基板処理装置及び基板処理方法
【課題】処理むらを防止でき,かつ,パーティクルの発生を防止できる基板処理装置及び基板処理方法を提供する。
【解決手段】処理槽2に入れた処理液中に基板Wを浸漬させて処理する基板処理装置1において,基板Wの周縁部を保持溝15に挿入させることにより基板Wを処理液中に保持する保持部材11A,11B,11Cを備え,前記保持部材11A,11B,11Cによって保持された基板Wの周縁部に対して,基板Wのほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給する回転用流体供給口51と,前記保持部材11A,11B,11Cによって保持された基板Wの周縁部に対して,基板Wのほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給する離隔用流体供給口16と,を備えた。
【解決手段】処理槽2に入れた処理液中に基板Wを浸漬させて処理する基板処理装置1において,基板Wの周縁部を保持溝15に挿入させることにより基板Wを処理液中に保持する保持部材11A,11B,11Cを備え,前記保持部材11A,11B,11Cによって保持された基板Wの周縁部に対して,基板Wのほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給する回転用流体供給口51と,前記保持部材11A,11B,11Cによって保持された基板Wの周縁部に対して,基板Wのほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給する離隔用流体供給口16と,を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば半導体基板等の被処理体を処理槽内の処理液に浸漬させて洗浄等の処理を行う基板処理装置,及び,基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては,半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)を処理槽内に貯溜した処理液に浸漬させ,ウェハに洗浄などの処理を施す工程が行われている。処理槽内には,複数の保持溝が並べて設けられた保持部材が備えられ,ウェハの周縁部を各保持溝に挿入させることにより,ウェハを等間隔で並べて保持するようになっている。
【0003】
従来,ウェハの周縁部にローラを接触させ,ローラの回転によってウェハを周方向に回転させる装置が知られている(例えば,特許文献1,2参照)。また,ウェハの周縁に沿って液流を噴出させることにより,ウェハを周方向に回転させる装置が知られている(例えば,特許文献3参照)。このようにウェハを回転させ,保持溝に対して周縁部を移動させると,処理液が周縁部にも効率よく接触するので,ウェハの処理むらを防止することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3529030号
【特許文献2】実用新案登録第2587304号
【特許文献3】特開平11−307490号公報
【0005】
しかしながら,ローラによってウェハを回転させる場合,ローラとウェハの周縁部とが擦れて摩耗し,パーティクルが発生する問題があった。また,保持溝上でウェハを回転させると,保持溝とウェハの周縁部の間でも摩耗が生じ,パーティクルが発生する問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は,処理むらを防止でき,かつ,パーティクルの発生を防止できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため,本発明によれば,処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理装置であって,基板の周縁部を保持溝に挿入させることにより基板を処理液中に保持する保持部材を備え,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給する回転用流体供給口と,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給する離隔用流体供給口と,を備えたことを特徴とする,基板処理装置が提供される。
【0008】
この基板処理装置にあっては,前記離隔用流体供給口を前記保持溝に設けても良い。また,前記離隔用流体供給口を前記保持溝の最奥部に設け,前記保持溝の内側に,基板の表裏面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を供給する第2の離隔用流体供給口を設けても良い。
【0009】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給するようにしても良い。また,処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体として供給する離隔用流体供給路と,処理槽内の処理液を回収して前記基板回転用流体として供給する回転用流体供給路とを備え,前記離隔用流体供給路と回転用流体供給路とに,それぞれポンプを備えても良い。さらに,前記保持溝を前記保持部材に複数設け,前記複数の保持溝の各々に前記基板を挿入して,前記基板を複数枚並べて保持し,隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給する処理液供給口を設けても良い。
【0010】
また,本発明によれば,処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理方法であって,基板の周縁部を保持溝に挿入させて基板を処理液中に保持し,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給することにより,基板の周縁部を前記保持溝から離隔させながら,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給して基板を回転させることを特徴とする,基板処理方法が提供される。
【0011】
この基板処理方法にあっては,処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給しても良い。また,前記基板離隔用流体の流量と前記基板回転用流体の流量を,それぞれ制御するようにしても良い。前記基板を複数枚並べて処理液中に保持し,隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給するようにしても良い。
【0012】
また,前記基板回転用流体の供給より先に,前記基板離隔用流体の供給を開始するようにしても良い。さらに,基板離隔用流体と基板回転用流体を供給しながら,処理液中に処理液を供給して基板を処理し,処理液の供給を停止し,その後,基板回転用流体の供給を停止した後に,前記基板離隔用流体の供給を停止し,基板を処理槽から搬出するようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,基板離隔用流体の供給によって基板を保持溝から離した状態とし,基板回転用流体の供給によって基板を回転させる構成としたことにより,基板の周縁部が摩耗せず,パーティクルが発生することを防止できる。基板を保持溝から離すことにより,基板を円滑に回転させることができる。基板を回転させることにより,基板全体を均一に処理することができる。特に,保持溝に対して基板の周縁部が移動することにより,処理液が基板の周縁部に効率よく接触するので,周縁部の処理むらを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,基板としてのウェハWを洗浄する基板処理装置に基づいて説明する。図1及び図2に示すように,本実施の形態にかかる基板処理装置1は,処理液を貯溜する処理槽2を備えている。処理槽2は,内槽3と,内槽3の上部の開口を囲むように形成された外槽4によって構成されている。
【0015】
内槽3の内部にはウェハガイド10が設置されている。ウェハガイド10には,複数枚の略円板形のウェハWを並べて保持するための3本の保持部材11A,11B,11Cが設置されている。保持部材11A,11B,11Cは,それぞれ内槽3の左側面,右側面,底部に沿って,前後方向(図1において手前側から後側に向かう方向)に向けて延設されている。
【0016】
図3に示すように,各保持部材11A,11B,11Cには,ウェハWの周縁部が挿入される断面略Y字状の保持溝15が前後方向に複数並べて設けられている。各ウェハWは,各保持部材11A,11B,11Cの保持溝15に右端部,左端部,下端部をそれぞれ挿入させた状態で保持され,これにより複数枚のウェハWが所定間隔を空けて配列されるようになっている。各保持溝15の内側には,基板離隔用流体として処理液を供給する離隔用流体供給口16が設けられている。図3及び図4に示すように,各離隔用流体供給口16は,保持溝15の最奥部である底面に開口されており,保持部材11A,11B,11Cによって保持されたウェハWの周縁部に対して,ウェハWのほぼ中心に向かって離隔用処理液を噴射するように設けられている。ウェハWの周縁部は離隔用処理液によって押し上げられ,保持溝15の内面から離れて処理液中に浮いた状態で,保持溝15内に保持される。保持部材11A,11B,11Cの内部には,各離隔用流体供給口16に処理液を供給するための供給管路17が設けられている。
【0017】
図1に示すように,供給管路17には,離隔用流体供給管21が接続されている。離隔用流体供給管21の上流端は,内槽3の側壁に開口された導出管22を介して,内槽3に接続されている。本実施の形態において,離隔用流体供給路23は,導出管22と離隔用流体供給管21とによって構成されている。離隔用流体供給管21には,ポンプ25及びフィルタ26が上流側からこの順に介設されている。離隔用流体供給管21はフィルタ26の下流側で分岐して,各保持部材11A,11B,11Cの供給管路17に接続されている。従って,ポンプ25を駆動させると,内槽3内の処理液が導出管22に流入して離隔用流体供給管21に供給され,フィルタ26を通過して浄化された後,各保持部材11A,11B,11Cの供給管路17に送液され,各離隔用流体供給口16から保持溝15内のウェハWの周縁部に向かって供給される。こうして,内槽3内の処理液を回収して離隔用処理液として供給するようになっている。なお,ポンプ25としては,例えばマグネットポンプ,軸流ポンプ又は渦巻きポンプ等を使用しても良く,無脈動のものを使用すると良い。
【0018】
また,図1に示すように,内槽3の内部には,処理液供給ノズル30A,30Bが設けられている。各処理液供給ノズル30A,30Bには,処理液を吐出させる複数の処理液供給口31が,ウェハWの配列方向(前後方向)に沿って並べて開口されている。なお,処理液供給ノズル30A,30Bは,ウェハガイド10によって保持されたウェハWの下方に配置され,上方に向かって処理液を噴出させることが好ましい。そうすれば,処理液供給口31から供給される処理液によって,ウェハWに接触した処理液を押し上げて内槽3から外槽4にオーバーフローさせることができ,処理液が効率良く置換される。図示の例では,ウェハWの左下方と右下方に,それぞれ処理液供給ノズル30A,30Bを配置している。また,各処理液供給口31は,隣り合うウェハW同士の間の隙間に向かって開口させ,各隙間に向かって処理液を噴射するように配置すると良い。このようにすると,ウェハWの間に処理液が効率良く流れ,ウェハWの表裏面に処理液が効率的に供給されるので,処理効率を向上させることができる。さらに,各処理液供給口31からウェハWのほぼ中心側に向かって処理液が供給されるようにしても良い。これにより,ウェハWの中心側まで処理液の液流をより効率良く接触させることができる。
【0019】
各処理液供給ノズル30A,30Bには,外槽4から処理液供給ノズル30A,30Bに処理液を循環させるための循環路35が接続されている。循環路35の入口は,外槽4の底面に接続されている。循環路35には,ポンプ37,フィルタ38,ヒータ39が外槽4側からこの順に介設されている。循環路35はヒータ39の下流側で分岐して,各処理液供給ノズル30A,30Bに接続されている。従って,ポンプ37を駆動させると,内槽3から外槽4にオーバーフローした処理液が循環路35によって送液され,フィルタ38を通過して浄化され,ヒータ39によって温度調整された後,処理液供給ノズル30A,30Bによって再び内槽3内に供給されるようになっている。このように,処理液の再利用を図り,その消費量を節約している。なお,ポンプ37としては,例えばベローズポンプ又は軸流ポンプ等を使用しても良く,無脈動のものを使用すると良い。
【0020】
さらに,内槽3の内部には,ウェハWを回転させるように液流を発生させる回転用流体ノズル50A,50Bが設けられている。図5に示すように,各回転用流体ノズル50A,50Bには,基板回転用流体として処理液を供給する複数の回転用流体供給口51が,ウェハWの配列方向(図5においては左右方向)に並べて開口されている。図1に示すように,各回転用流体供給口51は,保持部材11A,11B,11Cによって保持されたウェハWの周縁部に対して,ウェハWのほぼ周方向に向かって回転用処理液を噴射するように設けられている。また,回転用流体ノズル50A,50Bの各回転用流体供給口51,互いに同じ回転方向に沿う向き(図示の例では,ウェハWを左回転させる方向)に回転用処理液を噴射するように向けられている。図示の例では,ウェハWの左下に配置された回転用流体ノズル50Aの回転用流体供給口51は,右下に向かって回転用処理液を噴射し,ウェハWの右下に配置された回転用流体ノズル50Bの回転用流体供給口51は,右上に向かって回転用処理液を噴射するようになっている。従って,ウェハWの周縁部は,回転用流体供給口51から供給される回転用処理液によって左回転方向に押し動かされ,これによりウェハWが左回転するようになっている。なお,各回転用流体供給口51は,各ウェハWの周縁に対応した位置に配置すると良い。このようにすると,回転用処理液がウェハWの周縁部に効率的に供給され,ウェハWを効率良く回転させることができる。
【0021】
回転用流体ノズル50A,50Bには,回転用流体供給管55が接続されている。回転用流体供給管55は,前述した導出管22を介して内槽3に接続されている。図示の例では,導出管22の下流端から前述した離隔用流体供給管21と回転用流体供給管55とが分岐するように設けられている。本実施の形態において,回転用流体供給路56は,導出管22と回転用流体供給管55とによって構成されている。回転用流体供給管55には,ポンプ57及びフィルタ58が上流側からこの順に介設されている。回転用流体供給管55はフィルタ58の下流側で分岐して,各回転用流体ノズル50A,50Bに接続されている。従って,ポンプ57を駆動させると,内槽3内の処理液が導出管22に流入して回転用流体供給管55に供給され,フィルタ58を通過して浄化された後,各回転用流体ノズル50A,50Bに送液され,各回転用流体供給口51からウェハWの周縁部に向かって供給される。即ち,内槽3内の処理液を回収して回転用処理液として供給するようになっている。なお,ポンプ57としては,例えばマグネットポンプ,軸流ポンプ又は渦巻きポンプ等を使用しても良く,無脈動のものを使用すると良い。
【0022】
次に,以上のように構成された基板処理装置1を用いた処理方法について説明する。先ず,図示しない搬送装置によって,ウェハWを複数枚並べて保持した状態で,内槽3の開口上方に搬送する。そして,処理液が貯留された内槽3内に搬送装置を下降させ,複数枚のウェハWを処理液に浸漬させ,ウェハガイド10に受け渡す。ウェハガイド10にウェハWを受け渡したら,搬送装置を上昇させて内槽3から退出させる。各ウェハWは,保持部材11A,11B,11Cの各保持溝15に周縁部が挿入された状態で,所定間隔を空けて保持される。なお,保持部材11A,11B,11Cの各保持溝15にウェハWの周縁部が挿入される前に,離隔用流体供給口16から離隔用処理液の供給を開始しても良い。そうすれば,保持溝15にウェハWの周縁部を挿入させる際,ウェハWの周縁部が離隔用処理液によって保持溝15から離隔する向きに押されるので,ウェハWの周縁部を保持溝15の内面に接触させることなく,保持溝15内に挿入させることができる。また,ウェハWの周縁部を保持溝15に挿入してから,離隔用流体供給口16からの処理液の供給を開始しても良い。
【0023】
こうしてウェハガイド10にウェハWを保持させた状態で,処理液供給ノズル30A,30Bから処理液を隣り合うウェハW同士の間に向かって供給して,ウェハWの間から上方に向かう液流を形成し,内槽3から処理液をオーバーフローさせながらウェハWを液処理する。さらに,回転用流体ノズル50A,50BからウェハWの周縁部に対して,ウェハWの周方向に沿って回転用処理液を供給する。各ウェハWは,回転用処理液の液流に沿って,ウェハWの中央部を中心として左回転させられる。こうしてウェハWを回転させて処理することにより,ウェハW全体を均一に処理することができる。また,ウェハWの周縁部は,保持部材11A,11B,11Cの各保持溝15に対して左回転方向に移動する。従って,ウェハWの左端,右端,下端が保持溝15内に挿入されたままにならず,処理液がウェハWの周縁部全体に効率良く接触するので,ウェハWの周縁部に処理むらが発生することを防止できる。
【0024】
各保持溝15内では,離隔用流体供給口16から離隔用処理液を噴出させることにより,ウェハWの周縁部が保持溝15の内面から離隔した状態で保持される。図3に示すように,離隔用流体供給口16から供給された処理液は,ウェハWの周縁に対して略垂直に,ウェハWのほぼ中心に向かって噴出される。これにより,ウェハWの周縁が保持溝15の外側に向かって押され,保持溝15の最奥部から離隔する。また,離隔用処理液はウェハWの周縁と最奥部との間からウェハWの表裏面側に分かれるように流れ,ウェハWの表裏面と保持溝15の両側面との間をそれぞれ通過して,保持溝15の外側に放出される。従って,ウェハWの表面周縁部と裏面周縁部も,離隔用処理液の液流によって保持溝15の両側面から押し離された状態になる。このように,ウェハWは保持溝15内に挿入されながらも,保持溝15の内面に接触せず,処理液中に浮遊した状態で保持される。従って,ウェハWを回転させても,ウェハWの周縁部と保持溝15とが摺擦しないので,ウェハWの周縁部や保持溝15が摩耗したり,摩耗によりパーティクルが発生したりすることを防止できる。また,ウェハWを円滑に回転させることができる。なお,離隔用処理液の供給は,回転用流体の供給より先に開始することが好ましい。そうすれば,ウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させた状態でウェハWの回転を開始させることができるので,ウェハWと保持溝15が摺擦せず,回転を円滑に開始させることができる。
【0025】
内槽3中の処理液の一部は,離隔用流体供給路23及び回転用流体供給路56によって回収され,離隔用処理液又は回転用処理液として再利用される。また,外槽4にオーバーフローした処理液は,循環路35によって循環され,処理液供給ノズル30A,30Bから再び内槽3内に供給される。こうして処理液の再利用を図ることにより,処理液の消費量を節約することができる。
【0026】
離隔用処理液の供給流量又は供給圧力は,離隔用流体供給管21に備えたポンプ25によって調整し,ウェハWの周縁部が保持溝15から飛び出したりしないように制御する。また,回転用処理液の供給流量又は供給圧力は,回転用流体供給管55に備えたポンプ57によって調整し,これによりウェハWの回転速度を制御するようになっている。このように,離隔用流体供給管21と回転用流体供給管55にそれぞれポンプ25,57を備え,離隔用処理液と回転用処理液を異なるポンプ25,57によって送液する構成としたことにより,離隔用処理液の供給流量又は供給圧力,回転用処理液の供給流量又は供給圧力をそれぞれ最適な値に個別に制御することができる。従って,ウェハWの保持溝15からの離隔位置と回転を,それぞれ好適に制御することができる。
【0027】
ウェハWの処理が終了したら,処理液供給ノズル30A,30Bからの処理液の供給を停止させた後,回転用処理液の供給を停止させてウェハWの回転を停止させ,図示しない搬送装置を内槽3の開口上方から下降させ,ウェハガイド10に保持された複数枚のウェハWを搬送装置によって把持し,内槽3から上昇させる。こうして,ウェハガイド10からウェハWを受け取って内槽3から搬出させる。なお,離隔用処理液の供給は,回転用処理液の供給を停止した後に停止させることが好ましい。このようにすると,ウェハWの回転が停止するまでは,ウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させることができるので,ウェハWや保持溝15が回転により擦れることを防止できる。そして,回転用処理液と離隔用処理液の供給を停止させ,ウェハWの周縁部を保持溝15に接触させた後に,ウェハWを搬送装置によって把持し,搬出するようにしても良い。また,ウェハWを搬出する際,離隔用処理液の供給は継続し,各保持溝15からウェハWの周縁部が抜き取られた後に,離隔用処理液の供給を停止するようにしても良い。このようにすると,ウェハWの周縁部を保持溝15の内面に接触させることなく,保持溝15から抜き取ることができる。
【0028】
かかる基板処理装置1によれば,離隔用処理液の供給によってウェハWを保持溝15から離して浮かせた状態とし,回転用処理液の供給によってウェハWを回転させる構成としたことにより,ウェハWの周縁部や保持溝15が摩耗せず,パーティクルが発生することを防止できる。また,ウェハWを保持溝15から離すことにより,ウェハWを円滑に回転させることができる。ウェハWを回転させることにより,ウェハW全体を均一に処理することができる。保持溝15に対してウェハWの周縁部を移動させ,ウェハWの周縁部に処理液を効率よく接触させることができる。従って,ウェハWの処理むらを防止することができる。
【0029】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,基板は半導体ウェハに限らず,その他のLCD基板用ガラスやCD基板,プリント基板,セラミック基板などであっても良い。
【0030】
本実施の形態では,基板離隔用流体,基板回転用流体として用いる処理液は,それぞれ内槽3内から回収することとしたが,かかる離隔用処理液,回転用処理液は,処理液供給源から直接供給するようにしても良い。即ち,離隔用流体供給口61A,61Bや回転用流体ノズル50A,50Bを介して,処理液供給源から処理槽2内に処理液が供給されるようにしても良い。
【0031】
本実施の形態では,基板離隔用流体,基板回転用流体として,それぞれ内槽3内から回収した処理液を用いることとしたが,基板離隔用流体や基板回転用流体はかかるものに限定されない。例えば,基板離隔用流体又は基板回転用流体として気泡を噴出させるようにしても良い。この場合も,気泡流によってウェハWを保持溝15から離隔又は回転させることができる。また,例えばPOU式処理槽のように,処理槽内の処理液を他の処理液に置換したり,処理槽内の液に他の処理液を混合させたりする工程がある場合(例えば,純水に薬液を注入して混合液を生成する場合など)は,かかる他の処理液を基板離隔用流体や基板回転用流体として供給しても良い。例えば,POU式処理槽において,薬液に浸漬させてウェハWを処理する間は,基板離隔用流体,基板回転用流体としてそれぞれ薬液を使用する。そして,処理槽内の薬液を純水に置換する間は,基板離隔用流体,基板回転用流体をそれぞれ薬液から純水に切り換えて供給する。そして,純水に浸漬させてウェハWを処理する間も,基板離隔用流体,基板回転用流体としてそれぞれ純水を使用する。このように,処理槽内の処理液の種類に応じて,基板離隔用流体と基板回転用流体の種類も切り換えて供給すると良い。
【0032】
離隔用流体供給口16は,各保持溝15に2個以上設けても良い。例えば図6に示すように,保持溝15の最奥部に,2個の離隔用流体供給口61A,61Bを開口させても良い。図6において,離隔用流体供給口61A,61Bは,保持溝15の最奥部において左右に並べて設けられ,ウェハW周縁の左右に基板離隔用流体を噴射することにより,ウェハWを保持溝15の最奥部から離隔させるようになっている。離隔用流体供給口61Aから供給された基板離隔用流体は,ウェハWの周縁右側に向かって供給され,ウェハWの表面と保持溝15の左側面との間に流れる。離隔用流体供給口61Bから供給された基板離隔用流体は,ウェハWの周縁左側に向かって供給され,ウェハWの裏面と保持溝15の右側面との間に流れる。この場合も,ウェハWを保持溝15から好適に浮かせることができる。
【0033】
また,例えば図7に示すように,保持部材と別に設けた離隔用流体ノズルに離隔用流体供給口を設けても良い。図7に示す例では,保持部材11A,11B,11Cに隣接して離隔用流体ノズル63A,63B,63Cがそれぞれ配置されており,各離隔用流体ノズル63A,63B,63Cに,複数の離隔用流体供給口64がそれぞれ設けられている。各離隔用流体供給口64は,ウェハWの周縁に対応する位置に設けられ,ウェハWの周縁に対して略垂直方向に,基板離隔用流体を噴出するようになっている。このようにしても,保持部材11A,11B,11Cの保持溝15からウェハWを離隔させて保持することができる。
【0034】
また,例えば図8に示すように,保持溝15の内側に,第2の基板離隔用流体を供給する第2の離隔用流体供給口を設けても良い。図8においては,保持溝15の左側面及び右側面に,それぞれ第2の離隔用流体供給口65A,65Bが開口されている。第2の離隔用流体供給口65Aは,ウェハWの表面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を噴出し,第2の離隔用流体供給口65Bは,ウェハWの裏面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を噴出するようになっている。この場合も,ウェハWの表裏面を第2の基板離隔用流体によって押すことで,保持溝15の左右両側面から効果的に離隔させることができる。なお,第2の基板離隔用流体としては,様々な流体を用いることが可能である。例えば図8に示すように,第2の離隔用流体供給口65A,65Bを供給管路17に接続して,処理液を第2の基板離隔用流体として供給するようにしても良い。
【0035】
回転用流体供給口は回転用流体ノズル50A,50Bに設けることとしたが,例えば図9に示すように,回転用流体供給口を保持部材11A,11B,11Cに設けても良い。図9に示す例では,保持部材11A,11B,11Cの保持溝15の最奥部に離隔用流体供給口67が設けられ,保持部材11A,11B,11Cの側面に,回転用流体供給口68が設けられている。回転用流体供給口68は,離隔用流体供給口67に対して傾斜した方向に向かい,ウェハWの周方向に沿った方向に向かって基板回転用流体を噴出するようになっている。このようにしても,基板離隔用流体によってウェハWを保持溝15から離隔させながら,基板回転用流体をウェハWの周縁部に沿って噴射して,ウェハWを回転させることができる。なお,回転用流体供給口68は保持溝15内に開口させても良い。また,保持溝15に離隔用流体供給口67を設けず,保持部材11A,11B,11Cに回転用流体供給口68のみを設け,離隔用流体供給口67は,保持部材と別に設けた離隔用流体ノズルなどに設けることとしても良い。この場合も,ウェハWを保持溝15から離隔させながら基板回転用流体によって回転させることができる。
【0036】
本実施の形態では,離隔用流体供給路23と回転用流体供給路56にそれぞれポンプ25,57を備えることとしたが,図10に示すように,同一のポンプによって基板離隔用流体と基板回転用流体を送液するようにしても良い。図10に示す例では,内槽3に接続された導出管70にポンプ71,フィルタ72が介設されており,フィルタ72の下流側において,離隔用流体供給管75と回転用流体供給管76とが分岐して設けられている。そして,導出管70と離隔用流体供給管75とによって離隔用流体供給路81が構成され,導出管70と回転用流体供給管76とによって回転用流体供給路82が構成されている。従って,ポンプ71の駆動により,内槽3内の処理液が導出管70に流入してフィルタ72を通過して浄化された後,離隔用流体供給管75と回転用流体供給管76とにそれぞれ送液される。なお,この場合,ポンプ71としては,例えば渦巻きポンプ等を使用すると良く,無脈動のものを使用すると良い。また,離隔用流体供給管75と回転用流体供給管76に,それぞれ流量調節弁85,86を介設しても良い。このようにすれば,流量調節弁85,86によって,基板離隔用流体の供給流量と基板回転用流体の供給流量をそれぞれ個別に制御することができる。
【0037】
本実施の形態では,ウェハガイド10は内槽3内に固定され,搬送装置が内槽3内に昇降する構成とし,内槽3内において搬送装置とウェハガイド10との間でウェハWの受け渡しする場合を説明したが,図11に示すように,ウェハガイド10を内槽3に対して昇降可能にして,内槽3の外部において,ウェハガイド10にウェハWを保持させるようにしても良い。この場合も,基板回転用流体の供給を開始するより先に,離隔用流体供給口16から基板離隔用流体の供給を開始して,ウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させた状態にしてから,回転用流体ノズル50A,50Bから基板回転用流体を供給して,ウェハWを回転させることとしても良い。また,ウェハWを内槽3から搬出するときは,基板回転用流体の供給を停止してウェハWの回転を停止させた後に,離隔用流体供給口16からの基板離隔用流体の供給を停止することとしても良い。このようにすると,ウェハWの回転中は,常にウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させることができる。従って,ウェハWが擦れることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は,処理槽を用いて基板の洗浄処理やエッチング処理などの処理を行う基板処理装置,及び,基板処理方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態にかかる基板処理装置の構成を説明する概略断面図である。
【図2】図1におけるA−A線による基板処理装置の概略断面図である。
【図3】保持部材の拡大断面図である。
【図4】図3におけるB−B線による保持部材の断面図である。
【図5】回転用流体ノズルの斜視図である。
【図6】別の実施の形態にかかる離隔用流体供給口の配置を示す,保持部材の断面図である。
【図7】離隔用流体ノズルに離隔用流体供給口を設けた実施形態にかかる保持部材の断面図である。
【図8】第2の離隔用流体供給口を設けた実施形態にかかる保持部材の断面図である。
【図9】保持部材に回転用流体供給口を設けた実施形態にかかる保持部材の断面図である。
【図10】別の実施の形態にかかる離隔用流体供給路と回転用流体供給路を示す説明図である。
【図11】ウェハガイドを内槽に対して昇降させる実施形態にかかる基板処理装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0040】
W ウェハ
1 基板処理装置
2 処理槽
3 内槽
11A,11B,11C 保持部材
16 離隔用流体供給口
30A,30B 処理液供給ノズル
50A,50B 回転用流体ノズル
51 回転用流体供給口
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば半導体基板等の被処理体を処理槽内の処理液に浸漬させて洗浄等の処理を行う基板処理装置,及び,基板処理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいては,半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)を処理槽内に貯溜した処理液に浸漬させ,ウェハに洗浄などの処理を施す工程が行われている。処理槽内には,複数の保持溝が並べて設けられた保持部材が備えられ,ウェハの周縁部を各保持溝に挿入させることにより,ウェハを等間隔で並べて保持するようになっている。
【0003】
従来,ウェハの周縁部にローラを接触させ,ローラの回転によってウェハを周方向に回転させる装置が知られている(例えば,特許文献1,2参照)。また,ウェハの周縁に沿って液流を噴出させることにより,ウェハを周方向に回転させる装置が知られている(例えば,特許文献3参照)。このようにウェハを回転させ,保持溝に対して周縁部を移動させると,処理液が周縁部にも効率よく接触するので,ウェハの処理むらを防止することができる。
【0004】
【特許文献1】特許第3529030号
【特許文献2】実用新案登録第2587304号
【特許文献3】特開平11−307490号公報
【0005】
しかしながら,ローラによってウェハを回転させる場合,ローラとウェハの周縁部とが擦れて摩耗し,パーティクルが発生する問題があった。また,保持溝上でウェハを回転させると,保持溝とウェハの周縁部の間でも摩耗が生じ,パーティクルが発生する問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は,処理むらを防止でき,かつ,パーティクルの発生を防止できる基板処理装置及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため,本発明によれば,処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理装置であって,基板の周縁部を保持溝に挿入させることにより基板を処理液中に保持する保持部材を備え,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給する回転用流体供給口と,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給する離隔用流体供給口と,を備えたことを特徴とする,基板処理装置が提供される。
【0008】
この基板処理装置にあっては,前記離隔用流体供給口を前記保持溝に設けても良い。また,前記離隔用流体供給口を前記保持溝の最奥部に設け,前記保持溝の内側に,基板の表裏面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を供給する第2の離隔用流体供給口を設けても良い。
【0009】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給するようにしても良い。また,処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体として供給する離隔用流体供給路と,処理槽内の処理液を回収して前記基板回転用流体として供給する回転用流体供給路とを備え,前記離隔用流体供給路と回転用流体供給路とに,それぞれポンプを備えても良い。さらに,前記保持溝を前記保持部材に複数設け,前記複数の保持溝の各々に前記基板を挿入して,前記基板を複数枚並べて保持し,隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給する処理液供給口を設けても良い。
【0010】
また,本発明によれば,処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理方法であって,基板の周縁部を保持溝に挿入させて基板を処理液中に保持し,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給することにより,基板の周縁部を前記保持溝から離隔させながら,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給して基板を回転させることを特徴とする,基板処理方法が提供される。
【0011】
この基板処理方法にあっては,処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給しても良い。また,前記基板離隔用流体の流量と前記基板回転用流体の流量を,それぞれ制御するようにしても良い。前記基板を複数枚並べて処理液中に保持し,隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給するようにしても良い。
【0012】
また,前記基板回転用流体の供給より先に,前記基板離隔用流体の供給を開始するようにしても良い。さらに,基板離隔用流体と基板回転用流体を供給しながら,処理液中に処理液を供給して基板を処理し,処理液の供給を停止し,その後,基板回転用流体の供給を停止した後に,前記基板離隔用流体の供給を停止し,基板を処理槽から搬出するようにしても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,基板離隔用流体の供給によって基板を保持溝から離した状態とし,基板回転用流体の供給によって基板を回転させる構成としたことにより,基板の周縁部が摩耗せず,パーティクルが発生することを防止できる。基板を保持溝から離すことにより,基板を円滑に回転させることができる。基板を回転させることにより,基板全体を均一に処理することができる。特に,保持溝に対して基板の周縁部が移動することにより,処理液が基板の周縁部に効率よく接触するので,周縁部の処理むらを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下,本発明の好ましい実施の形態を,基板としてのウェハWを洗浄する基板処理装置に基づいて説明する。図1及び図2に示すように,本実施の形態にかかる基板処理装置1は,処理液を貯溜する処理槽2を備えている。処理槽2は,内槽3と,内槽3の上部の開口を囲むように形成された外槽4によって構成されている。
【0015】
内槽3の内部にはウェハガイド10が設置されている。ウェハガイド10には,複数枚の略円板形のウェハWを並べて保持するための3本の保持部材11A,11B,11Cが設置されている。保持部材11A,11B,11Cは,それぞれ内槽3の左側面,右側面,底部に沿って,前後方向(図1において手前側から後側に向かう方向)に向けて延設されている。
【0016】
図3に示すように,各保持部材11A,11B,11Cには,ウェハWの周縁部が挿入される断面略Y字状の保持溝15が前後方向に複数並べて設けられている。各ウェハWは,各保持部材11A,11B,11Cの保持溝15に右端部,左端部,下端部をそれぞれ挿入させた状態で保持され,これにより複数枚のウェハWが所定間隔を空けて配列されるようになっている。各保持溝15の内側には,基板離隔用流体として処理液を供給する離隔用流体供給口16が設けられている。図3及び図4に示すように,各離隔用流体供給口16は,保持溝15の最奥部である底面に開口されており,保持部材11A,11B,11Cによって保持されたウェハWの周縁部に対して,ウェハWのほぼ中心に向かって離隔用処理液を噴射するように設けられている。ウェハWの周縁部は離隔用処理液によって押し上げられ,保持溝15の内面から離れて処理液中に浮いた状態で,保持溝15内に保持される。保持部材11A,11B,11Cの内部には,各離隔用流体供給口16に処理液を供給するための供給管路17が設けられている。
【0017】
図1に示すように,供給管路17には,離隔用流体供給管21が接続されている。離隔用流体供給管21の上流端は,内槽3の側壁に開口された導出管22を介して,内槽3に接続されている。本実施の形態において,離隔用流体供給路23は,導出管22と離隔用流体供給管21とによって構成されている。離隔用流体供給管21には,ポンプ25及びフィルタ26が上流側からこの順に介設されている。離隔用流体供給管21はフィルタ26の下流側で分岐して,各保持部材11A,11B,11Cの供給管路17に接続されている。従って,ポンプ25を駆動させると,内槽3内の処理液が導出管22に流入して離隔用流体供給管21に供給され,フィルタ26を通過して浄化された後,各保持部材11A,11B,11Cの供給管路17に送液され,各離隔用流体供給口16から保持溝15内のウェハWの周縁部に向かって供給される。こうして,内槽3内の処理液を回収して離隔用処理液として供給するようになっている。なお,ポンプ25としては,例えばマグネットポンプ,軸流ポンプ又は渦巻きポンプ等を使用しても良く,無脈動のものを使用すると良い。
【0018】
また,図1に示すように,内槽3の内部には,処理液供給ノズル30A,30Bが設けられている。各処理液供給ノズル30A,30Bには,処理液を吐出させる複数の処理液供給口31が,ウェハWの配列方向(前後方向)に沿って並べて開口されている。なお,処理液供給ノズル30A,30Bは,ウェハガイド10によって保持されたウェハWの下方に配置され,上方に向かって処理液を噴出させることが好ましい。そうすれば,処理液供給口31から供給される処理液によって,ウェハWに接触した処理液を押し上げて内槽3から外槽4にオーバーフローさせることができ,処理液が効率良く置換される。図示の例では,ウェハWの左下方と右下方に,それぞれ処理液供給ノズル30A,30Bを配置している。また,各処理液供給口31は,隣り合うウェハW同士の間の隙間に向かって開口させ,各隙間に向かって処理液を噴射するように配置すると良い。このようにすると,ウェハWの間に処理液が効率良く流れ,ウェハWの表裏面に処理液が効率的に供給されるので,処理効率を向上させることができる。さらに,各処理液供給口31からウェハWのほぼ中心側に向かって処理液が供給されるようにしても良い。これにより,ウェハWの中心側まで処理液の液流をより効率良く接触させることができる。
【0019】
各処理液供給ノズル30A,30Bには,外槽4から処理液供給ノズル30A,30Bに処理液を循環させるための循環路35が接続されている。循環路35の入口は,外槽4の底面に接続されている。循環路35には,ポンプ37,フィルタ38,ヒータ39が外槽4側からこの順に介設されている。循環路35はヒータ39の下流側で分岐して,各処理液供給ノズル30A,30Bに接続されている。従って,ポンプ37を駆動させると,内槽3から外槽4にオーバーフローした処理液が循環路35によって送液され,フィルタ38を通過して浄化され,ヒータ39によって温度調整された後,処理液供給ノズル30A,30Bによって再び内槽3内に供給されるようになっている。このように,処理液の再利用を図り,その消費量を節約している。なお,ポンプ37としては,例えばベローズポンプ又は軸流ポンプ等を使用しても良く,無脈動のものを使用すると良い。
【0020】
さらに,内槽3の内部には,ウェハWを回転させるように液流を発生させる回転用流体ノズル50A,50Bが設けられている。図5に示すように,各回転用流体ノズル50A,50Bには,基板回転用流体として処理液を供給する複数の回転用流体供給口51が,ウェハWの配列方向(図5においては左右方向)に並べて開口されている。図1に示すように,各回転用流体供給口51は,保持部材11A,11B,11Cによって保持されたウェハWの周縁部に対して,ウェハWのほぼ周方向に向かって回転用処理液を噴射するように設けられている。また,回転用流体ノズル50A,50Bの各回転用流体供給口51,互いに同じ回転方向に沿う向き(図示の例では,ウェハWを左回転させる方向)に回転用処理液を噴射するように向けられている。図示の例では,ウェハWの左下に配置された回転用流体ノズル50Aの回転用流体供給口51は,右下に向かって回転用処理液を噴射し,ウェハWの右下に配置された回転用流体ノズル50Bの回転用流体供給口51は,右上に向かって回転用処理液を噴射するようになっている。従って,ウェハWの周縁部は,回転用流体供給口51から供給される回転用処理液によって左回転方向に押し動かされ,これによりウェハWが左回転するようになっている。なお,各回転用流体供給口51は,各ウェハWの周縁に対応した位置に配置すると良い。このようにすると,回転用処理液がウェハWの周縁部に効率的に供給され,ウェハWを効率良く回転させることができる。
【0021】
回転用流体ノズル50A,50Bには,回転用流体供給管55が接続されている。回転用流体供給管55は,前述した導出管22を介して内槽3に接続されている。図示の例では,導出管22の下流端から前述した離隔用流体供給管21と回転用流体供給管55とが分岐するように設けられている。本実施の形態において,回転用流体供給路56は,導出管22と回転用流体供給管55とによって構成されている。回転用流体供給管55には,ポンプ57及びフィルタ58が上流側からこの順に介設されている。回転用流体供給管55はフィルタ58の下流側で分岐して,各回転用流体ノズル50A,50Bに接続されている。従って,ポンプ57を駆動させると,内槽3内の処理液が導出管22に流入して回転用流体供給管55に供給され,フィルタ58を通過して浄化された後,各回転用流体ノズル50A,50Bに送液され,各回転用流体供給口51からウェハWの周縁部に向かって供給される。即ち,内槽3内の処理液を回収して回転用処理液として供給するようになっている。なお,ポンプ57としては,例えばマグネットポンプ,軸流ポンプ又は渦巻きポンプ等を使用しても良く,無脈動のものを使用すると良い。
【0022】
次に,以上のように構成された基板処理装置1を用いた処理方法について説明する。先ず,図示しない搬送装置によって,ウェハWを複数枚並べて保持した状態で,内槽3の開口上方に搬送する。そして,処理液が貯留された内槽3内に搬送装置を下降させ,複数枚のウェハWを処理液に浸漬させ,ウェハガイド10に受け渡す。ウェハガイド10にウェハWを受け渡したら,搬送装置を上昇させて内槽3から退出させる。各ウェハWは,保持部材11A,11B,11Cの各保持溝15に周縁部が挿入された状態で,所定間隔を空けて保持される。なお,保持部材11A,11B,11Cの各保持溝15にウェハWの周縁部が挿入される前に,離隔用流体供給口16から離隔用処理液の供給を開始しても良い。そうすれば,保持溝15にウェハWの周縁部を挿入させる際,ウェハWの周縁部が離隔用処理液によって保持溝15から離隔する向きに押されるので,ウェハWの周縁部を保持溝15の内面に接触させることなく,保持溝15内に挿入させることができる。また,ウェハWの周縁部を保持溝15に挿入してから,離隔用流体供給口16からの処理液の供給を開始しても良い。
【0023】
こうしてウェハガイド10にウェハWを保持させた状態で,処理液供給ノズル30A,30Bから処理液を隣り合うウェハW同士の間に向かって供給して,ウェハWの間から上方に向かう液流を形成し,内槽3から処理液をオーバーフローさせながらウェハWを液処理する。さらに,回転用流体ノズル50A,50BからウェハWの周縁部に対して,ウェハWの周方向に沿って回転用処理液を供給する。各ウェハWは,回転用処理液の液流に沿って,ウェハWの中央部を中心として左回転させられる。こうしてウェハWを回転させて処理することにより,ウェハW全体を均一に処理することができる。また,ウェハWの周縁部は,保持部材11A,11B,11Cの各保持溝15に対して左回転方向に移動する。従って,ウェハWの左端,右端,下端が保持溝15内に挿入されたままにならず,処理液がウェハWの周縁部全体に効率良く接触するので,ウェハWの周縁部に処理むらが発生することを防止できる。
【0024】
各保持溝15内では,離隔用流体供給口16から離隔用処理液を噴出させることにより,ウェハWの周縁部が保持溝15の内面から離隔した状態で保持される。図3に示すように,離隔用流体供給口16から供給された処理液は,ウェハWの周縁に対して略垂直に,ウェハWのほぼ中心に向かって噴出される。これにより,ウェハWの周縁が保持溝15の外側に向かって押され,保持溝15の最奥部から離隔する。また,離隔用処理液はウェハWの周縁と最奥部との間からウェハWの表裏面側に分かれるように流れ,ウェハWの表裏面と保持溝15の両側面との間をそれぞれ通過して,保持溝15の外側に放出される。従って,ウェハWの表面周縁部と裏面周縁部も,離隔用処理液の液流によって保持溝15の両側面から押し離された状態になる。このように,ウェハWは保持溝15内に挿入されながらも,保持溝15の内面に接触せず,処理液中に浮遊した状態で保持される。従って,ウェハWを回転させても,ウェハWの周縁部と保持溝15とが摺擦しないので,ウェハWの周縁部や保持溝15が摩耗したり,摩耗によりパーティクルが発生したりすることを防止できる。また,ウェハWを円滑に回転させることができる。なお,離隔用処理液の供給は,回転用流体の供給より先に開始することが好ましい。そうすれば,ウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させた状態でウェハWの回転を開始させることができるので,ウェハWと保持溝15が摺擦せず,回転を円滑に開始させることができる。
【0025】
内槽3中の処理液の一部は,離隔用流体供給路23及び回転用流体供給路56によって回収され,離隔用処理液又は回転用処理液として再利用される。また,外槽4にオーバーフローした処理液は,循環路35によって循環され,処理液供給ノズル30A,30Bから再び内槽3内に供給される。こうして処理液の再利用を図ることにより,処理液の消費量を節約することができる。
【0026】
離隔用処理液の供給流量又は供給圧力は,離隔用流体供給管21に備えたポンプ25によって調整し,ウェハWの周縁部が保持溝15から飛び出したりしないように制御する。また,回転用処理液の供給流量又は供給圧力は,回転用流体供給管55に備えたポンプ57によって調整し,これによりウェハWの回転速度を制御するようになっている。このように,離隔用流体供給管21と回転用流体供給管55にそれぞれポンプ25,57を備え,離隔用処理液と回転用処理液を異なるポンプ25,57によって送液する構成としたことにより,離隔用処理液の供給流量又は供給圧力,回転用処理液の供給流量又は供給圧力をそれぞれ最適な値に個別に制御することができる。従って,ウェハWの保持溝15からの離隔位置と回転を,それぞれ好適に制御することができる。
【0027】
ウェハWの処理が終了したら,処理液供給ノズル30A,30Bからの処理液の供給を停止させた後,回転用処理液の供給を停止させてウェハWの回転を停止させ,図示しない搬送装置を内槽3の開口上方から下降させ,ウェハガイド10に保持された複数枚のウェハWを搬送装置によって把持し,内槽3から上昇させる。こうして,ウェハガイド10からウェハWを受け取って内槽3から搬出させる。なお,離隔用処理液の供給は,回転用処理液の供給を停止した後に停止させることが好ましい。このようにすると,ウェハWの回転が停止するまでは,ウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させることができるので,ウェハWや保持溝15が回転により擦れることを防止できる。そして,回転用処理液と離隔用処理液の供給を停止させ,ウェハWの周縁部を保持溝15に接触させた後に,ウェハWを搬送装置によって把持し,搬出するようにしても良い。また,ウェハWを搬出する際,離隔用処理液の供給は継続し,各保持溝15からウェハWの周縁部が抜き取られた後に,離隔用処理液の供給を停止するようにしても良い。このようにすると,ウェハWの周縁部を保持溝15の内面に接触させることなく,保持溝15から抜き取ることができる。
【0028】
かかる基板処理装置1によれば,離隔用処理液の供給によってウェハWを保持溝15から離して浮かせた状態とし,回転用処理液の供給によってウェハWを回転させる構成としたことにより,ウェハWの周縁部や保持溝15が摩耗せず,パーティクルが発生することを防止できる。また,ウェハWを保持溝15から離すことにより,ウェハWを円滑に回転させることができる。ウェハWを回転させることにより,ウェハW全体を均一に処理することができる。保持溝15に対してウェハWの周縁部を移動させ,ウェハWの周縁部に処理液を効率よく接触させることができる。従って,ウェハWの処理むらを防止することができる。
【0029】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,基板は半導体ウェハに限らず,その他のLCD基板用ガラスやCD基板,プリント基板,セラミック基板などであっても良い。
【0030】
本実施の形態では,基板離隔用流体,基板回転用流体として用いる処理液は,それぞれ内槽3内から回収することとしたが,かかる離隔用処理液,回転用処理液は,処理液供給源から直接供給するようにしても良い。即ち,離隔用流体供給口61A,61Bや回転用流体ノズル50A,50Bを介して,処理液供給源から処理槽2内に処理液が供給されるようにしても良い。
【0031】
本実施の形態では,基板離隔用流体,基板回転用流体として,それぞれ内槽3内から回収した処理液を用いることとしたが,基板離隔用流体や基板回転用流体はかかるものに限定されない。例えば,基板離隔用流体又は基板回転用流体として気泡を噴出させるようにしても良い。この場合も,気泡流によってウェハWを保持溝15から離隔又は回転させることができる。また,例えばPOU式処理槽のように,処理槽内の処理液を他の処理液に置換したり,処理槽内の液に他の処理液を混合させたりする工程がある場合(例えば,純水に薬液を注入して混合液を生成する場合など)は,かかる他の処理液を基板離隔用流体や基板回転用流体として供給しても良い。例えば,POU式処理槽において,薬液に浸漬させてウェハWを処理する間は,基板離隔用流体,基板回転用流体としてそれぞれ薬液を使用する。そして,処理槽内の薬液を純水に置換する間は,基板離隔用流体,基板回転用流体をそれぞれ薬液から純水に切り換えて供給する。そして,純水に浸漬させてウェハWを処理する間も,基板離隔用流体,基板回転用流体としてそれぞれ純水を使用する。このように,処理槽内の処理液の種類に応じて,基板離隔用流体と基板回転用流体の種類も切り換えて供給すると良い。
【0032】
離隔用流体供給口16は,各保持溝15に2個以上設けても良い。例えば図6に示すように,保持溝15の最奥部に,2個の離隔用流体供給口61A,61Bを開口させても良い。図6において,離隔用流体供給口61A,61Bは,保持溝15の最奥部において左右に並べて設けられ,ウェハW周縁の左右に基板離隔用流体を噴射することにより,ウェハWを保持溝15の最奥部から離隔させるようになっている。離隔用流体供給口61Aから供給された基板離隔用流体は,ウェハWの周縁右側に向かって供給され,ウェハWの表面と保持溝15の左側面との間に流れる。離隔用流体供給口61Bから供給された基板離隔用流体は,ウェハWの周縁左側に向かって供給され,ウェハWの裏面と保持溝15の右側面との間に流れる。この場合も,ウェハWを保持溝15から好適に浮かせることができる。
【0033】
また,例えば図7に示すように,保持部材と別に設けた離隔用流体ノズルに離隔用流体供給口を設けても良い。図7に示す例では,保持部材11A,11B,11Cに隣接して離隔用流体ノズル63A,63B,63Cがそれぞれ配置されており,各離隔用流体ノズル63A,63B,63Cに,複数の離隔用流体供給口64がそれぞれ設けられている。各離隔用流体供給口64は,ウェハWの周縁に対応する位置に設けられ,ウェハWの周縁に対して略垂直方向に,基板離隔用流体を噴出するようになっている。このようにしても,保持部材11A,11B,11Cの保持溝15からウェハWを離隔させて保持することができる。
【0034】
また,例えば図8に示すように,保持溝15の内側に,第2の基板離隔用流体を供給する第2の離隔用流体供給口を設けても良い。図8においては,保持溝15の左側面及び右側面に,それぞれ第2の離隔用流体供給口65A,65Bが開口されている。第2の離隔用流体供給口65Aは,ウェハWの表面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を噴出し,第2の離隔用流体供給口65Bは,ウェハWの裏面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を噴出するようになっている。この場合も,ウェハWの表裏面を第2の基板離隔用流体によって押すことで,保持溝15の左右両側面から効果的に離隔させることができる。なお,第2の基板離隔用流体としては,様々な流体を用いることが可能である。例えば図8に示すように,第2の離隔用流体供給口65A,65Bを供給管路17に接続して,処理液を第2の基板離隔用流体として供給するようにしても良い。
【0035】
回転用流体供給口は回転用流体ノズル50A,50Bに設けることとしたが,例えば図9に示すように,回転用流体供給口を保持部材11A,11B,11Cに設けても良い。図9に示す例では,保持部材11A,11B,11Cの保持溝15の最奥部に離隔用流体供給口67が設けられ,保持部材11A,11B,11Cの側面に,回転用流体供給口68が設けられている。回転用流体供給口68は,離隔用流体供給口67に対して傾斜した方向に向かい,ウェハWの周方向に沿った方向に向かって基板回転用流体を噴出するようになっている。このようにしても,基板離隔用流体によってウェハWを保持溝15から離隔させながら,基板回転用流体をウェハWの周縁部に沿って噴射して,ウェハWを回転させることができる。なお,回転用流体供給口68は保持溝15内に開口させても良い。また,保持溝15に離隔用流体供給口67を設けず,保持部材11A,11B,11Cに回転用流体供給口68のみを設け,離隔用流体供給口67は,保持部材と別に設けた離隔用流体ノズルなどに設けることとしても良い。この場合も,ウェハWを保持溝15から離隔させながら基板回転用流体によって回転させることができる。
【0036】
本実施の形態では,離隔用流体供給路23と回転用流体供給路56にそれぞれポンプ25,57を備えることとしたが,図10に示すように,同一のポンプによって基板離隔用流体と基板回転用流体を送液するようにしても良い。図10に示す例では,内槽3に接続された導出管70にポンプ71,フィルタ72が介設されており,フィルタ72の下流側において,離隔用流体供給管75と回転用流体供給管76とが分岐して設けられている。そして,導出管70と離隔用流体供給管75とによって離隔用流体供給路81が構成され,導出管70と回転用流体供給管76とによって回転用流体供給路82が構成されている。従って,ポンプ71の駆動により,内槽3内の処理液が導出管70に流入してフィルタ72を通過して浄化された後,離隔用流体供給管75と回転用流体供給管76とにそれぞれ送液される。なお,この場合,ポンプ71としては,例えば渦巻きポンプ等を使用すると良く,無脈動のものを使用すると良い。また,離隔用流体供給管75と回転用流体供給管76に,それぞれ流量調節弁85,86を介設しても良い。このようにすれば,流量調節弁85,86によって,基板離隔用流体の供給流量と基板回転用流体の供給流量をそれぞれ個別に制御することができる。
【0037】
本実施の形態では,ウェハガイド10は内槽3内に固定され,搬送装置が内槽3内に昇降する構成とし,内槽3内において搬送装置とウェハガイド10との間でウェハWの受け渡しする場合を説明したが,図11に示すように,ウェハガイド10を内槽3に対して昇降可能にして,内槽3の外部において,ウェハガイド10にウェハWを保持させるようにしても良い。この場合も,基板回転用流体の供給を開始するより先に,離隔用流体供給口16から基板離隔用流体の供給を開始して,ウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させた状態にしてから,回転用流体ノズル50A,50Bから基板回転用流体を供給して,ウェハWを回転させることとしても良い。また,ウェハWを内槽3から搬出するときは,基板回転用流体の供給を停止してウェハWの回転を停止させた後に,離隔用流体供給口16からの基板離隔用流体の供給を停止することとしても良い。このようにすると,ウェハWの回転中は,常にウェハWの周縁部を保持溝15から離隔させることができる。従って,ウェハWが擦れることを防止できる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は,処理槽を用いて基板の洗浄処理やエッチング処理などの処理を行う基板処理装置,及び,基板処理方法に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本実施の形態にかかる基板処理装置の構成を説明する概略断面図である。
【図2】図1におけるA−A線による基板処理装置の概略断面図である。
【図3】保持部材の拡大断面図である。
【図4】図3におけるB−B線による保持部材の断面図である。
【図5】回転用流体ノズルの斜視図である。
【図6】別の実施の形態にかかる離隔用流体供給口の配置を示す,保持部材の断面図である。
【図7】離隔用流体ノズルに離隔用流体供給口を設けた実施形態にかかる保持部材の断面図である。
【図8】第2の離隔用流体供給口を設けた実施形態にかかる保持部材の断面図である。
【図9】保持部材に回転用流体供給口を設けた実施形態にかかる保持部材の断面図である。
【図10】別の実施の形態にかかる離隔用流体供給路と回転用流体供給路を示す説明図である。
【図11】ウェハガイドを内槽に対して昇降させる実施形態にかかる基板処理装置の概略断面図である。
【符号の説明】
【0040】
W ウェハ
1 基板処理装置
2 処理槽
3 内槽
11A,11B,11C 保持部材
16 離隔用流体供給口
30A,30B 処理液供給ノズル
50A,50B 回転用流体ノズル
51 回転用流体供給口
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理装置であって,
基板の周縁部を保持溝に挿入させることにより基板を処理液中に保持する保持部材を備え,
前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給する回転用流体供給口と,
前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給する離隔用流体供給口と,を備えたことを特徴とする,基板処理装置。
【請求項2】
前記離隔用流体供給口を前記保持溝に設けたことを特徴とする,請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記離隔用流体供給口を前記保持溝の最奥部に設け,
前記保持溝の内側に,基板の表裏面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を供給する第2の離隔用流体供給口を設けたことを特徴とする,請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給することを特徴とする,請求項1,2又は3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体として供給する離隔用流体供給路と,処理槽内の処理液を回収して前記基板回転用流体として供給する回転用流体供給路とを備え,
前記離隔用流体供給路と回転用流体供給路とに,それぞれポンプを備えたことを特徴とする,請求項1,2,3又は4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記保持溝を前記保持部材に複数設け,
前記複数の保持溝の各々に基板を挿入して,基板を複数枚並べて保持し,
隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給する処理液供給口を設けたことを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理方法であって,
基板の周縁部を保持溝に挿入させて基板を処理液中に保持し,
前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給することにより,基板の周縁部を前記保持溝から離隔させながら,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給して基板を回転させることを特徴とする,基板処理方法。
【請求項8】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給することを特徴とする,請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記基板離隔用流体の流量と前記基板回転用流体の流量を,それぞれ制御することを特徴とする,請求項7又は8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記基板を複数枚並べて処理液中に保持し,
隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給することを特徴とする,請求項7,8又は9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記基板回転用流体の供給より先に,前記基板離隔用流体の供給を開始することを特徴とする,請求項7,8,9又は10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
基板離隔用流体と基板回転用流体を供給しながら,処理液中に処理液を供給して基板を処理し,
処理液の供給を停止し,
その後,基板回転用流体の供給を停止した後に,前記基板離隔用流体の供給を停止し,
基板を処理槽から搬出することを特徴とする,請求項7,8,9,10又は11に記載の基板処理方法。
【請求項1】
処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理装置であって,
基板の周縁部を保持溝に挿入させることにより基板を処理液中に保持する保持部材を備え,
前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給する回転用流体供給口と,
前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給する離隔用流体供給口と,を備えたことを特徴とする,基板処理装置。
【請求項2】
前記離隔用流体供給口を前記保持溝に設けたことを特徴とする,請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記離隔用流体供給口を前記保持溝の最奥部に設け,
前記保持溝の内側に,基板の表裏面に対して略垂直に第2の基板離隔用流体を供給する第2の離隔用流体供給口を設けたことを特徴とする,請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給することを特徴とする,請求項1,2又は3に記載の基板処理装置。
【請求項5】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体として供給する離隔用流体供給路と,処理槽内の処理液を回収して前記基板回転用流体として供給する回転用流体供給路とを備え,
前記離隔用流体供給路と回転用流体供給路とに,それぞれポンプを備えたことを特徴とする,請求項1,2,3又は4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記保持溝を前記保持部材に複数設け,
前記複数の保持溝の各々に基板を挿入して,基板を複数枚並べて保持し,
隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給する処理液供給口を設けたことを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項7】
処理槽に入れた処理液中に基板を浸漬させて処理する基板処理方法であって,
基板の周縁部を保持溝に挿入させて基板を処理液中に保持し,
前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ中心に向かって基板離隔用流体を供給することにより,基板の周縁部を前記保持溝から離隔させながら,前記保持部材によって保持された基板の周縁部に対して,基板のほぼ周方向に向かって基板回転用流体を供給して基板を回転させることを特徴とする,基板処理方法。
【請求項8】
処理槽内の処理液を回収して前記基板離隔用流体及び/又は基板回転用流体として供給することを特徴とする,請求項7に記載の基板処理方法。
【請求項9】
前記基板離隔用流体の流量と前記基板回転用流体の流量を,それぞれ制御することを特徴とする,請求項7又は8に記載の基板処理方法。
【請求項10】
前記基板を複数枚並べて処理液中に保持し,
隣り合う基板同士の間に向かって処理液を供給することを特徴とする,請求項7,8又は9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記基板回転用流体の供給より先に,前記基板離隔用流体の供給を開始することを特徴とする,請求項7,8,9又は10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
基板離隔用流体と基板回転用流体を供給しながら,処理液中に処理液を供給して基板を処理し,
処理液の供給を停止し,
その後,基板回転用流体の供給を停止した後に,前記基板離隔用流体の供給を停止し,
基板を処理槽から搬出することを特徴とする,請求項7,8,9,10又は11に記載の基板処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−108300(P2006−108300A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−291456(P2004−291456)
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月4日(2004.10.4)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]