説明

基板処理装置および基板処理方法

【課題】処理液の使用量を低減することができるとともに処理液の温度変動を抑制することができ、かつ、単純化された装置構成を有する基板処理装置を提供する。
【解決手段】基板処理装置10は、一つの基板Wを保持し保持した一つの基板を処理する処理ユニット60と、複数の基板Wを同時に収容可能な処理槽であって、基板を浸漬して処理するための処理液を循環供給されながら貯留する処理槽と、前記処理槽の基板収容可能数未満の数の基板を同時に搬送可能な搬送装置と、を備える。搬送装置は、少なくとも前記処理液が貯留された前記処理槽へ基板を搬送する。前記処理ユニットと前記処理槽との少なくともいずれか一つを用いて基板が処理される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理装置に係り、とりわけ、処理液の使用量を低減することができるとともに処理液の温度変動を抑制することができ、かつ、単純化された装置構成を有する基板処理装置に関する。
【0002】
また、本発明は、処理液を用いて基板を処理する基板処理方法に係り、とりわけ、処理液の使用量を低減することができるとともに処理液の温度変動を抑制することができる基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、一枚の基板を保持し保持した一枚の基板を処理する処理ユニット、いわゆる枚葉式の処理ユニットを備えた基板処理装置が知られている(例えば、特許文献1)。通常、基板処理装置には複数の処理ユニットが組み込まれ、各処理ユニット内で基板が並行して処理され得るようになっている。
【0004】
通常、枚葉式の処理ユニット内に保持された一枚の基板は、回転させられながら処理液を供給されることによって処理されていく。このような枚葉式の処理ユニットによれば、基板の板面上に処理液を供給することにより、一枚の基板をむらなく処理することができる。また、種々の処理液を用いた種々の処理を基板に対して施すことができるように、処理ユニットには複数の処理液が供給され得るようになっている。また、処理液を節約するため、処理ユニット内で基板の処理に用いられた処理液は回収される。そして、回収された処理液は、回収ラインを経て再び処理ユニット内に供給され、基板の処理に用いられる。
【0005】
ところで、一般的には、処理液(より具体的には薬液)の温度が高いと、処理液による反応が活性化され、基板に対する処理の進行が速くなる。このため、加熱して高温に保持された処理液が基板の処理に用いられることがある。そして、上述した回収ラインにもヒータ等が設けられ、循環利用される処理液の温度を一定に保つようになされている。
【特許文献1】特開11−319732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、枚葉式の処理ユニット内で一枚の基板を処理する際、処理中における処理液の温度変動を完全に防止することはできない。例えば、回転させられている基板上から高速で振り切られた処理液の温度は低下してしまう。また、処理を開始する際には、供給された高温の処理液の熱が処理ユニットの各部に吸収されやすい。そして、処理液の供給系および回収系は、複数の処理ユニット間で共通している。したがって、例えば、一つの処理ユニットにおいて基板を処理する際に、当該処理ユニットから回収された処理液の温度が低下してしまうと、他の処理ユニットへ供給される処理液の温度変動をも引き起こすことになる。
【0007】
また、処理液は、基板上に供給された際、回転させられている基板上から高速で振り切られて処理ユニット内に飛散する。加えて、各処理ユニット内へ供給される処理液の種類を変更する場合、異なる処理液が混ざり合って基板に供給されることを防止するため、いくらかの処理液を廃棄する必要が生じる。したがって、処理ユニット内に供給された処理液をすべて回収することができるわけではない。
【0008】
さらに、処理ユニットは、処理液を供給する供給ラインおよび上述の回収ラインに加え、処理ユニット内から処理液を廃棄するための廃棄ラインと、処理ユニット内の雰囲気を排気するための排気ラインと、をさらに有している。これらの供給ライン、回収ライン、廃棄ラインおよび排気ラインのうちのいくつかは、用いられる処理液の種類に応じ、処理液の種類毎に別々に設けられなければならない。また、複数の処理ユニット間において、これらの各ラインが連結されている。この結果、複数の枚葉式の処理ユニットを含む基板処理装置においては、配管類の構成が非常に複雑になり、これにともない、基板処理装置の制御も非常に複雑となる。
【0009】
本発明は、これらの点を考慮してなされたものであり、少なくとも一つ以上の枚葉式の処理ユニットを含んだ基板処理装置を改良し、処理液の使用量を低減することができるとともに処理液の温度変動を抑制することができ、かつ、単純化された装置構成を有する基板処理装置を提供することを目的とする。
【0010】
本発明は、これらの点を考慮してなされたものであり、少なくとも一つ以上の枚葉式の処理ユニットを含んだ基板処理装置を改良し、処理液の使用量を低減することができるとともに処理液の温度変動を抑制することができる基板処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による基板処理装置は、一つの基板を保持し保持した一つの基板を処理する処理ユニットと、複数の基板を同時に収容可能な処理槽であって、基板を浸漬して処理するための処理液を循環供給されながら貯留する処理槽と、前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に搬送可能な搬送装置であって、少なくとも前記処理液が貯留された前記処理槽内に基板を搬送する搬送装置と、を備え、前記処理ユニットと前記処理槽との少なくともいずれか一つを用いて基板を処理することを特徴とする。
【0012】
本発明による基板処理装置によれば、ある処理液を用いた処理を処理槽内で行い、その他の処理液を用いた処理を処理ユニット内で行うようにすることができる。したがって、処理ユニットで用いられる処理液の種類を低減して、基板処理装置の全体構成および基板処理装置の制御を単純化することができる。また、処理槽内で基板を処理する場合、処理液を循環利用することにより、処理液の使用量を低減することができる。さらに、処理槽内で基板を処理する場合、処理槽内の加熱された処理液の温度を一定の温度範囲内に維持し、高温処理液の温度変動を大幅に抑制することができる。なお、このような基板処理装置が、処理装置に持ち込まれた未処理基板を処理ユニットおよび処理槽のいずれにまず搬送するかを判断する制御装置をさらに備えるようにしてもよい。
【0013】
本発明による基板処理装置が、前記処理槽内での基板の処理時間を前記搬送装置によって前記処理槽へ同時に搬送される一以上の基板毎に管理する制御装置をさらに備えるようにしてもよい。このような基板処理装置によれば、処理槽内に基板を順次搬入し、多数の基板を並行して処理していくことができる。したがって、基板を効率的に処理することができる。
【0014】
また、本発明による基板処理装置において、前記制御装置は、前記搬送装置によって前記処理槽へ同時に搬送されてきた一以上の基板毎に処理経過時間を計測し、処理経過時間が予め設定された処理時間に達すると、当該一以上の基板を前記処理槽内から搬出するように、前記搬送装置を制御するようにしてもよい。このような基板処理装置によれば、並行して処理される各基板の処理時間を同一にすることができ、これにより、基板毎の処理むらを十分に抑制し、基板を安定して処理していくことができる。
【0015】
さらに、本発明による基板処理装置において、前記搬送装置は、前記処理槽で処理された基板を受け取って前記処理ユニットへ搬送するようになされていてもよい。このような基板処理装置によれば、処理槽と処理ユニットとの間での基板の搬送を担う搬送装置と処理槽への基板の搬送を担う搬送装置とを別途に設けることに比べ、基板処理装置の構成および制御を単純化することができる。また、基板処理装置の製造コストや維持コストを低減することができ、これにともない、基板を安価に処理していくことができる。
【0016】
さらに、本発明による基板処理装置が、貯留した水に基板を浸漬して当該基板をリンス処理するリンス装置をさらに備え、前記リンス装置は、各々が前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に収容可能である複数の収容部を有するようにしてもよい。このような基板処理装置によれば、水に浸漬して基板をリンス処理することができるので、基板を迅速にリンス処理することができる。また、リンス装置は複数の収容部を有しているので、処理済みの基板を異なる収容部へ順次収容していくことができる。このような方法によれば、新たに収容部へ搬送されてきた基板に付着しているパーティクルが、それまでに収容部内に収容されてリンス処理されていた基板へ付着してしまうこと(パーティクルの転写)を防止することが可能となる。
【0017】
このような基板処理装置において、前記複数の収容部の各々は、互いから離間して配置された別個の槽として形成されてもよい。このような基板処理装置によれば、パーティクルの転写をより確実に防止することができる。
【0018】
あるいは、このような基板処理装置において、前記リンス装置は、内部に仕切部材を設けられた槽を有し、前記槽の内部は、前記仕切部材によって複数の収容部に区分けされているようにしてもよい。このような基板処理装置によれば、リンス装置の構成を単純化することができる。また、このようなリンス装置は、既存の槽に対して簡易な改良を施すことによって作成され得る。
【0019】
さらに、本発明による基板処理装置が、前記リンス装置に接続された制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記リンス装置の各収容部内への単位時間あたりの水の補給量を、収容部毎に設定するようにしてもよい。このような基板処理装置によれば、各収容部内の状況に応じて、当該収容部への水の補給量を変更することができる。これにより、基板を迅速にリンス処理することができるとともに、リンス処理に用いられる水の使用量を低減することができる。
【0020】
さらに、本発明による基板処理装置において、前記搬送装置は、前記処理槽で処理された基板を前記リンス装置へ搬送するようになされており、さらに、前記リンス装置でリンス処理された基板を前記処理ユニットへ搬送するようになされているようにしてもよい。このような基板処理装置において、前記収容部が同時に収容可能な基板の数は、前記搬送装置が同時に搬送可能な基板の数以上であるようにしてもよい。このような基板処理装置によれば、処理槽内から同時に搬送されてくる基板を、同一の収容部内に収容することができるようになる。この方法によれば、パーティクルの転写をより確実に防止することができる。
【0021】
さらに、本発明による基板処理装置が、前記処理槽の上方開口の上方に設けられた可動式シャッターと、前記処理槽に対する前記可動式シャッターの位置を制御する制御装置と、をさらに備え、前記制御装置は、前記搬送装置と前記処理槽との間で基板の受け渡しを行うため、前記処理槽内の基板を収容すべき位置の上方が開放されるよう、前記可動式シャッターを制御してもよい。このような基板処理装置によれば、処理槽内に貯留された処理液からの放熱を抑制することができる。
【0022】
このような基板処理装置において、前記可動式シャッターは、前記処理槽の前記上方開口の上方で移動可能な二つの板状材を含み、前記制御装置は、前記二つの板状材を互いから離間し、当該二つの板状材の隙間によって前記処理槽内の基板を収容すべき位置の上方を開放するよう、前記可動式シャッターを制御してもよい。このような基板処理装置によれば、開口を介した処理液からの放熱をさらに低減することができる。このような基板処理装置において、前記制御装置は、前記二つの板状材の相対位置を変化させ、同時に受け渡しを行われる基板の数に応じて前記隙間の大きさを変化させるよう、前記可動式シャッターを制御してもよい。このような基板処理装置によれば、開口を介した処理液からの放熱をさらに低減することができる。
【0023】
さらに、このような基板処理装置において、前記可動式シャッターから突出する整流板が、前記開口の近傍に、設けられているようにしてもよい。このような基板処理装置によれば、処理槽周囲の雰囲気の気流によって当該雰囲気と処理液との熱交換が促進されることを防止することができる。
【0024】
さらに、本発明による基板処理装置において、前記処理ユニット、前記処理槽および前記搬送装置は、隔壁によって区画されたスペース内に配置され、前記処理ユニットと前記スペースの外部とを連通させる閉鎖可能な開口が設けられているようにしてもよい。
【0025】
さらに、本発明による基板処理装置が、前記処理ユニット、前記処理槽および前記搬送装置を収容するスペースを区画する隔壁と、前記スペースの外部に配置され前記スペース内に基板を受け渡しする受け渡し装置と、をさらに備え、前記受け渡し装置は、前記処理ユニットとの間で基板の受け渡しが可能であるようにしてもよい。
【0026】
さらに、本発明による基板処理装置が、前記処理ユニット、前記処理槽および前記搬送装置を収容するスペースを区画する隔壁と、前記スペースの外部に配置され前記スペース内に基板を受け渡しする受け渡し装置と、をさらに備え、前記処理ユニットは、前記スペース内において、前記受け渡し装置に近接した隔壁の近傍に配置されているようにしてもよい。このような基板処理装置が、前記受け渡し装置に近接した隔壁の近傍に配置された受け渡しユニットをさらに備え、前記スペースに基板が搬入される際に前記受け渡し装置が前記受け渡しユニットへ基板を持ち込み、前記スペースから基板が搬出される際に前記受け渡し装置が前記処理ユニットから基板を取り出すようにしてもよい。また、このような基板処理装置において、前記処理槽は、前記処理ユニットよりも、あるいは、前記処理ユニットおよび前記受け渡しユニットよりも、受け渡し装置から離間した位置に配置されているようにしてもよい。さらに、このような基板処理装置において、前記処理ユニットが、あるいは、前記処理ユニットおよび前記受け渡しユニットが、前記処理槽と前記受け渡し装置との間に配置されるようにしてもよい。さらに、このような基板処理装置において、前記受け渡し装置が前記隔壁に沿って移動可能であり、前記処理ユニットおよび前記受け渡しユニットが前記受け渡し装置に移動経路に沿って並べて配置されているようにしてもよい。
【0027】
本発明による基板処理方法は、一つの基板を保持可能な処理ユニットと、処理液を貯留する処理槽であって複数の基板を同時に収容可能な処理槽と、を有する基板処理装置を用いて基板を処理する基板処理方法であって、基板処理装置に持ち込まれた未処理基板を前記処理ユニットおよび前記処理槽のいずれにまず搬送するかを判断する工程と、前記処理ユニットを用いて基板を処理する工程および前記処理槽内に貯留された処理槽内に基板を浸漬して処理する工程のうちの少なくともいずれか一つの工程と、を備え、前記処理槽内で処理する工程は、前記処理液が貯留された前記処理槽に、前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に搬送する工程と、溢れ出た処理液を前記処理槽に循環供給しながら、前記同時に搬送された一以上の基板を前記処理槽内の処理液に浸漬して処理する工程と、を含むことを特徴とする。本発明による基板処理方法によれば、ある処理液を用いた処理を処理槽内で行い、その他の処理液を用いた処理を処理ユニット内で行うようにすることができる。そして、処理槽内で基板を処理する場合、処理液を循環利用することにより、処理液の使用量を低減することができる。さらに、処理槽内で基板を処理する場合、処理槽内の加熱された処理液の温度を一定の温度範囲内に維持し、高温処理液の温度変動を大幅に抑制することができる。さらに、処理ユニットで用いられる処理液の種類を低減して、基板処理装置の全体構成および基板処理装置の制御を単純化することができる。
【0028】
本発明による基板処理方法において、前記処理槽内で処理する工程の前記基板を処理液に浸漬して処理する工程において、前記処理槽内での基板の処理時間は、前記搬送装置によって同時に搬送されて前記処理槽内に搬送された一以上の基板毎に管理されるようにしてもよい。このような基板処理方法によれば、処理槽内に基板を順次搬入し、多数の基板を並行して処理していくことができる。したがって、基板を効率的に処理することができる。
【0029】
また、本発明による基板処理方法において、前記処理槽の上方開口の上方に可動式シャッターが設けられており、前記処理槽内で処理する工程は、前記一以上の基板を前記処理槽内に搬送するため、前記一以上の基板を収容すべき前記処理槽内の位置の上方が開放されるよう、前記可動式シャッターを移動させる工程を、さらに含むようにしてもよい。このような基板処理方法によれば、処理槽内に貯留された処理液からの放熱を大幅に抑制することができる。
【0030】
さらに、本発明による基板処理方法が、前記処理ユニットを用いて処理する工程と、前記処理槽内で処理する工程と、の両方を備え、前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記処理槽内で処理する工程の後に実施されるようにしてもよい。
【0031】
このような基板処理方法において、前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記処理槽内で処理を行われた一つの基板を処理ユニットによって保持する工程と、前記処理ユニットによって保持された一つの基板に水を供給してリンス処理する工程と、前記処理ユニットによって保持され前記リンス処理を施された一つの基板を乾燥させる工程と、を有するようにしてもよい。あるいは、このような基板処理方法において、前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記処理槽内で処理を行われた一つの基板を処理ユニットによって保持する工程と、前記処理槽内で処理する工程において用いられた処理液とは異なる処理液を供給し、処理ユニットによって保持された一つの基板を処理する工程と、前記処理ユニットによって保持され前記処理液による処理を施された一つの基板に水を供給してリンス処理する工程と、前記処理ユニットによって保持され前記リンス処理を施された一つの基板を乾燥させる工程と、を有するようにしてもよい。
【0032】
さらに、本発明による基板処理方法が、前記処理槽内に貯留された処理液内に基板を浸漬して処理する工程の後に実施される工程であって、リンス装置に貯留された水内に基板を浸漬してリンス処理する工程を、さらに備え、前記リンス装置は、各々が前記処理槽の基板収容可能数未満の数の基板を同時に収容可能である複数の収容部を有しており、前記リンス装置内でリンス処理する工程は、前記水が貯留された前記リンス装置の前記複数の収容部のうちの基板が収容されていないいずれか一つの収容部へ、一以上の基板を搬送する工程と、前記リンス装置の前記収容部内において前記一以上の基板を水に浸漬してリンス処理する工程と、を含むようにしてもよい。このような基板処理方法によれば、リンス装置内の水に基板を浸漬して当該基板をリンス処理するので、基板を迅速にリンス処理することができる。また、処理済みの基板は基板が収容されてない収容部へ順次収容されていくので、新たに収容部へ搬送されてきた基板に付着しているパーティクルが、それまでに収容部内に収容されてリンス処理されていた基板へ付着してしまうこと(パーティクルの転写)を防止することが可能となる。
【0033】
このような基板処理方法において、前記処理槽内に同時に搬送された一以上の基板毎に、前記リンス装置内に同時に搬送されるようにしてもよい。このような基板処理方法によれば、処理槽に同時に搬送される一以上の基板毎に、処理槽内での処理、処理槽からリンス装置への搬送、およびリンス装置内でのリンス処理が行われていく。したがって、被処理基板の取り扱いおよび管理が単純化され得る。また、このような基板処理方法の前記リンス装置内でリンス処理する工程において、前記基板が収容された前記一つの収容部へ補給される水の量は、他の収容部へ補給される水の量とは独立して設定されるようにしてもよい。このような基板処理方法によれば、収容部内での処理状況に応じて、収容部への水の補給量が適宜変更され得る。したがって、基板を迅速にリンス処理することができるとともに、リンス処理に用いられる水の使用量を低減することができる。
【0034】
また、このような基板処理方法が、前記処理ユニットを用いて処理する工程と、前記処理槽内で処理する工程と、の両方を備え、前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記リンス装置内で基板をリンス処理する工程の後に実施されるようにしてもよい。このような基板処理方法において、前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記リンス装置内でリンス処理を行われた一つの基板を処理ユニットによって保持する工程と、前記処理ユニットによって保持された一つの基板を乾燥させる工程と、を有するようにしてもよい。さらに、このような基板処理方法において、前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記リンス装置内でリンス処理を行われた一つの基板を処理ユニットによって保持する工程と、前記処理槽内で処理する工程において用いられた処理液とは異なる処理液を供給し、処理ユニットによって保持された一つの基板を処理する工程と、前記処理ユニットによって保持された一つの基板に水を供給しリンス処理する工程と、前記処理ユニットによって保持され前記リンス処理を施された一つの基板を乾燥させる工程と、を有するようにしてもよい。
【0035】
本発明によるプログラムは、一つの基板を保持可能な処理ユニットと、処理液を貯留する処理槽であって複数の基板を同時に収容可能な処理槽と、を備えた基板処理装置を制御する制御装置によって実行されるプログラムであって、前記制御装置によって実行されることにより、基板処理装置に持ち込まれた未処理基板を前記処理ユニットおよび前記処理槽のいずれにまず搬送するかを判断する工程と、前記処理ユニットを用いて基板を処理する工程および前記処理槽内に貯留された処理槽内に基板を浸漬して処理する工程のうちの少なくともいずれか一つの工程と、を備え、前記処理槽内で処理する工程は、前記処理液が貯留された前記処理槽へ、前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に搬送する工程と、溢れ出た処理液を前記処理槽に循環供給しながら、前記同時に搬送された一以上の基板を前記処理槽内の処理液に浸漬して処理する工程と、を含む被処理基板の処理方法を基板処理装置に実施させることを特徴とする。
【0036】
本発明による記録媒体は、一つの基板を保持可能な処理ユニットと、処理液を貯留する処理槽であって複数の基板を同時に収容可能な処理槽と、を備えた基板処理装置を制御する制御装置によって実行されるプログラムが記録された記録媒体であって、前記プログラムが前記制御装置によって実行されることにより、基板処理装置に持ち込まれた未処理基板を前記処理ユニットおよび前記処理槽のいずれにまず搬送するかを判断する工程と、前記処理ユニットを用いて基板を処理する工程および前記処理槽内に貯留された処理槽内に基板を浸漬して処理する工程のうちの少なくともいずれか一つの工程と、を備え、前記処理槽内で処理する工程は、前記処理液が貯留された前記処理槽へ、前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に搬送する工程と、溢れ出た処理液を前記処理槽に循環供給しながら、前記同時に搬送された一以上の基板を前記処理槽内の処理液に浸漬して処理する工程と、を含む被処理基板の処理方法を基板処理装置に実施させることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態においては、本発明による基板処理装置を半導体ウエハの処理装置に適用した例を説明する。ただし、本発明による基板処理装置は、半導体ウエハに対する処理への適用に限られるものではなく、広く基板の処理に適用することができる。
【0038】
図1乃至図13は、本発明による基板処理装置および基板処理方法の一実施の形態並びにその変形例を説明するための図である。このうち図1は基板処理装置の内部構成を示す上面図であり、図2は基板処理装置の内部構成を示す側面図であり、図3は基板処理装置の処理槽を示す縦断面図であり、図4は基板処理装置のリンス装置を示す縦断面図であり、図5は処理槽およびリンス装置を可動式シャッターとともに示す上面図であり、図6は処理ユニットの概略構成を示す模式図であり、図7は処理ユニットに組み込まれた供給液量異常検出器の構成を説明するための模式図である。
【0039】
図1および図2に示すように、基板処理装置10は、処理されるべきウエハWおよび処理済みのウエハWが載置される載置部10aと、ウエハWを処理する処理部10cと、載置部10aと処理部10cとの間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し部10bと、各部10a,10b,10cに設けられた装置類の動作を制御する制御装置20と、を含んでいる。
【0040】
載置部10aには、複数のウエハWを収容したキャリア11が載置される。受け渡し部10bには、載置部10aおよび処理部10cとの間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し装置13が設けられている。受け渡し装置13はウエハWを保持するための一以上のフォーク13aを有している。受け渡し装置13は、図1および図2に示すように、フォーク13aを上下、左右および前後に移動させることができ、また、垂直軸を中心としてフォーク13aの向きを変えることもできる。このような構成により、受け渡し装置13は、載置部10aおよび処理部10cのいずれか一方から受け取ったウエハWを、載置部10aおよび処理部10cのいずれか他方へ引き渡すことができるようになっている。
【0041】
なお、図1および図2に示すように、受け渡し部10bは隔壁15により外部から遮断されている。受け渡し部10bと載置部10aとの間でのウエハWの受け渡し、並びに、受け渡し部10bと処理部10cとの間でのウエハWの受け渡しは、受け渡し時以外は閉鎖されている開口(図示せず)を介し、実施される。
【0042】
次に、処理部10cについて説明する。図1および図2に示されているように、処理部10cには、機器類の配置スペースSを区画する隔壁22と、隔壁22の上部に設けられた送風装置24と、が設けられている。配置スペースSは、隔壁22によって外部から遮断されている。また、送風装置24は、清浄化された気体を区画されたスペースS内に上方から吹き込む。この送風装置24からの送風により、隔壁22によって区画されたスペースS内にダウンフローが形成される。
【0043】
図1および図2に示すように、基板処理装置10は、受け渡し部10bとの間でウエハWの受け渡しを行う受け渡しユニット25と、隔壁22によって区画されたスペースS内でウエハWを搬送可能な搬送装置30と、数枚または数十枚のウエハWを同時に収容可能で処理液を貯留し得る処理槽40と、一枚以上のウエハWを収容可能で純水を貯留し得るリンス装置50と、一つの基板Wを保持し保持した一つの基板を処理する枚葉式の処理ユニット60と、を隔壁22によって区画されたスペースS内に有している。本実施の形態においては、二つの受け渡しユニット25が上下に重ねられてスペースS内に配置されている。また、合計四つの処理ユニット60が、受け渡しユニット25の両隣りに上下重ねられてスペースS内に配置されている。処理槽40とリンス装置50とは、並べて配置されている。搬送装置30は、処理槽40のウエハ収容可能枚数未満の枚数であって一枚以上のウエハWを一度に搬送可能であり、処理部10c内でのウエハWの搬送のすべてを担っている。以下、各装置について、順に詳述していく。
【0044】
なお、図示する配置は単なる例示であって、適宜変更することができる。例えば、図1および図2に二点鎖線で示されているように、さらに別途の処理装置28が隔壁22によって区画されたスペースS内に設けられてもよい。
【0045】
また、ここでいう「処理液」とは、処理に用いられる液体であって、薬液および純水を含む概念である。
【0046】
まず、受け渡しユニット25について詳述する。上述したように、上下に並べられた二つの受け渡しユニット25が処理部10c内に設けられている。各受け渡しユニット25は、受け渡し時以外は閉鎖されている開口25aを介し、受け渡し部10bと通じ得る。開口25aが開放されている場合、上述した受け渡し装置13のフォーク13aは各受け渡しユニット25内にアクセスすることができる。また、受け渡し時以外は閉鎖されている別の開口25bを介し、搬送装置30が、各受け渡しユニット25の内部へアクセスすることができるようになっている。そして、搬送装置30および受け渡し装置13は、受け渡しユニット25内へウエハWを受け渡し、また、受け渡しユニット25内へ収容されたウエハW引き取ることができるようになっている。本実施の形態において、各受け渡しユニット25は複数のウエハ、例えば二枚のウエハを収容することができるようになっている。
【0047】
次に、搬送装置30について詳述する。上述したように、搬送装置30は、処理槽40のウエハ収容可能枚数未満の枚数、具体的な例として二枚のウエハWを同時に搬送可能である。そして、搬送装置30は、受け渡しユニット25や、処理槽40、リンス装置50および処理ユニット60からウエハWを受け取ることができる。また、搬送装置30は、受け渡しユニット25や、処理槽40、リンス装置50および処理ユニット60へウエハWを引き渡すことができる。
【0048】
具体的な構成として、図1および図2に示されているように、搬送装置30は、台座31と、台座31に連結された第1アーム32と、第1アーム32に連結された第2アーム33と、第2アーム33に連結された支持アーム34と、支持アーム34に支持された第1フォーク35aおよび第2フォーク35bと、を有している。第1アーム32は台座31に対し水平面内で回転可能となっている。また、第1アーム32は台座31に対して垂直面内で揺動可能となっている。さらに、第2アーム33は第1アーム32に対して垂直面内で揺動可能となっている。支持アーム34は第2アーム33に対して垂直面内で揺動可能となっている。また、支持アーム34は第2アーム33に対して水平面内で回動可能となっている。第1フォーク35aおよび第2フォーク35bは、それぞれ独立して支持アーム34に対して摺動可能となっている。このような搬送装置30の構成により、第1フォーク35aおよび第2フォーク35bを処理部10c内の所望の位置に移動させることが可能となっている。
【0049】
本実施の形態においては、図1に示すように、第1フォーク35aおよび第2フォーク35bは、一対の保持用アーム36,36と、各保持用アーム36に取り付けられた接触部37と、を有している。一対の保持用アーム36,36は、互いに対して接近することができるとともに、互いから離間することもできる。また、接触部37は、保持対象であるウエハWの外形状に沿った輪郭を有している。そして、第1フォーク35aおよび第2フォーク35bは、一対のアーム36,36を互いに接近させて接触部37をウエハWに当接させることにより、ウエハWを狭持することが可能となる。また、第1フォーク35aおよび第2フォーク35bは、一対のアーム36,36を互いから離間させることにより、狭持したウエハWを解放することができる。
【0050】
このような搬送装置30は、制御装置20に接続されており、制御装置20からの制御信号に基づいて動作する。
【0051】
次に、図1乃至図3を主に参照し、処理槽40について詳述する。図1乃至図3に示すように、処理槽40は略直方体の輪郭を有している。また、処理槽40には、ウエハWを出し入れするための上方開口40aが形成されている。
【0052】
図1乃至図3に示すように、処理槽40は、ウエハWの板面が垂直方向に沿うようにして、数枚または数十枚のウエハWを略等間隔空けて収容することができる。なお、処理槽40のウエハ収容可能枚数は、搬送装置30が同時に搬送することができるウエハの枚数よりも多くなっている。処理槽40内にはウエハボート41が配置されている。このウエハボード41には略等間隔を空けてウエハWの外周部と係合し得る溝41aが形成されている。ウエハボード41の溝41aとウエハWの外周部とを係合させることにより、ウエハWは起立した状態でウエハボード41に支持される。また、図3に示すように、処理槽40の上方開口40aを取り囲むようにして、外槽(回収槽)42が設けられている。外槽42は処理槽40から溢れ出た処理液を回収することができる。
【0053】
図3に示すように、処理槽40および外槽42は、処理槽用シンク43内に配置されている。処理槽用シンク43は、略直方体の輪郭を有するとともに、上方開口を形成されている。また、処理槽用シンク43の上方開口には、板状材からなる一対の可動式シャッター80a,80bが設けられている。可動式シャッター80a,80bは、処理槽用シンク43上で、すなわち、処理槽40の上方開口40aの上方で移動可能である。したがって、搬送装置30と処理槽40との間でウエハWの受け渡しを行うため、処理槽40内のウエハWを収容すべき位置あるいは処理槽40内から取り上げられるべきウエハWが収容された位置の上方が開放されるようにすることが可能となっている。なお、可動式シャッター80a,80bの構成については後に詳述する。
【0054】
処理槽40は、貯留した処理液にウエハWを浸漬して当該ウエハWを処理するための槽である。そして、処理槽40には、例えば、加熱された第1薬液、例えば80℃程度に保持された硫酸水溶液が貯留されるようになっている。図3に示すように、外槽42と処理槽40との間には循環ライン45が設けられている。この循環ライン45には、ポンプ等の処理液吐出機構46と、フィルタ47と、ヒータ48とが介設されている。すなわち、外槽42に溢れ出た処理液は、液体吐出機構46によって循環ライン45を通過して再び処理槽40内に戻される。この際、処理液中に混入していたパーティクル等はフィルタ47によって除去される。また、ヒータ48によって循環ライン45内を流れる処理液の温度が調整され、処理槽40内の処理液の温度が予め設定された範囲内に維持されるようになっている。このような処理液の循環供給方法によれば、処理液を消失させてしまうことなく循環再利用することができる。ただし、循環ライン45は処理液源49にも接続されており、適宜フレッシュな処理液を処理槽40に供給することもできるようになっている。
【0055】
なお、処理液吐出機構46やヒータ48等は制御装置20に接続されており、処理槽40への処理液の供給および処理液の温度調整は制御装置20によって制御されるようになっている。
【0056】
次に、図1、図2および図4を主に参照し、リンス装置50について詳述する。リンス装置50は、貯留した純水(DIW)にウエハWを浸漬して当該ウエハWをリンス処理するための装置である。
【0057】
図1、図2および図4に示すように、リンス装置50は、各々が処理槽40のウエハ収容可能枚数未満の枚数のウエハWを収容可能である複数の収容部50aを有している。本実施の形態において、リンス装置50は、純水を貯留するためのリンス槽51と、リンス槽51内に配置されたウエハボート52と、を有している。リンス槽51は、本実施の形態において、上述した処理槽40と同様に構成されている。すなわち、リンス槽51は略直方体の輪郭を有するとともに、リンス槽51にはウエハWを出し入れするための上方開口51aが形成されている。また、ウエハボート52は、処理槽40内に配置されたウエハボート41と同一の構成を有している。すなわち、ウエハボード52には略等間隔を空けてウエハWの外周部と係合し得る溝52aが形成されている。したがって、図1、図2および図4に示すように、リンス槽51は、ウエハWの板面が垂直方向に沿うようにして、処理槽40のウエハ収容枚数と同数のウエハWを収容することができるようになっている。
【0058】
その一方で、リンス槽51内には板状の仕切部材54が複数設けられている。そして、リンス槽51の内部は、この仕切部材54によって複数の収容部50aに区分けされている。本実施の形態において、仕切部材54はリンス槽51の内部において隣り合う収容部50a間を遮断するようになっている。また、図4に明瞭に示されているように、仕切部材54はリンス槽51の上方開口51aを越えて上方に延びている。したがって、一つの収容部50aから当該一つの収容部と隣り合う他の収容部への純水の流入は完全に防止される。なお、本実施の形態において、一つの収容部50aが同時に収容可能なウエハの枚数は二枚であり、搬送装置30が同時に搬送可能なウエハWの枚数と同一となっている。
【0059】
図1および図5に示すように、リンス装置50のリンス槽51および処理槽40は、リンス槽51に収容されたウエハWの板面と処理槽40に収容されたウエハWの板面とが平行となるように、並べて配置されている。さらに具体的には、処理槽40内の各ウエハWが保持された位置から、保持されたウエハWの板面と平行な方向にずれると、リンス槽51内でウエハWが保持されるべき位置が存在するようになっている。
【0060】
また、図4に示すように、リンス槽51は、リンス槽用シンク55内に配置されている。リンス槽用シンク55は、上述した処理槽用シンク43と同一に構成されている。すなわち、リンス槽用シンク55は、略直方体の輪郭を有するとともに、上方開口を形成されている。また、リンス槽用シンク55の上方開口は、処理槽用シンク43と同様に、板状材からなる一対の可動式シャッター80a,80bによって覆われている。そして、搬送装置30とリンス槽51との間でウエハWの受け渡しを行うため、リンス槽51内のウエハWを収容すべき位置あるいはリンス槽51内から取り上げられるべきウエハWが収容された位置の上方が開放され得るようになっている。
【0061】
リンス装置50は、リンス槽51と純水源57とを連結する純水供給ライン56を有している。純水供給ライン56は、流量制御が可能な開閉バルブ56aをそれぞれ介し、すべての収容部50aへ接続されている。したがって、リンス装置50の収容部50aへの単位時間当たりの純水供給量は、各収容部50aへ対応する開閉バルブ56aを操作することによって、収容部50a毎に設定され得る。なお、本実施の形態において、リンス槽51から溢れ出た純水は、リンス槽用シンク55内に回収され、リンス槽用シンク55の下部に接続された排水ライン58を経て廃棄されるようになっている。
【0062】
なお、各収容部51aへの純水供給量を操作する開閉バルブ56aは制御装置20に接続されており、開閉バルブ56aの動作は制御装置20によって制御されるようになっている。
【0063】
次に、可動式シャッター80a,80bについて詳述する。図3乃至図5に示されているように、可動式シャッター80a,80bは、処理槽40の上方開口40aの上方およびリンス槽51の上方開口51aの上方に配置されている。図5によく示されているように、可動式シャッター80a,80bは、処理槽40またはリンス槽51に収容されたウエハWの板面に沿って、言い換えると、処理槽40およびリンス槽51が並ぶ方向に沿って延びる板状材からなっている。
【0064】
可動式シャッター80a,80bは、その両端部を支持板材82によって支持されている。各可動式シャッター80a,80bは、処理槽40およびリンス槽51内におけるウエハWの配列方向に沿って、支持部材82上を移動可能となっている。一対の可動式シャッター80a,80bは別個の第1駆動手段81a,81b、例えばシリンダに連結されており、互いに対して相対移動することができる。これにより、一対の可動式シャッター80a,80bの間に形成される隙間(開口)88の幅を変化させることができる。
【0065】
また、支持板材82は、処理槽40およびリンス槽51内におけるウエハWの配列方向に沿って移動可能となっている。図5に示す例において、支持部材82は、モータ等の第2駆動手段83に接続され、この駆動手段83によって移動させられるようになっている。これにより、処理槽40内およびリンス槽51内のウエハWを収容すべき位置の上方あるいは処理槽40内およびリンス槽51内から取り出されるべきウエハWが収容されている位置の上方に、一対の可動式シャッター80a,80bの間に形成される開口88が位置するようにすることができる。
【0066】
なお、第1駆動手段81a,81bおよび第2駆動手段83は制御装置に接続されている。そして、第1駆動手段81a,81bの動作に基づく一対の可動式シャッター80a,80bの支持部材82に対する位置、並びに、第2駆動手段82の動作に基づく一対の支持板材82の処理槽40およびリンス槽51に対する位置は、制御装置20によって制御される。
【0067】
ところで、図3および図4によく示されているように、第1の可動式シャッター80aの第2可動式シャッター80b側の縁部に、上方の突出する第1整流板86aが設けられている。同様に、第2の可動式シャッター80bの第1可動式シャッター80a側の縁部に、上方の突出する第2整流板86bが設けられている。図3に示すように、各整流板86a,86bの上方への突出量は、略円板状からなるウエハWの板面の直径と略同一となっている。
【0068】
上述したように、処理部10c内には、送風装置24からの送風により、ダウンフローが形成される。整流板86a,86bは、処理槽40内に吹き込む風量を減じ、処理槽40内の処理液からの放熱を抑制するためのものである。
【0069】
次に、図6および図7を主に参照し、枚葉式の処理ユニット60について詳述する。上述したように、合計四つの処理ユニット60が処理部10c内に設けられている。各処理ユニット60は、受け渡し時以外は閉鎖されている開口60aを介し、受け渡し部10bと通じ得る。開口60aが開放されている場合、上述した受け渡し装置13のフォーク13aは各処理ユニット60内にアクセスすることができる。また、受け渡し時以外は閉鎖されている別の開口60bを介し、搬送装置30が、各処理ユニット60の内部へアクセスすることができるようになっている。そして、搬送装置30および受け渡し装置13は、処理ユニット60内へウエハWを受け渡し、また、処理ユニット60内へ収容されたウエハW引き取ることができるようになっている。
【0070】
処理ユニット60は、ウエハWの板面が水平面に沿うようにして一枚のウエハWを保持する保持機構62と、保持機構62に保持されたウエハの外方に位置するカップ63と、保持機構62に保持されたウエハWの表面(上面)に処理液および気体を吐出する上方ノズル64と、上方ノズル64を支持するアーム65と、保持機構62に組み込まれ保持機構62に保持されたウエハWの裏面に処理液を吐出する下方ノズル66と、を有している。保持機構62はウエハWを回転可能に保持することができる。アーム65は上方ノズル64を移動させることができ、これにより、上方ノズル64は、保持機構62に保持されたウエハWの上方を当該ウエハWの板面に沿って移動する。この結果、上方ノズル64を介し、ウエハWの板面上の所望の位置に向けて処理液および気体を吐出することができるようになる。また、ウエハWに供給された処理液は、ウエハWの回転にともなって飛散しカップ63に回収される。これらの保持機構62、カップ63、上方ノズル64、アーム65、および下方ノズル66は、処理ユニット用隔壁61によって形成される処理室内に配置されている。
【0071】
次に、処理ユニット60に接続される配管類について説明する。図6に示すように、上方ノズル64は上方供給ライン68に接続されている。上方供給ライン68は上方供給バルブ69および接続ライン70を介して種々の処理液源および気体源に接続されている。また、下方ノズル66は下方供給ライン71に接続されている。下方供給ライン71は下方供給バルブ72および接続ライン70を介して種々の処理液源および気体源に接続されている。本実施の形態においては、図6に示すように、上方供給ライン68および下方供給ライン71は、同一の処理液源および気体源に接続されている。具体的には、上方供給ライン68および下方供給ライン71は、第2薬液源、第3薬液源、純水源、および、不活性ガス源に、接続ライン70に含まれる別々の配管を経由して接続されている。ここで、第2薬液源から供給される薬液を、例えば、酸系のDHF(HF/H2O)とすることができる。また、第3薬液源から供給される薬液を、例えば、アルカリ系のアンモニア水とすることができる。さらに、不活性ガス源から供給される不活性ガスを、窒素とすることができる。
【0072】
また、図6に示すように、ウエハW上に供給された処理液が回収されるカップ63には、廃棄ライン74が接続されている。廃棄ライン74には、分岐バルブ75が設けられている。廃棄ライン74は、分岐バルブ75の操作によって、酸系の第2薬液と、アルカリ系の第3薬液と、その他の液体と、を分けて廃棄することができるようになっている。
【0073】
ところで、処理ユニット用隔壁61の天井面には図示しない送風用開口が形成されている。このため、処理ユニット用隔壁61内には上述の送風装置24から送風される気体が入り込んでくる。そして、処理ユニット用隔壁61の下方には、処理ユニット用隔壁61内の雰囲気を排気するための排気ライン78が設けられている。この結果、排気ライン78を介して処理ユニット用隔壁61の雰囲気を排気することができ、処理ユニット用隔壁61内にダウンフローが安定して形成されるようになる。図示する例において、排気ライン78には、排気バルブ79が介設されている。そして、排気ライン78は、排気バルブ79の操作によって、酸系の第2薬液を使用している間の雰囲気と、アルカリ系の第3薬液を使用している間の雰囲気と、その他の状況における雰囲気と、を分けて排気することができるようになっている。
【0074】
上述したように、本実施の形態において、高温で用いられる第1薬液による処理は、処理ユニット60ではなく処理槽40にて実施される。したがって、第1薬液を用いた処理を行うための配管類を処理ユニット60に設ける必要がない。これにより、処理ユニット60の構成および処理ユニット60の制御を大幅に単純化することができる。
【0075】
また、接続ライン70、廃棄ライン74および排気ライン78は、基板処理装置10に含まれた複数の処理ユニット(本実施の形態においては、上述したように四つの処理ユニット)で共通して用いられる。したがって、第1薬液を用いた処理を行うための配管類を省略することにより、基板処理装置10の構成および基板処理装置10の制御を大幅に単純化することができる。
【0076】
なお、各バルブ69,72,75,79、アーム65、保持機構62、各処理液源等は、制御装置20に接続されている。そして、処理ユニット20内におけるウエハWに対する処理(具体的には、処理液の供給、気体の供給、保持機構62によるウエハWの保持、上方ノズルの位置等)は制御装置20によって制御される。
【0077】
また、上述した処理ユニット60の構成は単なる例示であり、図示された例に限定されるものではない。
【0078】
ところで、本実施の形態においては、図6および図7に示すように、接続ライン70に含まれる配管のうちの第2薬液用の配管と第3薬液用の配管について、薬液源96と供給ノズル69,72との間に、供給ライン68,71を介してウエハWに供給される処理液の液量に異常がないかを判定するための供給液量異常検出器90が介設されている。供給液量異常検出器90は、ウエハWの処理に用いられる処理液が貯留される供給ボトル91を有している。供給ボトル91は細長い容器であり、鉛直方向に沿って延びるように支持されている。供給ボトル91は、その下面において接続ライン70に接続されている。供給液量異常検出器90は、供給ボトル91の高さ方向(鉛直方向)に沿った異なる位置に配置された上限センサ93a、下限センサ93b、および下下限センサ93cを有している。また、供給液量異常検出器90は、供給ボトル91の近傍に配置されたアクチュエータ95と、アクチュエータ95によって供給ボトル91の高さ方向(鉛直方向)に沿って移動可能に支持された液面センサ94と、をさらに有している。各センサ93a,93b,93c,94は、各センサが取り付けられた高さまで供給ボトル91内に液体が貯留されているか否かを判定する機能を有している。
【0079】
各センサ93a,93b,93c,94は制御装置20に接続されており、各センサによる判定結果は制御装置20に送信される。また、アクチュエータ95は制御装置20に接続されており、制御装置20からの信号によってアクチュエータ95は動作する。また、制御装置20には、各処理液を用いた処理において一枚のウエハWを処理する際に必要となる処理液の液量に関する情報が予め記録されている。記録されたこの情報に基づき、制御装置20は、液面センサ94が支持されるべき高さ方向位置を決定する。具体的には、液面センサ94が支持された高さ方向位置と下限センサ93bが配置された高さ方向位置との間を占める供給ボトル91内の領域R1の容積が、一枚のウエハWを処理する際に必要となる処理液の液量よりも少なくなり、液面センサ94が支持された高さ方向位置と下下限センサ93cが配置された高さ方向位置との間を占める供給ボトル91内の領域R2の容積が、一枚のウエハWを処理する際に必要となる処理液の液量よりも多くなるように、液面センサ94が位置決めされる。
【0080】
このような供給液量異常検出器90によれば、ウエハWの処理前に液面センサ94の高さまで供給ボトル91内に処理液を貯留しておき、ウエハWの処理終了時に供給ボトル91内に残存している処理液の液面高さを確認することにより、適量の処理液がウエハWに供給されたか否かを判断することができる。具体的には、残留処理液の液面高さが下限センサ93bおよび下下限センサ93cの間にあれば、適量の処理液が供給されたと判断し、下限センサ93bより高ければ処理液の供給量が少なすぎると判断し、下下限センサ93cより低ければ処理液の供給量が多すぎると判断する。また、上限センサ93aは、供給ボトル91へ処理液が供給され過ぎた場合を検知するために設けられている。
【0081】
市販されている流量センサは、液体の供給開始時および供給停止時や、液体内に泡が混入している場合に、誤作動してしまう可能性がある。また、市販されている流量センサは非常に高価である。その一方で、このような供給液量異常検出器90によれば、安定して液体供給の異常を判定することができるとともに、安価である。
【0082】
なお、図7に示すように、供給ボトル91は、その上面においてガス源97に接続されており、ガス源97からガスを供給して供給ボトル91内を昇圧することにより、供給ボトル91内に貯留された処理液を供給ボトル91から吐出することができる。
【0083】
次に、制御装置20について説明する。制御装置20は、記録媒体21を読み取ることができるCPUを有し、基板処理装置10の各構成要素の動作を制御するようになっている。記録媒体21には、基板処理装置10による処理を実行するためのプログラムが記録されている。制御装置20は、記録媒体21に予め記録されたプログラムに基づき、基板処理装置10の各構成要素を動作させてウエハWを処理する。なお記録媒体21は、ROMやRAMなどのメモリ、ハードディスク、CD−ROMのようなディスク状記録媒体、その他の公知な記録媒体から構成されてもよい。
【0084】
次に、以上のような構成からなる基板処理装置10を用いてウエハWを処理する方法の一例について説明する。なお、以下に説明する基板処理装置10の各構成要素の動作は、予めプログラム記録媒体21に格納されたプログラムに基づいた制御装置20からの制御信号によって制御されている。
【0085】
まず、上述したように、複数のウエハWを収容したキャリア11が載置部11aに載置される。キャリア11内のウエハWは、受け渡し部10bに配置された受け渡し装置13によって、キャリア11から抜き出され、処理部10cの受け渡しユニット25内へと持ち込まれる。
【0086】
以下、処理部10c内でのウエハWに対する処理方法を説明する。
【0087】
まず、制御装置20が、記録媒体21に記録されたプログラムに基づき、処理部10cに持ち込まれた未処理ウエハWを処理ユニット60および処理槽40のいずれにまず搬送するかを判断する。なお、以下に説明する例においては、図8に示すように、ウエハWは、まず、処理槽40内に搬送される。
【0088】
具体的に説明すると、受け渡しユニット25内に収容された未処理ウエハWは、搬送装置30によって保持され、受け渡しユニット25から持ち出される。持ち出されたウエハWは、水平状態から垂直状態に姿勢が変更され、搬送装置20によって処理槽40内に搬入される。このとき、搬送装置30は、二つのフォーク35a,35bによって、受け渡しユニット25内に収容されていた二枚のウエハWを同時に保持し、二枚のウエハWを同時に処理槽40へ搬送する。
【0089】
ウエハWが搬入される処理槽40内には第1の薬液(例えば、硫酸水溶液)が貯留されている。また、液体吐出機構46およびヒータ48が稼働している。したがって、第1の薬液は、処理槽40および外槽42と循環ライン45とによって形成される循環路を循環しながら加熱される。この結果、処理槽40内の第1薬液の温度は、室温よりも高い予め設定された範囲内に保たれている。
【0090】
また、ウエハWを処理槽40内に搬入する前に、可動式シャッター80a,80bが移動させられ、二枚のウエハWを収容すべき処理槽40内の位置の上方に、ウエハWを搬入するための開口(隙間)88が形成される。すなわち、可動式シャッター80a,80bの移動により、二枚のウエハWを収容すべき処理槽40内の位置の上方が開放される。本実施の形態においては、搬送装置40によって同時に搬送される二枚のウエハWは、処理槽40内において隣り合うように配置される。具体的には、制御装置20からの信号に基づき、第1駆動手段81a,81bが可動式シャッター80a,80bを支持板材82上で相対移動させ、一対の可動式シャッター80a,80b間に形成される開口(隙間)88の幅を調整する。形成された開口88は、図3に示すように、搬送装置30に保持された二枚のウエハWが通過し得る幅を有するようになる。また、制御装置20からの信号に基づき、第2駆動手段83によって支持板材82が処理槽40の上方開口40aの上方で移動させられ、一対の可動式シャッター80a,80b間に形成された開口88が処理槽40のウエハWを収容すべき位置の直上に位置するようになる。
【0091】
このようにして、処理槽40に貯留された高温の第1薬液(例えば、硫酸水溶液)に、二枚のウエハWが同時に浸漬され、二枚のウエハWに対する処理(例えば、レジスト除去処理)が開始される。また、搬送装置20は、他のウエハWを搬送すべく制御装置20からの信号に基づいて引き続き動作する。さらに、可動式シャッター80a,80bは、他のウエハWの処理槽40内への搬入または処理槽40からの搬出にそなえて移動する。
【0092】
そして、制御装置20は、搬送装置30によって同時に搬送されて処理槽40に搬入された二枚のウエハ毎に処理経過時間を計測する。制御装置20は、ウエハWの処理経過時間が予め設定された処理時間に達すると、当該ウエハWを処理槽40から搬出するように搬送装置30に対して信号を送信する。同時に、制御装置20は、第1駆動手段81a,81bおよび第2駆動手段82にも信号を送信し、搬出すべき二枚のウエハWの上方に開口88を形成する。以上のようにして、処理槽40に同時に搬入された二枚のウエハWに対する処理槽40での処理が終了する。
【0093】
上述したように、また、図3に示されているように、処理槽40は、搬送装置30が一度に搬送することが可能なウエハWの枚数以上の枚数のウエハWを一度に収容することができる。したがって、同時に搬送された二枚のウエハWに対する処理が処理槽40内で行われている間、その後に処理されるべきウエハWを搬送装置30によって処理槽40内に順次持ち込み処理槽40内の他の領域で処理することができる。このようにして、多数のウエハWを収容し得る処理槽40内で、ウエハWを並行して効率的に処理していくことができる。また、並行して処理される各ウエハWの処理時間を同一にすることができ、これにより、ウエハW毎の処理むらを十分に抑制し、ウエハWを安定して処理していくことができる。
【0094】
また、処理槽40内の第1の薬液は、処理槽40および外槽42と循環ライン45とによって形成される循環路をヒータ48によって温度調整されながら循環している。したがって、処理槽40に貯留される第1薬液の量は多くなるが、同一の第1薬液で多数のウエハを順次処理していくことができる。結果として、第1薬液の使用量を低減することができる。
【0095】
また、第1薬液は、処理槽40および外槽42と循環ライン45とによって形成される循環路を循環しながら、ヒータ48によって温度調整される。また、処理槽40には多量の第1薬液が貯留されている。したがって、第1薬液の温度よりも低温のウエハWが処理槽40内に順次搬入されてきたとしても、処理槽40に貯留された第1薬液の温度は大きく変化することはない。
【0096】
さらに、処理槽40の上方開口40aの上方に可動式シャッター80a,80bが設けられているので、処理槽40内に貯留された処理液からの放熱を抑制することができる。とりわけ、ウエハWの受け渡しを行うための可動式シャッター80a,80b間の隙間(開口)88の幅は、同時に受け渡されるウエハWの枚数に応じて変化する。したがって、隙間88を介した第1薬液からの放熱を低減することができる。また、可動式シャッター80a,80bの開口88に隣接する縁部には、整流板86a,86bが突設されている。したがって、処理部10c内に形成されたダウンフローによって処理槽周囲の雰囲気が処理槽40内に吹き込んでくることを抑制することができ、これにより、処理槽周囲の雰囲気と処理槽40内の第1薬液との熱交換が促進されることを防止することができる。
【0097】
その後、図8に示すように、処理槽40から同時に取り上げられた二枚のウエハWはリンス装置50のリンス槽51内に収容される。具体的には、処理槽40からリンス装置50へ搬送される二枚のウエハWは、搬送装置40によって、整流板86a,86bの間に位置するまで処理槽40内から上方へ持ち上げられる。そして、搬送装置20は、その高さ方向位置(図3における紙面の上下方向における位置)を維持しながら、搬送対象のウエハWの板面に平行な方向に二枚のウエハWを同時に搬送する。二枚のウエハWがリンス装置50のリンス槽51の直上に到達すると、搬送装置20は二枚のウエハWを降下させる。これにより、二枚のウエハWが、搬送装置20によって、同時にリンス装置50内へ搬入される。このとき、処理槽40内から同時に搬送されてくるウエハWは同一の収容部50a内に収容される。
【0098】
つまり、処理槽40から取り出されたウエハWは、処理槽40内で保持されていた位置から当該ウエハWの板面に沿ってずれた位置に相当するリンス槽51内の位置に収容されるようになる。このような搬送方法によれば、可動式シャッター80a,80bを移動させる必要がなく、搬送を迅速に行うことができる。また、処理槽40の上方からリンス装置50の上方に移動する際、搬送装置20に保持されたウエハWは一対の整流板86a,86b間を移動する。したがって、処理部10c内の気流によって、ウエハWに付着していた第1薬液の液滴やパーティクルが処理部10c内に飛散してしまうことを格段に抑制することができる。
【0099】
一方、ウエハWを搬入されるリンス装置50のリンス槽51内には純水が貯留されている。そして、リンス装置50の収容部50aに貯留された純水に、二枚のウエハWが同時に浸漬され、二枚のウエハWに対するリンス処理が開始される。また、搬送装置20は、他のウエハWを搬送すべく制御装置20からの信号に基づいて引き続き動作する。
【0100】
リンス装置50の収容部50には、適宜、純水が補給される。本実施の形態においては、制御装置20からの信号に基づき、リンス装置50の各収容部50a内へ補給される純水の単位時間当たりの補給量は、収容部50a毎に設定される。そして、薬液を用いて処理されたウエハWが収容された収容部50aには、多量の補給量で純水が補給される。一方、ウエハWが収容されていない収容部50には、微量の補給量で純水が補給される、あるいは、純水が補給されない。
【0101】
純水がリンス槽51に補給されると、リンス槽51の上方開口51aから純水が溢れ出る。本実施の形態においては、図4に示すように、純水は下方からリンス槽51内へ補給される。したがって、リンス槽51内には、下方から上方へ向けた純水の液流が形成される。そして、リンス槽51内においてウエハWから除去されたパーティクルWは、この純水の流れに誘導されて上方に移動し、純水とともに溢れ出す。溢れ出したパーティクルは、純水とともに廃棄される。
【0102】
したがって、収容部50a内の状況に応じて当該収容部50aへの水の補給量を変更することによって、ウエハWを迅速にリンス処理することができるとともに、リンス処理に用いられる純水の使用量を低減することができる。
【0103】
なお、上述したように、リンス槽51内を収容部毎に区分けする仕切部材54は、リンス槽51の内部において隣り合う収容部50a間を遮断するようになっている。また、図4に明瞭に示されているように、仕切部材54はリンス槽51の上方開口51aを越えて上方まで延びている。したがって、一つの収容部50aから当該一つの収容部と隣り合う他の収容部への純水の流入は完全に防止される。つまり、一つの収容部50a内でウエハWから除去された第1薬液やパーティクルが、隣接する収容部へ流れ込んでしまうことを防止することができる。
【0104】
したがって、一つの収容部50aでウエハWをリンス処理している際、処理槽40で処理されたばかりのウエハWが隣り合う収容部へ搬入されてきたとしても、搬入されてきたウエハWに付着していたパーティクルが、それまでにリンス処理が既に進行しているウエハWに付着してしまうこと(パーティクルの転写)を確実に防止することができる。つまり、リンス装置50内の各収容部50aへ薬液処理を施されたウエハWを順次搬入し、各収容部50a内においてウエハWを並行してリンス処理することができる。
【0105】
そして、制御装置20は、処理槽40での処理と同様に、搬送装置30によって同時に搬送されてリンス装置50に搬入された二枚のウエハ毎に処理経過時間を計測する。制御装置20は、ウエハWの処理経過時間が予め設定された処理時間に達すると、当該ウエハWをリンス装置50から搬出するように搬送装置30に対して信号を送信する。同時に、制御装置20は、第1駆動手段81a,81bおよび第2駆動手段82にも信号を送信し、搬出すべき二枚のウエハWの上方に開口88を形成する。このようにして、リンス装置50に同時に搬入された二枚のウエハWに対するリンス装置50での処理が終了する。
【0106】
上述したように、また、図4に示されているように、リンス装置50は、搬送装置30が一度に搬送することが可能な枚数のウエハWを収容可能な収容部50aを複数有している。したがって、同時に搬送された二枚のウエハWに対するリンス処理が一つの収容部50a内で行われている間、その後に処理されるべきウエハWを搬送装置30によって他の収容部50a内に順次持ち込んでリンス処理することができる。このようにして、多数のウエハWを収容し得るリンス装置50内で、ウエハWを並行して効率的にリンス処理していくことができる。また、並行して処理される各ウエハWの処理時間を同一にすることができ、これにより、ウエハW毎の処理むらを十分に抑制し、ウエハWを安定して処理していくことができる。
【0107】
その後、図8に示すように、リンス装置50から同時に取り上げられた二枚のウエハWは、垂直状態から水平状態へ姿勢を変更されて、処理ユニット60へと搬送される。上述したように、各処理ユニット60は一枚のウエハWのみを収容することができる。したがって、搬送装置30に保持された二枚のウエハWは、別々の処理ユニット60へ順に搬入されていく。
【0108】
本実施の形態においては、上述したように四つの処理ユニット60が処理部10cに設けられており、各処理ユニット60内における処理はそれぞれ並行して行われる。以下の説明においては、一つの処理ユニット60内での一枚のウエハWに対する処理について説明する。
【0109】
本実施の形態においては、図8に示すように、リンス装置50内でリンス処理を行われた一枚のウエハWを処理ユニット60によって保持する工程と、処理槽40内で処理する工程において用いられた第1薬液とは異なる第2薬液を供給し、処理ユニット60によって保持された一枚のウエハWを処理する工程と、処理ユニット60によって保持された一枚のウエハWに純水を供給しリンス処理する工程と、処理ユニット60によって保持されリンス処理を施された一枚のウエハWを乾燥させる工程と、が実施される。以下、各工程について説明する。
【0110】
まず、搬送装置30によって処理ユニット60内に搬送されてきた一枚のウエハWが、処理ユニット60の保持機構62によって保持される。保持機構62は、略円形状の板面を有するウエハWをその板面の中心を軸心として回転させる。この動作に先立ちまたは並行して、供給液量異常検出器90の供給ボトル91内に、支持高さが予め調節された液面センサの支持位置まで、第2の薬液(例えば、フッ化水素水溶液)が供給される。
【0111】
そして、上方ノズル64を介し、供給ボトル91内に貯留された第2薬液が、保持機構62によって回転させられながら保持されているウエハWの表面(上面)に供給され始める。このようにして、上方ノズル64から第2薬液(例えば、フッ化水素水溶液)が一枚のウエハWに供給され、一枚のウエハWに対する処理(例えば、酸化膜除去処理)が開始される。上方ノズル64は、ウエハWの板面の中心領域に対面した位置に停止して、ウエハWの板面の中心領域に第2薬液を供給し続けてもよい。この場合、ウエハWの中心領域に供給された第2薬液は、ウエハWの回転にともない、ウエハWの板面の中心領域からウエハWの板面の周縁領域へと自然に移動し、ウエハWの全表面が処理される。あるいは、上方ノズル64は、アーム65によってウエハWの上方をウエハWの板面に沿って移動させられながら、ウエハWの板面の中心領域とウエハWの板面の周縁領域との間の各領域に第2薬液を供給していくようにしてもよい。
【0112】
第2薬液を供給している時間が予め設定された時間を越えると、供給ボトル91から上方ノズル64への第2薬液の供給が停止する。これにより、第2薬液を用いたウエハWの処理が終了する。
【0113】
なお、本例においては、下方ノズル66から第2薬液が供給されない例を示したが、これに限られず、上方ノズル64から第2薬液が供給されている間、下方ノズル66から第2薬液がウエハWの裏面に向けて供給されるようにしてもよい。
【0114】
次に、処理ユニット60内で一枚のウエハWに対してリンス処理が施される。この工程中においても、処理対象のウエハWは、保持機構62によって回転させられながら保持されている。
【0115】
まず、上方供給バルブ69が操作されて上方ノズル64から純水が一枚のウエハWに供給される。このようにして、一枚のウエハWに対するリンス処理が開始される。第2薬液を用いた処理と同様に、上方ノズル64は、停止して、ウエハWの板面の中心領域のみに純水を供給し続けてもよいし、あるいは、移動しながら、ウエハWの板面の中心領域とウエハWの板面の周縁領域との間の各領域に純水を供給していくようにしてもよい。
【0116】
純水を供給している時間が予め設定された時間を超えると、上方ノズル64からの純水の供給が停止して、純水を用いたウエハWのリンス処理が終了する。
【0117】
なお、本例においては、下方ノズル66から純水が供給されない例を示したが、これに限られず、上方ノズル64から純水が供給されている間、下方ノズル66から純水がウエハWの裏面に供給されるようにしてもよい。
【0118】
次に、処理ユニット60内で一枚のウエハWに対して乾燥処理が施される。この工程中において、処理対象のウエハWは、保持機構62によって高速で回転させられながら保持される。また、上方供給バルブ69が操作されて上方ノズル64から不活性ガスが一枚のウエハWに向けて吐出される。このとき、上方ノズル64は、ウエハWの板面の中心領域からウエハWの板面の周縁領域へ向けて移動しながら、ウエハWの板面の各領域に向けて不活性ガスを吐出していくことが好ましい。このような不活性ガスの吐出およびウエハWの回転により、ウエハW上の純水がウエハWの表面上から外方に吹き飛ばされる。
【0119】
このようにして処理ユニット60内でのウエハWの乾燥処理が終了する。そして、以上の処理により、処理ユニット60内でのウエハWに対する処理が終了する。その後、受け渡し部10bに配置された受け渡し装置13が、開口60aを介し、処理済みウエハWを処理ユニット60から搬出し、さらには、載置部10aに載置されたキャリア11内に再び収納する。以上のようにして、一枚のウエハWに対する処理が終了する。
【0120】
なお、上述の搬送装置30の第1および第2のフォーク35a,35bには、処理槽50内に貯留された薬液およびリンス槽51内に貯留された純水が付着する。すなわち、搬送装置30によってウエハWを保持すると、乾燥済みのウエハWに再度液体が付着してしまう。一方、受け渡し装置13のフォーク13aには液体が付着してしまうことがないので、処理済みのウエハWを濡らせてしまうことなく搬出することが可能となる。
【0121】
以上のような本実施の形態によれば、ウエハWの処理に用いられる基板処理装置10は、一枚のウエハWを保持し保持した一枚のウエハWを処理する処理ユニット60と、複数のウエハWを同時に収容可能な処理槽40であって、貯留した処理液にウエハWを浸漬して当該ウエハWを処理するようになされた処理槽40と、処理槽40のウエハ収容可能枚数未満の枚数のウエハWを同時に搬送可能な搬送装置30であって、少なくとも処理液が貯留された処理槽40内にウエハWを搬入するようになされた搬送装置40と、を隔壁22によって区画された処理部10c内に備えている。したがって、高温加熱された処理液(第1薬液)を用いた処理を処理槽40内で行い、その他の処理液を用いた処理を処理ユニット60内で行うことができる。このため、処理ユニット60で用いられる処理液の種類を低減して、基板処理装置10の全体構成および基板処理装置10の制御を単純化することができ、これにより、ウエハWを安価に処理することができる。また、複数のウエハWを収容可能な処理槽40内で処理する場合、処理液(第1薬液)が処理能力を有しなくなるまで、当該処理液を使用し続けることができる。したがって、処理液(第1薬液)の使用量を低減することができ、これにより、ウエハWを安価に処理することができる。さらに、処理槽40内に貯留された処理液(第1薬液)の温度を一定の温度範囲内に維持することは容易である。したがって、処理液の温度変動を大幅に抑制することができ、これにより、ウエハ毎の処理むらを抑制してウエハWを均一に処理していくことができる。
【0122】
なお、本実施の形態による基板処理装置10は、上記の態様に限定されるものではなく、様々な変更を加えることができる。とりわけ、以上の説明においては、本発明による基板処理装置および基板処理方法を、ウエハWの処理に適用した例を示しているが、これに限られず、LCD基板やCD基板等の処理に適用することも可能である。
【0123】
以下、その他の変形例について、図9乃至図13を参照して説明する。なお、以下に説明する変形例を複数組み合わせて適用することも可能である。また、図9乃至図13において、上述した実施の形態と同一部分には同一符号を付し重複する詳細な説明を省略する。
【0124】
(変形例1)
上述した実施の形態において、基板処理装置10の処理部10cに搬送されてきたウエハWに対し、互いに異なる薬液を用いた二種類の処理を施す例を示したが、これに限られない。
【0125】
例えば、図9に示すように、ウエハWに対して薬液を用いた処理を一回のみ施すようにしてもよい。なお、図9に示す例においては、上述した実施の形態における基板処理方法(図8参照)から、処理ユニット60内でウエハWに対して第2薬液を用いて処理を施す工程と、処理ユニット60内でウエハWに対して純水を用いてリンス処理を施す工程と、が省略されている。
【0126】
あるいは、ウエハWに対して薬液を用いた処理を三回以上施すようにしてもよい。
【0127】
(変形例2)
また、上述した実施の形態において、リンス装置50を用いてウエハWをリンス処理する例を示したが、これに限られない。上述した実施の形態による基板処理方法において、リンス装置50を用いてウエハWをリンス処理する工程に代えて、処理ユニット60を用いてウエハWをリンス処理する工程を設けるようにしてもよい。すなわち、図10に示すように、処理槽40で処理を施されたウエハWを、処理槽40から処理ユニット60へ搬送するようにしてもよい。この場合、処理ユニット60内において、処理槽40内で処理を行われた一つの基板Wを処理ユニット60によって保持する工程と、処理ユニット60によって保持された一つの基板Wに純水を供給してリンス処理する工程と、処理槽40内で処理する工程において用いられた処理液とは異なる処理液を供給し、処理ユニット60によって保持されリンス処理を施された一つの基板Wを処理する工程と、処理ユニット60によって保持され処理液による処理を施された一つの基板Wに純水を供給してリンス処理する工程と、処理ユニット60によって保持されリンス処理を施された一つの基板Wを乾燥させる工程と、が実施されるようになる。
【0128】
また、薬液を用いた処理を一回のみにする場合には、図11に示すように、処理ユニット60内において、処理槽40内で処理を行われた一つの基板Wを処理ユニット60によって保持する工程と、処理ユニット60によって保持された一つの基板Wに純水を供給してリンス処理する工程と、処理ユニット60によって保持されリンス処理を施された一つの基板Wを乾燥させる工程と、が実施されるようになる。
【0129】
さらに、リンス装置50を用いてウエハWをリンス処理する工程を省く場合には、基板処理装置10から、ウエハWを純水に浸漬してリンス処理するためのリンス装置50を省くことも可能である。
【0130】
(変形例3)
さらに、上述した実施の形態において、処理ユニット60を用いてウエハWを処理する工程と、処理槽40内でウエハWを処理する工程と、の両方が設けられている例を示したが、これに限られず、例えば、処理ユニット60のみを用いてウエハWを処理することも可能である。
【0131】
(変形例4)
さらに、上述した実施の形態のリンス装置50において、仕切部材54がリンス槽51の内部において隣り合う収容部50a間を完全に遮断して、一つの収容部50aから当該一つの収容部と隣り合う他の収容部への純水の流入を完全に防止するようになっている例を示したが、これに限られない。一つの収容部50aから当該一つの収容部と隣り合う他の収容部への純水の流入が抑制される程度に、仕切部材54が構成されてもよい。このような仕切部材54によっても、上述したパーティクルの転写を十分に抑制することが可能となる。このような仕切部材を、ウエハボード52に支持されたダミーウエハによって構成することができる。このような仕切部材は極めて安価に構成され得り、また、収容部50aのウエハ収容可能枚数を容易に変更することもできる。
【0132】
(変形例5)
さらに、上述した実施の形態において、リンス装置50が一つのリンス槽51を有するとともに、リンス槽51内に設けられた仕切部材54によって、リンス槽51が複数の収容部50aに分割されている例を示したが、これに限られない。例えば、図12に示すように、リンス装置150が、貯留した純水に基板Wを浸漬して当該基板Wをリンス処理することができるリンス槽を収容部150aとして複数有するようにしてもよい。すなわち、一つの収容部150aが一つの槽として、他の収容部とは別体に形成されてもよい。言い換えれば、複数の収容部150aの各々は、互いから離間して配置された別個の槽として形成されてもよい。このようなリンス装置150によれば、一つの収容部150aから当該一つの収容部と隣り合う他の収容部への純水の流入を完全に防止し、上述したパーティクルの転写を確実に防止することが可能となる。
【0133】
なお、図12に示す例においても、リンス装置150は、各リンス槽151(収容部150a)と純水源157とを連結する純水供給ライン156を有している。純水供給ライン156は、流量制御が可能な開閉バルブ156aを介してそれぞれの収容部150a(リンス槽150)へ接続されている。したがって、リンス装置150の収容部150aへの単位時間当たりの純水供給量を、収容部150a毎に設定することができる。
【0134】
(変形例6)
さらに、上述した実施の形態において、リンス装置50の収容部50aが同時に収容可能なウエハWの枚数は、搬送装置30が同時に搬送可能なウエハWの枚数と同一となっている例を示したが、これに限られない。例えば、リンス装置50の収容部50aが同時に収容可能なウエハWの枚数が、搬送装置30が同時に搬送可能なウエハWの枚数以上となっていてもよい。このようなリンス装置50においても、処理槽40内から同時に搬送されてくるウエハWを、同一の収容部50a内に収容することができる。したがって、上述したパーティクルの転写を効果的に防止することができる。
【0135】
(変形例7)
また、各収容部50a内に二枚のウエハWが収容可能であり、かつ、各収容部50aにウエハWを二枚ずつ収容する例を示したが、これに限られない。例えば、各収容部50aに一枚のウエハWを収容するようにしてもよい。各収容部50aにウエハWを一枚ずつ収容する場合には、異なるウエハW間におけるパーティクルの転写を確実に防止することができる。
【0136】
各収容部50aにウエハWを一枚ずつ収容する場合には、ウエハWを一枚ずつ処理槽40内へ搬送するようにしてもよい。また、ウエハWを一枚ずつ搬送する場合には、搬送装置30が一つのフォーク35aのみを有するようにすることもできる。搬送装置30が一つのフォーク35aのみを有しウエハWを一枚ずつ搬送する場合においても、処理槽40内で多数のウエハWを並行して処理することができるとともに、リンス装置50内で多数のウエハWを並行してリンス処理することができるので、結果として、単位時間あたり処理能力を向上させることも可能となる。
【0137】
(変形例8)
さらに、上述した実施の形態において、処理槽40の上方開口41の上方に配置された可動式シャッター80a,80bがそれぞれ平板状からなり、処理槽40の上方開口41の上方において水平面に沿って直線状に移動可能である例を示したが、これに限られない。例えば、図13に示すように、可動式シャッター180a,180bが側面視において弧状の移動経路に沿って移動可能であるようにしてもよい。図13に示す例における可動式シャッター180a,180bは、側面視において、可動式シャッター180a,180bの移動軌跡に沿った弧状の輪郭を有している。このような可動式シャッター180a,180bによれば、シャッター180a,180bを動作させるために必要となるスペースを削減することができる。したがって、基板処理装置10を小型化することができる。
【0138】
(変形例9)
さらに、上述した実施の形態において、処理部10a内におけるウエハWの受け渡しのすべてを一つの搬送装置30が担っている例を示したが、これに限られない。処理部10c内における各処理装置40,50,60の配置に応じ、二以上の搬送装置が設けられてもよい。
【0139】
例えば、処理ユニット60へのウエハWの搬入を担う搬送装置と、処理槽40へのウエハの搬入を担う搬送装置30と、が別途に設けられてもよい。また、処理槽40と処理ユニット60との間でのウエハWの搬送を担う搬送装置と、処理槽40へのウエハWの搬入を担う搬送装置30と、が別途に設けられてもよい。さらに、処理槽40とリンス装置50との間でのウエハWの搬送を担う搬送装置と、処理槽40へのウエハWの搬入を担う搬送装置30と、が別途に設けられてもよい。さらに、リンス装置50と処理ユニット40との間でのウエハWの搬送を担う搬送装置と、処理槽40へのウエハWの搬入を担う搬送装置30と、が別途に設けられてもよい。
【0140】
また、上述した実施の形態において、搬送装置30の各構成部材が互いに揺動可能に連結され、各構成部材を互いに対して揺動させることにより、ウエハWを保持するフォーク35a,35bを種々の位置に移動させることができるようにした例を示したが、これに限られず、その他の公知の基板搬送装置を採用することができる。例えば、各構成部材が互いに摺動可能に連結され、各構成部材を互いに対して摺動させることにより、ウエハWを保持するフォーク35a,35bを種々の位置に移動させるようになっている搬送装置を採用することができる。
【0141】
(変形例10)
さらに、上述した実施の形態において、受け渡し部10bから処理部10cへ受け渡しユニット25を介してウエハWが搬送され、処理部10cから受け渡し部10bへ処理ユニット60を介してウエハWが搬送される例を示したが、これに限られない。例えば、乾燥済みのウエハWに液体が付着してしまうことを防止する措置を講ずるとともに、受け渡し部10bと処理部10cとの間におけるウエハWの受け渡しのすべてが、受け渡しユニット25を介するようにしてもよい。乾燥済みのウエハWに液体が付着してしまうことを防止する措置としては、処理ユニット60から受け渡しユニット25へウエハWを搬送するための搬送装置を上述した搬送装置30とは別に設けること、あるいは、搬送装置30のフォーク35a,35bを洗浄および乾燥するための装置を設けること等が挙げられる。
【0142】
(変形例11)
さらに、上述した実施の形態において、処理ユニット60のカップに回収された処理液がすべて廃棄される例を示したが、これに限られず、循環再利用されるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】図1は、本発明による一実施の形態における基板処理装置の内部構成を示す上面図である。
【図2】図2は、図1に示された基板処理装置の内部構成を示す側面図である。
【図3】図3は、図1に示された基板処理装置の処理槽を示す縦断面図である。
【図4】図4は、図1に示された基板処理装置のリンス装置を示す縦断面図である。
【図5】図5は、図3に示された処理槽および図4に示されたリンス装置を可動式シャッターとともに示す上面図である。
【図6】図6は、図1に示された基板処理装置の枚葉式の処理ユニットを示す模式図である。
【図7】図7は、図6に示された処理ユニットに組み込まれた供給液量異常検出器の構成を説明するための模式図である。
【図8】図8は、本発明による一実施の形態における基板処理方法であって、図1に示された基板処理装置によって実施され得る基板処理方法を説明するためのフローチャートである。
【図9】図9は、図8に対応する図であって、基板処理方法の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図10】図10は、図8に対応する図であって、基板処理方法の他の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図11】図11は、図8に対応する図であって、基板処理方法のさらに他の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図12】図12は、リンス装置の変形例を示す縦断面図である。
【図13】図13は、図3に対応する図であって、可動式シャッターの変形例を処理槽とともに示す図である。
【符号の説明】
【0144】
10 基板処理装置
20 制御装置
21 記録媒体
30 搬送装置
40 処理槽
50 リンス装置
50a 収容部
51 リンス槽
54 仕切部材
60 処理ユニット
80a,80b 可動式シャッター
86a,86b 整流板
88 隙間(開口)
180a,180b 可動式シャッター
150 リンス装置
150a 収容部
151 リンス槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一つの基板を保持し保持した一つの基板を処理する処理ユニットと、
複数の基板を同時に収容可能な処理槽であって、基板を浸漬して処理するための処理液を循環供給されながら貯留する処理槽と、
前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に搬送する搬送装置であって、少なくとも前記処理槽に基板を搬送する搬送装置と、を備え、
前記処理ユニットと前記処理槽との少なくともいずれか一つを用いて基板を処理する
ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記処理槽内での基板の処理時間を前記搬送装置によって前記処理槽へ同時に搬送される一以上の基板毎に管理する制御装置をさらに備える
ことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記搬送装置によって前記処理槽に同時に搬送されてきた一以上の基板毎に処理経過時間を計測し、処理経過時間が予め設定された処理時間に達すると、当該一以上の基板を前記処理槽内から搬出するように、前記搬送装置を制御する
ことを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記搬送装置は、前記処理槽で処理された基板を受け取って前記処理ユニットへ搬送するようになされている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
貯留した水に基板を浸漬して当該基板をリンス処理するリンス装置をさらに備え、
前記リンス装置は、各々が前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に収容可能である複数の収容部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記複数の収容部の各々は、互いから離間して配置された別個の槽として形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記リンス装置は、内部に仕切部材を設けられた槽を有し、
前記槽の内部は、前記仕切部材によって複数の収容部に区分けされている
ことを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記リンス装置に接続された制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記リンス装置の各収容部内への単位時間あたりの水の補給量を、収容部毎に設定する
ことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記搬送装置は、前記処理槽で処理された基板を前記リンス装置へ搬送するようになされており、さらに、前記リンス装置でリンス処理された基板を前記処理ユニットへ搬送するようになされている
ことを特徴とする請求項5乃至8のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記収容部が同時に収容可能な基板の数は、前記搬送装置が同時に搬送可能な基板の数以上である
ことを特徴とする請求項9に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記処理槽の上方開口の上方に設けられた可動式シャッターと、
前記処理槽に対する前記可動式シャッターの位置を制御する制御装置と、をさらに備え、
前記制御装置は、前記搬送装置と前記処理槽との間で基板の受け渡しを行うため、前記処理槽内の基板を収容すべき位置の上方が開放されるよう、前記可動式シャッターを制御する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記可動式シャッターは、前記処理槽の前記上方開口の上方で移動可能な二つの板状材を含み、
前記制御装置は、前記二つの板状材を互いから離間し、当該二つの板状材の隙間によって前記処理槽内の基板を収容すべき位置の上方を開放するよう、前記可動式シャッターを制御する
ことを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記制御装置は、前記二つの板状材の相対位置を変化させ、同時に受け渡しを行われる基板の数に応じて前記隙間の大きさを変化させるよう、前記可動式シャッターを制御する
ことを特徴とする請求項12に記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記可動式シャッターから突出する整流板が、前記開口の近傍に、設けられている
ことを特徴とする請求項11乃至13のいずれか一項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
一つの基板を保持可能な処理ユニットと、処理液を貯留する処理槽であって複数の基板を同時に収容可能な処理槽と、を有する基板処理装置を用いて基板を処理する基板処理方法であって、
基板処理装置に持ち込まれた未処理基板を前記処理ユニットおよび前記処理槽のいずれにまず搬送するかを判断する工程と、
前記処理ユニットを用いて基板を処理する工程および前記処理槽内に貯留された処理槽内に基板を浸漬して処理する工程のうちの少なくともいずれか一つの工程と、を備え、
前記処理槽内で処理する工程は、前記処理液が貯留された前記処理槽に、前記処理槽の基板収容可能数未満の数であって一以上の基板を同時に搬送する工程と、処理液を前記処理槽に循環供給しながら、前記同時に搬送された一以上の基板を前記処理槽内の処理液に浸漬して処理する工程と、を含む
ことを特徴とする基板処理方法。
【請求項16】
前記処理槽内で処理する工程の前記基板を処理液に浸漬して処理する工程において、前記処理槽内での基板の処理時間は、前記搬送装置によって同時に搬送される一以上の基板毎に管理される
ことを特徴とする請求項15に記載の基板処理方法。
【請求項17】
前記処理槽の上方開口の上方に可動式シャッターが設けられており、
前記処理槽内で処理する工程は、前記一以上の基板を前記処理槽内に搬入するため、前記一以上の基板を収容すべき前記処理槽内の位置の上方が開放されるよう、前記可動式シャッターを移動させる工程を、さらに含む
ことを特徴とする請求項15または16に記載の基板処理方法。
【請求項18】
前記処理ユニットを用いて処理する工程と、前記処理槽内で処理する工程と、の両方を備え、
前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記処理槽内で処理する工程の後に実施される
ことを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項19】
前記処理ユニットを用いて処理する工程は、
前記処理槽内で処理を行われた一つの基板を処理ユニットによって保持する工程と、
前記処理槽内で処理する工程において用いられた処理液とは異なる処理液を供給し、前記処理ユニットによって保持された一つの基板を処理する工程と、
前記処理ユニットによって保持され前記処理液による処理を施された一つの基板に水を供給してリンス処理する工程と、
前記処理ユニットによって保持され前記リンス処理を施された一つの基板を乾燥させる工程と、を有する
ことを特徴とする請求項18に記載の基板処理方法。
【請求項20】
前記処理槽内に貯留された処理液内に基板を浸漬して処理する工程の後に実施される工程であって、リンス装置に貯留された水内に基板を浸漬してリンス処理する工程を、さらに備え、
前記リンス装置は、各々が前記処理槽の基板収容可能数未満の数の基板を同時に収容可能である複数の収容部を有しており、
前記リンス装置内でリンス処理する工程は、
前記水が貯留された前記リンス装置の前記複数の収容部のうちの基板が収容されていないいずれか一つの収容部へ、一以上の基板を搬送する工程と、
前記リンス装置の前記収容部内において前記一以上の基板を水に浸漬してリンス処理する工程と、を含む
ことを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項21】
前記処理槽内に同時に搬送された一以上の基板毎に、前記リンス装置内に同時に搬送される
ことを特徴とする請求項20に記載の基板処理方法。
【請求項22】
前記リンス装置内でリンス処理する工程において、前記基板が収容された前記一つの収容部へ補給される水の量は、他の収容部へ補給される水の量とは独立して設定される
ことを特徴とする請求項21に記載の基板処理方法。
【請求項23】
前記処理ユニットを用いて処理する工程と、前記処理槽内で処理する工程と、の両方を備え、
前記処理ユニットを用いて処理する工程は、前記リンス装置内で基板をリンス処理する工程の後に実施される
ことを特徴とする請求項20乃至22のいずれか一項に記載の基板処理方法。
【請求項24】
前記処理ユニットを用いて処理する工程は、
前記リンス装置内でリンス処理を行われた一つの基板を処理ユニットによって保持する工程と、
前記処理ユニットによって保持された一つの基板を乾燥させる工程と、を有する
ことを特徴とする請求項23に記載の基板処理方法。
【請求項25】
前記処理ユニットを用いて処理する工程は、
前記リンス装置内でリンス処理を行われた一つの基板を処理ユニットによって保持する工程と、
前記処理槽内で処理する工程において用いられた処理液とは異なる処理液を供給し、処理ユニットによって保持された一つの基板を処理する工程と、
前記処理ユニットによって保持された一つの基板に水を供給しリンス処理する工程と、
前記処理ユニットによって保持され前記リンス処理を施された一つの基板を乾燥させる工程と、を有する
ことを特徴とする請求項23に記載の基板処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−218906(P2008−218906A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57546(P2007−57546)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】