説明

弦楽器用マニピュレータ、及び弦楽器演奏ロボット

【課題】簡便にビブラート奏法を行なうことができる弦楽器用マニピュレータ、及びそれを用いた弦楽器演奏ロボットを提供すること。
【解決手段】本発明の一態様に係る弦楽器用マニピュレータは、弦51を指板52に押し当てる押し当て部材21と、押し当て部材21を保持する本体部20と、本体部20を指板52に対して近接離間させる左手用アクチュエータ13と、押し当て部材21を本体部20に対して回動可能に支持するシャフト22と、本体部20と押し当て部材21との間に設けられ、押し当て部材21を指板52に押し付ける方向に付勢するねじりばね26と、を備え、左手用アクチュエータ13が指板52を本体部20に対して近接離間させることによって、押し当て部材21が回動して弦方向の押し当て位置が変化するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弦楽器を演奏するための弦楽器用マニピュレータ、及びそのマニピュレータを備えた弦楽器演奏ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、テーマパークのアトラクション等で、楽器を演奏するロボットが活躍している。例えば、トランペット等の管楽器を演奏するためのロボットが開示されている(特許文献1参照)。このロボットでは、ピストンを押し下げるための人口指がピストン毎に設けられている。
【特許文献1】特開2004−314187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年では、バイオリンなどの弦楽器を演奏するロボットについても、開発が望まれている。ところで、バイオリンなどの弦楽器では、演奏に深みを持たせるため、ビブラート奏法が用いられる。ビブラート奏法とは、指板に対する弦の押し当て位置を弦方向に変化させるものである。これにより、弦の振動部分の長さが変化して、周波数の変化がおきる、このため、音程を周期的に変えることができる。通常、人間が演奏する場合、手首や肘を動かして、弦の押し当て位置を変化させる。これにより、音程を細かく振動させることができる。
【0004】
しかしながら、演奏用のロボットで手首関節や肘関節では、駆動する部分が大きくなってしまうため、細かな制御が困難である。また、ビブラート演奏用に新たな軸を増加させると、複雑な制御が必要となってしまう。よって、従来のロボットハンドでは、ビブラート奏法を行なうことが困難であるという問題点があった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、本発明の目的は、簡便にビブラート奏法を行なうことができる弦楽器用マニピュレータ、及び弦楽器演奏ロボットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る弦楽器用マニピュレータは、弦楽器の弦を指板に押し当てる指部を有する弦楽器用マニピュレータであって、前記弦を前記指板に押し当てる押し当て部材と、前記指部に設けられ、前記押し当て部材を保持する本体部と、前記弦を前記押し当て部材により前記指板に押し当てるよう、前記本体部を前記指板に対して近接離間させる第1のアクチュエータと、前記押し当て部材を前記本体部に対して回動可能に支持する支持部材と、前記本体部と前記押し当て部材との間に設けられ、前記押し当て部材を前記指板に押し付ける方向に付勢する弾性体と、を備え、前記押し当て部材が前記指板を押し付けた状態で、前記第1のアクチュエータが前記指板に対して近接離間させることによって、前記押し当て部材が回動して前記弦方向の押し当て位置が変化するものである。これにより、アクチュエータを増やす必要がないため、簡便な構成でビブラート奏法を実施することができる。
【0007】
本発明の第2の態様に係る弦楽器用マニピュレータは、上記のマニピュレータであって、前記本体部に当接することによって、前記押し当て部材の回動範囲を制限するストッパが設けられているものである。これにより、速やかに押し当てを開放することができる。
【0008】
本発明の第3の態様に係る弦楽器用マニピュレータは、上記のマニピュレータであって、前記第1のアクチュエータが第1のアクチュエータが前記本体部を駆動する方向が可変であるものである。これにより、簡便にビブラート奏法を実施することができる。
【0009】
本発明の第4の態様に係る弦楽器演奏ロボットは、上記の弦楽器用マニピュレータと、前記押し当て部材が前記第1のアクチュエータの駆動によって前記指板を押し当てることができる位置になるまで、前記弦楽器用マニピュレータを移動させる第2のマニピュレータとを備えるものである。これにより、簡便にビブラート奏法を実施することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡便にビブラート奏法を行なうことができる弦楽器用マニピュレータ、及び弦楽器演奏ロボットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本実施の形態にかかる弦楽器用マニピュレータは、弦楽器の弦を指板に押し当てる指部を有する弦楽器用マニピュレータである。弦楽器用マニピュレータは、弦を前記指板に押し当てる押し当て部材と、指部に設けられ、押し当て部材を保持する本体部と、を備えている。また、弦楽器マニピュレータは、押し当て部材を本体部に対して回動可能に支持する支持部材と、弦を押し当て部材により指板に押し当てるように本体部を指板に近接離間させる第1のアクチュエータと、を有している。さらに、弦楽器用マニピュレータは、本体部と押し当て部材との間に設けられ、押し当て部材を指板に押し付ける方向に付勢する弾性体を有している。そして、押し当て部材が指板を押し付けた状態で、第1のアクチュエータが前記指板に対して近接離間させることによって、押し当て部材が回動して弦方向の押し当て位置が変化する。
【0012】
以下に、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略する。
【0013】
本実施の形態に係る弦楽器演奏ロボットについて、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態にかかる弦楽器演奏ロボット100の概略構成を示す図である。弦楽器演奏ロボット100は、胴体部10、左手部11、右手部12、左手用アクチュエータ13、右手用アクチュエータ14、左腕部15、右腕部16、腕用アクチュエータ17、センサ18、及び制御部19を備えている。弦楽器演奏ロボット100は、例えば、図示しない頭部と脚部とを有する人型のヒューマイノイドロボットであってもよい。弦楽器演奏ロボット100は、両腕、及び両手を駆動して、バイオリン50を演奏する。このバイオリン50は、通常のバイオリンに限らず、電子バイオリンであってもよい。
【0014】
胴体部10には、左腕部15、及び右腕部16が接続されている。左腕部15、及び右腕部16は、例えば、6自由度や7自由度のロボットアームである。左腕部15、及び右腕部16は、肩関節を介して胴体部10に取り付けられている。左腕部15、及び右腕部16には、肘関節が設けられている。この肘関節は、左腕部15、及び右腕部16の上腕と前腕とを連結している。左腕部15の先端には左手部11が接続され、右腕部16の先端には、右手部12が接続されている。左手部11、及び右手部12は、手首関節を介して、左腕部15、及び右腕部16にそれぞれ接続されている。
【0015】
さらに、胴体部10には、左腕部15、及び右腕部16の各関節を駆動する腕用アクチュエータ17が設けられている。腕用アクチュエータ17によって、肘関節、肩関節、手首関節が駆動する。腕用アクチュエータ17としては、例えば、ソレノイドやモータ等を用いることができる。ここでは、腕用アクチュエータ17として、サーボモータを用いている。なお、腕用アクチュエータ17を配置する場所は、胴体部10に限らず、各関節の近傍でもよい。もちろん、自由度の数に応じた数の腕用アクチュエータ17が設けられている。
【0016】
左手部11、及び右手部12は、複数の指を有するロボットハンドである。例えば、左手部11、及び右手部12はそれぞれ、人間の手と同様に、五指を有する。左手部11には、五指に設けられた指関節を駆動するための左手用アクチュエータ13が設けられている。同様に、右手部12には、五指に設けられた指関節を駆動するための右手用アクチュエータ14が設けられている。なお、1本の指の指関節は1以上であればよい。左手用アクチュエータ13は、例えば、左手部11の手の平部に収容され、右手用アクチュエータ14は、右手部12の手の平部に収容される。左手用アクチュエータ13は、左手部11の指関節を駆動し、右手用アクチュエータ14は右手部12の指関節を駆動する。左手用アクチュエータ13、及び右手用アクチュエータ14としては、例えば、ソレノイドやモータ等を用いることができる。ここでは、左手用アクチュエータ13、及び右手用アクチュエータ14としても、サーボモータを用いている。
【0017】
なお、腕用アクチュエータ17、左手用アクチュエータ13、及び右手用アクチュエータ14は自由度に応じた数のモータ等を有している。例えば、左腕部15、及び右腕部16が6自由度のロボットアームである場合、それぞれの腕には、6つのモータが設けられる。また、両腕、及び両手の各関節には、サーボモータの動力を伝達するギヤやベルトやプーリなどが設けられていてもよい。
【0018】
左手部11、及び右手部12は、バイオリン50を演奏する弦楽器演奏マニピュレータである。左手部11は、バイオリン50の指板52部分を把持する。すなわち、左手部11がバイオリン50のネック部分を把持して、バイオリン50を持ち上げる。そして、バイオリン50のボディーを胴体部10で保持する。例えば、人間と同様に、頭部の顎部と肩部とでバイオリンのあご当てを挟み込む。これにより、バイオリン50を安定して保持することができる。もちろん、上記以外の方法で、バイオリン50を保持してもよい。例えば、弦楽器演奏ロボット100に、バイオリン保持機構を設けてもよい。
【0019】
右手部12は、バイオリン50の演奏に用いる弓53を把持する。すなわち、右手部12で弓53を操作する。右手部12が弓53を把持した状態で、腕用アクチュエータ17を駆動する。これにより、右腕部16の関節が駆動し、音を奏でるための弓53の往復動作が行なわれる。バイオリン50には、4本の弦51が設けられている。そして、左手部11の指の先端が、それぞれの弦51を指板52に対して押し当てる。例えば、4本の弦51が人差指、中指、薬指、親指で、それぞれ押さえられる。これにより、弦51の振動部分の長さが変化して、音程を調整することができる。左手部11によって弦51を指板52に押し当てた状態で、右手部12が弓53によって弦51を振動させる。具体的には、右手部12が弓53のヘアーを弦51に当接させた状態で、弓53を弦方向から傾いた方向に移動させる。例えば、弓53を把持した右手部12を図1の矢印方向に駆動する。弦51と弓53とがこすれ、弦51が振動する。これにより、弦51の振動部分の長さに応じた音程の音が奏でられる。
【0020】
胴体部10には、各関節の駆動を制御するための制御部19が設けられている。制御部19は、腕用アクチュエータ17、左手用アクチュエータ13、及び右手用アクチュエータ14の駆動を制御する。制御部19は、例えば、エンコーダなどのセンサ18からの出力に応じて、フィードバック制御する。制御部19による制御は、公知の制御方法を用いることができる。これにより、右手部12、及び左手部11が上述のように駆動して、音を奏でることができる。
【0021】
ここで、制御部19について詳細に説明する。制御部19は、演算処理部であるCPU(Central Processing Unit)、記憶領域であるROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)、通信用のインターフェースなどを有し、ロボット1の各種動作を制御する。例えば、ROMには、制御するための制御プログラムや、各種の設定データ等が記憶されている。そして、CPUは、このROMに記憶されている制御プログラムを読み出し、RAMに展開する。そして、設定データや、センサ等からの出力に応じてプログラムを実行する。
【0022】
制御部19は、演奏する曲に応じて、腕用アクチュエータ17、左手用アクチュエータ13、及び右手用アクチュエータ14の駆動を制御する。例えば、演奏曲に応じて、押し当て位置のパターンを生成する。そして、押し当て位置のパターンに基づいて左手部11を移動させる。これにより、所定のタイミングで、押し当て位置が所定の位置に変化する。また、演奏曲に応じて、弓53を移動するタイミングのパターンを生成する。そして、このタイミングパターンに応じて弓53の往復動作を制御する。これにより、所定の音程が所定のタイミングで奏でられていき、演奏することができる。なお、本実施の形態において、弦楽器演奏ロボット100が行なう演奏とは、完全な曲の演奏に限らず、少なくとも1つの音程の音が奏でられるものであればよい。
【0023】
さらに、本実施の形態では、左手部11を駆動することによって、ビブラート奏法を行なうことができる。すなわち、制御部19が左手部11の駆動を制御することで、弦51の押し当て位置が弦方向に変化する。ビブラート奏法を行なうため、弦方向の押し当て位置を周期的にずらす。具体的には、7Hzで押し当て位置を変化させる。これにより、音程をわずかに変化させることができる。ある音を出すときに、その音を基準に音を震わせることができる。ビブラート奏法を行なうことで、音に深みを持たせることができる。
【0024】
次に、本実施の形態の特徴部分である左手部11について説明する。図2を左手部11の構成を模式的に示す斜視図である。図2では、左手部11がバイオリン50の指板52部分を保持した状態を示している。左手部11は、指と、手の平部48とを有している。ここでは、左手部11が五指を有しているとして説明する。すなわち、手の平部48には、親指41、人差指42、中指43、薬指44、及び小指45が接続されている。もちろん、指の数は、6以上であってもよく、4以下であってもよい。
【0025】
左手部11の手の平部48に指板52部分が載置される。指板52の裏面、すなわち、指板52の弦51と反対側の面は手の平部48と接触する。そして、指板52が左手部11の指によって挟まれている。すなわち、親指41が指板52の片側に配置され、人差指42、中指43、薬指44、小指45がもう片側に配置される。人差指42、中指43、薬指44、小指45は所定の間隔を隔てて配置されている。このように、左手部11は、バイオリン50の指板52部分を掴んでいる。そして、人差指42、中指43、薬指44、小指45が4本の弦51をそれぞれ押え付ける。これにより、弦51が指板52に押し当てられる。
【0026】
人差指42、中指43、薬指44、小指45は、駆動軸40を介して回転可能に支持されている。この駆動軸40が左手用アクチュエータ13によって駆動される指関節の回転軸となる。人差指42、中指43、薬指44、小指45の駆動軸40は平行になっている。さらに、人差指42、中指43、薬指44、小指45の駆動軸40は一致している。また、駆動軸40を弦方向と略平行にしている。駆動軸40は各指の根元近傍に設けられている。駆動軸40を介して各指が手の平部48に対して連結される。
【0027】
左手用アクチュエータ13を駆動すると、駆動軸40を回転軸として指関節が回転する。従って、左手用アクチュエータ13を駆動すると、人差指42、中指43、薬指44、小指45が手の平部48に対して回転する。制御部19が左手用アクチュエータ13の駆動を制御することにより、指関節の回転角度が変化する。これにより、各指の先端が指板52の裏面側に配置された手の平部48に対して近づいたり、離れたりする。各指の先端を手の平部48に近づけると、各指の先端が指板52に近づく。これにより、弦51を指板52に押し当てることができる。また、各指の先端を手の平部48から遠ざけると、各指の先端が指板52から離れていく。これにより、弦51の押し当てを開放することができる。なお、左手用アクチュエータ13は、それぞれの指を独立して駆動する。
【0028】
このように、左手用アクチュエータ13が駆動すると、駆動軸40に対する指の回転角度が変化する。よって、制御部19が左手用アクチュエータ13の駆動を制御することによって、所定のタイミングで弦を押し当てることができる。さらに、左手用アクチュエータ13の駆動を制御することによって、弦51を指板52に押し付ける力を制御することができる。すなわち、左手用アクチュエータ13を高いトルクで駆動すると、指が指板52を強い力で押し付ける。よって、指が弦51を指板52に押し付ける力が強くなる。
【0029】
なお、指板52に対して押え付ける弦51の選択は、腕用アクチュエータ17によって行なわれる。すなわち、腕用アクチュエータ17が左腕部15の肘関節や手首関節等を駆動する。これにより、指の先端と弦51との接触位置が弦方向と垂直方向であって、指板52上を横切る方向にずれる。すなわち、4本の弦51が配列されている方向に指の先端が移動される。これにより、4本の弦51の中から、指板52に押し当てる弦51を選択することができる。押し当てる弦51を選択する場合、例えば、駆動軸40と平行な軸の関節を駆動する。また、ビブラート奏法以外で弦51を押し当てる位置を変化させる時も、腕用アクチュエータ17を用いる。この場合、駆動軸40と傾斜する軸の関節を用いる。例えば、駆動軸40と直交する軸の関節を駆動して、押し当て位置を変化させる。これにより、左手部11が弦方向に移動するため、押し当て位置を変化させることができる。すなわち、左手部11が指板52に沿って移動する。よって、所望の音程の音が奏でられるように、弦51を押し当てることができる。
【0030】
ある音を奏でるときの指の先端と弦51が最初に接触する位置を接触点とする。この接触点は腕用アクチュエータ17の駆動することによって、変化する。すなわち、腕用アクチュエータ17が接触点の位置決めを行なう。そして、位置決めされた状態で、左手用アクチュエータ13を駆動すると、弦51方向と垂直な方向に指の先端が駆動する。これにより、指の先端が弦51に近づいていき、所定の接触点で弦51と指が接触する。さらに、左手用アクチュエータ13を駆動すると、接触点に応じた位置で弦51が指板52に押し当てられる。具体的には、腕用アクチュエータ17を駆動して、弦51の押し当て位置の略直上に指の先端を配置する。そして、左手用アクチュエータ13を駆動して、指の先端を弦に近づける。弦51と指の先端が接触する。さらに、左手用アクチュエータ13を駆動すると、弦51が指板52に押し当てられる。左手用アクチュエータ13は指の先端を弦方向と垂直な方向に移動させることが好ましい。このため、左手用アクチュエータ13が本体部20を駆動する方向が可変であることが望ましい。これにより、接触点の位置決めを容易に行うことができる。よって、正確な位置で弦51が押し当てられる。接触点に応じた音程が奏でられるため、音程の制御を容易に行うことができる。
【0031】
一方、ビブラート奏法を行なうとき、左手用アクチュエータ13を駆動させる。すなわち、制御部19が左手用アクチュエータ13の駆動を制御することによって、ビブラート奏法が行われ、押し当て位置が変化する。人差指42の先端には、押し当て位置を可変にするための回転軸となるシャフト22が設けられている。もちろん、人差指42以外の指にも同様に、シャフトが設けられていても良い。そして、駆動軸40を回転軸として、指関節を回転させる。これにより、指の先端が指板52に近づいていく。指の先端に設けられた押し当て部材がシャフト22を回転軸として回転する。これにより、押し当て位置が変化する。以下にビブラート奏法を行なうために指の先端部分に設けられた機構について、詳細に説明する。なお、以下の説明では、弦を指板に押し当てる指を指部と称している。指部は、いずれの指であってもよい。
【0032】
図3乃至図5を用いて、ビブラート奏法を行うための指部について説明する。図3は、指部46の先端周辺の構成を示す分解斜視図である。図4、及び図5は、指部46が、指板52を押え付けている様子を示す斜視図である。図4(a)は、指部46が、指板52に弦51を押し当てている様子を示す斜視図であり、図4(b)は、図4(a)の状態における指部先端の構成の一部を模式的に示す側面図である。図5(a)は、指部46が、指板52に弦51を押し当てている様子を示す斜視図であり、図5(b)は、図5(b)の状態における指部の一部の構成を模式的に示す側面図である。なお、図4と図5とでは、押し当て位置が変化している。
【0033】
まず、図3を参照して指部46の構造について説明する。図3に示すように、指部46は、本体部20、押し当て部材21、シャフト22、ベアリング23、ねじりばね(トーションばね)26を有している。本体部20は、収納溝28、孔27、及び挿入穴25を有している。押し当て部材21は、メカリミット30、貫通孔24、及び凹溝29を有している。なお、図3では、本体部20の内部構成を示すため、本体部20を透視して示している。
【0034】
本体部20の先端には、弦51を指板52に押し当てる押し当て部材21が配置される。押し当て部材21は、指部46の先端に配置される駒状部材である。押し当て部材21は、例えば、プラスチックなどの樹脂によって形成されている。図3では、押し当て部材21の下側が弦51と当接する。よって、押し当て部材21の下側が弦51を指板52に押し当てる押し当て側となる。ここで、押し当て部材21の押し当て側の面を押し当て面21aとし、押し当て面21aと反対側の面を反押し当て面21bとする。押し当て部材21は押し当て側と反対側が切り欠かれた略楕円柱状になっている。押し当て部材21の押し当て面21aは曲面となる。押し当て部材21の押し当て側の曲面が扁平している。押し当て部材21の押し当て面21aは扁平した曲面になり、反押し当て面21bは略平面になっている。
【0035】
押し当て部材21には、貫通孔24が設けられている。この貫通孔24にシャフト22が挿入される。さらに、押し当て部材21の貫通孔24の両側にはベアリング23が配設されている。すなわち、2つのベアリング23間に押し当て部材21が配置される。ベアリング23は、貫通孔24に対応して設けられている。シャフト22は、ベアリング23を介して押し当て部材21を回転可能に支持している。具体的には、本体部20の収納溝28に押し当て部材21が嵌め込まれる。そして、ベアリング23、及び貫通孔24にシャフト22が挿入される。シャフト22は、押し当て部材21を本体部20に対して回動可能に支持する支持部材である。
【0036】
このシャフト22は、駆動軸40から傾斜する方向になっている。従って、シャフト22は、弦方向と傾いた方向に設けられている。例えば、駆動軸40とシャフト22とは直交している。この場合、弦方向とシャフト22とは直交する。ここで、シャフト22の方向を押し当て部材21の厚さ方向とする。押し当て部材21は、厚さ方向の中央付近で弦を押し当てる。シャフト22は、押し当て部材21の偏心位置に設けられている。図3では、厚さ方向と垂直な平面において、貫通孔24、及びシャフト22の位置が、押し当て部材21の中心位置から右側に片寄っている。すなわち、回転軸が押し当て部材21の右側に偏心している。シャフト22を回転軸として押し当て部材21が回転すると、以下に詳述する通り、押し当て位置が変化する。
【0037】
本体部20の先端側には、収納溝28が形成されている。この収納溝28に、押し当て部材21が収納される。収納溝28は、押し当て部材21の反押し当て側に応じた形状となっている。すなわち、収納溝28は、押し当て部材21に反押し当て面21bに沿って形成されている。さらに、収納溝28は、シャフト22を挿入するための挿入穴25と連通している。挿入穴25は収納溝28の両側に設けられる。これにより、シャフト22を本体部20に挿入することができる。また、収納溝28は、ねじりばね26の端部が挿入される孔27と連通している。図3において、孔27は上方に延びている。このように、本体部20の収納溝28には、挿入穴25、及び孔27が接続されている。本体部20と押し当て部材21が、押し当て部材21の厚さ方向のクリアランスを有するように、収納溝28が形成されている。これにより、シャフト22を回転軸として、押し当て部材21を回転させることができる。
【0038】
また、収納溝28には、ねじりばね26が収納される。従って、本体部20は、押し当て部材21、及びねじりばね26を収納するケースとなる。ねじりばね26は、例えば、金属棒を螺旋状にねじることによって形成される。すなわち、金属棒をコイル状に回転させていくことにより、ねじりばね26が形成される。ねじりばね26は、コイルの中心軸まわりに荷重を受けるばねである。コイルの両端は、通常、所定の開き角になっている。ねじりばね26は、コイル両端に設けられた端部の開き角に応じた弾性力を発生する弾性体である。ねじりばね26の開き角を狭くすると、開き角を広げる方向に弾性力が生じる。ねじりばね26のコイルの中に、シャフト22が挿入される。例えば、ねじりばね26のコイルの中心軸にシャフト22を配置する。従って、ねじりばね26の両端のうちの一端が孔27に挿入される。
【0039】
ねじりばね26のコイル部分は、押し当て部材21の凹溝29内に配置される。凹溝29は、貫通孔24と連通している。凹溝29は、押し当て部材21の厚さ方向の中央付近に形成されている。そして、ねじりばね26の一端が孔27の内部で本体部20と当接し、他端が凹溝29内で押し当て部材21に当接する。このように、ねじりばね26は、押し当て部材21と本体部20との間に配置される。
【0040】
ねじりばね26は、押し当て部材21を指板52に押し付ける方向に付勢する。すなわち、押し当て部材21はねじりばね26の弾性力によって、矢印Cの方向に付勢されている。ねじりばね26の弾性力によって、押し当て部材21が所定の回転角度になる。これにより、本体部20と押し当て部材21の反押し当て面21bとの間に、隙間が生じる。シャフト22よりも左側において、押し当て部材21と本体部20との間に隙間が生じていることになる。そして、ねじりばね26の開き角が変わると、押し当て部材21の回転角度が変化する。すなわち、押し当て部材21の回転角度は、ねじりばね26の開き角に応じた値となる。そして、押し当て部材21が回転すると、反押し当て面21bと本体部20との隙間が変化する。
【0041】
押し当て部材21が弦51を指板52に押し付けると、押し当て部材21は指板52から反力を受ける。この反力とねじりばね26の弾性力がつりあう位置で、押し当て部材21の回転が停止する。このとき、押し当て部材21はねじりばね26によって指板52の方向に付勢されている。よって、弦51を確実に指板52に対して押し当てることができる。押し当て部材21が指板52をさらに押し付けると、指板52が押し当て部材21を押し付ける力がさらに強くなる。これにより、力のつり合い位置が変化して、ねじりばね26の開き角度が狭くなっていく。よって、押し当て部材21の回転角度が矢印Cと反対方向に回転する。押し当て部材21の反押し当て面21bと本体部20との隙間が小さくなり、ねじりばね26の開き角が小さくなる。このように、押し当て部材21が弦51を指板52に対して押し付ける力が変化すると、ねじりばね26の開き角が変わる。そして、押し当て部材21の回転角度が変化する。
【0042】
また、ねじりばね26の開き角はメカリミット30によって制限されている。すなわち、メカリミット30が本体部20と当接することによって、ねじりばね26の開き角が制限される。これにより、ねじりばね26の開き角がある一定以上大きくならない。すなわち、メカリミット30が本体部20と当接するまでは、開き角を狭くすることができる。このように、メカリミット30は、ねじりばね26の開き角が広がる方向の回転を制限している。メカリミット30が本体部20に当接すると、矢印Cの方向に回転に制限がかかる。
【0043】
一方、反押し当て面21bがねじりばね26の両端が狭くなる方向の開き角を制限している。すなわち、反押し当て面21bが本体部20と当接することによって、ねじりばね26の開き角が制限される。これにより、ねじりばね26の開き角がある一定以上小さくならない。すなわち、反押し当て面21bは、ねじりばね26の開き角が狭くなる方向の回転を制限している。反押し当て面21bが本体部20と当接するまでは、開き角を狭くすることができる。
【0044】
メカリミット30で制限される回転角度と反押し当て面21bで制限される回転角度の間、ねじりばね26は常時、押し当て部材21に弾性力を付与している。すなわち、メカリミット30を設けることによって、ねじりばね26は、常時、開き角を広げる方向に弾性力を発生させている。このようにするため、メカリミット30はねじりばね26の開き角が広がらないように制限する。具体的には、メカリミット30が本体部20に接触している状態の開き角を、ねじりばね26に何ら力が加わっていない状態での開き角よりも狭い角度にする。これにより、ねじりばね26が常時、押し当て部材21に対して付勢力を発生させる。押し当て部材21には、シャフト22を支点として指板52の方向に付勢力がかかっている。すなわち、反押し当て面21bと本体部20の隙間が広くなる方向に、押し当て部材21が付勢されている。
【0045】
従って、押し当て部材21が指板52に接触した状態で、本体部20をさらに指板52に押し付けていくと、押し当て部材21が矢印Cと反対方向に回転する。そして、反押し当て面21bが本体部20と当接したところで、矢印Cと反対方向の回転が止まる。シャフト22を回転軸とする押し当て部材21の回転角度が制限される。一方、反押し当て面21bが本体部20と当接した状態で、本体部20を指板52から離していくと、押し当て部材21が矢印Cの方向に回転する。これにより、ねじりばね26の開き角が徐々に広くなっていく。そして、メカリミット30と本体部20とが当接すると、回転が停止する。ここでは、押し当て部材21と本体部20とが完全に離れる。これにより、シャフト22を回転軸とする押し当て部材21の回転角度が制限される。メカリミット30を設けることにより、押し当てを速やかに開放することができる。このように、反押し当て面21bとメカリミット30が回転を制限するストッパとして機能する。反押し当て面21b、及びメカリミット30は、押し当て部材21に本体部20に当接することによって、押し当て部材21の回動範囲を限定するストッパとなる。
【0046】
押し当て部材21の押し当て面21aは、扁平した曲面となっている。さらに、シャフト22が押し当て部材21の偏心位置に設けられている。従って、押し当て部材21の回転角度が変わると、本体部20の先端から押し当て面21aの先端までの距離が変化する。また、押し当て部材21の回転角度が変わると、弦方向の押し当て位置が変化する。
【0047】
押し当て部材21が弦51を指板52に押し当てている状態を図4、及び図5を用いて説明する。図4は、反押し当て面21bが本体部20に当接している状態を示している。図5は、図4の状態から、本体部20を指板52から遠ざけた状態を示している。また、図4(b)、及び図5(b)では、本体部20と押し当て部材21との位置関係を模式的に示している。ビブラート奏法を行なう場合、指部46は、図4の状態と、図5の状態とを繰り返す。図4、及び図5の状態では、指板52と押し当て部材21との間に、弦51が挟まれている。
【0048】
図4では、押し当て部材21が略完全に本体部の収納溝28に収納されている。ここで、押し当て部材21が弦51を指板52に押し当てている押し当て位置はA点になる。そして、ねじりばね26は、矢印Dと反対方向に押し当て部材21を付勢している。これにより、確実に弦51を指板52に押し当てることができる。ここでは、反押し当て面21bが本体部20に当接しているため、これ以上、押し当て部材が矢印Dの方向に回転しない。従って、正確な押し当て位置で押し当てることができる。すなわち、押し当て位置の位置ずれを抑制することができる。ビブラート奏法を行なわないときは、図4に示す状態で、弦51を指板52に押し当てる。そのため、まず、左手用アクチュエータ13を駆動して、本体部20を指板52に近づけていく。指部46が矢印Eの方向に移動する。これにより、押し当て部材21が矢印Dの方向に回転して、ねじりばね26の開き角が徐々に狭くなっていく。図4(b)において、ねじりばね26はシャフト22よりも左側において、押し当て部材21を付勢している。このように、弦方向において、押し当て部材21がねじりばね26により付勢されている位置と、シャフト22の位置とは、ずれている。反押し当て面21bが本体部20に当接したら、左手用アクチュエータ13の駆動を停止する。これにより、反押し当て面21bが本体部と当接した状態となる。よって、押し当て位置の位置精度を向上することができる。図4(b)に示す状態では、押し当て部材21の指板側の先端が本体部20の指板側の先端に最も近くなっている。
【0049】
図4に示す状態では、本体部20と指板52との距離が最も近くなっている。換言すると、シャフト22が指板52に最も接近している。ビブラート奏法を実施するとき、左手用アクチュエータ13を駆動して、図4の状態と図5の状態を交互に繰り返す。そのため、まず、図4に示す状態から、本体部20と指板52とを離すように、左手用アクチュエータ13を駆動する。すなわち、図5の矢印Fの方向に指部46を駆動して、図5に示す状態とする。図5(b)の状態における本体部20と指板52との距離は、図4(b)の状態における本体部20と指板52との距離よりも、広くなっている。換言すると、シャフト22と指板52との距離が広くなる。これにより、押し当て部材21が矢印Cの方向に回転する。すなわち、偏心位置に設けられたシャフト22を回転軸として、押し当て部材21が回転する。押し当て部材21の一部が本体部20の収納溝28からはみ出す。これにより、押し当て位置がA点からB点にずれる。すなわち、押し当て位置が弦方向に変化する。また、押し当て部材21には、ねじりばね26によって、指板52を押し付ける方向の付勢力が与えられている。なお、この状態では、メカリミット30が本体部20に当接されていない。よって、確実に押し当てることができる。
【0050】
図5の状態となったら、左手用アクチュエータ13を駆動して、再度、図4の状態にする。すなわち、左手用アクチュエータ13を駆動して、本体部20と指板52とを近づけていく。そして、再度、反押し当て面21bが本体部20に接触させる。このように、図4に示す状態と、図5に示す状態を交互に繰り返す。すなわち、左手用アクチュエータ13を駆動して、本体部20と指板との距離を周期的に変化させる。これにより、シャフト22と指板52との距離が近づいたり、離れたりして、押し当て部材21の回転方向が反転する。従って、押し当て位置がA点とB点の間を周期的に移動する。このように、押し当て位置がわずかに変化する。例えば、押し当て位置を弦方向に最大7mm程度変化させることができる。さらに、左手用アクチュエータ13を、例えば、5〜8Hz程度で変化させる。これにより、押し当て位置がA点とB点の間を5〜8Hzで変化する。左手用アクチュエータ13を駆動しながら、右手部12で弓53を弦51に当接させる。そして、弓53を往復させると、ビブラート奏法が実施される。なお、ビブラート奏法において、反押し当て面21bと本体部20を当接させなくてもよい。すなわち、反押し当て面21bとメカリミット30とで制限される回転角度の間で、押し当て部材21を回転させればよい。よって、反押し当て面21bと本体部20とが接触する前に、本体部20と指板52から離してもよい。
【0051】
なお、押し当てを開放するときは、図5に示す状態よりも、さらに本体部20を指板52から遠ざける。すなわち、左手用アクチュエータ13を駆動して、シャフト22と指板52との間隔を広くする。これにより、押し当て部材21が指板52から離れる。この状態では、メカリミット30と本体部20とが当接している。このようにして、押し当てが開放する。
【0052】
このように、押し当て部材21を指板52に近づける左手用アクチュエータ13によって、押し当て位置を変化させることができる。換言すると、押し当て部材21を指板52に近づける駆動軸と、弦方向に押し当て位置を変化させる駆動軸を共通化している。これにより、少ない駆動軸でビブラート奏法を実現することができる。すなわち、ビブラート専用の駆動軸を設けなくてもよいので、装置構成を簡略化することができる。このように、左手用アクチュエータ13が本体部20を指板52に対して近接離間させることによって、ビブラート奏法が実施される。
【0053】
また、腕用アクチュエータ17は、押し当て部材21が左手用アクチュエータ13の駆動によって指板52を押し当てることができる位置になるまで、左手部11を移動させる。すなわち、腕用アクチュエータ17が左手部11を駆動すると、押し当て部材21が左手用アクチュエータ13の駆動により指板52を押し当てることができる押し当て可能位置に配置される。そして、左手用アクチュエータ13を駆動して弦を押し当てる。このように、腕用アクチュエータ17が左手部11を移動することによって、接触点の位置決めが行なわれる。そして、接触点の位置決め動作と、ビブラートの動作を別のアクチュエータで行っている。これにより、押し当て部材21と指板52との接触点を精度よく位置決めすることができる。すなわち、ビブラート用の駆動軸40は、左手用アクチュエータ13となり、接触点を位置決めするための駆動軸は左腕部15を駆動する腕用アクチュエータ17となる。位置決め用の駆動軸とビブラート用の駆動軸とを独立して制御することができる。よって、位置決め用の腕用アクチュエータ17では接触点を精度よく位置決めすることができる。腕用アクチュエータ17とは別の左手用アクチュエータ13を駆動することで、ビブラートが行なわれる。よって、簡便にビブラートを実現することができる。
【0054】
また、ねじりばね26によって、押し当て部材21を指板52の方向に付勢している。これにより、弦51を指板52に確実に押し当てることができる。もちろん、ねじりばね26以外の弾性体によって押し当て部材21を指板52に付勢してもよい。
【0055】
押し当て部材21の形状は、押し当て位置の可変範囲や押し当て部材21の回動範囲に応じて、設計することができる。なお、弦楽器演奏マニピュレータは1本以上の指に、上記の機構が設けられていればよい。すなわち、ビブラートの動作が必要な指のみに、上記の機構を設ければよい。また、左手部11、及び右手部12は、1以上の指関節が設けられていればよい。なお、指関節を2以上設けてもよい。すなわち、2以上の指関節を駆動して、指部46を指板52に近づけてもよい。さらに、指関節は回転関節に限らず、直動関節であってもよい。
【0056】
なお、上記の例では、バイオリンを演奏するマニピュレータについて説明したが、ビブラート奏法が行われる他の弦楽器を演奏するものであってもよい。例えば、ビィオラ、チェロ、コントラバス、ウッドベースなどの擦弦楽器について演奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施の形態に係る弦楽器演奏ロボットの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態に係る弦楽器演奏ロボットにおける左手部の構成を示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る弦楽器演奏ロボットの弦を押し当てる部分の構成を拡大して示す図である。
【図4】本実施の形態に係る弦楽器演奏ロボットおいて、指部先端の構成を拡大して示す図である。
【図5】本実施の形態に係る弦楽器演奏ロボットおいて、指部先端の構成を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0058】
10 胴体部、11 左手部、12 右手部、13 左手用アクチュエータ
14 右手用アクチュエータ、15 右腕部、16 左腕部、
17 腕用アクチュエータ、18 センサ、19 制御部、
20 本体部、21 押し当て部材、21a 押し当て面、21b 反押し当て面、
22 シャフト、23 ベアリング、24 貫通孔、25 挿入穴、26 ねじりばね、
27 孔、28 収納溝、29 凹溝、30 メカリミット、
41 親指、42 人差指、43 中指、44 薬指、45 小指、46 指部、
48 手の平部、50 バイオリン、51 弦、52 指板、53 弓、
100 弦楽器演奏ロボット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弦楽器の弦を指板に押し当てる指部を有する弦楽器用マニピュレータであって、
前記弦を前記指板に押し当てる押し当て部材と、
前記指部に設けられ、前記押し当て部材を保持する本体部と、
前記弦を前記押し当て部材により前記指板に押し当てるよう、前記本体部を前記指板に対して近接離間させる第1のアクチュエータと、
前記押し当て部材を前記本体部に対して回動可能に支持する支持部材と、
前記本体部と前記押し当て部材との間に設けられ、前記押し当て部材を前記指板に押し付ける方向に付勢する弾性体と、を備え、
前記押し当て部材が前記指板を押し付けた状態で、前記第1のアクチュエータが前記本体部を前記指板に対して近接離間させることによって、前記押し当て部材が回動して前記弦方向の押し当て位置が変化する弦楽器用マニピュレータ。
【請求項2】
前記本体部に当接することによって、前記押し当て部材の回動範囲を制限するストッパが設けられている請求項1に記載の弦楽器用マニピュレータ。
【請求項3】
前記第1のアクチュエータが前記本体部を駆動する方向が可変である請求項1、又は2に記載の弦楽器用マニピュレータ。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の弦楽器用マニピュレータと、
前記押し当て部材が前記第1のアクチュエータの駆動によって前記指板を押し当てることができる位置になるまで、前記弦楽器用マニピュレータを移動させる第2のアクチュエータと、を備える弦楽器演奏ロボット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−229812(P2008−229812A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76389(P2007−76389)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】