説明

基板処理装置

【課題】スループット低下を抑制しつつ装置内への昇華物の飛散を防止することができる基板処理装置を提供する。
【解決手段】反射防止膜用の塗布液が塗布された基板Wが開口部52から加熱ユニットPHPのクールプレート70に搬入される。基板Wは搬送アーム86によってクールプレート70からホットプレート60に搬送されて加熱され、反射防止膜が焼成される。ホットプレート60による加熱処理が終了した後、搬送アーム86が基板Wを受け取ってその基板Wの温度が昇華物の発生が停止する温度以下に降温するまでホットプレート60にて待機した後に基板Wをクールプレート70に搬送する。加熱処理後にホットプレート60からクールプレート70に搬送される時点では、基板Wから昇華物が発生していないため、昇華物が開口部52から流出して基板処理装置の全体に飛散することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板、液晶表示装置用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、光ディスク用基板等(以下、単に「基板」と称する)に薬液を供給した後に加熱する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや液晶ディスプレイなどの製品は、上記基板に対して洗浄、レジスト塗布、露光、現像、エッチング、層間絶縁膜の形成、熱処理、ダイシングなどの一連の諸処理を施すことにより製造されている。近年の微細加工の急速な進展に伴って、露光工程で使用する露光光の波長も短波長化してきており、従来のg線,i線と称される紫外線からKrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)が主流を占めるようになってきている。このようなエキシマレーザを使用した露光処理を行う際には、基板上に化学増幅型レジストの膜を形成する。
【0003】
ところが、化学増幅型レジストの膜を形成した基板にエキシマレーザを照射して露光処理を行うと、従来(g線やi線)よりも下地からの反射の影響(定在波効果)が大きくなる。このような反射の影響を低減するために、基板上に反射防止膜を形成することが行われており、特にレジスト膜よりも下層に形成する反射防止膜はBARC(Bottom Anti-Reflection Coating)と称される。
【0004】
基板上に反射防止膜を形成するときには、反射防止膜の塗布液をスピンコート法等によって基板上に均一に塗布した後、当該基板を加熱処理することによって反射防止膜を焼成するのであるが、この加熱処理の際に塗布液中の樹脂成分が昇華するため、排気ガス中には多量の昇華物が含まれることとなる。このような昇華物は排気管に析出して目詰まりを引き起こしたり汚染源となるおそれがあるため、特許文献1には熱処理ユニットからの排気管を加熱して昇華物の析出を防止する技術が開示されている。
【0005】
また、反射防止膜からの昇華物発生は、熱処理ユニットでの焼成処理が終了してもなおある程度継続して生じている。反射防止膜の焼成処理を行う熱処理ユニットは、通常レジスト塗布処理および現像処理を行う基板処理装置(いわゆるコータ&デベロッパ)に組み込まれていることが多い。よって、焼成処理の終了した基板を次工程に搬送すべく直ちに熱処理ユニットから搬出すると基板処理装置内に昇華物が飛散することとなり、このような飛散した昇華物が例えば現像処理ユニット内に流入したりすると現像欠陥が生じる懸念がある。このため、特許文献2に開示の技術では、焼成処理が終了した基板を熱処理ユニット内でピンアップさせた状態で暫く待機させて昇華物の発生が収まる温度まで降温してから当該基板を熱処理ユニット外に搬出するようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−64277号公報
【特許文献2】特開2008−66645号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、熱処理ユニットの内部でピンアップにより基板をホットプレートから離間させたとしても、高温のホットプレートの直上では基板温度の降温に長時間を要するため、基板処理装置のスループットが低下するという問題があった。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、スループット低下を抑制しつつ装置内への昇華物の飛散を防止することができる基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板上に薬液を供給する薬液処理部と、前記薬液処理部にて薬液が供給された基板を加熱する熱処理部と、前記薬液処理部と前記熱処理部との間で基板を搬送する主搬送手段と、を備える基板処理装置において、前記熱処理部は、前記主搬送手段が基板を搬送する搬送空間に面して設けられ、基板を冷却するクールプレートと、前記クールプレートを挟んで前記搬送空間の反対側に設けられ、基板を載置して加熱するホットプレートと、前記ホットプレートと前記クールプレートとの間で基板を搬送するローカル搬送手段と、を備え、前記ローカル搬送手段は、基板を載置する搬送アームと、前記搬送アームを前記ホットプレートと前記クールプレートとの間で移動させるアーム駆動機構と、を備え、前記主搬送手段は、前記薬液処理部にて薬液が供給された基板を前記クールプレートに搬入し、前記ローカル搬送手段は、前記クールプレートに搬入された基板を前記ホットプレートに搬送するとともに、前記ホットプレートによる加熱処理が終了した基板を受け取って当該基板の温度が所定温度以下に降温するまで前記ホットプレートにて待機した後に当該基板を前記クールプレートに搬送することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る基板処理装置において、前記ホットプレート、前記クールプレートおよび前記ローカル搬送手段は筐体内に収容され、前記筐体には、前記搬送空間と前記クールプレートとを連通する開口部が形成され、前記ホットプレートおよび前記クールプレートを挟んで前記開口部と反対側から前記筐体内の雰囲気を排気する排気手段をさらに備えることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る基板処理装置において、前記排気手段は、前記ホットプレートによる加熱処理が終了した後に前記筐体内の雰囲気の排気を開始することを特徴とする。
【0012】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係る基板処理装置において、移動することによって前記ホットプレートの上方を閉空間または開放空間とするカバー部材と、移動することによって前記ホットプレートと前記クールプレートとの間を連通状態または遮断状態とするシャッター部材と、をさらに備え、前記ホットプレートによる加熱処理時には、前記カバー部材が前記ホットプレートの上方を閉空間とするとともに、前記シャッター部材が前記ホットプレートと前記クールプレートとの間を遮断状態とし、前記ホットプレートによる加熱処理が終了した時点で、前記カバー部材が前記ホットプレートの上方を開放空間とするとともに、前記シャッター部材が前記ホットプレートと前記クールプレートとの間を連通状態とすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記ホットプレートによる加熱処理時には、前記搬送アームが前記クールプレートにて冷却されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項6の発明は、請求項1から請求項5のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記搬送アームの表面にフッ素系樹脂の被膜を形成することを特徴とする。
【0015】
また、請求項7の発明は、請求項1から請求項6のいずれかの発明に係る基板処理装置において、前記薬液は、前記ホットプレートによって加熱されることにより昇華物を発生する液であり、前記所定温度は、基板から昇華物の発生が停止する温度であることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る基板処理装置において、前記薬液は、反射防止膜を形成するための塗布液であり、前記薬液が塗布された基板が前記熱処理部にて加熱されることによって、当該基板上に反射防止膜が焼成されることを特徴とする。
【0017】
また、請求項9の発明は、請求項7の発明に係る基板処理装置において、前記薬液は、下層膜を形成するための塗布液であり、前記薬液が塗布された基板が前記熱処理部にて加熱されることによって、当該基板上に下層膜が焼成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、主搬送手段が薬液処理部にて薬液が供給された基板をクールプレートに搬入し、ローカル搬送手段がクールプレートに搬入された基板をホットプレートに搬送するとともに、ホットプレートによる加熱処理が終了した基板を受け取って当該基板の温度が所定温度以下に降温するまでホットプレートにて待機した後に当該基板をクールプレートに搬送するため、基板はホットプレートにて迅速に冷却されてからクールプレートに搬送されることとなり、スループット低下を抑制しつつ装置内への昇華物の飛散を防止することができる。
【0019】
特に、請求項2の発明によれば、ホットプレートおよびクールプレートを挟んで開口部と反対側から筐体内の雰囲気を排気する排気手段を備えるため、装置内への昇華物の飛散をより効果的に防止することができる。
【0020】
特に、請求項3の発明によれば、ホットプレートによる加熱処理が終了した後に筐体内の雰囲気の排気を開始するため、加熱処理中は排気流によってホットプレートの処理温度が低下するのを防止することができる。
【0021】
特に、請求項5の発明によれば、ホットプレートによる加熱処理時には、搬送アームがクールプレートにて冷却されるため、搬送アームの蓄熱を防止するとともに、基板を受け取るときの搬送アームの温度を一定にして基板の温度履歴を一定にすることができる。
【0022】
特に、請求項6の発明によれば、搬送アームの表面にフッ素系樹脂の被膜を形成するため、搬送アームへの昇華物の付着を防止することができ、昇華物が付着したとしてもそれを簡便に除去することができる。
【0023】
特に、請求項8の発明によれば、基板上に反射防止膜を焼成したときに、基板処理装置内への昇華物の飛散を抑制することができる。
【0024】
特に、請求項9の発明によれば、基板上に下層膜を焼成したときに、基板処理装置内への昇華物の飛散を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
<1.全体構成>
まず、本発明に係る基板処理装置の全体構成について説明する。図1は、本発明に係る基板処理装置1の平面図である。また、図2は基板処理装置1の液処理ユニットの配置構成を示す概略側面図であり、図3は熱処理ユニットの配置構成を示す概略側面図であり、図4は搬送ロボットおよび基板載置部の配置構成を示す側面図である。なお、図1および以降の各図にはそれらの方向関係を明確にするためZ軸方向を鉛直方向とし、XY平面を水平面とするXYZ直交座標系を適宜付している。
【0027】
本実施形態の基板処理装置1は、基板Wとして円板形状の半導体ウェハにフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、パターン露光後の半導体ウェハに現像処理を行う装置(いわゆるコータ&デベロッパ)である。また、基板処理装置1はレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成する。なお、本発明に係る基板処理装置1の処理対象となる基板Wは半導体ウェハに限定されるものではなく、液晶表示装置用ガラス基板やフォトマスク用ガラス基板等であっても良い。
【0028】
本実施形態の基板処理装置1は、インデクサブロックID、塗布処理ブロックSC、現像処理ブロックSDおよびインターフェイスブロックIFの4つの処理ブロックを一方向(X軸方向)に連設して構成されている。インターフェイスブロックIFには基板処理装置1とは別体の外部装置である露光装置(ステッパ)EXPが隣接して接続配置されている。
【0029】
インデクサブロックIDは、装置外から受け取った未処理基板Wを塗布処理ブロックSCに搬入するとともに、現像処理の終了した処理済み基板Wを装置外に搬出するための処理ブロックである。インデクサブロックIDは、複数のキャリアC(本実施形態では4個)を並べて載置する載置台11と、各キャリアCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各キャリアCに処理済みの基板Wを収納するインデクサロボットIDRと、を備えている。
【0030】
インデクサブロックIDに隣接して塗布処理ブロックSCが配置されている。塗布処理ブロックSCは、基板Wにレジスト膜およびその下地に反射防止膜を形成する処理ブロックである。塗布処理ブロックSCは、大まかに上側塗布セルUCおよび下側塗布セルLCの上下2段に分けられている。上側塗布セルUCは、主搬送ロボットTR1および主搬送ロボットTR1が搬送を担当する複数の処理ユニットを備えて構成される。同様に、下側塗布セルLCは、主搬送ロボットTR2および主搬送ロボットTR2が搬送を担当する複数の処理ユニットを備えて構成される。
【0031】
塗布処理ブロックSCとインターフェイスブロックIFとの間に挟み込まれるようにして現像処理ブロックSDが配置されている。現像処理ブロックSDは、露光処理後の基板Wに対して現像処理を行う処理ブロックである。現像処理ブロックSDは、大まかに上側現像セルUDおよび下側現像セルLDの上下2段に分けられている。上側現像セルUDは、主搬送ロボットTR3および主搬送ロボットTR3が搬送を担当する複数の処理ユニットを備えて構成される。同様に、下側現像セルLDは、主搬送ロボットTR4および主搬送ロボットTR4が搬送を担当する複数の処理ユニットを備えて構成される。
【0032】
X軸方向に沿って並ぶ上側塗布セルUCと上側現像セルUDとは連結されて、インデクサブロックIDとインターフェイスブロックIFとの間を結ぶ一つの基板処理経路を形成する。同様に、X軸方向に沿って並ぶ下側塗布セルLCと下側現像セルLDとは連結されて、インデクサブロックIDとインターフェイスブロックIFとの間を結ぶ一つの基板処理経路を形成する。すなわち、基板処理装置1は、塗布処理ブロックSCおよび現像処理ブロックSDに跨って上下2段の基板処理経路を有する。
【0033】
現像処理ブロックSDに隣接してインターフェイスブロックIFが配置されている。インターフェイスブロックIFは、未露光の基板Wを基板処理装置1とは別体の外部装置である露光装置EXPに渡すとともに、露光済みの基板Wを露光装置EXPから受け取る処理ブロックである。インターフェイスブロックIFは、基板Wを搬送する第1インターフェイスロボットIFR1および第2インターフェイスロボットIFR2を備える。
【0034】
インデクサブロックIDと塗布処理ブロックSCとの接続部分には基板載置部PASS1U,PASS2U,PASS1L,PASS2Lが設けられている。基板載置部PASS1U,PASS2Uは、インデクサブロックIDと上側塗布セルUCとの接続部分に上下に積層して設けられている。インデクサロボットIDRと主搬送ロボットTR1との間の基板Wの受け渡しは基板載置部PASS1U,PASS2Uを介して行われる。一方、基板載置部PASS1L,PASS2Lは、インデクサブロックIDと下側塗布セルLCとの接続部分に上下に積層して設けられている。インデクサロボットIDRと主搬送ロボットTR2との間の基板Wの受け渡しは基板載置部PASS1L,PASS2Lを介して行われる。
【0035】
また、塗布処理ブロックSCと現像処理ブロックSDとの接続部分には基板載置部PASS3U,PASS4U,PASS3L,PASS4Lが設けられている。基板載置部PASS3U,PASS4Uは、上側塗布セルUCと上側現像セルUDとの接続部分に上下に積層して設けられている。主搬送ロボットTR1と主搬送ロボットTR3との間の基板Wの受け渡しは基板載置部PASS3U,PASS4Uを介して行われる。一方、基板載置部PASS3L,PASS4Lは、下側塗布セルLCと下側現像セルLDとの接続部分に上下に積層して設けられている。主搬送ロボットTR2と主搬送ロボットTR4との間の基板Wの受け渡しは基板載置部PASS3L,PASS4Lを介して行われる。
【0036】
また、現像処理ブロックSDには、基板載置部PASS5U,PASS6U,PASS5L,PASS6Lが設けられている。基板載置部PASS5U,PASS6Uは、上側現像セルUDに上下に積層して設けられている。主搬送ロボットTR3と第1インターフェイスロボットIFR1との間の基板Wの受け渡しは基板載置部PASS5U,PASS6Uを介して行われる。基板載置部PASS5L,PASS6Lは、下側現像セルLDに上下に積層して設けられている。主搬送ロボットTR4と第1インターフェイスロボットIFR1との間の基板Wの受け渡しは基板載置部PASS5L,PASS6Lを介して行われる。
【0037】
さらに、インターフェイスブロックIFには、基板載置部PASS7,PASS8が上下に積層して設けられている。第1インターフェイスロボットIFR1と第2インターフェイスロボットIFR2との間の基板Wの受け渡しは基板載置部PASS7,PASS8を介して行われる。以上の基板載置部はいずれも3本の支持ピンを備えて構成されており、一方のロボットが支持ピン上に載置した基板Wを他方のロボットが受け取ることによって基板Wの受け渡しが行われる。なお、各基板載置部には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサが設けられている。
【0038】
<1−1.インデクサブロック>
続いて、インデクサブロックIDから順に各処理ブロックについて説明する。インデクサブロックIDの載置台11に対しては未処理の複数枚の基板Wを収納したキャリアCがAGV(automated guided vehicle)等の無人搬送機構によって搬入される。また、処理済みの複数枚の基板Wを収納したキャリアCもAGV等によって搬出される。なお、キャリアCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
【0039】
インデクサロボットIDRは、載置台11の側方をキャリアCの並び方向(Y軸方向)に沿って水平移動する可動台12と、可動台12に対して鉛直方向(Z軸方向)に伸縮する昇降軸13と、基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム14と、を備えている。保持アーム14は、昇降軸13の上端に搭載されており、鉛直方向に沿った軸心周りでの旋回動作および旋回半径方向に沿ったスライド移動が可能に構成されている。よって、保持アーム14は、Y軸方向に沿った水平移動、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、インデクサロボットIDRは、保持アーム14を各キャリアCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出しおよび処理済みの基板Wの収納を行うことができる。
【0040】
<1−2.塗布処理ブロック>
塗布処理ブロックSCの上側塗布セルUCにおいては、主搬送ロボットTR1が移動するための搬送スペースTP1を挟んで熱処理ユニット群と液処理ユニット群とが対向して配置されている。具体的には、液処理ユニット群が装置正面側((−Y)側)に、熱処理ユニット群が装置背面側((+Y)側)に、それぞれ位置している。
【0041】
図2に示すように、上側塗布セルUCの液処理ユニット群は、上段に複数個(本実施の形態では3個)隣接配置された反射防止膜用塗布処理ユニットBARCと、下段に複数個(本実施の形態では3個)隣接配置されたレジスト膜用塗布処理ユニットRESとを備える。3個の反射防止膜用塗布処理ユニットBARCのそれぞれは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック、そのスピンチャックを回転駆動させるスピンモータおよびスピンチャック上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ等を備えている。3個の反射防止膜用塗布処理ユニットBARCは、仕切壁等によって間仕切りされることなく並設されている。そして、3個の反射防止膜用塗布処理ユニットBARCに共用の反射防止膜用塗布液供給部21が設けられている(図1)。反射防止膜用塗布液供給部21は、吐出ノズル22を3個の反射防止膜用塗布処理ユニットBARCの並びに沿って移動させるとともに、反射防止膜用塗布処理ユニットBARCに向かって進退移動させる。吐出ノズル22は、反射防止膜用の塗布液を吐出する。なお、吐出ノズル22は反射防止膜用の塗布液の種類毎に複数設けられており、反射防止膜用塗布液供給部21はそれらのうちの一つを把持して移動させる。
【0042】
上側塗布セルUCの下段に設けられた3個のレジスト膜用塗布処理ユニットRESも反射防止膜用塗布処理ユニットBARCとほぼ同様の構成を備えている。すなわち、3個のレジスト膜用塗布処理ユニットRESのそれぞれは、スピンチャック、スピンモータ、カップ等を備えている。また、3個のレジスト膜用塗布処理ユニットRESは、仕切壁等によって間仕切りされることなく並設されており、3個のレジスト膜用塗布処理ユニットRESに共用のレジスト膜用塗布液供給部(図示省略)が設けられている。レジスト膜用塗布液供給部は、吐出ノズルを3個のレジスト膜用塗布処理ユニットRESの並びに沿って移動させるとともに、レジスト膜用塗布処理ユニットRESに向かって進退移動させる。吐出ノズルは、レジスト膜用の塗布液を吐出する。なお、上記と同様に、吐出ノズルはレジスト膜用の塗布液の種類毎に複数設けられており、レジスト膜用塗布液供給部はそれらのうちの一つを把持して移動させる。
【0043】
図3に示すように、上側塗布セルUCの熱処理ユニット群は、搬送スペースTP1に面して3列に熱処理ユニットを積層配置している。最もインデクサブロックIDおよび現像処理ブロックSDに近い列のそれぞれには、4個の加熱ユニットPHPおよび1個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。また、真ん中の列には、2個の密着強化処理ユニットAHLおよび1個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。加熱ユニットPHPは、基板Wを所定温度まで昇温して加熱処理を行う。本実施形態の加熱ユニットPHPは、冷却機能をも有しており、加熱処理後の基板Wの粗冷却処理も行う。加熱ユニットPHPについてはさらに後述する。冷却ユニットCPは、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持する。密着強化処理ユニットAHLは、基板Wと被膜との密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気中で基板Wを熱処理する。
【0044】
図4に示すように、搬送スペースTP1には、主搬送ロボットTR1を上下方向に案内する2本の縦ガイドレール31と水平方向(X方向)に案内する横ガイドレール32とが設けられている。2本の縦ガイドレール31は、搬送スペースTP1のX軸方向両端において、液処理ユニット群の側に固定設置されている。横ガイドレール32は、2本の縦ガイドレール31の間に摺動可能に横架されている。横ガイドレール32には、ベース部33が摺動可能に取り付けられている。ベース部33は、搬送スペースTP1の略中央まで横方向に張り出すように取り付けられている。図示省略の駆動部によって横ガイドレール32は縦ガイドレール31に案内されて上下方向に移動し、ベース部33は横ガイドレール32に案内されてX軸方向に移動する。
【0045】
ベース部33には、鉛直方向に沿った軸心周りにて旋回可能に回転台35が設けられている。回転台35には、基板Wを保持する2つの保持アーム37a,37bがそれぞれ独立して水平方向にスライド移動可能に搭載されている。2つの保持アーム37a,37bは互いに上下に近接した位置に設けられている。ベース部33には回転台35を回転する駆動部が設けられ、回転台35には保持アーム37a,37bを回転台35の旋回半径方向にスライド移動する駆動部が内蔵されている(いずれも図示省略)。よって、保持アーム37a,37bのそれぞれは、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行う。これにより、主搬送ロボットTR1は、2個の保持アーム37a,37bをそれぞれ個別に上側塗布セルUCの液処理ユニット群および熱処理ユニット群に配置された処理ユニットおよび基板載置部PASS1U,PASS2U,PASS3U,PASS4Uに対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
【0046】
下側塗布セルLCの構成は上側塗布セルUCの構成と概ね同じである。すなわち、下側塗布セルLCにおいても、主搬送ロボットTR2が移動するための搬送スペースTP2を挟んで熱処理ユニット群と液処理ユニット群とが対向して配置されている。
【0047】
図2に示すように、下側塗布セルLCの液処理ユニット群は、上段に複数個(本実施の形態では3個)隣接配置された反射防止膜用塗布処理ユニットBARCと、下段に複数個(本実施の形態では3個)隣接配置されたレジスト膜用塗布処理ユニットRESとを備える。反射防止膜用塗布処理ユニットBARCおよびレジスト膜用塗布処理ユニットRESは上側塗布セルUCにおけるものと同じである。
【0048】
図3に示すように、下側塗布セルLCの熱処理ユニット群は、搬送スペースTP2に面して3列に熱処理ユニットを積層配置している。最もインデクサブロックIDおよび現像処理ブロックSDに近い列のそれぞれには、4個の加熱ユニットPHPおよび1個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。また、真ん中の列には、2個の密着強化処理ユニットAHLおよび1個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。加熱ユニットPHP、冷却ユニットCPおよび密着強化処理ユニットAHLは上側塗布セルUCにおけるものと同じである。
【0049】
また、主搬送ロボットTR2の構成も上側塗布セルUCにおける主搬送ロボットTR1と同様である。よって、主搬送ロボットTR2は、2個の保持アーム37a,37bをそれぞれ個別に下側塗布セルLCの液処理ユニット群および熱処理ユニット群に配置された処理ユニットおよび基板載置部PASS1L,PASS2L,PASS3L,PASS4Lに対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
【0050】
<1−3.現像処理ブロック>
現像処理ブロックSDの上側現像セルUDにおいては、主搬送ロボットTR3が移動するための搬送スペースTP3を挟んで熱処理ユニット群と液処理ユニット群とが対向して配置されている。具体的には、塗布処理ブロックSCと同じく、液処理ユニット群が装置正面側((−Y)側)に、熱処理ユニット群が装置背面側((+Y)側)に、それぞれ位置している。
【0051】
図2に示すように、上側現像セルUDの液処理ユニット群は、上下2段のそれぞれに複数個(本実施の形態では3個)隣接配置された現像処理ユニットDEVを備える。複数の現像処理ユニットDEVのそれぞれは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック、そのスピンチャックを回転駆動させるスピンモータおよびスピンチャック上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ等を備えている。上側現像セルUDの上段の3個の現像処理ユニットDEVは、仕切壁等によって間仕切りされることなく並設されている。そして、3個の現像処理ユニットDEVに共用の現像液供給部26が設けられている(図1)。現像液供給部26は、吐出ノズル27を3個の現像処理ユニットDEVの並びに沿って移動させる。吐出ノズル27は、現像液を吐出する。なお、吐出ノズル27としては、基板Wのサイズ以上の長さのスリット状吐出孔を有するスリットノズルや複数の小孔を備えたノズル等を用いることができる。
【0052】
上側現像セルUDの下段の3個の現像処理ユニットDEVについても、上段と同様に、仕切壁等によって間仕切りされることなく並設されている。そして、3個の現像処理ユニットDEVに共用の現像液供給部が設けられている。この現像液供給部も、上段と同様のものである。
【0053】
図3に示すように、上側現像セルUDの熱処理ユニット群は、搬送スペースTP3に面して3列に処理ユニットを積層配置している。最も塗布処理ブロックSCに近い列には、3個の加熱ユニットPHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。また、インターフェイスブロックIFに近い列には、4個の加熱ユニットPHPが積層配置されるとともに、最上段に基板載置部PASS5U,PASS6Uが配置されている。真ん中の列には、単一のエッジ露光ユニットEEWと1個の冷却ユニットCPとが積層配置されている。加熱ユニットPHPおよび冷却ユニットCPは上述した塗布処理ブロックSCにおけるものと概ね同様である。エッジ露光ユニットEEWは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャックおよび該スピンチャックに保持された基板Wの周縁に光を照射して露光する光照射器などを備えている(いずれも図示省略)。なお、エッジ露光ユニットEEWは、熱処理ユニットに該当する処理ユニットではないが、装置レイアウトの都合上、現像処理ブロックSDの熱処理ユニット群に配置している。
【0054】
また、インターフェイスブロックIFに近い列に配置された4個の加熱ユニットPHPは、露光直後の基板Wに対して露光後加熱処理(Post Exposure Bake)を行う熱処理ユニットである。これら4個の加熱ユニットPHPは、インターフェイスブロックIFの第1インターフェイスロボットIFR1が搬送を負担するという点において塗布処理ブロックSCに近い列に配置された加熱ユニットPHPとは性格が異なるが、レイアウトの都合上、現像処理ブロックSDの熱処理ユニット群に配置している。インターフェイスブロックIFに近い列に配置された4個の加熱ユニットPHPおよび基板載置部PASS5U,PASS6Uは、搬送スペースTP3に面する前面側とインターフェイスブロックIFに面する側面側の双方に開口部が設けられており、それらの両面から基板Wの搬出入を行うことができる(図7参照)。
【0055】
上側現像セルUDの主搬送ロボットTR3の構成は塗布処理ブロックSCにおける主搬送ロボットTR1,TR2と同様である。よって、主搬送ロボットTR3は、2個の保持アーム37a,37bをそれぞれ個別に上側現像セルUDの液処理ユニット群および熱処理ユニット群に配置された処理ユニットおよび基板載置部PASS3U,PASS4U,PASS5U,PASS6Uに対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
【0056】
下側現像セルLDの構成は上側現像セルUDの構成と概ね同じである。すなわち、下側現像セルLDにおいても、主搬送ロボットTR4が移動するための搬送スペースTP4を挟んで熱処理ユニット群と液処理ユニット群とが対向して配置されている。
【0057】
図2に示すように、下側現像セルLDの液処理ユニット群は、上下2段のそれぞれに複数個(本実施の形態では3個)隣接配置された現像処理ユニットDEVを備える。現像処理ユニットDEVは上側現像セルUDにおけるものと同じである。また、上側現像セルUDと同様に、上下2段のそれぞれにおいて、3個の現像処理ユニットDEVが仕切壁等によって間仕切りされることなく並設されており、3個の現像処理ユニットDEVに共用の現像液供給部が設けられている。
【0058】
図3に示すように、下側現像セルLDの熱処理ユニット群は、搬送スペースTP4に面して3列に処理ユニットを積層配置している。最も塗布処理ブロックSCに近い列には、3個の加熱ユニットPHPおよび2個の冷却ユニットCPが上下に積層配置されている。また、インターフェイスブロックIFに近い列には、4個の加熱ユニットPHPが積層配置されるとともに、最上段に基板載置部PASS5L,PASS6Lが配置されている。真ん中の列には、単一のエッジ露光ユニットEEWと1個の冷却ユニットCPとが積層配置されている。加熱ユニットPHP、冷却ユニットCPおよびエッジ露光ユニットEEWは上側現像セルUDにおけるものと同様である。また、エッジ露光ユニットEEWおよび露光後加熱処理を行う4個の加熱ユニットPHP(インターフェイスブロックIFに近い列の加熱ユニットPHP)は、レイアウトの都合上現像処理ブロックSDの熱処理ユニット群に配置している。さらに、インターフェイスブロックIFに近い列に配置された4個の加熱ユニットPHPおよび基板載置部PASS5L,PASS6Lは、搬送スペースTP4に面する前面側とインターフェイスブロックIFに面する側面側の双方に開口部が設けられており、それらの両面から基板Wの搬出入を行うことができる。
【0059】
下側現像セルLDの主搬送ロボットTR4の構成は塗布処理ブロックSCにおける主搬送ロボットTR1,TR2と同様である。よって、主搬送ロボットTR4は、2個の保持アーム37a,37bをそれぞれ個別に下側現像セルLDの液処理ユニット群および熱処理ユニット群に配置された処理ユニットおよび基板載置部PASS3L,PASS4L,PASS5L,PASS6Lに対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
【0060】
<1−4.インターフェイスブロック>
図5は、インターフェイスブロックIFの構成を示す側面図である。インターフェイスブロックIFの第1インターフェイスロボットIFR1と第2インターフェイスロボットIFR2とは、処理ブロックの並びの方向(X軸方向)とは垂直の方向(Y軸方向)に並んで設けられている。第1インターフェイスロボットIFR1は現像処理ブロックSDの熱処理ユニット群に近い位置に配置されている。第2インターフェイスロボットIFR2は露光装置EXPの基板搬出入口に近い位置に配置されている。第1インターフェイスロボットIFR1と第2インターフェイスロボットIFR2との間には、2つの基板載置部PASS7,PASS8、基板戻し用のリターンバッファRBFおよび基板送り用のセンドバッファSBFが上下に積層配置されている。
【0061】
リターンバッファRBFは、何らかの障害によって現像処理ブロックSDが露光済みの基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像処理ブロックSDの加熱ユニットPHPにて露光後加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。一方、センドバッファSBFは、露光装置EXPが未露光の基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するものである。リターンバッファRBFおよびセンドバッファSBFはいずれも複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。なお、リターンバッファRBFに対しては第1インターフェイスロボットIFR1がアクセスを行い、センドバッファSBFに対しては第2インターフェイスロボットIFR2がアクセスを行う。
【0062】
第1インターフェイスロボットIFR1は、固定設置された基台43と、基台43に対して鉛直方向(Z軸方向)に伸縮する昇降軸45と、基板Wを保持する保持アーム47と、を備えている。保持アーム47は、昇降軸45の上端に搭載されており、鉛直方向に沿った軸心周りでの旋回動作および旋回半径方向に沿ったスライド移動が可能に構成されている。よって、保持アーム47は、昇降移動、水平面内の旋回動作および旋回半径方向に沿った進退移動を行うことができる。これにより、第1インターフェイスロボットIFR1は、保持アーム47をリターンバッファRBF、基板載置部PASS5U,PASS6U,PASS5L,PASS6L,PASS7,PASS8および現像処理ブロックSDに配置された露光後加熱処理を行う加熱ユニットPHPにアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
【0063】
第2インターフェイスロボットIFR2も基台43、昇降軸45および保持アーム47を備え、第1インターフェイスロボットIFR1と同様の構成を備えている。このため、第2インターフェイスロボットIFR2は、保持アーム47をセンドバッファSBFおよび基板載置部PASS7,PASS8にアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。また、第2インターフェイスロボットIFR2は、露光装置EXPの基板搬出入口に未露光の基板Wを渡すとともに、当該基板搬出入口から露光済みの基板Wを受け取る。
【0064】
なお、露光装置EXPは、基板処理装置1にてレジスト塗布された露光前の基板WをインターフェイスブロックIFから受け取ってパターンの露光処理を行う。露光装置EXPにて露光処理の行われた基板WはインターフェイスブロックIFに戻される。露光装置EXPは、投影光学系と基板Wとの間に屈折率の大きな液体(例えば、屈折率n=1.44の純水)を満たした状態で露光処理を行う、いわゆる「液浸露光処理」に対応したものであっても良い。
【0065】
<1−5.制御系>
次に、基板処理装置1の制御系について説明する。図6は、基板処理装置1の制御系の概略を示すブロック図である。基板処理装置1は、階層構造に構成された制御系を備えており、図6に示すように、上位のメインコントローラMCおよび複数の下位のセルコントローラCCを備える。メインコントローラMCおよび各セルコントローラCCのハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、各コントローラは、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えている。
【0066】
上位のメインコントローラMCは、基板処理装置1の全体に1つ設けられており、装置全体の管理、メインパネルMPの管理およびセルコントローラCCの管理を主に担当する。メインパネルMPは、メインコントローラMCのディスプレイとして機能するものである。また、メインコントローラMCに対してはキーボードKBから種々のコマンドを入力することができる。なお、メインパネルMPをタッチパネルにて構成し、メインパネルMPからメインコントローラMCに入力作業を行うようにしても良い。
【0067】
セルコントローラCCは、1つの搬送ロボット(主搬送ロボットTR1〜TR4、インデクサロボットIDR、第1インターフェイスロボットIFR1および第2インターフェイスロボットIFR2を含む)とその搬送ロボットが搬送を担当する処理ユニットとによって構成されるセルを管理する制御部である。セルコントローラCCは、より下位の搬送コントローラTCを介して搬送ロボットの搬送動作を制御するとともに、ユニットコントローラPCを介してセル内の各処理ユニットの動作を制御する。
【0068】
また、メインコントローラMCのさらに上位の制御機構として、基板処理装置1とLAN回線を介して接続されたホストコンピュータ100が位置している。ホストコンピュータ100は、各種演算処理を行うCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用アプリケーションやデータなどを記憶しておく磁気ディスク等を備えており、一般的なコンピュータと同様の構成を有している。ホストコンピュータ100には、本実施形態の基板処理装置1が通常複数台接続されている。ホストコンピュータ100は、接続されたそれぞれの基板処理装置1に処理手順および処理条件を記述したレシピを渡す。ホストコンピュータ100から渡されたレシピは各基板処理装置1のメインコントローラMCの記憶部(例えばメモリ)に記憶される。
【0069】
なお、露光装置EXPには、上記の基板処理装置1の制御機構から独立した別個の制御部が設けられている。すなわち、露光装置EXPは、基板処理装置1のメインコントローラMCの制御下で動作しているものではなく、単体で独自の動作制御を行っているものである。もっとも、このような露光装置EXPもホストコンピュータ100から受け取ったレシピに従って動作制御を行っており、露光装置EXPにおける露光処理と同期した処理を基板処理装置1が行うこととなる。
【0070】
<1−6.基板載置部>
本実施形態の基板処理装置1には、複数の基板載置部が設けられており、それらは2つの基板載置部が一対として設けられている(例えば、基板載置部PASS1Uと基板載置部PASS2U、基板載置部PASS7と基板載置部PASS8)。これは、露光前の基板WをインデクサブロックIDからインターフェイスブロックIFへと向けて送るための送り基板載置部と、露光後の基板WをインターフェイスブロックIFからインデクサブロックIDへと向けて戻すための戻り基板載置部とを区分けしているためである。すなわち、基板載置部PASS1U,PASS1L,PASS3U,PASS3L,PASS5U,PASS5L,PASS7が送り基板載置部に該当し、露光前の基板Wはこれらを介して受け渡しが行われる。一方、基板載置部PASS2U,PASS2L,PASS4U,PASS4L,PASS6U,PASS6L,PASS8が戻り基板載置部に該当し、露光後の基板Wはこれらを介して受け渡しが行われる。
【0071】
また、図6の各セルコントローラCCがセル内の搬送制御を行う際には、各基板載置部は基板Wがセル内に搬入される入口基板載置部またはセルから搬出される出口基板載置部となる。なお、入口基板載置部および出口基板載置部はある基板載置部について絶対的に規定されているものではなく、相対的に決定されるものである。例えば、露光前の基板Wを載置する基板載置部PASS3Uは、上側塗布セルUCの出口基板載置部であると同時に、上側現像セルUDの入口基板載置部でもある。
【0072】
<2.加熱ユニットの構成>
次に、加熱ユニットPHPの構成について説明する。ここでは、塗布処理ブロックSCの熱処理ユニット群に配置されている加熱ユニットPHPについて説明するが、現像処理ブロックSDの加熱ユニットPHPについても概ね同じ構成である。
【0073】
図7は、加熱ユニットPHPの斜視図である。また、図8および図9は、それぞれ加熱ユニットPHPの平面図および側面図である。加熱ユニットPHPは、筐体50の内部に主としてホットプレート60、クールプレート70およびローカル搬送機構80を備えて構成される。筐体50には、搬送スペースTP1(またはTP2)に面して開口部52が形成されている。そして、搬送スペースTP1の側から見てクールプレート70、ホットプレート60の順に配置されている。すなわち、クールプレート70を挟んで搬送スペースTP1の反対側にホットプレート60が設けられている。主搬送ロボットTR1(またはTR2)は開口部52を介して加熱ユニットPHPへの基板Wの搬出入を行う。なお、現像処理ブロックSDの熱処理ユニット群に配置されている加熱ユニットPHPも同様の構成を有するが、インターフェイスブロックIFに近い列に配置された加熱ユニットPHP(つまり、露光後加熱処理を実行する加熱ユニットPHP)は第1インターフェイスロボットIFR1がアクセスするための側面開口部を備える点で異なる。
【0074】
ホットプレート60は、加熱機構を内蔵する金属製(例えば、アルミニウム製)のプレートであり、円板形状を有する。ホットプレート60の加熱機構としては、例えばマイカヒータやヒートパイプ構造を採用することができる。ホットプレート60の直径は基板Wの径よりも大きい。
【0075】
ホットプレート60には、プレート上面に出没する複数本(本実施の形態では3本)のリフトピン61が設けられている。3本のリフトピン61はエアシリンダ63によって一括して昇降される。各リフトピン61は、ホットプレート60に上下に貫通して設けられた挿通孔の内側に沿って昇降する。エアシリンダ63が3本のリフトピン61を上昇させると、各リフトピン61の先端がホットプレート60のプレート上面から突出する。また、エアシリンダ63が3本のリフトピン61を下降させると、各リフトピン61の先端がホットプレート60の挿通孔の内部に埋入する。従って、基板Wを支持したリフトピン61が下降すると、ホットプレート60のプレート上面に基板Wが載置されて基板Wの加熱処理が進行する。
【0076】
また、図9に示すように、ホットプレート60には、カバー65が付設されている。カバー65は、基板Wの加熱処理時にホットプレート60の上方を覆うことによって、加熱効率を高めるとともに、塗布液からの昇華物(或いは揮発物)を回収する。カバー65はリフター67によって昇降可能とされている。リフター67によってカバー65が下降すると、ホットプレート60の上面とカバー65の内側面との間に密閉またはカバー65の下端とホットプレート60の上面との間にわずかな隙間が形成された半密閉状態である閉空間が形成される。逆に、リフター67がカバー65を上昇させると、ホットプレート60の上方が開放される。すなわち、カバー65は、リフター67の駆動によって昇降することにより、ホットプレート60の上方を閉空間または開放空間とする。カバー65には、図示省略の排気機構が設けられており、カバー65の内側雰囲気を加熱ユニットPHPの外部に排気する。なお、リフター67に代えてエアシリンダ63がリンク機構を介してカバー65を昇降するようにしても良い。この場合、カバー65の昇降とリフトピン61の昇降は完全に同期することとなる。
【0077】
クールプレート70は、冷却機構を内蔵する金属製(例えば、アルミニウム製)のプレートであり、円板形状を有する。本実施形態のクールプレート70の冷却機構としては恒温水をプレート内部に循環させるようにしているが、これに代えてペルチェ素子を採用するようにしても良い。クールプレート70の直径は基板Wの径よりも大きい。
【0078】
クールプレート70には、プレート上面に出没する複数本(本実施の形態では3本)のリフトピン71が設けられている。3本のリフトピン71はエアシリンダ73によって一括して昇降される。各リフトピン71は、クールプレート70に上下に貫通して設けられた挿通孔の内側に沿って昇降する。エアシリンダ73が3本のリフトピン71を上昇させると、各リフトピン71の先端がクールプレート70のプレート上面から突出する。また、エアシリンダ73が3本のリフトピン71を下降させると、各リフトピン71の先端がクールプレート70の挿通孔の内部に埋入する。
【0079】
ローカル搬送機構80は、搬送アーム86と、搬送アーム86を移動させるアーム駆動部81とを備える。搬送アーム86は、基板Wの平面サイズよりも大きな平面サイズを有する平板状部材である。搬送アーム86は、良好な伝熱特性を有する材質(本実施の形態ではアルミニウム(Al))にて形成されている。搬送アーム86の表面全面にはコーティングによってフッ素系樹脂(例えば、テフロン(登録商標))の被膜が形成されている。
【0080】
搬送アーム86の上面には、アルミナ(Al23)等の部材から構成された複数個(本実施の形態では3個)のプロキシミティボール87(図8)が配設されている。3個のプロキシミティボール87は、その上端が搬送アーム86の上面から微少量だけ突出する状態で配設されている。このため、搬送アーム86によって基板Wを載置したときには、基板Wと搬送アーム86の上面との間にいわゆるプロキシミティギャップと称される微小間隔が形成される。
【0081】
また、搬送アーム86の下面には、熱伝導シート89が貼設されている(図9)。熱伝導シート89は、高い熱伝導率を有するとともに柔軟で形状追従性に優れた樹脂を基材としたシート部材であり、例えばアクリル系の樹脂を基材としてフィラーと称される高熱伝導性セラミックや金属などを充填したシート部材で構成することができる。熱伝導シート89は、少なくともクールプレート70の平面サイズと同じ大きさであり、本実施形態では搬送アーム86の下面全面に貼設されている。なお、熱伝導シート89は、シリコン系の樹脂を基材としたシート部材にて形成するようにしても良い。
【0082】
また、搬送アーム86には、2本のスリット88,88が形成されている。スリット88,88は、搬送アーム86の面内のうちリフトピン61,71が入り込む位置に形成されている。すなわち、搬送アーム86がクールプレート70の直上に位置しているときに、3本のリフトピン71が上昇すると、各リフトピン71の先端はスリット88を通り抜けて搬送アーム86の上面から突出する。また、搬送アーム86がホットプレート60の直上に位置しているときに、3本のリフトピン61が上昇すると、各リフトピン61の先端はスリット88を通り抜けて搬送アーム86の上面から突出する。なお、熱伝導シート89は、搬送アーム86の形状に合わせて形成されているため、スリット88,88に対応する部分は切り欠きとされている。
【0083】
アーム駆動部81は、水平駆動機構82および鉛直駆動機構83を備えて構成される。水平駆動機構82は、例えばガイドレールとタイミングベルトを有しており、搬送アーム86を水平方向に沿って移動させる。また、鉛直駆動機構83は、例えばエアシリンダを有しており、搬送アーム86を水平駆動機構82とともに鉛直方向に沿って移動させる。これにより、アーム駆動部81は、搬送アーム86をホットプレート60とクールプレート70との間で移動させることができる。また、アーム駆動部81は、搬送アーム86をクールプレート70の直上位置にて下降させて熱伝導シート89を介してクールプレート70の上面に密着させることができる。なお、水平駆動機構82および鉛直駆動機構83は上記のものに限定されず、水平駆動機構82は搬送アーム86を水平方向にスライド移動できる構成であれば良く、鉛直駆動機構83は搬送アーム86を鉛直方向に昇降移動できる構成であれば良い。
【0084】
また、加熱ユニットPHPには、ホットプレート60とクールプレート70との間の雰囲気を遮断するシャッター75が設けられている(図示の便宜上、図7ではシャッター75およびカバー65を省略している)。シャッター75は矩形の平板状部材であり、エアシリンダ76によって昇降される。エアシリンダ76がシャッター75を上昇させると、シャッター75がホットプレート60とクールプレート70との間の雰囲気を遮断する。一方、エアシリンダ76がシャッター75を下降させると、ホットプレート60とクールプレート70との間が連通状態となり、搬送アーム86の水平移動が可能となる。すなわち、シャッター75は、エアシリンダ76の駆動によって昇降することにより、ホットプレート60とクールプレート70との間を連通状態または遮断状態とする。
【0085】
加熱ユニットPHPのレイアウトは、搬送スペースTP1(またはTP2)に近い側からクールプレート70、ホットプレート60の順に筐体50内に配置された構成となっている。筐体50の一方側壁面に形成された開口部52は、搬送スペースTP1(またはTP2)とクールプレート70とを連通する。筐体50の他方側、すなわちホットプレート60およびクールプレート70を挟んで開口部52と反対側には、排気口54が設けられている。排気口54には、排気管55の先端が接続されている。排気管55の基端は排気部59に連通接続されている。排気部59としては、例えば排気ポンプを用いることができる。また、排気管55の経路途中には排気バルブ57が介挿されている。排気部59を作動させつつ、排気バルブ57を開放することによって、加熱ユニットPHPの筐体50内の雰囲気を排気することができる。このとき、シャッター75が下降してホットプレート60とクールプレート70との間が連通状態となっていれば、開口部52から排気口54へと向かうような気流が筐体50内に形成されることとなる。
【0086】
<3.基板処理装置の動作>
次に、上述の構成を有する基板処理装置1の動作について説明する。まず、基板処理装置1の全体における基板搬送の手順について簡単に説明する。以下に説明する処理手順は、ホストコンピュータ100から受け取ったレシピの記述内容に従って図6の制御系が基板処理装置1の各部を制御することによって実行される。
【0087】
まず、装置外部から未処理の基板WがキャリアCに収納された状態でAGV等によってインデクサブロックIDの載置台11に搬入される。続いて、インデクサブロックIDから未処理の基板Wの払い出しが行われる。具体的には、インデクサロボットIDRが所定のキャリアCから未処理の基板Wを取り出し、基板載置部PASS1Uまたは基板載置部PASS1Lに交互に搬送して載置する。
【0088】
基板載置部PASS1Uに未処理の基板Wが載置されると、上側塗布セルUCの主搬送ロボットTR1がその基板Wを冷却ユニットCPに搬送する。基板Wは冷却ユニットCPにて所定温度に温調される。続いて、基板Wは主搬送ロボットTR1によっていずれかの反射防止膜用塗布処理ユニットBARCに搬送される。反射防止膜用塗布処理ユニットBARCでは、基板Wに反射防止膜用の塗布液が回転塗布される。塗布処理が終了した後、基板Wは主搬送ロボットTR1によって加熱ユニットPHPに搬送される。加熱ユニットPHPにて基板Wの加熱処理が行われることによって、塗布液が乾燥されて基板W上に下地の反射防止膜が焼成される。なお、反射防止膜は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、レジスト膜の下地に形成する膜であり、加熱ユニットPHPにおける反射防止膜の焼成処理については後に詳述する。その後、主搬送ロボットTR1によって加熱ユニットPHPから取り出された基板Wは冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。なお、下地の反射防止膜を形成する前に基板Wを密着強化処理ユニットAHLに搬送してHMDSの蒸気雰囲気で密着強化処理を行うようにしても良い。
【0089】
冷却後の基板Wは主搬送ロボットTR1によって冷却ユニットCPからいずれかのレジスト膜用塗布処理ユニットRESに搬送される。レジスト膜用塗布処理ユニットRESでは、基板Wにレジスト膜用の塗布液が回転塗布される。なお、本実施形態では、レジストとして化学増幅型レジストを用いている。塗布処理が終了した後、基板Wは主搬送ロボットTR1によって加熱ユニットPHPに搬送される。加熱ユニットPHPにて基板Wの加熱処理が行われることによって、塗布液が乾燥されて基板W上にレジスト膜が形成される。その後、主搬送ロボットTR1によって加熱ユニットPHPから取り出された基板Wは冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは主搬送ロボットTR1によって冷却ユニットCPから取り出されて基板載置部PASS3Uに載置される。
【0090】
基板載置部PASS3Uにレジスト膜が形成された基板Wが載置されると、上側現像セルUDの主搬送ロボットTR3がその基板Wをエッジ露光ユニットEEWに搬送する。エッジ露光ユニットEEWにおいては、基板Wを回転させつつ周縁部に光を照射して周縁露光処理が行われる。周縁部の露光処理が終了した基板Wは主搬送ロボットTR3によって基板載置部PASS5Uに載置される。
【0091】
一方、基板載置部PASS1Lに載置された基板Wには下側塗布セルLCおよび下側現像セルLDにおいて上記と同様の処理がなされて基板載置部PASS5Lに載置される。基板Wは、下側塗布セルLCでは主搬送ロボットTR2によって搬送され、下側現像セルLDでは主搬送ロボットTR4によって搬送される。すなわち、基板載置部PASS1Uに載置された基板Wは上側塗布セルUCから基板載置部PASS3Uを経由して上側現像セルUDを通る上側の基板処理経路を搬送されて基板載置部PASS5Uに載置される。基板載置部PASS1Lに載置された基板Wは下側塗布セルLCから基板載置部PASS3Lを経由して下側現像セルLDを通る下側の基板処理経路を搬送されて基板載置部PASS5Lに載置される。上側の基板処理経路に入った基板Wが途中から下側の基板処理経路に移ることはなく、逆に下側の基板処理経路に入った基板Wが途中から上側の基板処理経路に移ることもない。
【0092】
基板載置部PASS5U,PASS5Lに載置された基板WはインターフェイスブロックIFの第1インターフェイスロボットIFR1によって基板載置部PASS7に載置される。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wは第2インターフェイスロボットIFR2によって受け取られ、露光装置EXPに搬入され、パターン露光処理に供される。本実施形態では化学増幅型レジストを使用しているため、基板W上に形成されたレジスト膜のうち露光された部分では光化学反応によって酸が生成する。なお、露光装置EXPにおいて、基板Wに液浸露光処理を行うようにしても良い。
【0093】
パターン露光処理が終了した露光済みの基板Wは露光装置EXPから再びインターフェイスブロックIFに戻され、第2インターフェイスロボットIFR2によって基板載置部PASS8に載置される。露光後の基板Wが基板載置部PASS8に載置されると、第1インターフェイスロボットIFR1がその基板Wを受け取って現像処理ブロックSDの上側現像セルUDまたは下側現像セルLDに配置された加熱ユニットPHPに搬送する。搬送先の加熱ユニットPHPは、インターフェイスブロックIFに近い列に配置された加熱ユニットPHPである。加熱ユニットPHPでは、露光時の光化学反応によって生じた生成物を酸触媒としてレジストの樹脂の架橋・重合等の反応を進行させ、現像液に対する溶解度を露光部分のみ局所的に変化させるための露光後加熱処理(Post Exposure Bake)が行われる。露光後加熱処理が終了した基板Wは、加熱ユニットPHPの搬送アーム86によって搬送されることにより冷却され、上記化学反応が停止する。続いて、基板Wは第1インターフェイスロボットIFR1によって加熱ユニットPHPから取り出され、基板載置部PASS6Uまたは基板載置部PASS6Lに載置される。
【0094】
基板載置部PASS6Uに基板Wが載置されると、上側現像セルUDの主搬送ロボットTR3がその基板Wを受け取って冷却ユニットCPに搬送する。冷却ユニットCPにおいては、露光後加熱処理が終了した基板Wがさらに冷却され、所定温度に正確に温調される。その後、主搬送ロボットTR3は、冷却ユニットCPから基板Wを取り出して現像処理ユニットDEVのいずれかに搬送する。現像処理ユニットDEVでは、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる。やがて現像処理が終了した後、基板Wは主搬送ロボットTR3によって加熱ユニットPHPに搬送される。このときには塗布処理ブロックSCに近い列に配置された加熱ユニットPHPに搬送される。加熱ユニットPHPでは、基板Wが加熱処理によって乾燥される。さらにその後、基板Wは主搬送ロボットTR3によって冷却ユニットCPに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは主搬送ロボットTR3によって冷却ユニットCPから取り出されて基板載置部PASS4Uに載置される。基板載置部PASS4Uに載置された基板Wは、上側塗布セルUCの主搬送ロボットTR1によってそのまま基板載置部PASS2Uに載置される。
【0095】
一方、基板載置部PASS6Lに載置された基板Wには下側現像セルLDおよび下側塗布セルLCにおいて上記と同様の処理がなされて基板載置部PASS2Lに載置される。すなわち、基板載置部PASS6Uに載置された基板Wは上側現像セルUDから基板載置部PASS4Uを経由して上側塗布セルUCを通る上側の基板処理経路を搬送されて基板載置部PASS2Uに載置される。基板載置部PASS6Lに載置された基板Wは下側現像セルLDから基板載置部PASS4Lを経由して下側塗布セルLCを通る下側の基板処理経路を搬送されて基板載置部PASS2Lに載置される。往路と同様に、上側の基板処理経路に入った基板Wが途中から下側の基板処理経路に移ることはなく、逆に下側の基板処理経路に入った基板Wが途中から上側の基板処理経路に移ることもない。
【0096】
基板載置部PASS2U,PASS2Lに載置された処理済みの基板WはインデクサブロックIDのインデクサロボットIDRによって所定のキャリアCに収納される。その後、所定枚数の処理済み基板Wが収納されたキャリアCが装置外部に搬出されて一連のフォトリソグラフィー処理が完了する。
【0097】
<4.加熱ユニットの動作>
次に、図10から図25を参照しつつ、加熱ユニットPHPの動作について説明する。ここでは、塗布処理ブロックSCの上側塗布セルUCの加熱ユニットPHPにおいて、反射防止膜の焼成処理を行う際の動作について説明する。この加熱ユニットPHPの動作は、主搬送ロボットTR1を管理するセルコントローラCCが加熱ユニットPHPの各部を制御することによって進行する。なお、下側塗布セルLCの加熱ユニットPHPにおける反射防止膜の焼成処理も全く同じ動作である。
【0098】
まず、初期状態にあっては、図10に示すように、リフトピン61およびリフトピン71はともに下降しており、それぞれホットプレート60およびクールプレート70に埋入している。ホットプレート60は予め所定の加熱温度に維持され、クールプレート70は予め所定の冷却温度に維持されている。また、搬送アーム86は熱伝導シート89を介してクールプレート70に接触するとともに、カバー65は下降してホットプレート60の上方を閉空間としている。さらに、シャッター75が上昇してホットプレート60とクールプレート70との間の雰囲気を遮断するとともに、排気バルブ57は閉止されている。
【0099】
次に、加熱ユニットPHPへの基板搬入が判明したときに、図11に示すように、エアシリンダ73が3本のリフトピン71を上昇させ、リフトピン71の先端を搬送アーム86の表面から突出させて基板受け取りの準備を行う。続いて、図12に示すように、主搬送ロボットTR1が基板Wを保持する保持アーム37a(または37b)を開口部52から進入させ、クールプレート70のリフトピン71上に基板Wを置く。主搬送ロボットTR1によって搬入される基板Wは、反射防止膜用塗布処理ユニットBARCによって反射防止膜用の塗布液が塗布されたものである。
【0100】
次に、図13に示すように、リフトピン71が下降すると同時に、搬送アーム86が上昇し、基板Wはリフトピン71から搬送アーム86に渡される。基板Wは3個のプロキシミティボール87を介して搬送アーム86の上面に載置される。リフトピン71が下降すると同時に、搬送アーム86が上昇して基板Wの受け渡しを行っているため、基板受け渡し時間が短縮され、加熱処理に伴うオーバーヘッドタイムを削減することができる。また、ホットプレート60のリフトピン61およびカバー65は上昇し、シャッター75は下降する。
【0101】
続いて、図14に示すように、搬送アーム86がクールプレート70の直上位置からホットプレート60の直上位置に向けて水平移動する。そして、図15に示すように、ホットプレート60の直上位置にて搬送アーム86が下降すると、リフトピン61の上端がスリット88を通って搬送アーム86の上面から突き出る。これにより、搬送アーム86に載置されていた基板Wはリフトピン61上に置かれる。なお、搬送アーム86は、ホットプレート60の直上位置にて下降するものの、ホットプレート60に接触はしない。搬送アーム86は、上昇しているリフトピン61に基板Wを渡した後、図16に示す如く、再度クールプレート70の直上位置に向けて水平移動する。
【0102】
次に、図17に示すように、リフトピン61が下降して先端がホットプレート60の内部に埋入すると、ホットプレート60上に基板Wが載置される。同時に、カバー65も下降してホットプレート60の上方を閉空間とする。ホットプレート60の上面に載置された基板Wは、カバー65の内面とホットプレート60の上面とによって囲まれる閉空間にて加熱昇温される。この加熱処理によって反射防止膜の塗布液から溶剤や樹脂成分が揮発または昇華して基板W上に反射防止膜が焼成される。基板Wの加熱処理中は、カバー65の内側空間は排気され続けており、反射防止膜用の塗布液から発生した昇華物はカバー65からの排気によって加熱ユニットPHPの外部に排出されることとなる。
【0103】
また、ホットプレート60にて基板Wの加熱処理を行っているときには、シャッター75が上昇してホットプレート60とクールプレート70との間の雰囲気を遮断するとともに、排気バルブ57が閉止されて加熱ユニットPHPの全体の排気は停止されている。このため、ホットプレート60とクールプレート70との間の相互の熱影響を防ぐとともに、排気流によってホットプレート60の熱処理温度が低下するのを防止することができる。
【0104】
また、搬送アーム86は下降して熱伝導シート89を介してクールプレート70に密着する。すなわち、ホットプレート60にて基板Wの加熱処理が行われているときに、搬送アーム86の下面をクールプレート70の上面に接触させて搬送アーム86を冷却している。形状追従性に優れた熱伝導シート89を介して搬送アーム86をクールプレート70の上面に接触させるため、搬送アーム86の下面とクールプレート70の上面との密着性が高まり、良好な熱伝導がなされて搬送アーム86が効率良く冷却される。また、搬送アーム86の下面とクールプレート70の上面とが直接接触しないため、金属接触が回避され、発塵等が防止される。
【0105】
所定時間の加熱処理が終了した時点で、図18に示すように、カバー65が上昇してホットプレート60の上方を開放するとともに、リフトピン61が上昇して基板Wをホットプレート60の上面から持ち上げて離間させる。これと同時に、シャッター75が下降されてホットプレート60とクールプレート70との間が連通状態とされるとともに、排気部59が作動した状態で排気バルブ57が開放される。その結果、加熱ユニットPHPの開口部52から排気口54へと向かう矢印AR18にて示す如き排気流が形成され、筐体50内全体の雰囲気が排気される。加熱処理が終了してリフトピン61が上昇した直後の段階においては、基板Wの温度が十分に降下しておらず、昇華物が発生し続けているのであるが、加熱ユニットPHPの筐体50内に開口部52から排気口54へと向かう排気流を形成することによって、その排気流とともに昇華物もユニット外へ排出される。その結果、昇華物が開口部52から搬送スペースTP1に流出して基板処理装置1の全体に拡散して各部を汚染するのを防止することができる。
【0106】
なお、排気バルブ57を開放して筐体50内全体の雰囲気を排気し始めるタイミングは、加熱処理時の加熱温度への影響が小さければ加熱処理終了前であってもかまわない。この場合、カバー65が上昇してホットプレート60の上方が開放された時点で筐体50内の排気が既に始まっているので、昇華物を確実に加熱ユニットPHPの外部に排出することができる。また、カバー65上部からカバー65の内側空間を排気する排気流量も、排気バルブ57の開放タイミングとあわせて大流量(例えば、10リットル/分から20リットル/分へ変更)とすることで、昇華物の加熱ユニットPHP外への拡散防止効果を高めることが可能である。
【0107】
続いて、図19に示すように、搬送アーム86が上昇してクールプレート70から離間する。そして、図20に示すように、搬送アーム86がクールプレート70の直上位置からホットプレート60の直上位置に向けて水平移動する。リフトピン61は上昇しているが、搬送アーム86に形成されたスリット88に入り込むため、リフトピン61と搬送アーム86とが干渉することはない。
【0108】
ホットプレート60の直上位置にて搬送アーム86が上昇すると、図21に示すように、基板Wはリフトピン61から搬送アーム86によって受け取られる。基板Wの加熱処理中に搬送アーム86は冷却されていたため、加熱処理直後の基板Wが搬送アーム86の上面に載置されることによって基板Wから搬送アーム86への熱伝達により基板Wが急速に冷却される。
【0109】
本実施形態においては、図21の状態にて基板Wの温度が所定温度以下となるまで暫時待機する。具体的には、基板Wから昇華物の発生が停止する温度以下に基板Wが降温するまで搬送アーム86がホットプレート60の上方にて待機する。すなわち、加熱処理直後の高温の基板Wからは昇華物が発生し続けているのであるが、基板Wの温度が降温して所定温度以下となると昇華物の発生が停止する。加熱処理が終了した基板Wを受け取った搬送アーム86は、そのような昇華物の発生が停止する温度以下に基板Wが降温するまでホットプレート60の上方にて待機した後に、図22に示すように、ホットプレート60の直上位置からクールプレート70の直上位置に向けて水平移動する。また、排気部59による排気は少なくとも基板Wの温度が昇華物の発生が停止する温度以下となるまで、すなわち搬送アーム86がホットプレート60にて待機している間は継続して行われる。なお、予め実験やシミュレーションによって搬送アーム86に載置された基板Wが昇華物の発生が停止する温度以下にまで降温する待機時間を求めておき、搬送アーム86が基板Wを受け取ってからその待機時間だけホットプレート60にて待機するようにしても良い。
【0110】
基板Wを受け取った搬送アーム86がクールプレート70の直上位置まで戻った後、図23に示すように、基板Wを載置したまま搬送アーム86が下降して熱伝導シート89を介してクールプレート70に密着する。上述の通り、形状追従性に優れた熱伝導シート89を介して搬送アーム86の下面とクールプレート70の上面とが接触するため、搬送アーム86とクールプレート70との間で良好な熱伝導がなされて基板Wが効率良く冷却される。また、リフトピン61およびカバー65は下降し、シャッター75は上昇する。
【0111】
搬送アーム86がクールプレート70に接触してから所定時間が経過した時点で、図24に示すように、リフトピン71が上昇して搬送アーム86のスリット88を通って基板Wを搬送アーム86の上面から持ち上げて離間させる。続いて、図25に示すように、主搬送ロボットTR1が保持アーム37a(または37b)を開口部52から進入させ、リフトピン71上に載置されている基板Wを受け取って加熱ユニットPHPから搬出し、加熱ユニットPHPにおける基板Wの反射防止膜焼成処理が完了する。
【0112】
以上のように、本実施形態においては、反射防止膜用塗布処理ユニットBARCにて反射防止膜用の塗布液が塗布された基板Wを主搬送ロボットTR1(またはTR2)が加熱ユニットPHPのクールプレート70に搬入する。そして、加熱ユニットPHPにおいては、搬送アーム86がクールプレート70に搬入された基板Wをホットプレート60に搬送するとともに、ホットプレート60による加熱処理が終了した基板Wを受け取ってその基板Wの温度が昇華物の発生が停止する温度以下に降温するまでホットプレート60にて待機した後に基板Wをクールプレート70に搬送している。このため、加熱処理後にホットプレート60からクールプレート70に搬送される時点では、基板Wから昇華物が発生していないため、昇華物が搬送スペースTP1〜TP2を介して基板処理装置1の全体に飛散することが防止される。
【0113】
また、加熱処理後に単にリフトピン61が上昇してホットプレート60の直上で基板Wを待機させるのに比較して、本実施形態のように搬送アーム86で基板Wを受け取って待機すれば、基板Wから搬送アーム86への熱伝達に加えてホットプレート60からの輻射熱および対流も遮断されるため、基板Wの降温速度が顕著に速くなり、昇華物の発生が停止する温度以下にまで短時間で降温する。その結果、加熱ユニットPHPにおける反射防止膜の焼成処理時間が短くなり、基板処理装置1のスループット低下を抑制することができる。
【0114】
また、加熱処理が終了してホットプレート60の上方が開放された時点では、排気バルブ57が開放されて排気口54から加熱ユニットPHP内全体の排気が行われる。排気口54は、ホットプレート60およびクールプレート70を挟んで筐体50の開口部52と反対側に設けられている。従って、加熱ユニットPHPの内部には開口部52からホットプレート60およびクールプレート70を通過して排気口54へと向かう排気流が形成され、基板Wから発生した昇華物がクールプレート70側に逆流して開口部52から搬送スペースTP1,TP2に漏出することが防がれる。その結果、昇華物が搬送スペースTP1〜TP2を介して基板処理装置1の全体に飛散することが防止される。
【0115】
また、図17に示したように、ホットプレート60にて基板Wの加熱処理が行われているときに、搬送アーム86の下面をクールプレート70の上面に接触させて搬送アーム86を冷却している。このため、搬送アーム86の蓄熱を防止することができ、ホットプレート60にて加熱処理後の基板Wを受け取るときに搬送アーム86の温度は常に一定とすることができる。その結果、加熱処理後の基板Wの冷却履歴を一定とすることができる。
【0116】
また、搬送アーム86の表面にはフッ素系樹脂の被膜を形成しているため、アーム表面の表面自由エネルギーが小さくなり、加熱処理直後の基板Wから発生した昇華物が搬送アーム86に付着するのを低減することができる。
【0117】
なお、塗布処理ブロックSCおよび現像処理ブロックSDに配置された他の加熱ユニットPHPについても概ね上記と同様の動作を行う。但し、昇華物発生がほとんど生じないような加熱ユニットPHPにおいては、加熱処理後の基板Wを受け取った搬送アーム86が直ちにクールプレート70に移動するようにしても良い。また、インターフェイスブロックIFに近い列に配置された加熱ユニットPHP(露光後加熱処理を実行する加熱ユニットPHP)については、第1インターフェイスロボットIFR1が加熱ユニットPHPの側面開口部から(インターフェイスブロックIFの側から)露光後の基板Wを搬入する。
【0118】
<5.変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、加熱処理が終了した後、なるべく早く搬送アーム86が基板Wを受け取るようにしていたが、リフトピン61が上昇して基板Wをホットプレート60の上面から離間させた状態(つまり、図18の状態)にて所定時間待機するとともに、カバー65からの排気量を多くするようにしても良い。そして、基板Wからの昇華物発生がある程度低減した時点で搬送アーム86が基板Wを受け取ってその温度が昇華物の発生が停止する温度以下に降温するまでホットプレート60にて待機する。すなわち、図18の状態にて昇華物発生がある程度沈静化するまで第1の待機を行った後、図21の状態にて昇華物発生が完全に停止するまで第2の待機を行うのである。このようにすれば、搬送アーム86の移動に伴う気流の乱れによって昇華物が拡散して開口部52から漏出するのを確実に防止することができる。なお、図18の状態にて第1および第2の待機を行っている間は、排気バルブ57を開放して排気口54から加熱ユニットPHP内全体の排気を行う。
【0119】
もっとも、ホットプレート60の直上にて搬送アーム86を介さずに基板Wを待機させると基板Wの冷却速度が遅くなるため、上記実施形態のようにした方が加熱ユニットPHPにおける処理時間が短くなり、基板処理装置1のスループットを向上させることができる。加熱処理が終了した後、2段階の待機を行うか上記実施形態のように直ちに搬送アーム86によって基板Wを受け取るかは、処理の目的に応じて決定するのが好ましい。なお、上記実施形態は第1の待機を極力短くしたものとみなすことができ、第1の待機時間を適宜設定することによって処理のバリエーションを増すことができる。
【0120】
また、加熱ユニットPHPからの排気管55に、例えば排気ダンパーなどの流量調整手段を設け、昇華物の発生量に応じて排気口54からの排流流量を調整するようにしてもよい。
【0121】
また、上記実施形態においては、搬送アーム86をアルミニウムにて形成していたが、これに限定されるものではなく、比較的高い熱伝導率を有する他の素材にて形成するようにしても良い。例えば、搬送アーム86を銅(Cu)、アルミナ(Al23)、または、炭化ケイ素(SiC)にて形成するようにしても良い。また、これらを単体ではなく、積層溶着させた複合素材にて搬送アーム86を形成するようにしても良い。
【0122】
また、上記実施形態においては、搬送アーム86の表面にフッ素系樹脂の被膜を形成して昇華物の付着を防止するようにしていたが、表面自由エネルギーを低減させるような他の表面処理を行うようにしても良いし、昇華物付着防止のために加熱処理後の基板Wを受け取る直前の搬送アーム86を加熱する機構を設けても良い。また、付着した昇華物の清掃を容易にするため、搬送アーム86の表面を鏡面仕上げ(表面粗さRaが3.2μm以下)としても良い。
【0123】
また、上記実施形態においては、反射防止膜用塗布処理ユニットBARCにて基板Wに反射防止膜を形成するための塗布液を塗布し、その基板Wを加熱ユニットPHPにて加熱して反射防止膜を焼成していたが、これに代えて、基板Wに薬液として下層膜を形成するための塗布液を塗布し、その基板Wを加熱ユニットPHPにて加熱することによって基板W上に下層膜を焼成するようにしても良い。下層膜とは、近年の微細加工プロセスにも対応可能なエッチングマスクとして開発されたものであり、レジスト膜の下層に形成される塗布炭素膜(SOC:Spin on Carbon Hard Mask)である。この塗布炭素膜の下層膜の特徴は、低反射率でエッチング耐性が高いことである。
【0124】
このような特徴を有する下層膜を形成するプロセスは、下層膜薬液(下層膜を形成するための塗布液)を上記反射防止膜と同様の手法によって基板Wの表面に塗布し、その基板Wを加熱してカーボン以外の成分を焼き飛ばして不純物含有量が最小限のカーボン膜を焼成するというものである。使用する薬液の種類にもよるが、通常、下層膜の焼成処理温度は反射防止膜の焼成処理温度よりも高温である。そして、下層膜の焼成処理時にカーボン以外の成分を焼き飛ばした結果として大量の(反射防止膜焼成時以上の)昇華物が発生する。
【0125】
このような下層膜の焼成処理を上記実施形態と同様に行えば、スループット低下を抑制しつつ基板処理装置1内への昇華物の飛散を防止することができる。特に、大量の昇華物を発生する下層膜については本発明に係る基板処理技術を好適に使用できる。
【0126】
また、本発明に係る基板処理技術は、加熱処理時に昇華物が多く発生する基板上の種々の被膜に対して有効であり、上記の反射防止膜や下層膜に限定されず、加熱処理時に昇華物が多く発生するフォトレジスト膜や、カラーフィルタ用に用いられるカラーレジスト膜などにも好適に使用できる。そして、加熱処理が終了した後、基板Wを受け取った搬送アーム86が基板W上に焼成された膜から昇華物の発生が停止する温度以下に基板温度が降温するまでホットプレート60上方に待機した後に基板Wをクールプレート70に搬送するようにすれば、スループット低下を抑制しつつ基板処理装置1内への昇華物の飛散を防止することができる。すなわち、加熱されることによって昇華物を発生する薬液を基板Wに塗布し、その基板Wに加熱処理を行うものであれば、本発明に係る技術を適用することが可能である。なお、ホットプレート60における加熱処理温度および基板Wを搬出する際の温度は、基板Wに塗布される薬液の種類に応じて適宜設定されるものである。
【0127】
また、基板処理装置1の構成は図1から図5に示したような形態に限定されるものではなく、基板Wに薬液を供給する薬液処理部と、その基板Wの加熱処理を行う加熱ユニットPHPとを組み込み、搬送ロボットによって基板Wを薬液処理部と加熱ユニットPHPとの間で搬送する形態であれば種々の構成を採用することが可能である。例えば、処理ユニットおよび搬送ロボットの数やレイアウトは適宜変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明に係る基板処理装置の平面図である。
【図2】図1の基板処理装置の液処理ユニットの配置構成図を示す概略側面図である。
【図3】図1の基板処理装置の熱処理ユニットの配置構成図を示す概略側面図である。
【図4】図1の基板処理装置の搬送ロボットおよび基板載置部の配置構成を示す側面図である。
【図5】インターフェイスブロックの構成を示す側面図である。
【図6】図1の基板処理装置の制御系の概略を示すブロック図である。
【図7】加熱ユニットの斜視図である。
【図8】加熱ユニットの平面図である。
【図9】加熱ユニットの側面図である。
【図10】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図11】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図12】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図13】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図14】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図15】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図16】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図17】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図18】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図19】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図20】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図21】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図22】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図23】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図24】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【図25】加熱ユニットの動作内容を示す図である。
【符号の説明】
【0129】
1 基板処理装置
50 筐体
52 開口部
54 排気口
59 排気部
60 ホットプレート
61,71 リフトピン
65 カバー
70 クールプレート
75 シャッター
80 ローカル搬送機構
81 アーム駆動部
82 水平駆動機構
83 鉛直駆動機構
86 搬送アーム
BARC 反射防止膜用塗布処理ユニット
CP 冷却ユニット
DEV 現像処理ユニット
ID インデクサブロック
IDR インデクサロボット
IF インターフェイスブロック
IFR1 第1インターフェイスロボット
IFR2 第2インターフェイスロボット
LC 下側塗布セル
LD 下側現像セル
PHP 加熱ユニット
RES レジスト膜用塗布処理ユニット
SC 塗布処理ブロック
SD 現像処理ブロック
TR1,TR2,TR3,TR4 主搬送ロボット
UC 上側塗布セル
UD 上側現像セル
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に薬液を供給する薬液処理部と、前記薬液処理部にて薬液が供給された基板を加熱する熱処理部と、前記薬液処理部と前記熱処理部との間で基板を搬送する主搬送手段と、を備える基板処理装置において、
前記熱処理部は、
前記主搬送手段が基板を搬送する搬送空間に面して設けられ、基板を冷却するクールプレートと、
前記クールプレートを挟んで前記搬送空間の反対側に設けられ、基板を載置して加熱するホットプレートと、
前記ホットプレートと前記クールプレートとの間で基板を搬送するローカル搬送手段と、
を備え、
前記ローカル搬送手段は、
基板を載置する搬送アームと、
前記搬送アームを前記ホットプレートと前記クールプレートとの間で移動させるアーム駆動機構と、
を備え、
前記主搬送手段は、前記薬液処理部にて薬液が供給された基板を前記クールプレートに搬入し、
前記ローカル搬送手段は、前記クールプレートに搬入された基板を前記ホットプレートに搬送するとともに、前記ホットプレートによる加熱処理が終了した基板を受け取って当該基板の温度が所定温度以下に降温するまで前記ホットプレートにて待機した後に当該基板を前記クールプレートに搬送することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1記載の基板処理装置において、
前記ホットプレート、前記クールプレートおよび前記ローカル搬送手段は筐体内に収容され、
前記筐体には、前記搬送空間と前記クールプレートとを連通する開口部が形成され、
前記ホットプレートおよび前記クールプレートを挟んで前記開口部と反対側から前記筐体内の雰囲気を排気する排気手段をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2記載の基板処理装置において、
前記排気手段は、前記ホットプレートによる加熱処理が終了した後に前記筐体内の雰囲気の排気を開始することを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項3記載の基板処理装置において、
移動することによって前記ホットプレートの上方を閉空間または開放空間とするカバー部材と、
移動することによって前記ホットプレートと前記クールプレートとの間を連通状態または遮断状態とするシャッター部材と、
をさらに備え、
前記ホットプレートによる加熱処理時には、前記カバー部材が前記ホットプレートの上方を閉空間とするとともに、前記シャッター部材が前記ホットプレートと前記クールプレートとの間を遮断状態とし、
前記ホットプレートによる加熱処理が終了した時点で、前記カバー部材が前記ホットプレートの上方を開放空間とするとともに、前記シャッター部材が前記ホットプレートと前記クールプレートとの間を連通状態とすることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記ホットプレートによる加熱処理時には、前記搬送アームが前記クールプレートにて冷却されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記搬送アームの表面にフッ素系樹脂の被膜を形成することを特徴とする基板処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載の基板処理装置において、
前記薬液は、前記ホットプレートによって加熱されることにより昇華物を発生する液であり、
前記所定温度は、基板から昇華物の発生が停止する温度であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
請求項7記載の基板処理装置において、
前記薬液は、反射防止膜を形成するための塗布液であり、
前記薬液が塗布された基板が前記熱処理部にて加熱されることによって、当該基板上に反射防止膜が焼成されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項9】
請求項7記載の基板処理装置において、
前記薬液は、下層膜を形成するための塗布液であり、
前記薬液が塗布された基板が前記熱処理部にて加熱されることによって、当該基板上に下層膜が焼成されることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2010−56223(P2010−56223A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218316(P2008−218316)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(506322684)株式会社SOKUDO (158)
【Fターム(参考)】