説明

地図情報提供システム、端末、地図情報提供方法、地図情報管理方法およびプログラム

【課題】地図情報の配信に起因するトラヒックの増大を防止することが可能な地図情報提供システムを提供する。
【解決手段】地図情報提供システム1は、基地局3を介して、端末5に、地図情報を提供する地図情報提供システムであって、複数の基地局3からなる基地局群ごとに、基地局群の通信エリアを表す通信エリア情報と、通信エリアに対応する地図情報とを、対応づけて格納する格納手段11と、端末5と基地局3との通信状況に基づいて、格納手段11が格納している通信エリア情報の中から、端末5が存在する通信エリアの通信エリア情報を特定する端末情報把握手段12と、端末情報把握手段12にて特定された通信エリア情報に対応する地図情報を、格納手段11から読み出し、その地図情報を、端末5に配信する配信手段13と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報提供システム、端末、地図情報提供方法、地図情報管理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図情報を使用したナビゲーションシステムが知られている。
【0003】
特許文献1には、地図情報記憶媒体から地図情報を読み込み、その地図情報を再生するナビゲーション装置が記載されている。なお、このナビゲーション装置は、情報センタから放送されたブロードキャスト情報を受信する。
【0004】
特許文献2には、移動機と、基地局と、基地局を介して移動機に地図情報を送信する統括局と、を含む地図情報提供システムが記載されている。統括局は、基地局に対応した地図情報を有する。統括局は、基地局を介して移動機から地図情報要求信号を受け付けると、移動機が在圏するゾーンの基地局に対応した地図情報を、移動機に送信する。
【特許文献1】特開2001−330444号公報
【特許文献2】特許第2815431号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ユーザは、特許文献1に記載のナビゲーション装置を使用する場合、ある程度広域にわたる地図情報を記憶した地図情報記憶媒体を取得(購入)する必要があった。さらに、ユーザは、地図情報記憶媒体を定期的に更新(再購入)し、地図情報を最新の状況を保つ必要があった。
【0006】
一方、特許文献2に記載の移動機は、統括局から地図情報を受信する。このため、移動機のユーザは、地図情報を記憶した地図情報記憶媒体を更新する必要がなくなる。
【0007】
しかしながら、特許文献2に記載の統括局は、移動機が基地局エリアを移動するたびに地図情報を送信するため、地図情報の配信が頻繁に生じる可能性がある。よって、地図情報の配信のために、トラヒックが増大してしまう可能性があった。
【0008】
本発明の目的は、上述した課題を解決することが可能な地図情報提供システム、端末、地図情報提供方法、地図情報管理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の地図情報提供システムは、基地局を介して、端末に、地図情報を提供する地図情報提供システムであって、複数の前記基地局からなる基地局群ごとに、当該基地局群の通信エリアを表す通信エリア情報と、当該通信エリアに対応する地図情報とを、対応づけて格納する格納手段と、前記端末と前記基地局との通信状況に基づいて、前記格納手段が格納している通信エリア情報の中から、当該端末が存在する通信エリアの通信エリア情報を特定する端末情報把握手段と、前記端末情報把握手段にて特定された通信エリア情報に対応する地図情報を、前記格納手段から読み出し、当該地図情報を、前記端末に配信する配信手段と、を含む。
【0010】
本発明の端末は、上記地図情報提供システムから、基地局を介して地図情報を受信する受信手段と、前記受信手段にて受信された地図情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された地図情報に応じた地図を表示する表示手段と、前記記憶手段に前記地図情報が記憶されている状況で、前記受信手段が新たな地図情報を受信した場合、当該新たな地図情報を前記記憶手段に記憶し、当該新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する制御手段と、を含む。
【0011】
本発明の地図情報提供方法は、基地局を介して、端末に、地図情報を提供する地図情報提供システムが行う地図情報提供方法であって、複数の前記基地局からなる基地局群ごとに、当該基地局群の通信エリアを表す通信エリア情報と、当該通信エリアに対応する地図情報とを、対応づけて格納手段に格納する格納ステップと、前記端末と前記基地局との通信状況に基づいて、前記格納手段が格納している通信エリア情報の中から、当該端末が存在する通信エリアの通信エリア情報を特定する端末情報把握手ステップと、前記特定された通信エリア情報に対応する地図情報を、前記格納手段から読み出し、当該地図情報を、前記端末に配信する配信ステップと、を含む。
【0012】
本発明の地図情報管理方法は、上記地図情報提供システムから基地局を介して地図情報を受信する端末が行う地図情報管理方法であって、前記地図情報を受信する受信ステップと、前記受信された地図情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、前記記憶手段に記憶された地図情報に応じた地図を表示する表示ステップと、前記記憶手段に前記地図情報が記憶されている状況で、新たな地図情報が受信された場合、当該新たな地図情報を前記記憶手段に記憶し、当該新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する制御ステップと、を含む。
【0013】
本発明のプログラムは、コンピュータを、複数の基地局からなる基地局群ごとに、当該基地局群の通信エリアを表す通信エリア情報と、当該通信エリアに対応する地図情報とを、対応づけて格納する格納手段、端末と前記基地局との通信状況に基づいて、前記格納手段が格納している通信エリア情報の中から、当該端末が存在する通信エリアの通信エリア情報を特定する端末情報把握手段、および、前記端末情報把握手段にて特定された通信エリア情報に対応する地図情報を、前記格納手段から読み出し、当該地図情報を、前記端末に配信する配信手段として機能させる。
【0014】
本発明のプログラムは、コンピュータを、請求項1から3のいずれか1項に記載の地図情報提供システムから、基地局を介して地図情報を受信する受信手段、前記受信手段にて受信された地図情報を記憶する記憶手段、前記記憶手段に記憶された地図情報に応じた地図を表示する表示手段、および、前記記憶手段に前記地図情報が記憶されている状況で、前記受信手段が新たな地図情報を受信した場合、当該新たな地図情報を前記記憶手段に記憶し、当該新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する制御手段として機能させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地図情報の配信に起因するトラヒックの増大を防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態の地図情報提供システムおよび端末を示したブロック図である。
【0018】
図1において、ブロードキャストナビゲーションサービス提供システム(以下、単に「提供システム」と称する。)1は、一般的に地図情報提供システムと呼ぶことができる。
【0019】
提供システム1は、移動通信ネットワーク2の中に存在する。なお、提供システム1は、移動通信ネットワーク2の外に存在し、移動通信ネットワーク2と通信してもよい。
【0020】
提供システム1は、複数の無線基地局3と通信する。
【0021】
各無線基地局3は、予め設定されたセル(通信ゾーン)を有する。また、各無線基地局3は、予め設定された複数のロケーションエリア4のいずれかに属する。
【0022】
ロケーションエリア4は、一般的に通信エリアと呼ぶことができる。少なくとも1つのロケーションエリア4は、無線基地局群を構成する複数の無線基地局3のセルにて構成される。
【0023】
図1では、ロケーションエリア4Aおよび4Bが示されている。なお、ロケーションエリア4の数は、2つに限らず、2つ以上であってもよい。
【0024】
ロケーションエリア4Aは、無線基地局3A1〜3A4のセルにて構成される。また、ロケーションエリア4Bには、無線基地局3B1〜3B4のセルにて構成される。なお、各ロケーションエリア4に含まれる無線基地局3の数は、4台に限らず適宜変更可能である。
【0025】
提供システム1は、いずれかの無線基地局3を介して、端末5と通信する。
【0026】
図2は、提供システム1を示したブロック図である。
【0027】
図2において、提供システム1は、地図情報格納部11と、端末情報把握部12と、地図情報配信部13と、配信周期管理部14と、地図情報更新部15とを含む。なお、提供システム1は、複数の装置にて構成されてもよいし、単一の装置で構成されてもよい。
【0028】
地図情報格納部11は、一般的に格納手段と呼ぶことができる。
【0029】
図3は、地図情報格納部11に格納される情報の一例を示した説明図である。
【0030】
図3において、地図情報格納部11には、ロケーションエリア(無線基地局群)ごとに、ロケーションエリア名11aと、ロケーションエリアを表す通信エリア情報11bと、ロケーションエリアに対応する地図情報11cとが、互いに対応づけて格納されている。
【0031】
図2に戻って、端末情報把握部12は、一般的に端末情報把握手段と呼ぶことができる。
【0032】
端末情報把握部12は、各無線基地局3と通信可能である。
【0033】
端末情報把握部12は、端末5と無線基地局3との通信状況に基づいて、地図情報格納部11が格納している通信エリア情報11b〜11bの中から、端末5が存在する通信エリアの通信エリア情報11bを特定する。
【0034】
また、端末情報把握部12は、提供システム1が使用するブロードキャストサービスに加入している端末、および、提供システム1が使用するブロードキャストナビゲーションサービスに加入している端末を表す加入情報を管理する。
【0035】
提供システム1が使用するブロードキャストサービスは、例えば、移動通信ネットワーク2が提供するCBS(Cell Broadcast Service)またはMBMS(Multimedia Broadcast and Multicast Service)であり、特定のセル内に位置する端末に対して所望の情報を放送的に配信するサービスである。
【0036】
また、端末情報把握部12は、提供システム1が提供するブロードキャストナビゲーションサービスを実行中の端末を表すサービス実行中端末情報を管理する。
【0037】
また、端末情報把握部12は、ブロードキャストナビゲーションサービスを実行中の端末が指定した目的地情報を管理する。
【0038】
地図情報配信部13は、一般的に配信手段と呼ぶことができる。
【0039】
地図情報配信部13は、端末情報把握部12が特定した通信エリア情報11bに対応する地図情報11cを、地図情報格納部11から読み出し、その地図情報11cを、端末5に配信する。
【0040】
地図情報配信部13は、例えば、ブロードキャストサービスを利用して、地図情報11cを配信する。
【0041】
配信周期管理部14は、一般的に管理手段と呼ぶことができる。
【0042】
配信周期管理部14は、地図情報の配信タイミングを表す配信タイミング情報を受け付けて管理する。
【0043】
地図情報更新部15は、一般的に地図情報更新手段と呼ぶことができる。
【0044】
地図情報更新部15は、地図情報格納部11内の地図情報を最新の状態に更新する。例えば、地図情報更新部15は、移動通信ネットワーク2の管理者が使用する管理者端末6から最新の地図情報を受け付けた場合、地図情報格納部11内の地図情報を、最新の地図情報に更新する。また、地図情報更新部15は、ユーザから最新の地図情報を受け付け、ユーザの操作に応じて、地図情報格納部11内の地図情報を最新の地図情報に更新してもよい。
【0045】
なお、提供システム1が1台の装置である場合、提供システム1は、例えば、CD−ROM、ハードディスクまたはメモリに記録されたプログラムに従って動作するコンピュータによって実現されてもよい。
【0046】
CD−ROM、ハードディスクまたはメモリは、一般的に、コンピュータにて読み取り可能な記録媒体と呼ぶことができる。
【0047】
この場合、このコンピュータは、そのプログラムを記録媒体から読み取り実行することによって、地図情報格納部11、端末情報把握部12、地図情報配信部13、配信周期管理部14、および、地図情報更新部15として機能する。
【0048】
図4は、端末5を示したブロック図である。
【0049】
端末5は、例えば、携帯電話またはPDA(Personal Digital Assistance)といった携帯端末、または、自動車等に搭載されたナビゲーション装置である。
【0050】
端末5は、移動通信部51と、地図情報管理部52と、GPS(Global Positioning System)制御部53と、地図情報表示部54と、入力部55とを含む。移動通信部51は、地図情報受信部51aを含む。地図情報管理部52は、記憶部52aと、制御部52bとを含む。
【0051】
移動通信部51は、一般的に通信手段と呼ぶことができる。移動通信部51は、無線基地局3を介して、提供システム1と通信する。
【0052】
地図情報受信部51aは、一般的に受信手段と呼ぶことができる。
【0053】
地図情報受信部51aは、提供システム1から配信された地図情報を受信する。例えば、地図情報受信部51aは、提供システム1からブロードキャストサービスを用いて配信された地図情報を受信する。
【0054】
地図情報管理部52は、一般的に地図情報管理手段と呼ぶことができる。地図情報管理部52は、地図情報受信部51aにて受信された地図情報を管理する。
【0055】
記憶部52aは、一般的に記憶手段と呼ぶことができる。記憶部52aは、地図情報受信部51aにて受信された地図情報を記憶する。
【0056】
制御部52bは、一般的に制御手段と呼ぶことができる。
【0057】
制御部52bは、地図情報受信部51aが図情報を受信した場合、その地図情報を記憶部52aに記憶する。
【0058】
また、制御部52bは、記憶部52aに地図情報が記憶されている状況で、地図情報受信部51aが新たな地図情報を受信した場合、新たな地図情報を記憶部52aに記憶し、その後、新たな地図情報が記憶される前に記憶部52aに記憶された地図情報を削除する。
【0059】
また、制御部52bは、入力部55から、一定時間を表す一定時間情報を受け付ける。
【0060】
制御部52bは、新たな地図情報を記憶部52aに記憶してから、一定時間情報にて表される一定時間が経過した後、新たな地図情報が記憶される前に記憶部52aに記憶された地図情報を削除する。
【0061】
GPS制御部53は、一般的に現在位置情報取得手段と呼ぶことができる。GPS制御部53は、GPSを用いて現在の位置情報を検出する。
【0062】
地図情報表示部54は、一般的に表示手段と呼ぶことができる。地図情報表示部54は、例えば、記憶部52a内の地図情報に応じた地図を表示する。
【0063】
入力部55は、一般的に入力手段と呼ぶことができる。入力部55は、ユーザの入力を受け付ける。
【0064】
なお、端末5は、例えば、CD−ROM、ハードディスクまたはメモリに記録されたプログラムに従って動作するコンピュータによって実現されてもよい。この場合、このコンピュータは、そのプログラムを記録媒体から読み取り実行することによって、移動通信部51、地図情報管理部52、GPS制御部53、地図情報表示部54、および、入力部55として機能する。
【0065】
次に、動作を説明する。
【0066】
図5は、提供システム1および端末5の動作を説明するためのフローチャートである。以下、図5を参照して、提供システム1および端末5の動作を説明する。
【0067】
まず、ステップ501では、端末5のユーザ(以下、単に「ユーザ」と称する。)は、端末5を移動通信ネットワーク2に加入させる。端末5は、移動通信ネットワーク2に加入すると、移動通信ネットワーク2が提供する移動通信サービス、並びに、付加サービスを利用できる状態になる。
【0068】
続いて、ステップ502では、端末5の電源が任意の地域でオンにされた際、端末5が在圏するロケーションエリアが変更になった際、または、移動通信ネットワーク2があらかじめ定めている周期が訪れた際に、端末5の移動通信部51は、移動通信ネットワーク2に位置登録を実施する。
【0069】
続いて、ステップ503では、ユーザは、端末5を操作して、目的地情報を、提供システム1に登録する。
【0070】
図1に示した例によれば、ユーザは、ロケーションエリア4Aに在圏している際に、ロケーションエリア4B内の、とある場所(目的地)に向かうことを決定した場合、端末5を操作して、その目的地の情報を提供システム1に登録する。
【0071】
具体的には、入力部55が受け付けたユーザに操作に応じて、移動通信部51が、直接若しくは間接的に提供システム1と通信を行う。提供システム1は、端末5を経由してユーザから目的地情報の指定を受け取る。
【0072】
なお、ユーザが目的地情報を指定する方法は、例えば、以下の2つの方法のいずれも用いることができる。
【0073】
(1)ユーザが、入力部55を用いて、目的地の住所を完全に指定して、指定された住所を提供システム1に送信・登録する。
【0074】
(2)まず、ユーザが、端末5を用いて目的地の住所の一部を指定して、その指定された住所の一部を提供システム1に送信する。その後、提供システム1が、地図情報配信部13を用いて、住所の一部に対応する目的地周辺の地図情報を、端末5に配信する。その後、ユーザが、端末5に表示された地図上の目的地を、入力部55を用いて指定し、その指定された目的地を提供システム1に送信・登録する。
【0075】
続いて、ステップ504、505では、提供システム1は、以下の処理を実行する。
【0076】
まず、端末情報把握部12は、端末情報把握部12が管理している加入情報に、端末5が含まれているかかどうか判断する。
【0077】
なお、加入情報は、提供システム1が使用するブロードキャストサービスに加入している端末、および、提供システム1が使用するブロードキャストナビゲーションサービスに加入している端末を表す。
【0078】
換言すると、端末情報把握部12は、端末5が、移動通信ネットワーク2が提供するブロードキャストサービスおよびブロードキャストナビゲーションサービスを受けられる状態にあるかどうかを判断する。
【0079】
端末5が、ブロードキャストサービスおよびブロードキャストナビゲーションサービスを受けられる場合、端末情報把握部12は、端末5と無線基地局3との通信状況に基づいて、地図情報格納部11が格納している通信エリア情報11b〜11bの中から、端末5が存在する通信エリアの通信エリア情報11bを特定する。
【0080】
図1に示した例では、端末情報把握部12は、ロケーションエリア4Aの通信エリア情報11bを特定する。
【0081】
端末情報把握部12は、端末5が在圏する通信エリアの通信エリア情報11bと、端末5が指定した目的地情報とを、端末情報把握部12に登録する。
【0082】
一方、端末5が、ブロードキャストサービスおよびブロードキャストナビゲーションサービスを受けられない場合、提供システム1(例えば、端末情報把握部12)は、サービスを受けられない旨とその理由を、端末5に送信する。
【0083】
端末5が在圏する通信エリアの通信エリア情報11bと目的地情報が、端末情報把握部12に登録されると、ステップ506では、地図情報配信部13は、端末情報把握部12が特定した通信エリア情報11bに対応する地図情報11cを、地図情報格納部11から読み出し、その地図情報11cを、移動通信ネットワーク2が提供するブロードキャストサービス(例えば、CBS、MBMS)を用いて、端末5に配信する。
【0084】
図1に示した例では、地図情報配信部13は、ロケーションエリア4Aの地図情報11cAを端末5に配信する。
【0085】
続いて、ステップ507では、端末5の地図情報受信部51aは、提供システム1から配信された地図情報11cを受信する。制御部52bは、地図情報受信部51aにて受信された地図情報11cを、記憶部52aに記憶する。
【0086】
続いて、制御部52bは、記憶部52a内の地図情報11cと、GPS制御部53から得られる端末5の位置情報を組み合わせ、ロケーションエリア4Aにおけるナビゲーション処理を実行する。
【0087】
続いて、ステップ508では、端末情報把握部12は、端末5と無線基地局3との通信状況に基づいて、端末5が他のロケーションエリアに移動したと判断した場合、端末5と無線基地局3との通信状況に基づいて、地図情報格納部11内の通信エリア情報11b〜11bの中から、端末5が存在する通信エリアの通信エリア情報11bを特定する。
【0088】
図1に示した例では、端末情報把握部12は、端末5がロケーションエリア4Aからロケーションエリア4Bに移動したと判定し、ロケーションエリア4Bの通信エリア情報11bを特定する。
【0089】
端末情報把握部12は、端末5が在圏する通信エリアの通信エリア情報11bと、端末5が指定した目的地情報とを、端末情報把握部12に登録する。
【0090】
端末5が在圏する通信エリアの通信エリア情報11bと目的地情報が、端末情報把握部12に登録されると、ステップ509では、地図情報配信部13は、端末情報把握部12が特定した通信エリア情報11bに対応する地図情報11cを、地図情報格納部11から読み出し、その地図情報11cを、移動通信ネットワーク2が提供するブロードキャストサービス(例えば、CBS、MBMS)を用いて、端末5に配信する。
【0091】
図1に示した例では、地図情報配信部13は、ロケーションエリア4Bの地図情報11cBを、端末5に、ブロードキャストサービスを用いて配信する。
【0092】
なお、図1に示した例では、目的地がロケーションエリア4B内にあるため、地図情報配信部13は、端末情報把握部12に管理されている目的地情報に応じた地点を、ロケーションエリア4Bの地図情報11cBにプロットし、目的地情報に応じた地点がプロットされた地図情報を、端末5に配信する。
【0093】
続いて、ステップ510では、端末5の地図情報受信部51aは、提供システム1から配信された地図情報11cを受信する。制御部52bは、地図情報受信部51aにて受信された地図情報11cを、記憶部52aに記憶する。
【0094】
続いて、制御部52bは、記憶部52a内の新たな地図情報11cと、GPS制御部53から得られる端末5の位置情報を組み合わせ、ロケーションエリア4Bにおけるナビゲーション処理を実行する。
【0095】
ステップ511および512では、制御部52bは、ロケーションエリア4Bの地図情報11cBを受信した際、若しくは、新たな地図情報11cBを受信してから一定時間経過後、記憶部52a内の現在使用されていないロケーションエリア4Aの地図情報11cAを削除する。
【0096】
ステップ513では、端末5が、ロケーションエリア4Bの地図にプロットされた目的地に到着すると、提供システム1が端末5に行っているサービスが終了する。
【0097】
なお、地図情報格納部11内の地図情報は、地図情報更新部15によって、自動若しくは手動にて随時最新の情報に更新される。
【0098】
地図情報の更新が発生した場合には、地図情報配信部13は、配信周期管理部14において定められる周期にて、最新の地図情報を端末5に配信する。
【0099】
また、提供システム1と端末5との通信に伴うトラヒック増に対処するため、移動通信ネットワーク2の管理者が、配信周期管理部14を操作して、地図情報の配信周期を適切に設定することが望ましい。
【0100】
本実施形態によれば、地図情報格納部11は、複数の無線基地局3〜3からなる基地局群の通信エリアであるロケーションエリアごとに、ロケーションエリアを表す通信エリア情報11bと、通信エリアに対応する地図情報11cとを、対応づけて格納する。
【0101】
端末情報把握部12は、端末5と無線基地局3との通信状況に基づいて、地図情報格納部11が格納している通信エリア情報11bの中から、端末5が存在する通信エリアの通信エリア情報11bを特定する。
【0102】
地図情報配信部13は、端末情報把握部13にて特定された通信エリア情報11bに対応する地図情報11cを、地図情報格納部11から読み出し、その地図情報を、端末5に配信する。
【0103】
端末5がロケーションエリアを移動するたびに、地図情報配信部13は、地図情報を配信するが、端末5が同一のロケーションエリア内で無線基地局のセル間を移動しても、地図情報配信部13は、地図情報を配信しない。
【0104】
このため、端末5が無線基地局のセルを移動するたびに地図情報が送信されることを制限することが可能になる。よって、地図情報の配信に起因するトラヒックの増大を防止することが可能になる。
【0105】
また、本実施形態では、地図情報配信部13は、ブロードキャストサービス(移動体通信ネットワーク2が提供するブロードキャストサービス)を利用して、地図情報を配信する。
【0106】
この場合、端末5は、地図情報を受信するために、情報の要求・応答といった冗長な手順を行う必要がなくなる。このため、情報の要求・応答といった手順に起因するトラヒック増加を抑制することが可能になる。
【0107】
また、ブロードキャストサービスを利用して地図情報が配信されるので、端末5は、他の通信(音声通信またはデータ通信)を継続しながら、地図情報を受け付けることが可能になる。このため、移動通信ネットワークにおける通信サービス品質の向上(維持)が可能になる。
【0108】
また、本実施形態では、地図情報配信部13は、配信周期管理部14が管理する配信タイミングに基づいて、地図情報を配信する。
【0109】
この場合、例えば、移動体通信ネットワーク2のトラヒック状態に応じて、地図情報の配信タイミングを制御することが可能になる。
【0110】
また、本実施形態では、端末5の制御部52bは、記憶部52aに地図情報が記憶されている状況で、地図情報受信部51aが新たな地図情報を受信した場合、新たな地図情報を記憶部52aに記憶し、その後、新たな地図情報が記憶される前に記憶部52aに記憶された地図情報を削除する。
【0111】
この場合、端末5が保持する地図情報量を少なくすることが可能になる。また、端末5のユーザは、常時最新の地図情報を入手・閲覧することが可能になる。
【0112】
また、本実施形態では、制御部52bは、一定時間を表す一定時間情報を受け付け、また、新たな地図情報を記憶部52aに記憶してから、一定時間経過した後、新たな地図情報が記憶される前に記憶部52aに記憶されていた地図情報を削除する。
【0113】
この場合、古くなった地図情報の保持時間を任意に設定することが可能になる。
【0114】
本実施形態で示したサービスが、CBSもしくはMBMSのBroadcast Mode(ブロードキャストモード)で実施された場合は、端末5のユーザには、CBSまたはMBMSのサービス加入分の費用しかかからない。
【0115】
もし、移動通信ネットワークを所持している事業者が、本実施形態で示したサービスにおける収入を増加させたい場合には、MBMSのMulticast Mode(マルチキャストモード)を用い、本実施形態で示したサービスの加入料を追加で徴収することもできる。
【0116】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
【0117】
図6は、本発明の第2実施形態の地図情報提供システムおよび端末を示したブロック図である。なお、図6において、図2または図4に示したものと同一のものには同一符号を付してある。
【0118】
図6において、提供システム1Aは、図2に示した提供システム1から、配信周期管理部14と、地図情報更新部15とを除いたシステムである。具体的には、提供システム1Aは、地図情報格納部11と、端末情報把握部12と、地図情報配信部13とを含む。
【0119】
なお、提供システム1Aは、例えば、CD−ROM、ハードディスクまたはメモリに記録されたプログラムに従って動作するコンピュータによって実現されてもよい。この場合、このコンピュータは、そのプログラムを記録媒体から読み取り実行することによって、地図情報格納部11、端末情報把握部12、および、地図情報配信部13として機能する。
【0120】
端末5Aは、図4に示した端末5から、GPS制御部53と入力部55とを除いた端末である。具体的には、端末5Aは、地図情報受信部51aと、記憶部52aと、制御部52bと、地図情報表示部54とを含む。
【0121】
本実施形態においても、端末5がロケーションエリアを移動するたびに、地図情報配信部13は、地図情報を配信するが、端末5が同一のロケーションエリア内で無線基地局のセル間を移動しても、地図情報配信部13は、地図情報を配信しない。
【0122】
このため、端末5が無線基地局のセルを移動するたびに、地図情報が送信されることを制限することができる。よって、地図情報の配信に起因するトラヒックの増大を防止することが可能になる。
【0123】
また、制御部52bは、記憶部52aに地図情報が記憶されている状況で、地図情報受信部51aが新たな地図情報を受信した場合、新たな地図情報を記憶部52aに記憶し、その後、新たな地図情報が記憶される前に記憶部52aに記憶された地図情報を削除する。
【0124】
この場合、端末5が保持する地図情報量を少なくすることが可能になる。また、端末5のユーザは、常時最新の地図情報を入手・閲覧することが可能になる。
【0125】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の第1実施形態の地図情報提供システムおよび端末を示したブロック図である。
【図2】提供システム1を示したブロック図である。
【図3】地図情報格納部11に格納される情報の一例を示した説明図である。
【図4】端末5を示したブロック図である。
【図5】提供システム1および端末5の動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】本発明の第2実施形態の地図情報提供システムおよび端末を示したブロック図である。
【符号の説明】
【0127】
1 ブロードキャストナビゲーションサービス提供システム
11 地図情報格納部
12 端末情報把握部
13 地図情報配信部
14 配信周期管理部
15 地図情報更新部
2 移動通信ネットワーク
3 無線基地局
4 ロケーションエリア
5 端末
51 移動通信部
51a 地図情報受信部
52 地図情報管理部
52a 記憶部
52b 制御部
53 GPS制御部
54 地図情報表示部
55 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を介して、端末に、地図情報を提供する地図情報提供システムであって、
複数の前記基地局からなる基地局群ごとに、当該基地局群の通信エリアを表す通信エリア情報と、当該通信エリアに対応する地図情報とを、対応づけて格納する格納手段と、
前記端末と前記基地局との通信状況に基づいて、前記格納手段が格納している通信エリア情報の中から、当該端末が存在する通信エリアの通信エリア情報を特定する端末情報把握手段と、
前記端末情報把握手段にて特定された通信エリア情報に対応する地図情報を、前記格納手段から読み出し、当該地図情報を、前記端末に配信する配信手段と、を含む地図情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地図情報提供システムにおいて、
前記配信手段は、ブロードキャストサービスを利用して、前記地図情報を配信する、地図情報提供システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地図情報提供システムにおいて、
前記地図情報の配信タイミングを表す配信タイミング情報を受け付けて管理する管理手段をさらに含み、
前記配信手段は、前記配信タイミング情報が表す配信タイミングに基づいて、前記地図情報を配信する、地図情報提供システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の地図情報提供システムから、基地局を介して地図情報を受信する受信手段と、
前記受信手段にて受信された地図情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された地図情報に応じた地図を表示する表示手段と、
前記記憶手段に前記地図情報が記憶されている状況で、前記受信手段が新たな地図情報を受信した場合、当該新たな地図情報を前記記憶手段に記憶し、当該新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する制御手段と、を含む端末。
【請求項5】
請求項4に記載の端末において、
前記制御手段は、一定時間を表す一定時間情報を受け付け、また、前記新たな地図情報を前記記憶手段に記憶してから、前記一定時間経過した後、前記新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する、端末。
【請求項6】
基地局を介して端末に地図情報を提供する地図情報提供システムが行う地図情報提供方法であって、
複数の前記基地局からなる基地局群ごとに、当該基地局群の通信エリアを表す通信エリア情報と、当該通信エリアに対応する地図情報とを、対応づけて格納手段に格納する格納ステップと、
前記端末と前記基地局との通信状況に基づいて、前記格納手段が格納している通信エリア情報の中から、当該端末が存在する通信エリアの通信エリア情報を特定する端末情報把握手ステップと、
前記特定された通信エリア情報に対応する地図情報を、前記格納手段から読み出し、当該地図情報を、前記端末に配信する配信ステップと、を含む地図情報提供方法。
【請求項7】
請求項6に記載の地図情報提供方法において、
前記配信ステップでは、ブロードキャストサービスを利用して、前記地図情報を配信する、地図情報提供方法。
【請求項8】
請求項6または7に記載の地図情報提供方法において、
前記地図情報の配信タイミングを表す配信タイミング情報を受け付けて管理する管理ステップをさらに含み、
前記配信ステップでは、前記配信タイミング情報が表す配信タイミングに基づいて、前記地図情報を配信する、地図情報提供方法。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載の地図情報提供システムから基地局を介して地図情報を受信する端末が行う地図情報管理方法であって、
前記地図情報を受信する受信ステップと、
前記受信された地図情報を記憶手段に記憶する記憶ステップと、
前記記憶手段に記憶された地図情報に応じた地図を表示する表示ステップと、
前記記憶手段に前記地図情報が記憶されている状況で、新たな地図情報が受信された場合、当該新たな地図情報を前記記憶手段に記憶し、当該新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する制御ステップと、を含む地図情報管理方法。
【請求項10】
請求項9に記載の地図情報管理方法において、
前記制御ステップでは、一定時間を表す一定時間情報を受け付け、前記新たな地図情報を前記記憶手段に記憶してから、前記一定時間経過した後、前記新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する、地図情報管理方法。
【請求項11】
コンピュータを、
複数の基地局からなる基地局群ごとに、当該基地局群の通信エリアを表す通信エリア情報と、当該通信エリアに対応する地図情報とを、対応づけて格納する格納手段、
端末と前記基地局との通信状況に基づいて、前記格納手段が格納している通信エリア情報の中から、当該端末が存在する通信エリアの通信エリア情報を特定する端末情報把握手段、および、
前記端末情報把握手段にて特定された通信エリア情報に対応する地図情報を、前記格納手段から読み出し、当該地図情報を、前記端末に配信する配信手段として機能させるためのプログラム。
【請求項12】
請求項11に記載のプログラムにおいて、
前記配信手段は、ブロードキャストサービスを利用して、前記地図情報を配信する、プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
請求項1から3のいずれか1項に記載の地図情報提供システムから、基地局を介して地図情報を受信する受信手段、
前記受信手段にて受信された地図情報を記憶する記憶手段、
前記記憶手段に記憶された地図情報に応じた地図を表示する表示手段、および、
前記記憶手段に前記地図情報が記憶されている状況で、前記受信手段が新たな地図情報を受信した場合、当該新たな地図情報を前記記憶手段に記憶し、当該新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
請求項13に記載のプログラムにおいて、
前記制御手段は、一定時間を表す一定時間情報を受け付け、また、前記新たな地図情報を前記記憶手段に記憶してから、前記一定時間経過した後、前記新たな地図情報が記憶される前に前記記憶手段に記憶された地図情報を削除する、プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−103561(P2009−103561A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275005(P2007−275005)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】