位置情報の受信履歴に基づいて、歩行者の移動履歴を取得する。具体的には、第1取得部120は、歩行者位置情報の受信履歴に基づいて、歩行者の位置の推移を取得する。第1取得部120は、歩行者の位置の推移によって、歩行者の移動履歴を取得する。
【0026】
なお、歩行者の移動履歴は、歩行者の位置に対応する時刻を含む必要がある。例えば、第1取得部120は、歩行者位置情報の受信時刻によって、歩行者の位置に対応する時刻を取得する。また、携帯情報端末200が歩行者位置情報を送信する時刻が歩行者位置情報に含まれる場合には、第1取得部120は、歩行者位置情報の送信時刻によって、歩行者の位置に対応する時刻を取得する。
【0027】
第2受信部130は、車載情報端末300から情報を受信する。例えば、第2受信部130は、車両の位置を示す車両位置情報を受信する。
【0028】
第2取得部140は、車両位置情報の受信履歴に基づいて、車両の移動履歴を取得する。具体的には、第2取得部140は、車両位置情報の受信履歴に基づいて、車両の位置の推移を取得する。第2取得部140は、車両の位置の推移によって、車両の移動履歴を取得する。
【0029】
なお、車両の移動履歴は、車両の位置に対応する時刻を含む必要がある。例えば、第2取得部140は、車両位置情報の受信時刻によって、車両の位置に対応する時刻を取得する。また、車載情報端末300が車両位置情報を送信する時刻が車両位置情報に含まれる場合には、第2取得部140は、車両位置情報の送信時刻によって、車両の位置に対応する時刻を取得する。
【0030】
特定部150は、歩行者の移動履歴及び車両の移動履歴に基づいて、道路の配置を補足する情報である補足情報を特定する。ここで、特定部150は、歩行者の移動履歴に基づいて歩行者の移動速度を取得し、車両の移動履歴に基づいて車両の移動速度を取得することが好ましい。このようなケースでは、特定部150は、歩行者の移動速度及び車両の移動履歴に基づいて、補足情報を特定することが好ましい。
【0031】
補足情報は、上述したように、(1)歩行者の通行のみが許可された道路(歩行者専用道路)、(2)車両の通行が一時的に規制された道路(車両通行規制)、(3)歩行者が道路を横断する歩道橋、(4)歩行者が道路を横断する横断歩道などである。
【0032】
作成部160は、道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する。具体的には、第1に、作成部160は、例えば、国土地理院などが発行する地形図に基づいて、道路の配置などの基本情報を取得する。第2に、作成部160は、特定部150によって特定された補足情報を取得する。第3に、作成部160は、基本情報及び補足情報に基づいて、地図データを作成する。
【0033】
第1実施形態では、地図データによって構成される地図は、歩行者専用道路、車両通行規制、歩道橋、横断歩道などを含む。
【0034】
携帯情報端末200は、歩行者が携帯する端末である。携帯情報端末200は、例えば、携帯電話やPDAなどであり、情報センタ100と通信を行う。携帯情報端末200は、携帯情報端末200が歩行者によって携帯されていることを示す歩行者モードを有する。具体的には、携帯情報端末200は、位置取得部210と、送信部220とを有する。
【0035】
位置取得部210は、歩行者モードにおいて、歩行者の位置を示す歩行者位置情報を取得する。歩行者位置情報は、例えば、歩行者の緯度及び経度を示す情報などのように、歩行者の絶対的な位置を示す情報(絶対位置情報)である。歩行者位置情報は、歩行者の移動距離及び移動方向を示す情報などのように、歩行者の相対的な位置を示す情報であってもよい。
【0036】
位置取得部210は、例えば、GPS(Grobal Positioning System)を用いて、歩行者の緯度及び経度を取得する。位置取得部210は、携帯情報端末200が接続するアクセスポイントや基地局の位置によって、歩行者の概略位置を取得してもよい。位置取得部210は、歩行者の歩行数及び歩幅によって移動距離を取得し、方位計を用いて移動方向を取得してもよい。
【0037】
なお、歩行者位置情報が相対位置情報である場合には、少なくとも最初に絶対位置情報が取得されることに留意すべきである。
【0038】
位置取得部210は、一定時間(例えば、1分)が経過する毎に歩行者位置情報を取得する。位置取得部210は、歩行者が一定距離移動する毎に歩行者位置情報を取得する。
【0039】
送信部220は、情報センタ100に情報を送信する。例えば、送信部220は、位置取得部210によって取得された歩行者位置情報を情報センタ100に送信する。
【0040】
送信部220は、一定時間(例えば、1分)が経過する毎に歩行者位置情報を送信する。送信部220は、歩行者が一定距離移動する毎に歩行者位置情報を送信する。
【0041】
送信部220が歩行者位置情報を送信するタイミングは、位置取得部210が歩行者位置情報を取得するタイミングと同期することが好ましい。送信部220は、歩行者位置情報の送信タイミングにおいて、歩行者位置情報の取得を位置取得部210に要求してもよい。
【0042】
車載情報端末300は、車両に設けられた端末である。車載情報端末300は、例えば、カーナビゲーションや携帯電話などであり、情報センタ100と通信を行う。車載情報端末300は、車載情報端末300が車両に設けられていることを示す車両モードを有する。なお、車載情報端末300は、車両に乗車する乗車者が携帯する端末であってもよい。具体的には、車載情報端末300は、位置取得部310と、送信部320とを有する。
【0043】
位置取得部310は、車両モードにおいて、車両の位置を示す車両位置情報を取得する。車両位置情報は、例えば、車両の緯度及び経度を示す情報などのように、車両の絶対的な位置を示す情報(絶対位置情報)である。車両位置情報は、車両の移動距離及び移動方向を示す情報などのように、車両の相対的な位置を示す情報であってもよい。
【0044】
位置取得部310は、例えば、GPS(Grobal Positioning System)を用いて、車両の緯度及び経度を取得する。位置取得部310は、車載情報端末300が接続するアクセスポイントや基地局の位置によって、車両の概略位置を取得してもよい。位置取得部310は、車両の走行距離によって移動距離を取得し、方位計を用いて移動方向を取得してもよい。
【0045】
なお、車両位置情報が相対位置情報である場合には、少なくとも最初に絶対位置情報が取得されることに留意すべきである。
【0046】
位置取得部310は、一定時間(例えば、1分)が経過する毎に車両位置情報を取得する。位置取得部310は、車両が一定距離移動する毎に車両位置情報を取得する。
【0047】
送信部320は、情報センタ100に情報を送信する。例えば、送信部320は、位置取得部310によって取得された車両位置情報を情報センタ100に送信する。
【0048】
送信部320は、一定時間(例えば、1分)が経過する毎に車両位置情報を送信する。送信部320は、車両が一定距離移動する毎に車両位置情報を送信する。
【0049】
送信部320が車両位置情報を送信するタイミングは、位置取得部310が車両位置情報を取得するタイミングと同期することが好ましい。送信部320は、車両位置情報の送信タイミングにおいて、車両位置情報の取得を位置取得部310に要求してもよい。
【0050】
(補足情報の特定方法)
以下において、第1実施形態に係る補足情報の特定方法について、図面を参照しながら説明する。図2〜図5は、第1実施形態に係る補足情報の特定方法について例示する図である。
【0051】
(1)歩行者の通行のみが許可された道路(歩行者専用道路)
ここでは、図2に示すように、道路400が歩行者専用道路であるケースについて考える。このようなケースでは、歩行者20は、道路400を通行するが、車両30は、基本的に道路400を通行しない。特定部150は、このような特徴を利用して、歩行者20の移動履歴及び車両30の移動履歴に基づいて、歩行者専用道路を特定する。なお、歩行者専用道路は、道路交通法で定められた歩行者専用道路だけではなくて、歩行者天国などを含む。例えば、特定部150は、以下の手順によって、歩行者専用道路を特定する。
【0052】
第1に、特定部150は、比較対象時間帯と判定対象時間帯との間において、車両30の移動履歴の変化量が変化量閾値を超える道路(以下、判定対象道路)を特定する。比較対象時間帯及び判定対象時間帯は、比較条件を満たすものとする。
【0053】
比較条件は、(a)時間帯が同じであること、(b)曜日及び時間帯が同じであること、(c)日付及び時間帯が同じであること、(d)日付種別(例えば、平日/休日)及び時間帯が同じであることなどである。
【0054】
変化量閾値は、例えば、変化量を%で表した閾値である。変化量閾値は、判定対象道路毎に異なっていてもよい。変化量閾値は、判定対象道路を通行する車両30数(交通量)に応じて定められることが好ましい。具体的には、交通量が少ない判定対象道路の変化量閾値は、交通量が多い判定対象道路の変化量閾値よりも高い。
【0055】
例えば、交通量が比較的多い国道x号のA交差点及びB交差点の間では、変化量閾値が20%に設定され、交通量が比較的少ない国道x号のB交差点及びC交差点の間では、変化量閾値が30%に設定される。また、交通量が著しく少ない道路については、判定対象道路から除外してもよい。
【0056】
第2に、特定部150は、判定対象時間帯において、判定対象道路を通行する車両30数(交通量)が第1判定閾値(例えば、“0”)よりも小さいか否かを判定する。車両30数(交通量)が第1判定閾値よりも小さい場合に、特定部150は、判定対象時間帯において、判定対象道路が歩行者専用道路であるという補足情報を特定する。
【0057】
このように、補足情報は、(a)特定の時間帯における歩行者専用道路、(b)特定の曜日及び特定の時間帯における歩行者専用道路、(c)特定の日付及び特定の時間帯における歩行者専用道路、(d)特定の日付種別及び特定の時間帯における歩行者専用道路などである。
【0058】
(2)車両の通行が一時的に規制された道路(車両通行規制)
ここでは、図3に示すように、道路400において所領通行規制が行われるケースについて考える。このようなケースでは、歩行者20は、道路400を通行するが、道路400を通行する車両30数は少ない。特定部150は、このような特徴を利用して、歩行者20の移動履歴及び車両30の移動履歴に基づいて、車両通行規制道路を特定する。なお、車両通行規制道路は、車両30の通行が一時的に規制された道路である。
【0059】
第1に、特定部150は、上述した(1)歩行者専用道路と同様に、比較対象時間帯と判定対象時間帯との間において、車両30の移動履歴の変化量が変化量閾値を超える道路(以下、判定対象道路)を特定する。
【0060】
第2に、特定部150は、判定対象時間帯において、判定対象道路を通行する車両30数(交通量)が第2判定閾値よりも小さいか否かを判定する。車両30数(交通量)が第2判定閾値よりも小さい場合に、特定部150は、判定対象時間帯において、判定対象道路が車両通行規制道路であるという補足情報を特定する。
【0061】
このように、補足情報は、(a)特定の時間帯における車両通行規制道路、(b)特定の曜日及び特定の時間帯における車両通行規制道路、(c)特定の日付及び特定の時間帯における車両通行規制道路、(d)特定の日付種別及び特定の時間帯における車両通行規制道路などである。
【0062】
(3)歩行者が道路を横断する歩道橋
ここでは、歩道橋500が設けられているケースについて考える。このようなケースでは、歩道橋500が設けられた位置において、車両30の移動速度が低下しない。領域510及び領域520において、歩行者20が立ち止まらない。歩道橋500が設けられた位置において、歩行者20及び車両30が同時刻に通行する。特定部150は、このような特徴を利用して、歩行者20の移動履歴及び車両30の移動履歴に基づいて、歩道橋を特定する。
【0063】
(4)歩行者が道路を横断する横断歩道などである。
【0064】
ここでは、横断歩道600が設けられているケースについて考える。このようなケースでは、横断歩道600が設けられた位置において、車両30の移動速度が低下する。又は、横断歩道600が設けられた位置において、車両30が停止する。領域610及び領域620において、歩行者20が立ち止まる。横断歩道600が設けられた位置において、歩行者20及び車両30が同時刻に通行しない。特定部150は、このような特徴を利用して、歩行者20の移動履歴及び車両30の移動履歴に基づいて、歩道橋を特定する。
【0065】
(作用及び効果)
第1実施形態では、特定部150は、歩行者位置情報及び車両位置情報に基づいて、補足情報を特定する。作成部160は、補足情報に基づいて、地図データを作成する。従って、地形図から得られない情報を容易に取得した上で、地形図から得られない情報を地図データに反映させることができる。
【0066】
第1実施形態では、特定部150は、歩行者の移動履歴及び車両の移動履歴に基づいて、補足情報を特定する。従って、補足情報の特定精度が向上する。
【0067】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0068】
具体的には、第2実施形態では、補足情報に基づいて作成された地図データによって、経路案内を提供するナビゲーションシステムについて説明する。
【0069】
(ナビゲーションシステムの構成)
以下において、第2実施形態に係るナビゲーションシステムについて、図面を参照しながら説明する。図6は、第2実施形態に係るナビゲーションシステムを示す図である。
【0070】
図6に示すように、ナビゲーションシステムは、情報センタ100と、携帯情報端末200と、車載情報端末300とを有する。
【0071】
情報センタ100は、経路案内を行うための地図データを提供する。具体的には、情報センタ100は、受信部181と、記憶部182と、送信部183とを有する。
【0072】
受信部181は、携帯情報端末200及び車載情報端末300から情報を受信する。例えば、受信部181は、補足情報に基づいて作成された地図データを要求する地図データ要求を受信する。
【0073】
記憶部182は、基本情報及び補足情報に基づいて作成された地図データを記憶する。すなわち、地図データは、歩行者専用道路、車両通行規制道路、歩道橋、横断歩道などを含む。
【0074】
送信部183は、携帯情報端末200及び車載情報端末300に情報を送信する。例えば、送信部183は、地図データ要求に応じて、記憶部182に記憶された地図データを送信する。
【0075】
携帯情報端末200は、第1実施形態と同様に、歩行者が携帯する端末である。第2実施形態では、携帯情報端末200は、歩行者に経路を案内するナビゲーション機能を有する。具体的には、携帯情報端末200は、送信部281と、受信部282と、表示部283とを有する。
【0076】
送信部281は、情報センタ100に情報を送信する。例えば、送信部281は、補足情報に基づいて作成された地図データを要求する地図データ要求を送信する。
【0077】
受信部282は、情報センタ100から情報を受信する。例えば、受信部282は、補足情報に基づいて作成された地図データを受信する。
【0078】
表示部283は、地図データに基づいて、歩行者に案内する経路を表示する。歩行者に案内する経路は、歩行者専用道路、車両通行規制道路、歩道橋、横断歩道を考慮して決定される。なお、歩行者に案内する経路を決定する機能は、情報センタ100に設けられていてもよく、携帯情報端末200に設けられていてもよい。
【0079】
車載情報端末300は、第1実施形態と同様に、車両に設けられた端末である。車載情報端末300は、車両の乗車者に経路を案内するナビゲーション機能を有する。具体的には、車載情報端末300は、送信部381と、受信部382と、表示部383とを有する。
【0080】
送信部381は、情報センタ100に情報を送信する。例えば、送信部381は、補足情報に基づいて作成された地図データを要求する地図データ要求を送信する。
【0081】
受信部382は、情報センタ100から情報を受信する。例えば、受信部382は、補足情報に基づいて作成された地図データを受信する。
【0082】
表示部383は、地図データに基づいて、車両の乗車者に案内する経路を表示する。車両の乗車者に案内する経路は、歩行者専用道路、車両通行規制道路、歩道橋、横断歩道を考慮して決定される。なお、車両の乗車者に案内する経路を決定する機能は、情報センタ100に設けられていてもよく、車載情報端末300に設けられていてもよい。
【0083】
(経路案内方法)
以下において、第2実施形態に係る経路案内方法について、図面を参照しながら説明する。図7及び図8は、第2実施形態に係る経路案内方法を示す図である。
【0084】
最初に、歩行者専用道路が補足情報として地図データに含まれるケースについて考える。図7に示すように、歩行者20に対しては、歩行者専用道路を通る経路が案内される。一方で、車両30の乗車者に対しては、歩行者専用道路を通らない経路が案内される。
【0085】
次に、歩道橋が補足情報として地図データに含まれるケースについて考える。図8に示すように、歩行者20に対しては、歩道橋を通る経路が案内される。
【0086】
(作用及び効果)
第2実施形態では、補足情報に基づいて作成さえた地図データによって、経路案内が行われる。従って、単に地形図などによって経路案内が行われるケースに比べて、効果的な経路案内を行うことができる。
【0087】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0088】
上述した実施形態では、補足情報として、歩行者専用道路、車両通行規制道路、歩道橋、横断歩道などを例示したが、補足情報は、これらに限定されるものではない。補足情報は、地下道、歩行者の通行量が多い道路、車両の通行量が多い道路などであってもよい。
【0089】
また、補足情報は、交通規則が守られていない道路であってもよい。交通規則が守られていない道路は、歩行者の移動履歴及び車両の移動履歴によって特定可能である。これによって、例えば、歩行者が交通規則を守らない道路を通行する車両の乗車者には、車両の速度を落とす旨を通知することができる。
【0090】
上述した実施形態では、補足情報は、歩行者の移動履歴及び車両の移動履歴によって特定される。しかしながら、補足情報の特定方法は、これに限定されるものではない。例えば、歩行者位置情報及び車両位置情報によって歩行者及び車両の分布を取得して、歩行者及び車両の分布によって補足情報を特定してもよい。
【0091】
上述した実施形態では、歩行者の移動履歴に基づいて歩行者の移動速度が取得される。同様に、車両の移動履歴に基づいて車両の移動速度が取得される。しかしながら、移動速度の取得方法は、これに限定されるものではない。例えば、情報センタ100は、歩行者の移動速度を示す歩行者速度情報を携帯情報端末から取得してもよい。同様に、情報センタ100は、車両の移動速度を示す車両速度情報を車載情報端末から取得してもよい。
【符号の説明】
【0092】
20・・・歩行者、30・・・車両、100・・・情報センタ、110・・・第1受信部、120・・・第1取得部、130・・・第2受信部、140・・・第2取得部、150・・・特定部、160・・・作成部、181・・・受信部、182・・・記憶部、183・・・送信部、200・・・携帯情報端末、210・・・位置取得部、220・・・送信部、281・・・送信部、282・・・受信部、283・・・表示部、300・・・車載情報端末、310・・・位置取得部、320・・・送信部、381・・・送信部、382・・・受信部、383・・・表示部、400・・・道路、500・・・歩道橋、600・・・横断歩道

【特許請求の範囲】
【請求項1】
歩行者又は車両が通行する道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する地図データ作成システムであって、
前記歩行者が携帯する携帯情報端末から、前記歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信する第1受信部と、
前記車両に設けられた車載情報端末から、前記車両の位置を示す車両位置情報を受信する第2受信部と、
前記歩行者位置情報及び前記車両位置情報に基づいて、前記道路の配置を補足する情報である補足情報を特定する特定部と、
前記補足情報に基づいて、前記地図データを作成する作成部とを備えることを特徴とする地図データ作成システム。
【請求項2】
前記歩行者位置情報の受信履歴に基づいて、前記歩行者の移動履歴を取得する第1取得部と、
前記車両位置情報の受信履歴に基づいて、前記車両の移動履歴を取得する第2取得部とをさらに備え、
前記特定部は、前記歩行者の移動履歴及び前記車両の移動履歴に基づいて、前記補足情報を特定することを特徴とする請求項1に記載の地図データ作成システム。
【請求項3】
前記特定部は、前記歩行者の移動速度及び前記車両の移動速度に基づいて、前記補足情報を特定することを特徴とする請求項1に記載の地図データ作成システム。
【請求項4】
前記補足情報は、前記歩行者の通行のみが許可された道路であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図データ作成システム。
【請求項5】
前記補足情報は、前記車両の通行が一時的に規制された道路であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図データ作成システム。
【請求項6】
前記補足情報は、前記歩行者が道路を横断する歩道であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図データ作成システム。
【請求項7】
歩行者又は車両が通行する道路の配置を少なくとも含む地図を構成する地図データを作成する地図データ作成方法であって、
前記歩行者が携帯する携帯情報端末から、前記歩行者の位置を示す歩行者位置情報を受信するステップと、
前記車両に設けられた車載情報端末から、前記車両の位置を示す車両位置情報を受信するステップと、
前記歩行者位置情報及び前記車両位置情報に基づいて、前記道路の配置を補足する情報である補足情報を特定するステップと、
前記補足情報に基づいて、前記地図データを作成するステップとを備えることを特徴とする地図データ作成方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−217765(P2010−217765A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−66789(P2009−66789)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】