説明

塗布方法及び塗布装置

【課題】塗布膜の膜厚制御、特に塗布膜の周縁部の膜厚均一化を容易に行うこと。
【解決手段】この面状塗布ユニット(ACT)40では、ステージ80の上に基板Gを載置して、レジスト液供給機構86およびノズル移動機構88を動作させると、長尺ノズル82の塗布走査により基板G上に基板の一端から他端に向ってレジスト液の面状塗布膜100が形成されていく。その際、面状レジスト塗布膜100が基板Gの外側へ向って広がる過程でライン状レジスト塗布膜76と接触ないし一体化し、ライン状レジスト塗布膜76によって面状レジスト塗布膜100の外縁の位置が規定されると同時に膜厚も制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板上に液を塗布する技術に係り、特にスピンレス方式で基板上に塗布膜を形成する塗布方法および塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、フラットパネルディスプレイ(FPD)の製造プロセスにおけるフォトリソグラフィー工程では、被処理基板(たとえばガラス基板)の大型化に有利なレジスト塗布法として、長尺型のレジストノズルをそのスリット状の吐出口よりレジスト液を帯状に吐出させながら基板に対して相対的に移動または走査させることにより、回転運動を要することなく基板上に所望の膜厚でレジスト液を塗布するようにしたスピンレス方式(たとえば特許文献1参照)が普及している。
【0003】
スピンレス方式(スリット式とも称される)を採用するレジストプロセスにおいても、その前処理として洗浄処理およびアドヒージョン処理が行われ、洗浄処理では基板表面の粒子や有機物等の汚れが除去される。アドヒージョン処理では基板とレジスト膜との密着性を向上させるために蒸気状のHMDSが基板上に塗布される。そして、レジスト塗布処理は、アドヒージョン処理後の無地の基板上に対して行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−156255
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のスピンレス方式は、基板上に形成するレジスト塗布膜の膜厚制御に改善の余地を残しており、特に面内均一性の向上が課題となっている。具体的には、塗布開始部では塗布膜の膜厚が落ち込む一方で、塗布中間部では塗布膜の膜厚が左右両端部で制御不能となり、塗布終端部では塗布膜が顕わに盛り上がりやすいという問題がある。
【0006】
より詳細には、従来のスピンレス方式によると、図22に示すような平面視のパターンで基板G上にレジスト液の塗布膜200が形成される。ここで、塗布開始部Aでは、図23の(A)に示すように、長尺型のレジストノズル202が基板GとのギャップDAを狭くしてレジスト液の前置吐出または着液を行うのであるが、レジストノズル202のスリット状吐出口202aより出たレジスト液が基板G上で外側(特にノズル長手方向外側)へ過分に広がりやすい。この結果、図24に示すように、塗布開始部A(特にその左右角隅部)でレジスト塗布膜200の膜厚が外側へ向って垂れるように落ち込む。
【0007】
塗布走査中は、図23の(B)に示すように、レジストノズル202が基板GとのギャップDBを塗布開始時よりも大きくしてその背面下端部にメニスカスを形成しながら基板G上方を移動し、基板G上に吐出された直後のレジスト液がノズル202に引きずられるため、図25に示すように、塗布中間部Bの左右両端部でレジスト液が内側へ寄って盛り上がり204を形成しやすい。この盛り上がり204は、走査速度を大きくするほど、あるいはギャップDBを大きくするほど、点線204'で示すように大きくなる傾向がある。
【0008】
そして、レジストノズル202がレジスト液の吐出を終了する際には上方へ移動して退避することにより、そのスリット状吐出口202aの両端からレジスト液の液切りが始まるため、塗布終端部C(特にその左右角隅部)ではレジスト液の内側への寄りがさらに強まり、一層大きな盛り上がりを形成しやすい。
【0009】
上記のようなレジスト塗布膜の膜厚変動または不均一性は、レジストプロセスの仕様や条件に応じてレジストノズル202の吐出構造を最適化することにより、ある程度まで解消できる。しかしながら、この手法は汎用性がなく、仕様(たとえば膜厚)や条件(たとえばレジストの種類)を変更する度毎にレジストノズルのハードウェア的な交換を必要とし、コストや運用の面で実用上の不利点が大きい。
【0010】
さらに、従来のスピンレス方式では、図26に示すように、塗布開始位置Aにおける前置吐出に際してレジストノズル202と基板Gとの間のギャップDがレジスト液で完全に満たされずに隙間(着液不良箇所)206が発生することが多々あった。このような着液不良箇所206のある状態で塗布走査を開始すると、図27に示すように、レジストノズル202の背面下部に形成されるメニスカスの頂上ライン(ウエットライン)が着液不良箇所206で落ち込み、その位置に対応するレジスト塗布膜200上の位置で走査方向に筋状の塗布ムラ208が生じやすい。
【0011】
本発明は、かかる従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、塗布膜の膜厚制御、特に塗布膜の周縁部の膜厚均一化を容易に行えるスピンレス方式の塗布方法および塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の第1の観点における塗布方法は、被処理基板上に設定された塗布領域についてその周縁部の一部または全部に処理液を塗布してライン状の塗布膜を形成するライン状塗布工程と、前記基板上の前記塗布領域に処理液を塗布して面状の塗布膜を形成する面状塗布工程とを有し、前記面状塗布工程において前記基板上に塗布された処理液が前記ライン状の塗布膜との付着による引力によって前記塗布領域の周辺側へ広がるように、前記ライン状塗布工程において前記ライン状塗布膜のプロファイルが選定される。
【0013】
また、本発明の第1の観点における塗布装置は、被処理基板上に設定された塗布領域についてその周縁部の一部または全部に処理液を塗布してライン状の塗布膜を形成するライン状塗布部と、前記基板上の前記塗布領域に処理液を塗布して面状の塗布膜を形成する面状塗布部とを有し、前記面状塗布部により前記基板上に塗布された処理液が前記ライン状塗布部により形成された前記ライン状の塗布膜との付着による引力によって前記塗布領域の周辺側へ広がるように、前記ライン状塗布部により前記ライン状塗布膜のプロファイルが制御される。
【0014】
本発明の上記第1の観点における塗布方法または塗布装置によれば、基板上の塗布領域一面に処理液を塗布する面状塗布部による面状塗布工程に先行して、ライン状塗布部によるライン状塗布工程において該塗布領域の周縁部の一部または全部に処理液を塗布し、所定のプロファイル(塗布位置、膜厚、幅等)でライン状の塗布膜を形成しておく。そして、面状塗布部による面状塗布工程において基板上に面状に塗布された処理液は、塗布領域の周辺側へ向かって広がる過程でライン状塗布膜と付着して一体化する。これにより、ライン状塗布膜によって面状塗布膜の外縁の位置が規定されると同時に膜厚も制御される。
【0015】
本発明の第2の観点における塗布方法は、被処理基板と長尺形ノズルの吐出口とを微小なギャップを隔ててほぼ水平に対向させ、前記基板に対して前記ノズルより処理液を吐出させながら前記ノズルを相対的に水平方向で移動させる塗布走査を行って、前記基板上に前記処理液の面状塗布膜を形成する塗布方法であって、前記基板上の前記塗布走査が終了する位置付近に、前記塗布走査に先立って前記処理液からなる先行の塗布膜を所望のパターンで形成し、前記塗布走査によって前記基板上に形成される面状塗布膜の終端に前記先行塗布膜が合わさって、前記先行塗布膜が前記面状塗布膜の拡張部分となるようにする。
【0016】
また、本発明の第2の観点における塗布装置は、被処理基板と長尺形ノズルの吐出口とを微小なギャップを隔ててほぼ水平に対向させ、前記基板に対して前記ノズルより処理液を吐出させながら前記ノズルを相対的に水平方向で移動させる塗布走査を行って、前記基板上に前記処理液の面状塗布膜を形成する面状塗布処理部と、前記基板上の前記塗布走査が終了する位置付近に、前記面状塗布処理部の前記塗布走査に先立って前記処理液からなる先行の塗布膜を所望のパターンで形成する先行塗布膜形成部とを有し、前記面状塗布処理部の塗布走査により前記基板上に形成される面状塗布膜の終端に前記先行塗布膜が合わさって、前記先行塗布膜が前記面状塗布膜の拡張部分となるようにする。
【0017】
本発明の上記第2の観点における塗布方法または塗布装置によれば、面状塗布処理の際に塗布走査の終了位置付近で面状塗布膜が先行塗布膜に合わさって(一体化して)、先行塗布膜が面状塗布膜の拡張部分となるので、塗布終端部における面状塗布膜のアウトラインを任意に調整することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の塗布方法または塗布装置によれば、上記のような構成および作用により、スピンレス方式の塗布処理において塗布膜の膜厚制御、特に塗布膜の周縁部の膜厚均一化を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の適用可能な塗布現像処理システムの構成を示す平面図である。
【図2】実施形態の塗布現像処理システムにおける処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】実施形態の塗布現像処理システムに含まれるライン状塗布ユニット内の要部の構成を示す斜視図である。
【図4】実施形態において基板上に形成されるライン状レジスト塗布膜の平面視パターンを模式的に示す平面図である。
【図5】実施形態において基板上に形成されるライン状レジスト塗布膜の塗布位置および断面形状を模式的に示す断面図である。
【図6】実施形態の塗布現像処理システムに含まれる面状塗布ユニット内の要部の構成を示す斜視図である。
【図7】実施形態の面状塗布ユニット内の作用を示す斜視図である。
【図8】実施形態において基板上に形成される面状レジスト塗布膜の平面視パターンを模式的に示す平面図である。
【図9】実施形態におけるライン状レジスト塗布膜の一作用を模式的に示す部分断面図である。
【図10】実施形態におけるライン状レジスト塗布膜の一作用を模式的に示す部分断面図である。
【図11】実施形態におけるライン状レジスト塗布膜の一作用を模式的に示す部分断面図である。
【図12】実施形態におけるライン状レジスト塗布膜の一作用を模式的に示す部分断面図である。
【図13】実施形態におけるライン状レジスト塗布膜の一作用を模式的に示す部分断面図である。
【図14】実施形態において面状塗布処理装置にライン状塗布処理装置を組み込む一変形例の構成を示す斜視図である。
【図15】図14の構成例による塗布処理の作用を模式的に示す平面図である。
【図16】図14の構成例に加熱乾燥装置を組み込む構成例を示す略側面図である。
【図17】実施形態における先行レジスト塗布膜のパターンの一例を示す平面図である。
【図18】実施形態における先行塗布膜の作用を示す平面図である。
【図19】実施形態における先行塗布膜の別のパターン例を示す平面図である。
【図20】実施形態における先行塗布膜の別のパターン例を示す平面図である。
【図21】実施形態における先行塗布膜の別のパターン例を示す平面図である。
【図22】従来技術のスピンレス塗布処理により基板上に得られるレジスト塗布膜の平面視パターンを模式的に示す平面図である。
【図23】従来技術のスピンレス塗布処理の作用を模式的に示す正面図である。
【図24】従来技術における問題点を模式的に示す部分断面図である。
【図25】従来技術における問題点を模式的に示す部分断面図である。
【図26】従来技術における問題点を模式的に示す正面図である。
【図27】従来技術における問題点を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図21を参照して本発明の好適な実施形態を説明する。
【0021】
図1に、本発明の塗布方法および塗布装置の適用可能な構成例として塗布現像処理システムを示す。この塗布現像処理システムは、クリーンルーム内に設置され、たとえばLCD用のガラス基板を被処理基板とし、LCD製造プロセスにおいてフォトリソグラフィー工程の中の洗浄、レジスト塗布、プリベーク、現像およびポストベークの各処理を行うものである。露光処理は、このシステムに隣接して設置される外部の露光装置(図示せず)で行われる。
【0022】
この塗布現像処理システムは、大きく分けて、カセットステーション(C/S)10と、プロセスステーション(P/S)12と、インタフェース部(I/F)14とで構成される。
【0023】
システムの一端部に設置されるカセットステーション(C/S)10は、複数の基板Gを収容するカセットCを所定数たとえば4個まで載置可能なカセットステージ16と、このカセットステージ16上の側方でかつカセットCの配列方向と平行に設けられた搬送路17と、この搬送路17上で移動自在でステージ16上のカセットCについて基板Gの出し入れを行う搬送機構20とを備えている。この搬送機構20は、基板Gを保持できる手段たとえば搬送アームを有し、X,Y,Z,θの4軸で動作可能であり、後述するプロセスステーション(P/S)12側の搬送装置38と基板Gの受け渡しを行えるようになっている。
【0024】
プロセスステーション(P/S)12は、上記カセットステーション(C/S)10側から順に洗浄プロセス部22と、塗布プロセス部24と、現像プロセス部26とを基板中継部23、薬液供給ユニット25およびスペース27を介して(挟んで)横一列に設けている。
【0025】
洗浄プロセス部22は、2つのスクラバ洗浄ユニット(SCR)28と、上下2段の紫外線照射/冷却ユニット(UV/COL)30と、加熱ユニット(HP)32と、冷却ユニット(COL)34とを含んでいる。
【0026】
塗布プロセス部24は、スピンレス方式の面状塗布ユニット(ACT)40と、減圧乾燥ユニット(VD)42と、ライン状塗布ユニット(LCT)44と、上下2段型アドヒージョン/冷却ユニット(AD/COL)46と、上下2段型加熱/冷却ユニット(HP/COL)48と、加熱ユニット(HP)50とを含んでいる。
【0027】
現像プロセス部26は、3つの現像ユニット(DEV)52と、2つの上下2段型加熱/冷却ユニット(HP/COL)53と、加熱ユニット(HP)55とを含んでいる。
【0028】
各プロセス部22,24,26の中央部には長手方向に搬送路36,47,58が設けられ、搬送装置38,54,60がそれぞれ搬送路36,47,58に沿って移動して各プロセス部内の各ユニットにアクセスし、基板Gの搬入/搬出または搬送を行うようになっている。なお、このシステムでは、各プロセス部22,24,26において、搬送路36,47,58の一方の側に液処理系のユニット(SCR,CT,DEV等)が配置され、他方の側に熱処理系のユニット(HP,COL等)が配置されている。
【0029】
システムの他端部に設置されるインタフェース部(I/F)14は、プロセスステーション12と隣接する側にイクステンション(基板受け渡し部)56およびバッファステージ57を設け、露光装置と隣接する側に搬送機構59を設けている。この搬送機構59は、Y方向に延在する搬送路19上で移動自在であり、バッファステージ57に対して基板Gの出し入れを行なうほか、イクステンション(基板受け渡し部)56や隣の露光装置と基板Gの受け渡しを行うようになっている。
【0030】
図2に、この塗布現像処理システムにおける処理の手順を示す。先ず、カセットステーション(C/S)10において、搬送機構20が、ステージ12上の所定のカセットCの中から1つの基板Gを取り出し、プロセスステーション(P/S)12の洗浄プロセス部22の搬送装置38に渡す(ステップS1)。
【0031】
洗浄プロセス部22において、基板Gは、先ず紫外線照射/冷却ユニット(UV/COL)30に順次搬入され、最初の紫外線照射ユニット(UV)では紫外線照射による乾式洗浄を施され、次の冷却ユニット(COL)で所定温度まで冷却される(ステップS2)。この紫外線洗浄では主として基板表面の有機物が除去される。
【0032】
次に、基板Gはスクラバ洗浄ユニット(SCR)28の1つでスクラビング洗浄処理を受け、基板表面から粒子状の汚れが除去される(ステップS3)。スクラビング洗浄の後、基板Gは、加熱ユニット(HP)32で加熱による脱水ベーク処理を受け(ステップS4)、次いで冷却ユニット(COL)34で一定の基板温度まで冷却される(ステップS5)。これで洗浄プロセス部22における前処理が終了し、基板Gは、搬送装置38により基板受け渡し部23を介して塗布プロセス部24へ搬送される。
【0033】
塗布プロセス部24において、基板Gは、最初にライン状塗布ユニット(LCT)44へ搬入され、そこで後述するように基板G上に設定された塗布領域の外周または周縁部にレジスト液をライン状に塗布される(ステップS6)。こうして基板G上に形成されたライン状のレジスト塗布膜は、直後に加熱ユニット(HP)50において加熱処理により乾かされる(ステップS7)。次に、基板Gはアドヒージョン/冷却ユニット(AD/COL)46に順次搬入され、最初のアドヒージョンユニット(AD)では疎水化処理(HMDS)を受け(ステップS8)、次の冷却ユニット(COL)で一定の基板温度まで冷却される(ステップS9)。なお、加熱乾燥工程(HP)と疎水化工程(HMDS)との間に冷却処理(COL)を入れてもよい。
【0034】
その後、基板Gは、面状塗布ユニット(ACT)40でスピンレス法により塗布領域一面にレジスト液を塗布され、次いで減圧乾燥ユニット(VD)42で減圧による乾燥処理を受ける(ステップS10)。
【0035】
次に、基板Gは、加熱/冷却ユニット(HP/COL)48に順次搬入され、最初の加熱ユニット(HP)では塗布後のベーキング(プリベーク)が行われ(ステップS11)、次に冷却ユニット(COL)で一定の基板温度まで冷却される(ステップS12)。なお、この塗布後のベーキングに加熱ユニット(HP)50を用いることもできる。
【0036】
上記塗布処理の後、基板Gは、塗布プロセス部24の搬送装置54と現像プロセス部26の搬送装置60とによってインタフェース部(I/F)14へ搬送され、そこから露光装置に渡される(ステップS13)。露光装置では基板G上のレジストに所定の回路パターンを露光される。そして、パターン露光を終えた基板Gは、露光装置からインタフェース部(I/F)14に戻される。インタフェース部(I/F)14の搬送機構59は、露光装置から受け取った基板Gをイクステンション56を介してプロセスステーション(P/S)12の現像プロセス部26に渡す(ステップS13)。
【0037】
現像プロセス部26において、基板Gは、現像ユニット(DEV)52のいずれか1つで現像処理を受け(ステップS14)、次いで加熱/冷却ユニット(HP/COL)53の1つに順次搬入され、最初の加熱ユニット(HP)ではポストベーキングが行われ(ステップS15)、次に冷却ユニット(COL)で一定の基板温度まで冷却される(ステップS16)。このポストベーキングに加熱ユニット(HP)55を用いることもできる。
【0038】
現像プロセス部26で一連の処理が済んだ基板Gは、プロセスステーション(P/S)24の搬送装置60,54,38によりカセットステーション(C/S)10まで戻され、そこで搬送機構20によりいずれか1つのカセットCに収容される(ステップS1)。
【0039】
この塗布現像処理システムにおいては、塗布プロセス部24、特にライン状塗布ユニット(LCT)44および面状塗布ユニット(ACT)40に本発明を適用することができる。以下、図3〜図14につき、本発明の一実施形態におけるライン状塗布ユニット(LCT)44および面状塗布ユニット(ACT)40の構成および作用を詳細に説明する。
【0040】
図3に、この実施形態におけるライン状塗布ユニット(LCT)44内の要部の構成を示す。このライン状塗布ユニット(LCT)44は、基板Gを水平に載置して保持するためのステージ62と、このステージ62上の基板Gに対してレジスト液をドット状または糸状に吐出するインクジェット式のレジストノズル(以下、「インクジェットノズル」と称する。)64をXY方向で移動させるノズル走査機構66と、各部を制御するコントローラ(図示せず)とを有している。
【0041】
ノズル走査機構66においては、Y方向に延びる一対のYガイドレール68,68がステージ62の左右両側に配置され、ステージ62上方を横断してX方向に延びる1本のXガイドレール70がたとえば電気モータを有するY方向駆動部72によりYガイドレール68,68上でY方向に移動可能となっている。さらに、Xガイドレール70にはX方向にたとえば自走式または外部駆動式で移動できるキャリッジ(搬送体)74が搭載されており、このキャリッジ74にインクジェットノズル64が取り付けられている。Y方向駆動部72によるY方向の移動とキャリッジ74によるX方向の移動との組み合わせにより、ステージ62上方のXY面上でインクジェットノズル64を任意の2点間で、あるいは任意の直線または曲線ルートで移動させることができる。
【0042】
インクジェットノズル64は、その吐出口の内奥に噴射手段としてたとえばピエゾ素子を内蔵しており、上記コントローラからの電気的な駆動信号で該ピエゾ素子を収縮動作させ、その収縮圧力によりノズル内のレジスト液を加圧し、液滴として吐出口よりジェット噴射するように構成されている。なお、レジスト液供給部(図示せず)がタンクとして直接に、あるいは配管(図示せず)を介してインクジェットノズル64に接続されている。
【0043】
このライン状塗布ユニット(LCT)44では、上記のような構成により、基板G上の予め設定された塗布領域についてその周縁部の一部または全部に処理液を塗布してライン状のレジスト塗布膜を形成することができる。たとえば、図4に示すように、インクジェットノズル64をノズル走査機構66により基板Gの4辺に沿って(1)→(2)→(3)→(4)のルートで移動させ、このルート上の各点にインクジェットノズル64より所望量のレジスト液を滴下することにより、塗布領域REの周縁部に長方形のライン状レジスト塗布膜76を形成することができる。ここで、塗布領域REは、後述する面状塗布ユニット(ACT)40においてレジスト液がスピンレス法で面状に塗布される基板G上の領域である。通常、塗布領域REの外縁位置は基板Gの端から幾分(たとえば10mm)内側に設定される。
【0044】
ライン状レジスト塗布膜76の平面視パターンの形状は、基板Gに合わせた形状(四角形)を標準とするが、後工程の面状レジスト塗布(ACT)における要求仕様や処理条件に合わせて任意のバリエーションをもたせることができる。たとえば、図22〜図27について述べたような従来技術におけるレジスト塗布膜200のエッジ部の膜厚変動または不均一性をより効果的に低減するために、後工程の面状レジスト塗布(ACT)で塗布開始位置AとなるX方向の基板一端部側でライン状レジスト塗布膜76の角部76Aを図8中の円内部分拡大図LAで示すように丸めて内側に寄せるパターンや、塗布終端位置CとなるX方向の基板他端部側でライン状レジスト塗布膜76の角部76Cを図8中の円内部分拡大図LCで示すように鋭角に尖らせて外側へ広げるパターンなどが好適である。
【0045】
また、図5に示すように、ライン状レジスト塗布膜76の断面形状やサイズ(特に幅Wや高さH等)も一定の制限内で任意に選択できる。図中、点線Jは基板G上の製品領域と非製品領域との境界を示す。通常、塗布領域REの外周位置は境界Jの外側に設定されるので、ライン状レジスト塗布膜76も境界Jの外側に形成されてよい。
【0046】
上記のように、ライン状塗布ユニット(LCT)44で基板G上に形成されたライン状レジスト塗布膜76は、直後に加熱ユニット(HP)50において加熱処理により乾かされる(ステップS7)。この加熱乾燥は、ライン状レジスト塗布膜76に残留している溶剤を蒸発させて基板Gとの密着性を高めるために行われるものであるが、プリベーク(ステップS11)ほどの乾きである必要はなく、半乾きでもよい。
【0047】
図6に、面状塗布ユニット(ACT)40内の要部の構成を示す。この面状塗布ユニット(ACT)40は、基板Gを水平に載置して保持するためのステージ80と、このステージ80上に載置される基板Gの上面(正確には塗布領域RE)に長尺型のレジストノズル(以下、「長尺ノズル」と称する。)82を用いてスピンレス法でレジスト液を面状に塗布するための塗布処理部84とを有している。
【0048】
塗布処理部84は、長尺ノズル82を含むレジスト液供給機構86と、塗布処理時に長尺ノズル82をステージ80上方でX方向に水平移動させるノズル移動機構88とを有する。レジスト液供給機構86において、長尺ノズル82は、ステージ80上の基板Gを一端から他端までカバーできる長さでY方向に延びるスリット状の吐出口を有しており、レジスト液供給源(図示せず)からのレジスト液供給管90に接続されている。ノズル移動機構88は、長尺ノズル82を水平に支持する逆さコ字状または門形のノズル支持体92と、このノズル支持体92をX方向で双方向に直進移動させる直進駆動部94とを有する。この直進駆動部94は、たとえばガイド付きのリニアモータ機構またはボールねじ機構で構成されてよい。また、長尺ノズル82の高さ位置を変更または調節するためのガイド付きの昇降機構96が、たとえばノズル支持体92と長尺ノズル82とを接続するジョイント部98に設けられている。昇降機構96が長尺ノズル82の高さ位置を調節または可変することで、長尺ノズル82の下端または吐出口とステージ80上の基板Gの上面(被処理面)との間の距離間隔つまりギャップの大きさを任意に調整または可変することができる。
【0049】
長尺ノズル82は、たとえばステンレス鋼等の対錆性と加工性に優れた金属からなり、下端のスリット状吐出口に向って先細りのテーパ面を有している。長尺ノズル82のスリット状吐出口の全長は、基板Gの幅サイズもしくは後述する対向するライン状レジスト塗布膜間の幅(距離間隔)に対応している。これにより、長尺ノズル82の吐出口の両端が基板G上の塗布領域REの左右両端のほぼ真上をX方向に移動するようになっている。
【0050】
この面状塗布ユニット(ACT)40においては、ステージ80上に基板Gを載置し、コントローラ(図示せず)の制御の下でレジスト液供給機構86およびノズル移動機構88等を所定のシーケンスで動作させることにより、図8に示すように、基板G上の塗布領域REに、つまりライン状レジスト塗布膜76の矩形枠または堤で囲まれた領域内に、面状のレジスト塗布膜100を所望の膜厚で形成することができる。
【0051】
より詳細には、図6に示すように、ステージ80の上方を所定の高さでX方向に縦断または走査するように長尺ノズル82をノズル移動機構88により一定速度で移動させながら、レジスト液供給機構86において長尺ノズル82のスリット状吐出口よりY方向に広がる帯状の吐出流でレジスト液をステージ80上の基板Gの塗布領域REに供給する。このような長尺ノズル82の塗布走査により、図7に示すように、基板G上には長尺ノズル82の後を追うようにして基板の一端から他端に向ってレジスト液の面状塗布膜100が形成されていく。その際、面状レジスト塗布膜100が基板Gの外側(特に左右外側)へ向って広がる過程でライン状レジスト塗布膜76と接触ないし一体化し、ライン状レジスト塗布膜76によって面状レジスト塗布膜100の外縁の位置が規定されると同時に膜厚も制御される。
【0052】
すなわち、塗布開始位置Aでは、長尺ノズル82が基板Gとのギャップを狭くしてレジスト液の前置吐出または着液を行うために、長尺ノズル82のスリット状吐出口より出たレジスト液が基板G上で外側(特にノズル長手方向外側)へ過分に広がりやすい。しかしながら、この実施形態においては、塗布領域REの外縁部に前以てライン状レジスト塗布膜76が形成されている。これにより、図9に示すように、面状レジスト塗布膜100の外縁がライン状レジスト塗布膜76の堤部によって規制されるため、それよりも外側へ広がることはなく(バンク効果)、仮想線100'で示すような膜厚の先細り(落ち込み)が阻止される。とりわけ、図8中の円内部分拡大図LAに示すように、塗布開始位置A側でライン状レジスト塗布膜76の角部(コーナー部)を丸めるパターンにおいては、上記のようなバンク効果ないし膜厚落ち込み防止の効果を一層高めることができる。
【0053】
一方、塗布走査中は、図7に示すように、長尺ノズル82がその背面下端部にメニスカスを形成した状態で基板G上方をX方向に移動することにより、基板G上に吐出された直後のレジスト液が長尺ノズル82に引きずられるため、塗布中間部Bの左右両端部ではレジスト液が内側へ寄せられるような力を受ける。しかしながら、この実施形態においては、塗布領域REの外縁部に前以てライン状レジスト塗布膜76が形成されているので、図10に示すように、面状レジスト塗布膜100の外縁部がライン状レジスト塗布膜76との付着(ぬれ)による引力で所定の外周位置に留まるため、内側へ寄せられることがなく、仮想線100'で示すような膜厚の盛り上がりが抑制される。
【0054】
また、塗布終了部Cでは、基板G上に吐出された直後のレジスト液が塗布中間部Bよりも一層大きな内向きの力を長尺ノズル82側から受けるものの、やはりライン状レジスト塗布膜76との付着(ぬれ)による引力で所定の外周位置に留まって、内側へ寄せられることがなく、膜厚の盛り上がりが防止される。とりわけ、図8中の円内部分拡大図LCに示すように、塗布終了位置C側でライン状レジスト塗布膜76の角部76Cを鋭角にして外側へ拡げるパターンにおいては、塗布終了の間際に長尺ノズル82より吐出された過分量のレジスト液をその領域拡張部分に導いてライン状レジスト塗布膜76にぬれの付着力でしっかり保持させることができ、それによって上記のような膜厚盛り上がり防止の効果を一層高めることができる。
【0055】
さらに、この実施形態では、塗布走査の開始直前または開始時に塗布開始位置Aで長尺ノズル82と基板Gとの間のギャップをレジスト液で塞ぐための着液を再現性よく良好に行うことができる。すなわち、図12に示すように、塗布開始位置AまたはそのX方向外側近傍に前以てライン状レジスト塗布膜76が形成されているので、長尺ノズル82のスリット状吐出口82aより吐出された着液用のレジスト液Rはライン状レジスト塗布膜76に上から重なるように付着ないし一体化してノズル長手方向(Y方向)に広がることにより、ギャップ内にレジスト液Rを隙間なく満たして完全に塞ぐことができる。
【0056】
このように、長尺ノズル82と基板Gとのギャップをレジスト液で完全に満たした状態で塗布走査を開始することにより、図7に示すように、長尺ノズル82の背面下部に形成されるメニスカスの頂上ライン(ウエットライン)WLが水平一直線に安定し、基板G上に塗布ムラのない平坦面のレジスト塗布膜100を形成することができる。
【0057】
この実施形態においては、レジストプロセスの様々な仕様や条件に対して、長尺ノズル82のハードウェア的な変更または交換を要することなく、ライン状レジスト塗布膜76のプロファイル(塗布位置、膜厚H、幅W等)を適宜選択することにより、上記のような均一化の膜厚制御を容易に実現することができる。
【0058】
たとえば、走査速度やレジスト特性等の塗布条件を変えずに面状レジスト塗布膜100の膜厚設定値をTaからたとえば略2倍のTbに変更すると、塗布走査中間部Bでは長尺ノズル82によって内側に寄せられる力よりも基板とのぬれで外側へ広がろうとするレジスト液の量的な力が勝り、左右両端部で膜厚が盛り上がるどころか外に向って垂れ(落ち込み)やすくなる。
【0059】
この場合は、図11に示すように、ライン状レジスト塗布膜76の塗布位置を基板内側(製品領域側)へ寄せることで、ライン状レジスト塗布膜76に面状レジスト塗布膜100の外縁部の広がりを阻止するバンク効果の機能を持たせることができる。これによって、仮想線(一点鎖線)100'で示すような面状レジスト塗布膜100における膜厚の垂れまたは落ち込みをなくし、膜厚の均一化を図ることができる。
【0060】
上記したように、この実施形態によれば、スピンレス方式のレジスト塗布において、基板G上に設定される塗布領域REの外周に前以てライン状のレジスト塗布膜78を形成することにより、正規のスピンレス塗布処理において面状レジスト塗布膜100の膜厚制御、特に周縁部の膜厚均一化制御を容易に行うことができる。さらに、塗布開始時または直前の着液動作で長尺ノズル82と基板Gとの間のギャップをレジスト液で再現性よく確実に塞ぐことが可能であり、これによって塗布走査で筋状の塗布ムラが発生するのを防止し、平坦面の良質なレジスト膜を得ることができる。
【0061】
上記の実施形態では、基板G上にライン状のレジスト塗布膜78を形成する処理を専用のライン状塗布ユニット(LCT)44で行う構成としている。しかし、ライン状塗布処理を行う装置を面状塗布ユニット(ACT)40内に併設または組み込む構成も可能である。
【0062】
たとえば、図14に示すように、面状塗布ユニット(ACT)40において、ノズル移動機構88のノズル支持体92に、上記ライン状塗布ユニット(LCT)51内のライン状塗布処理装置(図3)を構成したのと同様のXガイドレール70、キャリッジ74を介してインクジェットノズル64を搭載することも可能である。この場合は、ノズル移動機構88によりステージ80上方で長尺ノズル82を所定方向(X方向)に移動させる塗布走査において、インクジェットノズル64は長尺ノズル82の前方位置でステージ60上方を移動することができ、長尺ノズル82による面状塗布走査に先行してインクジェットノズル64によるライン状塗布走査を実行させることができる。
【0063】
このように面状塗布ユニット(ACT)40内にライン状塗布処理装置を設ける場合は、基板G上に形成された直後のライン状レジスト塗布膜76を乾かす手段もユニット(ACT)40内に設けるのが好ましい。たとえば、図16に示すように、インクジェットノズル64の背後で温風ヒータ102を走査させる構成も可能である。この温風ヒータ102は、たとえば抵抗発熱手段からなる発熱部104を有し、ガス管106を介してエアまたは窒素ガスを引き込んで、ヒータ102より基板G上のライン状レジスト塗布膜76に向けて乾燥用の温風を吹き付ける。あるいは、ライン状レジスト塗布膜76の作用効果をある程度低下させることにはなるが、ライン状塗布処理の後に特別の乾燥処理を行わずに面状塗布処理を行うことも可能である。
【0064】
上記実施形態では、基板G上を一周するように塗布領域REの外縁の全部にライン状レジスト塗布膜76を形成した。しかし、塗布領域REの外周の一部だけに、たとえば塗布開始位置付近だけに、あるいは塗布走査中間部だけに、あるいは塗布終端部だけに、あるいは角部だけに局所的なライン状レジスト塗布膜76を形成することも可能である。また、図8の拡大図LCに示す塗布パターンの一変形例として、角部(コーナー部)のライン状レジスト膜76を結合させずに隙間を空けて形成してもよく、その構成によっても上記と同様の効果を得ることが可能である。
【0065】
上記実施形態における塗布走査は、ステージ80上で基板Gを固定し、その上方でインクジェットノズル64あるいは長尺ノズル82を所定方向またはルートで移動させる方式であった。しかし、ノズル64,82を固定して基板Gを所定方向に移動する方式、あるいはノズル64,82と基板Gの双方を同時に移動させる方式も可能である。塗布走査中に基板Gを空中に浮上させて移動させる浮上搬送式も可能である。
【0066】
上記実施形態においては、塗布開始時の着液に際して、長尺ノズル82より基板Gとの狭ギャップに微量のレジスト液を吐出するようしているが、別の方法としてプライミング処理法による着液も可能である。プライミング処理法によれば、ステージ80の近くに設けたプライミング処理部で長尺ノズル82の吐出口付近にレジスト液を下塗りしてから、長尺ノズル82をステージ80上方へ移動させて基板Gと所定の狭ギャップを形成する高さまで降ろして、基板Gの下端に付着しているレジスト液の液膜を基板Gの塗布開始位置に着ける。本発明によれば、塗布開始位置の近傍に前以てライン状のレジスト塗布膜を形成しているので、プライミング処理法による着液も再現性よく良好に行うことができる。
【0067】
なお、長尺ノズル82から吐出されたレジスト液が初めてライン状レジスト塗布膜76に接液するまでは、長尺ノズル82を静止または移動停止させておくのが好ましい。いったんレジストがライン状レジスト塗布膜76に接液してしまうと、後は長尺ノズル82を移動させてもライン状レジスト塗布膜76に吸い寄せられ、ライン状レジスト塗布膜76との間に隙間なくレジストを供給することができる。レジストを吐出して長尺ノズル82が移動を開始するまでの時間は、予め実験等で求めておけばよい。
【0068】
また、長尺ノズル82からレジストを吐出して、早くライン状レジスト膜76に接液するように、初期段階ではレジストを所定量より多く吐出し、吐出したレジストがライン状レジスト塗布膜76に接液した後に余剰量のレジストを長尺ノズル82内に吸引するようにしてもよい。レジストの吐出から吸引開始までの時間も、予め実験等で求めておいてよい。
【0069】
また、図示省略するが、ライン状塗布ユニット(LCT)44において、基板の各辺にそれぞれ対応する複数(たとえば4個)のノズル64を備え、基板の各辺に沿って同時にライン状レジスト塗布膜76を形成する装置構成としてもよい。この場合、より短い時間で基板上に所望のライン状レジスト塗布膜76を形成することができる。
【0070】
本発明に用いるライン状塗布用のノズルおよび面状塗布用のノズルの構成も種々の変形が可能である。たとえば、インクジェットノズル64の代わりに微細孔の吐出口を有する電磁弁オン/オフ式のノズルも使用可能である。また、長尺ノズル82の吐出口はスリットタイプに限るものでなく、多数の微細孔吐出口を一列に配列したものも可能である。
【0071】
また、ライン状塗布工程において、ライン状レジスト塗布膜76の形状をライン以外の任意のパターンに変形することも可能である。特に、スピンレス法の面状塗布においては、上記のようにレジスト液膜が基板G上の塗布終端部(特に左右角隅部)で内側(塗布走査方向と直交する方向において基板中心側)へ大きく寄りやすい。本発明によれば、基板G上の面状レジスト塗布膜の終端付近(特に左右角隅部)に、前以て(たとえば上記ライン状塗布工程と同様の先行塗布工程において)面状レジスト塗布膜のアウトライン、特に左右角隅部のアウトラインを拡張するための先行レジスト塗布膜を所望のパターンで形成することができる。
【0072】
たとえば、図17に示すように、基板G上の面状塗布後端側の左右角隅部に略直角の¬形または』形のパターンで先行レジスト塗布膜110を形成してよい。この場合、面状塗布工程においては、基板G上に形成される面状レジスト塗布膜112が塗布走査終端部で内側に寄っても、図18に示すように(特に円内部分拡大図LDに示すように)、基板G上の左右角隅部で面状レジスト塗布膜112が先行レジスト塗布膜110に一部重なるようにして合わさり(一体化し)、先行レジスト塗布膜110が面状レジスト塗布膜112の拡張部分として角部の形状(直角形状)を規定するような合成レジスト塗布膜114が得られる。
【0073】
他にも、本発明において先行レジスト塗布膜110のパターンまたはレイアウトを任意に変形することができる。たとえば、図19に示すような円形のパターン、図20に示すような面状塗布走査方向に延びる短冊状または矩形のパターン、図21に示すような面状塗布走査方向と直交する方向に延びる短冊状または矩形のパターンなどが可能である。これらの場合にも、やはり面状塗布走査の終端で面状レジスト塗布膜112が先行レジスト塗布膜110に合わさり(一体化し)、先行レジスト塗布膜110が面状レジスト塗布膜112の延長部分として角部の形状を規定するような合成レジスト塗布膜114が得られる。
【0074】
また、本発明における先行塗布膜をレジスト液の代わりに溶剤たとえばシンナーを用いて上記と同様のパターンまたはレイアウトで形成することも可能である。この場合、図示省略するが、面状塗布工程において面状レジスト塗布膜が先行シンナー塗布膜に合わさると、面状レジスト塗布膜のレジスト液が先行シンナー塗布膜の上をぬれで拡散し、結果として面状レジスト塗布膜のアウトラインが先行シンナー塗布膜のアウトラインまで拡張または延長する。これにより、面状レジスト塗布膜が塗布走査終端部で内側に寄っても、左右角部の塗布膜アウトラインを所望の形状(たとえば直角形状)にすることができる。
【0075】
上記した実施形態はLCD製造の塗布現像処理システムにおけるレジスト塗布装置に係るものであったが、本発明は被処理基板上に処理液を供給する任意の処理装置やアプリケーションに適用可能である。したがって、本発明における処理液としては、レジスト液以外にも、たとえば層間絶縁材料、誘電体材料、配線材料等の塗布液も可能であり、現像液やリンス液等も可能である。本発明における被処理基板はLCD基板に限らず、他のフラットパネルディスプレイ用基板、半導体ウエハ、CD基板、ガラス基板、フォトマスク、プリント基板等も可能である。
【符号の説明】
【0076】
40 面状塗布ユニット(ACT)
51 ライン状塗布ユニット(LCT)
62 ステージ
64 インクジェット式レジストノズル(インクジェットノズル)
68 Yガイドレール
70 Xガイドレール
72 Y方向駆動部
74 キャリッジ
76 ライン状レジスト塗布膜
80 ステージ
82 長尺型レジストノズル(長尺ノズル)
84 塗布処理部
86 レジスト液供給機構
88 ノズル移動機構
100 面状レジスト塗布膜
102 温風ヒータ
110 先行レジスト塗布膜
112 面状レジスト塗布膜
114 合成レジスト塗布膜
G ガラス基板(被処理基板)
RE 塗布領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板上に設定された塗布領域についてその周縁部の一部または全部に処理液を塗布してライン状の塗布膜を形成するライン状塗布工程と、
前記基板上の前記塗布領域に処理液を塗布して面状の塗布膜を形成する面状塗布工程と
を有し、
前記面状塗布工程において前記基板上に塗布された処理液が前記ライン状の塗布膜との付着による引力によって前記塗布領域の周辺側へ広がるように、前記ライン状塗布工程において前記ライン状塗布膜のプロファイルが選定される、
塗布方法。
【請求項2】
前記ライン状塗布工程が、処理液を線状に吐出する第1のノズルを前記基板に対して相対的に移動させる工程を含む、請求項1に記載の塗布方法。
【請求項3】
前記面状塗布工程が、処理液を帯状に吐出する第2のノズルを前記基板に対して相対的に移動させる工程を含む、請求項1または請求項2に記載の塗布方法。
【請求項4】
前記第2のノズルがスリット状の吐出口を有する長尺型のノズルであり、前記面状塗布工程において前記長尺型ノズルを前記基板と平行でかつノズル長手方向と直交する方向に相対移動させる、請求項3に記載の塗布方法。
【請求項5】
前記面状塗布工程の開始時に前記第2のノズルより前記基板上に着液された処理液が前記ライン状の塗布膜と一体化して前記第2のノズルと前記基板との間のギャップを塞ぐように、前記ライン状塗布膜のプロファイルが選定される、請求項4に記載の塗布方法。
【請求項6】
前記ライン状塗布膜のプロファイルは、その塗布膜の膜厚、ライン幅および基板上の位置の中の少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の塗布方法。
【請求項7】
被処理基板上に設定された塗布領域についてその周縁部の一部または全部に処理液を塗布してライン状の塗布膜を形成するライン状塗布部と、
前記基板上の前記塗布領域に処理液を塗布して面状の塗布膜を形成する面状塗布部と
を有し、
前記面状塗布部により前記基板上に塗布された処理液が前記ライン状塗布部により形成された前記ライン状の塗布膜との付着による引力によって前記塗布領域の周辺側へ広がるように、前記ライン状塗布部により前記ライン状塗布膜のプロファイルが制御される、
塗布装置。
【請求項8】
被処理基板と長尺形ノズルの吐出口とを微小なギャップを隔ててほぼ水平に対向させ、前記基板に対して前記ノズルより処理液を吐出させながら前記ノズルを相対的に水平方向で移動させる塗布走査を行って、前記基板上に前記処理液の面状塗布膜を形成する塗布方法であって、
前記基板上の前記塗布走査が終了する位置付近に、前記塗布走査に先立って前記処理液からなる先行の塗布膜を所望のパターンで形成し、
前記塗布走査によって前記基板上に形成される面状塗布膜の終端に前記先行塗布膜が合わさって、前記先行塗布膜が前記面状塗布膜の拡張部分となるようにする塗布方法。
【請求項9】
前記基板は矩形であり、前記先行塗布膜は前記基板上の塗布走査が終了する側の角隅部に形成される、請求項8に記載の塗布方法。
【請求項10】
被処理基板と長尺形ノズルの吐出口とを微小なギャップを隔ててほぼ水平に対向させ、前記基板に対して前記ノズルより処理液を吐出させながら前記ノズルを相対的に水平方向で移動させる塗布走査を行って、前記基板上に前記処理液の面状塗布膜を形成する面状塗布処理部と、
前記基板上の前記塗布走査が終了する位置付近に、前記面状塗布処理部の前記塗布走査に先立って前記処理液からなる先行の塗布膜を所望のパターンで形成する先行塗布膜形成部と
を有し、前記面状塗布処理部の塗布走査により前記基板上に形成される面状塗布膜の終端に前記先行塗布膜が合わさって、前記先行塗布膜が前記面状塗布膜の拡張部分となるようにする塗布装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−160735(P2012−160735A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−50567(P2012−50567)
【出願日】平成24年3月7日(2012.3.7)
【分割の表示】特願2006−121556(P2006−121556)の分割
【原出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】