説明

変性低分子量エチレン系重合体及びその用途

【課題】 接着性、印刷性、ポリマーブレンドでの相溶性、高温離型性、低温定着性、顔料分散性、初期滑性、及び艶出し性等に優れた変性低分子量エチレン系重合体、並びにその用途を提供する。
【解決手段】 下記の(i)〜(vi)で規定される低分子量エチレン系重合体(A)の不飽和基を変性剤で処理することによって得られる、ヘテロ原子含有基を有する変性低分子量エチレン系重合体(B)、
(i)エチレンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体、又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体であり、
(ii)1分子あたりの不飽和基含有量が0.5〜4.0個
(iii)密度が870〜980kg/m
(iv)融点が70〜130℃
(v)数平均分子量が400〜5,000
(vi)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下
並びに、それらの用途。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合体鎖にオレフィン性不飽和結合を有する重合体の不飽和基を特定の変性剤で処理することによって得られる変性低分子量エチレン系重合体に関するものであり、より詳しくは、接着性、印刷性、ポリマーブレンドでの相溶性等に優れた変性低分子量エチレン系重合体に関する。
【0002】
また、本発明は、それらの用途である塗料改質剤、艶出し剤、樹脂成型用離型剤、ゴム加工助剤、紙質向上剤、インキ用耐摩耗性向上剤、繊維加工助剤、ホットメルト添加剤、電気絶縁剤、天然ワックス用配合剤、ポリオレフィンフィルム用防曇剤、トナー用離型剤、顔料分散剤、塩化ビニル樹脂用滑剤に関する。
【背景技術】
【0003】
エチレン系重合体あるいはα−オレフィン重合体は、コスト的、機械的特性に優れ、様々な樹脂製品の原料として最も幅広く使用されている。しかしながら、分子構造が非極性であり、他物質との親和性に乏しいため、印刷性、塗装性、耐熱性、耐衝撃性および他の極性を有するポリマーとの相溶性などの高機能性を付与するという観点ではその高い化学的安定性が妨げとなっている。このような欠点を改良するため、エチレン系重合体あるいはα−オレフィン重合体に各種の官能基を導入することが試みられている。
【0004】
エチレン系重合体あるいはα−オレフィン重合体に機能性を持たせる方法として、例えばラジカル重合法によりオレフィンと酢酸ビニル、メタクリル酸エステルなどの極性モノマーを共重合する方法や、過酸化物の存在下にポリオレフィンに無水マレイン酸などの極性モノマーをグラフトさせる方法が知られている。しかしながら、これらの方法は得られるポリマー中におけるポリオレフィン部分の構造を精密に制御することが困難であり、ポリオレフィン本来の優れた物性を保持するには不充分であった。
【0005】
構造が精密に制御されたポリオレフィン部分を有し、かつポリオレフィンのみでは発現し得ない機能を有するポリマーを製造する手段の一つとして、末端に重合性のビニル結合を有するポリオレフィンマクロモノマーを用い、それを単独重合あるいは官能基を持った様々なビニルモノマーと共重合させることによりポリオレフィン側鎖を有するグラフトポリマーとする方法が考えられる。このようなグラフトポリマーを合成するためのポリオレフィンマクロモノマーを製造する方法としては、例えば特開平6−329720号公報には、リビング重合法を利用して合成したポリエチレンの末端に重合性のアクリロイル基またはメタクリロイル基を導入する方法が記載されている。また、特開平8−176354号公報、特開平8−176415号公報には、リビング重合法を利用して合成したポリプロピレン系重合体の末端に重合性のスチリル基を導入する方法が開示されている。しかし、リビング重合を用いた方法では、生産性が悪く、実用的ではない。
【0006】
また、特開2003‐73412号公報においては、(1)エチレンに由来する構造単位が81〜100モル%、α-オレフィンに由来する構造単位が0〜19mol%の範囲にあり、(2)GPCで測定した重量平均分子量(Mw)が7000以下であり、(3)分子量分布(Mw/Mn)が1.1≦Mw/Mn≦2.5であり、(4)ビニルまたはビニリデン基を重合体主鎖末端に持ち、1H-NMRで測定したこれらの基の含有量が全片末端の90%以上であることを特徴とする低分子量エチレン系重合体の各種変性剤による変性体について提案がなされている。この方法では、官能基は重合体主鎖末端に存在するだけであり、重合体鎖1分子あたりの官能基導入可能な不飽和基は多くても1分子あたり1個を越えることはなく、分子設計の際には依然として問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開平6−329720号公報
【特許文献2】特開平8−176354号公報
【特許文献3】特開平8−176415号公報
【特許文献4】特開2003‐73412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の課題は、構造が精密に制御され、生産性がよく、接着性、印刷性、ポリマーブレンドでの相溶性などの高機能を付与することができる変性低分子量エチレン系重合体、及びその用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は、
下記の(i)〜(vi)で規定される低分子量エチレン系重合体(A)の不飽和基を変性剤で処理することによって得られる、ヘテロ原子含有基を有する変性低分子量エチレン系重合体(B)、
(i)エチレンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体、又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体であり、
(ii)1分子あたりの不飽和基含有量が0.1〜4.0個
(iii)密度が870〜980kg/m
(iv)融点が70〜130℃
(v)数平均分子量が400〜5,000
(vi)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下
並びに、その用途である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の低分子量エチレン系重合体(A)は、重合体鎖に反応性を有する不飽和結合を有するため、各種変性手法によって、任意の官能基を付与することができる。このような変性低分子量エチレン系重合体(B)は、高温離型性が優れ、かつ低温定着性が優れたトナー離型剤を提供することができる。また、前記変性低分子量エチレン系重合体(B)は、顔料分散性にすぐれた顔料分散剤や初期滑性に優れたポリ塩化ビニル樹脂用滑剤を提供することができる。さらに、塗料改質剤、艶出し剤など多くの有用な用途を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明について詳細に説明する。
【0012】
(低分子量エチレン系重合体(A))
低分子量エチレン系重合体(A)の製造に用いられるオレフィンとしては、エチレンおよび/または炭素原子数3〜12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンが挙げられる。炭素原子数3〜12のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセンなどが挙げられ、好ましくは炭素原子数3〜10のα-オレフィンであり、より好ましくは炭素原子数3〜8のα-オレフィンであり、特に好ましくはプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテンである。
【0013】
ジエンとしては、ブタジエン、イソプレン、4-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ペンタジエン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン、1,4-ヘキサジエン、1,3-ヘキサジエン、1,3-オクタジエン、1,4-オクタジエン、1,5-オクタジエン、1,6-オクタジエン、1,7-オクタジエン、エチリデンノルボルネン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエン、2-メチル-1,4-ヘキサジエン、2-メチル-1,6-オクタジエン、7-メチル-1,6-オクタジエン、4-エチリデン-8-メチル-1,7-ノナジエン、5,9-ジメチル-1,4,8-デカトリエンなどが挙げられる。
【0014】
これらのなかでは、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、ブタジエン、イソプレン、2-メチル-1,4-ヘキサジエンまたは2-メチル-1,6-オクタジエンが好ましい。
【0015】
また、非共役ジエンとしては、エチリデンノルボルネン、テトラヒドロインデン、ビニルノルボルネン、5-メチレン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ビシクロ-(2,2,1)-ヘプタ-2,5-ジエン、5-プロペニル-2-ノルボルネン、5-(4-シクロペンテニル)-2-ノルボルネン、5-シクロヘキシリデン-2-ノルボルネンなどが挙げられる。
【0016】
低分子量エチレン系重合体(A)は、上記のようなオレフィンとジエンとを共重合して得られるが、低分子量エチレン系重合体(A)としては、エチレンとジエンとの共重合体またはエチレンと炭素原子数3〜12のα-オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα-オレフィンとジエンとの共重合体であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)は、後述するようなメタロセン触媒を用いオレフィンとジエンとを共重合して得られたものが好ましい。
【0018】
低分子量エチレン系重合体(A)は、ジエンから導かれる構成単位を通常0.01〜5.0モル%、好ましくは0.01〜4.0モル%、より好ましくは0.1〜3.0モル%の割合で含有することが望ましい。
【0019】
低分子量エチレン系重合体(A)がエチレン系共重合体である場合には、エチレンから導かれる構成単位は通常80〜99モル%、好ましくは86〜99モル%、より好ましくは90〜99モル%の範囲で含有されることが望ましい。低分子量エチレン系重合体(A)がエチレン共重合体であり、エチレンから導かれる構成単位が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
【0020】
低分子量エチレン系重合体(A)は、不飽和基含有量が通常、平均で0.1〜4.0個/分子、好ましくは0.1〜3.0個、より好ましくは0.5〜3.0個、最も好ましくは1.0〜2.0個/分子の範囲である。
【0021】
低分子量エチレン系重合体(A)中の不飽和基含有量が上記範囲内にあると、低分子量エチレン系重合体(A)に多くのエポキシ基を含有させることができるため、少ない低分子量エチレン系重合体(A)で効果を得ることができる。特に、低分子量エチレン系重合体(A)中の不飽和基含有量が平均で1.0個/分子以上であれば、ほぼ全てのエチレン系重合体(A)にエポキシ基を含有させることができるため、少ない低分子量エチレン系重合体(A)で大きな効果を得ることができる。
【0022】
なお、低分子量エチレン系重合体(A)中の不飽和基含有量は、以下のようにして測定される。
【0023】
13C-NMRにより、不飽和部分の炭素のピーク面積と全炭素のピーク面積を比較することで得られる。それにより、1,000炭素あたりの不飽和基数Mを得ることができる。1分子あたりの不飽和基含有量は、数平均分子量(Mn)×M/14,000により得ることができる。1,000炭素あたりの不飽和基数Mは通常、1.4〜140個、好ましくは2.8〜35個、より好ましくは4〜30個である。
【0024】
低分子量エチレン系重合体(A)は、密度勾配管法で測定した密度が870〜980kg/m、好ましくは870〜950kg/m3、より好ましくは870〜920kg/m3、さらにより好ましくは880〜920kg/cm3の範囲にある。
【0025】
低分子量エチレン系重合体(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が通常0.04〜0.47dl・g-1、好ましくは0.05〜0.47dl・g-1、より好ましくは0.07〜0.20dl・g-1、さらにより好ましくは0.10〜0.18dl・g-1の範囲にある。
【0026】
低分子量エチレン系重合体(A)の135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が上記範囲内にあると、トナー用離型剤として良好な離型性を持つ変性低分子量エチレン系重合体(C)を得ることができる。
【0027】
低分子量エチレン系重合体(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量(Mn)が400〜4,500、好ましくは800〜4,500、より好ましくは1,000〜3000、さらにより好ましくは1,500〜2,500の範囲にある。
【0028】
低分子量エチレン系重合体(A)は、GPCで測定した分子量分布(Mw/Mn)が通常4.5以下、好ましくはMw/Mnが4.0以下、より好ましくは3.5以下である。なお、分子量分布の下限は1.0である。
【0029】
なお、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値であり、GPCによる測定は、温度:140℃、溶媒:オルトジクロロベンゼンの条件下で行われる。
【0030】
低分子量エチレン系重合体(A)は、通常、針入度が15dmm以下、好ましくは10dmm以下、より好ましくは3dmm以下、さらにより好ましくは1dmm以下である。針入度はJIS K2207に準拠して測定することができる。
【0031】
上述したような低分子量エチレン系重合体(A)は、例えば周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物と、有機アルミニウムオキシ化合物および/またはイオン化イオン性化合物とからなる以下のようなメタロセン系触媒を用いて製造することができる。
【0032】
(メタロセン化合物)
メタロセン系触媒を形成するメタロセン化合物は、周期表第4族から選ばれる遷移金属のメタロセン化合物であり、具体的な例としては下記一般式(1)で表される化合物が挙げられる。
【0033】
1Lx …(1)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、xは遷移金属M1の原子価、Lは配位子である。M1で示される遷移金属の例としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウムなどがある。Lは遷移金属M1に配位する配位子であって、そのうち少なくとも1個の配位子Lはシクロペンタジエニル骨格を有する配位子であって、このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子は置換基を有していてもよい。シクロペンタジエニル骨格を有する配位子Lとしては、例えばシクロペンタジエニル基、メチルシクロペンタジエニル基、エチルシクロペンタジエニル基、n-またはi-プロピルシクロペンタジエニル基、n-、i-、sec-またはt-ブチルシクロペンタジエニル基、ジメチルシクロペンタジエニル基、メチルプロピルシクロペンタジエニル基、メチルブチルシクロペンタジエニル基、メチルベンジルシクロペンタジエニル基等のアルキルまたはシクロアルキル置換シクロペンタジエニル基;さらにインデニル基、4,5,6,7-テトラヒドロインデニル基、フルオレニル基などが挙げられる。このシクロペンタジエニル骨格を有する配位子の水素は、ハロゲン原子またはトリアルキルシリル基などで置換されていてもよい。
【0034】
上記のメタロセン化合物が、配位子Lとしてシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を2個以上有する場合には、そのうち2個のシクロペンタジエニル骨格を有する配位子同士が、エチレン、プロピレン等のアルキレン基;イソプロピリデン、ジフェニルメチレン等の置換アルキレン基;シリレン基またはジメチルシリレン基、ジフェニルシリレン基、メチルフェニルシリレン基等の置換シリレン基などを介して結合されていてもよい。
【0035】
シクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子(シクロペンタジエニル骨格を有しない配位子)Lとしては、炭素原子数1〜12の炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルフォン酸含有基(-SO31)、ハロゲン原子または水素原子(ここで、R1はアルキル基、ハロゲン原子で置換されたアルキル基、アリール基、ハロゲン原子で置換されたアリール基またはアルキル基で置換されたアリール基である。)などが挙げられる。
【0036】
(メタロセン化合物の例-1)
上記一般式(1)で表されるメタロセン化合物が、例えば遷移金属の原子価が4である場合、より具体的には下記一般式(2)で表される。
2k3l4m5n1 …(2)
ここで、M1は周期表第4族から選ばれる遷移金属、R2はシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)、R3、R4及びR5はそれぞれ独立にシクロペンタジエニル骨格を有するかまたは有しない基(配位子)である。kは1以上の整数であり、k+l+m+n=4である。
【0037】
1がジルコニウムであり、かつシクロペンタジエニル骨格を有する配位子を少なくとも2個含むメタロセン化合物の例を次に挙げる。ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムモノクロリドモノハイドライド、ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ビス(1-メチル-3-ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムビス(トリフルオロメタンスルホナト)、ビス(1,3-ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0038】
上記の化合物の中で、1,3-位置換シクロペンタジエニル基を1,2-位置換シクロペンタジエニル基に置き換えた化合物も用いることができる。
【0039】
またメタロセン化合物の別の例としては、上記一般式(2)において、R2、R3、R4及びR5の少なくとも2個、例えばR2及びR3がシクロペンタジエニル骨格を有する基(配位子)であり、この少なくとも2個の基がアルキレン基、置換アルキレン基、シリレン基または置換シリレン基などを介して結合されているブリッジタイプのメタロセン化合物を使用することもできる。このときR4及びR5は、それぞれ独立に、前述したシクロペンタジエニル骨格を有する配位子以外の配位子Lと同様である。
【0040】
このようなブリッジタイプのメタロセン化合物としては、エチレンビス(インデニル)ジメチルジルコニウム、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル-フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
【0041】
(メタロセン化合物の例-2)
またメタロセン化合物の例としては、下記一般式(3)で表される特開平4-268307号公報記載のメタロセン化合物が挙げられる。
【0042】
【化1】


【0043】
ここで、M1は周期表第4族遷移金属であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムが挙げられる。
【0044】
11及びR12は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のアリーロキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数7〜40のアルキルアリール基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;またはハロゲン原子であり、R11及びR12は、塩素原子であることが好ましい。
【0045】
13及びR14は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;ハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;-N(R20)2、-SR20、-OSi(R20)3、-Si(R20)3または-P(R20)2基である。
【0046】
ここで、R20はハロゲン原子、好ましくは塩素原子;炭素原子数1〜10、好ましくは1〜3のアルキル基;または炭素原子数6〜10、好ましくは6〜8のアリール基である。R13及びR14は、特に水素原子であることが好ましい。
【0047】
15及びR16は、水素原子が含まれないことを除きR13及びR14と同じであって、互いに同じでも異なっていてもよく、好ましくは同じである。R15及びR16は、好ましくはハロゲン化されていてもよい炭素原子数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、トリフルオロメチル等が挙げられ、特にメチルが好ましい。
【0048】
上記一般式(3)において、R17は次の群から選ばれる。
【0049】
【化2】


【0050】
=BR21、=AlR21、-Ge-、-Sn-、-O-、-S-、=SO、=SO2、=NR21、=CO、=PR21、=P(O)R21など。M2はケイ素、ゲルマニウムまたは錫、好ましくはケイ素またはゲルマニウムである。ここで、R21、R22及びR23は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子;ハロゲン原子;炭素原子数1〜10のアルキル基;炭素原子数1〜10のフルオロアルキル基;炭素原子数6〜10のアリール基;炭素原子数6〜10のフルオロアリール基;炭素原子数1〜10のアルコキシ基;炭素原子数2〜10のアルケニル基;炭素原子数7〜40のアリールアルキル基;炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基;または炭素原子数7〜40のアルキルアリール基である。「R21とR22」または「R21とR23」とは、それぞれそれらが結合する原子と一緒になって環を形成してもよい。また、R17は、=CR2122、=SiR2122、=GeR2122、-O-、-S-、=SO、=PR21または=P(O)R21であることが好ましい。R18及びR19は互いに同一でも異なっていてもよく、R21と同じものが挙げられる。m及びnは互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ0、1または2、好ましくは0または1であり、m+nは0、1または2、好ましくは0または1である。
【0051】
上記一般式(3)で表されるメタロセン化合物の例としては、次の化合物が挙げられる。rac-エチレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライド、rac-ジメチルシリレン(2-メチル-1-インデニル)2-ジルコニウム-ジクロライドなど。これらのメタロセン化合物は、例えば、特開平4-268307号公報に記載の方法で製造することができる。
【0052】
(メタロセン化合物の例-3)
また、メタロセン化合物としては、下記一般式(4)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0053】
【化3】


【0054】
式(4)中、M3は、周期表第4族の遷移金属原子を示し、具体的にはチタニウム、ジルコニウム、ハフニウムなどである。R24及びR25は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基を示す。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチルまたはプロピルの炭素原子〜3のアルキル基であることが好ましい。R25は水素原子または炭化水素基が好ましく、特に水素原子、またはメチル、エチルもしくはプロピルの炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。R26、R27、R28及びR29は、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基を示す。これらの中では水素原子、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基であることが好ましい。R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組は、それらが結合している炭素原子と一緒になって、単環の芳香族環を形成していてもよい。また芳香族環を形成する基以外に、炭化水素基またはハロゲン化炭化水素基が2個以上ある場合には、これらが互いに結合して環状になっていてもよい。なおR29が芳香族基以外の置換基である場合、水素原子であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素原子含有基またはイオウ原子含有基を示すYは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR30-、-P(R30)-、-P(O)(R30)-、-BR30-または-AlR30-(ただし、R30は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。
【0055】
式(4)において、R26とR27、R27とR28、R28とR29のうち少なくとも1組が互いに結合して形成する単環の芳香族環を含み、M3に配位する配位子としては、次式で表されるものなどが挙げられる。
【0056】
【化4】


【0057】
(式中、Yは前式に示したものと同じである。)
【0058】
(メタロセン化合物の例-4)
メタロセン化合物としては、また下記一般式(5)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0059】
【化5】


【0060】
式(5)中、M3、R24、R25、R26、R27、R28及びR29は、上記一般式(4)と同じである。R26、R27、R28及びR29のうち、R26を含む2個の基がアルキル基であることが好ましく、R26とR28、またはR28とR29がアルキル基であることが好ましい。このアルキル基は、2級または3級アルキル基であることが好ましい。またこのアルキル基は、ハロゲン原子、ケイ素含有基で置換されていてもよく、ハロゲン原子、ケイ素含有基としては、R24、R25で例示した置換基が挙げられる。R26、R27、R28及びR29のうち、アルキル基以外の基は、水素原子であることが好ましい。またR26、R27、R28及びR29は、これらから選ばれる2種の基が互いに結合して芳香族環以外の単環あるいは多環を形成していてもよい。ハロゲン原子としては、上記R24及びR25と同様のものが挙げられる。X1、X2及びYとしては、上記と同様のものが挙げられる。
【0061】
上記一般式(5)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac-ジメチルシリレン-ビス(4,7-ジメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,7-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2,4,6-トリメチル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。
【0062】
これらの化合物において、ジルコニウム金属を、チタニウム金属、ハフニウム金属に置換えた遷移金属化合物を用いることもできる。遷移金属化合物は、通常ラセミ体として用いられるが、R型またはS型を用いることもできる。
【0063】
(メタロセン化合物の例-5)
メタロセン化合物として、下記一般式(6)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0064】
【化6】


【0065】
式(6)中、M3、R24、X1、X2及びYは、上記一般式(4)と同じである。R24は炭化水素基であることが好ましく、特にメチル、エチル、プロピルまたはブチルの炭素原子数1〜4のアルキル基であることが好ましい。R25は、炭素原子数6〜16のアリール基を示す。R25はフェニル、ナフチルであることが好ましい。アリール基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。
【0066】
上記一般式(6)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。rac-ジメチルシリレン-ビス(4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-フェニル-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(α-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(β-ナフチル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリド、rac-ジメチルシリレン-ビス(2-メチル-4-(1-アントリル)-1-インデニル)ジルコニウムジクロリドなど。またこれら化合物において、ジルコニウム金属をチタニウム金属またはハフニウム金属に置き換えた遷移金属化合物を用いることもできる。
【0067】
(メタロセン化合物の例-6)
またメタロセン化合物として、下記一般式(7)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
LaM432 …(7)
【0068】
ここで、M4は周期表第4族またはランタニド系列の金属である。Laは非局在化π結合基の誘導体であり、金属M4活性サイトに拘束幾何形状を付与している基である。X3は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数20以下の炭化水素基、20以下のケイ素を含有するシリル基または20以下のゲルマニウムを含有するゲルミル基である。
【0069】
この化合物の中では、次式(8)で示される化合物が好ましい。
【0070】
【化7】


【0071】
式(8)中、M4は、チタン、ジルコニウムまたはハフニウムである。X3は上記一般式(7)で説明したものと同様である。CpはM4にπ結合しており、かつ置換基Zを有する置換シクロペンタジエニル基である。Zは酸素、イオウ、ホウ素または周期表第4族の元素(例えばケイ素、ゲルマニウムまたは錫)である。Yは窒素、リン、酸素またはイオウを含む配位子であり、ZとYとで縮合環を形成していてもよい。このような式(8)で表されるメタロセン化合物の具体的な例を次に示す。(ジメチル(t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シラン)チタンジクロリド、((t-ブチルアミド)(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)-1,2-エタンジイル)チタンジクロリドなど。またこのメタロセン化合物において、チタンをジルコニウムまたはハフニウムに置き換えた化合物を挙げることもできる。
【0072】
(メタロセン化合物の例-7)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(9)で表されるメタロセン化合物を使用することもできる。
【0073】
【化8】


【0074】
式(9)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的には、チタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R31は互いに同一でも異なっていてもよく、そのうち少なくとも1個が炭素原子数11〜20のアリール基、炭素原子数12〜40のアリールアルキル基、炭素原子数13〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数12〜40のアルキルアリール基またはケイ素含有基であるか、またはR31で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成している。この場合、R31により形成される環は、R31が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20である。アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基及び芳香族環、脂肪族環を形成しているR31以外のR31は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。R32は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。また、R32で示される基のうち隣接する少なくとも2個の基が、それらの結合する炭素原子とともに、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成していてもよい。この場合、R32により形成される環は、R32が結合する炭素原子を含んで全体として炭素原子数が4〜20であり、芳香族環、脂肪族環を形成しているR32以外のR32は、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基またはケイ素含有基である。なお、R32で示される2個の基が、単数または複数の芳香族環または脂肪族環を形成して構成される基にはフルオレニル基が次式のような構造になる態様も含まれる。
【0075】
【化9】


【0076】
32は、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基であることが好ましい。このような置換基としてR32を有するフルオレニル基としては、2,7-ジアルキル-フルオレニル基が好適な例として挙げられ、この場合の2,7-ジアルキルのアルキル基としては、炭素原子数1〜5のアルキル基が挙げられる。また、R31とR32は、互いに同一でも異なっていてもよい。R33及びR34は互いに同一でも異なっていてもよく、上記と同様の水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R33及びR34は、少なくとも一方が炭素原子数1〜3のアルキル基であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。X1とX2とから形成された共役ジエン残基としては、1,3-ブタジエン、2,4-ヘキサジエン、1-フェニル-1,3-ペンタジエン、1,4-ジフェニルブタジエンの残基が好ましく、これらの残基はさらに炭素原子数1〜10の炭化水素基で置換されていてもよい。X1及びX2としては、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基またはイオウ含有基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR35-、-P(R35)-、-P(O)(R35)-、-BR35-または-AlR35-(ただし、R35は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらの2価の基のうちでも、-Y-の最短連結部が1個または2個の原子で構成されているものが好ましい。また、R35は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基である。Yは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0077】
(メタロセン化合物の例-8)
またメタロセン化合物としては、下記一般式(10)で表されるメタロセン化合物を用いることもできる。
【0078】
【化10】


【0079】
式(10)中、M3は周期表第4族の遷移金属原子であり、具体的にはチタニウム、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはジルコニウムである。R36は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜10のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基及びアルケニル基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。R36はこれらのうち、アルキル基、アリール基または水素原子であることが好ましく、特にメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピルの炭素原子数1〜3の炭化水素基、フェニル、α-ナフチル、β-ナフチルなどのアリール基または水素原子であることが好ましい。R37は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数6〜20のアリール基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、炭素原子数7〜40のアリールアルキル基、炭素原子数8〜40のアリールアルケニル基、炭素原子数7〜40のアルキルアリール基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。なお、上記アルキル基、アリール基、アルケニル基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アルキルアリール基は、ハロゲンが置換していてもよい。R37はこれらのうち、水素原子またはアルキル基であることが好ましく、特に水素原子またはメチル、エチル、n-プロピル、i-プロピル、n-ブチル、tert-ブチルの炭素原子数1〜4の炭化水素基であることが好ましい。また、上記R36とR37は、互いに同一でも異なっていてもよい。R38及びR39は、いずれか一方が炭素原子数1〜5のアルキル基であり、他方は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数2〜10のアルケニル基、ケイ素含有基、酸素含有基、イオウ含有基、窒素含有基またはリン含有基である。これらのうち、R38及びR39は、いずれか一方がメチル、エチル、プロピルなどの炭素原子数1〜3のアルキル基であり、他方は水素原子であることが好ましい。X1及びX2は互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基、酸素含有基、イオウ含有基もしくは窒素含有基、またはX1とX2とから形成された共役ジエン残基である。これらのうち、ハロゲン原子または炭素原子数1〜20の炭化水素基であることが好ましい。Yは、炭素原子数1〜20の2価の炭化水素基、炭素原子数1〜20の2価のハロゲン化炭化水素基、2価のケイ素含有基、2価のゲルマニウム含有基、2価のスズ含有基、-O-、-CO-、-S-、-SO-、-SO2-、-NR40-、-P(R40)-、-P(O)(R40)-、-BR40-または-AlR40-(ただし、R40は水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数1〜20の炭化水素基、炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基)を示す。これらのうちYは、炭素原子数1〜5の2価の炭化水素基、2価のケイ素含有基または2価のゲルマニウム含有基であることが好ましく、2価のケイ素含有基であることがより好ましく、アルキルシリレン、アルキルアリールシリレンまたはアリールシリレンであることが特に好ましい。
【0080】
以上に説明したメタロセン化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。またメタロセン化合物は、炭化水素またはハロゲン化炭化水素などに希釈して用いてもよい。
【0081】
(有機アルミニウムオキシ化合物)
有機アルミニウムオキシ化合物は、公知のアルミノオキサンであってもよく、またベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。このような公知のアルミノオキサンは、具体的には次式で表される。
【0082】
【化11】


【0083】
ここで、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などの炭化水素基であり、好ましくはメチル基、エチル基、特に好ましくはメチル基であり、mは2以上、好ましくは5〜40の整数である。
【0084】
アルミノオキサンは式(OAl(R’))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位及び式(OAl(R''))で表されるアルキルオキシアルミニウム単位(ここで、R'及びR''はRと同様の炭化水素基を例示することができ、R'及びR''は相異なる基を表す。)からなる混合アルキルオキシアルミニウム単位から形成されていてもよい。なお有機アルミニウムオキシ化合物は、少量のアルミニウム以外の金属の有機化合物成分を含有していてもよい。
【0085】
(イオン化イオン性化合物)
イオン化イオン性化合物(イオン性イオン化化合物、イオン性化合物と称される場合もある)としては、ルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物及びカルボラン化合物を例示することができる。ルイス酸としては、BR3(Rは、フッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である。)で表される化合物が挙げられる。ルイス酸の具体的なものとしては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4-フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5-ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4-フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p-トリル)ボロン、トリス(o-トリル)ボロン、トリス(3,5-ジメチルフェニル)ボロンなどが挙げられる。
【0086】
上記イオン性化合物としては、トリアルキル置換アンモニウム塩、N,N-ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩などが挙げられる。イオン性化合物としてのトリアルキル置換アンモニウム塩としては、トリエチルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリプロピルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素、トリ(n-ブチル)アンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。イオン性化合物としてのジアルキルアンモニウム塩としては、ジ(1-プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ素、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラ(フェニル)ホウ素などが挙げられる。
【0087】
上記イオン性化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N-ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどを挙げることもできる。
【0088】
上記ボラン化合物としては、デカボラン(9);ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0089】
上記カルボラン化合物としては、4-カルバノナボラン(9)、1,3-ジカルバノナボラン(8)、ビス〔トリ(n-ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド-7-カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩などが挙げられる。
【0090】
このようなイオン化イオン性化合物は、単独であるいは2種以上組み合せて用いられる。
【0091】
またメタロセン系触媒を形成するに際しては、有機アルミニウムオキシ化合物及び/またはイオン化イオン性化合物とともに、以下のような有機アルミニウム化合物を用いてもよい。
【0092】
(有機アルミニウム化合物)
必要に応じて用いられる有機アルミニウム化合物としては、分子内に少なくとも1個のAl-炭素結合を有する化合物が使用できる、このような化合物としては、例えば下記一般式(11)で表される有機アルミニウム化合物、
(R6)m Al(OR7)np4q …(11)
(式中、R6及びR7は互いに同一でも異なっていてもよく、炭素原子を通常1〜15個、好ましくは1〜4個含む炭化水素基である。X4はハロゲン原子である。mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3を満たす数であって、しかもm+n+p+q=3である。)及び下記一般式(12)で表される第1属金属とアルミニウムとの錯アルキル化物などが挙げられる。
【0093】
(M5)Al(R6) …(12)
(式中、M5はLi、NaまたはKであり、R6は上記一般式(11)のR6と同じである。)
【0094】
(重合)
本発明で用いられる低分子量エチレン系重合体(A)は、上記メタロセン系触媒の存在下に、エチレンとジエンを通常液相で共重合するか、またはエチレンとジエンおよびα-オレフィンを共重合させることにより得られる。この際、一般に炭化水素溶媒が用いられるが、α-オレフィンを溶媒として用いてもよい。なお、ここで用いる各モノマーは、前述した通りである。
【0095】
重合方法は、低分子量エチレン系重合体(A)がヘキサン等の溶媒中に粒子として存在する状態で重合する懸濁重合、溶媒を用いないで重合する気相重合、そして140℃以上の重合温度で、低分子量エチレン系重合体(A)が溶剤と共存または単独で溶融した状態で重合する溶液重合が可能であり、その中でも溶液重合が経済性と品質の両面で好ましい。
【0096】
重合反応は、バッチ法あるいは連続法いずれの方法で行ってもよい。重合をバッチ法で実施するに際しては、前記の触媒成分は次に説明する濃度下で用いられる。
【0097】
重合系内のメタロセン化合物の濃度は、通常0.00005〜0.1ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは0.0001〜0.05ミリモル/リットルである。
【0098】
有機アルミニウムオキシ化合物は、重合系内のメタロセン化合物中の遷移金属に対するアルミニウム原子のモル比(Al/遷移金属)で、1〜10,000、好ましくは10〜5,000の量で供給される。
【0099】
イオン化イオン性化合物は、重合系内のメタロセン化合物に対するイオン化イオン性化合物のモル比(イオン化イオン性化合物/メタロセン化合物)で表して、0.5〜20、好ましくは1〜10の量で供給される。
【0100】
また有機アルミニウム化合物が用いられる場合には、通常約0〜5ミリモル/リットル(重合容積)、好ましくは約0〜2ミリモル/リットルとなるような量で用いられる。
【0101】
重合反応は、通常温度が-20〜+200℃、好ましくは50〜180℃、さらに好ましくは70〜180℃で、圧力が0を超えて7.8MPa(80kgf/cm2、ゲージ圧)以下、好ましくは0を超えて4.9MPa(50kgf/cm2、ゲージ圧)以下の条件下に行われる。
【0102】
重合に際して、エチレンおよび必要に応じて用いられるα-オレフィンは、前記した特定組成の低分子量エチレン系重合体(A)が得られるような量割合で重合系に供給される。また重合に際しては、水素などの分子量調節剤を添加することもできる。
【0103】
このようにして重合させると、生成した重合体は通常これを含む重合液として得られるので、常法により処理すると低分子量エチレン系重合体(A)が得られる。
【0104】
重合反応は、特に(メタロセン化合物の例-6)で示したメタロセン化合物を含む触媒の使用が好ましい。
【0105】
(変性低分子量エチレン系重合体(B))
本発明に係る低分子量エチレン系重合体は、重合体中に含まれる不飽和基を、変性剤、すなわち、酸化剤、スルホン化剤、無水マレイン酸およびその誘導体、ヒドロホウ素化剤、有機アルミニウム化剤、ハロゲン化剤から選ばれる少なくとも1種の化合物で処理することによって、ヘテロ原子含有基、すなわち、酸素含有基、イオウ含有基、金属含有基(ケイ素含有基、ホウ素含有基)、ハロゲン含有基に変性することが可能である。本発明で変性剤として用いるエポキシ化剤としては、蟻酸−過酸化水素(H22)、m−クロロ過安息香酸等がある。スルホン化剤としては、硫酸−無水酢酸がある。ヒドロホウ素化剤としては、ジボラン、トリメチルボラン、9−ボランビシクロ[3.3.1]ノナン等がある。有機アルミニウム水素化物としては、ジイソブチルアルミニウムハイドライドがあげられる。シリル化剤としてはトリエトキシシリルハイドライド/H2PtCl2、トリメトキシシシリルハイドライド/H2PtCl2がある。ハロゲン化剤としては、臭化水素、塩化水素、ヨウ化水素等があげられる。
【0106】
これらの変性剤による具体的変性条件(温度、時間、触媒種、触媒量等の詳細条件)については、Die Makromolecular Chemie Makromolecular Symposia 48/49, 317-332, 1991に記載された条件に準拠すること可能である。例えば、不飽和基を無水マレイン酸で変性した酸素含有基をもつオリゴマー、およびアミド基およびアミン基を含有したオリゴマーなどは、チクソトロピー付与などのための塗料添加剤および顔料分散剤に適する。また、ケイ素含有基やスズ含有基などをもつオリゴマーは、ポリ塩化ビニル滑剤への用途およびエンジニアリングプラスチックなどの滑剤、紙処理剤などに適する。
【0107】
本発明に係る塗料改質剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この塗料改質剤は、艶消し効果に優れ、塗膜の耐摩耗性を向上させる。具体的には、木工塗料に高級感を付与し、耐久性を向上させる。
【0108】
本発明に係る艶出し剤は、上記のように末端が変性されていてもよい低分子量エチレン系重合体を含むものである。この艶出し剤は、光沢に優れ、塗膜物性を向上させる。具体的にはカーワックス、フロアーポリッシュの性能を向上させる。
【0109】
本発明に係る樹脂成型用離型剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この離型剤は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂への離型性を付与する。このため、樹脂の成型サイクル向上を図ることが可能である。
【0110】
本発明に係るゴム加工助剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この助剤は、離型性、流動性に優れ、フィラー及び顔料の分散性を向上させる。具体的には、成型サイクル、押出し特性を向上させる。
【0111】
本発明に係る紙質向上剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この紙質向上剤は、防湿性、光沢、表面硬度、耐ブロッキング性、耐摩耗性を向上させる。具体的には高級感を付与し、耐久性を向上させる。
【0112】
本発明に係るインキ用耐摩耗性向上剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この耐摩耗性向上剤は、インキ表面に耐摩耗性、耐熱性を付与する。具体的には、インキの鮮度を向上させる。
【0113】
本発明に係る繊維加工助剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この助剤は、繊維の樹脂加工時に柔軟性、滑性を付与する。具体的には、高速縫製性、引裂強度を向上させる。
【0114】
本発明に係るホットメルト添加剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この添加剤は、ホットメルト接着剤への耐熱性、流動性を付与する。具体的には耐熱要求分野(自動車、建材)での品質を向上させる。
【0115】
本発明に係る電気絶縁剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この電気絶縁剤は、電気的性質に優れ、軟化点を向上させる。具体的には、フィルムコンデンサーの電気絶縁特性を向上させる。
【0116】
本発明に係る天然ワックスの配合剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この配合剤は、表面硬度、軟化点を向上させる。具体的には、クレヨン、ローソクの性能を向上させる。
【0117】
本発明に係るポリオレフィンフィルムの防曇剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この防曇剤は、樹脂との相溶性に優れ、樹脂表面へのブリードアウトを抑制する。具体的にはフィルムの耐久性を向上させる。
【0118】
本発明に係るトナー用離型剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。このトナー用離型剤は、定着ロールへの耐オフセット性を付与する。具体的には、画像鮮明性を向上させる。
【0119】
本発明に係る顔料分散剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この顔料分散剤は、各種顔料との濡れに優れ、持続性を向上させる。具体的には、高濃度のマスターバッチを可能にさせる。 本発明に係る塩化ビニル樹脂用滑剤は、上記のように低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むものである。この滑剤は、滑剤のバランスに優れ、持続性がある。具体的には、生産性を向上させ、消費電力の節減に繋がる。
【0120】
さらにこのようにして合成した低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)は、マクロモノマーとして、単独に重合、またはエチレンおよび炭素数3〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくても1種のオレフィンと共重合が可能であり、またカップリング反応に用いることもができる。この際に用いられる炭素数3〜10のα−オレフィンとしては、前記の低分子量エチレン系重合体(A)の製造時に使用されるα−オレフィンを例示することができる。低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)をマクロモノマーとして用いて得られる重合体は新しい骨格を持つ新規ポリマーであり、これ自体で、あるいはこれを含む樹脂組成物として様々な用途で利用される。例えば、エチレンと共重合させることで、分岐鎖数と分岐部分の分子量を自在に制御した長鎖分岐型のポリエチレンを製造できる。さらに、エチレン/α−オレフィンの共重合において非晶性重合体を製造する際に、ポリエチレンのマクロモノマーを共重合することで、ポリマー分子中に非晶性と結晶性部分を共存させることが可能となり、高性能の共重合体が製造できる。また、この共重合体はポリプロピレン樹脂用改質剤として用いることもでき、ポリプロピレン樹脂に対して、たとえば1〜30重量部の割合で配合することができる。
【0121】
本発明のトナー用離型剤は、結着樹脂および着色剤、ならびに必要に応じて帯電制御剤などとともに静電荷像現像用のトナーの成分として用いられる。この離型剤の数平均分子量は、300ないし2000の範囲、好ましくは400ないし1000の範囲である。
【0122】
上記の結着樹脂は、静電荷像の現像材に一般的に配合される熱可塑性樹脂からなるものであれば、いずれでもよく、特に制限されない。例えば、スチレン樹脂、スチレン−アクリルエステル酸共重合体、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、ケトン樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、クマロン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、テルペン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ロジン樹脂等からなるものが挙げられる。これらの中では、適当な軟化点(90℃〜120℃)で定着性が良いスチレン−アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル芳香族樹脂、およびエポキシ樹脂が特に好ましい。
【0123】
上記着色剤は、静電荷像の現像材に一般的に配合されるものであればいずれでもよく、特に制限されない。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、アニリンブルー、アルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、キノリンイエロー、ランプブラック、ローズベンガル、ジアゾイエロー、ローダミンBレーキ、カーミン6B、キナクリドン誘導体等の顔料または染料が挙げられ、これらは1種単独でも2種以上を組合せても用いられる。
【0124】
本発明のトナー用離型剤の配合割合は、通常、結着樹脂/着色剤/帯電制御剤/本発明の離型剤の比が、重量比で100/1〜10/0〜5/0.5〜40程度であり、好ましくは100/1〜6/0.5〜2/10〜20である。
【0125】
本発明の顔料分散剤は、顔料と混合し、次に被着色樹脂と混合した後、押出機により混練および造粒し、ドライカラー、カラーコンパウンドまたはマスターバッチとして使用される。上記顔料分散剤の配合割合は、顔料100重量部に対して通常25ないし200重量部、好ましくは50ないし150重量部の範囲である。数平均分子量は、1000ないし5000の範囲であり、好ましくは1500ないし3000の範囲である。使用し得る被着色樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン-1、ポリ4-メチルペンテン-1、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ABSなどのスチレン系樹脂、ビスフェノール−Aとホスゲンから得られるポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリ塩化ビニルなどの熱可塑性樹脂およびフェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を挙げることができる。
【0126】
特に、本発明の顔料分散剤は、熱可塑性樹脂に対して好適に用いることができる。使用し得る顔料は、従来から合成樹脂の着色に知られている全ての顔料に使用することができる。顔料として具体的に例示すると、アルミニウム、銀、金など金属類;炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ZnO、TiO2などの酸化物;Al2O3・nH2O、Fe2O3・nH2Oなどの水酸化物;CaSO4、BaSO4などの硫酸塩;Bi(OH)2NO3などの硝酸塩;PbCl2などの塩化物;CaCrO4、BaCrO4などのクロム酸塩;CoCrO4などの亜クロム酸塩、マンガン酸塩および過マンガン酸塩;Cu(BO)2などの硼酸塩;Na2U2O7・6H2Oなどのウラン酸塩;K3Co(NO2)6・3H2Oなどの亜硝酸塩;SiO2などの珪酸塩;CuAsO3・Cu(OH)2などのひ酸塩および亜ひ酸塩;Cu(C2H3O2)2・Cu(OH)2などの酢酸塩;(NH4)2MnO2(P2O7)2などの燐酸塩;アルミ酸塩、モリブデン酸塩、亜鉛酸塩、アンチモン酸塩、タングステン酸塩セレン化物、チタン酸塩、シアン化鉄塩、フタル酸塩、CaS、ZnS、CdSなどの無機顔料、コチニール・レーキ、マダー・レーキなどの天然有機顔料、ナフトール・グリーンY、ナフトール・グリーンBなどのニトロソ顔料;ナフトールエローS、ピグメント・クロリン2Gなどのニトロ顔料;パーマネント・レッド4R;ハンザエロー、ブリリアント・カーミン68、スカーレット2Rなどのアゾ顔料;マラカイン・グリーン、ローダミンBなどの塩基性染料レーキ、アシツド、グリーンレーキ、エオシン・レーキなどの酸性染料レーキ、アリザリン・レーキ、プルプリン・レーキ、などの媒染染料レーキ、チオ・インジゴ・レッドB、インタンスレン・オレンジなどの建染染料顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン顔料などの有機顔料などが挙げられる。
【0127】
本発明の顔料分散剤は、ドライカラー法による着色、カラーコンパウンド法による着色またはマスターバッチ法による着色のいずれかの方法による着色にも利用できるが、なかでもマスターバッチ法に特に好ましく利用することができる。本発明に係るポリ塩化ビニル樹脂用滑剤は、本発明の低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)からなるものである。本発明の滑剤を用いたポリ塩化ビニル組成物において、滑剤の配合割合はポリ塩化ビニル100重量部に対し、0.05重量部ないし5重量部の範囲で、好ましくは0.1重量部ないし3重量部である。また、滑剤として用いられる重合体は、数平均分子量が400ないし4000重量部の範囲にあり、好ましくは500ないし1000重量部の範囲であり、酸価が2ないし70の範囲にあり、好ましくは、酸価10から50の範囲である。変性低分子量エチレン系重合体(B)の酸価が70以上のときは、滑剤の初期滑性が低下し、10以下では粘着性防止効果が低下する。また、滑剤の数平均分子量が400以下では金属に対する粘着性防止効果が劣り、4000以上では、初期および後期全般で滑性が低下する。また、滑剤の配合量割合においては、0.05重量部以下では滑性効果が不足し、5重量部以上では滑性が過剰になり、組成物の可塑化が困難になる。
【0128】
上記の変性低分子量エチレン系重合体(B)を滑剤として使用するために、本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)の重合体鎖不飽和基含有オリゴマーを変性するモノマーとして、不飽和カルボン酸またはその無水物が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、3−シクロヘキセンカルボン酸、4−シクロヘキセンカルボンさん、5−ノルボルネン−2・3−ジカルボン酸などを挙げることができる。
【0129】
本発明のポリ塩化ビニル樹脂添加剤を含むポリ塩化ビニル樹脂は、ポリ塩化ビニル、またはポリ塩化ビニルにポリエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、MBS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリメチルメタアクリレートなどを混合したものであっても差し使えない。また、これらの組成物には、さらに耐熱安定剤を配合してもよい。
【0130】
使用しうる耐熱安定剤としては、ポリ塩化ビニル樹脂に対し安定化効果を示すものであれば何でもよく、例えば、鉛化合物、カドミウム化合物、バリウム化合物、カルシウム化合物、亜鉛化合物、有機スズ化合物、エポキシ化合物、キレーター等およびこれらの混合物が使用される。本発明に係る滑剤を含むポリ塩化ビニル組成物は、さらに他の滑剤、充填剤、顔料、染料、可塑剤、帯電防止剤、耐候安定剤を含んでいてもよい。
【0131】
本発明に係る滑剤を含む組成物は、初期滑性が優れるため、金属に対する粘着性が軽減され、安定に成形でき、連続運転を長時間にわたって、行うことができる。本発明に係る低分子量エチレン系重合体は、ワックスなどの公知の低分子量ポリエチレンが用いられる用途に広く利用することができる。この際には、必要に応じて種々の添加剤を添加して用いることもできる。
【0132】
たとえば本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)を塗料改質剤として用いると、塗膜表面を改質することができ、たとえば艶消し効果に優れ、塗膜の耐摩耗性を向上させることができ、木工塗料に高級感を付与することができ、耐久性を向上させることができる。また本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)をカーワックス、フロアーポリッシュなどの艶出し剤として用いると、光沢に優れ、塗膜物性を向上させることができる。
【0133】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)は樹脂成形用離型剤として好適であり、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂に離型性を付与して成形サイクルを向上させることができる。本発明に係る低分子量エチレン系重合体はゴムとの相溶性に優れており、ゴムに離型性を付与し、粘度調整をするゴム加工助剤として好適であり、ゴム加工助剤として用いたときにはフィラーおよび顔料の分散性を向上させ、ゴムに離型性、流動性を付与するのでゴム成形時の成形サイクル、押出特性を向上させることができる。
【0134】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)は紙の滑性、表面改質を改良する紙質向上剤として好適であり、紙質向上剤として用いたときには、防湿性、光沢、表面硬度、耐ブロッキング性、耐摩耗性を向上させることができ、紙に高級感を付与し、耐久性を向上させることができる。本発明に係る低分子量エチレン系重合体はインキ用耐摩耗性向上剤として好適であり、耐摩耗性向上剤として用いたときには、インキ表面の耐摩耗性、耐熱性を向上させることができる。
【0135】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)は繊維加工助剤として好適であり、繊維を樹脂加工する際に繊維加工助剤として用いたときには、繊維に柔軟性、滑性を付与することができる。本発明に係る低分子量エチレン系重合体はホットメルト添加剤として好適であり、ホットメルト接着剤に耐熱性、流動性を付与することができる。自動車、建材などの耐熱性が要求される分野でのホットメルト接着剤の品質を向上させることができる。
【0136】
本発明に係る低分子量エチレン系重合体(A)または、変性低分子量エチレン系重合体(B)は電気絶縁剤として好適であり、たとえばフィルムコンデンサーの電気絶縁性、耐熱的を向上させることができる。本発明に係る低分子量エチレン系重合体はクレヨン、ローソクなどの天然ワックスへの配合剤として好適であり、表面硬度および軟化点を向上させることができる。
【実施例】
【0137】
以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚,特に断らない限り,以下に記載する「%」は「質量%」を意味する。
【0138】
[合成例1]
(低分子量エチレン系重合体の合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 1000ml、ビニルノルボルネン(5−vinylbicyclo[2,2,1]hept−2−ene)50mlを装入し、水素を0.3MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
【0139】
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基含量が11.8個、ビニルノルボルネン含有量が10.3重量%(不飽和基含量(平均)=1.1個/分子)であり、密度が956kg/m3であり、融点が117℃であり、針入度が1以下であり、Mnが1,300であり、Mwが3,700であり、Mw/Mnが2.8である低分子量エチレン系重合体(A−1)を得た。
【0140】
[合成例2]
(低分子量エチレン系重合体の合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン950mlおよびプロピレン 50ml、イソプレン70mlを装入し、水素を0.2MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム 0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびプロピレンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
【0141】
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基含量が6.0個、イソプレン含有量が2.4重量%(不飽和基含量(平均)=1.5個/分子)であり、密度が915kg/m3であり、融点が104℃であり、針入度が4であり、Mnが3,500であり、Mwが5,600であり、Mw/Mnが1.6である低分子量エチレン系重合体(A−2)を得た。
【0142】
[合成例3]
(低分子量エチレン系重合体の合成)
充分に窒素置換した内容積2リットルのステンレス製オートクレーブにヘキサン 980ml、プロピレン20ml、ビニルノルボルネン(5−vinylbicyclo[2,2,1]hept−2−ene)80mlを装入し、水素を0.3MPa(ゲージ圧)となるまで導入した。次いで、系内の温度を150℃に昇温した後、トリイソブチルアルミニウム0.3ミリモル、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート0.004ミリモル、(t-ブチルアミド)ジメチル(テトラメチル-η5-シクロペンタジエニル)シランチタンジクロライド(シグマアルドリッチ社製)0.02ミリモルをエチレンで圧入することにより重合を開始した。その後、エチレンのみを連続的に供給することにより全圧を2.9MPa(ゲージ圧)に保ち、150℃で20分間重合を行った。少量のエタノールを系内に添加することにより重合を停止した後、未反応のエチレンおよびビニルノルボルネンをパージした。得られたポリマー溶液を、100℃減圧下で一晩乾燥した。
【0143】
以上のようにして1,000炭素あたりの不飽和基含量が23.0個、ビニルノルボルネン含有量が20.0重量%(不飽和基含量(平均)=1.8個/分子)であり、密度が943kg/m3であり、融点が112℃であり、Mnが1,100であり、針入度が3であり、Mwが3,400であり、Mw/Mnが3.1である低分子量エチレン系重合体(A-3)を得た。
【0144】
[実施例1]
200mlのガラス製フラスコに、低分子量エチレン系重合体(A−1)0.5gと、n−デカン90ml、ジイソブチルアルミニウムヒドリドのヘプタン溶液(1.0mmol/ml)1.19ml(1.09mmol)を加え、100℃で7時間攪拌した。続いて100℃に保ったまま、乾燥空気を100L/hで6時間流通した。反応生成物を少量の塩酸を含むメタノール/アセトン混合溶液(1.5L/1.5L)に加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。ヒドロキシル化低分子量エチレン系重合体(B−1)を得た。
【0145】
[実施例2]
300mlのガラス製フラスコに、低分子量エチレン系重合体(A−2)5gと、トルエン100mlを加え、窒素雰囲気下で110℃に昇温した。続いてm−クロロ過安息香酸0.34gを加え3時間攪拌した。反応後、生成物をメタノール800mlに加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。ヒドロキシル化低分子量エチレン系重合体(B−2)を得た。
【0146】
[実施例3]
300mlのガラス製フラスコに、低分子量エチレン系重合体15gと、無水マレイン酸2.7gを加え、窒素雰囲気下200℃で6時間反応を行った。過剰の未反応無水マレイン酸を減圧(10mmHg)下、1時間で取り除き、無水マレイン化低分子量エチレン系重合体(B−3)を得た。
【0147】
[実施例4]
300mlのガラス製フラスコに、低分子量エチレン系重合体(A−1)5gと、キシレン100ml、硫酸1.47g、無水酢酸3.79gを加え100℃で3時間反応を行った。反応後、生成物をメタノール800mlに加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。スルホン化低分子量エチレン系重合体(B−4)を得た。
【0148】
[実施例5]
十分に窒素置換した内容積500mlのガラス製反応器にメジチレン250ml、低分子量エチレン系重合体(A−1)4.5gを加え、エチレンを100L/hrで流通しながら常圧で140℃に昇温した。その後、メチルアルミノキサンをアルミニウム原子換算で2.5mmol、ジメチルシリル(1−(2−メチル−4、5−ベンズインデニル))(9−(2、7−ジtertブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドを0.005mmol加えて重合を開始した。15分後、少量のイソブタノールを加えて反応を停止した。続いて生成物をメタノール2,000mlに加えて生成物を析出させた。メタノールで洗浄後、80℃で10時間減圧乾燥した。得られた重合体は10.5gであり、13C−NMR分析によると1,000炭素中1.10個の長鎖分岐が含まれていた。
【0149】
[比較例1]
4.5gの低分子量エチレン系重合体(A−1)を用いなかった以外は実施例5と同様に重合を行った。得られた重合体は4.9gであり、13C−NMR分析によると1,000炭素中長鎖分岐は含まれていなかった。
【産業上の利用可能性】
【0150】
本発明の変性低分子量エチレン系重合体(B)は、低分子量エチレン系重合体(A)の不飽和基に、各種変性手法によって、任意の官能基を付与することができる。このような変性低分子量エチレン系重合体(B)は、高温離型性が優れ、かつ低温定着性が優れているので、トナー離型剤として有用である。また、前記変性低分子量エチレン系重合体(B)は、顔料分散性に優れているので、顔料分散剤、また、初期滑性に優れているので、ポリ塩化ビニル樹脂用滑剤としても有用である。さらに、塗料改質剤、艶出し剤など多くの有用な用途を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の(i)〜(vi)で規定される低分子量エチレン系重合体(A)の不飽和基を変性剤で処理することによって得られる、ヘテロ原子含有基を有する変性低分子量エチレン系重合体(B)。
(i)エチレンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体、又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと少なくとも1種以上のジエンとを共重合して得られる共重合体であり、
(ii)1分子あたりの不飽和基含有量が0.1〜4.0個
(iii)密度が870〜980kg/m
(iv)融点が70〜130℃
(v)数平均分子量が400〜5,000
(vi)Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)が4.0以下
【請求項2】
変性剤が、酸化剤、スルホン化剤、無水マレイン酸およびその誘導体、ヒドロホウ素化剤、有機アルミニウム化剤、ハロゲン化剤から選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)。
【請求項3】
ヘテロ原子含有基が、酸素含有基、イオウ含有基、金属含有基またはハロゲン含有基である請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)。
【請求項4】
低分子量エチレン系重合体(A)が、(i)エチレンとビニルノルボルネン(5−vinylbicyclo[2,2,1]hept−2−ene)とを共重合して得られる共重合体、又はエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンとビニルノルボルネンとを共重合して得られる共重合体である請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)。
【請求項5】
請求項1に記載の低分子量エチレン系重合体(A)及び/又は変性低分子量エチレン系重合体(B)をマクロモノマーとして、単独に重合、又はエチレンおよび炭素数3〜10のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のオレフィンと共重合して得られる低分子量エチレン系重合体(C)。
【請求項6】
請求項5に記載の低分子量エチレン系重合体(C)を含む樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む塗料改質剤。
【請求項8】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む艶出し剤。
【請求項9】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む樹脂成型用離型剤。
【請求項10】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むゴム加工助剤。
【請求項11】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む紙質向上剤。
【請求項12】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むインキ用耐摩耗性向上剤。
【請求項13】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む繊維加工助剤。
【請求項14】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むホットメルト添加剤。
【請求項15】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む電気絶縁剤。
【請求項16】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む天然ワックス用配合剤。
【請求項17】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むポリオレフィンフィルム用防曇剤。
【請求項18】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含むトナー用離型剤。
【請求項19】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む顔料分散剤。
【請求項20】
請求項1に記載の変性低分子量エチレン系重合体(B)を含む塩化ビニル樹脂用滑剤。

【公開番号】特開2006−342290(P2006−342290A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170790(P2005−170790)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(000005887)三井化学株式会社 (2,318)
【Fターム(参考)】