説明

多層配線基板及びその製造方法

【課題】 コア基板を貫通して形成する導通部を高密度に形成することができ、放熱性、電気的特性に優れた多層配線基板を提供する。
【解決手段】 コア基板の両面または片面に配線パターン34、36が形成され、コア基板を貫通させて形成された導体部に前記配線パターンが電気的に接続された多層配線基板において、前記コア基板が、めっきにより形成されたビア柱26と導体コア部28とからなる導体部と、該ビア柱26と導体コア部28を電気的に絶縁する絶縁体部20とから成る。コア基板に配線パターンを形成した後、導体基板10を除去することによって多層配線基板が得られる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はコア基板を用いた多層配線基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】コア基板を用いた従来の多層配線基板は、ガラスまたは有機物の織布あるいは不織布にエポキシ等の樹脂材を含浸させた樹脂基板をコア基板材料として使用したものであり、このコア基板上にビルドアップ法等によって多層に配線パターンを形成している。コア基板には厚さ方向に貫通する貫通孔を設け、めっき等によって貫通孔の内壁面に設けた導通部を介してコア基板の両面の配線パターンが電気的に接続される。コア基板に貫通孔を形成する場合、従来はドリル加工あるいはレーザ加工によって形成し、貫通孔を形成した後、無電解銅めっき及び電解銅めっきを施すことによって貫通孔の内壁面に導通部を形成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ドリル加工あるいはレーザ加工によってコア基板に貫通孔を形成する場合は、貫通孔をひとつづつ孔あけ加工していくから、大判の樹脂基板を使用して複数の基板を一度に形成するとしても、加工効率の点で問題があり、加工コストがかかるという問題があった。また、ドリル加工あるいはレーザ加工によって貫通孔を形成していく方法では、貫通孔を小径に形成する場合でも技術上及び製造効率上で限度があり、貫通孔をさらに高密度にかつ多数個形成する製品の場合には有効な方法とはいえないという問題があった。
【0004】本発明はこれらの問題点を解消すべくなされたものであり、その目的とするところは、コア基板にドリル加工やレーザ加工を施すことなく、コア基板の両面の配線パターンを電気的に接続する導通部を容易に形成することができ、導通部をさらに高密度に多数個形成することが容易に可能となる多層配線基板及びその好適な製造方法を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。すなわち、コア基板の両面または片面に配線パターンが形成され、コア基板を貫通させて形成された導体部に前記配線パターンが電気的に接続された多層配線基板において、前記コア基板が、めっきにより形成されたビア柱と導体コア部とからなる導体部と、該ビア柱と導体コア部を電気的に絶縁する絶縁体部とから成ることを特徴とする。また、ビア柱及び導体コア部と隣接層のビア柱及び導体コア部とが、電気的絶縁性を有する絶縁層を介して複数層に積み重ねて形成され、絶縁層を貫通させて設けた中間ビアを介して、隣接層のビア柱が互いに電気的に接続されているとともに、選択された隣接層の導体コア部が互いに電気的に接続されていることにより、コア基板の強度を保持することができ、層間で適宜導体コア部を電源層あるいは接地層として利用することができる。また、導体コア部を、電源層または接地層とすることによって、多層配線基板の電気的特性を改善することができる。また、絶縁体部が、耐熱性樹脂から成ることにより、耐久性の高い多層配線基板として得ることができる。
【0006】また、多層配線基板の製造方法として、導体基板の一方の面に、ビア柱と導体コア部とから成る導体部を形成する部位が露出するレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、前記一方の面上に導体基板をめっき給電層として電解めっきを施してビア柱と導体コア部とからなる導体部を形成し、次いで、前記レジストパターンを除去した後、前記ビア柱と導体コア部との間に電気的絶縁性を有する絶縁樹脂を充填して、前記導体部と絶縁体部とから成るコア基板を形成し、該コア基板上に、前記ビア柱と電気的に接続され必要に応じて導体コア部と電気的に接続された配線パターンを形成するとともに、層間で電気的に接続された配線パターンを複数層に形成した後、前記導体基板を除去することを特徴とする。また、導体基板の一方の面に、多層配線基板の一方の面側の配線パターンとなる配線層を形成した後、該配線層上にコア基板を積層して形成し、その後、他面側の配線パターンとなる配線層を形成して導体基板を除去することにより、導体基板の一方の面上で多層配線基板の両面の配線パターンを形成することが可能になる。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る多層配線基板の製造方法の一実施形態を示す説明図であり、多層配線基板のコア基板を形成するまでの工程を示している。本発明の多層配線基板の製造方法は、めっき給電層を兼ねた支持体として導体基板10を使用し、この導体基板10の上にコア基板の両面に形成される配線パターンを電気的に接続する導通部を含めてコア基板を形成した後、導体基板10をエッチングにより除去してコア基板を得るものである。
【0008】図1(a) は導体基板10としてアルミニウム板を使用し、この導体基板10の表面にはんだボール等の外部接続端子を接合するためのパッド12を形成した状態を示す。本実施形態では、多層配線基板の実装面側に形成するパッドを合わせて形成するため、まず、導体基板10の表面にパッド12を形成したものである。もちろん、はじめからパッド12を形成せずに、導体基板10にコア基板のみを形成してもよい。
【0009】導体基板10はコア基板を形成した後にエッチング等によって除去するから、導体基板10にはコア基板から簡単に除去できる材料を選択する。本実施形態で使用しているアルミニウム板は配線パターンに使用する銅とはエッチング液が異なることと化学的エッチングによって容易に溶解除去できるという利点がある。パッド12は導体基板10の一方の面に、銅めっきあるいは銅をスパッタリングして導体層を形成し、この導体層を所定のパターンにエッチングして得られる。
【0010】図1(b) は、次に、電解めっきによりコアに形成するビア柱の基部に接続する基部ビアをパッド12の上に形成するためのレジストパターン14を形成した状態である。レジストパターン14はめっきレジストとして、パッド12上で基部ビアを形成する部位に、底面でパッド12が露出するレジスト穴16を形成したもので、導体基板10の表面に感光性レジストを塗布し、基部ビアを形成するパターンにしたがって露光、現像することによって形成することができる。図1(c) は、導体基板10をめっき給電層とする電解めっきにより、レジスト穴16内に基部ビア18を形成した状態である。図1(d) は、次に、レジストパターン14を除去した状態であり、導体基板10の上にパッド12と基部ビア18が形成されている。
【0011】図1(e) は、次に、基部ビア18を形成した導体基板10の一方の面に絶縁樹脂を塗布して絶縁体部20aを形成した状態である。絶縁体部20aはコア基板の絶縁体部を構成するものであり、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性及び耐久性を有する樹脂が好適に使用できる。絶縁樹脂を塗布するかわりに絶縁樹脂フィルムをラミネートして絶縁体部20aを形成することもできる。なお、絶縁樹脂を塗布し、あるいは絶縁樹脂フィルムをラミネートして絶縁層を形成した後、基部ビア18の端面を被覆している絶縁層を化学的あるいは物理的に研磨して基部ビア18の端面を絶縁体部20aの表面に露出させる。
【0012】図1(f) は、次に、導体コア部とビア柱を形成するためのめっき給電層として、絶縁体部20aの表面と基部ビア18の表面を含む全面に導体層22を形成した状態である。導体層22は無電解銅めっきあるいは銅のスパッタリング等によって形成することができる。導体層22は必要により電解銅めっきを施して厚く形成してもよい。絶縁体部20aの表面にめっき給電層として導体層22を形成する場合、あらかじめ過マンガン酸カリウム溶液に絶縁体部20aを浸漬させ絶縁体部20aの表面を粗化しておくとよい。
【0013】図1(g) は、次に、導体層22をめっき給電層として、基部ビア18に接続するビア柱と、隣接するビア柱の中間に配置される導体コア部とを電解めっきにより形成するためのレジストパターン24を形成した状態を示す。レジストパターン24は導体層22の表面に感光性レジストを塗布し、ビア柱と導体コア部とを形成するパターンにしたがって露光、現像して得られる。レジストパターン24は感光性レジストを塗布するかわりにフィルム状の感光性レジストを被覆して形成することもできる。ビア柱および導体コア部はコア基板の主要構成部分となるものであり、コア基板として所要の強度を有するため少なくとも50μm程度以上の厚さに形成することが望ましい。レジストパターン24もこれらの厚さに合わせて膜厚が設定される。
【0014】図1(h) は、次に、導体層22をめっき給電層として電解銅めっきを施しビア柱26と導体コア部28を形成した後、レジストパターン24を除去した状態である。導体層22をめっき給電層とする電解銅めっきによって、導体基板10上ですべてのビア柱26と導体コア部28が形成される。ビア柱26は基部ビア18ともにコア基板の両面に形成される配線パターンを電気的に接続するものである。導体コア部28はコア基板を補強し、コア基板の放熱性を向上させるという作用があり、また、電源層、接地層として利用することができる。
【0015】図1(h) の状態でビア柱26と導体コア部28を形成した面側をエッチングすると、ビア柱26及び導体コア部28よりもはるかに薄く形成されている導体層22の露出部がはじめにエッチングされて除去される。これによって、ビア柱26と導体コア部28が電気的に絶縁される。図1(i) は、導体層22の露出部をエッチングして除去した後、絶縁体部20aを形成した方法と同様にしてビア柱26と導体コア部28を形成した面にエポキシ樹脂あるいはポリイミド樹脂等の絶縁樹脂を塗布してビア柱26と導体コア部28との間に絶縁樹脂を充填してコア基板の絶縁体部20を形成した状態である。なお、絶縁樹脂を塗布するかわりに絶縁樹脂フィルムをラミネートしてもよい。絶縁樹脂を塗布しあるいは絶縁樹脂フィルムをラミネートした後、ビア柱26と導体コア部28の表面を被覆している絶縁層を化学的あるいは物理的に研磨して除去し、ビア柱26と導体コア部28の端面を露出させ、ビア柱26に上層の配線パターンが電気的に接続されるようにする。
【0016】図1(i) で、導体基板10に積層して形成された基部ビア18とビア柱26とはコア基板の両面に形成される配線パターンを電気的に接続する導通部となる。そして、この導通部と導体コア部28及び絶縁体部20とを含めた基板部分が多層配線基板のコア基板である。本実施形態では、多層配線基板の実装面側に形成するパッド12を含めて導体基板10の上にコア基板を形成した。コア基板にさらに配線パターンを複数層に形成する場合は、図1(i) に示す状態からさらに配線パターンを形成すればよい。
【0017】図2は図1(i) の状態からさらに配線パターンを形成して多層配線基板を形成する工程を示す。図2(a) は、コア基板の表面に絶縁層30を形成し、ビア柱26の端面位置に合わせして絶縁層30にビア穴30aを形成した状態を示す。ポリイミド等の絶縁樹脂を塗布し、あるいは絶縁樹脂フィルムを被覆することによって絶縁層30を形成し、レーザ光を照射してビア穴30aを形成することができる。なお、感光性ポリイミド等の感光性樹脂を塗布し、露光、現像によりビア穴30aを形成することもできる。図2(b) は、次に、無電解銅めっき及び電解銅めっき、あるいは銅のスパッタリングを施して絶縁層30の表面に導体層32を形成した状態である。
【0018】導体層32をエッチングすることによって配線パターン34が形成され、ビア穴30aに充填された導体を介してビア柱26と配線パターン34とが電気的に接続される。 図2(c) は、コア基板の上に2層に配線パターン34、36を形成した状態を示す。層間で配線パターンを電気的に接続して配線パターンを多層に形成するには、上述したように、ビア穴を形成した絶縁層の表面に導体層を形成し、導体層をエッチングして所定の配線パターンを形成する方法を繰り返せばよい。
【0019】図2(d) は、半導体素子が搭載される最上層の配線層を、半導体素子のパッドが接合される配線パターン36の接続部38を除いてソルダーレジスト40によって被覆し、実装面側については、導体基板10をエッチングして除去し、外部接続端子を接合するパッド12部分を除いてソルダーレジスト42により被覆して多層配線基板を得たものである。 このように、コア基板の片面側のみに複数層で配線パターンを形成する場合には導体基板10は配線パターンを形成するまで除去する必要はない。導体基板10によってコア基板を支持しながら配線パターンを多層に形成する方法は、多層配線基板を確実に支持することができ、寸法精度を向上させることができるという利点がある。
【0020】図2(d) に示す多層配線基板は、コア基板の主要部がビア柱26と導体コア部28との導体部によって形成されていることによって、コア基板自体の剛性が高く、また、導体コア部により良好な放熱性が得られるものとなっている。また、ビア柱26と導体コア部28との間に充填されている絶縁体部20も耐熱性に優れた樹脂を使用することによってコア基板の信頼性を向上させることが可能となる。また、コア基板に導通部を形成する際に、本実施形態では感光性レジストを露光、現像してレジストパターンを形成し、めっきによりビア柱26を形成しているから、従来のドリル加工等で導通部を形成する方法にくらべてはるかに高密度にかつ高精度に形成することが可能である。また、本方法による場合は、導通部が多数になっても製造効率上の問題がないという利点がある。
【0021】なお、上記実施形態では、パッド12とビア柱26とを接続する中間に基部ビア18を設けている。基部ビア18はパッド12と他方の配線パターン34、36とを電気的に接続する点においては特徴的な作用は有しないが、ビア柱26よりも細径に設けることによって絶縁体部20とのくいつき性を良好にしている。パッド12と基部ビア18とによって絶縁体部20の樹脂を逆止する形状となっている。また、上記実施形態では、導体基板10としてアルミニウム板を使用したが、樹脂基板等の電気的絶縁性を有する基板に導体層を形成した支持基板を使用してコア基板を形成することも可能である。
【0022】図3は、導体基板10を用いてコア基板を形成する他の実施形態を示す。この実施形態は、上記実施形態のように多層配線基板の実装面側に設けるパッド12を合わせて形成するのではなく、単に、導体基板10の上にコア基板を形成する方法である。図3(a) は導体基板10の表面にビア柱26と導体コア部28を形成するためのレジストパターン24を形成した状態である。この状態から導体基板10をめっき給電層として電解銅めっきを施すことによってビア柱26と導体コア部28を形成する(図3(b) )。
【0023】次に、レジストパターン24を除去し、絶縁樹脂を塗布しあるいは絶縁樹脂フィルムをラミネートしてビア柱26と導体コア部28との間に絶縁体部20を充填する(図3(c) )。絶縁樹脂を塗布あるいは絶縁樹脂フィルムをラミネートした後、ビア柱26と導体コア部28の表面を被覆している絶縁体部20の表面を化学的あるいは物理的に研磨してビア柱26と導体コア部28の端面を露出させる。この研磨処理はビア柱26と導体コア部28及び絶縁体部20の表面を平坦面にする平坦化処理の意味もある。
【0024】図3(c) の状態から導体基板10をエッチングして除去することにより、ビア柱26及び導体コア部28と、ビア柱26と導体コア部28との間を充填する絶縁体部20によって平板状に形成されたコア基板が得られる。図4はこうして得られたコア基板を用いて形成した多層配線基板の実施形態を示す。コア基板で半導体素子を搭載する面側では、絶縁層30を介して配線パターン34、36を形成し、半導体素子との接続部38を除いてソルダーレジスト40により配線パターン36を被覆する。コア基板の実装面側では、ビア柱26の端面を露出させてソルダーレジスト42によって被覆する。なお、必要に応じて導体コア部28の端面をソルダーレジスト42から露出させてもよい。50はビア柱26の端面に接合した外部接続端子のはんだボールである。
【0025】上記各実施形態ではコア基板に設けたビア柱26及び導体コア部28は一層であるが、ビア柱26および導体コア部28を複数層に設けたコア基板を用いて多層配線基板を形成することも可能である。図5、6はビア柱26と導体コア部28を2層に形成したコア基板の製造方法を示す。図5(a) は、導体基板10に1層目のビア柱26と導体コア部28を形成した状態である。この状態は図1に示すコア基板の製造方法のうち図1(i) の状態を示す。図5(b) は、絶縁体部20、ビア柱26、導体コア部28の表面にめっき給電用の導体層60を形成した状態である。導体層60は前述した方法と同様に無電解銅めっき、スパッタリング等によって形成する。
【0026】図5(c) は導体層60の表面に中間ビア62を形成した状態である。中間ビア62は積層して形成するビア柱26及び導体コア部28を電気的に接続するために設けるものであり、導体コア部28については電気的に接続する導体コア部28を選択して形成する。導体層60の表面に中間ビア62を形成する部位を露出させたレジストパターンを設け、導体層60をめっき給電層とする電解めっきを施して中間ビア62を形成する。図5(c) はレジストパターンを除去した状態である。図5(d) はエッチングにより導体層60を除去し、1層目のビア柱26と導体コア部28の表面に中間ビア62を形成した状態である。図5(e) は、中間ビア62を形成した面を絶縁層64により被覆し、中間ビア62の端面を露出した状態である。
【0027】図6(a) は次層のビア柱と導体コア部を形成するため、絶縁層64の表面にめっき給電用の導体層66を形成した状態である。導体層66を形成する方法は前述した方法と同様の方法による。図6(b) は導体層66の表面に2層目のビア柱26aと導体コア部28aとを形成した状態である。ビア柱26aと導体コア部28aを形成するパターンにしたがって導体層66の表面にレジストパターンを設け、導体層66をめっき給電層とする電解めっきを施して、所要の厚さにビア柱26aと導体コア部28aを形成する。図6(b) は、レジストパターンを除去した状態である。この状態で導体層66をエッチングすることにより導体層66の露出部分が絶縁層64から除去され、ビア柱26aと導体コア部28aとが電気的に絶縁される。
【0028】図6(d) はビア柱26aと導体コア部28aとの間に絶縁樹脂を充填して絶縁体部20を形成した状態を示す。1層目のビア柱26と2層目のビア柱26aとが中間ビア62を介して電気的に接続され、1層目の導体コア部28と2層目の導体コア部28aとが中間ビア62を介して電気的に接続される。これら、ビア柱26、26a、導体コア部28、28a、中間ビア62は電気的絶縁性を有する絶縁体部20内に埋設され、2層に形成された導体部を有するコア基板が得られる。
【0029】積層して形成した導体コア部28、28aを中間ビア62を介して電気的に接続することにより、導体コア部28、28aをともに接地層、電源層として使用することができ、絶縁層64によって導体コア部28、28aを電気的に絶縁して形成した場合には、一方を接地層、他方を電源層とするといった使用のしかたが可能になる。上述した製造方法は、導体コア部を順次積層して形成するものであり、適宜層数に導体部を形成することができ、層間での導体部の電気的接続についても適宜選択することができる。
【0030】図7は複数層の導体部を有するコア基板を用いて多層配線基板を形成した実施形態を示す。コア基板の一方の面側に絶縁層30を介して複数層に配線パターン34、36が形成されている。40は多層配線基板に搭載する半導体素子の接続部38を除いて配線層の表面を被覆するソルダーレジストである。50はパッド12に接続したはんだボールである。ビア柱と導体コア部を複数層に形成したコア基板を使用する場合は、導体コア部を電源層あるいは接地層として利用できること、導体コア部が1層のみではコア基板の強度が不十分の場合に導体コア部を複数層に形成することにより所要のコア基板の強度を得ることができる等の利点がある。
【0031】
【発明の効果】本発明に係る多層配線基板及びその製造方法によれば、上述したように、コア基板に設ける導通部であるビア柱を形成する方法として、導体基板上にビア柱と導体コア部とを形成するためのレジストパターンを形成し、導体基板をめっき給電層とする電解めっきによって形成するから、従来のドリル加工あるいはレーザ加工によって基板に貫通孔を形成して導通部を形成する方法にくらべて微細にかつ高密度に導通部を形成することが可能になる。また、導通部は電解めっきによって形成するからきわめて多数個の導通部を形成するといった場合でも効率的に形成することが可能になる。また、多層配線基板のコア基板に電解銅めっきで形成した銅の導体コア部を設けたことによってコア基板の強度を向上させることができ、ビア柱と導体コア部の導体部がコア基板の主要部を構成してコア基板の放熱性を効果的に向上させることができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層配線基板のコア基板を製造する方法を示す説明図である。
【図2】コア基板に配線パターンを形成して多層配線基板を製造する方法を示す説明図である。
【図3】コア基板の他の製造方法を示す説明図である。
【図4】多層配線基板の構成例を示す断面図である。
【図5】ビア柱と導体コア部を2層設けたコア基板の製造方法を示す説明図である。
【図6】ビア柱と導体コア部を2層設けたコア基板の製造方法を示す説明図である。
【図7】多層配線基板のさらに他の実施形態の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
10 導体基板
12 パッド
14 レジストパターン
18 基部ビア
20、20a 絶縁体部
22 導体層
24 レジストパターン
26、26a ビア柱
28、28a 導体コア部
30 絶縁層
30a ビア穴
32 導体層
34、36 配線層
38 接続部
40、42 ソルダーレジスト
50 はんだボール
60 導体層
62 中間ビア
64 絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】 コア基板の両面または片面に配線パターンが形成され、コア基板を貫通させて形成された導体部に前記配線パターンが電気的に接続された多層配線基板において、前記コア基板が、めっきにより形成されたビア柱と導体コア部とからなる導体部と、該ビア柱と導体コア部を電気的に絶縁する絶縁体部とから成ることを特徴とする多層配線基板。
【請求項2】 ビア柱及び導体コア部と隣接層のビア柱及び導体コア部とが、電気的絶縁性を有する絶縁層を介して複数層に積み重ねて形成され、絶縁層を貫通させて設けた中間ビアを介して、隣接層のビア柱が互いに電気的に接続されているとともに、選択された隣接層の導体コア部が互いに電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の多層配線基板。
【請求項3】 導体コア部が、電源層または接地層であることを特徴とする請求項1または2記載の多層配線基板。
【請求項4】 絶縁体部が、耐熱性樹脂から成ることを特徴とする請求項1、2または3記載の多層配線基板。
【請求項5】 導体基板の一方の面に、ビア柱と導体コア部とから成る導体部を形成する部位が露出するレジストパターンを形成し、該レジストパターンをマスクとして、前記一方の面上に導体基板をめっき給電層として電解めっきを施してビア柱と導体コア部とからなる導体部を形成し、次いで、前記レジストパターンを除去した後、前記ビア柱と導体コア部との間に電気的絶縁性を有する絶縁樹脂を充填して、前記導体部と絶縁体部とから成るコア基板を形成し、該コア基板上に、前記ビア柱と電気的に接続され必要に応じて導体コア部と電気的に接続された配線パターンを形成するとともに、層間で電気的に接続された配線パターンを複数層に形成した後、前記導体基板を除去することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
【請求項6】 導体基板の一方の面に、多層配線基板の一方の面側の配線パターンとなる配線層を形成した後、該配線層上にコア基板を積層して形成し、その後、他面側の配線パターンとなる配線層を形成して導体基板を除去することを特徴とする請求項5記載の多層配線基板の製造方法。

【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2000−299404(P2000−299404A)
【公開日】平成12年10月24日(2000.10.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平11−107757
【出願日】平成11年4月15日(1999.4.15)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】