説明

差動増幅回路および液晶表示装置

【課題】消費電流を増加させずにスルーレートを向上する差動増幅回路、表示用駆動回路を提供する。
【解決手段】差動増幅回路は、差動信号を入力する入力段と、入力段の出力に基づいて容量性負荷を駆動する出力段とを具備する。入力段は、差動信号を入力する差動信号入力部(MN1/MN2、MN11/MN12/MP21/MP22)と、差動入力部にバイアス電流を供給する電流源(MN3、MN10/MP20)と、電流源(MN3、MN10/MP20)に並列に挿入される可変容量(Cs)を含むスルーレート調整部(414、415)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動増幅回路に関し、特に液晶表示用駆動回路として用いられる差動増幅回路、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
TFT−LCD(Thin Film Transister Liquid Crystal Display:TFT方式の液晶表示パネル)と、TFT−LCDの上側に配置されるソースドライバと、TFT−LCDの側面に配置されるゲートドライバとを備えたアクティブマトリクス型液晶表示装置が知られている。このような液晶表示装置において、差動増幅回路は、画素の容量負荷を駆動するソースドライバに応用されている。
【0003】
液晶表示装置に用いられる差動増幅回路のスルーレート(増幅出力の立ち上げ/立ち下げの急峻さを示す特性値)は高ければ消費電流が大きくなる傾向がある。したがって、スルーレートは、一概に高ければよいというものではなく、スルーレートの向上と消費電流の増加とのトレードオフを考慮し、液晶パネルのサイズ(ピクセル数、画素容量)や用途、使用状況等に応じて、適切に設定される必要がある。
【0004】
例えば、差動増幅回路のスルーレートは、表示品質に関わる液晶パネルの応答性に影響するため高い方がよいが、バッテリで駆動される携帯機器などでは、液晶パネルの応答性を多少犠牲にしても差動増幅回路のスルーレートを下げ、消費電流の低減を最優先とすることが多い。逆に、スルーレートの向上を最優先すべき機器も当然に存在する。
【0005】
また、電機メータや遠隔操作用端末等に用いられるセグメントタイプの液晶パネル、あるいは、携帯電話機等に用いられる小型の液晶パネルは、その用途によってピクセル数や画素容量が千差万別である。用途ごとにスルーレートの異なる差動増幅回路を設計するわけにいかず、差動増幅回路のスルーレートを可変制御する技術は、非常に重要である。
【0006】
TFT−LCDにおいて、直流電圧印加による焼きつきを防ぐために交流駆動が行われている。LCDの交流駆動は、コモンレベルを中心に書き込み極性をフレームやライン毎に反転させる駆動方式であり、「フレーム反転」、「ゲートライン反転」、「ドレインライン反転」、「ドット反転」などの複数の種類がある。フレーム反転方式は、1フレーム内の各画素が同一の極性で駆動され、フレーム毎に書き込み極性が反転される方式である。ゲートライン反転方式は、フレーム内では走査線方向の書き込みが同極性で行われ、N(1以上の整数)ライン毎に書き込み極性が反転され、さらにフレーム毎に書き込み極性が反転される方式である。ドレインライン反転方式は、フレーム内ではデータ線(ドレインライン)方向の書き込みが同極性で行われ、M(1以上の整数)ライン毎に書き込み極性が反転され、さらにフレーム毎に書き込み極性が反転される方式である。また、ドット反転方式は、フレーム内では相隣する画素の書き込み極性が反転され、さらにフレーム毎に書き込み極性が反転される方式である。このように、書き込み極性が反転されるとき、差動増幅回路の入力が大きく変動するため、スルーレートがソースドライバの性能を表わす重要な指標の1つとなる。
【0007】
図1に、特開2008−141302号公報に開示される差動増幅回路の回路構成が示される。この差動増幅回路は、増幅部と基準電流生成部とを具備する。増幅部は、トランジスタP3〜P7、N3〜N4と、出力段に抵抗Rc0〜Rc3と位相補償容量Cc0とを含む位相補償部とを備える。基準電流生成部は、トランジスタP1〜P2、N1〜N2と、抵抗Rb0〜Rb3とを備え、増幅部のバイアス電流i2、i3の基準となる電流を生成する。基準電流生成部は、所定の制御信号HP、N、PSに応じてバイアス電流i2、i3の電流値を切り換えるスルーレート可変手段SW11〜SW13を有する。位相補償部は、制御信号HP、N、PSに応じて、抵抗Rc0〜Rc3の接続を変更し、抵抗値を切り換える位相補償量可変手段SW21〜SW23を有する。
【0008】
この差動増幅回路は、制御信号HP、N、PSに応答して、基準電流生成部に組み込まれた抵抗Rb0〜Rb3の接続を制御し、基準電流i1(バイアス電流i2、i3)の電流値を変え、増幅出力のスルーレートを変える。同時に、位相補償部に組み込まれた抵抗Rc0〜Rc3の接続を制御することにより、出力波形の歪みや発振を防ぐことができる。また、特開2010−41374号公報には、同じように差動増幅器のテール電流を制御してスルーレートを変更する差動増幅回路が開示されている。
【0009】
この差動増幅回路のスルーレートは、差動入力のテール電流であるバイアス電流i2と出力段のバイアス電流i3と位相補償容量Cc0とによって設定される。すなわち、基準電流生成部に組み込まれたスルーレート可変手段SW11〜SW13によって抵抗Rb0〜Rb3の接続を制御して基準電流i1、バイアス電流i2、i3を可変とし、スルーレートが制御される。したがって、基準電流生成部が基準電流i1を増加すると、バイアス電流i2、i3も増加し、回路の消費電力が増加する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2008−141302号公報
【特許文献2】特開2010−41374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、消費電流を増加させずにスルーレートを向上する差動増幅回路、表示用駆動回路を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、[発明を実施するための形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための形態]との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0013】
本発明の観点では、差動増幅回路は、差動信号を入力する入力段と、入力段の出力に基づいて容量性負荷を駆動する出力段とを具備する。入力段は、差動信号を入力する差動信号入力部(MN1/MN2、MN11/MN12/MP21/MP22)と、差動入力部にバイアス電流を供給する電流源(MN3、MN10/MP20)と、電流源(MN3、MN10/MP20)に並列に挿入される可変容量(Cs)を含むスルーレート調整部(414、415)とを備える。
【0014】
本発明の他の観点では、液晶表示装置は、上記の差動増幅回路をソース駆動回路として具備する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、消費電流を増加させずにスルーレートを向上する差動増幅回路、表示用駆動回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】特開2008−141302号公報に開示される差動増幅回路の回路構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る差動増幅回路の動作を説明する図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図2は、本発明の実施の形態に係る液晶表示装置の概略構成を示すブロック図である。液晶表示装置は、ソース駆動回路(ソースドライバ)100と、ゲート駆動回路(ゲートドライバ)200と、表示パネル300とを備える。ソース駆動回路100は、マトリクス状に配置されるTFT(Thin Film Transistor)312および液晶容量314を備える表示パネル300のデータ線180を駆動し、ゲート駆動回路200は、表示パネル300の走査線280を駆動する。ソース駆動回路100は、階調電圧生成回路101と、DA変換回路105と、バッファ回路110とを備える。DA変換回路105は、階調電圧生成回路101によって生成される階調電圧に基づいてDA変換する。DA変換された信号は、バッファ回路110で電力増幅され、データ線180に供給される。
【0019】
バッファ回路110は、ボルテージフォロワ接続される差動増幅回路を含む。本実施の形態に係る差動増幅回路は、図3に示されるように、増幅部400と基準電流生成部500とを備える。増幅部400は、NチャネルトランジスタMN1〜MN4と、PチャネルトランジスタMP1〜MP3と、スルーレート調整部414と、位相補償容量Ccとを具備する。基準電流生成部500は、NチャネルトランジスタN1〜N2と、PチャネルトランジスタP1〜P2、抵抗RBとを具備する。
【0020】
NチャネルトランジスタMN1、MN2は、入力段の差動対を形成し、差動入力信号In+、In−がゲートに印加される。PチャネルトランジスタMP1、MP2は、差動対の負荷として機能するカレントミラー回路を形成する。NチャネルトランジスタMN3は、差動対のバイアス電流ICS1を制御する。NチャネルトランジスタMN1とPチャネルトランジスタMP1との接続ノードの電圧が出力トランジスタであるPチャネルトランジスタMP3のゲートに印加される。PチャネルトランジスタMP3のゲート・ドレイン間に位相補償容量Ccが接続される。NチャネルトランジスタMN4は、PチャネルトラジスタMP3のバイアス電流ICS2を制御する。
【0021】
スルーレート調整部414は、定電流源となるNチャネルトランジスタMN3に並列に接続され、差動対を形成するNチャネルトランジスタMN1、MN2のソースを、NチャネルトランジスタMN3とともに電源電圧VSSに接続する。スルーレート調整部414は、容量C1〜C2と、スイッチS1〜S2とを備える。スイッチS1〜S2は、イネーブル信号ENC1〜ENC2によって制御される。したがって、スルーレート調整部414は、イネーブル信号ENC1〜ENC2に応答してその容量値を変化させ、差動増幅回路のスルーレートを変える。
【0022】
基準電流生成部500は、NチャネルトランジスタN1、N2により形成されるカレントミラー回路と、PチャネルトランジスタP1、P2により形成されるカレントミラー回路とを備え、抵抗RBにより設定される定電流を基準電流として生成する。基準電流生成部500は、増幅部400に組み込まれている電流源をなすNチャネルトランジスタMN3、MN4のゲートに基準電圧を印加して制御し、バイアス電流ICS1、ICS2を制御する。
【0023】
ここで、差動増幅回路のスルーレートを考える。図4は、図3に示される差動増幅回路に入力信号vin(t)を供給したときの回路を示している。NチャネルトランジスタMN3、MN4に電圧VBが印加され(基準電流生成部500の図示は省略)、所定のバイアス電流が流れる。ここでは、NチャネルトランジスタMN3は、電流2I1を流す。スルーレート調整部414は、イネーブル信号ENC1〜ENC2に応答して容量値を変える可変合成容量Cs(ここでは、容量C1〜C2の合成容量)として示される。入力信号vin(t)は、電圧差Vip、時間t1のランプ波形の信号とする。
【0024】
時間t1の電圧傾斜期間では、位相補償容量Ccに流れる電流は、入力段の定電流源MN3の電流2I1と、差動対のソースに接続される可変合成容量Csに流れる電流isの和(2I1+is)となる。このとき、演算増幅回路の出力電圧vo(t)は、下式で表わされる。
【数1】

【0025】
また、このときNチャネルトランジスタMN1がオンしているため、NチャネルトランジスタMN1はソースフォロワとして機能する。したがって、NチャネルトランジスタMN1のゲートに入力された入力信号vin(t)の波形と、ソースに現れる信号の波形は、ほぼ同じになる。したがって、可変合成容量Csに流れる電流is(t)は、下式で表わされる。
【数2】

【0026】
式(1)および式(2)から下記の式(3)および式(4)を得る。
【数3】

【0027】
式(4)から分かるように、差動増幅回路が立ち上げ出力するときに、t=0において、出力電圧に“Cs・Vip/Cc”の「飛び」があり、その後、一次関数的に増加する。その傾きで示されるスルーレートは、入力段の定電流源の電流2I1と位相補償容量Ccとにより定まる“2I1/Cc”によって示される。
【0028】
また、この差動増幅回路が立ち下げ出力するときのスルーレートは、下記のように定まる。立ち下げの場合、NチャネルトランジスタMN1がオフし、NチャネルトランジスタMN2がオンする。この状態では、NチャネルトランジスタMN2は、ソースフォロワとして機能し、そのゲートに入力される信号の波形と、ソースに現れる信号の波形とは、ほぼ同じになる。したがって、可変合成容量Csに流れる電流is(t)は、上記式(2)に示されるようになる。可変合成容量Cs、位相補償容量Ccに流れる電流をそれぞれis、icとすると、次式が成り立つ。
【数4】

【0029】
また、このとき位相補償容量Ccに流れる電流icは、NチャネルトランジスタMN2に流れる電流と同じく“2I1−is”となるため、下式を得る。
【数5】

【0030】
式(5)および式(6)から下記の式(7)を導き出すことができる。
【数6】

【0031】
式(7)から分かるように、この差動増幅回路が立ち下げ出力するときに、スルーレートは、入力段の定電流源(NチャネルトランジスタMN3)の電流と位相補償容量Ccと差動対のソースに接続されている可変合成容量Csとにより定まる。
【0032】
このように、入力段にNトランジスタ差動対を有する差動増幅回路の出力電圧は、立ち上げ出力するときに、最初に“Cs・Vip/Cc”の「飛び」があり、その後、一次関数的に増加する。その傾きで示されるスルーレートは、入力段の定電流源の電流2I1と位相補償容量Ccとにより定まる“2I1/Cc”によって示される。立ち下げ時のスルーレートは“2I1/(Cs+Cc)”によって示される。
【0033】
立ち上げ/立ち下げのスルーレートは、ともに可変合成容量Csの値を変更することで制御可能である。ただし、立ち上げ時の出力電圧は、式(4)の第1項にあるように“Cs・Vip/Cc”の「飛び」がある。この「飛び」は位相補償容量Ccと可変容量Csとの比で定まる。このため、立ち下げ時のスルーレートよりも立ち上げ時のスルーレートの方が可変容量Csを可変させた時の効果は大きい。
【0034】
このように、入力段にNチャネルトランジスタの差動対を有する差動増幅回路について示したが、入力段にPチャネルトランジスタの差動対を有する差動増幅回路も同じように考えることができる。すなわち、Pチャネルトランジスタの差動対を有する差動増幅回路では、立ち下げ出力するときに、出力電圧は、最初に“Cs・Vip/Cc”の「飛び」があり、その後一次関数的に増加(減少)する。その傾きで示されるスルーレートは、“2I1/Cc”となる。一方、立ち上げ出力するときには、スルーレートは、“2I1/(Cs+Cc)”となる。したがって、Pチャネルトランジスタの差動対を有する差動増幅回路の場合、可変合成容量Csを変化させたときの効果は、立ち下げ時のスルーレートに大きく表れる。
【0035】
上述のように、本発明の差動増幅回路は、差動対のソース側に接続される可変容量(Cs)を変化させてスルーレートを変化させている。そのため、テール電流(ICS1)は、常に一定となり、消費電流の変化を抑制することができる。
【0036】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る差動増幅回路の構成を図5に示す。
【0037】
第2の実施の形態に係る差動増幅回路は、入力段410と出力段420とを具備する。入力段410は、電流源となるNチャネルトランジスタMN10、PチャネルトランジスタMP20と、N受け差動対を形成するNチャネルトランジスタMN11、MN12と、P受け差動対を形成するPチャネルトランジスタMP21、MP22と、N受け差動対の負荷となるPチャネルトランジスタMP11、MP12と、P受け差動対の負荷となるNチャネルトランジスタMN21、MN22と、スルーレート調整部415とを具備する。
【0038】
スルーレート調整部415は、容量C11〜C12、C21〜C22と、スイッチS11〜S12、S21〜S22とを備える。容量C11〜C12は、イネーブル信号ENC11〜ENC12により制御されるスイッチS11〜S12を介してN受け差動対のソース側と電源電圧VSSとの間に、NチャネルトランジスタMN10と並列に挿入されている。容量C21〜C22は、イネーブル信号ENC21〜ENC22により制御されるスイッチS21〜S22を介してP受け差動対のソース側と電源電圧VDDとの間に、PチャネルトランジスタMP20と並列に挿入されている。
【0039】
出力段420は、電流源となるNチャネルトランジスタMN30、PチャネルトランジスタMP30と、浮遊電流源を形成するNチャネルトランジスタMN40、PチャネルトランジスタMP40と、出力トランジスタであるNチャネルトランジスタMN50、PチャネルトランジスタMP50と、位相補償回路を形成する抵抗R1、R2、容量C31、C32とを具備するAB級出力段である。
【0040】
電流源として機能するNチャネルトランジスタMN10、MN40、MN30、PチャネルトランジスタMP20、MP40、MP30は、図示を省略される基準電流生成部において生成される基準電圧BN1〜BN3、BP1〜BP3によりバイアス制御される。
【0041】
第2の実施の形態に係る差動増幅回路は、スルーレート調整部415に含まれる容量C11〜C12、C21〜C22の接続を制御することによりスルーレートを調整することができる。第1の実施の形態において説明されたように、N受け差動対(MN11、MN12)のソース側に接続される容量C11〜C12の接続を可変とし、合成容量値を変更することによって入力信号の立ち上げ時のスルーレートを調整することができる。また、P受け差動対(MP21、MP22)のソース側に接続される容量C21〜C22の接続を可変とし、合成容量値を変更することによって入力信号の立ち下げ時のスルーレートを調整することができる。したがって、入力段にN受け差動対(MN11、MN12)とP受け差動対(MP21、MP22)とを備えることにより、立ち上げ時のスルーレートと立ち下げ時のスルーレートとを調整することが可能になる。すなわち、出力波形の対称性を保つことができる。
【0042】
上述のように、本発明によれば、入力段の差動対に接続される容量を可変とすることにより、バイアス電流を変えずにスルーレートを調整することができる。また、本発明によれば、入力段をNチャネルトランジスタの差動対と、Pチャネルトランジスタの差動対との両受けにすることにより、立ち上げと立ち下げの両方のスルーレートを制御することができ、出力波形の対称性を確保することができる。
【0043】
上記実施の形態では、スルーレート調整用の容量は、それぞれ2個の容量による合成容量として説明したが、それぞれ1あるいは3個以上の容量を使用してもよい。また、基準電流生成部は、バイアス電圧として定電圧を供給できるものであればよい。
【0044】
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、上記実施の形態は、矛盾のない限り組み合わせて実施の可能である。また、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0045】
100 ソース駆動回路(ソースドライバ)
101 階調電圧生成回路
105 DA変換回路
110 バッファ回路
180 データ線
200 ゲート駆動回路(ゲートドライバ)
280 走査線
300 表示パネル
312 TFT
314 液晶容量
400 増幅部
414、415 スルーレート調整部
500 基準電流生成部
Cc、Cc0 位相補償容量
C1〜C2、C11〜C12、C21〜C22、C31、C32 容量
Cs 合成容量
MN1〜MN4 Nチャネルトランジスタ
MN10、MN11、MN12、MN21、MN22、MN30、MN40、MN50 Nチャネルトランジスタ
MP1〜MP3 Pチャネルトランジスタ
MP11、MP12、MP20、MP21、MP22、MP30、MP40、MN1〜N4 Nチャネルトランジスタ
P1〜P7 Pチャネルトランジスタ
P50 Pチャネルトランジスタ
R1、R2 抵抗
RB、Rb0〜Rb3 抵抗
S1〜S2、S11〜S12、S21〜S22 スイッチ
SW11〜SW13 スルーレート可変手段
SW21〜SW23 位相補償量可変手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号を入力する入力段と、
前記入力段の出力に基づいて容量性負荷を駆動する出力段と
を具備し、
前記入力段は、
差動信号を入力する差動信号入力部と、
前記差動入力部にバイアス電流を供給する電流源と、
前記電流源に並列に挿入される可変容量を含むスルーレート調整部と
を備える
差動増幅回路。
【請求項2】
前記スルーレート調整部は、
容量と、
制御信号に応答して前記容量を前記電流源に並列に接続するスイッチと
を含む
請求項1に記載の差動増幅回路。
【請求項3】
前記差動信号入力部は、
第1導電型のトランジスタを含む差動対を備え、
前記入力段は、前記差動信号入力部の負荷として機能する前記第1導電型と相補の第2導電型のトランジスタを含むカレントミラー回路を備える
請求項1または請求項2に記載の差動増幅回路。
【請求項4】
前記差動信号入力部は、
第1導電型のトランジスタを含む第1差動対と、
前記第1導電型と相補の第2導電型のトランジスタを含む第2差動対と
を備え、
前記入力段は、
前記第1差動対の負荷として機能する前記第2導電型のトランジスタを含む第1カレントミラー回路と、
前記第2差動対の負荷として機能する前記第1導電型のトランジスタを含む第2カレントミラー回路と
を備える
請求項1または請求項2に記載の差動増幅回路。
【請求項5】
前記出力段は、
前記入力段の出力を電力増幅するトランジスタと、
位相補償回路と
を備える
請求項1から請求項4のいずれかに記載の差動増幅回路。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれかに記載の差動増幅回路をソース駆動回路として具備する
液晶表示装置。
【請求項7】
第1の導電型の第1および第2トランジスタを備える差動対と、
前記差動対の負荷として機能する前記第1の導電型と相補の第2の導電型の第3および第4トランジスタを備えるカレントミラー回路と、前記第4トランジスタのドレインとゲートとは前記第2トランジスタのドレインに接続され、前記第1トランジスタのドレインは前記第3トランジスタのドレインに接続され、
前記差動対のテール電流を制御する第1電流源と、
前記第1電流源と並列に接続される容量と、
前記容量と前記第1電流源との間に設けられ、制御信号に応答して回路を開閉するスイッチと、
前記第1トランジスタのドレインと前記第3トランジスタのドレインとの接続ノードにゲートが接続され、出力ノードにドレインが接続される出力トランジスタと、
前記出力トランジスタにバイアス電流を供給する第2電流源と、
前記出力ノードと前記出力トランジスタのゲートとに両端が接続される位相補償容量と
を具備する差動増幅回路。
【請求項8】
第1および第2Nチャネルトランジスタを備えるN受け差動対と、
第1および第2Pチャネルトランジスタを備えるP受け差動対と、
第3および第4Pチャネルトランジスタを備え、前記N受け差動対の負荷として機能するPチャネルカレントミラー回路と、前記第3Pチャネルトランジスタのドレインは前記第1Nチャネルトランジスタのドレインに接続され、前記第4Pチャネルトランジスタのゲートとドレインは前記第2Nチャネルトランジスタのドレインに接続され、
第3および第4Nチャネルトランジスタを備え、前記P受け差動対の負荷として機能するNチャネルカレントミラー回路と、前記第3Nチャネルトランジスタのドレインは前記第1Pチャネルトランジスタのドレインに接続され、前記第4Nチャネルトランジスタのゲートとドレインは前記第2Pチャネルトランジスタのドレインに接続され、
前記N受け差動対のテール電流を制御する電流源として機能する第5Nチャネルトランジスタと、
前記N受け差動対と前記第5Nチャネルトランジスタとの接続ノードと、第1電源電圧との間に、第1制御信号に応答して回路を開閉する第1スイッチを介して前記第5Nチャネルトランジスタと並列に接続される第1容量と、
前記P受け差動対のテール電流を制御する電流源として機能する第5Pチャネルトランジスタと、
前記P受け差動対と前記第5Pチャネルトランジスタとの接続ノードと、第2電源電圧との間に、第2制御信号に応答して回路を開閉する第2スイッチを介して前記第5Pチャネルトランジスタと並列に接続される第2容量と、
前記第1Nチャネルトランジスタと前記第3Pチャネルトランジスタとの接続ノードにゲートが接続され、ソースが前記第2電源電圧に接続され、ドレインが出力ノードに接続されるPチャネル出力トランジスタと、
前記第1Pチャネルトランジスタと前記第3Nチャネルトランジスタとの接続ノードにゲートが接続され、ソースが前記第1電源電圧に接続され、ドレインが出力ノードに接続されるNチャネル出力トランジスタと、
前記Pチャネル出力トランジスタおよび前記Nチャネル出力トランジスタのゲートに所定のバイアスを与えるバイアス回路と、
前記Pチャネル出力トランジスタのゲート・ドレイン間に挿入される第1位相補償回路と、
前記Nチャネル出力トランジスタのゲート・ドレイン間に挿入される第2位相補償回路と
を具備する差動増幅回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−109848(P2012−109848A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257761(P2010−257761)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】