地物情報収集装置及び地物情報収集方法
【課題】低コストで高精度な地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置及び地物情報収集方法を提供する。
【解決手段】自車両の現在位置を表す自車位置情報Pを取得する自車位置情報取得手段16と、自車両の周辺の画像情報Gを取得する画像情報取得手段12と、画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段18と、自車位置情報Pに基づいて、画像認識手段18による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報Aaと関連付けて記憶する認識結果記憶手段DB3と、同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより認識結果記憶手段DB3に記憶された、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、学習地物の位置情報Aaと共に出力する学習地物抽出手段31と、を備える。
【解決手段】自車両の現在位置を表す自車位置情報Pを取得する自車位置情報取得手段16と、自車両の周辺の画像情報Gを取得する画像情報取得手段12と、画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段18と、自車位置情報Pに基づいて、画像認識手段18による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報Aaと関連付けて記憶する認識結果記憶手段DB3と、同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより認識結果記憶手段DB3に記憶された、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、学習地物の位置情報Aaと共に出力する学習地物抽出手段31と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる地物の情報を、画像認識処理を行うことにより収集する地物情報収集装置及び地物情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる地物を画像認識することにより、自車両の位置補正を行うナビゲーション装置が知られている(例えば、下記に示す特許文献1参照。)。この装置は、車両に搭載され、車両前方の走行道路に沿った風景を補促するカメラ、カメラにより補促された風景画像より交差点シンボルを識別して交差点を検出すると共に車両位置から交差点(交差点シンボル)までの距離を求める交差点検出部、地図データから得られる前記交差点位置から前記距離だけ離れた走行道路上のポイントに車両位置を修正する車両位置修正手段を備えている。交差点シンボルとは、例えば信号機、横断歩道、中央分離帯用白線等である。特許文献1の装置を用いて、車両の位置補正を行う場合には、地物に相当するこれら交差点シンボルの種類や存在位置などの情報が明らかであることが望ましい。
【0003】
下記に示す特許文献2には、このような地物に関するデータベースを構築する技術が示されている。これによれば、作業者が手作業でデータの書き換え等を行う従来の方法に代えて、計測用の車両を走行させながら地物を撮影し、撮影された画像から地物を自動認識させる。
【0004】
また、下記に示す特許文献3には、車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる対象地物の画像認識結果に基づいて、地物の情報を収集するナビゲーション装置が開示されている。特許文献3では、道路に設置された交通標識や道路交通情報表示板を対象地物とする。そして、この装置は、車両に搭載された撮像装置により取得した画像情報に含まれる対象地物の画像認識を行い、その認識結果から抽出された標識情報等の地物情報を、位置情報や区間情報と関連付けて地図データベースに格納する。この際、地物情報と関連付けられる位置情報や区間情報は、ナビゲーション装置において一般的に用いられているGPS受信機、ジャイロ、車速センサ等からの情報に基づいて決定されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−243389号公報
【特許文献2】特開2000−293670号公報
【特許文献3】特開2006−038558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ナビゲーション装置において用いられているGPS受信機、ジャイロ、車速センサ等により取得される位置情報は、一般的に、数メートルから数十メートルといった誤差を有している。そのため、地物情報を地図データベースに格納する際の位置情報もこのような誤差を有する情報となる可能性がある。特に、車両制御や自車位置補正等のために地物情報を用いる場合には、精度の高い位置情報を有する地物情報を整備することが望まれる。しかし、全ての道路において、特許文献2に記載されたように、計測車両などを用いて高精度な地物情報を収集することは、時間的、コスト的に現実的ではない。従って、高精度な地物情報は、幹線道路など利用者の多い道路に対して優先的に整備される。一方、利用者にとっては、当人が頻繁に通行する道路において高精度な地物情報が整備され、ナビゲーションを含む種々のきめ細やかなサービスを享受できることが好ましい。従って、幹線道路か否かに拘らず、利用者の利用状況に合わせて、低コストで高精度な地物情報を整備することが望まれる。また、例えば山岳路等のように路面に定型的な道路標示などが設けられることが少ない道路では、そのような道路標示を対象とする地物情報の収集が困難である。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであり、地物情報が整備されていない道路について、利用者による道路の利用状況に応じて、低コストで高精度な地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置及び地物情報収集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る地物情報収集装置の特徴構成は、
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識手段による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて記憶する認識結果記憶手段と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出手段と、を備える点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、道路標識や道路表示などの特定の地物に限定されることなく、学習地物抽出手段が、繰り返し画像認識することが可能な特徴を持つ認識対象を学習地物として抽出する。つまり、道路標示のように定型物でなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な対象を学習地物として収集することができる。従って、例えば山岳路などのように道路標示などが少ない道路においても、学習地物を収集することができ、本地物情報収集装置を広域にわたって利用することができる。また、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて学習地物が抽出され、当該認識情報は認識位置の情報と関連付けられている。従って、学習地物としての位置情報は統計的に処理され、認識位置の誤差の影響を抑制して実際の位置に近づけることができる。また、利用者が同じ場所を複数回通ることにより、同じ場所に関して複数の認識情報が得られるので、利用頻度の高い道において地物情報を収集することができる。さらに、学習地物の情報を自車両のみが利用する場合には、学習地物の収集と利用とに関係する撮像装置の光学系が同一であるので、画像情報を撮像する撮像装置は、車両の生産時に精密に校正されたものでなくてもよい。その結果、低コストで学習地物の収集及び利用を行うことができる。以上、本特徴構成によれば、利用者による道路の利用状況に応じて、低コストで高精度な地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置を提供することができる。
【0010】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、
前記認識結果記憶手段が、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて連続的に記憶し、
前記学習地物抽出手段が、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とする構成とすることができる。
【0011】
認識対象は、画像情報上に表された特徴であり、認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる定量的な特徴量である。この特徴量を、認識位置の情報に関連付けて連続的に記録すると、認識位置に対する特徴量の分布が得られる。この分布のピークが存在する位置は、当該位置の周辺において、特徴量が最も多い認識位置である。従って、本構成によれば、当該位置を学習地物の位置情報とすることによって、精度よく地物情報を収集することができる。
【0012】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、以下のような構成とすることができる。
前記認識結果記憶手段は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して記憶する。
そして、前記学習地物抽出手段は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする。
【0013】
認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる特徴量である。従って、特徴量が、例えば所定のしきい値を超える場合に、認識結果が所定の学習条件を満たし、学習値が与えられることになる。本構成によれば、この学習条件を満たした地点を含む所定の位置範囲毎に、当該学習値が加算される。そして、その積算値が何れかの位置範囲において所定の学習しきい値以上となると、当該学習しきい値以上となった位置範囲を代表する位置の情報が、学習地物の位置情報とされる。学習条件を満たした位置の微小な誤差は、所定の位置範囲の範囲内において吸収される。一方、複数の所定の位置範囲に対して、所定の位置範囲毎に加算された学習値の分布が得られ、加算された学習値が所定の学習しきい値以上となる位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となる。つまり、最頻値を有する何れか1つの位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となるように統計処理され、学習条件を満たした位置の大きな誤差も抑制される。その結果、精度よく地物情報を収集することが可能となる。
【0014】
ここで、前記認識情報が、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方の情報と関連付けて記憶され、
前記学習地物抽出手段が、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方に関して、所定の条件のときに繰り返し画像認識することが可能な認識対象を、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として抽出する構成とすると好適である。
【0015】
例えば、物の影は、昼間や晴天時に出現する。影は、路面などに対するコントラストが強いために、エッジや特定色などを認識対象とすれば認識が容易である。しかし、影の出現は、時刻や天候の影響を受けるために認識結果は安定しない。本構成によれば、認識時刻や認識時の天候などの所定の条件を満たした場合にのみ有効な限定的学習地物とするので、好適な学習地物として利用可能な対象を広げることができる。
【0016】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、2つの学習地物の位置情報に基づいて、当該2つの学習地物間の距離を表す地物間距離を判定する地物間距離判定手段を更に備えることを特徴とする。
【0017】
2つの学習地物の位置情報のみならず、2つの学習地物間の距離を表す地物間距離を判定することによって、個々の位置情報に誤差が含まれていても2つの学習地物の関係を精度良く表すことができる。従って、精度のよい学習地物の情報を得ることができる。
【0018】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記認識結果記憶手段が、複数の車両と通信可能に接続され、複数の車両による前記認識情報を記憶すると好適である。
【0019】
本構成によれば、複数の車両による地物の学習結果を集積することができる。従って、より多くの認識情報を用いて、更に高精度な位置情報を有する地物情報を生成することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記学習地物が、道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、道路の路面上の影のいずれか1つ以上を含むと好適である。
【0021】
道路標示は白や黄などによってペイントされているため、アスファルト舗装の路面とのコントラストが強い。また、染みや汚れなども、路面とのコントラストが強い。従って、特定色の抽出やエッジ抽出など、簡易な画像処理を用いて、学習地物を抽出することができる。その結果、低コストで高精度な地物情報を収集することができる。
【0022】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記認識対象が、画像情報に含まれるノイズ、エッジ、所定色、及び所定形状のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする。
【0023】
認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる特徴量である。路面に地物がない状態では、路面の画像情報は均一であるが、何らかの地物が存在すると、均一性が崩れる。この均一性を崩す要因をノイズとし、ノイズ量を認識対象とすれば、ノイズ量の多少が認識結果としての特徴量となる。また、路面の染みや汚れ、ひび割れなどは、画像情報に公知のフィルタ処理を施すことによってエッジとして抽出可能である。このエッジを認識対象とすれば、エッジの抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、白や黄色、橙色でペイントされた道路標示は、画像情報に対して公知のウインドウコンパレータ処理を施すことによって、その色成分が抽出可能である。それぞれの所定色を認識対象とすれば、色の種類とそれに対する抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、所定形状は公知のパターンマッチング処理によって検出可能である。所定形状を認識対象とすれば、パターンマッチング処理の結果としての適合度が認識結果としての特徴量となる。このように、認識対象を、ノイズ、エッジ、所定色、所定形状などとすることによって、定量的な特徴量を求めることができる。特に、ノイズ、エッジ、所定色などの認識対象は、道路標識や道路標示などのような定型性を有さなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な状態で学習地物として収集することができる。従って、道路標示などが少ない道路においても、円滑に学習地物を収集することができ、広域にわたって本地物情報収集装置を利用することができる。
【0024】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、
又は、
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報、及び複数の地物について予め整備された位置情報及び属性情報を含む地物情報の双方を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、を更に備えることを特徴とする。
【0025】
この特徴構成によれば、少なくとも学習地物に対する地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段を備える。従って、道路に対する地物情報の整備状況に応じて地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置を提供することができる。
【0026】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記地物情報記憶手段を更に備える場合、前記自車位置情報に基づいて前記地物情報記憶手段を参照し、自車両の周辺に前記地物情報として記憶された前記対象地物が存在するか否かを判定する存在判定手段を更に備え、
前記存在判定手段により、自車両の周辺に前記対象地物が存在しないと判定された場合に、前記認識結果記憶手段への前記認識情報の記憶を行うことを特徴とする。
【0027】
この特徴構成によれば、少なくとも学習地物に対する地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段を備え、存在判定手段の判定結果に基づいて、学習地物を抽出するために認識情報を記憶するか否かが決定される。つまり、すでに地物情報が整備された道路においては、整備済みの地物情報を利用し、地物情報が未整備の道路においては新たな地物情報が整備される。その結果、利用者による道路の利用状況に応じて、低コストで高精度な地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置を提供することができる。
【0028】
また、本発明に係る自車位置認識装置の特徴構成は、
前記地物情報記憶手段又は、前記地物情報記憶手段と前記存在判定手段との双方を備えた地物情報収集装置と、前記対象地物の画像認識結果に基づいて前記自車位置情報を補正する自車位置情報補正手段と、を備え、
前記画像認識手段が、前記自車位置情報に基づき前記地物情報記憶手段から抽出した自車両の周辺に存在する前記対象地物の前記地物情報に基づいて、前記画像情報に含まれる当該地物情報が示す前記対象地物の画像認識処理を行い、
前記自車位置情報補正手段が、前記画像認識手段による前記対象地物の画像認識結果と、前記対象地物の前記地物情報に含まれる位置情報とに基づいて、前記自車位置情報を補正する点にある。
【0029】
この特徴構成によれば、少なくとも学習地物に対する地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段を備えるので、多くの道路において高精度な自車位置情報の補正が可能となる。
【0030】
また、本発明に係るナビゲーション装置の特徴構成は、上記自車位置認識装置と、地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、前記地図情報を参照して動作するアプリケーションプログラムと、前記アプリケーションプログラムに従って動作して案内情報を出力する案内情報出力手段と、を備える点にある。
【0031】
この特徴構成によれば、多くの道路において高精度な自車位置情報の補正が可能な自車位置認識装置を用いて、案内情報が出力されるので、多くの道路において高精度な案内状を提供することができる。
【0032】
また、本発明に係る地物情報収集方法の特徴構成は、
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得工程と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得工程と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識工程と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識工程による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて認識結果記憶手段に記憶する認識結果記憶工程と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出工程と、
を備える点にある。
【0033】
この特徴構成によれば、道路標識や道路表示などの特定の地物に限定されることなく、学習地物抽出工程において、繰り返し画像認識することが可能な認識対象が学習地物として抽出される。つまり、道路標示のように定型物でなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な対象を学習地物として収集することができる。従って、山岳路などのように道路標示などが少ない道路においても、学習地物を収集することができ、本地物情報収集方法を広域にわたって利用することができる。また、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて学習地物が抽出され、当該認識情報は認識位置の情報と関連付けられている。従って、学習地物としての位置情報は統計的に処理され、認識位置の誤差の影響を抑制して実際の位置に近づけることができる。また、利用者が同じ場所を複数回通ることにより、同じ場所に関して複数の認識情報が得られるので、利用頻度の高い道において地物情報を収集することができる。
【0034】
また、本発明に係る地物情報収集方法は、
認識結果記憶工程が、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて前記認識結果記憶手段に連続的に記憶し、
前記学習地物抽出工程が、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とすることを特徴とする。
【0035】
認識対象は、画像情報上に表された特徴であり、認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる定量的な特徴量である。この特徴量を、認識位置の情報に関連付けて連続的に記録すると、認識位置に対する特徴量の分布が得られる。この分布のピークが存在する位置は、当該位置の周辺において、特徴量が最も多い認識位置である。従って、本構成によれば、当該位置を学習地物の位置情報とすることによって、精度よく地物情報を収集することができる。
【0036】
また、本発明に係る地物情報収集方法は、以下のような構成とすることができる。
前記認識結果記憶工程は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して前記認識結果記憶手段に記憶し、
前記学習地物抽出工程は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする。
【0037】
認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる特徴量である。従って、特徴量が、例えば所定のしきい値を超える場合に、認識結果が所定の学習条件を満たし、学習値が与えられることになる。本構成によれば、この学習条件を満たした地点を含む所定の位置範囲毎に、当該学習値が加算される。そして、その積算値が何れかの位置範囲において所定の学習しきい値以上となると、当該学習しきい値以上となった位置範囲を代表する位置の情報が、学習地物の位置情報とされる。学習条件を満たした位置の微小な誤差は、所定の位置範囲の範囲内において吸収される。一方、複数の所定の位置範囲に対して、所定の位置範囲毎に加算された学習値の分布が得られ、加算された学習値が所定の学習しきい値以上となる位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となる。つまり、最頻値を有する何れか1つの位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となるように統計処理され、学習条件を満たした位置の大きな誤差も抑制される。その結果、精度よく地物情報を収集することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、本発明の実施形態としての地物情報収集装置2、画像認識装置3、及び自車位置認識装置4を含んで構成されている。このナビゲーション装置1は、画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行い、その認識対象の認識結果を表す認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出する。そして、学習地物の地物情報Fを地物データベースDB2に反映させることにより、地物情報Fが整備されていなかった道路においても、地物情報Fを用いた自車位置情報Pの補正を行うことを可能とする。そして、ナビゲーション装置1は、補正された自車位置情報Pに基づいて経路案内等のナビゲーション処理を行う。
【0039】
図1に示すナビゲーション装置1の各機能部、具体的には、画像情報取得部12、自車位置情報取得部16、地物情報取得部17、画像認識部18、自車位置補正部19、ナビゲーション用演算部20、学習地物抽出部31、推測位置判定部34、地物情報管理部35、及び道路属性情報取得部41は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。そして、これらの各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。また、ナビゲーション装置1の各データベースDB1〜DB3は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係るナビゲーション装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0040】
1.地図データベース
地図データベースDB1は、所定の区画毎に分けられた地図情報Mが記憶されたデータベースである。図2は、地図データベースDB1に記憶されている地図情報Mの構成の例を示す説明図である。この図に示すように、地図情報Mは、交差点に対応する多数のノードnと、各交差点間を結ぶ道路に対応するリンクkとの接続関係により道路ネットワークを表す道路情報Raを有している。各ノードnは、緯度及び経度で表現された地図上の位置(座標)の情報を有している。各リンクkは、ノードnを介して接続されている。また、各リンクkは、その属性情報として、道路種別、地域種別、リンク長、道路幅、リンク形状を表現するための形状補間点等の情報を有している。ここで、道路種別情報は、例えば、自動車専用道路、市街道路、細街路、山岳路等のように、道路を複数の種別に区分した際の道路種別の情報である。また、地域種別情報は、例えば、関東地方や関西地方等の地方、都道府県や市区町村等の行政区画等のように、リンクkに対応する道路が設けられている地域を複数に区分した際の地域種別の情報である。これらのリンクkの属性情報が、道路属性情報Rb(図1参照)に相当する。そして、本実施形態においては、この地図データベースDB1が、本発明における地図情報記憶手段に相当する。尚、図2においては、1つの区画の道路情報Raのみを図示し、他の区画の道路情報Raは省略して示している。
【0041】
2.地物データベース
地物データベースDB2は、道路上や道路周辺に設けられた各種の地物の情報、即ち地物情報Fが記憶されたデータベースである。図1に示すように、本実施形態においては、地物データベースDB2には、初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbの2種類の情報が記憶される。ここで、初期地物情報Faとは、地物データベースDB2に予め整備されて記憶されている複数の地物についての地物情報Fである。このような初期地物情報Faは、道路情報Raを含む地図情報Mが整備されている全ての地域の中で、大都市周辺や幹線道路等の一部の地域や道路についてのみ整備されている。一方、学習地物情報Fbとは、後述するように、画像認識部18による対象地物の画像認識結果を用いて学習した結果として地物データベースDB2に記憶される地物情報Fである。尚、以下の説明において、単に「地物情報F」というときは、これら初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbを総称するものとする。本実施形態においては、この地物データベースDB2が、本発明における地物情報記憶手段に相当する。
【0042】
この地物データベースDB2に地物情報F(特に初期地物情報Fa)が記憶される地物には、道路の路面に設けられた道路標示(ペイント標示)が含まれている。図3は、地物データベースDB2に記憶されている道路標示の地物情報Fの例を示す説明図である。このような道路標示に係る地物としては、例えば、横断歩道、停止線、速度標示、道路に沿って車線を分ける区画線(実線、破線、二重線等の各種区画線を含む。)、各車線の進行方向を指定する進行方向別通行区分標示(矢印標示、例えば、直進矢印、右折矢印等を含む)等が含まれる。尚、地物情報Fが格納される地物としては、このような道路標示のほか、信号機、標識、陸橋、トンネル等の各種の地物も含めることができる。
【0043】
また、地物情報Fは、その内容として各地物の地物位置情報と、それに関連付けられた地物属性情報とを有している。ここで、地物位置情報は、道路情報Raを構成するリンクk又はノードn等と関連付けられた各地物の代表点の地図上の位置(座標)、及び各地物の向きの情報を有している。初期地物情報Faの代表点は、例えば、各地物の長さ方向及び幅方向の中央部付近に設定される。学習地物情報Fbの代表点については後述する。また、初期地物情報Faの地物属性情報は、地物種別情報や、地物の形状、大きさ、色彩等の地物形態情報等を含んでいる。例えば、初期地物情報Faの地物種別は、具体的には、「横断歩道」、「停止線」、「速度標示(30km/時)」等のような、基本的に同じ形態を有する地物の種別を表す情報である。学習地物情報Fbの地物属性情報については後述する。また、本実施形態においては、地物情報Fは、近接する他の地物との関係を表す関連付情報や、当該他の地物との間の地物間距離を表す地物間距離情報を有している。ここで、関連付情報は、自車両50が道路に沿って進行中に、1つの地物を画像認識することにより、前方に存在する他の地物を予測できるようにするための情報である。また、地物間距離情報は、そのような前方に存在する地物までの自車両50からの距離を正確に予測するための情報である。
【0044】
3.学習データベース
学習データベースDB3は、学習地物抽出部31により導出された認識位置情報Aaを、各認識位置情報Aaに対応する認識対象が識別可能な状態で記憶するデータベースである。ここでは、各認識位置情報Aaに対応する認識対象を識別可能とするために、各認識位置情報Aaと、それに対応する認識対象の地物属性情報Abとを関連付けて記憶している。この学習データベースDB3に記憶される認識位置情報Aa及び地物属性情報Abの具体的な内容については、後で詳細に説明する。本実施形態においては、この学習データベースDB3が、本発明における認識結果記憶手段に相当する。
【0045】
4.画像情報取得部
画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した自車両の周辺の画像情報Gを取得する画像情報取得手段として機能する。ここで、撮像装置11は、撮像素子を備えた車載カメラ等であって、少なくとも自車両50の周辺の道路の路面を撮像可能な位置に設けられている。このような撮像装置11としては、例えば、図4に示すような自車両50の後方の路面を撮像するバックカメラを用いると好適である。画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した撮像情報を、フレームメモリ(不図示)などを介して所定の時間間隔で取り込む。この際の画像情報Gの取り込みの時間間隔は、例えば、10〜50ms程度とすることができる。これにより、画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した複数フレームの画像情報Gを連続的に取得することができる。ここで取得された画像情報Gは、画像認識部18へ出力される。
【0046】
5.自車位置情報取得部
自車位置情報取得部16は、自車両50の現在位置を示す自車位置情報Pを取得する自車位置情報取得手段として機能する。ここでは、自車位置情報取得部16は、GPS受信機13、方位センサ14、及び距離センサ15と接続されている。ここで、GPS受信機13は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置情報取得部16へ出力される。自車位置情報取得部16では、GPS受信機13で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、自車両50の現在位置(緯度及び経度)、進行方位、移動速度、時刻等の情報を取得することができる。方位センサ14は、自車両50の進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ14は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム、車輪部に取り付ける角度センサ等により構成される。そして、方位センサ14は、その検出結果を自車位置情報取得部16へ出力する。距離センサ15は、自車両50の車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ15は、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車両50の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ15は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置情報取得部16へ出力する。
【0047】
そして、自車位置情報取得部16は、これらのGPS受信機13、方位センサ14及び距離センサ15からの出力に基づいて、公知の方法により自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置情報取得部16は、地図データベースDB1から抽出された自車位置周辺の道路情報Raを取得し、それに基づいて公知のマップマッチングを行うことにより自車位置を道路情報Raに示される道路上に合わせる補正も行う。このようにして、自車位置情報取得部16は、緯度及び経度で表された自車両50の現在位置の情報、及び自車両50の進行方位の情報を含む自車位置情報Pを取得する。
【0048】
6.地物情報取得部
地物情報取得手段として機能する地物情報取得部17は、自車位置情報取得部16で取得された自車位置情報P等に基づいて、地物データベースDB2から自車両50の周辺に存在する地物の地物情報Fを抽出して取得する。地物情報Fには、初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbの双方を含む。本実施形態においては、一例として、地物情報取得部17は、自車位置情報Pに基づいて、自車位置情報Pに示される自車両50の現在位置から、当該自車両50が走行中の道路を表すリンクkの終端までの間に存在する対象地物の地物情報Fを地物データベースDB2から抽出する。対象地物とは、画像認識部5による位置補正用画像認識処理(詳細は後述する。)の対象となる地物である。従って、地物情報取得部17により取得された地物情報Fは、画像認識部18及び自車位置情報補正部19へ出力される。本実施形態においては、初期地物として予め整備された、横断歩道、停止線、速度標示等のような、道路の路面に設けられた各種の道路標示の他、学習地物として収集された路面の染みや汚れ、ひび割れ、舗装のつなぎ目、マンホールの蓋なども対象地物となる。また、利用頻度が少ないために初期地物として登録されない種類の各種道路標示も学習地物として対象地物となる。さらに、影など、特定の時刻や天候などの所定の条件が整った場合に出現するものも、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として対象地物となる。
【0049】
尚、地物情報取得部17は、自車位置情報Pに基づいて地物データベースDB2を参照し、自車両50の周辺に地物情報Fとして記憶された対象地物が存在するか否かを判定する存在判定手段としても機能する。自車両50の周辺に対象地物が存在しないと判定された場合には、後述するように、情報収集用画像認識処理が実施される。つまり、自車両50の周辺に対象地物が存在しないと判定された場合には、自車両50が後述する高精度自車位置認識状態にないと判定され、学習地物情報Fbを収集するための情報収集用画像認識処理が実施される。尚、存在判定手段として機能する際の地物情報Fは、学習地物情報Fbを含めてもよいし、初期地物情報Faに限ってもよい。本実施形態では両方を含む。
【0050】
7.画像認識部
画像認識部18は、本実施形態においては、自車位置情報Pの補正に用いるための位置補正用画像認識処理と、地物の画像認識結果を学習して地物データベースDB2に反映させるための情報収集用画像認識処理との2種類の画像認識処理を行う。即ち、画像認識部18は、位置補正用画像認識処理として、自車位置情報Pに基づき地物データベースDB2から抽出した自車両50の周辺に存在する対象地物の地物情報Fに基づいて、画像情報Gに含まれる当該地物情報Fが示す対象地物の画像認識処理を行う画像認識手段として機能する。また、画像認識部18は、画像情報取得部12で取得された画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段として機能する。
【0051】
本実施形態においては、画像認識部18は、存在判定手段としても機能する地物情報取得部17により、自車両50の周辺に地物情報Fとして記憶された対象地物が存在すると判定された場合に位置補正用画像認識処理を行う。一方、地物情報取得部17により、自車両50の周辺に地物情報Fとして記憶された対象地物が存在しないと判定された場合に情報収集用画像認識処理を行う。地物情報Fが既に整備された道路上を自車両50が走行中の場合には、位置補正用画像認識処理による画像認識結果と、地物情報Fとに基づいて自車位置情報Pの補正処理が実施される。一方、地物情報Fが整備されていない道路上を自車両50が走行中の場合には、情報収集用画像認識処理を行い、画像情報Gに含まれる認識対象を学習地物として抽出する地物収集処理が実施される。
【0052】
位置補正用画像認識処理では、画像認識部18は、自車位置情報Pに基づいて地物データベースDB2から取得した自車両50の周辺に存在する対象地物の地物情報Fに基づいて、画像情報Gに含まれる当該地物情報Fが示す対象地物の画像認識処理を行う。この際、画像認識部18は、当該地物情報Fが示す対象地物の認識要求を行う所定の認識領域を設定し、この認識領域内の画像情報Gに対して対象地物の画像認識処理を行う。この認識領域は、道路情報Raが示すリンクk上における、当該対象地物が存在すると推測される位置範囲として設定される。ここで、各画像情報Gに含まれる現実の道路の撮像領域は、自車両50への撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等に基づいて予め演算された自車位置と撮像領域との位置関係を用いることで、自車位置情報Pに基づいて求めることができる。よって、画像認識部18は、このように求めた各画像情報Gの撮像領域の情報に基づいて、各対象地物について設定された認識領域に対応する画像情報Gを抽出し、画像認識処理を行う。画像認識部18は、対象地物が初期地物である場合には、画像情報Gに対して公知の二値化処理やエッジ検出処理等を行い、当該画像情報Gに含まれている対象地物(道路標示)の輪郭情報を抽出する。そして、抽出された輪郭情報と、対象地物の形態とのパターンマッチングを行うことにより、画像情報Gに含まれる対象地物を認識する。対象地物が学習地物である場合には、後述するような、学習時の認識対象に対する画像認識処理と同様の処理を施して対象地物を認識する。そして、この位置補正用画像認識処理による対象地物の画像認識結果は、自車位置情報補正部19による自車位置情報Pの補正に用いられる。
【0053】
情報収集用画像認識処理では、画像認識部18は、画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行う。この画像認識処理は、地物データベースDB2に記憶された地物情報Fを用いず、従って、対象地物及び上述したような認識領域を設定することなく、認識対象の画像認識処理を行う。ここで、認識対象とは、画像情報に含まれる特徴であり、ノイズ、エッジ、所定色、及び所定形状のいずれか1つ以上を含むものである。そして、これら認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する所定の画像認識処理によって得られる特徴量である。例えば、路面に地物がない状態では、路面の画像情報は均一であるが、何らかの地物が存在すると、均一性が崩れる。この均一性を崩す要因をノイズとし、このノイズを認識対象とすれば、ノイズ量の多少が認識結果としての特徴量となる。このようなノイズは、画像情報Gの空間周波数において高周波成分となるため、ハイパスフィルタなどを利用したフィルタリング処理によってノイズ量を抽出することができる。
【0054】
学習地物としてなり得る路面に存在する地物としては、道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、舗装のつなぎ目、マンホールの蓋、道路の路面上の影などがある。路面の染みや汚れ、ひび割れなどと路面との境界は、画像情報Gに公知のガウシアンフィルタ処理などを施すことによりエッジ成分として抽出可能である。このエッジ成分を認識対象とすれば、エッジ成分の抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、白や黄色、橙色でペイントされた道路標示は、画像情報Gに対して公知のウインドウコンパレータ処理を施すことによって、その色成分が抽出可能である。それぞれの色を認識対象とすれば、色の種類とそれに対する抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、特定の形状、例えば三角形、円形、四角形、数字などの特定形状を認識対象として、パターンマッチング処理を施し、その適合度を特徴量としてもよい。情報収集用画像認識処理による認識対象の認識結果(特徴量)は、その認識位置の情報と関連付けられて、学習データベースDB3に記憶される。
【0055】
8.自車位置情報補正部
自車位置情報補正部19は、画像認識部18による対象地物の画像認識処理の結果と、当該対象地物についての地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とに基づいて自車位置情報Pを補正する自車位置情報補正手段として機能する。本実施形態では、自車位置情報補正部19は、画像認識部18における地物情報Fに基づく位置補正用画像認識処理による対象地物の画像認識結果と、当該地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とを用いて、自車両50の進行方向に沿って自車位置情報Pを補正する。具体的には、自車位置情報補正部19は、まず、画像認識部18による位置補正用画像認識処理の結果と、撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等とに基づいて、対象地物の画像を含む画像情報Gの取得時における自車両50と対象地物との位置関係を演算する。次に、自車位置情報補正部19は、この自車両50と対象地物との位置関係の演算結果と、当該対象地物についての地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とに基づいて、自車両50の進行方向における対象地物の位置情報(地物情報F)を基準とする高精度な自車両50の位置情報を演算して取得する。そして、自車位置情報補正部19は、このようにして取得した高精度な自車両50の位置情報に基づいて、自車位置情報取得部16で取得した自車位置情報Pに含まれる、自車両50の進行方向の現在位置の情報を補正する。その結果、自車位置情報取得部16は、このような補正後の高精度な自車位置情報Pを取得することになり、自車両50は高精度自車位置認識状態となる。
【0056】
9.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部20は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの進路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するためにアプリケーションプログラム23に従って動作する演算処理手段である。例えば、ナビゲーション用演算部20は、自車位置情報Pに基づいて地図データベースDB1から自車両50周辺の地図情報Mを取得して表示入力装置21に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報Pに基づいて自車位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部20は、地図データベースDB1に格納された地図情報Mに基づいて、所定の出発地から目的地までの経路探索を行う。更に、ナビゲーション用演算部20は、探索された出発地から目的地までの経路と自車位置情報Pとに基づいて、表示入力装置21及び音声出力装置22の一方又は双方を用いて、運転者に対する進路案内を行う。また、本実施形態においては、ナビゲーション用演算部20は、表示入力装置21及び音声出力装置22に接続されている。表示入力装置21は、液晶表示装置等の表示装置とタッチパネル等の入力装置が一体となったものである。音声出力装置は、スピーカ等を有して構成されている。本実施形態においては、ナビゲーション用演算部20、表示入力装置21、及び音声出力装置22が、本発明における案内情報出力手段24として機能する。
【0057】
10.学習地物抽出部
学習地物抽出部31は、同じ場所の画像情報Gが複数回画像認識されることにより学習データベースDB3に記憶された、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出手段として機能する。以下、学習地物抽出部31が行う処理の詳細について、図5〜図9を用いて説明する。ここで、学習地物とは、上述したように道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、舗装のつなぎ目、マンホールの蓋、道路の路面上の影などである。図5では、このような学習地物の一例として「染み」を地物f1〜f3としている。認識情報とは、画像認識部18による認識対象の認識結果を表す情報であり、上述したように、いわゆる特徴量である。認識対象とは、画像情報Gに含まれるノイズ、エッジ、所定色、所定形状などであり、画像処理によって定量的な認識結果(特徴量)を得ることのできる画像情報上の特徴である。
【0058】
学習地物抽出部31は、認識対象の認識位置を、自車位置情報Pを基準とする当該認識対象の道路上の位置を表す情報として導出する。つまり、学習地物抽出部31は、画像認識部18による認識対象の画像認識結果と、撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等とに基づいて、認識対象(特徴)を含む画像情報Gの取得時における自車両50と認識対象との位置関係を演算する。次に、学習地物抽出部31は、この自車両50と認識対象との位置関係の演算結果と、当該画像情報Gの取得時における自車位置情報Pとに基づいて、自車位置情報Pを基準とする認識対象の位置を演算する。本例では、学習地物抽出部31は、この位置を、自車両50が走行中の道路を表すリンクkに沿った方向の位置として求める。そして、学習地物抽出部31は、このように演算された位置を、認識対象の認識位置として導出する。この認識位置は、当該認識対象を含む画像情報Gの取得時の自車位置情報Pを基準として導出されるため、自車位置情報Pが有する誤差を含んだ位置の情報となる。そこで、同じ場所の画像情報Gが複数回画像認識されることによって学習データベースDB3に記憶された、同じ場所に関する認識結果(認識情報)に基づき、位置情報が決定される。
【0059】
図5は、地物情報Fが整備されていない道路(リンクk)を自車両50が走行する場合を例とし、情報収集用画像認識処理の結果を用いた地物情報Fの収集処理の概要を説明するための説明図である。図5(a)に示すように、自車両50が走行する道路には、一例として、染みや汚れ、ひび割れなどである地物f1〜f3が存在している。学習地物抽出部31は、画像情報G上で各地物f1〜f3の特徴を表す認識対象に対する認識位置情報Aaを、画像認識部18による当該認識対象の認識位置が属する所定の位置範囲(後述する)についての学習値として生成する。そして、図5(b)に示すように、当該認識対象を認識する度に学習値を前記位置範囲毎に加算して学習データベースDB3に記憶する。学習地物抽出部31は学習値の加算結果に基づいて学習地物の推測位置pg(詳細は後述する)を導出する。この推測位置pgが学習地物情報Faに含まれる位置情報となる。
【0060】
上述したように、学習地物抽出部31は、認識対象の認識位置を、自車位置情報Pを基準とする当該認識対象の道路上の位置を表す情報として導出する。学習地物抽出部31は、後述する学習値を、認識位置が属する所定の位置範囲毎に加算して、学習データベースDB3に記憶する。ここで、学習値とは、認識対象の認識結果(特徴量)が所定の学習条件を満たすことにより与えられる値である。例えば、認識対象(特徴)が「染みによる所定の路面の色とは異なる色」であり、特徴量が色抽出の結果としての色抽出数である場合、抽出数が所定のしきい値以上となることが所定の学習条件である。即ち、定量的に示される認識結果(特徴量)に対し、認識対象(特徴)を充分に特徴づけているかどうかを判定可能な条件が学習条件である。
【0061】
本例では、所定の位置範囲は、道路を表すリンクkに沿った方向に一定距離毎に区分され設定された範囲であり、例えば、リンクkに沿った方向に0.5〔m〕毎に区分された範囲とする。また、学習値は、画像認識に1回成功する毎に、学習データベースDB3における当該認識対象の地物の認識位置が属する位置範囲に加算される値である。例えば、画像認識に1回成功する毎に1点とする。即ち、本例では認識対象の地物の認識位置が含まれる位置範囲を表す情報と、その学習値(例えば「1」)の情報とにより、認識位置情報Aaが構成される。上述したように、認識位置は、認識対象を含む画像情報Gの取得時の自車位置情報Pを基準として導出されるため、自車位置情報Pが有する誤差を含んでいる。しかし、本例では、学習条件を満たした位置の微小な誤差は、所定の位置範囲の範囲内において吸収される。
【0062】
ここで、図6は、図5(b)に示す学習データベースDB3に記憶された学習値の認識対象の地物f1に関する部分の拡大図である。例えば、図5(a)の例において、学習地物抽出部31により導出された認識対象(地物f1の特徴)の認識位置が、図6中に「a4」として示される位置範囲であった場合には、この図6中に破線で示すように、当該位置範囲a4の学習値に1が加算される。そして、自車両50が同じ道路を複数回通行することにより、同じ認識対象が複数回画像認識されると、学習データベースDB3には、図5(b)及び図6に示すように、当該認識対象が認識される毎に生成された複数の認識位置情報Aaとしての学習値が、当該認識対象の認識位置を表す位置範囲毎に積算されて蓄積される。そして、後述するように、位置範囲a4の学習値が所定の学習しきい値T1以上になると、位置範囲a4を代表する位置を代表点として地物情報生成部36により当該認識対象についての学習地物情報Fbが生成され、地物データベースDB2に記憶される。このように統計的な処理が実施されることにより、学習条件を満たした位置の大きな誤差も抑制される。図5の例では、地物f1及び地物f3に対応する学習地物情報Fb1及びFb3が、地物データベースDB2に記憶される。尚、図5に示す地物f2は、認識対象である地物f2の特徴に対する画像認識結果の学習値が所定の学習しきい値T1に達しないため、学習地物情報Fbは生成されず、地物データベースDB2にも記憶されない。
【0063】
上述したように、本実施形態によれば、道路標示のように定型物でなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な対象を学習地物とすることができる。従って、低コストで学習地物を収集することができる。勿論、より明確な画像認識を行ってもよく、色抽出やエッジ抽出の結果から、染みや汚れ、ひび割れなどの形状を特定し、曖昧さを抑制した学習地物を収集するようにしてもよい。図7は、色抽出やエッジ抽出の結果からさらに形状を認識する例を示し、図7(a)は路面の染みや汚れを認識する例、図7(b)は路面のひび割れを認識する例を示している。図7(a)に示すように、エッジe1が閉ループを有する場合には、この地物の属性は染みや汚れと推定され、その属性に応じた認識位置が演算される。例えば、リンクkに沿った方向に平行し、当該地物に外接する長方形領域を設定し、その頂点y1〜y4に基づいて重心位置x1を求め、これを認識位置とすることができる。図7(b)に示すように、エッジe2が閉ループを有さない、あるいは閉ループを有しても幅が狭い場合には、ひび割れと推定され、その属性に応じた認識位置が演算される。例えば、エッジe2の2箇所の端点y5とy6とを求め、y5とy6とを結ぶ直線の中点x2を認識位置とすることができる。
【0064】
上述したように、学習地物として路面に存在する地物としては、道路の路面に設けられた道路標示も含まれ、その種類は、初期地物と同一のものであってもよい。また、当然、利用頻度が少ない、形状の自由度が大きい、認識対象領域に対して面積が広い、などの理由により初期地物情報として登録されない種類の各種道路標示も含まれる。図8は、進入禁止領域(いわゆるゼブラゾーン)の特徴を認識対象とする例を示した説明図である。ここでは、認識対象となる特徴を「所定領域内の白の面積」とし、認識結果としての特徴量を「所定領域内の白の面積の割合」とする。画像認識部18は、所定の小領域rにおいて白のペイント部Wと路面とが識別可能なように、例えばウインドウコンパレータ処理を実施する。学習地物抽出部31は、小領域r中に所定の割合以上、ペイント部Wが含まれている場合には、学習値を「1」とする。上述したように、学習値は、画像認識に1回成功する毎に、学習データベースDB3における当該認識対象の認識位置が属する位置範囲に加算される。認識位置は、例えば、円形の小領域rの中心とすることができ、当該小領域rの中心が属する位置範囲に学習値が加算される。図9は、図8のようなゼブラゾーンに対する所定の位置範囲毎の学習値の積算例を示す図である。ゼブラゾーンは大きな面積を有しているため、図9に示すように、複数の小領域rにおいて学習値が積算されて、複数の位置範囲において同様の点数で学習しきい値T1を超えることになる。この場合には、例えば、その中間の位置範囲a7を学習地物の位置情報(推測位置pg)としてもよい。
【0065】
尚、認識対象となる特徴を備える地物は、定常的に路面に存在する染みや汚れ、ひび割れなどに限らず、特定の時刻や天候などの所定の条件が整った場合に出現するものも含めることができる。例えば、影などが該当する。この場合には、認識情報は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方の情報と関連付けられて学習データベースDB3に記憶される。そして、学習地物抽出部31は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方に関して、所定の条件のときに繰り返し画像認識することが可能な認識対象(影の特徴)を、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として抽出する。具体的には、後述する地物属性情報Fbにこの限定条件を含めることによって限定的学習地物とすることができる。影のような地物は、路面などに対するコントラストが強いために認識対象として強い特徴を有するが、その出現が時刻や天候の影響を受ける点が不安定要因となる。しかし、このような地物が出現する時刻や天候などの所定の条件を加味された限定的学習地物とすることにより、好適な学習地物として利用することができる。
【0066】
ところで、学習地物抽出部31は、当該画像認識に成功した認識対象を他の認識対象に対して識別可能な状態とするため、生成した認識位置情報Aaを、当該認識対象の各種属性を表す地物属性情報Abと関連付けて記憶している。ここで、地物属性情報Abが含む認識対象の属性は、当該1つの認識対象を他の認識対象と識別できるものであればよい。従って、例えば地物属性情報Abは、認識対象としての特徴の種類、即ち、色、エッジ、ノイズなどの区分や、形状認識を行った場合にはその具体的形状や大きさ、認識対象が存在するリンクkのリンクID等の中から選択される1又は2以上の情報を備えている。また、時刻や天候等の限定的学習地物の限定の条件も、地物属性情報Abに含めてよい。このような地物についての地物属性情報Abを構成する情報は、画像認識部18による認識対象の画像認識結果や、当該画像認識処理に係る画像情報Gの取得時の自車位置情報P等に基づいて生成される。
【0067】
11.推測位置判定部
推測位置判定部34は、同じ場所の画像情報が認識対象に相当するとして複数回画像認識されることにより学習データベースDB3に記憶された、同じ場所についての複数の認識位置情報Aaに基づいて、当該認識対象の推測位置pg(図5参照)を判定する推測位置判定手段として機能する。ここで、推測位置判定部34は、同じ場所に関する複数の認識位置情報Aaの分布に基づいて、当該分布の代表値を当該認識対象の推測位置pgとして判定する。本実施形態においては、分布の代表値として最頻値を用いる。即ち、推測位置判定部34は、各認識対象についての認識位置情報Aaとしての学習値が、最初に所定の学習しきい値T1以上となった位置範囲を代表する位置を代表点として、当該認識対象の推測位置pgと判定する。つまり、推測位置判定部34は、学習値が所定の学習しきい値T1以上となった位置範囲の認識対象を学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置を推測位置pgとする。一例として、図5の例における認識対象(地物f1の特徴)の推測位置pgを判定する場合の判定方法について説明する。図6に示すように、地物f1についての認識位置情報Aaとしての学習値は、位置範囲a4において最初に学習しきい値T1以上となっている。従って、推測位置判定部34は、位置範囲a4を代表する位置、例えば位置範囲a4の中央位置pg4を、地物f1に関する推測位置pgと判定する。
【0068】
12.地物情報管理部
地物情報管理部35は、学習データベースDB3に記憶された対象地物の学習結果に基づいて、地物データベースDB2に記憶された地物情報Fの管理を行う地物情報管理手段として機能する。本実施形態においては、この地物情報管理部35は、地物情報生成部36、及び地物間距離判定部37を備えている。以下、個別に説明する。
【0069】
12−1.地物情報生成部
地物情報生成部36は、学習データベースDB3に記憶された地物の学習結果に基づいて、学習地物情報Fbを生成する地物情報生成手段として機能する。即ち、地物情報生成部36は、推測位置判定部34により判定された各認識対象の推測位置pgを表す位置情報と、当該認識対象についての画像認識部18による画像認識結果に基づく地物属性情報とを関連付けた学習地物情報Fbを生成する。ここで、学習地物情報Fbを構成する地物属性情報は、学習データベースDB3において、当該認識対象についての認識位置情報Aaと関連付けて記憶されている地物属性情報Abの内容を用いて生成する。これにより、学習地物情報Fbは、初期地物情報Faと同様に、位置情報及びそれに関連付けられた地物属性情報を備えた情報として生成される。そして、この地物情報生成部36で生成された学習地物情報Fbは、地物データベースDB2に記憶される。本実施形態においては、例えば染み、汚れ、ひび割れ、道路標示(ペイント)などの種別、限定的学習地物の限定の条件などの地物の属性を含む学習地物情報Fb5が、地物情報生成部36により生成され、地物データベースDB2に記憶されている。
【0070】
12−2.地物間距離判定部
地物間距離判定部37は、2つの学習地物についての複数の認識位置情報Aaに基づいて、当該2つの学習地物間の距離を表す地物間距離Dを判定する地物間距離判定手段として機能する。本実施形態においては、地物間距離判定部37は、推測位置判定部34により判定された2つの学習地物についての推測位置pgの情報を用いて、一方の学習地物の推測位置pgと、他の学習地物の推測位置pgとの間の距離を演算することにより、これら2つの学習地物の地物間距離Dを求める。図5(b)及び(c)に示す例では、地物間距離判定部37は、互いに隣接する2つの学習地物間の距離を求める。即ち、本例では、地物間距離判定部37は、地物f1と地物f3との間の地物間距離Dを判定して求めている。この地物間距離判定部37により判定された地物間距離Dの情報は、上記地物情報生成部36により生成される学習地物情報Fbを構成する情報として利用される。即ち、本実施形態においては、各学習地物についての学習地物情報Fbは、当該学習地物と近接する他の学習地物との関係を表す関連付情報と、当該他の学習地物との間の地物間距離Dを表す地物間距離情報を有するものとして生成される。これらの情報も、初期地物情報Faに含まれる関連付情報及び地物間距離情報と同じ内容のものとなる。
【0071】
13.ナビゲーション装置の動作処理
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1において実行される、地物情報収集方法について説明する。図10は、本実施形態に係るナビゲーション装置1による地物情報収集方法の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、図5(a)及び(b)に基づいて上述したような学習方法を用いる場合を例として説明する。
【0072】
図10に示すように、ナビゲーション装置1では、まず、自車位置情報取得部16により自車位置情報Pが取得される(自車位置情報取得工程:#1)。次に、画像情報取得部12により、撮像装置11が撮像した自車両50の周辺の画像情報Gが取得される(画像情報取得工程:#2)。その後、地物情報取得部17により、自車位置情報Pに示される自車両50の現在位置(自車位置)から、当該自車両50が走行中の道路を表すリンクkの終端までの間に存在する対象地物の地物情報Fを地物データベースDB2から取得され(地物情報取得工程:#3)、地物情報Fの存否が判定される(存在判定工程:#4)。地物情報Fは、初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbの何れでもよい。
【0073】
地物情報Fがあると判定された場合には、自車両50は、地物データベースDB2が整備された道路を走行中である。従って、画像認識部18により上述した位置補正用画像認識処理が実施される(画像認識工程(位置補正用画像認識工程):#5)。つまり、画像認識部18は、取得された各地物情報Fが示す各対象地物について、認識領域を設定して画像認識処理を行う。認識領域内で対象地物が画像認識されると、当該対象地物の画像認識結果と、当該対象地物についての地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とに基づいて、自車位置情報補正部19により自車位置情報Pの補正が行われる(自車位置情報補正工程(不図示))。これにより、自車両50は、高精度自車位置認識状態となる。
【0074】
一方、地物情報Fがないと判定された場合には(#4)、ナビゲーション装置1は、地物情報収集用画像認識処理を実行する(#6)。初めに、画像認識部18により、画像情報Gに含まれる認識対象の画像処理が実施される。認識対象が画像認識されると、学習地物の候補となる地物があると判定され、認識対象が画像認識されない場合には処理が終了される(#7)。以上、ステップ#6及び#7は、本発明の画像認識工程(地物情報収集用画像認識工程)に相当する。
【0075】
認識対象が画像認識された場合には(#7)、学習地物抽出部31により、ステップ#1で取得した自車位置情報Pに基づいて、当該地物の認識位置が導出される。そして、当該認識対象の位置情報と学習値とが、学習データベースDB3に記憶される(認識結果記憶工程:#8)。つまり、導出された地物の認識位置を表す認識位置情報Aaが、当該認識位置が属する所定の位置範囲についての学習値として生成され、図5(b)及び図6に示すように、位置範囲毎に加算して学習データベースDB3に記憶される。
【0076】
次いで、学習データベースDB3に記憶された当該対象地物についての認識位置情報Aaとしての学習値が、所定の学習しきい値T1以上か否かが判定される(#9)。学習値が、所定の学習しきい値T1未満である場合には、処理を終了する。一方、学習データベースDB3に記憶された当該対象地物についての認識位置情報Aaとしての学習値が、所定の学習しきい値T1以上である場合には(#9)、推測位置判定部34により、当該地物の推測位置pgが判定される。その後、地物情報生成部36により、当該認識対象についての推測位置pgと画像認識結果に基づく地物属性情報とを関連付けた学習地物情報Fbが生成される(#10)。生成された学習地物情報Fbは地物データベースDB2に記憶される(#11)。以上、ステップ#9〜#11は、本発明の学習地物抽出工程に相当する。
【0077】
14.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、図5(b)に示すように、所定の位置範囲についての学習値を加算する方法を用いて学習地物の位置情報を推測した。しかし、この方法に限定されることなく、学習地物抽出部31は下記のような方法を用いて学習地物の位置情報を推測しても良い。学習データベースDB3は、認識対象に対して実施した画像認識処理によって得られる定量的な認識結果(特徴量)を図5(c)に示すように生値としてそのまま記憶する。つまり、学習データベースDB3は、認識対象の認識結果としての特徴量の生値を、位置情報に関連付けて連続的に記憶する。そして、学習地物抽出部31は、記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、そのピークが存在する位置の認識対象を学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報(推測位置pg)とする。
【0078】
図5では、学習地物となる染みを地物f1〜f3として例示しており、認識対象となる画像上の特徴は、例えば所定の路面の色とは異なる色や、路面色との境界である。画像認識処理として、路面の色を抽出対象としてウインドウコンパレータ処理を施すと、路面の色とは異なる色を抽出することもできる。図5(c)は、このようにして抽出された、路面とは異なる色の抽出数を特徴量(認識結果)として、認識位置との関係を表したものである。地物f1及びf3は、大きな染みであるので特徴量が多く、地物f2は小さな染みであるので特徴量が少ない。学習地物抽出部31は、例えば、特徴量の分布の中で、所定の特徴量しきい値T2以上の特徴量を有すと共に、そのピークが存在する場合に、認識対象(色の特徴を有する染み)を学習地物として抽出する。また、当該ピークが存在する位置の情報を、当該学習地物の位置情報(推測位置pg)とする。上述したように、認識結果の認識位置は、認識対象を含む画像情報Gの取得時の自車位置情報Pを基準として導出されるため、自車位置情報Pが有する誤差を含んだ位置の情報である。学習データベースDB3には、複数回走行した際の各回の特徴量の生値が積算されて記憶されるので、特徴量のピークが存在する位置は、上記誤差が吸収され、精度良く学習地物の位置情報を推測することができる。
【0079】
尚、この方法は、学習をすべきか否かの判定に用いることもできる。例えば、荒天時に撮像装置11のレンズに水滴が付くと、画像情報Gに乱れが生じる。その結果、認識結果の分布は、変化に乏しいものとなるので、この時の認識結果は学習のための記憶対象から除外するようにしてもよい。
【0080】
(2)認識対象としての特徴を有する地物として、利用頻度が少なくて初期地物情報としては登録されないが単純な形状の道路標示を利用することができる。そのような道路標示の形状を所定形状として、その所定形状を認識対象とすることができる。例えば、「この先に優先道路有り」を示す三角形マーク、路面に描かれた指示表示の個々の文字などがこの道路標示に該当する。
【0081】
(3)認識対象としての特徴を「路面上の白の割合」として、所定の色の抽出処理を行った結果に基づいて、当該認識対象としての特徴を有する地物が道路標示である可能性を判定してもよい。そして、道路標示である可能性が高い場合には、出現頻度の高い道路標示(横断歩道、停止線等)についての形状認識アルゴリズムを実行して、より精度の高い学習地物を収集するようにしてもよい。
【0082】
(4)上記の実施形態では、認識位置情報Aaが表す認識対象の認識位置を、自車位置情報Pを基準とする当該地物の道路上の位置を表す情報として導出する場合を例として説明した。しかし、本発明に係る認識位置情報Aaは、このような位置の情報に限定されるものではない。従って、例えば、認識位置情報Aaが表す認識位置を、当該認識対象を含む画像情報Gを取得した際の自車位置情報Pが示す自車両50の位置とすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。この場合、地物情報生成部36により学習地物情報Fbが生成される際に、撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等に基づいて、自車両50の位置に対する画像情報G中の認識対象の地物の道路上の位置を演算し、当該認識対象としての特徴を有する地物の道路上の位置を、学習地物情報Fbが含む位置情報とすると好適である。
【0083】
(5)上記の実施形態では、1回の画像認識に成功する毎に1点の学習値を加算する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、認識結果に応じて異なる点数を加算するようにしてもよい。例えば、図8を用いて上述したように、「所定領域内の白の面積」を認識対象となる特徴とし、認識結果としての特徴量を「所定領域内の白の面積の割合」とした場合、この「割合」に応じて異なる点数を加算してもよい。例えば、50%以上の場合は1点、さらに70%以上となると3点、というように認識結果に応じて点数を異ならせてもよい。
【0084】
(6)上記の実施形態では、本発明に係る地物情報収集装置2の全ての構成が自車両50に搭載される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、本発明の認識結果記憶手段としての学習データベースDB3を含む地物情報収集装置2の一部の構成が、図11に示すように、無線通信回線等を介して、複数の車両50と通信可能に接続されたサーバ装置60に設置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。地物情報収集装置2をこのような構成とすれば、複数の車両50による地物の学習結果をサーバ装置60に設置された学習データベースDB3に集積することができる。従って、より多くの認識位置情報Aaを用いて、更に高精度な位置情報を有する地物情報Fを生成することが可能となる。尚、サーバ装置60に設置する地物情報収集装置2の構成は、学習データベースDB3に限られず、撮像装置11や自車位置情報取得部16等のような、自車両50に搭載する必要がある構成以外の全ての構成を、サーバ装置60に設置することが可能である。また、同様に、画像認識装置3、自車位置認識装置4、及びナビゲーション装置1の一部の構成を、サーバ装置60に設置することも本発明の好適な実施形態の1つである。
【0085】
(7)上記の各実施形態では、画像認識装置3及び自車位置認識装置4を、ナビゲーション装置1に利用する場合の例について説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、車両の走行制御装置等の他の用途に利用することも当然に可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる地物の情報を、画像認識処理を行うことにより収集する地物情報収集装置に適用することができる。また、当該装置は、自車位置認識装置や、ナビゲーション装置、車両の制御システム等において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を模式的に示すブロック図
【図2】地図データベースに記憶されている地図情報の構成の例を示す図
【図3】地物データベースに記憶されている道路標示の地物情報の例を示す図
【図4】自車両への撮像装置の配置構成の一例を示す図
【図5】地物情報が整備されていない道路を自車両が走行する場合の地物情報の収集処理の概要を説明するための説明図
【図6】図5(b)に示す学習データベースに記憶された学習値の要部拡大図
【図7】認識対象に対する画像処理及び位置の情報の算出方法の例を示す説明図
【図8】認識対象に対する画像処理の例を示す説明図
【図9】図8に示す地物の学習データベースに記憶された学習値の要部拡大図
【図10】本実施形態に係るナビゲーション装置による地物情報収集方法の手順の一例を示すフローチャート
【図11】本発明の実施形態に係る地物情報収集装置の一部の構成がサーバ装置に設置された例を示す図
【符号の説明】
【0088】
1:ナビゲーション装置
2:地物情報収集装置
3:画像認識装置
4:自車位置認識装置
12:画像情報取得部(画像情報取得手段)
16:自車位置情報取得部(自車位置情報取得手段)
17:地物情報取得部(地物情報取得手段)
18:画像認識部(画像認識手段)
19:自車位置情報補正部(自車位置情報補正手段)
23:アプリケーションプログラム
24:案内情報出力手段
31:学習地物抽出部(学習地物抽出手段)
34:推測位置判定部(推測位置判定手段)
35:地物情報管理部(地物情報管理手段)
36:地物情報生成部(地物情報生成手段)
37:地物間距離判定部(地物間距離判定手段)
39:存在判定部(存在判定手段)
50:自車両
Aa:認識位置情報(学習地物の位置情報)
Ab:地物属性情報
DB1:地図データベース(道路情報記憶手段)
DB2:地物データベース(地物情報記憶手段)
DB3:学習データベース(認識結果記憶手段)
D:地物間距離
F:地物情報
G:画像情報
P:自車位置情報
T1:学習しきい値
a1〜a12:位置範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる地物の情報を、画像認識処理を行うことにより収集する地物情報収集装置及び地物情報収集方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる地物を画像認識することにより、自車両の位置補正を行うナビゲーション装置が知られている(例えば、下記に示す特許文献1参照。)。この装置は、車両に搭載され、車両前方の走行道路に沿った風景を補促するカメラ、カメラにより補促された風景画像より交差点シンボルを識別して交差点を検出すると共に車両位置から交差点(交差点シンボル)までの距離を求める交差点検出部、地図データから得られる前記交差点位置から前記距離だけ離れた走行道路上のポイントに車両位置を修正する車両位置修正手段を備えている。交差点シンボルとは、例えば信号機、横断歩道、中央分離帯用白線等である。特許文献1の装置を用いて、車両の位置補正を行う場合には、地物に相当するこれら交差点シンボルの種類や存在位置などの情報が明らかであることが望ましい。
【0003】
下記に示す特許文献2には、このような地物に関するデータベースを構築する技術が示されている。これによれば、作業者が手作業でデータの書き換え等を行う従来の方法に代えて、計測用の車両を走行させながら地物を撮影し、撮影された画像から地物を自動認識させる。
【0004】
また、下記に示す特許文献3には、車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる対象地物の画像認識結果に基づいて、地物の情報を収集するナビゲーション装置が開示されている。特許文献3では、道路に設置された交通標識や道路交通情報表示板を対象地物とする。そして、この装置は、車両に搭載された撮像装置により取得した画像情報に含まれる対象地物の画像認識を行い、その認識結果から抽出された標識情報等の地物情報を、位置情報や区間情報と関連付けて地図データベースに格納する。この際、地物情報と関連付けられる位置情報や区間情報は、ナビゲーション装置において一般的に用いられているGPS受信機、ジャイロ、車速センサ等からの情報に基づいて決定されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−243389号公報
【特許文献2】特開2000−293670号公報
【特許文献3】特開2006−038558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ナビゲーション装置において用いられているGPS受信機、ジャイロ、車速センサ等により取得される位置情報は、一般的に、数メートルから数十メートルといった誤差を有している。そのため、地物情報を地図データベースに格納する際の位置情報もこのような誤差を有する情報となる可能性がある。特に、車両制御や自車位置補正等のために地物情報を用いる場合には、精度の高い位置情報を有する地物情報を整備することが望まれる。しかし、全ての道路において、特許文献2に記載されたように、計測車両などを用いて高精度な地物情報を収集することは、時間的、コスト的に現実的ではない。従って、高精度な地物情報は、幹線道路など利用者の多い道路に対して優先的に整備される。一方、利用者にとっては、当人が頻繁に通行する道路において高精度な地物情報が整備され、ナビゲーションを含む種々のきめ細やかなサービスを享受できることが好ましい。従って、幹線道路か否かに拘らず、利用者の利用状況に合わせて、低コストで高精度な地物情報を整備することが望まれる。また、例えば山岳路等のように路面に定型的な道路標示などが設けられることが少ない道路では、そのような道路標示を対象とする地物情報の収集が困難である。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みて創案されたものであり、地物情報が整備されていない道路について、利用者による道路の利用状況に応じて、低コストで高精度な地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置及び地物情報収集方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る地物情報収集装置の特徴構成は、
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識手段による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて記憶する認識結果記憶手段と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出手段と、を備える点にある。
【0009】
この特徴構成によれば、道路標識や道路表示などの特定の地物に限定されることなく、学習地物抽出手段が、繰り返し画像認識することが可能な特徴を持つ認識対象を学習地物として抽出する。つまり、道路標示のように定型物でなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な対象を学習地物として収集することができる。従って、例えば山岳路などのように道路標示などが少ない道路においても、学習地物を収集することができ、本地物情報収集装置を広域にわたって利用することができる。また、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて学習地物が抽出され、当該認識情報は認識位置の情報と関連付けられている。従って、学習地物としての位置情報は統計的に処理され、認識位置の誤差の影響を抑制して実際の位置に近づけることができる。また、利用者が同じ場所を複数回通ることにより、同じ場所に関して複数の認識情報が得られるので、利用頻度の高い道において地物情報を収集することができる。さらに、学習地物の情報を自車両のみが利用する場合には、学習地物の収集と利用とに関係する撮像装置の光学系が同一であるので、画像情報を撮像する撮像装置は、車両の生産時に精密に校正されたものでなくてもよい。その結果、低コストで学習地物の収集及び利用を行うことができる。以上、本特徴構成によれば、利用者による道路の利用状況に応じて、低コストで高精度な地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置を提供することができる。
【0010】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、
前記認識結果記憶手段が、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて連続的に記憶し、
前記学習地物抽出手段が、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とする構成とすることができる。
【0011】
認識対象は、画像情報上に表された特徴であり、認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる定量的な特徴量である。この特徴量を、認識位置の情報に関連付けて連続的に記録すると、認識位置に対する特徴量の分布が得られる。この分布のピークが存在する位置は、当該位置の周辺において、特徴量が最も多い認識位置である。従って、本構成によれば、当該位置を学習地物の位置情報とすることによって、精度よく地物情報を収集することができる。
【0012】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、以下のような構成とすることができる。
前記認識結果記憶手段は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して記憶する。
そして、前記学習地物抽出手段は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする。
【0013】
認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる特徴量である。従って、特徴量が、例えば所定のしきい値を超える場合に、認識結果が所定の学習条件を満たし、学習値が与えられることになる。本構成によれば、この学習条件を満たした地点を含む所定の位置範囲毎に、当該学習値が加算される。そして、その積算値が何れかの位置範囲において所定の学習しきい値以上となると、当該学習しきい値以上となった位置範囲を代表する位置の情報が、学習地物の位置情報とされる。学習条件を満たした位置の微小な誤差は、所定の位置範囲の範囲内において吸収される。一方、複数の所定の位置範囲に対して、所定の位置範囲毎に加算された学習値の分布が得られ、加算された学習値が所定の学習しきい値以上となる位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となる。つまり、最頻値を有する何れか1つの位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となるように統計処理され、学習条件を満たした位置の大きな誤差も抑制される。その結果、精度よく地物情報を収集することが可能となる。
【0014】
ここで、前記認識情報が、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方の情報と関連付けて記憶され、
前記学習地物抽出手段が、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方に関して、所定の条件のときに繰り返し画像認識することが可能な認識対象を、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として抽出する構成とすると好適である。
【0015】
例えば、物の影は、昼間や晴天時に出現する。影は、路面などに対するコントラストが強いために、エッジや特定色などを認識対象とすれば認識が容易である。しかし、影の出現は、時刻や天候の影響を受けるために認識結果は安定しない。本構成によれば、認識時刻や認識時の天候などの所定の条件を満たした場合にのみ有効な限定的学習地物とするので、好適な学習地物として利用可能な対象を広げることができる。
【0016】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、2つの学習地物の位置情報に基づいて、当該2つの学習地物間の距離を表す地物間距離を判定する地物間距離判定手段を更に備えることを特徴とする。
【0017】
2つの学習地物の位置情報のみならず、2つの学習地物間の距離を表す地物間距離を判定することによって、個々の位置情報に誤差が含まれていても2つの学習地物の関係を精度良く表すことができる。従って、精度のよい学習地物の情報を得ることができる。
【0018】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記認識結果記憶手段が、複数の車両と通信可能に接続され、複数の車両による前記認識情報を記憶すると好適である。
【0019】
本構成によれば、複数の車両による地物の学習結果を集積することができる。従って、より多くの認識情報を用いて、更に高精度な位置情報を有する地物情報を生成することが可能となる。
【0020】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記学習地物が、道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、道路の路面上の影のいずれか1つ以上を含むと好適である。
【0021】
道路標示は白や黄などによってペイントされているため、アスファルト舗装の路面とのコントラストが強い。また、染みや汚れなども、路面とのコントラストが強い。従って、特定色の抽出やエッジ抽出など、簡易な画像処理を用いて、学習地物を抽出することができる。その結果、低コストで高精度な地物情報を収集することができる。
【0022】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記認識対象が、画像情報に含まれるノイズ、エッジ、所定色、及び所定形状のいずれか1つ以上を含むことを特徴とする。
【0023】
認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる特徴量である。路面に地物がない状態では、路面の画像情報は均一であるが、何らかの地物が存在すると、均一性が崩れる。この均一性を崩す要因をノイズとし、ノイズ量を認識対象とすれば、ノイズ量の多少が認識結果としての特徴量となる。また、路面の染みや汚れ、ひび割れなどは、画像情報に公知のフィルタ処理を施すことによってエッジとして抽出可能である。このエッジを認識対象とすれば、エッジの抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、白や黄色、橙色でペイントされた道路標示は、画像情報に対して公知のウインドウコンパレータ処理を施すことによって、その色成分が抽出可能である。それぞれの所定色を認識対象とすれば、色の種類とそれに対する抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、所定形状は公知のパターンマッチング処理によって検出可能である。所定形状を認識対象とすれば、パターンマッチング処理の結果としての適合度が認識結果としての特徴量となる。このように、認識対象を、ノイズ、エッジ、所定色、所定形状などとすることによって、定量的な特徴量を求めることができる。特に、ノイズ、エッジ、所定色などの認識対象は、道路標識や道路標示などのような定型性を有さなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な状態で学習地物として収集することができる。従って、道路標示などが少ない道路においても、円滑に学習地物を収集することができ、広域にわたって本地物情報収集装置を利用することができる。
【0024】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、
又は、
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報、及び複数の地物について予め整備された位置情報及び属性情報を含む地物情報の双方を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、を更に備えることを特徴とする。
【0025】
この特徴構成によれば、少なくとも学習地物に対する地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段を備える。従って、道路に対する地物情報の整備状況に応じて地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置を提供することができる。
【0026】
また、本発明に係る地物情報収集装置は、前記地物情報記憶手段を更に備える場合、前記自車位置情報に基づいて前記地物情報記憶手段を参照し、自車両の周辺に前記地物情報として記憶された前記対象地物が存在するか否かを判定する存在判定手段を更に備え、
前記存在判定手段により、自車両の周辺に前記対象地物が存在しないと判定された場合に、前記認識結果記憶手段への前記認識情報の記憶を行うことを特徴とする。
【0027】
この特徴構成によれば、少なくとも学習地物に対する地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段を備え、存在判定手段の判定結果に基づいて、学習地物を抽出するために認識情報を記憶するか否かが決定される。つまり、すでに地物情報が整備された道路においては、整備済みの地物情報を利用し、地物情報が未整備の道路においては新たな地物情報が整備される。その結果、利用者による道路の利用状況に応じて、低コストで高精度な地物情報を収集することが可能な地物情報収集装置を提供することができる。
【0028】
また、本発明に係る自車位置認識装置の特徴構成は、
前記地物情報記憶手段又は、前記地物情報記憶手段と前記存在判定手段との双方を備えた地物情報収集装置と、前記対象地物の画像認識結果に基づいて前記自車位置情報を補正する自車位置情報補正手段と、を備え、
前記画像認識手段が、前記自車位置情報に基づき前記地物情報記憶手段から抽出した自車両の周辺に存在する前記対象地物の前記地物情報に基づいて、前記画像情報に含まれる当該地物情報が示す前記対象地物の画像認識処理を行い、
前記自車位置情報補正手段が、前記画像認識手段による前記対象地物の画像認識結果と、前記対象地物の前記地物情報に含まれる位置情報とに基づいて、前記自車位置情報を補正する点にある。
【0029】
この特徴構成によれば、少なくとも学習地物に対する地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段を備えるので、多くの道路において高精度な自車位置情報の補正が可能となる。
【0030】
また、本発明に係るナビゲーション装置の特徴構成は、上記自車位置認識装置と、地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、前記地図情報を参照して動作するアプリケーションプログラムと、前記アプリケーションプログラムに従って動作して案内情報を出力する案内情報出力手段と、を備える点にある。
【0031】
この特徴構成によれば、多くの道路において高精度な自車位置情報の補正が可能な自車位置認識装置を用いて、案内情報が出力されるので、多くの道路において高精度な案内状を提供することができる。
【0032】
また、本発明に係る地物情報収集方法の特徴構成は、
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得工程と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得工程と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識工程と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識工程による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて認識結果記憶手段に記憶する認識結果記憶工程と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出工程と、
を備える点にある。
【0033】
この特徴構成によれば、道路標識や道路表示などの特定の地物に限定されることなく、学習地物抽出工程において、繰り返し画像認識することが可能な認識対象が学習地物として抽出される。つまり、道路標示のように定型物でなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な対象を学習地物として収集することができる。従って、山岳路などのように道路標示などが少ない道路においても、学習地物を収集することができ、本地物情報収集方法を広域にわたって利用することができる。また、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて学習地物が抽出され、当該認識情報は認識位置の情報と関連付けられている。従って、学習地物としての位置情報は統計的に処理され、認識位置の誤差の影響を抑制して実際の位置に近づけることができる。また、利用者が同じ場所を複数回通ることにより、同じ場所に関して複数の認識情報が得られるので、利用頻度の高い道において地物情報を収集することができる。
【0034】
また、本発明に係る地物情報収集方法は、
認識結果記憶工程が、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて前記認識結果記憶手段に連続的に記憶し、
前記学習地物抽出工程が、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とすることを特徴とする。
【0035】
認識対象は、画像情報上に表された特徴であり、認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる定量的な特徴量である。この特徴量を、認識位置の情報に関連付けて連続的に記録すると、認識位置に対する特徴量の分布が得られる。この分布のピークが存在する位置は、当該位置の周辺において、特徴量が最も多い認識位置である。従って、本構成によれば、当該位置を学習地物の位置情報とすることによって、精度よく地物情報を収集することができる。
【0036】
また、本発明に係る地物情報収集方法は、以下のような構成とすることができる。
前記認識結果記憶工程は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して前記認識結果記憶手段に記憶し、
前記学習地物抽出工程は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする。
【0037】
認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する画像認識処理によって得られる特徴量である。従って、特徴量が、例えば所定のしきい値を超える場合に、認識結果が所定の学習条件を満たし、学習値が与えられることになる。本構成によれば、この学習条件を満たした地点を含む所定の位置範囲毎に、当該学習値が加算される。そして、その積算値が何れかの位置範囲において所定の学習しきい値以上となると、当該学習しきい値以上となった位置範囲を代表する位置の情報が、学習地物の位置情報とされる。学習条件を満たした位置の微小な誤差は、所定の位置範囲の範囲内において吸収される。一方、複数の所定の位置範囲に対して、所定の位置範囲毎に加算された学習値の分布が得られ、加算された学習値が所定の学習しきい値以上となる位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となる。つまり、最頻値を有する何れか1つの位置範囲を代表する位置の情報が学習地物の位置情報となるように統計処理され、学習条件を満たした位置の大きな誤差も抑制される。その結果、精度よく地物情報を収集することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置1は、本発明の実施形態としての地物情報収集装置2、画像認識装置3、及び自車位置認識装置4を含んで構成されている。このナビゲーション装置1は、画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行い、その認識対象の認識結果を表す認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出する。そして、学習地物の地物情報Fを地物データベースDB2に反映させることにより、地物情報Fが整備されていなかった道路においても、地物情報Fを用いた自車位置情報Pの補正を行うことを可能とする。そして、ナビゲーション装置1は、補正された自車位置情報Pに基づいて経路案内等のナビゲーション処理を行う。
【0039】
図1に示すナビゲーション装置1の各機能部、具体的には、画像情報取得部12、自車位置情報取得部16、地物情報取得部17、画像認識部18、自車位置補正部19、ナビゲーション用演算部20、学習地物抽出部31、推測位置判定部34、地物情報管理部35、及び道路属性情報取得部41は、CPU等の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウェア又はソフトウェア(プログラム)或いはその両方により実装されて構成されている。そして、これらの各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。また、ナビゲーション装置1の各データベースDB1〜DB3は、例えば、ハードディスクドライブ、DVD−ROMを備えたDVDドライブ、CD−ROMを備えたCDドライブ等のように、情報を記憶可能な記録媒体とその駆動手段とを有する装置をハードウェア構成として備えている。以下、本実施形態に係るナビゲーション装置1の各部の構成について詳細に説明する。
【0040】
1.地図データベース
地図データベースDB1は、所定の区画毎に分けられた地図情報Mが記憶されたデータベースである。図2は、地図データベースDB1に記憶されている地図情報Mの構成の例を示す説明図である。この図に示すように、地図情報Mは、交差点に対応する多数のノードnと、各交差点間を結ぶ道路に対応するリンクkとの接続関係により道路ネットワークを表す道路情報Raを有している。各ノードnは、緯度及び経度で表現された地図上の位置(座標)の情報を有している。各リンクkは、ノードnを介して接続されている。また、各リンクkは、その属性情報として、道路種別、地域種別、リンク長、道路幅、リンク形状を表現するための形状補間点等の情報を有している。ここで、道路種別情報は、例えば、自動車専用道路、市街道路、細街路、山岳路等のように、道路を複数の種別に区分した際の道路種別の情報である。また、地域種別情報は、例えば、関東地方や関西地方等の地方、都道府県や市区町村等の行政区画等のように、リンクkに対応する道路が設けられている地域を複数に区分した際の地域種別の情報である。これらのリンクkの属性情報が、道路属性情報Rb(図1参照)に相当する。そして、本実施形態においては、この地図データベースDB1が、本発明における地図情報記憶手段に相当する。尚、図2においては、1つの区画の道路情報Raのみを図示し、他の区画の道路情報Raは省略して示している。
【0041】
2.地物データベース
地物データベースDB2は、道路上や道路周辺に設けられた各種の地物の情報、即ち地物情報Fが記憶されたデータベースである。図1に示すように、本実施形態においては、地物データベースDB2には、初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbの2種類の情報が記憶される。ここで、初期地物情報Faとは、地物データベースDB2に予め整備されて記憶されている複数の地物についての地物情報Fである。このような初期地物情報Faは、道路情報Raを含む地図情報Mが整備されている全ての地域の中で、大都市周辺や幹線道路等の一部の地域や道路についてのみ整備されている。一方、学習地物情報Fbとは、後述するように、画像認識部18による対象地物の画像認識結果を用いて学習した結果として地物データベースDB2に記憶される地物情報Fである。尚、以下の説明において、単に「地物情報F」というときは、これら初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbを総称するものとする。本実施形態においては、この地物データベースDB2が、本発明における地物情報記憶手段に相当する。
【0042】
この地物データベースDB2に地物情報F(特に初期地物情報Fa)が記憶される地物には、道路の路面に設けられた道路標示(ペイント標示)が含まれている。図3は、地物データベースDB2に記憶されている道路標示の地物情報Fの例を示す説明図である。このような道路標示に係る地物としては、例えば、横断歩道、停止線、速度標示、道路に沿って車線を分ける区画線(実線、破線、二重線等の各種区画線を含む。)、各車線の進行方向を指定する進行方向別通行区分標示(矢印標示、例えば、直進矢印、右折矢印等を含む)等が含まれる。尚、地物情報Fが格納される地物としては、このような道路標示のほか、信号機、標識、陸橋、トンネル等の各種の地物も含めることができる。
【0043】
また、地物情報Fは、その内容として各地物の地物位置情報と、それに関連付けられた地物属性情報とを有している。ここで、地物位置情報は、道路情報Raを構成するリンクk又はノードn等と関連付けられた各地物の代表点の地図上の位置(座標)、及び各地物の向きの情報を有している。初期地物情報Faの代表点は、例えば、各地物の長さ方向及び幅方向の中央部付近に設定される。学習地物情報Fbの代表点については後述する。また、初期地物情報Faの地物属性情報は、地物種別情報や、地物の形状、大きさ、色彩等の地物形態情報等を含んでいる。例えば、初期地物情報Faの地物種別は、具体的には、「横断歩道」、「停止線」、「速度標示(30km/時)」等のような、基本的に同じ形態を有する地物の種別を表す情報である。学習地物情報Fbの地物属性情報については後述する。また、本実施形態においては、地物情報Fは、近接する他の地物との関係を表す関連付情報や、当該他の地物との間の地物間距離を表す地物間距離情報を有している。ここで、関連付情報は、自車両50が道路に沿って進行中に、1つの地物を画像認識することにより、前方に存在する他の地物を予測できるようにするための情報である。また、地物間距離情報は、そのような前方に存在する地物までの自車両50からの距離を正確に予測するための情報である。
【0044】
3.学習データベース
学習データベースDB3は、学習地物抽出部31により導出された認識位置情報Aaを、各認識位置情報Aaに対応する認識対象が識別可能な状態で記憶するデータベースである。ここでは、各認識位置情報Aaに対応する認識対象を識別可能とするために、各認識位置情報Aaと、それに対応する認識対象の地物属性情報Abとを関連付けて記憶している。この学習データベースDB3に記憶される認識位置情報Aa及び地物属性情報Abの具体的な内容については、後で詳細に説明する。本実施形態においては、この学習データベースDB3が、本発明における認識結果記憶手段に相当する。
【0045】
4.画像情報取得部
画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した自車両の周辺の画像情報Gを取得する画像情報取得手段として機能する。ここで、撮像装置11は、撮像素子を備えた車載カメラ等であって、少なくとも自車両50の周辺の道路の路面を撮像可能な位置に設けられている。このような撮像装置11としては、例えば、図4に示すような自車両50の後方の路面を撮像するバックカメラを用いると好適である。画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した撮像情報を、フレームメモリ(不図示)などを介して所定の時間間隔で取り込む。この際の画像情報Gの取り込みの時間間隔は、例えば、10〜50ms程度とすることができる。これにより、画像情報取得部12は、撮像装置11により撮像した複数フレームの画像情報Gを連続的に取得することができる。ここで取得された画像情報Gは、画像認識部18へ出力される。
【0046】
5.自車位置情報取得部
自車位置情報取得部16は、自車両50の現在位置を示す自車位置情報Pを取得する自車位置情報取得手段として機能する。ここでは、自車位置情報取得部16は、GPS受信機13、方位センサ14、及び距離センサ15と接続されている。ここで、GPS受信機13は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信する装置である。このGPS信号は、通常1秒おきに受信され、自車位置情報取得部16へ出力される。自車位置情報取得部16では、GPS受信機13で受信されたGPS衛星からの信号を解析し、自車両50の現在位置(緯度及び経度)、進行方位、移動速度、時刻等の情報を取得することができる。方位センサ14は、自車両50の進行方位又はその進行方位の変化を検出するセンサである。この方位センサ14は、例えば、ジャイロセンサ、地磁気センサ、ハンドルの回転部に取り付けた光学的な回転センサや回転型の抵抗ボリューム、車輪部に取り付ける角度センサ等により構成される。そして、方位センサ14は、その検出結果を自車位置情報取得部16へ出力する。距離センサ15は、自車両50の車速や移動距離を検出するセンサである。この距離センサ15は、例えば、車両のドライブシャフトやホイール等が一定量回転する毎にパルス信号を出力する車速パルスセンサ、自車両50の加速度を検知するヨー・Gセンサ及び検知された加速度を積分する回路等により構成される。そして、距離センサ15は、その検出結果としての車速及び移動距離の情報を自車位置情報取得部16へ出力する。
【0047】
そして、自車位置情報取得部16は、これらのGPS受信機13、方位センサ14及び距離センサ15からの出力に基づいて、公知の方法により自車位置を特定する演算を行う。また、自車位置情報取得部16は、地図データベースDB1から抽出された自車位置周辺の道路情報Raを取得し、それに基づいて公知のマップマッチングを行うことにより自車位置を道路情報Raに示される道路上に合わせる補正も行う。このようにして、自車位置情報取得部16は、緯度及び経度で表された自車両50の現在位置の情報、及び自車両50の進行方位の情報を含む自車位置情報Pを取得する。
【0048】
6.地物情報取得部
地物情報取得手段として機能する地物情報取得部17は、自車位置情報取得部16で取得された自車位置情報P等に基づいて、地物データベースDB2から自車両50の周辺に存在する地物の地物情報Fを抽出して取得する。地物情報Fには、初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbの双方を含む。本実施形態においては、一例として、地物情報取得部17は、自車位置情報Pに基づいて、自車位置情報Pに示される自車両50の現在位置から、当該自車両50が走行中の道路を表すリンクkの終端までの間に存在する対象地物の地物情報Fを地物データベースDB2から抽出する。対象地物とは、画像認識部5による位置補正用画像認識処理(詳細は後述する。)の対象となる地物である。従って、地物情報取得部17により取得された地物情報Fは、画像認識部18及び自車位置情報補正部19へ出力される。本実施形態においては、初期地物として予め整備された、横断歩道、停止線、速度標示等のような、道路の路面に設けられた各種の道路標示の他、学習地物として収集された路面の染みや汚れ、ひび割れ、舗装のつなぎ目、マンホールの蓋なども対象地物となる。また、利用頻度が少ないために初期地物として登録されない種類の各種道路標示も学習地物として対象地物となる。さらに、影など、特定の時刻や天候などの所定の条件が整った場合に出現するものも、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として対象地物となる。
【0049】
尚、地物情報取得部17は、自車位置情報Pに基づいて地物データベースDB2を参照し、自車両50の周辺に地物情報Fとして記憶された対象地物が存在するか否かを判定する存在判定手段としても機能する。自車両50の周辺に対象地物が存在しないと判定された場合には、後述するように、情報収集用画像認識処理が実施される。つまり、自車両50の周辺に対象地物が存在しないと判定された場合には、自車両50が後述する高精度自車位置認識状態にないと判定され、学習地物情報Fbを収集するための情報収集用画像認識処理が実施される。尚、存在判定手段として機能する際の地物情報Fは、学習地物情報Fbを含めてもよいし、初期地物情報Faに限ってもよい。本実施形態では両方を含む。
【0050】
7.画像認識部
画像認識部18は、本実施形態においては、自車位置情報Pの補正に用いるための位置補正用画像認識処理と、地物の画像認識結果を学習して地物データベースDB2に反映させるための情報収集用画像認識処理との2種類の画像認識処理を行う。即ち、画像認識部18は、位置補正用画像認識処理として、自車位置情報Pに基づき地物データベースDB2から抽出した自車両50の周辺に存在する対象地物の地物情報Fに基づいて、画像情報Gに含まれる当該地物情報Fが示す対象地物の画像認識処理を行う画像認識手段として機能する。また、画像認識部18は、画像情報取得部12で取得された画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段として機能する。
【0051】
本実施形態においては、画像認識部18は、存在判定手段としても機能する地物情報取得部17により、自車両50の周辺に地物情報Fとして記憶された対象地物が存在すると判定された場合に位置補正用画像認識処理を行う。一方、地物情報取得部17により、自車両50の周辺に地物情報Fとして記憶された対象地物が存在しないと判定された場合に情報収集用画像認識処理を行う。地物情報Fが既に整備された道路上を自車両50が走行中の場合には、位置補正用画像認識処理による画像認識結果と、地物情報Fとに基づいて自車位置情報Pの補正処理が実施される。一方、地物情報Fが整備されていない道路上を自車両50が走行中の場合には、情報収集用画像認識処理を行い、画像情報Gに含まれる認識対象を学習地物として抽出する地物収集処理が実施される。
【0052】
位置補正用画像認識処理では、画像認識部18は、自車位置情報Pに基づいて地物データベースDB2から取得した自車両50の周辺に存在する対象地物の地物情報Fに基づいて、画像情報Gに含まれる当該地物情報Fが示す対象地物の画像認識処理を行う。この際、画像認識部18は、当該地物情報Fが示す対象地物の認識要求を行う所定の認識領域を設定し、この認識領域内の画像情報Gに対して対象地物の画像認識処理を行う。この認識領域は、道路情報Raが示すリンクk上における、当該対象地物が存在すると推測される位置範囲として設定される。ここで、各画像情報Gに含まれる現実の道路の撮像領域は、自車両50への撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等に基づいて予め演算された自車位置と撮像領域との位置関係を用いることで、自車位置情報Pに基づいて求めることができる。よって、画像認識部18は、このように求めた各画像情報Gの撮像領域の情報に基づいて、各対象地物について設定された認識領域に対応する画像情報Gを抽出し、画像認識処理を行う。画像認識部18は、対象地物が初期地物である場合には、画像情報Gに対して公知の二値化処理やエッジ検出処理等を行い、当該画像情報Gに含まれている対象地物(道路標示)の輪郭情報を抽出する。そして、抽出された輪郭情報と、対象地物の形態とのパターンマッチングを行うことにより、画像情報Gに含まれる対象地物を認識する。対象地物が学習地物である場合には、後述するような、学習時の認識対象に対する画像認識処理と同様の処理を施して対象地物を認識する。そして、この位置補正用画像認識処理による対象地物の画像認識結果は、自車位置情報補正部19による自車位置情報Pの補正に用いられる。
【0053】
情報収集用画像認識処理では、画像認識部18は、画像情報Gに含まれる認識対象の画像認識処理を行う。この画像認識処理は、地物データベースDB2に記憶された地物情報Fを用いず、従って、対象地物及び上述したような認識領域を設定することなく、認識対象の画像認識処理を行う。ここで、認識対象とは、画像情報に含まれる特徴であり、ノイズ、エッジ、所定色、及び所定形状のいずれか1つ以上を含むものである。そして、これら認識対象の認識結果は、当該認識対象に対する所定の画像認識処理によって得られる特徴量である。例えば、路面に地物がない状態では、路面の画像情報は均一であるが、何らかの地物が存在すると、均一性が崩れる。この均一性を崩す要因をノイズとし、このノイズを認識対象とすれば、ノイズ量の多少が認識結果としての特徴量となる。このようなノイズは、画像情報Gの空間周波数において高周波成分となるため、ハイパスフィルタなどを利用したフィルタリング処理によってノイズ量を抽出することができる。
【0054】
学習地物としてなり得る路面に存在する地物としては、道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、舗装のつなぎ目、マンホールの蓋、道路の路面上の影などがある。路面の染みや汚れ、ひび割れなどと路面との境界は、画像情報Gに公知のガウシアンフィルタ処理などを施すことによりエッジ成分として抽出可能である。このエッジ成分を認識対象とすれば、エッジ成分の抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、白や黄色、橙色でペイントされた道路標示は、画像情報Gに対して公知のウインドウコンパレータ処理を施すことによって、その色成分が抽出可能である。それぞれの色を認識対象とすれば、色の種類とそれに対する抽出数の多少が認識結果としての特徴量となる。また、特定の形状、例えば三角形、円形、四角形、数字などの特定形状を認識対象として、パターンマッチング処理を施し、その適合度を特徴量としてもよい。情報収集用画像認識処理による認識対象の認識結果(特徴量)は、その認識位置の情報と関連付けられて、学習データベースDB3に記憶される。
【0055】
8.自車位置情報補正部
自車位置情報補正部19は、画像認識部18による対象地物の画像認識処理の結果と、当該対象地物についての地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とに基づいて自車位置情報Pを補正する自車位置情報補正手段として機能する。本実施形態では、自車位置情報補正部19は、画像認識部18における地物情報Fに基づく位置補正用画像認識処理による対象地物の画像認識結果と、当該地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とを用いて、自車両50の進行方向に沿って自車位置情報Pを補正する。具体的には、自車位置情報補正部19は、まず、画像認識部18による位置補正用画像認識処理の結果と、撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等とに基づいて、対象地物の画像を含む画像情報Gの取得時における自車両50と対象地物との位置関係を演算する。次に、自車位置情報補正部19は、この自車両50と対象地物との位置関係の演算結果と、当該対象地物についての地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とに基づいて、自車両50の進行方向における対象地物の位置情報(地物情報F)を基準とする高精度な自車両50の位置情報を演算して取得する。そして、自車位置情報補正部19は、このようにして取得した高精度な自車両50の位置情報に基づいて、自車位置情報取得部16で取得した自車位置情報Pに含まれる、自車両50の進行方向の現在位置の情報を補正する。その結果、自車位置情報取得部16は、このような補正後の高精度な自車位置情報Pを取得することになり、自車両50は高精度自車位置認識状態となる。
【0056】
9.ナビゲーション用演算部
ナビゲーション用演算部20は、自車位置表示、出発地から目的地までの経路探索、目的地までの進路案内、目的地検索等のナビゲーション機能を実行するためにアプリケーションプログラム23に従って動作する演算処理手段である。例えば、ナビゲーション用演算部20は、自車位置情報Pに基づいて地図データベースDB1から自車両50周辺の地図情報Mを取得して表示入力装置21に地図の画像を表示するとともに、当該地図の画像上に、自車位置情報Pに基づいて自車位置マークを重ね合わせて表示する処理を行う。また、ナビゲーション用演算部20は、地図データベースDB1に格納された地図情報Mに基づいて、所定の出発地から目的地までの経路探索を行う。更に、ナビゲーション用演算部20は、探索された出発地から目的地までの経路と自車位置情報Pとに基づいて、表示入力装置21及び音声出力装置22の一方又は双方を用いて、運転者に対する進路案内を行う。また、本実施形態においては、ナビゲーション用演算部20は、表示入力装置21及び音声出力装置22に接続されている。表示入力装置21は、液晶表示装置等の表示装置とタッチパネル等の入力装置が一体となったものである。音声出力装置は、スピーカ等を有して構成されている。本実施形態においては、ナビゲーション用演算部20、表示入力装置21、及び音声出力装置22が、本発明における案内情報出力手段24として機能する。
【0057】
10.学習地物抽出部
学習地物抽出部31は、同じ場所の画像情報Gが複数回画像認識されることにより学習データベースDB3に記憶された、同じ場所に関する複数の認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出手段として機能する。以下、学習地物抽出部31が行う処理の詳細について、図5〜図9を用いて説明する。ここで、学習地物とは、上述したように道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、舗装のつなぎ目、マンホールの蓋、道路の路面上の影などである。図5では、このような学習地物の一例として「染み」を地物f1〜f3としている。認識情報とは、画像認識部18による認識対象の認識結果を表す情報であり、上述したように、いわゆる特徴量である。認識対象とは、画像情報Gに含まれるノイズ、エッジ、所定色、所定形状などであり、画像処理によって定量的な認識結果(特徴量)を得ることのできる画像情報上の特徴である。
【0058】
学習地物抽出部31は、認識対象の認識位置を、自車位置情報Pを基準とする当該認識対象の道路上の位置を表す情報として導出する。つまり、学習地物抽出部31は、画像認識部18による認識対象の画像認識結果と、撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等とに基づいて、認識対象(特徴)を含む画像情報Gの取得時における自車両50と認識対象との位置関係を演算する。次に、学習地物抽出部31は、この自車両50と認識対象との位置関係の演算結果と、当該画像情報Gの取得時における自車位置情報Pとに基づいて、自車位置情報Pを基準とする認識対象の位置を演算する。本例では、学習地物抽出部31は、この位置を、自車両50が走行中の道路を表すリンクkに沿った方向の位置として求める。そして、学習地物抽出部31は、このように演算された位置を、認識対象の認識位置として導出する。この認識位置は、当該認識対象を含む画像情報Gの取得時の自車位置情報Pを基準として導出されるため、自車位置情報Pが有する誤差を含んだ位置の情報となる。そこで、同じ場所の画像情報Gが複数回画像認識されることによって学習データベースDB3に記憶された、同じ場所に関する認識結果(認識情報)に基づき、位置情報が決定される。
【0059】
図5は、地物情報Fが整備されていない道路(リンクk)を自車両50が走行する場合を例とし、情報収集用画像認識処理の結果を用いた地物情報Fの収集処理の概要を説明するための説明図である。図5(a)に示すように、自車両50が走行する道路には、一例として、染みや汚れ、ひび割れなどである地物f1〜f3が存在している。学習地物抽出部31は、画像情報G上で各地物f1〜f3の特徴を表す認識対象に対する認識位置情報Aaを、画像認識部18による当該認識対象の認識位置が属する所定の位置範囲(後述する)についての学習値として生成する。そして、図5(b)に示すように、当該認識対象を認識する度に学習値を前記位置範囲毎に加算して学習データベースDB3に記憶する。学習地物抽出部31は学習値の加算結果に基づいて学習地物の推測位置pg(詳細は後述する)を導出する。この推測位置pgが学習地物情報Faに含まれる位置情報となる。
【0060】
上述したように、学習地物抽出部31は、認識対象の認識位置を、自車位置情報Pを基準とする当該認識対象の道路上の位置を表す情報として導出する。学習地物抽出部31は、後述する学習値を、認識位置が属する所定の位置範囲毎に加算して、学習データベースDB3に記憶する。ここで、学習値とは、認識対象の認識結果(特徴量)が所定の学習条件を満たすことにより与えられる値である。例えば、認識対象(特徴)が「染みによる所定の路面の色とは異なる色」であり、特徴量が色抽出の結果としての色抽出数である場合、抽出数が所定のしきい値以上となることが所定の学習条件である。即ち、定量的に示される認識結果(特徴量)に対し、認識対象(特徴)を充分に特徴づけているかどうかを判定可能な条件が学習条件である。
【0061】
本例では、所定の位置範囲は、道路を表すリンクkに沿った方向に一定距離毎に区分され設定された範囲であり、例えば、リンクkに沿った方向に0.5〔m〕毎に区分された範囲とする。また、学習値は、画像認識に1回成功する毎に、学習データベースDB3における当該認識対象の地物の認識位置が属する位置範囲に加算される値である。例えば、画像認識に1回成功する毎に1点とする。即ち、本例では認識対象の地物の認識位置が含まれる位置範囲を表す情報と、その学習値(例えば「1」)の情報とにより、認識位置情報Aaが構成される。上述したように、認識位置は、認識対象を含む画像情報Gの取得時の自車位置情報Pを基準として導出されるため、自車位置情報Pが有する誤差を含んでいる。しかし、本例では、学習条件を満たした位置の微小な誤差は、所定の位置範囲の範囲内において吸収される。
【0062】
ここで、図6は、図5(b)に示す学習データベースDB3に記憶された学習値の認識対象の地物f1に関する部分の拡大図である。例えば、図5(a)の例において、学習地物抽出部31により導出された認識対象(地物f1の特徴)の認識位置が、図6中に「a4」として示される位置範囲であった場合には、この図6中に破線で示すように、当該位置範囲a4の学習値に1が加算される。そして、自車両50が同じ道路を複数回通行することにより、同じ認識対象が複数回画像認識されると、学習データベースDB3には、図5(b)及び図6に示すように、当該認識対象が認識される毎に生成された複数の認識位置情報Aaとしての学習値が、当該認識対象の認識位置を表す位置範囲毎に積算されて蓄積される。そして、後述するように、位置範囲a4の学習値が所定の学習しきい値T1以上になると、位置範囲a4を代表する位置を代表点として地物情報生成部36により当該認識対象についての学習地物情報Fbが生成され、地物データベースDB2に記憶される。このように統計的な処理が実施されることにより、学習条件を満たした位置の大きな誤差も抑制される。図5の例では、地物f1及び地物f3に対応する学習地物情報Fb1及びFb3が、地物データベースDB2に記憶される。尚、図5に示す地物f2は、認識対象である地物f2の特徴に対する画像認識結果の学習値が所定の学習しきい値T1に達しないため、学習地物情報Fbは生成されず、地物データベースDB2にも記憶されない。
【0063】
上述したように、本実施形態によれば、道路標示のように定型物でなくても、「何かが路面にある」といったような曖昧な対象を学習地物とすることができる。従って、低コストで学習地物を収集することができる。勿論、より明確な画像認識を行ってもよく、色抽出やエッジ抽出の結果から、染みや汚れ、ひび割れなどの形状を特定し、曖昧さを抑制した学習地物を収集するようにしてもよい。図7は、色抽出やエッジ抽出の結果からさらに形状を認識する例を示し、図7(a)は路面の染みや汚れを認識する例、図7(b)は路面のひび割れを認識する例を示している。図7(a)に示すように、エッジe1が閉ループを有する場合には、この地物の属性は染みや汚れと推定され、その属性に応じた認識位置が演算される。例えば、リンクkに沿った方向に平行し、当該地物に外接する長方形領域を設定し、その頂点y1〜y4に基づいて重心位置x1を求め、これを認識位置とすることができる。図7(b)に示すように、エッジe2が閉ループを有さない、あるいは閉ループを有しても幅が狭い場合には、ひび割れと推定され、その属性に応じた認識位置が演算される。例えば、エッジe2の2箇所の端点y5とy6とを求め、y5とy6とを結ぶ直線の中点x2を認識位置とすることができる。
【0064】
上述したように、学習地物として路面に存在する地物としては、道路の路面に設けられた道路標示も含まれ、その種類は、初期地物と同一のものであってもよい。また、当然、利用頻度が少ない、形状の自由度が大きい、認識対象領域に対して面積が広い、などの理由により初期地物情報として登録されない種類の各種道路標示も含まれる。図8は、進入禁止領域(いわゆるゼブラゾーン)の特徴を認識対象とする例を示した説明図である。ここでは、認識対象となる特徴を「所定領域内の白の面積」とし、認識結果としての特徴量を「所定領域内の白の面積の割合」とする。画像認識部18は、所定の小領域rにおいて白のペイント部Wと路面とが識別可能なように、例えばウインドウコンパレータ処理を実施する。学習地物抽出部31は、小領域r中に所定の割合以上、ペイント部Wが含まれている場合には、学習値を「1」とする。上述したように、学習値は、画像認識に1回成功する毎に、学習データベースDB3における当該認識対象の認識位置が属する位置範囲に加算される。認識位置は、例えば、円形の小領域rの中心とすることができ、当該小領域rの中心が属する位置範囲に学習値が加算される。図9は、図8のようなゼブラゾーンに対する所定の位置範囲毎の学習値の積算例を示す図である。ゼブラゾーンは大きな面積を有しているため、図9に示すように、複数の小領域rにおいて学習値が積算されて、複数の位置範囲において同様の点数で学習しきい値T1を超えることになる。この場合には、例えば、その中間の位置範囲a7を学習地物の位置情報(推測位置pg)としてもよい。
【0065】
尚、認識対象となる特徴を備える地物は、定常的に路面に存在する染みや汚れ、ひび割れなどに限らず、特定の時刻や天候などの所定の条件が整った場合に出現するものも含めることができる。例えば、影などが該当する。この場合には、認識情報は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方の情報と関連付けられて学習データベースDB3に記憶される。そして、学習地物抽出部31は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方に関して、所定の条件のときに繰り返し画像認識することが可能な認識対象(影の特徴)を、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として抽出する。具体的には、後述する地物属性情報Fbにこの限定条件を含めることによって限定的学習地物とすることができる。影のような地物は、路面などに対するコントラストが強いために認識対象として強い特徴を有するが、その出現が時刻や天候の影響を受ける点が不安定要因となる。しかし、このような地物が出現する時刻や天候などの所定の条件を加味された限定的学習地物とすることにより、好適な学習地物として利用することができる。
【0066】
ところで、学習地物抽出部31は、当該画像認識に成功した認識対象を他の認識対象に対して識別可能な状態とするため、生成した認識位置情報Aaを、当該認識対象の各種属性を表す地物属性情報Abと関連付けて記憶している。ここで、地物属性情報Abが含む認識対象の属性は、当該1つの認識対象を他の認識対象と識別できるものであればよい。従って、例えば地物属性情報Abは、認識対象としての特徴の種類、即ち、色、エッジ、ノイズなどの区分や、形状認識を行った場合にはその具体的形状や大きさ、認識対象が存在するリンクkのリンクID等の中から選択される1又は2以上の情報を備えている。また、時刻や天候等の限定的学習地物の限定の条件も、地物属性情報Abに含めてよい。このような地物についての地物属性情報Abを構成する情報は、画像認識部18による認識対象の画像認識結果や、当該画像認識処理に係る画像情報Gの取得時の自車位置情報P等に基づいて生成される。
【0067】
11.推測位置判定部
推測位置判定部34は、同じ場所の画像情報が認識対象に相当するとして複数回画像認識されることにより学習データベースDB3に記憶された、同じ場所についての複数の認識位置情報Aaに基づいて、当該認識対象の推測位置pg(図5参照)を判定する推測位置判定手段として機能する。ここで、推測位置判定部34は、同じ場所に関する複数の認識位置情報Aaの分布に基づいて、当該分布の代表値を当該認識対象の推測位置pgとして判定する。本実施形態においては、分布の代表値として最頻値を用いる。即ち、推測位置判定部34は、各認識対象についての認識位置情報Aaとしての学習値が、最初に所定の学習しきい値T1以上となった位置範囲を代表する位置を代表点として、当該認識対象の推測位置pgと判定する。つまり、推測位置判定部34は、学習値が所定の学習しきい値T1以上となった位置範囲の認識対象を学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置を推測位置pgとする。一例として、図5の例における認識対象(地物f1の特徴)の推測位置pgを判定する場合の判定方法について説明する。図6に示すように、地物f1についての認識位置情報Aaとしての学習値は、位置範囲a4において最初に学習しきい値T1以上となっている。従って、推測位置判定部34は、位置範囲a4を代表する位置、例えば位置範囲a4の中央位置pg4を、地物f1に関する推測位置pgと判定する。
【0068】
12.地物情報管理部
地物情報管理部35は、学習データベースDB3に記憶された対象地物の学習結果に基づいて、地物データベースDB2に記憶された地物情報Fの管理を行う地物情報管理手段として機能する。本実施形態においては、この地物情報管理部35は、地物情報生成部36、及び地物間距離判定部37を備えている。以下、個別に説明する。
【0069】
12−1.地物情報生成部
地物情報生成部36は、学習データベースDB3に記憶された地物の学習結果に基づいて、学習地物情報Fbを生成する地物情報生成手段として機能する。即ち、地物情報生成部36は、推測位置判定部34により判定された各認識対象の推測位置pgを表す位置情報と、当該認識対象についての画像認識部18による画像認識結果に基づく地物属性情報とを関連付けた学習地物情報Fbを生成する。ここで、学習地物情報Fbを構成する地物属性情報は、学習データベースDB3において、当該認識対象についての認識位置情報Aaと関連付けて記憶されている地物属性情報Abの内容を用いて生成する。これにより、学習地物情報Fbは、初期地物情報Faと同様に、位置情報及びそれに関連付けられた地物属性情報を備えた情報として生成される。そして、この地物情報生成部36で生成された学習地物情報Fbは、地物データベースDB2に記憶される。本実施形態においては、例えば染み、汚れ、ひび割れ、道路標示(ペイント)などの種別、限定的学習地物の限定の条件などの地物の属性を含む学習地物情報Fb5が、地物情報生成部36により生成され、地物データベースDB2に記憶されている。
【0070】
12−2.地物間距離判定部
地物間距離判定部37は、2つの学習地物についての複数の認識位置情報Aaに基づいて、当該2つの学習地物間の距離を表す地物間距離Dを判定する地物間距離判定手段として機能する。本実施形態においては、地物間距離判定部37は、推測位置判定部34により判定された2つの学習地物についての推測位置pgの情報を用いて、一方の学習地物の推測位置pgと、他の学習地物の推測位置pgとの間の距離を演算することにより、これら2つの学習地物の地物間距離Dを求める。図5(b)及び(c)に示す例では、地物間距離判定部37は、互いに隣接する2つの学習地物間の距離を求める。即ち、本例では、地物間距離判定部37は、地物f1と地物f3との間の地物間距離Dを判定して求めている。この地物間距離判定部37により判定された地物間距離Dの情報は、上記地物情報生成部36により生成される学習地物情報Fbを構成する情報として利用される。即ち、本実施形態においては、各学習地物についての学習地物情報Fbは、当該学習地物と近接する他の学習地物との関係を表す関連付情報と、当該他の学習地物との間の地物間距離Dを表す地物間距離情報を有するものとして生成される。これらの情報も、初期地物情報Faに含まれる関連付情報及び地物間距離情報と同じ内容のものとなる。
【0071】
13.ナビゲーション装置の動作処理
次に、本実施形態に係るナビゲーション装置1において実行される、地物情報収集方法について説明する。図10は、本実施形態に係るナビゲーション装置1による地物情報収集方法の手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、図5(a)及び(b)に基づいて上述したような学習方法を用いる場合を例として説明する。
【0072】
図10に示すように、ナビゲーション装置1では、まず、自車位置情報取得部16により自車位置情報Pが取得される(自車位置情報取得工程:#1)。次に、画像情報取得部12により、撮像装置11が撮像した自車両50の周辺の画像情報Gが取得される(画像情報取得工程:#2)。その後、地物情報取得部17により、自車位置情報Pに示される自車両50の現在位置(自車位置)から、当該自車両50が走行中の道路を表すリンクkの終端までの間に存在する対象地物の地物情報Fを地物データベースDB2から取得され(地物情報取得工程:#3)、地物情報Fの存否が判定される(存在判定工程:#4)。地物情報Fは、初期地物情報Fa及び学習地物情報Fbの何れでもよい。
【0073】
地物情報Fがあると判定された場合には、自車両50は、地物データベースDB2が整備された道路を走行中である。従って、画像認識部18により上述した位置補正用画像認識処理が実施される(画像認識工程(位置補正用画像認識工程):#5)。つまり、画像認識部18は、取得された各地物情報Fが示す各対象地物について、認識領域を設定して画像認識処理を行う。認識領域内で対象地物が画像認識されると、当該対象地物の画像認識結果と、当該対象地物についての地物情報Fに含まれる当該対象地物の位置情報とに基づいて、自車位置情報補正部19により自車位置情報Pの補正が行われる(自車位置情報補正工程(不図示))。これにより、自車両50は、高精度自車位置認識状態となる。
【0074】
一方、地物情報Fがないと判定された場合には(#4)、ナビゲーション装置1は、地物情報収集用画像認識処理を実行する(#6)。初めに、画像認識部18により、画像情報Gに含まれる認識対象の画像処理が実施される。認識対象が画像認識されると、学習地物の候補となる地物があると判定され、認識対象が画像認識されない場合には処理が終了される(#7)。以上、ステップ#6及び#7は、本発明の画像認識工程(地物情報収集用画像認識工程)に相当する。
【0075】
認識対象が画像認識された場合には(#7)、学習地物抽出部31により、ステップ#1で取得した自車位置情報Pに基づいて、当該地物の認識位置が導出される。そして、当該認識対象の位置情報と学習値とが、学習データベースDB3に記憶される(認識結果記憶工程:#8)。つまり、導出された地物の認識位置を表す認識位置情報Aaが、当該認識位置が属する所定の位置範囲についての学習値として生成され、図5(b)及び図6に示すように、位置範囲毎に加算して学習データベースDB3に記憶される。
【0076】
次いで、学習データベースDB3に記憶された当該対象地物についての認識位置情報Aaとしての学習値が、所定の学習しきい値T1以上か否かが判定される(#9)。学習値が、所定の学習しきい値T1未満である場合には、処理を終了する。一方、学習データベースDB3に記憶された当該対象地物についての認識位置情報Aaとしての学習値が、所定の学習しきい値T1以上である場合には(#9)、推測位置判定部34により、当該地物の推測位置pgが判定される。その後、地物情報生成部36により、当該認識対象についての推測位置pgと画像認識結果に基づく地物属性情報とを関連付けた学習地物情報Fbが生成される(#10)。生成された学習地物情報Fbは地物データベースDB2に記憶される(#11)。以上、ステップ#9〜#11は、本発明の学習地物抽出工程に相当する。
【0077】
14.その他の実施形態
(1)上記実施形態では、図5(b)に示すように、所定の位置範囲についての学習値を加算する方法を用いて学習地物の位置情報を推測した。しかし、この方法に限定されることなく、学習地物抽出部31は下記のような方法を用いて学習地物の位置情報を推測しても良い。学習データベースDB3は、認識対象に対して実施した画像認識処理によって得られる定量的な認識結果(特徴量)を図5(c)に示すように生値としてそのまま記憶する。つまり、学習データベースDB3は、認識対象の認識結果としての特徴量の生値を、位置情報に関連付けて連続的に記憶する。そして、学習地物抽出部31は、記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、そのピークが存在する位置の認識対象を学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報(推測位置pg)とする。
【0078】
図5では、学習地物となる染みを地物f1〜f3として例示しており、認識対象となる画像上の特徴は、例えば所定の路面の色とは異なる色や、路面色との境界である。画像認識処理として、路面の色を抽出対象としてウインドウコンパレータ処理を施すと、路面の色とは異なる色を抽出することもできる。図5(c)は、このようにして抽出された、路面とは異なる色の抽出数を特徴量(認識結果)として、認識位置との関係を表したものである。地物f1及びf3は、大きな染みであるので特徴量が多く、地物f2は小さな染みであるので特徴量が少ない。学習地物抽出部31は、例えば、特徴量の分布の中で、所定の特徴量しきい値T2以上の特徴量を有すと共に、そのピークが存在する場合に、認識対象(色の特徴を有する染み)を学習地物として抽出する。また、当該ピークが存在する位置の情報を、当該学習地物の位置情報(推測位置pg)とする。上述したように、認識結果の認識位置は、認識対象を含む画像情報Gの取得時の自車位置情報Pを基準として導出されるため、自車位置情報Pが有する誤差を含んだ位置の情報である。学習データベースDB3には、複数回走行した際の各回の特徴量の生値が積算されて記憶されるので、特徴量のピークが存在する位置は、上記誤差が吸収され、精度良く学習地物の位置情報を推測することができる。
【0079】
尚、この方法は、学習をすべきか否かの判定に用いることもできる。例えば、荒天時に撮像装置11のレンズに水滴が付くと、画像情報Gに乱れが生じる。その結果、認識結果の分布は、変化に乏しいものとなるので、この時の認識結果は学習のための記憶対象から除外するようにしてもよい。
【0080】
(2)認識対象としての特徴を有する地物として、利用頻度が少なくて初期地物情報としては登録されないが単純な形状の道路標示を利用することができる。そのような道路標示の形状を所定形状として、その所定形状を認識対象とすることができる。例えば、「この先に優先道路有り」を示す三角形マーク、路面に描かれた指示表示の個々の文字などがこの道路標示に該当する。
【0081】
(3)認識対象としての特徴を「路面上の白の割合」として、所定の色の抽出処理を行った結果に基づいて、当該認識対象としての特徴を有する地物が道路標示である可能性を判定してもよい。そして、道路標示である可能性が高い場合には、出現頻度の高い道路標示(横断歩道、停止線等)についての形状認識アルゴリズムを実行して、より精度の高い学習地物を収集するようにしてもよい。
【0082】
(4)上記の実施形態では、認識位置情報Aaが表す認識対象の認識位置を、自車位置情報Pを基準とする当該地物の道路上の位置を表す情報として導出する場合を例として説明した。しかし、本発明に係る認識位置情報Aaは、このような位置の情報に限定されるものではない。従って、例えば、認識位置情報Aaが表す認識位置を、当該認識対象を含む画像情報Gを取得した際の自車位置情報Pが示す自車両50の位置とすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。この場合、地物情報生成部36により学習地物情報Fbが生成される際に、撮像装置11の取り付け位置、取り付け角度、及び画角等に基づいて、自車両50の位置に対する画像情報G中の認識対象の地物の道路上の位置を演算し、当該認識対象としての特徴を有する地物の道路上の位置を、学習地物情報Fbが含む位置情報とすると好適である。
【0083】
(5)上記の実施形態では、1回の画像認識に成功する毎に1点の学習値を加算する場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、認識結果に応じて異なる点数を加算するようにしてもよい。例えば、図8を用いて上述したように、「所定領域内の白の面積」を認識対象となる特徴とし、認識結果としての特徴量を「所定領域内の白の面積の割合」とした場合、この「割合」に応じて異なる点数を加算してもよい。例えば、50%以上の場合は1点、さらに70%以上となると3点、というように認識結果に応じて点数を異ならせてもよい。
【0084】
(6)上記の実施形態では、本発明に係る地物情報収集装置2の全ての構成が自車両50に搭載される場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではない。即ち、本発明の認識結果記憶手段としての学習データベースDB3を含む地物情報収集装置2の一部の構成が、図11に示すように、無線通信回線等を介して、複数の車両50と通信可能に接続されたサーバ装置60に設置された構成とすることも、本発明の好適な実施形態の1つである。地物情報収集装置2をこのような構成とすれば、複数の車両50による地物の学習結果をサーバ装置60に設置された学習データベースDB3に集積することができる。従って、より多くの認識位置情報Aaを用いて、更に高精度な位置情報を有する地物情報Fを生成することが可能となる。尚、サーバ装置60に設置する地物情報収集装置2の構成は、学習データベースDB3に限られず、撮像装置11や自車位置情報取得部16等のような、自車両50に搭載する必要がある構成以外の全ての構成を、サーバ装置60に設置することが可能である。また、同様に、画像認識装置3、自車位置認識装置4、及びナビゲーション装置1の一部の構成を、サーバ装置60に設置することも本発明の好適な実施形態の1つである。
【0085】
(7)上記の各実施形態では、画像認識装置3及び自車位置認識装置4を、ナビゲーション装置1に利用する場合の例について説明した。しかし、本発明の適用範囲はこれに限定されるものではなく、車両の走行制御装置等の他の用途に利用することも当然に可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、車両に搭載した撮像装置等により取得した車両周辺の画像情報に含まれる地物の情報を、画像認識処理を行うことにより収集する地物情報収集装置に適用することができる。また、当該装置は、自車位置認識装置や、ナビゲーション装置、車両の制御システム等において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置の構成を模式的に示すブロック図
【図2】地図データベースに記憶されている地図情報の構成の例を示す図
【図3】地物データベースに記憶されている道路標示の地物情報の例を示す図
【図4】自車両への撮像装置の配置構成の一例を示す図
【図5】地物情報が整備されていない道路を自車両が走行する場合の地物情報の収集処理の概要を説明するための説明図
【図6】図5(b)に示す学習データベースに記憶された学習値の要部拡大図
【図7】認識対象に対する画像処理及び位置の情報の算出方法の例を示す説明図
【図8】認識対象に対する画像処理の例を示す説明図
【図9】図8に示す地物の学習データベースに記憶された学習値の要部拡大図
【図10】本実施形態に係るナビゲーション装置による地物情報収集方法の手順の一例を示すフローチャート
【図11】本発明の実施形態に係る地物情報収集装置の一部の構成がサーバ装置に設置された例を示す図
【符号の説明】
【0088】
1:ナビゲーション装置
2:地物情報収集装置
3:画像認識装置
4:自車位置認識装置
12:画像情報取得部(画像情報取得手段)
16:自車位置情報取得部(自車位置情報取得手段)
17:地物情報取得部(地物情報取得手段)
18:画像認識部(画像認識手段)
19:自車位置情報補正部(自車位置情報補正手段)
23:アプリケーションプログラム
24:案内情報出力手段
31:学習地物抽出部(学習地物抽出手段)
34:推測位置判定部(推測位置判定手段)
35:地物情報管理部(地物情報管理手段)
36:地物情報生成部(地物情報生成手段)
37:地物間距離判定部(地物間距離判定手段)
39:存在判定部(存在判定手段)
50:自車両
Aa:認識位置情報(学習地物の位置情報)
Ab:地物属性情報
DB1:地図データベース(道路情報記憶手段)
DB2:地物データベース(地物情報記憶手段)
DB3:学習データベース(認識結果記憶手段)
D:地物間距離
F:地物情報
G:画像情報
P:自車位置情報
T1:学習しきい値
a1〜a12:位置範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識手段による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて記憶する認識結果記憶手段と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出手段と、
を備える地物情報収集装置。
【請求項2】
前記認識結果記憶手段は、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて連続的に記憶し、
前記学習地物抽出手段は、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とする請求項1に記載の地物情報収集装置。
【請求項3】
前記認識結果記憶手段は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して記憶し、
前記学習地物抽出手段は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする請求項1に記載の地物情報収集装置。
【請求項4】
前記認識情報は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方の情報と関連付けて記憶され、
前記学習地物抽出手段は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方に関して、所定の条件のときに繰り返し画像認識することが可能な認識対象を、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として抽出する請求項1から3のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項5】
2つの学習地物の位置情報に基づいて、当該2つの学習地物間の距離を表す地物間距離を判定する地物間距離判定手段を更に備える請求項1から4のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項6】
前記認識結果記憶手段は、複数の車両と通信可能に接続され、複数の車両による前記認識情報を記憶する請求項1から5のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項7】
前記学習地物は、道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、道路の路面上の影のいずれか1つ以上を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項8】
前記認識対象は、画像情報に含まれるノイズ、エッジ、所定色、所定形状のいずれか1つ以上を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項9】
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、
又は、
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報、及び複数の地物について予め整備された位置情報及び属性情報を含む地物情報の双方を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、を更に備える請求項1から8のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項10】
前記自車位置情報に基づいて前記地物情報記憶手段を参照し、自車両の周辺に前記地物情報として記憶された前記対象地物が存在するか否かを判定する存在判定手段を更に備え、
前記存在判定手段により、自車両の周辺に前記対象地物が存在しないと判定された場合に、前記認識結果記憶手段への前記認識情報の記憶を行う請求項9に記載の地物情報収集装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の地物情報収集装置と、前記対象地物の画像認識結果に基づいて前記自車位置情報を補正する自車位置情報補正手段と、を備え、
前記画像認識手段は、前記自車位置情報に基づき前記地物情報記憶手段から抽出した自車両の周辺に存在する前記対象地物の前記地物情報に基づいて、前記画像情報に含まれる当該地物情報が示す前記対象地物の画像認識処理を行い、
前記自車位置情報補正手段は、前記画像認識手段による前記対象地物の画像認識結果と、前記対象地物の前記地物情報に含まれる位置情報とに基づいて、前記自車位置情報を補正する自車位置認識装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自車位置認識装置と、地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、前記地図情報を参照して動作するアプリケーションプログラムと、前記アプリケーションプログラムに従って動作して案内情報を出力する案内情報出力手段と、を備えるナビゲーション装置。
【請求項13】
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得工程と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得工程と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識工程と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識工程による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて認識結果記憶手段に記憶する認識結果記憶工程と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出工程と、
を備える地物情報収集方法。
【請求項14】
前記認識結果記憶工程は、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて前記認識結果記憶手段に連続的に記憶し、
前記学習地物抽出工程は、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とする請求項13に記載の地物情報収集方法。
【請求項15】
前記認識結果記憶工程は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して前記認識結果記憶手段に記憶し、
前記学習地物抽出工程は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする請求項13に記載の地物情報収集方法。
【請求項1】
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得手段と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得手段と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識手段と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識手段による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて記憶する認識結果記憶手段と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出手段と、
を備える地物情報収集装置。
【請求項2】
前記認識結果記憶手段は、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて連続的に記憶し、
前記学習地物抽出手段は、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とする請求項1に記載の地物情報収集装置。
【請求項3】
前記認識結果記憶手段は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して記憶し、
前記学習地物抽出手段は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする請求項1に記載の地物情報収集装置。
【請求項4】
前記認識情報は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方の情報と関連付けて記憶され、
前記学習地物抽出手段は、認識時刻及び認識時の天候の少なくとも一方に関して、所定の条件のときに繰り返し画像認識することが可能な認識対象を、当該条件を満たす場合にのみ有効な限定的学習地物として抽出する請求項1から3のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項5】
2つの学習地物の位置情報に基づいて、当該2つの学習地物間の距離を表す地物間距離を判定する地物間距離判定手段を更に備える請求項1から4のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項6】
前記認識結果記憶手段は、複数の車両と通信可能に接続され、複数の車両による前記認識情報を記憶する請求項1から5のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項7】
前記学習地物は、道路の路面に設けられた道路標示、道路の路面上の染み、道路の路面上の汚れ、道路の路面のひび割れ、道路の路面上の影のいずれか1つ以上を含む請求項1から6のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項8】
前記認識対象は、画像情報に含まれるノイズ、エッジ、所定色、所定形状のいずれか1つ以上を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項9】
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、
又は、
前記学習地物についての前記認識情報に関する属性情報と、当該学習地物の位置情報とを関連付けた地物情報、及び複数の地物について予め整備された位置情報及び属性情報を含む地物情報の双方を対象地物の地物情報として記憶する地物情報記憶手段、を更に備える請求項1から8のいずれか一項に記載の地物情報収集装置。
【請求項10】
前記自車位置情報に基づいて前記地物情報記憶手段を参照し、自車両の周辺に前記地物情報として記憶された前記対象地物が存在するか否かを判定する存在判定手段を更に備え、
前記存在判定手段により、自車両の周辺に前記対象地物が存在しないと判定された場合に、前記認識結果記憶手段への前記認識情報の記憶を行う請求項9に記載の地物情報収集装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の地物情報収集装置と、前記対象地物の画像認識結果に基づいて前記自車位置情報を補正する自車位置情報補正手段と、を備え、
前記画像認識手段は、前記自車位置情報に基づき前記地物情報記憶手段から抽出した自車両の周辺に存在する前記対象地物の前記地物情報に基づいて、前記画像情報に含まれる当該地物情報が示す前記対象地物の画像認識処理を行い、
前記自車位置情報補正手段は、前記画像認識手段による前記対象地物の画像認識結果と、前記対象地物の前記地物情報に含まれる位置情報とに基づいて、前記自車位置情報を補正する自車位置認識装置。
【請求項12】
請求項11に記載の自車位置認識装置と、地図情報が記憶された地図情報記憶手段と、前記地図情報を参照して動作するアプリケーションプログラムと、前記アプリケーションプログラムに従って動作して案内情報を出力する案内情報出力手段と、を備えるナビゲーション装置。
【請求項13】
自車両の現在位置を表す自車位置情報を取得する自車位置情報取得工程と、
自車両の周辺の画像情報を取得する画像情報取得工程と、
前記画像情報に含まれる認識対象の画像認識処理を行う画像認識工程と、
前記自車位置情報に基づいて、前記画像認識工程による認識対象の認識結果を表す認識情報を、当該認識対象の認識位置の情報と関連付けて認識結果記憶手段に記憶する認識結果記憶工程と、
同じ場所の画像情報が複数回画像認識されることにより前記認識結果記憶手段に記憶された、同じ場所に関する複数の前記認識情報に基づいて、繰り返し画像認識することが可能な認識対象を学習地物として抽出し、当該学習地物の位置情報と共に出力する学習地物抽出工程と、
を備える地物情報収集方法。
【請求項14】
前記認識結果記憶工程は、認識対象の認識結果を、前記認識位置の情報に関連付けて前記認識結果記憶手段に連続的に記憶し、
前記学習地物抽出工程は、前記認識結果記憶手段に記憶された認識対象の認識結果の分布に基づいて、ピークが存在する位置の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該ピークが存在する位置の情報を当該学習地物の位置情報とする請求項13に記載の地物情報収集方法。
【請求項15】
前記認識結果記憶工程は、認識対象の認識結果が所定の学習条件を満たすことにより与えられる学習値を、認識対象の認識結果が当該学習条件を満たす度に、当該学習条件を満たした地点の位置が属する所定の位置範囲毎に加算して前記認識結果記憶手段に記憶し、
前記学習地物抽出工程は、前記学習値が所定の学習しきい値以上となった位置範囲の認識対象を前記学習地物として抽出し、当該位置範囲を代表する位置の情報を、当該学習地物の位置情報とする請求項13に記載の地物情報収集方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−250687(P2008−250687A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−91323(P2007−91323)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]