説明

基準位置校正治具、外形測定装置、外観検査装置、測定対象物保持装置、基準位置校正方法、外形測定方法、及び外観検査方法

【課題】本発明は、接触式の測定装置と、撮像装置を用いた測定装置との間で、両者間の基準位置の校正を正確且つ容易に実行できる、基準位置校正治具、外形測定装置、外観検査装置、測定対象物保持装置、基準位置校正方法、外形測定方法、及び外観検査方法を実現する。
【解決手段】本発明による基準位置校正治具は、測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正治具であって、平坦面と、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直な周縁壁を有する円形の凹部又は円柱と、を備える。外形測定装置、外観検査装置、測定対象物保持装置は、当該基準位置校正治具を備える。基準位置校正方法、外形測定方法、及び外観検査方法は、これらの基準位置校正治具、外形測定装置、外観検査装置、又は測定対象物保持装置を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式形状測定装置及び画像認識装置を有する形状測定装置において基準点を校正するための基準位置校正治具、当該治具を備える測定対象物保持装置、外形測定装置、並びに外観検査装置、接触式形状測定装置及び画像認識装置を有する形状測定装置における基準位置校正方法、当該基準位置校正方法を用いる外形測定方法、及び外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カラー液晶装置のカラーフィルタ膜や有機エレクトロルミネセンス装置の発光膜などの機能膜を形成する技術として、液体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッドを有する液滴吐出装置を用いて、機能膜の材料を含む液状材料の液滴を吐出して基板上の任意の位置に着弾させ、着弾した液状材料を乾燥させて機能膜を形成する技術が知られている。このような膜形成に用いられる液滴吐出装置の液滴吐出ヘッドは、その多数の液滴吐出ノズルが微小間隔で形成されていることで基板上の任意の位置に効率良く液滴を着弾させることができる。微小間隔で連なる液滴吐出ノズルや、当該液滴吐出ノズルに液体を供給する流路などの微細形状を高精度で効率良く形成することができる液滴吐出ヘッドの構造としては、液滴吐出ノズルや流路などを構成する孔を形成した板状やフィルム状の部材を積層する構造が知られている。このような板状やフィルム状の部材は、最初に大判シート状の板やフィルムに多数の部材を区画形成し、次に大判シートを各部材に分割することで、効率良く製造される。
【0003】
液滴吐出ノズルや流路などを構成する孔はプレス加工などによって形成されるが、当該加工の際に、孔の縁にバリが形成されることがある。積層される際に他の部材と接触する面に突出するバリ(以降、「縦バリ」と表記する。)は部材を密着させる妨げになるため、縦バリが発生した部材は、排除する必要がある。縦バリの発生の有無の検出は、部材面の形状を接触式の測定装置を用いて測定することで効率良く行われる。特許文献1には、形状を精度良く測定できる接触式の3次元形状測定装置が開示されている。
【0004】
また、孔に張出すように形成されるバリ(以降、「横バリ」と表記する。)は、孔の開口面積を減らして、液状材料の流動を妨げるため、横バリが発生した部材は、排除する必要がある。横バリの発生の有無の検出は、部材の平面形状を測定することで行われる。特許文献2には、平面形状を精度良く測定できる撮像装置を用いた外観検査装置および外観検査方法が開示されている。縦バリ又は横バリの発生の有無は、部材上の位置と関連付けられて測定される必要があり、それぞれの測定装置において、基準位置との位置関係から部材上の位置が特定される。
【0005】
【特許文献1】特開平10―19504号公報
【特許文献2】特開2006―234553号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、縦バリを検出するのに好適な接触式の測定装置と、横バリを検出するのに好適な撮像装置を用いた測定装置とでは、正確な計測が可能な形状が異なることから、一定の基準点を計測することで両者間の基準位置の校正をすることが困難であって、接触式の測定装置と撮像装置を用いた測定装置とで、測定位置の基準とする基準位置が必ずしも一致しないという課題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、接触式の測定装置と、撮像装置を用いた測定装置との間で、両者間の基準位置の校正を正確且つ容易に実行できる、基準位置校正治具、外形測定装置、外観検査装置、測定対象物保持装置、基準位置校正方法、外形測定方法、及び外観検査方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明による基準位置校正治具は、測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正治具であって、平坦面と、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直な周縁壁を有する円形の凹部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る基準位置校正治具によれば、円形の凹部の部分は平坦面と高さが異なっており、接触式形状測定装置を用いて、平坦面の各部分の高さを測定することで、高さが変化する位置である凹部の周縁壁の位置を検出することが可能であって、周縁壁の位置から凹部の中心位置を求めることができる。また、凹部の周縁壁は、画像認識形状測定装置によって認識可能であって、認識した周縁壁の位置から凹部の中心位置を求めることができる。接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の何れでも凹部の中心位置を求めることができることから、当該中心位置を基準位置とすることで、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができる。
【0010】
本発明による基準位置校正治具は、測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正治具であって、平坦面と、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直に立設された円柱と、を備えることを特徴とする。
【0011】
本発明に係る基準位置校正治具によれば、円柱の部分は平坦面と高さが異なっており、接触式形状測定装置を用いて、平坦面の各部分の高さを測定することで、高さが変化する位置である円柱の側壁の位置を検出することが可能であって、側壁の位置から円柱の中心位置を求めることができる。また、円柱は、画像認識形状測定装置によって認識可能であって、認識した円柱の側壁の位置から円柱の中心位置を求めることができる。接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の何れでも円柱の中心位置を求めることができることから、当該中心位置を基準位置とすることで、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができる。
【0012】
本発明において基準位置校正治具は、円形の凹部の底面又は円柱の頂面に、凹部又は円柱の中心位置を中心とする小円柱又は円形孔を形成したことが好ましい。
【0013】
この基準位置校正治具によれば、画像認識形状測定装置は、認識した小円柱又は円形孔の側壁又は周縁壁の位置から、凹部又は円柱の中心位置を求めることができる。これにより、画像認識形状測定装置は、小円柱又は円形孔の画像を取得できる視野角があれば、凹部又は円柱の画像を取得できる広い視野角は不要である。従って、小円柱又は円形孔を設けることで、より狭い視野角の画像認識形状測定装置を使用することができる。
【0014】
本発明において基準位置校正治具は、円形孔が貫通孔であって、画像認識形状測定装置が設けられた側の反対側から、画像認識形状測定装置が設けられた側に、円形孔を通過する光を射出する光源を更に備えることが好ましい。
【0015】
この基準位置校正治具によれば、円形孔を通過する光によって、円形孔と凹部の底面又は円柱の頂部とのコントラストを大きくすることで、円形孔の画像を明瞭にすることができる。
【0016】
本発明による外形測定装置は、上記した基準位置校正治具と、接触式形状測定装置と、画像認識形状測定装置と、測定対象物を載置するステージと、接触式形状測定装置及び画像認識形状測定装置と、ステージとを相対移動させる移動機構と、を備えることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る外形測定装置によれば、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができることから、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置を一致させて正確な測定を実行することができる。
【0018】
本発明による外観検査装置は、上記した基準位置校正治具と、接触式形状測定装置と、画像認識形状測定装置と、測定対象物を載置するステージと、接触式形状測定装置及び画像認識形状測定装置と、ステージとを相対移動させる移動機構と、測定対象物の形状寸法の規格値を記憶する規格値記憶部と、接触式形状測定装置又は画像認識形状測定装置による測定値を規格値と比較することで、測定値が規格を満たすか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る外観検査装置によれば、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができることから、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置を一致させて正確な外観検査を実行することができる。
【0020】
本発明による測定対象物保持装置は、上記した基準位置校正治具を備えることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る測定対象物保持装置によれば、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置によって、測定対象物保持装置に載置された測定対象物と同様に、基準位置校正治具を測定することで、基準位置を取得することができるため、基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができる。また、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の共通の基準位置を、測定対象物保持装置に保持される測定対象物の近傍に設定することができる。
【0022】
本発明において測定対象物保持装置は、接触式形状測定装置、及び画像認識形状測定装置に対して着脱可能であり、凹部、円柱、又は凹部又は円柱と小円柱又は円形孔との組合わせを、2個又は2組備えることが好ましい。
【0023】
この測定対象物保持装置によれば、2個所の基準位置校正治具の位置を測定することで、基準位置の取得に加えて、測定対象物保持装置の方向を取得することができる。測定対象物保持装置の方向を取得することができることから、測定対象物保持装置を、ひとつの接触式形状測定装置又は画像認識形状測定装置から他の接触式形状測定装置又は画像認識形状測定装置に移動しても、それぞれの装置における基準方向に対する、測定対象物保持装置の方向が同じになるように調整することができる。
【0024】
本発明による基準位置校正方法は、測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直な周縁壁を有する円形の凹部の、周縁壁の位置を計測する接触計測工程と、計測した周縁壁の位置から円形の凹部の中心位置を算出する中心算出工程と、画像認識形状測定装置を用いて、円形の凹部を画像認識する画像認識計測工程と、画像認識した円形の凹部の画像データから円形の凹部の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする。
【0025】
本発明に係る基準位置校正方法によれば、接触式形状測定装置を用いて、平坦面の各部分の高さを測定することで、高さが変化する位置である凹部の周縁壁の位置を計測することが可能であって、計測した周縁壁の位置から凹部の中心位置を求めることができる。また、画像認識形状測定装置によって、周縁壁を画像認識して、認識した周縁壁の位置から凹部の中心位置を求めることができる。接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の何れでも凹部の中心位置を求めることができることから、当該中心位置を基準位置とすることで、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができる。
【0026】
本発明による基準位置校正方法は、測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に立設された円柱の側壁の位置を計測する接触計測工程と、計測した側壁の位置から円柱の中心位置を算出する中心算出工程と、画像認識形状測定装置を用いて、円柱を画像認識する画像認識計測工程と、画像認識した円柱の画像データから円柱の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする。
【0027】
本発明に係る基準位置校正方法によれば、接触式形状測定装置を用いて、平坦面の各部分の高さを測定することで、高さが変化する位置である円柱の側壁の位置を計測することが可能であって、計測した側壁の位置から円柱の中心位置を求めることができる。また、画像認識形状測定装置によって、円柱を画像認識して、認識した円柱の側壁の位置から円柱の中心位置を求めることができる。接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の何れでも円柱の中心位置を求めることができることから、当該中心位置を基準位置とすることで、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができる。
【0028】
本発明による基準位置校正方法は、測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直な周縁壁を有する円形の凹部の、周縁壁の位置を計測する接触計測工程と、計測した周縁壁の位置から円形の凹部の中心位置を算出する中心算出工程と、画像認識形状測定装置を用いて、円形の凹部の底面に立設又は形成されており、円形の凹部の中心位置を中心とする小円柱又は円形孔を画像認識する画像認識計測工程と、画像認識した小円柱又は円形孔の画像データから円形の凹部の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする。
【0029】
本発明に係る基準位置校正方法によれば、接触式形状測定装置を用いて、平坦面の各部分の高さを測定することで、高さが変化する位置である凹部の周縁壁の位置を計測することが可能であって、計測した周縁壁の位置から凹部の中心位置を求めることができる。また、画像認識形状測定装置によって、小円柱又は円形孔円柱の周縁壁を画像認識して、認識した小円柱又は円形孔の側壁又は周縁壁の位置から凹部の中心位置を求めることができる。接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の何れでも凹部の中心位置を求めることができることから、当該中心位置を基準位置とすることで、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができる。さらに、画像認識形状測定装置は、小円柱又は円形孔の画像を取得できる視野角があれば、凹部の画像を取得できる広い視野角は不要であって、より狭い視野角の画像認識形状測定装置を使用することができる。
【0030】
本発明による基準位置校正方法は、測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に立設された円柱の側壁の位置を計測する接触計測工程と、計測した側壁の位置から円柱の中心位置を算出する中心算出工程と、画像認識形状測定装置を用いて、円柱の頂面に立設又は形成されており、円柱の中心位置を中心とする小円柱又は円形孔を画像認識する画像認識計測工程と、画像認識した小円柱又は円形孔の画像データから円柱の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする。
【0031】
本発明に係る基準位置校正方法によれば、接触式形状測定装置を用いて、平坦面の各部分の高さを測定することで、高さが変化する位置である円柱の側壁の位置を計測することが可能であって、計測して得られた側壁の位置から円柱の中心位置を求めることができる。また、画像認識形状測定装置によって、小円柱又は円形孔を画像認識して、認識した小円柱又は円形孔の側壁又は周縁壁の位置から凹部の中心位置を求めることができる。接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の何れでも凹部の中心位置を求めることができることから、当該中心位置を基準位置とすることで、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができる。さらに、画像認識形状測定装置は、小円柱又は円形孔の画像を取得できる視野角があれば、凹部の画像を取得できる広い視野角は不要であって、より狭い視野角の画像認識形状測定装置を使用することができる。
【0032】
本発明において、基準位置校正方法は、接触計測工程において、周縁壁又は側壁の位置を、周縁壁又は側壁の少なくとも3個所において測定することが好ましい。
【0033】
この基準位置校正方法によれば、接触計測工程において3個所を測定することで、周縁壁又は側壁の少なくとも3個所の位置を取得することができる。一般的に、平面上の3点を特定することで、ひとつの円を特定することができるため、計測した3点の位置から周縁壁又は側壁の位置及び大きさを特定することができる。
【0034】
本発明による外形測定方法は、上記した基準位置校正方法を用いて、接触式形状測定装置及び画像認識形状測定装置の基準位置を校正して共通の基準位置を決定する基準位置決定工程と、接触式形状測定装置を用いて測定対象物の測定対象部分の高さを測定する高さ形状測定工程と、画像認識形状測定装置を用いて測定対象物の平面形状を測定する平面形状測定工程と、を有することを特徴とする。
【0035】
本発明に係る外形測定方法によれば、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができることから、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置を容易且つ正確に一致させて、正確な測定を実行することができる。
【0036】
本発明において外形測定方法は、上記した測定対象物保持装置に測定対象物を取り付ける工程と、測定対象物が取り付けられた測定対象物保持装置を、接触式形状測定装置に取り付ける工程と、測定対象物が取り付けられた測定対象物保持装置を、画像認識形状測定装置に取り付ける工程と、をさらに有することが好ましい。
【0037】
この外形測定方法によれば、ひとつの接触式形状測定装置又は画像認識形状測定装置から他の接触式形状測定装置又は画像認識形状測定装置に移動しても、それぞれの装置における基準方向に対する、測定対象物保持装置の方向が同じになるように調整することができることから、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置及び測定対象物保持装置の方向を一致させて正確な測定を実行することができる。
【0038】
本発明による外観検査方法は、上記した基準位置校正方法を用いて、接触式形状測定装置及び画像認識形状測定装置の基準位置を校正して共通の基準位置を決定する基準位置決定工程と、測定対象物の形状寸法の規格値を記憶する規格値記憶工程と、接触式形状測定装置を用いて測定対象物の測定対象部分の高さを測定する高さ形状測定工程と、画像認識形状測定装置を用いて測定対象物の平面形状を測定する平面形状測定工程と、測定対象部分の高さ又は測定対象物の平面形状を規格値と比較することで、高さ又は平面形状が規格を満たすか否か判定する判定工程と、を有することを特徴とする。
【0039】
本発明に係る外観検査方法によれば、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置の校正を容易且つ正確に実行することができることから、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置を容易且つ正確に一致させて、正確な外観検査を実行することができる。
【0040】
本発明において外観検査方法は、上記した測定対象物保持装置に測定対象物を取り付ける工程と、測定対象物が取り付けられた測定対象物保持装置を、接触式形状測定装置に取り付ける工程と、測定対象物が取り付けられた測定対象物保持装置を、画像認識形状測定装置に取り付ける工程と、をさらに有することが好ましい。
【0041】
この外観検査方法によれば、ひとつの接触式形状測定装置又は画像認識形状測定装置から他の接触式形状測定装置又は画像認識形状測定装置に移動しても、それぞれの装置における基準方向に対する、測定対象物保持装置の方向が同じになるように調整することができることから、接触式形状測定装置と画像認識形状測定装置の基準位置及び測定対象物保持装置の方向を一致させて正確な外観検査を実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明に係る基準位置校正治具、外形測定装置、外観検査装置、測定対象物保持装置、基準位置校正方法、外形測定方法、及び外観検査方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0043】
(第一の実施形態)
最初に、本発明に係る基準位置校正治具、外形測定装置、外観検査装置、測定対象物保持装置、基準位置校正方法、外形測定方法、及び外観検査方法の一実施形態である第一の実施形態について、説明する。本実施形態は、液滴吐出ヘッドを構成するプレートが区画形成された大判プレートのプレート面の外形形状を測定することでプレートの良否を判定する外観検査装置における、基準位置の校正方法を例に説明する。
【0044】
<液滴吐出装置>
最初に、液滴吐出装置1について、図1を参照して説明する。液滴吐出装置1は、液滴吐出ヘッド10(図2参照)を備え、液滴吐出ヘッド10は、本発明の外観検査装置及び外観検査方法を用いて良否を判定する流路プレート20(図2又は3参照)を有する液滴吐出ヘッド10である。図1は、液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図である。
【0045】
図1に示すように、液滴吐出装置1は、液状体を液滴として吐出する液滴吐出ヘッド10を有するヘッド機構部2と、液滴吐出ヘッド10から吐出された液滴の吐出対象であるワーク300を載置するワーク載置台301を有するワーク機構部3と、液滴吐出ヘッド10への液状体の供給を行う機能液供給部4と、液滴吐出ヘッド10の保守を行うメンテナンス装置部5と、を備えている。また、これら各機構部等を総括的に制御する吐出装置制御部6を備えている。
【0046】
さらに、液滴吐出装置1は、床上に設置された複数の支持脚8と、支持脚8の上側に設置された定盤9とを備えている。定盤9の上側には、ワーク機構部3が定盤9の長手方向(X軸方向)に延在するように配設されている。ワーク機構部3の上方には、定盤9に固定された2本の支持柱で支持されているヘッド機構部2が、ワーク機構部3と直交する方向(Y軸方向)に延在するように配設されている。また、定盤9の傍らには、ヘッド機構部2の液滴吐出ヘッド10に連通する供給管を有する機能液供給部4の液状体タンクなどが配置されている。ヘッド機構部2の一方の支持柱の近傍には、メンテナンス装置部5がワーク機構部3と並んでX軸方向に配設されている。さらに、定盤9の下側に、吐出装置制御部6が収容されている。
【0047】
ヘッド機構部2は、液滴吐出ヘッド10を有するヘッドユニット221と、ヘッドユニット221を支持するヘッドキャリッジ222とを有し、ヘッドキャリッジ222をY軸方向に移動させることで、液滴吐出ヘッド10をY軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。ワーク機構部3は、ワーク載置台301をX軸方向に移動させることで、ワーク載置台301に載置されたワーク300をX軸方向に自在に移動させる。また、移動した位置に保持する。
【0048】
このように、液滴吐出ヘッド10は、Y軸方向の吐出位置まで移動して停止し、下方にあるワーク300のX軸方向の移動に同調して、液状体を液滴として吐出する。X軸方向に移動するワーク300と、Y軸方向に移動する液滴吐出ヘッド10とを相対的に制御することにより、ワーク300上の任意の位置に液滴を着弾させることで、所望する描画などを行うことが可能である。
【0049】
<液滴吐出ヘッドの構成>
次に、外観検査装置を用いて外観検査を実行する検査対象である流路プレート20を有する液滴吐出ヘッド10について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、液滴吐出ヘッドの要部であるヘッド体を示す図である。図2(a)は、ヘッド体の外観を示す斜視図であり、図2(b)は、ヘッド体の概構造を示す断面図である。
【0050】
図2(b)に示すように、ヘッド体10Aは、ノズルプレート11と、ノズルフィルム21と、液室プレート22と、液室フィルム23と、流路プレート20と、圧力室フィルム24と、圧力室プレート26と、素子プレート27と、を有しており、これらが積層されて、互いに接着されている。これらのプレートやフィルムには様々な孔が形成されており、プレートやフィルムが積層されることで、孔が立体的に接続されて、液状体の流路などを構成している。
【0051】
図2(a)に示すように、ヘッド体10Aの1面はノズルプレート11によって形成されており、ノズルプレート11には、材料液の液滴を吐出する吐出ノズル12が形成されている。複数の吐出ノズル12がノズル列を形成するように設けられており、液滴吐出ヘッド10は、当該ノズル列を2本有している。ノズルプレート11の反対側の面には、圧電素子28の駆動信号などを伝達するためのフラットケーブル16が接続されている。ヘッド体10Aは、液滴吐出ヘッド10の主要部であり、図2(b)に示したようにヘッドケース36に組み込まれて、液滴吐出ヘッド10を構成する。
【0052】
図2(b)に示すように、吐出ノズル12は、ノズルフィルム21と液室プレート22と液室フィルム23とに形成された孔と、流路プレート20に形成された連通口孔20cと、圧力室フィルム24に形成された孔と、を介して圧力室33に連通している。圧力室33は、圧力室プレート26に形成された孔が、圧力室フィルム24と素子プレート27とに挟まれて形成された空間である。素子プレート27の圧力室33に対応する位置の圧力室33の反対面には、圧電素子28が配設されている。圧電素子28を変形させることによって圧力室33の容積を変化させることで、吐出ノズル12から液状体を液滴として吐出する。
【0053】
圧力室33は、圧力室フィルム24に形成された孔と、流路プレート20に形成された供給口孔20bと、を介して液たまり32に連通している。液たまり32は、ノズルフィルム21と液室プレート22と液室フィルム23とに形成された孔が、ノズルプレート11と流路プレート20とに挟まれて形成された空間である。流路プレート20に形成された導入口孔20aを介して供給されてくる液状体が、液たまり32に貯留される。圧力室33の液状体が吐出ノズル12から吐出されるのに対応して、液状体が、供給口孔20bを介して、液たまり32から圧力室33に供給される。
【0054】
導入口孔20aには、導入口31を有する導入口部材29が配設されており、ヘッド体10Aがヘッドケース36に組み込まれた状態で、導入口31は、液滴吐出ヘッド10の液状体導入部に接続される。機能液供給部4の供給管が液状体導入部に接続されて、液状体が導入口31を通って液滴吐出ヘッド10に供給される。液滴吐出ヘッド10は、ノズルプレート11がワーク300を載置するワーク載置台301に臨むようにヘッドユニット221に固定されている。ノズルプレート11の周囲には、ヘッドカバー14が被されており、ノズルプレート11の吐出ノズル12が形成された面が他の部材などに当ったりすることがないように保護している。機能液供給部4から液状体導入部を介して供給される液状体は、図2(b)に矢印a,b,cで示したように、導入口31及び導入口孔20aを通って液たまり32に入り、供給口孔20bを通って圧力室33に供給され、圧力室33で圧縮されることで、連通口孔20cを通って吐出ノズル12から液滴として吐出される。
【0055】
<流路プレートの構成>
次に、流路プレート20の構成について、図3を参照して説明する。図3(a)は、流路プレートを示す概略平面図であり、図3(b)は、複数の流路プレートが形成されたマザープレートの概略平面図である。
【0056】
図3(a)に示すように、流路プレート20には、上述した導入口孔20aと、供給口孔20bと、連通口孔20cと、が形成されている。また、プレート内基準孔41と、図示省略した空気逃げ孔と、が形成されている。吐出ノズル12に1対1に対応する連通口孔20cは、92個の連通口孔20cからなる孔列が2列形成されており、1枚の流路プレート20あたり184個の孔が形成されている。供給口孔20bは、連通口孔20cに並列するように、184個の孔が形成されている。なお、図3では連通口孔20c及び供給口孔20bの形状及び配列を分かり易く示すために、それらの幅及び間隔を実際よりも大幅に広く描いている。よって、連通口孔20c及び供給口孔20bの個数が少なく描かれている。導入口孔20aは、1枚の流路プレート20あたり2個の孔が形成されている。プレート内基準孔41は、流路プレート20と、上述した他のプレート又はフィルムとを貼り合わせる際の位置決めの基準となる孔であって、1枚の流路プレート20あたり4個の孔が形成されている。
【0057】
図3(b)に示すように、流路プレート20は、マザープレート20A上にマトリクス状に形成され、マザープレート20Aを分割することにより取り出される。マザープレート20Aは、2種類のステンレス鋼板を貼り合わせた複合材を用いることができる。分割方法としては、ダイシング、レーザーカット、プレス等を用いることができる。
【0058】
マザープレート20Aには、流路プレート20に形成される孔の他に、方向識別穴54と、アライメント孔53と、分割基準孔52と、が形成されている。また、図3(b)に二点鎖線で示した基準領域51が設定されている。方向識別穴54は、加工や検査の際に、加工装置や検査装置に載置されたマザープレート20Aの方向を識別するための孔であって、1枚のマザープレート20Aに1個形成されている。アライメント孔53は、加工や検査の際に、加工装置や検査装置に載置されたマザープレート20Aの位置及び方向を正確に位置決めするための基準とする孔であって、1枚のマザープレート20Aに2個形成されている。分割基準孔52は、マザープレート20Aから流路プレート20を分割形成する際に基準とする孔であって、1枚のマザープレート20Aに4個形成されている。
【0059】
マザープレート20Aに形成される上記した各孔は、プレス加工を用いて形成される。プレス加工では、加工用の型の磨耗などによって、バリが発生する可能性がある。プレート面から突出するいわゆる縦バリは、流路プレート20と他のフィルムなどとを貼り合わせる際に、流路プレート20と他のフィルムなどとの密着を妨げることで好適な貼り合わせを阻害する可能性がある。孔に張出すように形成されるいわゆる横バリは、導入口孔20a、供給口孔20b、連通口孔20cなどの孔の開口面積を減らして、液状材料の流動を妨げる可能性がある。従って、縦バリ又は横バリが発生した流路プレート20は、排除する必要がある。このため、縦バリ又は横バリが発生した流路プレート20を排除するために、縦バリ又は横バリの有無を確認する、検査が必要である。
【0060】
上記したように多数の孔が形成される流路プレート20においては、縦バリの有無を確認するべき位置が近接しているため、縦バリの高さの基準として測定するべき流路プレート20の面が、孔の近傍では得られ難い孔がある。そのため、各流路プレート20の周辺にあたる位置に基準領域51が設定されている。マザープレート20Aでは、基準領域51が、9個所設定されている。
【0061】
<外観検査装置>
次に、本実施形態で用いる外観検査装置60について説明する。最初に、外観検査装置60の全体構成について、図4を参照して説明する。図4は、外観検査装置の構成を示す模式図である。図4に示すように、外観検査装置60は、変位計61と、変位計昇降機構62と、撮像装置63と、撮像装置昇降機構64と、プレート移動機構65と、これらの各機構などを制御するメインコンピュータ66と、これらの各機構などを支持する枠体である装置台88と、を備えている。
【0062】
変位計61は、変位検出部71と、変位計保持部78と、接触子74と、荷重錘76と、吊下げ板77と、A/D変換部79とを備えている。変位検出部71は、固定軸73と、固定軸73に摺動自在に嵌合している移動軸72とを有している。変位計61は差動トランス方式の変位計であり、固定軸73に固定された3本のコイル(図示省略)と、移動軸72に固定された可動鉄心(図示省略)とを有する。3本のコイルの中の1本が一次コイルであり、一次コイルに交流電流を流した状態で、移動軸72が固定軸73に対して移動することで、3本のコイルに対して可動鉄心が移動する。3本のコイルの中の2本のコイルが二次コイルであって、可動鉄心が移動することで、可動鉄心の変位量に応じて2本の二次コイルに誘起電圧が発生する。これを電圧差として取り出し、A/D変換部79でデジタル信号に変換して、変位量を求める。
【0063】
固定軸73は、変位計保持部78に固定されている。移動軸72の先端には接触子74が固定されており、中間には荷重錘76が固定されている。吊下げ板77は変位計保持部78に固定されており、先端側が荷重錘76を係止することで、移動軸72と接触子74と荷重錘76とを支持している。変位計保持部78が図4のZ軸下方方向に移動し、接触子74が測定対象物200に当接すると、二点鎖線で示したように、吊下げ板77と荷重錘76との係合が外れて、接触子74は、移動軸72と接触子74と荷重錘76との重量による力で測定対象物200を押圧する。二点鎖線で示した接触子74は、模式的に大きく表示した縦バリ200aに当接している。移動軸72と接触子74と荷重錘76との重量の合計は、例えば30グラムになるように、荷重錘76の重量を調節する。変位計61は、接触式形状測定装置の部分を構成する。
【0064】
変位計昇降機構62は、固定部62bと、固定部62bに摺動自在に嵌合している昇降部62aと、を備えている。昇降部62aは、図示省略した昇降駆動機構によって、Z軸方向に移動させられると共に、任意の位置で保持される。固定部62bは図示省略した支持機構を介して装置台88に支持されている。昇降部62aには、変位計保持部78が固定されており、昇降部62aを昇降させることで、変位計保持部78が支持する接触子74を測定対象物200に離接させることができる。
【0065】
昇降部62aを降下させて、接触子74を測定対象物200に接触させると、その位置で接触子74及び移動軸72は停止し、昇降部62aと共にさらに下降した固定軸73と移動軸72とは相対移動する。固定軸73と移動軸72との相対移動が発生した状態で昇降部62aを保持すると、上述したように、固定軸73と移動軸72との相対移動量が、電圧差として取り出されて、変位量が求められる。当該変位量と、昇降部62aのZ軸方向の位置とから、接触子74の先端位置、即ち、測定対象物200の表面のZ軸方向の位置を検出する。
【0066】
撮像装置63は、カメラ86と、レンズ87と、図示省略した照明装置とを備えている。レンズ87は、測定対象部分の大きさに対応して撮像視野や、分解能などを変えられるように、ズーム機能を備えることが好ましい。撮像装置63が、画像認識形状測定装置の部分を構成する。
【0067】
撮像装置昇降機構64は、固定部64bと、固定部64bに摺動自在に嵌合している昇降部64aと、を備えている。昇降部64aは、図示省略した昇降駆動機構によって、Z軸方向に移動させられると共に、任意の位置で保持される。固定部64bは図示省略した支持機構を介して装置台88に支持されている。昇降部64aには、カメラ86が固定されており、昇降部64aを昇降させることで、カメラ86を測定対象物200に離接させて、焦点が合った画像が得られる位置に、カメラ86を移動し当該位置で保持することができる。
【0068】
プレート移動機構65は、X軸スライド機構81と、Y軸スライド機構82と、回動機構84と、ステージ83と、を備えている。X軸スライド機構81を構成するX軸スライド台81bが装置台88に固定されており、X軸スライド機構81を構成するX軸スライダ81aが、X軸方向に摺動自在且つ固定可能にX軸スライド台81bと係合している。Y軸スライド機構82を構成するY軸スライド台82bがX軸スライダ81aに固定されており、Y軸スライド機構82を構成するY軸スライダ82aが、Y軸方向に摺動自在且つ固定可能にY軸スライド台82bと係合している。回動機構84を構成する回動機構台84bがY軸スライダ82aに固定されており、回動機構84を構成する回動テーブル84aが、Z軸回りに回動自在且つ固定可能に回動機構台84bと係合している。X軸スライダ81a、Y軸スライダ82a、回動テーブル84aは、それぞれX軸スライド台81b、Y軸スライド台82b、回動機構台84bとの間に構成されたサーボモータ(図示省略)によって駆動される。
【0069】
ステージ83は、被加工物又は測定対象物を載置して吸着固定する、一般的な測定対象物保持装置であって、負圧装置に連通する吸引穴と吸引穴に連通する吸引溝が形成されている。ステージ83上に載置されたマザープレート20Aなどの測定対象物200は、負圧装置と吸引穴と吸引溝とによって、ステージ83に吸着させて固定することが可能である。ステージ83は、回動テーブル84aに固定されており、マザープレート20Aなどの測定対象物200を載置するために用いられる。ステージ83に載置された測定対象物200は、回動機構84によって、Z軸回りに回動可能であり、測定対象物200のZ軸回り方向の姿勢が補正できる。X軸スライド機構81及びY軸スライド機構82によって、測定対象物200を、X軸Y軸平面方向に移動することで、測定対象物200の任意の部分を、接触子74又はレンズ87が臨む位置に移動する。
【0070】
ステージ83には、変位計61又は撮像装置63において、X軸Y軸平面方向の基準位置を規定するために用いられる基準位置校正治具89が形成されている。基準位置校正治具89の詳細は、後述する。
【0071】
上記各構成を制御する制御部としてのメインコンピュータ66は、制御装置91を備えている。また、メインコンピュータ66には、外観測定の際に用いられる各種データを入力する入力装置68と、測定結果や良否判定などの各種情報を表示する表示装置67が接続されている。
【0072】
次に、図5を参照して、外観検査装置60の機能的構成について説明する。図5は、外観検査装置の機能的構成を示す機能ブロック図である。上述したように、外観検査装置60は、変位計61と、変位計昇降機構62と、撮像装置63と、撮像装置昇降機構64と、プレート移動機構65と、これらを統括制御する制御装置91と、を備えている。変位計61は、変位検出部71と、A/D変換部79と、を備えており、撮像装置63はカメラ86を備えている。
【0073】
図5に示したように、制御装置91は、統括制御部92と、基準高さ位置情報記憶部93と、測定高さ位置情報記憶部94と、規格値記憶部95と、高さ算出部97と、高さ判定部98と、高さ位置情報取得部99と、変位計制御部101と、変位計昇降制御部102と、を備えている。制御装置91は、また、規格形状位置情報記憶部111と、測定形状位置情報記憶部114と、形状判定部117と、平面位置判定部118と、画像情報取得部106と、画像情報処理部107と、撮像装置制御部103と、撮像装置昇降制御部104と、プレート移動制御部105と、を備えている。これらの各部は、内部バス108で相互に接続されている。入力装置68と、表示装置67とは、入出力インタフェース109を介して、統括制御部92と、内部バス108で相互に接続されている。
【0074】
プレート移動制御部105は、プレート移動機構65を制御して、ステージ83をX軸Y軸平面内で移動することで、測定対象物200の任意の部分を、接触子74又はレンズ87が臨む位置に移動する。プレート移動制御部105とプレート移動機構65とが、移動機構に相当する。接触子74又はレンズ87が臨む位置は、プレート移動機構65によってステージ83が移動させられた方向及び移動量によって、特定される。
【0075】
変位計昇降制御部102は、変位計昇降機構62を制御して、変位計61をZ軸方向に移動させることで、接触子74を測定対象物200に当接させる。変位計制御部101は、変位計61を制御して、接触子74が測定対象物200に当接したときの、Z軸方向の位置(以降、「高さ位置」と表記する。)を計測させる。高さ位置情報取得部99は、計測された高さ位置が変位検出部71から出力され、A/D変換部79でデジタル信号に変換された高さ位置情報を取得する。
【0076】
基準高さ位置情報記憶部93は、高さ位置情報取得部99が取得した高さ位置情報の中から、基準領域(マザープレート20Aの基準領域51)の高さ位置情報を、垂直基準位置として、記憶する。垂直基準位置は、当該高さ位置であることを測定された基準領域のX軸Y軸平面方向の位置(以降、「基準領域平面位置」と表記する。)と、対応付けられて記憶される。測定高さ位置情報記憶部94は、高さ位置情報取得部99が取得した高さ位置情報の中から、測定対象部分の高さ位置情報を、測定部高さ位置として、記憶する。測定部高さ位置は、当該測定部高さ位置であることを測定された測定対象部分のX軸Y軸平面方向の位置(以降、「対象平面位置」と表記する。)と、対応付けられて記憶される。基準領域平面位置及び対象平面位置は、基準位置校正治具89(図4参照)のX軸Y軸平面方向の位置(以降、「平面基準位置」と表記する。)を基準点として表される。
【0077】
高さ算出部97は、測定部高さ位置を、当該測定部高さ位置であることを測定された測定対象部分の対象平面位置に最も近い基準領域平面位置である基準領域の垂直基準位置と比較することで、当該測定対象部分の高さを算出する。変位計制御部101と、変位計61と、変位計昇降制御部102と、変位計昇降機構62と、高さ位置情報取得部99と、高さ算出部97とが、接触式形状測定装置に相当する。
【0078】
規格値記憶部95は、入力装置68などを介して予め入力された、測定対象部分の高さの規格値及び許容誤差を記憶する。高さ判定部98は、高さ算出部97が算出した測定対象部分の高さを、規格値記憶部95に記憶された規格値及び許容誤差と比較して、測定対象部分の高さの良否を判定する。高さ判定部98が、判定部に相当する。
【0079】
撮像装置昇降制御部104は、撮像装置昇降機構64を制御して、撮像装置63をZ軸方向に移動させることで、測定対象物200の表面に焦点が合う位置に移動させる。そして、当該位置に撮像装置63を保持する。撮像装置制御部103は、撮像装置63を制御して、測定対象物200の表面の画像を取得させる。画像情報取得部106は、カメラ86から出力される画像情報を取得する。画像情報処理部107は、画像情報取得部106が取得した画像情報を処理して、孔の形状情報及びX軸Y軸平面方向の位置情報を抽出する。撮像装置制御部103と、撮像装置63と、撮像装置昇降制御部104と、撮像装置昇降機構64と、画像情報取得部106と、画像情報処理部107とが、画像認識形状測定装置に相当する。
【0080】
規格形状位置情報記憶部111は、入力装置68などを介して予め入力された、測定対象部分の孔の形状及びX軸Y軸平面方向の位置の規格値及び許容誤差を記憶する。測定形状位置情報記憶部114は、画像情報処理部107が抽出した孔の形状情報及び位置情報を記憶する。規格形状位置情報記憶部111が、規格値記憶部に相当する。
【0081】
形状判定部117は、測定形状位置情報記憶部114に記憶された孔の形状情報を、規格形状位置情報記憶部111に記憶された孔の形状の規格値及び許容誤差と比較することで、形成された各孔の良否を判定する。平面位置判定部118は、測定形状位置情報記憶部114に記憶された孔の位置情報を、規格形状位置情報記憶部111に記憶された孔のX軸Y軸平面方向の位置の規格値及び許容誤差と比較することで、良否を判定する。形状判定部117が、判定部に相当する。
【0082】
次に、基準位置校正治具89の構成について、図6を参照して詳細に説明する。図6は、基準位置校正治具の平面図及び断面図である。図6の(a)乃至(f)は、それぞれ異なる形状の基準位置校正治具89の例である基準位置校正治具89a,89b,89c,89d,89e,89fを示している。
【0083】
図6(a)に示した基準位置校正治具89aは、ステージ83の載置面83aに形成された円形孔121で構成されている。円形孔121の壁面121aは、載置面83aに略垂直に形成されている。変位計61を用いて、円形孔121の底面121bと載置面83aとの高さ位置を測定することで、底面121bと載置面83aとの段差が生じているX軸Y軸平面方向の位置を取得して、取得した段差位置から円形孔121の中心位置を算出する。撮像装置63が取得した円形孔121の情報を処理して、画像情報処理部107は、円形孔121の形状情報及びX軸Y軸平面方向の位置情報を抽出して、中心位置を取得する。円形孔121が円形の凹部に相当する。壁面121aが、周縁壁に相当する。
【0084】
図6(b)に示した基準位置校正治具89bは、載置面83aに形成された円柱122で構成されている。円柱122の側壁122aは、載置面83aに略垂直に形成されている。変位計61を用いて、円柱122の頂面122bと載置面83aとの高さ位置を測定することで、頂面122bと載置面83aとの段差が生じているX軸Y軸平面方向の位置を取得して、取得した段差位置から円柱122の中心位置を算出する。撮像装置63が取得した円柱122の頂面122bの情報を処理して、画像情報処理部107は、円柱122の形状情報及びX軸Y軸平面方向の位置情報を抽出して、中心位置を取得する。
【0085】
図6(c)に示した基準位置校正治具89cは、円形孔121と、円形孔121の中心位置と、中心孔123の中心位置とが一致するように底面121bの中心に形成された中心孔123と、で構成されている。変位計61を用いて、円形孔121の中心位置を算出することで、円形孔121と中心孔123との共通の中心位置を取得する。画像情報処理部107は、撮像装置63が取得した中心孔123の画像情報を処理して、円形孔121と中心孔123との共通の中心位置の位置情報を抽出して、中心位置を取得する。中心孔123が、円形孔に相当する。中心孔123は、貫通しない孔であってもよい。
【0086】
図6(d)に示した基準位置校正治具89dは、載置面83aに形成された円柱122と、円柱122の中心位置と、中心孔124の中心位置とが一致するように頂面122bの中心に形成された中心孔124と、で構成されている。変位計61を用いて、円柱122の中心位置を算出することで、円柱122と中心孔124との共通の中心位置を取得する。画像情報処理部107は、撮像装置63が取得した中心孔124の画像情報を処理して、円柱122と中心孔124との共通の中心位置の位置情報を抽出して、中心位置を取得する。中心孔124が、円形孔に相当する。中心孔124は、貫通孔であってもよい。
【0087】
図6(e)に示した基準位置校正治具89eは、円形孔121と、円形孔121の中心位置と、中心円柱126の中心位置とが一致するように底面121bの中心に形成された中心円柱126と、で構成されている。変位計61を用いて、円形孔121の中心位置を算出することで、円形孔121と中心円柱126との共通の中心位置を取得する。画像情報処理部107は、撮像装置63が取得した中心円柱126の画像情報を処理して、円形孔121と中心円柱126との共通の中心位置の位置情報を抽出して、中心位置を取得する。中心円柱126が、小円柱に相当する。
【0088】
図6(f)に示した基準位置校正治具89fは、円柱122と、円柱122の中心位置と、中心円柱127の中心位置とが一致するように頂面122bの中心に形成された中心円柱127と、で構成されている。変位計61を用いて、円柱122の中心位置を算出することで、円柱122と中心円柱127との共通の中心位置を取得する。画像情報処理部107は、撮像装置63が取得した中心円柱127の画像情報を処理して、円柱122と中心円柱127との共通の中心位置の位置情報を抽出して、中心位置を取得する。中心円柱127が、小円柱に相当する。
【0089】
円形孔121の深さ及び円柱122の高さは、変位計61で確実に検出できるだけの差があれば充分である。撮像装置63が取得する画像を明瞭な画像にするために、円柱122の頂面122bや、円形孔121の底面121bは、載置面83aと明瞭なコントラストが得られるような処理などを施すことが好ましい。
【0090】
<外観検査>
次に、外観検査装置60を用いて、マザープレート20Aの表面における縦バリ200aや横バリや孔の位置ずれなどの不具合の有無を検査する外観検査について、図7を参照して説明する。図7は、外観検査の工程を示すフローチャートである。
【0091】
図7のステップS21では、マザープレート20Aの外観検査の実行に先立って、マザープレート20Aにおける測定対象部分の規格値を、入力装置68を介して入力する。入力された規格値は、規格値記憶部95又は規格形状位置情報記憶部111に記憶される。マザープレート20Aの面は平坦であって、バリなどが無いことが好ましい。従って、マザープレート20Aの面である測定対象部分の高さの設計値は零であり、許容誤差は、縦バリ200aの許容値である。マザープレート20Aの母材が持っていた歪や、プレス加工による部分変形なども、必要に応じて考慮する。
【0092】
次に、ステップS22では、マザープレート20Aをステージ83に載置してセットする。載置されたマザープレート20Aは、上述したように、負圧装置と吸引穴と吸引溝とによって、ステージ83に吸着されて固定される。
【0093】
次に、ステップS23では、マザープレート20Aに形成された方向識別穴54(図3(b)参照)を検出する。方向識別穴54の検出は、撮像装置63を用いて、マザープレート20Aがステージ83に正しくセットされた場合に方向識別穴54が在るべきあたりを認識することで、実行する。
【0094】
次に、ステップS24では、ステージ83にセットされたマザープレート20Aの方向が概ね正しいか否かを判定する。方向識別穴54はマザープレート20Aに1個だけ形成されているため、マザープレート20Aの方向が約90度或は約180度違ってセットされた場合には、方向識別穴54が在るべきあたりでは検出できないことから、ステップS23で方向識別穴54を検出できれば、マザープレート20Aは正しい方向でセットされたと判定できる。
【0095】
マザープレート20Aが正しい方向でセットされていなかった場合(ステップS24でNO)には、ステップS25に進む。ステップS25では、マザープレート20Aを正しい方向で再セットする。ステップS25の次はステップS23に進み、ステップS23とステップS24とを再度実行する。なお、ステップS22とステップS25とを手作業で行い、ステップS23は目視によって確認し、ステップS24は操作者が判断してもよい。
【0096】
マザープレート20Aが正しい方向でセットされていた場合(ステップS24でYES)には、ステップS26に進む。ステップS26では、撮像装置63を用いて、マザープレート20Aに2個形成されているアライメント孔53を、それぞれ検出して、それぞれのX軸Y軸平面における位置を取得する。次に、ステップS27では、ステージ83にセットされたマザープレート20Aの方向が正しいか否か、即ち、X軸又はY軸方向に対する傾きが規格内であるか否かを判定する。詳細には、ステップS26で取得したアライメント孔53のX軸Y軸平面における位置から、2個のアライメント孔53の中心を結ぶ直線の、X軸又はY軸に対する傾きが規格内であるか否かを判定する。
【0097】
マザープレート20Aの傾きが規格を満たさない場合(ステップS27でNO)には、ステップS28に進む。ステップS28では、マザープレート20Aの方向を調整して、傾きを修正する。マザープレート20Aの方向の調整は、回動機構84によってステージ83をZ軸回りに回動させることで実行する。ステップS28の次はステップS26に進み、ステップS26とステップS27とを再度実行する。
【0098】
マザープレート20Aの傾きが規格を満たしていた場合(ステップS27でYES)には、ステップS29に進む。ステップS29では、基準位置校正治具89の位置を測定して、平面基準位置を取得する。即ち、撮像装置63が取得した基準位置校正治具89の画像情報を処理して、基準位置校正治具89の中心位置を取得することで、撮像装置63における平面基準位置を取得する。以降の撮像装置63を用いて取得した画像情報に拠る孔の位置は、取得した平面基準位置を基準点として表される。ステップS29が、画像認識計測工程と、画像中心算出工程とに相当する。
【0099】
次に、ステップS30では、測定対象の孔の画像情報を取得する。このとき、孔の大きさや、測定することで検査するべき内容によって、画像の大きさ、即ちレンズ87の倍率を適宜変更する。画像情報によって検出できる不良内容には、横バリの他に、穴のエッジの一部が脱落したエッジ欠けや、孔の位置ずれや、形成されるべき孔が形成されていない孔欠落などがある。
【0100】
次に、ステップS31では、取得した画像情報を処理して、孔の平面形状情報及び孔のX軸Y軸平面方向の位置情報を取得する。画像処理は、例えば画像を2値化して、階調が変化する部分を検出することで孔のエッジを検出する。検出したエッジの形状に近い形状の近似円を作成することで、近似円の中心として孔の位置情報を取得する。近似円からずれた部分の形状及び大きさから、横バリやエッジ欠けの有無及び当該横バリやエッジ欠けの大きさを求める。上述したように、取得した孔の平面形状情報及び位置情報は、測定形状位置情報記憶部114に記憶される。
【0101】
次に、ステップS32では、取得した孔の平面形状及び位置が規格を満たすか否かを判定する。上述したように、形状判定部117が、取得して測定形状位置情報記憶部114に記憶された孔の形状情報を、規格形状位置情報記憶部111に記憶された孔の形状の規格値及び許容誤差と比較することで、形成された各孔の良否を判定する。また、平面位置判定部118が、測定形状位置情報記憶部114に記憶された孔の位置情報を、規格形状位置情報記憶部111に記憶された孔のX軸Y軸平面方向の位置の規格値及び許容誤差と比較することで、良否を判定する。
【0102】
孔の平面形状及び位置が規格を満たさない孔が含まれていた場合(ステップS32でNO)は、ステップS33に進む。ステップS33では、表示装置67に、取得した孔の平面形状及び位置を測定結果として表示すると共に、測定対象のマザープレート20Aが規格を満たさない旨の不良表示を表示する。
【0103】
全ての孔の平面形状及び位置が規格を満たしていた場合(ステップS32でYES)は、ステップS34に進む。ステップS34では、変位計61を用いて基準位置校正治具89の高さ位置を測定することで、平面基準位置を取得する。即ち、載置面83aと底面121b又は頂面122bとの段差がある位置である境界位置を測定し、当該境界位置から基準位置校正治具89の中心位置を取得することで、変位計61における平面基準位置を取得する。以降の変位計61を用いて取得した高さ位置情報に対応する平面方向の位置は、取得した平面基準位置を基準点として表される。ステップS34が、接触計測工程と、中心算出工程とに相当する。
【0104】
変位計61を用いて基準位置校正治具89の高さ位置を測定することで、平面基準位置を取得する工程について、図8を参照して詳細に説明する。図8は、基準位置校正治具と変位計の接触子との位置関係を示す模式図である。図8(a)は、平面図であり、図8(b)は断面図である。図8に示した基準位置校正治具89は、図6(c)を参照して説明した基準位置校正治具89cである。
【0105】
図8(a)に示すように、プレート移動制御部105が、プレート移動機構65を制御して、ステージ83をX軸Y軸平面内で移動することで、二点鎖線で示した接触子741と基準位置校正治具89とを、X軸方向に矢印aのように相対移動させる。ステージ83の載置面83aに接触していた接触子74が底面121bに接触するようにZ軸方向に移動するときの接触子74の位置を、プレート移動機構65の移動量から特定することで、壁面121aに接触する位置にある接触子74である接触子742の位置を取得する。図8(b)に二点鎖線で示した接触子74が、載置面83aに接触した状態の接触子74であり、図8(b)に実線で示した接触子74が、Z軸方向に移動して、壁面121aに接触する位置にある状態の接触子74である。接触子742の中心位置を接触子中心702と表記する。
【0106】
同様に、接触子743又は接触子746と基準位置校正治具89とを、X軸方向に矢印b又は矢印cのように相対移動させて、壁面121aに接触する位置にある接触子744又は接触子747の位置を取得して、接触子中心704及び接触子中心707の位置を取得する。一般的に、平面上の3点を特定することで、ひとつの円を特定することができるため、接触子中心702と接触子中心704と接触子中心707とで仮想円720が規定される。仮想円720は、円形孔121の壁面121aと接触子74の半径分の距離を隔てた円であるから、仮想円720の中心位置が円形孔121の中心位置と一致する。仮想円720の中心位置を変位計61における平面基準位置とする。
【0107】
次に、図7のステップS35では、基準領域51のZ軸方向の位置を測定して、垂直基準位置を取得する。より具体的には、最初に、プレート移動制御部105が、プレート移動機構65を制御して、ステージ83をX軸Y軸平面内で移動することで、マザープレート20A上に設定された基準領域51を、接触子74が臨む位置に移動する。このときのプレート移動機構65の移動量から、当該基準領域51の基準領域平面位置を取得する。
【0108】
この状態で、変位計昇降制御部102が、変位計昇降機構62を制御して、変位計61をZ軸方向に移動させることで、接触子74を基準領域51に当接させる。変位計制御部101が、変位計61を制御して、接触子74が基準領域51に当接した状態の、Z軸方向の位置を計測させる。高さ位置情報取得部99が、変位検出部71から出力され、A/D変換部79でデジタル信号に変換されたZ軸方向の位置情報を、垂直基準位置として取得する。取得された垂直基準位置は、測定した基準領域51の基準領域平面位置と共に、基準高さ位置情報記憶部93に記憶される。垂直基準位置の取得は、マザープレート20A上に設定された9個所の基準領域51のそれぞれについて実行する。
【0109】
次に、ステップS36では、測定対象部分のZ軸方向の位置を測定して、測定高さ位置を取得する。より具体的には、最初に、プレート移動制御部105が、プレート移動機構65を制御して、ステージ83をX軸Y軸平面内で移動することで、マザープレート20A上の測定対象部分を、接触子74が臨む位置に移動する。このときのプレート移動機構65の移動量から、当該測定対象部分の対象平面位置を取得する。
【0110】
この状態で、変位計昇降制御部102が、変位計昇降機構62を制御して、変位計61をZ軸方向に移動させることで、接触子74を測定対象部分に当接させる。変位計制御部101が、変位計61を制御して、接触子74が測定対象部分に当接した状態の、Z軸方向の位置を計測させる。高さ位置情報取得部99が、変位検出部71から出力され、A/D変換部79でデジタル信号に変換されたZ軸方向の位置情報を、測定部位置として取得する。取得された測定部位置は、測定した測定対象部分の対象平面位置と共に、測定高さ位置情報記憶部94に記憶される。接触子74の先端面は例えば直径3mmの円形であり、接触子74の先端面が覆うマザープレート20A上の円形の範囲が1回で測定する測定対象部分の範囲となる。測定部位置の取得は、マザープレート20Aの孔が形成された部分の全てについて実行する。
【0111】
次に、ステップS37では、測定対象部分の高さを算出する。より具体的には、高さ算出部97が、測定高さ位置情報記憶部94に記憶されている測定対象部分の対象平面位置の情報と、基準高さ位置情報記憶部93に記憶されている基準領域51の基準領域平面位置の情報とから、高さを算出する測定対象部分に最も近い基準領域51を特定する。続いて、基準高さ位置情報記憶部93に記憶されている当該最も近い基準領域51の垂直基準位置を取得し、測定高さ位置情報記憶部94に記憶されている測定部位置を取得した垂直基準位置と比較することで、当該測定対象部分の高さを算出する。マザープレート20Aにおいては、測定対象部分と基準領域51とは同一の平面の一部であって、変形が生じたり、バリが発生したりすることがなければ、高さは零になる。
【0112】
次に、ステップS38では、測定対象部分の高さが規格を満たすか否かを判定する。より具体的には、高さ判定部98が、ステップS37で高さ算出部97が算出した高さを、予め入力されて規格値記憶部95に記憶された規格値に照らして、測定対象部分の高さが規格を満たすか否かを判定する。
【0113】
測定対象部分の高さが規格を満たしていなかった場合(ステップS38でNO)は、ステップS33に進む。ステップS33では、表示装置67に、算出した高さを測定結果として表示すると共に、測定対象のマザープレート20Aが規格を満たさない旨の不良表示を表示する。
【0114】
測定対象部分の高さが規格を満たしていた場合(ステップS38でYES)は、ステップS39に進む。ステップS39では、表示装置67に、取得した孔の平面形状及び位置と、算出した高さとを測定結果として表示する。ステップS39又はステップS33を終了して、マザープレート20Aの外観検査を終了する。
【0115】
以下、第一の実施形態の効果を記載する。第一の実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)ステージ83の載置面83aに円形孔121又は円柱122を形成することにより、変位計61を用いて載置面83aと円形孔121の底面121b又は円柱122の頂面122bとの段差の位置を測定することで、円形孔121又は円柱122の周縁位置を取得して、円形孔121又は円柱122の中心位置を求めることができる。また、撮像装置63によって円形孔121又は円柱122の画像を取得して、当該画像を処理することで、円形孔121又は円柱122の外形形状を取得して、円形孔121又は円柱122の中心位置を求めることができる。円形孔121又は円柱122の中心位置を基準位置とすることで、変位計61と撮像装置63とにおいて、基準位置を共通にすることができる。
【0116】
(2)円形孔121の底面121b又は円柱122の頂面122bに、円形孔121又は円柱122の中心位置を中心とする中心孔124又は中心円柱126を設けることにより、撮像装置63によって中心孔124又は中心円柱126の画像を取得して、当該画像を処理することで、中心孔124又は中心円柱126の外形形状を取得して中心孔124又は中心円柱126の中心位置、即ち、円形孔121又は円柱122の中心位置を求めることができる。撮像装置63のカメラ86は、変位計61を用いて周縁部分を測定可能な大きさの円形孔121又は円柱122の全体を1画像に入れられない狭い視野角であっても、中心孔124又は中心円柱126の全体を1画像に入れられれば、当該1画像から円形孔121又は円柱122の中心位置を求めることができる。
【0117】
(第二の実施形態)
次に、本発明に係る基準位置校正治具、外形測定装置、外観検査装置、測定対象物保持装置、基準位置校正方法、外形測定方法、及び外観検査方法の一実施形態である第二の実施形態について、説明する。本実施形態は、第一の実施形態と同様の外観検査装置における、基準位置の校正方法を例に説明する。本実施形態の検査対象物や外観検査装置は実質的に第一の実施形態の検査対象物や外観検査装置と同一である。第一の実施形態の外観検査装置とは異なる測定対象物保持装置について説明する。
【0118】
<ステージ台>
最初に、ステージ台240について説明する。ステージ台240は、第一の実施形態で説明したステージ83と同様のステージ283(図10、又は図11参照)と協働して、測定対象物保持装置として機能する。図9は、ステージ台の概略構成を示す模式図である。図9(a)は平面図であり、図9(b)は基準位置校正治具の部分の断面図である。ステージ283は、被加工物又は測定対象物を載置して吸着固定する、一般的な測定対象物保持装置であって、負圧装置に連通する吸引穴と吸引穴に連通する吸引溝が形成されている。ステージ283上に載置されたステージ台240は、負圧装置と吸引穴と吸引溝とによって、ステージ283に吸着させて固定することが可能である。
【0119】
図9に示すように、ステージ台240は、2個所の基準位置校正治具89と、吸着溝242とを備えている。吸着溝242は、ステージ台240がステージ283に吸着させられた状態で、ステージ283に形成された吸引穴に連通する連通孔243に連通しており、上記の負圧装置によって、ステージ台240上に載置されたマザープレート20Aなどの測定対象物200を吸着可能である。連通孔243の途中には、図示省略したバルブが形成されており、ステージ台240上に測定対象物200を吸着した状態でバルブを閉じることで、ステージ台240をステージ283から取り外しても、ステージ台240上に測定対象物200を吸着した状態を維持することが可能である。
【0120】
<外観検査装置>
次に、ステージ283を備えており、ステージ台240を使用可能な外観検査装置について、図10及び図11を参照して説明する。図10は、接触式の外観検査装置の構成を示す模式図である。図10に示すように、外観検査装置261は、変位計61と、変位計昇降機構62と、プレート移動機構265と、これらの各機構などを制御する制御装置291を有するメインコンピュータ266と、これらの各機構などを支持する枠体である装置台88と、を備えている。プレート移動機構265は、ステージ283を備えており、ステージ台240を載置して吸着固定できる。外観検査装置261は、ステージ283を備えることと、撮像装置63などを備えておらず、画像認識機能を有さないこと以外は、第一の実施形態で説明した外観検査装置60と同様の構成及び機能を備えている。外観検査装置60の構成要素と同一の符号を付した構成要素は、外観検査装置60の構成要素と同様の機能を有する。
【0121】
図11は、撮像装置を備えた外観検査装置の構成を示す模式図である。図11に示すように、外観検査装置262は、撮像装置63と、撮像装置昇降機構64と、プレート移動機構265と、これらの各機構などを制御する制御装置292を有するメインコンピュータ267と、これらの各機構などを支持する枠体である装置台88と、を備えている。プレート移動機構265は、ステージ283を備えており、ステージ台240を載置して吸着固定できる。外観検査装置262は、ステージ283を備えることと、変位計61などを備えておらず、接触式の形状測定機能を有さないこと以外は、第一の実施形態で説明した外観検査装置60と同様の構成及び機能を備えている。外観検査装置60の構成要素と同一の符号を付した構成要素は、外観検査装置60の構成要素と同様の機能を有する。
【0122】
<外観検査>
次に、外観検査装置261、外観検査装置262、及びステージ台240を用いる外観検査の工程について、図12を参照して説明する。図12は、外観検査の工程を示すフローチャートである。
【0123】
図12のステップS51では、撮像装置63を備えた外観検査装置262のステージ283にステージ台240を載置して吸着固定することで、ステージ台240を外観検査装置262にセットする。次に、ステップS52では、ステージ台240に形成された2個所の基準位置校正治具89の位置をそれぞれ測定する。
【0124】
次に、ステップS53では、ステップS52で測定した2個所の基準位置校正治具89の位置関係から、セットされているステージ台240の方向が適正か否かを判定する。適正な方向は、例えば、2個所の基準位置校正治具89の中心を結ぶ直線の方向が、外観検査装置262のX軸方向又はY軸方向に一致する方向である。
【0125】
2個所の基準位置校正治具89の中心を結ぶ直線の方向が適正でなかった場合(ステップS53でNO)には、ステップS54に進む。ステップS54では、回動機構84を用いて、ステージ台240を吸着固定したステージ283をZ軸回り方向に回動させることで、ステージ台240の方向を調整する。ステップS54の次には、ステップS52に進み、ステップS52及びステップS53を繰返す。
【0126】
2個所の基準位置校正治具89の中心を結ぶ直線の方向が適正であった場合(ステップS53でYES)には、ステップS55に進む。ステップS55では、外観検査装置262による外観検査を実行する。詳細には、第一の実施形態において図7を参照して説明した、ステップS21からステップS32の各ステップ、ステップS33、及びステップS39を実行する。なお、上述したように、マザープレート20Aはアライメント孔53を有し、ステップS26からステップS28を実行することで方向調整が行われるため、ステップS52からステップS54は省略してもよい。
【0127】
次に、ステップS56では、ステージ台240に設けられたバルブを閉鎖する。バルブを閉鎖することで、マザープレート20Aをステージ台240に吸着固定するように形成された吸着溝242の負圧状態が維持される。
【0128】
次に、ステップS57では、ステージ台240を外観検査装置262から取り外す。ステージ台240は外観検査装置262の負圧装置から切離されるが、吸着溝242の負圧状態が維持されるため、マザープレート20Aがステージ台240に吸着固定された状態が維持される。
【0129】
次に、ステップS58では、変位計61を備えた接触式の外観検査装置261のステージ283にステージ台240を載置して吸着固定することで、ステージ台240を外観検査装置261にセットする。次に、ステップS59では、ステージ台240に形成された2個所の基準位置校正治具89の位置をそれぞれ測定する。
【0130】
次に、ステップS60では、ステップS59で測定した2個所の基準位置校正治具89の位置関係から、セットされているステージ台240の方向が適正か否かを判定する。適正な方向は、2個所の基準位置校正治具89の中心を結ぶ直線の方向に拠って判定し、外観検査装置262又は外観検査装置261におけるX軸方向又はY軸方向を基準として、外観検査装置262における2個所の基準位置校正治具89の中心を結ぶ直線の方向が、外観検査装置261において再現されているような方向である。
【0131】
2個所の基準位置校正治具89の中心を結ぶ直線の方向が適正でなかった場合(ステップS60でNO)には、ステップS61に進む。ステップS61では、回動機構84を用いて、ステージ台240を吸着固定したステージ283をZ軸回り方向に回動させることで、ステージ台240の方向を調整する。ステップS61の次には、ステップS59に進み、ステップS59及びステップS60を繰返す。
【0132】
2個所の基準位置校正治具89の中心を結ぶ直線の方向が適正であった場合(ステップS60でYES)には、ステップS62に進む。ステップS62では、外観検査装置261による外観検査を実行する。詳細には、第一の実施形態において図7を参照して説明した、ステップS34からステップS39の各ステップ及びステップS33を実行する。ステップS62を実行して、外観検査装置261、外観検査装置262、及びステージ台240を用いる外観検査の工程を終了する。
【0133】
以下、第二の実施形態の効果を記載する。第二の実施形態によれば、第一の実施形態の効果に加えて以下の効果が得られる。
(1)ステージ台240に2個所の基準位置校正治具89を設けることにより、外観検査装置261及び外観検査装置262において、2個所の基準位置校正治具89の位置を測定することで、基準位置の取得と、ステージ台240の方向の取得とを実行することができる。
【0134】
(2)外観検査装置261及び外観検査装置262のステージ283に対して着脱可能なステージ台240に、2個所の基準位置校正治具89を設けることで、外観検査装置261及び外観検査装置262において、それぞれの装置における測定対象物の相対移動方向軸に対する、ステージ台240の方向が同じになるように調整することができる。
【0135】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明の実施形態は、前記実施形態に限らない。本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論であり、以下のように実施することもできる。
【0136】
(変形例1)前記実施形態においては、外観検査装置60は高さ判定部98及び形状判定部117を備え、高さ判定部98又は形状判定部117が、それぞれ測定値の良否を判定することでマザープレート20Aの良否を判定していたが、高さ判定部や形状判定部を設けることや、良否判定を行うことは必須ではない。高さ判定部や形状判定部を設けない外形測定装置を用いて、マザープレート20Aを測定し、良否判定は装置の操作者などが実行してもよい。
【0137】
(変形例2)前記実施形態においては、外観検査装置60、外観検査装置261、及び外観検査装置262は、表示装置67を備え、測定結果及び判定結果を表示装置67に表示していたが、表示装置を設けることや測定結果などを表示装置に表示することは必須ではない。表示装置に代えて他の出力装置を用いてもよい。出力装置としては、例えば、後工程の分割装置に、オンライン又は記録媒体を介して、不良のマザープレートのデータを出力する装置などであってもよい。
【0138】
(変形例3)前記実施形態においては、外観検査装置60は回動機構84を備え、マザープレート20Aの平面方向の傾きを検出して、回動機構84によって平面方向に回動させることで、マザープレート20Aの方向調整をしていたが、回動機構を設けることや方向調整を実行することは必須ではない。回動機構は設けず、測定対象物の位置決め構造を設けるなどの方法によって、測定対象物を載置する際の位置決め精度を確保することで、平面方向の傾きを所定の規格内に収めてもよい。例えば、ステージ83に突起を形成し、当該突起にアライメント孔53を係合させることで方向を定めてもよい。
【0139】
(変形例4)前記実施形態においては、規格外が発生したマザープレート20Aは、マザープレート20Aとして不良表示していたが、マザープレート20Aの単位で不良表示することは必須ではない。1枚のマザープレート20Aに形成された12枚の流路プレート20のそれぞれについて良否判定を実行して、規格外が発生した流路プレート20について不良表示を行い、マザープレート20Aを流路プレート20に分割した後に不良の流路プレート20を排除してもよい。
【0140】
(変形例5)前記実施形態においては、接触式形状測定装置の一例として一方向の変位を検出する変位検出部71を有する変位計61について説明したが、接触式形状測定装置は一方向の変位を検出する装置に限らない。例えば、複数方向の変位を測定できる三次元測定装置であってもよい。
【0141】
(変形例6)前記実施形態においては、中心孔124は円筒形の空間を有する孔であったが、中心孔124の空間の形状は円筒形に限らない。例えば、中心孔に入った光が反射して出て来難い円錐形などであってもよい。撮像装置63によって、底面121b又は頂面122bと区別して明瞭に検出することができるものであればよい。
【0142】
(変形例7)基準位置校正治具89cの中心孔123のように、円形孔が貫通孔である場合には、ステージ83の下方に照明装置を設け、貫通孔を通過した光を撮像装置63が画像認識する構成であってもよい。円形孔と底面121b又は頂面122bとのコントラストを大きくすることで、円形孔の画像を明瞭にすることができる。
【0143】
(変形例8)前記実施形態においては、円形孔121に形成された中心孔123は貫通孔であり、円柱122に形成された中心孔124は非貫通孔であったが、中心孔は、形成される場所が円形孔であるか円柱であるかに拠らず、貫通孔であっても非貫通孔であってもよい。
【0144】
(変形例9)前記第一の実施形態においては、撮像装置63を用いた画像認識による外観検査を、変位計61を用いた接触式の測定による外観検査より先に実行していたが、接触式の測定による外観検査より画像認識による外観検査を先に実行することは必須ではない。画像認識による外観検査と、接触式の測定による外観検査とは、どちらを先に実行してもよい。
【0145】
(変形例10)前記第二の実施形態においては、画像認識形状測定装置を構成する撮像装置63を備える外観検査装置262による外観検査を、接触式形状測定装置を構成する変位計61を備える外観検査装置261による外観検査より先に実行していたが、画像認識形状測定装置を用いる外観検査を、接触式形状測定装置を用いる外観検査より先に実行することは必須ではない。画像認識形状測定装置を用いる外観検査と、接触式形状測定装置を用いる外観検査とは、どちらを先に実行してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0146】
【図1】液滴吐出装置の概略構成を示す外観斜視図。
【図2】(a)ヘッド体の外観を示す斜視図。(b)ヘッド体の概構造を示す断面図。
【図3】(a)流路プレートを示す概略平面図。(b)複数の流路プレートが形成されたマザープレートの概略平面図。
【図4】外観検査装置の構成を示す模式図。
【図5】外観検査装置の機能的構成を示す機能ブロック図。
【図6】基準位置校正治具の平面図及び断面図。
【図7】外観検査の工程を示すフローチャート。
【図8】基準位置校正治具と変位計の接触子との位置関係を示す模式図。
【図9】ステージ台の概略構成を示す模式図。
【図10】接触式の外観検査装置の構成を示す模式図。
【図11】撮像装置を備えた外観検査装置の構成を示す模式図。
【図12】外観検査の工程を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0147】
10…液滴吐出ヘッド、20…流路プレート、20A…マザープレート、60…外観検査装置、61…変位計、63…撮像装置、65…プレート移動機構、66…メインコンピュータ、67…表示装置、68…入力装置、74…接触子、83…ステージ、83a…載置面、89,89a,89b,89c,89d,89e,89f…基準位置校正治具、91…制御装置、121…円形孔、121a…壁面、121b…底面、122…円柱、122a…側壁、122b…頂面、123,124…中心孔、126,127…中心円柱、200…測定対象物、283…ステージ、240…ステージ台、261,262…外観検査装置、265…プレート移動機構、266…メインコンピュータ、267…メインコンピュータ、702…接触子中心,704,707…接触子中心、720…仮想円、741,742,743,744,746,747…接触子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び前記測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正治具であって、
平坦面と、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直な周縁壁を有する円形の凹部と、を備えることを特徴とする基準位置校正治具。
【請求項2】
測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び前記測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正治具であって、
平坦面と、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直に立設された円柱と、を備えることを特徴とする基準位置校正治具。
【請求項3】
前記円形の凹部の底面又は前記円柱の頂面に、前記凹部又は前記円柱の中心位置を中心とする小円柱又は円形孔を形成したことを特徴とする、請求項1又は2に記載の基準位置校正治具。
【請求項4】
前記円形孔は貫通孔であって、前記画像認識形状測定装置が設けられた側の反対側から、前記画像認識形状測定装置が設けられた側に、前記円形孔を通過する光を射出する光源を更に備えることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の基準位置校正治具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基準位置校正治具と、
前記接触式形状測定装置と、
前記画像認識形状測定装置と、
前記測定対象物を載置するステージと、
前記接触式形状測定装置及び前記画像認識形状測定装置と、前記ステージとを相対移動させる移動機構と、を備えることを特徴とする外形測定装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基準位置校正治具と、
前記接触式形状測定装置と、
前記画像認識形状測定装置と、
前記測定対象物を載置するステージと、
前記接触式形状測定装置及び前記画像認識形状測定装置と、前記ステージとを相対移動させる移動機構と、
前記測定対象物の形状寸法の規格値を記憶する規格値記憶部と、
前記接触式形状測定装置又は前記画像認識形状測定装置による測定値を前記規格値と比較することで、前記測定値が規格を満たすか否かを判定する判定部と、を備えることを特徴とする外観検査装置。
【請求項7】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の基準位置校正治具を備えることを特徴とする測定対象物保持装置。
【請求項8】
前記接触式形状測定装置、及び前記画像認識形状測定装置に対して着脱可能であり、
前記凹部、前記円柱、又は前記凹部又は前記円柱と前記小円柱又は前記円形孔との組合わせを、2個又は2組備えることを特徴とする、請求項7に記載の測定対象物保持装置。
【請求項9】
測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び前記測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、
前記接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直な周縁壁を有する円形の凹部の、前記周縁壁の位置を計測する接触計測工程と、
計測した前記周縁壁の位置から前記円形の凹部の中心位置を算出する中心算出工程と、
前記画像認識形状測定装置を用いて、前記円形の凹部を画像認識する画像認識計測工程と、
画像認識した前記円形の凹部の画像データから前記円形の凹部の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする基準位置校正方法。
【請求項10】
測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び前記測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、
前記接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に立設された円柱の側壁の位置を計測する接触計測工程と、
計測した前記側壁の位置から前記円柱の中心位置を算出する中心算出工程と、
前記画像認識形状測定装置を用いて、前記円柱を画像認識する画像認識計測工程と、
画像認識した前記円柱の画像データから前記円柱の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする基準位置校正方法。
【請求項11】
測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び前記測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、
前記接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に形成されており、当該平坦面に垂直な周縁壁を有する円形の凹部の、前記周縁壁の位置を計測する接触計測工程と、
計測した前記周縁壁の位置から前記円形の凹部の中心位置を算出する中心算出工程と、
前記画像認識形状測定装置を用いて、前記円形の凹部の底面に立設又は形成されており、前記円形の凹部の中心位置を中心とする小円柱又は円形孔を画像認識する画像認識計測工程と、
画像認識した前記小円柱又は前記円形孔の画像データから前記円形の凹部の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする基準位置校正方法。
【請求項12】
測定対象物に接触して形状を測定する接触式形状測定装置、及び前記測定対象物の画像を取得して形状を測定する画像認識形状測定装置において基準位置を校正するための基準位置校正方法であって、
前記接触式形状測定装置を用いて平坦面の当該平坦面に垂直な方向の高さを測定することで、当該平坦面に立設された円柱の側壁の位置を計測する接触計測工程と、
計測した前記側壁の位置から前記円柱の中心位置を算出する中心算出工程と、
前記画像認識形状測定装置を用いて、前記円柱の頂面に立設又は形成されており、前記円柱の中心位置を中心とする小円柱又は円形孔を画像認識する画像認識計測工程と、
画像認識した前記小円柱又は前記円形孔の画像データから前記円柱の中心位置を算出する画像中心算出工程と、を有することを特徴とする基準位置校正方法。
【請求項13】
前記接触計測工程において、前記周縁壁又は前記側壁の位置を、前記周縁壁又は前記側壁の少なくとも3個所において測定することを特徴とする、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の基準位置校正方法。
【請求項14】
請求項9乃至13のいずれか一項に記載の基準位置校正方法を用いて、前記接触式形状測定装置及び前記画像認識形状測定装置の基準位置を校正して共通の基準位置を決定する基準位置決定工程と、
前記接触式形状測定装置を用いて前記測定対象物の測定対象部分の高さを測定する高さ形状測定工程と、
前記画像認識形状測定装置を用いて前記測定対象物の平面形状を測定する平面形状測定工程と、を有することを特徴とする外形測定方法。
【請求項15】
請求項8に記載の測定対象物保持装置に前記測定対象物を取り付ける工程と、
前記測定対象物が取り付けられた前記測定対象物保持装置を、前記接触式形状測定装置に取り付ける工程と、
前記測定対象物が取り付けられた前記測定対象物保持装置を、前記画像認識形状測定装置に取り付ける工程と、をさらに有することを特徴とする請求項14に記載の外形測定方法。
【請求項16】
請求項9乃至13のいずれか一項に記載の基準位置校正方法を用いて、前記接触式形状測定装置及び前記画像認識形状測定装置の基準位置を校正して共通の基準位置を決定する基準位置決定工程と、
前記測定対象物の形状寸法の規格値を記憶する規格値記憶工程と、
前記接触式形状測定装置を用いて前記測定対象物の測定対象部分の高さを測定する高さ形状測定工程と、
前記画像認識形状測定装置を用いて前記測定対象物の平面形状を測定する平面形状測定工程と、
前記測定対象部分の前記高さ又は前記測定対象物の前記平面形状を前記規格値と比較することで、前記高さ又は前記平面形状が規格を満たすか否か判定する判定工程と、を有することを特徴とする外観検査方法。
【請求項17】
請求項8に記載の測定対象物保持装置に前記測定対象物を取り付ける工程と、
前記測定対象物が取り付けられた前記測定対象物保持装置を、前記接触式形状測定装置に取り付ける工程と、
前記測定対象物が取り付けられた前記測定対象物保持装置を、前記画像認識形状測定装置に取り付ける工程と、をさらに有することを特徴とする請求項16に記載の外観検査方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2008−122307(P2008−122307A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308720(P2006−308720)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】