説明

基板搬送装置および基板搬送方法

【課題】基板位置を高精度で調整し、基板の移動と位置調整とに要する時間を短縮する。
【解決手段】演算処理部9によって、移動ステージ5による基板2の移動中にアライメントステージ4を制御して、基板2の位置を粗調用補正量に応じて粗調整する。こうして、上記粗調アライメントを基板2の移動と並行して行うことによって、上記粗調アライメントのみが単独で行われる時間をなくし、基板2の移動と基板2のアライメントとに要する時間を短縮する。その場合、微調用の撮像を行う第2領域は上記粗調用の撮像を行う第1領域よりも狭く設定されるのであるが、上記粗調アライメントを行う際に、上記第2領域にアライメントマーク3が確実に含まれるように、上記第1領域を設定するようにしている。したがって、上記第2領域からアライメントマーク3が外れて上記微調アライメントが不可能になることを防止でき、基板位置を高精度で調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板を搬送するために用いられる基板搬送装置および基板搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置あるいは液晶ディスプレイ装置の製造においては、ウエハあるいはガラス基板(以下、ウエハおよびガラス基板を総称して「基板」と言う)にアライメントマークを予め描画しておき、各工程処理時には、アライメントマークを利用して、基板のアライメントを行っている。ここで、上記「基板のアライメント」とは、基板の位置の調整を意味する。
【0003】
上記基板における上記アライメントマークを含む領域は、エリアセンサカメラあるいはラインセンサカメラ等の予め定められた領域を撮像する撮像装置によって撮像される。そして、この撮像装置によって得られた撮像画像に基づいて、上記基板のアライメントが行われるのである。
【0004】
上記撮像装置による撮像領域は、アライメントマークを検出するための分解能によって制限される。そして、アライメントの高精度化が進む昨今においては、上記撮像装置による撮像領域は狭小傾向にある。このように、上記撮像装置による撮像領域が狭くなると、上記撮像領域から基板のアライメントマークが外れることに起因して、上記基板のアライメントが不可能になってしまうという不具合が生じ易くなる。
【0005】
上記不具合を回避するための技術として、特開2003‐29017号公報(特許文献1)に開示されたカラーフィルタ製造装置がある。このカラーフィルタ製造装置においては、ガラス基板を処理位置に移動させ、その後、可変倍率光学レンズを有する撮像素子によって、上記ガラス基板のアライメントマークを、低光学倍率および高光学倍率の2種類の光学倍率で撮像する。アライメント調整部は、低光学倍率によって撮像された画像に基づいて粗調整を行い、さらに、高光学倍率によって撮像された画像に基づいて微調整を行う。このように、上記ガラス基板のアライメントを2段階に行うのである。
【0006】
さらに、特開2006‐240015号公報(特許文献2)に開示されたパターン形成装置がある。このパターン形成装置においては、移動カメラによって基板の各アライメントマークを撮像して基板のズレ量を検出し、θ方向移動ステージによって上記基板の回転方向の姿勢調整を行って、アライメントマーク間の相対位置を登録位置と一致させる。そして、個々のアライメントマークの位置ずれ量に基づいてX方向補正量およびY方向補正量を算出し、ヘッドユニットによる加工時の装置座標にオフセットしてパターンを形成するようにしている。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1および特許文献2に開示された従来のカラーフィルタ製造装置およびパターン形成装置には、以下のような問題がある。
【0008】
すなわち、上記特許文献1に開示された従来のカラーフィルタ製造装置においては、ガラス基板を処理位置に移動させた後に、ガラス基板のアライメントを粗調整と微調整との2段階で行うので、ガラス基板の移動とガラス基板のアライメントとに時間が掛り、ガラス基板の移動とガラス基板のアライメントとに要する時間のタクトタイムに占める割合の増加に繋がる。ここで、タクトタイムは、1枚のガラス基板の処理が開始されてから、次のガラス基板の処理が開始されるまでの時間を言う。このように、上記特許文献1のカラーフィルタ製造装置では、基板の移動と基板のアライメントとに要する時間の短縮が大きな課題となっている。
【0009】
また、液晶ディスプレイ装置の製造においては、ガラス基板の大型化に伴う生産装置の大型化が進み、搬送ロボットによる基板搬入位置のバラつきが課題になっている。しかしながら、上記特許文献2に開示されたパターン形成装置においては、一定の光学倍率によるアライメントマークの撮像を行うので、大型基板の搬入位置のバラつきに対応して高精度にアライメントマーク位置を検出することが困難であるという問題がある。
【特許文献1】特開2003‐29017号公報
【特許文献2】特開2006‐240015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明の課題は、基板の位置を確実に高精度で調整することができ、且つ、基板の移動と基板の位置の調整とに要する時間を短縮できる基板搬送装置および基板搬送方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、この発明の基板搬送装置は、
アライメントマークが形成された基板が搭載されると共に、上記基板の搭載位置を調整する調整部と、
上記調整部が搭載されると共に、上記調整部を介して上記基板を搬入位置から処理位置に向かって移動させる基板移動部と、
上記基板移動部による移動最中の上記基板における上記アライメントマークを含む第1領域を、第1倍率で撮像する第1撮像部と、
上記基板移動部による移動によって処理位置に到達した上記基板における上記アライメントマークを含むと共に、上記第1領域よりも狭い第2領域を、上記第1倍率よりも高い第2倍率で撮像する第2撮像部と、
上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第1補正量を求め、上記基板移動部による移動最中の上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第1補正量に応じて上記調整部に調整させた後、上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第2補正量を求め、上記基板移動部が上記処理位置に到達した後の上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第2補正量に応じて上記調整部に調整させる基板位置調整制御部と、
上記計測された上記第2補正量に基づいて、上記基板に対して加工処理を施す際の加工処理位置を算出する加工位置算出部と
を備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、基板位置調整制御部によって、基板の調整部に対する搭載位置の第1補正量を求め、基板移動部による上記基板の移動最中に、上記基板における上記調整部上での搭載位置を上記第1補正量に応じて上記調整部に調整させるようにしている。したがって、第1撮像部によって撮像された第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置の調整を、上記基板移動部による上記基板の移動と並行して行うことができる。すなわち、この発明によれば、上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置調整が単独で実行される時間をなくすことができ、その結果、上記基板の移動と上記基板の位置調整とに要する時間を短縮することができるのである。
【0013】
さらに、上記第2撮像部によって撮像される第2領域は、上記第1領域よりも狭く設定されている。そして、上記基板位置調整制御部は、先ず上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を行い、次に上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を行うようにしている。したがって、上記第2領域が上記第1領域よりも狭いにも拘わらず、上記第2領域に上記基板の上記アライメントマークが確実に含まれるようにすることができる。その結果、上記第2領域から上記アライメントマークが外れることに起因して、上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置の調整が不可能になってしまうという不具合を防ぐことができる。
【0014】
さらに、加工位置算出部によって、上記基板位置調整制御部で求められた上記第2補正量に基づいて、上記基板に対して加工処理を施す際の加工処理位置を算出するようにしている。したがって、上記算出された加工処理位置に基づいて上記基板に対して加工処理を施す場合には、上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を省略することが可能になり、上記基板の位置調整に要する時間をさらに短縮することができる。
【0015】
さらに、上記第1撮像部によって、上記基板移動部による移動最中の基板におけるアライメントマークを含む第1領域を撮像するようにしている。したがって、上記第1撮像部に対する基板供給部を別途設ける必要がなく、本基板搬送装置の設置面積を縮小することができる。
【0016】
また、1実施の形態の基板搬送装置では、
上記基板位置調整制御部は、上記第1補正量が予め設定された許容範囲以内に在る場合には、上記調整部による上記第1補正量に応じた上記基板の搭載位置の調整を省略させるようになっている。
【0017】
この実施の形態によれば、上記第1補正量が、例えば上記アライメントマークが上記第2領域に含まれるように設定されている許容範囲以内に在る場合には、上記調整部による上記第1補正量に応じた上記基板の搭載位置の調整を行う必要が無くなる。したがって、そのような場合には、上記第1補正量に応じた上記基板の無駄な調整を省略して、上記基板の位置調整に要する時間をさらに短縮することができる。
【0018】
また、1実施の形態の基板搬送装置では、
上記基板位置調整制御部は、上記加工位置算出部によって上記第2補正量に基づいて上記基板の加工処理位置が算出された場合は、上記調整部による上記第2補正量に応じた上記基板の搭載位置の調整を省略させるようになっている。
【0019】
この実施の形態によれば、上記加工位置算出部によって上記第2補正量に基づいて上記基板の加工処理位置が算出された場合には、上記算出された上記加工処理位置に基づいて上記基板に対して加工処理を行えばよい。したがって、その場合には、上記第1補正量に応じた上記基板の無駄な調整を省略して、上記基板の位置調整に要する時間をさらに短縮することができる。
【0020】
また、1実施の形態の基板搬送装置では、
上記基板には、複数の上記アライメントマークが形成されており、
上記基板における上記アライメントマークを含む第3領域を撮像する第3撮像部と、
所定の方向に移動可能に設けられると共に、上記第3撮像部が取り付けられて、上記第3撮像部を上記所定の方向に移動させる第3撮像部移動部と
をさらに備え、
上記基板位置調整制御部は、上記第3撮像部移動部を制御して上記第3撮像部によって撮像された上記各第3領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第3補正量を求め、上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第3補正量に応じて上記調整部に調整させるようになっている。
【0021】
この実施の形態によれば、第3撮像部による第3領域の撮像画像に基づいて、上記基板における上記調整部上での搭載位置を調整するようにしている。したがって、この上記第3撮像部による上記第3領域の撮像画像に基づく上記基板の位置調整を、上記第1補正量の計測時および上記第2補正量の計測時に用いる目標位置の設定に先立って行うことによって、上記両目標位置を設定する際における上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置調整、および、上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置調整に要する手間を軽減することができる。
【0022】
また、この発明の基板搬送方法は、
アライメントマークが形成されると共に調整部に搭載された基板を、基板移動部によって、搬入位置から処理位置に向かって移動させ、
上記処理位置に向かって上記基板が移動している最中に、上記基板における上記アライメントマークを含む第1領域を、第1撮像部によって第1倍率で撮像し、
基板位置調整制御部によって、上記第1領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第1補正量を求め、
上記処理位置に向かって上記基板が移動している最中に、上記調整部によって、上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第1補正量に応じて調整し、
上記基板移動部による移動によって上記基板が上記処理位置に到達した後、上記基板における上記アライメントマークを含むと共に、上記第1領域よりも狭い第2領域を、第2撮像部によって、上記第1倍率よりも高い第2倍率で撮像し、
基板位置調整制御部によって、上記第2領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第2補正量を求め、
上記基板が上記処理位置に到達した後に、上記第2補正量に応じて、上記調整部によって上記基板における上記調整部上での搭載位置を調整すること、あるいは、加工位置算出部によって上記基板における加工処理位置を算出すること、の何れか一方を行う
ことを特徴としている。
【0023】
上記構成によれば、基板位置調整制御部によって、基板の調整部に対する搭載位置の第1補正量を求め、上記調整部によって、基板移動部による上記基板の移動最中に、上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第1補正量に応じて調整するようにしている。したがって、第1撮像部によって撮像された第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置の調整を、上記基板移動部による上記基板の移動と並行して行うことができる。すなわち、この発明によれば、上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置調整が単独で実行される時間をなくすことができ、その結果、上記基板の移動と上記基板の位置調整とに要する時間を短縮することができるのである。
【0024】
さらに、上記第2撮像部によって撮像される第2領域は、上記第1領域よりも狭く設定されている。そして、上記基板位置調整制御部は、先ず上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を行い、次に上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を行うようにしている。したがって、上記第2領域が上記第1領域よりも狭いにも拘わらず、上記第2領域に上記基板の上記アライメントマークが確実に含まれるようにすることができる。その結果、上記第2領域から上記アライメントマークが外れることに起因して、上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置の調整が不可能になってしまうという不具合を防ぐことができる。
【0025】
さらに、加工位置算出部によって、上記基板位置調整制御部で計測された上記第2補正量に応じて、上記基板に対して加工処理を施す際の加工処理位置を算出するようにしている。したがって、上記算出された加工処理位置に基づいて上記基板に対して加工処理を施す場合には、上記第2補正量に応じた上記基板の位置調整を省略することが可能になり、上記基板の位置調整に要する時間をさらに短縮することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上より明らかなように、この発明の基板搬送装置および基板搬送方法は、基板位置調整制御部によって、第1撮像部で撮像された第1領域の撮像画像に基づいて基板の調整部に対する搭載位置の第1補正量を求め、基板移動部による上記基板の移動最中に、上記基板における上記調整部上での搭載位置を上記第1補正量に応じて上記調整部に調整させるので、上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置の調整を、上記基板移動部による上記基板の移動と並行して行うことができる。したがって、上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置調整が単独で実行される時間をなくすことができ、その結果、上記基板の移動と上記基板の位置調整とに要する時間を短縮することができるのである。
【0027】
さらに、上記基板位置調整制御部は、先ず上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を行い、次に上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を行うので、上記第2領域が上記第1領域よりも狭いにも拘わらず、上記第2領域に上記基板の上記アライメントマークが確実に含まれるようにすることができる。したがって、上記第2領域から上記アライメントマークが外れることに起因して、上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置の調整が不可能になってしまうという不具合を防ぐことができる。
【0028】
さらに、加工位置算出部によって、上記基板位置調整制御部で計測された上記第2補正量に基づいて、上記基板に対して加工処理を施す際の加工処理位置を算出するので、上記算出された加工処理位置に基づいて上記基板に対して加工処理を施す場合には、上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づく上記基板の位置補正を省略することが可能になる。したがって、上記基板の位置調整に要する時間をさらに短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。図1は、本実施の形態の基板搬送装置における概略構成を示す平面図である。また、図2は、図1に示す基板搬送装置1の斜視図である。
【0030】
本実施の形態における基板搬送装置1は、基板2を搬送するために用いられる。この基板搬送装置1は、半導体装置の製造において基板2であるウエハを搬送するために用いられてもよく、液晶ディスプレイ装置の製造において基板2であるガラス基板を搬送するために用いられてもよい。本実施の形態においては、一例として、欠陥検査・修正を行う装置に対して基板2を搬送する基板搬送装置1を上げて説明する。
【0031】
上記基板2の一表面には、1個あるいは複数個のアライメントマーク3が予め描画されて形成されている。このアライメントマーク3は、例えばブラックマトリックス形成装置等によって、予め描画されて形成される。本実施の形態における基板2は矩形板状を有しており、アライメントマーク3は基板2の一表面における4個の角隅部分のうち互いに隣り合う2つの角隅部分に1つずつ形成されている。
【0032】
以下、図1および図2に従って本基板搬送装置1について説明する。本基板搬送装置1は、上記調整部としてのアライメントステージ4と、上記基板移動部としての移動ステージ5と、上記第1撮像部としての1個あるいは複数個の粗調用撮像部6と、上記第2撮像部としての1個あるいは複数個の微調用撮像部7と、記憶部8と、上記基板位置調整制御部としての演算処理部9とを含んで構成されている。尚、本実施の形態においては、粗調用撮像部6を2つ設けており、微調用撮像部7を2つ設けている。尚、後に詳述するように、アライメントステージ4と移動ステージ5とは、保持部18の下側に在るため図1では見えないのであるが、分かり易くするため図1では、模式的に保持部18の横に描いている。
【0033】
図3は、基板搬送装置1の電気的構成を示すブロック図である。図3において、演算処理部9は、アライメントステージ制御部10と、移動ステージ制御部11と、撮像制御部12と、画像処理部13と、補正量計測部14と、加工位置算出部15と、可動撮像部搭載ステージ制御部16と、目標位置設定部17と、を含んで構成されている。このような演算処理部9は、中央演算処理装置(Central Processing Unit:CPU)等によって実現される。
【0034】
上記アライメントステージ4は、アライメント用ベース(図示せず)と、上記アライメント用ベースに変位可能に設けられると共に基板2を保持する保持部18が搭載されたアライメント用可動部と(図示せず)、上記アライメント用可動部を上記アライメント用ベースに対して変位駆動するアライメント用駆動部20と、上記アライメント用可動部の上記アライメント用ベースに対する位置を検出するアライメント用位置検出部21と、を含んで構成されている。
【0035】
上述したように、上記アライメント用可動部には、基板2を保持する保持部18が搭載されている。この保持部18は、水平な仮想一平面に沿った保持面19を有している。そして、基板2が上記一表面を上方にして保持面19上に乗載され、例えば吸引源によって保持面19上に真空吸着されて水平に保持される。
【0036】
上記アライメント用可動部は、上記アライメント用ベースに対して、上記仮想一平面に平行な第1アライメント方向Xとこの第1アライメント方向Xに直交する第2アライメント方向Yとにスライド変位可能になっている。さらに、上記アライメント用ベースに対して、上記仮想一平面に直交する角変位軸線の周りの周方向である第3アライメント方向θに角変位可能になっている。
【0037】
上記アライメント用駆動部20は、上記アライメント用可動部を、上記アライメント用ベースに対して第1アライメント方向Xおよび第2アライメント方向Yに、スライド変位駆動する。さらに、上記アライメント用ベースに対して第3アライメント方向θに角変位駆動する。そして、アライメント用位置検出部21は、上記アライメント用可動部の上記アライメント用ベースに対する第1アライメント方向Xおよび第2アライメント方向Yの位置と、第3アライメント方向θの位置と、を検出する。尚、このアライメント用位置検出部21は、例えばエンコーダによって実現される。
【0038】
上記演算処理部9のアライメントステージ制御部10は、アライメントステージ4を構成するアライメント用位置検出部21によって検出された位置に基づいて、アライメント用駆動部20の駆動動作を制御する。つまり、アライメントステージ制御部10は、移動ステージ5によって基板2が移動されている最中に、基板2の位置が後述の粗調用補正量に応じて調整されるように、アライメント用駆動部20の駆動動作を制御するのである。以下、上記粗調用補正量に応じた位置調整を、粗調アライメントと言うことがある。さらに、アライメントステージ制御部10は、処理位置22に到達した基板2の位置が、後述の微調用補正量に応じて調整されるように、アライメント用駆動部20の駆動動作を制御する。以下、上記微調用補正量に応じた調整を、微調アライメントと言うことがある。
【0039】
上記移動ステージ5は、移動用ベース(図示せず)と、上記移動用ベースに変位可能に設けられた移動用可動部(図示せず)と、上記移動用可動部を上記移動用ベースに対して変位駆動する移動用駆動部23と、上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する位置を検出する移動用位置検出部24とを含んで構成されている。そして、この移動用位置検出部24によって検出された位置に基づいて、演算処理部9の移動ステージ制御部11は、移動用駆動部23の駆動動作を制御するのである。
【0040】
上記移動ステージ5における上記移動用ベースは、基板搬送装置1の基台25に固定されている。また、移動ステージ5における上記移動用可動部には、アライメントステージ4の上記アライメント用ベースが固定されている。このようにして、移動ステージ5にアライメントステージ4が搭載されているのである。
【0041】
尚、上記移動用可動部は、上記移動用ベースに対して、上記仮想一平面内で第2アライメント方向Yにスライド変位可能になっている。以下、第2アライメント方向Yを「移動方向Y」とも言うことにする。そして、移動用駆動部23は、上記移動用可動部を移動用ベースに対して移動方向Yに、スライド変位駆動する。また、移動用位置検出部24は、上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する移動方向Yの位置を検出する。ここで、移動用位置検出部24は、エンコーダによって実現される。
【0042】
上記構成を有する移動ステージ5は、上記保持部18に保持されている基板2を、移動方向Yに沿って、搬入位置26から処理位置22に向かって移動させることができる。また、逆に、処理位置22から搬出位置26に向かって移動させることもできる。ここで、搬入位置26は、処理前の基板2を搬入する位置である。また、処理位置22は、基板2に欠陥検査および修正等の処理を行う位置である。また、搬出位置26は、処理後の基板2を搬出する位置である。尚、本実施の形態においては、搬入位置26と搬出位置26とは同じ位置である。以下、移動方向Yのうち、搬入位置26から処理位置22に向かう方向を第1移動方向Y1と言う。これに対し、処理位置22から搬出位置26に向かう方向を第2移動方向Y2と言う。
【0043】
本実施の形態においては、上記保持部18によって基板2が保持された状態では、基板2のアライメントマーク3が形成された2つの角隅部分は、基板2の上記2つの角隅部分を除く残余の2つの角隅部分よりも第1移動方向Y1の下流側になる。また、基板2の各アライメントマーク3に対する移動方向Yへの相対位置は、同一または略同一になる。
【0044】
上記各粗調用撮像部6は、第1倍率の粗調用光学系と、この粗調用光学系を介して基板2のアライメントマーク3を含む第1領域を撮像する粗調用撮像素子と、を含んで構成されている。尚、上記粗調用光学系は、1個あるいは複数個のレンズによって実現される。また、上記粗調用撮像素子は、電荷結合素子(Charge Coupled Device:CCD)によって実現される。また、粗調用撮像部6は、一次元ラインセンサカメラでもよく、あるいは、高速カメラのような瞬時撮像系であってもよい。
【0045】
上記粗調用光学系の倍率である上記第1倍率は、上記粗調アライメントの際に微調用撮像部7の視野内にアライメントマーク3が収まるようにするために必要な画像分解能を実現できるように、且つ、保持部18に対する基板2の位置に誤差が生じた場合でも基板2のアライメントマーク3を粗調用撮像部6によって撮像できるように、選定される。このように上記第1倍率が選定されることによって、粗調アライメントを確実に行うことができるのである。尚、上記第1倍率は、上述のような条件を満たした上で、できるだけ高い倍率に選定すれば、粗調アライメントの精度を向上させることができる。
【0046】
具体的には、上記保持部18に対する基板2の位置の誤差は、基板2を保持部18に搬入する搬送ロボット27(図2参照)の繰返し位置決め精度によって決まる。上記粗調用撮像素子の構成は、水平方向にi1[個]、垂直方向にi2[個]の画素が並び、画素サイズは水平方向にj1[μm]、垂直方向にj2[μm]であるとする。また、搬送ロボット27の繰返し位置決め精度は、±Ra[μm]であるとする。さらに、上記粗調アライメントの際に微調用撮像部7の視野にアライメントマーク3が収まるようにするために必要な画像分解能は、ε1[μm]であるとする。その場合、第1倍率M1は、以下の式(1)および式(2)の両式を満たした上で、できるだけ高い倍率に選定される。
【0047】
j1/ε1<M1<(i1×j1)/(2×Ra) …(1)
j2/ε1<M1<(i2×j2)/(2×Ra) …(2)
一例を述べると、上記粗調用撮像素子は、水平方向に1400[個]、垂直方向に1000[個]の合計140万個の画素が並んで構成されており、画素サイズは、水平方向が6.45[μm]であり、垂直方向が6.45[μm]であるとする。また、搬送ロボット27の繰返し位置決め精度は±5.0[mm]程度であるとする。この場合、第1倍率M1が1倍であるとすると、粗調用撮像部6の視野は、水平方向が9[mm]、垂直方向が6.5[mm]となる。したがって、粗調用撮像部6の視野からアライメントマーク3が外れる場合が生ずる。そこで、第1倍率M1を0.5倍にすると、粗調用撮像部6の視野は、水平方向が18[mm]、垂直方向が13[mm]となり、粗調用撮像部6の視野内にアライメントマーク3が確実に収まる。以上の点を踏まえて、第1倍率M1は、例えば0.5倍が選定される。
【0048】
尚、上記第1倍率は、0.5倍以上且つ2倍未満が選定されてもよい。この範囲内に上記第1倍率が選定されると、上記粗調アライメントを行うことができないような場合は殆どない。ところで、保持部18に対する基板2の位置の誤差は、基板2を保持部18に搬入する搬送ロボット27の繰返し位置決め精度だけではなく、その他の条件も関係して決まる場合がある。その場合には、上記その他の条件をも考慮して、上記第1倍率を選定しても差し支えない。
【0049】
上記各粗調用撮像部6は、上記保持面19の上方に設けられる。各粗調用撮像部6は、上記保持部18に保持されている基板2のアライメントマーク3を含む第1領域を、移動方向Yに関して搬入位置26と処理位置22との中間で撮像することができるように、配置される。その際に、一方の粗調用撮像部6は、基板2の一方のアライメントマーク3を含む第1領域を撮像し、他方の粗調用撮像部6は、基板2の他方のアライメントマーク3を含む第1領域を撮像する。
【0050】
上記各粗調用撮像部6は、第1支持体28によって支持されている。この第1支持体28は、保持面19の上方において第1アライメント方向Xに延在する第1延在部29と、第1延在部29の延在方向両端部に接続されて垂直方向下側に延在して基台25に固定された一対の第1脚部(図示せず)とを含んで構成されている。両側の上記第1脚部は、アライメントステージ4および移動ステージ5に対して第1アライメント方向Xの両側において、基台25に夫々固定されている。そして、第1延在部29には、2つの粗調用撮像部6が固定されている。
【0051】
上記各微調用撮像部7は、上記第1倍率よりも高い第2倍率の微調用光学系と、この微調用光学系を介して基板2のアライメントマーク3を含む第2領域を撮像する微調用撮像素子と、を含んで構成されている。尚、上記微調用光学系は、1個あるいは複数個のレンズによって実現される。また、上記微調用撮像素子は、上記電荷結合素子によって実現される。ここで、上記微調用撮像素子による撮像領域である上記第2領域は、上記粗調用撮像素子による撮像領域である上記第1領域よりも狭く設定されている。
【0052】
上記微調用光学系の倍率である上記第2倍率は、上記微調アライメントの際に必要な画像分解能を実現できるように、且つ、微調用撮像部7の視野内にアライメントマーク3が収まるように、選定される。このように上記第2倍率が選定されることによって、微調アライメントを確実に行うことができるのである。尚、上記第2倍率は、上述のような条件を満たした上で、できるだけ高い倍率に選定すれば、微調アライメントの精度を向上させることができる。特に、本基板搬送装置1がインクジェット装置等に搭載される場合は、微調アライメントに対して高い精度が要求されるので、上記第2倍率としてできるだけ高い倍率が選定される。
【0053】
具体的には、微調用撮像素子の構成は、水平方向にi1[個]、垂直方向にi2[個]の画素が並び、画素サイズは水平方向にj1[μm]、垂直方向にj2[μm]であるとする。また、上記微調アライメントの際に必要な画像分解能はε2[μm]であるとする。また、アライメントマーク3の外接円の直径はd[μm]であるとする。その場合、第2倍率M2は、以下の式(3)および式(4)を満たした上で、できるだけ高い倍率に選定される。
【0054】
j1/ε2<M2<(i1×j1)/d …(3)
j2/ε2<M2<(i2×j2)/d …(4)
一例を述べると、上記微調用撮像素子は、水平方向に1400[個]、垂直方向に1000[個]の合計140万画素が並んで構成されており、画素サイズは、水平方向が6.45[μm]であり、垂直方向が6.45[μm]であるとする。また、アライメントマーク3の外接円の直径は200[μm]であるとする。この場合、第2倍率M2が6倍であるとすると、上記微調アライメントを行うのに必要な約1[μm]の画像分解能が得られる。また、第2倍率M2が10倍であるとすると、微調用撮像部7の視野は、水平方向が0.9[mm]、垂直方向が0.65[mm]となり、微調用撮像部7の視野内にアライメントマーク3が収まる。以上の点を踏まえて、第2倍率M2は、5倍以上且つ20倍未満が選定され、例えば10倍が選定される。
【0055】
上記各微調用撮像部7は、上記保持面19の上方に設けられる。各微調用撮像部7は、上記保持部18に保持されている基板2のアライメントマーク3を含む第2領域を、処理位置22で撮像することができるように、配置される。その際に、一方の微調用撮像部7は、基板2の一方のアライメントマーク3を含む上記第2領域を撮像し、他方の微調用撮像部7は、基板2の他方のアライメントマーク3を含む上記第2領域を撮像する。
【0056】
上記各微調用撮像部7は、第2支持体30によって支持されている。この第2支持体30は、保持面19の上方において第1アライメント方向Xに延在する第2延在部31と、第2延在部31の延在方向両端部に接続されて垂直方向下側に延在して基台25に固定された一対の第2脚部(図示せず)とを含んで構成されている。両側の上記第2脚部は、アライメントステージ4および移動ステージ5に対して第1アライメント方向Xの両側において、基台25に夫々固定されている。そして、第2延在部31には、2つの微調用撮像部7が固定されている。
【0057】
上記演算処理部9の撮像制御部12は、移動用ステージ5の移動用位置検出部24によって検出された上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する位置に応じて、各粗調用撮像部6と各微調用撮像部7との夫々を制御する。具体的には、撮像制御部12は、移動用位置検出部24であるエンコーダからのエンコーダパルスに基づいて、常に一定の撮像開始タイミングで各粗調用撮像部6による粗調用撮像と各微調用撮像部7による微調用撮像とを行うのである。
【0058】
すなわち、上記撮像制御部12は、搬入位置26から処理位置22への基板2の移動が開始された後、移動用位置検出部24による検出位置に基づいて、基板2が粗調用撮像位置に到達したと判定すると、各粗調用撮像部6に撮像指令を与えるのである。この場合、上記粗調用撮像位置は、搬入位置26と処理位置22との間の位置であって、各粗調用撮像部6によって基板2のアライメントマーク3を含む上記第1領域を撮像することが可能な位置である。さらに、撮像制御部12は、粗調アライメントが終了した後、移動用位置検出部24による検出位置に基づいて、基板2が処理位置22に到達したと判定すると、各微調用撮像部7に撮像指令を与えるのである。
【0059】
上記演算処理部9の画像処理部13は、各粗調用撮像部6によって撮像された上記第1領域の撮像画像(以下、粗調用撮像画像と言う)を処理して、各粗調用撮像部6による撮像画像の処理画像を得る。さらに、画像処理部13は、各微調用撮像部7によって撮像された上記第2領域の撮像画像(以下、微調用撮像画像と言う)を処理して、各微調用撮像部7による撮像画像の処理画像を得る。尚、本実施の形態においては、画像処理部13は、各粗調用撮像部6による粗調用撮像画像の夫々を2値化して、各粗調用撮像部6による撮像画像の2値化画像を得る。さらに、各微調用撮像部7による微調用撮像画像の夫々を2値化して、各微調用撮像部7による撮像画像の2値化画像を得るようにしている。
【0060】
上記記憶部8には、粗調用目標位置と微調用目標位置とが記憶されている。ここで、上記粗調用目標位置は、一方の粗調用撮像部6による上記粗調用撮像画像の2値化画像に基づく基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心があるべき位置と、他方の粗調用撮像部6による上記粗調用撮像画像の2値化画像に基づく基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心があるべき位置とを含んでいる。また、上記微調用目標位置は、一方の微調用撮像部7による上記微調用撮像画像の2値化画像に基づく基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心があるべき位置と、他方の微調用撮像部7による上記微調用撮像画像の2値化画像に基づく基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心があるべき位置とを含んでいる。
【0061】
上記補正量計測部14は、画像処理部13によって得られた各粗調用撮像部6による上記粗調用撮像画像の処理画像と、記憶部8に記憶されている上記粗調用目標位置と、に基づいて、粗調用補正量を計算する。すなわち、先ず、補正量計測部14は、画像処理部13によって得られた一方の粗調用撮像部6による上記粗調用撮像画像の2値化画像に基づいて、基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測する。さらに、画像処理部13によって得られた他方の粗調用撮像部6による上記粗調用撮像画像の2値化画像に基づいて、基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測する。その後、補正量計測部14は、上述のようにして計測された各位置と、記憶部8に記憶されている上記粗調用目標位置とに基づいて、上記第1補正量である粗調用補正量を算出するのである。ここで、上記粗調用補正量は、上記計測された各位置と上記粗調用目標位置とのずれ量に相当する。
【0062】
さらに、上記補正量計測部14は、画像処理部13によって得られた各微調用撮像部7による上記微調用撮像画像の処理画像と記憶部8に記憶されている上記微調用目標位置とに基づいて、微調用補正量を計算する。すなわち、先ず補正量計測部14は、画像処理部13によって得られた一方の微調用撮像部7による上記微調用撮像画像の2値化画像に基づいて、基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測する。さらに、画像処理部13によって得られた他方の微調用撮像部7による上記微調用撮像画像の2値化画像に基づいて、基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測する。この後、補正量計測部14は、上述のようにして計測された各重心の位置と、記憶部8に記憶されている上記微調用目標位置とに基づいて、第2補正量である微調用補正量を算出するのである。ここで、上記微調用補正量は、上記計測された各位置と上記微調用目標位置とのずれ量に相当する。
【0063】
上記基板2は、外部搬送装置である搬送ロボット27によって、保持部18の保持面19上に搬入される。あるいは、保持部18から搬出される。搬送ロボット27は、基板2を受けるU字状受け部32を有する乗載部材33を含んで構成されている。保持部18には複数の保持ピン(図示せず)が設けられる。上記各保持ピンは、保持部18の保持面19から上方にU字状受け部32の厚さよりも長く突出している突出状態と、保持面19よりも下方に退避している退避状態と、に変化可能になっている。
【0064】
上記各保持ピンが突出状態の場合に、搬送ロボット27の乗載部材33におけるU字状受け部32は、上記各保持ピンによって保持されている基板2の裏面と保持面19との間に入り込むことができる。そして、このようにU字状受け部32が基板2の裏面と保持面19との間に入り込んだ状態で乗載部材33が上下に移動することによって、基板2を上記保持ピン上に載せたり、基板2を上記保持ピンから上方に離間させたりすることができる。つまり、上記各保持ピンが突出状態の場合に基板2を上記各保持ピン上に載せ、その後上記各保持ピンを退避状態にすることによって、保持部18の保持面19上に基板2を載置することができるのである。
【0065】
図4は、上記演算処理部9による制御の下に行われる基板搬送処理動作のフローチャートである。以下、図4に従って、基板搬送装置1によって行われる基板搬送方法について説明する。
【0066】
本基板搬送処理動作は、上記搬送ロボット27によって保持部18に基板2が搬入されて保持面19上に載置されるとスタートする。ここで、搬送ロボット27によって保持部18に基板2が搬入される際には、移動ステージ制御部11は、基板2が搬入位置26において保持部18に搬入されるように、予め、移動用駆動部23を制御して移動ステージ5の上記移動用可動部を搬入位置26に移動させておく必要がある。
【0067】
基板搬送処理動作が開始されると、先ず、移動ステージ制御部11によって、保持部18によって保持されている基板2を搬入位置26から処理位置22に移動させるための移動量が、移動用駆動部23に出力される。そして、移動用駆動部23によって、上記移動量に応じて、移動ステージ5の上記移動用可動部が上記移動用ベースに対して第1移動方向Y1にスライド変位される。こうして、保持部18によって保持されている基板2が、搬入位置26から処理位置22に向かって移動される。
【0068】
以上のごとく、上記基板2の搬入位置26から処理位置22への移動が開始されると、ステップS1で、上記撮像制御部12によって、移動用位置検出部24で検出された上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する位置に基づいて、基板2が粗調用撮像位置に到達したか否かが判別される。その結果、基板2が上記粗調用撮像位置に到達していればステップS2に進み、そうでなければ当該ステップS1が再度実行される。
【0069】
ステップS2で、上記撮像制御部12によって、各粗調用撮像部6に対して撮像指令が出力される。そして、各粗調用撮像部6によって、上記撮像指令に応答して、基板2のアライメントマーク3を含む上記第1領域が撮像される。本実施の形態においては、移動ステージ5によって基板2が移動されている最中に、各粗調用撮像部6による撮像が実行されるようになっている。その後、画像処理部13によって、各粗調用撮像部6によって撮像された撮像画像の夫々が2値化され、上記粗調用撮像画像の2値化画像が得られる。
【0070】
ステップS3で、上記補正量計測部14によって、先ず、画像処理部13で得られた両方の粗調用撮像部6による粗調用撮像画像の2値化画像に基づいて、基板2における一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置と、他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置と、が計測される。次に、上述のようにして計測された各重心の位置と、記憶部8に記憶されている上記粗調用目標位置とに基づいて、上記粗調用補正量が算出される。
【0071】
ステップS4で、上記アライメントステージ制御部10によって、以下のようにして、粗調アライメントを行う必要があるか否かが判別される。その結果、必要であればステップS5に進み、不必要であればステップS5をスキップする。尚、上記粗調アライメントが必要か否かの判別は、次のようにして行われる。すなわち、補正量計測部14によって算出された上記粗調用補正量が第1許容範囲以内にある場合には、上記粗調アライメントは不必要であると判別され、上記第1許容範囲外である場合には、上記粗調アライメントが必要であると判別するのである。
【0072】
ここで、上記粗調アライメントが必要か否かの判別の際に用いられる上記第1許容範囲としては、処理位置22において、基板2のアライメントマーク3が上記第2領域内に在る場合に上記粗調用補正量が呈する値の範囲が設定される。その場合、上記粗調用補正量が第1許容範囲以内にある場合には、粗調アライメント無しでも微調アライメントが可能であるため、本実施の形態においては、上述のように粗調アライメント動作を省略するのである。
【0073】
ステップS5で、上記アライメントステージ制御部10によって、補正量計測部14で算出された上記粗調用補正量に基づいて粗調用補正移動量が求められ、アライメント用駆動部20に出力される。そうすると、アライメント用駆動部20によって、上記粗調用補正移動量に基づいて、アライメントステージ4の上記アライメント用移動部が上記アライメント用ベースに対して第1アライメント方向X,第2アライメントYおよび第3アライメント方向θに変位される。このようにして、保持部18に保持されている基板2の位置が粗調整される。
【0074】
ステップS6で、上記撮像制御部12によって、移動用位置検出部24で検出された上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する位置に基づいて、基板2が処理位置22に到達したか否かが判別される。その結果、処理位置22に到達していればステップS7に進み、そうでなければ当該ステップS6が再度実行される。尚、基板2は、上記粗調アライメントの終了と時間的に前後して処理位置22に到達する。
【0075】
ステップS7で、上記撮像制御部12によって、各微調用撮像部7に対して撮像指令が出力される。そして、各微調用撮像部7によって、上記撮像指令に応答して、基板2のアライメントマーク3を含む上記第2領域が撮像される。本実施の形態においては、基板2が静止している状態で、各微調用撮像部7による撮像が実行される。この後、画像処理部13によって、各微調用撮像部7で撮像された撮像画像の夫々が2値化され、上記微調用撮像画像の2値化画像が得られる。
【0076】
ステップS8で、上記補正量計測部14によって、先ず、画像処理部13で得られた両方の微調用撮像部7による微調用撮像画像の2値化画像に基づいて、基板2における一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置と、他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置と、が計測される。次に、上述のようにして計測された各重心の位置と、記憶部8に記憶されている上記微調用目標位置とに基づいて、上記微調用補正量が算出される。
【0077】
ステップS9で、上記アライメントステージ制御部10によって、以下のようにして、微調アライメントを行う必要があるか否かが判別される。その結果、必要であればステップS10に進み、必要でなければ基板搬送処理動作が終了される。尚、上記微調アライメントが必要か否かの判別は、次のようにして行われる。すなわち、補正量計測部14によって算出された上記微調用補正量が第2許容範囲以内にある場合には、上記微調アライメントは不必要であると判別され、上記第2許容範囲外である場合には、上記微調アライメントが必要であると判別されるのである。
【0078】
ここで、上記微調アライメントが必要か否かの判別の際に用いられる上記第2許容範囲としては、処理位置22において、基板2に対して欠陥検査および修正等の処理が行われるに際して要求される精度に応じて予め設定されている。その場合、上記微調用補正量が上記第2許容範囲以内にある場合には、微調アライメントが無くともよいので、本実施の形態においては、上述のように微調アライメント動作を省略するのである。
【0079】
ステップS10で、上記微調アライメント処理を実際に行うか否かが判別される。その結果、上記微調アライメント処理を行う場合にはステップS11に進み、そうでなければ加工位置算出処理を実行するためにステップS12に進む。尚、上記微調アライメント処理を行うか否かの判別は、予め設定されて記憶部8に記憶されているパラメータに応じて行われる。
【0080】
ステップS11で、上記アライメントステージ制御部10によって、補正量計測部14で算出された上記微調用補正量に基づいて微調用補正移動量が求められ、アライメント用駆動部20に出力される。そうすると、アライメント用駆動部20によって、上記微調用補正移動量に基づいて、アライメントステージ4の上記アライメント用移動部が上記アライメント用ベースに対して第1アライメント方向X,第2アライメントYおよび第3アライメント方向θに変位される。このようにして、保持部18に保持されている基板2の位置が微調整される。そうした後、基板搬送処理動作が終了される。
【0081】
ステップS12で、上記加工位置算出部15によって、補正量計測部14で算出された上記微調用補正量に基づいて上記微調用補正移動量が求められ、この微調用補正移動量に基づいて加工処理位置が算出される。そして、算出された上記加工処理位置が記憶部8に記憶される。そうした後、基板搬送処理動作が終了される。
【0082】
図5は、上記演算処理部9による制御の下に行われる基板搬送処理動作のタイミングチャートである。(1)は基板2の移動を示し、(2)は基板2のアライメントを示し、(3)は各粗調用撮像部6による撮像を示し、(4)は各微調用撮像部7による撮像を示し、(5)は補正量計測部14による計測を示す。
【0083】
基板搬送処理動作が開始されると、先ず、(1)に示すように、時刻t1において、移動ステージ5による基板2の移動が開始される。その後、基板2が粗調用撮像位置に到達した時刻t2において、(3)に示すように、各粗調用撮像部6による撮像が開始され、時刻t3において、上記撮像が終了する。その後、(5)に示すように、時刻t4において補正量計測部14による各重心の位置の計測が開始され、時刻t5において上記粗調用補正量の算出が終了する。補正量計測部14によって上記粗調用補正量が算出された後、(2)に示すように、時刻t6において、アライメントステージ4による粗調アライメントが開始される。
【0084】
上記移動ステージ5による基板2の移動の終了とアライメントステージ4による粗調アライメントの終了とは、時間的に前後する。図5においては、上記粗調アライメントが終了された後に基板2の移動が終了される場合を例示している。したがって、(2)に示すように、時刻t7において上記粗調アライメントが終了した後に、(1)に示すように、時刻t8において移動ステージ5による基板2の移動が終了する。
【0085】
上記移動ステージ5による基板2の移動およびアライメントステージ4による上記粗調アライメントが終了した後、(4)に示すように、時刻t9において各微調用撮像部7による撮像が開始され、時刻t10において上記撮像が終了する。その後、(5)に示すように、時刻t11において補正量計測部14による各重心の位置の計測が開始され、時刻t12において上記微調用補正量の算出が終了する。補正量計測部14によって微調用補正量が算出された後、(2)に示すように、時刻t13においてアライメントステージ4による微調アライメントが開始され、時刻t14において上記微調アライメントが終了し、基板搬送処理動作が終了する。
【0086】
以上のごとく、本実施の形態における基板搬送装置1によれば、上記アライメントステージ制御部10は、移動ステージ5による基板2の移動中に、アライメントステージ4のアライメント用駆動部20を制御して、基板2の位置を上記粗調用補正量に応じて粗調整させる。このように、アライメントステージ4による粗調アライメントを、移動ステージ5による基板2の移動と並行して行うことによって、上記粗調アライメントを単独で実行する時間をなくすことができ、その結果基板2の移動と基板2のアライメントとに要する時間を短縮することができるのである。
【0087】
また、上記微調用の撮像が行われる上記第2領域は、上記粗調用の撮像が行われる上記第1領域よりも狭く設定されている。ところが、粗調アライメントの際に、上記第2領域に基板2のアライメントマーク3が確実に含まれるようにしている。したがって、上記第2領域からアライメントマーク3が外れることに起因して微調アライメントが不可能になるという不具合を防止することができるのである。
【0088】
また、上記アライメントステージ制御部10は、上記基板2が処理位置22に到達した後に、アライメントステージ4のアライメント用駆動部20を制御して、基板2の位置を上記微調用補正量に応じて微調整させる。このように、基板2の位置を上記微調用補正量に応じて微調整するので、処理位置22での基板2の位置決め精度を向上させることができる。
【0089】
また、上記各粗調用撮像部6によって、移動ステージ5によって移動される基板2のアライメントマーク3を含む上記第1領域を撮像するようにしている。したがって、各粗調用撮像部6に対する基板供給部を別途設ける必要がなく、基板搬送装置1の設置面積を縮小することができる。
【0090】
また、上記アライメントステージ制御部10は、上記粗調用補正量が予め定められた上記第1許容範囲以内である場合に、アライメントステージ4による基板2の粗調アライメントを省略するようにしている。したがって、アライメントステージ4による無駄な調整を無くすことができる。
【0091】
ところで、上述のような基板搬送処理動作を行う場合には、上記粗調用目標位置と上記微調用目標位置とを予め設定して、記憶部8に記憶しておく必要がある。以下、上記粗調用目標位置および上記微調用目標位置を設定して記憶部8に記憶するための構成とその方法とに付いて、詳細に説明する。
【0092】
先ず、図1〜図3に従って構成について説明する。基板搬送装置1は、上述した構成に加えて、可動撮像部34と、可動撮像部搭載ステージ35と、表示部36と、操作部37と、を含んでいる。
【0093】
上記可動撮像部34は、上記第2倍率と同程度の倍率の第3光学系と、この第3光学系を介して基板2のアライメントマーク3を含む第3領域を撮像する第3撮像素子と、を含んで構成されている。上記第3光学系は、1個あるいは複数個のレンズによって実現される。また、上記第3撮像素子は、上記電荷結合素子によって実現される。
【0094】
上記可動撮像部34は、上記保持面19の上方に、予め定められた第1アライメント方向Xに移動可能に設けられる。さらに、基板2のアライメントマーク3を含む上記第3領域を撮像することができるように、配置される。
【0095】
上記可動撮像部搭載ステージ35は、撮像用ベース(図示せず)と、上記撮像用ベースに対して変位可能に設けられると共に可動撮像部34が取り付けられた撮像用可動部と、撮像用可動部を撮像用ベースに対して変位駆動する撮像用駆動部38と、上記撮像用可動部の上記撮像用ベースに対する位置を検出する撮像用位置検出部39と、を含んで構成されている。演算処理部9の可動撮像部搭載ステージ制御部16は、撮像用位置検出部39によって検出された位置に基づいて、撮像用駆動部38の駆動動作を制御する。
【0096】
上記撮像用ベースは、上記第1支持体28に固定される。また、上述したように、上記撮像用可動部には可動撮像部34が固定されている。上記撮像用可動部は、上記撮像用ベースに対して第1アライメント方向Xにスライド変位可能である。撮像用駆動部38は、撮像用可動部を撮像用ベースに対して第1アライメント方向Xにスライド変位可能になっている。そして、撮像用位置検出部39は、上記撮像用可動部の上記撮像用ベースに対する第1アライメント方向Xの位置を検出する。尚、この撮像用位置検出部39は、エンコーダによって実現される。
【0097】
上記演算処理部9の目標位置設定部17は、一方の粗調用撮像部6による粗調用撮像画像の2値化画像に基づいて基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測すると共に、他方の粗調用撮像部6による粗調用撮像画像の2値化画像に基づいて基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測する。そして、計測した各重心の位置を、上記粗調用目標位置として記憶部8に記憶させる。
【0098】
さらに、上記目標位置設定部17は、一方の微調用撮像部7による微調用撮像画像の2値化画像に基づいて基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測すると共に、他方の微調用撮像部7による微調用撮像画像の2値化画像に基づいて基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置を計測する。そして、計測した各重心の位置を、上記微調用目標位置として記憶部8に記憶させる。
【0099】
図6は、上記演算処理部9による制御の下に行われる粗調用目標位置及び微調用目標位置の設定処理動作(以下、目標位置設定処理動作と言う)のフローチャートである。以下、図6に従って、上記粗調用目標位置および上記微調用目標位置の設定方法について説明する。保持部18によって基板2が保持されている状態で、操作者による操作部37の操作により目標位置設定処理が指示されると、本目標位置設定処理動作がスタートする。
【0100】
ステップS21で、上記可動撮像部搭載ステージ制御部16によって、撮像用駆動部38に対して、可動撮像部34を第1撮像位置へ移動させるための移動量が出力される。そうすると、撮像用駆動部38によって、上記移動量に応じて、上記撮像用可動部が上記撮像用ベースに対して第1アライメント方向Xに変位される。ここで、上記第1撮像位置は、基板2の一方のアライメントマーク3を撮像可能な位置である。このようにして、可動撮像部34が上記第1撮像位置に移動される。
【0101】
その後に、上記撮像制御部12によって、可動撮像部34に対して撮像指令が出力される。そして、可動撮像部34によって、上記撮像指令に応答して、基板2の一方のアライメントマーク3を含む上記第3領域が撮像される。その後、画像処理部13によって、可動撮像部34によって撮像された撮像画像が2値化され、上記撮像画像の2値化画像が得られる。そして、表示部36に、画像処理部13によって得られた上記2値化画像が表示される。
【0102】
こうして、上記表示部36に上記2値化画像が表示された状態で、操作者によって、上記2値化画像を見ながら、上記第3領域の中央に一方のアライメントマーク3を位置させるために、操作部37が操作されて基板2を移動させる指令が入力される。そうすると、この指令に呼応して、移動ステージ制御部11によって移動用駆動部23の駆動動作が制御される一方、アライメントステージ制御部10によってアライメント用駆動部20の駆動動作が制御される。その際に、アライメントステージ制御部10は、第1アライメント方向Xに関してのみ制御を行い、第2アライメント方向Yおよび第3アライメント方向θに関する制御は行わない。
【0103】
その後、操作者による操作部37の操作によって、上記第3領域の中央に一方のアライメントマーク3が位置した状態で、移動ステージ5における上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する移動方向Yの位置と、アライメントステージ4における上記アライメント用可動部の上記アライメント用ベースに対する第1アライメント方向Xの位置と、が記憶部8に記憶される。
【0104】
ステップS22で、上記可動撮像部搭載ステージ制御部16によって、撮像用駆動部38に対して、可動撮像部34を第2撮像位置へ移動させるための移動量が出力される。そうすると、撮像用駆動部38によって、上記移動量に応じて、上記撮像用可動部が上記撮像用ベースに対して第1アライメント方向Xに変位される。ここで、上記第2撮像位置は、基板2の他方のアライメントマーク3を撮像可能な位置である。このようにして、可動撮像部34が上記第2撮像位置へ移動される。
【0105】
その後に、上記撮像制御部12によって、可動撮像部34に対して撮像指令が出力される。そして、可動撮像部34によって、上記撮像指令に呼応して、基板2の他方のアライメントマーク3を含む上記第3領域が撮像される。その後、画像処理部13によって、可動撮像部34によって撮像された撮像画像が2値化され、上記撮像画像の2値化画像が得られる。そして、表示部36に、画像処理部13によって得られた上記2値化画像が表示される。
【0106】
こうして、上記表示部36に上記2値化画像が表示された状態で、操作者によって、上記2値化画像を見ながら、上記第3領域の中央に他方のアライメントマーク3を位置させるために、操作部37が操作されて基板2を移動させる指令が入力される。そうすると、この指令に呼応して、操作部37からの指令に応答して、移動ステージ制御部11によって移動用駆動部23の駆動動作が制御される一方、アライメントステージ制御部10によってアライメント用駆動部20の駆動動作が制御される。その際に、アライメントステージ制御部10は、第1アライメント方向Xに関してのみ制御を行い、第2アライメント方向Yおよび第3アライメント方向θに関する制御は行わない。
【0107】
その後、操作者による操作部37の操作によって、上記第3領域の中央に他方のアライメントマーク3が位置した状態で、移動ステージ5における上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する移動方向Yの位置と、アライメントステージ4における上記アライメント用可動部の上記アライメント用ベースに対する第1アライメント方向Xの位置と、が記憶部8に記憶される。
【0108】
ステップS23で、上記補正量計測部14によって、上記ステップS21および上記ステップS22において記憶部8に記憶された各位置と、上記第1撮像位置と、上記第2撮像位置とに基づいて、基板2の傾きが計測される。ここで、基板2の傾きとは、基板2の各アライメントマーク3を結ぶ方向と第1アライメント方向Xとが、上記仮想一平面内で成す角度に相当する。
【0109】
ステップS24で、上記アライメントステージ制御部10によって、補正量計測部14で計測された基板2の傾きに基づいて、上記基板2の傾きをなくすような補正移動量が求められ、この補正移動量がアライメント用駆動部20に出力される。本実施の形態の場合には、基板2の各アライメントマークを結ぶ方向と第1アライメント方向Xとが平行になるように、上記補正移動量が決定される。
【0110】
そうすると、上記アライメント用駆動部20によって、アライメントステージ制御部10からの補正移動量に応じて、アライメントステージ4の上記アライメント用可動部が上記アライメント用ベースに対して第2アライメント方向θに角変位される。このようにして、保持部18で保持されている基板2の傾きが調整される。
【0111】
このように、予め基板2の傾きが調整されるので、後述のようにしてアライメントマーク3の目標位置を設定する際に、上記第2領域内にアライメントマーク3を収めるための基板2の位置調整に要する手間を軽減することができる。
【0112】
ステップS25で、上記移動ステージ制御部11によって、保持部18に保持されている基板2を処理位置22へ移動させるための移動量が、移動用駆動部23に入力される。そうすると、移動用駆動部23によって、上記移動量に基づいて、上記移動用可動部が上記移動用ベースに対して移動方向Yにスライド変位される。こうして、基板2が処理位置22に移動される。
【0113】
以後、上記撮像制御部12によって、各微調用撮像部7に撮像指令が出力される。そして、各微調用撮像部7によって、上記撮像指令に呼応して基板2が撮像される。さらに、画像処理部13によって、各微調用撮像部7により撮像された撮像画像が処理(2値化処理)されて処理画像(2値化画像)が得られる。そして、表示部36に、各微調用撮像画像の2値化画像が表示される。
【0114】
こうして、上記表示部36に上記各2値化画像が表示された状態で、操作者によって、上記各2値化画像を見ながら、操作部37が操作されて、上記第2領域内に基板2のアライメントマーク3を位置させるために、基板2を移動させる指令が入力される。そうすると、この指令に呼応して、移動ステージ制御部11によって移動用駆動部23の駆動動作が制御される一方、アライメントステージ制御部10によってアライメント用駆動部20の駆動動作が制御される。その際に、アライメントステージ制御部10は、第1アライメント方向Xに関してのみ制御を行う。
【0115】
その後、操作者による操作部37の操作によって、上記微調用目標位置の設定の指令が入力される。そうすると、この指令に呼応して、目標位置設定部17によって、一方の微調用撮像部7による微調用撮像画像の2値化画像に基づいて基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置が計測されると共に、他方の微調用撮像部7による微調用撮像画像の2値化画像に基づいて基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置が計測される。そして、この計測された各重心の位置が、上記微調用目標位置として記憶部8に記憶される。こうして、上記微調用目標位置が設定されるのである。
【0116】
ステップS26で、上記移動ステージ制御部11によって、保持部18に保持されている基板2を処理位置22から搬入位置26に移動させるための移動量が、移動用駆動部23に入力される。そうすると、移動用駆動部23によって、上記移動量に基づいて、上記移動用可動部が上記移動用ベースに対して移動方向Yにスライド変位される。こうして、基板2が処理位置22から搬入位置26に移動される。
【0117】
この後、上記移動ステージ制御部11によって、保持部18に保持されている基板2を搬入位置26から処理位置22に移動させるための移動量が、移動用駆動部23に入力される。そうすると、移動用駆動部23によって、上記移動量に基づいて、上記移動用可動部が上記移動用ベースに対して移動方向Yにスライド変位される。こうして、基板2が搬入位置26から処理位置22に移動される。
【0118】
上記搬入位置26から処理位置22への基板2の移動が開始されると、撮像制御部12によって、移動用位置検出部24で検出された移動ステージ5の上記移動用可動部の上記移動用ベースに対する位置に基づいて、基板2が粗調用撮像位置に到達したか否かが判定され、上記粗調用撮像位置に到達したと判定されると各粗調用撮像部6に撮像指令が出力される。
【0119】
そうすると、上記各粗調用撮像部6によって、撮像制御部12からの撮像指令に呼応して基板2が撮像される。本実施の形態においては、基板2が移動している状態で、各粗調用撮像部6による撮像が行われる。このように、上述した基板搬送処理動作の場合と同一の撮像条件で、各粗調用撮像部6による撮像が行われるのである。その後、画像処理部13によって、各粗調用撮像部6で撮像された撮像画像の夫々が2値化されて、各粗調用撮像部6による粗調用撮像画像の2値化画像が得られる。
【0120】
そして、上記目標位置設定部17によって、一方の粗調用撮像部6による粗調用撮像画像の2値化画像に基づいて基板2の一方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置が計測されると共に、他方の粗調用撮像部6による粗調用撮像画像の2値化画像に基づく基板2の他方のアライメントマーク3に相当する部分の重心の位置が計測される。そして、この計測された各重心の位置が上記粗調用目標位置として記憶部8に記憶される。こうして、上記粗調用目標位置が設定されると、目標位置設定処理動作が終了される。
【0121】
以後、こうして設定された上記微調用目標位置および上記粗調用目標位置を用いて、図4に示すような基板搬送処理動作が実行されることによって、基板2の搬送が行われるのである。
【0122】
上述した実施の形態は、この発明の例示に過ぎず、この発明の範囲内において構成を変更することができる。例えば、アライメントステージ制御部10は、補正量計測部14によって計測された粗調用補正量の大きさに拘わらず、粗調アライメントを実行するようにしても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】この発明の基板搬送装置における概略構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す基板搬送装置の斜視図である。
【図3】図1に示す基板搬送装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図4】基板搬送処理動作のフローチャートである。
【図5】基板搬送処理動作のタイミングチャートである。
【図6】目標位置設定処理動作のフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
1…基板搬送装置、
2…基板、
3…アライメントマーク、
4…アライメントステージ、
5…移動ステージ、
6…粗調用撮像部、
7…微調用撮像部、
8…記憶部、
9…演算処理部、
10…アライメントステージ制御部、
11…移動ステージ制御部、
12…撮像制御部、
13…画像処理部、
14…補正量計測部、
15…加工位置算出部、
16…可動撮像部搭載ステージ制御部、
17…目標位置設定部、
18…保持部、
19…保持面、
20…アライメント用駆動部、
21…アライメント用位置検出部、
22…処理位置、
23…移動用駆動部、
24…移動用位置検出部、
25…基台、
26…搬入位置,搬出位置、
27…搬送ロボット、
28…第1支持体、
29…第1延在部、
30…第2支持体、
31…第2延在部、
32…U字状受け部、
33…乗載部材、
34…可動撮像部、
35…可動撮像部搭載ステージ、
36…表示部、
37…操作部、
38…撮像用駆動部、
39…撮像用位置検出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アライメントマークが形成された基板が搭載されると共に、上記基板の搭載位置を調整する調整部と、
上記調整部が搭載されると共に、上記調整部を介して上記基板を搬入位置から処理位置に向かって移動させる基板移動部と、
上記基板移動部による移動最中の上記基板における上記アライメントマークを含む第1領域を、第1倍率で撮像する第1撮像部と、
上記基板移動部による移動によって処理位置に到達した上記基板における上記アライメントマークを含むと共に、上記第1領域よりも狭い第2領域を、上記第1倍率よりも高い第2倍率で撮像する第2撮像部と、
上記第1撮像部による上記第1領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第1補正量を求め、上記基板移動部による移動最中の上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第1補正量に応じて上記調整部に調整させた後、上記第2撮像部による上記第2領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第2補正量を求め、上記基板移動部が上記処理位置に到達した後の上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第2補正量に応じて上記調整部に調整させる基板位置調整制御部と、
上記計測された上記第2補正量に基づいて、上記基板に対して加工処理を施す際の加工処理位置を算出する加工位置算出部と
を備えたことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板搬送装置において、
上記基板位置調整制御部は、上記第1補正量が予め設定された許容範囲以内に在る場合には、上記調整部による上記第1補正量に応じた上記基板の搭載位置の調整を省略させるようになっていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板搬送装置において、
上記基板位置調整制御部は、上記加工位置算出部によって上記第2補正量に基づいて上記基板の加工処理位置が算出された場合は、上記調整部による上記第2補正量に応じた上記基板の搭載位置の調整を省略させるようになっていることを特徴とする基板搬送装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の基板搬送装置において、
上記基板には、複数の上記アライメントマークが形成されており、
上記基板における上記アライメントマークを含む第3領域を撮像する第3撮像部と、
所定の方向に移動可能に設けられると共に、上記第3撮像部が取り付けられて、上記第3撮像部を上記所定の方向に移動させる第3撮像部移動部と
をさらに備え、
上記基板位置調整制御部は、上記第3撮像部移動部を制御して上記第3撮像部によって撮像された上記各第3領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第3補正量を求め、上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第3補正量に応じて上記調整部に調整させるようになっている
ことを特徴とする基板搬送装置。
【請求項5】
アライメントマークが形成されると共に調整部に搭載された基板を、基板移動部によって、搬入位置から処理位置に向かって移動させ、
上記処理位置に向かって上記基板が移動している最中に、上記基板における上記アライメントマークを含む第1領域を、第1撮像部によって第1倍率で撮像し、
基板位置調整制御部によって、上記第1領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第1補正量を求め、
上記処理位置に向かって上記基板が移動している最中に、上記調整部によって、上記基板における上記調整部上での搭載位置を、上記第1補正量に応じて調整し、
上記基板移動部による移動によって上記基板が上記処理位置に到達した後、上記基板における上記アライメントマークを含むと共に、上記第1領域よりも狭い第2領域を、第2撮像部によって、上記第1倍率よりも高い第2倍率で撮像し、
基板位置調整制御部によって、上記第2領域の撮像画像に基づいて、上記基板の上記調整部に対する搭載位置の第2補正量を求め、
上記基板が上記処理位置に到達した後に、上記第2補正量に応じて、上記調整部によって上記基板における上記調整部上での搭載位置を調整すること、あるいは、加工位置算出部によって上記基板における加工処理位置を算出すること、の何れか一方を行う
ことを特徴とする基板搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−304612(P2008−304612A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−150398(P2007−150398)
【出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】