説明

基板処理装置

【課題】電圧分布不均一による処理の不均一を防止することができる基板処理装置の提供。
【解決手段】ALD装置は、複数枚のウエハを積載したボートを収容する処理室32と、処理ガスをウエハに供給するガス供給系と、ウエハの積載方向に配置された一対の放電電極57、57と、一対の放電電極57、57に高周波電力を供給する高周波電源58と、一対の放電電極57、57の高周波電源58と反対側先端間に接続された可変インピーダンス素子62と、高周波電源58の出力周波数を変化させるコントローラとを備える。プラズマ放電中に、高周波電源の出力周波数を変化させ、電圧分布の極小点を移動させ、一対の放電電極内でのプラズマ生成量を均一化させる。一対の放電電極内でのプラズマ生成量を均一化することにより、ボートに積層したウエハ相互間の処理のばらつきを抑制し、処理をボート全長にわたって均一化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置に関し、特にバッチ式リモートプラズマ処理装置に関する。
例えば、半導体集積回路装置(以下、ICという。)の製造方法において、半導体素子を含む半導体集積回路を作り込む半導体ウエハ(以下、ウエハという。)に絶縁膜や金属膜を堆積(デポジション)するのに利用して有効なものに関する。
【背景技術】
【0002】
ICの製造方法において低温下でウエハに成膜する基板処理装置として、バッチ式リモートプラズマ処理装置が、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
バッチ式リモートプラズマ処理装置は、複数枚のウエハを一括して処理する処理室を形成したプロセスチューブと、処理室内に処理ガスを供給するガス供給手段と、処理室内を排気する排気手段と、処理室内にてプラズマを生成させて処理ガスを励起させる高周波電力が印加される一対の放電電極と、放電電極間に高周波電力を印加する高周波電源および整合器と、を備えている。
【特許文献1】特開2002−280378号公報
【0003】
このようなバッチ式リモートプラズマ処理装置においては、膜厚が薄い等の規定外の処理結果のウエハが形成されるのを防止するために、処理室の温度変化や圧力変化およびガス流量の変化が常時監視されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述のバッチ式リモートプラズマ処理装置においては、一対の電極は先端が開放されており、電線線路のインピーダンスと整合していないために、電圧定在波が発生する。そのため、電圧振幅は一対の電極の先端部において大きく、高周波電源に近づくにつれて減少し、ある点で最小値となり、その後、再び増大する。
この一対の電極の場所による電圧振幅の違いはプラズマ強度の場所による変化を発生するために、前記したバッチ式リモートプラズマ処理装置には、積層した複数枚のウエハを均一に処理することができないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、電圧分布不均一による処理の不均一を防止することができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための手段のうち代表的なものは、次の通りである。
積載した基板を収容する処理室と、
処理ガスを前記基板に供給するガス供給系と、
前記基板の積載方向に配置された一対の電極と、
前記一対の電極に高周波電力を供給し、前記処理ガスを励起するためのプラズマを生成する高周波電源と、
前記一対の電極における前記高周波電源と反対側先端部に接続された可変インピーダンス素子と、
前記基板の処理中に、前記高周波電源の出力周波数を変化させる制御部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【発明の効果】
【0007】
前記手段によれば、一対の電極内の電圧分布を変化させることにより、場所によるプラズマ分布の差異を抑制することができるので、処理の不均一を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態を図面に即して説明する。
【0009】
本発明に係る基板処理装置は、原子層成膜(Atomic Layer Deposition 。以下、ALDという。)法を実施するALD装置として構成されている。ALD法はウエハ等の基板へプラズマを利用して成膜するプラズマCVD法の一つである。
ALD法は、表面反応を利用して成膜を行う方法であり、ある成膜条件(温度、時間等)の下で、成膜に用いる2種類(またはそれ以上)の原料となるガスを1種類ずつ順次に基板上に供給し、1原子層単位で吸着させる方法である。
例えば、シリコン窒化(SiNx)膜を形成する場合のALD法においては、ジクロロシラン(SiH2 Cl2 。DCS)ガスとアンモニア(NH3 )ガスを用いて、300〜600℃の低温で、高品質の成膜が可能である。
複数種類の反応性ガスは1種類ずつ順次に供給する。
膜厚の制御は反応性ガス供給のサイクル数によって実行することができる。例えば、成膜速度が1Å/サイクルとすると、20Åの膜を形成する場合には、複数種類のガスの供給を20サイクル行う。
【0010】
図1に示されているように、本実施の形態に係るALD装置10は筐体11を備えており、筐体11の前面にはカセット授受ユニット12が設備されている。カセット授受ユニット12はカセットステージ13を備えており、カセットステージ13はウエハ1のキャリアであるカセット2を二台載置することができる。カセットステージ13は90度回転することにより、カセット2を水平姿勢にさせる。
カセットステージ13の下方にはウエハ姿勢整合装置14が二組設備されている。
カセット2はカセットステージ13に外部搬送装置(図示せず)によって搬送されて来る。外部搬送装置は搬送して来たカセット2をカセットステージ13に、垂直姿勢(カセット2に収納されたウエハ1が垂直になる状態)で載置する。
ウエハ姿勢整合装置14はカセット2に収納されたウエハ1の姿勢を、ウエハ1のノッチやオリエンテーションフラットが同一になるように整合する。
【0011】
筐体11内にはカセット棚15がカセット授受ユニット12に対向して設備されており、カセット授受ユニット12の上方には予備カセット棚16が設備されている。
カセット授受ユニット12とカセット棚15との間には、カセット移載装置17が設備されている。カセット移載装置17は前後方向に進退可能なロボットアーム18を備えており、ロボットアーム18は横行および昇降可能に構成されている。
ロボットアーム18は進退、昇降および横行の協働によって、カセットステージ13の上の水平姿勢となったカセット2をカセット棚15または予備カセット棚16へ搬送して移載する。
【0012】
カセット棚15後方にはウエハ移載装置19が設備されている。ウエハ移載装置19は回転および昇降可能に構成されている。ウエハ移載装置19は複数枚のウエハ1を一括して移載する。ウエハ移載装置19は進退可能なウエハ保持部20を備えており、ウエハ保持部20には複数枚のウエハ保持プレート21が水平に取り付けられている。
ウエハ移載装置19はウエハ1を1枚ずつ移載するように構成される場合もある。
ウエハ移載装置19の後方にはボートエレベータ22が設備されており、ボートエレベータ22は複数枚のウエハ1を保持したボート25を昇降させる。
ボートエレベータ22のアーム23にはボート25がシールキャップ24を介して水平に設置されている。
【0013】
図2に示されているように、シールキャップ24はプロセスチューブ31の炉口33の内径よりも大径の外径を有する円盤形状に形成されている。シールキャップ24はプロセスチューブ31の下端面にシールリング24aを挟んで当接することにより、プロセスチューブ31の炉口33を閉塞する。
シールキャップ24の中心線上にはボート25が断熱キャップ部26を介して垂直に立脚されて支持されている。
シールキャップ24の中心線上には回転軸27が挿通されており、回転軸27はシールキャップ24と共に昇降し、かつ、回転駆動装置28によって回転される。回転軸27の上端には支持板29が水平に固定されており、支持板29の上にはボート25が断熱キャップ部26を介して垂直に立脚されて支持されている。
【0014】
ボート25は上下で一対の端板25a、25bと、両端板25aと25bとの間に架設されて垂直に配設された複数本(本実施の形態では3本)の保持部材25cとを備えている。各保持部材25cには多数条の保持溝25dが長手方向に等間隔に配されて、同一平面内で互いに対向して開口するように没設されている。
ウエハ1の外周縁辺が各保持部材25cの多数条の保持溝25d間にそれぞれ挿入されることにより、複数枚のウエハ1はボート25に水平にかつ互いに中心を揃えられた状態で整列されて保持される。
【0015】
図2〜図4に示されているように、ALD装置10は処理炉30を備えており、処理炉30はプロセスチューブ31を備えている。プロセスチューブ31は石英(SiO2 )が用いられて一体的に形成されている。プロセスチューブ31は円筒形状に形成され、一端が開口し他端が閉塞している。プロセスチューブ31は中心線が垂直になるように縦に配されて固定的に支持されている。
プロセスチューブ31の筒中空部は処理室32を形成しており、処理室32は複数枚のウエハ1を収容して処理する。プロセスチューブ31の下端開口はウエハ1を出し入れする炉口33を形成している。プロセスチューブ31の内径は取り扱うウエハ1の最大外径よりも大きくなるように設定されている。
プロセスチューブ31の外部にはヒータユニット34が同心円に設備されており、ヒータユニット34はプロセスチューブ31の周囲を包囲している。ヒータユニット34は処理室32を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱する。
ヒータユニット34はALD装置10の筐体11に支持されることにより、垂直に据え付けられた状態になっている。
【0016】
プロセスチューブ31は排気管35の一端を、炉口33付近における側壁の一部に接続されている。図3に示されているように、排気管35は他端を真空ポンプ36に可変流量制御弁37を介して接続している。排気管35は処理室32を真空引きする。
可変流量制御弁37は弁体の開度を調節して排気量を調整することにより、処理室32の圧力を制御する。
【0017】
プロセスチューブ31はガス供給管38の一端を、炉口33付近側壁の排気管35と略180度反対側位置に接続されている。図3に示されているように、ガス供給管38は他端をガス供給源39に接続されている。ガス供給源39はALD法における所定ガス種を供給する。可変流量制御弁40と上流側開閉弁41とガス溜め42と下流側開閉弁43とは、ガス供給管38の途中にガス供給源39の側から順に介設されている。
プロセスチューブ31は略正方形筒形状の隔壁44を、ガス供給管38と対向する部分に敷設されている。隔壁44はプロセスチューブ31の内周面と平行で上下方向に延在している。隔壁44はガス供給室45を形成している。
図4に示されているように、隔壁44には複数個の吹出口46が開設されており、複数個の吹出口46のそれぞれはボート25の上下で隣り合うウエハ1、1間に対向している。各吹出口46はガス供給室45に供給されたガスを均等に吹き出す。
ガス供給室45と処理室32の差圧が小さい場合には、吹出口46の開口面積は上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチに設定することが好ましい。
しかし、ガス供給室45と処理室32の差圧が大きい場合には、吹出口46の開口面積を上流側から下流側に向かって大きくするか、または、吹出口46の開口ピッチを上流側から下流側に向かって小さくすることが好ましい。
【0018】
プロセスチューブ31は略長方形筒形状の隔壁47を、炉口33付近側壁の排気管35と略90度離れた位置に敷設されており、この隔壁47もプロセスチューブ31の内周面と平行で上下方向に延在している。この隔壁(以下、プラズマ室壁という。)47はプラズマ室48を形成している。
図3に示されているように、プラズマ室壁47は内向き側壁の断面形状を円弧形に形成されており、その周方向の幅は略60度に設定されている。プラズマ室壁47は複数個の吹出口49を内向き側壁の排気管35側端部に開設されており、複数個の吹出口49のそれぞれはボート25の上下で隣り合うウエハ1、1間に対向している。各吹出口49はプラズマ室48に供給されたガスを均等に吹き出す。
プラズマ室壁47の吹出口49と、ガス供給室45を形成した隔壁44の吹出口46との位相差は、約120度に設定されている。
プラズマ室48と処理室32の差圧が小さい場合には、プラズマ室壁47の吹出口49の開口面積は上流側から下流側まで同一の開口面積で同一の開口ピッチに設定することが好ましい。
しかし、プラズマ室48と処理室32の差圧が大きい場合には、吹出口49の開口面積を上流側から下流側に向かって大きくするか、吹出口49の開口ピッチを上流側から下流側に向かって小さくすることが好ましい。
【0019】
プロセスチューブ31はガス供給管50の一端を、炉口33付近側壁の吹出口49と反対側位置に接続されている。ガス供給管50は他端をガス供給源51に接続されており、ガス供給源51はALD法における所定ガス種を供給する。
可変流量制御弁52と開閉弁53とはガス供給管50の途中に、ガス供給源51の側から順に介設されている。
ガス供給管50はノズル54の一端をプラズマ室壁47の内部側端に接続されており、ノズル54は垂直に立脚されている。ノズル54は複数個のガス供給口55を、直方向に等間隔に配置されて、それぞれ周方向内向きに開設されている。
【0020】
プラズマ室48内には一対の保護管56、56が上下方向に延在するように敷設されている。一対の保護管56、56はプラズマ室48の中心線を挟んで互いに反対側に対称形にそれぞれ位置している。
各保護管56は誘電体が使用されて細長い円形のパイプ形状に形成されており、上端が閉塞している。各保護管56の下端部は適度に屈曲されて、プロセスチューブ31の側壁を貫通して外部に突き出されている。
各保護管56の中空部内は処理室32の外部(大気圧)に連通している。
両保護管56、56は一対の放電電極57を、中空部内にそれぞれ同心的に敷設されている。両放電電極57、57は導電材料が使用されて細長い棒状に形成されている。
両放電電極57、57間には高周波電力を印加する高周波電源58が整合器59を介して電気的に接続されている。
高周波電源58および整合器59はコントローラ60によって制御される。
コントローラ60は可変流量制御弁37、40、52や開閉弁41、43、53およびヒータユニット34等を制御する。
【0021】
図4(a)に示されているように、両保護管56、56の上端間には取付管61が連結されており、取付管61は内外を気密封止されている。取付管61内には可変インピーダンス素子62が設置されている。可変インピーダンス素子62は両端を両放電電極57、57の高周波電源58と反対側端にそれぞれ電気的に接続されている。
可変インピーダンス素子62は、図4(b)に示された並列共振回路63によって構成されている。並列共振回路63はコイル64と可変コンデンサ65とを並列に配置しており、両端を両放電電極57、57に直列に接続される。このように短絡(ショート)させることにより、反射する位相角を変えることが出来る。 このとき、進行波と反射波の重ね合いの位相が変わる。
【0022】
次に、以上の構成に係るALD装置10を使用したICの製造方法における成膜工程を説明する。
まず、基板処理装置としての全体の流れを説明する。
図2に示されているように、ALD装置10の被処理基板としてのウエハ1は複数枚がボート25にウエハ移載装置19によって装填(チャージング)される。
複数枚のウエハ1が装填されたボート25は、シールキャップ24および回転軸27と共にボートエレベータ22によって上昇されて、プロセスチューブ31の処理室32に搬入(ボートローディング)される。
【0023】
図5に示されているように、ウエハ1群を保持したボート25が処理室32に搬入されて、処理室32がシールキャップ24によってシールされると、処理室32は排気管35に接続された真空ポンプ36によって所定の圧力以下に排気され、ヒータユニット34への供給電力が上昇されることにより、処理室32の温度が所定の温度に上昇される。
ヒータユニット34がホットウオール形構造であることにより、処理室32の温度は全体にわたって均一に維持された状態になり、その結果、ボート25に保持されたウエハ1群の温度分布は全長にわたって均一になるとともに、各ウエハ1の面内の温度分布も均一かつ同一になる。
【0024】
処理室32の温度が予め設定された値に達して安定した後に、後述するALD法による成膜作業が実施される。
【0025】
所定の成膜作業が完了すると、シールキャップ24がボートエレベータ22によって下降されることにより、炉口33が開口されるとともに、ボート25に保持された状態でウエハ1群が炉口33から処理室32の外部に搬出(ボートアンローディング)される。
処理室32の外部に搬出されたウエハ1群は、ボート25からウエハ移載装置19によってディスチャージングされる(降ろされる)。
以降、前記した作動が繰り返されることにより、複数枚のウエハ1が一括してバッチ処理される。
【0026】
次に、ALD法による成膜作業を、ジクロロシランガスとアンモニアガスとを用いてシリコン窒化膜を形成する場合について説明する。
ジクロロシランガスとアンモニアガスとを用いてシリコン窒化膜を形成する場合には、次の第一ステップ、第二ステップおよび第三ステップが順に実施される。
【0027】
第一ステップにおいては、プラズマ励起の必要なアンモニアガスと、プラズマ励起の必要のないジクロロシランガスとが併行して流される。
図6に示されているように、ガス供給管50に設けた開閉弁53および排気管35に設けた可変流量制御弁37が共に開けられる。ガス供給管50から可変流量制御弁52によって流量調整されたアンモニアガス71が、ノズル54のガス供給口55からプラズマ室48へ噴出する。
また、一対の放電電極57、57間には高周波電力が高周波電源58から整合器59を介して印加される。プラズマ室48に噴出したアンモニアガス71はプラズマ励起され、活性種72として処理室32に供給されつつ排気管35から排気される。
アンモニアガス71をプラズマ励起することによって活性種72として処理室32に供給し排気するときは、可変流量制御弁37を適正に調整することにより、処理室32の圧力を10〜100Paとする。
可変流量制御弁52によって制御されるアンモニアガス71の供給流量は、1000〜10000sccmである。
アンモニアガス71をプラズマ励起することによって得られた活性種72にウエハ1を晒す時間は、2〜120秒間である。
このときのヒータユニット34の制御温度は、ウエハの温度が300〜600℃になるように設定されている。アンモニアガス71は反応温度が高いために、このときのウエハ温度(300〜600℃)では反応しない。したがって、アンモニアガス71をプラズマ励起することによって活性種72としてから供給することにより、ウエハ1の温度が低い温度範囲のままであっても、アンモニアガス71をウエハに堆積させることができる。
【0028】
このアンモニアガス71をプラズマ励起することによって活性種72として処理室32に供給しているときに、図6に示されているように、ガス供給管38の上流側開閉弁41が開かれるとともに、下流側開閉弁43が閉められることにより、プラズマ励起の必要のないジクロロシランガス73がガス溜め42へ流される。これにより、ジクロロシランガス73が上流側開閉弁41と下流側開閉弁43との間に設けたガス溜め42に溜まる。
このとき、処理室32に流れているガスはアンモニアガス71をプラズマ励起することにより得られた活性種72であり、処理室32内にはジクロロシランガス73は存在しない。したがって、アンモニアガス71は気相反応を起こすことはなく、プラズマによって励起されて活性種72となったアンモニアガス71は、ウエハ1の上の下地膜と表面反応する。
【0029】
第二ステップにおいては、図7に示されているように、ガス供給管50の開閉弁53が閉められて、アンモニアガス71の供給は停止される。
他方、ジクロロシランガス73のガス溜め42への供給は継続される。所定圧かつ所定量のジクロロシランガス73がガス溜め42に溜まったら、上流側開閉弁41も閉められる(図3参照)。これにより、ジクロロシランガス73がガス溜め42に閉じ込められる。ジクロロシランガス73は圧力が20000Pa以上になるようにガス溜め42内に溜められる。
また、ガス溜め42と処理室32との間のコンダクタンスが1.5×10-33 /s以上になるように、可変流量制御弁40および開閉弁41、43と可変流量制御弁37とがコントローラ60によって制御される。
さらに、処理室32の容積とこれに対する必要なガス溜め42の容積との比として考えると、処理室32の容積が100l(リットル)の場合においては、ガス溜め42の容積は100〜300ccであることが好ましく、容積比としてはガス溜め42は処理室32の容積の1/1000〜3/1000倍とすることが好ましい。
そして、図7に示されているように、排気管35の可変流量制御弁37は開いたままにして、処理室32を真空ポンプ36によって20Pa以下に排気することにより、残留したアンモニアガス71を処理室32から排除する。この際に、窒素ガス等の不活性ガスを処理室32に供給すると、残留したアンモニアガス71を処理室32からより一層効果的に排除することができる。
【0030】
第三ステップにおいては、処理室32の排気が終わったら、図8に示されているように、排気管35の可変流量制御弁37が閉じられて、排気が停止されるとともに、ガス供給管38の下流側開閉弁43が開かれる。これにより、ガス溜め42に溜められたジクロロシランガス73が処理室32に一気に供給される。このとき、排気管35の可変流量制御弁37が閉じられているので、処理室32内の圧力は急激に上昇して、約931Pa(7Torr)まで昇圧する。
ジクロロシランガス73を供給するための時間は2〜4秒に設定し、その後、上昇した圧力雰囲気中に晒す時間を2〜4秒に設定し、合計6秒とする。このときのウエハの温度はアンモニアガス71の供給時と同じく、300〜600℃である。
このジクロロシランガス73の供給によって、ウエハ1の下地膜の上のアンモニアガス71とジクロロシランガス73とが表面反応して、シリコン窒化膜がウエハ1の上に形成される。
図示は省略するが、成膜後には下流側開閉弁43が閉じられるとともに、可変流量制御弁37が開けられて、処理室32が真空排気され、成膜に寄与した後に残留したジクロロシランガス73が排除される。このときに窒素ガス等の不活性ガスを処理室32に供給すると、成膜に寄与した後に残留したジクロロシランガス73を処理室32からより一層効果的に排除することができる。
そして、上流側開閉弁41が開かれて、第一ステップのガス溜め42へのジクロロシランガス73の供給が開始される。
【0031】
以上の第一ステップ〜第三ステップが1サイクルとされ、このサイクルが複数回繰り返されることにより、所定の膜厚のシリコン窒化膜がウエハ1の上に形成される。
【0032】
ところで、ALD法においては、原料ガスは下地膜表面に吸着する。この原料ガスの吸着量は、原料ガスの圧力および原料ガスの暴露時間に比例する。したがって、所望する一定量の原料ガスを短時間で吸着させるためには、原料ガスの圧力を短時間で上昇させる必要がある。
本実施の形態においては、可変流量制御弁37を閉じたうえで、ガス溜め42に溜めたジクロロシランガス73を瞬間的に処理室32に供給しているので、処理室32のジクロロシランガス73の圧力を急激に上昇させることができ、所望する一定量のジクロロシランガス73を瞬間的に吸着させることができる。
【0033】
しかも、本実施の形態では、ジクロロシランガス73をガス溜め42に溜めるための特別なステップ(時間)を必要としない。なぜならば、アンモニアガス71をプラズマ励起することによって活性種72として供給しつつ処理室32を排気している間に、ガス溜め42にジクロロシランガス73を並行して溜めているからである。
また、処理室32内を排気してアンモニアガス71を除去してからジクロロシランガス73を処理室32に供給するので、アンモニアガス71とジクロロシランガス73とはウエハ1に向かう途中で反応しない。つまり、処理室32に供給されたジクロロシランガス73は、ウエハ1に予め吸着したアンモニアガス71だけと有効に反応する。
【0034】
ところで、図9(a)に示されているように、一対の放電電極57、57が一端で開放している場合には、電線線路のインピーダンスと整合していないために、図9(b)に示されているように、電圧定在波が発生する。そのため、電圧振幅は一対の放電電極57、57の先端部において大きく、高周波電源58に近づくにつれて減少し、ある点で最小値となり、その後、再び増大する。
この一対の放電電極57、57の場所による電圧振幅の違いはプラズマ強度の場所による変化を発生するために、前述したALD方法において、積層した複数枚のウエハを均一に処理することができない。
【0035】
本実施の形態に係るALD装置10においては、一対の放電電極57、57の上端間に接続された可変インピーダンス素子62によってインピーダンスを変更することができるので、高周波電源58の出力周波数を変化させることにより、電圧分布を図4(c)に示された曲線A−B−Cのように変化させることができる。
プラズマ放電中に、高周波電源58の出力周波数を変化させ、電圧分布の極小点を移動させることにより、一対の放電電極57、57内でのプラズマ生成量を均一化させることができる。好適には、プラズマ放電中、ずっと出力周波数を変化させ続ける。
【0036】
また、出力周波数の変化の速度は電気的に変更可能である。出力周波数の変化量は、コイル64との兼ね合いに応じて決定される。
【0037】
今、高周波電源58の出力周波数と可変インピーダンス素子62との並列共振周波数が一致している場合を考える。
この場合には、可変インピーダンス素子62は並列共振しており、可変インピーダンス素子62は高インピーダンスになるため、電圧分布は図4(c)の実線曲線Bになる。この場合の電圧分布は、一対の放電電極57、57間に可変インピーダンス素子62を接続していない場合(図9参照)と同様である。
次に、高周波電源58の出力周波数が可変インピーダンス素子62の並列共振周波数よりも低い場合を考える。
この場合には、可変インピーダンス素子62は誘導性(図4(d)参照)になるために、電圧分布は図4(c)の鎖線曲線Cになる。
次に、高周波電源58の出力周波数が可変インピーダンス素子62の並列共振周波数よりも高い場合を考える。
この場合には、可変インピーダンス素子62は容量性(図4(d)参照)になるために、電圧分布は図4(c)の破線曲線Aになる。
【0038】
尚、いずれの出力周波数であっても適用可能だが、縦型装置では、基板積載方向における基板領域の長さ(ボート全長)が1/2波長以下の長さであるとき、特に有効となる。
周波数を大きくするとプラズマ密度が上がる一方、波長が短くなり、各基板間における処理の均一性が低下する。
【0039】
詳細を以下に説明する。
まず、基板積載方向における基板領域の長さ(ボート全長)が1/2波長以上の長さである場合には、基板領域(ボート全長)内での電圧振幅の差は小さく、電圧分布の極小点を基板領域外に位置させる(基板領域に波のフラット部分を割り当てる)ことにより、一対の放電電極内でのプラズマ生成量を均一化させることが出来る。
例えば、波長λ、光速c(c=3×10m/s)、周波数fの関係は、λ=c/fであり、周波数f=13.56MHzの場合、波長λはλ=22.1mとなる。従って、1/2波長は11.1m、1/4波長は、1/4λ=5.5mである。基板積載方向における基板領域の長さ(ボート全長)が11.1m以下であれば、出力周波数を変動させることなく均一処理を行うことが可能である。
【0040】
次に、基板積載方向における基板領域の長さ(ボート全長)が1/2波長以下の長さである場合は、プラズマ生成中に出力周波数を変動させることにより電圧分布の極小点を移動させることにより、一対の放電電極内でのプラズマ生成量を均一化させることが出来る。
例えば、周波数f=27.12MHzの場合、波長λは11.1m、1/2波長は5.5m、1/4波長は2.8mとなる。さらに、周波数f=40.68MHzの場合、波長λは7.4m、1/2波長は3.7m、1/4波長は1.8mとなる。従って、基板積載方向における基板領域の長さ(ボート全長)が、使用する出力周波数が27.12MHzの場合は5.5m以下、40.68MHzの場合は3.7m以下であるとき、プラズマを生成している間に電圧分布の極小点を移動させ続けることで、一対の放電電極内でのプラズマ生成量を均一化させることが出来る。
【0041】
前記実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0042】
1) 一対の放電電極の開放端間に可変インピーダンス素子を接続することにより、プラズマ放電中に、高周波電源の出力周波数を変化させ、電圧分布の極小点を移動させることができるので、一対の放電電極内でのプラズマ生成量を均一化させることができる。
【0043】
2) 一対の放電電極内でのプラズマ生成量を均一化することにより、ボートに積層したウエハ相互間の処理のばらつきを抑制し、プラズマ処理をボート全長にわたって均一化することができる。
【0044】
3) プラズマ処理をボート全長にわたって均一化することにより、ALD装置によるALD法ひいてはICの製造方法の歩留りを向上させることができるとともに、ICの品質および信頼性を向上させることができる。
【0045】
4)また、プラズマ処理をボート全長にわたって均一化することにより、低温による処理を求められるALD装置において、低温で安定した処理を行うことが可能となる。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更が可能であることはいうまでもない。
【0046】
例えば、可変インピーダンス素子は可変コンデンサおよびコイルによって構成するに限らない。
【0047】
前記実施の形態では、ジクロロシランとアンモニアとを交互に供給してシリコン窒化膜を低温下で適正かつ精密に形成する場合について説明したが、ALD装置は、キャパシタの静電容量部のTa25 膜に介在したカーボンを除去する場合、その他の膜種に介在した異物(その膜種以外の分子や原子等)を除去する場合、ウエハにALD膜を形成する場合、拡散する場合、熱処理する場合等に適用することができる。
例えば、ICの一例であるDRAMのゲート電極用の酸化膜を窒化する処理において、ガス供給管に窒素ガスまたはアンモニアガスまたは一酸化窒素(N2 O)を供給し、処理室を室温〜750℃に加熱することにより、酸化膜の表面を窒化することができた。
また、シリコンゲルマニウム(SiGe)膜が形成される前のシリコンウエハの表面を水素(H2 )ガスの活性粒子によってプラズマ処理したところ、自然酸化膜を除去することができ、所望のSiGe膜を形成することができた。
【0048】
また、前記実施の形態ではALD装置について説明したが、本発明はこれに限らず、他のCVD装置、酸化膜形成装置、拡散装置およびアニール装置等の基板処理装置全般に適用することができる。
【0049】
前記実施の形態ではウエハに処理が施される場合について説明したが、処理対象はホトマスクやプリント配線基板、液晶パネル、コンパクトディスクおよび磁気ディスク等であってもよい。
【0050】
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0051】
(付記1)
本発明の一態様によれば、積載した基板を収容する処理室と、処理ガスを基板に供給するガス供給系と、基板の積載方向に配置された一対の電極と、一対の電極に高周波電力を供給し、処理ガスを励起するためのプラズマを生成する高周波電源と、一対の電極における高周波電源と反対側先端部に接続された可変インピーダンス素子と、基板の処理中に、高周波電源の出力周波数を変化させる制御部とを備えることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0052】
(付記2)
好ましくは、一対の電極の形状は棒状であって、それぞれ一端が開放されている。
【0053】
(付記3)
好ましくは、一対の電極をそれぞれ覆うように配置され、上端が閉塞した一対の保護管を有し、一対の保護管の上端間にはそれぞれ気密封止された取付管を連結し、取付管内に可変インピーダンス素子を配置する。
【0054】
(付記4)
好ましくは、可変インピーダンス素子は、コイルと可変コンデンサを並列に配置した並列共振回路から構成され、両端が一対の電極にそれぞれ直列に接続される。
【0055】
(付記5)
好ましくは、制御部は、少なくともプラズマを生成する間は高周波電源の出力周波数を所定の間隔をおいて変化させ続けるように高周波電源を制御する。
【0056】
(付記6)
本発明の他の態様によれば、複数の基板を積層載置して収容し、基板の処理空間を形成する反応管と、基板の積層方向に複数の小穴が設けられ、反応管の壁の一部とともに処理ガスのバッファ空間を形成する壁部材と、バッファ空間に連通し、処理ガスをバッファ空間内に供給するガス供給手段と、バッファ空間内に配置され、反応ガスの活性化領域を形成する一対の電極部材と、一対の電極に高周波電力を供給し、処理ガスを活性化するためのプラズマを生成する高周波電源とを有し、ガス供給手段から供給されたガスが、バッファ空間内で活性化され、複数の小穴を通って、処理空間に導入し、基板を処理する基板処理装置であって、一対の電極における高周波電源と反対側先端部に接続された可変インピーダンス素子と、基板の処理中に、高周波電源の出力周波数を変化させる制御部とを備えることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0057】
(付記7)
好ましくは、一対の電極の形状は棒状であって、それぞれ一端が開放されていることを特徴とする。
【0058】
(付記8)
好ましくは、一対の電極をそれぞれ覆うように配置され、上端が閉塞した一対の保護管を有し、一対の保護管の上端間にはそれぞれ気密封止された取付管を連結し、取付管内に可変インピーダンス素子を配置する。
【0059】
(付記9)
好ましくは、可変インピーダンス素子は、コイルと可変コンデンサを並列に配置した並列共振回路から構成され、両端が一対の電極にそれぞれ直列に接続される。
【0060】
(付記10)
好ましくは、制御部は、少なくともプラズマを生成中は高周波電源の出力周波数を所定の間隔をおいて変化させ続けるように高周波電源を制御する。
【0061】
(付記11)
本発明の他の態様によれば、基板が収容される反応管であって、内部空間が、基板に所望の膜が形成される成膜空間とプラズマが生成されるプラズマ生成空間とに区画される反応管と、成膜空間に第1の処理ガスを供給する第1のガス供給系と、プラズマ生成空間に第2の処理ガスを供給する第2のガス供給系と、プラズマ生成空間に配置された一対の電極と、一対の電極に高周波電力を供給し、第2の処理ガスを励起するためのプラズマを生成する高周波電源と、一対の電極における高周波電源と反対側先端部に接続された可変インピーダンス素子と、少なくとも第1のガス供給系、第2のガス供給系及び高周波電源を制御する制御部とを有する基板処理装置であって、制御部は、第1のガス供給系、第2のガス供給系及び高周波電源を制御して、第1の処理ガスとプラズマにより励起された第2の処理ガスとを交互に供給して基板の表面に膜を形成し、プラズマを生成中に、高周波電源の出力周波数を変化させることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0062】
(付記12)
好ましくは、一対の電極の形状は棒状であって、それぞれ一端が開放されている。
【0063】
(付記13)
好ましくは、一対の電極をそれぞれ覆うように配置され、上端が閉塞した一対の保護管を有し、一対の保護管の上端間にはそれぞれ気密封止された取付管を連結し、取付管内に可変インピーダンス素子を配置する。
【0064】
(付記14)
好ましくは、可変インピーダンス素子は、コイルと可変コンデンサを並列に配置した並列共振回路から構成され、両端が前記一対の電極にそれぞれ直列に接続される。
【0065】
(付記15)
好ましくは、制御部は、少なくともプラズマを生成中は高周波電源の出力周波数を所定の間隔をおいて変化させ続けるように高周波電源を制御する。
【0066】
(付記16)
本発明の他の態様によれば、基板を処理室に搬入する搬入工程と、第1の処理ガスに基板を曝して基板を処理する第1の基板処理工程と、第1の処理ガスを排気する第1の排気工程と、高周波電源から一対の電極に高周波電力を印加することによりプラズマ励起された第2の処理ガスに基板を曝して基板を処理する第2の基板処理工程と、第2の処理ガスを排気する第2の排気工程と、基板を処理室から搬出する搬出工程とを有する半導体装置の製造方法であって、第1の基板処理工程、第1の排気工程、第2の基板処理工程及び第2の排気工程を複数回交互に繰り返すことによって基板の表面に膜を形成し、第2の基板処理工程において高周波電源の出力周波数を変化させることを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0067】
(付記17)
好ましくは、第2の基板処理工程では、高周波電源の出力周波数を所定の周期で複数回変化させる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態であるALD装置を示す一部省略斜視図である。
【図2】その主要部を示す正面断面図である。
【図3】図2のIII-III 線に沿う回路図付き平面断面図である。
【図4】(a)はインピーダンス素子を通る側面断面図であり、(b)は可変インピーダンス素子の等価回路図、(c)は電圧分布図、(d)は並列共振回路の周波数に対するインピーダンス変化を示すグラフである。
【図5】成膜処理時を示す側面断面図である。
【図6】ALD法の第一ステップを示す回路図付き平面断面図である。
【図7】ALD法の第二ステップを示す回路図付き平面断面図である。
【図8】ALD法の第三ステップを示す回路図付き平面断面図である。
【図9】比較例を示しており、(a)はインピーダンス素子を通る側面断面図であり、(b)は電圧分布図である。
【符号の説明】
【0069】
1…ウエハ(被処理基板)、2…カセット、
10…ALD装置(バッチ式縦形ホットウオール形リモートプラズマ処理装置)、11…筐体、12…カセット授受ユニット、13…カセットステージ、14…ウエハ姿勢整合装置、15…カセット棚、16…予備カセット棚、17…カセット移載装置、18…ロボットアーム、19…ウエハ移載装置、20…ウエハ保持部、21…ウエハ保持プレート、22…ボートエレベータ、23…アーム、24…シールキャップ、24a…シールリン
グ、 25…ボート、25a、25b…端板、25c…保持部材、25d…保持溝、26…断熱キャップ部、27…回転軸、28…回転駆動装置、29…支持板、30…処理炉、31…プロセスチューブ、32…処理室、33…炉口、34…ヒータユニット、35…排気管、36…真空ポンプ、37…可変流量制御弁、38…ガス供給管(ガス供給系)、39…ガス供給源、40…可変流量制御弁、41…上流側開閉弁、42…ガス溜め、43…下流側開閉弁、44…隔壁、45…ガス供給室、46…吹出口、 47…隔壁、48…プラズマ室、49…吹出口、50…ガス供給管(ガス供給系)、51…ガス供給源、52…可変流量制御弁、53…開閉弁、54…ノズル、55…ガス供給口、56…保護管、57…放電電極、58…高周波電源、59…整合器、60…コントローラ、61…取付管、62…可変インピーダンス素子、63…並列共振回路、64…コイル、65…可変コンデンサ、71…アンモニアガス、72…活性種、73…ジクロロシランガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載した基板を収容する処理室と、
処理ガスを前記基板に供給するガス供給系と、
前記基板の積載方向に配置された一対の電極と、
前記一対の電極に高周波電力を供給し、前記処理ガスを励起するためのプラズマを生成する高周波電源と、
前記一対の電極における前記高周波電源と反対側先端部に接続された可変インピーダンス素子と、
前記基板の処理中に、前記高周波電源の出力周波数を変化させる制御部と、
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記一対の電極の形状は棒状であって、それぞれ一端が開放されていることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、少なくとも前記プラズマを生成する間は前記高周波電源の出力周波数を所定の間隔をおいて変化させ続けるように前記高周波電源を制御することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
基板が収容される反応管であって、内部空間が、基板に所望の膜が形成される成膜空間とプラズマが生成されるプラズマ生成空間とに区画される前記反応管と、
前記成膜空間に第1の処理ガスを供給する第1のガス供給系と、
前記プラズマ生成空間に第2の処理ガスを供給する第2のガス供給系と、
前記プラズマ生成空間に配置された一対の電極と、
前記一対の電極に高周波電力を供給し、前記第2の処理ガスを励起するためのプラズマを生成する高周波電源と、
前記一対の電極における前記高周波電源と反対側先端部に接続された可変インピーダンス素子と、
少なくとも前記第1のガス供給系、前記第2のガス供給系及び前記高周波電源を制御する制御部と、
を有する基板処理装置であって、

前記制御部は、前記第1のガス供給系、前記第2のガス供給系及び前記高周波電源を制御して、前記第1の処理ガスと前記プラズマにより励起された前記第2の処理ガスとを交互に供給して前記基板の表面に膜を形成し、前記プラズマを生成中に前記高周波電源の出力周波数を変化させることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
基板を処理室に搬入する搬入工程と、
第1の処理ガスに前記基板を曝して前記基板を処理する第1の基板処理工程と、
前記第1の処理ガスを排気する第1の排気工程と、
高周波電源から一対の電極に高周波電力を印加することによりプラズマ励起された第2の処理ガスに前記基板を曝して前記基板を処理する第2の基板処理工程と、
前記第2の処理ガスを排気する第2の排気工程と、
前記基板を処理室から搬出する搬出工程と、
を有する半導体装置の製造方法であって、前記第1の基板処理工程、前記第1の排気工程、前記第2の基板処理工程及び前記第2の排気工程を複数回交互に繰り返すことによって前記基板の表面に膜を形成し、前記第2の基板処理工程において前記高周波電源の出力周波数を変化させることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−209447(P2009−209447A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320353(P2008−320353)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】