説明

地物特定装置、方法およびプログラム

【課題】経路を案内する際の基準となる地物であって、個別の利用者に適した地物を選定する技術を提供する。
【解決手段】利用者が属するグループの構成員に共有された共有情報を取得し、前記利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる前記共有情報に関連する地物を特定する。特定された地物を提示した経路案内が行われるように構成することで、基準となる地物が利用者に認識される可能性が高い状態で経路案内が行われるようにすることが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地物特定装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、交差点の周辺に存在する地物を陸標として交差点の案内を行う技術が知られている。例えば、特許文献1においては、複数の車線が存在する道路を走行している車両の運転者に対して走行している車線から遠い地物を陸標にした案内を行うとわかりづらいため、車両が走行している車線に近い地物を陸標にして案内を行う。このような地物の選定にあたり、特許文献1においては、交差点の周辺に存在する著名な地物を陸標とする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−275721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術においては、コンビニエンスストアなど、一般的な認知度が高い地物であれば多くの利用者が認識することができるとみなし、当該認知度が高い地物を陸標としている。しかし、一般的に認知度が高い地物であっても全ての利用者が認識できるわけではないし、国や地域によって認知度は大きく異なる。また、一般的な認知度が高い地物は狭い地域に複数個存在し得るため、この場合には陸標としては不適切になってしまう。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、経路を案内する際の基準となる地物であって、個別の利用者に適した地物を選定する技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明においては、利用者が属するグループの構成員に共有された共有情報に関連する地物を、利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物として特定する。すなわち、利用者は当該利用者が属するグループの構成員であるため、構成員に共有された共有情報に関連する地物は、利用者個人と関連しない一般的な認知度に基づいて選択される地物と比較して、当該利用者に認識される可能性が高い。そこで、共有情報に関連する地物を、利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物として特定することで、経路を案内する際の基準となる地物であって、個別の利用者に適した地物を選定することが可能になる。また、特定された地物を提示した経路案内が行われるように構成することで、基準となる地物が利用者に認識される可能性が高い状態で経路案内が行われるように構成可能である。
【0006】
共有情報取得手段は、利用者が属するグループの構成員に共有された共有情報を取得することができればよく、利用者に予め対応付けられた共有情報を取得しても良い。また、利用者が属するグループおよび構成員を特定し、各構成員に対して対応付けられた情報のなかから各構成員に対して対応付けられた共通の情報を特定して当該共通の情報が共有情報であるとみなしても良い。さらに、共有情報は、グループに対応付けられていてもよい。
【0007】
地物特定手段は、利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物であり、かつ、共有情報に関連する地物を特定することができればよい。ここで、経路を案内する際の基準となる地物は、経路の特定を容易にするための地物(例えば、経路上や経路の周辺に存在する地物)や、経路自体を構成する地物(例えば、特定の道路)等を想定可能である。
【0008】
なお、経路は、予め特定されてもよいし、探索によって取得されても良い。すなわち、経路情報が予め特定されており、地物特定装置が当該経路情報を取得する構成を採用可能である。また、この場合、経路情報に基づいて交差点や目標の方向など、経路を案内する際の基準(陸標)となり得る地物を、経路上や経路周辺から特定することになる。
【0009】
さらに、探索によって経路を取得する場合、利用者の出発地(または現在地)および目的地(経由地を含んでいても良い)を示す情報を取得し、出発地(または現在地)から目的地までの経路を探索する。経由地がある場合には経由地までの経路を探索し、経由地から目的地までの経路を探索する。この場合、この経路を案内する際の基準となる地物は経路の探索後に特定されてもよいし、経路探索前に特定されて経路探索に利用されても良い。すなわち、共有情報に関連する地物として特定の道路や特定の道路種別の道路を特定し、当該特定の道路や特定の道路種別の道路を含む経路を探索する構成とする。この場合には、探索された道路を案内すること自体が、経路を案内する際の基準を案内することになり、同時に共有情報に関連する地物を案内することになる。
【0010】
なお、経路は車両によって走行すべき経路であっても良いし、歩行によって辿るべき経路であっても良いし、他の移動方法によって辿るべき経路であっても良いし、複数の移動方法を利用して辿るべき経路であっても良い。
【0011】
さらに、共有情報に関連する地物は共有情報に基づいて特定することができればよい。例えば、グループの構成員に共有され得る情報(例えば、趣味や嗜好などを示す情報)のそれぞれに対して地物自体や地物の種類を示す情報を予め対応付けておき、グループの構成員に共有された共有情報が特定された場合に当該共有情報に対応付けられた地物や地物の種類を特定する構成を採用可能である。また、地物に対して各種の属性情報が対応付けられる構成とし、共有情報と属性情報が一致あるいは関連する場合に、当該一致あるいは関連する属性情報が対応付けられた地物を構成員が認識する地物として特定する構成を採用しても良い。
【0012】
さらに、利用者の目的地が構成員に共通の目的地である場合に本発明を適用しても良い。すなわち、共有情報を利用すれば各構成員に認識される可能性が高い地物を容易に特定可能であるため、各構成員が同じ目的地に向かう場合に、共有情報に関連する地物を目的地までの経路を案内する際の基準となる地物とすれば、各構成員を容易に目的地に到達させる地物を特定することが可能である。なお、目的地が構成員の共通の目的地である場合、目的地を示す情報を共有情報として取得する構成としても良い。この構成においては、目的地に関連した地物が、利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物になるため、各構成員に当該基準となる地物が認識される可能性が極めて高くなる。
【0013】
さらに、共有情報は構成員に共有されていれば良く、各種の手法によって取得可能である。例えば、構成員に複数の項目毎の個人情報が予め対応付けられる構成とし、構成員に共通の個人情報を共有情報として取得する構成としても良い。この構成によれば、利用者の個人情報が記録されたデータベースを参照して容易に共有情報を特定することが可能になる。個人情報は、各構成員に関する種々の情報、例えば、各構成員の趣味や嗜好、訪問頻度が多い施設、所属するコミュニティを示す情報等によって構成することが可能である。
【0014】
さらに、経路を案内する際の基準となる地物であり、かつ、共有情報に関連する地物が特定できないことがあり得る場合に、可能な限り共有情報に関連する地物を経路を案内する際の基準となる地物として特定する構成としても良い。例えば、経路上の交差点の周囲に、共有情報に関連する地物が存在する場合には、共有情報に関連する地物を利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物として特定する。一方、経路上の交差点の周囲に、共有情報に関連する地物が存在しない場合には、予め決められた認知度が相対的に高い地物を前記利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物として特定する。
【0015】
すなわち、交差点においては直進、右左折など退出方向に任意性があり、経路を正確に辿るために重要な判断が必要になるため、地物を基準として提示して交差点での経路を案内することが好ましい。このような交差点における経路の案内は、交差点の周囲の地物を交差点の位置や交差点での退出方向等を示すための基準として提示することによって実現される。そこで、共有情報に関連する地物が存在する場合には共有情報に関連した地物によって当該基準となる地物を構成することによって、個別の利用者に適した地物を選択することとする。一方、当該共有情報に関連する地物が存在しない場合には、個別の利用者に適した地物を選択することはできないが、交差点の周囲の地物から相対的に認知度が高い地物を選択して提示することにより、一般的な利用者によって認識される可能性が高い地物を基準の地物として選択することが可能である。
【0016】
さらに、本発明のように共有情報に関連する地物を経路案内の基準となる地物として特定する手法は、方法やプログラムとしても適用可能である。また、以上のような装置、方法、プログラムは、単独の装置として実現される場合もあれば、他の装置と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。例えば、以上のような装置を備えた携帯端末やナビゲーション装置、方法、プログラムを提供することが可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】地物特定装置を含むシステムのブロック図である。
【図2】経路案内の基準となる地物の特定を示す図である。
【図3】ナビゲーション処理を示すフローチャートである。
【図4】経路情報送信処理を示すフローチャートである。
【図5】ユーザI/F部の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)地物特定装置を含むシステムの構成:
(1−1)携帯端末の構成:
(1−2)経路情報提供装置の構成:
(1−3)経路案内処理:
(2)他の実施形態:
【0019】
(1)地物特定装置を含むシステムの構成:
図1は、地物特定装置を含むシステムの構成を示すブロック図である。本実施形態において、携帯端末100は利用者に対して目的地までの経路案内を提供する装置である。経路情報提供装置10は、携帯端末100に対して案内対象となる経路を示す経路情報を提供する装置である。経路情報提供装置10は、当該経路情報とともに経路を案内する際の基準となる地物(以下、基準地物と呼ぶ)を示す基準地物情報を携帯端末100に対して提供する。すなわち、本実施形態において、経路情報提供装置10は本発明にかかる地物特定装置を含んでいる。
【0020】
(1−1)携帯端末の構成:
携帯端末100はCPU,RAM,ROM等を備える制御部200と記録媒体300とGPS受信部410とユーザI/F部420と通信部220とを備えており、当該記録媒体300やROMに記憶されたプログラムを制御部200で実行することができる。本実施形態においては、このプログラムの一つとして、利用者に対して目的地までの経路を案内するナビゲーションプログラム210を実行可能である。
【0021】
GPS受信部410は、GPS衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して携帯端末100の現在地を算出するための情報を出力する。制御部200は、この信号を取得して携帯端末の現在地を取得する。ユーザI/F部420は、ユーザが指示を入力し、またはユーザに各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しない表示部やボタン、スピーカー等を備えている。さらに、記録媒体300には、携帯端末100を利用する利用者を識別するための番号を示すID情報300aが記録されている。通信部220は、外部の通信機器と無線通信によって情報を送受信する装置である。
【0022】
本実施形態は、ソーシャルネットワーキングサービスなどを利用して利用者が複数の構成員によって構成されるグループに予め所属し、当該グループの構成員によって目的地が共有されている状態で利用される。ナビゲーションプログラム210は、この状態において制御部200に経路案内を行う機能を実現させる。すなわち、制御部200は、ナビゲーションプログラム210の処理により、通信部220を介してID情報300aおよび現在地を示す情報を送信することができる。経路情報提供装置10は、当該ID情報300aおよび現在地を示す情報を送信した携帯端末100に対して経路情報および基準地物情報を返信するように構成されている。制御部200は、通信部220を介して当該経路情報および基準地物情報を受信して経路案内を実行することができる。
【0023】
(1−2)経路情報提供装置の構成:
経路情報提供装置10は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部20と記録媒体30と通信部22とを備えており、制御部20は当該記録媒体30やROMに記憶されたプログラムを実行することができる。本実施形態において制御部20は、このプログラムの一つとして経路情報送信プログラム21を実行可能であり、制御部20は経路情報送信プログラム21の処理により、ID情報300aおよび現在地を示す情報を受信し、経路情報および基準地物情報を生成して通信部22を介して当該経路情報および基準地物情報を送信する。なお、通信部22は外部の通信機器と無線通信によって情報を送受信する装置である。
【0024】
また、本実施形態において記録媒体30には予め個人情報30aと地図情報30bとが記録されており、制御部20は、経路情報送信プログラム21の処理により、個人情報30aおよび地図情報30bを参照して基準地物情報および経路情報を生成する。本実施形態において、個人情報30aは、前記ソーシャルネットワーキングサービスの会員が登録した各会員の個人情報であり、例えば、図2に示す情報によって構成することができる。図2で示す個人情報30aの例においては、利用者を特定するID番号毎に各利用者の趣味、年齢、所属するコミュニティを示す情報が対応付けられている。ここで、IDは、携帯端末100の利用者を識別するための番号であり、個人情報30aに含まれるIDのなかのいずれかがID情報300aが示す番号と一致する。
【0025】
地図情報30bには、道路上に設定されたノードを示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、目的地や経路案内の基準となり得る地物を示す地物データ等が含まれている。また、各リンクデータには各リンクに相当する道路区間を辿るために必要な距離や時間等に基づいて特定されたコストを示すコストデータが対応付けられている。地物データには、各地物の存在位置を示す情報とともに、各地物の属性を示す属性情報が含まれている。属性情報は、例えば、図2に示す情報によって構成することができ、地物の種別(図2に示す例ではスポーツ用品店や小売店、病院)を示す情報と、各地物の一般的な認知度(図2に示す例では低、中、高の3段階)を示す情報によって構成されている。
【0026】
経路情報送信プログラム21は、共有情報取得部21aと地物特定部21bと経路情報取得部21cとを備えている。共有情報取得部21aは、利用者が属するグループの構成員に共有された共有情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、共有情報取得部21aの処理により、個人情報30aを参照し、携帯端末100によって経路情報および基準地物情報の送信要求を行った利用者が属するグループを特定する。さらに、制御部20は、個人情報30aを参照し、当該グループの構成員に共有された共有情報を特定する。
【0027】
例えば、図2に示す例において、ID番号1の利用者が携帯端末100によって経路情報および基準地物情報の送信要求を行った場合、制御部20は、当該ID番号1の利用者は当該ID番号1に対応付けられたコミュニティに属しているとみなし、同じコミュニティAAが対応付けられたID番号8,9とID番号1の利用者は同じグループに属するとみなす。さらに、制御部20は、ID番号1,8,9に対応付けられた個人情報30aから共通の個人情報を抽出する。図2に示す例においては、ID番号1,8,9には共通して趣味がスポーツであることを示す情報が対応付けられている。従って、この場合、制御部20は、趣味がスポーツであることを示す情報を共有情報として特定する。
【0028】
地物特定部21bは、利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる、共有情報に関連する地物を特定する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、地物特定部21bの処理により、まず、基準であることを示すことによって経路の特定を容易にするための地物を示す情報を特定する。さらに、制御部20は、経路の特定を容易にするための地物のなかに共有情報に関連する地物が存在する場合には、当該共有情報に関連する地物を優先的に特定して基準地物とする。なお、経路の特定を容易にするための地物のなかに共有情報に関連する地物が存在しない場合、制御部20は、経路の特定を容易にするための地物のなかで予め決められた認知度が他の地物よりも相対的に高い地物を基準地物とする。
【0029】
なお、本実施形態において、基準地物は、後述する経路情報取得部21cの処理によって特定された目的地までの経路において、当該経路上の交差点での退出方向を案内する際に交差点の位置を示すための基準となる地物である。すなわち、制御部20は、地物特定部21bの処理により、当該経路情報および地図情報30bを参照し、経路上の交差点を特定するとともに各交差点の周囲の所定距離内に存在する地物を特定する。そして、制御部20は、特定された地物の属性情報を参照し、共有情報に関連する地物が存在するか否かに応じて基準地物を特定する。例えば、図2においては、経路上に2つの交差点(交差点1、交差点2)が存在し、交差点1の周囲の所定距離内に地物1〜3、交差点2の周囲の所定距離内に地物4,5が存在する例を示している。
【0030】
本例においては、趣味がスポーツであることを示す情報が共有情報であり、この例において、制御部20は、交差点1に関して地物1〜3の属性情報を参照し、スポーツに関連するスポーツ用品店を示す情報が対応付けられた地物1を基準地物とする。一方、制御部20は、交差点2に関して地物4,5の属性情報を参照し、スポーツに関連する属性情報が対応付けられた地物が存在しないと判定し、認知度が高い地物5を基準地物とする。
【0031】
以上のようにして基準地物が特定されると、制御部20は、地物特定部21bの処理により、基準地物をその位置とともに示す基準地物情報を生成し、通信部22を介して当該基準地物情報を送信する。このように、共有情報取得部21aおよび地物特定部21bの処理により、制御部20は、基準地物を特定する装置として機能する。従って、本実施形態において、経路情報送信プログラム21は基準地物を特定する地物特定プログラムを含み、経路情報提供装置10は基準地物を特定する地物特定装置を含むことになる。
【0032】
一方、経路情報取得部21cは、目的地までの経路を示す経路情報を取得する機能を制御部20に実現させるモジュールである。すなわち、制御部20は、経路情報取得部21cの処理により、通信部22を介して携帯端末100の現在地を示す情報を取得し、利用者の目的地を取得し、地図情報30bを参照して当該現在地から目的地までの経路探索を行う。上述のように本実施形態は、利用者が属するグループの構成員によって目的地が共有されている状態で利用されるようになっており、図2に示す例においては、コミュニティAAに属する構成員によって予め目的地が地物Gに設定され、当該地物Gを示す情報がコミュニティAAに対応付けられている。従って、制御部20は、上述のように個人情報30aを参照することによって利用者が属するグループを特定するとともに当該利用者の目的地を特定することができる。また、経路探索は、コストデータ等を利用したダイクストラ法等の公知のアルゴリズムによって実現される。以上のようにして経路情報が特定されると、制御部20は、経路情報取得部21cの処理により、通信部22を介して経路情報を送信する。
【0033】
なお、本実施形態において経路情報は、ユーザI/F部420に経路とともに地図を表示するための情報と、経路上の交差点および目的地の位置を示す情報とによって構成される。携帯端末100の制御部200が通信部220を介して当該経路情報を取得すると、制御部200はユーザI/F部420に対して制御信号を出力して経路とともに地図を表示する。さらに、本実施形態において制御部200は、ユーザI/F部420に対して制御信号を出力し、GPS受信部410の出力信号に基づいて特定された携帯端末100の現在地を地図上に表示する。さらに、制御部200は、GPS受信部410の出力信号に基づいて特定された携帯端末100の現在地と交差点との距離が所定距離以下になると、ユーザI/F部420に対して制御信号を出力し、基準地物とともに交差点における退出方向を案内するための情報(音声および画像)を出力させる。
【0034】
従って、携帯端末100の利用者は、当該案内に基づいて目的地に到達することができる。なお、本実施形態において、交差点の周囲に共有情報に関連する地物が存在する場合に、当該共有情報に関連する地物が基準地物となっているため、当該共有情報に関連する地物が交差点における退出方向の案内に利用される。ここで、利用者は、当該利用者が属するグループの構成員であり、構成員に共有された共有情報に関連する地物は当該利用者に認識される可能性が高い。従って、個別の利用者に適した地物が基準地物として選定されていることになり、基準地物が利用者に認識される可能性が高い状態で経路案内が行われることになる。
【0035】
さらに、本実施形態において、目的地はグループを構成する構成員に共通の目的地であり、目的地までの経路案内の基準となる基準地物には、各構成員に認識される可能性が高い地物が選定されている。従って、共通の目的地に向かう各構成員を容易に目的地に到達させることが可能である。さらに、交差点の周囲に共有情報に関連する地物が存在しない場合には、交差点の周囲の地物から相対的に認知度が高い地物が選択されるため、一般的な利用者によって認識される可能性が高い地物を基準の地物として選択し、経路案内を行うことが可能である。
【0036】
なお、交差点においては直進、右左折など退出方向に任意性があり、経路を正確に辿るために重要な判断が必要になるため、地物を基準として提示して交差点での経路を案内することが好ましい。このような交差点における経路の案内は、交差点の周囲の地物を交差点の位置や交差点での退出方向等を示すための基準として提示することによって実現される。本実施形態においては、交差点における基準地物を選択する際に、共有情報に関連する地物を優先的に基準地物として選択するため、利用者が迷う可能性を抑制することができる。
【0037】
(1−3)経路案内処理:
次に、経路案内処理の手順を詳細に説明する。図3は携帯端末100の制御部200が実行するナビゲーション処理を示すフローチャートであり、図4は経路情報提供装置10の制御部20が実行する経路情報送信処理を示すフローチャートである。また、図5はユーザI/F部420の表示例を示す図である。利用者が携帯端末100においてナビゲーションプログラム210を実行すると、制御部200は、記録媒体300を参照してID情報300aを取得し、GPS受信部410の出力信号に基づいて携帯端末100の現在地を示す情報を取得する(ステップS100)。また、制御部200は、通信部220を介してID情報300aおよび携帯端末100の現在地を示す情報を経路情報提供装置10に対して送信する(ステップS105)。当該ID情報300aおよび携帯端末100の現在地を示す情報の送信が、経路情報提供装置10に対する基準地物情報および経路情報の送信要求となる。
【0038】
経路情報提供装置10は、通信部22による情報の受信待ち状態で待機しており、図4に示すステップS200にて当該ID情報300aおよび携帯端末100の現在地を示す情報を受信すると、順次ステップS205以降の処理を実行する。
【0039】
ID情報300aおよび携帯端末100の現在地を示す情報を取得すると、制御部20は、共有情報取得部21aの処理により、個人情報30aを参照し、ID情報300aが示すIDに基づいて利用者が属するグループを特定する(ステップS205)。例えば、図2の例においてID情報300aが示すIDが1である場合、利用者がコミュニティAAのグループに属することを特定する。
【0040】
次に、制御部20は、共有情報取得部21aの処理により、個人情報30aを参照し、グループの構成員で共有する共有情報を特定する(ステップS210)。すなわち、送信要求を出力した携帯端末100の利用者が属するグループの各構成員に共通する個人情報を共有情報として特定する。図2の例においては、趣味がスポーツであることを示す情報が共有情報である。
【0041】
次に、制御部20は、経路情報取得部21cの処理により、個人情報30aを参照し、グループの構成員に共通の目的地を特定する(ステップS215)。図2の例においては個人情報30aを参照し、送信要求を出力した携帯端末100の利用者が属するコミュニティAAに対応づけられた目的地Gを特定する。
【0042】
次に、制御部20は、経路情報取得部21cの処理により、地図情報30bを参照し、携帯端末100の現在地から目的地までの経路を探索する(ステップS220)。すなわち、制御部20は、ステップS200で受信した現在地を示す情報に基づいて携帯端末100の現在地を特定し、ダイクストラ法等のアルゴリズムを用いて当該現在地からステップS215にて特定された目的地まで到達するための経路を探索する。経路が探索されると、ユーザI/F部420に経路とともに地図を表示するための情報が生成され、生成された情報と、経路上の交差点および目的地の位置を示す情報とによって経路情報が構成される。
【0043】
次に、制御部20は、地物特定部21bの処理により、経路情報が示す経路上の交差点の周囲に存在する地物を特定する(ステップS225)。すなわち、制御部20は、経路情報および地図情報30bを参照し、経路上の交差点の位置を特定し、地物データに基づいて各交差点の周囲の所定範囲内に存在する地物を特定する。例えば、図2[i1]の例においては、経路上に2つの交差点(交差点1、交差点2)が存在し、交差点1の周囲の所定距離内に地物1〜3、交差点2の周囲の所定距離内に地物4,5が存在する例を図面下部の矩形内に示している。この例の場合、制御部20は、携帯端末100の現在地から目的地Gまでの経路上に交差点1,交差点2が存在し、交差点1の周囲に地物1〜3が存在することを特定し、交差点2の周囲に地物4,5が存在することを特定する。
【0044】
次に、制御部20は、地物特定部21bの処理により、判定対象の交差点の周囲に共有情報に関連する地物が存在するか否かを判定する(ステップS230)。すなわち、制御部20は、経路上の交差点を順次判定対象として交差点の周囲に存在する基準地物を特定するように構成されており、ステップS230において制御部20は、判定対象とされている交差点に関して特定された地物の属性情報を参照し、ステップS210にて特定された共有情報に関連する属性情報が対応付けられた地物が存在するか否かを判定する。例えば、図2に示す例において、判定対象が交差点1である場合、当該交差点1の周囲に共有情報であるスポーツに関連するスポーツ用品店(地物1)が存在すると判定される。判定対象が交差点2である場合、当該交差点2の周囲にはスポーツに関連する地物が存在すると判定されない。
【0045】
ステップS230にて、判定対象の交差点の周囲に共有情報に関連する地物が存在すると判定された場合、制御部20は、共有情報に関連する地物を基準地物として特定する(ステップS235)。例えば、図2に示す例においては、交差点の周囲に地物1〜3が存在する交差点1と交差点の周囲に地物4,5が存在する交差点2とを示しているが、この例において交差点1が判定対象である場合、制御部20は、スポーツに関連するスポーツ用品店(地物1)を基準地物として特定する。一方、ステップS230にて、判定対象の交差点の周囲に共有情報に関連する地物が存在すると判定されない場合、制御部20は、認知度が相対的に高い地物を基準地物として特定する(ステップS240)。例えば、図2に示す例においては、交差点の周囲に地物1〜3が存在する交差点1と交差点の周囲に地物4,5が存在する交差点2とを示しているが、この例において交差点2が判定対象である場合、制御部20は、認知度が地物4よりも高い地物5を基準地物として特定する。ステップS235,S240において基準地物が特定されると、当該基準地物を示す情報に当該基準地物の位置を示す情報が対応付けられて基準地物情報とされる。
【0046】
次に、制御部20は、経路上の全ての交差点についてステップS230の判定処理が行われたか否かを判定する(ステップS245)。ステップS245にて、経路上の全ての交差点についてステップS230の判定処理が行われたと判定されない場合、制御部20は、未判定の交差点を新たな判定対象としてステップS230以降の処理を繰り返す。一方、ステップS245にて、経路上の全ての交差点についてステップS230の判定処理が行われたと判定された場合、制御部20は、通信部22を介して基準地物情報および経路情報を携帯端末100に対して送信する(ステップS250)。
【0047】
一方、携帯端末100においては、図3に示すステップS105を実行した後、通信部220による情報の受信待ち状態で待機しており、経路情報提供装置10が送信した基準地物情報および経路情報をステップS110にて受信すると、再びステップS115以降の処理を開始する。
【0048】
すなわち、基準地物情報および経路情報を受信すると、制御部200は、経路案内を実行する(ステップS115)。具体的には、制御部200は、ユーザI/F部420に制御信号を出力して経路を含む地図を表示させる。さらに、GPS受信部410の出力信号に基づいて携帯端末100の現在地を特定し、ユーザI/F部420に制御信号を出力して現在地を示す情報を表示させる。当該表示される現在地は、携帯端末100の現在地が変動するたびに更新され、利用者の現在地が常にユーザI/F部420に表示されている状態となる。従って、利用者は利用者の現在地がユーザI/F部420に表示された経路に沿って移動するように移動すれば良く、利用者に対して経路案内が提供されることになる。
【0049】
図5は、経路を含む地図の表示例であり、当該図5に示す例においては、細い曲線によって道路を示し、太い曲線によって経路を示している。また、I1は交差点1,I2は交差点2であり、交差点1および交差点2の周囲に示す矩形は地物を示すとともに1〜5の数値によって図2に示す地物1〜5のいずれかであることを示している。さらに、図5においては、携帯端末100の現在地を円形および円形内の三角形によって示し、目的地Gを円形および円形内の文字Gによって示している。
【0050】
このような経路案内を行っている状態において、制御部200は、携帯端末100の現在地が交差点まで所定距離以内であるか否かを判定する(ステップS120)。すなわち、制御部200は、経路情報に含まれている交差点の位置を示す情報と、携帯端末100の現在地を示す情報とに基づいて交差点の位置と携帯端末100の現在地との距離が所定距離以内であるか否かを判定する。ステップS120にて、携帯端末100の現在地が交差点まで所定距離以内であると判定された場合、制御部200は、基準地物情報に基づいて当該交差点に関する基準地物を特定し、基準地物とともに交差点の退出方向を案内する(ステップS125)。
【0051】
すなわち、制御部200は、ユーザI/F部420に制御信号を出力し、基準地物を示す音声と、交差点の退出方向を示す音声とを出力させる。例えば、図5に示す例においては、図2に示した例と同様に交差点I1の基準地物が地物1、交差点I2の基準地物が地物5である。この例において、利用者が交差点I1に近づいて携帯端末100の現在地が交差点I1から所定距離以内となった場合、制御部200は、ユーザI/F部420から音声を出力させ、利用者の左側に見える地物1が存在する交差点I1で直進すべきことを案内する。また、利用者が交差点I2に近づいて携帯端末100の現在地が交差点I2から所定距離以内となった場合、制御部200は、ユーザI/F部420から音声を出力させ、利用者の左側に見える地物5が存在する交差点I2で右折すべきことを案内する。
【0052】
一方、ステップS120にて、携帯端末100の現在地が交差点まで所定距離以内であると判定されない場合にはステップS125をスキップする。ステップS120にて携帯端末100の現在地が交差点まで所定距離以内であると判定されない場合およびステップS125の実行後、制御部200は、目的地に到着したか否か判定する(ステップS130)。すなわち、経路情報に含まれている目的地の位置を示す情報と携帯端末100の現在地との距離が所定距離以内となったか否かを判定する。
【0053】
ステップS130にて目的地に到着したと判定されない場合には、ステップS115以降の処理を繰り返す。一方、ステップS130にて目的地に到着したと判定された場合には、ナビゲーション処理を終了する。以上の処理によると、経路を案内するに際して利用者によって認識される可能性が高い地物が優先的に基準地物として選択された状態で案内が行われる。従って、各利用者にとって適切な地物によって経路案内を行うことが可能である。
【0054】
(2)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、共有情報に関連する地物を経路案内の基準地物として特定する限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、共有情報は、利用者が属するグループの構成員に共有された情報として取得されれば良く、利用者に予め対応付けられた共有情報を取得しても良いし、グループに対応付けられた共有情報を取得しても良い。前者としては、図2に示す例において、IDに対して共有情報がスポーツであることを示す情報を対応付ける構成等を採用可能であり、後者としては、IDに対して所属グループを示す情報を対応付けて当該所属グループを示す情報が共有情報であるとみなす構成等を採用可能である。なお、共有情報は構成員に共有されていればよく、各種の情報が共有情報となり得る。例えば、目的地が構成員の共通の目的地である場合、目的地を示す情報を共有情報として取得する構成としても良い。この構成においては、目的地に関連した地物が、利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物になるため、各構成員に当該基準となる地物が認識される可能性が極めて高くなる。むろん、目的地が共有されていない構成も採用可能であり、この場合、利用者がユーザI/F部420によって目的地を入力する。
【0055】
さらに、基準地物は、利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物であって、共有情報に関連する地物であればよい。ここで、経路を案内する際の基準となる地物は、経路の特定を容易にするための地物や、経路自体を構成する地物等を想定可能である。前者としては、交差点の周囲に存在する地物に限定されず、経路上や経路の周辺に存在する地物であってもよい。例えば、直進すべき道路を特定するための基準となる地物を基準地物として、並行する道路のなかから経路を特定しやすくするように構成することが可能である。後者としては、経路を構成する特定の道路や特定の道路種別を基準地物とする構成を採用可能である。例えば、利用者に認識される特定の道路が経路になるような経路を探索し、当該経路を案内すれば、利用者に対して明確に経路を案内することができる。
【0056】
なお、経路は、上述のように探索によって特定されてもよいが、予め特定されてもよい。すなわち、経路を示す経路情報が、例えば、ソーシャルネットワーキングサービスを利用する利用者によって予め特定されており、地物特定装置が当該経路情報を取得する構成を採用可能である。また、経路は車両によって走行すべき経路であっても良いし、他の移動方法によって辿るべき経路であっても良いし、複数の移動方法を利用して辿るべき経路であっても良い。
【0057】
さらに、共有情報に関連する地物の特定方法は、上述の実施形態のように、共有情報と属性情報との一致あるいは関連を解析する構成の他にも種々の構成を採用可能である。例えば、共有情報に対して地物自体や地物の種類を示す情報を予め対応付けておき、当該共有情報に対応付けられた地物や地物の種類を特定する構成を採用可能である。この構成は、図2に示す例において、スポーツという共有情報に予め地物1やスポーツ用品店という地物の種類を対応付ける構成によって実現可能である。
【0058】
さらに、上述の個人情報30aは、図2に示す情報の他、各種の情報によって構成可能である。例えば、各構成員の嗜好、訪問頻度が多い施設、居住地域、走行頻度が多い道路種別等の情報によって構成することが可能である。
【0059】
さらに、上述の実施形態においては携帯端末100が経路情報提供装置10と通信を行うが、利用者が利用するカーナビゲーション装置が経路情報提供装置10と通信を行う構成でも良い。また、携帯端末100やカーナビゲーション装置が地物特定装置を含む構成であっても良い。すなわち、携帯端末100やカーナビゲーション装置が経路情報の取得と基準地物の特定を行う構成とし、取得された経路情報に基づく経路案内に際して基準地物を提示する構成としても良い。
【符号の説明】
【0060】
10…経路情報提供装置、20…制御部、21…経路情報送信プログラム、21a…共有情報取得部、21b…地物特定部、21c…経路情報取得部、22…通信部、30…記録媒体、30a…個人情報、30b…地図情報、100…携帯端末、200…制御部、210…ナビゲーションプログラム、220…通信部、300…記録媒体、300a…ID情報、410…GPS受信部、420…ユーザI/F部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が属するグループの構成員に共有された共有情報を取得する共有情報取得手段と、
前記利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる前記共有情報に関連する地物を特定する地物特定手段と、
を備える地物特定装置。
【請求項2】
前記目的地は前記構成員の共通の目的地である、
請求項1に記載の地物特定装置。
【請求項3】
前記構成員には複数の項目毎に個人情報が予め対応づけられており、
前記共有情報取得手段は、前記構成員に共通の前記個人情報を前記共有情報として取得する、
請求項1または請求項2のいずれかに記載の地物特定装置。
【請求項4】
前記地物特定手段は、
前記経路上の交差点の周囲に前記共有情報に関連する前記地物が存在する場合には、前記共有情報に関連する前記地物を前記利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物として特定し、
前記経路上の交差点の周囲に前記共有情報に関連する前記地物が存在しない場合には、予め決められた認知度が相対的に高い地物を前記利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる地物として特定する、
請求項1〜請求項3のいずれかに記載の地物特定装置。
【請求項5】
利用者が属するグループの構成員に共有された共有情報を取得する共有情報取得工程と、
前記利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる前記共有情報に関連する地物を特定する地物特定工程と、
を含む地物特定方法。
【請求項6】
利用者が属するグループの構成員に共有された共有情報を取得する共有情報取得機能と、
前記利用者に目的地までの経路を案内する際の基準となる前記共有情報に関連する地物を特定する地物特定機能と、
をコンピュータに実現させる地物特定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−180086(P2011−180086A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46848(P2010−46848)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】