説明

微細加工デバイスおよびその製造方法

第1および第2の面を有する基板と、基板の第1の面上に配置されている第1の電極材料層とを含む、流体中で作動させるための微細加工デバイスを提供する。このデバイスは、第1の電極材料層上に配置されている圧電材料層と、圧電材料層上に配置されている第2の電極材料層とを有する。このデバイスは、また、第2の電極材料層上に配置され、第2の電極材料層の一部を流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する分離材料の層をも含む。あるデバイスは、分離材料の層上に配置されている導電性材料の層を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、流体中で作動する微細加工デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
微細加工デバイスは、センサとして、バルブ、ポンプおよびミキサなどを含む様々な流体用途に使用することが可能である。流体中で作動させることを意図する微細加工デバイスは、デバイスの流体シール、流体とデバイスの検知面および/または作動面との間の流体連通、および流体からの電気的インターフェースの分離を充分に保証できるように設計し、製造する必要がある。
【0003】
微細加工デバイスは、化学センシングまたは生物学的検定を行うために使用されることが多い。例えば、微細加工センサは、流体試料中の生物学的検体の存在を検知したり、その量を測定したりするために使用することが可能である。1つの方法は、対象とする検体に特異的な抗体を、センサ表面上に固定することである。一般に、生体分子(例えば、抗体)をセンサの表面への拘束を促進するために、その下に存在する表面化学層を使用する。流体試料中の検体がセンサ上の固定抗体と結合して、センサの応答に変化が生じる。
【0004】
微細加工デバイスは、また、流体特性を特徴付けるために使用することも可能である。例えば、流体の密度、流体の粘度、および流体中の音速を測定するために使用する場合もある。さらに、流体環境の変化に対するセンサの応答をモニタすることによって、様々な化学プロセスまたは生化学プロセス(例えば、反応速度、相変化、凝集)の特性を表すことが可能である。一部の用途として、これに限定されないが、重合プロセスのモニタリング、または材料の融解曲線の測定などが挙げられる。
【0005】
導電性流体(例えば、溶解塩を含む流体)中のあるセンサへの利用が実施されている。導電性流体と微細加工デバイスの表面上の電気経路とが接触することによって、流体中へ電流が散逸し、あるいは隣接する電気経路間の電気インピーダンスが変化し得る。導電性流体中へ散逸することによって、性能が劣化し、場合によっては微細加工デバイスおよび流体が発熱する。隣接する電気経路との間で高いインピーダンス分離が必要な場合に、隣接する電気経路との間の電気インピーダンスが変化すると、微細加工デバイスの正常な機能も阻害される。また、微細加工デバイスは、腐食性の流体、または微細加工デバイスの動作に悪影響を及ぼしかねない流体中で使用される場合もある。
【0006】
一部の微細加工デバイス(例えば、従来型の曲げ板波(flexural plate wave)の微細加工デバイス)は、ウェハ貫通エッチングを実施することによって形成される懸垂膜(suspended membrane)を有する。微細加工デバイスとの電気的インターフェースは、エッチングされたキャビティの反対側にあるウェハ面に存在する。動作中、流体は、ウェハに形成されたキャビティを介して微細加工デバイスの検知面と接触する。これによって、流体と電気的インターフェースとを分離する(それぞれ微細加工デバイスの反対側に配置される)ことが可能になるが、微細加工デバイスを使用する流体システムの設計が複雑になり、性能の低下を招く恐れがある。デバイスの横方向寸法が減少するため、キャビティ内への流体の注入がより困難になる。
【0007】
例えば、一部の分析では、微細加工デバイスの検知面(例えば、膜)において、均一な流動特性が必要となる。検知面を画定するエッチングされたキャビティ内へ流体を注入すると、検知面における流体の流動パターンが不均一になる。このような場合には、その上に流体が導入される実質的に平坦な面を備えるシステムを設計することが有効であり得る。
【0008】
また、微細加工デバイスの検知面を化学的に処理することは、化学的処理剤(例えば、流体)が、キャビティを完全にウェットにすることができる必要があるのでむずかしい。キャビティは、(例えば、深堀り反応性イオンエッチングプロセスによって形成された)鋭角な隅部を有し、これがキャビティ全体の充分な処理を確実に実施することを困難にしているため、キャビティを適切にウェットにすることはむずかしい。さらに、微細加工デバイスのキャビティ内に導入される流体もキャビティを充分にウェットにしなければならないため、動作中のデバイスを引き続き使用することもむずかしい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、微細加工デバイスの設計を改良し、微細加工デバイスの加工方法を改良する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一形態では、流体中で作動する微細加工デバイスであることを特徴とする。このデバイスは、第1および第2の面を有する基板を含む。このデバイスはまた、基板の第1の面上に配置されている第1の電極材料層も含む。このデバイスはまた、第1の電極材料層上に配置されている圧電材料層も含む。このデバイスはまた、圧電材料層上に配置されている第2の電極材料層も含む。このデバイスはまた、第2の電極材料層上に配置され、第2の電極材料層の一部を流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する分離材料(例えば、低温酸化物、低温窒化物、低温ポリマ)の層も含む。
【0011】
ある実施形態では、デバイスが、分離材料の層上に配置されている導電性材料(例えば、金、銀、またはアルミニウムなどの金属、またはシリコンなどの半導体材料)の層を含む。導電性材料の層の電位を制御して、デバイスと流体または流体中の物質との間の電気的相互作用を低減することが可能である。ある実施形態では、デバイスは、微細加工デバイス上で物質を固定しやすくするために分離材料の層上に配置される固定材料(例えば、金属、ポリマ、半導体または誘電体)の層を含む。
【0012】
ある実施形態では、基板が、第1および第2の面を有するシリコン層と、シリコン層の第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、シリコン層の第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、基板の第1の面である面を有する第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、第2のシリコン酸化物層に隣接する第2のシリコン窒化物層とを含む。
【0013】
ある実施形態では、第2の電極材料層が、金属(例えば、モリブデン、またはチタニウムおよび金の層)の層である。ある実施形態では、デバイスが、第2のシリコン窒化物層と、第2のシリコン酸化物層と、シリコン層に形成され、第1のシリコン窒化物層を露出するキャビティとを含む。ある実施形態では、シリコン層と第1のシリコン窒化物層との間のシリコン酸化物層の一部を除去してアンダーカットを形成する。ある実施形態では、分離材料が、酸化物材料(例えば、低温酸化物材料)である。
【0014】
ある実施形態では、第1および/または第2の電極材料層が、1つ以上の電極を含む。1つ以上の電極が、少なくとも1つの検知電極および少なくとも1つの作動電極でもよい。ある実施形態では、1つ以上の電極が、1対の検知電極および1対の作動電極でもよい。ある実施形態では、第1および/または第2の電極材料層が、互いにかみ合っている検知電極対と、互いにかみ合っている作動電極対とを含む。ある実施形態では、微細加工デバイスが、曲げ板波デバイスとして作動するように構成される。
【0015】
ある実施形態では、デバイスが、微細加工デバイス上に物質を固定しやすくするために、分離材料の層上に配置されている導電性材料の層を含む。ある実施形態では、導電性材料の層の電位を制御して、微細加工デバイスと流体または流体中の物質との間の電気的相互作用を低減する。物質が、例えば、全細胞、バクテリア、酵母、菌類、血球、解離組織細胞、胞子、ウィルス、タンパク質、抗体、脂質、炭水化物、核酸、ペプチド、または小分子でもよい。
【0016】
ある実施形態では、導電性材料の層が、分離材料の層と流体との間のバリアである。ある実施形態では、デバイスが、流体を分離材料の層の表面に送り込むために、分離材料の層上に流体経路を含む。ある実施形態では、第1および第2の電極材料層によって出力される信号が、圧電材料層を組み込んでいる構造の伝播特性を示している。
【0017】
本発明は、別の形態では、第1の絶縁面および第2の面を有する基板を含む、流体中で作動させるための微細加工デバイスであることを特徴とする。このデバイスはまた、基板の第1の面上に配置され、1つ以上の電極を有する第1の電極材料層も含む。このデバイスはまた、第1の電極材料層上に配置されている圧電材料層も含む。このデバイスはまた、圧電材料層上に配置され、電気的接地面として機能するとともに微細加工デバイスに対する流体インターフェースを画定する第2の電極材料層も含む。
【0018】
ある実施形態では、デバイスが、第2の電極材料層上に配置され、第2の電極材料層の一部を、流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する分離材料の層を含む。ある実施形態では、デバイスが、分離材料の層上に配置されている導電性材料の層を含む。導電性材料の層の電位を制御して、微細加工デバイスと導電性流体または導電性流体中の物質との間の電気的相互作用を低減することが可能である。ある実施形態では、デバイスが、微細加工デバイス上の物質を固定しやすくするために、分離材料の層上に配置されている固定材料の層を含む。
【0019】
ある実施形態では、基板が、第1および第2の面を有するシリコン層と、シリコン層の第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、シリコン層の第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、基板の第1の面である面を有する第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、第2のシリコン酸化物層に隣接する第2のシリコン窒化物層とを含む。ある実施形態では、基板が、第1および第2の面を有するシリコン層と、シリコン層の第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、シリコン層の第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、第2のシリコン酸化物層に隣接して基板の第1の面である面を有する第2のシリコン窒化物層とを含む。ある実施形態では、第2の電極材料層が、金属、導電性半導体、または他の導電性材料の層である。
【0020】
本発明は、別の形態では、流体中で作動させるための微細加工デバイスの加工方法に関する。この方法は、基板の第1の面上に圧電材料層を付着させることを含む。この方法はまた、圧電材料層上に電極材料層を形成することも含む。この方法はまた、微細加工デバイスの動作中に電極材料層の一部を流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する分離材料層を、電極材料層上に形成することを含む。
【0021】
ある実施形態では、基板の第1の面上に圧電材料層を付着させる前に、基板の第1の面上に電極材料層を形成する。ある実施形態では、基板の第1の面が、シリコン材料の層を含む。ある実施形態では、方法が、分離材料の層上に配置されている導電性材料の層を形成することを含む。導電性材料の層の電位を制御して、微細加工デバイスと流体または流体中の物質との間の電気的相互作用を低減することが可能である。
【0022】
ある実施形態では、方法が、基板の第2の面にキャビティをエッチングすることを含む。ある実施形態では、方法が、基板の第2の面にキャビティをエッチングすることによって露出した、酸化物材料層にアンダーカットを形成するために、基板の酸化物材料層をエッチングすることを含む。電極材料層上に分離材料層を形成することが、分離材料を付着させることを含んでもよい。圧電材料層上に電極材料層を形成することが、圧電材料層上に電極材料を付着させることと、1つ以上の電極構造を形成することとを含んでもよい。
【0023】
ある実施形態では、方法が、基板の電気的接地層と電気的に接続させることができるように基板の一部を露出する少なくとも1つのビアを形成するために、分離層材料、電極材料層、および圧電材料層をエッチングすることを含む。ある実施形態では、方法が、電極材料層と電気的に接続することができるように電極材料層の一部を露出する少なくとも1つのビアを形成するために、分離層材料をエッチングすること含む。ある実施形態では、基板が、第1および第2の面を有するシリコン層と、シリコン層の第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、シリコン層の第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、基板の第1の面である面を有する第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、第2のシリコン酸化物層に隣接する第2のシリコン窒化物層とを含む。
【0024】
本発明は、別の形態では、流体中で作動させるための微細加工デバイスの加工方法に関する。この方法は、基板の第1の面上に、1つ以上の電極を有する第1の電極材料層を形成することを含む。この方法はまた、第1の電極材料層上に圧電材料層を付着させることも含む。この方法はまた、圧電材料層上に、電気的接地面として機能するとともに微細加工デバイスに対する流体インターフェースを画定する第2の電極材料層を形成することも含む。
【0025】
ある実施形態では、方法が、第2の電極材料層上に配置され、第2の電極材料層の一部を、流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する分離材料の層を形成することを含む。ある実施形態では、方法が、分離材料の層上に配置されている導電性材料の層を形成することを含む。導電性材料の層の電位を制御して、微細加工デバイスと流体または流体中の物質との間の電気的相互作用を低減することが可能である。
【0026】
ある実施形態では、方法が、微細加工デバイス上の物質を固定しやすくするために、分離材料の層上に配置されている固定材料の層を形成することを含む。ある実施形態では、第1の電極材料層は、シリコンの層である。
【0027】
本発明は、別の形態では、流体中で作動させるための微細加工デバイスであることを特徴とする。このデバイスは、第1および第2の面を有する基板を含む。このデバイスはまた、基板の第1の面上に配置されている第1の電極材料層も含む。このデバイスはまた、第1の電極材料層上に配置されている圧電材料層も含む。このデバイスはまた、圧電材料層上に配置されている第2の電極材料層も含む。このデバイスはまた、第2の電極材料層を流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する手段も含む。
【0028】
本発明の前述のおよび他の目的、形態、特徴、および利点は、以下の説明および特許請求の範囲によってさらに明白になるであろう。
【0029】
本発明の前述のおよび他の目的、形態、特徴、および利点、並びに本発明自体は、必ずしも縮尺どおりではない添付図面と併せて読めば、以下の例示的な記載によってさらに完全に理解されよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイス100の概略図である。デバイス100は、第1の面156および第2の面160を有する基板102を含む。基板102は、第1の面170および第2の面174を有するハンドルウェハ104(例えば、好ましくは、約1〜10オームセンチメートル(Ω・cm)の抵抗率を有する導電性のシリコンウェハ)を含む。基板102は、第1の酸化物材料層108および第2の酸化物材料層112も含む。第1の酸化物材料層108は、ハンドルウェハ104の第1の面170上に配置される。第2の酸化物材料層112は、ハンドルウェハ104の第2の面174上に配置される。ある実施形態では、酸化物材料層は、ハンドルウェハ104の表面上に熱成長されるシリコン酸化物の層である。
【0031】
基板102は、第1の酸化物材料層108上に配置されている第1のシリコン窒化物層116も含む。基板102は、第2の酸化物材料層112上に配置されている第2のシリコン窒化物層120も含む。ある実施形態では、シリコン窒化物層は、減圧化学気相成長(LPCVD:low pressure chemical vapor deposition)プロセスを用いて付着される。この実施形態では、基板102の第1の面156は、第1のシリコン窒化物層116の第1の面でもある。被膜内の窒素に対するシリコンの比率を変化させることによって、材料内の応力を制御することが可能である。懸垂膜を含むデバイスの場合は、被膜の応力を適度な引張になるように調整することが望ましい(例えば、50〜200Mpaの引張応力を有する低応力LPCVDシリコン窒化膜)。
【0032】
デバイス100は、基板102の第1の面156上に配置されている(本明細書では一般に隣接して配置されているとも言及されている)第1の電極材料層124も含む。ある実施形態では、第1の電極材料層124(および他の電極材料層)は、基板102の第1の面156上にスパッタされるモリブデンである。モリブデンは、良好な接着性を有する高温金属であるため、電極材料層として使用される。モリブデンの高温性能によって、次の材料層(例えば、窒化アルミニウム圧電層およびシリコン酸化物層)を付着させることが可能になる。圧電材料およびシリコン酸化物材料を付着させるためのプロセス温度は、一般に300℃を超えるが、モリブデンはこの条件下で劣化しない。さらに、モリブデンは、多くの圧電材料および酸化物材料とともに使用される場合に良好な接着性を有する。ただし、集積回路設計でよく見られる他の金属および他の導電性材料を、電極材料層として使用することも可能である。
【0033】
ある実施形態では、第1の電極材料層124を塗布する前に、まず中間層が基板102の第1の面156に塗布される。一実施形態では、中間層は、第1の電極材料層124を基板102に後から接着しやすくする。一般に、中間材料層は、例えば、2つの材料間の結合を強化したり、一方の材料層を他方から電気的または化学的に分離したりするために、製造中に使用されることが多い。
【0034】
デバイス100は、第1の電極材料層124上に配置されている圧電材料層128も含む。ある実施形態では、圧電材料層128は、例えば、窒化アルミニウムを反応性スパッタすることによって基板に塗布される、例えば、窒化アルミニウムである。あるいはまた、他の適切な微細加工技術を用いて、第1電極材料層124上に圧電材料層128を塗布してもよい。デバイス100は、圧電材料層128上に配置されている第2の電極材料層132も含む。この実施形態では、第2の電極材料層132は、複数の電極132aを含む。第2の電極材料層132は、電極132aと電気的に連絡している電極接続パッド132bも含む。電極接続パッド132bは、電極132a上に塗布される次の材料層(例えば、分離材料層140)が電極接続パッド132bを覆わないように、電極132aに隣接して配置される。このようにして、電極接続パッド132bは、電極132aと電気的に接続することができる。
【0035】
ビア178が、第1の電極材料層124に配置されて、圧電材料層128へのアクセスを提供する。ビア178は、多くの適切な半導体製造プロセスを用いて形成することが可能である。例えば、ビア178を形成したい場所以外にあるエッチング液からデバイス100の表面を保護するように、フォトレジスト材料をデバイス100上に塗布することが可能である。デバイス100と電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層144を電極接続パッド132bに塗布することが可能である。さらに、デバイス100と別の電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層148を第1の電極材料面124に塗布することが可能である。
【0036】
デバイス100は、また、例えば、エッチングプロセスによって形成されるキャビティ152を基板102内に画定する。この実施形態では、キャビティ152は、ハンドルウェハ104の結晶格子構造の拘束を受けるエッチングプロセスを用いて形成された。一例として、シリコンウェハをエッチングするために使用される異方性エッチング液によってキャビティが形成されるが、キャビティ内のハンドルウェハ104の壁の角度は、ハンドルウェハ104の結晶格子構造と一致する角度Θになっている。これに対して、等方性エッチング液は、ハンドルウェハの結晶格子構造の拘束を受けない。キャビティ152を形成する場合に露出される酸化物層108の一部は、エッチングプロセスを用いて除去される。一般に、等方性エッチングを用いて、酸化物層材料層108の露出部を除去する。
【0037】
代替の実施形態では、代わりに異方性ドライエッチングを用いてシリコンウェハのエッチングを行い、ハンドルウェハ104の壁の角度がX軸に垂直なY軸と一致しているキャビティを形成する。例えば、このような形状を得るために、深堀り反応性イオンエッチングプロセスが一般に用いられる。
【0038】
基板102は、アンダーカット116が第1のシリコン窒化物層116とハンドルウェハ104との間に存在する領域も有する。この実施形態では、アンダーカット116は、第1のシリコン窒化物層116とハンドルウェハ104との間に配置されている第1の酸化物材料層108の一部をエッチングするエッチングプロセスを用いて形成された。実際には、アンダーカット116は、膜182の境界条件を改善することが分かっており、そこで膜182がキャビティ152と接触してデバイス100の性能を向上させる。
【0039】
デバイス100のキャビティ152は、第1のシリコン窒化物層116を露出し、これによって、懸垂膜182を画定する。電極材料層132および124は、ユーザまたはコンピュータが膜182の振動特性をモニタすることができるように構成されている。一実施形態では、計測/制御用電子機器(図示せず)は、電極材料層の少なくとも1つの電極に(電気接続金属層を介して)時間変動信号を印加することによって、膜182に振動を生じさせる。計測/制御用電子機器は、電極材料層の少なくとも第2の電極からセンサ信号を受信することによって、膜182の振動特性もモニタする。ある実施形態では、第1および第2の電極材料層124および132によって出力される信号は、流体環境と相互作用するデバイス100(または、例えば、流体環境と相互作用する圧電材料層を組み込んでいる構造)の伝播特性(例えば、音波の伝播特性)を表す。ある実施形態では、第1および第2の電極材料層124および132によって出力される信号は、流体中の物質またはデバイスの表面に付着された物質と相互作用しているデバイスの伝播特性(例えば、音波の伝播特性)を表す。計測/制御用電子機器は、基準信号を第2の組の電極からの信号と比較して、信号の相対振幅および位相角の変化を周波数の関数として決定する。計測/制御用電子機器は、これらの変化を読み取って膜182の表面と接触する特定物質の存在を検知する。
【0040】
ある実施形態では、膜182は、デバイス100が曲げ板波(FPW:flexural plate wave)デバイスになるように構成され、FPWデバイスでは、第2の電極材料層132aが2組の互いにかみ合っている電極(作動用の1組および検知用の1組)を有するように構成される。FPWデバイスの曲げおよび引張時にはひずみエネルギが伝わる。ある実施形態では、FPWデバイスの膜厚対波長比が1未満であること、ある場合には1より大幅に小さくなることが望ましい。一般には、FPWデバイスの波長「λ」は、互いにかみ合っている電極のピッチにほぼ等しい。一実施形態では、FPWデバイスの膜厚対波長比は、約2μm/38μmである。他の実施形態では、FPWデバイスは、特定モード(例えば、0次モードから高次モードの任意のモード)、すなわちデバイスに関連するモードの帯域幅を分離するように設計される。例えば、2μm/38μmの膜厚/波長を有するFPWデバイスは、FPWデバイスの80次モードを分離することになる。FPWデバイスは、デバイス上に付着された互いにかみ合っている電極の特定パターンを選択することによって、この効果が得られるように設計することが可能である。この実施形態では、FPWデバイスは、形状が長方形である。あるいは、FPWデバイスは、円形、楕円形、または他の何らかの平面形状であってもよい。
【0041】
この実施形態では、デバイス100は、流体環境で使用される。デバイス100は、領域186にある流体にさらされる。本発明のこの実施形態では、デバイス100は、第2の電極材料層132a上に配置されている分離材料の層136を含む。このようにして、第2の電極材料層132aの少なくとも一部は、領域186にある流体から分離される。ある実施形態では、分離材料層136は、第2の電極材料層を領域186の流体から化学的に分離する。ある実施形態では、分離材料層136は、第2の電極材料層を領域186の流体から電気的に分離する。ある実施形態では、分離材料層136は、第2の電極材料層を領域186の流体から化学的にも電気的にも分離する。
【0042】
ある実施形態では、分離材料層136は、例えば、低温化学気相成長(CVD:chemical vapor deposition)プロセスによってデバイス100に塗布される、例えば、シリコン酸化物である。集積回路設計に共通な他の分離材料または誘電体層材料を使用することも可能である。あるいは、他の適切な微細加工技術を用いて、第2の電極材料層132a上に分離材料層136を塗布してもよい。ある実施形態では、微細加工デバイス100上に物質を固定させやすくするために、固定材料(例えば、金または別の適切な材料)の層が配置される。デバイス100上に固定可能な物質としては、例えば、抗体、全細胞、バクテリア、酵母、菌類、血球、解離組織細胞、胞子、ウィルス、タンパク質、脂質、炭水化物、核酸、ペプチド、および小分子が挙げられる。デバイス100は、例えば、生物学的物質がデバイス100の検知面上に固定される場合のバイオセンサとして使用することが可能である。例えば、デバイス表面上に固定された抗体を使用して、流体中にある対応するタンパク質を捕獲することが可能である。
【0043】
デバイス100は、分離材料層136上に配置されている導電性材料層140(例えば、金、銀、またはアルミニウムなどの金属、またはシリコン、チタン、金などの半導体、またはその組み合わせ)も含む。ある実施形態では、金などの金属層を付着させる前に、まずチタン材料の層が分離材料層136の表面上に付着される。この実施形態では、チタン材料の層を用いて、金の層とデバイス100との間の接着を促進させる。ある実施形態では、導電性材料層140の電位を導電性材料層140との電気接続(図示せず)を介して制御することによって、デバイス100と、領域186にある流体(または、流体中の物質、またはデバイス100の表面上に固定された物質、またはデバイス100に拘束された物質)との間の相互作用を最小限に抑える。ある実施形態では、導電性材料層は、領域186の流体と分離材料層136との間の流体インターフェース/バリアである。
【0044】
ある実施形態では、導電性材料層140(例えば、金)も使用される。これは導電性材料層140を使用することで、バイオセンサ用として金の表面上に生体分子を後から固定するためにデバイス100に界面化学作用を適用することを可能にするためである。このように、導電性材料層は、微細加工デバイス100上に物質(例えば、生体物質)を固定しやすくするための固定材料層として機能する。例えば、チオール法が金被覆表面上に生体物質を固定する手段として利用されることが多い。
【0045】
図2は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイス200の概略図である。デバイス200は、第1の面256および第2の面260を有する基板202を含む。基板202は、第1の面270および第2の面274を有するハンドルウェハ204(例えば、好ましくは、約1〜10オームセンチメートル(Ω・cm)の抵抗率を有する導電性のシリコンウェハ)を含む。
【0046】
基板202は、ハンドルウェハ204の第1の面270上に配置されている第1のシリコン窒化物層216も含む。基板202は、ハンドルウェハ204の第2の面274上に配置されている第2のシリコン窒化物層220も含む。この実施形態では、基板202の第1の面256は、第1のシリコン窒化物層216の第1の面でもある。
【0047】
デバイス200は、基板202の第1の面256上に配置されている(本明細書では一般に隣接して配置されているとも称される)第1の電極材料層224も含む。ある実施形態では、第1の電極材料層224を基板202に後から接着しやすくするために、第1の電極材料層224を塗布する前に、まず中間層が基板202の第1の面256に塗布される。
【0048】
デバイス200は、第1の電極材料層224上に配置されている圧電材料層228も含む。デバイス100は、圧電材料層228上に配置されている第2の電極材料層232も含む。この実施形態では、第2の電極材料層232は、複数の電極232aを含む。第2の電極材料層232は、電極232aと電気的に連絡している電極接続パッド232bも含む。電極接続パッド232bは、電極232a上に塗布される次に続く材料層(例えば、分離材料層240)が電極接続パッド232bを覆わないように、電極232aに隣接して配置される。このようにして、電極接続パッド232bは、電極232aと電気的に接続することができる。
【0049】
ビア278が、第1の電極材料層224に配置されて、圧電材料層228へのアクセスを提供する。デバイス200との電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層244が電極接続パッド232bに塗布される。さらに、デバイス200との別の電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層248が第1の電極材料面224に塗布される。
【0050】
デバイス200は、また、例えば、エッチングプロセスによって形成される、キャビティ252を基板202内に画定する。この実施形態では、キャビティ252は、ハンドルウェハ204の結晶格子構造の拘束を受けるエッチングプロセスを用いて形成された。一例として、シリコンウェハをエッチングするために使用される異方性エッチング液によってキャビティが形成されるが、キャビティ内のハンドルウェハ204の壁の角度は、ハンドルウェハ204の結晶格子構造と一致する角度Θになっている。これに対して、等方性エッチング液は、ハンドルウェハの結晶格子構造の拘束を受けない。本明細書で前述したのと同様に、デバイス200のキャビティ252は、第1のシリコン窒化物層216を露出し、これによって懸垂膜282を画定する。
【0051】
この実施形態では、デバイス200は、流体環境で使用される。デバイス200は、領域286にある流体にさらされる。本発明のこの実施形態では、デバイス200は、第2の電極材料層232a上に配置されている分離材料の層236を含む。このようにして、第2の電極材料層232aの少なくとも一部は、領域286にある流体から分離される。ある実施形態では、分離材料層236は、第2の電極材料層を領域286の流体から化学的に分離する。ある実施形態では、分離材料層236は、第2の電極材料層を領域286の流体から電気的に分離する。ある実施形態では、分離材料層236は、第2の電極材料層を領域286の流体から化学的にも電気的にも分離する。
【0052】
ある実施形態では、分離材料層236は、例えば、低温化学気相成長(CVD)プロセスによってデバイス200に塗布される、例えば、シリコン酸化物である。ある実施形態では、微細加工デバイス200上に物質を固定しやすくするために、固定材料(例えば、金または別の適切な材料)の層が分離材料層236上に配置される。
【0053】
デバイス200は、分離材料層236上に配置されている導電性材料層240(例えば、金、銀、またはアルミニウムなどの金属、またはシリコンなどの半導体、またはその組み合わせ)も含む。ある実施形態では、金などの金属層が付着される前に、まずチタン材料の層が分離材料層236の表面上に付着される。この実施形態では、チタン材料の層を用いて、金の層とデバイス200との間の接着を促進させる。ある実施形態では、導電性材料層240の電位を導電性材料層240との電気接続(図示せず)を介して制御することによって、デバイス200と、領域286にある流体(または、流体中の物質)との間の相互作用を最小に抑える。ある実施形態では、導電性材料層は、領域286の流体と分離材料層236との間のバリアである。
【0054】
ある実施形態では、導電性材料層240(例えば、金)も使用される。これは導電性材料層240を使用することで、バイオセンサ用として金の表面上に生体分子を後から固定するためにデバイス200に界面化学作用を適用することを可能にするためである。このように、導電性材料層は、微細加工デバイス200上に物質(例えば、生体物質)を固定しやすくするための固定材料層として機能する。例えば、チオール法が金被覆表面上に生体物質を固定する手段として利用されることが多い。
【0055】
図3は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイス300の概略図である。デバイス300は、第1の面356および第2の面360を有する基板302を含む。基板302は、第1の面370および基板302の第2の面360と同一の第2の面を有するハンドルウェハ304(例えば、好ましくは、約1〜10オームセンチメートル(Ω・cm)の抵抗率を有する導電性のシリコンウェハ)を含む。基板302は、また、ハンドルウェハ304の第1の面の上に配置された第1の酸化物材料層を含む。
【0056】
基板302は、第1の酸化物材料層308上に配置されているシリコン材料の層316も含む。この実施形態では、基板302の第1の面356は、シリコン材料の層316の第1の面でもある。この実施形態では、シリコン材料の層316は、電極材料層として機能するのに充分な導電性を有する。一実施形態では、その電気抵抗が充分小さくなる(例えば、50オーム/スクエア(Ω/□)未満のシート抵抗を示す)ように、ドーパントがシリコン材料の層316に注入される。
【0057】
デバイス300は、シリコン材料の層316上に配置されている圧電材料層328も含む。デバイス300は、圧電材料層328上に配置されている第2の電極材料層332も含む。この実施形態では、第2の電極材料層332は、複数の電極332aを含む。第2の電極材料層332は、電極332aと電気的に連絡している電極接続パッド332bも含む。電極接続パッド332bは、電極332a上に塗布される次に続く材料層(例えば、分離材料層340)が電極接続パッド332bを覆わないように、電極332aに隣接して配置される。このようにして、電極接続パッド332bは、電極332aと電気的に接続することができる。
【0058】
ビア378が、圧電材料層328に配置されて、(導電性を有する)シリコン材料の層316へのアクセスを提供する。デバイス300との電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層344が電極接続パッド332bに塗布される。さらに、デバイス300との別の電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層348がビア378の位置のシリコン材料の層316に塗布される。
【0059】
デバイス300は、また、例えば、エッチングプロセスによって形成されるキャビティ352を基板302内に画定する。この実施形態では、キャビティ352は、ハンドルウェハ304の結晶格子構造の拘束を受けるエッチングプロセスを用いて形成された。一例として、シリコンウェハをエッチングするために使用される異方性エッチング液によってキャビティが形成されるが、キャビティ内のハンドルウェハ304の壁の角度は、ハンドルウェハ304の結晶格子構造と一致する角度Θになっている。
【0060】
本明細書で前述したのと同様に、デバイス300のキャビティ352は、シリコン材料の層316を露出し、これによって懸垂膜382を画定する。基板302は、アンダーカット316がシリコン材料の層316とハンドルウェハ304との間に存在する領域も有する。この実施形態では、アンダーカット316は、シリコン材料の層316とハンドルウェハ304との間に配置されている第1の酸化物材料層308の一部をエッチングするエッチングプロセスを用いて形成された。
【0061】
この実施形態では、デバイス300は、流体環境で使用される。デバイス300は、領域386にある流体にさらされる。本発明のこの実施形態では、デバイス300は、第2の電極材料層332a上に配置されている分離材料の層336を含む。このようにして、第2の電極材料層332aの少なくとも一部は、領域386にある流体から分離される。ある実施形態では、分離材料層336は、第2の電極材料層を領域386の流体から化学的に分離する。ある実施形態では、分離材料層336は、第2の電極材料層を領域386の流体(または流体中の物質、またはデバイス300の表面上に固定された物質、またはデバイス300に拘束された物質)から電気的に分離する。ある実施形態では、分離材料層336は、第2の電極材料層を領域386の流体から化学的にも電気的にも分離する。
【0062】
デバイス300は、分離材料層336上に配置されている導電性材料層340(例えば、金、銀、またはアルミニウムなどの金属、またはシリコンなどの半導体、またはその組み合わせ)も含む。ある実施形態では、まずチタン材料の層が分離材料層336の表面上に付着され、次いで金属(例えば、金)の層がチタン材料の層上に付着される。この実施形態では、チタン材料の層を用いて、金の層とデバイス300との間の接着を促進させる。ある実施形態では、導電性材料層340の電位を導電性材料層340との電気接続(図示せず)を介して制御することによって、デバイス300と、領域386にある流体(または、流体中の物質)との間の相互作用を最小限に抑える。ある実施形態では、導電性材料層は、領域386の流体と分離材料層336との間のバリアである。
【0063】
ある実施形態では、導電性材料層340(例えば、金)も使用される。これは導電性材料層340を使用することで、バイオセンサ用として金の表面上に生体分子を後から固定するためにデバイス300に界面化学作用を適用することを可能にするためである。このように、導電性材料層は、微細加工デバイス300上に物質(例えば、生体物質)を固定しやすくするための固定材料層として機能する。例えば、チオール法が金被覆表面上に生体物質を固定する手段として利用されることが多い。
【0064】
図4は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイス400の概略図である。デバイス400は、第1の面456および第2の面460を有する基板402を含む。基板402は、第1の面470および基板402の第2の面460と同一の第2の面を有するハンドルウェハ404(例えば、好ましくは、約1〜10オームセンチメートル(Ω・cm)の抵抗率を有する導電性のシリコンウェハ)を含む。基板402は、ハンドルウェハ404の第1の面470上に配置されている第1の酸化物材料層408も含む。
【0065】
基板402は、第1の酸化物材料層408上に配置されているシリコン材料の層416も含む。この実施形態では、基板402の第1の面456は、シリコン材料の層416の第1の面でもある。この実施形態では、シリコン材料の層416は、電極材料層として機能するのに充分な導電性を有する。一実施形態では、その電気抵抗が充分小さくなる(例えば、50オーム/スクエア(Ω/□)未満のシート抵抗を示す)ように、ドーパントがシリコン材料の層416に注入される。
【0066】
デバイス400は、シリコン材料の層416上に配置されている圧電材料層428も含む。デバイス400は、圧電材料層428上に配置されている第2の電極材料層432も含む。この実施形態では、第2の電極材料層432は、複数の電極432aを含む。第2の電極材料層432は、電極432aと電気的に連絡している電極接続パッド432bも含む。電極接続パッド432bは、電極432a上に塗布される次に続く材料層(例えば、分離材料層440)が電極接続パッド432bを覆わないように、電極432aに隣接して配置される。このようにして、電極接続パッド432bは、電極432aと電気的に接続することができる。
【0067】
ビア478が、また、圧電材料層428に配置されて、(導電性を有する)シリコン材料の層416にアクセスを提供する。デバイス400との電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層444が電極接続パッド432bに塗布される。さらに、デバイス300との別の電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層448がビア478の位置のシリコン材料の層416に塗布される。
【0068】
デバイス400は、また、例えば、エッチングプロセスによって形成されるキャビティ452を基板402内に画定する。この実施形態では、キャビティ452は、ハンドルウェハ404の結晶格子構造の拘束を受けるエッチングプロセスを用いて形成された。一例として、シリコンウェハをエッチングするために使用される異方性エッチング液によってキャビティが形成されるが、キャビティ内のハンドルウェハ404の壁の角度は、X軸に垂直なY軸と一致している。例えば、このような形状を得るために、深堀り反応性イオンエッチングプロセスが一般に用いられる。
【0069】
本明細書で前述したのと同様に、デバイス400のキャビティ452は、シリコン材料の層416を露出し、これによって懸垂膜482を画定する。基板402は、アンダーカット416がシリコン材料の層416とハンドルウェハ404との間に存在する領域も有する。この実施形態では、アンダーカット416は、シリコン材料の層416とハンドルウェハ404との間に配置されている第1の酸化物材料層408の一部をエッチングするエッチングプロセスを用いて形成された。
【0070】
この実施形態では、デバイス400は、流体環境で使用される。デバイス400は、領域486にある流体にさらされる。本発明のこの実施形態では、デバイス400は、第2の電極材料層432a上に配置されている分離材料の層436を含む。このようにして、第2の電極材料層432aの少なくとも一部は、領域486にある流体から分離される。ある実施形態では、分離材料層436は、第2の電極材料層を領域486の流体から化学的に分離する。ある実施形態では、分離材料層436は、第2の電極材料層を領域486の流体(または流体中の物質、またはデバイス400の表面上に固定された物質、またはデバイス400に拘束された物質)から電気的に分離する。ある実施形態では、分離材料層436は、第2の電極材料層を領域486の流体から化学的にも電気的にも分離する。
【0071】
デバイス400は、分離材料層436上に配置されている導電性材料層440(例えば、金、銀、またはアルミニウムなどの金属、またはシリコンなどの半導体、またはその組み合わせ)も含む。ある実施形態では、金などの金属層が付着される前に、まずチタン材料の層が分離材料層436の表面上に付着される。この実施形態では、チタン材料の層を用いて、金の層とデバイス400との間の接着を促進させる。ある実施形態では、導電性材料層440の電位を導電性材料層440との電気接続(図示せず)を介して制御することによって、デバイス400と、領域486にある流体(または、流体中の物質)との間の相互作用を最小限に抑える。ある実施形態では、導電性材料層は、領域486の流体と分離材料層436との間のバリアである。
【0072】
ある実施形態では、導電性材料層440(例えば、金)も使用される。これは導電性材料層440を使用することで、バイオセンサ用として金の表面上に生体分子を後から固定するためにデバイス400に界面化学作用を適用することを可能にするためである。このように、導電性材料層は、微細加工デバイス400上に物質(例えば、生体物質)を固定しやすくするための固定材料層として機能する。例えば、チオール法が金被覆表面上に生体物質を固定する手段として利用されることが多い。
【0073】
図5は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイス500の概略図である。デバイス500は、第1の面556および第2の面560を有する基板502を含む。基板502は、第1の面570および第2の面574を有するハンドルウェハ504(例えば、好ましくは、約1〜10オームセンチメートル(Ω・cm)の抵抗率を有する導電性のシリコンウェハ)を含む。基板502は、第1の酸化物材料層508および第2の酸化物材料層512も含む。第1の酸化物材料層508は、ハンドルウェハ504の第1の面570上に配置される。第2の酸化物材料層512は、ハンドルウェハ504の第2の面574上に配置される。
【0074】
基板502は、第1の酸化物材料層508上に配置されている第1のシリコン窒化物層516も含む。基板502は、第2の酸化物材料層512上に配置されている第2のシリコン窒化物層520も含む。ある実施形態では、シリコン窒化物層は、減圧化学気相成長(LPCVD)プロセスを用いて付着される。被膜内の窒素に対するシリコンの比率を変化させることによって、応力を制御することが可能である。懸垂膜を含むデバイスの場合は、被膜の応力を適度な引張になるように調整するのが望ましい(例えば、50〜200Mpaの引張応力を有する低応力LPCVDシリコン窒化膜)。この実施形態では、基板502の第1の面556は、第1のシリコン窒化物層516の第1の面でもある。
【0075】
デバイス500は、第1の電極材料層524も含む。この実施形態では、第1の電極材料層524は、複数の電極524aを含む。第2の電極材料層524は、電極524aと電気的に連絡している電極接続パッド524bも含む。電極接続パッド524bは、電極524a上に塗布される次に続く材料層(例えば、分離材料層540)が電極接続パッド524bを覆わないように、電極524aに隣接して配置される。このようにして、電極接続パッド524bは、電極524aと電気的に接続することができる。
【0076】
デバイス500は、第1の電極材料層524上に配置されている圧電材料層528も含む。ある実施形態では、圧電材料層528は、例えば、窒化アルミニウムを反応性スパッタすることによって基板に塗布される、例えば、窒化アルミニウムである。あるいはまた、他の適切な微細加工技術を用いて、第1電極材料層524上に圧電材料層528を塗布してもよい。
【0077】
デバイス500は、圧電材料層528上に配置されている第2の電極材料層532も含む。ビア578が、電極接続パッド524bにアクセスする圧電材料層528に配置される。ビア578は、多くの適切な半導体製造プロセスを用いて形成することが可能である。デバイス500との電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層548が第2の電極材料面532に塗布される。さらに、デバイス500との別の電気接続を取りやすくするために、任意の電気接続金属層544が第1の電極材料面524bに塗布される。
【0078】
デバイス500は、また、例えば、エッチングプロセスによって形成されるキャビティ552を基板502内に画定する。この実施形態では、キャビティ552は、ハンドルウェハ504の結晶格子構造の拘束を受けるエッチングプロセスを用いて形成された。エッチング液によって、ハンドルウェハ504の壁の角度がハンドルウェハ504の結晶格子構造と一致する角度Θになっているキャビティが形成される。
【0079】
本明細書で前述したのと同様に、デバイス500のキャビティ552は、第1のシリコン窒化物層516を露出し、これによって懸垂膜582を画定する。基板502は、アンダーカット516が第1のシリコン窒化物層516とハンドルウェハ504との間に存在する領域も有する。
【0080】
この実施形態では、デバイス500は、流体環境で使用される。デバイス500は、領域586にある流体にさらされる。本発明のこの実施形態では、デバイス500は、第2の電極材料層532上に配置されている分離材料の層536を含む。このようにして、第2の電極材料層532の少なくとも一部は、領域586にある流体から分離される。ある実施形態では、分離材料層536は、第2の電極材料層を領域586の流体(または流体中の物質、またはデバイスの表面上に固定された物質、またはデバイスに拘束された物質)から化学的に分離する。
【0081】
ある実施形態では、分離材料層536は、例えば、低温化学気相成長(CVD)プロセスによってデバイス500に塗布される、例えば、シリコン酸化物である。集積回路設計に共通な他の分離材料または誘電体層材料を使用することも可能である。あるいは、他の適切な微細加工技術を用いて、第2の電極材料層532上に分離材料層536を塗布してもよい。ある実施形態では、微細加工デバイス500上に物質の固定を促進するために、分離材料層536の上に固定材料(例えば、金または別の適切な材料)の層が配置される。デバイス500上に固定可能な物質としては、例えば、全細胞、バクテリア、酵母、菌類、血球、解離組織細胞、胞子、ウィルス、タンパク質、抗体、脂質、炭水化物、核酸、ペプチド、および小分子が挙げられる。
【0082】
デバイス500は、分離材料層536上に配置されている導電性材料層540(例えば、金、銀、またはアルミニウムなどの金属、またはシリコンなどの半導体、またはその組み合わせ)も含む。ある実施形態では、まずチタン材料の層が分離材料層532の表面上に付着され、次いで金属(例えば、金)の層がチタン材料の層上に付着される。この実施形態では、チタン材料の層を用いて、金の層とデバイス500との間の接着を促進させる。ある実施形態では、導電性材料層540の電位を導電性材料層540との電気接続(図示せず)を介して制御することによって、デバイス500と、領域586にある流体(または、流体中の物質、またはデバイス500の表面上に固定された物質、またはデバイス500に拘束された物質)との間の相互作用を最小限に抑える。ある実施形態では、導電性材料層は、領域586の流体と分離材料層536との間のバリアである。
【0083】
ある実施形態では、導電性材料層540(例えば、金)も使用される。これは導電性材料層540を使用することで、バイオセンサ用として金の表面上に生体分子を後から固定するためにデバイス500に界面化学作用を適用することを可能にするためである。このように、導電性材料層は、微細加工デバイス500上に物質(例えば、生体物質)を固定しやすくするための固定材料層として機能する。
【0084】
図6は、本発明の例示的な実施形態に従う、微細加工デバイス(例えば、図1の微細加工デバイス100)の製造方法600を示す流れ図である。方法600は、シリコンウェハ(例えば、ハンドルウェハ104)上に酸化物材料層(例えば、第1の酸化物材料層108)を付着させることを含む。ある実施形態では、厚さ1ミクロンの熱酸化物の層を、厚さ500ミクロンのシリコンウェハ(約4〜6オームセンチメートル(Ω・cm)の抵抗率を有するP型ホウ素ドープシリコン)上に形成または付着させる(ステップ604)。ある実施形態では、(約0.1ミクロンと約10ミクロンとの間の膜厚を有する)酸化物材料層を、シリコンウェハの上面および下面(例えば、第1の面156および第2の面160)上に付着させる。ある実施形態では、ハンドルウェハは、約350ミクロンと約1,000ミクロンの間の厚さを有する。
【0085】
方法600は、酸化物材料層上にシリコン窒化物材料層を付着させること(ステップ608)も含む。一実施形態では、LPCVDプロセスを用いて、厚さ2ミクロンの低応力シリコン窒化物の層を酸化物材料層上に付着させる。適切な引張応力(50〜200MPa)を有するシリコン窒化物層を得るために付着条件を選択する。ある実施形態では、低応力シリコン窒化物層は、約0.1ミクロンと約10ミクロンの間の膜厚を有する。ある実施形態では、シリコンウェハの上面および下面上に前もって付着させた酸化物材料層上に酸化物材料層を付着させる。
【0086】
方法600は、シリコン窒化物層上に第1の電極材料層を形成すること(ステップ612)も含む。一実施形態では、例えば、スパッタプロセスを用いて、シリコン窒化物層上に厚さ1500オングストロームのモリブデンの層を付着させる。ある実施形態では、第1の電極材料層は、シリコン窒化物層を実質的に覆い、微細加工デバイスの動作中に接地面として使用される。ある実施形態では、第1の電極材料層は、約500オングストロームと約10,000オングストロームの間の膜厚を有する。
【0087】
方法600は、第1の電極材料層上に圧電材料層を付着させること(ステップ616)も含む。一実施形態では、反応性スパッタプロセスを用いて、厚さ5000オングストローム(Å)の窒化アルミニウムの層を電極材料層(例えば、第1の電極材料層124)上に付着させる。ある実施形態では、圧電材料層は、約0.1ミクロンと約3ミクロンの間の膜厚である。
【0088】
方法600は、圧電材料層上に第2の電極材料層を形成すること(ステップ620)も含む(例えば、圧電材料層128上の第2の電極材料層132)。一実施形態では、スパッタプロセスを用いて、厚さ2000オングストロームのモリブデンの層を圧電材料層上に付着させる。フォトレジスト材料を第2の電極材料層に塗布し(ステップ620内で塗布)、次いで、エッチングすることにより第2の電極材料層に特定の電極パターンを形成する。例えば、ある実施形態では、第2の電極材料層をフォトレジストで覆い、次いで、エッチングすることにより第2の電極材料層に1つ以上の電極(例えば、互いにかみ合っている電極)を形成する。1つ以上の電極は、例えば、作動電極および検知電極として使用することが可能である。しかしながら、ある実施形態では、フォトレジスト材料を第1の電極材料層に塗布し(ステップ612内で塗布)、次いで、エッチングすることにより第1の電極材料層に特定の電極パターンを形成する。ある実施形態では、第2の電極材料層は、圧電材料層を実質的に覆い、微細加工デバイスの動作中に接地面として使用される。ある実施形態では、第2の電極材料層は、約500オングストロームと約10,000オングストロームの間の膜厚を有する。
【0089】
方法600は、第2の電極材料層上に分離材料層を形成すること(ステップ624)も含む。ある実施形態では、低温化学気相成長プロセスを用いて、厚さ1000オングストロームの低温シリコン酸化物の層を第2の電極材料層上に付着させる。ある実施形態では、分離材料層は、約500オングストロームと約10,000オングストロームの間の膜厚を有する。次いで、分離材料層を処理して分離材料層を貫通する1つ以上のビアを形成することによって、下層の材料層にアクセスすることが可能になる。例えば、フォトレジストを分離材料層に塗布した後でエッチングすることによって、分離材料層および圧電材料層を貫通する1つ以上のビアを形成することができる。これにより第1の電極材料層を露出させ、第1の電極材料層に電気的にアクセスすることが可能になる。さらに、別のプロセスステップを実施することが可能であり、このプロセスステップでは、フォトレジストを分離材料層に塗布した後でエッチングすることによって、第2の電極材料層に電気的にアクセスすることが可能になる。
【0090】
方法600は、分離材料層上に導電性材料層を付着させること(ステップ628)も含む。ある実施形態では、例えば、蒸着プロセスまたはスパッタプロセスを用いて、厚さ100オングストロームのチタンの層を分離材料層上に付着させる。次いで、例えば、蒸着プロセスまたはスパッタプロセスを用いて、厚さ1000オングストロームの金の層をチタンの層上に付着させる。ある実施形態では、導電性材料層は、約500オングストロームと約10,000オングストロームの間の膜厚を有する。方法600は、電極材料層の露出した場所の上に接続金属層(例えば、電気接続金属層144および148)を付着させることを任意に含んでもよい。接続金属層の材料は、導電性材料層で使用する材料と同じ材料でも異なる材料でもよい。
【0091】
方法600は、微細加工デバイスの一部を貫通するキャビティを形成すること(ステップ636)も含む。例えば、図1に関して、ステップ636は、第2のシリコン窒化物層120、第2のシリコン酸化物層112、ハンドルウェハ204、および第1のシリコン酸化物層108を貫通して、第1のシリコン窒化物層116を露出するキャビティ152を形成し、これにより膜182を形成することを含む。一実施形態では、デバイスの反対側を保護し、次いで、水酸化カリウム(KOH)溶液(例えば、KOH槽)を使用することによってキャビティを形成する。
【0092】
方法600は、例えば、図1に関して本明細書で述べたのと同様に、第1の酸化物材料層の一部をエッチングして、第1のシリコン窒化物層とシリコンウェハとの間にアンダーカットを形成すること(ステップ640)も含む。一実施形態では、緩衝酸化物エッチング(BOE:buffered oxide etching)プロセスまたは希フッ化水素(HF:hydrofluoric)酸エッチングプロセスを用いてアンダーカットを形成する。方法600は、個別のデバイス/チップを形成するこれまでのステップによって製造されたウェハをダイシングすること(ステップ644)も含む。
【0093】
図7は、本発明の例示的な実施形態に従う、微細加工デバイス(例えば、図4の微細加工デバイス400)の製造方法700を示す流れ図である。方法700は、シリコンウェハ(例えば、ハンドルウェハ404)上に酸化物材料層(例えば、第1の酸化物材料層408)を付着させることを含む。方法700は、酸化物材料層上にシリコン材料層を付着させることも含む。シリコンウェハ(例えば、ハンドルウェハ404)、酸化物材料層(例えば、酸化物材料層408)、およびシリコン材料層(例えば、シリコン材料層416)を組み合わせて、シリコンオンインシュレータ(SOI:silicon on insulator)基板(例えば、基板402)を製造する。この実施形態では、シリコン材料層(例えば、シリコン材料層416)の抵抗率は、シリコン材料層がデバイスの電気的接地面として機能するのに充分な値である。
【0094】
方法700は、シリコン材料層上に圧電材料層を付着させること(ステップ716)も含む。方法700は、圧電材料層上に第2の電極材料層を形成すること(ステップ720)も含む(例えば、圧電材料層428上の第2の電極材料層432)。フォトレジスト材料を第2の電極材料層に塗布し(ステップ720内で塗布)、次いで、エッチングすることにより第2の電極材料層に特定の電極パターンを形成する。例えば、ある実施形態では、第2の電極材料層をフォトレジストで覆い、次いで、エッチングすることにより第2の電極材料層に1つ以上の電極(例えば、互いにかみ合っている電極)を形成する。1つ以上の電極は、例えば、作動電極および検知電極として使用することが可能である。
【0095】
方法700は、第2の電極材料層上に分離材料層を形成すること(ステップ724)も含む。次いで、分離材料層を処理して分離材料層を貫通する1つ以上のビアを形成することによって、下層の材料層にアクセスすることが可能になる。例えば、フォトレジストを分離材料層に塗布した後でエッチングすることによって、分離材料層および圧電材料層を貫通する1つ以上のビアを形成することができる。これにより第1の電極材料層を露出させ、第1の電極材料層に電気的にアクセスすることが可能になる。さらに、別のプロセスステップを実施することが可能であり、このプロセスステップでは、フォトレジストを分離材料層に塗布した後にエッチングすることによって、第2の電極材料層に電気的にアクセスすることが可能になる。
【0096】
方法700は、分離材料層上に導電性材料層を付着させること(ステップ728)も含む。方法700は、電極材料層の露出した場所(例えば、電極接続パッド432b)の上に接続金属層(例えば、電気接続金属層444および448)を付着させることを任意に含んでもよい。接続金属層の材料は、導電性材料層で使用する材料と同じ材料でも異なる材料でもよい。
【0097】
方法700は、微細加工デバイスの一部を貫通するキャビティを形成すること(ステップ736)も含む。例えば、図4に関して、ステップ736は、ハンドルウェハ404、および第1のシリコン酸化物層408を貫通してシリコン層416を露出するキャビティ452を形成し、これにより膜482を形成することを含む。ある実施形態では、デバイスの反対側を保護し、次いで、深堀り反応性イオンエッチング(DRIE)プロセスを使用することによってキャビティを形成する。
【0098】
方法700は、例えば、図4に関して本明細書で述べたのと同様に、第1の酸化物材料層の一部をエッチングして、シリコン層(シリコン層416)とシリコンウェハ(ハンドルウェハ404)との間にアンダーカットを形成すること(ステップ740)も含む。方法700は、個別のデバイス/チップを形成するこれまでのステップによって製造されたウェハをダイシングすること(ステップ644)も含む。
【0099】
図8は、微細加工デバイス(図1のデバイス100)と、領域186の流体をデバイスの表面(例えば、導電性材料層140の表面)に導くために使用される流体経路804とを含む分析測定システム800の一部を示す概略図である。経路804は、デバイス100上に配置されているキャップ構造808によって形成される。キャップ構造808と圧電材料層128との間に配置されているシール812(例えば、ガスケット)によって、流体が領域186内に保持されるように(または、領域186中を流れる流体が流体経路804から漏れないように)、流体シールが保たれる。
【0100】
本明細書に記載される内容の変更、改良、および他の実施は、当業者であれば、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく想到するものであり、いずれもが本発明に包含されると見なされる。したがって、本発明は、これまでの例示的な記載のみによって規定されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】図1は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスを示す概略図である。
【図2】図2は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスを示す概略図である。
【図3】図3は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスを示す概略図である。
【図4】図4は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスを示す概略図である。
【図5】図5は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスを示す概略図である。
【図6】図6は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスの製造方法を示す流れ図である。
【図7】図7は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスの製造方法を示す流れ図である。
【図8】図8は、本発明の例示的な実施形態に従う微細加工デバイスおよび流体経路を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中で作動する微細加工デバイスであって、
第1および第2の面を有する基板と、
該基板の該第1の面上に配置された第1の電極材料層と、
該第1の電極材料層上に配置された圧電材料層と、
該圧電材料層上に配置された第2の電極材料層と、
該第2の電極材料層上に配置された分離材料の層であって、該第2の電極材料層の一部を流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する、分離材料の層と
を備える、微細加工デバイス。
【請求項2】
前記分離材料の層上に配置された導電性材料の層を備える、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項3】
前記導電性材料の層の電位を制御することにより、前記微細加工デバイスと、前記流体または該流体中の物質との間の電気的相互作用を低減する、請求項2に記載の微細加工デバイス。
【請求項4】
前記微細加工デバイス上に物質の固定を促進するために、前記分離材料の層上に配置された固定材料の層を備える、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項5】
前記基板が、第1および第2の表面を有するシリコン層と、該シリコン層の該第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、該シリコン層の該第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、該基板の前記第1の面である面を有する該第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、該第2のシリコン酸化物層に隣接する第2のシリコン窒化物層とを備える、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項6】
前記第2の電極材料層は、金属材料または半導体材料の層である、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項7】
前記第2のシリコン窒化物層と、前記第2のシリコン酸化物層と、前記シリコン層とにキャビティが形成され、前記第1のシリコン窒化物層を露出し、該シリコン層と該第1のシリコン窒化物層との間の該シリコン酸化物層の一部が除去されてアンダーカットが形成される、請求項5に記載の微細加工デバイス。
【請求項8】
前記分離材料は、酸化物材料である、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項9】
前記第1の電極材料層または前記第2の電極材料層は、1つ以上の電極を備える、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項10】
前記1つ以上の電極は、1対の検知電極と、1対の作動電極とを備える、請求項9に記載の微細加工デバイス。
【請求項11】
前記第1または前記第2の電極材料層が、互いにかみ合っている検知電極の対と、互いにかみ合っている作動電極の対とを備える、請求項9に記載の微細加工デバイス。
【請求項12】
前記微細加工デバイスは、曲げ板波デバイスである、請求項11に記載の微細加工デバイス。
【請求項13】
前記微細加工デバイス上に物質の固定を促進するために、前記分離材料の層上に配置された導電性材料の層を備える、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項14】
前記導電性材料の層の電位を制御することにより、前記微細加工デバイスと、前記流体または前記流体中の物質との間の電気的相互作用を低減する、請求項13に記載の微細加工デバイス。
【請求項15】
前記物質が、全細胞、バクテリア、酵母、菌類、血球、解離組織細胞、胞子、ウィルス、タンパク質、抗体、脂質、炭水化物、核酸、ペプチド、および小分子からなるグループから選択される、請求項3に記載の微細加工デバイス。
【請求項16】
前記導電性材料の層は、前記分離材料の層と前記流体との間のバリアである、請求項2に記載の微細加工デバイス。
【請求項17】
前記流体を前記分離材料の層の面に送達するために、該分離材料の層上に流体経路を備える、請求項1に記載の微細加工デバイス。
【請求項18】
前記第1および前記第2の電極材料層によって出力される信号が、前記圧電材料層を組み込む構造の伝播特性を表す、請求項17に記載の微細加工デバイス。
【請求項19】
流体中で作動する微細加工デバイスであって、
第1の絶縁面および第2の面を有する基板と、
該基板の第1の面上に配置された第1の電極材料層であって、該第1の電極材料層は、1つ以上の電極を有する、第1の電極材料層と、
該第1の電極材料層上に配置された圧電材料層と、
該圧電材料層上に配置された第2の電極材料層であって、該第2の電極材料層は、電気的接地面として機能し、かつ、微細加工デバイスに対する流体インターフェースを画定する、第2の電極材料層と
を備える、微細加工デバイス。
【請求項20】
前記第2の電極材料層上に配置された分離材料の層であって、該第2の電極材料層の一部を前記流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する、分離材料の層を備える、請求項19に記載の微細加工デバイス。
【請求項21】
前記分離材料の層上に配置された導電性材料の層を備える、請求項20に記載の微細加工デバイス。
【請求項22】
前記導電性材料の層の電位を制御することにより、前記微細加工デバイスと、前記導電性流体または前記導電性流体中の物質との間の電気的相互作用を低減する、請求項21に記載の微細加工デバイス。
【請求項23】
前記微細加工デバイス上に物質の固定を促進するために、前記分離材料の層上に配置された固定材料の層を備える、請求項20に記載の微細加工デバイス。
【請求項24】
前記基板が、第1および第2の面を有するシリコン層と、該シリコン層の該第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、該シリコン層の第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、該基板の第1の面である面を有する該第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、該第2のシリコン酸化物層に隣接する第2のシリコン窒化物層とを備える、請求項19に記載の微細加工デバイス。
【請求項25】
前記基板が、第1および第2の面を有するシリコン層と、該シリコン層の第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、該シリコン層の第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、該第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、該第2のシリコン酸化物層に隣接して該基板の第1の面である面を有する第2のシリコン窒化物層とを備える、請求項19に記載の微細加工デバイス。
【請求項26】
前記第2の電極材料層は、金属または導電性半導体の層である、請求項19に記載の微細加工デバイス。
【請求項27】
流体中で作動する微細加工デバイスの加工方法であって、
基板の第1の面上に圧電材料層を付着させることと、
該圧電材料層上に電極材料層を形成することと、
分離材料層を該電極材料層上に形成することであって、該分離材料層は、該微細加工デバイスの動作中に、該電極材料層の一部を流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離することと
を含む、方法。
【請求項28】
前記基板の第1の面上に前記圧電材料層を付着させる前に、該基板の第1の面上に電極材料層を形成する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記基板の第1の面は、導電性シリコン材料を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記分離材料の層上に配置された導電性材料の層を形成することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記導電性材料の層の電位を制御することにより、前記微細加工デバイスと、前記流体または前記流体中の物質との間の電気的相互作用を低減する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記基板の第2の面にキャビティをエッチングすることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記酸化物材料層にアンダーカットを形成するために、前記基板の第2の面に前記キャビティをエッチングすることによって露出した前記基板の酸化物材料層をエッチングすることをさらに含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記電極材料層上に前記分離材料層を形成することは、分離材料を付着させることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
前記圧電材料層上に電極材料層を形成することは、該圧電材料層上に電極材料を付着させることと、1つ以上の電極構造を形成することとを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項36】
前記基板の電気的接地層と電気的に接続させることができるように、該基板の一部を露出する少なくとも1つのビアを形成するために、前記分離層材料、前記電極材料層、および前記圧電材料層をエッチングすることを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
前記電極材料層と電気的に接続することができるように、該電極材料層の一部を露出する少なくとも1つのビアを形成するために、前記分離層材料をエッチングすることを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記基板が、第1および第2の面を有するシリコン層と、該シリコン層の第1の面に隣接する第1のシリコン酸化物層と、該シリコン層の第2の面に隣接する第2のシリコン酸化物層と、該基板の第1の面である面を有する該第1のシリコン酸化物層に隣接する第1のシリコン窒化物層と、該第2のシリコン酸化物層に隣接する第2のシリコン窒化物層とを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
流体中で作動する微細加工デバイスの加工方法であって、
基板の第1の面上に第1の電極材料層を形成することであって、該第1の電極材料層は1つ以上の電極を有する、ことと、
該第1の電極材料層上に圧電材料層を付着させることと、
該圧電材料層上に配置された第2の電極材料層を形成することであって、該第2の電極材料層は、電気的接地面として機能し、かつ、該微細加工デバイスに対する流体インターフェースを画定する、ことと
を含む、方法。
【請求項40】
前記第2の電極材料層上に配置された分離材料の層を形成することであって、該分離材料の層は、該第2の電極材料層の一部を前記流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記分離材料の層上に配置されている導電性材料の層を形成することを含む、請求項40に記載の微細加工デバイス。
【請求項42】
前記導電性材料の層の電位を制御することにより、前記微細加工デバイスと、前記流体または前記流体中の物質との間の電気的相互作用を低減する、請求項41に記載の微細加工デバイス。
【請求項43】
前記微細加工デバイス上に物質の固定を促進するために、前記分離材料の層上に配置された固定材料の層を形成することを含む、請求項40に記載の微細加工デバイス。
【請求項44】
前記第1の電極材料層は、シリコンの層である、請求項39に記載の微細加工デバイス。
【請求項45】
流体中で作動する微細加工デバイスであって、
第1および第2の面を有する基板と、
該基板の第1の面上に配置された第1の電極材料層と、
該第1の電極材料層上に配置された圧電材料層と、
該圧電材料層上に配置された第2の電極材料層と、
該第2の電極材料層を流体から化学的または電気的のうちの少なくとも一方で分離する手段と
を備える、微細加工デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−534174(P2009−534174A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506547(P2009−506547)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/US2007/009399
【国際公開番号】WO2007/127107
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(508153707)バイオスケール, インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】