説明

地図中ランドマークの選択方法およびナビゲーションシステム

【課題】ユーザが所望の地点を容易に選択することができること。
【解決手段】本発明に係る地図中ランドマークの選択方法は、紙面11中の位置を示す座標値へ変換可能なパターン15と重ねて、地図12中にランドマーク14が印刷された地図印刷媒体2を電子ペンにより読み取り、読み取った紙面11中の位置を示す読取座標値を生成するステップと、地図印刷媒体2に印刷されたランドマーク14に関する情報を、それぞれの地図印刷媒体2における印刷色およびそれぞれの地図印刷媒体2における印刷位置若しくは実際の所在地と対応づけて記憶する記憶手段46から、読取座標値を基準とした所定の抽出範囲8内の印刷位置若しくは実際の所在地および読取色と適合する印刷色に対応付けられたランドマーク14に関する情報を抽出するステップと、を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図中ランドマークの選択方法およびナビゲーションシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、目的地等の位置情報に基づいて経路を判断する推奨経路探索手段と、この推奨経路探索手段により判断された経路を表示する経路表示手段とを備えてユーザを目的地へと誘導する経路誘導装置を具備するナビゲーションシステムを開示する。そして、このナビゲーションシステムは、さらに、シート状の地図表示手段と、この地図表示手段に表示された地図上の位置を指示する位置情報指示手段と、この位置情報指示手段により指示された位置情報を読み取る位置情報読取手段と、この位置情報読取手段により読み取られた位置情報を前述した経路誘導装置に送信する位置情報送信手段とを備える位置指示装置を具備し、経路誘導装置は、位置指示装置からの位置情報を受信する位置情報受信手段を備える。
【0003】
特許文献2は、ペンによる筆記システムを開示する。このペンによる筆記システムは、筆記可能領域と筆記禁止領域とを色に関連付けて表わされたシートと、手で把持して筆記するペンと、ペンに設けられ、シート上における色を検出する検出手段と、検出手段により検出された色に基づき、ペンの筆記をシートの筆記可能領域のみに規制する規制手段と、を備える。
【0004】
【特許文献1】特開2003−287432号公報(特許請求の範囲など)
【特許文献2】特開2005−275519号公報(特許請求の範囲など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自動車などの車両に設置されるカーナビゲーションシステムなどのナビゲーションシステムにおいては、特許文献1にあるように、電子ペンにより印刷された地図中の地点を選択し、この選択された地点の位置情報を用いて案内経路を探索するようにすることで、ナビゲーション装置に対して目的地などを設定するための操作をしなくて済むようになる。ナビゲーション装置などの電子機器の操作を不得手とするユーザであっても、ナビゲーション装置に目的地などを容易に設定することができる。
【0006】
しかしながら、ユーザが電子ペンを用いて地図中の地点を指定した場合、その電子ペンを用いた指定により設定される地点が、ユーザが設定したい地点と必ずしも一致しない可能性がある。
【0007】
たとえば、電子ペンの読取位置がそのペン先からずれている場合、電子ペンの読み取りにより特定される地点は、ペン先が指す地点とは異なる地点となってしまう。なお、電子ペンは手に持って使用するものであるため、使用する人の手の大きさなどによりペンの傾き角度が変化し、電子ペンの読み取り位置はペン先と一致しなくなってしまう場合が多いものと予想される。
【0008】
この他にもたとえば、地図の縮尺が大きい場合、ペン先が指す位置が少しでもずれてしまうと、電子ペンの読み取りに基づいて特定される地点は、所望の地点とは異なる地点となってしまう。
【0009】
このように、単に電子ペンにより地図を読み取るようにするだけでは、ユーザが所望の地点を容易に選択できるようにはならない。
【0010】
そこで、本願発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ユーザが案内経路の目的地などとして選択する地点は、ほとんどの場合において施設などであり、しかも、その施設などは地図中にランドマークとして印刷することが可能なものであることを知得するに至り、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、地図中に施設などを示すランドマークを印刷するとともに、電子ペンなどの読取機器を用いてこの印刷されたランドマークを所望の地点として選択可能とすることにより、ユーザが所望の地点を容易に選択することができる地図中ランドマークの選択方法およびナビゲーションシステムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る地図中ランドマークの選択方法は、紙面中の位置を示す座標値へ変換可能なパターンと重ねて、地図中に色分けして複数のランドマークが印刷された地図印刷媒体を読取機器により読み取り、読み取った紙面中の位置を示す読取座標値を生成するステップと、読取機器により読み取るランドマークの色を示す読取色を取得するステップと、地図印刷媒体に印刷されたランドマークに関する情報を、それぞれの地図印刷媒体における印刷色およびそれぞれの地図印刷媒体における印刷位置若しくは実際の所在地と対応づけて記憶する記憶手段から、読取座標値を基準とした所定の抽出範囲内の印刷位置若しくは実際の所在地および読取色と適合する印刷色に対応付けられたランドマークに関する情報を抽出するステップと、を有するものである。
【0013】
本発明に係るナビゲーションシステムは、紙面中の位置を示す座標値へ変換可能なパターンと重ねて、地図中に色分けして複数のランドマークが印刷された地図印刷媒体と、パターンを読み取って、読み取った紙面中の位置を示す読取座標値を生成する読取機器と、読取機器により読み取るランドマークの色を示す読取色を取得する取得手段と、地図印刷媒体に印刷された複数のランドマークに関する情報を、それぞれの地図印刷媒体における印刷色およびそれぞれの地図印刷媒体における印刷位置若しくは実際の所在地と対応づけて記憶する記憶手段と、読取座標値を基準とした所定の抽出範囲内の印刷位置若しくは実際の所在地および読取色と適合する印刷色に対応付けられたランドマークに関する情報を記憶手段から抽出する抽出手段と、抽出手段により抽出されたランドマークに関する情報を用いて、案内経路を探索する探索手段と、を有するものである。
【0014】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、取得手段は、読取機器に設けられたキーデバイスに対する操作に基づいて読取色を取得するものであること、地図印刷媒体において色見本あるいは色分けされたマークと重ねて印刷されたパターンを読取機器により読み取ることに基づいて読取色を取得するものであること、あるいは、地図印刷媒体において色見本あるいは色分けされたマークを読取機器により読み取ることに基づいて読取色を取得するものである。
【0015】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の各構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、記憶手段は、各ランドマークに関する情報に対応付けて、地図中に印刷されたそれぞれの所在地の位置情報を記憶するとともに、地図の縮尺に応じた複数の抽出範囲として、それらの地図が印刷される紙面において共通の紙面サイズに相当するものを記憶する。また、抽出手段は、読取座標値を実際の位置情報へ変換した上で、その実際の位置情報と所在地との距離が、印刷された地図の縮尺に応じた抽出範囲内であるか否かを判断する。
【0016】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、抽出手段により複数のランドマークに関する情報が抽出された場合、探索手段は、読取機器が読み取った地点に最も近いランドマークをその中から選択し、その選択したランドマークへの案内経路を探索する。
【0017】
本発明に係るナビゲーションシステムは、上述した発明の構成に加えて以下の特徴を有するものである。すなわち、地図印刷媒体には、記憶手段に記憶されていないランドマークが印刷されている。
【発明の効果】
【0018】
本発明では、地図中に施設などを示すランドマークを印刷するとともに、電子ペンなどの読取機器を用いてこの印刷されたランドマークを所望の地点として選択可能とすることにより、ユーザが所望の地点を容易に選択することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係る地図中ランドマークの選択方法およびナビゲーションシステムを、図面に基づいて説明する。なお、ナビゲーションシステムは、自動車などの車両に設置されて、地図印刷媒体としての地図帳を電子ペンにより読み取り、この電子ペンにより読み取られた地点を案内経路の生成に用いるカーナビゲーションシステムを例に説明する。地図中ランドマークの選択方法は、このカーナビゲーションシステムの動作の一部として説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステム1を示すシステム構成図である。カーナビゲーションシステム1は、地図印刷媒体としての地図帳2と、この地図帳2中の地点を選択するための読取機器としての電子ペン3と、電子ペン3と通信可能なナビゲーション本体4と、を有する。なお、ナビゲーション本体4は、車両に対して固定的に設置されるものであっても、車両からはずすことができるように設置されるものであってもよい。
【0021】
図2は、図1中の地図帳2の1ページの紙面11を示す説明図である。なお、図2の紙面11の中心部分(区医師会館の右側)にある×印は、後述する電子ペン3により選択された場所を示すものであり、地図帳2の紙面11には印刷されない。また、この×印を中心とする点線円8は、後述する抽出範囲を示すものであり、地図帳2の紙面11には印刷されない。
【0022】
地図帳2の紙面11には、所定の地域の地図12が印刷されている。地図12中には、その中に存在する複数のランドマークが印刷されている。各ランドマークは、それぞれの所在地と重ねて印刷される長方形図形13およびランドマーク名称14により地図12に重ねて印刷されている。また、この複数のランドマーク名称14は、図2左側のリストに示すように、ランドマーク名称14毎に地図12中に色分けして印刷されている。たとえば、区医師会館と麻布病院とは青色の文字で印刷され、区医師会館に隣接する麻布図書館は茶色の文字で印刷されている。なお、ランドマーク名称14は、たとえば所定の範囲毎に同じ色が含まれないように色分けしても、ジャンル毎に色分けしてもよい。
【0023】
また、図2の地図帳2の紙面11には、地図12の下側に重なるように紙面11の全面に渡って、複数のドットからなるドットパターン15が印刷されている。ドットパターン15は、たとえば赤外線を吸収する白色系インクでシートに印刷され、たとえば6×6個のドットにより紙面11中の各位置を示す座標値へ変換可能なものである。この座標値は、たとえば図2での紙面11の右上角を基準とした(x,y)による二次元の座標値であり、このとき図2中の×印の地点の座標値は(x1,y1)となる。ドットパターン15は、地図12中に印刷された複数のランドマーク文字などと重ねて印刷されている。
【0024】
図3は、図1のカーナビゲーションシステム1の詳細な構成を示すブロック図である。
【0025】
電子ペン3は、図1に示すようにペン形状のハウジング21を有し、その側面に、カラー液晶パネル22と、キーデバイス23のボタン24とが配設されている。電子ペン3は、カラー液晶パネル22およびキーデバイス23の他に、図3に示すように、赤外線LED(Light Emitting Diode)25、赤外線カメラ26、通信I/(Inter Face)F27、これらが接続されるマイクロコンピュータ28、これらに給電する図示外のバッテリなどを有する。
【0026】
赤外線カメラ26は、たとえば赤外線用のCCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complementary Metal−Oxide Semiconductor)センサであり、受光した赤外線のパターンデータをマイクロコンピュータ28へ周期的に出力する。そして、赤外線LED25および赤外線カメラ26は、電子ペン3のペン先に向けて配設される。これにより、電子ペン3の赤外線カメラ26は、赤外線LED25がペン先に向けて照射した赤外線の地図帳2の紙面11による反射光を受光し、そのペン先付近のドットパターン15を周期的に読取ることができる。
【0027】
通信I/F27は、たとえばUSB(Universal Serial Bus)I/Fである。USBI/Fは、USBケーブル(通信ケーブル5)により接続された他の機器のUSBI/F(ここではナビゲーション本体4の通信I/F41)との間でデータを送受信する。なお、通信I/F27は、この他にもたとえばE/N(Ethernet(登録商標))ケーブルなどの通信ケーブル5により他の機器と接続されることにより通信をするものであっても、所謂ブルートゥース、赤外線通信、無線LAN(Local Area Network)などにより他の機器と通信をするものであってもよい。
【0028】
電子ペン3のマイクロコンピュータ28は、時刻や経過時間などを計測するタイマ29、メモリ30、図示外のCPU(Central Processing Unit)などを有する。メモリ30は、読取データ31、読取色データ32などの各種のデータを記憶する。CPUは、メモリ30に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、電子ペン3のマイクロコンピュータ28には、取得手段としての読取色判断部33、座標読取部34、送信部35などの機能が実現される。
【0029】
読取色判断部33は、キーデバイス23の操作に基づいて、地図帳2の紙面11に印刷されたランドマーク名称14の複数の色の中から1つを選択し、その選択した色をカラー液晶パネル22に表示させる。なお、読取色判断部33は、地図帳2の紙面11に印刷されたランドマーク名称14の複数の色のデータを事前に有するものであればよい。
【0030】
また、読取色判断部33は、選択した色の呼称(たとえば「青」など)をカラー液晶パネル22に表示させるようにしてもよい。また、読取色判断部33は、選択した色をメモリ30に記憶させる。これにより、メモリ30には、読取色データ32が記憶される。
【0031】
座標読取部34は、赤外線カメラ26から周期的に供給される各パターンデータを解析し、各パターンデータにコード化されている読取座標値を生成する。座標読取部34は、生成した読取座標値に、タイマ29で計測される現在時刻とを対応付けて、メモリ30に記憶させる。これにより、メモリ30には、読取データ31が記憶される。読取データ31は、座標読取部34が生成した複数の読取座標値からなる筆跡データと、各読取座標値の読取時刻を示す複数の時刻情報とにより構成されている。
【0032】
送信部35は、電子ペン3の通信I/F27による通信を管理する。送信部35は、メモリ30に記憶させる読取データ31を、送信のために電子ペン3の通信I/F27へ供給する。
【0033】
ナビゲーション本体4は、通信I/F41、液晶デバイス42、タッチパネルなどの入力デバイス43、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPS受信デバイス44、これらが接続されるマイクロコンピュータ45などを有する。
【0034】
ナビゲーション本体4のマイクロコンピュータ45は、記憶手段としてのメモリ46、図示外のCPUなどを有する。メモリ46は、受信データ47、変換テーブル48、縮尺データベース49、解析データ50、ランドマークDB(データベース)51、抽出地点リスト52、ナビゲーションデータ53、案内経路データ54などの各種のデータを記憶する。CPUは、メモリ46に記憶される図示外のプログラムを読み込んで実行する。これにより、ナビゲーション本体4のマイクロコンピュータ45には、現在位置生成部55、受信部56、抽出手段の一部としての変換部57、抽出手段の一部としての地点選択部58、探索手段としての経路探索部59、UI(User Interface)部60などの機能が実現される。
【0035】
なお、上述した電子ペン3のメモリ30に記憶されるプログラムおよびナビゲーション本体4のメモリ46に記憶されるプログラムは、これらの機器の出荷前にメモリ30,46に記憶されたものであっても、これらの機器の出荷後にメモリ30,46に記憶されたものであってもよい。また、メモリ30,46に記憶されるプログラムの一部が、これらの機器の出荷後に記憶されたものであってもよい。このように出荷後にメモリ30,46に記憶されるプログラムは、たとえばCD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)や半導体メモリなどのコンピュータ読取可能な記録媒体に記憶されているものをインストールしたものであっても、インターネットなどの伝送媒体を介してサーバ装置などからダウンロードしたものであってもよい。
【0036】
また、ナビゲーション本体4のメモリ46に記憶されるプログラムおよび上述した各種のデータは、その一部あるいは全部が、マイクロコンピュータ45外のたとえばHDDなどの外部記憶デバイスや、ナビゲーション本体4と着脱可能なたとえばメモリカードやCD−ROMに記憶されていてもよい。特に、変換テーブル48および縮尺データベース49は、地図帳2の印刷内容と密接に関連するデータを有するので、ナビゲーション本体4から着脱可能なメモリカードに記憶され、地図帳2とともにユーザへ提供されるようにするとよい。これにより、ナビゲーション本体4は、各地図帳2などに対応するメモリカードが交換して装着されることで、複数の地図帳2などに対応することができる。
【0037】
現在位置生成部55は、GPS受信デバイス44が受信した電波に基づいて車両の現在位置の緯度経度値を生成する。なお、ナビゲーション本体4にジャイロセンサやD(Differential)−GPS用のFM(Freqency Modulation)電波などを受信する機能を有する場合、現在位置生成部55は、これらの機能により得られる情報に基づいて車両の現在位置の緯度経度値を生成したり、これらの機能に基づいてGPS受信デバイス44に基づいて生成した緯度経度値を補正したりするようにしてもよい。
【0038】
受信部56は、ナビゲーション本体4の通信I/F41による通信を管理する。受信部56は、ナビゲーション本体4の通信I/F41が電子ペン3の通信I/F27からデータを受信すると、そのデータをメモリ46に保存する。これにより、メモリ46には、受信データ47が記憶される。なお、ナビゲーション本体4の通信I/F41が電子ペン3の通信I/F27から読取データ31を受信した場合、メモリ46には、読取データ31と同一内容の受信データ47が記憶されることになる。
【0039】
変換部57は、メモリ46に読取データ31および読取色データ32としての受信データ47が記憶されている場合に、この受信データ47、変換テーブル48および縮尺データベース49を用いて、地点を抽出するための条件を決定し、メモリ46に保存する。これにより、メモリ46には、解析データ50が記憶される。
【0040】
図4は、図3中の変換テーブル48のデータ構造の一例を示す説明図である。変換テーブル48は、地図帳2に印刷されるドットパターン15により得られる複数の座標値を有する。また、変換テーブル48において、各座標値には、その座標値がコード化されたドットパターン15と重ねて印刷される地図12中の地点の緯度経度値が対応付けられている。たとえば図2中の×印の地点のドットパターン15にコード化される座標値(x1,y1)には、北緯35度39分17秒および東経139度44分07秒の緯度経度値が対応付けられている。
【0041】
図5は、図3中の縮尺データベース49のデータ構造の一例を示す説明図である。縮尺データベース49は、地図帳2に印刷される複数の地図12の縮尺を記憶する。各縮尺には、後述する抽出範囲のサイズ(半径)を示す抽出範囲サイズ情報が対応付けられている。たとえば、10万分の1の縮尺には、半径2キロメートルの抽出範囲サイズ情報が対応付けられている。この複数の抽出範囲サイズ情報は、地図12の縮尺に応じた複数の抽出範囲の情報となる。なお、この図3中の複数の抽出範囲のサイズ(半径)は、地図帳2の紙面11において所定の共通のサイズ(たとえば半径2センチメートル)となるものである。
【0042】
図6は、図3中の解析データ50のデータ構造の一例を示す説明図である。解析データ50は、たとえば電子ペン3により選択された地点を中心として、選択をした地図12の縮尺に応じた抽出範囲内のランドマークであって、且つ電子ペン3により選択された読取色により印刷されているランドマークを抽出するための条件を有する。このために解析データ50は、たとえば、抽出範囲の中心の緯度経度地と、抽出範囲の半径と、電子ペン3により選択された読取色とを有する。図6の解析データ50は、図2中の×印の地点の緯度経度値と、半径2キロメートルと、青色とを有する。
【0043】
図3中の地点選択部58は、解析データ50およびランドマークDB51を用いて、解析データ50の抽出条件に合致するランドマークの情報(ここではそのランドマークの緯度経度値など)を抽出する。地点選択部58は、この抽出したランドマークの情報をメモリ46に保存する。これにより、メモリ46中の抽出地点リスト52には、電子ペン3により選択された条件に合致するランドマークに関する情報が記憶される。
【0044】
図7は、図3中のランドマークDB51のデータ構造の一例を示す説明図である。ランドマークDB51は、ランドマーク毎の複数のレコードを有する。各レコードは、ランドマークに関する情報としてのランドマーク名称、そのランドマークの実際の所在地の緯度経度値、そのランドマーク名称の地図帳2における印刷色などの情報を有する。図7のランドマークDB51において、図2の紙面11に印刷された区医師会館のレコードは、区医師会館、北緯35度39分17秒、東経139度44分07秒および青色の情報を有する。また、麻布病院のレコードは、麻布病院、北緯35度39分17秒、東経139度44分06秒および青色の情報を有する。
【0045】
図8は、図3中の抽出地点リスト52のデータ構造の一例を示す説明図である。抽出地点リスト52は、地点選択部58によりランドマークDB51から抽出されたランドマークの情報を記憶するものである。抽出地点リスト52は、複数のランドマークの情報を記憶することができる。各ランドマークの情報は、ランドマーク名称、緯度経度値などの情報を有する。図8の抽出地点リスト52は、区医師会館および麻布病院の2つのランドマークに関する情報を記憶するものである。
【0046】
図3中の経路探索部59は、抽出地点リスト52に登録されるランドマークの情報およびナビゲーションデータ53を用いて、案内経路を探索する。たとえば、経路探索部59は、抽出地点リスト52に登録される1つのランドマークへの案内経路を探索する。また、抽出地点リスト52に2つ以上のランドマークの情報が登録されている場合、この実施の形態の経路探索部59は、その中の1つをユーザに選択させ、その選択された1つのランドマークへの案内経路を探索する。そして、経路探索部59は、探索により生成した案内経路をメモリ46に記憶させる。これにより、メモリ46には、案内経路データ54が記憶される。
【0047】
図3中のナビゲーションデータ53は、たとえば地図表示データ、複数のノードデータ、複数のリンクデータ、複数の施設データなどを有する。地図表示データは、液晶デバイス42に地図を表示させるためのデータであり、たとえば地図帳2に掲載される地図12などを画像データ化したものである。ノードデータは、交差点や曲がり角の地点のデータであり、たとえばその地点の名称や緯度経度値などの属性情報を有する。リンクデータは、交差点と交差点とを結ぶ道路区間に対応付けられるデータであり、たとえばそれが接続される複数のノードの情報や道路名などの属性情報を有する。施設データは、会社、ビル、展示場などの施設に関するデータであり、たとえば各施設の名称を示すテキストデータや緯度経度値などの属性情報を有する。
【0048】
次に、以上の構成を有するカーナビゲーションシステム1の動作を説明する。以下の説明では、通信ケーブル5により電子ペン3をナビゲーション本体4に接続した状態で、ユーザが図2中の区医師会館を電子ペン3により選択する場合における動作を例に説明する。
【0049】
ユーザがUSBケーブルなどの通信ケーブル5により電子ペン3とナビゲーション本体4とを接続すると、電子ペン3の通信I/F27と、ナビゲーション本体4の通信I/F41とは、互いに通信可能になる。
【0050】
また、電子ペン3により図2中の×印を選択する操作がなされる際、電子ペン3の赤外線カメラ26は、シートにより反射された赤外線を受光し、赤外線のパターンデータを周期的に出力する。赤外線は、シートに印刷されたドットパターン15により吸収される。座標読取部34は、赤外線カメラ26から周期的に供給されるこのドットパターン15を解析し、読取座標値を生成する。座標読取部34は、生成した読取座標値に、タイマ29で計測される現在時刻とを対応付けて、メモリ30に記憶させる。これにより、メモリ30には、図2の×印の地点と重ねて印刷されるドットパターン15にコード化された座標値を有する読取データ31が記憶される。
【0051】
また、ユーザにより電子ペン3のボタン24が操作されると、電子ペン3の読取色判断部33は、キーデバイス23からの操作データに基づいて、地図帳2の紙面11に印刷されたランドマーク名称14の複数の色の中から1つを選択し、その選択した色をカラー液晶パネル22に表示させる。図2中の区医師会館を選択する場合、ユーザは、カラー液晶パネル22に青色が表示されるようにボタン24を操作する。これにより、読取色判断部33は、青色を選択し、選択した青色をメモリ30に記憶させる。メモリ30中の読取色データ32の値は青色となる。
【0052】
メモリ30に新しい読取データ31および読取色データ32が記憶されると、電子ペン3の送信部35は、これらのデータを読み込んで、送信データとして通信I/F27へ供給する。電子ペン3の通信I/F27は、供給された送信データを、通信ケーブル5を介してナビゲーション本体4の通信I/F41へ送信する。ナビゲーション本体4の受信部56は、通信I/F41が受信したデータを取得し、メモリ46に記憶させる。これにより、ナビゲーション本体4のメモリ46には、電子ペン3において生成された読取データ31および読取色データ32と同じデータが、受信データ47として記憶される。
【0053】
図9は、図3中の変換部57が実行する解析処理の流れを示すフローチャートである。変換部57は、読取データ31および読取色データ32が受信データ47としてナビゲーション本体4のメモリ46に記憶されると、解析処理を開始する。
【0054】
読取データ31および読取色データ32を受信したと判断した後(ステップST1でYes)、変換部57は、読取データ31に含まれる読取座標値を緯度経度値へ変換する(ステップST2)。具体的には、変換部57は、読取データ31に含まれる読取座標値から1つの読取座標値(たとえば重心位置の読取座標値)を特定し、変換テーブル48からその特定した読取座標値に対応付けられている緯度経度値を取得する。変換部57は、図4の変換テーブル48を参照して、読取座標値(x1,y1)から、北緯35度39分17秒および東経139度44分07秒の緯度経度値を取得する。
【0055】
読取座標値を緯度経度値へ変換した後、変換部57は、その緯度経度値を中心とする円形の抽出範囲を決定する(ステップST3)。たとえば、変換部57は、まず、緯度経度値を読み込んだ変換テーブル48における複数の座標値と複数の緯度経度値との対応関係から、電子ペン3により読み取られた地図12の縮尺を推定する。次に、変換部57は、縮尺データベース49において、推定した縮尺に対応付けられている抽出範囲サイズを取得する。変換部57は、たとえば地図12の縮尺を10万分の1と推定し、抽出範囲サイズ情報として半径2キロメートルを取得する。
【0056】
その後、変換部57は、読取座標値を変換することにより取得した緯度経度値と、読み取られた地図12の縮尺に基づいて取得した抽出範囲サイズ(半径)と、読取色データ32に格納されている色情報とを、メモリ46に保存する(ステップST4)。これにより、メモリ46には、図6に示す解析データ50が記憶される。また、変換部57は、地点選択処理を指示し(ステップST5)、解析処理を終了する。
【0057】
図10は、図3中の地点選択部58が実行する地点選択処理の流れを示すフローチャートである。地点選択部58は、上述した変換部57からの指示などに基づいて、抽出地点リスト52の生成処理を開始する。
【0058】
地点選択部58は、図7のランドマークDB51から1つのランドマークに関する情報を取得した後(ステップST11)、取得した緯度経度値と解析データ50中の中心地点の緯度経度値との距離を演算し、その距離が解析データ50中の半径以下であるか否かを判断する(ステップST12)。そして、取得したランドマークと解析データ50中の中心地点との距離が解析データ50中の半径以下でない場合(ステップST12でNoの場合)、地点選択部58は、そのランドマークに関する処理を終了する。
【0059】
取得したランドマークと解析データ50中の中心地点との距離が解析データ50中の半径以下である場合(ステップST12でYesの場合)、地点選択部58は、さらに、ランドマークDB51から取得した色情報と解析データ50中の読取色とが一致(合致)しているか否かを判断する(ステップST13)。そして、取得したランドマークの印刷色と解析データ50中の読取色とが一致(合致)していない場合(ステップST13でNoの場合)、地点選択部58は、そのランドマークに関する処理を終了する。
【0060】
ランドマークDB51から取得した色情報と解析データ50中の読取色とが一致(合致)している場合(ステップST13でYesの場合)、地点選択部58は、そのランドマークDB51から取得したランドマークに関する情報を抽出地点リスト52に追加し(ステップST14)、そのランドマークに関する処理を終了する。
【0061】
ランドマークDB51から取得した各ランドマークに関する処理を終えると、地点選択部58は、ランドマークDB51の最後のレコードまでの処理を終えたか否かを判断する(ステップST15)。そして、ランドマークDB51の最後のレコードまでの処理を終えていない場合(ステップST15でNoの場合)、地点選択部58は、以上の比較処理(ステップST11〜ST14)を繰り返す。すなわち、地点選択部58は、ランドマークDB51中から次のランドマーク情報を読み込み(ステップST11)、読み込んだランドマークが電子ペン3により読み取った中心地点から所定の距離以内であって且つ読取色が印刷色と一致(合致)するものである場合、そのランドマークの情報を抽出地点リスト52に追加する(ステップST14)。
【0062】
また、ランドマークDB51の最後のレコードまでの処理を終える(ステップST15でYesの場合)と、地点選択部58は、経路探索を指示し(ステップST16)、地点選択処理を終了する。地点選択処理が終えたとき、ナビゲーション本体4のメモリ46には、電子ペン3により選択された地点の情報として、図8の抽出地点リスト52が記憶される。図8の抽出地点リスト52には、区医師会館および麻布病院の2つの地点(ランドマーク)に関する情報が登録されている。
【0063】
図11は、図3中の経路探索部59などが実行する経路探索処理の流れを示すフローチャートである。経路探索部59は、上述した地点選択部58からの指示などに基づいて、抽出地点リスト52中の1つの地点への案内経路を探索する。
【0064】
経路探索部59は、まず、メモリ46から抽出地点リスト52を取得し(ステップST21)、リストに抽出された地点(ランドマーク)の個数を判断する。抽出地点リスト52に抽出された抽出地点数が0である場合(ステップST22でYesの場合)、経路探索部59は、経路探索処理を終了する。また、抽出地点リスト52に抽出された抽出地点数が1つである場合(ステップST22でNo且つステップST23でNoの場合)、経路探索部59は、その抽出地点への案内経路の探索処理(ステップST26)を開始する。
【0065】
さらに、図6に示すように抽出地点リスト52に抽出された抽出地点数が2つ以上である場合(ステップST22でNo且つステップST23でYesの場合)、経路探索部59は、抽出地点リスト52をUI部60へ供給し、抽出地点リスト52を表示させる(ステップST24)。UI部60は、供給された抽出地点リスト52を液晶デバイス42に表示させる。
【0066】
図12は、図6の抽出地点リスト52を表示するために、図3中の液晶デバイス42に表示される表示画面の一例を示す図である。図12の表示画面には、区医師会館の選択ボタン71と、麻布病院の選択ボタン72と、再選択ボタン73とが表示されている。また、区医師会館の選択ボタン71および麻布病院の選択ボタン72は、電子ペン3により選択された図2中の×印に近い地点から順番に表示されている。この表示の下で入力デバイス43が操作されると、UI部60は、選択されたボタン71,72,73に応じた入力データを経路探索部59へ供給する。
【0067】
図2中の区医師会館を電子ペン3により選択したユーザは、その所望の地点(ランドマーク)の名称が液晶デバイス42に表示されているので、区医師会館の選択ボタン71を操作する。経路探索部59は、この操作に基づいてUI部60から供給される入力データに基づいて、ステップST25において1つの地点(区医師会館)が選択されたと判断し、その1つの選択地点への案内経路の探索処理(ステップST26)を開始する。なお、再選択ボタン73が操作された場合、経路探索部59は、地点が選択されなかったと判断し(ステップST25でNoと判断し)、経路探索処理を終了する。
【0068】
このように、抽出地点リスト52に1つの地点(ランドマーク)のみが記憶されていたり、抽出地点リスト52中の1つの地点(ランドマーク)が選択されたりすると、経路探索部59は、その1つの地点(ランドマーク)への案内経路の探索処理(ステップST26)を開始する。
【0069】
案内経路の探索処理において、経路探索部59は、ナビゲーションデータ53を用いて、現在位置生成部55が生成する現在位置の緯度経度値から、選択された1つの地点(ランドマーク:区医師会館)の緯度経度値まで移動する案内経路を探索する。そして、経路探索部59は、探索した案内経路をメモリ46に保存する(ステップST27)。これにより、メモリ46には、選択された1つの地点(ランドマーク:区医師会館)への案内経路データ54が記憶される。
【0070】
メモリ46に新たな案内経路データ54が記憶されると、UI部60は、その案内経路データ54を読み込み、ユーザに案内経路を確認させるための画面を液晶デバイス42に表示させる(ステップST28)。なお、UI部60は、案内経路データ54とともにナビゲーションデータ53中の地図表示データを読み込み、案内経路を地図12上に重ねて表示する表示画面を液晶デバイス42に表示させるようにしてもよい。
【0071】
その後、ナビゲーション本体4が設置された車両が移動を開始したり、あるいは、ナビゲーション本体4の入力デバイス43に対して所定の案内開始操作がなされたりすると、ナビゲーション本体4のUI部60は、メモリ46に記憶されている案内経路データ54による経路案内を開始する。UI部60は、たとえばナビゲーションデータ53から地図表示データを読み込み、液晶デバイス42に、現在位置生成部55が生成する現在位置を中心とした地図12を表示させる。また、UI部60は、その地図12に案内経路の一部を重ねて表示させる。UI部60は、現在位置が案内経路の曲がり角などに近づくとその旨を音声などにより報知し、経路を案内する。UI部60は、案内経路の終点、すなわちたとえば区医師会館に到達したと判断すると、経路案内を終了する。
【0072】
以上のように、この実施の形態によれば、地図帳2の紙面11には、複数のランドマーク名称14が色分けされた地図12と重ねて、その紙面11中の位置を示す座標値へ変換可能なドットパターン15が印刷され、電子ペン3は、そのドットパターン15を読み取って読取座標値(読取データ31)を生成する。また、電子ペン3の読取色判断部33は、電子ペン3のボタン24操作に基づいて読取色を特定し、読取色データ32を生成する。また、ナビゲーション本体4のメモリ46には、地図12中の複数のランドマーク名称14が、それぞれの印刷色およびそれぞれの実際の所在地を示す緯度経度値と対応づけたランドマークDB51が記憶されている。そして、ナビゲーション本体4の変換部57および地点選択部58は、このランドマークDB51から、電子ペン3により生成された読取座標値を中心とした所定の抽出範囲内の緯度経度値および読取色と一致(合致)する印刷色に対応付けられた緯度経度値を抽出し、経路探索部59は、抽出された1つの緯度経度値への案内経路を探索する。
【0073】
したがって、ユーザは、地図12中に印刷されているランドマーク名称14を電子ペン3により選択することにより、所望の地点を容易に選択し、案内経路の生成に利用させることができる。すなわち、ユーザは、電子ペン3により地図12中の所望の地点をピンポイント的に精度良く読み取らせる必要は無い。また、ユーザは、たとえばランドマーク名称14が地図12中において実際の所在地とは異なる位置に印刷されていたとしても、その印刷箇所の付近を電子ペン3により読み取らせることができ、電子ペン3による読取位置を迷ってしまうことがない。さらに、所定の抽出範囲が設定されているので、ユーザは、電子ペン3により所望の地点が読み取られたか否かを不安に思う必要がない。
【0074】
しかも、地図帳2において、電子ペン3による読取位置を基準として所定の抽出範囲内に複数のランドマーク名称14が印刷されている場合であっても、変換部57および地点選択部58は、その複数のランドマーク名称14の中の一部のもの(たとえば区医師会館および麻布病院)を選択して抽出することができる。抽出範囲内のすべてのランドマーク名称14(図2では9つ)が抽出されてしまわないようすることができる。
【0075】
その結果、たとえば地図12の縮尺が小さいために複数のランドマーク名称14が密集して印刷されている場合であっても、読取色の指定によって、ユーザは所望の地点(たとえば区医師会館)を容易に選択することができる。また、ランドマーク名称14は色により分類されているので、ランドマーク名称14を絞り込むための指示をするために、ユーザに特別な知識を強要してしまうこともない。
【0076】
しかも、たとえば地図12の縮尺を低いものに制限したり、ランドマーク名称14の印刷サイズを小さくしたりするなどして、地図12中でのランドマーク名称14の密集度を抑える必要がないため、ユーザは大きい縮尺の地図12において読み取り易い適切な印刷サイズで印刷されているランドマーク名称14を容易に選択することが可能となる。
【0077】
また、この実施の形態の読取色判断部33は、電子ペン3に設けられたボタン24の操作に基づいて読取色を取得する。したがって、電子ペン3でのボタン24操作に基づいて、読取色判断部33は読取色を取得することができる。読取色判断部33に読取色を取得させるために、ナビゲーション本体4に対する操作をする必要がない。
【0078】
また、この実施の形態では、ナビゲーション本体4のメモリ46は、ランドマークDB51において、各ランドマーク名称に対応付けて、地図12中に印刷されたそれぞれの所在地を示す緯度経度値を記憶するとともに、縮尺データベース49において、地図12の縮尺に応じた複数の抽出範囲として、それらの地図12が印刷される紙面11において共通の紙面サイズに相当するものを記憶する。そして、地点選択部58は、読取座標値を緯度経度値へ変換した上で、その読取位置(中心位置)の緯度経度値と各ランドマークの緯度経度値とから演算される距離が、地図12の縮尺に応じた抽出範囲内であるか否かを判断する。
【0079】
したがって、ナビゲーション本体4のメモリ46に記憶させる各ランドマークの位置情報として、そのランドマークの印刷位置を用いる必要がない。各ランドマークの実際の位置情報を、紙面11での印刷位置に対応付けるように変換する必要がない。ナビゲーション本体4のメモリ46に記憶させる情報を得るための作業量を減らすことができる。
【0080】
しかも、この抽出範囲は、地図12の縮尺に関係なく、所定の共通の紙面サイズとなるように決定されている。したがって、たとえば紙面11における座標値の差に基づいて抽出を判断する場合と同様に、電子ペン3による読取位置のあいまいさとして、紙面11において一定のサイズを提供することができる。仮にたとえばその読取位置のあいまいさが地図12の縮尺毎に異なっていて、異なる縮尺の地図12において揃っていない場合には、ユーザは地図12の読取の度にそれぞれの読取位置のあまいさを意識する必要が生じてしまうことになるが、この実施の形態では、そのような自体を生じてしまうことはない。ユーザに負担が生じてしまうことはない。
【0081】
以上の実施の形態は、本発明の好適な実施の形態の例であるが、本発明は、これに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形や変更が可能である。
【0082】
上記実施の形態では、ランドマーク名称14を有する地図12およびドットパターン15は、地図帳2に印刷されている。この他にもたとえば、ランドマーク名称14を有する地図12およびドットパターン15は、観光案内チラシなどのシートに印刷されていてもよい。
【0083】
上記実施の形態では、地図12中において、ランドマーク名称14が色分けして印刷されている。この他にもたとえば、地図12中において、地図記号などのランドマーク記号16が色分けして印刷されていてもよい。
【0084】
図13は、地図記号などによるランドマーク記号16が色分けして印刷されている地図帳2の紙面11を示す説明図である。たとえば、区医師会館の所在地には、青色のビルのマークが重ねて印刷され、麻布病院の所在地には、青色の病院地図記号が重ねて印刷されている。
【0085】
上記実施の形態では、紙面11中の位置を示す座標値は、ドットパターン15にコード化されている。この他にもたとえば、紙面11中の位置を示す座標値は、QR(Quick Response)コード、バーコードなどにコード化されていてもよい。また、これら電子ペン3で読取可能なパターンには、複数枚の地図12において共通する1つの座標系での座標値がコード化されていてもよい。
【0086】
上記実施の形態では、地図帳2に印刷されたドットパターン15は、電子ペン3により読み取られている。この他にもたとえば、地図帳2に印刷されたパターンは、カメラ付きの携帯電話端末や携帯情報端末などで読み取るようにしてもよい。
【0087】
上記実施の形態では、電子ペン3に設けられたボタン24の操作に基づいて読取色判断部33により読取色が取得されている。この読取色判断部33は、ナビゲーション本体4に設けられていてもよい。また、地図帳2あるいはそれとは別のコマンドシートに、色見本あるいは色分けした凡例マーク(ランドマーク記号16)を印刷し、読取色判断部33は、これらと重ねて印刷されたドットパターン15を電子ペン3が読み取ること基づいて読取色を取得するものであっても、印刷された色そのものを電子ペン3の図示外の可視光カメラにより直接読み取ること基づいて読取色を取得するものであってもよい。他にもたとえば、電子ペン3の図示外の可視光カメラは、地図12中に色分けして印刷されたランドマーク名称14やランドマーク記号16そのものの色を読み取るようにしてもよい。さらに他にもたとえば、変換部57は、地図12中に色分けして印刷されたランドマーク名称14やランドマーク記号16を解析してその文字列あるいは記号を認識し、地点選択部58は、この認識された文字列あるいは記号を用いて、抽出する地点をさらに1点に絞り込むようにしてもよい。
【0088】
図14は、ランドマーク名称14が色分けされた地図12とともに、そのランドマーク名称14に使用している色の見本を示すパレットが印刷された地図帳2の紙面11の一例を示す図である。また、図15は、ランドマーク記号16が色分けされた地図12とともに、そのランドマーク記号16および使用している色の見本を示す凡例パレットが印刷された地図帳2の紙面11の一例を示す図である。これらの地図帳2の場合、ユーザは、地図12中の所望の地点(ランドマーク名称14あるいはランドマーク記号16)を読み取るとともに、パレット中の該当色を読み取るようにすればよい。これにより、読取色判断部33は、電子ペン3の図示外の可視光カメラが生成する読取画像の色成分を解析し、読取色を取得することができる。
【0089】
上記実施の形態では、ナビゲーション本体4のメモリ46は、ランドマークDB51において、地図12に色分けして印刷された複数のランドマーク名称に対応付けて、それぞれの緯度経度値を記憶している。この他にもたとえば、ナビゲーション本体4のメモリ46は、ランドマークDB51において、地図12に色分けして印刷された複数のランドマーク名称14に対応付けて、それぞれの印刷位置の座標値を記憶するようにしてもよい。この変形例の場合、変換テーブル48および縮尺データベース49が無くても、変換部57および地点選択部58は、ランドマークDB51から、抽出範囲中の読取色のランドマーク名称14を抽出することができる。
【0090】
上記実施の形態では、電子ペン3は、地図12中の1つの地点を選択している。この他にもたとえば、電子ペン3は、地図12中の複数の地点を選択するようにしてもよい。また、地点の選択毎に読取色が切り替えられるようにしてもよい。この変形例の場合、変換部57および地点選択部58は、電子ペン3による地図12中の選択毎にランドマークDB51から地点(ランドマーク)を抽出し、経路探索部59は、選択毎に抽出された複数の地点(ランドマーク)を順番に巡る案内経路を探索するようにするとよい。
【0091】
上記実施の形態では、ランドマークDB51は、ランドマークに関する情報としてランドマーク名称を有する。この他にもたとえば、ランドマークDB51は、ランドマークに関する情報として、施設の住所や電話番号などを有するものであってもよい。この変形例の場合、経路探索部59は、この抽出されたランドマークの住所や電話番号などを用いて、ナビゲーションデータ53中の施設データからそのランドマークの緯度経度値を得て、案内経路の探索に用いることができる。
【0092】
上記実施の形態では、地点選択部58は、ランドマークDB51において対応付けられている印刷色が読取色と一致(合致)しているランドマークの緯度経度値を抽出している。この他にもたとえば、地点選択部58は、ランドマークDB51において対応付けられている印刷色と読取色との色差が所定値以下で適合しているものを抽出するようにしてもよい。なお、可視色は、たとえばRGB(Red−Green−Blue)の色成分毎の0〜255の値の組合せにより表すことができる。
【0093】
上記実施の形態では、経路探索部59は、地点選択部58により2つ以上のランドマークが抽出されたら、それらを液晶デバイス42に表示させ、ユーザの選択に基づいて1つのランドマークを選択し、その選択したランドマークへの案内経路を探索している。この他にもたとえば、経路探索部59は、地点選択部58により2つ以上のランドマークが抽出されたら、その中から電子ペン3が読み取った地点に最も近いランドマークを選択し、その選択したランドマークへの案内経路を探索するようにしてもよい。
【0094】
ユーザは、電子ペン3を用いて所望の地点(ランドマーク)を選択するとき、その地点(ランドマーク)に近いところを電子ペン3により読み取らせようとするものである。したがって、この変形例であれば、経路探索部59は、ユーザが電子ペン3により選択しようとした所望の地点(ランドマーク)を適切に選択し、その所望の地点(ランドマーク)への案内経路を探索することができる。しかも、この変形例では、地点選択部58が所定の抽出範囲に基づいて抽出した後に、さらに経路探索部59がその中の1つを選択するので、電子ペン3による読取指定のあいまいさ(自由度)を許容しつつ、ユーザが望む地点(ランドマーク)を適切に選択することができる。
【0095】
上記実施の形態では、地図12中のすべてのランドマーク名称14は色分けされ、その色分けされたすべてのランドマーク名称は、ランドマークDB51に登録されている。この他にもたとえば、地図12中には、ランドマークDB51に登録されていないランドマーク名称14などが印刷されていてもよい。この変形例の場合、地図12中に印刷するすべてのランドマーク名称14などをランドマークDB51にデータ化する必要がない。ランドマーク名称14などによる地図帳2としての利便性を高めつつ、ランドマーク名称などをデータ化する作業を減らすことができる。
【0096】
また、この変形例の場合、地図12中において選択可能なランドマーク名称14の密集度を実質的に下げることができる。地図帳2などの発刊目的、たとえば観光案内などの目的に応じて、地図12に印刷されたランドマークによる情報量を減らすことなく、それぞれの目的に応じた必要十分なランドマークを読取可能とすることができる。地図帳2としての利便性を損なうことなく、ランドマークDB51の作成負荷を減らすことができる。
【0097】
上記実施の形態では、変換テーブル48、縮尺データベース49、ランドマークDB51は、ナビゲーション本体4のメモリ46に記憶され、変換部57および地点選択部58は、ナビゲーション本体4において実現されている。これらは、電子ペン3、携帯電話端末、携帯情報端末、パーソナルコンピュータ、あるいはナビゲーション本体4と通信可能な別体のユニットなどに設けられていてもよい。また、携帯電話端末、携帯情報端末、パーソナルコンピュータなどは、電子ペン3の機能を兼ね備えるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、カーナビゲーションシステムなどにおいて、所望の地点(ランドマーク)を容易に目的地などに設定するために好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係るカーナビゲーションシステムを示すシステム構成図である。
【図2】図2は、図1中の地図帳の1ページの紙面を示す説明図である。
【図3】図3は、図1のカーナビゲーションシステムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、図3中の変換テーブルの一例を示す説明図である。
【図5】図5は、図3中の縮尺データベースの一例を示す説明図である。
【図6】図6は、図3中の解析データの一例を示す説明図である。
【図7】図7は、図3中のランドマークDBの一例を示す説明図である。
【図8】図8は、図3中の抽出地点リストの一例を示す説明図である。
【図9】図9は、図3中の変換部による解析処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、図3中の地点選択部による地点選択処理を示すフローチャートである。
【図11】図11は、図3中の経路探索部による経路探索処理を示すフローチャートである。
【図12】図12は、図6の抽出地点リストの表示画面の一例を示す図である。
【図13】図13は、ランドマーク記号が色分けして印刷されている地図帳の紙面を示す説明図である。
【図14】図14は、ランドマーク名称が色分けされた地図とともに色見本パレットが印刷された地図帳の紙面の一例を示す図である。
【図15】図15は、ランドマーク記号が色分けされた地図とともに色見本凡例パレットが印刷された地図帳の紙面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0100】
1 カーナビゲーションシステム(ナビゲーションシステム)
2 地図帳(地図印刷媒体)
3 電子ペン(読取機器)
14 ランドマーク名称(地図中に色分けして印刷されるランドマーク)
15 ドットパターン(座標値へ変換可能なパターン)
23 キーデバイス
33 読取色判断部(取得手段)
46 メモリ(記憶手段)
49 縮尺データベース
51 ランドマークDB
57 変換部(抽出手段の一部)
58 地点選択部(抽出手段の一部)
59 経路探索部(探索手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙面中の位置を示す座標値へ変換可能なパターンと重ねて、地図中に色分けして複数のランドマークが印刷された地図印刷媒体を読取機器により読み取り、読み取った紙面中の位置を示す読取座標値を生成するステップと、
上記読取機器により読み取る上記ランドマークの色を示す読取色を取得するステップと、
上記地図印刷媒体に印刷された上記ランドマークに関する情報を、それぞれの上記地図印刷媒体における印刷色およびそれぞれの上記地図印刷媒体における印刷位置若しくは実際の所在地と対応づけて記憶する記憶手段から、上記読取座標値を基準とした所定の抽出範囲内の上記印刷位置若しくは実際の所在地および上記読取色と適合する上記印刷色に対応付けられた上記ランドマークに関する情報を抽出するステップと、
を有することを特徴とする地図中ランドマークの選択方法。
【請求項2】
紙面中の位置を示す座標値へ変換可能なパターンと重ねて、地図中に色分けして複数のランドマークが印刷された地図印刷媒体と、
上記パターンを読み取って、読み取った紙面中の位置を示す読取座標値を生成する読取機器と、
上記読取機器により読み取る上記ランドマークの色を示す読取色を取得する取得手段と、
上記地図印刷媒体に印刷された上記複数のランドマークに関する情報を、それぞれの上記地図印刷媒体における印刷色およびそれぞれの上記地図印刷媒体における印刷位置若しくは実際の所在地と対応づけて記憶する記憶手段と、
上記読取座標値を基準とした所定の抽出範囲内の上記印刷位置若しくは実際の所在地および上記読取色と適合する上記印刷色に対応付けられた上記ランドマークに関する情報を上記記憶手段から抽出する抽出手段と、
上記抽出手段により抽出された上記ランドマークに関する情報を用いて、案内経路を探索する探索手段と、
を有することを特徴とするナビゲーションシステム。
【請求項3】
前記取得手段は、前記読取機器に設けられたキーデバイスに対する操作に基づいて前記読取色を取得するものであること、前記地図印刷媒体において色見本あるいは色分けされたマークと重ねて印刷された前記パターンを前記読取機器により読み取ることに基づいて前記読取色を取得するものであること、あるいは、前記地図印刷媒体において色見本あるいは色分けされたマークを前記読取機器により読み取ることに基づいて前記読取色を取得するものであること、を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項4】
前記記憶手段は、各前記ランドマークに関する情報に対応付けて、地図中に印刷されたそれぞれの所在地の位置情報を記憶するとともに、地図の縮尺に応じた複数の前記抽出範囲として、それらの地図が印刷される紙面において共通の紙面サイズに相当するものを記憶し、
前記抽出手段は、前記読取座標値を実際の位置情報へ変換した上で、その実際の位置情報と上記所在地との距離が、印刷された前記地図の縮尺に応じた前記抽出範囲内であるか否かを判断すること、
を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項5】
前記抽出手段により複数の前記ランドマークに関する情報が抽出された場合、前記探索手段は、前記読取機器が読み取った地点に最も近いランドマークをその中から選択し、その選択したランドマークへの案内経路を探索すること、を特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。
【請求項6】
前記地図印刷媒体には、前記記憶手段に記憶されていないランドマークが印刷されていることを特徴とする請求項2記載のナビゲーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−209845(P2008−209845A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−48767(P2007−48767)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】