地図データ誤り検査システム、地図データ誤り検査用端末装置、地図データ誤り検査方法
【課題】地図データに誤りがあるか否か高精度に検査する地図データ誤り検査システム等を提供する。
【解決手段】自動車が案内ルートから逸脱したと判断された場合、主制御部は、誤り送信データを生成して地図データサーバに送信する。地図データサーバは、誤り送信データに含まれる撮像画像のデータを解析する。具体的には、ネットワークDBや属性DBの現在の内容と、撮像画像の解析結果から導かれた現在の道路状況とを比較して、相違点があるか否かを判断する。相違点がある場合には、規制情報が誤っていると判断する。
【解決手段】自動車が案内ルートから逸脱したと判断された場合、主制御部は、誤り送信データを生成して地図データサーバに送信する。地図データサーバは、誤り送信データに含まれる撮像画像のデータを解析する。具体的には、ネットワークDBや属性DBの現在の内容と、撮像画像の解析結果から導かれた現在の道路状況とを比較して、相違点があるか否かを判断する。相違点がある場合には、規制情報が誤っていると判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整備されている電子地図データに誤りがあるか否かを検査する地図データ誤り検査技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置等において経路探索や地図表示などに使用される電子地図データには、道路情報に加えて一方通行や右折禁止といった各種の規制情報も含まれている。この規制情報は、調査員が実際に現場に足を運んで調査した結果を、オペレータがコンピュータ上でデータベース化することで整備される。そのため、入力ミスによって誤った規制情報が入力される可能性もある。こうした入力ミスを修正するための技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術は、地図データベースに記憶されている規制情報を、実際の走行状況に応じて自動的に修正するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−257903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ある交差点から進入禁止道路に侵入したことを検出して、その交差点に対応するノードに付与されている規制情報(進入禁止情報)と実際に走行している走行状況とに不一致がある場合、地図データベースの規制情報を自動修正する。そのため、ノードに付された規制情報では通行可能となっているにもかかわらず、実際には通行不能であるといった場合においては規制情報に誤りがあることを検出することはできない。つまり、高精度で誤り検出や自動修正をすることはできない。
本発明は、こうした従来技術の問題点を解決するためになされたものである。その目的は、収集された道路に関する情報に基づいて、地図データに誤りがあるか否か高精度に検査する地図データ誤り検査システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における地図データ誤り検査システムは、道路の接続状況を表す道路ネットワークデータおよび通行規制に関する規制情報が含まれる地図データを記憶する地図データ記憶部と、進行方向前方を撮影する撮像部と、現在から過去の一定期間に撮像された撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、前記道路ネットワークデータおよび規制情報に基づいて、目的地までの経路を案内する経路案内部と、現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、前記現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する逸脱判断部と、前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、該逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮像画像を取得する逸脱情報取得部とを備える。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とするシステムや方法等もまた発明となり得る。
【0006】
本発明に係る地図データ誤り検査システムによれば、現在位置が経路から逸脱したと判断された場合に、逸脱したことを表す逸脱情報および撮像画像を取得するようにした。経路は一般的に規制情報を反映して探索されている。したがって、経路を逸脱した場合は、その地点における規制情報に誤りがある蓋然性も高くなる。こうした状況で逸脱情報を取得する。取得された情報を解析することで、規制情報が間違って整備されている箇所や、案内が難しい箇所を効率よく判定することが可能となるとともに、高精度な判定が可能となる。
【0007】
ここで、本発明における規制情報には、一方通行や右左折禁止など道路標識によって論理的に規制されている情報は勿論であり、車止め、中央分離帯、ポールなど、物理的に規制されているものについても含まれる。更には、工事中、自己、交通整理など、一時的に規制される要因についても含んでよい。また、現在から過去の一定期間に撮影された撮影画像を解析して、地図データに含まれる規制情報に誤りがあるか否かを判定するため、一定期間を経過した過去の撮影画像を記憶させておく必要がない。
なお、本発明は種々の形態で実現することが可能である。例えば、互いに通信可能なサーバ装置とクライアント装置とを備える地図データ誤り検査システム、互いに通信可能なサーバ装置とクライアント装置を用いた地図データ誤り検査方法、コンピュータプログラム、当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例としての地図データ誤り検査システムの概略構成を示す説明図。
【図2】ナビゲーション装置および地図データサーバに格納されたデータベースの内容を説明する図。
【図3】クライアント装置の撮像装置の動作について説明する図。
【図4】撮影画像の一例を示す概念図。
【図5】クライアント装置の経路案内処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図6】自動車が案内ルート上に位置していないと判断される場合の例を示す図。
【図7】誤り送信データの内容を概念的に示す図。
【図8】誤り送信データ関連処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図9】地図データの誤りの内容が判断可能な撮影画像の一例を示す図。
【図10】第2実施例におけるクライアント装置の現在位置表示処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図11】自動車が規制情報に違反していると判断される場合の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
A.第1実施例:
・地図データ誤り検査システムの構成:
図1に示すように、地図データ誤り検査システム10は、地図データ誤り検査装置としての地図データサーバ100と、地図データ誤り検査用端末装置としてのクライアント装置200と、基地局BSとを備えている。地図データサーバ100と、基地局BSとは、インターネットINTを介して通信可能に接続されている。クライアント装置200は、基地局BSと無線通信することが可能であり、この結果、クライアント装置200は、基地局BSを介して、地図データサーバ100と通信を行うことができる。
【0010】
本実施例のクライアント装置200は、移動体としての自動車300に搭載可能であり、地図データに基づく地図を表示する地図表示機能や経路を案内する経路案内機能を有する。クライアント装置200は、ナビゲーション装置210と、撮像部としての撮像装置220とを備えている。撮像装置220は、所定の時間間隔でデジタルまたはアナログの画像データを生成できる。
【0011】
ナビゲーション装置210は、現在位置取得部としてのGPS受信機211と、表示パネル212と、音声出力部214と、キー入力部215と、無線通信部216と、外部記憶部217と、経路案内部および逸脱判断部としての主制御部218とを備えている。
GPS受信機211は、複数のGPS(Global Positioning System/全地球測位システム)から送信された電波を受信する機能を有する。
表示パネル212は、地図や経路に関する情報等を表示する。音声出力部214は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などで構成される。
【0012】
キー入力部215は、利用者からナビゲーション装置210に対する要求を受け付ける操作キーなどのキー群で構成される。
無線通信部216は、基地局BSとの間でデータ通信を行う機能を有する。
外部記憶部217は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成され得る。外部記憶部217には、地図データとして、後述する画像データベース(DB)21とネットワークデータベース(DB)22と属性データベース(DB)23とが格納されている。
【0013】
主制御部218は、図示しない中央演算回路(CPU)と、ROMやRAMなどの内部記憶装置とを備えており、上述した各部211〜217を制御する。主制御部218には、撮像装置220が撮像した画像(撮像画像)等をデータとして格納するための撮像画像記憶部218Mが確保されている。当該撮像画像記憶部218Mには、地図表示および経路案内のためナビゲーションプログラムが格納されている。このプログラムは、例えば、地図データサーバ100を運用する事業者によりインターネットINTおよび基地局BSを介して配信されても良い。主制御部218は、このプログラムを実行することで、後述する処理/機能を実現する。
【0014】
地図データサーバ100は、通信部102と、判定する誤り判定部および誤り修正部としての制御部104と、地図データ記憶部105とを備えている。制御部104は、通信部102および地図データ記憶部105を制御する。通信部102は、インターネットINTと基地局BSとを介して複数のクライアント装置200のナビゲーション装置210と、それぞれ通信を行うことができる。地図データ記憶部105には、地図データとして、後述する画像データベース(DB)31とネットワークデータベース(DB)32と属性データベース(DB)33とが格納されている。
【0015】
制御部104は、図示しないCPUと、ROMやRAMなどの内部記憶装置とを備える。制御部104の内部記憶装置には、地図データを取り扱うプログラムが格納されている。制御部104は、これらのプログラムを実行することにより、後述する様々な処理/機能を実現する。本実施例では、地図データサーバ100は、1つの計算機によって構成されているが、複数の計算機によって構成されても良い。
【0016】
次に、ナビゲーション装置210の外部記憶部217および地図データサーバ100の地図データ記憶部105に格納されたデータベースの内容について説明する。外部記憶部217に格納された各DB21〜23は、所定の時期に地図データ記憶部105に格納されていた、当該時期では最新の状態にある各DB31〜33をコピーしたものである。そのため、図2に示すように、外部記憶部217に格納された各DB21〜23と、地図データ記憶部105に格納されている各DB31〜33とは、基本的にそれぞれ同一のデータベースである。地図データ記憶部105に格納されている各DB31〜33は、随時、現在または将来の道路状況に応じて整備されていても良い。
【0017】
画像DB21、31には、地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に代えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0018】
ネットワークDB22、32には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路に関するネットワークデータが格納されている。ネットワークデータは、交通経路の地表上における配置を示すネットワークを表すデータである。ネットワークデータは、交通経路における要素点ND(ノードと呼ぶ。)を表すノードデータと、ノード間を結ぶ線分LK(リンクと呼ぶ)を表すリンクデータとを含む。ノードNDは、例えば、交差点、分岐点、終点、始点、駅などの乗降位置などを表している。リンクLKは、例えば、車道、線路、歩行者道などの交通経路を表している。
【0019】
属性DB23、33には、属性データが格納されている。属性データは、ノードNDあるいはリンクLKに関連付けられており、その属性を示す情報である。属性データは、ノードND、リンクLKに関する様々なデータを含む。例えば、リンクLKに関連付けられる属性データは、リンクLKの名称(例えば、道路の名称)、リンクLKの種類(例えば、高速道路)、リンクLKの規制情報(例えば、一方通行)、その他の情報(例えば、高速道路であれば、区間料金など)を含んでも良い。ノードNDに関連付けられる属性データは、ノードNDに対応する交差点の名称、ノードNDに対応する交差点の規制情報(例えば、ある方向から見て、左折可、右折不可、直進可など)、関連付けられたノードNDに関する画像を表す画像データ(例えば、ノードND(例えば、交差点、駅)の分岐状況を示す模式図や案内板を示す画像)を含んでも良い。1つのノードNDまたはリンクLKに関連付けられる属性データは、1つであっても良いし、複数であっても良い。また、属性DB23、33は、1つのデータベースである必要はなく、例えば、高速道路に関する属性データと、店舗や駅などの物件に関する属性データと、規制情報に関する属性データとは、別々のデータベースとしても良い。
【0020】
次に、クライアント装置200における撮像装置220の動作について説明する。撮像装置220は、ナビゲーション装置210が起動している間、常に所定の間隔Δtごとに経時的に画像を撮影している。図3において、画像f(−n)(nは自然数)は、過去における時間t(−n)において撮影された画像を時系列に並べて示している。図3において、画像f(0)は、現在時間t(0)において撮影された画像を示している。図3において画像f(n)(nは自然数)は未来における時間t(n)において撮影される予定である画像を時系列に並べて示している。
【0021】
図3には、現在時間t(0)において、撮像画像記憶部218Mに記憶される画像(記憶撮像画像)が併せて示されている。撮像画像記憶部218Mには、過去の所定の時間t(−k)(kは所定の自然数)から現在時間t(0)までの間に撮影された全ての撮影画像f(−k)〜f(0)がデータとして格納されている。時間が進んでt(0)からt(1)となると、FIFO(first in first out)方式で、新たに時間t(1)に撮影された画像f(1)が撮像画像記憶部218Mに記憶されると共に、撮像画像記憶部218Mに記憶された記憶撮影画像のうち、時間的に最も古い撮影画像f(−k)が削除される。この結果、時間が進んでt(0)からt(1)となると、撮像画像記憶部218Mには、過去の所定の時間t(−k+1)から現在時間t(1)までの間に撮影された全ての撮影画像f(−k+1)〜f(1)がデータとして格納された状態になる。すなわち、撮像画像記憶部218Mには、現在時間から過去の所定の時間(Δt×k)までの間に撮影された撮影画像が常に格納されている状態となる。所定の時間(Δt×k)は、任意に設定可能であり、例えば、3秒〜15秒程度に設定される。
【0022】
ある時間t(a)における画像f(a)は、自動車300から前方を撮影した画像となる。図4に示すように、例えば、画像f(a)には、自動車300が通行している道路41や、その道路の先にある交差点42、その交差点に設置された道路標識43を含む場合がある。
【0023】
・クライアント装置200の動作:
経路案内処理は、クライアント装置200のうちのナビゲーション装置210が実行する処理である。クライアント装置200では、経路案内処理と並行して、撮像装置220による上述した撮影処理および撮像画像記憶部218Mへの撮影画像の格納処理が常時行われているものとする。経路案内処理は、利用者がナビゲーション装置210を操作して、目的地を設定し経路案内の開始を指示したときに開始される。
【0024】
図5に示すように、経路案内処理が開始されると、ナビゲーション装置210の主制御部218は、案内ルート(経路)を生成する(ステップS110)。案内ルートの生成は周知であるので詳細は省略するが、GPS受信機211により取得される現在位置から利用者に設定された目的地までの経路を、ネットワークDB22および属性DB23を検索することによって特定して案内ルートとすることによって行われる。案内ルートは、現在位置から目的地までに経由すべきノードNDを経由順序のとおりに時系列に並べたデータによって表される。なお、案内ルートは地図データサーバ100や、その他のサーバで生成して、生成された案内ルートに関するデータをクライアント装置200に送信するようにしてもよい。
【0025】
案内ルートが生成されると、主制御部218は、GPS受信機211を制御して、現在位置データを取得する(ステップS120)。現在位置データは、例えば、緯度および経度を少なくとも含む地表上の座標データである。現在位置データは、また、高度を含んでも良い。取得された現在位置データは、現在時間と関連付けて、撮像画像記憶部218Mに格納される。
【0026】
現在位置情報が取得されると、主制御部218は、現在位置情報と、案内ルートのデータとに基づいて、自動車300が案内ルート上に位置しているか否かを判断する(ステップS130)。具体的には、主制御部218は、現在位置情報により特定される自動車300の現在位置が、案内ルートに含まれるリンクLK上にあると判断される場合には、自動車300が案内ルート上に位置していると判断する。また、主制御部218は、現在位置情報により特定される自動車300の現在位置が、案内ルートから逸脱した場合や、どのリンクLK上にあるか判断できない場合には、自動車300が案内ルート上に位置していないと判断する。
【0027】
図6(a)における交差点61では右折する案内ルートNRが設定されているとする。経路案内処理中において、現在位置PPを走行する自動車300が案内ルートNRに従って案内ルートNR上を走行しており(図6(a))、交差点61に接近したときにドライバーが当該交差点61に現実に存在する右折禁止の標識62を目撃したとする(図6(b))。この場合、ドライバーは、案内ルートNRに従って自動車300を走行させることができず、案内ルートNRから逸脱して直進したり左折したりすると考えられる(図6(c))。そのため、案内ルートNRに含まれないリンクLKが表す経路に自動車300が位置するときに、主制御部218は、自動車300が案内ルートから逸脱したと判断する。
【0028】
その一方で、自動車300が案内ルート上に位置すると判断された場合には(ステップS130:YES)、主制御部218は、所定の経路案内を実行する(ステップS140)。次に、主制御部218は、経路案内が終了したか否かを判断する(ステップS150)。主制御部218は、経路案内が終了したと判断した場合には(ステップS150:YES)、経路案内処理を終了する。一方、主制御部218は、案内が終了していないと判断した場合には(ステップS150:NO)、ステップS120に戻って経路案内処理を継続する。自動車300が案内ルートから逸脱したと判断された場合には(ステップS130:NO)、主制御部218は、誤り送信データMDを生成して地図データサーバ100に対して送信する(ステップS160)。より具体的には、主制御部218は、図6(c)に示すように、進行方向を変更する交差点61において経路から逸脱して直進したと判断された場合に、誤り送信データMDを生成する。
【0029】
図7に示すように、誤り送信データMDは、誤り送信データMDを生成する時点で撮像画像記憶部218Mに格納されている記憶撮像画像f(−k)〜f(0)のデータと、案内経路データとを含む。各記憶撮像画像データには、撮影時間tと、撮影時間に自動車300が存在した位置を示す位置情報(NS(緯度)、WE(経度))とが関連付けられている。位置情報(NS、WE)は、自動車300が実際に走った軌跡を表す実走経路データであると言える。案内経路データは、ステップS110において生成された案内ルートNRを示すデータである。誤り送信データMDに含まれる案内経路データは、必ずしも全ての案内ルートNRを示すデータである必要はなく、案内ルートNRの一部を示すデータであっても良い。この場合、誤り送信データMDに含まれる案内経路データは、自動車300が案内ルートNR上に位置しないと判断される直前に、自動車300が走行していた案内ルートNR上の地点を少なくとも含む案内ルートNRの一部であることが好ましい。
【0030】
主制御部218は、誤り送信データMDを送信すると、次にリルート処理を実行する(ステップS170)。リルート処理は、自動車300の現在地から設定された目的地までの経路を、ネットワークDB22および属性DB23を検索することによって特定して新たな案内ルートを生成する処理である。リルート処理が終了すると、主制御部218は、ステップS120に戻って、新たに生成された案内ルートNRに基づいて案内処理を継続する。なお、リルート処理についても、地図データサーバ100や、その他のサーバで実行してよい。
【0031】
・地図データサーバ100の動作:
続いて、地図データサーバ100における誤り送信データ関連処理について説明する。誤り送信データ関連処理は、クライアント装置200から上述した誤り送信データMDを受信(取得)すること(ステップS210)を契機に開始される。図8に示すように、誤り送信データMDが受信されると、地図データサーバ100の制御部104は、受信された誤り送信データMDに含まれる撮像画像のデータを解析する(ステップS220)。具体的には、主制御部218は、撮像画像f(−k)〜f(0)を周知の画像認識技術を用いて解析することにより、地図データ記憶部105に記憶された地図データの誤りの内容を判断する。
【0032】
図9に示す撮影画像f(a)は、図6において交差点61の手前に自動車300が位置しているときの撮影画像である。撮影画像f(a)には、規制情報を示す規制標識62が写っている。制御部104は、パターンマッチングや、画素値(輝度、彩度、色相)による分類、エッジ抽出などの画像認識技術を用いて、規制標識62の存在および内容の認識を行う。また、制御部104は、誤り送信データMDに含まれる実走経路データにより、自動車300の位置および移動方向を推定できるので、撮影画像の撮影位置および撮影方向を推定することができる。これにより、撮影画像の認識をより精度良く行うことができる。また、規制標識62は、誤り送信データMDに含まれる案内経路データを参照することにより、撮影画像の撮影位置および撮影方向を更に精度良く推定することができる。規制標識62以外にも、例えば、道路に描かれている路面表示の認識、中央分離帯の存在の認識、車線数の認識などが同時に行われることが好ましい。
【0033】
撮影画像の解析が終了すると、制御部104は、地図データ記憶部105に記憶された地図データの内容に誤りがあったか否かを判断する(ステップS230)。具体的には、制御部104は、ネットワークDB32や属性DB33の現在の内容と、撮像画像の解析結果から導かれた現在の道路状況とを比較して、ネットワークDB32や属性DB33と現在の道路状況との相違点があるか否かを判断する。図6では、同図における交差点61に対応するノードNDに関連付けられた属性情報のうち、規制情報が誤っていると判断される。
【0034】
その一方で、制御部104は、地図データに誤りがないと判断すると(ステップS230:NO)、誤り送信データ関連処理を終了する。また、制御部104は、地図データに誤りがあるか否かが判断不可であると判断すると(ステップS230:判断不可)、撮影画像に撮影されている地点について、地図データに誤りがあるか否か判断不可であることを記録しておく(ステップS250)。例えば、図6において、撮影画像の解析によって規制標識62を認識することができなかった場合に、地図データに誤りがあるか否か判断不可であると判断される。
【0035】
制御部104は、地図データに誤りがあると判断すると(ステップS230:YES)、地図データを修正する地図データ修正処理を行う(ステップS240)。地図データ修正処理は、例えば、属性DB33に記録されている属性データに含まれる規制情報を、現実の道路状況における規制情報(撮影画像により認識された規制情報)に修正する処理である。例えば、図6において、交差点61に関連付けられた属性情報には、右折が禁止であることを示す規制標識62が属性DB33に記録されていないと考えられるが、現実の道路状況における規制62は、左折および直進のみ可であり、右折禁止であるので、属性DB33に記録された属性標識62は現実の道路状況に更新される。
【0036】
以上説明した第1実施例によれば、クライアント装置200から送信された撮像画像を解析して、現実の道路状況を認識するので、精度良く現実の道路状況を認識できる。更に、その結果、地図データサーバ100における地図データに誤りがあると判断した場合には、当該地図データを修正するので、地図データを容易に現実の道路状況に更新できる。更に、クライアント装置200は、案内ルートNRを自動車300が外れたときに撮影画像のデータを含む誤り送信データMDを送信するので、無駄な誤り送信データMDを地図データサーバ100に送信することを抑制することができる。すなわち、クライアント装置200による、案内ルートNRを自動車300が外れたか否かの判断は、外部記憶部217が記憶する地図データに誤りがあるか否かの仮の判断であるということができる。
【0037】
より具体的には、クライアント装置200は、進行方向を変更する交差点等において経路から逸脱したと判断された場合に、誤り送信データMDを地図データサーバ100に送信する。進行方向を変更する必要のない直線道路などにおいて経路から逸脱するのは、通常、ガソリンスタンドに立寄ったとか、休憩のために休憩施設に立寄ったといった、道路規制の誤りに基づく逸脱ではない場合である。こうした「進行方向を変更する必要のない箇所での経路からの逸脱」を除外しつつ、進行方向を変更する交差点等において経路から逸脱したと判断された場合にのみ、誤り送信データMDを生成するようにしたことで、さらに、無駄な誤り送信データMDの送信を抑制することができる。
【0038】
B.第2実施例:
次に、第2実施例を説明する。
図10に示す現在位置表示処理は、ナビゲーション装置210が第1実施例における経路案内処理を行っていない場合において、常時行っている処理である。現在位置表示処理は、表示パネル212に、自動車300の現在位置を地図画像と共に表示する処理である。現在位置表示処理は、ナビゲーション装置210が起動されたときに開始される。クライアント装置200では、現在位置表示処理と並行して、第1実施例において説明した撮像装置220による撮影処理および撮像画像記憶部218Mへの撮影画像の格納処理が常時行われているものとする。
【0039】
現在位置表示処理が開始されると、主制御部218は、現在位置情報を取得する(ステップS310)。本ステップの処理は、第1実施例におけるステップS120(図5)と同一である。次に、主制御部218は、実走経路表示処理を行う(ステップS320)。実走経路表示処理は、一定間隔で取得される位置情報に基づいて、自動車300の実走経路を特定して、表示パネル212に自動車300の現在位置PPと実走経路RRとを、地図画像と共に表示する処理である。
【0040】
実走経路表示処理を行うと、主制御部218は、先のステップで特定された実走経路RRと、ネットワークDB22および属性DB23とに基づいて、自動車300が属性DB23の属性データとして記録されている規制情報に違反しているか否かを判断する(ステップS330)。
【0041】
図11(a)において交差点61に対応するノードには、属性情報Zaaが関連付けられている。属性情報Zaaは、関連付けられたノードに対応する交差点が、図6における下方から侵入してくる自動車300にとって、左折のみ可であること、すなわち、直進および右折は禁止であることを示す規制情報である。現在位置表示処理中において、自動車300が属性DB23に記録された属性情報に含まれる規制情報に従って走行しており(図11(a))、交差点61に接近したときにドライバーが当該交差点に現実に存在する直進可能の標識62を目撃したとする(図11(b))。
【0042】
この場合、ドライバーは、現実の直進可能の標識62に従って直進する場合があると考えられる(図11(c))。図11(c)に示すように、属性DB23に記録された属性情報に含まれる規制情報に違反して(現実に存在する規制情報に違反しているかいないかは無関係)いる場合に、主制御部218は、自動車300が規制情報に違反していると判断する。
【0043】
自動車300が規制情報に違反しない(規制情報に従っている)と判断された場合には(ステップS330:NO)、主制御部218は、ステップS310に戻って現在位置表示処理を継続する。この結果、表示パネル212に表示されている地図画像、現在位置PP、実走経路RRは、自動車300の走行に応じて更新される。
【0044】
その一方で、自動車300が規制情報に違反する(規制情報に従っていない)と判断された場合には(ステップS330:YES)、主制御部218は、誤り送信データMD2を、地図データサーバ100に対して送信する(ステップS340)。誤り送信データMD2は、第1実施例において図7に示した誤り送信データMDの内容から案内経路データを除いた内容である。誤り送信データMD2を送信すると、主制御部218は、ステップS310に戻って現在位置表示処理を継続する。誤り送信データMD2を受信した場合の地図データサーバ100側における処理は、第1実施例において図8を参照して説明した処理と同一であるのでその説明を省略する。
以上説明した第2実施例によれば、ナビゲーション装置210が経路案内を行っていない場合においても、地図データに誤りがあるか否かを検査することができる。
【0045】
C.変形例:
第1変形例
上記実施例では、クライアント装置200から送信された誤り送信データMD2に含まれる撮影画像の解析結果を用いて、地図データサーバ100に格納された地図データの更新・修正を行っているが、複数のクライアント装置200からの誤り送信データに含まれる撮影画像の解析結果を、地図上の地点(例えば、交差点)単位で統計処理しても良い。この場合、統計処理の結果に基づいて、属性DB33に追加するべき新たな属性データを生成しても良い。
【0046】
表1には、ある所定の地点について、第1実施例における図8のステップS230における判断結果が、「正」、すなわち、地図データは正しいとの判断であるケースと、「誤」、すなわち、地図データは誤りがあるとの判断であるケースと、判断不可との判断であるケースのそれぞれのケース数の程度が示されている。
【0047】
【表1】
【0048】
ケース数の程度は、「少」または「多」で示されている。表1において、それぞれのケース数の程度の組み合わせによって、当該所定の地点について生成される属性データが分類される。属性データは、当該所定の地点が「案内不適切」地点であることを示すデータ、「地図データ修正」地点であることを示すデータ、「詳細調査候補」地点であることを示すデータ、あるいは、「サンプル不足」地点であることを示すデータを含んでいる。
【0049】
案内不適切地点は、生成される案内ルートNRが不適切であると想定される地点である。例えば、案内ルートNRが通行しにくい経路を案内している場合などが含まれる。案内不適切地点に分類された地点は、例えば、その地点の交差点に接続する道路(データ上ではリンクLK)のコスト値などのルート検索パラメータを見直す地点の候補とされる。コスト値は、例えば、通行に時間を要する道路ほど大きく設定されており、ルート検索時には、このコスト値の合計を最小にするように、案内ルートNRが生成される。
【0050】
地図データ修正地点は、地図データが誤りを含む可能性が高く地図データの修正を行うのが適切であると想定される地点である。地図データ修正地点に分類された地点は、例えば、撮影画像の解析結果に基づいて、対応する地図データが修正される。
詳細調査候補地点は、撮影画像の解析結果だけでは判断の精度を欠くことが想定される地点である。詳細調査候補地点に分類された地点は、例えば、撮影画像の目視確認、当該地点の現地調査の対象候補とされる。
【0051】
サンプル不足地点は、ケース数が十分でないため判断の精度を欠くことが想定される地点である。サンプル不足地点に分類された地点は、例えば、ケース数が十分に増加した後に再度判断することとされる、あるいは、現地調査の対象候補とされる。
表2は、第2実施例における撮影画像の解析結果の統計処理の一例を示す表である。
【0052】
【表2】
【0053】
表2には、ある所定の地点について、第2実施例における図8のステップS230における判断結果が、「正」であるケースと、「誤」であるケースと、判断不可との判断であるケースのそれぞれのケース数の程度が示されている。表2において、それぞれのケース数の程度の組み合わせによって、当該所定の地点について生成される属性データが分類される。属性データは、当該所定の地点が「規制等無視多発」地点であることを示すデータ、「地図データ修正」地点であることを示すデータ、「詳細調査候補」地点であることを示すデータ、あるいは、「サンプル不足」地点であることを示すデータを含んでいる。
【0054】
規制等無視多発地点は、進入禁止、一方通行、一時停止などの規制が見落としや故意の無視などにより遵守されないことが多いと想定される地点である。規制等無視多発地点に分類された地点は、例えば、経路案内処理や現在位置表示処理中において、自動車300が該当地点に近付いた場合に、規制遵守促進情報を表示パネル212に表示させる属性データを関連付ける地点の候補となる。規制遵守促進情報は、例えば、「この先、右折禁止です」などの表示を行う情報であり、ナビゲーション装置210の利用者に対して規制の見落としや無視をしないように促す表示を行う情報である。その他の地点は、同名の表1に示す地点と同様である。
【0055】
以上説明した第1変形例によれば、複数のクライアント装置200からの誤り送信データの解析結果を統計処理することにより、地図データの修正以外の有用な情報を得ることができる。例えば、規制遵守促進情報などの新たな属性データの追加などを行い、地図データサーバ100の地図データの充実を図ることができる。また、詳細調査候補地点の抽出など、地図データサーバ100の地図データの精度を向上するための情報を得ることができる。
【0056】
・第2変形例:
上記実施例では、撮影画像の解析を地図データサーバ100にて行っているが、クライアント装置200にて行っても良い。この場合は、例えば、クライアント装置200は、上記実施例において誤り送信データを送る代わりに、撮影画像の解析と、クライアント装置200が記憶する地図データに誤りが有るか否かの判断を行う。そして、クライアント装置200は、地図データに誤りが有るか否かの判断結果を、判断を行った地点を特定する位置情報と関連付けて、地図データサーバ100に送信しても良い。また、クライアント装置200は、自身が記憶する地図データの誤りを修正しても良い。
【0057】
・第3変形例:
上記実施例において、クライアント装置200は、案内経路から外れたと判断した場合、あるいは、規制情報に違反したと判断された場合に、誤り送信データMDを送信しているが、これに限られない。例えば、クライアント装置200は、地図データにおいて、一時停止の規制情報が属性データとして関連付けられている地点で、自動車300が一時停止をしなかった場合に、誤り送信データMDを送信することとしても良い。この場合、地図データサーバ100は、一時停止の属性データが誤りであるか否かを判断することができる。
【0058】
また、地図データが属性情報として道路の幅を表す道路幅情報を有すると共に、クライアント装置200が自動車300の車の幅を示す車幅情報を有することとし、車幅情報と道路幅情報との比較により、自動車300が通行困難あるいは通行不可である経路を走行している推定される場合に、誤り送信データMDを送信することとしても良い。同様に、地図データが属性情報として道路の高さ制限を表す高さ制限情報を有すると共に、クライアント装置200が自動車300の車高を示す車高情報を有することとし、車高情報と高さ制限情報との比較により、自動車300が通行困難あるいは通行不可な経路を走行していると推定される場合に、誤り送信データMDを送信することとしても良い。一般的には、クライアント装置200は、現在位置情報と地図データとに基づいて予測される予測移動と異なる予測外移動を自動車300が行ったか否かを判断し、自動車300が予測外移動を行ったと判断した場合に、誤り送信データMDを送信することが好ましい。
【0059】
・第4変形例:
上記実施例では、撮影画像の解析は、規制標識62を認識する画像認識を主として行うこととして説明したが、その他の様々な画像認識を行うことが可能である。例えば、画像認識により認識できる要素としては、論理的な要素と、物理的な要素と、一時的な要素が挙げられる。論理的な要素としては、上述したような規制標識62、規制道路標示、看板の内容が挙げられる。物理的な要素としては、地図データ上では存在するはずの道路が存在しない、地図データ上では存在しないはずの道路が存在する、車止めの存在、中央分離帯の存在、ポールの存在などが挙げられる。一時的な要素としては、工事中であること、事故の発生、交通整理が実施されていることなどが挙げられる。
【0060】
・第5変形例:
上記実施例では、撮影画像の解析の結果、地図データサーバ100において地図データの誤りがあると判断された場合、地図データサーバ100において地図データの修正を行っているが、これに限られない。例えば、地図データの誤りが一時的なものであり、いずれ解消すると判断される場合(一時的な事故、工事による交通規制の変化など)には、地図データの修正は行わなくても良い。これに代えて、他のクライアント装置200に対して、当該地点において一時的に交通規制が行われていることを送信しても良い。また、地図データサーバ100において地図データを修正した場合、クライアント装置200の地図データにおいても同様の修正を反映させるために、規制情報が修正されたことを示す修正情報をクライアント装置200に対して送信しても良い。
【0061】
また、撮影画像の解析の結果、地図データサーバ100において地図データの誤りがないと判断した場合、クライアント装置200の地図データが古い地図データであると判断して、地図データサーバ100における地図データの内容の一部をクライアント装置200の地図データに反映させるための差分データをクライアント装置200に対して送信しても良い。こうすれば、クライアント装置200から誤り送信データが送信され続けることを抑制することができると共に、クライアント装置200における地図データを効率良く更新することができる。また、地図データを更新するための差分データに限らず、例えば、上述した「規制等無視多発地点」に分類された地点に関して、規制遵守促進情報などの新たな属性データをクライアント装置200に送信しても良い。
【0062】
・第6変形例:
上記実施例において、クライアント装置200は、自動車300が案内ルートNRを外れた直後、あるいは、自動車300が規制情報に違反した直後に、誤り送信データを送信しているが、所定数の誤り送信データを蓄積した後、あるいは、所定の走行距離を自動車300が走行した後にまとめて誤り送信データを送信しても良い。
【0063】
・第7変形例:
上記実施例では、誤り送信データは、撮影画像のデータと実走経路データを含んでいるが、更に、付加情報を含んでも良い。付加情報としては、例えば、自動車300の車種、重量、車高、車幅など自動車300の車両情報等が挙げられる。こうすれば、地図データサーバ100は、これらの車両情報を加味して、より精度良く、地図データに誤りがあるか否かを判断することができる。また、車種に応じた規制情報の整備や修正も可能である。
【0064】
・第8変形例:
クライアント装置200は、同じ地点における誤り送信データは、複数回送信しないこととしても良い。例えば、クライアント装置200は案内ルートNRを同じ地点で同じように自動車300が案内ルートNRから外れた場合には、2回目以降は誤り送信データMDを送信しないこととしても良い。また、クライアント装置200は同じ地点で同じように自動車300が規制情報に違反した場合は、2回目以降は誤り送信データMD2を送信しないこととしても良い。
【0065】
・第9変形例:
上記実施例では、規制標識62の修正を行うための処理として説明をしたが、その他の様々な地図データの修正・充実・精度向上のために適用可能である。具体例を以下に説明する。
・交差点において現実には転回禁止であるが地図データ上では転回可能である、若しくは転回が許容されているケース
・4差路において、現実には中央分離帯があるが地図データ上では右折可能となっているケース
・現実には4差路となっているが、地図データ上では3差路となっているケースなどの現実に存在する道路が地図データ上にないケース
・現実には3差路となっているが、地図データ上では4差路となっているケースなどの現実には存在しない道路が地図データ上にあるケース
【0066】
・現実には、例えば、所定の車幅(例えば、2.2m)を超える車幅の車両は通行不可能で所定の車幅(例えば、2.2m)以下の車両は通行可能だが、地図データ上では全車両通行可能あるいは全車両通行不可能になっているケース
・現実には、大型乗用自動車通行止めだが、地図データ上では全車両通行可能あるいは全車両通行不可能になっているケース
・現実には、8時〜20時の間のみ歩行者専用道路であるが、地図データ上では全時間帯で車両通行不可となっているケース
・現実には右折するレーンがポールなどの障害物で区切られており、右折するためには早めに車線変更をする必要があるが、地図データ上ではそのような車線変更を指示可能に整備されていないケース
【0067】
・第10変形例:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0068】
・第11変形例:
上記実施例では、移動体は自動車300に限らず、自転車であっても良いし、歩行者であっても良い。歩行者である場合は、ナビゲーション装置210は携帯可能な小型なカメラ一体型であることが好ましい。また、地図データサーバ100およびクライアント装置200の機能を一体化したシステムで構成してもよい。
【0069】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。なお、本発明では、誤り検査の結果に応じて地図データを自動修正することも目的のひとつである。
【符号の説明】
【0070】
10…地図データ誤り検査システム
100…地図データサーバ
102…通信部
104…制御部
105…地図データ記憶部
200…クライアント装置
210…ナビゲーション装置
211…GPS受信機
212…表示パネル
214…音声出力部
215…キー入力部
216…無線通信部
217…外部記憶部
218…主制御部
218M…撮像画像記憶部
220…撮像装置
300…自動車
【技術分野】
【0001】
本発明は、整備されている電子地図データに誤りがあるか否かを検査する地図データ誤り検査技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置等において経路探索や地図表示などに使用される電子地図データには、道路情報に加えて一方通行や右折禁止といった各種の規制情報も含まれている。この規制情報は、調査員が実際に現場に足を運んで調査した結果を、オペレータがコンピュータ上でデータベース化することで整備される。そのため、入力ミスによって誤った規制情報が入力される可能性もある。こうした入力ミスを修正するための技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1に記載の技術は、地図データベースに記憶されている規制情報を、実際の走行状況に応じて自動的に修正するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−257903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、ある交差点から進入禁止道路に侵入したことを検出して、その交差点に対応するノードに付与されている規制情報(進入禁止情報)と実際に走行している走行状況とに不一致がある場合、地図データベースの規制情報を自動修正する。そのため、ノードに付された規制情報では通行可能となっているにもかかわらず、実際には通行不能であるといった場合においては規制情報に誤りがあることを検出することはできない。つまり、高精度で誤り検出や自動修正をすることはできない。
本発明は、こうした従来技術の問題点を解決するためになされたものである。その目的は、収集された道路に関する情報に基づいて、地図データに誤りがあるか否か高精度に検査する地図データ誤り検査システム等を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明における地図データ誤り検査システムは、道路の接続状況を表す道路ネットワークデータおよび通行規制に関する規制情報が含まれる地図データを記憶する地図データ記憶部と、進行方向前方を撮影する撮像部と、現在から過去の一定期間に撮像された撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、前記道路ネットワークデータおよび規制情報に基づいて、目的地までの経路を案内する経路案内部と、現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、前記現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する逸脱判断部と、前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、該逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮像画像を取得する逸脱情報取得部とを備える。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とするシステムや方法等もまた発明となり得る。
【0006】
本発明に係る地図データ誤り検査システムによれば、現在位置が経路から逸脱したと判断された場合に、逸脱したことを表す逸脱情報および撮像画像を取得するようにした。経路は一般的に規制情報を反映して探索されている。したがって、経路を逸脱した場合は、その地点における規制情報に誤りがある蓋然性も高くなる。こうした状況で逸脱情報を取得する。取得された情報を解析することで、規制情報が間違って整備されている箇所や、案内が難しい箇所を効率よく判定することが可能となるとともに、高精度な判定が可能となる。
【0007】
ここで、本発明における規制情報には、一方通行や右左折禁止など道路標識によって論理的に規制されている情報は勿論であり、車止め、中央分離帯、ポールなど、物理的に規制されているものについても含まれる。更には、工事中、自己、交通整理など、一時的に規制される要因についても含んでよい。また、現在から過去の一定期間に撮影された撮影画像を解析して、地図データに含まれる規制情報に誤りがあるか否かを判定するため、一定期間を経過した過去の撮影画像を記憶させておく必要がない。
なお、本発明は種々の形態で実現することが可能である。例えば、互いに通信可能なサーバ装置とクライアント装置とを備える地図データ誤り検査システム、互いに通信可能なサーバ装置とクライアント装置を用いた地図データ誤り検査方法、コンピュータプログラム、当該コンピュータプログラムを記録した記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例としての地図データ誤り検査システムの概略構成を示す説明図。
【図2】ナビゲーション装置および地図データサーバに格納されたデータベースの内容を説明する図。
【図3】クライアント装置の撮像装置の動作について説明する図。
【図4】撮影画像の一例を示す概念図。
【図5】クライアント装置の経路案内処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図6】自動車が案内ルート上に位置していないと判断される場合の例を示す図。
【図7】誤り送信データの内容を概念的に示す図。
【図8】誤り送信データ関連処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図9】地図データの誤りの内容が判断可能な撮影画像の一例を示す図。
【図10】第2実施例におけるクライアント装置の現在位置表示処理の処理ステップを示すフローチャート。
【図11】自動車が規制情報に違反していると判断される場合の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
A.第1実施例:
・地図データ誤り検査システムの構成:
図1に示すように、地図データ誤り検査システム10は、地図データ誤り検査装置としての地図データサーバ100と、地図データ誤り検査用端末装置としてのクライアント装置200と、基地局BSとを備えている。地図データサーバ100と、基地局BSとは、インターネットINTを介して通信可能に接続されている。クライアント装置200は、基地局BSと無線通信することが可能であり、この結果、クライアント装置200は、基地局BSを介して、地図データサーバ100と通信を行うことができる。
【0010】
本実施例のクライアント装置200は、移動体としての自動車300に搭載可能であり、地図データに基づく地図を表示する地図表示機能や経路を案内する経路案内機能を有する。クライアント装置200は、ナビゲーション装置210と、撮像部としての撮像装置220とを備えている。撮像装置220は、所定の時間間隔でデジタルまたはアナログの画像データを生成できる。
【0011】
ナビゲーション装置210は、現在位置取得部としてのGPS受信機211と、表示パネル212と、音声出力部214と、キー入力部215と、無線通信部216と、外部記憶部217と、経路案内部および逸脱判断部としての主制御部218とを備えている。
GPS受信機211は、複数のGPS(Global Positioning System/全地球測位システム)から送信された電波を受信する機能を有する。
表示パネル212は、地図や経路に関する情報等を表示する。音声出力部214は、経路案内時に音声を出力するためのスピーカや、これを駆動する回路などで構成される。
【0012】
キー入力部215は、利用者からナビゲーション装置210に対する要求を受け付ける操作キーなどのキー群で構成される。
無線通信部216は、基地局BSとの間でデータ通信を行う機能を有する。
外部記憶部217は、ハードディスク、フラッシュメモリ、メモリカードなどで構成され得る。外部記憶部217には、地図データとして、後述する画像データベース(DB)21とネットワークデータベース(DB)22と属性データベース(DB)23とが格納されている。
【0013】
主制御部218は、図示しない中央演算回路(CPU)と、ROMやRAMなどの内部記憶装置とを備えており、上述した各部211〜217を制御する。主制御部218には、撮像装置220が撮像した画像(撮像画像)等をデータとして格納するための撮像画像記憶部218Mが確保されている。当該撮像画像記憶部218Mには、地図表示および経路案内のためナビゲーションプログラムが格納されている。このプログラムは、例えば、地図データサーバ100を運用する事業者によりインターネットINTおよび基地局BSを介して配信されても良い。主制御部218は、このプログラムを実行することで、後述する処理/機能を実現する。
【0014】
地図データサーバ100は、通信部102と、判定する誤り判定部および誤り修正部としての制御部104と、地図データ記憶部105とを備えている。制御部104は、通信部102および地図データ記憶部105を制御する。通信部102は、インターネットINTと基地局BSとを介して複数のクライアント装置200のナビゲーション装置210と、それぞれ通信を行うことができる。地図データ記憶部105には、地図データとして、後述する画像データベース(DB)31とネットワークデータベース(DB)32と属性データベース(DB)33とが格納されている。
【0015】
制御部104は、図示しないCPUと、ROMやRAMなどの内部記憶装置とを備える。制御部104の内部記憶装置には、地図データを取り扱うプログラムが格納されている。制御部104は、これらのプログラムを実行することにより、後述する様々な処理/機能を実現する。本実施例では、地図データサーバ100は、1つの計算機によって構成されているが、複数の計算機によって構成されても良い。
【0016】
次に、ナビゲーション装置210の外部記憶部217および地図データサーバ100の地図データ記憶部105に格納されたデータベースの内容について説明する。外部記憶部217に格納された各DB21〜23は、所定の時期に地図データ記憶部105に格納されていた、当該時期では最新の状態にある各DB31〜33をコピーしたものである。そのため、図2に示すように、外部記憶部217に格納された各DB21〜23と、地図データ記憶部105に格納されている各DB31〜33とは、基本的にそれぞれ同一のデータベースである。地図データ記憶部105に格納されている各DB31〜33は、随時、現在または将来の道路状況に応じて整備されていても良い。
【0017】
画像DB21、31には、地図画像を表すデータ(地図画像データ)がベクトルデータ形式で格納されている。なお、地図画像データは、ベクトルデータ形式に代えて、ビットマップ形式やJPEGデータ形式などのラスタデータ形式で格納されていても良い。この地図画像データには、地形や建物、道路等の形状を表すデータが含まれている。
【0018】
ネットワークDB22、32には、地図画像データが表す地図画像に対応した領域に存在する交通経路に関するネットワークデータが格納されている。ネットワークデータは、交通経路の地表上における配置を示すネットワークを表すデータである。ネットワークデータは、交通経路における要素点ND(ノードと呼ぶ。)を表すノードデータと、ノード間を結ぶ線分LK(リンクと呼ぶ)を表すリンクデータとを含む。ノードNDは、例えば、交差点、分岐点、終点、始点、駅などの乗降位置などを表している。リンクLKは、例えば、車道、線路、歩行者道などの交通経路を表している。
【0019】
属性DB23、33には、属性データが格納されている。属性データは、ノードNDあるいはリンクLKに関連付けられており、その属性を示す情報である。属性データは、ノードND、リンクLKに関する様々なデータを含む。例えば、リンクLKに関連付けられる属性データは、リンクLKの名称(例えば、道路の名称)、リンクLKの種類(例えば、高速道路)、リンクLKの規制情報(例えば、一方通行)、その他の情報(例えば、高速道路であれば、区間料金など)を含んでも良い。ノードNDに関連付けられる属性データは、ノードNDに対応する交差点の名称、ノードNDに対応する交差点の規制情報(例えば、ある方向から見て、左折可、右折不可、直進可など)、関連付けられたノードNDに関する画像を表す画像データ(例えば、ノードND(例えば、交差点、駅)の分岐状況を示す模式図や案内板を示す画像)を含んでも良い。1つのノードNDまたはリンクLKに関連付けられる属性データは、1つであっても良いし、複数であっても良い。また、属性DB23、33は、1つのデータベースである必要はなく、例えば、高速道路に関する属性データと、店舗や駅などの物件に関する属性データと、規制情報に関する属性データとは、別々のデータベースとしても良い。
【0020】
次に、クライアント装置200における撮像装置220の動作について説明する。撮像装置220は、ナビゲーション装置210が起動している間、常に所定の間隔Δtごとに経時的に画像を撮影している。図3において、画像f(−n)(nは自然数)は、過去における時間t(−n)において撮影された画像を時系列に並べて示している。図3において、画像f(0)は、現在時間t(0)において撮影された画像を示している。図3において画像f(n)(nは自然数)は未来における時間t(n)において撮影される予定である画像を時系列に並べて示している。
【0021】
図3には、現在時間t(0)において、撮像画像記憶部218Mに記憶される画像(記憶撮像画像)が併せて示されている。撮像画像記憶部218Mには、過去の所定の時間t(−k)(kは所定の自然数)から現在時間t(0)までの間に撮影された全ての撮影画像f(−k)〜f(0)がデータとして格納されている。時間が進んでt(0)からt(1)となると、FIFO(first in first out)方式で、新たに時間t(1)に撮影された画像f(1)が撮像画像記憶部218Mに記憶されると共に、撮像画像記憶部218Mに記憶された記憶撮影画像のうち、時間的に最も古い撮影画像f(−k)が削除される。この結果、時間が進んでt(0)からt(1)となると、撮像画像記憶部218Mには、過去の所定の時間t(−k+1)から現在時間t(1)までの間に撮影された全ての撮影画像f(−k+1)〜f(1)がデータとして格納された状態になる。すなわち、撮像画像記憶部218Mには、現在時間から過去の所定の時間(Δt×k)までの間に撮影された撮影画像が常に格納されている状態となる。所定の時間(Δt×k)は、任意に設定可能であり、例えば、3秒〜15秒程度に設定される。
【0022】
ある時間t(a)における画像f(a)は、自動車300から前方を撮影した画像となる。図4に示すように、例えば、画像f(a)には、自動車300が通行している道路41や、その道路の先にある交差点42、その交差点に設置された道路標識43を含む場合がある。
【0023】
・クライアント装置200の動作:
経路案内処理は、クライアント装置200のうちのナビゲーション装置210が実行する処理である。クライアント装置200では、経路案内処理と並行して、撮像装置220による上述した撮影処理および撮像画像記憶部218Mへの撮影画像の格納処理が常時行われているものとする。経路案内処理は、利用者がナビゲーション装置210を操作して、目的地を設定し経路案内の開始を指示したときに開始される。
【0024】
図5に示すように、経路案内処理が開始されると、ナビゲーション装置210の主制御部218は、案内ルート(経路)を生成する(ステップS110)。案内ルートの生成は周知であるので詳細は省略するが、GPS受信機211により取得される現在位置から利用者に設定された目的地までの経路を、ネットワークDB22および属性DB23を検索することによって特定して案内ルートとすることによって行われる。案内ルートは、現在位置から目的地までに経由すべきノードNDを経由順序のとおりに時系列に並べたデータによって表される。なお、案内ルートは地図データサーバ100や、その他のサーバで生成して、生成された案内ルートに関するデータをクライアント装置200に送信するようにしてもよい。
【0025】
案内ルートが生成されると、主制御部218は、GPS受信機211を制御して、現在位置データを取得する(ステップS120)。現在位置データは、例えば、緯度および経度を少なくとも含む地表上の座標データである。現在位置データは、また、高度を含んでも良い。取得された現在位置データは、現在時間と関連付けて、撮像画像記憶部218Mに格納される。
【0026】
現在位置情報が取得されると、主制御部218は、現在位置情報と、案内ルートのデータとに基づいて、自動車300が案内ルート上に位置しているか否かを判断する(ステップS130)。具体的には、主制御部218は、現在位置情報により特定される自動車300の現在位置が、案内ルートに含まれるリンクLK上にあると判断される場合には、自動車300が案内ルート上に位置していると判断する。また、主制御部218は、現在位置情報により特定される自動車300の現在位置が、案内ルートから逸脱した場合や、どのリンクLK上にあるか判断できない場合には、自動車300が案内ルート上に位置していないと判断する。
【0027】
図6(a)における交差点61では右折する案内ルートNRが設定されているとする。経路案内処理中において、現在位置PPを走行する自動車300が案内ルートNRに従って案内ルートNR上を走行しており(図6(a))、交差点61に接近したときにドライバーが当該交差点61に現実に存在する右折禁止の標識62を目撃したとする(図6(b))。この場合、ドライバーは、案内ルートNRに従って自動車300を走行させることができず、案内ルートNRから逸脱して直進したり左折したりすると考えられる(図6(c))。そのため、案内ルートNRに含まれないリンクLKが表す経路に自動車300が位置するときに、主制御部218は、自動車300が案内ルートから逸脱したと判断する。
【0028】
その一方で、自動車300が案内ルート上に位置すると判断された場合には(ステップS130:YES)、主制御部218は、所定の経路案内を実行する(ステップS140)。次に、主制御部218は、経路案内が終了したか否かを判断する(ステップS150)。主制御部218は、経路案内が終了したと判断した場合には(ステップS150:YES)、経路案内処理を終了する。一方、主制御部218は、案内が終了していないと判断した場合には(ステップS150:NO)、ステップS120に戻って経路案内処理を継続する。自動車300が案内ルートから逸脱したと判断された場合には(ステップS130:NO)、主制御部218は、誤り送信データMDを生成して地図データサーバ100に対して送信する(ステップS160)。より具体的には、主制御部218は、図6(c)に示すように、進行方向を変更する交差点61において経路から逸脱して直進したと判断された場合に、誤り送信データMDを生成する。
【0029】
図7に示すように、誤り送信データMDは、誤り送信データMDを生成する時点で撮像画像記憶部218Mに格納されている記憶撮像画像f(−k)〜f(0)のデータと、案内経路データとを含む。各記憶撮像画像データには、撮影時間tと、撮影時間に自動車300が存在した位置を示す位置情報(NS(緯度)、WE(経度))とが関連付けられている。位置情報(NS、WE)は、自動車300が実際に走った軌跡を表す実走経路データであると言える。案内経路データは、ステップS110において生成された案内ルートNRを示すデータである。誤り送信データMDに含まれる案内経路データは、必ずしも全ての案内ルートNRを示すデータである必要はなく、案内ルートNRの一部を示すデータであっても良い。この場合、誤り送信データMDに含まれる案内経路データは、自動車300が案内ルートNR上に位置しないと判断される直前に、自動車300が走行していた案内ルートNR上の地点を少なくとも含む案内ルートNRの一部であることが好ましい。
【0030】
主制御部218は、誤り送信データMDを送信すると、次にリルート処理を実行する(ステップS170)。リルート処理は、自動車300の現在地から設定された目的地までの経路を、ネットワークDB22および属性DB23を検索することによって特定して新たな案内ルートを生成する処理である。リルート処理が終了すると、主制御部218は、ステップS120に戻って、新たに生成された案内ルートNRに基づいて案内処理を継続する。なお、リルート処理についても、地図データサーバ100や、その他のサーバで実行してよい。
【0031】
・地図データサーバ100の動作:
続いて、地図データサーバ100における誤り送信データ関連処理について説明する。誤り送信データ関連処理は、クライアント装置200から上述した誤り送信データMDを受信(取得)すること(ステップS210)を契機に開始される。図8に示すように、誤り送信データMDが受信されると、地図データサーバ100の制御部104は、受信された誤り送信データMDに含まれる撮像画像のデータを解析する(ステップS220)。具体的には、主制御部218は、撮像画像f(−k)〜f(0)を周知の画像認識技術を用いて解析することにより、地図データ記憶部105に記憶された地図データの誤りの内容を判断する。
【0032】
図9に示す撮影画像f(a)は、図6において交差点61の手前に自動車300が位置しているときの撮影画像である。撮影画像f(a)には、規制情報を示す規制標識62が写っている。制御部104は、パターンマッチングや、画素値(輝度、彩度、色相)による分類、エッジ抽出などの画像認識技術を用いて、規制標識62の存在および内容の認識を行う。また、制御部104は、誤り送信データMDに含まれる実走経路データにより、自動車300の位置および移動方向を推定できるので、撮影画像の撮影位置および撮影方向を推定することができる。これにより、撮影画像の認識をより精度良く行うことができる。また、規制標識62は、誤り送信データMDに含まれる案内経路データを参照することにより、撮影画像の撮影位置および撮影方向を更に精度良く推定することができる。規制標識62以外にも、例えば、道路に描かれている路面表示の認識、中央分離帯の存在の認識、車線数の認識などが同時に行われることが好ましい。
【0033】
撮影画像の解析が終了すると、制御部104は、地図データ記憶部105に記憶された地図データの内容に誤りがあったか否かを判断する(ステップS230)。具体的には、制御部104は、ネットワークDB32や属性DB33の現在の内容と、撮像画像の解析結果から導かれた現在の道路状況とを比較して、ネットワークDB32や属性DB33と現在の道路状況との相違点があるか否かを判断する。図6では、同図における交差点61に対応するノードNDに関連付けられた属性情報のうち、規制情報が誤っていると判断される。
【0034】
その一方で、制御部104は、地図データに誤りがないと判断すると(ステップS230:NO)、誤り送信データ関連処理を終了する。また、制御部104は、地図データに誤りがあるか否かが判断不可であると判断すると(ステップS230:判断不可)、撮影画像に撮影されている地点について、地図データに誤りがあるか否か判断不可であることを記録しておく(ステップS250)。例えば、図6において、撮影画像の解析によって規制標識62を認識することができなかった場合に、地図データに誤りがあるか否か判断不可であると判断される。
【0035】
制御部104は、地図データに誤りがあると判断すると(ステップS230:YES)、地図データを修正する地図データ修正処理を行う(ステップS240)。地図データ修正処理は、例えば、属性DB33に記録されている属性データに含まれる規制情報を、現実の道路状況における規制情報(撮影画像により認識された規制情報)に修正する処理である。例えば、図6において、交差点61に関連付けられた属性情報には、右折が禁止であることを示す規制標識62が属性DB33に記録されていないと考えられるが、現実の道路状況における規制62は、左折および直進のみ可であり、右折禁止であるので、属性DB33に記録された属性標識62は現実の道路状況に更新される。
【0036】
以上説明した第1実施例によれば、クライアント装置200から送信された撮像画像を解析して、現実の道路状況を認識するので、精度良く現実の道路状況を認識できる。更に、その結果、地図データサーバ100における地図データに誤りがあると判断した場合には、当該地図データを修正するので、地図データを容易に現実の道路状況に更新できる。更に、クライアント装置200は、案内ルートNRを自動車300が外れたときに撮影画像のデータを含む誤り送信データMDを送信するので、無駄な誤り送信データMDを地図データサーバ100に送信することを抑制することができる。すなわち、クライアント装置200による、案内ルートNRを自動車300が外れたか否かの判断は、外部記憶部217が記憶する地図データに誤りがあるか否かの仮の判断であるということができる。
【0037】
より具体的には、クライアント装置200は、進行方向を変更する交差点等において経路から逸脱したと判断された場合に、誤り送信データMDを地図データサーバ100に送信する。進行方向を変更する必要のない直線道路などにおいて経路から逸脱するのは、通常、ガソリンスタンドに立寄ったとか、休憩のために休憩施設に立寄ったといった、道路規制の誤りに基づく逸脱ではない場合である。こうした「進行方向を変更する必要のない箇所での経路からの逸脱」を除外しつつ、進行方向を変更する交差点等において経路から逸脱したと判断された場合にのみ、誤り送信データMDを生成するようにしたことで、さらに、無駄な誤り送信データMDの送信を抑制することができる。
【0038】
B.第2実施例:
次に、第2実施例を説明する。
図10に示す現在位置表示処理は、ナビゲーション装置210が第1実施例における経路案内処理を行っていない場合において、常時行っている処理である。現在位置表示処理は、表示パネル212に、自動車300の現在位置を地図画像と共に表示する処理である。現在位置表示処理は、ナビゲーション装置210が起動されたときに開始される。クライアント装置200では、現在位置表示処理と並行して、第1実施例において説明した撮像装置220による撮影処理および撮像画像記憶部218Mへの撮影画像の格納処理が常時行われているものとする。
【0039】
現在位置表示処理が開始されると、主制御部218は、現在位置情報を取得する(ステップS310)。本ステップの処理は、第1実施例におけるステップS120(図5)と同一である。次に、主制御部218は、実走経路表示処理を行う(ステップS320)。実走経路表示処理は、一定間隔で取得される位置情報に基づいて、自動車300の実走経路を特定して、表示パネル212に自動車300の現在位置PPと実走経路RRとを、地図画像と共に表示する処理である。
【0040】
実走経路表示処理を行うと、主制御部218は、先のステップで特定された実走経路RRと、ネットワークDB22および属性DB23とに基づいて、自動車300が属性DB23の属性データとして記録されている規制情報に違反しているか否かを判断する(ステップS330)。
【0041】
図11(a)において交差点61に対応するノードには、属性情報Zaaが関連付けられている。属性情報Zaaは、関連付けられたノードに対応する交差点が、図6における下方から侵入してくる自動車300にとって、左折のみ可であること、すなわち、直進および右折は禁止であることを示す規制情報である。現在位置表示処理中において、自動車300が属性DB23に記録された属性情報に含まれる規制情報に従って走行しており(図11(a))、交差点61に接近したときにドライバーが当該交差点に現実に存在する直進可能の標識62を目撃したとする(図11(b))。
【0042】
この場合、ドライバーは、現実の直進可能の標識62に従って直進する場合があると考えられる(図11(c))。図11(c)に示すように、属性DB23に記録された属性情報に含まれる規制情報に違反して(現実に存在する規制情報に違反しているかいないかは無関係)いる場合に、主制御部218は、自動車300が規制情報に違反していると判断する。
【0043】
自動車300が規制情報に違反しない(規制情報に従っている)と判断された場合には(ステップS330:NO)、主制御部218は、ステップS310に戻って現在位置表示処理を継続する。この結果、表示パネル212に表示されている地図画像、現在位置PP、実走経路RRは、自動車300の走行に応じて更新される。
【0044】
その一方で、自動車300が規制情報に違反する(規制情報に従っていない)と判断された場合には(ステップS330:YES)、主制御部218は、誤り送信データMD2を、地図データサーバ100に対して送信する(ステップS340)。誤り送信データMD2は、第1実施例において図7に示した誤り送信データMDの内容から案内経路データを除いた内容である。誤り送信データMD2を送信すると、主制御部218は、ステップS310に戻って現在位置表示処理を継続する。誤り送信データMD2を受信した場合の地図データサーバ100側における処理は、第1実施例において図8を参照して説明した処理と同一であるのでその説明を省略する。
以上説明した第2実施例によれば、ナビゲーション装置210が経路案内を行っていない場合においても、地図データに誤りがあるか否かを検査することができる。
【0045】
C.変形例:
第1変形例
上記実施例では、クライアント装置200から送信された誤り送信データMD2に含まれる撮影画像の解析結果を用いて、地図データサーバ100に格納された地図データの更新・修正を行っているが、複数のクライアント装置200からの誤り送信データに含まれる撮影画像の解析結果を、地図上の地点(例えば、交差点)単位で統計処理しても良い。この場合、統計処理の結果に基づいて、属性DB33に追加するべき新たな属性データを生成しても良い。
【0046】
表1には、ある所定の地点について、第1実施例における図8のステップS230における判断結果が、「正」、すなわち、地図データは正しいとの判断であるケースと、「誤」、すなわち、地図データは誤りがあるとの判断であるケースと、判断不可との判断であるケースのそれぞれのケース数の程度が示されている。
【0047】
【表1】
【0048】
ケース数の程度は、「少」または「多」で示されている。表1において、それぞれのケース数の程度の組み合わせによって、当該所定の地点について生成される属性データが分類される。属性データは、当該所定の地点が「案内不適切」地点であることを示すデータ、「地図データ修正」地点であることを示すデータ、「詳細調査候補」地点であることを示すデータ、あるいは、「サンプル不足」地点であることを示すデータを含んでいる。
【0049】
案内不適切地点は、生成される案内ルートNRが不適切であると想定される地点である。例えば、案内ルートNRが通行しにくい経路を案内している場合などが含まれる。案内不適切地点に分類された地点は、例えば、その地点の交差点に接続する道路(データ上ではリンクLK)のコスト値などのルート検索パラメータを見直す地点の候補とされる。コスト値は、例えば、通行に時間を要する道路ほど大きく設定されており、ルート検索時には、このコスト値の合計を最小にするように、案内ルートNRが生成される。
【0050】
地図データ修正地点は、地図データが誤りを含む可能性が高く地図データの修正を行うのが適切であると想定される地点である。地図データ修正地点に分類された地点は、例えば、撮影画像の解析結果に基づいて、対応する地図データが修正される。
詳細調査候補地点は、撮影画像の解析結果だけでは判断の精度を欠くことが想定される地点である。詳細調査候補地点に分類された地点は、例えば、撮影画像の目視確認、当該地点の現地調査の対象候補とされる。
【0051】
サンプル不足地点は、ケース数が十分でないため判断の精度を欠くことが想定される地点である。サンプル不足地点に分類された地点は、例えば、ケース数が十分に増加した後に再度判断することとされる、あるいは、現地調査の対象候補とされる。
表2は、第2実施例における撮影画像の解析結果の統計処理の一例を示す表である。
【0052】
【表2】
【0053】
表2には、ある所定の地点について、第2実施例における図8のステップS230における判断結果が、「正」であるケースと、「誤」であるケースと、判断不可との判断であるケースのそれぞれのケース数の程度が示されている。表2において、それぞれのケース数の程度の組み合わせによって、当該所定の地点について生成される属性データが分類される。属性データは、当該所定の地点が「規制等無視多発」地点であることを示すデータ、「地図データ修正」地点であることを示すデータ、「詳細調査候補」地点であることを示すデータ、あるいは、「サンプル不足」地点であることを示すデータを含んでいる。
【0054】
規制等無視多発地点は、進入禁止、一方通行、一時停止などの規制が見落としや故意の無視などにより遵守されないことが多いと想定される地点である。規制等無視多発地点に分類された地点は、例えば、経路案内処理や現在位置表示処理中において、自動車300が該当地点に近付いた場合に、規制遵守促進情報を表示パネル212に表示させる属性データを関連付ける地点の候補となる。規制遵守促進情報は、例えば、「この先、右折禁止です」などの表示を行う情報であり、ナビゲーション装置210の利用者に対して規制の見落としや無視をしないように促す表示を行う情報である。その他の地点は、同名の表1に示す地点と同様である。
【0055】
以上説明した第1変形例によれば、複数のクライアント装置200からの誤り送信データの解析結果を統計処理することにより、地図データの修正以外の有用な情報を得ることができる。例えば、規制遵守促進情報などの新たな属性データの追加などを行い、地図データサーバ100の地図データの充実を図ることができる。また、詳細調査候補地点の抽出など、地図データサーバ100の地図データの精度を向上するための情報を得ることができる。
【0056】
・第2変形例:
上記実施例では、撮影画像の解析を地図データサーバ100にて行っているが、クライアント装置200にて行っても良い。この場合は、例えば、クライアント装置200は、上記実施例において誤り送信データを送る代わりに、撮影画像の解析と、クライアント装置200が記憶する地図データに誤りが有るか否かの判断を行う。そして、クライアント装置200は、地図データに誤りが有るか否かの判断結果を、判断を行った地点を特定する位置情報と関連付けて、地図データサーバ100に送信しても良い。また、クライアント装置200は、自身が記憶する地図データの誤りを修正しても良い。
【0057】
・第3変形例:
上記実施例において、クライアント装置200は、案内経路から外れたと判断した場合、あるいは、規制情報に違反したと判断された場合に、誤り送信データMDを送信しているが、これに限られない。例えば、クライアント装置200は、地図データにおいて、一時停止の規制情報が属性データとして関連付けられている地点で、自動車300が一時停止をしなかった場合に、誤り送信データMDを送信することとしても良い。この場合、地図データサーバ100は、一時停止の属性データが誤りであるか否かを判断することができる。
【0058】
また、地図データが属性情報として道路の幅を表す道路幅情報を有すると共に、クライアント装置200が自動車300の車の幅を示す車幅情報を有することとし、車幅情報と道路幅情報との比較により、自動車300が通行困難あるいは通行不可である経路を走行している推定される場合に、誤り送信データMDを送信することとしても良い。同様に、地図データが属性情報として道路の高さ制限を表す高さ制限情報を有すると共に、クライアント装置200が自動車300の車高を示す車高情報を有することとし、車高情報と高さ制限情報との比較により、自動車300が通行困難あるいは通行不可な経路を走行していると推定される場合に、誤り送信データMDを送信することとしても良い。一般的には、クライアント装置200は、現在位置情報と地図データとに基づいて予測される予測移動と異なる予測外移動を自動車300が行ったか否かを判断し、自動車300が予測外移動を行ったと判断した場合に、誤り送信データMDを送信することが好ましい。
【0059】
・第4変形例:
上記実施例では、撮影画像の解析は、規制標識62を認識する画像認識を主として行うこととして説明したが、その他の様々な画像認識を行うことが可能である。例えば、画像認識により認識できる要素としては、論理的な要素と、物理的な要素と、一時的な要素が挙げられる。論理的な要素としては、上述したような規制標識62、規制道路標示、看板の内容が挙げられる。物理的な要素としては、地図データ上では存在するはずの道路が存在しない、地図データ上では存在しないはずの道路が存在する、車止めの存在、中央分離帯の存在、ポールの存在などが挙げられる。一時的な要素としては、工事中であること、事故の発生、交通整理が実施されていることなどが挙げられる。
【0060】
・第5変形例:
上記実施例では、撮影画像の解析の結果、地図データサーバ100において地図データの誤りがあると判断された場合、地図データサーバ100において地図データの修正を行っているが、これに限られない。例えば、地図データの誤りが一時的なものであり、いずれ解消すると判断される場合(一時的な事故、工事による交通規制の変化など)には、地図データの修正は行わなくても良い。これに代えて、他のクライアント装置200に対して、当該地点において一時的に交通規制が行われていることを送信しても良い。また、地図データサーバ100において地図データを修正した場合、クライアント装置200の地図データにおいても同様の修正を反映させるために、規制情報が修正されたことを示す修正情報をクライアント装置200に対して送信しても良い。
【0061】
また、撮影画像の解析の結果、地図データサーバ100において地図データの誤りがないと判断した場合、クライアント装置200の地図データが古い地図データであると判断して、地図データサーバ100における地図データの内容の一部をクライアント装置200の地図データに反映させるための差分データをクライアント装置200に対して送信しても良い。こうすれば、クライアント装置200から誤り送信データが送信され続けることを抑制することができると共に、クライアント装置200における地図データを効率良く更新することができる。また、地図データを更新するための差分データに限らず、例えば、上述した「規制等無視多発地点」に分類された地点に関して、規制遵守促進情報などの新たな属性データをクライアント装置200に送信しても良い。
【0062】
・第6変形例:
上記実施例において、クライアント装置200は、自動車300が案内ルートNRを外れた直後、あるいは、自動車300が規制情報に違反した直後に、誤り送信データを送信しているが、所定数の誤り送信データを蓄積した後、あるいは、所定の走行距離を自動車300が走行した後にまとめて誤り送信データを送信しても良い。
【0063】
・第7変形例:
上記実施例では、誤り送信データは、撮影画像のデータと実走経路データを含んでいるが、更に、付加情報を含んでも良い。付加情報としては、例えば、自動車300の車種、重量、車高、車幅など自動車300の車両情報等が挙げられる。こうすれば、地図データサーバ100は、これらの車両情報を加味して、より精度良く、地図データに誤りがあるか否かを判断することができる。また、車種に応じた規制情報の整備や修正も可能である。
【0064】
・第8変形例:
クライアント装置200は、同じ地点における誤り送信データは、複数回送信しないこととしても良い。例えば、クライアント装置200は案内ルートNRを同じ地点で同じように自動車300が案内ルートNRから外れた場合には、2回目以降は誤り送信データMDを送信しないこととしても良い。また、クライアント装置200は同じ地点で同じように自動車300が規制情報に違反した場合は、2回目以降は誤り送信データMD2を送信しないこととしても良い。
【0065】
・第9変形例:
上記実施例では、規制標識62の修正を行うための処理として説明をしたが、その他の様々な地図データの修正・充実・精度向上のために適用可能である。具体例を以下に説明する。
・交差点において現実には転回禁止であるが地図データ上では転回可能である、若しくは転回が許容されているケース
・4差路において、現実には中央分離帯があるが地図データ上では右折可能となっているケース
・現実には4差路となっているが、地図データ上では3差路となっているケースなどの現実に存在する道路が地図データ上にないケース
・現実には3差路となっているが、地図データ上では4差路となっているケースなどの現実には存在しない道路が地図データ上にあるケース
【0066】
・現実には、例えば、所定の車幅(例えば、2.2m)を超える車幅の車両は通行不可能で所定の車幅(例えば、2.2m)以下の車両は通行可能だが、地図データ上では全車両通行可能あるいは全車両通行不可能になっているケース
・現実には、大型乗用自動車通行止めだが、地図データ上では全車両通行可能あるいは全車両通行不可能になっているケース
・現実には、8時〜20時の間のみ歩行者専用道路であるが、地図データ上では全時間帯で車両通行不可となっているケース
・現実には右折するレーンがポールなどの障害物で区切られており、右折するためには早めに車線変更をする必要があるが、地図データ上ではそのような車線変更を指示可能に整備されていないケース
【0067】
・第10変形例:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしても良い。
【0068】
・第11変形例:
上記実施例では、移動体は自動車300に限らず、自転車であっても良いし、歩行者であっても良い。歩行者である場合は、ナビゲーション装置210は携帯可能な小型なカメラ一体型であることが好ましい。また、地図データサーバ100およびクライアント装置200の機能を一体化したシステムで構成してもよい。
【0069】
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれらの実施例および変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。なお、本発明では、誤り検査の結果に応じて地図データを自動修正することも目的のひとつである。
【符号の説明】
【0070】
10…地図データ誤り検査システム
100…地図データサーバ
102…通信部
104…制御部
105…地図データ記憶部
200…クライアント装置
210…ナビゲーション装置
211…GPS受信機
212…表示パネル
214…音声出力部
215…キー入力部
216…無線通信部
217…外部記憶部
218…主制御部
218M…撮像画像記憶部
220…撮像装置
300…自動車
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路の接続状況を表す道路ネットワークデータおよび通行規制に関する規制情報が含まれる地図データを記憶する地図データ記憶部と、
進行方向前方を撮影する撮像部と、
現在から過去の一定期間に撮像された撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、
前記道路ネットワークデータおよび規制情報に基づいて、目的地までの経路を案内する経路案内部と、
現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する逸脱判断部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、該逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮像画像を取得する逸脱情報取得部と
を備える地図データ誤り検査システム。
【請求項2】
前記逸脱情報取得部は、進行方向を変更する箇所で経路から逸脱したと判断された場合に、前記逸脱情報および前記撮像画像を取得する請求項1に記載の地図データ誤り検査システム。
【請求項3】
前記逸脱情報取得部で取得された撮像画像を解析して、前記地図データに含まれる規制情報に誤りがあるか否かを判定する誤り判定部を更に備える請求項1または請求項2に記載の地図データ誤り検査システム。
【請求項4】
前記誤り判定部は、前記撮影画像をパターンマッチングにより解析することで規制情報を抽出して該規制情報に誤りがあるか否かを判定する請求項3に記載の地図データ誤り検査システム。
【請求項5】
地図データの誤りを検査する地図データ誤り検査装置と通信可能に接続されている地図データ誤り検査用端末装置であって、
進行方向前方を撮影する撮像部と、
現在から過去の一定期間に撮像された撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、
目的地までの経路を案内する経路案内部と、
現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する逸脱判断部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、前記逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮影画像を前記地図データ誤り検査装置に送信する送信部と
を備える地図データ誤り検査用端末装置。
【請求項6】
目的地までの経路の案内中に、現在から過去の一定期間に撮影された撮影画像を記憶部に記憶する工程と、
現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する工程と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、該逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮像画像を取得する逸脱情報取得工程と
をコンピュータが実行する地図データ誤り検査方法。
【請求項1】
道路の接続状況を表す道路ネットワークデータおよび通行規制に関する規制情報が含まれる地図データを記憶する地図データ記憶部と、
進行方向前方を撮影する撮像部と、
現在から過去の一定期間に撮像された撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、
前記道路ネットワークデータおよび規制情報に基づいて、目的地までの経路を案内する経路案内部と、
現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する逸脱判断部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、該逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮像画像を取得する逸脱情報取得部と
を備える地図データ誤り検査システム。
【請求項2】
前記逸脱情報取得部は、進行方向を変更する箇所で経路から逸脱したと判断された場合に、前記逸脱情報および前記撮像画像を取得する請求項1に記載の地図データ誤り検査システム。
【請求項3】
前記逸脱情報取得部で取得された撮像画像を解析して、前記地図データに含まれる規制情報に誤りがあるか否かを判定する誤り判定部を更に備える請求項1または請求項2に記載の地図データ誤り検査システム。
【請求項4】
前記誤り判定部は、前記撮影画像をパターンマッチングにより解析することで規制情報を抽出して該規制情報に誤りがあるか否かを判定する請求項3に記載の地図データ誤り検査システム。
【請求項5】
地図データの誤りを検査する地図データ誤り検査装置と通信可能に接続されている地図データ誤り検査用端末装置であって、
進行方向前方を撮影する撮像部と、
現在から過去の一定期間に撮像された撮像画像を記憶する撮像画像記憶部と、
目的地までの経路を案内する経路案内部と、
現在位置を表す現在位置情報を取得する現在位置取得部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する逸脱判断部と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、前記逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮影画像を前記地図データ誤り検査装置に送信する送信部と
を備える地図データ誤り検査用端末装置。
【請求項6】
目的地までの経路の案内中に、現在から過去の一定期間に撮影された撮影画像を記憶部に記憶する工程と、
現在位置が前記経路から逸脱したか否かを判断する工程と、
前記現在位置が前記経路から逸脱したと判断された場合に、該逸脱したことを表す逸脱情報および前記撮像画像を取得する逸脱情報取得工程と
をコンピュータが実行する地図データ誤り検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−223901(P2010−223901A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−74241(P2009−74241)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】
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