説明

基板処理装置

【課題】被処理基板の適切な回転数による処理を最適にし、膜厚の均一化を図り、膜質の低下を抑制し、かつ、ミストの基板への再付着を防止すること。
【解決手段】ウエハWを保持するスピンチャック40と、スピンチャック40を回転駆動するモータ41と、ウエハにレジスト液を供給するレジストノズル42と、スピンチャックを収容する上端が開口した処理容器43と、処理容器の底部から排気する排気手段44と、を具備する基板処理装置において、処理容器の内周側に配設され、ウエハの表面側の気流を排気手段側に流す多翼遠心ファン50と、モータと多翼遠心ファンの駆動電源51aとに接続され、ウエハの回転数に対応して多翼遠心ファンの回転数を制御するコントローラと、を具備する。コントローラからの制御信号により多翼遠心ファンを回転して、ウエハの回転により生ずるウエハ表面上の周方向に流れる乱気流を、放射方向に流れる層気流に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば半導体ウエハやLCDガラス基板等の基板に処理液を供給して処理を施す基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィ技術では、基板例えば半導体ウエハ(以下にウエハという)の表面に塗布液であるレジスト液を塗布し、これにより形成されたレジスト膜を所定の回路パターンに応じて露光し、この露光パターンを現像処理することによりレジスト膜に所望の回路パターンを形成する、一連の工程によって行われている。
【0003】
一般に、レジスト塗布装置や現像処理装置においては、スピナー方式が採用されており、レジスト液や現像液等の処理液をウエハ表面に供給(吐出、滴下)し、ウエハを回転してウエハ表面に処理液膜を形成して、処理を施している。この際、ウエハを収容する処理容器の下部から排気している。
【0004】
しかし、特に大型ウエハ(例えば、300mmより大きなサイズのウエハ)においては、プロセス処理に適正な回転で処理が行えなくなることや、処理容器の大型化に伴って一様な排気が行えず、処理中に発生するミストのウエハへの再付着の問題がある。
【0005】
また、レジスト塗布においては、更に適切な回転を行うと、高速回転に伴ってウエハの外周部の周速度が速くなり、低速回転時にウエハの放射方向に流れる層流域と、高速回転時にウエハの周方向に流れる乱流域の境界に膜厚を乱して膜質を低下させる領域が出現する。すなわち、層流と乱流の境界域では、周方向流でエクマン螺旋渦が発生し、このエクマン螺旋渦が膜厚を乱して膜質を低下させている。
【0006】
従来では、処理容器の内周に、ウエハ側が開放した環状リング部を設け、この環状リング部に、ウエハの回転方向から外方に沿って多数の放射状のフィンを有する多翼遠心ファンを配設して、ミストのウエハへの再付着を防止している(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平4−303919号公報(特許請求の範囲、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術においては、ウエハの適切な回転数による処理を行うことができず、膜厚の乱れによる膜質の低下は解決できないという問題があった。
【0008】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、基板の適切な回転数による処理を最適にすることができ、膜厚の均一化が図れると共に、膜質の低下を抑制し、かつ、ミストの基板への再付着を防止できるようにした基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、この発明の基板処理装置は、被処理基板を回転可能に保持する保持手段と、この保持手段を回転駆動する回転手段と、上記保持手段に保持された被処理基板に処理液を供給する処理液供給ノズルと、上記保持手段を収容する上端が開口した処理容器と、この処理容器の底部から排気する排気手段と、を具備する基板処理装置において、 上記処理容器の内周側に配設され、被処理基板の表面側の気流を上記排気手段側に流す多翼遠心ファンと、 上記回転手段と多翼遠心ファンの駆動部とに接続され、上記回転手段による被処理基板の回転数に対応して多翼遠心ファンの回転数を制御する制御手段と、を具備し、 上記制御手段からの制御信号を上記多翼遠心ファンに伝達して、上記被処理基板の回転により生ずる被処理基板表面上の周方向に流れる乱気流を、放射方向に流れる層気流に補正可能に形成してなる、ことを特徴とする(請求項1)。
【0010】
このように構成することにより、被処理基板の回転数に対応して多翼遠心ファンの回転数を制御することができるので、被処理基板の回転に伴って処理容器内で発生する気流の量に合わせた適切な量の排気を行うことができ、被処理基板の高速回転時に生じる被処理基板の周方向に流れる乱気流を、被処理基板の放射方向(半径方向)に流れる層気流に補正することができる。また、被処理基板の回転に伴って処理容器内で発生する気流の量に合わせた適切な量の排気を行うことで、ミストを効率よく回収することができる。
【0011】
この発明において、上記多翼遠心ファンを上記保持手段に保持された被処理基板の表面を含む高さ位置に配設する方が好ましい(請求項2)。
【0012】
このように構成することにより、被処理基板の表面上に生じる乱気流を、効率よく被処理基板の放射方向に流れる層気流に補正することができる。
【0013】
また、上記多翼遠心ファンは、上記処理容器の内周側に配設される環状電磁コイルと、多数の放射状のフィンを有するファン本体と、このファン本体の外周に装着され、上記環状電磁コイルの内方側に対峙する環状磁石と、上記処理容器の内周側にスラスト軸受けを介して上記ファン本体を回転自在に支持する支持体と、を具備し、かつ、上記処理容器の内周面に突設される載置部に載置されている方が好ましい(請求項3)。この場合、上記環状電磁コイルを装着するコイル保持体を更に具備し、このコイル保持体と、上記ファン本体,環状磁石,スラスト軸受け及び支持体とを、それぞれ処理容器に対して着脱可能に形成する方が好ましい(請求項4)。
【0014】
このように構成することにより、別途に多翼遠心ファンのモータを設ける必要がなくなる(請求項3)。この場合、環状電磁コイルを装着するコイル保持体と、ファン本体,環状磁石,スラスト軸受け及び支持体とを、それぞれ処理容器に対して着脱可能に形成することにより、多翼遠心ファンを構成する部品の処理容器への取り付け及び取り外しを可能にすることができる(請求項4)。
【発明の効果】
【0015】
以上に説明したように、この発明の基板処理装置は、上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0016】
(1)請求項1記載の発明によれば、被処理基板の回転数に対応して多翼遠心ファンの回転数を制御することにより、被処理基板の高速回転時に生じる被処理基板の周方向に流れる乱気流を、被処理基板の放射方向(半径方向)に流れる層気流に補正することができるので、被処理基板表面に形成される膜厚の均一化が図れると共に、膜質の低下を抑制することができる。また、被処理基板の回転に伴って処理容器内で発生する気流の量に合わせた適切な量の排気を行うことで、ミストを効率よく回収することができるので、ミストの被処理基板への再付着を防止することができる。
【0017】
(2)請求項2記載の発明によれば、被処理基板の表面上に生じる乱気流を、効率よく被処理基板の放射方向に流れる層気流に補正することができるので、上記(1)に加えて、更に被処理基板表面に形成される膜厚の均一化が図れると共に、膜質の低下を抑制することができ、かつ、ミストの被処理基板への再付着を防止することができる。
【0018】
(3)請求項3記載の発明によれば、別途に多翼遠心ファンのモータを設ける必要がないので、上記(1),(2)に加えて、更に装置の小型化が図れる。
【0019】
(4)請求項4記載の発明によれば、多翼遠心ファンを構成する部品の処理容器への取り付け及び取り外しを可能にすることができるので、上記(3)に加えて、更に多翼遠心ファン及び処理容器の保守・点検を容易にすることができ、装置の信頼性の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、この発明の最良の実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。ここでは、この発明に係る基板処理装置を半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理装置に適用した場合について説明する。
【0021】
図1は、上記レジスト塗布・現像処理装置の一例を示す概略平面図、図2は、同概略斜視図、図3は、同概略断面図である。
【0022】
上記レジスト塗布・現像処理装置は、被処理基板である半導体ウエハW(以下にウエハWという)が例えば13枚密閉収容されたキャリア20を搬入出するためのキャリアブロックS1と、複数個例えば5個の単位ブロックB1〜B5を縦に配列して構成された処理ブロックS2と、露光装置S4との間でウエハWを受け渡しするインターフェースブロックS3と、を備えている。
【0023】
上記キャリアブロックS1には、複数個(例えば4個)のキャリア20を載置可能な載置台21と、この載置台21から見て前方の壁面に設けられる開閉部22と、開閉部22を介してキャリア20からウエハWを取り出すためのトランスファーアームCとが設けられている。このトランスファーアームCは、後述する基板収納部を構成する棚ユニットU5に設けられた受渡しステージTRS1,TRS2との間でウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、並びに鉛直軸回りに回転自在に移動自在に構成されている。
【0024】
キャリアブロックS1の奥側には筐体24にて周囲を囲まれる処理ブロックS2が接続されている。処理ブロックS2は、この例では、下方側から、下段側の2段が現像処理を行うための第1及び第2の単位ブロック(DEV層)B1,B2、レジスト膜の下層側に形成される反射防止膜(以下「第1の反射防止膜」という)の形成処理を行うための第1の反射防止膜形成用単位ブロックである第3の単位ブロック(BCT層)B3、レジスト液の塗布処理を行うための塗布膜形成用単位ブロックである第4の単位ブロック(COT層)B4、レジスト膜の上層側に形成される反射防止膜(以下「第2の反射防止膜」という)の形成処理を行うための第2の反射防止膜形成用単位ブロックである第5の単位ブロック(TCT層)B5として割り当てられている。ここで上記DEV層B1,B2が現像処理用の単位ブロック、TCT層B3、COT層B4、BCT層B5が塗布膜形成用の単位ブロックに相当する。
【0025】
次に、第1〜第5の単位ブロックB(B1〜B5)の構成について説明する。これら各単位ブロックB1〜B5は、前面側に配設され、ウエハWに対して薬液を塗布するための液処理ユニットと、背面側に配設され、上記液処理ユニットにて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種の加熱ユニット等の処理ユニットと、前面側に配設される上記液処理ユニットと背面側に配設される加熱ユニット等の処理ユニットとの間でウエハWの受け渡しを行うための専用の基板搬送手段であるメインアームA1,A3〜A5と、を備えている。
【0026】
これら単位ブロックB1〜B5は、この例では、各単位ブロックB1〜B5の間で、上記液処理ユニットと、加熱ユニット等の処理ユニットと、搬送手段との配置レイアウトが同じに形成されている。ここで、配置レイアウトが同じであるとは、各処理ユニットにおけるウエハWを載置する中心つまり液処理ユニットにおけるウエハWの保持手段であるスピンチャックの中心や、加熱ユニットにおける加熱プレートや冷却プレートの中心が同じという意味である。
【0027】
上記DEV層B1,B2は同様に構成されており、この場合、共通に形成されている。このDEV層B1,B2は、DEV層B1,B2のほぼ中央には、DEV層B1,B2の長さ方向(図中Y方向)に、キャリアブロックS1とインターフェースブロックS3とを接続するためのウエハWの搬送領域R1(メインアームA1の水平移動領域)が形成されている(図3参照)。
【0028】
この搬送領域R1のキャリアブロックS1側から見た両側には、手前側(キャリアブロックS1側)から奥側に向かって右側に、上記液処理ユニットとして、現像処理を行うための複数個の現像処理部を備えた現像ユニット31が例えば2段設けられている。各単位ブロックは、手前側から奥側に向かって左側に、順に加熱系のユニットを多段化した例えば4個の棚ユニットU1,U2,U3,U4が設けられており、図4では、現像ユニット31にて行なわれる処理の前処理及び後処理を行なうための各種ユニットを複数段、例えば3段ずつに積層した構成とされている。このようにして上記搬送領域R1によって現像ユニット31と棚ユニットU1〜U4が区画されており、搬送領域R1に洗浄エアを噴出させて排気することにより、当該領域内のパーティクルの浮遊を抑制するようになっている。
【0029】
上述の前処理及び後処理を行うための各種ユニットの中には、例えば図4に示すように、露光後のウエハWを加熱処理するポストエクスポージャーベーキングユニットなどと呼ばれている加熱ユニット(PEB1)や、現像処理後のウエハWの水分を飛ばすために加熱処理するポストベーキングユニット等と呼ばれている加熱ユニット(POST1)等が含まれている。これら加熱ユニット(PEB1、POST1)等の各処理ユニットは、それぞれ処理容器35内に収容されており、棚ユニットU1〜U4は、上記処理容器が3段ずつ積層されて構成され、各処理容器の搬送領域R1に臨む面にはウエハ搬出入口36が形成されている。
【0030】
また、上記塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5は、基本的には、いずれも同様に構成されており、上述の現像処理用の単位ブロックB1,B2と同様に構成されている。具体的にCOT層B4を例にして図1,図3及び図4を参照して説明すると、液処理ユニットとしてウエハWに対してレジスト液の塗布処理を行うための塗布ユニット32が設けられ、COT層B4の棚ユニットU1〜U4には、レジスト液塗布後のウエハWを加熱処理する加熱ユニット(CLHP4)や、レジスト液とウエハWとの密着性を向上させるための疎水化処理ユニット(ADH)を備えており、DEV層B1,B2と同様に構成されている。すなわち、塗布ユニット32と加熱ユニット(CLHP4)及び疎水化処理ユニット(ADH)とをメインアームA4の搬送領域R4(メインアームA4の水平移動領域)によって区画するように構成されている。そして、このCOT層B4では、メインアームA4により、棚ユニットU5の受渡しステージTRS1と、塗布ユニット32と、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットと、に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。なお、上記疎水化処理ユニット(ADH)は、HMDS雰囲気内でガス処理を行なうものであるが、塗布膜形成用の単位ブロックB3〜B5のいずれかに設けられればよい。
【0031】
また、BCT層B3は、液処理ユニットとして、ウエハWに対して第1の反射防止膜の形成処理を行うための第1の反射防止膜形成ユニット33が設けられ、棚ユニットU1〜U4には、反射防止膜形成処理後のウエハWを加熱処理する加熱ユニット(CLHP3)を備えており、COT層B4と同様に構成されている。すなわち、第1の反射防止膜形成ユニット33と加熱ユニット(CLHP3)とをメインアームA3の搬送領域R3(メインアームA3の水平移動領域)によって区画するように構成されている。そして、この第3の単位ブロックB3では、メインアームA3により、棚ユニットU5の受渡しステージTRS1と、第1の反射防止膜形成ユニット33と、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットと、に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0032】
また、TCT層B5は、液処理ユニットとして、ウエハWに対して第2の反射防止膜の形成処理を行うための第2の反射防止膜形成ユニット34が設けられ、棚ユニットU1〜U4には、反射防止膜形成処理後のウエハWを加熱処理する加熱ユニット(CLPH5)や、周辺露光装置(WEE)を備えている以外はCOT層B4と同様に構成されている。すなわち、第2の反射防止膜形成ユニット34と加熱ユニット(CLHP5)及び周辺露光装置(WEE)とをメインアームA5の搬送領域R5(メインアームA5の水平移動領域)によって区画するように構成されている。そして、このTCT層B5では、メインアームA5により、棚ユニットU5の受渡しステージTRS1と、第2の反射防止膜形成ユニット34と、棚ユニットU1〜U4の各処理ユニットと、に対してウエハWの受け渡しが行われるようになっている。
【0033】
上記搬送領域R1,R3〜R5には上記メインアームA1,A3〜A5が設けられている。このメインアームA1,A3〜A5は、DEV層B1,B2、BCT層B3、COT層B4及びTCT層B5内の全てのモジュール(ウエハWが置かれる場所)、例えば棚ユニットU1〜U4の各処理ユニット、現像ユニット31,塗布ユニット32,第1及び第2の反射防止膜形成ユニット33,34,棚ユニットU5の各部との間でウエハの受け渡しを行うように構成されており、このために水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0034】
なお、図4は、これら処理ユニットのレイアウトの一例を示すものであって、このレイアウトは便宜上のものであり、処理ユニットは加熱ユニット(CLHP、PEB、POST),疎水化処理装置(ADH),周縁露光装置(WEE)に限らず、他の処理ユニットを設けるようにしてもよいし、実際の装置では各処理ユニットの処理時間などを考慮してユニットの設置数が決められる。
【0035】
また、処理ブロックS2には、棚ユニットU5に設けられた受渡しステージTRS2とインターフェースブロックS3側の棚ユニットU6との間でウエハWの受け渡しを行う基板搬送手段であるシャトルアームAが水平のY方向に移動自在及び鉛直のZ方向に昇降自在に配設されている。
【0036】
なお、シャトルアームAの搬送領域と上記メインアームA1,A3〜A5の搬送領域R1,R3〜R5は、それぞれ区画されている。
【0037】
また、処理ブロックS2とキャリアブロックS1との間の領域は、ウエハWの受渡し領域R2となっていて、この領域R2には、図1に示すように、トランスファーアームCとメインアームA1,A3〜A5,シャトルアームAがアクセスできる位置に基板収納部である棚ユニットU5が設けられると共に、この棚ユニットU5に対してウエハWの受け渡しを行うための受渡しアームDを備えている。この場合、棚ユニットU5は、メインアームA1,A3〜A5,シャトルアームAの水平移動方向(Y方向)の軸線上に配置されており、メインアームA1,A3〜A5,シャトルアームAの進退方向(Y方向)に第1の開口部11を設けると共に、受渡しアームDの進退方向(X方向)に第2の開口部12を設けている。
【0038】
また、上記棚ユニットU5は、図3に示すように、各単位ブロックB1〜B5のメインアームA1,A3〜A5及びシャトルアームAとの間でウエハWの受け渡しを行うように、例えば2個の受渡しステージTRS1,TRS2を備えており、また、単位ブロックB1〜B5に対応すべく複数に区画された収納ブロック10a〜10dを備えると共に、各収納ブロック10a〜10dに、複数の載置棚BUF1,BUF2,BUF3、及びレジスト塗布前にウエハWを所定温度に調整するためや、反射防止膜形成処理前にウエハWを所定温度に調整するためや、露光処理後に加熱処理されたウエハWを所定温度に調整するための冷却プレートCPL1〜CPL6を備えている。
【0039】
なお、メインアームA1(A3〜A5)は、同様に構成されており、メインアームA4を代表して説明すると、例えば図1に示すように、ウエハWの裏面側周縁領域を支持するための2本の湾曲アーム片81を有するアーム本体80を備えている。そして、湾曲アーム片81は、X方向に進退自在,Y方向に移動自在,昇降自在及び鉛直軸回りに回転自在に構成され、棚ユニットU1〜U6の各ユニットや受渡しステージTRS1、液処理ユニットとの間でウエハWの受け渡しを行うことができるようになっている。このようなメインアームA4は、制御部70からの指令に基づいて図示しないコントローラにより駆動が制御される。また、メインアームA1(A3〜A5)の加熱ユニットでの蓄熱を防止するために、ウエハWの受け取り順番をプログラムで任意に制御できるようになっている。
【0040】
また、上記処理ブロックS2とインターフェースブロックS3の隣接する領域には、図3に示すように、メインアームA1,シャトルアームAがアクセスできる位置に棚ユニットU6が設けられている。この棚ユニットU6は、図3に示すように、各DEV層B1,B2のメインアームA1との間でウエハWの受け渡しを行うように、この例では各DEV層B1,B2は、2個の受渡しステージTRS3と、シャトルアームAとの間でウエハWの受け渡しを行う冷却機能を有する受渡しステージICPLを備えている。
【0041】
一方、処理ブロックS2における棚ユニットU6の奥側には、インターフェースブロックS3を介して露光装置S4が接続されている。インターフェースブロックS3には、処理ブロックS2のDEV層B1,B2の棚ユニットU6の各部と露光装置S4とに対してウエハWの受け渡しを行うためのインターフェースアームEを備えている。このインターフェースアームEは、処理ブロックS2と露光装置S4との間に介在するウエハWの搬送手段をなすものであり、この例では、上記DEV層B1,B2の受渡しステージTRS3,ICPLに対してウエハWの受け渡しを行うように、水平のX,Y方向及び鉛直のZ方向に移動自在、鉛直軸回りに回転自在に構成されている。
【0042】
上記のように構成されるレジスト塗布・現像処理装置では、5段に積層された各単位ブロックB1〜B5の間で、上述の受渡しアームDにより、それぞれ受渡しステージTRS1,TRS2を介して、自由にウエハWの受け渡しを行なうことができると共に、上述のインターフェースアームEにより、現像処理用の単位ブロックB1,B2を介して処理ブロックS2と露光装置S4との間でウエハWの受け渡しを行うことができるように構成されている。
【0043】
次に、上記のように構成されるレジスト塗布・現像処理装置におけるウエハWの処理態様について、図1〜図4を参照して説明する。なお、ここでは、棚ユニットU5の収納ブロック10a〜10dの最下段の第1収納ブロック10aには、2段の冷却プレートCPL9,CPL10が配置され、その上段の第2収納ブロック10bには、2段の冷却プレートCPL1,CPL2と複数の載置棚BUF1が配置され、その上段の第3収納ブロック10cには、2段の冷却プレートCPL3,CPL4と複数の載置棚BUF2が配置され、そして、その上段すなわち最上段の第4収納ブロック10dには、2段の冷却プレートCPL5,CPL6と複数の載置棚BUF3が配置される場合について説明する。
【0044】
反射防止膜無しの場合は、まず、外部からキャリア20がキャリアブロック21に搬入され、トランスファーアームCによりこのキャリア20内からウエハWが取り出される。ウエハWは、トランスファーアームCにより、棚ユニットU5の受渡しステージTRS1に搬送された後、受渡しアームDにより棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの冷却プレートCPL3まで搬送され、この冷却プレートCPL3を介してCOT層B4のメインアームA4に受け渡される。そして、ウエハWは、メインアームA4によって疎水化処理ユニット(ADH)に搬送されて疎水化処理された後、再び棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの冷却プレートCPL4に搬送されて、所定温度に調整される。次に、メインアームA4によって棚ユニットU5から取り出されたウエハWは、塗布ユニット32に搬送されて、塗布ユニット32においてレジスト膜が形成される。レジスト膜が形成されたウエハWは、メインアームA4によって加熱ユニット(CLHP4)に搬送されて、溶剤をレジスト膜から蒸発させるためのプリベークが施される。その後、ウエハWは、メインアームA4によって棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの載置棚BUF2上に収納されて一時待機し、その後、受渡しアームDが棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの載置棚BUF2に進入してウエハWを受け取り、棚ユニットU5の受渡しステージTRS2に受け渡す。続いてシャトルアームAにより棚ユニットU6の受渡しステージICPLに搬送される。次いで受渡しステージICPLのウエハWは、インターフェースアームEにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。
【0045】
露光処理後のウエハWは、インターフェースアームEにより、DEV層B1(又はDEV層B2)にウエハWを受け渡すために、棚ユニットU6の受渡しステージTRS3に搬送され、このステージTRS3上のウエハWは、DEV層B1(DEV層B2)のメインアームA1に受け取られ、当該DEV層B1(B2)にて、まず、加熱ユニット(PEB1)で加熱処理された後、メインアームA1によって棚ユニットU6の冷却プレートCPL7(CPL8)に搬送されて、所定温度に調整される。次いで、ウエハWは、メインアームA1によって棚ユニットU6から取り出されて現像ユニット31に搬送されて、現像液が塗布される。その後、メインアームA1によって加熱ユニット(POST1)に搬送され、所定の現像処理が行われる。このようにして現像処理が行われたウエハWは、トランスファーアームCにウエハWを受け渡すために、棚ユニットU5の第1収納ブロック10aの冷却プレートCPL9(CPL10)に搬送されて所定温度に調整された後、トランスファーアームCにより、キャリアブロックS1に載置されている元のキャリア20に戻される。
【0046】
レジスト膜の下側に反射防止膜を形成する場合は、ウエハWは、トランスファーアームCから受渡しアームDに受け渡された後、受渡しアームDにより棚ユニットU5の第2収納ブロック10bの冷却プレートCPL1まで搬送され、この冷却プレートCPL1を介してBCT層B3のメインアームA3に受け渡される。
【0047】
BCT層B3では、メインアームA3により、第1の反射防止膜形成ユニット33→加熱ユニット(CLHP3)→棚ユニットU5の第2収納ブロック10bの載置棚BUF1の順序で搬送されて、第1の反射防止膜が形成される。第2収納ブロック10b内の載置棚BUF1に載置されたウエハWは、受渡しアームDによって第3収納ブロック10cの冷却プレートCPL3(CPL4)に搬送されて、所定温度に温度調整される。
【0048】
続いて、第3収納ブロック10cのウエハWはメインアームA3により、塗布ユニット32→加熱ユニットCLHP4→棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの載置棚BUF2の順序で搬送されて、第1の反射防止膜の上層にレジスト膜が形成される。
【0049】
その後、受渡しアームDが棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの載置棚BUF2に進入してウエハWを受け取り、棚ユニットU5の受渡しステージTRS2に受け渡す。続いて、シャトルアームAにより棚ユニットU6の受渡しステージICPLに搬送される。続いて、受渡しステージICPLのウエハWは、インターフェースアームEにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。その後、上述と同様の工程により現像処理が行われる。
【0050】
レジスト膜の上側に反射防止膜を形成する場合は、ウエハWは、メインアームA4により、疎水化処理ユニット(ADH)→棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの冷却プレートCPL4に搬送されて、所定温度に調整された後、メインアームA4によって棚ユニットU5から取り出されたウエハWは、塗布ユニット32に搬送されて、塗布ユニット32においてレジスト膜が形成される。レジスト膜が形成されたウエハWは、メインアームA4によって加熱ユニット(CLHP4)に搬送されて、溶剤をレジスト膜から蒸発させるためのプリベークが施される。その後、ウエハWは、メインアームA4によって棚ユニットU5の第3収納ブロック10cの載置棚BUF2上に収納されて一時待機する。
【0051】
続いて、第3収納ブロック10cのウエハWは、受渡しアームDによって棚ユニットU5の第4収納ブロック10dの冷却プレートCPL5(CPL6)に搬送されて、所定温度に温度調整された後、メインアームA5によりTCT層B5のメインアームA5に受け渡される。そして、TCT層B5では、メインアームA5により、第2の反射防止膜形成ユニット34→加熱ユニット(CLHP5)→棚ユニットU5の第4収納ブロック10cの載置棚BUF3の順序で搬送されて、第2の反射防止膜が形成される。なお、この場合、加熱ユニット(CLHP5)による加熱処理後に周辺露光装置(WEE)に搬送して、周辺露光処理を行った後に、棚ユニットU5の第4収納ブロック10cの載置棚BUF3に搬送してもよい。
【0052】
その後、受渡しアームDが棚ユニットU5の第4収納ブロック10dの載置棚BUF3に進入してウエハWを受け取り、棚ユニットU5の受渡しステージTRS2に受け渡す。続いてシャトルアームAにより棚ユニットU6の受渡しステージICPLに搬送される。続いて受渡しステージICPLのウエハWは、インターフェースアームEにより露光装置S4に搬送され、ここで所定の露光処理が行われる。その後、上述と同様の工程により現像処理が行われる。
【0053】
なお、レジスト膜の下側及び上側に反射防止膜を形成する場合は、上述したレジスト膜の下側に反射防止膜を形成する搬送処理とレジスト膜の下側に反射防止膜を形成する搬送処理とを組み合わせてレジスト膜の下側及び上側に反射防止膜を形成することができる。
【0054】
以上において、上述の塗布・現像処理装置は、各処理ユニットのレシピの管理や、ウエハWの搬送フロー(搬送経路)のスケジュール管理や、各処理ユニットにおける処理や、メインアームA1,A3〜A5、トランスファーアームC、受渡しアームD、インターフェースアームEの駆動制御を行うコンピュータからなる制御部70を備えており、この制御部70にて、単位ブロックB1〜B5を使用してウエハWを搬送させ、処理が行われるようになっている。
【0055】
上記搬送フローのスケジュールは単位ブロック内のウエハWの搬送経路(搬送の順番)を指定したものであり、単位ブロックB1〜B5毎に、形成する塗布膜の種類に応じて作成され、これにより単位ブロックB1〜B5毎に複数個の搬送フローのスケジュールが制御部70に格納されている。
【0056】
また、形成する塗布膜によって、全ての単位ブロックB1〜B5にウエハWを搬送するモードと、現像処理を行なう単位ブロック(DEV層B1,B2)とレジスト液の塗布を行なう単位ブロック(COT層B4)と第1の反射防止膜を形成するための単位ブロック(BCT層B3)とにウエハWを搬送するモードと、現像処理を行なう単位ブロック(DEV層B1,B2)とレジスト液の塗布を行なう単位ブロック(COT層B4)と第2の反射防止膜を形成するための単位ブロック(TCT層B5)とにウエハWを搬送するモードと、現像処理を行なう単位ブロック(DEV層B1,B2)のみにウエハWを搬送するモードがあり、制御部70のモード選択手段により、形成しようとする塗布膜の種類に応じてウエハWを搬送する単位ブロックを選択すると共に、かつ選択された単位ブロック毎に用意された複数の搬送フローのスケジュールから最適なレシピを選択することにより、形成する塗布膜に応じて使用する単位ブロックが選択されて、当該単位ブロックでは、各処理ユニットやアームの駆動が制御され、一連の処理が行われるようになっている。
【0057】
このような塗布・現像処理装置では、各塗布膜形成用の単位ブロックと、現像処理用の単位ブロックとを異なるエリアに設け、それぞれに専用のメインアームA1,A3〜A5及びシャトルアームAを設けたので、これらアームA1,A3〜A5及びAの負荷が軽減する。このためアームA1,A3〜A5及びAの搬送効率が向上するので、効果としてスループットを高めることができる。
【0058】
次に、上記塗布ユニット32に、この発明に係る基板処理装置を適用した場合について、図5ないし図7を参照して詳細に説明する。
【0059】
図5は、この発明に係る基板処理装置であるレジスト塗布装置32を示す概略断面図、図6は、図5のI−I線に沿う断面図である。
【0060】
上記レジスト塗布装置32は、ウエハWを回転可能に保持する保持手段であるスピンチャック40と、このスピンチャック40を回転駆動する回転手段であるモータ41と、スピンチャック40に保持されたウエハWの表面に処理液例えばレジスト液を供給(吐出)する処理液供給ノズル42(以下にレジストノズル42という)と、ウエハWを収容する上端が開口した処理容器43と、この処理容器43の底部から排気する排気手段44と、処理容器43の内周側に配設され、ウエハWの表面側の気流を排気手段44側に流す多翼遠心ファン50と、を具備している。
【0061】
この場合、処理容器43は、スピンチャック40の回転軸40aを例えば磁性流体シール部材45を介在して回転自在に貫挿支持する円形基部43aと、この円形基部43aの外周に延在する環状片43bの先端から垂下する内周壁43cと、この内周壁43cの外周側に間隔をおいて位置する外周壁43dと、内周壁43cと外周壁43dの下端同士を連結する底部43eとからなる周溝部43fと、外周壁43dの内周面の中間部位から内方側に突設される環状の載置部43gと、を具備している。
【0062】
また、処理容器43の外周壁43dの上端部と載置部43gの上部には、多翼遠心ファン50が着脱可能に載置され、図示しない固定部材によって固定されている。
【0063】
なお、処理容器43の下部に垂下される支持部材46aによって支持される固定部材46にモータ41が固定されている。
【0064】
上記多翼遠心ファン50は、内周側に環状電磁コイル51を装着するコイル保持体52と、多数の放射状のフィン53を有するファン本体54と、このファン本体54の外周に装着され、環状電磁コイル51の内方側に対峙する環状永久磁石55と、スラスト軸受け56を介してファン本体54を水平回転自在に支持する円筒状の支持体57とで構成されている。
【0065】
また、環状電磁コイル51を装着するコイル保持体52と、ファン本体54,環状永久磁石55,スラスト軸受け56及び支持体57とは、それぞれ処理容器43に対して着脱可能に形成されている。
【0066】
この場合、コイル保持体52は、処理容器43の外周壁43dの上端に図示しない固定部材例えば固定ボルトによって固定される円筒状基部52aと、この円筒状基部52aの上端から内方に延在する内向きフランジ部52bとで構成されており、円筒状基部52aの内周面及び内向きフランジ部52bの基端側下面に、環状電磁コイル51が装着されている。この内向きフランジ部52bの内径はウエハWの外径より若干大きな寸法に形成されている。また、多翼遠心ファン50を処理容器43に取り付けた状態において、内向きフランジ部52bの下面が、多翼遠心ファン50のファン本体54の上面を覆っている。なお、処理容器43に多翼遠心ファン50を取り付けた状態において、処理容器43の開口側すなわちコイル保持体52の内向きフランジ部52bの上面には、中央部に給気口47aを有する蓋体47が被着されている。この蓋体47は図示しない昇降機構によって処理容器43に対して昇降可能に形成され、スピンチャック40へのウエハWの受け渡し時には処理容器43の上方に移動し、処理時には処理容器43の開口部に被着されている。
【0067】
上記のように構成される多翼遠心ファン50は、ファン本体54がスピンチャック40にて保持されているウエハWの表面を含む高さ位置に配設される。これにより、ウエハWの表面上に生じる乱気流を、効率よくウエハWの放射方向に流すことができる。
【0068】
また、スピンチャック40を駆動するモータ41と、多翼遠心ファン50の環状電磁コイル51を励磁する駆動電源51aは、それぞれ制御手段であるコントローラ60に電気的に接続されており、モータ41の回転数すなわちウエハWの回転数に対応して多翼遠心ファン50の回転数が制御されるように形成されている。この場合、多翼遠心ファン50の回転数は、ウエハWの回転数に比例するような設定を行うことが望ましい。また、ウエハWの回転数の2乗に比例する制御量を自動的に多翼遠心ファン50の回転数に設定する方法でもよい。
【0069】
また、処理容器43の周溝部43fの底部43eの外周側には、ドレイン口43hが設けられており、このドレイン口43hにドレイン管43iが接続されている。また、周溝部43fにおける複数箇所には貫通口43jが設けられており、これら貫通口43jに、開口端が若干上方に位置するように排気管路43kが嵌挿され、各排気管路43kは継手43mを介して排気手段例えば排気装置44に接続されている。
【0070】
なお、処理容器43の円形基部43aには、ウエハWの裏面内方側及び周縁側に向かってリンス液例えば純水を吐出するリンスノズル48が取り付けられている。
【0071】
上記のように構成されるレジスト塗布装置によれば、ウエハWの回転数に対応して多翼遠心ファン50の回転数を制御することができるので、ウエハWの回転に伴って処理容器43内で発生する気流の量に合わせた適切な量の排気を行うことができ、ウエハWの高速回転時に生じるウエハWの周方向に流れる乱気流を、ウエハWの放射方向(半径方向)に流れる層気流に補正することができる。
【0072】
すなわち、図9に示すように、ウエハWの回転が停止又は低速のときには、ウエハW上の気流は、ウエハWの放射方向(半径方向)に流れる層気流であるので、多翼遠心ファン50の回転を制御する必要はない。しかしウエハWが高速回転すると、図10及び図11(a)に示すように、ウエハW上の気流は、ウエハWの周方向に流れる乱気流となり、レジスト膜厚の乱れによる膜質の低下が生じる。
【0073】
そこで、図11(b)に示すように、コントローラ60からの制御信号を多翼遠心ファン50に伝達して、ウエハWの回転により生ずるウエハ表面上の周方向に流れる乱気流を、放射方向に流れる層気流に補正する。また、ウエハWの回転に伴って処理容器43内で発生する気流の量に合わせた適切な量の排気を行うことで、ミストを効率よく排気手段44によって回収することができる。
【0074】
また、環状電磁コイル51を装着するコイル保持体52と、ファン本体54,環状永久磁石55,スラスト軸受け56及び支持体57とは、それぞれ処理容器43に対して着脱可能に形成されているので、多翼遠心ファン50を構成する部品の処理容器43への取り付け及び取り外しを可能にすることができる。また、多翼遠心ファン50及び処理容器43の保守・点検を容易にすることができる。
【0075】
次に、レジスト塗布装置32の動作態様の一例について、表1を参照して説明する。
【表1】

【0076】
まず、メインアームA4によって搬送されたウエハWをスピンチャック40が受け取った後、処理容器43の開口部に蓋体47を被着する。この状態で多翼遠心ファン50は100rpmで回転して低排気している(ステップ1)。
【0077】
次に、レジストノズル42をウエハWの中心部上方に移動し、ウエハW表面にレジスト液を吐出(供給)する(ステップ2)。その後、ウエハWの回転を停止した状態で、多翼遠心ファン50が200rpmで回転して排気を中位よりやや高めの(中+)排気状態にする(ステップ3)。この状態で、ウエハWの回転を1500rpmの高速回転にしてウエハW表面にレジスト膜を形成する(ステップ4,5,6)。このとき、ウエハWの表面上方には、ウエハWの周方向に流れる乱気流が生じようとするが、ウエハWの回転数に対応して多翼遠心ファン50の回転数が制御されているので、気流は、ウエハWの放射方向(半径方向)に流れる層気流に補正される(図11(b)参照)。また、ウエハWの回転に伴って処理容器43内で発生する気流の量に合わせた適切な量の排気を行うことで、ミストを効率よく排気手段44によって回収することができる。
【0078】
レジスト塗布が終了した後、ウエハWの回転を1000rpmにして、リンスノズル48からウエハWの裏面内方側及び周縁側に向かってリンス液(純水)を吐出してリンス処理を行う。このとき、多翼遠心ファン50が150rpmで回転して中排気状態となる(ステップ7)。
【0079】
リンス処理が終了した後、ウエハWの回転は変えずに、多翼遠心ファン50の回転を300rpmの高速回転にして、高排気状態にし(ステップ8)、この状態で、ウエハWを高速回転(2000rpm)してスピン乾燥処理を行う(ステップ9)。
【0080】
乾燥処理が終了した後、ウエハWの回転を停止し、多翼遠心ファン50を初期の100rpmの回転にして低排気状態にする(ステップ10)。その後、蓋体47が上昇して処理容器43の開口部が開放されると、メインアームA4が処理容器43の開口部に進入して、スピンチャック40からウエハWを受け取り、次の処理部に搬送する。
【0081】
次に、上記現像ユニット31に、この発明に係る基板処理装置を適用した場合について、図12を参照して詳細に説明する。
【0082】
図12は、この発明に係る基板処理装置である現像処理装置31を示す概略断面図である。この現像処理装置31は、基本的な構成は上記レジスト塗布装置32と同様であるので、同一部分には同一符号を付して、ここでは、相違する部分について説明する。
【0083】
現像処理装置31は、図示しない移動機構によってウエハWの表面に対して相対的に平行移動する処理液供給ノズルである現像液ノズル42Aを具備している。この現像液ノズル42Aは、図示しないが、少なくともウエハWの幅と同じ寸法のスリット状の現像液吐出口を有すると共に、移動方向において現像液吐出口と平行にリンス液供給口を有している。また、処理容器43の開口部49は開放されており、開口部49を介して処理容器43内に挿入された現像液ノズル42Aがスピンチャック40によって保持されたウエハWの一端から他端に亘って往復移動するように構成されている。
【0084】
次に、現像処理装置31の動作態様の一例について、表2を参照して説明する。
【表2】

【0085】
まず、メインアームA1によって搬送されたウエハWをスピンチャック40が受け取る。その後、ウエハWが回転(500rpm)すると共に、多翼遠心ファン50は120rpmで回転して低排気より若干高めの低+排気する(ステップ1)。この状態で、現像液ノズル42AをウエハWの一端から他端に往復移動すると共に、ウエハW表面にリンス液(純水)を吐出(供給)する(ステップ2,3)。
【0086】
次に、現像液ノズル42Aから現像液を吐出(供給)しながら、ウエハWの一端から他端に往復移動した後、現像液ノズル42AをウエハWの中心部に移動して、現像処理を行う(ステップ4,5,6)。その後、ウエハWの回転を変えずに、多翼遠心ファン50が150rpmで回転して中排気状態にする(ステップ7)。このとき、ウエハWの表面上方には、ウエハWの周方向に流れる乱気流が生じようとするが、ウエハWの回転数に対応して多翼遠心ファン50の回転数が制御されているので、気流は、ウエハWの放射方向(半径方向)に流れる層気流に補正される(図11(b)参照)。また、ウエハWの回転に伴って処理容器43内で発生する気流の量に合わせた適切な量の排気を行うことで、ミストを効率よく排気手段44によって回収することができる。
【0087】
現像処理が終了した後、ウエハWの回転を1000rpmにして、リンスノズル48からウエハWの裏面内方側及び周縁側に向かってリンス液(純水)を吐出してリンス処理を行う(ステップ8,9)。
【0088】
リンス処理が終了した後、を高速回転(2000rpm)してスピン乾燥処理を行う(ステップ10,11)。このとき、多翼遠心ファン50の回転を300rpmの高速回転にして、高排気状態にする。
【0089】
乾燥処理が終了した後、ウエハWの回転を停止し、多翼遠心ファン50を初期の100rpmの回転にして低排気状態にする(ステップ12)。その後、処理容器43の開口部49を介してメインアームA1が処理容器43内に進入して、スピンチャック40からウエハWを受け取り、次の処理部に搬送する。
【0090】
なお、上記実施形態では、この発明に係る基板処理装置を半導体ウエハのレジスト塗布・現像処理システムに適用した場合について説明したが、この発明に係る基板処理装置は、LCDガラス基板のレジスト塗布・現像処理システムにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】この発明に係る基板処理装置を適用したレジスト塗布・現像処理装置の一例を示す概略平面図である。
【図2】上記レジスト塗布・現像処理装置の概略斜視図である。
【図3】上記レジスト塗布・現像処理装置の概略縦断面図である。
【図4】この発明における処理ブロックの処理ユニットの一例を示す概略断面図である。
【図5】この発明に係る基板処理装置をレジスト塗布装置に適用した一例を示す概略断面図である。
【図6】図5のI−I線に沿う断面図である。
【図7】図5のII部の拡大断面図である。
【図8】上記レジスト塗布装置の分解断面図である。
【図9】ウエハの表面に生じる層気流の状態を示す概略平面図である。
【図10】ウエハの表面に生じる乱気流の状態を示す概略平面図である。
【図11】この発明における多翼遠心ファンにより乱気流を層気流に補正する状態を示す概略平面図である。
【図12】この発明に係る基板処理装置を現像処理装置に適用した一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0092】
W 半導体ウエハ(被処理基板)
31 現像処理装置(基板処理装置)
32 レジスト塗布装置(基板処理装置)
40 スピンチャック(保持手段)
41 モータ(回転手段)
42 レジストノズル(処理液供給ノズル)
42A 現像液ノズル(処理液供給ノズル)
43 処理容器
43g 載置部
44 排気装置(排気手段)
50 多翼遠心ファン
51 環状電磁コイル
51a 駆動電源
52 コイル保持体
53 フィン
54 ファン本体
55 環状永久磁石
56 スラスト軸受け
57 支持体
60 コントローラ(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を回転可能に保持する保持手段と、この保持手段を回転駆動する回転手段と、上記保持手段に保持された被処理基板に処理液を供給する処理液供給ノズルと、上記保持手段を収容する上端が開口した処理容器と、この処理容器の底部から排気する排気手段と、を具備する基板処理装置において、
上記処理容器の内周側に配設され、被処理基板の表面側の気流を上記排気手段側に流す多翼遠心ファンと、
上記回転手段と多翼遠心ファンの駆動部とに接続され、上記回転手段による被処理基板の回転数に対応して多翼遠心ファンの回転数を制御する制御手段と、を具備し、
上記制御手段からの制御信号を上記多翼遠心ファンに伝達して、上記被処理基板の回転により生ずる被処理基板表面上の周方向に流れる乱気流を、放射方向に流れる層気流に補正可能に形成してなる、ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理装置において、
上記多翼遠心ファンを上記保持手段に保持された被処理基板の表面を含む高さ位置に配設してなる、ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の基板処理装置において、
上記多翼遠心ファンは、上記処理容器の内周側に配設される環状電磁コイルと、多数の放射状のフィンを有するファン本体と、このファン本体の外周に装着され、上記環状電磁コイルの内方側に対峙する環状磁石と、上記処理容器の内周側にスラスト軸受けを介して上記ファン本体を回転自在に支持する支持体と、を具備し、かつ、上記処理容器の内周面に突設される載置部に載置されている、ことを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の基板処理装置において、
上記環状電磁コイルを装着するコイル保持体を更に具備し、このコイル保持体と、上記ファン本体,環状磁石,スラスト軸受け及び支持体とを、それぞれ処理容器に対して着脱可能に形成してなる、ことを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−32777(P2009−32777A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193049(P2007−193049)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】