説明

変速制御装置

【課題】モーメンタリータイプのシフトレバーを有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置を用いて、自動変速及び手動変速の切換が可能な変速制御装置を提供すること。
【解決手段】車両の走行時に、内燃機関の回転速度を異なる変速比で変速して伝達する変速制御装置において、常時中立位置に付勢されるとともに、複数の位置に移動可能に形成されたシフトレバー31、及び、シフトレバー31の位置を検出する検出手段33を有するシフト操作装置12と、車両の走行状態に基づいて変速比を自動で変速する自動変速、及び、シフトレバー31の移動に基づいて変速比を変速する手動変速が可能な自動変速機15と、自動変速及び手動変速をシフト操作装置12による少なくとも2つの動作で切り換える切換手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の変速機の自動変速及び手動変速の切換が可能な変速制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド自動車やガソリン自動車等の車両において、車両の走行状態に応じて自動的に変速段を変速する変速機が用いられている。このような変速機の変速ポジションを設定する変速制御装置は、シフト操作装置としてニュートラルポジション、前進走行ポジション及び後進走行ポジション等の変速ポジションに操作レバーを移動させるスライド式のシフトレバーが用いたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、近年においては、シフト操作をセンサやスイッチ等によって検出するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。シフトバイワイヤ式のシフト操作装置に用いられるシフトレバーには、所謂ジョイスティックタイプやモーメンタリータイプと呼ばれ、常時中立位置に向かって付勢される操作性のよいシフト操作装置も知られている。このモーメンタリータイプ(ジョイスティックタイプ)のシフトレバーは、シフトレバーを移動させることでシフト操作が成され、移動後付勢力によって中立位置に自然復帰する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−242944号公報
【特許文献2】特開2005−7993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した変速制御装置では、以下の問題があった。即ち、上述した変速制御装置に含まれるシフト操作装置は、自動変速及び手動変速の切換は可能であるが、シフトアップ/シフトダウンの操作を行うことは出来ない。そのため、シフトアップ/シフトダウン操作を行うためには、別の装置を準備する必要があった。このため、モーメンタリータイプのシフトレバーを有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置で、自動変速及び手動変速の切換及びシフトアップ/シフトダウン操作が可能な変速制御装置が求められている。
【0006】
そこで本発明は、モーメンタリータイプのシフトレバーを有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置を用いて、自動変速及び手動変速の切換及びシフトアップ/シフトダウン操作が可能な変速制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決し目的を達成するために、本発明の変速制御装置は、次のように構成されている。
【0008】
本発明の一態様として、車両の走行時に、内燃機関の回転速度を異なる変速比で変速して伝達する変速制御装置において、常時中立位置に付勢されるとともに、複数の位置に移動可能に形成されたシフトレバー、及び、前記シフトレバーの位置を検出する検出手段を有するシフト操作装置と、前記車両の走行状態に基づいて前記変速比を自動で変速する自動変速、及び、前記シフトレバーの移動に基づいて前記変速比を変速する手動変速が可能な自動変速機と、前記自動変速及び前記手動変速を前記シフト操作装置による少なくとも2つの動作で切り換える切換手段と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、モーメンタリータイプのシフトレバーを有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置を用いて、自動変速及び手動変速の切換が可能な変速制御装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る変速制御装置の構成を模式的に示す説明図。
【図2】同変速制御装置に用いられるシフト操作装置の構成を模式的に示す説明図。
【図3】同シフト操作装置の構成を模式的に示す説明図。
【図4】同変速制御装置を用いた自動変速モード及び手動変速モードの切換の一例を示す流れ図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る変速制御装置を用いた自動変速モード及び手動変速モードの切換の一例を示す流れ図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る変速制御装置を用いた自動変速モード及び手動変速モードの切換の一例を示す流れ図。
【図7】本発明の第4の実施形態に係る変速制御装置を用いた自動変速モード及び手動変速モードの切換の一例を示す流れ図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る変速制御装置1の構成を、図1乃至図4を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る変速制御装置1の構成を模式的に示す説明図、図2は変速制御装置1に用いられるシフト操作装置12及び表示装置14の構成を模式的に示し、(a)は一つの実施例を(b)は他の実施例を示す説明図、図3は変速制御装置1に用いられるシフト操作装置12及び表示装置14の他の構成を模式的に示し、(a)は一つの実施例を(b)は他の実施例を示す説明図、図4は変速制御装置1を用いた自動変速及び手動変速の切換の一例を示す流れ図である。また、本実施形態において、車両の進行方向を前後方向、進行方向に対して略水平方向に直交する方向を側方向(左右)として以下説明する。
【0012】
変速制御装置1は、駆動源である内燃機関と走行モータを有するハイブリッド自動車や、駆動源である内燃機関を有するガソリン自動車等の車両に用いられる。なお、本実施の形態に置いては、車両は、ハイブリッド自動車であって、内燃機関と走行モータを有し、走行状態や回生動状態において、モータジェネレータにより回生発電が可能に形成されている。
【0013】
変速制御装置1は、シフトECU(Electronic Control Unit)10と、変速機ECU11と、シフト操作装置12と、自動変速機13と、表示装置14と、を備え、車両のECU20と接続されている。
【0014】
変速制御装置1は、シフトECU10、変速機ECU11、シフト操作装置12、自動変速機13、表示装置14及びECU20、がCANのCANケーブル等により接続されている。また、変速制御装置1は、自動変速機13の後述する自動変速モードD及び手動変速モードMを切り換え可能な変速モード切換手段(切換手段)を備えている。
【0015】
シフトECU10は、変速機ECU11、シフト操作装置12及びECU20に接続され、シフト操作装置12にて操作された操作情報を、変速機ECU11及びECU20に送信可能に形成されている。
【0016】
変速機ECU11は、シフトECU10、自動変速機13及びECU20に接続され、シフトECU10及びECU20から送信された情報に基づいて自動変速機13の変速比を自動で制御する自動変速が可能に形成されている。変速機ECU11は、車両の前進走行状態において、所謂スポーツモードと呼ばれ、シフト操作装置12で入力された変速比の情報に基づいて変速比を制御する手動変速が可能に形成されている。なお、車両の前進走行状態における走行モードとして、自動変速機13が自動変速を行う状態を自動変速モードDとし、手動変速を行う状態を手動変速モードMとして説明する。変速機ECU11は、自動変速機13の制御情報をECU20に送信可能に形成されている。
【0017】
シフト操作装置12は、シフトレバー31と、シフトレバー31の移動を案内する案内溝32と、シフトレバー31を所定の位置である中立位置に常時付勢する付勢手段と、シフトレバー31の操作を検出するスイッチ及びセンサ等の検出手段33と、を備えている。シフト操作装置12は、所謂シフトバイワイヤ式であってモーメンタリータイプ又はジョイスティックタイプと呼ばれ、常時シフトレバー31が中立位置に位置する。
【0018】
シフトレバー31は、操作者の操作によって、案内溝32に沿って移動可能、且つ、操作者の操作又は付勢手段の付勢により、中立位置に復帰可能に形成されている。図2及び図3に示すように、案内溝32は、シフトレバー31を複数のポジションに案内可能な複数の溝を有する。案内溝32は、これら複数の溝により、操作者による操作により任意の選択位置にシフトレバー31を案内可能に形成されている。具体的には、案内溝32は、中立位置から一方の側方に伸びる第1溝41と、第1溝41の中途部から前方に延びる第2溝42と、第1溝41の中途部から後方に延びる第3溝43と、中立位置から前方に伸びる第4溝44と、中立位置から後方に伸びる第5溝45と、を備えている。
【0019】
なお、第1溝41の形状は、図2及び図3(a)のように第2溝42及び第3溝43より外側に飛び出ている形状、または、図2及び図3(b)のように第2溝42及び第3溝43と同じ位置までの形状でもよい。
【0020】
なお、図2に左ハンドル用のハイブリッド自動車に用いられるシフト操作装置12を、図3に右ハンドル用のハイブリッド自動車に用いられるシフト操作装置12を示す。第1溝41、第2溝42及び第3溝43は、左ハンドル用の場合には、車両の進行方向に向かって左側に延出し、右ハンドル用の場合には、車両の進行方向に向かって右側に延出して配置される。
【0021】
なお、右ハンドル車用のシフト操作装置12を左ハンドル車用として、または、左ハンドル車用のシフト操作装置12を右ハンドル車用として用いることも可能である。
【0022】
検出手段33は、シフトレバー31の移動を検出した場合に、当該シフトレバー31の位置を検出可能に形成される。検出手段33は、シフトECU10に接続され、検出した情報をシフトECU10に送信可能に形成されている。
【0023】
本実施の形態においては、図2及び図3に示すように、検出手段33は、シフトレバー31の移動を検出した際に、当該シフトレバー31が、第1溝41を終端まで移動した場合にはニュートラルポジションN、第2溝42を終端まで移動した場合には後進走行ポジションR、第3溝43を終端まで移動した場合には前進走行ポジションD/M、第4溝44を終端まで移動した場合にはシフトアップポジション+、第5溝45を終端まで移動した場合には回生ブレーキポジションBまたはシフトダウンポジション−(ポジションB/−)である旨を検出する。なお、検出手段33がシフトレバー31の各溝41〜45の移動により検出する選択位置の位置情報は、適宜設定可能である。検出手段33は、シフトECU10に、検出したシフトレバー31の選択位置の情報を送信する。
【0024】
なお、図2及び図3の(a)に記載された例においては、ポジションNにシフトレバー31を移動させることで、当該位置が検出され、(b)に記載された例においては、二点鎖線で示すように、ポジションNにシフトレバー31を移動後、所定の時間、当該位置でシフトレバー31を保持することで、当該位置が検出手段33により検出される。
【0025】
自動変速機13は、車両の内燃機関による走行状態であって、前進走行状態において、走行モードとして、変速機の変速比を変速可能なAT、CVTまたはAMT(Automated Manual Transmission)である。
【0026】
自動変速機13は、クラッチ及び内燃機関の回転速度を変速可能な変速機を有している。自動変速機13は、内燃機関のクランクシャフトに、クラッチを介して接続されるとともに、車両の駆動輪のアクスルシャフトに接続されたプロペラシャフトに、変速機を介して接続される。変速機は、クランクシャフトの回転速度を、プロペラシャフトに伝達可能に形成され、プロペラシャフトに伝達する際に、異なる回転速度とする複数段の変速比を有している。
【0027】
自動変速機13は、変速機ECU11により変速比が自動で行われる自動変速モードDにおいて、ECU20からの車両の走行状態に応じて変速機ECU11により自動でクラッチ及び変速機が制御される。また、自動変速機13は、手動変速モードMにおいて、シフトレバー31の操作によりシフトアップポジション+及びシフトダウンポジション−へのシフトレバー31の移動を外部入力とし、シフトECU10からの外部入力に基づく情報に応じて変速機ECU11がクラッチ及び変速機を制御可能に形成されている。
【0028】
表示装置14は、ECU20に接続され、検出手段33により検出されたシフトレバー31の位置情報による現在の車両情報、及び、自動変速機13の状態を表示可能に形成されている。
【0029】
具体的には、表示装置14は、シフトレバー31がニュートラルポジションNに移動された場合には「N」を、後進走行ポジションRに移動され後進走行状態の場合には「R」、前進走行ポジションD/Mに移動され前進走行状態であって、自動走行モードDの場合には「D」、前進走行状態であって手動走行モードMの場合には「M」、回生ブレーキポジションBに移動され回生ブレーキ状態である場合には「B」が表示される。
【0030】
また、表示装置14は、シフトアップポジション+およびシフトダウンポジション−にシフトレバー31が移動され、変速機ECU11により変速比が変更された場合には、「+」又は「−」を表示可能としてもよい。
【0031】
ECU20は、シフトECU10、変速機ECU11及び表示装置14に接続され、シフトECU10及び変速機ECU11の情報に基づいて、表示装置14の表示を制御可能に形成されている。ECU20は、例えば、車両のブレーキ信号、車速検出部、走行モータ、及びバッテリECU等に接続され、車両情報を受信可能に形成されている。
【0032】
ECU20は、車速、アクセルペダルの開度等の車両の走行状態に応じて、内燃機関での走行、内燃機関及び走行モータでの走行及び走行モータでの走行を制御可能に形成されている。
【0033】
変速モード切換手段は、シフトECU10、変速機ECU11、ECU20、シフトレバー31及び検出手段33により構成され、シフトレバー31が前進走行ポジションD/Mに移動した情報を検出手段33で検出し、変速機ECU11が自動変速モードD及び手動変速モードMを切り換える。
【0034】
なお、変速モード切換手段により、自動変速モードDが選択された場合には、検出手段33は、シフトレバー31が第4溝44の終端まで移動してもこの情報を検出せず、また、シフトレバー31が第5溝45の終点まで移動した場合には、回生ブレーキポジションBである旨を検出する。変速モード切換手段により、手動変速モードMが選択された場合には、検出手段33は、シフトレバー31が第4溝44の終端まで移動した場合にはシフトアップポジション+である旨を検出し、第5溝45の終点まで移動した場合には、シフトダウンポジション−である旨を検出する。
【0035】
また、変速モード切換手段は、以下の機能(1)、(2)を有している。
(1)車両が内燃機関による走行において、シフトレバー31の操作に応じて自動変速機13の変速機を自動で切り換える自動変速モードD及び変速機を手動で切り換える手動変速モードMを切り換える機能
(2)手動変速モードMにおいて、シフトレバー31の操作に応じて、変速機の変速比を切り換える機能
次に、機能(1)及び機能(2)について説明する。
先ず、車両の走行状態に応じて、シフトECU10、変速機ECU11及びECU20が、内燃機関、走行モータ、又は、内燃機関及び走行モータによる走行を切り換える。具体的には、シフトレバー31が第3溝43に案内され、前進走行ポジションD/Mに位置すると、ECU20は、車両の走行状態に応じて内燃機関、走行モータ、又は、内燃機関及び走行モータのいずれかを動力として選択する。
【0036】
内燃機関による走行が選択されると、自動変速機13により内燃機関の動力が駆動輪に伝達されることから、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換が可能となる。なお、当該切換が可能であることを、表示装置14により表示させてもよい。
【0037】
内燃機関による車両の前進走行状態に変化した場合には、先ず、自動変速モードDにおいて走行が可能となり、表示装置14に自動変速モードDである「D」が表示される。車両が前進走行状態となると、機能(1)として、自動変速モードD及び手動変速モードMが切り換え可能となる。
【0038】
具体的には、図4に示すように、先ず、前進走行状態において、シフトECU10は、検出手段33によりシフトレバー31の位置を検出する(ステップST11)。シフトレバー31が前進走行ポジションD/Mの位置に移動すると(ステップST12のYES)、シフトECU10は、現在の走行モードを確認する(ステップST13)。
【0039】
車両が、前進走行状態であって、自動変速機13の走行モードが自動変速モードDである場合(ステップST14のYES)には、変速機ECU11は走行モードを手動変速モードMに変更する(ステップST15)。なお、手動変換モードMへの切換に伴って、表示装置14に手動変速モードMである「M」が表示される。
【0040】
手動変速モードMとなると、機能(2)として、シフトレバー31の操作に応じて、変速機の変速比を複数段の範囲で変更可能となる。具体的には、シフトレバー31をシフトアップポジション+へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出する。これにより、変速機ECU11は、変速機を制御して変速比を変更する。同様に、シフトレバー31をシフトダウンポジション−へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出し、変速機ECU11により変速機を切り換えて変速比を変更する。
【0041】
車両が、前進走行状態であって、手動変速モードMである場合(ステップST14のNO)には、変速機ECU11は、走行モードを自動変速モードDに切り換え(ステップST16)、これに伴って変速機ECU11は、車両の走行状態に応じて、自動で変速比を変更する(第1走行モード)。
【0042】
なお、シフトレバー31がポジションD/Mでない場合(ステップST12のNO)には、シフトレバー31の位置に応じて変更される。例えば、シフトレバー31が移動されておらず、中立状態を維持した場合には、自動変速モードD又は手動変速モードMが維持される。
【0043】
また、シフトレバー31がニュートラルポジションNに移動された場合には、クラッチが切り離され。シフトレバー31が後進走行ポジションRに移動された場合には、後進走行が可能となる。また、自動走行モードDの場合であって、シフトレバー31がポジションB/−に移動された場合には、回生ブレーキ増加制御状態(増加制御)となり、自動走行モードDの中でも比較的回生ブレーキを増加させて、ガソリン走行車のエンジンブレーキに似た車両走行に制限する(第2走行モード)。なお、第2走行モードは、自動走行モードDに対してエンジンブレーキを増加させる状態でもよい。また、手動変速モードMの場合には、上述した機能(2)として、シフトレバー31がシフトアップ+及びシフトダウン−に応じて、変速比が変更される。
【0044】
このように構成された変速制御装置1によれば、走行状態及びシフトレバー31の位置に応じて、自動変速機13の変速比を自動で制御可能な自動変速モードD及び手動で変速可能な手動変速モードMを切り換え可能となる。
【0045】
また、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換は、前進走行状態において、シフトレバー31を側方に延出する第1溝41の中途部まで移動後、後方に延出する第3溝43へと移動させることで切り換える、所謂二つのアクションにより行われる。このため、自動変速モードDと手動変速モードMを誤って切り換えることを防止可能となる。
【0046】
また、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換は、シフトバイワイヤ式であって、且つ、モーメンタリータイプのシフトレバー31でよく、汎用性が高い。また、自動変速モードD及び手動変速モードMにおいて、回生ブレーキポジションBと、シフトダウンポジション−とを、共用とすることで、シフトレバー31の移動を案内する案内溝32及び移動方向を極力低減ことが可能となり、シフトレバー31の操作が煩雑となることを防止できる。
【0047】
上述したように、本発明の第1の実施形態に係る変速制御装置1によれば、モーメンタリータイプのシフトレバー31を有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置12を用いて、自動変速機13の変速比の自動変速及び手動変速が選択可能となる。
【0048】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態に係る変速制御装置1を、図5を用いて説明する。図5は、本発明の第2の実施形態に係る変速制御装置1を用いた自動変速モード及び手動変速モードの切換の一例を示す流れ図である。なお、第2の実施形態に係る変速制御装置1において、第1の実施形態に係る変速制御装置1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0049】
変速制御装置1は、内燃機関と走行モータを有するハイブリッド自動車や、内燃機関を有するガソリン自動車等の車両に用いられる。なお、本実施の形態に置いては、車両は、ハイブリッド自動車であって、内燃機関と走行モータを有し、走行状態や回生動状態において、モータジェネレータにより回生発電が可能に形成されている。
【0050】
変速制御装置1は、シフトECU10と、変速機ECU11と、シフト操作装置12と、自動変速機13と、表示装置14と、ECU20と、変速モード切換手段と、を備えている。
【0051】
シフト操作装置12は、シフトレバー31と、案内溝32と、シフトレバー31を所定の位置である中立位置に付勢常時付勢する付勢手段と、検出手段33と、を備えている。案内溝32は、第1溝41と、第2溝42と、第3溝43と、第4溝44と、第5溝45と、を備えている。
【0052】
検出手段33は、シフトレバー31の移動を検出した際に、当該シフトレバー31が、第1溝41を終端まで移動した場合にはニュートラルポジションN、第2溝42を終端まで移動した場合には後進走行ポジションR、第3溝43を終端まで移動した場合には前進走行ポジションD、第4溝44を終端まで移動した場合には前進走行ポジションM又はシフトアップポジション+(ポジション+)である旨を検出し、第5溝45を終端まで移動した場合には回生ブレーキポジションB又はシフトダウン−(ポジションB/−)である旨を検出する。また、検出手段33は、シフトECU10に検出した情報を送信する。
【0053】
検出手段33は、シフトレバー31が第4溝44の終端まで移動し、当該終端で保持された場合、当該保持されている情報をシフトECU10に送信可能に形成されている。シフトECU10は、この保持された情報に基づいて、シフトレバー31の保持時間tを計測可能に形成されている。また、シフトECU10は、記憶部等に記憶された閾値である所定の時間t0と、保持時間tを比較可能に形成されている。なお、ここで、所定時間t0とは、操作者が走行モードを意識的に選択したことを判断可能な時間である。換言すると、シフトレバー31の誤操作と走行モードとの選択を区別可能な時間であって、例えば数秒である。
【0054】
変速モード切換手段は、シフトECU10、変速機ECU11、シフトレバー31及び検出手段33により構成され、シフトレバー31が第4溝44の終端で保持された場合、検出手段33で検出された保持時間tが所定時間t0以上である場合に、シフトECU10及び変速機ECU11が自動変速モードD及び手動変速モードMを切り換える。
【0055】
また、変速モード切換手段は、機能(1)、(2)を有している。次に、機能(1)及び機能(2)について説明する。
先ず、シフトレバー31が第3溝43に案内され、前進走行ポジションDに位置すると、車両の走行状態に応じて、ECU20は、内燃機関、走行モータ、又は、内燃機関及び走行モータによる走行を切り換える。
【0056】
内燃機関による走行が選択されると、自動変速機13により内燃機関の動力が駆動輪に伝達されることから、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換が可能となる。
【0057】
内燃機関による車両の前進走行状態に変化した場合には、先ず、自動変速モードDにおいて走行が可能となり、表示装置14に自動変速モードDである「D」が表示される。車両が前進走行状態となると、機能(1)として、自動変速モードD及び手動変速モードMが切り換え可能となる。
【0058】
具体的には、図5に示すように、先ず、前進走行状態において、シフトECU10は、検出手段33により、シフトレバー31の位置を検出する(ステップST21)。シフトレバー31が第4溝44の終端、即ち、ポジション+である場合(ステップST22のYES)には、シフトECU10は、ポジション+でのシフトレバー31の保持時間tを計測し(ステップST23)、所定時間t0との比較を行う(ステップST24)。
【0059】
当該保持時間tが、所定の時間t0以上である場合(ステップST24のYES)には、シフトECU10は、現在の走行モードを確認する(ステップST25)。
【0060】
車両が、前進走行状態であって、自動変速機13の走行モードが自動変速モードDである場合(ステップST26のYES)には、変速機ECU11は走行モードを手動変速モードMに変更する(ステップST27)。なお、手動変換モードMへの切換に伴って、表示装置14に手動変速モードMである「M」が表示される。
【0061】
手動変速モードMとなると、機能(2)として、シフトレバー31の操作に応じて、変速機の変速比を複数段の範囲で変更可能となる。具体的には、シフトレバー31をシフトポジション+へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出する。これにより、変速機ECU11は、自動変速機13の変速機を切り換えて変速比を変更する。同様に、シフトレバー31をポジションB/−へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出し、変速機ECU11により変速機を切り換えて変速比を変更する。
【0062】
車両が、前進走行状態であって、手動変速モードMである場合(ステップST26のNO)には、変速機ECU11は、自動変速モードDに変更し(ステップST28)、これに伴って変速機ECU11は、車両の走行状態に応じて、自動で変速比を変更する。
【0063】
なお、シフトレバー31がポジション+でない場合(ステップST22のNO)には、シフトレバー31の位置に応じて変更される。例えば、シフトレバー31が移動されておらず、中立状態を維持した場合には、自動変速モードD又は手動変速モードMが継続される。
【0064】
また、シフトレバー31がニュートラルポジションNに移動された場合には、クラッチが切り離され、後進走行ポジションRに移動された場合には後進走行が可能となる。また、自動走行モードDの場合には、シフトレバー31がポジションB/−に移動された場合には、回生ブレーキポジションBであると判断し、回生ブレーキ増加制御状態となる。
【0065】
また、ステップST24において、保持時間tが、所定の時間t0よりも短い場合(ステップST24のNO)には、現在の走行モードに応じて処理される。即ち、自動変速モードDである場合には、自動変速モードDが維持され、手動変速モードMである場合には、変速機ECU11は、シフトアップが選択されたと判断し、変速比が変更される。
【0066】
このように構成された変速制御装置1によれば、走行状態及びシフトレバー31の位置に応じて、自動変速機13の変速比を自動で制御可能な自動変速モードD及び手動で変速可能な手動変速モードMを切り換え可能となる。
【0067】
また、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換は、前進走行状態において、シフトレバー31を前方に延出する第4溝44の終端まで移動後、所定時間保持することで切り換える、所謂二つのアクションにより行われる。このため、自動変速モードDと手動変速モードMを誤って切り換えることを防止可能となる。
【0068】
上述したように、本発明の第2の実施形態に係る変速制御装置1によれば、モーメンタリータイプのシフトレバー31を有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置12を用いて、自動変速及び手動変速が選択可能となる。
【0069】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る変速制御装置1を、図6を用いて説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る変速制御装置1を用いた自動変速モード及び手動変速モードの切換の一例を示す流れ図である。なお、第3の実施形態に係る変速制御装置1において、第1及び第2の実施形態に係る変速制御装置1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0070】
変速制御装置1は、内燃機関と走行モータを有するハイブリッド自動車や、内燃機関を有するガソリン自動車等の車両に用いられる。なお、本実施の形態に置いては、車両は、ハイブリッド自動車であって、内燃機関と走行モータを有し、走行状態や回生動状態において、モータジェネレータにより回生発電が可能に形成されている。
【0071】
変速制御装置1は、シフトECU10と、変速機ECU11と、シフト操作装置12と、自動変速機13と、表示装置14と、ECU20と、変速モード切換手段と、を備えている。
【0072】
シフト操作装置12は、シフトレバー31と、案内溝32と、シフトレバー31を所定の位置である中立位置に付勢常時付勢する付勢手段と、検出手段33と、を備えている。案内溝32は、第1溝41と、第2溝42と、第3溝43と、第4溝44と、第5溝45と、を備えている。
【0073】
検出手段33は、シフトレバー31の移動を検出した際に、当該シフトレバー31が、第1溝41を終端まで移動した場合にはニュートラルポジションN、第2溝42を終端まで移動した場合には後進走行ポジションR、第3溝43を終端まで移動した場合には前進走行ポジションD、第4溝44を終端まで移動した場合にはシフトダウンポジション+−、第5溝45を終端まで移動した場合には回生ブレーキポジションB又はシフトアップポジション+(ポジションB/+)である旨を検出する。検出手段33は、シフトECU10に検出した情報を送信する。
【0074】
検出手段33は、シフトレバー31が第4溝44の終端まで移動し、当該終端で保持された場合、当該保持されている情報をシフトECU10に送信可能に形成されている。シフトECU10は、この保持された情報に基づいて、シフトレバー31の保持時間tをカウント(計測)可能に形成されている。また、シフトECU10は、記憶部等に記憶された閾値である所定の時間t0と、保持時間tを比較可能に形成されている。
【0075】
変速モード切換手段は、シフトECU10、変速機ECU11、シフトレバー31及び検出手段33により構成され、シフトレバー31が第4溝44の終端で保持された場合、検出手段33で検出された保持時間tが所定時間t0以上である場合に、シフトECU10及び変速機ECU11が自動変速モードD及び手動変速モードMを切り換える。
【0076】
また、変速モード切換手段は、機能(1)、(2)を有している。次に、機能(1)及び機能(2)について説明する。
先ず、シフトレバー31が第3溝43に案内され、前進走行ポジションDに位置すると、車両の走行状態に応じて、ECU20は、内燃機関、走行モータ、又は、内燃機関及び走行モータによる走行を切り換る。
【0077】
内燃機関による走行が選択されると、自動変速機13により内燃機関の動力が駆動輪に伝達されることから、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換が可能となる。
【0078】
内燃機関による車両の前進走行状態に変化した場合には、先ず、自動変速モードDにおいて走行が可能となり、表示装置14に自動変速モードDである「D」が表示される。車両が前進走行状態となると、機能(1)として、自動変速モードD及び手動変速モードMが切り換え可能となる。
【0079】
具体的には、図6に示すように、先ず、前進走行状態において、シフトECU10は、検出手段33により、シフトレバー31の位置を検出する(ステップST31)。シフトレバー31が第4溝44の終端、即ち、ポジション−である場合(ステップST31のYES)には、シフトECU10は、ポジション−でのシフトレバー31の保持時間tを計測し(ステップST33)、所定時間t0との比較を行う(ステップST34)。
【0080】
当該保持時間tが、所定の時間t0以上である場合(ステップST34のYES)には、シフトECU10は、現在の走行モードを確認する(ステップST35)。
【0081】
車両が、前進走行状態であって、自動変速機13の走行モードが自動変速モードDである場合(ステップST36のYES)には、変速機ECU11は走行モードを手動変速モードMに変更する(ステップST37)。なお、手動変換モードMへの切換に伴って、表示装置14に手動変速モードMである「M」が表示される。
【0082】
手動変速モードMとなると、機能(2)として、シフトレバー31の操作に応じて、変速機の変速比を複数段の範囲で変更可能となる。具体的には、シフトレバー31をシフトアップポジション+へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出する。これにより、変速機ECU11は、変速機を切り換えて変速比を変更する。同様に、シフトレバー31をシフトダウンポジション−へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出し、変速機ECU11により変速機を切り換えて変速比を変更する。
【0083】
車両が、前進走行状態であって、手動変速モードMである場合(ステップST36のNO)には、変速機ECU11は、自動変速モードDに変更し(ステップST38)、これに伴って変速機ECU11は、車両の走行状態に応じて、自動で変速比を変更する。
【0084】
なお、シフトレバー31がポジション−でない場合(ステップST32のNO)には、シフトレバー31の位置に応じて変更される。例えば、シフトレバー31が移動されておらず、中立状態を維持した場合には、自動変速モードD又は手動変速モードMが継続される。
【0085】
また、シフトレバー31がニュートラルポジションNに移動された場合には、クラッチが切り離され、後進走行ポジションRに移動された場合には後進走行が可能となる。また、自動走行モードDの場合であって、シフトアップポジション+に移動されたら、自動走行モードDが継続され、手動変速モードMの場合であって、シフトアップポジション+に移動されたら、変速比が変更される。また、自動走行モードDであって、シフトレバー31がポジションB/+に移動された場合には、回生ブレーキ増加制御状態となる。
【0086】
また、ステップST34において、保持時間tが、所定の時間t0よりも短い場合(ステップST34のNO)には、現在の走行モードに応じて処理される。即ち、自動変速モードDである場合には、自動変速モードDが維持され、手動変速モードMである場合には、変速機ECU11が、シフトダウンが選択されたと判断し、変速比が変更される。
【0087】
このように構成された変速制御装置1によれば、走行状態及びシフトレバー31の位置に応じて、自動変速機13の変速比を自動で制御可能な自動変速モードD及び手動で変速可能な手動変速モードMを切り換え可能となる。
【0088】
また、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換は、前進走行状態において、シフトレバー31を前方に延出する第4溝44の終端まで移動後、所定時間保持することで切り換える、所謂二つのアクションにより行われる。このため、自動変速モードDと手動変速モードMを誤って切り換えることを防止可能となる。
【0089】
上述したように、本発明の第2の実施形態に係る変速制御装置1によれば、モーメンタリータイプのシフトレバー31を有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置12を用いて、自動変速及び手動変速が選択可能となる。
【0090】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る変速制御装置1を、図7を用いて説明する。図7は、本発明の第4の実施形態に係る変速制御装置1を用いた自動変速モード及び手動変速モードの切換の一例を示す流れ図である。なお、第4の実施形態に係る変速制御装置1において、第1の実施形態に係る変速制御装置1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0091】
変速制御装置1は、内燃機関と走行モータを有するハイブリッド自動車や、内燃機関を有するガソリン自動車等の車両に用いられる。なお、本実施の形態に置いては、車両は、ハイブリッド自動車であって、内燃機関と走行モータを有し、走行状態や回生動状態において、モータジェネレータにより回生発電が可能に形成されている。
【0092】
変速制御装置1は、シフトECU10と、変速機ECU11と、シフト操作装置12と、自動変速機13と、表示装置14と、ECU20と、変速モード切換手段と、を備えている。
【0093】
シフト操作装置12は、シフトレバー31と、案内溝32と、シフトレバー31を所定の位置である中立位置に付勢常時付勢する付勢手段と、検出手段33と、を備えている。案内溝32は、第1溝41と、第2溝42と、第3溝43と、第4溝44と、第5溝45と、を備えている。
【0094】
検出手段33は、シフトレバー31の移動を検出した際に、当該シフトレバー31が、第1溝41を終端まで移動した場合にはニュートラルポジションN、第2溝42を終端まで移動した場合には後進走行ポジションR、第3溝43を終端まで移動した場合には、前進走行ポジションD/M、第4溝44を終端まで移動した場合には、シフトアップポジション+である旨を検出し、第5溝45を終端まで移動した場合には回生ブレーキポジションB又はシフトダウンポジション−(ポジションB/−)である旨を検出する。検出手段33は、シフトECU10に検出した情報を送信する。
【0095】
検出手段33は、シフトレバー31が第3溝43の終端まで移動し、当該終端で保持された場合、当該保持されている情報をシフトECU10に送信可能に形成されている。シフトECU10は、この保持された情報に基づいて、シフトレバー31の保持時間tを計測可能に形成されている。また、シフトECU10は、記憶部等に記憶された閾値である所定の時間t0と、保持時間tを比較可能に形成されている。
【0096】
変速モード切換手段は、シフトECU10、変速機ECU11、シフトレバー31及び検出手段33により構成され、シフトレバー31が第3溝43の終端で保持された場合、検出手段33で検出された保持時間tが所定時間t0以上である場合に、シフトECU10及び変速機ECU11が自動変速モードD及び手動変速モードMを切り換える。
【0097】
また、変速モード切換手段は、機能(1)、(2)を有している。次に、機能(1)及び機能(2)について説明する。
先ず、シフトレバー31が第3溝43に案内され、前進走行ポジションDに位置すると、車両の走行状態に応じて、ECU20は、内燃機関、走行モータ、又は、内燃機関及び走行モータによる走行を切り換る。
【0098】
内燃機関による走行が選択されると、自動変速機13により内燃機関の動力が駆動輪に伝達されることから、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換が可能となる。
【0099】
内燃機関による車両の前進走行状態に変化した場合には、先ず、自動変速モードDにおいて走行が可能となり、表示装置14に自動変速モードDである「D」が表示される。車両が前進走行状態となると、機能(1)として、自動変速モードD及び手動変速モードMが切り換え可能となる。
【0100】
具体的には、図7に示すように、先ず、前進走行状態において、シフトECU10は、検出手段33により、シフトレバー31の位置を検出する(ステップST41)。シフトレバー31が第3溝43の終端、即ち、前進走行ポジションD/Mである場合(ステップST42のYES)には、シフトECU10は、前進走行ポジションD/Mでのシフトレバー31の保持時間tを計測し(ステップST43)、所定時間t0との比較を行う(ステップST44)。
【0101】
当該保持時間tが、所定の時間t0以上である場合(ステップST44のYES)には、シフトECU10は、現在の走行モードを確認する(ステップST45)。
【0102】
車両が、前進走行状態であって、自動変速機13の走行モードが自動変速モードDである場合(ステップST46のYES)には、変速機ECU11は走行モードを手動変速モードMに変更する(ステップST47)。なお、手動変換モードMへの切換に伴って、表示装置14に手動変速モードMである「M」が表示される。
【0103】
手動変速モードMとなると、機能(2)として、シフトレバー31の操作に応じて、変速機の変速比を複数段の範囲で変更可能となる。具体的には、シフトレバー31をシフトアップポジション+へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出する。これにより、変速機ECU11は、変速機を切り換えて変速比を変更する。同様に、シフトレバー31をシフトダウンポジション−(ポジションB/−)へと移動させると、検出手段33が当該移動を検出し、変速機ECU11により変速機を切り換えて変速比を変更する。
【0104】
車両が、前進走行状態であって、手動変速モードMである場合(ステップST46のNO)には、変速機ECU11は、自動変速モードDに変更し(ステップST48)、これに伴って変速機ECU11は、車両の走行状態に応じて、自動で変速比を変更する。
【0105】
なお、シフトレバー31が前進走行ポジションD/Mでない場合(ステップST42のNO)には、シフトレバー31の位置に応じて変更される。例えば、シフトレバー31が移動されておらず、中立状態を維持した場合には、自動変速モードD又は手動変速モードMが継続される。
【0106】
また、シフトレバー31がニュートラルポジションNに移動された場合には、クラッチが切り離され、後進走行ポジションRに移動された場合には後進走行が可能となる。また、自動走行モードDの場合であって、シフトレバー31が回生ブレーキポジションBに移動された場合には、回生ブレーキ増加制御状態となり、手動変速モードMの場合には、シフトレバー31がシフトアップポジション+及びシフトダウンポジション−に応じて、変速比が変更される。
【0107】
また、ステップST44において、保持時間tが、所定の時間t0よりも短い場合(ステップST44のNO)には、現在の走行モードが維持される。
【0108】
このように構成された変速制御装置1によれば、走行状態及びシフトレバー31の位置に応じて、自動変速機13の変速比を自動で制御可能な自動変速モードD及び手動で変速可能な手動変速モードMを切り換え可能となる。
【0109】
また、自動変速モードD及び手動変速モードMの切換は、前進走行状態において、シフトレバー31を側方に延出する第1溝41の中途部まで移動後、後方に延出する第3溝43の終端まで移動させ、さらに所定時間保持することで切り換える、所謂三つのアクションにより行われる。このため、自動変速モードDと手動変速モードMを誤って切り換えることを防止可能となる。
【0110】
上述したように、本発明の第4の実施形態に係る変速制御装置1によれば、モーメンタリータイプのシフトレバー31を有するシフトバイワイヤ式のシフト操作装置12を用いて、自動変速及び手動変速が選択可能となる。
【0111】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではない。上述した例では、自動変速モードDから手動変速モードM、及び、手動変速モードMから自動変速モードDへの変更は、同じ動作により切り換える構成を説明したが、これに限定されない。例えば、自動変速モードDから手動変速モードMに切り換える場合には、上述した第2の実施形態に示すように、ポジション+に所定の時間保持することで切換可能とし、且つ、手動変速モードMから自動変速モードDに切換える場合には、第1の実施形態に示すように、ポジションD/Mに移動させることで切換可能としてもよい。この他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0112】
1…変速制御装置、10…シフトECU、11…変速機ECU、12…シフト操作装置、13…自動変速機、14…表示装置、20…ECU、31…シフトレバー、32…案内溝、33…検出手段、41…第1溝、42…第2溝、43…第3溝、44…第4溝、45…第5溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行時に、駆動源の回転速度を異なる変速比で変速して伝達する変速制御装置において、
常時中立位置に付勢されるとともに、複数の位置に移動可能に形成されたシフトレバー、及び、前記シフトレバーの位置を検出する検出手段を有するシフト操作装置と、
前記車両の走行状態に基づいて前記変速比を自動で変速する自動変速、及び、前記シフトレバーの移動に基づいて前記変速比を変速する手動変速が可能な変速機と、
前記自動変速及び前記手動変速を前記シフト操作装置による少なくとも2つの動作で切り換える切換手段と、
を備えることを特徴とする変速制御装置。
【請求項2】
前記切換手段は、前記シフトレバーを2方向に移動させることで、前記自動変速及び前記手動変速を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項3】
前記切換手段は、前記シフトレバーを1方向に移動後、所定時間保持することで、前記自動変速及び前記手動変速を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項4】
前記切換手段は、前記シフトレバーを2方向に移動後、所定時間保持することで、前記自動変速及び前記手動変速を切り換えることを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項5】
前記変速機は、前記自動変速切換時に、第1走行モードと前記第1走行モードより回生ブレーキを増加制御する第2走行モードが選択可能に形成され、
前記シフト操作装置は、前記第2走行モードを選択する前記シフトレバーの位置が、前記手動変速切換時のシフトダウン選択位置と同一に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。
【請求項6】
前記変速機は、前記自動変速切換時に、第1走行モードと前記第1走行モードより回生ブレーキを増加制御する第2走行モードが選択可能に形成され、
前記シフト操作装置は、前記第2走行モードを選択する前記シフトレバーの位置が、前記手動変速切換時のシフトアップ選択位置と同一に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の変速制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−86675(P2013−86675A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229699(P2011−229699)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】