説明

基板処理装置

【課題】基板処理装置において処理液の飛散を抑制する。
【解決手段】基板処理装置では、回転する基板9の上面に向けてノズル34から処理液を吐出することにより、基板9に対する洗浄処理が行われる。基板処理装置では、ノズル34から吐出された処理液が基板9に接触する位置における処理液の接触方向の水平成分が、接触位置における基板9の回転の接線方向を向く、または、当該接線方向から径方向外側に傾斜する。これにより、基板9上の処理液の基板9の回転に伴う移動が、ノズル34からの吐出される処理液により阻害されることが抑制される。その結果、基板9上を移動する処理液とノズル34から吐出される処理液との衝突の勢いが低減され、基板9から上方へと処理液が飛散することをより抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体基板(以下、単に「基板」という。)の製造工程では、基板処理装置を用いて酸化膜等の絶縁膜を有する基板に対して様々な処理が施されている。例えば、基板を主面に垂直な中心軸を中心として回転しつつ、基板上に処理液を供給することにより、基板の表面に対してエッチング等の処理が行われる。
【0003】
特許文献1の基板処理装置では、基板を回転保持するスピンベースの周囲にスプラッシュガードが設けられ、基板から振り切られた処理液がスプラッシュガードにより受け止められる。また、雰囲気遮断板により基板の上面を覆うことにより、基板の上面が外部雰囲気から遮断される。
【0004】
一方、特許文献2の基板回転式処理装置では、長さが基板の半径におよそ等しい横長の処理液供給ノズルが、基板の上方に設けられる。処理液供給ノズルの前壁面には、長手方向に配列される複数の吐出口が設けられ、各吐出口から、基板の表面に沿った方向、かつ、基板の回転方向と同一方向に処理液が吐出される。これにより、基板上の処理液に対して吐出された処理液が与える衝撃が緩和され、基板上における気泡の発生が抑制される。
【0005】
特許文献3の液処理装置でも同様に、長さが基板の半径におよそ等しい横長の液供給ノズルが、基板の上方に設けられる。液供給ノズルは、ウエハの回転中心付近に対して垂直方向から処理液を供給する第1の吐出部、および、第1の吐出部よりも外周側に配置されるとともに垂直方向からウエハの回転方向に所定角度だけ傾斜した方向に処理液を供給する第2の吐出部を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−296610号公報
【特許文献2】特開平9−138508号公報
【特許文献3】実用新案登録第3155351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、基板処理装置では、基板の全面に亘って均一な処理を行うために、特許文献1ないし3の装置とは異なり、処理液を吐出するノズルを、回転する基板の主面に沿って基板の中心からエッジまで走査することが行われている。
【0008】
このような基板処理装置において、SPM(Sulfuric acid Hydrogen Peroxide Mixture:硫酸過水)処理等が行われると、発熱反応により処理液中に気泡が発生するため、基板との衝突による処理液の上方への飛散が生じやすい。特に、ノズルから基板のエッジ近傍に処理液が吐出される際には、基板上においてエッジに向かって移動する処理液とノズルから吐出された処理液とが衝突するため、処理液の飛散はより生じやすい。
【0009】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、処理液の飛散を抑制することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明は、基板を処理する基板処理装置であって、基板を保持する保持部と、前記基板の中心を通り、前記基板の主面に垂直な回転軸を中心として、前記基板を前記保持部と共に回転する回転機構と、前記基板の前記主面に向けて処理液を吐出するノズルと、前記ノズルを前記基板の前記主面に沿って走査するノズル走査機構とを備え、前記ノズルから吐出された前記処理液が前記基板の前記主面に接触する接触位置において、前記処理液の接触方向の前記主面に平行な成分が、前記接触位置における前記基板の回転の接線方向を向く、または、前記接線方向から径方向外側に傾斜する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の基板処理装置であって、前記ノズルからの前記処理液の吐出方向の前記基板の前記主面に対する角度である吐出角度を変更する吐出角度変更機構をさらに備える。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記吐出角度変更機構を制御する角度制御部をさらに備え、前記角度制御部による制御により、前記基板の回転速度が大きくなるに従って前記吐出角度が小さくなる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の基板処理装置であって、前記吐出角度変更機構を制御する角度制御部をさらに備え、前記角度制御部による制御により、前記接触位置が、前記基板の前記中心から離れるに従って前記吐出角度が小さくなる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、前記処理液が、硫酸と過酸化水素水との混合液を加熱したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、処理液の飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】一の実施の形態に係る基板処理装置の部分断面図である。
【図2】ノズルアーム近傍の部位の側面図である。
【図3】制御部の機能を示すブロック図である。
【図4】ノズルアーム近傍の部位の平面図である。
【図5】ノズルアーム近傍の部位の側面図である。
【図6】ノズルアーム近傍の部位の側面図である。
【図7】ノズルアーム近傍の部位の平面図である。
【図8】ノズルアーム近傍の部位の側面図である。
【図9】ノズルアーム近傍の部位の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る基板処理装置1を示す部分断面図である。図1に示すように、基板処理装置1は、半導体基板9(以下、単に「基板9」という。)を1枚ずつ処理する枚様式の装置である。基板処理装置1では、基板9に処理液を供給して洗浄処理を行う。
【0018】
基板処理装置1は、基板9を下側から保持する基板保持部2、ノズル34から基板9の上側の主面(以下、「上面」という。)に向けて処理液を吐出する処理液供給部3、基板9および基板保持部2の周囲を囲むカップ部4、基板9を基板保持部2と共に回転する回転機構5、これらの構成を内部に収容するチャンバ8、並びに、後述する制御部11(図3参照)を備える。図1では、1つのノズル34の先端部のみを図示するが、実際には、処理液供給部3は複数のノズル34を備える。回転機構5は、基板保持部2の下方にて筒状のカバー部材51により周囲を囲まれる。基板9は、回転機構5により、基板9の中心を通り、基板9の上面に垂直な回転軸90を中心として回転する。
【0019】
基板処理装置1は、チャンバ8の上部に設けられた導入口81からチャンバ8内に気体(本実施の形態では、エア)を導入する導入部であるFFU(Fan Filter Units)61、および、チャンバ8の下部に設けられてチャンバ8内のエアをチャンバ8外へと排出する排出部62をさらに備える。基板処理装置1は、チャンバ8内に配置される整流板63、側壁部64および周辺閉塞部65を備える。
【0020】
整流板63は、複数の開口が分布する板状部材であり、チャンバ8内において基板保持部2およびカップ部4の上方に配置される。本実施の形態では、整流板63は、チャンバ8の天蓋部近傍に、天蓋部から所定の距離だけ離間して配置される。整流板63は、導入口81からのエアを整流し、チャンバ8内に整流板63から下側に向かうエアの流れ(すなわち、ダウンフロー)を発生させる。
【0021】
側壁部64は、カップ部4の周囲を囲む略円筒状の部材であり、チャンバ8の底部から図1中におけるカップ部4の外周部とおよそ同じ高さまで延びる。周辺閉塞部65は、側壁部64の全周に亘って、側壁部64の上端からチャンバ8の側部に向かって延びる。周辺閉塞部65は、チャンバ8の側部から離れるに従ってチャンバ8の底部へと向かうように所定の傾斜角にて傾斜する。
【0022】
図2は、ノズル34を支持する多関節アームであるノズルアーム32近傍の部位を拡大して示す側面図である。ノズルアーム32は、ノズル支持部33に接続される第1ロッド321、関節部325を介して第1ロッド321に接続される第2ロッド322、および、関節部325を介して第2ロッド322に接続される第3ロッド323を備える。第3ロッド323には、ノズル34が関節部325を介して接続される。ノズル34に処理液を供給する図示省略のチューブは、ノズルアーム32の第1ロッド321、第2ロッド322および第3ロッド323に沿って設けられる。なお、当該チューブは、これらのロッド内部に設けられてもよい。第1ロッド321の水平方向に対する角度、第1ロッドと第2ロッド322とが側面視において成す角度、第2ロッド322と第3ロッド323とが側面視において成す角度、および、第3ロッド323とノズル34とが側面視において成す角度は、それぞれ変更可能である。
【0023】
基板処理装置1は、ノズル走査機構71および吐出角度変更機構72を備える。ノズル走査機構71は、ノズル支持部33に接続され、ノズル34をノズルアーム32およびノズル支持部33と共に水平方向に回転することにより、ノズル34を基板9の上面に沿って走査する。吐出角度変更機構72は、3つの関節部325に取り付けられる3つの関節駆動部721、および、ノズル支持部33に取り付けられて第1ロッド321の水平方向に対する角度を変更する第1ロッド駆動部722を備える。関節部325の両側の部位が成す角度は、無段階にて角度を変更可能なL型の関節駆動部721により所定の角度に変更される。
【0024】
図3は、制御部11の機能を示すブロック図である。図3では、制御部11以外の基板処理装置1の構成も併せて図示している。基板処理装置1では、ノズル走査機構71が走査制御部12により制御されることにより、ノズル34の先端に設けられた吐出口340(図2参照)の基板9上における位置が変更される。また、吐出角度変更機構72が角度制御部13により制御されることにより、ノズル34からの処理液の吐出方向が変更され、当該吐出方向の基板9の上面に対する角度である吐出角度が変更される。本実施の形態では、ノズル34の内径は、約6mmである。
【0025】
図1に示す基板処理装置1では、回転機構5により基板9が回転している状態において、基板9の上方にて走査されるノズル34から基板9の上面に向けてSPM(Sulfuric acid Hydrogen Peroxide Mixture:硫酸過水)が吐出され、基板9に対するSPM処理が行われる。SPM処理では、硫酸と過酸化水素水との混合液であるSPMを80℃に加熱したものが処理液として使用され、反応熱により約140℃に昇温したSPMが基板9の上面上に供給される。続いて、基板9の上面上に過酸化水素水(H)が供給された後、純水が供給されてリンス処理が行われる。リンス処理が終了すると、SC1(アンモニア・過酸化水素混合水溶液)が基板9の上面上に供給されてSC1処理が行われる。そして、純水が再度供給されてリンス処理が行われ、純水の供給が停止された後、基板9の回転が継続されて基板9の乾燥処理が行われる。基板9の処理が行われる際には、図示省略の昇降機構によりカップ部4が上昇し、基板9の周囲にて基板9からの処理液を受け止める。
【0026】
図4は、ノズルアーム32近傍の部位を示す平面図である。基板処理装置1において基板9に対するSPM処理が行われる際には、基板9は図4中における反時計回りに回転する。また、ノズルアーム32は、図4中において実線にて示すように、ノズル34の吐出口340が基板9の中心近傍に位置する第1位置と、図4中において二点鎖線にて示すように、ノズル34の吐出口340が基板9のエッジ近傍に位置する第2位置との間を往復移動する。
【0027】
図5は、第1位置におけるノズルアーム32近傍の部位を示す側面図であり、図6は、第2位置におけるノズルアーム32近傍の部位を示す側面図である。図5および図6では、ノズル34からの処理液の吐出角度をθにて示す。第1位置および第2位置における吐出角度θは、好ましくは45°以下であり、本実施の形態では、第1位置における吐出角度θは約45°であり、第2位置における吐出角度θは約30°である。図5および図6では、ノズル34から吐出された処理液が基板9の上面に接触する接触位置の中心を、黒丸94にて示す(図4においても同様)。
【0028】
基板処理装置1では、角度制御部13により吐出角度変更機構72が制御されることにより、ノズル34およびノズルアーム32が第1位置から第2位置に近づくに従って、すなわち、処理液の基板9に対する接触位置が、径方向において基板9の中心から離れるに従って吐出角度θが漸次小さくなる。具体的には、ノズル34およびノズルアーム32が第1位置から第2位置に近づくに従って、吐出角度変更機構72により、ノズルアーム32の第1ロッド321の先端部(すなわち、第2ロッド322に接続される端部)が持ち上げられ、第1ロッド321と第2ロッド322との成す角度が小さくなり、第2ロッド322と第3ロッド323との成す角度が大きくなり、さらに、ノズル34の基板9の上面に対する角度が小さくなることにより、基板9とノズル34の吐出口340との間の上下方向の距離を維持しつつ、吐出角度θが小さくなる。ノズル34およびノズルアーム32が第2位置から第1位置へと移動する際には、上記とは逆に、吐出角度θは漸次大きくなる。
【0029】
図4では、基板9上の接触位置94における処理液の接触方向の基板9の上面に平行な成分(以下、「接触方向水平成分」という。)を、矢印95にて示す。図4に示すように、第2位置におけるノズル34から吐出された処理液の接触方向水平成分95は、接触位置94における基板9の回転の接線方向96から径方向外側に傾斜する。接線方向96は、基板9の中心を中心とするとともに接触位置94を通る円の接触位置94における接線に平行な方向であって、かつ、基板9の回転方向(本実施の形態では、反時計回り)を向く方向である。基板処理装置1では、また、第1位置におけるノズル34は基板9の中心を向いているため、ノズル34が第1位置の極近傍に位置する場合、ノズル34から吐出された処理液の接触方向水平成分は、接触位置における基板9の回転のおよそ接線方向を向く。
【0030】
このように、基板処理装置1では、ノズル34から吐出された処理液が、基板9の上面に対して斜めに接触するため、接触位置における処理液の流速の垂直成分(すなわち、基板9の上面に垂直な方向の成分)が、処理液が基板9の上面に対して垂直に接触する場合に比べて小さくなる。これにより、基板9とノズル34から基板9に向けて吐出される処理液(以下、「吐出処理液」という。)との衝突の勢いが低減され、また、基板9上を中心からエッジに向かって移動する処理液(以下、「基板上処理液」という。)と吐出処理液との衝突の勢いも低減される。その結果、基板9から上方へと処理液が飛散することを抑制することができる。
【0031】
また、基板処理装置1では、ノズル34から吐出された処理液の接触方向水平成分が、接触位置における基板9の回転の接線方向を向く、または、当該接線方向から径方向外側に傾斜する。これにより、基板上処理液の基板9の中心からエッジに向かう移動が、ノズル34からの吐出処理液により阻害されることが抑制される。その結果、吐出処理液と基板上処理液との衝突の勢いが低減され、基板9から上方へと処理液が飛散することをより抑制することができる。
【0032】
上述のSPM処理では、発熱反応により処理液中に気泡が含まれており、気泡の基板9への衝突により処理液の飛散が生じるおそれがある。基板処理装置1では、基板9からの処理液の飛散を抑制することができるため、処理液の飛散が生じやすいSPM処理に特に適している。
【0033】
基板処理装置1では、基板上処理液の移動速度は、基板9の中心からエッジへと向かうに従って大きくなる。上述のように、ノズル34から吐出された処理液の接触方向水平成分は、ノズル34が基板9のエッジに近い第2位置に位置する際に、接触位置における基板9の回転の接線方向から径方向外側に傾斜する。これにより、吐出処理液と基板上処理液との衝突の勢いがさらに低減され、基板9から上方へと処理液が飛散することをさらに抑制することができる。
【0034】
処理液供給部3では、吐出角度変更機構72によりノズル34からの処理液の吐出角度が変更されることにより、吐出処理液の基板9への接触角度を容易に変更することができる。また、角度制御部13による制御により、吐出処理液の基板9に対する接触位置が基板9の中心から離れるに従って吐出角度が小さくなるため、基板上処理液の移動速度が大きい基板9の周縁部において、吐出処理液の流速の垂直成分をさらに小さくし、基板9から上方へと処理液が飛散することをより一層抑制することができる。
【0035】
基板処理装置1では、処理中に基板9の回転速度が変化する処理が行われることがある。このような処理が行われる場合、角度制御部13により吐出角度変更機構72が制御されることにより、基板9の回転速度が大きくなるに従ってノズル34からの処理液の吐出角度が小さくなる。これにより、基板上処理液の移動速度が大きくなるに従って、吐出処理液の流速の垂直成分が小さくなる。その結果、基板9から上方へと処理液が飛散することをより抑制することができる。なお、回転速度が変化する処理においても、上述と同様に、吐出処理液の接触位置が基板9の中心から離れるに従って、ノズル34からの処理液の吐出角度は小さくなる。
【0036】
基板処理装置1では、基板9に対する処理において、ノズル34およびノズルアーム32が、図7中において実線にて示す上述の第2位置と、図7中において二点鎖線にて示す第3位置との間を往復移動してもよい。第3位置は、基板9の中心を挟んで第2位置のおよそ反対側に位置する。第3位置では、ノズル34の吐出口340が基板9のエッジ近傍に位置する。
【0037】
図8は、上述の第1位置(すなわち、吐出口が基板9の中心近傍に位置する位置)を通過する際のノズルアーム32近傍の部位の側面図であり、図9は、第3位置におけるノズルアーム32近傍の部位の側面図である。また、第2位置におけるノズル34およびノズルアーム32は、図6に示すものと同様である。ノズル34およびノズルアーム32が第1位置と第2位置との間に位置する状態では、ノズル支持部33からノズルアーム32の第1ロッド321(図2参照)が延びる方向は、基板9の回転の接線方向とおよそ同じ方向を向く。一方、ノズル34およびノズルアーム32が第2位置と第3位置との間に位置する状態では、ノズル支持部33からノズルアーム32の第1ロッド321が延びる方向は、基板9の回転の接線方向とはおよそ反対方向を向く。
【0038】
基板処理装置1では、図6ないし図9に示すように、ノズル34が第2位置から第1位置に近づくに従って、吐出角度θが漸次大きくなり、第1位置におけるノズル34では、吐出角度θが約90°となる。また、ノズル34が第1位置を通過して第3位置へと向かう際には、ノズル34の第3ロッド323に接続される端部が移動し、ノズル34(図9参照)が、第2位置におけるノズル34(図6参照)の傾斜方向とは反対向きに傾斜する。第1位置と第3位置との間においても、ノズル34から吐出された処理液の接触方向水平成分が、接触位置における基板9の回転の接線方向を向く、または、当該接線方向から径方向外側に傾斜する。これにより、吐出処理液と基板上処理液との衝突の勢いが低減され、基板9から上方へと処理液が飛散することを抑制することができる。
【0039】
基板処理装置1では、ノズル34が、複数の関節部325を有するノズルアーム32により支持されることにより、図示省略の処理液温度調整部からノズル34に至る処理液の流路(上述のチューブ)の全長を変更することなく、ノズル34からの処理液の吐出角度を変更することができる。これにより、処理液の吐出角度にかかわらず、処理液温度調整部からノズル34に至る流路における処理液の温度変化等を一定とすることができる。
【0040】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0041】
例えば、処理液の飛散を十分に抑制することができる場合、基板9上のノズル34の位置にかかわらず、あるいは、基板9の回転速度にかかわらず、ノズル34からの処理液の吐出角度が一定とされてもよい。この場合、ノズル34からの処理液の吐出角度は、基板9に対する処理が行われるよりも前に、作業者により手動にて変更されてもよい。基板処理装置1では、処理液の吐出角度が一定とされる場合であっても、ノズル34から吐出された処理液の接触方向水平成分が、接触位置における基板9の回転の接線方向を向く、または、当該接線方向から径方向外側に傾斜することにより、上記と同様に、基板9から上方へと処理液が飛散することを抑制することができる。
【0042】
ノズル34の支持および吐出方向の変更は、必ずしも多関節アームにより行われる必要はなく、様々な機構により行われてよい。また、基板9上におけるノズル34の走査経路は、円弧状には限定されず、例えば、直線状であってもよい。
【0043】
基板処理装置では、基板9に対し、洗浄処理以外の様々な処理(例えば、エッチング処理等)が行われてよい。
【0044】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせられてよい。
【符号の説明】
【0045】
1 基板処理装置
2 基板保持部
5 回転機構
9 基板
13 角度制御部
34 ノズル
71 ノズル走査機構
72 吐出角度変更機構
90 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する基板処理装置であって、
基板を保持する保持部と、
前記基板の中心を通り、前記基板の主面に垂直な回転軸を中心として、前記基板を前記保持部と共に回転する回転機構と、
前記基板の前記主面に向けて処理液を吐出するノズルと、
前記ノズルを前記基板の前記主面に沿って走査するノズル走査機構と、
を備え、
前記ノズルから吐出された前記処理液が前記基板の前記主面に接触する接触位置において、前記処理液の接触方向の前記主面に平行な成分が、前記接触位置における前記基板の回転の接線方向を向く、または、前記接線方向から径方向外側に傾斜することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置であって、
前記ノズルからの前記処理液の吐出方向の前記基板の前記主面に対する角度である吐出角度を変更する吐出角度変更機構をさらに備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記吐出角度変更機構を制御する角度制御部をさらに備え、
前記角度制御部による制御により、前記基板の回転速度が大きくなるに従って前記吐出角度が小さくなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項2に記載の基板処理装置であって、
前記吐出角度変更機構を制御する角度制御部をさらに備え、
前記角度制御部による制御により、前記接触位置が、前記基板の前記中心から離れるに従って前記吐出角度が小さくなることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の基板処理装置であって、
前記処理液が、硫酸と過酸化水素水との混合液を加熱したものであることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−204720(P2012−204720A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69380(P2011−69380)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】