基板処理装置のスケジュール作成方法及びそのプログラム
【課題】リソースの使用が延長されたことを判別できるようにすることにより、スケジュールに起因して処理が停止するのを防止して、装置の稼働率が低下するのを防止できる。
【解決手段】制御部25は、単バッチのスケジュールにて、温水ユニットHDIWを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、温水ユニットHDIWの仮想リソースの使用終了時を表す仮想終了マークを付加しておく。全体スケジュールを作成する際に、払出が時間的に後ろにずれる場合には仮想リソースの仮想終了マークも時間的に後ろにずらし、仮想リソースの使用を仮想終了マークまで延長しておく。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、温水ユニットHDIWの仮想リソースによって排他される。リソースの競合によりアラームが発生して処理が停止するのを防止でき、装置稼働率の低下を防止できる。
【解決手段】制御部25は、単バッチのスケジュールにて、温水ユニットHDIWを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、温水ユニットHDIWの仮想リソースの使用終了時を表す仮想終了マークを付加しておく。全体スケジュールを作成する際に、払出が時間的に後ろにずれる場合には仮想リソースの仮想終了マークも時間的に後ろにずらし、仮想リソースの使用を仮想終了マークまで延長しておく。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、温水ユニットHDIWの仮想リソースによって排他される。リソースの競合によりアラームが発生して処理が停止するのを防止でき、装置稼働率の低下を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置のガラス基板(以下、単に基板と称する)に所定の処理を行う基板処理装置のスケジュール作成方法及びそのプログラムに係り、特に、基板に対して直接的な処理を行う処理部とは別体のユニット(別置ユニット)を含む基板処理装置のスケジュールを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の方法として、基板を処理液に浸漬させて処理を行う複数個の処理液処理部と、これらの処理液処理部に共通であって、処理液処理部とは別体で各処理液処理部に対して処理液を供給する供給ユニットとを備えた基板処理装置を用いて、複数のロットを処理するためのスケジュールを作成する基板処理装置のスケジュール作成方法において、ロット単体だけを考慮した単バッチのスケジュールを作成し、その後に、全ロットの単バッチを一つの時間軸上に配置してスケジュールを行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このスケジュール作成方法では、単バッチのスケジュールを作成する際に、処理液処理部のリソースの使用に並行して、供給ユニットのリソースを使用するようにスケジューリングを行っている。したがって、単バッチにて処理液処理部のリソースを配置すると、それに付随して供給ユニットのリソースを配置するので、全体のスケジュールにおいても処理液処理部の配置と供給ユニットの配置とが対で配置される。供給ユニットとしては、例えば、純水を所定温度に加熱して温水として供給する温水ユニットがあり、その場合には、図10のロット1〜3の単バッチのスケジュールに示すように、例えば、純水処理の最後に温水処理を行う場合(図10(a)及び図10(b))と、純水処理の途中で温水処理を行う場合(図10(c))とがある。
【特許文献1】特開2003−59890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、純水処理の最後に温水処理を行う場合、全体のスケジュールを作成する際に、図11に示すように、ロット2を純水処理部ONB2からを払い出すまでの時間が延びる場合があるが、全体スケジュールの作成時点では、温水処理から払出までの時間が延びたことが考慮されないので、次にロット3の単バッチスケジュールが図11に示すように配置され得る。すると、ロット3における温水処理と、ロット2において延長された温水処理とが温水ユニットのリソースにて競合するので、全体スケジュールを作成した後、実際に処理を開始すると、ロット3における温水処理を行うことができず、アラームが発生して処理が停止するという問題がある。その結果、装置の稼働率が低下する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リソースの使用が延長されたことを判別できるようにすることにより、スケジュールに起因して処理が停止するのを防止して、装置の稼働率が低下するのを防止することができる基板処理装置のスケジュール作成方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に対して処理を行う複数個の処理部と、各処理部とは別体で構成され、各処理部における基板への処理に付随した処理を行う別置ユニットとを含む複数個のリソースを備えた基板処理装置により、制御部が各ロットについて各々のレシピに基づき各リソースを使用しながら処理するにあたり、各々のリソースを使用するタイミングを実際の処理の前に予め決定する基板処理装置のスケジュール作成方法において、前記制御部は、別置ユニットの実際のリソースとは異なる仮想リソースを定義するとともに、単一のロットについて、そのレシピに応じて各リソースを使用するとともに、別置ユニットのリソースを使用する処理工程については別置ユニットのリソースを使用するのに合わせて仮想リソースを使用するように単バッチのスケジュールを作成する過程と、単バッチのスケジュールのうち、別置ユニットを使用するものについては、別置ユニットのリソースを使用する処理からのロットの払出に合わせて、仮想リソースの使用を終了するタイミングに仮想終了マークを付加する過程と、単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて仮想リソースの仮想終了マークを後ろにずらすとともに、仮想リソースの使用を前記仮想終了マークまで延長する過程と、を実行することを特徴とするものである。
【0007】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御部は、別置ユニットの仮想リソースを定義しておき、単バッチのスケジュールにて、別置ユニットを使用する場合には、別置ユニットを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、別置ユニットの仮想リソースの使用終了時を表す仮想終了マークを付加しておく。そして、全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理工程からの払出が時間的に後ろにずれる場合には、それにあわせて仮想リソースの仮想終了マークも時間的に後ろにずらす。さらに、仮想リソースの使用を仮想終了マークまで延長しておく。したがって、別置ユニットを使用する処理工程におけるロットの払出タイミングが全体スケジュールの時点で時間的に後ろにずれたとしても、別置ユニットのリソースの使用が延長されたことを仮想リソースの状態から判別することができる。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、別置ユニットの仮想リソースによって排他されるので、全体スケジュールを実行する際にリソースの競合によりアラームが発生して処理が停止することを防止できる。よって、装置稼働率の低下を防止することができる。
【0008】
また、本発明において、前記仮想終了マークは、別置ユニットが処理の最後に使用される場合にのみ付加されることが好ましい(請求項2)。別置ユニットが処理の最後に使用される場合に特に効果が大きい。
【0009】
また、本発明において、前記別置ユニットは、純水を所定の温度に加熱して得られる温水を供給するための温水ユニットであることが好ましい(請求項3)。温水ユニットは、複数の処理部で共用されていることが多いので、リソースの競合が発生しやすい。したがって、排他的処理の効果が大きい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る基板処理装置のスケジュール作成方法によれば、制御部は、別置ユニットの仮想リソースを定義しておき、単バッチのスケジュールにて、別置ユニットを使用する場合には、別置ユニットを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、別置ユニットの仮想リソースの使用終了時を表す仮想終了マークを付加しておく。そして、全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理工程からの払出が時間的に後ろにずれる場合には、それにあわせて仮想リソースの仮想終了マークも時間的に後ろにずらす。さらに、仮想リソースの使用を仮想終了マークまで延長しておく。したがって、別置ユニットを使用する処理工程におけるロットの払出タイミングが全体スケジュールの時点で時間的に後ろにずれたとしても、別置ユニットのリソースの使用が延長されたことを仮想リソースの状態から判別することができる。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、別置ユニットの仮想リソースによって排他されるので、全体スケジュールを実行する際にリソースの競合によりアラームが発生して処理が停止するのを防止できる。よって、装置稼働率の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図であり、図2は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示したブロック図である。
【0012】
この基板処理装置は、例えば、基板Wに対して薬液処理及び純水処理及び乾燥処理を行うための装置である。基板Wは、複数枚(例えば、25枚)がカセット1内に水平姿勢で積層収納されている。未処理の基板Wを収納したカセット1は、投入部3に載置される。投入部3は、カセット1が載置される載置台5を二つ備えている。基板処理装置の中央部を挟んだ投入部3の反対側には、払出部7が配備されている。この払出部7は、処理済みの基板Wをカセット1に収納してカセット1ごと払い出す。このように機能する払出部7は、投入部3と同様に、カセット1を載置するための二つの載置台9を備えている。
【0013】
投入部3と払出部7に沿う位置には、これらの間を移動可能に構成された第1搬送機構CTCが設けられている。第1搬送機構CTCは、投入部3に載置されたカセット1に収納されている全ての基板Wを取り出した後、第2搬送機構WTRに対して搬送する。また、第1搬送機構CTCは、第2搬送機構WTRから処理済みの基板Wを受け取った後に、基板Wをカセット1に収納する。第2搬送機構WTRは、基板処理装置の長手方向に沿って移動可能に構成されている。
【0014】
上述した第2搬送機構WTRの移動方向における払出部7側には、複数枚の基板Wを低圧のチャンバ内に収納して乾燥させるための乾燥処理部LPDが設けられている。
【0015】
第2搬送機構WTRの移動方向であって乾燥処理部LPDに隣接する位置には、第1処理部19が配設されている。この第1処理部19は、複数枚の基板Wに対して純水処理を施すための純水処理部ONB1を備えているとともに、複数枚の基板Wに対して薬液を含む処理液によって薬液処理を施すための薬液処理部CHB1を備えている。また、第1処理部19は、第2搬送機構WTRとの間で基板Wを受け渡すとともに、純水処理部ONB1と薬液処理部CHB1でのみ昇降可能な副搬送機構LFS1を備えている。
【0016】
第1処理部19に隣接した位置には、第2処理部21が設けられている。第2処理部21は、上述した第1処理部19と同様の構成である。つまり、純水処理部ONB2と薬液処理部CHB2と副搬送機構LFS2とを備えている。
【0017】
また、この基板処理装置は、上述した各処理部19,21とは別体で構成された温水ユニットHDIWを備えている。この温水ユニットHDIWは、上述した純水処理部ONB1,ONB2で共有されており、それらに対して所定温度に加熱した純水(以下、温水と称する)を供給する機能を備えている。
【0018】
なお、上述した温水ユニットHDIWが本発明における「別置ユニット」に相当する。
【0019】
上記のように構成された基板処理装置は、図2のブロック図に示すように制御部25によって統括的に制御される。図2は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示したブロック図である。なお、制御部25は、本発明における「コンピュータ」に相当する。
【0020】
制御部25は、CPUやカウンタ・タイマ等を備え、スケジューリング部27と、処理実行指示部31とを備えている。制御部25に接続されている記憶部33は、この基板処理装置のユーザなどによって予め作成され、基板Wをどのようにして処理するかを規定した複数の処理工程を含むレシピと、スケジュール作成プログラムと、作成されたスケジュールを実行する処理プログラムなどが予め格納されている。
【0021】
スケジューリング部27は、カセット1に収納されて投入部3に載置された基板Wを一つのロットとして取り扱い、装置のオペレータによって指示された、記憶部33に予め記憶されているレシピに応じて、実際に処理を開始する前に、単一のロット毎に、各リソースを使用する単バッチのスケジュールを作成する。また、スケジューリング部27は、温水ユニットHDIWとは別のリソースを仮想リソースIRとして定義して、温水ユニットHDIWの使用にあわせてこの仮想リソースIRを使用するように単バッチのスケジュールを作成する。さらに、単バッチのスケジュールのうち、温水ユニットHDIWを使用するものについては、その仮想リソースIRの使用タイミングの最後に、温水ユニットHDIWの使用を終了するタイミングに仮想終了マークIMを付加しておく。但し、仮想終了マークIMは、温水ユニットHDIWが処理の最後で使用される場合にのみ付加されることが好ましい。さらに、全ての単バッチのスケジュールを同一の時間軸上に配置して全体のスケジュールを作成する。全体スケジュールの際には、温水ユニットHDIWを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて温水ユニットHDIWの仮想リソースIRの仮想終了マークIMも後ろにずらすとともに、仮想リソースIRの使用を仮想終了マークIMまで延長する。このようにして作成されたスケジュールは、記憶部33に格納される。
【0022】
なお、ここでいうリソースとは、第1搬送機構CTC、第2搬送機構WTR、乾燥処理部LPD、純水処理部ONB1,ONB2、薬液処理部CHB1,CHB2、副搬送機構LFS1,LFS2など、制御部25の制御の下でロットの処理のために使用される資源をいう。但し、温水ユニットHDIWは、単体のリソースとして利用されることはなく、純水処理部ONB1,ONB2において温水洗浄処理が行われる際に、その処理に付随して利用される。また、仮想リソースIRも単体のリソースとして利用されることはなく、温水ユニットHDIWに合わせて使用される。
【0023】
処理実行指示部31は、スケジューリング部27によって作成されて、記憶部33に格納されているスケジュールに基づいて、適切なタイミングで各処理部などの処理に係る動作を指示する。
【0024】
次に、具体的なスケジュール作成方法について、図3〜9を参照して説明する。なお、図3は、スケジュール作成を示すフローチャートであり、図4は、全体スケジュールの作成を示すフローチャートである。また、図5(a)〜(c)は、各ロットの単バッチのスケジュールを示すタイムチャートであり、図6〜9は、全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【0025】
以下においては、説明の理解を容易にするために、ロット1〜3の三つのロットのみをスケジュールする場合を例に採って説明するが、2つのロットや4つ以上のロットについても同様にしてスケジューリングすることができる。
【0026】
この例におけるロット1のレシピは、例えば、図5(a)に示すようなものである。ここで最初の数字は、ロット番号を示し、「−」の後のアルファベットが処理工程番号を表す。また、各処理工程1−A〜1−Dにおいて、前の空白にあたる部分は、リソースを使用するための準備にあたる前作業であり、後ろの空白にあたる部分は、使用したリソースの片付けにあたる後作業(ロットの払出を含む)である。図5中に示すように温水ユニットHDIWにおけるドットハッチングした部分は、純水処理部ONB1,2のリソースが使用される場合に付随する処理工程である。
【0027】
処理工程1−Aは、第1搬送機構CTCによる搬送処理であり、処理工程1−Bは、第2搬送機構WTRによる搬送処理と、薬液処理部CHB1による薬液処理と、第2搬送機構WTRによる搬送処理と、純水処理部ONB1による洗浄処理と、この洗浄処理において最後に温水ユニットHDIWにより実施される温水洗浄処理である。また、処理工程1−Cは、第2搬送機構WTRによる搬送処理及び乾燥処理部LPDによる乾燥処理であり、処理工程1−Dは、第2搬送機構WTRによる搬送処理及び第1搬送機構CTCによる搬送処理である。
【0028】
また、この例におけるロット2のレシピは、上述したロット1のレシピのうち、処理工程2−Bにおけるリソースが薬液処理部CHB2及び純水処理部ONB2である点が異なるだけである。ロット3のレシピは、上述したロット1のレシピにおいて、温水ユニットHDIWの処理が最後ではなく、中間において行われる点で相違する。
【0029】
ステップS1〜S3
装置のオペレータは、未処理の基板Wが収納されたカセット1を投入台3の載置台5に載置する(ステップS1)。図示しない指示部から上述したレシピを指示する(ステップS2)。すると、制御部25は、記憶部33に記憶されているレシピのデータを読み込む(ステップS3)。本実施例では、3個のカセット1を続けて載置台5に載置するとともに、それぞれにおいて上述したレシピを指示する。
【0030】
ステップS4
スケジューリング部27は、読み込まれたレシピのデータに基づいて、各ロット1〜3について、それぞれ単バッチのスケジュールを作成する。具体的には、ロット1について各処理工程1−A〜1−Dの時間計算を行うとともに、図5(a)に示すように各処理工程1−A〜1−Dに要する時間に基づいてスケジュールを作成する。また、同様に、ロット2について各処理工程2−A〜2−Dの時間計算を行うとともに、図5(b)に示すように各処理工程2−A〜2−Dに要する時間に基づきスケジュールを作成する。さらに、ロット3についても同様に各処理工程3−A〜3−Dの時間計算を行うとともに、図5(c)に示すように各処理工程3−A〜3−Dに要する時間に基づきスケジュールを作成する。
【0031】
ステップS5
スケジューリング部27は、作成した単バッチのスケジュールのうち、温水ユニットHDIWを使用するものについては、その使用に合わせて仮想リソースIRを使用するようにスケジュールする。さらに、温水ユニットHDIWを使用するもののうち、その使用タイミングが処理の最後であるものについては、その仮想リソースIRの使用タイミングの最後に、温水ユニットHDIWの使用が終了することを示す仮想終了マークIMを付加しておく。本実施例の場合には、ロット1(図5(a))とロット2(図5(b))だけが仮想終了マークIMを付加される。
【0032】
ステップS6
スケジューリング部27は、上述したようにして作成した全ての単バッチのスケジュール(図5(a)〜図5(c))を同じ時間軸上に配置して全体のスケジュールを作成する。つまり、同じタイムチャート上に3ロット分の単バッチスケジュールを配置してゆく。その際には、同時刻で同じリソースが重複して使用されないようにタイミングが調整される。単体のリソースではないが、純水処理部ONB1,ONB2に付随する温水ユニットHDIWのリソース及び仮想リソースIRも同様に重複使用が回避される。
【0033】
次に、スケジューリング部27は、例えば、次のようにして全体のスケジュールを作成する。
【0034】
ステップS11,S12
スケジューリング部27は、スケジュール基準時間(処理開始予定時刻)からロット1の単バッチのスケジュールを配置する。具体的には、ロット1の単バッチのスケジュールのうち、各処理工程1−A〜1−Dが配置可能な位置を検索して順次配置する。その結果、例えば、図6のようになったとする。
【0035】
ステップS13
仮想終了マークIMがあって、処理との間に隙間があるか否かで処理を分岐する。隙間がある場合にはステップS14に移行し、隙間がない場合にはステップS15に移行する。ここでは、ロット1を配置しただけであり、仮想終了マークIMと処理との間に隙間がないので、ステップS15に処理を移行し、ロット2,3が残っているので、ステップS11に処理を移行する。
【0036】
ステップS11〜S15
次に、ロット2の処理工程を配置する。
その結果、図7に示すように、処理工程2−Cの配置の関係上、処理工程2−Bにおけるロット2の払出が後ろにずれたとする。スケジュール作成部27は、これに合わせて、仮想リソースIRの仮想終了マークIMも後ろにずらす。したがって、ステップS13において処理と仮想終了マークIMとの間に隙間があると判断されるので、ステップS14において、仮想リソースIRの使用を仮想終了マークIMまで延長する(図8)。そして、ロット3の配置に移る。
【0037】
ステップS11〜S13,S15
次に、ロット3の配置を行う。
その結果、図9に示すように各処理工程3−A〜3−Dが配置されたとする。従来では、温水ユニットHDIWの使用タイミングの関係で、T時点まで前詰めでロット3の処理工程3−Bを配置することができるが、本実施例では仮想リソースIRがロット2の仮想終了マークIMまで占有されているので排他されて配置できない。また、ロット3については単バッチのスケジュールに仮想終了マークIMが存在しないので、ステップS13からステップS15に処理が移行して、全体スケジュールが完了する。
【0038】
上述したようにして、各ロット1〜3の単バッチのスケジュールが配置された後、スケジュール処理を終了して、作成された全体スケジュールを記憶部33に格納する。格納された全体スケジュールは、処理実行指示部31によって参照され、各リソースを実際に使用しながら各ロット1〜3について処理を行う。
【0039】
上述したように、本実施例によると、制御部25は、温水ユニットHDIWの仮想リソースIRを定義しておき、単バッチのスケジュールにて、温水ユニットHDIWを使用する場合には、温水ユニットHDIWを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、温水ユニットHDIWの仮想リソースIRの使用終了時を表す仮想終了マークIMを付加しておく。そして、全体スケジュールを作成する際に、温水ユニットHDIWのリソースを使用する処理工程からの払出が時間的に後ろにずれる場合には、それにあわせて仮想リソースIRの仮想終了マークIMも時間的に後ろにずらす。さらに、仮想リソースIRの使用を仮想終了マークIMまで延長しておく。したがって、温水ユニットHDIWを使用する処理工程におけるロットの払出タイミングが全体スケジュールの時点で時間的に後ろにずれたとしても、温水ユニットHDIWのリソースの使用が延長されたことを仮想リソースIRの状態から判別することができる。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、温水ユニットHDIWの仮想リソースIRによって排他されるので、全体スケジュールを実行する際にリソースの競合によりアラームが発生して処理が停止するのを防止できる。よって、装置稼働率の低下を防止できる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0041】
(1)上述した実施例では、別置ユニットとして、処理液としての温水を供給する温水ユニットHDIWを例にとって説明したが、その他に別置ユニットとしては、例えば、薬液処理部CHB1,CHB2に薬液を含む処理液を供給する薬液ユニット(オゾン水供給ユニット)や、処理用の気体を供給する気体供給ユニットなどが挙げられる。
【0042】
(2)上述した実施例では、上述した実施例では、ロット1からロット3まで順に単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成したが、例えば、各ロット1〜3の各処理工程を順次に配置する方法を採用し、さらに各ロットの前の処理工程のうち最も早く処理が終了するものに続く処理工程を配置する方法を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図である。
【図2】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示したブロック図である。
【図3】スケジュール作成を示すフローチャートである。
【図4】全体スケジュールの作成を示すフローチャートである。
【図5】(a)〜(c)は各ロットの単バッチのスケジュールを示すタイムチャートである。
【図6】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図7】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図8】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図9】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図10】(a)〜(c)は従来例における各ロットの単バッチのスケジュールを示すタイムチャートである。
【図11】従来例における全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 … カセット
3 … 投入部
5 … 載置台
7 … 払出部
CTR … 第1搬送機構
WTR … 第2搬送機構
LPD … 乾燥処理部
19 … 第1処理部
21 … 第2処理部
ONB1,ONB2 … 純水処理部
CHB1,CHB2 … 薬液処理部
LFS1,LFS2 … 副搬送機構
HDIW … 温水ユニット
25 … 制御部
27 … スケジューリング部
31 … 処理実行指示部
33 … 記憶部
IR … 仮想リソース
IM … 仮想終了マーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハや液晶表示装置のガラス基板(以下、単に基板と称する)に所定の処理を行う基板処理装置のスケジュール作成方法及びそのプログラムに係り、特に、基板に対して直接的な処理を行う処理部とは別体のユニット(別置ユニット)を含む基板処理装置のスケジュールを行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の方法として、基板を処理液に浸漬させて処理を行う複数個の処理液処理部と、これらの処理液処理部に共通であって、処理液処理部とは別体で各処理液処理部に対して処理液を供給する供給ユニットとを備えた基板処理装置を用いて、複数のロットを処理するためのスケジュールを作成する基板処理装置のスケジュール作成方法において、ロット単体だけを考慮した単バッチのスケジュールを作成し、その後に、全ロットの単バッチを一つの時間軸上に配置してスケジュールを行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このスケジュール作成方法では、単バッチのスケジュールを作成する際に、処理液処理部のリソースの使用に並行して、供給ユニットのリソースを使用するようにスケジューリングを行っている。したがって、単バッチにて処理液処理部のリソースを配置すると、それに付随して供給ユニットのリソースを配置するので、全体のスケジュールにおいても処理液処理部の配置と供給ユニットの配置とが対で配置される。供給ユニットとしては、例えば、純水を所定温度に加熱して温水として供給する温水ユニットがあり、その場合には、図10のロット1〜3の単バッチのスケジュールに示すように、例えば、純水処理の最後に温水処理を行う場合(図10(a)及び図10(b))と、純水処理の途中で温水処理を行う場合(図10(c))とがある。
【特許文献1】特開2003−59890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の装置は、純水処理の最後に温水処理を行う場合、全体のスケジュールを作成する際に、図11に示すように、ロット2を純水処理部ONB2からを払い出すまでの時間が延びる場合があるが、全体スケジュールの作成時点では、温水処理から払出までの時間が延びたことが考慮されないので、次にロット3の単バッチスケジュールが図11に示すように配置され得る。すると、ロット3における温水処理と、ロット2において延長された温水処理とが温水ユニットのリソースにて競合するので、全体スケジュールを作成した後、実際に処理を開始すると、ロット3における温水処理を行うことができず、アラームが発生して処理が停止するという問題がある。その結果、装置の稼働率が低下する。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、リソースの使用が延長されたことを判別できるようにすることにより、スケジュールに起因して処理が停止するのを防止して、装置の稼働率が低下するのを防止することができる基板処理装置のスケジュール作成方法及びそのプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、基板に対して処理を行う複数個の処理部と、各処理部とは別体で構成され、各処理部における基板への処理に付随した処理を行う別置ユニットとを含む複数個のリソースを備えた基板処理装置により、制御部が各ロットについて各々のレシピに基づき各リソースを使用しながら処理するにあたり、各々のリソースを使用するタイミングを実際の処理の前に予め決定する基板処理装置のスケジュール作成方法において、前記制御部は、別置ユニットの実際のリソースとは異なる仮想リソースを定義するとともに、単一のロットについて、そのレシピに応じて各リソースを使用するとともに、別置ユニットのリソースを使用する処理工程については別置ユニットのリソースを使用するのに合わせて仮想リソースを使用するように単バッチのスケジュールを作成する過程と、単バッチのスケジュールのうち、別置ユニットを使用するものについては、別置ユニットのリソースを使用する処理からのロットの払出に合わせて、仮想リソースの使用を終了するタイミングに仮想終了マークを付加する過程と、単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて仮想リソースの仮想終了マークを後ろにずらすとともに、仮想リソースの使用を前記仮想終了マークまで延長する過程と、を実行することを特徴とするものである。
【0007】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、制御部は、別置ユニットの仮想リソースを定義しておき、単バッチのスケジュールにて、別置ユニットを使用する場合には、別置ユニットを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、別置ユニットの仮想リソースの使用終了時を表す仮想終了マークを付加しておく。そして、全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理工程からの払出が時間的に後ろにずれる場合には、それにあわせて仮想リソースの仮想終了マークも時間的に後ろにずらす。さらに、仮想リソースの使用を仮想終了マークまで延長しておく。したがって、別置ユニットを使用する処理工程におけるロットの払出タイミングが全体スケジュールの時点で時間的に後ろにずれたとしても、別置ユニットのリソースの使用が延長されたことを仮想リソースの状態から判別することができる。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、別置ユニットの仮想リソースによって排他されるので、全体スケジュールを実行する際にリソースの競合によりアラームが発生して処理が停止することを防止できる。よって、装置稼働率の低下を防止することができる。
【0008】
また、本発明において、前記仮想終了マークは、別置ユニットが処理の最後に使用される場合にのみ付加されることが好ましい(請求項2)。別置ユニットが処理の最後に使用される場合に特に効果が大きい。
【0009】
また、本発明において、前記別置ユニットは、純水を所定の温度に加熱して得られる温水を供給するための温水ユニットであることが好ましい(請求項3)。温水ユニットは、複数の処理部で共用されていることが多いので、リソースの競合が発生しやすい。したがって、排他的処理の効果が大きい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る基板処理装置のスケジュール作成方法によれば、制御部は、別置ユニットの仮想リソースを定義しておき、単バッチのスケジュールにて、別置ユニットを使用する場合には、別置ユニットを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、別置ユニットの仮想リソースの使用終了時を表す仮想終了マークを付加しておく。そして、全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理工程からの払出が時間的に後ろにずれる場合には、それにあわせて仮想リソースの仮想終了マークも時間的に後ろにずらす。さらに、仮想リソースの使用を仮想終了マークまで延長しておく。したがって、別置ユニットを使用する処理工程におけるロットの払出タイミングが全体スケジュールの時点で時間的に後ろにずれたとしても、別置ユニットのリソースの使用が延長されたことを仮想リソースの状態から判別することができる。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、別置ユニットの仮想リソースによって排他されるので、全体スケジュールを実行する際にリソースの競合によりアラームが発生して処理が停止するのを防止できる。よって、装置稼働率の低下を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
図1は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図であり、図2は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示したブロック図である。
【0012】
この基板処理装置は、例えば、基板Wに対して薬液処理及び純水処理及び乾燥処理を行うための装置である。基板Wは、複数枚(例えば、25枚)がカセット1内に水平姿勢で積層収納されている。未処理の基板Wを収納したカセット1は、投入部3に載置される。投入部3は、カセット1が載置される載置台5を二つ備えている。基板処理装置の中央部を挟んだ投入部3の反対側には、払出部7が配備されている。この払出部7は、処理済みの基板Wをカセット1に収納してカセット1ごと払い出す。このように機能する払出部7は、投入部3と同様に、カセット1を載置するための二つの載置台9を備えている。
【0013】
投入部3と払出部7に沿う位置には、これらの間を移動可能に構成された第1搬送機構CTCが設けられている。第1搬送機構CTCは、投入部3に載置されたカセット1に収納されている全ての基板Wを取り出した後、第2搬送機構WTRに対して搬送する。また、第1搬送機構CTCは、第2搬送機構WTRから処理済みの基板Wを受け取った後に、基板Wをカセット1に収納する。第2搬送機構WTRは、基板処理装置の長手方向に沿って移動可能に構成されている。
【0014】
上述した第2搬送機構WTRの移動方向における払出部7側には、複数枚の基板Wを低圧のチャンバ内に収納して乾燥させるための乾燥処理部LPDが設けられている。
【0015】
第2搬送機構WTRの移動方向であって乾燥処理部LPDに隣接する位置には、第1処理部19が配設されている。この第1処理部19は、複数枚の基板Wに対して純水処理を施すための純水処理部ONB1を備えているとともに、複数枚の基板Wに対して薬液を含む処理液によって薬液処理を施すための薬液処理部CHB1を備えている。また、第1処理部19は、第2搬送機構WTRとの間で基板Wを受け渡すとともに、純水処理部ONB1と薬液処理部CHB1でのみ昇降可能な副搬送機構LFS1を備えている。
【0016】
第1処理部19に隣接した位置には、第2処理部21が設けられている。第2処理部21は、上述した第1処理部19と同様の構成である。つまり、純水処理部ONB2と薬液処理部CHB2と副搬送機構LFS2とを備えている。
【0017】
また、この基板処理装置は、上述した各処理部19,21とは別体で構成された温水ユニットHDIWを備えている。この温水ユニットHDIWは、上述した純水処理部ONB1,ONB2で共有されており、それらに対して所定温度に加熱した純水(以下、温水と称する)を供給する機能を備えている。
【0018】
なお、上述した温水ユニットHDIWが本発明における「別置ユニット」に相当する。
【0019】
上記のように構成された基板処理装置は、図2のブロック図に示すように制御部25によって統括的に制御される。図2は、実施例に係る基板処理装置の概略構成を示したブロック図である。なお、制御部25は、本発明における「コンピュータ」に相当する。
【0020】
制御部25は、CPUやカウンタ・タイマ等を備え、スケジューリング部27と、処理実行指示部31とを備えている。制御部25に接続されている記憶部33は、この基板処理装置のユーザなどによって予め作成され、基板Wをどのようにして処理するかを規定した複数の処理工程を含むレシピと、スケジュール作成プログラムと、作成されたスケジュールを実行する処理プログラムなどが予め格納されている。
【0021】
スケジューリング部27は、カセット1に収納されて投入部3に載置された基板Wを一つのロットとして取り扱い、装置のオペレータによって指示された、記憶部33に予め記憶されているレシピに応じて、実際に処理を開始する前に、単一のロット毎に、各リソースを使用する単バッチのスケジュールを作成する。また、スケジューリング部27は、温水ユニットHDIWとは別のリソースを仮想リソースIRとして定義して、温水ユニットHDIWの使用にあわせてこの仮想リソースIRを使用するように単バッチのスケジュールを作成する。さらに、単バッチのスケジュールのうち、温水ユニットHDIWを使用するものについては、その仮想リソースIRの使用タイミングの最後に、温水ユニットHDIWの使用を終了するタイミングに仮想終了マークIMを付加しておく。但し、仮想終了マークIMは、温水ユニットHDIWが処理の最後で使用される場合にのみ付加されることが好ましい。さらに、全ての単バッチのスケジュールを同一の時間軸上に配置して全体のスケジュールを作成する。全体スケジュールの際には、温水ユニットHDIWを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて温水ユニットHDIWの仮想リソースIRの仮想終了マークIMも後ろにずらすとともに、仮想リソースIRの使用を仮想終了マークIMまで延長する。このようにして作成されたスケジュールは、記憶部33に格納される。
【0022】
なお、ここでいうリソースとは、第1搬送機構CTC、第2搬送機構WTR、乾燥処理部LPD、純水処理部ONB1,ONB2、薬液処理部CHB1,CHB2、副搬送機構LFS1,LFS2など、制御部25の制御の下でロットの処理のために使用される資源をいう。但し、温水ユニットHDIWは、単体のリソースとして利用されることはなく、純水処理部ONB1,ONB2において温水洗浄処理が行われる際に、その処理に付随して利用される。また、仮想リソースIRも単体のリソースとして利用されることはなく、温水ユニットHDIWに合わせて使用される。
【0023】
処理実行指示部31は、スケジューリング部27によって作成されて、記憶部33に格納されているスケジュールに基づいて、適切なタイミングで各処理部などの処理に係る動作を指示する。
【0024】
次に、具体的なスケジュール作成方法について、図3〜9を参照して説明する。なお、図3は、スケジュール作成を示すフローチャートであり、図4は、全体スケジュールの作成を示すフローチャートである。また、図5(a)〜(c)は、各ロットの単バッチのスケジュールを示すタイムチャートであり、図6〜9は、全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【0025】
以下においては、説明の理解を容易にするために、ロット1〜3の三つのロットのみをスケジュールする場合を例に採って説明するが、2つのロットや4つ以上のロットについても同様にしてスケジューリングすることができる。
【0026】
この例におけるロット1のレシピは、例えば、図5(a)に示すようなものである。ここで最初の数字は、ロット番号を示し、「−」の後のアルファベットが処理工程番号を表す。また、各処理工程1−A〜1−Dにおいて、前の空白にあたる部分は、リソースを使用するための準備にあたる前作業であり、後ろの空白にあたる部分は、使用したリソースの片付けにあたる後作業(ロットの払出を含む)である。図5中に示すように温水ユニットHDIWにおけるドットハッチングした部分は、純水処理部ONB1,2のリソースが使用される場合に付随する処理工程である。
【0027】
処理工程1−Aは、第1搬送機構CTCによる搬送処理であり、処理工程1−Bは、第2搬送機構WTRによる搬送処理と、薬液処理部CHB1による薬液処理と、第2搬送機構WTRによる搬送処理と、純水処理部ONB1による洗浄処理と、この洗浄処理において最後に温水ユニットHDIWにより実施される温水洗浄処理である。また、処理工程1−Cは、第2搬送機構WTRによる搬送処理及び乾燥処理部LPDによる乾燥処理であり、処理工程1−Dは、第2搬送機構WTRによる搬送処理及び第1搬送機構CTCによる搬送処理である。
【0028】
また、この例におけるロット2のレシピは、上述したロット1のレシピのうち、処理工程2−Bにおけるリソースが薬液処理部CHB2及び純水処理部ONB2である点が異なるだけである。ロット3のレシピは、上述したロット1のレシピにおいて、温水ユニットHDIWの処理が最後ではなく、中間において行われる点で相違する。
【0029】
ステップS1〜S3
装置のオペレータは、未処理の基板Wが収納されたカセット1を投入台3の載置台5に載置する(ステップS1)。図示しない指示部から上述したレシピを指示する(ステップS2)。すると、制御部25は、記憶部33に記憶されているレシピのデータを読み込む(ステップS3)。本実施例では、3個のカセット1を続けて載置台5に載置するとともに、それぞれにおいて上述したレシピを指示する。
【0030】
ステップS4
スケジューリング部27は、読み込まれたレシピのデータに基づいて、各ロット1〜3について、それぞれ単バッチのスケジュールを作成する。具体的には、ロット1について各処理工程1−A〜1−Dの時間計算を行うとともに、図5(a)に示すように各処理工程1−A〜1−Dに要する時間に基づいてスケジュールを作成する。また、同様に、ロット2について各処理工程2−A〜2−Dの時間計算を行うとともに、図5(b)に示すように各処理工程2−A〜2−Dに要する時間に基づきスケジュールを作成する。さらに、ロット3についても同様に各処理工程3−A〜3−Dの時間計算を行うとともに、図5(c)に示すように各処理工程3−A〜3−Dに要する時間に基づきスケジュールを作成する。
【0031】
ステップS5
スケジューリング部27は、作成した単バッチのスケジュールのうち、温水ユニットHDIWを使用するものについては、その使用に合わせて仮想リソースIRを使用するようにスケジュールする。さらに、温水ユニットHDIWを使用するもののうち、その使用タイミングが処理の最後であるものについては、その仮想リソースIRの使用タイミングの最後に、温水ユニットHDIWの使用が終了することを示す仮想終了マークIMを付加しておく。本実施例の場合には、ロット1(図5(a))とロット2(図5(b))だけが仮想終了マークIMを付加される。
【0032】
ステップS6
スケジューリング部27は、上述したようにして作成した全ての単バッチのスケジュール(図5(a)〜図5(c))を同じ時間軸上に配置して全体のスケジュールを作成する。つまり、同じタイムチャート上に3ロット分の単バッチスケジュールを配置してゆく。その際には、同時刻で同じリソースが重複して使用されないようにタイミングが調整される。単体のリソースではないが、純水処理部ONB1,ONB2に付随する温水ユニットHDIWのリソース及び仮想リソースIRも同様に重複使用が回避される。
【0033】
次に、スケジューリング部27は、例えば、次のようにして全体のスケジュールを作成する。
【0034】
ステップS11,S12
スケジューリング部27は、スケジュール基準時間(処理開始予定時刻)からロット1の単バッチのスケジュールを配置する。具体的には、ロット1の単バッチのスケジュールのうち、各処理工程1−A〜1−Dが配置可能な位置を検索して順次配置する。その結果、例えば、図6のようになったとする。
【0035】
ステップS13
仮想終了マークIMがあって、処理との間に隙間があるか否かで処理を分岐する。隙間がある場合にはステップS14に移行し、隙間がない場合にはステップS15に移行する。ここでは、ロット1を配置しただけであり、仮想終了マークIMと処理との間に隙間がないので、ステップS15に処理を移行し、ロット2,3が残っているので、ステップS11に処理を移行する。
【0036】
ステップS11〜S15
次に、ロット2の処理工程を配置する。
その結果、図7に示すように、処理工程2−Cの配置の関係上、処理工程2−Bにおけるロット2の払出が後ろにずれたとする。スケジュール作成部27は、これに合わせて、仮想リソースIRの仮想終了マークIMも後ろにずらす。したがって、ステップS13において処理と仮想終了マークIMとの間に隙間があると判断されるので、ステップS14において、仮想リソースIRの使用を仮想終了マークIMまで延長する(図8)。そして、ロット3の配置に移る。
【0037】
ステップS11〜S13,S15
次に、ロット3の配置を行う。
その結果、図9に示すように各処理工程3−A〜3−Dが配置されたとする。従来では、温水ユニットHDIWの使用タイミングの関係で、T時点まで前詰めでロット3の処理工程3−Bを配置することができるが、本実施例では仮想リソースIRがロット2の仮想終了マークIMまで占有されているので排他されて配置できない。また、ロット3については単バッチのスケジュールに仮想終了マークIMが存在しないので、ステップS13からステップS15に処理が移行して、全体スケジュールが完了する。
【0038】
上述したようにして、各ロット1〜3の単バッチのスケジュールが配置された後、スケジュール処理を終了して、作成された全体スケジュールを記憶部33に格納する。格納された全体スケジュールは、処理実行指示部31によって参照され、各リソースを実際に使用しながら各ロット1〜3について処理を行う。
【0039】
上述したように、本実施例によると、制御部25は、温水ユニットHDIWの仮想リソースIRを定義しておき、単バッチのスケジュールにて、温水ユニットHDIWを使用する場合には、温水ユニットHDIWを使用する処理工程からロットが払い出されるタイミングに合わせて、温水ユニットHDIWの仮想リソースIRの使用終了時を表す仮想終了マークIMを付加しておく。そして、全体スケジュールを作成する際に、温水ユニットHDIWのリソースを使用する処理工程からの払出が時間的に後ろにずれる場合には、それにあわせて仮想リソースIRの仮想終了マークIMも時間的に後ろにずらす。さらに、仮想リソースIRの使用を仮想終了マークIMまで延長しておく。したがって、温水ユニットHDIWを使用する処理工程におけるロットの払出タイミングが全体スケジュールの時点で時間的に後ろにずれたとしても、温水ユニットHDIWのリソースの使用が延長されたことを仮想リソースIRの状態から判別することができる。その結果、その後に配置される単バッチのスケジュールは、温水ユニットHDIWの仮想リソースIRによって排他されるので、全体スケジュールを実行する際にリソースの競合によりアラームが発生して処理が停止するのを防止できる。よって、装置稼働率の低下を防止できる。
【0040】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0041】
(1)上述した実施例では、別置ユニットとして、処理液としての温水を供給する温水ユニットHDIWを例にとって説明したが、その他に別置ユニットとしては、例えば、薬液処理部CHB1,CHB2に薬液を含む処理液を供給する薬液ユニット(オゾン水供給ユニット)や、処理用の気体を供給する気体供給ユニットなどが挙げられる。
【0042】
(2)上述した実施例では、上述した実施例では、ロット1からロット3まで順に単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成したが、例えば、各ロット1〜3の各処理工程を順次に配置する方法を採用し、さらに各ロットの前の処理工程のうち最も早く処理が終了するものに続く処理工程を配置する方法を採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示した平面図である。
【図2】実施例に係る基板処理装置の概略構成を示したブロック図である。
【図3】スケジュール作成を示すフローチャートである。
【図4】全体スケジュールの作成を示すフローチャートである。
【図5】(a)〜(c)は各ロットの単バッチのスケジュールを示すタイムチャートである。
【図6】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図7】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図8】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図9】全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【図10】(a)〜(c)は従来例における各ロットの単バッチのスケジュールを示すタイムチャートである。
【図11】従来例における全体のスケジュール作成過程を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0044】
1 … カセット
3 … 投入部
5 … 載置台
7 … 払出部
CTR … 第1搬送機構
WTR … 第2搬送機構
LPD … 乾燥処理部
19 … 第1処理部
21 … 第2処理部
ONB1,ONB2 … 純水処理部
CHB1,CHB2 … 薬液処理部
LFS1,LFS2 … 副搬送機構
HDIW … 温水ユニット
25 … 制御部
27 … スケジューリング部
31 … 処理実行指示部
33 … 記憶部
IR … 仮想リソース
IM … 仮想終了マーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して処理を行う複数個の処理部と、各処理部とは別体で構成され、各処理部における基板への処理に付随した処理を行う別置ユニットとを含む複数個のリソースを備えた基板処理装置により、制御部が各ロットについて各々のレシピに基づき各リソースを使用しながら処理するにあたり、各々のリソースを使用するタイミングを実際の処理の前に予め決定する基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記制御部は、
別置ユニットの実際のリソースとは異なる仮想リソースを定義するとともに、単一のロットについて、そのレシピに応じて各リソースを使用するとともに、別置ユニットのリソースを使用する処理工程については別置ユニットのリソースを使用するのに合わせて仮想リソースを使用するように単バッチのスケジュールを作成する過程と、
単バッチのスケジュールのうち、別置ユニットを使用するものについては、別置ユニットのリソースを使用する処理からのロットの払出に合わせて、仮想リソースの使用を終了するタイミングに仮想終了マークを付加する過程と、
単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて仮想リソースの仮想終了マークを後ろにずらすとともに、仮想リソースの使用を前記仮想終了マークまで延長する過程と、
を実行することを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記仮想終了マークは、別置ユニットが処理の最後に使用される場合にのみ付加されることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記別置ユニットは、純水を所定の温度に加熱して得られる温水を供給するための温水ユニットであることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記別置ユニットを使用する処理工程は、処理工程において処理液による処理を行った後、ロットを払い出すまで別置ユニットによる温水処理を継続するものであることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項5】
基板に対して処理を行う複数個の処理部と、各処理部とは別体で構成され、各処理部における基板への処理に付随した処理を行う別置ユニットとを含む複数個のリソースを備えた基板処理装置により、制御部が各ロットについて各々のレシピに基づき各リソースを使用しながら処理するにあたり、各々のリソースを使用するタイミングを実際の処理の前に予め決定する基板処理装置のスケジュール作成プログラムにおいて、
別置ユニットの実際のリソースとは異なる仮想リソースを定義するとともに、単一のロットについて、そのレシピに応じて各リソースを使用するとともに、別置ユニットのリソースを使用する処理工程については別置ユニットのリソースを使用するのに合わせて仮想リソースを使用するように単バッチのスケジュールを作成する機能と、
単バッチのスケジュールのうち、別置ユニットを使用するものについては、別置ユニットのリソースを使用する処理からのロットの払出に合わせて、仮想リソースの使用を終了するタイミングに仮想終了マークを付加する機能と、
単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて仮想リソースの仮想終了マークを後ろにずらすとともに、仮想リソースの使用を前記仮想終了マークまで延長する機能と、
をコンピュータである前記制御部に実行させることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成プログラム。
【請求項1】
基板に対して処理を行う複数個の処理部と、各処理部とは別体で構成され、各処理部における基板への処理に付随した処理を行う別置ユニットとを含む複数個のリソースを備えた基板処理装置により、制御部が各ロットについて各々のレシピに基づき各リソースを使用しながら処理するにあたり、各々のリソースを使用するタイミングを実際の処理の前に予め決定する基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記制御部は、
別置ユニットの実際のリソースとは異なる仮想リソースを定義するとともに、単一のロットについて、そのレシピに応じて各リソースを使用するとともに、別置ユニットのリソースを使用する処理工程については別置ユニットのリソースを使用するのに合わせて仮想リソースを使用するように単バッチのスケジュールを作成する過程と、
単バッチのスケジュールのうち、別置ユニットを使用するものについては、別置ユニットのリソースを使用する処理からのロットの払出に合わせて、仮想リソースの使用を終了するタイミングに仮想終了マークを付加する過程と、
単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて仮想リソースの仮想終了マークを後ろにずらすとともに、仮想リソースの使用を前記仮想終了マークまで延長する過程と、
を実行することを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記仮想終了マークは、別置ユニットが処理の最後に使用される場合にのみ付加されることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記別置ユニットは、純水を所定の温度に加熱して得られる温水を供給するための温水ユニットであることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項4】
請求項3に記載の基板処理装置のスケジュール作成方法において、
前記別置ユニットを使用する処理工程は、処理工程において処理液による処理を行った後、ロットを払い出すまで別置ユニットによる温水処理を継続するものであることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成方法。
【請求項5】
基板に対して処理を行う複数個の処理部と、各処理部とは別体で構成され、各処理部における基板への処理に付随した処理を行う別置ユニットとを含む複数個のリソースを備えた基板処理装置により、制御部が各ロットについて各々のレシピに基づき各リソースを使用しながら処理するにあたり、各々のリソースを使用するタイミングを実際の処理の前に予め決定する基板処理装置のスケジュール作成プログラムにおいて、
別置ユニットの実際のリソースとは異なる仮想リソースを定義するとともに、単一のロットについて、そのレシピに応じて各リソースを使用するとともに、別置ユニットのリソースを使用する処理工程については別置ユニットのリソースを使用するのに合わせて仮想リソースを使用するように単バッチのスケジュールを作成する機能と、
単バッチのスケジュールのうち、別置ユニットを使用するものについては、別置ユニットのリソースを使用する処理からのロットの払出に合わせて、仮想リソースの使用を終了するタイミングに仮想終了マークを付加する機能と、
単バッチのスケジュールを配置して全体スケジュールを作成する際に、別置ユニットのリソースを使用する処理の払出が時間的に後ろにずれる場合には、それに合わせて仮想リソースの仮想終了マークを後ろにずらすとともに、仮想リソースの使用を前記仮想終了マークまで延長する機能と、
をコンピュータである前記制御部に実行させることを特徴とする基板処理装置のスケジュール作成プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−27772(P2010−27772A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185901(P2008−185901)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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