説明

太陽電池

【課題】高温ポストアニールのステップを必要とせず、従来の低温ポリシリコン薄膜トラ
ンジスタと集積可能な、高効率の太陽電池を提供する。
【解決手段】基板と、前記基板上に形成された第1導電層と、前記第1導電層上に形成されたNドープまたはPドープの第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成され、複数のレーザー誘起凝集シリコンナノドットを有するシリコンリッチ誘電体層と、前記シリコンリッチ誘電体層上に形成されたNドープまたはPドープの第2半導体層と、前記第2半導体層上に形成された第2導電層と、を含み、前記基板、前記第1導電層、および前記第1半導体層と、前記第2半導体層および前記第2導電層と、のいずれかは、透明材料からなることを特徴とする太陽電池。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件発明は、太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
光電池(又は光起電)素子(Photo−Voltaic Device、 PV)は、例えば太陽電池、タッチパネル、環境光(UV−blue)センサ、全領域の光検出器と、高解像度薄膜トランジスタディスプレイなどの各種領域に広く用いられている。光起電素子は、通常、ナノ結晶が形成されている。一般的に、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体材料は、材料のバンドギャップと量子ドットの閉じ込め効果に基づいてナノ結晶が製造される。特許文献1には光起電素子が開示されている。シリコンナノクラスターの製造は、通常、SiO(x<2)からシリコンナノクラスターを凝結し、化学気相堆積法、高周波(RF)スパッタリング、又はシリコン注入法を用いて薄膜を形成している。この薄膜は、通常、シリコンリッチ酸化シリコン(SRSO)、又はシリコンリッチ酸化物(SRO)と言われている。化学気相堆積法、高周波スパッタリングを用いて高温でアニールを行った時、通常、シリコンリッチ酸化シリコンで波長590nm〜750nmの範囲内でフォトルミネセンス(PL)のピークを得ることができる。しかし、シリコンリッチ酸化物(SRO)の量子効率が比較的低いため、フォトルミネセンスの強度が弱く、その応用は光起電素子に限定されている。
【0003】
エルビウムドープのナノ結晶シリコンを作るエルビウム(Er)注入の技術もシリコンをベースにした光源に用いられている。しかし、従来の注入プロセスの技術は、ドーパントを均一に分布させることができないため、発光効率は低く、且つコストは増加する。また、現在のインターフェースの技術は、このようなドーパントを用いるのに不十分である。Si/SiO超格子構造を用いて結晶サイズを制御するには時間がかかり、且つ高温で行う堆積プロセスとなり、シリコン結晶のサイズと、ナノ結晶シリコンと二酸化シリコンのインターフェースの制御を両立できない。この素子の効率は、非常に低く、素子の応用可能な範囲は限定される。素子の効率を改善するために、ナノ結晶シリコンと二酸化シリコンとの間に大きなインターフェース面積が必要となる。
【0004】
また、不揮発性メモリ市場は、主にフローティングゲート素子を用いている。国際半導体技術2001年のロードマップ(international technology roadmap for semiconductors 2001)に基づくと、フローティングゲート素子のトンネル酸化物(tunnel oxides)の厚さは、次世代で約5nmの厚さとなり、トンネル酸化物が薄くなると、酸化物に1つ又は2つの欠陥があれば異常な漏電を招き、不揮発性メモリ素子に保存したデータの流出が生じてしまう。電荷保存を不連続的にすれば、上述の問題を回避することができるため、トンネル酸
化物にたいするプログラム/消去電圧を低電圧化できる。低電圧化できれば、電圧印加ポンプを小さくすることができ、フローティンゲイト素子の集積化に当たっては、ダブルポリシステムを省略することに因るコストダウンが可能になる。よって、分離(discrete)、トラップ状(trap−like)の記憶ノードを用いた不揮発性メモリ素子は、新たな注目を引いている。
【0005】
図27は、従来のフローティングゲートの不揮発性メモリ素子1600を表しており、ソース電極1602、ドレイン電極1606と、ゲート電極1604を含み、反転層1612がp型半導体基板のソース電極1602とドレイン電極1606との間に形成され、絶縁層1608がフローティングゲート1610とゲート電極1604との間に形成されている。フローティングゲート1610は、絶縁層1608によって囲まれるため、保存電荷がフローティングゲート1610内に位置される。
【0006】
図28は、従来のシリコン酸化窒化酸化シリコン(SONOS)型の不揮発性メモリ素子1700の断面図を表しており、堆積構造を取っている。ソース電極とドレイン電極(図示していない)は、半導体基板(表示していない)上に形成され、且つ半導体基板のソース領域1710とドレイン領域1720にそれぞれ接続する。堆積構造は、トンネル酸化層となる第1酸化シリコン層1730、多結晶シリコン層1740、第2酸化シリコン層1750、窒化ケイ素層1760、第3酸化シリコン層1770と、ゲート電極となる導電層1780で構成されている。シリコン酸化窒化酸化シリコン(SONOS)型の不揮発性メモリ素子の製造プロセスは、非常に複雑で、且つトンネル酸化層を薄くすると、異常な漏電の問題を招く。
【0007】
従来は、シリコンリッチ窒化物とシリコンリッチ酸化物に埋設されたシリコンナノドットは、不揮発性メモリ素子のデータの保存時間と信頼度を増加するための電荷トラップ媒体として用いられるが、ポストアニーリング工程で高温処理が必要である。しかし、前述の製造の困難さにより、一般の製造プロセスではガラスパネルに組む入れることが容易ではなかった。従って、高温ポストアニールのステップを必要とせず、従来の低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS TFT)と集積可能な、簡単で高効率の発光素子の製造プロセスが光素子(発光素子と光検出素子)にとって必要とされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許公開 2006/0189014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体及びその製造方法、並びにそのシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える太陽電池、不揮発メモリ素子、感光素子とその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件発明に係る太陽電池:基板と、前記基板上に形成された第1導電層と、前記第1導電層上に形成されたNドープまたはPドープの第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成され、複数のレーザー誘起凝集シリコンナノドットを有するシリコンリッチ誘電体層と、前記シリコンリッチ誘電体層上に形成されたNドープまたはPドープの第2半導体層と、前記第2半導体層上に形成された第2導電層と、を含み、前記基板、前記第1導電層、および前記第1半導体層と、前記第2半導体層および前記第2導電層と、のいずれかは、透明材料からなることを特徴としている。
【0011】
本件発明に係る太陽電池においては、前記シリコンリッチ誘電体層は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、または上述の組み合わせであることも好ましい。
【0012】
本件発明に係る太陽電池においては、前記シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.4〜2.3であることも好ましい。
【0013】
本件発明に係る太陽電池においては、前記シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.47〜2.5であることも好ましい。
【0014】
本件発明に係る太陽電池においては、前記シリコンリッチ誘電体層は、シリコンリッチ酸化層、またはシリコンリッチ窒化層であり、前記シリコンリッチ酸化層の屈折率は、1.47〜2.5であり、前記シリコンリッチ窒化層の屈折率は、約1.7〜2.5であることも好ましい。
【0015】
本件発明に係る太陽電池においては、前記シリコンリッチ誘電体層の厚さは、約50〜1000nmであり、前記レーザー誘起凝集シリコンナノドットの密度は、約1×1011/cm〜1×1012/cmであることも好ましい。
【0016】
本件発明に係る太陽電池においては、少なくとも一部の前記レーザー誘起凝集シリコンナノドットの直径は、2〜10nmであり、前記レーザー誘起凝集シリコンナノドットの密度は、約1×1011/cm〜1×1012/cmであることも好ましい。
【0017】
本件発明に係る太陽電池においては、前記第1半導体層及び前記第2半導体層は、レーザー結晶化(laser crystallized)N型半導体またはレーザー結晶化P型半導体であることも好ましい。
【0018】
本件発明に係る太陽電池においては、前記第1導電層及び前記第2導電層は、金属または金属酸化物であることも好ましい。
【0019】
本件発明に係る太陽電池においては、前記第2導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、または上述の組み合わせを含むことも好ましい。
【0020】
本件発明に係る太陽電池においては、前記第2導電層は、金、銀、銅、鉄、スズ、鉛、カドミウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ハフニウム、ネオジム、これらの合金、複合層、これらの窒化物またはこれらの酸化物を含むことも好ましい。
【0021】
本件発明に係る太陽電池においては、前記第2導電層は、透明材料と反射材料とを組み合わせて形成されることも好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本件発明は、太陽電池素子の光起電素子層、又は光検出器の感光層を構成するシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体の製造に低温下で高効率のレーザーアニールプロセスを用い、シリコンリッチ誘電体層内にレーザー誘起凝集シリコンナノドットを形成する。この、レーザー誘起凝集シリコンナノドットは、高密度で均一に分布しており、直径のバラツキも小さい。このプロセスを採用すれば、高温ポストアニールのプロセスが必要無いため、従来の低温ポリシリコン薄膜トランジスタを集積した構造で製造することができる。本件発明に係るレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層は、太陽電池の他、タッチパネル式フラットパネルディスプレイ、環境光センサや光検出器にも適用が可能である。本件発明の実施例で製造したシリコンナノドットの量子ドットを不揮発性メモリ素子の記憶ノードとすれば、より高い保存時間、信頼度と、操作速度を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体の断面図である。
【図2】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体の製造方法である。
【図3】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体の製造の流れ図である。
【図4】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層が含むシリコンナノドットの直径分布である。
【図5】フォトルミネセンスの強度とシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層の多層構造体から照射された光の波長の関係である。
【図6】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にレーザー誘起凝集(laser−induced aggregation )を含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える多層構造体太陽電池の断面図である。
【図7】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える太陽電池の断面図である。
【図8】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える太陽電池の断面図である。
【図9】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える太陽電池の断面図である。
【図10】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える太陽電池の製造方法である。
【図11】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える太陽電池の製造方法である。
【図12】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える太陽電池のマルチバンドギャップスペクトルである。
【図13】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える不揮発性メモリ素子である。
【図14】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える不揮発性メモリ素子である。
【図15】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える不揮発性メモリ素子である。
【図16】本件発明に係るに係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える不揮発性メモリ素子の製造方法である。
【図17】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える不揮発性メモリ素子の製造方法である。
【図18】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える不揮発性メモリ素子の製造方法である。
【図19】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える不揮発性メモリ素子に書き込み、読み取り及び消去を行うバンド図である。
【図20】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える感光素子の概略図である。
【図21】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える感光素子の応用例の概略図である。
【図22】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える多重(multiple)感光素子を含む共通回路である。
【図23】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える読み取り用の薄膜トランジスタと感光素子の断面図である。
【図24】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える感光素子を低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS)に統合した断面図である。
【図25】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備えるディスプレイパネルである。
【図26】本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層内にシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を備える表示領域の複数の画素の1つの画素である。
【図27】従来のフローティングゲートの不揮発性メモリ素子である。
【図28】従来のシリコン酸化窒化酸化シリコン(SONOS)型の不揮発性メモリ素子の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本件発明についての目的、特徴、長所が一層明確に理解できるよう、以下に実施形態を例示し、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0025】
先ず、図1〜図3を説明する。100が本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層30内にシリコンナノドット40を含む多層構造体である。図1は、シリコンリッチ誘電体層30のシリコンナノドット40を含む多層構造体100の断面図である。この多層構造体100は、基板10、第1導電層20、シリコンリッチ誘電体層30と、シリコンリッチ誘電体層30内に含まれる複数のシリコンナノドット40で構成されている。図2Dに示されるように、もう1つの導電層50は、シリコンナノドット40を有するシリコンリッチ誘電体層45上に形成できる。図3は、図2A〜図2Dの流れ図300を表しており、シリコンリッチ誘電体層30内のシリコンナノドット40を含む多層構造体100の形成方法を示している。
【0026】
図3に示すように、図1に示すシリコンリッチ誘電体層30内にシリコンナノドット40を含む多層構造体100の製造方法は、以下のステップを含む
(a)基板10上(図3のステップ310)に第1導電層20を形成するステップ。
(b)第1導電層20上(図3のステップ320)にシリコンリッチ誘電体層30を形成するステップ。
(c)シリコンリッチ誘電体層30に少なくともレーザーアニールを行い、シリコンリッチ誘電体層30内のシリコンリッチ成分を凝集させ、シリコンリッチ誘電体層30に複数のシリコンナノドット40(図3のステップ330)を形成するステップ。
(d)シリコンリッチ誘電体層45上に第2導電層50(図3のステップ340)を形成するステップ。
【0027】
上記製造工程のステップは、順次に行う必要が無く、且つ上記のプロセスは本件発明の唯一の方法でもない。
【0028】
ある実施形態では基板10にはガラス基板を用い、別の実施形態では、基板10にはプラスチック薄膜を用いることもできる。
【0029】
そして、第1導電層20と第2導電層50は、金属、金属酸化物、又はこれらの組み合わせとできる。金属は、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、モリブデン、リチウム、上述の合金、又はその組み合わせとできる。金属酸化物は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、又はこれらの組み合わせとできる。
【0030】
ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30は、シリコンリッチ酸化薄膜であり、別の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30は、シリコンリッチ窒化薄膜である。シリコンリッチ誘電体層30は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって形成され、そのプロセスの条件は、気圧が1トル(torr)の低圧、温度が400℃以下である。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30を形成する温度は、200〜400℃、又は350〜400℃であるが、370℃が好ましい。シリコンリッチ誘電体層を形成する有効な製造プロセスの時間は、約13秒〜250秒であり、25秒〜125秒が好ましい。シリコンリッチ誘電体層の厚さは、100〜500nmが好ましい。シリコンリッチ誘電体層を形成する製造プロセスでは、シリコン含有量比[(SiH):(NO)]を調整することでシリコンリッチ誘電体層30の屈折率を制御する。ある実施形態では、シリコン含有量比[(SiH):(NO)]は、1:10〜2:10の範囲で調整され、製造されるシリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.40〜2.30、又は1.47〜2.50である。シリコン含有量比[(SiH):(NO)]は、1:5〜1:1の範囲で調整されることが好ましく、製造されるシリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.50〜2.30、又は1.50〜2.50であるか、又はシリコン含有量比[(SiH):(NO)]の範囲が約1:10〜1:1でシリコンリッチ誘電体層の屈折率を少なくとも1.47〜2.50の範囲内にする。シリコンリッチ誘電体層はまた、その他の方法、又は製造プロセスを用いて製造することもできる。
【0031】
効率的なフォトルミネセンス効果を得るためには、シリコンリッチ誘電体層30の屈折率は、特定範囲にあるのが好ましい。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.47〜2.50である。別の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.70〜2.50である。
【0032】
レーザーアニールのステップでは、400℃以下の温度に調整した周波数率とレーザーエネルギー密度のエキシマレーザー光によってシリコンリッチ誘電体層30にアニールを行う。ある実施形態では、エキシマレーザー光の照射条件は、圧力が約1気圧(760 torr)、又は1×10−3パスカル(Pa)、温度が400℃以下である。別の実施形態では、エキシマレーザアニールの温度は、室温(約20〜25℃又は68〜77°F)であり、本件発明は、その他の形態の製造プロセスとして、異なるエキシマレーザー光の照射条件を用いることができる。
【0033】
本実施形態では、レーザー波長とレーザーエネルギーを調整して必要な直径のシリコンナノドットを得る。シリコンナノドットの直径範囲は、約3〜10nm(3〜6nmが好ましい)である。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30に対して行うアニールで採用するエキシマレーザー光の波長は308nmであり、そのレーザーエネルギーの密度は、約70〜300mJ/cmであり、70〜200mJ/cmが好ましい。しかし、レーザーエネルギーの密度が200mJ/cmを超えると、シリコンリッチ誘電体層30下の金属層の破損や剥落を招くことがある。シリコンリッチ誘電体層30により大きな直径(4〜10nm)のシリコンナノドットを含ませるためには、エキシマレーザー光のレーザーエネルギー密度は、200〜300mJ/cmが好ましい。また、シリコンリッチ誘電体層30により小さな直径(3〜6nm)のシリコンナノドットを含ませるためには、エキシマレーザー光のレーザーエネルギー密度は、70〜200mJ/cmが好ましい。図4に、本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層400が含むシリコンナノドットの直径分布を示す。
【0034】
レーザーアニールのステップ後、シリコンリッチ誘電体層30は、シリコンナノドット40を複数含むシリコンリッチ誘電体層30となる。図2Cと図2Dでは、シリコンナノドットを複数含むシリコンリッチ誘電体層は、記号45で表示されている。シリコンリッチ誘電体層30のシリコンナノドット40の密度は、1×1011/cm〜1×1012/cmが好ましく、シリコンリッチ誘電体層30には、N型シリコン又はP型シリコンをドープすることができる。
【0035】
図2Dと図3のステップ340に示されるように、シリコンリッチ誘電体層30をエキシマレーザー光によってアニールし、シリコンナノドット40を複数含むシリコンリッチ誘電体層45上に第2導電層50を形成する。この第2導電層を備える多層構造体は、不揮発性メモリ素子に用いることができ、シリコンナノドット40は、記憶ノードとして用いることができる。別の実施形態では、第2導電層50は、透明なインジウムスズ酸化物(ITO)層であり、この透明なインジウムスズ酸化物層50を備える多層構造体は、液晶ディスプレイに用いることができる。しかし、本件発明は用途をこれらに限定するもの
ではなく、第2導電層50は金属層として、第1導電層20は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)層、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)層の透明な導電層にできる。
また、第2導電層50は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)層、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)層の透明な導電層として、第1導電層20を金属層にもできる。第1導電層20と第2導電層50は、光を透過する透明な導電層、又は薄い金属層にすることもできる。
【0036】
図5は、フォトルミネセンスの強度を表しており、フォトルミネセンスの強度とシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体から照射された光の波長との関係である。シリコンリッチ誘電体層の厚さは約100nmであり、且つ本件発明の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層は、4種類の異なるエネルギーレベルのエキシマレーザー光によってアニールされている。
【0037】
前記強度は、シリコンナノドット40のシリコンリッチ誘電体層45の多層構造体100のフォトルミネセンス素子のフォトルミネセンスの強度である。フォトルミネセンスの強度は、nmを単位にした波長毎にフォトルミネセンスの強度を測定し、フォトルミネセンスの強度は、4つの異なる実施例を対比している。各実施例は、異なるエネルギー密度のエキシマレーザー光を用いたプロセスである。曲線510のレーザーエネルギー密度は、100mJ/cmであり、曲線520のレーザーエネルギー密度は、200mJ/cmであり、曲線530のレーザーエネルギー密度は、300mJ/cmであり、曲線540のレーザーエネルギー密度は、400mJ/cmである。図に示されるように、各実施例のシリコンリッチ誘電体層は、フォトルミネセンススペクトル350nm〜550nmの範囲でピークを有しており、このピークはシリコンナノドットの存在に因るものである。
【0038】
本件発明が開示している方法によれば、高効率のレーザーアニールプロセスを低温下で実施し、発光素子のフォトルミネセンス層と、又は光検出素子の感光層を製造することができる。本件発明の実施例で製造した誘電体層が含むシリコンナノドットは、高密度で非常に均一に分布しており、且つ、一致した直径を有している。尚、本件発明の実施例では、低温のエキシマレーザー光を用いてアニールを行っている。本件発明の製造プロセスによれば、高温でのポストアニールプロセスを必要とせず、且つ従来の製造プロセスと統合して低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS TFT)を製造することができる。本件発明の実施例で製造したシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層は、太陽電池、タッチパネル、環境光(ambient light sensor)センサと、光検出器に用いることができ、且つ全領域高解像度の薄膜トランジスタディスプレイにも適用できる。本件発明の実施例で製造したシリコンナノドットの量子ドットは、不揮発性メモリ素子の記憶ノードに用いれば、より高い保存時間、信頼度と、操作速度を提供することができる。
【0039】
以下、図1〜図3に示す本件発明の別の実施形態のシリコンリッチ誘電体層30に、レーザー誘起(laser induced)でシリコンナノドット40を凝集させた多層構造体100とその製造方法を示す。本実施形態と上述の実施形態で共通する部分には同じ記号を用いており、構造は同じであるが、製造方法は上述の実施形態とは異なることを断っておく。図1は、シリコンリッチ誘電体層30に、レーザー誘起でシリコンナノドット40を凝集させた多層構造体100の断面図である。この多層構造体100は、基板10、導電層20、シリコンリッチ誘電体層30と、シリコンリッチ誘電体層30内にはレーザー誘起凝集シリコンナノドット40を複数含んでいる。レーザー誘起凝集シリコンナノドットを複数含むシリコンリッチ誘電体層は、記号45で表示している。図2A〜図2Dに示すように、もう1つの導電層50は、シリコンリッチ誘電体層45上に形成される。図3は、図2A〜図2Dの流れ図300を表しており、シリコンリッチ誘電体層30内のレーザー誘起凝集シリコンナノドット40を含む多層構造体100の形成方法を示している。
【0040】
図2A〜図2Dに示す実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30内のレーザー誘起凝集シリコンナノドット40を含む多層構造体100の製造方法は、以下のステップを含む。
(a)基板10上(図3のステップ310)に第1導電層20を形成するステップ。
(b)第1導電層20上(図3のステップ320)にシリコンリッチ誘電体層30を形成するステップ。
(c)シリコンリッチ誘電体層30にレーザーアニールを行い、シリコンリッチ誘電体層30内のシリコンリッチを凝集させ、シリコンリッチ誘電体層30にシリコンナノドット40(図3のステップ330)を複数形成するステップ。
(d)レーザー誘起凝集シリコンナノドット40を複数含むシリコンリッチ誘電体層30上に第2導電層50を形成する、任意に実施するステップ(図3のステップ340)。
【0041】
上述のプロセスのステップは、記載の順番通りに行う必要は無く、且つ、本件発明は、上記のプロセスに限定されない。
【0042】
ある実施形態では、基板10は、透明基板、例えば、ガラス、石英、又はその他の材料を用いた基板や、フレキシブル基板、例えば、薄いガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ベンゾシクロブタン(BCB)、ポリシロキサン、ポリアニリン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、プラスチック、ゴム、又はこれらの組み合わせから形成されている。別の実施形態では、基板10は、例えば、シリコンウエハー、セラミック材料、又はその他の適合する材料などのリジッド基板である。基板10は、例えば、ガラス、石英、セラミック材料、薄いガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ベンゾシクロブタン(BCB)、ポリシロキサン、ポリアニリン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、プラスチック、ゴム、又はこれらの組み合わせなどの非半導体の材料が好ましい。本実施形態では基板10にガラス基板を用いているが、これに限定されるもの
ではない。
【0043】
図2Cに示すように、ある実施形態では、レーザーアニールプロセスでは、レーザー光62を多層構造体の上部からシリコンリッチ誘電体層30に照射する。別の実施形態では、基板10と第1導電層20は、透明材料から形成されるため、レーザーアニールプロセスでは、多層構造体の底部から行い、レーザー光64を基板10と第1導電層20を透過させ、シリコンリッチ誘電体層30に照射することができる。更に別の実施形態のレーザーアニールプロセスでは、多層構造体の上部と底部からレーザー光62とレーザー光64をシリコンリッチ誘電体層30に照射することもできる。
【0044】
ある実施形態では、レーザーアニールは、レーザー誘起凝集シリコンナノドットを複数形成できる。別の実施形態では、レーザーアニールは、レーザー誘起凝集シリコンナノドットを形成しない。第1導電層20と第2導電層50は、金属、金属酸化物、又は上述の任意の組み合わせから選択できる。金属は、反射性を有する材料、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、モリブデン、リチウム、タンタル、ネオジム、タングステンやこれらの合金及び複合体、又はその他、適合する材料から選択できる。金属酸化物は、透明な材料、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらの組み合わせから選択できる。金属は、反射材料又は透明材料の組み合わせから選択することができ、本件発明の実施形態では、第1導電層20と、又は第2導電層50は、単一層、又は複合層から選択することができ、且つ単一層、又は複合層の中の1つの層の構成材料には、上述の材料を用いることができる。
【0045】
ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30は、シリコンリッチ酸化薄膜であり、別の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30は、シリコンリッチ窒化薄膜であり、また別の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30は、シリコンリッチ酸窒化薄膜である。シリコンリッチ誘電体層30は、単一層、又は多層構造体、又は、シリコンリッチ誘電体層は、シリコンリッチ酸化薄膜、シリコンリッチ窒化薄膜、又はシリコンリッチ酸窒化薄膜の1つを少なくとも含んでいれば良い。
【0046】
本実施形態のシリコンリッチ誘電体層30は、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって形成され、そのプロセスの条件は、気圧が1トル(torr)の低圧、温度が400℃以下である。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30を形成する温度は、200℃〜400℃、又は350℃〜400℃であるが、370℃が好ましい。シリコンリッチ誘電体層を形成するために必要な処理時間は、約13秒〜250秒であり、25秒〜125秒が好ましく、50nm〜1000nmの厚さのシリコンリッチ誘電体層30を形成する。シリコンリッチ誘電体層30を形成するプロセスでは、シリコン含有量比[(SiH):(NO)]を調整することでシリコンリッチ誘電体層30の屈折率を調整する。ある実施形態では、シリコン含有量比[(SiH):(NO)]は、1:10〜2:1の範囲で調整され、製造されるシリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.47〜2.50(又は1.47〜2.30)である。シリコン含有量比[(SiH):(NO)]は、1:5〜2:1(又は1:5〜1:1)の範囲で調整されることが好ましく、製造されるシリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.70〜2.50(又は1.70〜2.30)である。シリコンリッチ誘電体層はまた、その他の手法や製造プロセスを用いて製造することもできる。
【0047】
効率の良いフォトルミネセンス素子を製造するために、シリコンリッチ誘電体層30の屈折率は、特定範囲にあることが好ましい。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.47〜2.50である。別の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.70〜2.50である。
【0048】
本実施形態は、例えば、エキシマレーザー光を用いてシリコンリッチ誘電体層30にアニールを行うレーザーアニール処理においては、400℃の温度下に調整できる周波数に設定したレーザーエネルギー密度のエキシマレーザー光を用い、シリコンリッチ誘電体層にアニールを行う際の圧力が約1気圧(760 torr)、又は1×10−3パスカル(Pa)である。別の実施形態では、エキシマレーザー光の温度は、室温(約20℃〜25℃又は68°F〜77°F)であり、本件発明は、その他の条件設定としたエキシマレーザー光を用いたプロセスとすることもできる。
【0049】
本実施例は、レーザー波長とレーザーエネルギーを調整して所定の直径のシリコンナノドットを得ることができる。用いるレーザー波長は266nm〜1024nmであり、例えば、エキシマレーザアニール(ELA)、連続波レーザー結晶化(CLC)、固体連続波緑色レーザー(solid−state CW green laser)、又はその他のレーザーなどの任意のレーザー光源を用いることができる。レーザー誘起凝集シリコンナノドットの直径範囲は、約2nm〜10nmであり、3nm〜6nmが好ましい。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30に対して行うエキシマレーザアニールのエ
キシマレーザー光の波長は、266nm〜532nm(308nmが好ましい)であり、
そのレーザーエネルギーの密度は、約70mJ/cm〜300mJ/cm(更に、70mJ/cm〜200mJ/cmが好ましく、この範囲内であれば、レーザーはシリコンリッチ誘電体層下の金属層の破損、又は剥落を招くことが無い)である。別の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30に連続波レーザー結晶化(CLC)を行うレーザー波長は、約532〜1024nmである。また別の実施形態では、シリコンリッチ誘電体層30に固体連続波緑色レーザー照射を行うレーザー波長は、約532nmである。しかし、レーザーエネルギーの密度が200mJ/cmを超えた時、シリコンリッチ誘電体層30下の金属層の破損、又は剥落を招く可能性がある。
【0050】
シリコンリッチ誘電体層30により大きな直径(4nm〜10nm)のレーザー誘起凝集シリコンナノドットを製造するために、シリコンリッチ誘電体層30に対してアニールを行うエキシマレーザー光のレーザーエネルギー密度は、200mJ/cm〜300mJ/cmが好ましい。また、シリコンリッチ誘電体層30により小さな直径(2nm〜6nm)のレーザー誘起凝集シリコンナノドットを製造できるようにするために、エキシマレーザー光のレーザーエネルギー密度は、70mJ/cm〜200mJ/cmが好ましい。
【0051】
レーザーアニールのステップ後、シリコンリッチ誘電体層30は、レーザー誘起凝集シリコンナノドット40を複数含むシリコンリッチ誘電体層30となる。図2Cと2Dでは、レーザー誘起凝集シリコンナノドットを複数含むシリコンリッチ誘電体層は、記号45で表示されている。シリコンリッチ誘電体層30のレーザー誘起凝集シリコンナノドット40の密度は、1×1011/cm〜1×1012/cmが好ましく、シリコンリッチ誘電体層30にはまた、N型シリコン又はP型シリコンをドープすることができる。
【0052】
図2Dと図3のステップ340に示されるように、シリコンリッチ誘電体層30でレーザーアニールした後、レーザー誘起凝集シリコンナノドット40を複数含むシリコンリッチ誘電体層30上に第2導電層50を形成する。このシリコンナノドットは、不揮発性メモリ素子に用いることができ、レーザー誘起凝集シリコンナノドット40は、記憶ノードとして用いてデータを保存することができる。別の実施形態では、第2導電層50は、透明層、又は反射層から選択することができ、透明層は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)層、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらの組み合わせから選択できる。反射層は、例えば、アルミニウム、銅、銀、金、チタン、モリブデン、リチウム、タンタル、ネオジム、タングステンやこれらの合金及び複合体、又はその他、適合する材料から選択できる。
本件発明の実施例では、第1導電層20と、又は第2導電層50は、単一層、又は複合層から選択することができ、且つ単一層、又は複合層の中の1つの層の構成材料は、上述の材料を用いることができる。この例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)を含む透明材料の第2導電層50の多層構造体は、例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、又は上記を組み合わせたディスプレイに用いることができる。しかし、第2導電層50は、金属層から選択することができ、第1導電層20は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらを組み合わせた透明な導電層から選択できる。別の実施形態では、第2導電層50は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらを組み合わせた透明な導電層から選択することができ、第1導電層20は、金属層から選択できる。第1導電層20と第2導電層50の中の1つの層は、光を透過させることができる透明な導電層、又は薄い金属層から選択できる。又は、第1導電層20と第2導電層50は、全て光を透過する透明な導電層、又は薄い金属層から選択できる。
【0053】
本実施形態で透明導電層を用いれば、第2導電層を形成する前、又は後にレーザーアニールを行うことができ、且つ、多層構造体の上部からのアニール、多層構造体の底部からのアニール、又は多層構造体の上部と底部からのアニールが可能である。
【0054】
以下、本件発明に係る方法、素子と、関連する用途について述べる。以下に述べる論述、標題、副標題、又は条件は、本件発明の説明を補助するもので、本件発明を限定するものではないことを断っておく。
【実施例1】
【0055】
実施例1では、本件発明に係るシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を太陽電池に応用した例を説明する。図6に、本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層430内にレーザー誘起凝集(laser−induced aggregation )シリコンナノドット435を含む太陽電池400の断面図を示す。ここで示す実施形態では、太陽電池400は、以下の構成を備える。
(a)基板410。
(b)基板410上に形成され、それが次のステップでN+又はP+のドーパントでドープされ、第1Nドープ又はPドープの半導体層425を形成する、例えばアモルファスシリコンの第1半導体層。
(c)第1Nドープ又はPドープの半導体層425上に形成され、それがレーザー誘起凝集プロセスによって形成されたレーザー誘起凝集シリコンナノドット435を複数含むシリコンリッチ誘電体層430。
(d)シリコンリッチ誘電体層430上に形成され、それが次のステップでN+又はP+のドーパントでドープされ、第2Nドープ又はPドープの半導体層445を形成する、例えばアモルファスシリコンの第2半導体層。
【0056】
図7に示す実施形態では、太陽電池402は、基板410と第1半導体層420との間に形成される第1導電層415(又は底部導電層と言われる)を更に含む。別の実施形態では、図8に示すように、太陽電池404は、第2Nドープ又はPドープの半導体層445に形成される第2導電層450(又は上部導電層と言われる)を更に含む。別の実施形態では、図9に示すように、太陽電池406は、基板410と第1半導体層420との間に形成される第1導電層415と、第2Nドープ又はPドープの半導体層445に形成される第2導電層450を更に含む。
【0057】
例えば、第2導電層450は、透明な材料層、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらの組み合わせが好ましい。第2導電層はまた、反射材料層、例えば、金、銀、銅、鉄、スズ、鉛、カドミウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ハフニウム、ネオジムやこれらの合金、複合層、そして、窒化物や酸化物で形成することもできる。ある実施形態では、第2導電層450も透明材料、又は反射材料で形成されている。
【0058】
ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層430は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせから形成されている。
【0059】
ある実施形態では、第1半導体層420と第2半導体層440は、少なくとも1つのN型半導体層である。別の実施形態では、第1半導体層420と第2半導体層440は、少なくとも1つのP型半導体層である。また別の実施形態では、第1半導体層420と第2半導体層440は、少なくとも1つのN型半導体層とP型半導体層の組み合わせである。
【0060】
ある実施形態では、第1半導体層420と第2半導体層440のいずれかは、アモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン(micro−crystallized silicon)、単結晶シリコン(mono−crystallized silicon)、又はこれらの組み合わせから形成されている。レーザー結晶化N型半導体層とレーザー結晶化P型半導体層は、レーザー結晶化プロセスで形成できる。
【0061】
図10〜図11は、以下に示すステップを含む、ある実施形態における、レーザー誘起凝集シリコンナノドットを複数含むシリコンリッチ誘電体層を備える太陽電池の形成工程を表している。
(a)基板510を提供するステップ。
(b)基板510上に第1半導体層520を形成するステップ。
(c)第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525を形成するステップ。
(d)第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525上にシリコンリッチ誘電体層530を形成するステップ。
(e)レーザー誘起凝集プロセスを行い、シリコンリッチ誘電体層530内に複数のレーザー誘起凝集シリコンナノドット535を形成するステップ。
(f)複数のレーザー誘起凝集シリコンナノドット535を含むシリコンリッチ誘電体層530上に第2半導体層540を形成するステップ。
(g)第2Nドープ又は第2Pドープの半導体層545を形成するステップ。
本実施例の工程のステップは、上述の順序で実施しても、順序を変更して実施しても構わない。
【0062】
ある実施形態では、上述のプロセスは、基板510と第1半導体層520との間に第1導電層515を形成できる。ある実施形態では、第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525を形成するステップは、第1半導体層520にドープを行うステップを含む。別の実施形態では、第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525を形成するステップは、第1導電層515に同環境(in−situ)プラズマCVDドーピングプロセスを行うステップを含み、第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525を形成する。
【0063】
ある実施形態では、第2Nドープ又は第2Pドープの半導体層545は、第2半導体層540にドープを行うことによって形成できる。別の実施形態では、プラズマ化学気相成長法(PECVD)によって第2半導体層540を製造する時、レーザー誘起凝集シリコンナノドット535を含むシリコンリッチ誘電体層530上に第2Nドープ又は第2Pドープの半導体層545を形成できる。
【0064】
ある実施形態では、レーザー誘起凝集のプロセスは、シリコンリッチ誘電体層530の上部から行う。別の実施形態では、仮に基板510と第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525が透明な場合、レーザー誘起凝集のプロセスは、基板510と第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525の底部から行う。また別の実施形態では、レーザー誘起凝集のプロセスは、シリコンリッチ誘電体層530の上部から行い、且つ基板510と第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層525の底部から行う。本実施形態は、レーザーのエネルギーを調整し、それを基板510と第1Nドープ又はPドープの半導体層525を透過させ、シリコンリッチ誘電体層530に照射することができる。仮に第2Nドープ又は第2Pドープの半導体層545が透明な場合、レーザー光、又は光線を透過させることができる。従って、本実施形態のレーザープロセスは、シリコンリッチ誘電体層530上に第2Nドープ又は第2Pドープの半導体層545を形成した後(以上のステップg)実施できる。
【0065】
ある実施形態では、このプロセスは、第2半導体層540上に第2導電層550を形成するステップを更に含む。第2導電層550は、透明な材料、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、及びこれらの組み合わせ、又はその他の適合する材料で形成するのが好ましい。また、第2導電層550は、反射材料、例えば、金、銀、銅、鉄、スズ、鉛、カドミウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ハフニウム、ネオジムやこれらの合金又は複合層、そして、これらの窒化物や酸化物で形成することができる。第2導電層550も、透明材料や反射材料を組み合わせて形成することもできる。
【0066】
ある実施形態では、太陽電池のシリコンリッチ誘電体層530の構成材料は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせから形成されている。ある実施形態では、下電極515は、基板510上に形成することができる。ある実施形態では、基板510には、例えばガラスの透明基板を採用することができる。別の実施形態では、基板510には、例えばプラスチック基板などの屈曲性を有する基板を採用することができる。
【0067】
ある実施形態では、第1半導体層520と第2半導体層540は、少なくとも1つのア
モルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン(micro−crystallized silicon)、単結晶シリコン(mono−crystallized silicon)、又はこれらの組み合わせから形成されている。また、第1半導体層520と第2半導体層540の少なくとも1つは、N型半導体、P型半導体、レーザー結晶化(laser crystallized)N型半導体、レーザー結晶化P型半導体、またはこれらの組み合わせて形成することができる。レーザー結晶化N型半導体とレーザー結晶化P型半導体とは、レーザー結晶化プロセスで形成することができる。
【0068】
ある実施形態では、基板510、第1半導体層520と、第2半導体層540の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらの組み合わせから形成されている。本実施例のレーザー結晶化プロセスでは、レーザーは、任意の適当な方向に向けて1つ又は複数の透明層を透過し、第1半導体層520と第2半導体層540の両者の少なくとも1つの層に照射する。ある実施形態のレーザー誘起凝集プロセスでは、レーザーは、任意の適当な方向に向けて1つ又は複数の透明層を透過し、シリコンリッチ誘電体層530に照射する。
【0069】
本件発明はまた、太陽電池の製造に適用できる。ある実施形態では、この方法は以下のステップを含む
(a)基板510を提供するステップ。
(b)基板510上に少なくとも2つの層を含む多層構造体を形成し、それぞれの層が第1の形態と第2の形態を備えるステップ。
(c)レーザー光でこの多層構造体を照射し、この多層構造体の少なくとも1つの層を第1の形態から第2の形態に変換するステップ。
【0070】
多層構造体の層の第1の形態は、非晶質である。多層構造体の少なくとも1つの層は、レーザー誘起凝集シリコンナノドットを複数含み、且つ実質的に非晶質の第2の形態を備える。多層構造体の層の第2の形態は、実質的に結晶質、実質的に微結晶質、又は非晶質から選択できる。実質的な結晶質、実質的な微結晶質は、レーザー結晶化プロセスによって形成される。
【0071】
ある実施形態では、上述の方法は、基板と多層構造体との間に第1導電層を形成するステップを更に含むことができる。別の実施形態では、上述の方法は、多層構造体上に第2導電層を形成するステップを更に含むことができる。基板510、多層構造体の構造層、第1導電層、又は第2導電層の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらを組み合わせて形成することができる。レーザー光は、任意の適当な方向に向けて1つ又は複数の透明層を透過し、多層構造体に照射される。
【0072】
本件発明の実施形態のマルチバンドギャップ(multiple−bandgap)を有するシリコンナノドットの太陽電池(単一接合を有する)は、多重接合素子に置き換えることができる。多重接合素子は、単一接合のセルを個別に有し、バンドギャップの高い順に堆積する。多重接合セル素子では、上部のセルは、高エネルギーの光子を捉え、且つその残りの光子をより低いバンドギャップ(lower−bandgap)のセルに伝送して吸収させる。異なる半導体材料が異なる融点とエネルギー吸収効率を有することから、レーザー誘起凝集シリコンナノドットも多結晶シリコン、又はアモルファスシリコン薄膜に対するレーザー結晶化プロセスで形成することができる。よって、レーザー結晶化プロセスを用いれば、マルチバンドギャップの光吸収構造を構築できる。このマルチバンドギャップの光吸収構造は、高効率の太陽電池に適用することができる。図12は、本件発明の実施例に基づく太陽電池のマルチバンドギャップスペクトルを複数の狭領域に分けている。この実施形態であれば、各領域と強調する光子が変換され、高効率の太陽電池を形成できる。
【実施例2】
【0073】
実施例2では、シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を不揮発メモリ素子に適用した例を説明する。図13に、本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層のレーザー誘起凝集(laser−induced aggregation )シリコンナノドット435を含む不揮発メモリ素子700を示す。ここで示す実施形態では、不揮発メモリ素子700は、以下の構成を備える。
(a)導電層710。
(b)半導体層750。
(c)導電層710と半導体層750との間に位置されるレーザー誘起凝集シリコンナノドット740を含むシリコンリッチ誘電体層730。
(d)半導体層750に形成されたドレイン領域722。
(e)半導体層750に形成されたソース領域724。
(f)ドレイン領域722とソース領域724との間に形成され、例えばシリコンリッチ誘電体層730に直接接続するチャンネル領域720。
【0074】
上述のように、レーザー誘起凝集シリコンナノドット740は、シリコンリッチ誘電体層730にレーザーアニールプロセスで形成される。ある実施形態では、ソース電極は、ソース電極724上に形成され、ドレイン電極は、ドレイン電極722上に形成される。
【0075】
ある実施形態では、不揮発メモリ素子700のゲート電極となる導電層710は、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらの組み合わせから形成されている。導電層710は、透明層を選択して形成することもでき、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらを組み合わせた透明な材料で形成することができる。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層730の厚さは、約30〜50nmであるが本件発明はこれに限定されるものではない。レーザー誘起凝集シリコンナノドット740は、シリコンリッチ誘電体層730の内部に形成され、且つ分布している。レーザー誘起凝集シリコンナノドット740が存在する領域は、シリコンリッチ誘電体層730の底面上の約2〜5nmの領域、又はシリコンリッチ誘電体層730の上面上の約2〜5nmの領域になる。レーザー誘起凝集シリコンナノドット740の直径は、2〜6nmが好ましい。
【0076】
ある実施形態では、半導体層720は、基板750上に形成され、且つアモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン、単結晶シリコン、又はこれらの組み合わせから形成されている。半導体層720は、N型半導体層、P型半導体層、レーザー結晶化N型半導体層、レーザー結晶化P型半導体層、又はこれらの組み合わせとすることができ、レーザー結晶化N型半導体層とレーザー結晶化P型半導体層は、レーザー結晶化プロセスで形成できる。
【0077】
ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層730は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせから形成されている。基板750、半導体層720と、導電層710の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらを組み合わせて形成できる。
【0078】
ある実施形態では、不揮発メモリ素子700の半導体層720は、レーザー結晶化N型シリコンである。別の実施形態では、不揮発メモリ素子700の半導体層720は、レーザー結晶化P型シリコンである。ある実施形態では、ソース電極(図示していない)は、ソース電極724上に形成され、ドレイン電極(図示していない)は、ドレイン電極722上に形成される。また、両者は、その他の素子、例えば、信号線、コンデンサ、スイッチ、電源ラインなどに接続することができる。
【0079】
図14に、本件発明に係るシリコンリッチ誘電体層730のレーザー誘起凝集シリコンナノドット740を含む不揮発性メモリ素子702を示す。この実施形態では、不揮発性メモリ素子702は、以下の構成を備える。
(a)導電層710。
(b)半導体層750。
(c)導電層710と半導体層750との間に配置されたレーザー誘起凝集シリコンナノドット740を含むシリコンリッチ誘電体層730。
(d)半導体層750に形成されたドレイン領域722。
(e)半導体層750に形成されたソース領域724。
(f)ドレイン領域722とソース領域724との間に形成されたチャンネル領域720。
(g)チャンネル領域720とシリコンリッチ誘電体層730との間に形成されたトンネル(tunnel)誘電体層736。
【0080】
上述のように、レーザー誘起凝集シリコンナノドット740は、シリコンリッチ誘電体層730にレーザーアニールプロセスで形成される。ある実施形態では、ソース電極(図示していない)は、ソース電極724上に形成され、ドレイン電極(図示していない)は、ドレイン電極722上に形成される。また、両者は、その他の素子、例えば、信号線、コンデンサ、スイッチ、電源ラインなどに接続することができる。
【0081】
ある実施形態では、半導体層720は、基板750上に形成され、且つアモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン、単結晶シリコン、又はこれらの組み合わせから形成されている。半導体層720は、N型半導体層、P型半導体層、レーザー結晶化N型半導体層、レーザー結晶化P型半導体層、又はこれらの組み合わせとすることができ、レーザー結晶化N型半導体層とレーザー結晶化P型半導体層は、レーザー結晶化プロセスで形成できる。
【0082】
シリコンリッチ誘電体層は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせとすることができ、基板、半導体層と、導電層の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらの組み合わせとすることができる。
【0083】
ある実施形態では、不揮発性メモリ素子702の半導体層720は、レーザー結晶化N型シリコンである。別の実施形態では、不揮発性メモリ素子702の半導体層720は、レーザー結晶化P型シリコンである。ある実施形態では、ソース電極(図示していない)は、ソース電極724上に形成され、ドレイン電極(図示していない)は、ドレイン電極722上に形成される。また、両者は、その他の素子、例えば、信号線、コンデンサ、スイッチ、電源ラインなどに接続することができる。
【0084】
図15は、本件発明に係るレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含む不揮発メモリ素子704を示す。この実施形態では、不揮発メモリ素子704は、以下の構成を備える。
(a)導電層710。
(b)基板705上に位置された緩衝(buffer)誘電体層750。
(c)緩衝誘電体層750上に形成された半導体層750。
(d)導電層710とチャンネル領域720との間に位置されたレーザー誘起凝集シリコンナノドット740を含むシリコンリッチ誘電体層730。
(e)半導体層720に形成されたドレイン領域722。
(f)半導体層720に形成されたソース領域724。
(g)ドレイン領域722とソース領域724との間に形成され、シリコンリッチ誘電体層730に直接接触されるチャンネル領域720。
【0085】
緩衝誘電体層750は、無機材料、有機材料、又はこれらを組み合わせて形成できる。無機材料は、例えば、酸化シリコン、窒化ケイ素、酸窒化シリコン、炭化シリコン、又はこれらの組み合わせである。有機材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ベンゾシクロブタン(BCB)、ポリシロキサン、ポリアニリン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、プラスチック、ゴム、又はこれらの組み合わせである。本件発明の実施形態では、緩衝誘電体層750は、単一層、又は複合層から選択することができ、且つ単一層、又は複合層の少なくとも1つの層は、上述の材料で形成できる。本実施形態では、緩衝誘電体層750は、例えば、酸化シリコン、又は窒化ケイ素の無機材料であり、もう1つの不揮発性メモリ素子704の実施例では、基板705に緩衝誘電体層750が形成しなくても良い。上述のように、レーザー誘起凝集シリコンナノドット740は、シリコンリッチ誘電体層730にレーザーアニールプロセスによって形成される。ある実施形態では、ソース電極(図示していない)は、ソース電極724上に形成され、ドレイン電極(図示していない)は、ドレイン電極722上に形成される。
【0086】
ある実施形態では、ソース電極(図示していない)は、ソース電極724上に形成され、ドレイン電極(図示していない)は、ドレイン電極722上に形成される。また、両者は、その他の素子、例えば、信号線、コンデンサ、スイッチ、電源ラインなどに接続することができる。
【0087】
メモリ素子704の構造と不揮発性メモリ素子702の構造は類似しているが、メモリ素子704の構造は、トンネル誘電体層736を備える必要が無く、且つ、基板には、ガラス基板を用いる。
【0088】
また、図13〜図15に示す実施形態は、トップゲート型構造(top−gate type structure)としているが、本件発明はこれを限定するものではなく、本件発明では、ボトムゲート型構造(bottom−gate type structure)としても構わない。
【0089】
また、本件発明は、不揮発性メモリ素子の製造方法に関する。ある実施形態では、この方法は、以下のステップを含む製造方法を用いる。
(a)ソース領域724とドレイン領域722を有する半導体層720を提供するステップ。
(b)半導体層720上にシリコンリッチ誘電体層730を形成するステップ。
(c)シリコンリッチ誘電体層730にレーザー誘起凝集プロセスを行い、シリコンリッチ誘電体層730に複数のレーザー誘起凝集シリコンナノドット740を形成するステップ。
(d)シリコンリッチ誘電体層730に導電層710を形成するステップ。
この方法では、更に以下に示す1つ又は複数のステップを含むことができる。
(e)ソース領域724とドレイン領域722にそれぞれ電気的に接続されるソース領域とドレイン領域を提供するステップ。
(f)半導体層720とシリコンリッチ誘電体層730との間にトンネル誘電体層736を形成するステップ。
(g)ガラス基板705上に緩衝誘電体層750を形成し、緩衝誘電体層750上に半導体層720を形成するステップ。
【0090】
導電層710は、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらを組み合わせて形成できる。半導体層720は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン、単結晶シリコン、又はこれらを組み合わせて形成できる。半導体層720は、N型半導体層、P型半導体層、レーザー結晶化N型半導体層、レーザー結晶化P型半導体層、又はこれらの組み合わせとすることができ、レーザー結晶化N型半導体層とレーザー結晶化P型半導体層は、レーザー結晶化プロセスで形成できる。
【0091】
ある実施形態では、基板750、半導体層720と、導電層710の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらの組み合わせから形成されている。本実施形態のレーザー結晶化プロセスでは、レーザーは、任意の適当な方向に向けて半導体層720に照射される。別の実施形態のレーザー結晶化プロセスでは、レーザーは、任意の適当な方向に向けて1つ又は複数の透明層を透過し、シリコンリッチ誘電体層730に照射される。
【0092】
また、図16〜図18に、以下のステップを含む不揮発性メモリ素子の製造方法を示す。
(a)基板810上に緩衝誘電体層820を提供するステップ。
(b)緩衝誘電体層820上にポリシリコン半導体層を提供し、半導体層内にソース領域830(n+又はP+)、例えばnチャンネル又はPチャンネルのイントリンシックチャネル領域850(intrinsic channel)と、ドレイン領域(n+又はP+)が形成するステップ。
(c)ポリシリコン半導体層上にトンネル誘電体層860を提供するステップ。
(d)トンネル誘電体層860上にシリコンリッチ誘電体層870を形成するステップ。
(e)シリコンリッチ誘電体層870にレーザー誘起凝集プロセスを行い、シリコンリッチ誘電体層870内にレーザー誘起凝集シリコンナノドット875を複数形成するステップ。
(f)レーザー誘起凝集シリコンナノドット875を含むシリコンリッチ誘電体層870上に導電層880を形成し、ゲートを制御するステップ。
【0093】
ある実施形態では、ステップ(e)では、レーザー誘起凝集プロセスは、レーザー光がシリコンリッチ誘電体層870の上部から照射される。別の実施形態では、導電層880を透明材料で形成すれば、レーザー誘起凝集プロセスはまた、ステップ(f)の後、シリコンリッチ誘電体層870上に導電層880が形成された後に行うこともできる。
【0094】
緩衝誘電体層820とトンネル誘電体層860の少なくとも1つは、無機材料、有機材料、又はこれらを組み合わせて形成できる。無機材料は、例えば、酸化シリコン、窒化ケイ素、酸窒化シリコン、炭化シリコン、又はこれらの組み合わせである。有機材料は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ベンゾシクロブタン(BCB)、ポリシロキサン、ポリアニリン、ポリメチルメタアクリレート(PMMA)、プラスチック、ゴム、又はこれらの組み合わせである。本件発明の実施形態では、緩衝誘電体層820とトンネル誘電体層860の少なくとも1つは、単一層、又は複合層から選択することができ、且つ単一層、又は複合層の少なくとも1つの層は、上述の材料で形成される。本実施例では、緩衝誘電体層820は、例えば、酸化シリコン、又は窒化ケイ素であり、トンネル誘電体層860は、例えば、酸化シリコンである。
【0095】
本件発明の実施形態では、緩衝誘電体層820とトンネル誘電体層860のいずれかを形成しない場合もある。
【0096】
ある実施形態では、不揮発性メモリ素子の導電層880は、透明層、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらの組み合わせ、又はその他の適合する材料から選択することができ、且つある実施形態では、ゲートは、導電層880と接続される。
【0097】
ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層870は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせから形成されている。ある実施形態では、基板810は、例えばガラスの透明基板を採用する。別の実施形態では、基板810は、例えばプラスチック基板などの屈曲性を有する基板を採用する。
【0098】
ある実施形態では、半導体層は、アモルファスシリコン、ポリシリコン、微結晶シリコン、単結晶シリコン、又はこれらの組み合わせから形成されている。
【0099】
図19には、電子が量子ドットをレーザー誘起凝集シリコンナノドットの 深いエネルギーバンドにトンネリングさせた時を比較したバンド図をA〜Cに示している。図19Aでは書き込みを行い、図19Bでは読み取りを行い、図19Cでは不揮発性メモリ素子のデータを消去している。
【実施例3】
【0100】
実施例3では、シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体を感光素子に適用した例を説明する。図20に、本件発明に係る感光素子1000を示す。シリコンリッチ誘電体層は、複数のレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含み、感光素子1000は、以下の構成を備える。
(a)第1導電層1010。
(b)第2導電層1040。
(c)第1導電層1010と第2導電層1040との間に配置され、レーザー誘起凝集
シリコンナノドット1020を複数含むシリコンリッチ誘電体層1030。
【0101】
上述のように、感光素子1000のレーザー誘起凝集シリコンナノドット1020は、シリコンリッチ誘電体層1030にレーザーアニールプロセスで形成される。第2導電層1040は透明であるため、例えば感光素子1000のシリコンリッチ誘電体層1030にレーザー光の可視光を照射できる。ある実施形態では、感光素子1000の第1導電層1010は、例えば、金、銀、銅、鉄、スズ、鉛、カドミウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ハフニウム、ネオジムやこれらの合金及び複合体、これらの窒化物や酸化物から形成される反射材料層である。ある実施形態では、感光素子1000の第2導電層1040は、例えば、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)等の透明な材料とこれらの組み合わせ、又はその他の適合する材料で形成される透明層であるが、感光素子1000の第2導電層1040も、例えば、金、銀、銅、鉄、スズ、鉛、カドミウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ハフニウム、ネオジムやこれらの合金及び複合体、これらの窒化物や酸化物の反射材料層で形成することができる。
【0102】
シリコンリッチ誘電体層1030は、レーザー誘起凝集シリコンナノドット1020を複数含む。シリコンリッチ誘電体層1030の構成材料は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせである。
【0103】
ある実施形態では、第1導電層1010は、基板上に形成され、第1導電層1010、第2導電層1040と基板の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらの組み合わせから形成されている。
【0104】
本実施例では、1つ又は複数の上述の感光素子を用いて光検出器を形成することができる。感光素子はまた、光センサ(photo sensor)、光センサ光検出器(photo sensor light detector)、指紋センサ、環境光センサと、タッチディスプレイに用いるディスプレイパネルとして用いることができる。
【0105】
図20に示す実施形態では、電池1050は、感光素子1000を可視光1002、1004に露光して発電した電荷を保存し、且つ電流計1060は、感光素子1000が発電した電流を測定する。ある実施形態では、感光素子1000のシリコンリッチ誘電体層1030は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせから形成されている。
【0106】
また、本件発明に係る感光素子1000の形成方法は、以下のステップを含む。
(a)第1導電層1010を提供するステップ。
(b)第1導電層1010上にシリコンリッチ誘電体層1030を形成するステップ。
(c)シリコンリッチ誘電体層1030にレーザー誘起凝集プロセスを施し、シリコンリッチ誘電体層1030内にレーザー誘起凝集シリコンナノドット1020を複数形成するステップ。
(d)レーザー誘起凝集シリコンナノドット1020を含むシリコンリッチ誘電体層1030上に第2導電層1040を形成するステップ。
【0107】
上記の方法のある実施形態では、導電体層をその上に形成した基板を提供するステップを更に含む。第1導電層1010、第2導電層1040と、基板の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらを組み合わせて形成される。ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせから形成されている。本実施例のレーザー結晶化プロセスでは、レーザーは、任意の適当な方向に向けて1つ又は複数の透明層を透過し、シリコンリッチ誘電体層に照射される。
【0108】
本件発明は、必ずしも上述のステップの順序を採用しなければならないわけでもなければ、このプロセスが本件発明を実行する唯一の手段でもない。言い換えれば、上述のプロセスのステップは、異なる順序で行うことができる。ある実施形態では、感光素子の第1導電層は金属層である。別の実施形態では、感光素子1000の第1導電層1010と第2導電層1040は、全て透明層であり、例えば、以下に示すインジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、又はハフニウム酸化物(HfO)、又はこれらの組み合わせからなる透明材料で構成する。
しかし、感光素子1000の第1導電層1010と第2導電層1040は、その他の材料で形成することができる。
【0109】
ある実施形態では、感光素子1000のシリコンリッチ誘電体層1030は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、又はこれらの組み合わせから形成されている。
【0110】
図21は、本件発明に係る感光素子1000の応用例を示しており、この感光素子は、シリコンリッチ誘電体層1030でレーザー誘起凝集シリコンナノドット1020を含み、且つ読み取り用の薄膜トランジスタ(TFT)に連結する。図20に示すように、感光素子は、基板上の第1導電層1010、レーザー誘起凝集シリコンナノドット1020を含むシリコンリッチ誘電体層1030と、第2導電層1040を含む。読み取り用の薄膜トランジスタは、高ドープN型シリコンソース領域1110、高ドープN型シリコンドレイン領域1120、ゲート電極1130、ゲート電極、高ドープN型シリコンソース領域1110と、高ドープN型シリコンドレイン領域1120との間に位置された誘電体層(図示していない)を備える。感光素子1000は、光ダイオードとして用いられ、その第2導電層1040は、接続線1040Aによって回路(図示していない)の接地に電気的に接続し、且つその第1導電層1010は、読み取り用の薄膜トランジスタのソース領域1110に電気的に接続する。ゲート電極1130は、接続線1140によって回路(図示していない)のもう1つの部分に電気的に接続する。ゲート電極1130とドレイン領域1120は、それぞれ接続線1140、1150経由外部の回路に電気的に接続する。
【0111】
図22には、本件発明に係る多重(multiple)感光素子の共通回路を表しており、シリコンリッチ誘電体層の多重感光素子は、レーザー誘起凝集シリコンナノドットを含む。図22では、感光素子を4つのみ表示している。感光素子は、通常、N×Mマトリクスの方式で光センサ、又は光検出器を構成する。前記NとMは、ゼロではない整数である。この代表的な回路では、電源供給VDD、接地GNDと、リセット入力は、全ての感光素子が共用する。各行と各列は、その入力を対応する行(ROW、ROW、…ROW)と列(COL、COL、…COL)とそれぞれ共用する。
【0112】
図23に、本件発明に係る読み取り用の薄膜トランジスタと感光素子の断面図を示す。
感光素子は、シリコンリッチ誘電体層内にレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含み、且つ低温ポリシリコン(LTPS)パネル1300に集積されている。感光素子の第1部分1340では、感光素子は、レーザー誘起凝集シリコンナノドットのシリコンリッチ誘電体層1314と第2導電層1316を含む第1導電層1312を備え、感光素子の第2部分1350では、読み取り用の薄膜トランジスタ(TFT)が基板上に形成され、基板1310は、ソース領域1322、ドレイン領域1324と、ゲート電極1326を備える。
【0113】
本実施形態では、第1導電層1312は金属層であり、読み取り用の薄膜トランジスタのソース領域1322に電気的に接続する。第2導電層1316は、透明導電層であり、可視光を透過させ、光線をレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層1314に伝送させる。ゲート電極1326とドレイン領域1324は、外部の回路に電気的に接続する。本実施例の感光素子の上部に明示した窓(window)1330は光線を透過さ、本願発明の関連分野では、充填因子(fill factor)と言われる。
【0114】
図24は、本件発明の感光素子を低温ポリシリコン薄膜トランジスタ(LTPS)に集積した別の実施形態を表しており、より広い充填因子を備える。図14では、感光素子は、読み取り用の薄膜トランジスタ上に3層堆積した構造を備える。感光素子には、第1導電層1412とレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層1414と第2導電層1416が形成される。本実施形態は、この感光素子の3層構造によって感光素子の充填因子を拡大し、より広い領域を覆う。読み取り用の薄膜トランジスタは、ソース領域1422、ドレイン領域1424と、ゲート電極1426を備える。ソース領域は、感光素子の第1導電層1412に電気的に接続され、読み取り用の薄膜トランジスタは、基板1410上に形成される。ある実施形態では、基板1410は、例えばガラスの透明基板を採用する。別の実施形態では、基板1410は、例えばプラスチックのフレキシブル基板を採用する。感光素子をディスプレイパネルに用いる時は、感光素子を環境光1430に面するように設置する。また、バックライト1440は、ディスプレイパネルにデータを表示するようにのみ用い、バックライトが感光素子に影響するのを防ぐため、第1導電層1412は、効果的にバックライトをブロックするように用いられる。
【0115】
本件発明はまた、シリコンリッチ誘電体層にレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体に関する。ある実施形態では、多層構造体は以下を備える。
(a)基板。
(b)基板上に位置された第1導電体層、及び
(c)第1導電体層上に位置され、レーザー誘起凝集シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層。
【0116】
ある実施形態では、シリコンリッチ誘電体層は、酸化シリコン薄膜、窒化ケイ素薄膜、酸窒化シリコン薄膜、炭化シリコン薄膜、又はこれらの組み合わせから形成されている。酸化シリコン層の屈折率は、約1.47〜2.30であり、約1.47〜2.50が好ましい。窒化ケイ素層の屈折率は、約1.7〜2.30であり、約1.70〜2.50が好ましい。少なくとも一部のレーザー誘起凝集シリコンナノドットの直径範囲は、約2nm〜10nmである。
【0117】
この多層構造体では、シリコンリッチ誘電体層の厚さは、約50nm〜1000nmであり、レーザー誘起凝集シリコンナノドットの密度は、1×1011/cm〜1×1012/cmが好ましい。ある実施形態では、多層構造体は、第2導電層も含み、第1導電層と第2導電層の少なくとも1つは、透明材料、不透明材料、反射材料、又はこれらの組み合わせから形成されている。
【0118】
この多層構造体は、太陽電池、感光素子と、ディスプレイパネルに用いることもできる。更に、タッチパネルとして用いるディスプレイパネルとすることもできる。また、この多層構造体は、不揮発性メモリ素子に用いることができ、少なくとも一部のシリコンナノドットは、記憶ノードとして用いることができる。
【0119】
本件発明の1つ又は複数の感光素子は、光センサ、光検出器、ディスプレイパネルやタッチ可能なディスプレイパネルの形成に用いることができる。図25は、本件発明に係るディスプレイパネル1500である。このディスプレイパネル1500は、(a)データを表示する表示領域1510、(b)データを伝送し、ユーザーが信号を入力する表示領域1520、(c)光を検出する光検出器1530、(d)太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池1540、(e)環境光を検出する環境光センサ1550を備えるものである。上述の素子は、全てが少なくとも1つのレーザー誘起凝集シリコンナノドットを複数含むシリコンリッチ誘電体層を備える。本件発明の実施例では、ディスプレイパネル1500は、長方形であり、その幅は約38mmであり、高さは約54mmである。
【0120】
ある実施形態では、ディスプレイパネル1500は、データを表示する表示領域1510を備える。非表示領域では、ディスプレイパネルは、光を検出する光検出器1530、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池1540と、環境光を検出する環境光センサ1550を備える。光検出器1530と環境光センサ1550は、任意の角の領域に設置され、環境光、又はその他の光線を検出する。太陽電池1540は、表示領域1510の周囲に設置され、太陽エネルギーを電力に変換し、ディスプレイパネル1500が消耗するエネルギーを補給する。
【0121】
別の実施形態では、ディスプレイパネル1500は、データを表示し、ユーザーの制御信号を受ける表示領域1510を備える。ディスプレイパネルそのものはタッチパネルである。
【0122】
更に別の実施形態では、ディスプレイパネル1500は、データを表示し、ユーザーの制御信号を受ける表示領域1510と、非表示領域を備える。非表示領域には、光を検出する光検出器1530、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池1540と、環境光を検出する環境光センサ1550の少なくとも1つを備える。光検出器1530と環境光センサ1550は、任意の角の領域に設置され、環境光、又はその他の光線を検出する。太陽電池1540は、表示領域1510の任意の角の領域に設置され、受けた光線を電力に変換し、ディスプレイパネル1500が消耗するエネルギーを補給する。
【0123】
他の実施形態では、ディスプレイパネル1500は、データを表示する表示領域を備え、且つデータを表示し、ユーザーの制御信号を受ける表示領域1510と、非表示領域を備える。ディスプレイパネル1500は、光を検出する光検出器1530、太陽エネルギーを電力に変換する太陽電池1540と、環境光を検出する環境光センサ1550も備える。光検出器1530と環境光センサ1550は、表示領域1510の任意の領域に設置され、環境光、又はその他の光線を検出する。太陽電池1540は、表示領域1510の任意の領域に設置され、表示領域1510の表面が受けた光線を電力に変換し、ディスプレイパネル1500が消耗するエネルギーを補給する。
【0124】
本件発明は、本件発明の要旨を逸脱することが無ければ、ディスプレイパネルの素子の組み合わせはいかようにもできる。
【0125】
マトリクス配列された感光素子を有する表示領域1510は、ディスプレイパネル1500の表面にユーザーが与える制御信号を検出することができる。このディスプレイパネル1500は、前記に開示している技術の1つの例示だけで、本件発明を限定するものではない。
【0126】
図26は、本件発明に係る図25が備えるの複数の画素の1つの画素を抽出した図である。各表示領域1510の複数の画素は、少なくとも1つの表示領域1560、スキャンライン1570と、データライン1580をそれぞれ含む。隣接した画素用のスキャンラインは1572であり、隣接した画素用のデータラインは1582である。各画素は、少なくとも1つの表示画素、タッチパネル画素、光検出器1530、太陽電池1540と、環境光センサ1550を備える。複数の画素は、N×Mのマトリクス配列から選択することができ、光検出器1530、太陽電池1540と、環境光センサ1550の任意、又は全ての機能を有する大型表示パネル、又はタッチパネルを形成できる。
【0127】
以上、本件発明の好適な実施例を例示したが、例えば、本件発明がインジウムスズ酸化物(ITO)を用いた例を開示していても、インジウム亜鉛酸化物(IZO)を用いることもできる。実施例は、本件発明の製造プロセス、装置、構成、製造と、使用の特定方法を表示するためだけのもので、これは本件発明を限定するものではなく、本件発明の精神及び範囲を逸脱しない限りにおいては、当業者であれば行い得る少々の変更や修飾を付加することは可能であることを断っておく。従って、本件発明が保護を請求する範囲は、特許請求の範囲を基準としている。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本件発明は、太陽電池素子の光起電素子層、又は光検出器の感光層を構成するシリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層を備える多層構造体の製造に低温下で高効率のレーザーアニールプロセスを用い、シリコンリッチ誘電体層内にレーザー誘起凝集シリコンナノドットを形成する。この、レーザー誘起凝集シリコンナノドットは、高密度で均一に分布しており、直径のバラツキも小さい。このプロセスを採用すれば、高温ポストアニールのプロセスが必要無いため、従来の低温ポリシリコン薄膜トランジスタを集積した構造で製造することができる。本件発明に係るレーザー誘起凝集シリコンナノドットを含むシリコンリッチ誘電体層は、太陽電池の他、タッチパネル式フラットパネルディスプレイ、環境光センサや光検出器にも適用が可能である。本件発明の実施例で製造したシリコンナノドットの量子ドットを不揮発性メモリ素子の記憶ノードとすれば、より高い保存時間、信頼度と、操作速度を提供することができる。
【符号の説明】
【0129】
10 基板
20 第1導電層
30 シリコンリッチ誘電体層
40 シリコンナノドット
45 シリコンリッチ誘電体層
50 第2導電層
62 レーザー光
64 レーザー光
100 多層構造体
300 流れ図
310、320、330、340 ステップ
400、402、404、406 太陽電池
410 基板
415 第1導電層
420 第1半導体層
425 第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層
435 シリコンナノドット
440 第2半導体層
445 第2Nドープ又は第2Pドープの半導体層
450 第2導電層
510 曲線/基板
515 第1導電層
520 第1半導体層/曲線
525 第1Nドープ又は第1Pドープの半導体層
530 シリコンリッチ誘電体層/曲線
535 シリコンナノドット
540 第2半導体層/曲線
545 第2Nドープ又は第1Pドープの半導体層
550 第2導電層
700 不揮発メモリ素子
702、704 不揮発性メモリ素子
705 基板
710 導電層
720 チャンネル領域/半導体層
722 ドレイン領域
724 ソース領域
730 シリコンリッチ誘電体層
736 トンネル(tunnel)誘電体層
740 シリコンナノドット
750 半導体層/基板/緩衝(buffer)誘電体層
810 基板
820 緩衝誘電体層
830 ソース領域
840 ドレイン領域
850 チャンネル領域
860 トンネル誘電体層
870 シリコンリッチ誘電体層
875 シリコンナノドット
880 導電層
910 ゲート
920 チャンネル
930 コントロールオキサイド
940 トンネルオキサイド
1000 感光素子
1002、1004 可視光
1010 第1導電層
1020 シリコンナノドット
1030 シリコンリッチ誘電体層
1040 第2導電層
1041 接続線
1050 電池
1060 電流計
1110 高ドープN型シリコンソース領域
1120 高ドープN型シリコンドレイン領域
1130 ゲート電極
1140、1150 接続線
1300 低温ポリシリコン(LTPS)パネル
1310 基板
1312 第1導電層
1314 シリコンリッチ誘電体層
1316 第2導電層
1322 ソース領域
1324 ドレイン領域
1326 ゲート電極
1330 窓(window)
1340 第1部分
1350 第2部分
1410 基板
1412 第1導電層
1414 シリコンリッチ誘電体層
1416 第2導電層
1422 ソース領域
1424 ドレイン領域
1426 ゲート電極
1430 環境光
1440 バックライト
1500 ディスプレイパネル
1510 データを表示する表示領域
1520 信号を入力する表示領域
1530 光検出器
1540 太陽電池
1550 環境光センサ
1560 ディスプレイ領域
1570、1572 スキャンライン
1580、1582 データライン
1600 フローティングゲートの不揮発性メモリ素子
1602 ソース電極
1604 ゲート電極
1606 ドレイン電極
1608 絶縁層
1610 フローティングゲート
1612 反転層
1700 (SONOS)型の不揮発性メモリ素子
1710 ソース領域
1720 ドレイン領域
1730 第1酸化シリコン層
1740 多結晶シリコン層
1750 第2酸化シリコン層
1760 窒化ケイ素層
1770 第3酸化シリコン層
1780 導電層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成された第1導電層と、
前記第1導電層上に形成されたNドープまたはPドープの第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成され、複数のレーザー誘起凝集シリコンナノドットを有するシリコンリッチ誘電体層と、
前記シリコンリッチ誘電体層上に形成されたNドープまたはPドープの第2半導体層と、
前記第2半導体層上に形成された第2導電層と、
を含み、
前記基板、前記第1導電層、および前記第1半導体層と、前記第2半導体層および前記第2導電層と、のいずれかは、透明材料からなる
ことを特徴とする太陽電池。
【請求項2】
前記シリコンリッチ誘電体層は、シリコンリッチ酸化物、シリコンリッチ窒化物、シリコンリッチ酸窒化物、シリコンリッチ炭化物、または上述の組み合わせである請求項1に記載の太陽電池。
【請求項3】
前記シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.4〜2.3である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項4】
前記シリコンリッチ誘電体層の屈折率は、約1.47〜2.5である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項5】
前記シリコンリッチ誘電体層は、シリコンリッチ酸化層、またはシリコンリッチ窒化層であり、前記シリコンリッチ酸化層の屈折率は、1.47〜2.5であり、前記シリコンリッチ窒化層の屈折率は、約1.7〜2.5である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項6】
前記シリコンリッチ誘電体層の厚さは、約50〜1000nmであり、前記レーザー誘起凝集シリコンナノドットの密度は、約1×1011/cm〜1×1012/cmである請求項1に記載の太陽電池。
【請求項7】
少なくとも一部の前記レーザー誘起凝集シリコンナノドットの直径は、2〜10nmであり、前記レーザー誘起凝集シリコンナノドットの密度は、約1×1011/cm〜1×1012/cmである請求項1に記載の太陽電池。
【請求項8】
前記第1半導体層及び前記第2半導体層は、レーザー結晶化(laser crystallized)N型半導体またはレーザー結晶化P型半導体である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項9】
前記第1導電層及び前記第2導電層は、金属または金属酸化物である請求項1に記載の太陽電池。
【請求項10】
前記第2導電層は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ハフニウム酸化物(HfO)、または上述の組み合わせを含む請求項1に記載の太陽電池。
【請求項11】
前記第2導電層は、金、銀、銅、鉄、スズ、鉛、カドミウム、チタン、タンタル、タングステン、モリブデン、ハフニウム、ネオジム、これらの合金、複合層、これらの窒化物またはこれらの酸化物を含む請求項1に記載の太陽電池。
【請求項12】
前記第2導電層は、透明材料と反射材料とを組み合わせて形成される請求項1に記載の太陽電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−129533(P2012−129533A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−12571(P2012−12571)
【出願日】平成24年1月25日(2012.1.25)
【分割の表示】特願2008−15597(P2008−15597)の分割
【原出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(501358079)友達光電股▲ふん▼有限公司 (220)
【氏名又は名称原語表記】AU Optronics Corporation
【住所又は居所原語表記】No.1,Lt−Hsin Rd,II,Science−Based Industrial Park,Hsinchu,Taiwan,R.O.C.
【Fターム(参考)】